ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:M17

ゴールデンウィーク最終日に撮影したM17オメガ星雲です。



牛岳でSCA260でアンテナ銀河撮影してたのですが、夜中過ぎには西の空に傾くので、その後何を撮影しようかと迷って、画角的にちょうど良さそうなM17にしました。しかもちょうどフィルターホイールを8枚のものに新調したばかりだったので、ここは3波でのナローバンド撮影に初挑戦してみました。


感慨深いM17

M17は実は星を始めてからM27と一緒に一番最初に撮影した星雲で、これもやはり牛岳でした。



ブログを読み返すと、既にこの当時から星雲に色がつかないことに文句を言っています。自分自身よほど不満だったのかと思います。

BKP800とAVXと天体改造のX5での撮影でしたが、その当時は赤道儀でうまく導入することもままならず、導入は県天のK会長にやってもらったものです。2分露光の1枚撮りで、何枚か撮影したものから一番流れていない1枚を抜き出し、GIMPで画像処理したものです。もちろん今見るとツッコミどころは満載なのですが、最初にとれた星雲で、M17なんて存在さえよく知らなくて、きれいに色が出て、ものすごく嬉しかった覚えがあります。今思い出しても、当時のワクワク感は蘇ってきて、ずーっとこの延長でやっているんだなあと、改めて今このブログを書きながら思いました。

さてここから6年でどれくらい進化したのか、比べるのが楽しみです。


一枚撮りでの画像

今回の撮影の様子ですが、当時の記事を見てもあまり大したことは書いてないですね。今覚えているのは、アンテナ銀河が西に沈んで何を撮影するかをその場でかなり迷ったことです。M17なら画角がSCA260とASI294MM Proで、(フラットは後で撮ろうと思ったので)カメラを回転させなくてもなんとかなりそうなのと、あーそう言えばM17ってホントに一番最初に撮影してから今まで撮ったことなかったなと意識してました。

さらにその日は青い馬星雲も同時撮影していて、ちょうどセッティングが落ち着いた頃で、アンテナ銀河と合わせると1日で3つ目の天体の撮影になります。1日に3天体というのはあまりないのと、初3波ナローなのでまあ失敗してもいいやと半分ダメ元です。試し撮りのHαの時点でかなり明いと判断し、3分露光としました。しかもかなり眠かった覚えがあるので、NINAでHα、OIII、SIIの順にセットして走らせてすぐに寝てしまったはずです。途中目を覚ましてHαとOIIIは確認して、おお、かなりはっきり出てる!と思った記憶はあります。そこから完全に熟睡してしまい、次に目が覚めたら周りはすっかり明るくなってました。SIIはそこで初めて確認して、そう言えばHαとOIIIはBaaderで、SIIがOptolongだったのをそこで思い出し、もしかしたらピントズレてたかもと反省しました。

改めてそれぞれ見てみます。順にHα、OIII、SIIです。全て3分露光、ゲインはASI294MM Proの美味しい所の120で、比較的暗い牛岳での7nmの波長幅のフィルターです。

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明るさとしては、まあ当たり前ですがSIIが一番暗く、オートストレッチしたときの背景に横線がたくさん入るレベルで、明らかに露光もしくはゲインが足りていなかったと思われます。

改めて見てみると、Hα画像の星雲部の一番明るい部分でも10%を切る程度で、しかもこちらの背景にも多少横線が入っています。こう考えると、Hαでさえももう3倍くらい明るくしても良かったかもしれません。今回ナローバンドで3分露光だったので、いつものRGBでの10分露光よりも明るくしても良かったくらいです。

できるならHα、OIII、SIIで露光時間とゲインは同じにしておきたいので、明るいところと暗いところがきちんとADCに配分されるようにどう調整したらいいのか、今後の課題かと思います。実はこの後まだNGC6888三日月星雲とIC1369の象の鼻のナローバンドの画像処理が待っていて、それぞれ10分露光と3分露光で試しているので、ある程度の知見は出るかと思います。

ピントに関してですが、SII画像のピントはもっとひどいかと思っていました。多少ずれているようにも見えますが、まあなんとか許容範囲でしょうか。でもこれはEAFでオフセットをきちんと調整した方が良さそうです。こちらも今後の課題です。


Integration

次に、インテグレートした後の画像を見てみます。同じくHα、OIII、SIIの順です。枚数はそれぞれ5枚、6枚、7枚です。

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当たり前ですが、1枚の時よりもより細部が表現されています。アンプグローはもう見えないと言っていいでしょう。ダーク補正がうまくいっている証拠です。Hαは横縞はほとんど分からなくなりましたが、OIIIはごくわずか、SIIはまだ多少目立ちます。PIでLinearPattarnSubtractionとかCanonBandingRedutionとか試したのですが、ごくわずか軽減できたくらいで、明るさバランスが狂うなどの弊害もあったので、横縞はそのまま残してあります。これは撮影時の明るさをもう少し増やしてやることと、撮影枚数を増やすことでも解決できそうなので、大きな問題ではないでしょう。


いろんな合成法

さてここから合成です。一般的にはSII(S)をRに、Hα(A)をGに、OIII(O)をBに当てはめるSAO(海外ではSHOというらしいです)が一般的のようで、これはハッブル望遠鏡が想像の柱で使った配色が元のようです。

でもよくわかっていないので、とりあえず3枚のモノクロ画像をRGBに全部当てはめてみます。その種類は3!=3x2x1=6通りあるはずです。条件はPIのChannelCombnationでRGBを選び、それぞれの色にそれぞれの画像を入れ、その後ScreenTransferFunctionの各色のリンク無しでオートストレッチをし、HistgramTransformationで固定します。リンク無しなので、背景がバランスの取れたグレーに近くなります。

1. まずは明るい順のAOS:
AOS

2. 後ろ二つをひっくり返したASO:
ASO

3. 次に、明るいのを真ん中のGに置いたSAOでハッブルパレット:
SAO

3: 前と後ろをひっくり返してOAS:
OAS


5. Aを最後に持ってきたOSA:
OSA

6. 前と真ん中を入れ替えたSOA:
SOA

ふむふむ、こうやってみるとよく分かりますね。一番明るいHαを入れた色(RGB)がベースの色となります。上2つが赤がベース、真ん中2つが緑がベース、最後2つが青がベースということです。

ちょっと面白いのが、3、5、1がCyan、Magenta、Yelllowがベースに見えることです。明るい方からHα、OIIIなのですが、この二つが混ざる時の色でCMYっぽくなるということですね。

ただ、こうやって見てしまうと、ベースの色の印象が強すぎていまいち面白味がないように思えてしまいます。あぷらなーとさんはさらにCMYにAOSをそれぞれ当てはめて「リバース」というパレットを提唱していますが、Stella Imageだとそれが簡単にできるみたいです。



PixInsightはいろいろ調べたけどCMYへの配色は簡単にできそうにはないので、今回は諦めます。というか、そもそもベースが6つもある時点ですでに発散気味で、リバース法も加えて12個もあると、私的にはとてもじゃないけれど扱いきれません。こういう時は一番標準のSAOで試してみるのが良さそうで、3を出発点とします。


SAOでの画像処理

さて、ハッブルが撮影した想像の柱を見ると全然緑っぽくなく、むしろ青と黄色(オレンジ)の対比がとても綺麗です。今回撮影したM17はHαが主体なので、ハッブルみたく近づけるために、カラーバランスを大きく変え、赤と、特に青を相当持ち上げます。ただし背景はグレーに近い色を保つために、ブラックレベルを随時変更します。

SAO_dim

問題は赤。Redに割り当てたSIIが一番暗くノイジー、かつ少しピントがずれているので、
  1. どうしてもノイズが目立ってしまうこと
  2. 赤ハロが出てしまう
などが問題になります。

まず2の赤ハロから対処します。最初、上記画像にPI上でのR画像のみにEZ Star Reductionをかけたのですが、そのまま画像処理を進めていくと、R画像の明るい恒星の周りに大きな窪みができてしまいました。

drop

この原因を辿っていくと、EZ Star Reductionで、さらにはSIIのフィルターが問題である可能性が出てきました。SIIのみOptolongを使っているのですが、どうも明るい恒星だと周りにゴーストが出てしまうようです。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-S_Mono_cut

BaaderではHαもOIIIも見る限りこのようなゴーストは出ていません。
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-A_Mono_cut
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-O_Mono_cut

とりあえず今回は回避策として、最初からEZ Star Reductionをするのはやめて、まずはStarNet V2で恒星と背景を分離し、その分離された恒星のR画像のみにEZ Star Reductionをかけてみました(この方法、一般的に結構使えるかもしれません)。その結果、背景画像のRに窪みは完全になくなり相当マシになりましたが、それでも合成して炙り出していく過程でゴーストの痕跡は残って赤く目立ってしまいます。

ghost

この結果を見るに、SIIフィルターをBaaderのものに変えようと思ったのですが、国際光器のページを見ても、本家のBaarderのページを見てもナローバンドフィルターは軒並み在庫切れのようです。ZWOのナローバンドフィルターは結構マシという記述をどこかで見たので、SIIだけそれを買うか、もしくはどうも今後SIIを使う機会があまりなさそうだということもわかってきたので、そのまま放っておくかもしれません。今回は後の画像処理でこのゴーストはできるだけごまかすことにします。

処理を進めます。ここでPhotoshopに移動し、R画像のノイズを減らします。Camera Rawフィルターは特定のチャンネルのみにフィルターを適用できるため、使い勝手がいいです。ここではディテールのノイズ軽減をレッドチャンネルに対して使います。

あとは普通に炙り出しです。ハッブルパレットだと多少派手にしても怒られなさそうなので、彩度も多少上げてしまいます。ただ、基準となる色がよく分からないので、どうしてもお絵描き感が強いと思えてしまうのも正直なところです。

最後の方で、レベル補正でRGBのピーク幅をそろえてやると、ハッブルパレットのように青とオレンジの対比が出てくるようになりました。最後に画面全体をひっくり返して北を上にします。

SAO_dim3_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚、SII: 7枚の計18枚で総露光時間54分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

こうやって改めてみてみると、やはりまだ赤が足りないでしょうか。でもSIIがノイジーなのでここら辺が限界です。今回は全体的に露光時間が全然足りていないと思うので、画像処理でノイズ除去とか結構強めにかけてなんとか見えるようにしています。それでもノイジー感が残ってしまっています。

いつものAnnotationです。

SAO_dim3_mod_Annotated


ちょっとAOO

SAOも綺麗なのですが、普通の見え方?に近づけるためにAOO合成をしてみました。

AOO_ABE_PCC_AS_AS_HT_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚の計11枚で総露光時間33分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

HαとOIIIしか使っていないので、わずか33分の露光でしかなくて短すぎるのですが、それでもなんとか見えているのは26cmの口径おかげなのでしょう。

あと、この色合いだと2016年の当時に撮影したM17と直接比較しやすくなります。
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こちらはわずか2分の露光なので、そもそも比較するのもかわいそうなのですが、少なくともM17で始めた星雲撮影が、6年間でまたM17にたどり着いて、あらゆるところで進化してることを実感することができます。


まとめ

初の3波ナローバンドの撮影と、その全組み合わせをしてみて、最後SAO合成で画像処理までやってみました。露光時間が3波合わせて1時間未満で、特にSIIはかなり暗くて苦労しました。そのため全体的にノイジーなのは否めませんが、少し強引に一応見える位にまではできました。

フィルターもメーカーによって違いがあることもわかりました。Baarderは何気なしに使っていましたが、やはり良いものだということがわかってきました。

まだ今のところSAO合成が面白いのか面白くないのか、正直いうとよく分からないところもあります。SAOという縛りがあっても自由度が大きすぎる気がします。これはおそらく絶対基準のようなものがないからだと思います。普通の可視光も絶対基準という意味でははっきりはないのですが、それでも目で見て自然とか、いろんな画像例の中心値みたいなのはあって、少なくとも私の中ではある程度の参照基準みたいなのはあります。一方、SAOはハッブルパレットが元なので、今回は想像の柱を想像しながら色を合わせ込んでみましたが、果たしてこれが正しいのかどうか、まだよくわかっていません。

ナロー3波で撮って、最後に出したAOOみたいに、3波で自然な色合いにする方が見ていて気持ちはいいのかもしれません。そこら辺もいつか探れればと思っています。 


皆既月食の敗北で打ちのめされ、仕事が忙しいのと、天気がイマイチでしばらく立ち直れなかったのですが、5月29日の土曜日、晴れたので今度山に行くための準備をしました。超コンパクトな電視観望システムの構築です。でもその後も、しばらく乗り気にならず、記事も今になってしまいました。

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皆既月食の日に一瞬だけ見えた月です。その後撤収まで二度と出てきてくれませんでした。夕方青空が見えてきたのでTSA-120とFS-60CBと50mm+6Dで広角とフル体制だったのに...。

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歩きでも持っていける電視観望システム

来週6月12日、久しぶりに立山に行きます。スターウォッチングの講師です。車は駅に止めてそこからケーブルカーとバスなので、持っていける荷物の量が限られます。立山のスターウォッチングも最初の頃は張り切ってAdvanced VXを丸々海外旅行用の大きなトランクに入れて持っていってたりしたのですが、そのうち機材の軽量化とともにNexstar、AZ-GTiと楽になっていきました。それでも鏡筒はずっとFS-60CBでした。前回FMA135で電視観望を試したのですが、口径3cmにもかかわらず、その性能の良さとコンパクトさもあり、すこぶる快適でした。



でも欲望にはキリがなく、これだけコンパクトになってくるとAZ-GTiでさえ大きいと思ってしまうのです。立山は歩きもありますし、荷物は軽ければ軽いほどいいです。もう少しコンパクトにならないか試してみました。ポイントは3つです。
  1. AZ-GTiを無くしてただの自由雲台に
  2. ついでに三脚も超コンパクトなものに
  3. ASI294MC Proの広いセンサー面積を利用
組み上げた様子はこんな感じです。

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重さは三脚まで合わせても1550g。これなら歩きでもほとんど苦にならないでしょう。でもコンパクトにしても使いにくかったらしょうがありません。そのため検証したいことが3つあります。
  1. 手動できちんと導入できるか?
  2. 星雲はリアルタイムで見えてすぐに見つかるか?
  3. M57などの小さな星雲を解像できるか?
ここら辺を順次確認してしていきたいと思います。


まずはいつものM57

立山でのスターウォッチングが20時くらいからだと思います。6月なので、その時間M57は確実に昇ってきています。M57を見るべく、まずはベガを目印として導入します。導入といっても自由雲台のネジを緩めて、ベガの方向に向けるだけです。ちょっと狙いをつけるのに手間取りますが、さすがに明るいのでPCの画面で見てもすぐに分かります。ただ視野角から言っても、こと座全体が入るか入らないかくらいなので、注意深くM57に向かいます。

問題はこの視野角で見るとM57は相当小さくて、恒星と区別がつきません。

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どこにあるかわかりますか?場所としては真ん中少し下の明るい2つの星の間です。拡大していくと見えてきます。

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明るい星2つを拡大します。明るい星が上下にあって、その真ん中らへんです。これでもまだ厳しいくらいですかね。

すごいのは、FMA135はかなりの解像度なので星が肥大することがほとんどありません。マイクロフォーサーズサイズのASI294MCなら四隅までほぼ完璧です。もっと拡大するとM57がちゃんと見えてきます。SharpCap上で600%まで拡大したものをiPnoneで撮影したものが下になります。これだけ拡大しても恒星とはっきりと区別できるのはさすがの性能です。

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それでもこれだけ拡大しているので、解像度はギリギリと言ったところでしょうか。中心星は残念ながら見えませんが、M57とはっきりと認識できます。


早速トラブル

でもいきなり問題点が露呈しました。気軽に机の上に置いて見ていたのですが、PCの操作をするたびに机ごと揺れるのです。

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そのため、まずM57の導入を済まし、Livestackを立ち上げたところでPCを膝の上に置いて、Livestackをリセットして画像をスタックします。そうしないとブレブレになってしまうのです。地面に置くか、別の独立した机に置いた方がいいかもしれません。

M57の結果:
  1. は一応手動で導入できたので合格。
  2. はリアルタイムで見るには小さすぎ。
  3. はギリギリ合格。
としました。


かわいいM27

次に昇りはじめのM27亜鈴状星雲です。

これはとにかく難しかったです。M57から下に下がっていけばいいのですが、目印がないと星図などと比べながらかなり注意深く移動していく必要がああります。ゆっくりやればいいのですが、お客さんがいて早く見せなくてはと焦ると多分導入できないと思います。M27はM57と比べると大きいですが、それでもかなり広角でとても小さいので、よほど注意深く画面を見ていないと見逃してしまいます。

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解りますでしょうか?下の木の左上、ぼやけた電線の少し上です。かわいいM27が見えています。時間的にも昇りはじめの頃です。

見つかった後は拡大すれば十分きれいに見ることができます。
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M57よりはだいぶん大きいので、M27ならもう十分な解像度かと思います。

M27の結果:
  1. の導入は難しい。
  2. はかろうじて星雲と認識できる。
  3. は十分解像する。
となりました。


屋根から昇る北アメリカ星雲

北に向かって白鳥座を見ます。ある程度時間が経ってくると白鳥座も昇ってくるので、観望会途中から見えてくると思います。北アメリカ星雲は相当大きいので、導入は簡単です。デネブを見つけたらその少し下にあります。ただし、やはりFMA135のF値では暗いのか、リアルタイムで見るには少し淡いです。でも場所は大体わかるので、露光時間を伸ばすかLivestackするかですぐに出てきます。

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屋根から昇る星雲シリーズですが、このネタ以前もやったことがあり、 私のお気に入りです。面白いのは、屋根と星雲の位置を調整するのに気軽に机を持ち上げて、ちょうど両方が視野に入るようにできることです。初期アラインメントとかが存在しないので、途中でも机ごとだろうがなんだろうが移動できます。

北アメリカ星雲の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. はもちろん余裕。
大きな星雲は楽です。


M8干潟星雲とM20三列星雲ここに文章を入力

一度南のほうに行きます。白鳥座が見えている頃には天の川中心も見えるようになっているでしょう。まずは大物のM8干潟星雲とM20三裂星雲です。

これは一発で導入できました。ここら辺まで明るい星雲だとFMA135でも探しながらリアルタイムで見ることができます。

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今回は自宅でのテストで、月がでいないと言っても光害もあるのでQBPをFMA135の先端に取り付けているので、三裂星雲の青はほとんど出ていませんが、立山でフィルターなしで試してみたら周りの青色も見えてくるかもしれません。本番が楽しみなところです。

M8とM20の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は探しながらリアルタイムで見える。
  3. 3はもちろん余裕。
明るくて大きな星雲は超快適です。


M16とM17

すぐ上のM16わし星雲、M17オメガ星雲も見つけるのは簡単です。

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評価はM8とM20と同じです。


最後は網状星雲

最後は白鳥座に戻って網状星雲。こちらは目印のデネブとサドルから少し離れているのと、やはり淡いのでリアルタイムでは見えず、導入に少し時間がかかりました。

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網状星雲結果:
  1. の導入は少し時間がかかる。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. は視野角的にもいい感じ。
この頃には月も雲も出てきて明るくなってきたので、ここで撤収としました。

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ちなみに月も拡大するとこれくらいの解像度で見えます。

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月としては少し解像度不足の感もありますが、機材を変更しなくても見えるので、観望会ではこれくらいでも重宝するのではないでしょうか?


まとめ

FMA135とASI294MCProと自由雲台を使った超コンパクト電視観望システムですが、大きな星雲はマニュアル導入で問題ないでしょう。立山はかなり暗くて環境の良い空なので、淡くてもさらに見やすくなると思います。ただし、M57とかM27とかの小さな星雲はお客さんがいる場合はAZ-GTiがあった方が安全な気がしました。でもお客さんと一緒に導入の苦労まで楽しむとしたら、マニュアル導入でも良いかと思います。

FMA135の性能は特筆すべきだと思います。これだけ短焦点で、これだけの分解能で、この値段。相当小さいM57から大きな網状星雲の全景まで、かなりの範囲で見ることができます。鏡筒の性能が遺憾なく発揮され、これまでとは一線を画した電視観望システムです。

今回、相当コンパクトなシステムとなりましたが、ASI294MCがProでないノーマルモデルならさらにコンパクトになって、超々コンパクトシステムとか言えたかもしれません(笑)。

でももうこれだけコンパクトならカバンに常時入れておいてもいいくらいです。夜になったら突然サッと取り出して電視観望!なんかかっこよくないですか?

いや、普通の人から見たらかなり変な人ですね...。


9月3日の夕方から、下の息子(Suke)を連れて、数河高原にある天文台に行きました。たまたま仕事の時に知り合った方が星が好きだというので、いろいろ話していたらなんと天文台を個人で作って運営していて、天文同好会を主催している方と聞いて、早速観望会の日に参加させて頂きました。

富山を出た頃はまだ晴れていて、細い月と木星が沈んでいくところが綺麗に見えたのですが、途中から曇りで雨もぱらつき出し、今日はダメかなと思っていました。天文台のある場所は国道から少し山側に入った駐車場の横で、ほとんど何も見えないような真っ暗なところです。写真は真っ暗なところで撮った天文台の全景ですが、ピンボケになってしまいました。

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入り口のドアを開けるとお誘いいただいたYさんと他にも5人のお客さんがいらっしゃいました。その中のお二方は天文同好会の仲間とのことで、この辺りの星の見え具合や望遠鏡の機材のことなどお話しさせて頂きました。この辺りはお盆くらいまではいいのですが、お盆を超えるとずーっとすっきりしない空が続くそうです。また家族連れなのでしょうか、小学3年生の女の子もいて、この子は毎回観望会に参加しているそうで、うちの子ともいろいろ喋っていたみたいで、いい友達になれそうです。

天文台は個人運営とは思えないほど立派なもので、「コスモス天文台」というのの他にもう一つ「ビーナス天文台」というのもあるとのことです。以前お会いした時に聞いたのですが、星はご主人の趣味とかではなく、それどころか家族はあまり興味を示さずに、Yさん一人でこれだけのものを作ったとのことなので、相当星が好きでないとここまではできないと感心しました。

小一時間の間いろいろ話しながら、途中雨が天文台に当たる音が響いたりして天気がどうにもならないなと思い、このブログのことも見て頂いたりして、まったり過ごしていたのですが、いつしか子供の望遠鏡の話になって、どうせだから車から持ってこようと外に出ました。雨はまだ少し降っていたのですが、なんと一部星が見え始めています。皆さんに声をかけ、喜び勇んでとりあえず双眼鏡だけ準備していると、間もなくどんどん晴れ渡り、すぐに雲ひとつないとても澄んだ空になりました。とりわけ光害が少ないのか、天の川はペルセウス座流星群の時に満天星で見たものをはるかに超える濃さで、Yさんも周りの方も観望会の時にこれだけの空が見えるのは珍しいと言っていました。

私もさっそくついこの間試したばかりのリアルタイム星雲観望システムをフルで出してみることにしました。家族以外の人に見せるのは初めてなので、どんな反応があるのかとても楽しみでした。ただ、雨上がりで次の日の予定もあるので、結構焦ってセットしてしまい、極軸もろくろく取らずに見はじめてしまって、自動導入の精度が散々でした。時間がなくても、特に人に見せる時にはきちんとセットアップはしたほうがいいというのは、今回の痛い反省項目です。行く前に組み立てたモーターフォーカサーはトラブルもなく無事に動いてくれました。

それでもM57のリング星雲とM17の鉄亜鈴(アレイ)星雲はすぐに綺麗に見ることができました。やはり色が付いた星雲を見ることができるのはインパクトがあったようで、技術の進歩でこんなことまでできるようになったのかと言われた時は少し嬉しかったです。

他のものは導入のトラブルのせいもあり、かなり散々でM27、C12、M31(アンドロメダ銀河、大きすぎて中心しか見えない)、M33はトライしたのですが、全く入らないか、見えても色も形もわからないなど、全滅でした。その中でM13は色は付かないものの、球状星団の特徴が画面ではっきり見えてよかったです。この時に気づいたことは、このシステムは一つの天体をみんなで共有して同時に見ることができるということです。これはあまり想定していなかったのですが、みんなで同時に見るということは思ったより楽しいことでした。

どうやらこのシステムは得意なものと不得意なものがはっきり分かれる気がします。何度か試して得意なものを知っておくのは必須だと思いました。輝度が高くて、直径が10分くらいまでのあまり大きくないものが得意なようです。

ところで子供はというと、最初寝袋やシートを広げて、地面に寝っ転がって他の方たちと星を見ながらいろいろ話をしていたみたいのですが、もう一人の来ていた子が22時過ぎに帰ってしまってからは、程なくして寝袋にくるまって眠ってしまいました。私はそれからもしばらく空を見ていたのですが、23時半頃には撤収して子供を車に乗せてから帰路に向かい、家に帰り着いたら0時半頃でした。帰りにYさんからシールや本などお土産をいただきました。次の日起きて子供がとても喜んでいました。いろいろ気を使って頂き、どうもありがとうございました。とても楽しい時間を過ごすことができました。

惜しむらくは、カメラのレンズを持っていくのを忘れてしまったことです。綺麗な天の川をぜひ撮っておきたかったです。

次回の観望会は10月8日(追記: 大雨で中止)、その次は11月6日とのことです。子供もとても面白かったと言っているので、ぜひまた参加させて頂きたいと思います。


 

胎内星まつりではSony α7Sによる色付き北アメリカ星雲のリアルタイム表示にすごく刺激を受けました。できたら自分でも観望会でこのようなことがやれたらずいぶん盛り上がるのではないかと思いましたが、なにぶんα7Sは結構高価で、今の自分にはそこまで予算を割くことができません。

それでもすごく羨ましくて、星まつりから帰って中古のα7Sの値段を調べたりしていたのですが、いろいろ考えてみて、もしかしたら手持ちのASI224MCも高感度CMOSをセンサーに使っているので、同じようなことが安価に出来るのではないかと思いました。

カメラ同士の直接の感度比較をしたわけではないのですが、ASI224は少なくとも現段階では高感度の部類(参考: 庭先天体写真家さんのブログ)に入るセンサーを持つ動画撮影用カメラです。Iさんの機材が赤外線フィルターをカットしたα7Sにf/1.2のNikonの58mmレンズで、0.25秒毎更新の画面でした。北アメリカ星雲が画面の半分を占めるくらい、M31アンドロメダ大星雲は余裕で認識できるが、M57はリング構造は判別できないくらいの画角でした。対するASI224は赤外線にももともと感度があり、惑星撮影ではIRカットフィルターをわざわざ入れるくらいなので、星雲のHα線はそもそも綺麗に映る可能性があります。幸いなことに手持ちのBKP200は安価ですがf/4で非常に明るく、径の割に焦点距離もそれほど長くない800mmで、広角撮影は望めませんが、星雲撮影にはそこそこ向いています。

センサーの感度とレンズ(鏡筒)のf値と露光時間で色の付き具合とリアルタイム性が決まるはずで、画角は焦点距離とセンサーのサイズで決まるはずです。この際、画角は置いておいて、色の付き具合とリアルタイム性を見てみようと思い、8月30日の夜に早速試してみました。この時点で星まつりでの大興奮の観望から3日が経っていました。場所は富山の自宅の庭で、この日は台風が通った後のせいか、最初は雲が多かったのですが、そのうちに雲がほとんどなくなる時間帯があり、透明度も高く、天の川がうっすら見えていたほどです。

以降全て、鏡筒にASI224をそのまま取り付けたいわゆる直焦点撮影で、動画を秒単位の長時間露光した撮影になっています。露光時間がそのまま画面の更新時間になります。

最初の写真は、普段使い慣れているFireCaptureで映しているところを、iPhoneでコンピューターごと写しています。まずはM57リング星雲ですが、ゲインをうまく調整すると1秒更新で十分に色が付いているのがわかります。

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写真の見え味と実際の見え味を比較してみると、これは感覚で言うしかないのですが、ほぼ同じかもしかしたら写真の方が少しいいかもしれませんというくらいで、印象はほとんど変わりません。カメラのゲインが相当高いので、写真撮影するとしたらノイジーですが、観望で色が付いているのを確認するには十分だと思います。1秒更新だとかなりリアルタイム性を味わえると思います。

動画で撮ってみました。途中適当に移動しているので画面の更新頻度がわかるかと思います。


続いてM17アレイ星雲です。こちらは5秒くらいの更新になってしまいますが、それでも色が付いていることまで十分にわかり、リアルタイム性もそこそこ味わえます。


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BKP200での最後は白鳥座にあるNGC 6946(Caldwell 12)です。こちらはさすがになかなか厳しく、30秒くらいの更新時間になってしまいます。それでも渦巻きの様子を知ることはできます。ちなみにこれは自分にとって人生初渦巻銀河になります。

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2.5倍の焦点距離(2000mm)のf/10のCelestron C8で撮ったM57も参考に載せておきます。この時は5秒くらいの更新頻度です。C8でも5秒あると十分色が付きますが、BKP200の時のように1秒更新だと色が付いていると言うには少し苦しいです。

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他にもC8でM27やCaldwell 27も見たのですが、これらは少し厳しかったです。C27は本当にうっすらと見える程度でした。C8でとったM27を参考に載せておきますが、赤を相当強調しているのと焦点距離が長くて対象が入りきっていないので、あまりまともには見えていません。両方ともBKP200で見た方がもう少しマシかもしれません。

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この日は雲が出てきてしまったのと、コンピューターのバッテリー切れが重なり、ここらへんまででストップでした。


もともとこの思いつきのヒントは、星まつりでの会話でIさんが「20cmクラスの望遠鏡にレデューサーをつけてα7Sでみたらもっと面白いのでは?でも私は大口径の鏡筒は持っていないので、まだ試したことがない。」という話があったことからきています。たまたま私は20cm鏡筒はもっていたのですが、α7Sは欲しくてもなかな買えないので考えた苦肉の策なのですが、適当な思いつきの割には相当うまくいったのではないかと思います。

すでに同じようなことをやっている方もいるのかもしれませんが、私が調べた限りではASI224で長時間露光を試している人はYouTubeで見つけましたが、これはあくまで撮影用で、観望会のためというのは見つけることができませんでした。今回の方法は、少なくとも星雲に色がつくのを観望会で見せてあげたいというレベルは楽々超えるのではないのでしょうか。普段星雲を撮影している人はまだしも、これまで星雲を本とかの写真でしか見たことがない人にとっては、普通の観望会での眼視での星雲像は結構がっかりレベルで、カメラ越しでもいいので今まさにこの空にある星雲を、しかも色付きで見ることができるというのは十分なインパクトがあるのではないかと思います。長時間露光で写真を撮って加工などすれば、もちろんもっと綺麗なものを見せてあげることはできるのですが、今まさに見ているというライブ感は全く別次元の楽しさになるのではないでしょうか。

ただ、この日は透明度が高かったので、普通の観望会ではもう少し光害があるような場合もあるため、もう少しいろんな場所でどこまで見えるのか試す必要があるのかもしれません。


さらに、おまけで次の日の31日夜にASI224に付属の魚眼レンズで、長時間露光でどこまで見えるのかやってみました。

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この日は昨日ほど透明度はなく、肉眼では天の川はほとんど見えない状態でした。付属レンズの口径は1cm程度と相当小さいので全く期待はしていなかったのですが、それでも15秒程度の露光で十分に天の川は映ります。実は私の周りでも天の川を見たことがないとか、七夕の日だけ天の川が見えると思っている人もかなり多いので、こんなものでも観望会で見せればインパクトがあるのかもしれません。

ところで、ZWO社のカメラに一眼レフカメラ用のレンズを取り付けることってできるのでしょうか?一眼レフカメラを鏡筒に取り付けるのはTリングでいいのですが、その逆のアダプターが必要なのかと思うのですが、そんなものってあるのですかね?今度調べてみます。(追記: ここで解決しています。)


最後に、ASI224はSonyのIMX224を使っていてこれはExmorと名付けたシリーズの一つらしく、ここにセンサーの情報があります。α7SはExmorセンサーと書いてあるだけで、どんな素子を使っているか情報がありませんでした。できれば素子自身の感度性能の直接比較をしてみたいです。


 

赤外線フィルターカットのX5を手に入れたので、6月10日いつもの牛岳にて赤色が目立つ星雲を撮ってみました。焦点距離800mmのBKP200での直焦点撮影になります。惑星と違って、メシエ天体は十分に大きなものも多いので、拡大撮影の必要はないので、むしろ星雲撮影を先にやればよかったかもしれません。ただ、赤外線カットフィルター加工のカメラを手に入れるのが少しハードルが高いのですが、ちょっと探すとヤフオクやスターショップで、中古で結構手の出る位の値段で出ているものです。

今回は2種類。導入は実は両方ともベテランの方にやってもらいました。

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まずはM17。2分間露光で何枚か撮り、一番流れていないものをGIMP2.9で修正。思ったよりはるかにきれいに赤が出ました。カメラは中古だったのでたいしてお金をかけているわけではないのですが、このくらいのものが撮れたらかなり満足です。

ただ、外側にコマ収差が出てしまっています。コマ収差補正フィルターというのがあると望遠鏡を買った店から聞いているので、次は試してみたいです。


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次にM27。これも2分間の露光で、GIMPで修正です。別名アレイ星雲とかとも呼ばれているそうです。

星雲は眼視だと色もつかないので、撮影で長時間露光するのがやはり絵になります。メシエ天体だけでも110もあるので、そのうちに全て写真に収めてみたいです。



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