ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:M16

昨日ブログを書き終えて、アンテナ銀河の画像をチェックしていたら、思ったより使える枚数が少ないことがわかりました。「行かずに後悔するより、行って後悔した方がいい」と謎の決断をし、そのまま再び牛岳へ。


2日連続で牛岳へGO

ゴールデンウィークも終わりに近づいてきました。星だけに集中しているわけにはいかず、他にやるべきことが山ほど残っているのですが、これだけ好条件の長期休暇も珍しく、ここを逃したらアンテナ銀河の仕上がりに大きく違いが出るはずと思い、この日も18時過ぎに牛岳に向かって車を走らせます。出発時に妻がお昼寝していたので、起こさずにこっそり出かけます。そのため夕食はファミマの冷やしうどん。牛肉が乗ってるちょっと贅沢な方です。あと、お約束のおやつも買い込みます。

19時には現地に到着。流石に3連休の最終日です。星関係の人はほとんど誰もきていません。一般の人の車が数台あるくらいでした。なので昨晩の南の視界が建物で遮られる頂上ではなく、少しだけ下った南が全面開けている少し坂になっているところを陣取りました。牛岳もガチの撮影組は大抵この場所です。私はこれまで牛岳ではあまり真面目に撮影したことがなかったので、ここは初めてになります。


セットアップと撮影

設置している最中に、県天のK会長が車でやってきました。30分くらいでしょうか、少し話して、他の場所へ移って行きました。結局この日は天文勢は会長のみでした。

準備中の写真です。多分疲れてたんですね。写真ほとんど撮ってなくて、貴重な一枚です。
3A76143A-5B1B-4A28-8F4C-B945D7FBDFB6

日に日に月が明るくなってきてますが、アンテナ銀河は方向が違うので、まだこの程度なら許容範囲です。準備は20時頃には完了したので、子午線通過前に何枚か撮りたかったのですが、10分露光だと何故か相変わらず「子午線通過前だけ」星が流れてしまいます。これはかなり再現性があり、子午線を通過して赤道儀を反転させると流れは無くなります。子午線通過前後は鏡筒とウェイトが水平近くなり、たわみの効果などは最大になるのは理解できるのですが、これだと赤道儀を反転させてたわみがなくなる理由がわかりません。いまだに謎です。結局この日もまともな画像は赤道儀反転後のみで得られました。

アンテナ銀河の方が落ち着いてきたので、夕食をとり少し休憩。おやつはまたしても同じホイップメロンパンです。上の写真とこの写真が今回の写真全部です。ホントはもっと撮ろうと思ってたんですが、トラブルとかですっかり忘れてました。

D121A21D-F195-4CDC-BD3B-C1F129429F1A


ASI2400MCでの青い馬星雲

22時半頃でしょうか、2台目の機材を出し青い馬を狙うことにしました。そういえば、ASI2400MCで写した三つ子銀河が好評で、もう少し借りていていいことになりました。せっかくなのでASI2400MCでの撮影です。

今回ASI2400MCのための新兵器を導入しました。ZWO社のフルサイズCMOSカメラに直接取り付けることができる、Canon EFマウント対応のアダプターです。フルサイズCMOSカメラの取り付けネジがM54で、これに対応しているアダプターを手持ちでほとんど持っていなくて、前回の贅沢電視観望でFS-60CBへの取り付けでかなり苦労したので、楽をするために購入しました。今回は撮影なので、星像がピシッと出るFS-60CBにマルチフラットナーをつけます。取り付けもアダプターのおかげで簡単で、しかも周辺減光もかなり軽減(前回は内径の小さい一般のT2アダプターを使ったので)されています。

ところが、四隅の星が盛大に伸びるんですよ。理由ははっきりしていて、今回買ったCanonマウントはEWFを使うことが前提で、EWFの幅が11mmなのでバックフォーカスが11mm足りないんです。EFWの代わりに、マルチフラットナー用のFC76の調整リングを持っていたので11mmよりは少し長いですが、それを間に入れます。すると惜しい、フォーカサーを一番縮めても少しだけ長すぎてピントが出ません。一旦リングを外したりしましたが、FS-60CBは鏡筒接眼側に20mmくらいの延長筒が標準で付いているのに気づき、それを外しました。回転装置が少し使いにくくなりますが、なんとかピントが出て、四隅の星像も遥かにマシになりました。

次のトラブルです。NINAでASI2400MCの画像が撮影には進むのですが、ダウンロードできません。ASI294MM Proは全然問題なく撮影、ダウンロードできます。ドライバーとNINAは最新のものだったので、以前のバージョンとかにそれぞれ戻しますが、いずれもダメ。何か別の問題の可能性が高いです。結局NINAは諦め、急遽SharpCapに切り替え撮影することにしました。SharpCapでの撮影でガイド時にディザーをしようとする場合、ライブスタックモードが前提となります。これがいまいちなのでこれまでSharpCapを撮影に使ってこなかったのですが、今回はディザー無しで、縞ノイズが出ることも覚悟の上、PHD2でガイドしながらの撮影となりました。

これらトラブルのために撮影を始めたのは午前0時半頃。あまり時間がなくなってきましたが、どんな画像になるのか楽しみです。
Capture_00015_00_52_55_RGB_VNG
Gain150の3分露光での、撮って出しの強炙り出しです。


初のSAO撮影

その後午前1時頃、アンテナ銀河の方がかなり西の低空に来たので、ここで終了。まだ少し時間があるので、カメラの回転角やその他設定を変えずに撮影できる天体はないか探したところ、M16オメガ星雲がちょうど画角ぴったりです。

ついでなので、連休前に手に入れた8枚対応のEFWでHα、OIII、SIIのSAOナローバンド撮影に初挑戦です。

このあと仮眠を取り始めたのですが、うとうとしながら見たHα、OIIIはかなり凄かったです。SII見てないのですが、よく考えたらHα、OIIIはBaaderでSIIのみOptlongだったことに後から気づきました。もしかしたらピント出てないかもです。

2022-05-06_02-05-31_M 17_LIGHT_S_-10.00C_180.00s_G120_0003
SIIの撮って出し、オートストレッチ。やっぱりちょっとピンボケっぽいです。
あと、思ったより暗い。同じ設定でHαは十分明るいです。


撤収

仮眠後、目を覚ましたら午前4時半近く。かなり明るくなっていて、そのまま撤収し5時過ぎに帰宅です。3つ使ったバッテリのうち、冷却とStickPCに使っていた古いやつが完全に空になっていました。

途中ファミマに立ち寄り、ゴミ捨てと朝食を買い込み、6時前に自宅に到着。買ってきた親子丼を食べ、まだかなり眠くて、そのまま寝てしまいました。

3日連続の遠征、といっても近征なのでまだかなりマシなはずなのですが、さすがに疲れてきました。でもまだ午後早い段階なので、今日こそは太陽を見ます。黒点が成長して大きくなっているみたいです。画像処理も溜まっているし、原稿書きとかも残っています。残り3日のGW、有意義に使いたいと思います。

 

皆既月食の敗北で打ちのめされ、仕事が忙しいのと、天気がイマイチでしばらく立ち直れなかったのですが、5月29日の土曜日、晴れたので今度山に行くための準備をしました。超コンパクトな電視観望システムの構築です。でもその後も、しばらく乗り気にならず、記事も今になってしまいました。

Capture_00001 19_32_37_WithDisplayStretch

皆既月食の日に一瞬だけ見えた月です。その後撤収まで二度と出てきてくれませんでした。夕方青空が見えてきたのでTSA-120とFS-60CBと50mm+6Dで広角とフル体制だったのに...。

IMG_2469


歩きでも持っていける電視観望システム

来週6月12日、久しぶりに立山に行きます。スターウォッチングの講師です。車は駅に止めてそこからケーブルカーとバスなので、持っていける荷物の量が限られます。立山のスターウォッチングも最初の頃は張り切ってAdvanced VXを丸々海外旅行用の大きなトランクに入れて持っていってたりしたのですが、そのうち機材の軽量化とともにNexstar、AZ-GTiと楽になっていきました。それでも鏡筒はずっとFS-60CBでした。前回FMA135で電視観望を試したのですが、口径3cmにもかかわらず、その性能の良さとコンパクトさもあり、すこぶる快適でした。



でも欲望にはキリがなく、これだけコンパクトになってくるとAZ-GTiでさえ大きいと思ってしまうのです。立山は歩きもありますし、荷物は軽ければ軽いほどいいです。もう少しコンパクトにならないか試してみました。ポイントは3つです。
  1. AZ-GTiを無くしてただの自由雲台に
  2. ついでに三脚も超コンパクトなものに
  3. ASI294MC Proの広いセンサー面積を利用
組み上げた様子はこんな感じです。

C49BABB6-CFC1-4ACA-8436-40C8DF3738E7

重さは三脚まで合わせても1550g。これなら歩きでもほとんど苦にならないでしょう。でもコンパクトにしても使いにくかったらしょうがありません。そのため検証したいことが3つあります。
  1. 手動できちんと導入できるか?
  2. 星雲はリアルタイムで見えてすぐに見つかるか?
  3. M57などの小さな星雲を解像できるか?
ここら辺を順次確認してしていきたいと思います。


まずはいつものM57

立山でのスターウォッチングが20時くらいからだと思います。6月なので、その時間M57は確実に昇ってきています。M57を見るべく、まずはベガを目印として導入します。導入といっても自由雲台のネジを緩めて、ベガの方向に向けるだけです。ちょっと狙いをつけるのに手間取りますが、さすがに明るいのでPCの画面で見てもすぐに分かります。ただ視野角から言っても、こと座全体が入るか入らないかくらいなので、注意深くM57に向かいます。

問題はこの視野角で見るとM57は相当小さくて、恒星と区別がつきません。

Capture_00001 21_30_33_WithDisplayStretch

どこにあるかわかりますか?場所としては真ん中少し下の明るい2つの星の間です。拡大していくと見えてきます。

Capture_00001 21_30_33_WithDisplayStretch_cut

明るい星2つを拡大します。明るい星が上下にあって、その真ん中らへんです。これでもまだ厳しいくらいですかね。

すごいのは、FMA135はかなりの解像度なので星が肥大することがほとんどありません。マイクロフォーサーズサイズのASI294MCなら四隅までほぼ完璧です。もっと拡大するとM57がちゃんと見えてきます。SharpCap上で600%まで拡大したものをiPnoneで撮影したものが下になります。これだけ拡大しても恒星とはっきりと区別できるのはさすがの性能です。

3B615621-82A9-4788-88D1-B13277F65F92

それでもこれだけ拡大しているので、解像度はギリギリと言ったところでしょうか。中心星は残念ながら見えませんが、M57とはっきりと認識できます。


早速トラブル

でもいきなり問題点が露呈しました。気軽に机の上に置いて見ていたのですが、PCの操作をするたびに机ごと揺れるのです。

C857EEA5-33D8-4446-BA8B-75A87880E135

そのため、まずM57の導入を済まし、Livestackを立ち上げたところでPCを膝の上に置いて、Livestackをリセットして画像をスタックします。そうしないとブレブレになってしまうのです。地面に置くか、別の独立した机に置いた方がいいかもしれません。

M57の結果:
  1. は一応手動で導入できたので合格。
  2. はリアルタイムで見るには小さすぎ。
  3. はギリギリ合格。
としました。


かわいいM27

次に昇りはじめのM27亜鈴状星雲です。

これはとにかく難しかったです。M57から下に下がっていけばいいのですが、目印がないと星図などと比べながらかなり注意深く移動していく必要がああります。ゆっくりやればいいのですが、お客さんがいて早く見せなくてはと焦ると多分導入できないと思います。M27はM57と比べると大きいですが、それでもかなり広角でとても小さいので、よほど注意深く画面を見ていないと見逃してしまいます。

Capture_00002 21_49_17_WithDisplayStretch

解りますでしょうか?下の木の左上、ぼやけた電線の少し上です。かわいいM27が見えています。時間的にも昇りはじめの頃です。

見つかった後は拡大すれば十分きれいに見ることができます。
M27_02
M57よりはだいぶん大きいので、M27ならもう十分な解像度かと思います。

M27の結果:
  1. の導入は難しい。
  2. はかろうじて星雲と認識できる。
  3. は十分解像する。
となりました。


屋根から昇る北アメリカ星雲

北に向かって白鳥座を見ます。ある程度時間が経ってくると白鳥座も昇ってくるので、観望会途中から見えてくると思います。北アメリカ星雲は相当大きいので、導入は簡単です。デネブを見つけたらその少し下にあります。ただし、やはりFMA135のF値では暗いのか、リアルタイムで見るには少し淡いです。でも場所は大体わかるので、露光時間を伸ばすかLivestackするかですぐに出てきます。

F2808181-1DA6-42AD-BF96-555D5461688D

屋根から昇る星雲シリーズですが、このネタ以前もやったことがあり、 私のお気に入りです。面白いのは、屋根と星雲の位置を調整するのに気軽に机を持ち上げて、ちょうど両方が視野に入るようにできることです。初期アラインメントとかが存在しないので、途中でも机ごとだろうがなんだろうが移動できます。

北アメリカ星雲の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. はもちろん余裕。
大きな星雲は楽です。


M8干潟星雲とM20三列星雲ここに文章を入力

一度南のほうに行きます。白鳥座が見えている頃には天の川中心も見えるようになっているでしょう。まずは大物のM8干潟星雲とM20三裂星雲です。

これは一発で導入できました。ここら辺まで明るい星雲だとFMA135でも探しながらリアルタイムで見ることができます。

M8_02

今回は自宅でのテストで、月がでいないと言っても光害もあるのでQBPをFMA135の先端に取り付けているので、三裂星雲の青はほとんど出ていませんが、立山でフィルターなしで試してみたら周りの青色も見えてくるかもしれません。本番が楽しみなところです。

M8とM20の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は探しながらリアルタイムで見える。
  3. 3はもちろん余裕。
明るくて大きな星雲は超快適です。


M16とM17

すぐ上のM16わし星雲、M17オメガ星雲も見つけるのは簡単です。

64129D37-4025-4004-8024-A8A88300E72E

評価はM8とM20と同じです。


最後は網状星雲

最後は白鳥座に戻って網状星雲。こちらは目印のデネブとサドルから少し離れているのと、やはり淡いのでリアルタイムでは見えず、導入に少し時間がかかりました。

veil_01


網状星雲結果:
  1. の導入は少し時間がかかる。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. は視野角的にもいい感じ。
この頃には月も雲も出てきて明るくなってきたので、ここで撤収としました。

moon_02

ちなみに月も拡大するとこれくらいの解像度で見えます。

moon_01

月としては少し解像度不足の感もありますが、機材を変更しなくても見えるので、観望会ではこれくらいでも重宝するのではないでしょうか?


まとめ

FMA135とASI294MCProと自由雲台を使った超コンパクト電視観望システムですが、大きな星雲はマニュアル導入で問題ないでしょう。立山はかなり暗くて環境の良い空なので、淡くてもさらに見やすくなると思います。ただし、M57とかM27とかの小さな星雲はお客さんがいる場合はAZ-GTiがあった方が安全な気がしました。でもお客さんと一緒に導入の苦労まで楽しむとしたら、マニュアル導入でも良いかと思います。

FMA135の性能は特筆すべきだと思います。これだけ短焦点で、これだけの分解能で、この値段。相当小さいM57から大きな網状星雲の全景まで、かなりの範囲で見ることができます。鏡筒の性能が遺憾なく発揮され、これまでとは一線を画した電視観望システムです。

今回、相当コンパクトなシステムとなりましたが、ASI294MCがProでないノーマルモデルならさらにコンパクトになって、超々コンパクトシステムとか言えたかもしれません(笑)。

でももうこれだけコンパクトならカバンに常時入れておいてもいいくらいです。夜になったら突然サッと取り出して電視観望!なんかかっこよくないですか?

いや、普通の人から見たらかなり変な人ですね...。


このページのトップヘ