ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:FS-60Q

最近仕事の方が忙しく、全然時間が取れなくてブログ更新がかなり停滞してしまっています。年末になってやっと少し時間が取れたので、溜まっていた画像処理を進めます。

今回の記事はもう記憶の彼方で、一ヶ月前のことです。珍しく晴れていたこの週は機材調整とかいろいろやっていたのですが、撮影もしていました。でも画像処理が途中で壁にあたってから全く進まなくなり、今に至ります。撮影条件も既に忘れかけています。やっぱりすぐに書いておかないとダメですね。

この時の撮影の目的はちょっと前の自宅でのバーナードループ撮影で、思ったより魔女の横顔も出ていたので、単体で写したくなったからです。さて、どこまで出てくることやら。


機材

撮影条件はこんなところでした。
  • 富山県富山市自宅, 2019年12月1日0時27分-4時13分
  • FS-60CB + FC/FSマルチフラットナー (口径6cm、合成焦点距離370mm)+ CGEM II赤道儀
  • EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出90秒x58枚 総露出1時間27分
  • f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理

一応ガイドもしましたが、赤道儀がCGEM IIと大きめなのと、FS-60CBで350mmかつ90秒と短い焦点距離と短い露光時間だったので、もしかしたらガイドは必要なかったかもしれません。途中、南天を超えてしまい、反転するのに手間取って1時40分くらいから2時半くらいまで撮影できませんでした。


淡い、かなり淡い

とりあえずJPG撮って出しの一枚画像です。
LIGHT_6D_90s_3200_+7cc_20191201-00h55m27s497ms

はい、魔女さん全く出ていません。いくら自宅撮影といえ、こんなんでうまく出るのでしょうか?

あと、左にたくさん線が見えていますが、多分これSpaceX社のStarlinkです。他の画像も見てみると次々来ています。


画像処理開始

画像処理の時間があまり取れなさそうなのと、一枚画像からあまり見込みがないと思って、最初はバイアスだけ以前撮ったまともなやつで、ダークフファイルは温度も露光時間も違うものを使い回し、フラット補正は無しで処理しました。でも処理してみたら意外に魔女さん出てくるので、もう少しまともに処理してみようと思い、ダークを取り直し、フラットもその時の状況を再現し(回転装置を回していなかったのでなんとかなりました)新たに撮影してきちんと補正することにしました。

画像処理はいつも通りPixInsightです。フラット補正でも処理しきれないところもあったので今回もDBEに頼ります。

今回、少しだけいつもと違う処理を試してみました。nabeさんのブログで紹介されていたように、ArcsinhStretchを再び使ってみることにしました。以前は赤ハロがどうしても出てしまって使うのを諦めたのですが、nabeさんによるとサチっている恒星でハロが出るのは仕様らしいので、今回はサチっていないことを期待してやってみたら、ここは大きな違いが出ました。下はストレッチまでした段階での比較です。ArcsinhStretchを使っていない場合(上)とArcsinhStretchを使った場合(下)になります。

light_BINNING_1_integration_DBE3_cc
ArcsinhStretchを使わず、ScreenTransferFunctionと
HistogramTransformation だけで仕上げた場合。 

integration_DBE_DBE1_PCC_AS
ArcsinhStretchでストレッチした場合。

出だしの彩度に雲泥の差があります。当然下のほうがその後の処理もはるかに楽になります。このことは下にもある、StarNet++を使った時の恒星の不自然な繋ぎの解決にもつながりました。


壁にぶち当たる

その後は、最近味をしめてしまったStarNet++で背景と恒星を分離し、最後はPhotoshop CCで仕上げています。ここで2つの壁に当たりました。一つは斜めに走る縞ノイズです。撮影した画像を連続で見てみると、これはすぐに原因がわかりました。SpaceX社のStarlinkです。処理の時に弾いた画像を見せます。

light-BINNING_1_rejected

すごい人口衛星の数です。オリオン座付近なので人工衛星が入るのは仕方ないのですが、この数は流石に閉口してしまいます。今回撮影した全ての枚数に衛星の軌跡が入っていました。一本、二本ならいいのですが、3ー4本同時に固まって次々とくると流石に辛いものがあり、処理でもどうこうなるレベルを超えてきます。

もう一つは、画像全面を覆う縦に走る縞ノイズです。これは最初どこで入ったかわからなかったのですが、いろいろ見ていくとバイアスフレームに全く同じような模様が入っていました。もちろんバイアス補正はしていますし、そもそもバイアスに入っていると言っても、加算したマスターバイアスをものすごく炙り出した状態でやっと見えてくるようなノイズです。うまく補正されていないのかと思い、バイアス補正をなくして処理してみましたがかえって悪化するので、なんらかの補正処理はとりあえずされているようです。ということは、補正した後にも残ってしまった縞があぶり出しの過程で出てきてしまったのかと思われます。あ、もちろん、バイアス補正がダークフレームやフラットフレームも含めてまだうまくできていない可能性も捨て切れません。ここらへんはもう少し検証の余地がありそうです。

この縞ノイズ、これまでほとんど気にしたことがなかったのですが、そもそもなんでこんなことになったかというと、一つの原因がStarNet++で恒星と、その他星雲などをうまく切り分けられて、相当強引な炙り出しが可能になったからです。恒星以外の画像がこちらです。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_org

その他の部分には系外銀河がチラッと写っているのさえもうまくとりだしていることがわかります。これをわかりやすいようにあえて無理やり限界近くまで炙り出してみます。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_shima

この画像を見ていると、全体に縦の線がかなり気になります。ゴミ起因の黒丸は無視してください。撮影中ゴミが移動していたみたいで、全然補正し切れていません。左の方の太い少し斜めに走る線がStarLinkの影響です。全体に覆う縦線が、バイアスにも入っているノイズです。バイアスをあえて強調してみましょう。

20190316_bias_6D_ISO3200_s4000x100

Lightフレームにも同様の縦縞が入ってしまっているがわかると思います。これらの縞ノイズが、画像処理の過程で星雲とか背景の淡い部分を炙り出していくと目立ってきてしまいます。

この縞ノイズは結局センサー自身が持っているもので、昔のデジカメではこれが相当大きかったそうです。今使っているEOS 6Dなどの天体撮影に適したカメラではかなり目立たなくなったとのことなので、普通にあぶり出すレベルでは、あまり問題にならないのでしょう。私もこれまでほとんど気にしたことはありませんでした。

今回は自宅での庭撮りで、フィルターも何も無しのわずか90秒露光というかなり厳しい条件なので、最初の撮って出し画像でも分かる通りものすごく淡い像しか写っていません。StarNet++を使って強度の炙り出しをする様になると、結構この縞ノイズが気になるようになってきました。

何か解決策はないかと思っていたら、PixInsightからのメールでちょうど似た様なテーマを扱っていました。今回はこの手法は用いていませんが、結構大変そうなので余裕のあるときにきちんと検証してみたいと思います。

あと最近ずっと不満だったのが、StarNet++の弊害なのでしょうが、とにかく明るい恒星がうまく背景とつながらなかったことです。どうしても恒星がサチってしまうか、不自然につながってしまいます。でも今回怪我の功名でしょうか、StarNet++が出した恒星以外をもとに、さらにそこからマスク画像を作り、恒星の周りの光芒を強調しすぎないように、マスクを何段階かに分けて処理する手段をある程度確立することができました。

同時に、これまであまり理解できていなかったPhoshopのアルファチャンネルを利用して、複数のマスクを入れ替えながら処理する方法もやっとわかりました。

マスク処理に関してはまだ未熟な点はありますが、以前よりはだいぶんマシになったかと思います。


処理結果、ここまで長かった

さて、そんなこんなで紆余曲折して長い時間かかってしまった結果ですが、以下のようになりました。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_mask_all2a_cut


センサー面のゴミが目立っていたのは手で補正しています。また縦縞ノイズを目立たせない様に、背景を少し暗くしてあります。恒星の一部中心はまだ飛んでいますが、一番懸案だった繋ぎの部分はあまりに不自然なことはなくなりました。


今回のまとめ

いろいろ問題があってえらい時間がかかってしまいましたが、自宅での撮影で1時間半露光でこれだけ魔女さんがでるのなら、まあ満足といっていいかと思います。

実は合計5回画像処理をフルでやって、やっとここまでたどり着きました。結果は画像処理にものすごく依存することがわかりました。最初のなんて今見るとノイジーで、階調不足で、かつ光芒部分が全部サチっていてひどいもんです。

その過程で
  • ArcsinhStretchが改めて有用であることがわかった。
  • StarNet++での恒星の自然なつなぎ方の手法が確立できた。
  • Photoshopのマスクの使い方に慣れた。
  • バイアスノイズが縞ノイズとして入る可能性がある。
など、いくつかのことを学ぶことができました。少し画像処理の上達を実感することができた1ヶ月でした。

あとまだ一つこの日に撮った画像が残っています。でもすでに記事が長くなりすぎたので、次の記事で今度はあっさりと書こうと思います。

 

Revolutio Imager (以下RI)で一つやり残していることがあります。

入門用の望遠鏡にRIをつけた場合星雲に色がつくかどうかです。RIを使うのは機器をPCなどに接続することや、カメラでの撮影に手が出ない人なども想定されるので、その人達が楽しめるレベルの鏡筒で動くことを確認したかったのです。

とりあえず子供が使っているSCOPETECHの口径60mm、焦点距離800mmの屈折型望遠鏡に、0.5倍のレデューサーを装備したRevolutio Imagerをつけて、焦点距離400mmで試しました。ターゲットはこれまで何度となく見ている、輝度の高いM57です。これが見えなければ他は厳しいという判断です。場所は富山の自宅の庭で、条件が良いと天の川がかろうじて見えるくらいの場所ですが、この日は天の川は見えていませんでした。

まずSCOPTECHの結果ですが、M57が小さすぎて見つからない。望遠鏡は経緯台に乗っているのですが、これまで赤道儀での自動導入しかしたことがないので、明らかに自分の経験不足です。さすがにファインダーもなく、あるのは鏡筒についている2つの穴だけなので、暗い星が全く見えず、ターゲットの場所を特定するのが難しいです。M31やM42などの大きなものだとまだましなのかもしれません。

小一時間奮闘し、結局見つからなかったので、とうとう諦めて一昨日整備したFS-60QとCCDファインダーに頼ることにしました。焦点距離が600mmと少し短くなるので、レデューサーは外しました。

こちらに変更してからは、ファインダーの精度も十分に出ているせいか、ほぼ一発でM57を視野に入れることができました。まあ鏡筒の値段が全然違いますが、口径は同じ60mmなので、集光力は同じと考えて、SCOPETECHでもうまく導入できれば同様に見えると思うことにしましょう。

結果は写真を見ればわかりますが、なんとか色が出るくらいでしょうか。これをすごいと思うか、まだまだだと思うかは人によるかと思います。それでもアイピースと比べるとはるかにはっきり色も形も出るということは言えるかと思います。

IMG_0288


RI付属のCCDの設定項目を相当調整した結果なので、初心者が一発でこの画像を出すのは少し厳しいかもしれません。ちなみに時間的には20時頃で、月齢16日のほぼ満月が少し登りかけてきていたので、空はそれほど暗いわけではありません。というかかなり明るい日で、この条件下で頑張ればこれだけ見えるというのはある意味すごいとも言えます。

あと、赤道儀のTG-SPがやはり絶不調で流れまくっていたので、もし流れるのを抑えることができるともう少しスタックの回数を増やすことができて、多少マシになるかもしれません。でもよく考えると、初心者で経緯台で試す人もいるはずなので、今回の条件の方が実際の使用に近いのかもしれません。

ちなみにこちら

IMG_0294

が同じFS-60QでASI224MCで撮ったものです。公平を期すためにSharpCapのスタック機能は無しの場合です。

さらにオートアラインがついたスタック機能をオンにすると

IMG_0300


はるかに綺麗に見えます。やはりソフトでの調整もあり、ASI224MCの方が見えやすいという結論は以前と変わりありません。

さて今回のポイントの、入門者が色のついた星雲をRIで見ることができるかですが、見ることはできるが、思ったより敷居が高いというのが私なりの結論です。経緯台での星雲の導入が思ったより難しい(これはRIに関係ないのかもしれません)ことと、たとえそれを乗り越えたとしても、例えば今回の画面を初心者が見て色がついた星雲と思えるかどうかという点だと思います。そもそも口径60mmで眼視で星雲を見るのは至難の技なので、それから言ったらはるかに見えるようになっているのかもしれません。それでも口径200mmでのM57ははっきり色がついていると誰もが言うと思います。やはり初心者が最初に手にする60mm程度の口径では本当にギリギリというところだと思います。

逆にいうと、タイトルの趣旨とは違って来てしまいますが、例えば自動導入付きの赤道儀に、口径200mm程度の鏡筒を持っている方には、是非とも電視のインパクトを存分に味わってもらえればと思います。電視は自動導入との相性がとてもいいです。口径も60mmでは少し厳しかったですが、200mmもあれば全く見え味は違ってきます。アイピースと電視で星雲を見比べてみると、これまでとは全く違った楽しさに出会うことができると思います。こういった意味ではコンピューターなど追加アイテムが一切いらないRevolution Imagerは手軽に電視観望を実現できるすごく有効な手段だと思います。

それでも、今回の経緯台で小さなM57を探す過程は面白かった(結局私はSCOPETECHでは見つけられませんでしたが、一番の理由はファインダーがなく、かわりに2つの小さな穴が鏡筒に付けてあるだけで、ベガなどの明るい星はよく見えるのですぐに導入できるのですが、琴座の他の星はこの日はほとんで見えなかったのが原因なのだと思います。)ですし、初心者ならばより口径の大きい望遠鏡への興味もわくだろうし、カメラでの撮影の方にも興味が行くのではと思います。より天体観測への深い興味を持つためのきっかけにはなるのかなとは思いました。

ただ、このために初心者が299ドル、日本に持ち込むともう少し高い値段になるでしょうが、それを払うかどうかは、うまく魅力を伝えていかなければならないのだと思います。実際ひと昔前からみたら、電視なんて考えられなかったでしょうし、眼視とカメラ撮影の中間だと思うのですが、カメラで撮影するよりも安く済むのも事実でしょう。また、技術革新が早い機器でもあるので、5年後にはもっとすごいものがもっと安価に出ているかもしれません。この過渡期に、リアルタイムでの電視観望に興味を持てる人にとっては、お手軽な面白い機器なのだと思います。


ついでにRevolution ImagerでM27も撮ってみました。

IMG_0325


本当にうっすらと見える程度ですが、繰り返しになりますが、月齢16日の明るい状況下ででの見え味です。

今回のことから、星まつりで安く手に入れたファインダーが余っているので、SCOPETECHにネジ穴を開けて取り付けてやって、子供にM57とM27を探させてみようと思います。見えたら喜ぶかなあ? (追記:後日余っているファインダーを取り付けました。)


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