ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:FS-60CB

前回の撮影時の記事から少し間が空いてしまいましたが、前回FS-60CBでSV405CCとASI294MC Proで撮影した画像を処理してみました。

 

この撮影後、6月13日付の新しいドライバーが発表されましたが、今回の記事はその前の6月11日にメールで送られてきたものを使っています。そのため(おそらくゲイン120以上で)HGCモードに入りますが、さらにゲインが200プラスされた状態で撮影されています。今回はゲイン120としましたが、実質は320と同等と推測され、ダイナミックレンジが犠牲になっていますので、その点ご注意ください。


共通条件

撮影日の透明度がかなり悪かったため、ここでは比較することを主目的とし、仕上げはさらっと軽めに処理するだけにしました。撮影については、後日透明度のいい日にリベンジしたので、最終画像は後で示します。

ASI294MC ProとSV405CCで共通の事情は、
  • 鏡筒はタカハシのFS-60CB。赤道儀はCelestronのCGEM II。
  • マルチフラットナーをつけていますが、1.1.25インチのノーズアダプターをつけているので、バックフォーカスが合ってなくて、四隅が流れてしまっています。
  • 冷却温度は0℃。
  • 光害防止フィルターとしてCBPの1.25インチをノーズアダプターの先に付けています。
  • 120mmのサイトロンのガイド鏡にASI120MMをつけて、PHD2でガイド。
  • 1枚あたりの露光時間は3分で、10枚に制限し、トータル30分の露光時間。
  • ゲインは120ですが、SV405CCはドライバーがまだ改良途中で実質ゲインが320になっていると思われます。
  • 公平を記すために同日の撮影にして、SV405CCで15分、ASO294MC Proで30分、さらにSV405CCで15分撮影した画像を使用しています。
  • 画像処理はPixInsightでWBPPを使いインテグレートまでしたのを、オートストレッチしています。
となります。


ASI294MC Proの画像(参照)

まずはASI294MC Proです。最初の画像処理でフラット画像に問題があることがわかり、フラットを後日再撮影しました。そのためライトフレーム撮影時についていたゴミが、フラット撮影時に取れてしまったようで、ペリカンの目の下あたりと、下辺中央あたりに丸い大きなスポットが残ってしまいました。カメラの評価にはあまり関係ないのでそのままにしておきます。

下の画像がPixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。あまり主観的な操作が入っていない段階のこれで比較します。

ASI294MCPro_autostretch_180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

この時のヒストグラムは、再掲載になりますが

histgram_ASI294MCPro

となります。至極真っ当そうに見えます。


SV405CCの画像

一方今回の評価対象のSV405CCの画像です。同じく、PixInsightでスタックしてSTFとHTでオートストレッチストレッチだけした画像です。

SV405CC _-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

ヒストグラムは

histgram_SV405CC

となります。まだドライバーでおかしなところがあるため、ゲインを120と設定しても実質のゲインが320
となっていると思われ、同じゲイン設定のASI294MC Proのヒストグラムに比べて全体に右にシフトしていています。120と320で10倍違うはずなのですが、平均は4186から7385と2倍にもなっていないので一見おかしいと思うかもしれません。でもオフセットの値込みの平均値なので10倍になっていないのは問題ないです。

おかしなところは2点、
  • 赤のノイズの広がり方が大きすぎること
  • 60000(最大値の65536でないところが不思議)くらいの値のところに大きなピークがあること
です。その後、ドライバーをアップデートすることで、前者の赤のノイズのおかしいところは解決されることがわかっています。ですが、60000のところのピークは最新ドライバー1.7.3でも解決しないことまでは確かめました。

後もう一つ気になるところは、120秒以上の露光でアンプグローがなくなるというSVBONYの説明です。ですが、マスターダークフレームを見る限り、アンプグローは残っているようです。

masterDark_EXPOSURE-180.00s

それでも撮影時に気になることがあって、ほぼ毎回ですが、長時間露光の場合、一連の露光を開始する最初の1枚だけ、画面全体が暗いです。SharpCapでの撮影もNINAでの撮影も同じです。もしかしたら何かしようとはしているのかもしれませんが、ダークフレームでみて上の様になっているので、少なくともまだうまくいっていないようです。次の最新のドライバーでも注目したいと思います。


比較

両画像を比較してみましょう。オートストレッチ後なので一見どちらもよく似ていて、両者それほど変わらないように見えます。両方とも左が明るく、右が暗いような、1次のカブリがあります。これは左が北側に近く、富山の街の明かりが効いているものと思われます。

あえて言うなら、SV405CCの方が少し赤や緑が濃いでしょうか。でも誤差の範囲の気もします。

大きく違う点は、恒星です。中央下の二つの並んだ星を見るとわかりやすいでしょうか。

starspsd
左がASI294MC Pro、右がSV405CC

一見SV405CCの方が彩度が出てると思うかもしれませんが、よくみると明らかな右上方向への青ズレのようなものが出ています。

実はこれ最初は見逃していて、ここまで拡大することなく、遠目で単に色が出てる恒星だなと思っていたくらいでした。SV405CCで北アメリカ星雲をさらに1時間30分撮影したのですが、その画像処理の時に青ズレが出ているのが気になって、最後までどうしても残るので元を辿っていくと、一枚一枚のライトフレームに載っていることがわかりました。

最初、CBPでのゴーストかとも思ったのですが、ASI294MC Proでこれまでも今回もそんなことに困ったことはないのでおそらく関係ないです。FS-60CBの収差かとも思いましたが、それならやはりASI294MC Proでも出てもいいはずです。この青ずれの方向が常に一定なのも気になります。

とりあえず比較はここまでにして、これ以降は透明度の悪い日の高々30分露光の画像で処理を進めても、あまり意味はなさそうなので、次はこれ以降にSV405CCで撮影した1時間半の画像での処理を進めます。


画像処理

次に気になったのが、SV405CCの画像にPCCをかけた時、同パラメータをいじっても背景が青や緑に寄ってしまうことです。。BackgroundNeutralizationでパラメータをかなりいじって試しても同様だったので、画像の方に何か問題がありそうです。いろいろ探っていって、どうやらRのノイズ幅がおかしいことが原因という結論にたどり着きました。上で見せたSV405のRGBのヒストグラムで赤の幅が大きく、山の高さが低いことです。このグラフの縦軸はlogスケールなので、あまり差がないように見えるかもしれませんが、実際にはGBと比べて1/3から1/4ほどです。

histgram_SV405CC

PCCやBackgroundNeutralizationは幅の方は補正してくれますが、高さの補正はしてくれないようです。そのため、今回はLineaFitで高さを合わせました。しかも1回ではまだ合わせきれなかったので2回LineaFitをかけ、その後PCCをかけると、やっと背景もまともな色になりました。この変な赤の振る舞いは、6月13日付のドライバーをインストールした後は出ていません。もし古いドライバーを使って撮影している方は、最新ドライバーにアップデートしたほうがいいでしょう。

PCC後はストレッチなどした後に、Photoshopに受け渡しました。上で述べた青ズレは仕方ないものとして画像処理を進めました。なので、恒星がいまいちなのは気にしないでください。また、透明度が悪かったためにノイズ処理などもしているので、カメラの性能をそのまま見ると言うよりは、SV405CCで少なくともこのくらいまでは出せるという目安くらいに考えてください。

Image94_clone2

透明度がかなり悪い日の撮影にしては、そこそこ色も出ているのではないでしょうか。この後、透明度のいいに日再度同じ画角で撮影しているので、随時画像処理していきます。


まとめ

今回の記事を書くのにものすごく時間がかかりました。理由は青ズレの解明でかなりの時間を使ったからです。

SVBONYさんとも連絡を取りながら、欠点もブログで正直に書いていくということ、そして開発側にフィードバックしてさらに改善していくことを互いに確認しました。ここらへんはメーカーとしての基本方針のようで、かなり好感の持てるところです。SVBONY初の冷却カメラです。ユーザーとしても新たなカメラメーカーが選択肢として出てくるのは大歓迎です。今後の成長も含め、できるだけ協力し、期待したいと思います。

まだ青ズレの原因は完全にはわかっていませんが、今回の一連の記事の中でできるだけ理由に迫ってみたいと思います。

次回の記事から新型ドライバーを適用します。さて、どこまで改善されているのでしょうか?


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露


前回のSV405CCのセンサー解析レポートに続き、撮影編でのレポートになります。




撮影準備

6月17日の金曜、天文薄明終了が21時過ぎ、その後月が22時過ぎから昇ってきて明るくなりますが、貴重な梅雨の晴れ間です。SV405CCでの撮影を敢行しました。

ターゲットは北アメリカ星雲としました。理由は
  • 月から離れていること。
  • 以前自分で撮影していて、比較しやすいこと。
  • メジャーな天体で、他の人も認識比較できること。
  • 自宅撮影なのと、途中から月が出てくるので、ある程度明るい天体。
  • ワンショットなローバンドフィルターを使いコントラストを上げたいため、輝線星雲であること。
  • 最後の決定打は、そこそこ広角で手軽なFS-60CBで撮影できるくらい大きめのもの。
などから決めました。

といっても、この日の空はうっすら霞んでいる様な状況で、撮影に適した日とは到底言えません。

夏至が近く、日が長いので、明るいうちに準備ができます。機材はFS-60CB+マルチフラットナー+CGEM II。フィルターはCBPのアメリカンサイズとしました。ガイド鏡はいつも使っている120mmのサイトロンのもの、ガイドカメラはASI290MMです。

CBPをノーズアダプターに取り付ける時、ASI294MC Proについていくるものは途中までしかねじ込めませんが、SV405CCに付属のものには最後まできっちりねじ込めます。使いたいフィルターのネジ規格によるのですが、私はサイト論のものをよく使うので、SV405CCのノーズアダプターの方がいいのかもしれません。

IMG_5758

今回の撮影は、もともとASI294MC ProやASI294MM Proでのセットアップに近く、ケーブルも普段組んでいる物を使いました。そうすると、SV405CCの背面にUSBの分岐がないのが地味に辛くて、結局長いケーブルをもう一本這わせることにしました。これまで意識していなかったですが、意外にカメラでのUSB分岐が役に立っていたのだと実感しました。

SV405CCは冷却初期モデルなのでまだそこまで手が回っていないと思いますが、将来的にはUSB分岐もあると、ZWOカメラと互換性が高まりユーザー側でのケーブルなどの取り回しが楽になると思うので、考えてもらえると嬉しいかもしれません。ガイド鏡などは速度を求めないので、USB2.0で十分かと思います。

初期アラインメントや、最初のピント合わせでSharpCapで実際の星を見てみました。時間はほとんどかけられませんでしたが、RGBカラー調整バーのジャンプが少し気になりました。一段変えようとすると50飛びで変化が大きすぎです。マウスやカーソルでもう少し細かい変更ができると嬉しいです。

今回はコントラストなどのパラメータはほぼ何も触っていません。というのもSV305で触ると設定が大きく外れて一気に画面上で見えなくなった経験があるのと、実際には撮影までの時間が惜しいので、余分なことはやりたくなかったというのです。SV405CCで電視観望を試したいので、その時にいろいろ触ってみようと思います。

SharpCapで試したことで一番大きかったことが、プレートソルブが問題なくできたことでしょうか。少し前の記事で書きましたが、最近は極軸調整が終わった後の赤道儀での初期アラインメント(ワンスターアランメンと)で、目的天体が入ったかどうかの確認を省略しています。その代わりにプレートソルブでずれを認識し、赤道儀にフィードバックして目標天体を入れるようにしています。今回SV405CCでも待ってく問題なくプレートソルブできたので、少なくとも全然おかしな像が来ているとかはないことがわかります。


NINAでSV405CCを動かすには

そのまま撮影のためにNINAに移ります。撮影にSharpCapではなくNINAを使う理由が、ガイド時のディザーの扱いです。最近のSharpCapもスクリプトなどでかなりのことができる様になってきましたが、ディザーを含めた撮影はまだNINAの方がかなり楽なのかと思います。

NINAでSV405CCを使うためには、ドライバーが必要です。ただしNINAの最新版NINASetupBundle_2.0.0.9001.zipに入っているSCBONYのカメラのdllの日付は2022/4/4なので、6月13日付のドライバーは入っていません。そのため最新ドライバーを使用して撮影するためには、ドライバーを手動でインストールする必要があります。

私を含め、SV405CCユーザーには直接6月11日に新ドライバーが送られてきたようですが、日本の公式ページを見ても全てのカメラを含むドライバーの2022-02-21版がアップされているだけで、SV405CC用のドライバーはまだアップロードされていません。と思ってよく探したら、本国のSVBONYの方には6月13日にアップロードされていました。というわけで、SharpCap、NINAともにSV405CCを使う場合には、

https://www.svbony.com


に行き、上のタブの「SUPPORT」 -> 「Software & Driver」 -> 横の「Windos」と進み、「SVBONY Cameras」の最新版(Release date:2022-06-13以降)をダウンロードする必要があります。その後、解凍してRead Me.docをよく読みNINAのインストールディレクトリの「External」「X64(64bit OSの場合)」「SVbony」のSVBCameraSDK.dllを新しいものに自分でコピペして入れ替えるひつようがあります。

こうすると無事にNINAでも新ドライバーで動くようになります。


さらに新しいドライバー

実は撮影を開始する2時間ほど前に、TwitterのダイレクトメールでSVBONYさんから直接、6月14日更新のドライバーができたと連絡がありました。Google Driveにアップしたのでダウンロードしてくださいとのことです。ところが非常に残念なことに、Googleの何らかのポリシーに反しているらしくて、アクセスさえできません。Googleをログオフしたり、別アカウントでログインしたり、Mac、Windows、iPadなどいくつか試しましたが、いずれも状況はかわらず、撮影準備時間にも限りがあるのでなくなく6月11日に送られてきたドライバーのままで撮影を始めました。

このドライバー、前回のレポートで書いていますが、HCGモードのゲイン設定がおかしいことがわかっています。私の解釈が正しければ、HCGモードのダイナミックレンジが得をする一番美味しいゲイン設定ができないという結果なので、是非とも改善されたドライバーで試したかったのですが、まあ仕方ないです。

それでも、数日のオーダーでドライバーを貪欲に書き換えてくるレスポンスの速さは素晴らしいと思います。


実際の撮影

実際にNINAでSV405CCで撮影を開始しました。ゲインは迷いましたが、後で比較できるようにASI294MC Proでいつも撮影しているのと同じ120にしました。露光時間は3分間です。冷却温度はいつも撮影している-10℃に設定します。ただし梅雨時期に入り、気温も高くなってきているので、そこは考慮すべきかと思います。この日は夜になっても暑く、撮影開始時には外でも25℃程度はありました。

この日は薄曇りというか、空全体が霞みがかっていて、北極星はほぼ何も見えなくて、夏の大三角がかろうじて見えるくらいでした。それもあってか、1枚目の画像はなぜかとても暗くて、北アメリカ星雲ですが、淡いところがほとんど何も出てきません。ASIFitsViewでのオートストレッチですが、実際電視観望で見えるよりはるか以下です。

2022-06-17_21-27-39_0000


ところが2枚目には普通に星雲が見えます。これは一旦撮影を止めた次の撮影でも再現しました。

IMG_5757
ここの1枚目と4枚目です。全く同じ設定で星の数が4分の1ほどです。突然雲が来たかとも思ったのですが、ガイド鏡の画面を見ている限りそんなことはありません。

ところが次にASI294MC Proで撮影を終え、再びSV405CCに切り替えた3度目の連続撮影では最初から普通に撮影できます。何かあるのか?、たまたまなのか?、もう少し検証すべきですが、少なくともこんなことがあったので一応書いておきます。

さて、その最初の撮影ロットの2枚目、大きな問題が発生です。画像を見てもらうとすぐにわかります。

2022-06-17_21-30-39_0001

真ん中に大きな影があります。右下の小さな円状の影は埃であることが判明しているので、ここでは無視します。さてこの真ん中の影、結局はセンサー面の結露でした。

IMG_5753

数枚撮影した後、温度を0度に変更することでこの結露は消えました。よほど湿気っぽかったのかもしれません。ただ、後で撮影した画像をいくつか見ると、-10℃のままでも曇ったエリアが小さくなっていたので、待っていればよかったかもしれません。


撮って出し撮影画像

なんだかんだトラブルもあり、まともな画像が撮影できたのは22時頃から。とりあえず10枚で30分撮影します。高度が上がってくると淡かった星雲も少しづつ濃くなってきます。10枚目を22時30分に撮影し終わりました。その時の画像をASIFitsViewでオートストレッチしたものです。

2022-06-17_22-27-48_15_SV405CCb

22時半頃にASI294MC Proに交換。この頃から少しづつ雲が出てきます。カメラの回転角、ピントを合わせ直し、雲が通り過ぎるのを少し待ちます。撮影時のゲインはSV405CCの時と同じ120、露光時間も同じ3分です。温度も比較しやすい様にSV405CCで撮影したのと同じ0℃にあわせます。

22時49分にやっとASI294MC Proでの1枚目が撮影できました。その1枚目をASIFitsViewでオートストレッチしたものです。

2022-06-17_22-46-43_0016_ASI294MCPro

2枚の画像を比べても、ストレッチをした後だと極端な差はないことがわかります。最初、SV405CCの北アメリカ星雲がかなり淡かったので心配していましたが、ASI294MC Proで見ても大きな差がなかったので、この日の空の状況がよくないということで理解でき、少し安心しました。

ただし、クリックして拡大などしてみていただければわかりますが、滑らかさに差があるわかるかと思います。これはヒストグラムを見比べるとなぜだかわかります。2枚の画像のヒストグラムASIViewerで見てみます。上がSV405CC、下がASI294MC Proです。

histgram_SV405CC


histgram_ASI294MCPro

まず、明らかに山の位置に違いがあり、上のSV405CCの方が右側に出ていて明るいことがわかります。ゲインと露光時間は同じなのに明るさが違います。これは前回のレポートで、今公開されているSV405CCのドライバーではゲインが120ズレていて実際には明るく撮影されてしまうという報告をしましたが、傾向としては合ってそうです。ただ、明るさはゲインで120ズレているなら12dB=4倍のズレになるはずなのですが、平均値で比べると2倍弱の明るさの違いしかありません。この原因は今のところ不明です。

また、SV405CVの方の赤の広がりが大きいのが気になります。ASIFitsViewのオートストレッチはノイズはいじっていないはずなので、この広がりはノイズそのものを表すはずです。しかもこのヒストグラムの山は主に背景を表しているはずなので、RとGBでそれほど差が出ることはないはずです。Debayerのアルゴリズムのせいかもしれませんが、ドライバーの方でチューニングできるなら今度のアップデートを待ちたいかと思います。


その後の撮影と片付け

結局撮影は、最初にSV405CCで10枚の30分、ASI294MC Proで10枚の30分、さらにSV405CCで20枚の1時間です。雲などが入り明らかに写りが悪いのは省いた上での枚数です。最後の方でガイドがものすごく揺れているので外に出てみたら、机やPCが吹っ飛びそうなくらいの強風が吹いていました。危険なのと、星像も揺れるはずなのでここで終了として撤収しました。
  • 今回の画像で最適化されていないことがいくつかあります。一つはバックフォーカスで、FS-CB60にマルチフラットナーをつけた時に、きちんとそこから定められた距離にセンサーを置かなければいけないのですが、今回は合わせている時間がもったいないので適当にしました。なので四隅が流れてしまっていますが、ご容赦ください。
  • また、SV405CCの画像にほこりがついていて影になってしまっていますが、これも取り除く時間がもったいなかったのでそのままにしてあります。こちらはフラット補正で消えることを期待しています。
  • また、カメラの回転角とピントも同じで合わせきれていません。少しづつズレてしまっていますが、此処もご容赦ください。


今後

現在ダークフレーム、フラットフレーム、フラットダークフレームなど撮影しています。画像処理を引き続き進めますが、空は悪かったので写りは大したことないかもしれませんが、ASI294MCも同時に画像処理して比較してみますので、差を見ることでカメラとしてどれくらいの能力を持っているかわかるかと思います。

とりあえず画像処理はまだ時間がかかりそうなので、今回は主に撮影の様子と、撮って出しの比較くらいまでの記事としたいと思います。次回記事で画像処理の結果を見せたいと思います。

また、SV405CCドライバーはまだ発展途上なので、画像も今後大きく変わる可能性もあります。そこら辺も見所になるかと思います。


  1. SV405CCの評価(その1): センサー編 
  2. SV405CCの評価(その2): 撮影編 
  3. SV405CCの評価(その3): 画像比較
  4. SV405CCの評価(その4): 新ドライバーでの画像比較
  5. SV405CCの評価(その5): 青ズレの調査と作例
  6. 番外編1: 階調が出ない時のPedestalの効果
  7. 番外編2: ASI294MC Proでの結露

今回の記事は、2022年5月28日の飛騨コスモス天文台の観望会の後に撮影したIC1396の画像処理です。




IC1396を選んだ理由

ゴールデンウィークにASI2400MC Proで青い馬星雲を撮影しましたが、5月中は借りていて良いということになり、もうワンショット何か撮影できればと思っていました。



せっかくのフルサイズのカラーカメラなので、飛騨コスモス天文台の利点を生かした北の暗い空で、フィルターなしでどこまで出るのかを、できるだけ広角で大きな天体で試してみたいというのが第一です。いろいろ考えて、IC1396:象の鼻星雲(Elephant's Trunk Nebula)をターゲットとしました。ケフェウス座にあるかなり大きな星雲で、北アメリカ星雲より大きいくらいです。

実はこの前後に、象の鼻の部分をSCA260で拡大して撮影しています。こちらはナローバンドフィルターを使って撮影しているので、比較が楽しそうという理由もあります。

機材はFS-60CBとCGEM IIで、青い馬星雲を撮った時と同じです。カメラもASI2400MC Proなので同じものですが、露光時間とゲインも同じにしました。設定も含めて全く同じにしたのはダークやフラット、フラットダークフレームを使い回しするためです。NINAだとまた撮影時にカメラを認識でトラブりそうなので、今回は最初からSharpCapを使っての撮影です。それでも認識させるまでに何度か接続し直しをしました。青い馬星雲の撮影時と同じように、ディザーをしていないので縞ノイズがでる可能性があります。青い馬ではとりあえず出ていないようだったので大丈夫かともいますが、おそらく今回の方が淡いので少し心配です。

あと、青い馬星雲を撮影した時はバックフォーカスを合わせる手段がなくて、現地でFC76用のマルチフラットナーのリングを使って適当にマルチフラットナーからセンサーまでの距離合わせましたが、今回はZWO製のフルサイズクラスのCanon EFマウント用のアダプターを使い、さらに足りないフィルターホイール分の11mmを別途M54のアダプターを使い、1mm単位でバックフォーカスを合わせることができました。比較すると、青い馬星雲のときの四隅を見ると相当ずれていたのがわかります。

masterLight_ABE_PCC_ASx4_SCNR_bg2_mosaic

今回の四隅は下のようにかなりマシになりました。でもよく見ると、左より右側が流れています。カメラのスケアリング調整が必要なのでしょうか?アダプターをいくつも使っているので、微妙にずれた可能性もあります。

masterLight_ABE_mosaic


撮影は3分露光で全部で45枚、合計2時間15分の撮影時間なので、大して長くはないです。撮影はかなり安定していて、45枚全てを画像処理に回すことができました。気になるのは人工衛星で、45枚中11枚に軌跡が入り込んでいます。ひどいのは3分で3つの線が入っています。そんなのが2枚ありました。

Capture_00033 02_36_58

撮影はもう先々週のことになるのですが、これが一番新しい素材で、他に4月から未処理の画像が大量に溜まっています。それでもカメラを返す必要があるので、こちらを先に処理することにしました。


画像処理

PixInsightが5月18日にアップデートされて1.8.9-1となりました。StarNet V2だけは相変わらず手動インストールが必要でした。

新しいこととしては、WBPPで途中経過を示すスクリーンが出るようになりました。これを見ていると、Local Normarizationに一番時間をかけていることがわかります。馬頭星雲の画像処理の時にLocal Normarizationの有り無しでかなり差が出たので、時間はかかっても今後もオンのままで行こうと思います。

IMG_5688

スタック直後の画像をオートストレッチしたものがこちら。結構淡いですが、まあなんとかなるでしょう。

masterLight_BIN-1_6072x4042_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

あと、フラットフレームが室内での壁撮影だったこともあり、1次の傾きがあるかもしれなないため、ABEの1次で補正しました。実際上の画像は右側が暗いです。Deconvolutionは試しましたが、ほとんど効果がなさそうで適用せず。その後ストレッチして、少し星がうるさかったのでEZ StarReductionのみかけました。後はPhotoshopに渡して仕上げです。


結果

「IC1396: ケフェウス座散光星雲」
masterLight_integration_ABE_PCC_ASx5_HT_starreduction_SCNR3a_tw
  • 撮影日: 2022年5月29日0時57分-3時13分
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI2400MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: SharpCap、Gain 150、露光時間3分x45枚で総露光時間2時間15分
  • Dark: Gain 150、露光時間3分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 150、露光時間 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
オレンジ色のガーネットスターが綺麗です。わずか2時間ちょっとの露光としてはかなり淡いところまで出たのかと思います。自宅富山では得られないような暗い北の空なのでそもそも有利なのですが、カメラの性能のおかげというのもかなりあるのかと思います。画像処理に関しては以前同じカメラで撮った三つ子銀河青い馬星雲と同じような感想で、とても素直で、露光時間が短いにも関わらず手間がかかりません。やっぱり素直にASI2400MC Proはかなりいいカメラだと思います。

今回、周りの淡い部分を出すために全体を明るくしているため、右側から伸びる象の鼻のところをうまく出すことができませんでした。ここは結構明るい部分なので、そこにある暗黒体は潰れてしまいがちで、もっと輝度を落とすと出てくるのですが、それだと全体が暗くなってしまいます。この部分はSCA260で撮影したナローでリベンジかと思います。

あと、どうしてもSolverがうまくいかなかったため、今回Annotationは無しです。ストレッチ前の画像ではきちんとできるので、ストレッチの過程で星がうまく検出できない何かが起きているようです。それでも最高で98%まで検出できていると出てくるので、後少し何かが違うだけだと思うのですが...。別画像でSolverをかけてその情報を他の画像に移す用法もある気がするのですが、ちょっとわかってません。


まとめ

それにしてもカラーカメラは楽でいいですね。分解能を求めるような系外銀河とかでなければ、もうカラーで十分な気がします。特に短焦点の広角はそこまで分解能必要ないですし、フルサイズの方がより大きなエリアを見ることができるので、このカメラはベストに近い選択の気がします。もう一つ上にASI6200MC Proがありますが、逆にこちらはピクセルサイズが小さくなり画像サイズが大きくなるので、感度的には2400の方がいいのと、画像サイズ的に使い勝手がいいのかもしれません。でも6200の16bitは少し気になるし、モノクロと合わせてLとRGBの2つで撮るとかの応用も効くので、こういった活用なら6200はかなり魅力です。

とまあ、お借りしたカメラをもとに感想を言っているだけなので気楽なものですが、今回も含めてこれだけ出るのなら、値段さえ許すなら本当に今の6Dを置き換えたいです。でも中古の6Dが4-5台分、どうしても考えてしまいます。

今回を含めて、このASI2400MC Proで「三つ子銀河」「青い馬星雲」「IC1396」と3つの作品を仕上げました。これだけの高性能のカメラを使わせていただく機会を与えていただき、感謝しています。自分としてはどれもこれまでにない仕上がりとなり、心置きなく返却できます。いや、かなり後ろ髪をひかれます...。もうちょっと使いたい...。できれば欲しい...。



昨日ブログを書き終えて、アンテナ銀河の画像をチェックしていたら、思ったより使える枚数が少ないことがわかりました。「行かずに後悔するより、行って後悔した方がいい」と謎の決断をし、そのまま再び牛岳へ。


2日連続で牛岳へGO

ゴールデンウィークも終わりに近づいてきました。星だけに集中しているわけにはいかず、他にやるべきことが山ほど残っているのですが、これだけ好条件の長期休暇も珍しく、ここを逃したらアンテナ銀河の仕上がりに大きく違いが出るはずと思い、この日も18時過ぎに牛岳に向かって車を走らせます。出発時に妻がお昼寝していたので、起こさずにこっそり出かけます。そのため夕食はファミマの冷やしうどん。牛肉が乗ってるちょっと贅沢な方です。あと、お約束のおやつも買い込みます。

19時には現地に到着。流石に3連休の最終日です。星関係の人はほとんど誰もきていません。一般の人の車が数台あるくらいでした。なので昨晩の南の視界が建物で遮られる頂上ではなく、少しだけ下った南が全面開けている少し坂になっているところを陣取りました。牛岳もガチの撮影組は大抵この場所です。私はこれまで牛岳ではあまり真面目に撮影したことがなかったので、ここは初めてになります。


セットアップと撮影

設置している最中に、県天のK会長が車でやってきました。30分くらいでしょうか、少し話して、他の場所へ移って行きました。結局この日は天文勢は会長のみでした。

準備中の写真です。多分疲れてたんですね。写真ほとんど撮ってなくて、貴重な一枚です。
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日に日に月が明るくなってきてますが、アンテナ銀河は方向が違うので、まだこの程度なら許容範囲です。準備は20時頃には完了したので、子午線通過前に何枚か撮りたかったのですが、10分露光だと何故か相変わらず「子午線通過前だけ」星が流れてしまいます。これはかなり再現性があり、子午線を通過して赤道儀を反転させると流れは無くなります。子午線通過前後は鏡筒とウェイトが水平近くなり、たわみの効果などは最大になるのは理解できるのですが、これだと赤道儀を反転させてたわみがなくなる理由がわかりません。いまだに謎です。結局この日もまともな画像は赤道儀反転後のみで得られました。

アンテナ銀河の方が落ち着いてきたので、夕食をとり少し休憩。おやつはまたしても同じホイップメロンパンです。上の写真とこの写真が今回の写真全部です。ホントはもっと撮ろうと思ってたんですが、トラブルとかですっかり忘れてました。

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ASI2400MCでの青い馬星雲

22時半頃でしょうか、2台目の機材を出し青い馬を狙うことにしました。そういえば、ASI2400MCで写した三つ子銀河が好評で、もう少し借りていていいことになりました。せっかくなのでASI2400MCでの撮影です。

今回ASI2400MCのための新兵器を導入しました。ZWO社のフルサイズCMOSカメラに直接取り付けることができる、Canon EFマウント対応のアダプターです。フルサイズCMOSカメラの取り付けネジがM54で、これに対応しているアダプターを手持ちでほとんど持っていなくて、前回の贅沢電視観望でFS-60CBへの取り付けでかなり苦労したので、楽をするために購入しました。今回は撮影なので、星像がピシッと出るFS-60CBにマルチフラットナーをつけます。取り付けもアダプターのおかげで簡単で、しかも周辺減光もかなり軽減(前回は内径の小さい一般のT2アダプターを使ったので)されています。

ところが、四隅の星が盛大に伸びるんですよ。理由ははっきりしていて、今回買ったCanonマウントはEWFを使うことが前提で、EWFの幅が11mmなのでバックフォーカスが11mm足りないんです。EFWの代わりに、マルチフラットナー用のFC76の調整リングを持っていたので11mmよりは少し長いですが、それを間に入れます。すると惜しい、フォーカサーを一番縮めても少しだけ長すぎてピントが出ません。一旦リングを外したりしましたが、FS-60CBは鏡筒接眼側に20mmくらいの延長筒が標準で付いているのに気づき、それを外しました。回転装置が少し使いにくくなりますが、なんとかピントが出て、四隅の星像も遥かにマシになりました。

次のトラブルです。NINAでASI2400MCの画像が撮影には進むのですが、ダウンロードできません。ASI294MM Proは全然問題なく撮影、ダウンロードできます。ドライバーとNINAは最新のものだったので、以前のバージョンとかにそれぞれ戻しますが、いずれもダメ。何か別の問題の可能性が高いです。結局NINAは諦め、急遽SharpCapに切り替え撮影することにしました。SharpCapでの撮影でガイド時にディザーをしようとする場合、ライブスタックモードが前提となります。これがいまいちなのでこれまでSharpCapを撮影に使ってこなかったのですが、今回はディザー無しで、縞ノイズが出ることも覚悟の上、PHD2でガイドしながらの撮影となりました。

これらトラブルのために撮影を始めたのは午前0時半頃。あまり時間がなくなってきましたが、どんな画像になるのか楽しみです。
Capture_00015_00_52_55_RGB_VNG
Gain150の3分露光での、撮って出しの強炙り出しです。


初のSAO撮影

その後午前1時頃、アンテナ銀河の方がかなり西の低空に来たので、ここで終了。まだ少し時間があるので、カメラの回転角やその他設定を変えずに撮影できる天体はないか探したところ、M16オメガ星雲がちょうど画角ぴったりです。

ついでなので、連休前に手に入れた8枚対応のEFWでHα、OIII、SIIのSAOナローバンド撮影に初挑戦です。

このあと仮眠を取り始めたのですが、うとうとしながら見たHα、OIIIはかなり凄かったです。SII見てないのですが、よく考えたらHα、OIIIはBaaderでSIIのみOptlongだったことに後から気づきました。もしかしたらピント出てないかもです。

2022-05-06_02-05-31_M 17_LIGHT_S_-10.00C_180.00s_G120_0003
SIIの撮って出し、オートストレッチ。やっぱりちょっとピンボケっぽいです。
あと、思ったより暗い。同じ設定でHαは十分明るいです。


撤収

仮眠後、目を覚ましたら午前4時半近く。かなり明るくなっていて、そのまま撤収し5時過ぎに帰宅です。3つ使ったバッテリのうち、冷却とStickPCに使っていた古いやつが完全に空になっていました。

途中ファミマに立ち寄り、ゴミ捨てと朝食を買い込み、6時前に自宅に到着。買ってきた親子丼を食べ、まだかなり眠くて、そのまま寝てしまいました。

3日連続の遠征、といっても近征なのでまだかなりマシなはずなのですが、さすがに疲れてきました。でもまだ午後早い段階なので、今日こそは太陽を見ます。黒点が成長して大きくなっているみたいです。画像処理も溜まっているし、原稿書きとかも残っています。残り3日のGW、有意義に使いたいと思います。

 

少し前に網状星雲をDBP(Dual BP Filter)で撮影し、かなり青いところが出てきたことを記事にしました。



今回、星フェスの記事はちょっとお休みで、少し前に画像処理を済ませていたDBPで撮影したハートと胎児星雲のまとめです。DBPでの2例目になります。 


セットアップ

対象はハート星雲と胎児星雲。FS-60CBとフルサイズ一眼のEOS 6Dで二つぴったり入る画角になります。

機材のセットアップと言っても、実際には前回の網状星雲と全く同じです。それもそのはずで、網状星雲が西に沈んだその後、まだ高い位置にあるハートと胎児の両星雲をそのまま導入し直すだけです。なので今回の記事は書くことがあまりありません。

今回は7時間と長く撮影したので、ノイズも少なく画像処理がかなり楽でした。DBPがよく働いてくれて、Hαも一枚撮りで見てもかなり出ています。


画像処理と結果

画像処理は、まずはいつも通りPIでWBPPです。Cosmetic Corectionを外したのがいつもと違うところくらいでしょうか。でも大勢には影響がないはずです。フラット補正もうまく当たっているようで、背景もABEを1次でかけただけで、DBEもかけてません。PCCはさすがにちょっと変なけっかになりますが、恒星は擬似的に最もそうな結果にしてくれるのかと思います。その代わり星雲を含む背景はどこまであってるか分からないので、適当に補正します。基本赤が多いので、のっぺりならないように、特に青を、加えて緑も強調してやります。

結果ですが、以下のようになります。

「IC1805: ハート星雲とIC1848: 胎児星雲」
masterLight_Rsmall_ABE_crop_SCNR_ASx2_HT

  • 撮影日: 2021年10月30日1時15分-5時2分、10月31日0時57分-5時2分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB(f355mm) + マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: サイトロン Dual BP Filter
  • 赤道儀: Celestron Advanced VX
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、ISO1600、露光時間300秒x83枚 = 6時間55分、bias: ISO1600, 1/4000秒x100枚、dark: ISO1600, 300秒x76枚、flat: ISO1600, 1/100秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/100秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

7時間の露光のせいなのか、かなり淡いところまで出たのかと思います。胎児のオナラとプンプンもよく出てます。ハートの背景の淡いところもそこそこ出ています。富山は町が北にあるために北の空はいつも不利ですが、ハートと胎児はかなり北の空に近くなります。それでも光害をあまり気にせず撮影できるDBPは相当強力だと言わざるを得ません。

おまけのAnotationです。
masterLight_Rsmall_ABE_crop_SCNR_ASx2_HT_Annotated


星と自然のフェスタにて

実はこの画像、星と自然のフェスタの直前には仕上がっていて、Twitterではすでに公開していました。星フェスの準備とブログ書きなどで、結局記事にするのが今になってしまいました。

その小海の「星と自然のフェスタ」で何人かの人にDBPで撮ったと言って見せたのですが、かなり好評でした。と言っても、シュミットブースのところでDBPを買おうか迷っている人とかなのですが、後押ししてしまったのかもしれません。自己紹介用のネームプレートをつけていたので、何度か店員さんと間違われてしまったようで「これいくら?」とか聞かれてました。「いえいえい、私はただの客です」と答えるのですが、それくらい星フェスでのDBPの注目度は高かったです。


まとめ

今回はDBPで富山の北の空でも十分に結果が出ることを示すことができました。これまで北の空はほとんど諦めていたのですが、道が開けたような感じがします。今後もDBPに適した天体があればどんどん撮影していこうと思います。


自宅撮影でなんとか淡い青を出したくて、サイトロン社の「Dual BP Filter(デュアル バンドパス フィルター)」を使ってみました。


Dual BP Filter

「Dual BP Filter」はまだ9月に発売されたばかりの比較的新しいフィルターです。



48mmタイプとアメリカンサイズがあります。今回は一眼レフカメラでの撮影なので、48mmの方を使いました。

同様のフィルターにOptolong社の「L-eXtreme」がありますが、DBPの方が半値とはいかないまでも4割ほど安く、比較的手を出しやすくなっています。またDBPの特徴として、OIIIの波長495.6nmと500.7nmを両方とも透過するので、OIIIの写りがよくなるとのこと。ここら辺は後発が有利なところでしょうか。

今回はこのフィルターを使って青い星雲がどこまで出るかを試したいと思います。


自宅での青の挑戦

これまでアンタレス付近や、青い馬星雲などいくつか自宅からの青を挑戦してきました。




でもやはりなかなか難しく、例えばスパゲティー星雲などは完全に敗北でした。


そもそもHαの赤自身が淡く、さらに淡いOIIIの青は全くといっていいほど出ませんでした。

何れにせよ青い星雲を光害地でうまく出すのは相当難しく、フィルターの力を借りるなど工夫が必要となります。


網状星雲に狙いを定める

今回のターゲットは網状星雲です。赤と青の対比が綺麗で、Dual系のフィルターを手にれると一度は撮ってみたくなるという格好のターゲットです。

これは以前もCBPを使って自宅から挑戦したことがあるのですが、真ん中の淡い青が広がっているところを出すことがどうしてもできませんでした。



今回はCBPの代わりに、HαとOIIIのみを通し、さらにその透過バンド幅が狭いDBPを使っての撮影となります。DBPは48mm径のもので、FS-60CBのマルチフラットナーのところに取り付けています。


条件の比較

前回の撮影との相違点です。
  1. 鏡筒は全く同じでTakahashi FS-60CB + マルチフラットナー。
  2. 赤道儀は以前がCGEM IIだったものを簡単にしてAdvanced VX。
  3. ガイドカメラも以前が120mm+ASI290MMだったものを、50mm+ASI290MMと焦点距離を短く。
  4. 撮影カメラはEOS 6Dで同じ。露光時間も感度も同じ300秒でISO1600。
  5. PHD2のガイドは同じで、撮影ソフトもBackYardEOSで同じ。
  6. 撮影時間は前回が5時間ぴったり、今回が5分で49枚なので245分=4時間5分。少し不利ですね。
  7. 前回は8月の撮影だったのでちょうど天頂を挟んだ撮影だったので条件は良かったですが、今回は1月末から11月初めと、西の空に沈んでいくような撮影時間だったので、周りが明るく不利になります。
季節的には不利で、撮影時間は1時間減ったのでさらに不利といったところでしょうか。あとはCBPとDBPの差になります。この条件でDBPがどこまで戦えるのかが見どころとなります。


実際の撮影

実はこの撮影、一連のSCA260のテストの最中にしています。最初に買った赤道儀AVXにFS-60CBをセットしてほっぽらかしてあるだけです。網状星雲のある白鳥座は夏の星座なので、撮影時間はせいぜい0時まで。その後は次のターゲット(胎児星雲とハート星雲)に移ります。こちらのほうも撮影は終わっているので、また画像処理したらブログ記事にします。

DBPを使って撮影している最中に思ったのですが、とにかく暗いです。白色に近い恒星だとかなりの波長が削り取られるので、6Dで露光300秒、ISO1600で撮影しても、ヒストグラムは左6分の1くらいのところでしょうか。露光時間を10分にしても良かったかもしれませんが、網状星雲は画角の中に明るい輝星が一つあるのでできるだけ抑えたいところで、今回は5分としました。

星が暗いことは画像処理にも影響します。恒星と星雲の輝度差が小さいので星が飽和するまでにまだ余裕があります。そのため、いつも使っているStarNetで恒星を分離してやってマスクを作っても、その効果が大きくないかもしれません。なのでマスクなどあまり気にせず処理してみるというのも、楽でいいのかもしれません。

あと、重要なことですが、DBPを入れたことによるゴーストなどは撮影中は全く気になりませんでした。後の画像処理でも見ている限り確認できませんでした。そのため安心して使うことができるかと思います。


画像処理

画像処理の途中でStarNetを用いて恒星を消してやると、既に真ん中の青い部分はしっかりと情報として存在していることが分かります。あとはこれをどう引き出してやるかだけです。

masterLight_ABE_ABE_clone

実際には上の画像は直接は使っていません。L化して星雲部のマスクとして使っています。恒星のみ抜き出した画像もマスクとしてPhotoshop上で使っています。


実際に画像処理まで済ませたのが下の画像になります。

NGC6960, 6979, 6992, 6995: 網状星雲」
masterLight_ABE_ABE_Rhalo_PCC_ASx2_HT3_cut
  • 撮影日: 2021年10月30日18時26分-19時10分、10月31日20時6分-21時20分、11月2日19時48分-23時37分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB(f355mm) + マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: サイトロン Dual BP Filter
  • 赤道儀: Celestron Advanced VX
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、ISO1600、露光時間300秒x49枚 = 4時間5分、bias: ISO1600, 1/4000秒x100枚、dark: ISO1600, 300秒x76枚、flat: ISO1600, 1/100秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/100秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

鏡筒: Takahashi FS-60CB(f355mm) + マルチフラットナー(f370mm)
フィルター: サイトロン Dual BP Filter
赤道儀: Celestron Advanced VX
カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
ガイド: f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
撮影: BackYard EOS、ISO1600、露光時間300秒x83枚 = 6時間55分、bias: ISO1600, 1/4000秒x100枚、dark: ISO1600, 300秒x76枚、flat: ISO1600, 1/100秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/100秒x128枚
画像処理: PixInsight、Photoshop CC

真ん中の淡い青もある程度出ています。昨年CBPでここは全く出なかったので、大きな進歩かと思います。他の青い部分も今回の方が遥かにはっきり出ています。

また、周りの淡い赤も少し出ていますし、右半分の分子雲も少しですが顔を出し始めています。ここもCBでは太刀打ちできなかったところです。うーん、やはりDBPすごいです。

恒星に関しては良く言うならうるさくなく、悪く言えば元気がないです。ここはDBPの特徴でしょう。

諧調深い色に関してはやはりCBPの方が出しやすかった気がします。DBPでは2色なので赤と青のバランスをうまくとる必要があります。


いつものアノテーションです。解説が入ったみたいでかっこいいですね。

masterLight_ABE_ABE_Rhalo_PCC_ASx2_HT3_cut_Annotated1

でも少し傾いてしまっています。3日にわたる撮影で、最初に合わせ忘れてしまってそれには後から気づいたのですが、それ以降の撮影ではいじりたくなかったというのが真相です。画像処理で回転冴えても良かったのですが、今回はそこまでこだわっていないので、まあよしとします。


比較

昨年CBPで撮ったものも載せておきます。

masterLight_ABE_PCC_STR_all3_DBE4_cut
以前はそこそこ出たと思っていましたが、今回のと比べるとまだまだ全然ですね。
  • OIIIに関してはやはりDBPが圧勝です。西の空に傾くのと、トータル露光時間が短いにもかかわらず、淡いところが格段に出ています。
  • Hαに関しても相当淡いところが見え始めています。10時間くらい露光したらどうなるか楽しみです。
  • 恒星に関してはやはりCBPの方が有利でしょうか。

Dual系フィルターが便利なわけ

(2021/11/7 追記)

なぜDual系のフィルターが良いのか、この記事を書き終えた後改めて考えてみました。そもそもQBPなども含めて「ワンショットナローバンド」と呼ぶらしいです。



「ワンショット」の名の通り、一枚一枚ナローバンドフィルターを揃えなくて良いところが楽なところです。

特に広角で撮影したい場合に例えばフルサイズで撮影しようとすると、2インチクラスのナローバンドフィルター一枚一枚の値段は馬鹿になりません。一番の問題はフルサイズのモノクロカメラでしょうか。CMOSカメラでフルサイズのモノクロになってくると4-50万円コースです。

その一方、ワンショットの場合は、今回のDual BP Filterが2万円、一眼レフカメラが改造済みの6Dなら10万円程度です。この値段の差はかなりのものです。

一方、ワンショットが不利な点は、まずはカラーセンサーなので解像度が出ない点です。それでも広角で撮る場合はそこまで問題にならないでしょう。分解能が効くくらいのところで勝負する場合は、長焦点になってくると思うので、小さなセンサーサイズの方がむしろ適している場合も多く、無理に2インチクラスのフィルターを使う必要性も薄れてきます。

もう一つは、淡いところをどこまで出せるかです。これはより波長幅の狭いフィルターが選べる単独のナローの方が有利でしょう。光害地や月が明るい時にはこの差が大きくなってくるかと思います。ここのところに価値を見出すかが決め所でしょうか。それでもDual BP Filterは相当の場合において、強力にかなりの結果を出すことができて、かつ「安価で簡単」と言うところがポイントなのかと思います。

今の私だと、そこまで無理をして広角単体ナローの道に行くことは、よほどことがない限り無いのかと思います。今回この画角で、淡い青いところを出せたのは大きな成果で、かなり満足してます。

もっと狭い範囲で、例えば手持ちのASI294MM Proを使って、Dual BP Filterと単独のAOを比較するのは興味があります。純粋にDual BP Filterがどこまで迫れるかというのを見てみたいという意味です。いつか機会があればやってみたいと思います。


まとめ

DBPは色が限られてしまうので多少のっぺりするとはいえ、HαとOIIIが支配的な天体はDBPは圧倒的に強いです。一眼レフカメラで一発で撮れてしまうのも楽なところです。天体を選びますが、HαとOIIIが支配的な星雲ならかなり淡いところまで出せそうです。

できるならこれでSh2-240を狙ってみたい気がします。青いところが出るか?やるとしたらまた10時間コースですね。



今回は自宅ノーフィルターでの星雲撮影の一環です。なかなかうまく色が出ない青い星雲を狙います。ターゲットはさそり座アンタレスの上のIC4592青い馬星雲です。

といっても撮影したのは結構前で、4月10日と11日の土日、VISACでの銀河撮影(M87M104)の後の深夜からのあまった時間で撮ったものです。乙女座銀河団を撮影した時のFS-60CB+6Dがそのまま残っていたので、VISACでの撮影が終わってからポンと赤道儀に載せたものです。両日とも撮影が始まると寝てしまいました。

実はもう結構前のことになるので、状況もあまり覚えていないのですが、記録を見るとISO800で3分露光です。10日が25枚で11日が61枚の計86枚で、総露光時間258分=4時間18分です。でも画像処理をやってわかりましたが、まだ全然足りなさそうです。この日は確か2日とも結構透明度の良い日でした。それでもやはり南のそれほど高くない位置にある星雲です。自宅から南の山までの間に丸々一つ街があり、南の低い空はやはりどうしても街明かりの影響があります。時期的も4月初めは少し早く、撮影終わりの未明で南天を少し超えるくらいです。

まあそれでも寝ながらの撮影なのでダメ元、画像処理を進めてみます。PixInsightはいつも通りWBPPで問題なく進めます。苦労したのはかなり全面に渡る感じでモクモクがあるので、ABEが使えずDBEでポイント数をかなり制限してフラット化しました。あ、もちろんフラットもいつもの昼間の白い壁で撮ってますよ。それ以外はストレッチやStarNetでの星マスク作りも問題なく進みました。

まあ淡いのはPhotoshopに渡す時点で覚悟してましたが、あぶり出しはなかなか厳しかったです。

「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_DBE_PCC_ASx5_ET_HT3a
  • 撮影日: 2021年4月11日2時34分-4時27分、4月12日0時35分-4時8分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x86枚 = 4時間18分、ダーク154枚(ISO800、露光180秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク256枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
遠目で見てる分にはまだマシかもしれませんが、拡大すると荒れ荒れです。分子雲ももっと広がっているはずですが、そこまで諧調が残ってませんでした。青い星雲だからこそのノーフィルターなのですが、やはり厳しいです。もっと暗い所に行くか、自宅なら撮影時間をもっと伸ばす必要がありそうです。リベンジ案件です。

手持ちの未処理画像はほぼ尽きてきました。これから連休ですが、天気はイマイチの予報です。新しくきたFRA135も早く試したいです。 

 

今回はおとめ座銀河団に挑戦です。はてさて、うまく写るのでしょうか?

でもなんでマルカリアンの鎖でなくておとめ座銀河団?

普通はマルカリアンの鎖 (Markarian's chain) ですよね。なんでおとめ座銀河団なのでしょうか?理由は単純で、この撮影の前にカリフォルニア星雲をFS-60CBと6Dで撮っていて、それがこの季節は22時くらいで西の空の住宅の屋根にに沈んでいくので、その後にどうしようかと全く設定を変えずに試しに撮影したからです。焦点距離350mmクラスで、フルサイズのカメラだとマルカリアンの鎖よりもかなり広い範囲になります。なので「銀河団」とタイトルにしました。

設定が同じだと、バイアス、フラット、ダーク全てが使い回しができるので、かなり楽でパフォーマンスがいいのです。というわけで、露光時間180秒、ISO800、フィルターなしです(実はカリフォルニア星雲、フィルターなしで撮影してたと思ってたのですが、CBPが入っていたことに気づいて、その後本当にフィルター無しで撮影しました。これはまた後日記事にします。)。

今回こだわったのは位置です。マルカリアンの鎖はもちろん、見栄えのいいM100をどうしても入れたかったのと、M87もM90も入れたいし、反対側はNGC4216とIC3064も入れたかったのです。でもFS-60CBに1.04倍のマルチフラットナーを入れると、フルサイズの6Dでも本当にいっぱいいっぱいです。なので、ditheringの幅は相当小さくし、端が切れないよう最低限の動きにしました(このditherの小ささは後に問題となります)。それでもシャッターの影ができることはわかっているので、そこら辺は画像処理でどうにかするしかありません。

実際の撮影は?

撮影は3日に渡って行いました。
  1. 3月17日: 23時10分から23時29分まで6枚。その後曇り。
  2. 3月18日: 22時15分から23時18分まで14枚。その後曇り。
  3. 3月19日: 22時44分から翌日4時27分まで89枚。
最初の2日は雲に悩まされ枚数をあまり稼げなかったのでもうバッサリ捨てて、結局使ったのは3日目の89枚のみ。南天越えのために一度反転しています。(この反転も後に問題の一つとなります。)

明るさ比較ですが、同じISO800と同じ露光時間3分で、3月18日21時40分頃、西に傾いたカリフォルニア星雲の撮って出しJPEGだとこれくらい、
LIGHT_180s_ISO800_20210317-22h35m53s926ms
一見、ほぼ何も写ってませんね。よーく見ると淡ーいピングがあります。

一方同じ日に同じ条件で続けて撮影した、22時20分くらいの南天前のおとめ座銀河団の撮って出しJPEGはこれくらい
LIGHT_180s_ISO800_20210317-23h10m04s723ms
ずいぶん明るさに違いがあるのが分かると思います。自宅撮影の場合、暗い東から南天の少し高いところをを含む天頂過ぎくらいまでにかけてはISO1600とか3200でもいけそうです。一方南天を過ぎて少し西に傾きかけるとISO800位に抑えざるを得ないのかと思います。

画像処理ですが、普通通りPIのWBPPでスタックです。スタックしたマスターライト画像をDBEしたものを一旦見てみますが
integration1_DBE
人様に見せるものではないですね。ゴミがひどいです。しかも南天で赤道儀を反転したために、ゴミが軸対称に同じ位置に出てしまっています。しかも大きなゴミが途中で動いたのでしょう。補正しきれていない部分と、過補正のところが出てしまっています。

これを防ぐためにマスターフラットにぼかしをかけて処理したらとか考えたのですが、まずはフラット補正なしの画像を見たら、全く補正しないと細かいゴミが全部浮き出ることがわかり諦めました。
masterLight_integration_DBE1
フラット補正無し画像を、ゴミが見えるようにDBEしたもの。
フラット補正した画像よりさらにひどく、物凄いゴミの数。 

マスターフラット画像を見てみます。ABEで見やすくしますが、

masterFlat_RGB_VNG_clone_ABE
同じような位置に、やはり相当な数のゴミがあります。

今回スタックしたライト画像にゴミが目立ったことの理由の一つが、ditherの幅が小さく散らしきれていないためです。なのでフラット補正は必須になり、補正なしではさらに細かいゴミまで目立ってきてしまいます。フラット補正をしても残ったゴミについては、もう誤魔化すしかないです。これを反省して、この後6Dのセンサー面の掃除をしたので、これはまたそのうち記事に書きます。

気を取り直して、処理を続けます。今回はシャッターの影になるところも使う必要があるので、ABEではなくDBEで細かくムラをとります。暗黒帯とかない銀河の薄い方向なので、全体が一様になる方向で進めます。PIでStarNetをかけて、恒星のマスクを作り、さらにRangeSelectionで星雲のマスクを作り、Photoshotpに渡します。

後から切り出すことを考えているので、いかに小口径を取り繕う解像度を出していくかです。今回はその目的でSharpenを使ったので、解像度に関しては少しインチキしてるといえるかもしれません。

まずは出来上がり。

「おとめ座銀河団」
up_DBE_DBE_PCC_AS_HT_all_disks_back2_rot_denoise_larage_cut
  • 撮影日: 2021年3月19日22時44分-3月20日4時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x90枚 = 4時間30分、ダーク73枚(ISO3200、露光90秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO3200、露光1/1600秒)、フラットダーク256枚(ISO3200、露光1/1600秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

Annotaionも付けます。今回、これが楽しみでこの領域を撮影しました。ものすごい数の銀河ですね。PGCなんかもういくつあるのか。でも拡大するとわかりますが、小さなものは写っていないものも多いです。ここら辺は次回以降、光学系をもう少し変えて、拡大しての撮影になるのかと思います。

up_Annotated

PGCの数が多すぎるので、PGCを抜いて少しシンプルにしたものです。

up_Annotated_noPGC


切り出してみよう!

全体像だけだと個々の銀河のインパクトがないので、いくつか見栄えのする領域を切り出したいと思います。少しでも見かけの解像度を良くするために、上の出来上がり画像を拡大します。拡大にはTopaz labsのGigapixel AIを使って2x2倍の解像度にしています。ただ、このGigapixelなかなか扱いづらかったです。恒星が多少ひしゃげてしまいます。もしかしたらPhotoshopで単純に拡大した方が良かったかもしれません。

あと、切り出したそれぞれにもAnnotationを付けます。例え分割してもまだまだ銀河がたくさんあるので、名前付けも十分情報を含んでいます。それでは行きます。


1. マルカリアンの鎖付近

言わずとしれた、一番見栄えのするところです。M87とM88まで入れてみました。
03_Markarian_all

_03_Markarian_all_Annotated

2. M99とNGC4216

M99の渦巻きがかっこいいです。右下のNGC3つの存在感があります。
05_M99_wide

_05_M99_wide_Annotated

3. M87からM91一を網打尽

縦長で、連番を全部入れました。
06_M90_wide_portrait

_06_M90_wide_portrait_Annotated


4. M99とM100
渦巻きが2つ。これもかっこいいです。
04_M100_wide

_04_M100_wide_Annotated


さらに拡大

ここからさらに拡大して、もう少し細かいところに注目します。でも公開するかどうか迷いました。さすがにこれくらいになるとアラが見えます。お見苦しい点は今後の期待とし、今回はご容赦ください。

5. M99
07_M99_small

6. M100
13_M100_small



7. M88とM91
10_M91_M88

8. NGC4216まわり
08_NGC4216_small

どうでしょうか?銀河団は大枠で撮って、面白いところを切り出しても、意外に見えるみたいです。まあ、拡大しすぎると限界はありますが、4時間半という露光時間と、画像処理でのごまかしも効いていて、あまり大きな画面で見なければなんとかなりますでしょうか。


過去画像と比較して

 さて、前回おとめ座銀河団の中のマルカリアンの鎖を撮影したのが、2017年の3月なので、4年も前のことになります。



MARKARIAN_edit2

焦点距離600mmのFS-60QとAPS-CのEOS60Dでの撮影なので、今回より範囲は大分狭いです。前のときもノーフィルターでした。というより、フィルターなんか持ってなくてノーフィルターでいいのかなと、不安になりながら撮影してたのを覚えています。でも回り回って銀河はノーフィルターの方がいいのではという結論で今に至り、今回も(でも今回は自信を持って)ノーフィルターとなりました。

4年経った、今回撮影した画像から、ほぼ同角で切り出してみました。
01_Markarian_comp
切り出しにもかかわらず、今回の方が見栄えはいいです。本質的には粗く撮影しているので、いかに画像処理で出しているかだけなのですが、よく言えば技術が進んだ、悪くいえばいかにごまかせるようになったかでしょうか。

当時はAnnotationなんていう技術は知らなかったので、手で何が見えているか書き込んでいますが、これはこれでいい思い出です。

markarian_signed_final


まとめ

銀河団は面白いけれど、細かくみないと迫力に欠けてしまいます。なので今回切り出しということを積極的に試してみました。自分では面白かったかと思うのですが、どうでしょうか?

切り出した画像はそのまま見てもいいですが、次回撮影のアングルの候補としても使えます。手持ちの機材なら、焦点距離900mmのTSA-120と6Dなんかで撮ると解像度が上がって面白いかもしれません。

一枚の画像からたくさん楽しめたので、パフォーマンスがよくてなんかもうかった気分です。
 

前回撮影したカリフォルニア星雲ですが、1時間半ほどの露光とそこまで長くないので、それ相応のあぶり出しはできていて、そこまで不満はないです。それでも淡い部分、例えば画面の右下あたりに分子雲があるようなのですが、少なくとも前回の画像を見る限りノイズとほとんど見分けがつかなくて、はっきりしません。




ISOを増やしてみる

今回の目的は、露光時間は同じでISOだけを上げた場合に淡い部分が出てくるかどうかです。ISOを4倍の3200にして、同じ露光時間の3分で、他の部分は出来る限り同じようなセットアップで撮影します。例え恒星がサチっても気にしないとします。さすがに4倍もISOを変えてやれば、淡いところならば何か違いが見えるのではないかという狙いです。

撮影は2021年3月10日。まだ前回のセットアップをほとんど崩していなかったので、準備も楽なものです。撮影できた枚数は33枚、合計1時間39分なので、前回の1時間48分と大体同じです。光害地で高ISO、長時間露光で撮影しているので、画像は相当明るくなってしまいます。撮影時はこんな感じで、ヒストグラムも相当右側に行ってしまっています。

BYE01

通常はここからスタックをして画像処理に進むわけですが、前回からの違いを比較しやすいように、前回の画像と今回の画像を、Photoshopに渡す直前(PixInsightでABEとDBEをかけて、PCCで色合わせ、ArcsinhStretchまで終えた状態)まで持っていきます。Stretchの欠け具合で見え方が変わってくるので、最後に直接比較ができるようにSTFでAutoStretchをかけた状態にします。


実際の比較

前回のISO800のときと
masterLight_integration_DBE_DBE_rot_PCC

今回のISO3200のとき
masterLight_integration_ABE_ABE_cut_DBE_RGB_PCC

まず大きく違うのは、恒星の周りのにじみです。前回はかすみがあったのでしょうか?それとも黄砂?いまだに理由はわかっていません。特に、真ん中の一番明るい星の左にある明るいにじみは謎です。前回のスタック前の各画像を改めて見てみると、ditherで恒星の位置が動いても、このにじみは動いていなかったので、たまたまにじみの真ん中にあるように見える恒星はおそらく関係ありません。一番明るい恒星の何処かでの反射でしょうか?

と思って調べていたら、もう一つ決定的なミスに気づきました。なんと前回と今回の撮影、ノーフィルターかと思っていましたが、実はCBPフィルターが取り付けてありました。Sh2-240を撮影した時にCBPを入れたのをすっかり忘れてしまっていて、フィルターが入ってないと思い込んでいました。というわけで、フィルターでの反射で起きたゴーストの可能性もあるかと思ったのですが、それでも前回も今回もフィルターは入っていて、前回のみ出て、今回消えた理由にはならない気がしています。

ISOの違いがこのにじみに関係しているのか?これもよくわかりませんが、おそらく関係ないだろうと思っています。

さてにじみはとりあえず置いておいて、ここからが重要です。一見わかりにくいですが、右下のほうに恒星が見えにくい暗黒体のような部分があります。ここが今回一番比較したかったところです。わかりやすいように拡大してみました。

左がISO800、右がISO3200です。
comp

ここはISOの違いで思ったよりも差が出たところでした。画像処理の違いも多少聞いているかもしれませんが、同じパラーメータのABE、DBEを適用しています。右のISOが高い方が明らかに暗黒体を分離できていて、左のISOの低い方は暗黒体と思われるところがノイズときちんと分離できていません。もちろん(時間帯はほぼ同じですが)日にちを変えて撮影しているので天気の条件は違います。左の方が天気から来るかすみか何かが効いている可能性も否定しきれません。

ですが、この暗黒体のような淡い天体に関しては、スタックによって軽減するスカイノイズ、ショットノイズなどは関係なくなっていき、最後はシャッター枚に必ず加算される読み出しノイズとの戦いになります。高いISOもしくは高いゲインでは入力換算で考えたときの読み出しノイズは小さくなることは一般的にわかっていて、今回のようにISOで4倍の差だと、特にISOが低いところではノイズが4分の1になります。ISOが大きいところだと、読み出しノイズは一定値に漸近していくため、その効果は小さくなります。EOS 6Dで測定された読み出しノイズを調べてみると、ISOが800から3200の場合は4.45e-から2.30e-に下がるそうなので、約2倍程度よくなるようです。

このように、見たい対象が暗くて読み出しノイズと同程度の場合にはISOを上げることが効果がある場合があります。逆に言えば、ISOを上げようが下げようが、明るい星雲とかでは差はほとんど分からなくて、差が顕著になるはずの相当暗い部分にいったっても、高々これくらいの差しか出ないわけです。

と、一応理屈通りに見える結果は出ました。というか、最初にISO800で見えるはずの暗黒体がなんか見えているような、見えていないような状態だったので、同じ露光時間で飽和しない限界のISO3200で何か効果が見えるのではないかと思ってやってみたわけです。でも、先にも書きましたが、天気の差の可能性も捨てきれないので、もう少し検証が必要かと思います。


最後まで仕上げてみる

さて、今回撮った画像を仕上げてみます。

Image66._ASx2_HT2

  • 撮影日: 2021年3月3日20時23分-22時15分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: SIGHTRON CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x33枚 = 1時間39分、ダーク39枚(ISO3200、露光90秒、最適化あり)、フラット128枚(ISO3200、露光1/800秒)、フラットダーク128枚(ISO3200、露光1/800秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

恒星に関しては明らかに今回の方が変なにじみもなくまともです。また暗黒体も上で見た途中経過だけでなく、仕上げた時でもやはり前回よりはっきり出ました。それと同様の効果でしょうか、星雲部の淡い部分もやはり前回よりも明らかに自然に出ています。前回はノイズに埋れているところを無理やり出した感満載でしたが、今回は少しはましになっています。

逆に唯一前回よりもダメだったことは、恒星の中心部の飽和が増えたことでしょうか。前回はほとんど気にならなかったのですが、今回は途中ピンクスターを除去する処理を加える必要がありました。


まとめ

前回、今回と、ISOを変えて他はできるだけ同条件で撮影してみました。

結果としては、やはり淡い部分を出したい場合には、読み出しノイズが効くようなレベルであれば、理論通りISOを上げた方が得するようです。今回は自分が思っていたたよりも違いが大きく出ました。

もちろんこの結果が全てと言うわけではなく、条件によって有利不利はあるかと思います。特に読み出しノイズに制限されていないような状況や、一枚の画像の中でも明るい部分などは、差はほとんど出ないでしょう。

また、今回の結果も天候に依存する可能性もあり得るので、ISOがどこまで効くのかというテーマについては、もう少し結論は先延ばしにしたいと思います。


3月3日の雛まつりの日の夜、月の出が22時18分なので、夕方から準備すればしばらくの間撮影できそうです。狙いは迷ってましたが、早い時間なので季節遅れのカリフォルニア星雲にすることに。結構大きいので、FC-60CBと6Dで視野角的にもちょうど良さそうです。今回も狙いは自宅でフィルターなしでどこまで写るのか? (2021/3/19 追記: 勘違いで、CBPが入ったままでした。)ISO800で、露光時間3分にして、6Dのヒストグラムで見て一番明るい青が1/3くらいでした。

前回Sh2-240を同じセットアップで撮っていて、まだ機材はそのままの状態でほとんど残っています。なので、準備も時間で済み、仕事から帰って、夕食後から用意しても20時過ぎくらいには撮影を開始できました。撮影時間はちょうど月が昇る22時半ころまで。実際には西に傾き屋根に隠されて終了となりました。その後すぐに空が霞んできて曇りのようになったのでここで撤収です。

後でチェックしてみると39枚撮影して使えるのは36枚。3枚は屋根が入っていました。星像が流れているようなものはありません。後半になるに従って西の空に傾くので明るくなってきてしまうのですが、今回はそれらも全部使うことにしました。


WBPP 2.0

次の日フラットとフラットダークを同ISO800、1/400秒で128枚撮影し、ダークは以前撮った同じ範囲の温度をものを使用してWBPP(WeightedBatchPreprocessing)で処理。最近WBPPがメジャーアップデートされて2.0になり、かなり変更がありました。以前のバージョンから使っている人はまあ普通に使えるかもしれませんが、1箇所だけ注意。全てのファイルを登録後、新しくできたControl PanelタブのFLATのところでファイルを選択すると右側にオプションが現れます。これまではライトフレームはカラーかどうか選択するためにCFAオプションがあったのですが、今回からFLATもCFAが選べるので、もしフラットフレームもカラーで撮影したなら必ずCFAオプションにチェックを入れます。

今回のバージョンから処理過程を図にしてくれるのですが、FLATのCFAがオフのままだと下の写真のようになって、フラットが適用されていないのが分かります。

IMG_1943

きちんとFLATのCFAをオンにすると
IMG_1942
のように、きちんとフラットが適用されていることがわかります。

さて、その下のSeparate CFA scalling factorはまだよく理解していないのですが、とりあえず今まで通りオフでやってみました。ただ、オンにするとRGBで別々の係数を使い、オフだとまとめて一つの係数を使うということです。今回のフラットフレームはカラーバランスが取れていないので、もしかしたらオンにした方がいいのかもしれません。


あとは画像処理

出来上がったライトフレームをいつも通りDBE、PCC、ArcsinehStrech、HT、StarNetなどで処理をして、Photoshopに渡してさらに炙り出し。とりあえずできたのがこれです。

Image53_2

恒星がいまいち鋭くないとかいくつか不満はありますが、これはこれで完成です。さあ、ブログと書こうと今に至っているわけですが...

あれ?ダークがおかしい

...と(既に画像処理も終えて、このブログを書くために改めてダークファイルの数を)チェックしていて変なことに気づきました。WBPPのControl PanelにmasterDarkが多数枚登録されているのです。

IMG_1947

そしてDarksタブを見てみると露光時間ごとに一枚づつ、多数のmasterDarkが登録されているのが分かります。

IMG_1946

ところが、試しに今回撮影したフラットフレームとかライトフレームを登録してもこんな変な状況にはなりません。ダークフレームのみこのような状況になります。

ファイル名からdarkというのを取り除いたり、ヘッダ情報を見たりいろいろしたのですが、原因はもっと単純なことでした。ダークファイルが存在する上流のフォルダ名に一つでも「master」という文字が含まれているとこのような状況になってしまうようです。例えば今回は以前撮ったダークフレームを使い回したために「master」というフォルダの下に、さらに露光時間やISO別に幾つかのフォルダに分散してためてあったものを使ったために起きた問題でした。例えば「master」を「mas」とか抵当に名前を変更してダークフレームを登録するだけで、masterDarkでない普通のダークフレームとして登録されます。

さてさて、間違った多数の1枚偽masterDarkファイルで処理したものときちんとダークを登録して処理した画像と、で画像の差はあったか興味がある方もいるかと思います。拡大すると正しいダークを登録した方が明らかに黒い小さな点がなくなる、もしくは緩和されていました。差がわかる部分を拡大して比較ものが下の画像です。左が間違ったもの、右が正しいものです。このような小さな点が画像全面に散らばっています。

comp

ただ、最終仕上げに影響があるかというと、ドット単位くらいの話ですし、間違ったダークと言っても多少の補正はできているので、拡大してじっくり見ない限りはわからないレベルでしょう。

ちなみにこの「master」というフォルダ名、ダークだけでなく、バイアスやフラットを登録する際にも全く同じことが起きて、いずれもマスターファイルとして認識されてしまいます。これだとあまりにも制限が多いので、そのうちもう少し良い方法で解決されると思いますが、PixInsightを使う際にはmasterというのは特別な意味を持つので、むやみやたらに、少なくとも読み込む画像ファイルに関するところには使わないほうがいいでしょう。


仕上げ

このあとまた一通りの炙り出し過程をすませ、不満だった恒星部をもう少し出します。ついでに赤いところももう少しだけ。

master_cut_rot_DBE_DBE_PCC_SCNR_ASx4_HTx2_CT2
  • 撮影日: 2021年3月3日20時26分-22時29分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒:Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: 無し SIGHTRON CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x36枚 = 1時間48分、ダーク50枚(ISO800、露光180秒)、フラット128枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク128枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AI
Dark補正の違いはほぼ何も影響がないですが、2回炙り出しをやったのでいい訓練となりました。自宅でフィルターなし、2時間弱でこれくらい出るのなら、気楽でいいのかもしれません。

それでもやはり背景はノイジーなのは否めません。分子雲がもう少しあるはずなのですが、もっとはっきり出す技術をまだ確立できていません。今回2時間弱と短かったので、まだまだ撮影時間を伸ばしてみるのもいいのかもしれません。もしくはISOをもう少し上げて恒星がサチるのには目をつぶり、背景を重点的に出すことを考えてやってみるのもいいのかもしれません。

あ、そうだ真ん中らへんの一番明るい星の左のなぜか明るく見える星。ここだけボワッとにじみが出ています。そもそもこんなに明るい星でもないですし、もっと明るい星でもこんな滲みは出てません。ここのファイルはそれほど目立つにじみでもなく、いまだになぜか理由がわかりません。とりぜず理由がわかていないのでそのままにしています。

いつものAnotationです。

master_cut_rot_DBE_DBE_PCC_SCNR_ASx4_HTx2_CT2_Annotated


過去画像との比較

2年ちょっと前の2018年11月に撮影したカリフォルニア星雲です。

NGC1499_CUT

これは直接比較していいものなのでしょうか?記録を見ると撮影時間30分となっています。露光時間も約4倍、画像処理も今と全く違うので、淡いところも全然見えるようになっています。さすがに今回の方が圧倒的に進歩していますね。


まとめ

PixInsightのWBPPですが、まだメジャーアップデート直後でこなれ切れていない気がします。自分の慣れのこともありますし、また不具合などもあると思ってしばらく付き合っていくべきでしょう。

実際にはこれまであやふやだったフラットのCFA処理とかもはっきりしたり、コントロールパネルも見やすくていいです。これからもWBPPの進化に注目していきたいです。



カリフォルニア星雲(2): 撮り増し」に続く
 

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