ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:CGX-L

先週末に開田高原に遠征した際に撮影したM81です。撮影時の様子は前回の記事に書いてるので、今回は主に画像処理についてです。



WBPPとLRGB合成

今回は撮影した画像はLRGBに加えて、赤ポチをアクセントに加えたいのでHαも撮っています。

撮影中のNINAの画像ですが、5分の1枚どりなのでに以前自宅で3時間分をスタックしたのに迫るくらいの淡いところが出ています。撮影中からこれは期待できそうだという感触でした。
Fm_6VpNacAM0yEK


画像処理はPixInsightのWBPPでLRGBAいっぺんに処理します。

L画像を撮影している際の午前2時半頃に子午線で反転した際に、どうやらカメラが回転してしまったようです。光条線ではほとんど目立ちませんでしたが、強度にストレッチしたら画像周りに三角形でS/Nが悪い部分が見えたので、少し余分にクロップしています。

できたL、R、G、BをそのままPIのLRGBcombinationで一気に合成してしまいます。RGBの色バランスが例えずれていてもSCPPで背景のニュートラルまでふくめて調整できることと、彩度は保たれていることは検証してあるからです。


SPCCの参照銀河

SPCCで参照銀河を平均とM81のSa型で比べてみました。

平均:
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCave

Sa型:
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa

やはり少し違いが出ます。Sa型の方がより青く出るようです。銀河によってタイプを変えることで、より近い色になるのかと思います。今回はSa型を採用しました。


NoiseXTerminator

ノイズ処理でよく出てくる不自然なモコモコはあまり好きではないのですが、ツールを色々変えてもどうしてもある程度出てきてしまいます。NoiseXTerminator (NXT)も例外ではないのですが、の値を例えば0.75などの大きくして一度にかけるのではなく、例えば0.25とかして3回かけた方がいいようです。

NXTをかける前:
Image09_ABE_ABE


Denoise:0.75, Detail:0
Image09_ABE_ABE_NXTx075

Denoise:0.25x3, Detail:0
Image09_ABE_ABE_NXTx025x3

0.75一回の時は明らかにノイズ処理によりのっぺりしていますが、0.25が3回の時はあまり大きな構造は見えず、ノッペリ感もなく、適度に細かいノイズは除去されています。

まだ最適な使い方はよくわかりませんが、Denoiseの度合いとかける回数である程度の空間周波数の調整はできそうなことがわかります。


結果

出来上がった画像です。


「M81:ボーデの銀河」
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa_BXT_MS_SCNR6


  • 撮影日: 2023年1月21日21時19分-22日5時22分
  • 撮影場所: 長野県開田高原
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L:28枚、R:12枚、G:11枚、B:12枚、Hα:6枚の計69枚で総露光時間5時間45分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L:0.001秒、128枚、RGB:0.01秒、128枚、Hα:20秒、17枚(dark flatは32枚)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

反省点です。
  • 背景のモクモクがやっと出たのはかなり嬉しかったです。昨年5月に自宅で撮影した時はどうやってもカスリもしなかったので、開田高原で撮影した甲斐がありました。その一方、まだかなりノイジーで今回は画像処理で誤魔化しているところがあるのは否めません。L画像だけで10時間とか撮影したくなってきます。
  • 背景に緑色の構造が見えます。これが本当に正しいのか?形はあっているようですが、色がこれでいいのかまだよくわかっていません。ゴースト星雲の時もそうだったのですが、WBPPのLocal Normarizationが悪さをしている可能性があります。もしくはフラットを使い回しているので、合っていないのかもしれません。
  • 恒星が少し不自然です。今回MaskedStretchを使ったのですが、どうも暗くなって迫力にかけます。最近はHistgramTransformでわざとサチらせた方が自然に見える気がしています。まだ恒星処理は下手です。
  • 恒星があまり綺麗でないもう一つの原因が、背景を相当炙り出しているからです。今回スターマスクの類を使わなかったのですが、スターマスクを使ってもう少し丁寧に処理した方が良かったのかと思います。
  • BXTで恒星を小さくできるのですが、小さすぎておかしくならないように多少加減しています。でも後の炙り出しで多少見かけが大きくなることがあるので、リニアの段階ではもう少し小さくしていいのではと思いました。
  • 右上に斜めに走る2本の光が入ってしまっています。RAW画像を見るとL、G画像はほぼ全て、B画像は後半のもので確認できました。RとA画像には入っていませんでした。どうも漏れ光の疑いがあります。原因究明と、フラット取り直しが必要そうです。
  • 昨年春の撮影(結局お蔵入りしたもの)はM82とモザイク合成することを前提にセットで撮っています。自宅と開田高原で背景にこれだけ差があると、おそらく自宅でとってもモザイク合成するのは難しいでしょう。もう一度あの寒いところに行くか?それとも春を待って飛騨コスモスで撮るか?迷うところです。

恒例のAnnotationです。画像処理での回転補正なしですが、縦横もかなり合っていますね。
Image09_LRGB_crop_ABE1_ABE2_SPCCsa_BXT_MS_SCNR5_Annotated


Integrated Flux Nebula

銀河周りにある淡いモヤモヤですが、「Integrated Flux Nebula」と呼ばれていて、略して「IFN」とか、「IF Nebula」とか言うようです。日本語ではなんて言うんでしょうか?調べてみたら「銀河巻雲」という言葉が出てきました。

IFNが認識されたのは結構最近とのことで、文献を見ると2005年が一番古いようで、その著者のSteve Mandelによって名付けられたようです。彼のスライドを見ると例が出ています。一見の価値ありで、アマチュア天文に関しても少し触れられています。

基本的にはIFNは我々の銀河系の外広がっているもので、天の川全体からのエネルーギーによって照らされているということです。

M81、M82まわりのINFが有名みたいで、上記文献でも表紙にM81とM82が出ています。星雲本体を超えて、もっと相当広い範囲にわたって広がっている星雲全体を言うようです。今回はそのうちのM81本体のごく一部が出てきたということです。文献に「我々が思っているより多くの星雲がある」と書いてあり、さらにプロもそれに続けと書いてあるので、もしかしたらアマチュアの結果が先に出てきたのかもしれません。そういった意味では我々アマチュア天文家としても非常に興味深いものになるのかと思います。暗い空が必要ですが、IFNをターゲットとして、短焦点でもっと広い範囲を長時間かけて撮影してみるのも面白いのかもしれません。


まとめ

背景に関しては自宅では絶対出そうにないところまででているので、寒い中撮影した甲斐が十分にありました。やはり暗いところで撮影するのは十分に価値のあることだと思います。

IFNをターゲットに少し挑戦してみたくなりました。焦点距離は400mm以下でしょうか。手持ちで単焦点であまり明るい鏡筒がないので、できればε130とかが欲しくなります。

明るい対象は自宅で、淡いものは遠征でという使い分けを今後していくことになるのかと思います。そのためには遠征前にターゲットを十分に吟味しておくべきです。でも今回なんか、その場でM81に決めたので、これじゃあダメですね。


今回はケフェウス座のSh2-136: ゴースト星雲です。撮影したのはもう結構前で、10月終わり頃になります。

前後関係で言うと、自宅でSCA260で撮影したアイリス星雲とセットで撮影したもので、その意味ではもっと早く処理していても良かったものです。


現実的には撮影後に、小海の星フェスや皆既月食など、他にも色々忙しくてなかなか取り掛かることができなかったという理由もあります。最近のBlurXTerminatorが結構凄そうなので、少し試してみたくなり、時間の取れる年末年始に画像処理を進めてみました。


R画像?

撮影は10月25日の夜と、26日の夜の二日に渡っています。アイリス星雲を撮影していたセットアップのままなので、特に何か変更するでもなかったです。

画像処理を進めていくと、なぜかR画像のみ右上に変なスジが残りました。
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-300.00s_FILTER-R_mono

最初は単にアンプグローの残りかと思ったのですが、そうだとすると2つ奇妙なことがあります。一つはGとBにこんなスジは全く出ていないこと、もう一つはダークフレームで見たアンプグローとスジの方向がずれていることです。R画像のスジは全部下向きですが、ダークフレームの筋は放射状に広がっていて、上剥き成分もあります。重ねて比べてみると、上向き成分のあるエリアでもR画像では下向き成分になってしまっているので、アンプグロー起因でない可能性が高い気がします。多数スタックで画角がずれてスジもずれたことも考えましたが、明らかに画角ずれ以上にスジがずれています。

こうなるとRフィルターが何か悪さをしているのかと思ったのですが、この前に撮影しているアイリス星雲のR画像にも、この後の同じ日に撮影している燃える木のR画像にも、そんなへんなスジは見当たりません。そうすると本当に存在するスジかとも思ってしまいますが、他の方の、かなり炙り出してある画像を見てもそれらしいものは見当たりません。釈然としませんが、今回は画像処理で誤魔化すことにしました。


USBケーブル

もう一つトラブルを思い出しました。ゴースト星雲と燃える木の撮影ターゲット切り替えの時に一つやらかしたことです。USBケーブルが引っかかってしまいました。

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子午線反転のところは必ずその場にいるようにしているのですが、ターゲット切り替えは部屋の中からリモートでやっています。中途半端に垂れ下がっているケーブルが赤道儀の出っ張りに引っかかったようです。ターゲット移動のときにカメラの映像を見ていたのですが、突然変な感じで映像が止まり、接続が切れたみたいだったのでもしやと思って外に出たら、案の定でした。幸いケーブルの方が破損しただけで、肝心なカメラの端子は無事で、USBケーブルを交換して接続し直したらきちんと認識され、撮影も可能でした。ケーブルの方を弱く作ってくれているのかと思いますが、こういったところはありがたいです。

反省点としては、
  • ケーブルの設置はきちんと弛まずに、かつ回転を妨げないようにすること
  • ターゲット移動の時もきちんと現場にいること
などしょうか。


SPCCの意義

新たにPixInsightで実装されたSPCC(SpectrophotometricColorCalibration )は、かなりすごいですね!懸案だったフィルター補正の機能をうまく実装したと思います。かなり原理的に正しい色に近づく可能性が高くなったと思います。

「PCCは科学的に正しいことをしているので、出来上がった色はおかしいはずがない」とかいう意見もちらほら聞きましたが、実際には全然そんなことはなかったということです。以前からPCCでは基準となるカメラと、個人が撮影するカメラの波長に対する応答が違うので、その分の色ズレが原理的に起きてしまうという主張をしていましたが、その機能が見事に実装されています。


個々のカメラの応答をデータとして持ち、参照カメラとの差を補正しない限り、正しい色にならないということです。今回のSPCCでは、実際に個々のフィルターやセンサー特性をデータベース化して持とうとしているため、原理的にも正しい方向に大きく進んだわけです。

さて、どれくらいの機能が実装されたのか、SPCCを使って実際に色合わせをしてみました。SPCCのインストール方法や、巨大なガイアのデータを落として使えるようになるまでは、マニュアルを見ればすぐにわかりますし、日本語の解説ページもいくつかありますのでそちらに任せるとして、使ってみてのポイントだけ少し書いておきたいと思います。

まず、プレートソルブがScriptのImageAnalysisにImageSolverに集約されたことです。これまではPCCは専用のプレートソルブ機能を持っていたのでですが、SPCCはもちろん、PCCもあらかじめ別途ImageSolverを走らせておかなければ、使うことができないようになってしまっています。このことを知らなければ、これまでのユーザはとまどうかもしれませんが、これは正常進化の一環で、一度わかってしまえばこれ以降特に問題にはなることはないはずです。

一番戸惑うところは、フィルターの選択でしょう。デフォルトはソニーセンサーのUV/IRカットフィルターになっています。今回の撮影ではASI294MM Proを使っているので、最初はここら辺から選ぶのだろう考えました。UV/IRフィルターは使っていないので、フィルターなしのソニーセンサーのRGBで試しました。フィッティンググラフは以下のようになります。
SPCC_Sony_RGB
ですが、これを見ると、明らかにフィッティング直線にかなりの星が載っていないことがわかります。

フィルターの選択肢をよく見ているとBaaderというのがありました。よく考えたら今回使っているカメラはモノクロで、応答の違いは主にRGBフィルターで起きていると思うと、使っているフィルターに応じて選ぶ方が良さそうです。実際に今回使ったはBaaderのRGBフィルターだったので、RGBそれぞれにBaaderを選んでみることにしました。すると以下のように、ほぼ全ての恒星がフィッティング直線に載るようになり、少なくともこちらのBaaderを選んだ方が正しそうなことがわかります。
SPCC_Baader
でもこれ、よく考えるとモノクロセンサーの特性は考慮していないんですよね。量子効率はソニーセンサーの選択肢がないので、理想的な場合を選びました。この場合量子効率は全波長で100%とのことなので、やはりセンサーの応答は実際には考慮されていません。

一眼レフカメラは、ある程度専用フィルターファイルが用意されているようです。でもCMOSカメラに関しては、一部のソニーセンサーの型番は専用フィルターを用意されているようですが、基本的には代表的な設定で代用しているので、まだまだ今後発展していくものと思われます。もしくはフィルターファイルは自分で用意できるようなので、実際に使っている環境に応じて自分でフィルターを書くことがいまの段階では正しい使い方と言えるでしょう。

重要なことは、考え方自体は真っ当な方向に進んでいて素晴らしいのですが、まだSPCCは今の段階では色合わせについては完璧はないということです。今後少なくともフィルターファイルが充実して、例えば複数選択できるなど、柔軟に対応することなどは必須でしょう。その上で多くのユーザーレベルで実際の色合わせの検証が進むことが重要かと思います。今後の発展にものすごく期待しています。

さて、PCCとも比較してみましょう。PCCでのフィッティングのグラフを示します。
PCC
SPCCに比べて一見ばらけていて誤差が多いように見えますが、縦軸、横軸のスケールに注意です。SPCCはかなり広い範囲をみているので、直線に載っているように見えるだけで、スケールを合わせるとばらつき具合はほとんど変わりません。実際に色合わせした画像を比べても、少なくとも私の目では大きな違いは見えません。

SPCC:
Image05_crop_ABE_ABE_SPCC_HT

PCC:
Image05_crop_ABE_ABE_PCC_HT

PCCは各恒星の点が2つのグループに分かれたりとフィッティング直線に乗らないケースもよくあります。そんな時はどうしようもなかったのですが、SPCCではそれらを解決する手段が手に入ることになります。SPCCは手持ちセンサーのデータを持つことで、色を正しい方向へ持っていこうとしています。科学的に正しい方向に進むのはいい方向で、少なくともそういった方向が選択肢として選べることは素晴らしいことだと考えています。

SPCCだけでもうかなり長くなってしまいました。続きもまだまだ長くなりそうなので、今回の記事はここまでにします。次は主にBlurXTerminatorについてですが、こちらもなかなか面白いです。

3波ナローバンドの作例も3つ目になります。今回はケフェウス座IC1396の中にあるVdB142: 「象の鼻星雲」になります。

IC1396

IC1396といえば、以前撮影して記事にしています。6月初めの記事で、撮影したのが5月28日の夜です。



大きな星雲なので焦点距離370mmのFS-60CBに、フルサイズのCMOSカメラASI2400MCで撮影しています。Annotationしていなかった(当時うまくできなくて、今回Alignment algorithmをpolygonsで試したらできました)ようなので、ここで示しておきます。

ABE_PCC_ASx5_HT_starreduction_SCNR3a_tw_Annotated

今回の象の鼻星雲はこの中にあり、ちょっとわかりいくいですが、右側から中心に向かって伸びています。画像の中のVdB142と書いてあるところが先端になります。今回の象の鼻星雲の撮影日は5月31日の夜で、実は上のIC1396を撮影してからすぐに撮っていますが、画像処理は随分とかかってしまいました。


SAO合成

前回までにM17: オメガ星雲NGC6888:三日月星雲とナローバンドを試してきましたが、いずれもまだ手法を探っている状態で、しかも三日月星雲はSIIにほとんど何も写らないことを撮影後に理解し、かなり迷走状態でした。



今回の象の鼻星雲はナローバンドでの作例も豊富で、満を辞してのSAO合成となります。1枚あたりの露光時間はこれまでの10分から5分にしています。10分だとそこそこ長くて採択率も少し下がります。また、星像が肥大しがちなのが気になっていました。私はあまり恒星の処理が得意でないので、もう少し短い方がいいと思い、今回半分の長さにしてみました。微恒星の数が減るかもしれませんが、結果を見る限り5分の方が星像は綺麗に出るようです。

実際の撮影は、夜の前半にSCA260+ASI294MM ProでM82を撮り、その後設定はまるっきりそのままに夜中から象の鼻星雲に移って撮影を続けます。平日の自宅なので撮影開始で寝てしまい、朝に片付けです。

採択/撮影枚数はHα:10/10枚、OIII:9/10枚、SII:9/10枚で、総露光時間は2時間20分と大した長さではありません。結果を見ても少しノイジーなので、もう少し撮り増しして撮影時間を伸ばしてもよかったかもしれません。実際次の日に撮影したのですが、風が強く7枚撮った時点で撤収、後から見てもブレブレで使い物にならなくて、結局画像処理には最初に撮った日の分だけを使っています。

スタック後のHα、OIII、SIIをオートストレッチしたものをそれぞれ見比べてみましょう。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-300.00s_FILTER-A_Mono

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-300.00s_FILTER-O_Mono
OIII

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-300.00s_FILTER-S_Mono
SII

SIIは相変わらず淡いですが、それでも明らかに模様が見えています。今回はやっと期待ができそうなので、迷わずにSAO合成一本で行きます。


画像処理

まずは普通にRGBにSII 、Hα、OIIIを1:1:1で割り当てます。すると、強いHαを割り当てた緑がやはり主になってしまうので、のんたさんがM17の時のコメントでアドバイスしてくれたように、PixInsightのSCNRで緑のノイズをAmplitude1.0で除いてやります。そうすると淡いですが青とオレンジが残り、ハッブルパレットのような色調になりました。

こうなれば、あとは彩度を出していくだけで、特に色バランスをいじることなく青とオレンジの対比が綺麗な仕上がりにすることができました。

特に今回の画像処理は相当シンプルで、DBEはおろかABEもしていなくて、定番のPCCやクロップもしていません。一応全部試した上で、ない方がいいという判断です。その代わりDeconvolutionとEZ star reductionをかけて細部を出しています。マスクはStarNetのV2で恒星を分離したものだけを使いましたが、その他星雲マスクなどは使っていません(というか、全面モクモクしているので使えませんでした)。ストレッチは主にArcSinhStretchで、恒星の芯を出したくて最後にHistgramTransformationを使っています。

その後はPhotoshopに渡しましたが、彩度出しが主で、他に大したことはしていません。結果です。

Image05_SCNR_ASx4_HT_SR_bg4_low
  • 撮影日: 2022年6月1日0時29分-3時2分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、Hα: 10枚、OIII: 9枚、SII: 9枚の計28枚で総露光時間2時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
SAOならではで、Twitterで初期出しした時より少し派手目の色使いとしています。露光時間が短くまだノイジーなのは否めませんが、構造もかなり細かく出ていて、この露光時間と自宅での撮影でここまで出るは、さすがナローバントといったところでしょうか、自分的にはかなり満足です。


Annotationです。
Image05_SCNR_ASx4_HT_SR_bg4_Annotated


忍者星雲

画像処理が一段落して一度Twitterに投稿したときに、海外の方からNinjaに見えるとの感想がありました。私は色使いが忍者かと思ったのですが、形が似ているというのです。

頭巾を被った片目の忍者が立っていて、右腕が下に伸びていて、腕の先に刀を下向きに持っているとのこと。

だめですね、一度そう見えると本当にずっとそう見えてしまいます。しかも雲隠れする直前の忍者に見えてきました。その後、彼と色について少しやりとりしました。忍者の服の色って黒だけでなく、濃紺だったり、濃い柿の色だったりするんですよね。これがハッブルパレットの青とオレンジの対比に結構ぴったりだと思ったのです。もちろん自然の色ではないので、忍者の服の色と言うには強引かもしれませんが、ここまでくると他の方の写真の色違いのを見ても、もう忍者にしか見えなくなってしまいました。

彼がいうには「Ninja Nebula」と言った方がいいのではとのことですが、私は「象の鼻星雲」という名前を尊重しています。でも忍者にも見えてしまうので、別名で忍者星雲もいいかなと思えてきました。

皆さんどうでしょうか(笑)?


まとめ

今回やっと青とオレンジのハッブルパレットっぽいのが綺麗に出たのが嬉しかったです。過去のSAO2作品ではどうしても納得できなかったのですが、やっとSAO合成の面白さを味わうことができてきたかと思います。忍者に見えるのも面白いです。

とりあえずナローバンドの撮影ストックはここまで。あとはDSOはRGBでM81とM82が残っていて、天の川関連がもう少し残っています。全然晴れないので、焦らずゆっくり進めていこうと思います。



ナローバンドをもう少し試してみる

ゴールデンウィーク後、しばらく晴れていたので自宅での撮影を続けていました。夜中から過ぎからのNGC6888三日月星雲でナローバンド撮影です。前回の記事がM17のナローバンドだったので、こちら方面をもう少し掘り下げるために、他に待っている未処理画像もありますが、三日月星雲を先に処理します。





三日月星雲

三日月星雲は2年ほど前、CBPを試す一環でTSA120とASI294MC Proで、自宅で撮影しています。カラーで手軽だったのですが、背景の青いところはモヤッとしか出なくて悔しかったことを覚えています。でも青いのが出てるのはほとんどナロー撮影で、カラーで青が出ただけでもましで、いつかナローで撮影したいと思っていました。





撮影

カメラはASI294MM Pro、ゲインは120、露光時間は10分と、これまでのSCA260での撮影での標準的な設定です。なのでダークはこれまでの使い回し、フラットもM17で撮影したもの使い回しで済むので楽なものです。

何で対象を三日月星雲にしたかはあまり覚えていません。多分ですが、
  • その頃は前半はM81やM82を撮影していて、条件的に後半の夜中に上に昇ってくるもの。
  • 画角的に1300mmの焦点距離に合うもの。
  • 5枚用だったフィルターホイールを新調して8枚装着できるようになり。
  • やっとOIIIとSIIが入れ替えなしに撮影できるようになったので、やはりナローを試したかったこと。
  • 自宅なので明るい北側でないこと。
くらいでしょうか。今思うと、ナローなので多少明るくても、月が出ていてもあまり関係なかったかもしれません。むしろ新月に向かうような時期だったので、RGBとかブロードの方がにしておいた方がもったいなくなかったかもしれません。でも0時過ぎからのついでの撮影みたいな気分だったので、まあよしとします。

記録を見ると撮影は自宅で3日に渡っています。どれも前半の撮影(M82)を終えた0時過ぎからで、平日か次の日仕事の日曜なので、セットアップだけして寝てしまっていたはずです。


画像処理

撮影枚数と処理に回した枚数はHα:12/15枚、OIII: 13/15枚、SII: 13/15枚なので、10分露光としては十分な採択率です。合計6時間20分になります。

Hα、OIII、SIIの順でスタック済みのものを見てみます。

A

O

S

今回はそれぞれ2時間強と露光時間もかけているので、横シマのノイズが見えることはありません。それでもSIIの淡いこと淡いこと。これだと実際にはほとんど効かないですね。どうしたらいいものなのか?

とりあえず処理は簡単なAOOから始めます。目的は背景の青を出すことですが、OIIIはその目的を託すくらい十分に撮れていることがわかりました。

「NGC6888: 三日月星雲」
Image11_ABE1_PCC_ABE4_cropped2_mod
  • 撮影日: 2022年5月25日1時8分-2時59分、26日0時33分-2時56分、30日0時37分-3時0分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、Hα: 12枚、OIII: 13枚、SII: 13枚の計38枚で総露光時間6時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

さすがAOOです。脳味噌みたいなシワシワも、CBPでは出なかった背景の青も、形がきちんとわかります。

恒例のAnnotationです。

Image11_ABE1_PCC_ABE4_cropped2_mod_Annotated

ちなみに、2年前の画像がこれ

masterLight_ABE_PCC_STR_SNP10_cut

この時は本体の背景の青が全然はっきりしていなくて、ぼかしてごまかしています。なので今回は自己ベストと言っていいかと思います。

でも実は今回、画像処理で相当てこずっていて、1週間くらいの間に4回やり直して、やっとトータルで前の結果を超えたと思えました。決め手は休日の楽しみのコメダ珈琲。この日も朝昼ごはんでカツカリーサンドです。お腹一杯になりました。
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写真を見てもわかりますが、久しぶりに落ち着きながら画像処理ができました。今回のポイントはマスクをいかに上手く作るかでした。三日月星雲は星雲本体と背景で出したい分解能が大きく違いますし、各色で色の淡さも大きく違います。焦ってやってはダメですね。1週間くらい悩んでたのが、コメダに来てやっと解決しました。


3波での完全迷走状態

一方、3波合成は相当な迷走に入ります。試しただけでも
  1. SAO
  2. Sが淡いので、SAOのRにおいてAを5割としたもの
  3. OSA
  4. OSA reverse(あぷらなーとさん記事参照)
  5. AOOで見栄えがいいので、その逆のOAA
  6. AOOのRとGにSを3割としたもの
  7. オレンジを狙って、AOOのGにおいてAを2割入れたもの
  8. Yellowを狙って、AOOのGにおいてAを5割入れたもの
  9. 上の8にさらにSを使おうと思ってRとBにおいてSを3割入れたもの
  10. AOOをベースにGにおいてAを2割入れて、RにおいてSを3割加えたもの
などです。でも結局のところはSに特徴がないので何をやってもダメで、AOOが一番ましという結論で、お盆休みの中の丸一日をかけましたが、ほぼ徒労に終わりました。

一応ですが、それでも特徴的な画像を上げておきます。合成後にオートストレッチしただけなので画像処理らしいことは何もていない状態です。

1. SAO
Image10_ABE_cropped_HT

3. OSA
Image07

4. OSA reverse(あぷらなーとさん記事参照)
Image06

5. AOOで見栄えがいいので、その逆のOAA
Image04


8. Yellowを狙って、AOOのGにおいてAを5割入れたもの
Image08

一見良さげに見えるのもあるのですが、実質SIIがほとんどなにも効いていなくてHαとOIII2つのバリエーションになっています。


一応3波で仕上げてみる

結局選んだのが、SAOをベースとすること。ただしSIIがあまりに弱いので、RにHαを混ぜS:A = 0.8:0.2とし、その代わりにGにSIIを混ぜA:S = 0.8:0.2としました。それでもまだ色の比率が厳しいので、ストレッチの際にRとBを強調しています。青とオレンジの対比を示したかったのですが、ここらへんが限界で、結局はM17で試した過程とよく似ています。

20220809_NGC6888_SCA260_SAO_ASI294MMPro_CGXL2

まだまだですね。皆さんかなり工夫しているのかと思います。


あぷらなーとさんのreverseをPIで

今回の唯一の成果ですが、PixInsightでもあぷらなーとさんが提唱するreverseのやり方はわかりました。RGBの代わりにCMYに割り当てればいいのですが、例えばHαをYellowに割り当てたければRとGに50%づつ割り当てればいいというわけです。なのでOSA reversはPixel Mathを利用して

PixelMath


  • R: A*0.5+S*0.5
  • G: A*0.5+O*0.5
  • B: O*0.5+S*0.5

などとしてやればいいようです。今回は簡単に指示するために、AとかOとかSはファイル名をそのようにして保存しました。


まとめ

露光時間をかけたにもかかわらず、SIIがここまで何も出ないのは予想外でした。そのためAOOで仕上げたのですが、こちらは目的の背景にある青ははっきり出たので良しとします。

ハッブルとか見ると本当に青とオレンジのコントラストの対比が綺麗です。これやっぱり違う波長を使っているのでしょうか?ナローはもう少し研究の余地ありです。でも次のナロー画像処理は象の鼻。こちらはSAOとかの作例も多いので、SIIに特徴があるのかと期待しています。

ゴールデンウィーク最終日に撮影したM17オメガ星雲です。



牛岳でSCA260でアンテナ銀河撮影してたのですが、夜中過ぎには西の空に傾くので、その後何を撮影しようかと迷って、画角的にちょうど良さそうなM17にしました。しかもちょうどフィルターホイールを8枚のものに新調したばかりだったので、ここは3波でのナローバンド撮影に初挑戦してみました。


感慨深いM17

M17は実は星を始めてからM27と一緒に一番最初に撮影した星雲で、これもやはり牛岳でした。



ブログを読み返すと、既にこの当時から星雲に色がつかないことに文句を言っています。自分自身よほど不満だったのかと思います。

BKP800とAVXと天体改造のX5での撮影でしたが、その当時は赤道儀でうまく導入することもままならず、導入は県天のK会長にやってもらったものです。2分露光の1枚撮りで、何枚か撮影したものから一番流れていない1枚を抜き出し、GIMPで画像処理したものです。もちろん今見るとツッコミどころは満載なのですが、最初にとれた星雲で、M17なんて存在さえよく知らなくて、きれいに色が出て、ものすごく嬉しかった覚えがあります。今思い出しても、当時のワクワク感は蘇ってきて、ずーっとこの延長でやっているんだなあと、改めて今このブログを書きながら思いました。

さてここから6年でどれくらい進化したのか、比べるのが楽しみです。


一枚撮りでの画像

今回の撮影の様子ですが、当時の記事を見てもあまり大したことは書いてないですね。今覚えているのは、アンテナ銀河が西に沈んで何を撮影するかをその場でかなり迷ったことです。M17なら画角がSCA260とASI294MM Proで、(フラットは後で撮ろうと思ったので)カメラを回転させなくてもなんとかなりそうなのと、あーそう言えばM17ってホントに一番最初に撮影してから今まで撮ったことなかったなと意識してました。

さらにその日は青い馬星雲も同時撮影していて、ちょうどセッティングが落ち着いた頃で、アンテナ銀河と合わせると1日で3つ目の天体の撮影になります。1日に3天体というのはあまりないのと、初3波ナローなのでまあ失敗してもいいやと半分ダメ元です。試し撮りのHαの時点でかなり明いと判断し、3分露光としました。しかもかなり眠かった覚えがあるので、NINAでHα、OIII、SIIの順にセットして走らせてすぐに寝てしまったはずです。途中目を覚ましてHαとOIIIは確認して、おお、かなりはっきり出てる!と思った記憶はあります。そこから完全に熟睡してしまい、次に目が覚めたら周りはすっかり明るくなってました。SIIはそこで初めて確認して、そう言えばHαとOIIIはBaaderで、SIIがOptolongだったのをそこで思い出し、もしかしたらピントズレてたかもと反省しました。

改めてそれぞれ見てみます。順にHα、OIII、SIIです。全て3分露光、ゲインはASI294MM Proの美味しい所の120で、比較的暗い牛岳での7nmの波長幅のフィルターです。

2022-05-06_01-27-53_M 17_LIGHT_A_-10.00C_180.00s_G120_0001

2022-05-06_01-43-41_M 17_LIGHT_O_-10.00C_180.00s_G120_0001

2022-05-06_01-59-25_M 17_LIGHT_S_-10.00C_180.00s_G120_0001

明るさとしては、まあ当たり前ですがSIIが一番暗く、オートストレッチしたときの背景に横線がたくさん入るレベルで、明らかに露光もしくはゲインが足りていなかったと思われます。

改めて見てみると、Hα画像の星雲部の一番明るい部分でも10%を切る程度で、しかもこちらの背景にも多少横線が入っています。こう考えると、Hαでさえももう3倍くらい明るくしても良かったかもしれません。今回ナローバンドで3分露光だったので、いつものRGBでの10分露光よりも明るくしても良かったくらいです。

できるならHα、OIII、SIIで露光時間とゲインは同じにしておきたいので、明るいところと暗いところがきちんとADCに配分されるようにどう調整したらいいのか、今後の課題かと思います。実はこの後まだNGC6888三日月星雲とIC1369の象の鼻のナローバンドの画像処理が待っていて、それぞれ10分露光と3分露光で試しているので、ある程度の知見は出るかと思います。

ピントに関してですが、SII画像のピントはもっとひどいかと思っていました。多少ずれているようにも見えますが、まあなんとか許容範囲でしょうか。でもこれはEAFでオフセットをきちんと調整した方が良さそうです。こちらも今後の課題です。


Integration

次に、インテグレートした後の画像を見てみます。同じくHα、OIII、SIIの順です。枚数はそれぞれ5枚、6枚、7枚です。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-A_Mono

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-O_Mono

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-S_Mono

当たり前ですが、1枚の時よりもより細部が表現されています。アンプグローはもう見えないと言っていいでしょう。ダーク補正がうまくいっている証拠です。Hαは横縞はほとんど分からなくなりましたが、OIIIはごくわずか、SIIはまだ多少目立ちます。PIでLinearPattarnSubtractionとかCanonBandingRedutionとか試したのですが、ごくわずか軽減できたくらいで、明るさバランスが狂うなどの弊害もあったので、横縞はそのまま残してあります。これは撮影時の明るさをもう少し増やしてやることと、撮影枚数を増やすことでも解決できそうなので、大きな問題ではないでしょう。


いろんな合成法

さてここから合成です。一般的にはSII(S)をRに、Hα(A)をGに、OIII(O)をBに当てはめるSAO(海外ではSHOというらしいです)が一般的のようで、これはハッブル望遠鏡が想像の柱で使った配色が元のようです。

でもよくわかっていないので、とりあえず3枚のモノクロ画像をRGBに全部当てはめてみます。その種類は3!=3x2x1=6通りあるはずです。条件はPIのChannelCombnationでRGBを選び、それぞれの色にそれぞれの画像を入れ、その後ScreenTransferFunctionの各色のリンク無しでオートストレッチをし、HistgramTransformationで固定します。リンク無しなので、背景がバランスの取れたグレーに近くなります。

1. まずは明るい順のAOS:
AOS

2. 後ろ二つをひっくり返したASO:
ASO

3. 次に、明るいのを真ん中のGに置いたSAOでハッブルパレット:
SAO

3: 前と後ろをひっくり返してOAS:
OAS


5. Aを最後に持ってきたOSA:
OSA

6. 前と真ん中を入れ替えたSOA:
SOA

ふむふむ、こうやってみるとよく分かりますね。一番明るいHαを入れた色(RGB)がベースの色となります。上2つが赤がベース、真ん中2つが緑がベース、最後2つが青がベースということです。

ちょっと面白いのが、3、5、1がCyan、Magenta、Yelllowがベースに見えることです。明るい方からHα、OIIIなのですが、この二つが混ざる時の色でCMYっぽくなるということですね。

ただ、こうやって見てしまうと、ベースの色の印象が強すぎていまいち面白味がないように思えてしまいます。あぷらなーとさんはさらにCMYにAOSをそれぞれ当てはめて「リバース」というパレットを提唱していますが、Stella Imageだとそれが簡単にできるみたいです。



PixInsightはいろいろ調べたけどCMYへの配色は簡単にできそうにはないので、今回は諦めます。というか、そもそもベースが6つもある時点ですでに発散気味で、リバース法も加えて12個もあると、私的にはとてもじゃないけれど扱いきれません。こういう時は一番標準のSAOで試してみるのが良さそうで、3を出発点とします。


SAOでの画像処理

さて、ハッブルが撮影した想像の柱を見ると全然緑っぽくなく、むしろ青と黄色(オレンジ)の対比がとても綺麗です。今回撮影したM17はHαが主体なので、ハッブルみたく近づけるために、カラーバランスを大きく変え、赤と、特に青を相当持ち上げます。ただし背景はグレーに近い色を保つために、ブラックレベルを随時変更します。

SAO_dim

問題は赤。Redに割り当てたSIIが一番暗くノイジー、かつ少しピントがずれているので、
  1. どうしてもノイズが目立ってしまうこと
  2. 赤ハロが出てしまう
などが問題になります。

まず2の赤ハロから対処します。最初、上記画像にPI上でのR画像のみにEZ Star Reductionをかけたのですが、そのまま画像処理を進めていくと、R画像の明るい恒星の周りに大きな窪みができてしまいました。

drop

この原因を辿っていくと、EZ Star Reductionで、さらにはSIIのフィルターが問題である可能性が出てきました。SIIのみOptolongを使っているのですが、どうも明るい恒星だと周りにゴーストが出てしまうようです。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-S_Mono_cut

BaaderではHαもOIIIも見る限りこのようなゴーストは出ていません。
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-A_Mono_cut
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-O_Mono_cut

とりあえず今回は回避策として、最初からEZ Star Reductionをするのはやめて、まずはStarNet V2で恒星と背景を分離し、その分離された恒星のR画像のみにEZ Star Reductionをかけてみました(この方法、一般的に結構使えるかもしれません)。その結果、背景画像のRに窪みは完全になくなり相当マシになりましたが、それでも合成して炙り出していく過程でゴーストの痕跡は残って赤く目立ってしまいます。

ghost

この結果を見るに、SIIフィルターをBaaderのものに変えようと思ったのですが、国際光器のページを見ても、本家のBaarderのページを見てもナローバンドフィルターは軒並み在庫切れのようです。ZWOのナローバンドフィルターは結構マシという記述をどこかで見たので、SIIだけそれを買うか、もしくはどうも今後SIIを使う機会があまりなさそうだということもわかってきたので、そのまま放っておくかもしれません。今回は後の画像処理でこのゴーストはできるだけごまかすことにします。

処理を進めます。ここでPhotoshopに移動し、R画像のノイズを減らします。Camera Rawフィルターは特定のチャンネルのみにフィルターを適用できるため、使い勝手がいいです。ここではディテールのノイズ軽減をレッドチャンネルに対して使います。

あとは普通に炙り出しです。ハッブルパレットだと多少派手にしても怒られなさそうなので、彩度も多少上げてしまいます。ただ、基準となる色がよく分からないので、どうしてもお絵描き感が強いと思えてしまうのも正直なところです。

最後の方で、レベル補正でRGBのピーク幅をそろえてやると、ハッブルパレットのように青とオレンジの対比が出てくるようになりました。最後に画面全体をひっくり返して北を上にします。

SAO_dim3_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚、SII: 7枚の計18枚で総露光時間54分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

こうやって改めてみてみると、やはりまだ赤が足りないでしょうか。でもSIIがノイジーなのでここら辺が限界です。今回は全体的に露光時間が全然足りていないと思うので、画像処理でノイズ除去とか結構強めにかけてなんとか見えるようにしています。それでもノイジー感が残ってしまっています。

いつものAnnotationです。

SAO_dim3_mod_Annotated


ちょっとAOO

SAOも綺麗なのですが、普通の見え方?に近づけるためにAOO合成をしてみました。

AOO_ABE_PCC_AS_AS_HT_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚の計11枚で総露光時間33分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

HαとOIIIしか使っていないので、わずか33分の露光でしかなくて短すぎるのですが、それでもなんとか見えているのは26cmの口径おかげなのでしょう。

あと、この色合いだと2016年の当時に撮影したM17と直接比較しやすくなります。
IMG_0027_DPP
こちらはわずか2分の露光なので、そもそも比較するのもかわいそうなのですが、少なくともM17で始めた星雲撮影が、6年間でまたM17にたどり着いて、あらゆるところで進化してることを実感することができます。


まとめ

初の3波ナローバンドの撮影と、その全組み合わせをしてみて、最後SAO合成で画像処理までやってみました。露光時間が3波合わせて1時間未満で、特にSIIはかなり暗くて苦労しました。そのため全体的にノイジーなのは否めませんが、少し強引に一応見える位にまではできました。

フィルターもメーカーによって違いがあることもわかりました。Baarderは何気なしに使っていましたが、やはり良いものだということがわかってきました。

まだ今のところSAO合成が面白いのか面白くないのか、正直いうとよく分からないところもあります。SAOという縛りがあっても自由度が大きすぎる気がします。これはおそらく絶対基準のようなものがないからだと思います。普通の可視光も絶対基準という意味でははっきりはないのですが、それでも目で見て自然とか、いろんな画像例の中心値みたいなのはあって、少なくとも私の中ではある程度の参照基準みたいなのはあります。一方、SAOはハッブルパレットが元なので、今回は想像の柱を想像しながら色を合わせ込んでみましたが、果たしてこれが正しいのかどうか、まだよくわかっていません。

ナロー3波で撮って、最後に出したAOOみたいに、3波で自然な色合いにする方が見ていて気持ちはいいのかもしれません。そこら辺もいつか探れればと思っています。 


ゴールデンウィーク中に遠征(30-40分くらいなので近征?)してSCA260とASI294MM Proで撮影したカラス座にあるアンテナ銀河の画像処理についてです。CGX-Lを持ち出したのでかなり大変でしたが、ここで大型赤道儀で外でも撮影できる目処が立ちました。

撮影時の詳しいことはすでに記事にしていて、近場のいつもの場所、


それと、牛岳で2日分です。




画像処理

撮影は計3日間ですが、初日の撮影分は風が強すぎて使い物にならなく、結局牛岳の2日分だけを画像処理に回しました。

露光時間は10分でBaaderフィルターでのRGB撮影です。確かこの撮影の頃にフィルターホイールを1.25インチの8枚のものにしたはずなのですが、まだLは撮ってないです。処理に使った枚数はRGBそれぞれ15枚、9枚、9枚の計5時間30分です。

フラットは撮影から帰った日の5月6日に、夕方の自宅の外で鏡筒に白い袋を被せて撮影したのですが、これは結局うまく合わずに、以前馬頭星雲の時に撮影したフラットを使い回しました。袋を被せたフラット撮影はFS-60CBの頃にやっていて、うまくいってたのですが、大口径ではまだうまくいったことがありません。普段フラットは晴れ、もしくは曇りの日の部屋の中の白い壁で撮影しています。これまで撮影のたびに毎回撮影していましたが、今回の結果を見るとどうも使い回しができそうな雰囲気です。使いまわすためには大きなホコリが入るとおそらくダメになるので、接眼部に着いているカメラなどの機器の取り外しは出来る限り避けたいです。

画像処理はWBPPまでは5月のうちに終わっていて、3ヶ月も放っておいたことになります。その間何度か仕上までトライしたのですがいまいち気に入らなくて、結局前回のM104の決着がつくまで落ち着いて進めることができませんでした。昨日からやっと仕上げにはいりました。

これまでに何度かに分けてPixInsightでストレッチやマスク作りまで終わっていたので、昨日からの作業はほとんどPhotoshopです。何度かやり直してもアンテナ部分がかなり淡く、マスク処理は多少複雑になりました。そのためマスクを作り直すなどの作業は少しありましたが、なんとか炙り出すことはできたかと思います。

「NGC4038: アンテナ銀河」
Image196_pink_deconv4
  • 撮影日: 2022年5月4日21時14分-5日0時5分、5月5日21時14分-6日0時51分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、R: 15枚、G: 9枚、B: 9枚の計33枚で総露光時間5時間30分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、29枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB: 0.07秒、RGBそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

出来上がった画像を見ると、まだ恒星サイズが大きいのではと思いました。露光時間が長くて揺れが出たのかと。やはり10分露光でなく、5分露光位に抑えておいた方がいいかもしれません。

下のアンテナ部は先っぽの巻き巻きも含めてそこそこ出たと思います。それでも上のアンテナの先端の広がりがあるはずなのですが、そこまでははっきりとは写りませんでした。

あと銀河の細部がもう少し出てくれてもよかったかと思います。銀河の下部にアンテナ部との境があるように見えて、最初画像処理のせいかと思いましたが、どうもリアルにあるようです。

いつものAnnotationです。

Image196_pink_deconv4_Annotated

少し斜めになってしまっています。もうなにも記憶はありませんが、あまり真面目に回転角を合わせていなかったようです。


まとめ

牛岳という、少なくとも普段撮影する自宅よりは十分暗い場所で、結局2日にわたって5時間半のアンテナ銀河の撮影でしたが、それでもアンテナ部分はかなり淡かったです。マスクを駆使してやっと出ましたが、結構大変でした。特に銀河もう少し解像度が出るかと期待していましたが、シンチレーションと露光時間によるのかと思います。またいつか機会を見て撮影してみたいと思います。

さて、さらに溜まっている画像処理を進めることにします。

溜まっていたSCA260の画像処理をやっと再開します。

そもそも、なんで画像処理が全然進まなかったのかというと、まずここ数ヶ月ひとえに忙しかったのはあります。やっと時間ができたと思ったらSV405CCの評価が入ったりしたのもあります。でも一番の原因は、今回のM104の処理を全くやる気にならなかったからです。欲張って、
  • ASI294MMのbin1
  • PowerMATE2倍+ASI294MMのbin2
を一度に比較しようとしたのがダメでした。2つの処理をいっぺんに公平に比較というのはものすごく気を使うので、いまいちやる気になりません。でもこれを終えないと、まだゴールデンウィーク前後に撮った画像の処理も進まないので、とにかく処理してみます。


まずはM51の時と同じbin1で

撮影はもう3ヶ月以上前のことになります。メモを元に記事を書きます。

2022年4月23日、月も下弦の時期になり、夜の前半は月のない空になります。休日の土曜の夜なので気兼ねなく夜更かしできます。

夕方くらいから準備を始めます。場所はいつものように自宅の庭。重いCGX-Lをえっちらおっちら運びますが、揺れのない撮影ができると思えば全然苦になりません。暗くなり始めくらいで極軸調整も早々と済ませて、あとは暗くなるのを待ちます。

対象は迷ったのですが、M104ソンブレロ銀河に決定。南の低空で撮れる時期がある程度限られるからです。目標は上と下の間にあるモジャモジャ。前回VISACで撮影した時は心眼で見ると何か見えるような気がするくらいのものです。



三つ子銀河の撮影で分かったように、CGX-Lも威力は凄まじく、それ以前から使っていたCGEM IIに比べて劇的に揺れを抑えてくれます。

ただし、SCA260の1300mmの焦点距離がちょっと短いです。一つ前に撮影したM51は、まずはバローなど入れる前にASI294MM Proのbin設定を1x1にあえてして、高解像度で撮影し、中心部をクロップしました。今回の撮影の時点ではまだM51の画像処理まで進んでいなかったので、これが正しい判断なのかまだできていませんでした。なので、バイアスやダーク、フラットダークなどが使い回して楽なこともあり、とりあえず設定を変えずにこのまま撮影することにしました。当然露光時間とゲインも使い回しのために変えずに10分と240のままにします。RGB撮影なのですが、本当はLが欲しいところ。でもまだフィルターホイールをこのときは新調していないので(その後、8枚のものに交換しています)5枚のままで、全部埋まっているので今回は諦めます。


撮影開始

撮影開始は天文薄明が終わる20時頃。撮影ソフトはNINAです。実際に10分露光で撮影を始めて何枚か結果を見ますが、どうもイマイチです。一枚一枚を見ている限り真ん中のモジャモジャさんは全く見えていません。これはスタックすれば見える可能性もあるので、まあよしとします。でも恒星が小さくならないのです。最初ピントズレかと思いNINAのAF(オートフォーカス)機能で何度か確かめましたが、HFT8程度が限界。PHD2のグラフを見てみると揺れ幅が+/-数秒とかなり大きいです。一度カメラをNINAから切断して、SharpCapの100ms位の短時間露光で見たのですが、揺れがかなり大きいです。最初シンチレーションかと思いましたが、外に出てみると、風が強い!設定時はそれほどでもなかったのですが、徐々に強くなってきたみたいです。

こんな状態なので結果はダメかもしれませんが、せっかくの月のない休日の夜なので、そのまま撮影を実行します。

撮影終了は、月が出てくる午前1時ころ。本当はもう少し予備で撮っておこうとしたのですが、あまりに風が強くてPHD2の信号で見ると時折10秒以上の幅で激しく揺れるようになってきたので、ここで撤収です。といっても、昼間に太陽を撮りたいので、赤道儀はそのまま片付けずに、万が一の雨に備えてカバーのみかけておきます。(といっても、次の日は結局晴れずに、太陽を見ることなく昼に片付けてしまいました。)

画像処理

撮影フォルダを見てみるとR: 8枚、G: 9枚、B: 10枚が撮れていました。そのうちR: 5枚、G: 7枚、B: 7枚を画像処理にまわします。
  • WBPPですが、なぜか格子状のノイズができます。いろいろ探ったのですが、どうもImage Integrationのところが問題なようです。枚数が少なくて、Percentile Clippingを推奨されるのですが、これにするとダメでいつものWinsorized Sigma Clippingにしたら消えました。
  • また、Image Registrationのところで、RGBどれも2枚ほど弾かれうまくいきません。Image RegistrationのNoise reductionを2に増やし、この問題を回避しました。
  • Local Nomarizationで失敗してしまいます。Interactive modeで色々試して、「Scale evaluation method」を「Multisale analysis」とすると回避できることがわかりました。
  • あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は青っぽくなってしまいました。

PI、Photoshopともに、できるだけ素直な画像処理を心がけました。特殊なことは星マスクと銀河部分のマスクを作ったくらいでしょうか。細部出しもPhotoshopの範囲内で済ませています。

結果です。bin1だと画像サイズが大き過ぎでこのブログだとアップロードできないので、解像度を半分に落としてます。

Image10_RGB_crop_ABE_ABE_PCC_DBE_AS_HT_SR2_s


PowerMATEとbin2設定で

次の撮影は4月24日。今度はTeleVueの2倍のPowerMateを入れてやり、ASI294MM Proの設定でbinを2x2にして撮影してみます。対象は同じくM104です。

IMG_5305

IMG_5308

こちらも10分露光は変わらず、Gainは120にしています。PowerMATEで拡大してるので実質F10と暗くなっているため、Gainは4倍のもう120だけ上げ、240にした方が良かったかもしれません。

フラットフレームですが、夕方のほうの薄明で白色のごみ袋をかぶせて撮ってみることにしました。ただし、刻一刻と暗くなり時間変化が大きいので、枚数を限ってRGBそれぞれ32枚とします。条件を同じにしたいので、RGBすべて10秒露光とします。BGRの順にとったのですが、Gが少し暗すぎるかもしれません。Rは比較的明るくなるので、まあ大丈夫かと思います。

ただし、周辺減光がかなり大きかったせいか、どうもこのフラット補正はうまくいかなくて、4隅に大きな補正失敗部分ができてしまいました。たまたまなのか、この鏡筒+PowerMATEのせいなのかわわかりませんが、もし今後もこの組み合わせを続けるなら、トリミング前提で使う必要があるかもしれません。

後で画像で示しますが、フラットフレームを見ると、ホコリがセンサー面とフィルター面の両方にいくつか付いてしまっているようです。やはりカメラ周りをいじると必ずホコリが混入します。入れ替えをなくすという点からは、バロー無しでbin1x1のなしで固定してしまった方がいいのかもしれません。


画像処理は比較しやすいように、bin1の時と同様にできるだけ素直にすませました。あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は赤っぽくなってしまいました。

結果です。周辺減光が残っていますが、とりあえず残しておきます。

Image39_RGB_PCC_DBE_ASx3_HT_SR


比較

さて、ここまできてやっと比較です。

原理的には分解能は同じです。
  • bin1を使ったものはより広角に撮影できますが、12bitのダイナミックレンジしか使えません。ピクセルサイズが小さくなり暗くなるので、その分ゲインを240にしていて、実効的なダイナミックレンジはさらに不利になります。
  • 2倍のPowerMATEとbin2を使ったものは、撮影範囲は各辺2分の1、面積で言うと4分の1ですが、14bitのダイナミックレンジを使えます。ゲインはbin2の時のデフォルトの120としましたが、この時も実質F値がノーマルの5から10になり、明るさでいうと4分の1と暗くなるので、ゲインは4倍明るい240のほうがよかったかもしれません。

銀河部を拡大して比較します。上がbin1で、下がPowerMATEにbin2
final

final

微恒星はPowerMATEで拡大した方がシャープに見えます。でもこの差はbin1の時は風が強かったことで説明できそうです。銀河部はむしろほぼ同じか、bin1のほうが心持ち細部が見えている気がしますが、それでもそこまで大きな差ではありません。画像処理にも微妙な違いがあるので、そこで説明がつくと思った方が良さそうです。

もしかしたらもっと差が出るのではと思っていたのですが、結論だけ言うと、このくらいの差ならば個人的にはこれは拡大せずにbin1で撮影した方がメリットが大きいと感じました。ダイナミックレンジは確かに損しますが、そこまで大きな差になるようには見えないのと、広角でも撮れるので後からトリミングなどできて楽しいこと、トリミング前提なら縦横を気にしなくもていいので、撮影時のカメラの回転も省けるかもということ、そして何よりM51の時にも書きましたが、カメラをわざわざ付け直したりしなくていいのでホコリが入らないことです。


PowerMATEの入れかえによるホコリの混入

今回、PowerMATEを入れ替えたためのホコリの影響はかなりのものです。まずは入れ替える前のフラット画像がこれくらいです。
masterFlat_BIN-1_FILTER-R_Mono
PixInsightで強度にオートストレッチしたものにABEの1次をかけているので、相当あぶり出したような状態です。よくよく見ると無数の淡いリングが見えるような気がしますが、この程度では画像処理には全く影響がないと言っていいかいと思います。

次が、今回PowerMATEに入れ替えてから撮影した後、何も状態を変えずにフラットフレームを別撮りした時です。
masterFlat_BIN-2_FILTER-R_Mono
少なくとも濃い小さなリング多数と、少し淡めの大きなリングが多数、はっきりと写っています。小さなリングはセンサーの保護ガラス面についたホコリ、大きなものはフィルター面に付いたホコリです。今回はPowerMATEをどう取り付けたらいいかで何度か入れ替えをしたので、部屋の中ですが30分程度はカメラ、フィルターを暴露していたと思います。入れ替え方法は確立したので、今後はもっと短時間になりもう少しマシにはなるはずですが、(特に、外で入れ替える場合は)ホコリの混入を0にするのは難しいと思います。

一応補足しておくと、これくらい埃があっても、個々のライトフレームではリングは多少見えますが、きちんとフラット補正した場合は仕上がりにはほとんど影響がなくなります。

それでもここのライトフレームに影響があるのが嫌なので、この後この埃を掃除したのですが、再び元のレベルまで戻すのにかなりの苦労をしました。掃除してチェックしての繰り返しなので、1時間以上の作業になります。できることならこの作業は避けたいです。


結果

その後、bin1で撮ったものとbin2+PowerMATEで撮ったものをまとめてPixInsightで処理しようとしたのですが、画像サイズも解像度も違っているものをまとめて処理する方法がわかりませんでした。calibratedまでされたものをうまくregistratioinできません。5枚の1binと5枚の2binファイルをStarAlignmentで一合わせしようとした時、デフォルトだとどちらか5枚のみ、Star DetectionのAllow clusterd sourceをチェックすると少しマシで最高7枚の位置合わせに成功したましたが、それでもStar pairを見つけるのがうまくいかないです。何かうまい方法があるのでしょうか?

というわけで、今回は結果としては、周辺減光が少なく、広い範囲で選択でき、銀河部が多少細かく出ているように見えるbin1を採用します。恒星はbin2+PowerMATEのほうがシャープですが、周辺減光が激しく不採用とします。

Image10_RGB_crop_ABE_ABE_PCC_DBE_AS_HT_SR2_cut
  • 撮影日: 2022年4月22日20時1分-4月23日1時18分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃), bin1
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 6枚、G: 7枚、B: 6枚の計19枚で総露光時間3時間10分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、RGBそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回を更新したと言えるレベルではないので、また来シーズンリベンジしてみます。


まとめ

やはりフラットフレームのホコリを見ると、できる限り状態は変えない方が得策な気がします。本当に解像度がもっと必要になる時、例えばシンチレーションで制限されず、口径とピクセルサイズで制限されるようなことがある場合に、bin1とPowerMATEで試すことは将来あるかもしれません。

とにかくやっと3ヶ月前の画像処理が終わりました。まだ溜まっているので、順次進めていきたいと思います。
 


勉強会の呼びかけ

前回5月18日(水)の記事で、CGX-Lの周期的な揺れのことを書きました。制御の発振でこの揺れが説明できるのではという内容です。



最後の方にオートガイドとかの制御に興味がある人がいたら、Zoomで勉強会でもしませんかと書いておきました。するとTwitter上で何人か反応があり「数人でも集まるならやってみようか」とその日のうちに呼びかけてみました。

その際、私はモーターのことがあまりよくわからないので、補足で説明してくれる方を募ったら、その日のうちにけーたろさんとbotchさんが反応してくれて、勉強会は3人で話すことに。日時を3人の都合がつく、日曜の20時からとしました。トークを頼んだのが木曜で、3日後の日曜での勉強会なのでかなり急なのですが、お二方とも快く引き受けてくれました。


内容

すぐにタイトルと内容のアブストラクト、さらに順序と時間が決まり、Twitter上でもアナウンスしました。

Sam: 「実践制御フィルターの設計」(20:00-21:00)
  • 実際の制御ループを各種計算しながら、制御フィルターをどう組めばいいかを考えて、その過程で制御一般の理解を目指します。一番の目的ができる限り理解して欲しいというものなので、自分のできる限りでわかりやすく解説するつもりです。わからなかったらすぐツッコミお願いします。

botch: 「駆動回路の四方山話」(21:00-21:30)
  • 望遠鏡を駆動する回路を3つのブロックに分けお話しします。難しそうなところは解りやすく、簡単そうなところは掘り下げてお話しする予定です。ハードだけでなくソフトの話も出来れば良いなぁと思っています。

けーたろ: 「赤道儀の駆動部の種類と特性」(21:30-22:00)
  • 赤道儀のモーター中心のハード面の解説をします。DCモータとステッピングモータの違いや各電子回路の仕組みを、赤道儀やオートガイドの歴史を遡りながらお話ししようと思います。制御の深くやばい解説のお二方と、現存機材との橋渡しですね♪間違指摘やわからない点等のツッコミをお願します。 
22:00から懇親会

となりました。


当日

さて5月22日の日曜当日、19時くらいから会議室は開けておきましたが、結構ギリギリになっても数人しか集まりません。19時45分の開始15分前でけーたろさんとXRAYさんと私の3人のみ。さすがにテーマが難しすぎたかと心配になりました。

5分前で8人、1分前で10人となんとか集まってきましたが、この時点で二人目の講演者の botchさんが来ていません。けーたろさんと心配していましたが、ちょうど20時頃でしょうか、無事にbotchさんも参加して開始することができました。

スライド2

私の話は制御理論とフィルターの実装ですが、半分予想通りというか、途中で時間が足りなくなってしまい、オープンループ伝達関数などのところはカットしてしまいました。それでも、フィードバックフィルターがどのような考えて実装されているかはある程度は伝わったのではと思います。最後は今回問題だった、CGX-Lを例にに赤道儀の制御ループを推測し、ある程度矛盾のない数値に落とし込みました。結論としては今回の周期的な揺れは制御による発振ではないかと推論しましたが、懇親会の時にこたろうさんとけーたろさんは「何かメカ系のトラブルでは?」という推測でした。また何か結論につながるようなものが見つかったら報告しようと思います。

次の botchさんのトークですが、実際の赤道儀制作に基づいたようなお話で相当充実してました。というか、botchさんのお顔を見てちょっとびっくりしてしまいました。私があらかじめ疑問としてお伝えしていた「古典制御理論は線形性を仮定しているが、モーターのようなパルス的な応答を持つものはどう扱ったらいいのか?」というのにもある程度お答えしてくれたのかと思います。

botch

最後のけーたろさんですが、実際にモータを動かすところをカメラで見せてくれて、DCモーターとステッピングモーターの違いを非常にわかりやすく説明していただきました。けーたろさんはハンドルネームにも「星より機材」とつけているように、ここらへんの機材のことが大好きで、モーター関連も完全に趣味で試しているそうです。

けーたろ2

時間は少々オーバーしましたが、22時10分頃に無事に3人のトークが終わりました。

今Zoomのレポート機能で人数を数えてみたら、数分で出てしまった人を除いてもなんと37人も参加してくれていました。当日の懇親会の時点の画面で確か25人くらいというのは見てましたが、マニアックな話にこんなにも集まっていただいて、今更ながら驚いています。


お楽しみの懇親会

トークもそうですが、懇親会でもとても楽しい話がたくさんできました。こういった会合ではむしろ懇親会の方が楽しかったりしますよね。ブレイクルームも作ったのですが、ずっとメインルームにいてしまって覗くことができなかったのが残念でした。

懇懇親会でも話題になったのですが、画像処理とかならまだしも、こういったちょっと変わったテーマに絞ったマニアックな勉強会は、ローカルなグループではあったかもしれませんが、オンラインとかではこれまであまりなかったのではということでした。まだいろんなテーマがあると思うので、今後も機会があれば何かできればいいかと思っています。

懇親会は午前1時まで続きました。会議の設定時間が午前1時までで延長ができなさそうだったので、正確には0時58分に解散しました。最後に残っていたのは7人でした。月曜で皆さん仕事などあるかと思います。こんな遅くまでお疲れ様でした。


お礼

ちょっとした思いつきで準備もそこそこで、けーたろさん、botchさんには時間もギリギリの中かなり無理を言って準備をしてもらってたかもしれません。素晴らしいトークをありがとうございました。改めてお礼を述べさせてください。

また、参加してくれた皆様、楽しんでいただけましたでしょうか?TwitterでXRAYさんが「有料でもいいくらいの内容だった」というような旨の発言をされていたのは、ちょっと予想外でうれしかったです。 最初はホントに数人の参加者でもいいかと思っていたのですが、蓋を開けてみれば期待より遥かに多くの方に参加していただきました。どうもありがとうございました。

また何かネタがあればやってみたいと思います。あぷらなーとさんとか相当マニアックなネタ(笑)を持っているかと思うので、ちょっと期待してしまいます。Twitterで呟くと思いますので、もし興味がある方はちょっと気にしてみていてください。 


今回のターゲットM51子持ち銀河、形は派手ですが思ったより小さな銀河です。焦点距離1300mmのSCA260では少し小さすぎて、真ん中だけに来てしまい分解能が出るか心配です。

実はM51の撮影日は4月2日、画像処理は4月末と、もうはるか昔になってしまいました。その後連休に入り、連日の撮影とその日その日のブログ書き、後半は別の原稿書きと、全然画像処理関連のブログ書きが進んでいません。これではダメだと反省し、記憶を掘り起こして書くことにします。


今回の撮影の目的

今回のM51の撮影の動機は2つあって、
  1. CGX-Lで揺れが少なくなった場合のRGB処理がどうなるか
  2. SCA260で小さな銀河を撮影するときに、焦点距離1300mmでどうやって大きく取るか
の2つです。

前者は前回すでにCGX-LでASI2400MC Proを使い、カラーでは撮影しています。揺れが減ったおかげで相当な分解能が出ましたが、今回はモノクロのASI294MM Proで撮影するために、ピクセルサイズが少し小さいこととモノクロなので、さらに分解能が出るはずです。



もう一つは今後の銀河撮影の方向性を探るための最初の一手です。SCA260は大口径の割にF5で焦点距離があまり長くなく明るいために、大きな銀河はいいのですが、小さな銀河では少し焦点距離が不足します。これを解決するのはいくつかの手があるのかと思います。


小さい銀河をどう撮影するか?

パッと思いつくのが

A. 2倍程度のバローレンズを入れて、撮影する。
  • メリット: 倍率が上がるため、分解能は上がる。
  • デメリット: F10となり暗くなるため、明るさは4分の1となる。

B. bin 1x1: 8288x5644で撮影する。
  • メリット: カメラの分解能を2倍にするため、広い範囲を撮影しながら分解能があがる。
  • デメリット: ピクセルあたりの感度が4分の1になるため、明るさは4分の1となる。ダイナミックレンジが14bitから12bitに落ちる。

A. B. 共に暗くなるため、ゲインを上げる(120から、4倍の240にするなど)などの補償が必要となる可能性があり、リードノイズは得しますが、ダイナミックレンジを損する。B.の場合は実質10bIt (1024諧調) 程度までダイナミックレンジが小さくなる可能性があります。


実際に撮影してみて

今回のM51の撮影では、まずは簡単なBを試しました。その上で、Bは実際に撮影してみて、さらにメリット、デメリットがあることに気づきました。

メリット:
  • 少し離れたところの小さな銀河などの思いもよらない天体が入っていて楽しい。
  • 画像処理で後から縦横自由に回転できる。->撮影時の縦横もあまり気にしなくていい。
  • 光学系を取り替えなくていい。->ホコリが混入しない。

デメリット: 
  • 画像1枚のサイズが4倍になり、処理が重くなる。->大したことはなかった。
  • ダークを一から取り直し。
どれも最初はあまり気にしなかったですが、この撮影以降に実はM104を撮影していて、こちらはA. B.両方とも試しています。Aを試して一番問題だったのが、バローレンズを入れるときと外した時にホコリがセンサーの保護ガラス面についてしまって、その後の掃除が大変だったことです。まだM104の画像処理は進んでいないので仕上がりを見ての判断はできませんが、結論はもう出ていて「できる限り光学系はいじらない」です。ホコリがつくと画像処理が途端に大変になります。全部のホコリを取るのはかなりの手間と神経を使います。多少ダイナミックレンジが狭くなろうとも、ホコリが入った時の手間の方が遥かに面倒です。

撮影はいつものNINAです。でもその時のことはほとんど忘れてしまったので、あまり書けません。その時の画面をiPhoneで撮ったのを見ると、この時点である程度分解能出てますね。あと、、10分露光と長時間で、風が少しあったせいか、途中から結構揺れていたのを覚えています。

(2022/5/12 追記: 撮影直後にメモっておいたのがみつかりました。以下「 」を追加しておきます。)
「新月期、相変わらずの自宅撮影です。本当は遠征したい気持ちもあるのですが、この週末はいろんな書き物が溜まっていて自宅束縛で、せめてもの放置撮影です。

CGX-Lをなんとか稼働することはできたので、振動対策がある程度できたと考え、分解能が次の何かで制限されるはずです。そのため、モノクロでまずはカメラの分解能を稼いでみます。

今回のターゲットはM51子持ち銀河です。以前VISACで一度撮影していますが、カメラがカラーのASI294MC ProからモノクロのASI294MM Proになっていること、鏡筒の口径が20cmから26cmになっていることなどが有利な点です。



しかも今回はASI294MM Proのbin1での撮影をしてみます。モノクロにしたことですでに解像度は上がっていますが、SCA260の焦点距離が1300mmとVISACの1800mmに比べて短いです。M51だと中心付近で小さく写ってしまうため、カメラの解像度を上げることで分解能を上げようという試みです。もう一つの手が2倍程度のバローレンズを使うことです。どちらが有効か分からないので、まずは簡単な方から。バローは次回以降で試そうと思います。bin1で解像度を上げ、ダイナミックレンジを犠牲にするのがいいのか、バローで解像度を上げることで星像がボケるかもしれなのか、実際に比べてみたいと思います。

今回でCGX-Lの撮影は3回目となりますが、なぜかDEC、RA両方ににfailが出るようになってしまいました。一度に一方だけだったと思うのですが、この日は数回試して、毎回両方とも出てしまいました。また一度だけですが、初期アラインメント後、プレートソルブの時から赤道儀のモーターが全く動かなくなってしまいました。画面は流れていかないので、追尾はしているようです。しかたないので一旦電源を切ると元に戻って、今度は初期アラインメント、自動導入、プレートソルブと順調にいきました。まだ露呈していない不具合がある可能性もあり、さらなる修理を含めて注意深く見ていく必要があります。

撮影はいつも通りNINAを使って。10分露光でRGBとHαと念のためOIIIの少し撮っておこうと思っています。

実際撮影を始めると、まだ赤経が周期的に揺れます。どうもこれはやはりCGX-Lの癖のようです。赤経のゲインを上げ揺れを抑え、赤緯のゲインを下げることでわざと揺らしてやり、同じくらいの揺れ幅にしてやりバランスを取ることでかなりマシになりました。

その後少し星像が甘く見えたので、オートフォーカス機能を使ってピントを注意深く合わせました。銀河の細かい構造も出てきて、すでにこの時点で前回のVISAC仕上がり画像くらいには迫っていそうなので、結果が楽しみです。」

IMG_5172


画像処理は銀河の中心部を出すのに苦労しました。三つ子銀河の時はかなりシンプルな画像処理でしたが、今回はDeconvolutionやEZ Star Reduction、さらにマスクを多用したり、ノイズ処理など、結構な処理過程をしています。

撮影した画像と採択した画像はR: 7/11, G: 7/11, B: 10/13, Hα: 3/3ですが、揺れがあってもかなり甘めに採用しています。結果少し星が流れてしまっています。 


撮影結果

結果を示します。M51は小さくしか写らないので、周りをかなりカットしています。向きは迷ったのですが、回転させて縦置きにしてみました。ここら辺の自由が効くのも広角で撮ったメリットですね。

Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_tw
  • 撮影日: 2022年4月2日20時32分-4月3日3時50分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Hα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 7枚、G: 7枚、B: 10枚、Hα: 3枚の計27枚で総露光時間4時間30分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、Hα: 0.3秒、 RGBとHαそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

露光時間も高々4時間半でそこまで大したことないので、多少ノイジーなところもありますが、自宅の庭でここまで出るのなら、私的にはかなり満足です。背景の両側から挟み込むような淡いヒゲもそこそこ見えています。

結論としては、バローなしでのbin1x1で解像度はすでに十分そうです。もしかしたら意外にbin2x2でもいけるかもかもしれません。

反省点としては、星の輝きがイマイチでしょうか。三つ子銀河をASI2400MCで撮った時ほどの輝きが出ていない気がします。あと、撮影時多少揺れたので、採択率をかなり甘くしました。そのため少し星が流れたのが惜しいです。

あと、Twitterで蒼月城さんに「銀河中心のオレンジがあまり出ていないので、途中でRを落としたことはないか」とのご指摘をいただきました。確かにその通りで、最後にHαを加えた時に全体が赤っぽくなったので、少し赤を落としました。蒼月城さんのコメントは具体的でとてもありがたいです。私自身、銀河の画像処理はやはりまだ経験不足で、今後いくつか撮影して色々試す必要がありそうです。今回は自戒の念を込めて、そのままにしておきます。


その他のカット

カットする前のオリジナルの画像です。やはりかなり小さい印象になってしまいます。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_low

縦横半分にしてみます。バローで2倍に撮ったら以下くらいの大きさになります。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_half

これでもいいですし、最初に示した縦向きにしたのもいいのかと思います。ここらへんの自由が効くのが、bin1x1で広角で撮影したメリットかと思います。

同じ配置で、以前VISACで撮った画像も出しておきます。もう雲泥の差ですね。
integration_PCC_AS_HT_SNP3_cut


Annotattionも載せておきます。冒頭に載せたものと、
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_Annotated

オリジナルのものを少しだけカットしたものです。こちらは右上の方にIC4263が認識されています。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_cut_Annotated1



まとめ

今回の結論としては、bin1x1で系外銀河撮影は十分な解像度がでる。揺れはCGX-Lで相当改善されているので、これ以上はシーイング支配になってくると思われます。ダイナミックレンジに関してはかなり心配していましたが、まあなんとかなりそうです。ただ、恒星の表現が少し難しかったので、そこら辺には効いてきているのかもしれません。ここら辺のきちんとした評価はかなり難しいですが、いつか定量的に確かめてみたいです。

画像を回転させることも楽しいです。ホコリのことも考えると、広角のbin1x1で接眼側をいじらない方が遥かにメリットが大きいのではというのが正直なところです。一応、既に撮影済みの次のM104の画像処理で、bin1x1と、バローでbin2x2での撮影を比較しますが、よほどのことがない限り、今後はbin1x1で済ますことになりそうです。

全然関係ないですが、M51を見るといつもスタートレックのエンタープライズ号を思い出すのは気のせいでしょうか?

昨日ブログを書き終えて、アンテナ銀河の画像をチェックしていたら、思ったより使える枚数が少ないことがわかりました。「行かずに後悔するより、行って後悔した方がいい」と謎の決断をし、そのまま再び牛岳へ。


2日連続で牛岳へGO

ゴールデンウィークも終わりに近づいてきました。星だけに集中しているわけにはいかず、他にやるべきことが山ほど残っているのですが、これだけ好条件の長期休暇も珍しく、ここを逃したらアンテナ銀河の仕上がりに大きく違いが出るはずと思い、この日も18時過ぎに牛岳に向かって車を走らせます。出発時に妻がお昼寝していたので、起こさずにこっそり出かけます。そのため夕食はファミマの冷やしうどん。牛肉が乗ってるちょっと贅沢な方です。あと、お約束のおやつも買い込みます。

19時には現地に到着。流石に3連休の最終日です。星関係の人はほとんど誰もきていません。一般の人の車が数台あるくらいでした。なので昨晩の南の視界が建物で遮られる頂上ではなく、少しだけ下った南が全面開けている少し坂になっているところを陣取りました。牛岳もガチの撮影組は大抵この場所です。私はこれまで牛岳ではあまり真面目に撮影したことがなかったので、ここは初めてになります。


セットアップと撮影

設置している最中に、県天のK会長が車でやってきました。30分くらいでしょうか、少し話して、他の場所へ移って行きました。結局この日は天文勢は会長のみでした。

準備中の写真です。多分疲れてたんですね。写真ほとんど撮ってなくて、貴重な一枚です。
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日に日に月が明るくなってきてますが、アンテナ銀河は方向が違うので、まだこの程度なら許容範囲です。準備は20時頃には完了したので、子午線通過前に何枚か撮りたかったのですが、10分露光だと何故か相変わらず「子午線通過前だけ」星が流れてしまいます。これはかなり再現性があり、子午線を通過して赤道儀を反転させると流れは無くなります。子午線通過前後は鏡筒とウェイトが水平近くなり、たわみの効果などは最大になるのは理解できるのですが、これだと赤道儀を反転させてたわみがなくなる理由がわかりません。いまだに謎です。結局この日もまともな画像は赤道儀反転後のみで得られました。

アンテナ銀河の方が落ち着いてきたので、夕食をとり少し休憩。おやつはまたしても同じホイップメロンパンです。上の写真とこの写真が今回の写真全部です。ホントはもっと撮ろうと思ってたんですが、トラブルとかですっかり忘れてました。

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ASI2400MCでの青い馬星雲

22時半頃でしょうか、2台目の機材を出し青い馬を狙うことにしました。そういえば、ASI2400MCで写した三つ子銀河が好評で、もう少し借りていていいことになりました。せっかくなのでASI2400MCでの撮影です。

今回ASI2400MCのための新兵器を導入しました。ZWO社のフルサイズCMOSカメラに直接取り付けることができる、Canon EFマウント対応のアダプターです。フルサイズCMOSカメラの取り付けネジがM54で、これに対応しているアダプターを手持ちでほとんど持っていなくて、前回の贅沢電視観望でFS-60CBへの取り付けでかなり苦労したので、楽をするために購入しました。今回は撮影なので、星像がピシッと出るFS-60CBにマルチフラットナーをつけます。取り付けもアダプターのおかげで簡単で、しかも周辺減光もかなり軽減(前回は内径の小さい一般のT2アダプターを使ったので)されています。

ところが、四隅の星が盛大に伸びるんですよ。理由ははっきりしていて、今回買ったCanonマウントはEWFを使うことが前提で、EWFの幅が11mmなのでバックフォーカスが11mm足りないんです。EFWの代わりに、マルチフラットナー用のFC76の調整リングを持っていたので11mmよりは少し長いですが、それを間に入れます。すると惜しい、フォーカサーを一番縮めても少しだけ長すぎてピントが出ません。一旦リングを外したりしましたが、FS-60CBは鏡筒接眼側に20mmくらいの延長筒が標準で付いているのに気づき、それを外しました。回転装置が少し使いにくくなりますが、なんとかピントが出て、四隅の星像も遥かにマシになりました。

次のトラブルです。NINAでASI2400MCの画像が撮影には進むのですが、ダウンロードできません。ASI294MM Proは全然問題なく撮影、ダウンロードできます。ドライバーとNINAは最新のものだったので、以前のバージョンとかにそれぞれ戻しますが、いずれもダメ。何か別の問題の可能性が高いです。結局NINAは諦め、急遽SharpCapに切り替え撮影することにしました。SharpCapでの撮影でガイド時にディザーをしようとする場合、ライブスタックモードが前提となります。これがいまいちなのでこれまでSharpCapを撮影に使ってこなかったのですが、今回はディザー無しで、縞ノイズが出ることも覚悟の上、PHD2でガイドしながらの撮影となりました。

これらトラブルのために撮影を始めたのは午前0時半頃。あまり時間がなくなってきましたが、どんな画像になるのか楽しみです。
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Gain150の3分露光での、撮って出しの強炙り出しです。


初のSAO撮影

その後午前1時頃、アンテナ銀河の方がかなり西の低空に来たので、ここで終了。まだ少し時間があるので、カメラの回転角やその他設定を変えずに撮影できる天体はないか探したところ、M16オメガ星雲がちょうど画角ぴったりです。

ついでなので、連休前に手に入れた8枚対応のEFWでHα、OIII、SIIのSAOナローバンド撮影に初挑戦です。

このあと仮眠を取り始めたのですが、うとうとしながら見たHα、OIIIはかなり凄かったです。SII見てないのですが、よく考えたらHα、OIIIはBaaderでSIIのみOptlongだったことに後から気づきました。もしかしたらピント出てないかもです。

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SIIの撮って出し、オートストレッチ。やっぱりちょっとピンボケっぽいです。
あと、思ったより暗い。同じ設定でHαは十分明るいです。


撤収

仮眠後、目を覚ましたら午前4時半近く。かなり明るくなっていて、そのまま撤収し5時過ぎに帰宅です。3つ使ったバッテリのうち、冷却とStickPCに使っていた古いやつが完全に空になっていました。

途中ファミマに立ち寄り、ゴミ捨てと朝食を買い込み、6時前に自宅に到着。買ってきた親子丼を食べ、まだかなり眠くて、そのまま寝てしまいました。

3日連続の遠征、といっても近征なのでまだかなりマシなはずなのですが、さすがに疲れてきました。でもまだ午後早い段階なので、今日こそは太陽を見ます。黒点が成長して大きくなっているみたいです。画像処理も溜まっているし、原稿書きとかも残っています。残り3日のGW、有意義に使いたいと思います。

 

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