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天体観測始めました。

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CMOSカメラの理解に

2022年4月にCQ出版から発行された、米本和也著の「CCD/CMOSイメージセンサの性能と測定評価」という本を最近購入しました。

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ここしばらくASI2400MC ProというフルサイズのCMOSカメラを使っていたのですが、その性能の良さにびっくりしています。フルサイズというと徐々にハイエンドに近いセンサーになりつつあり、最先端の技術も注ぎ込まれていると想像します。この本を読むと、天文カメラメーカーから出ている仕様説明はごく僅かで、他に多くの技術やパラメータが絡む仕様があることがわかります。


アマチュア天文という観点から中身を見てみると

著者は1980年代からソニーでCCDに関わっていて、2001年以降各社で経験を積み、2016年から再びソニーセミコンダクタソリューションズの研究部門に戻っているとのことで、完全にプロの開発者視点での解説書になります。

1章は概要や単位などの解説。

2章の原理説明はCCDが基本で、CMOSも追加で説明という感じで、両方の原理を理解する必要がありますが、ここら辺は基本なので理解しておいた方がいいでしょう。ただし、初読でここだけを読んで理解するのは大変かと思います。

その場合、同著者の2003年発行の前作、CQ出版の「CCD/CMOSイメージ・センサの基礎と応用」を読むといいでしょう。

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こちらの方はもっと原理から解説していますので、アマチュア天文という観点からは今回の新しく出た方が身近に感じるのかと思います。

今回は前作から20年近く経っているためでしょう、CMOSカメラの解説が多くなってきていて、タイトルにあるように「測定」にも言及するなど、CMOSカメラでの撮影が主流になったアマチュア天文民にも役に立つことも多いです。それでも今回も原理的な説明もかなり多いためか、参考文献を見ても1960年代や70年代のものがあります。随時2000年代、2010年代の参考文献が入ってくるので、新しい話も貪欲に取り込んでくれているのかと思われます。

3章以降が具体的な信号ノイズの例や、測定についてです。アマチュア天文ユースという観点で読み込んでいくうちの、いくつかポイントを書いておきます。

3章は感度についてです。基本的に暗い天体を撮影することが多いため、これまでノイズのことはこのブログでも色々言及してきましたが、その一方、明るい信号側に相当する感度のことはせいぜい量子効率くらいで、私自身あまり考えてこなかったことを痛感させられました。裏面照射の構造とマイクロレンズの関係、周辺減光と瞳補正など、これまで知らなかったことも多いです。

4章は飽和に関してです。ここもかなり原理的に説明してくれています。これまでほとんど知識がないところでした。ダイナミックレンジの話や、飽和電指数の測定の話は、私はまだ馴染み深かったです。

天体写真という観点で一番関連するとことは、やはり5章のノイズでしょうか。P93の図5−1はEMVA1288規格でもよく出てくる図で、理解しておいた方がいいかもしれません。

特に固定ノイズの説明が詳しいです。天体写真関連ではバイアスノイズ(バイアスフレームに出る縞々のノイズのこと)とかが関係するのかと思います。今までなんでこんなノイズが出るのかあまり知らなかったのですが、ここを読むとよく理解できます。ただし読んでいる限り、ユーザーでどうこうできるわけではないことがわかるので、これは今後のメーカーの開発に期待するしかないですね。

ランダムノイズに関しては、天体写真をやられる方は普段から身近につきあっていると思いますので、比較的読みやすいかと思います。

3章の信号測定の方はあまり考えたことがなくて読んでいてもなかなか想像がつきにくかったですが、5章のノイズの測定のほうはまだ馴染み深いです。それでもかなり原理的な測定の説明も多く、実際これだけ読んで自分で測定するというのはなかなか難しいかと思います。むしろ、天体写真の画像処理はノイズ測定に近い様なことをやっているようなものです。実際にこの本を元に測定するにはもう一段階、具体的な説明が欲しいとことです。

6章で面白いのはフレアパターンでしょうか。これは天文愛好家の間ではサッポロポテト現象とよばれているものかと思います。その発生メカニズムが書かれているので、理解が進みます。これまであまりきちんと書かれているのを見たことがなかったので新鮮でした。ただし、これもユーザーでどうこうできるわけではないようです。また、あぷらなーとさんが理解している、Quad配列のASI294シリーズでなぜサッポロポテト現象が出なくなるかは、この本を読んだだけではまだ理解できません。もっと考えるとわかるのかもしれませんが、まだ私は理解できていないです。

ところで、最後まで読んでもコンバージョンファクターなどの話が全く出てきませんでした。センサーの仕様を理解するためには重要な情報かと思っていたのですが、開発者から見たら当たり前すぎることなのかもしれません。そういえば、以前コンバージョンファクターのことを聞いたとき「論文になっているような専門的なことではないし、かといって教科書に出る様な基礎的なことでもない」とか聞いたことがあります。


まとめ

アマチュア天文の範疇でこの本がどこまで役に立つかは、かなり専門的なところもあるので、なかなか判断が難しいです。多くのことは開発者目線での解説になっています。ユーザーの視点でどうこうできるかは、タイトルにもなっている「測定評価」という点においても、なかなか具体的な手法というと難しいかと思います。アマチュア天文ということを考えても、この本は具体的な方法を学ぶというよりは、原理を学ぶという観点で読んだ方がいいのかと思います。

特にCMOSカメラで疑問がある方には、かなりの原理的なところまで立ち返って、相当のレベルで答えてくれる書籍であることは間違い無いでしょう。¥3300円と専門書としては比較的安価な部類です。天体写真に真面目に取り組んでいるアマチュアならば、持っていても損はないかと思います。


星の村スターライトフェスティバル 2016で得た恒例の戦利品です。

今回店舗ブースで購入したものは少ないです。機材がそこそこ揃ってきたことと、電視観望の対応であまり時間が取れなかったことです。いくつか買い逃したものもありました。まずはVixenブースでネジです。

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最近足りなくなってきたので、いい機会でした。Vixenブースでは娘と一緒に行ったのですが、宙ガールシールと宙ガールバッヂをいただきました。

冬が近づいてきて、鏡筒が曇ることも多くなってきたので、ヒーター用にバッテリーを買いました。

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12Vで5Ahだそうです。大きさも手ごろです。ここのものは低温でもよく動くと聞いていたので、ちょうどいい機会でした。

タカハシブースでは鏡筒カバーを購入しました。

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バッグ用のカバーらしいのですが、十分使えるとのことです。S君がブースにいて、星座早見盤を下の子の分も2ついただきました。

直接購入したものはこれくらいで、丸太切り大会の賞品で

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娘が一位になったのでタカハシ提供の非常袋と、タカハシのシールをいただきました。さらに参加賞のペンとバンドエードと切った丸太の一部です。非常袋は抽選会の景品にもなってたものなので、ラッキーだったのですが、抽選会では結局何も当たりませんでした。

一番の大物買いはオークションでした。落としたものは全部で4点。まずはタカハシ2点。いつかはタカハシのあのタカハシです。自分でも初めてのタカハシです。ものは鏡筒とポータブル赤道儀です。鏡筒はFS-60Qのなんとアニバーサリーモデルで、青色ですごくかっこいいです。

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タカハシ本社工場に残っていた最後の一本とのことでした。帰ってから見てみたらシリアル番号に「DEMO3」と書かれていました。

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ここ最近軽量化装備のことをずっと考えていて、FS-60が候補に入っていて、ヤフオクなどでいいものを長いこと探していたので、バッチリのタイミングでした。しかもヤフオクなどより、よほど程度のいいものを更に安く買えたので大満足です。10年の単位で余裕で使えるはずなので、大事にしたいと思います。

赤道儀はポータブル赤道儀に相当するTG-SP スカイパトロールIIでAdvanced VXについで、ついに2台目です。

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このオークションのおかげで、最近ずっと考えていた軽量装備化にやっと踏み出すことができます。まずはタカハシ同士組み合わせて使ってみたいと思います。 将来的はUNITECのポタ赤がコンパクトなので、置き換えることになるかもしれませんが、精度的にはこちらのTG-SPでまずは詰めてみようと思っています。

さらにオークションで、落札ではないのですが手に入れたものは、SBIG社製の初期のCCDのST-7です。

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画素数が38万画素と少ないせいか、最後千円でも不落に終わったのですが、出品者の方と話して同額で譲っていただきました。冷却タイプで、LRGBフィルターも付いていて、そもそも冷却ものも扱ったことがないので、機器としてだけでも魅力です。ソフトも全部付いているみたいなのですが、MS-DOSとか書いてあってソフト関連は相当古いので、いろいろ遊びながら試して活用させていただきたいと思います。

最後は夜のオークションで出ていた糖度計です。

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娘がKyoeiブースまでやってきて「百円ちょうだい」というので、渡したら糖度計に変わっていました。ものはたくさんあって全部百円だったらしいのですが、誰か十円を置いていったらしく、笑い話になっていたみたいです。果物とかは測定できないとのことですが、普通に糖度が測定できるみたいで、百円というのは信じられない値段です。子供の自由研究か何かに使えそうです。これは下の子のお土産になりました。

パンフレット類です。
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参加の証のステッカーももらえました。

最後はライブで出演されたオオザカレンヂkeisukeさんのCDです。

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オオザカレンヂkeisukeさんご本人にサインまでしていただきました。娘は一緒に写真まで撮ってもらっていました。娘が今回の中スターライトフェスティバルの中で一番よかったと喜んでいます。私はまだ聞いていませんが、歌詞を見ると星まつりにふさわしい星についての歌です。


今回は、観望の準備の方が忙しくて手に入れることができた品数はそれほど多くないですが、オークションで落札できたのが相当大物で、しかもかなりお値打ちで落札できたので大満足です。

今回のスターライトフェスティバルの旅は、番外編として後もう少し続きます。 

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