ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:Baader

連休中の一連の太陽撮影で、PSTでのHα撮影と、白色光撮影で粒状斑出しに挑戦しています。




時間的には少し前後しますが、今回は連休2日目の朝に太陽撮影で朝から粒状斑に挑戦した時の記事です。


アルミシート巻き

まず朝からC8の周りにアルミシートを貼り付けます。アルミシートは手持ちでいくつか持っているので、単に幅だけ合わせてハサミで切って両面テープで取り付けるだけです。

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4倍PowerMATE

もう一つの新しいことは、かんたろうさんにお借りしているTeleVueの4倍のPowerMATEを使ってみたことです。以前も試したことはありましたが、それ以前にシーイングがボロボロで全く意味がありませんでした。前日に続き、この日もシーイングは悪くありません。もしかしたら何か見えるかもと期待ながら試します。

少し出たか?

4倍の画像です。

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結果だけ見てみると、多少ですが明らかに粒状班らしきものが出ています。シーイングは昨日とそこまで変わっていないと思います。アルミシートを貼りはそこまで効いているわけではないと思います。

では何が一番違ったかというと、画像処理です。昨日の粒状班を出そうとした画像で、PowerMATEなしの1倍での画像はそれらしき粒のようなものが見え始めているのに、PowerMATEで2倍にしてもその効果がほとんど分からないほどつぶつぶ感は出てきませんでした。画像処理はAutoStakkert!3で重ねた後、ImPPGを使っているのですが、2倍に拡大したらより大きな構造での解像度を上げるべきではないかと思ったわけです。ImPPGだとその調整ができないので、PixInsightのMultiscaleLinearTransformを使って、必要な大きさの構造を強調するようにしてみました。すると、無理な画像処理をすることなく上記くらいの粒々が出てきました。この方法、実は以前も試しているのですが、シーイングがダメな時はやはり何をやってもダメなようで、今回は春のゆらぎの落ち着きでここまで出てきたのかと思います。

昨日の2倍の画像も同様に再処理してみました。こちらはPixInsighの代わりにRegistaxを使っています。
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こちらも前日の処理よりはかなり粒状斑っぽくなってます。

でも逆に言うと、さらに粒状感を増そうと思ったら、もっとましなシーイングが必要だということです。今回も撮影中のPCの画面をじっくりみていると、1分の動画の中でも例えば10秒くらいのスパンであからさまに解像度が良くなったりすることがありました。そういう時を狙って撮影して、更にラッキーイメージでその中でもいい画像を抜き出すことで解像度を出していくのかと思いました。撮影中の分解能のゆらぎが見えるくらいまでになっていれば、ピントがあっているかどうかという判断もできるようになってきました。

まとめ

今回粒状斑についていくつかの改善をしました。
  • カメラがグローバルシャッタータイプになったこと。
  • 鏡筒にアルミシートを巻いて筒内気流を軽減したかもしれないこと。
  • 4倍に拡大したこと。
  • 画像処理を拡大率に応じて変えたこと。
などです。それでもシーイングの良し悪しに大きく依存しそうです。しばらく気流は安定している季節なので、もうし少し挑戦してみたいと思います。

あと、4倍のPowerMATEはかんたろうさんから長期間お借りしているものなので、流石にそろそろ返さなければいけません。 

太陽粒状斑撮影にフィルターワークで新兵器投入です。今回はサイトロンから新発売のPlayer One社のPhotosphere filter。540nm付近を10nmの幅で透過するようなフィルターです。



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元々Barrderで「Solar Continuum Filter」という名前で同様のフィルターが古くから販売されていたようなのですが、国際光器のページを除いても在庫なし、本国のページを覗いても今も2インチしか残っていないようです。

最近Player Oneから同等のフィルターが発売されたことを本国のページから知ったのですが、PayPalでは自宅住所の県の情報が入らないという、おそらくシステムのエラーのようで、うまく購入することができませんでした。その足で少し前にシュミットさんに問い合わせてみたら、いずれ日本でも発売するとのこと。期待して待っていると、早速6月24日に発売開始のアナウンスがあり、早々と使ってみたというわけです。

さて、このフィルターで何が見えるかというと、太陽の光球面のベナール対流起因の粒状斑と呼ばれるものです。下層から上がってくる斑の中心の明るい部分と、下層に下がっていく周りの暗い部分の境界の温度が6000K程度になっていて、波長で言うとちょうど540nm程度でその明るさの差が見やすくなるため、粒状班模様としてよく見えるようです。

明暗がはっきりと

前回の撮影ではこのフィルターの代わりにBaaderのYellowフィルターを使っていましたが、模様の明暗部分のあぶり出しにかなり苦労していました。

今回はその明暗のあぶり出しは相当楽になりました。結果はというと、

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くらいで、分解能に関しては今回は前回の結果には達しませんでした。今回導入したフィルターと画像処理方法がある程度確立してきたため、この程度のものはコンスタントに出るようにはなってきました。ただし前回も今回も強画像処理の影響が大きく、もう少し画像処理をしなくても自然に粒状斑が出るよう、まだ撮影に改善の余地がありそうです。


何が効いているのか?

うまく見えるかかどうかは
  • シーイング
  • シンチレーション
  • ピント
  • 波長
  • 焦点距離 
  • カメラの分解能
  • 口径
に依存します。上に行くほど運で、下に行くほど装備といったところでしょうか。何が足りていて、何が足りないのか、少しだけ検討します。
  • 口径はC8で20cmでそこそこ十分なはずです。まだ惑星撮影の典型的な分解能に達していないので、口径制限とはなっていないはずです。
  • ピントは合ったと思った前後を何ショットか撮っておけばいいでしょう。
  • シーイングは今日はそこまで良くなかったようですが、冬よりは遥かにマシになっているようです。これは日に依るので、地道に繰り返していい日を待つしかありませんが、基本的に休日しか撮影できないので、つらいところです。朝早く起きるか?多分無理です。
  • シンチレーション等意味では、外気温40度近い状態での撮影なので、多分鏡筒などの温度が物凄いことになっています。筒内気流がどうなっているか?まだ全然考えていないので、ここら辺がキーになるのかもしれません。
  • 波長に関しては、今回のPhotosphereフィルターを使うことができるようになったので、これ以降は解決のはずです。
  • 今回はPowerMATEの2倍を入れてC8の焦点距離2000mmを4000mm換算で撮影しました。ピクセルサイズから考えるとまだ全然アンダーサンプルです。なので焦点距離を伸ばす方向が正しい気がしています。手持ちのScience Exploereの5倍のバローを次回導入してみようと思います。もしかしたら以前使ったことのあるPowerMATEの4倍を購入するかもです。

今後

とにかく、もう少し焦点距離を伸ばして、十分なオーバーサンプル状態のカメラで、シーイングのいい日を狙って撮影ということになりそうです。筒内気流はどうするか?もう少し考えます。

Baaderの減光フィルム、Televueの2倍のPowerMATE、Player OneのPhotosohereフィルターときて、状況は徐々にですが、着実に改善されてきています。もう少しでしょうか。

最近すごく忙しくて、太陽なんかやっている暇ないはずなのに、せっかくの休日の晴れだとどうしても試したくなってしまいます。さらに一昨日からSV405CCの評価を再開しています。まもなく記事にできるかと思いますが、試してみたいこともまだまだあるのでいつ終わることやら。ゴールデンウィークの頃に撮影した溜まっている画像の処理が全然進んでいません。うーん、大丈夫か?



実は4月くらいから太陽粒状斑の撮影を何度かしています。でもほとんど失敗か進化なしで、ブログの記事にしていませんでした。今回は久しぶりの進歩です。


とうとう粒状斑が出た!

本日2022年6月19日、梅雨なのに朝から快晴です。早速の太陽粒状班撮影です。最近はもう粒状斑ばかりで、PSTでのHαは放っておいてます。

最初から結果です。どうでしょう?粒状斑出たといっていいのでしょうか?多分いいですよね!やっとたどり着いた太陽の粒状班です。長い間の目標の一つでした。この模様はベナール対流と呼ばれる、下から湧いて上まで昇ってきて、また下に降りていくようなモコモコの模様で、味噌汁とかの表面でも見えるような現象です。
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  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 撮影時間: 2022年6月19日14時27分-15時12分
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • バローレンズ: TelVue PowerMATE x2 (焦点距離約4000mm)
  • フィルター: Baader Planetarium AstroSolar Solar Filter OD5.0
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、PixInsightで細部出し、PhotoshopCCで後処理
写っている黒点はAR3034ですが、テスト撮影なので向きとかは適当です。かなり強度な画像処理をしたのち、やっと細かい模様が出てきました。大きさ的にも正しそうですし、少なくとも何らかの構造が見えているのは間違いないでしょう。ただ、画像処理の加減がまだわからず、もしかしたら変な模様になってしまっている可能性もあります。


ここ最近の機材の改良点

まずこれまでと決定的に違うとことは、減光フィルターをOrionの厚みのあるガラス板状のものから、Baaderのフィルム状のものに変えたことです。フィルムのものは手元に以前国際光器に注文したOD3.8と、福島の星まつりで国際光器のブースで特価で買ったOD.5.0の2種類ありますが、とりあえず5.0のを使ってみました。

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見ての通り、フィルム取り付けの工作はまだ超適当です。今回は効果があるかどうかを見るのが目的です。実際、撮影の時に少し光が漏れていて、PCでの画面が明るくなっていたので、もう少しパーマセルテープで塞ぎました。

カメラ側につけるフィルターは今回もBaaderのDark Blue、Yellow、サイトロンの640nm以降を通す赤外線などいくつか試しましたが、上の画像はYellowで撮影しました。

その他機材はこれまでと同じで、C8にASI290MMで撮影しています。今回はさらに拡大するためにTeleVueの2倍のPowerMATEをつけています。

撮影はSharpCap。リアルタイムフラット補正をしながら、ヒストグラムのレベル補正で小さな黒点を炙り出し、その黒点の平均的なピントが一番合うところを探していきます。シーイングはそこそこよかったと思いますが、ベストからはまだ劣ると思います。今回のは条件を変えて10ショット撮影して、これが一番まともでした。他のはここまで出てません。

画像処理ですが、スタックはAS!3でこれまでと同じですが、模様出しは全然違います。ImPPGだとPowerMATEを入れたときのベースの解像度が違うみたいで全く歯が立たず。Registaxもいまいちダメでした。最後はPIのMutiscaleLinearTransformでかなり微調整して、やっと粒状班の構造が出てきました。


雑感

今回少なくとも分かったことは、これまで使っていたようなガラス板状の減光フィルターはやはりダメということ。これまでどうやっても出なかった細かい模様が、すんなりとは言いませんが、出すことができるようになりましした。PowerMateを付けない画像でも顕著で、ImPPGでものすごい処理をしてなんか見えたような気がするとか言っていたのが、今日も含めて過去2回新しいフィルムで試していて、どれもあっさり画像処理で同等以上の模様が見えます。

これを見て、昔C8の光軸合わせを夏の暑い日にクーラーをかけた部屋の中から、窓ガラス越しでやっていたことを思い出しました。ブレブレになって細かいところが何も見えないのです。窓ガラスを開けたとたんに、ブレがピターっと止まって、あー、ガラス越しはダメなんだと実感しました。もしかしたら同じようなことなのかもしれません。

かと言って、撮影中にPCの画面で大きな違いが出たかというとそんなこともなく、少なくともSharpCapの画面を見ている限りはよくわかりませんでした。画像処理後の違いとして認識できるのみです。


今後

まだ改良できそうなところですが、鏡筒が黒くて熱を窮するので、反射アルミ箔とかを巻くこと。でも実際の撮影では鏡筒を太陽光に完全に平行に向けるのであまり熱くならないため、そこまで効果はないかもしれません。

あと、今回使ったYellowのものの代わりに、フィルターを専用のものにするとコントラストが上がるかもしれません。Baaderのものを頼んで気長に待つかなどです。Player Oneのを輸入するかです。


まとめ

今回、フィルムタイプの減光フィルターに変えた効果はあからさまにあったと言っていいでしょう。ただ、まだ画像処理は手探りで、もう少しまともな方法をいろいろ試したいと思います。シーイングがもっといいと、無理な画像処理はしなくていいのではないかと期待しています。


最近全然画像処理が追いつていません。実は制御勉強会をやった5月22日の日曜の昼間も太陽を撮っていました。太陽は速報性が大事なので、本当はその日のうちに処理した方がいいのですが、その後もなかなか時間が取れなくて、やっと画像処理が終わりました。

まだGW前に撮ったものとGW中に撮ったものが残っているのに、さらに次の新月期が来たので今週また撮影をはじめてしまいました。未処理のものがM104ソンブレロ銀河(RGB)、NGC4038アンテナ銀河(RGB)、M17オメガ星雲(AOS)、アンタレス付近(6D)、M81(LRGB)、M82(LRGB)、M57リング状星雲(ラッキーイメージ)、M99(RGB)などです。それぞれブログ記事にもしたいので、完全に発散状態ですね。

まあ気を取り直して日曜の太陽からです。最近の目的は粒状斑を出すこと。皆さんうまく出しているのですが、私はどうもうまく出すことができません。Orionの太陽用の減光フィルターを使っているのですが、もしかしたらこれが悪いのか、単にシンチレーションが悪いのか、フィルタリングが悪いのか?

とりあえず粒状斑の前に通常のPSTでのHα撮影です。シンプルに黒点群(AR3014とAR3015)と、南西に出てた一番大きなプロミネンスだけ。
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  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 撮影時間: 2022年5月22日14時27分-15時12分
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

最後が粒状斑です。OrionのNDフィルターに今回はYellowを付けてみました。今回はたいした画像処理もせず、少し粒状斑っぽいものが見え始めているようです。

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あと、フィルターで波長を絞る必要があるのは確からしくて、バーダーのサイトを見ると540nmで10nm幅のフィルターで粒状斑がうまく見えるらしいです。でもこのフィルターもう売ってないんですよね。

それに、なんで540nmなのか理由がわからなかったので調べてみました。粒状斑の模様を作るのは太陽表面にベナール対流があり、その上昇の温度と下降の境の温度が6000Kらしくて、この温度を境に明るく見えたり透明になって下の暗い層が見えるのが理由だそうです。500nm程度の波長で見ると、上昇が6500K、下降が6000Kに見えて模様になるということのようです。なので必ずしも540nmである必要はなく、その付近の波長、中には赤外などでうまく見えている人もいるようです。

今回、QBP IIIとバーダーのBlack blue、Yellowを組み合わせたりして試しましたが、Yellow単体が一番よく写りました。おそらくC8にASI290MMだとカメラ的に解像度がギリギリで、せっかくシンチレーションがそこそこ良かったのに、バローを入れられなかったところが惜しかったです。次回リベンジです。

あと、540nmのフィルターですが、Player Oneから新たに発売されているのですが、まだ日本では扱っていないようです。サイトロンに問い合わせてみましたが、一応発売されているものは扱う予定があるとのことのなので、今しばらく待とうと思います。ちなみに直接Player Oneの本国のサイトから買おうとしたら、どうもシステムの問題でPayPal支払いができず諦めました。


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