ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:AZ-GTi

CP+2021 サイトロンブースでの生中継電視観望、見ていただけたでしょうか?奇跡的に天気にも恵まれ、もう大成功でした!当日までの準備と、当日の実際のトーク、いったいどんなだったんでしょうか?


トークのお誘い

もともと天リフさんからお話があったのは1月半ば。もう1ヶ月以上も前になります。電視観望で話して欲しいとのこと、私は日程が空いていることを確認してすぐに二つ返事でOKです。その後たまたまClubHouseを通して天リフさんと話す機会があり、「せっかくのCP+なので天文クラスター以外の人も来てるはず。じゃあ電視観望とか知らない人でも興味を持ってもらえるように、入門クラスの機材でできるだけ敷居を低くしてやってみましょうか?ちょっと前に、ちょうどサイトロンのカメラとガイド鏡でブログの記事書いたので、それの延長で行きましょう」ということになりました。

その時点ではまだ星空を中継するかは全然考えてませんでした。その後、天リフさんから講演時間の希望調査が来た時に「もし星が見えるならその場で見せたいので、できれば一番最後にして下さい」と頼んでおいたのですが、さすが天リフさん、本当に一番最後にしてくれました。時間は18時から18時半なので、この時期だとまだ少し明るいのですがまあなんとかなるかと思い、中継を決心。その後、何度かテストして晴れてさえくれればオリオン大星雲ならなんとかその時間でも見ることができるのがわかりました。それが予告編の記事前後になります。

一応技術的には見通しがついたので、あとは晴れてさえくれればなんとかなりそうです。プレゼンの資料方も方針が決まったので、結構早くに目処がつきました。


CP+開始

さて、2月25日の木曜から始まったCP+ですが、SIGHTORONブースの配信は27、28日の土日となります。土曜午後2時、天リフ山口さんからのスタートでしたが、かなり緊張しているようでした。録画ですが「一発撮りなので緊張した」と言っていました。サイトロンのトークを含む多くは事前収録でしたが、天文関連の方は生中継が多いようです。かくいう私も生中継、しかも生星空中継も目論んでいます。はてさて、どうなることやら...。

先週一度テストはしたのですが、心配性なので前日の土曜に再テスト。全ての接続と、ピント出し、カメラの向きなど一通りの撮影を試しました。1階の自分の部屋の、窓を開けてすぐ下のところに機材を置いたのですが、その時木の枝がけっこう邪魔なことに気づきました。

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前日のテスト撮影です。
少し遅い時間ですが、それでも木が邪魔してます。
本番の時間だと完全に木の枝に隠れそうでした。

とうとう自分のトーク本番28日の日曜です。昨晩気づいた木を切るために、朝からチェーンソーを出して作業開始。木の枝が電線にかかりそうになっていたので、ちょうどいい機会でした。

空は朝から晴れていて、scwによると夕方少し雲がかかるかもと出ています。一応星空中継は、トークの中で紹介する入門用のEVOGUIDE+SV305-SJ+AZ-GTiと、少し雲がかかったときのためにNIKKOR50mm+ASI294MCで広角電視観望の2本立てで用意しておきます。

さてさて午後になり、ぼすけさんのトークが始まります。ニュートニーとマクシーの解説ですが、私もそれに触発され、背後にニュートニーとマックシーを置いてみました。ブログの記事にしてないのですが、実は少し前に両方とも手に入れています。目的はむしろ教育で、観望会とかに持っていって中身を見せるとかです。

さらに、あぷらなーとさんのスムーズなトークにちょっとびびってしまいました。もちろん内容もすごく考えて作られていて、マニアックな内容を初心者にもよくわかるような話にしています。

成澤さんの頃には自分のトークの準備が佳境。ごめんなさい、成澤さんが生で中継しているのまでは認識できましたが、ここら辺からトークもあまり聞けていませんでした。自分を写すカメラ位置や、機材の最終点検です。外を見ても結構雲があって全然よくなる気配はありません。なのでスライドも少しロングバージョンに組み替えです。

20210228_1643_cloudy

Zoomもつないで天リフ山口さんとも接続確認し、準備完了。トーク開始の15分前です。外を見ると、太陽は沈んでいますが、まだ少し明るくて、相変わらず雲だらけです。


いよいよ本番

さて、いよいよ自分の時間。15分くらい遅れていたので18時15分からのスタートでした。最初の挨拶に引き続き、そのままスライドへ。今回のトークのテーマは2本だて。電視観望の入門と広域電視観望です。
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つかみは望遠鏡あるあるです。今回は、眠っている昔の望遠鏡も使える可能性があるので、そのイントロも兼ねています。前半は以前このブログでも紹介した初心者用の電視観望の組み合わせでどこまで見えるかというお話です。
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馬頭星雲も短時間だと淡いですが、40分放っておくとかなり鮮やかになります。SharpCapの設定例とともに示します。
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Livestackの効果を三つ子銀河で1枚、2枚、4枚...と128枚まで見せました。ノイズが目に見えて減っていったのが分かったかと思います。

後半は入門からのアップグレードで、手持ちの眠っている望遠鏡を使用してみようとか、カメラをアップグレードしてみようとかです。
スライド27

その中でQBPを用いるとコントラストが劇的によくなること、さらに広域電視観望の紹介で事前に撮影した自宅屋根からバーナードループが映るまでを見せました。ここは、天気が期待できないためにビデオでの紹介を急遽入れ込んだ箇所でした。最後のスライドを終えて、ダメ元で広域のカメラで空を見てみるとなんと星が見えるではないですか!

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全然期待してなかったので、ちょっと興奮してきました。この時点で18時50分くらいだったでしょうか。もし星空を中継するなら時間を延長していいという許可はあらかじめ得ていたので、さあ延長戦の開始です!

早速、最初に紹介したSV305-SJに切り替えて、EVOGUIDE 50EDとAZ-GTiで電視観望です。ここでちょっとトラブル。接続してあったはずのAZ-GTiが認識されていません。まあ放っておくとたまにあることなので、冷静にAZ-GTiの電源を入れ直します。すぐに認識され、リゲルを導入します。水平はそこそことってあったつもりですが、やっぱり一発では入りませんでした。そこで前々回の記事で紹介したプレートソルブです。



この時点で19時前くらい、時間が押していたせいもあり、十分な暗さが確保できています。そのためでしょう、なんとプレートソルブ君も一発で星を認識。うまくAZ-GTiに返して位置を補正したらすぐにリゲルが見えてど真ん中に入りました。ここまできたらもう大丈夫です。予定通りM42オリオン座大星雲を導入します。そのまま真ん中に入り既にその色と形がわかります。ライブスタックを開始してノイズが少なくなりさらに炙り出すこともできます。

M42

延長と言っても既にかなり押していたので、すぐに広域電視観望に移ります。カメラは2台とも1台のPCにつないであるので、SharpCap上でカメラを切り替えるだけです。そのPCに部屋の中にある別のPCからリモートデスクトップで接続し、その画面をZoomの画面共有で中継しています。

ところが、カメラを切り替えたらなぜか画面が真っ赤になることが数回。
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原因はホワイトバランスが合っていなかったことと、Livestackに切り替えた時に画面をクリアすることを忘れていたためです。コメントとかTwitterを読み返すと、こういう時にすぐに立ち直るのに驚いた方が多かったみたいです。たまたますぐに気付くことができましたが、今回のように時間が限られている場合はやはりこういったミスは致命的になる可能性があるので、やはり気をつけるべきです。

広域電視観望では実際に自由雲台を手で直接動かして星雲を導入する様子を見せることができました。焦点距離50mmなので、手で導入しても位置が分からなくなるような事は無いということを示したかったのです。ところが三脚を置く位置が悪くて、オリオン座が入ったところで電線も入ってしまいました。途中「あっ、木?」とかつぶやいたと思うのですが、あれは前日に木が邪魔だったからなのです。でも電線が逆に臨場感を出していたというコメントもあったので、これはこれでよかったのかもしれません。

広域電視観望の場合かなり明るく見えるので、オリオン大星雲なんかは導入の途中で視野が動いててもそのまますぐにわかるし、燃える木も簡単に認識できます。バーナードループはどうでしょうか?ここで大きな勘違いに気づきます。この日は満月の次の日で相当明るいとその時まで思っていたのですが、早い時間だったのでまだ月が上がってきていなかったのです。調べたら月の出が18時50分、ちょうど星空中継が始まったくらいに月が出たようです。まだ月が高くなかったので暗さが保たれていたようです。

暗さも手伝ってか、Livestack前でもうっすらとバーナードループが既に見えていますし、Livestackを開始し炙り出したらかなりはっきり見ることができました。もう大成功です。この時点で天リフ山口さんに声をかけて「大成功でしたね!」と喜び合いました。CP+ではおそらくというか、確実に初めての生星空中継でしょう。むしろオンラインのCP+だからこそ実現できた臨場感だと思いました。

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中継終了後、コメントやTwitterを読み返していましたが、やはり随分と盛り上がっていたようです。とくに星空生中継に入っているとすごいコメント数になってきてます。実際の操作が見えたのが良かったという意見もありました。いくつかピックアップしてみます。
  • Bouque Ricoさん: ラストですね待ってました(^o^)!
  • Hiroyuki Narisawaさん:  楽しみ!
  • Alricha 33さん:  晴れてほしいですね!
  • Civetさん: α7sの電視観望から、CMOSカメラでの電視観望を即日に発送したのが凄すぎる!このブレークスルーの恩恵を今、我々は受け続けています。
  • はにちゃいさん:  電視観望、体験したことがないので楽しみです^^
  • 460 Photo Laboratory-ふぉとらぼさん: SharpCapは、MacOS版があればなぁ
  • 迷人会こたろうさん:  キンチョーしてませんか?笑
  • kouki atuさん: ここが知りたかった 視聴して良かった。
  • やさ_もささん: モニターで見ている分には十分すぎる
  • uminotuskiさん: 銀河が顔に見えてきました
  • 智さん: リアルタイムでノイズが消えていくのを見ると感動しますね。
  • wgateええじさん:  おおー
  • シュガーあんとんさん: 敷居が下がって天体人口増える
  • Hiroshi Tさん: 電子観望楽しいですね!
  • sabotenさん: 自分が使っているのと同じレンズだあ
  • MASAさん: 昔のレンズでも今の惑星CMOSに合うアダプターはあるんでしょうか?
  • ブラックパンダさん: 了解しました!CBPのアメリカンサイズ発売します!
  • Vtuber【ゆきさき】さん: すごいかも
  • 智志さん: 電視観望無敵!
  • 小林武嗣さん: 楽しい、役に立つセミナーです。
  • Masa Schumitさん: Samさん、ありがとうございました。とてもわかりやすくワクワク感のあるお話でした。
  • Akkeyさん: ブログ拝見して電視観望始めた一人です(笑)
  • hamsoltさん: フィルター買わないと
  • サイトロンジャパンさん: M42キター!!!
  • チーズアメさん: 経緯台でもPlateSolve走るんですね
  • nagasaki ten.さん:  ででん!
  • shuji acureさん: 凄い時代だ...!
  • りっくんさん: このプレートソルブはすごい
  • 1956 nardisさん: 富山晴れて良かったですね!
  • R & Lさん: 操作が早い!!!
  • _さすらいさん_:  LIVEでLIVEスタック!
  • 1957やまちゃんさん: 臨場感100%!
  • Kiyorin Strikeさん: 薄雲が..
  • Hiroshi Tさん: 豪快な導入W
  • Aramisさん: 電線見えるの逆にリアル
  • yamanonさん: 固定でスタックが流れないのか?
  • Yuichi Kiharaさん: 調整しているところが勉強になりますね
  • galaxy_takasさん: 10ユーロお布施します。
  • 山田祥之さん: かんどー!
  • Amanogawa Ranpoさん:  おおおー
  • yyhhaabbuuさん: お疲れ様でした
  • RYO[天文楽者]さん: お疲れ様でした!!!!!
  • あぷらなーとさん: すごい!大成功!大快挙!
  • NGC6992さん: 素晴らしかったです。ありがとうございました。
  • Heeyang Keeさん: ありがとうございました
  • mm mmさん: 88888888
  • spitzchuさん: 最高に良かったです。山口さんもお疲れ様でした。
  • ゆいさん: ありがとうございました
  • 腹黒鶺鴒さん: すごかった。。勉強になりました。ありがとうございました。
  • Masaさん: 電子観望の魅力がわかりましたー
  • Natsuokkuriさん: 家族でかんどうしました
  • Taro Mineさん: 今年のCP+で一番エキサイトしたオンラインセミナーだった
(ピックアップしきれなかった方がいましたら、ごめんなさい)

あとびっくりしたのが、トーク中にCBPのアメリカンサイズが欲しいとつぶやいたら、なんとサイトロンの方で本当に発売してくれるとのコメントが。私は後からコメントを読んだのですが、まさか本当になるとは!本当にありがとうございます。これは多くのユーザーにとってもとても嬉しいことだと思います。


終わってみて

コメントを読んで、Twitterをフォローして、今回の中継は結構凄いことではなかったかと改め思ってしまいました。最大289人の視聴者だったそうです。なかなかこれだけの人に生で星空中継を見てもらうというのは、少なくとも私の中では初めてのことです。しかも心配だった天気も奇跡的に回復しました。やはり空の中継が一番盛り上がったので、天気のおかげとも言えます。

夜の10時頃からZoomで呼びかけたら何人かの方が集まってくれました。次の日は月曜なので、遅くならないように1時間程度で終わりましたが、知った人が多かったので感想なども聞け、まったりした雰囲気でした。

準備から含めて結構大変でしたが、間違いなく今回のトークを引き受けて良かったです。本当に電視観望に興味が出て、新しく始めるような人がいてくれたら、とてもうれしいです。

天リフ山口さんはじめ、成澤さん、サイトロンジャパンの皆様、CP+の運営の皆様、どうもお疲れ様でした。私自身もとても楽しむことができました。本当にありがとうございました。

そして、視聴してくれた皆様、本当にありがとうざいました。電視観望に興味を持っていただけたらとても嬉しいです。また何か機会がありましたら、よろしくお願いいたします。


見逃した方へ、もしくはもう一度見たい方へ

3月中は配信がアーカイブで見えるとのことです。


私のトークは4時間15分くらいの所からです。まだ見ていない方がいましたら、もしよろしければご覧ください。


今回サイトロンさんから、まもなく発売される予定の入門用のCMOSカメラをお借りすることができました。まだ型番もついていない段階のものです。いい機会なので、このカメラを使ってできるだけ手軽な電視観望を試してみることにしました。

(2020/10/12追記) 2020年10月10日に正式発表されました。型番はSV305-SJとなります。SJはサイト論ジャパンの頭文字だそうです。販売ページはこちらになります。




星や宇宙のことに興味があり、できるなら星雲や星団、銀河などを見てみたいけれども、難しいのではないかと思っているような方にお役に立てたらと思います。もしよければ、この記事を読んでぜひ電視観望を試してみてください。


電視観望で宇宙を見る

もしかしたら、星雲や銀河を見るためには大きな望遠鏡が必要だと思っていませんでしょうか?

昔は確かにそうだったかもしれません。でも最近はCMOSカメラと呼ばれる高感度なカメラを使うことで、以前からは考えられないくらい小さな望遠鏡で、はるかに手軽にきれいに星雲などを見ることができるようになってきました。今回もガイド橋と呼ばれる、むしろ普通の望遠鏡よりも小さな鏡筒を使っています。

今回紹介する電視観望と呼ばれている方法は、大きくわけて4つのものが必要になります。

  1. CMOSカメラ
  2. 鏡筒(望遠鏡)
  3. 自動導入の経緯台もしくは赤道儀と三脚
  4. Widowsコンピュータ
順番に見ていきましょう。


1. CMOSカメラ

カメラはCMOSカメラと呼ばれる、天体用に販売されているものが適しています。今回使用するサイトロン から販売されるCMOSカメラは、電視観望をすることができるカメラの中では最も安価な部類になると思います。

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実はこのカメラ、SVBONY社のSV305と同等品で、違いはフィルター部のみ。SV305はセンサーの前に赤外線カットのフィルターが入っているため、星雲のHαの赤色を出すのに苦労しているという情報があります。今回のサイトロン社のカメラはフィルター部を通常の保護ガラスに変えているとのことで期待できそうです。

上の写真にはカメラの先端にUV/IRカットフィルターというものが付けてあります。これは赤ハロと呼ばれる星が肥大することを防いだりする役割があります。(2020/10/12追記: 正式発表を見るとこのUV/IRカットフィルターが付属した形での販売となっています。)


2. 鏡筒

カメラが入門用で比較的安価に購入できる反面、センサーの面積が小さく、天体の導入がなかなか大変になります。そのため、鏡筒(望遠鏡)はできるだけ短い焦点距離のものにして、広角で広い範囲を見るようにして、導入をしやすくしようと思います。例えば焦点距離が200mm台くらいになるとアンドロメダ銀河が画面にちょうど収まるくらいになります。ところが、焦点距離200mm台の短めの鏡筒を探すのは意外に難しく、今回はガイド鏡として販売されているSky-WatcherのEVOGUIDE 50EDを使ってみることにしました。



焦点距離は242mmなのでちょうどいいくらい、またEDレンズを使いながら税込で実売2万5千円くらいと、性能の割に比較的安価です。


EVOGUIDEを箱から出すと、ガイド用のマウントがついています。

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このままだと扱いにくく、経緯台や赤道儀に直接取り付けたいので、下のマウント部を取り外し、代わりにVixen規格のアリガタを取り付けました。

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今回は上の写真のように手持ちのアリガタを使いましたが、例えば下のリンク先のアリガタのように真ん中に溝が切ってあるものならネジとナットで止めることができるはずです。このように、自分でいろいろカスタマイズすることで応用が広がります。




鏡筒にCMOSカメラを取り付け準備完了です。ちなみに、緑のリングはこれくらいの位置でピントが出るはずです。実際に使う場合は参考にしてみてください。

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3. 自動導入経緯台AZ-GTi

電視観望の場合、目的の天体を次々見ていくことになるので、自動導入ができる経緯台や赤道儀があると便利です。今回はSky-Watcherの自動導入経緯台AZ-GTiを使います。




AZ-GTiを三脚に乗せ、鏡筒とカメラを取り付けます。この時、AZ-GTiについている水準器を見て、きちんと水平に設置されているか確認します。また、AZ-GTiの背の部分についている大きなネジを緩めて、鏡筒もできるだけ水平になるようにして再びネジを締めます。さらに、AZ-GTiの下の方についている小さいネジを緩めて、水平方向に回転させて鏡筒の先が北になるように向け、最後にネジを締めます。

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4. Windowsコンピュータのセットアップ

電視観望にはWindowsコンピュータが必須です。ノートPCだと便利です。手持ちのPCがあればまずはそれで試すので構いませんし、もしあまりのPCとか無ければPCを別途用意して下さい。少し前の安い中古PCでも十分楽しむことができます。Windows10が入っている時代のものならば十分なはずです。

PCにはSharpCapというソフトを入れてください。この際、必ず32bit版を使うようにしてください。今回のカメラはまだ64bit版では動かないようです。



PCの準備ができたら、次に、カメラをコンピュータにUSBで接続します。USB2.0という少し前の規格になりますので、ケーブルの種類に気をつけてください。コネクタの中の色い白いプラスチック部分が見えるケーブルなら使うことができます。

SharpCapを立ち上げて、メニューのCameraのところから接続します。SharpCapからはSVBonyのSV305と認識されるので、やはり同等品ということがわかります。

さて、画面に何か写っていますでしょうか?鏡筒が水平を向いているので、鏡筒が向いている先の地上の何かが写っているはずです。でもおそらくピントが合っていないはずなので、ぼんやりと写るだけだと思います。最初慣れないうちはいきなり夜ではなく、昼間に試して遠くの方を見てピントをある程度合わせておいた方がいいかもしれません。


初期アラインメント

ここでAZ-GTiの電源を入れて、スマホやタブレットで接続します。スマホやタブレットにはあらかじめSynScanまたはSynScan Proを入れておいてください。「アラインメント」でどこか明るい星を導入し、どの方向を向いているのかAZ-GTiに教えてやります。最初はワンスターアラインメントでいいでしょう。火星などの明るく見える惑星でもいいですし、秋ならこの季節唯一の一等星のフォーマルハウトでもいいでしょう。

この状態でSharpCapの画面に移ります。まず、Exposure(露光時間)を1秒程度にします。Gain(ゲイン)はとりあえず7.5とかでいいでしょう。SharpCapの画面に何か反応があるはずです。

ここで重要なのは、右下の赤、青、緑の線が出ている「Display Histgram Stretch」画面で、真ん中の黄色の点線を左の山の手前まで動かし、一番左の黄色い点線を山の左側まで持ってくることです。こうすることで、暗く映りにくい星や、星雲などを明るく映し出すことができます。

この状態で星が既に写っていればいいですが、写っていなければピントが合っていない可能性が高いです。EVOGUIDEの場合は、太い緑リングの横の少し大きめのネジを緩めて、その緑リングをクルクル回してピント位置を探します。ピントが合ったら、先ほど緩めた大きめのネジを締めて置きましょう。これでこれ以上ピントはずれないはずです。

どうしても星が見えない場合は、鏡筒がきちんと星の方向を向いているか、(よくあることですが)レンズキャップがついたままになっていないかなどチェックしてみてください。

何かの星が見えたら、最初にターゲットにした明るい恒星がSharpCapの画面に入っているか確認してみてください。入っていなければSynScanでAZ-GTiをコントロールして鏡筒の向きを変えて、ターゲットの恒星を探します。三脚の水平がきちんと取れていれば、SynScanの左右ボタンだけを押して左右に振るだけで見えるはずです。それでももし見えなかったら、上下方向も少し動かしてみてください。

うまくターゲットの星が入ったら初期アラインメントは完了です。ではいよいよ星雲や銀河で電視観望を始めましょう。


電視観望の開始!

例えば秋ならM31「アンドロメダ銀河」を見てみましょう。SynScanで「ディープスカイ」からメシエのところに「31」と入れるか、「名前がつけられた天体」を押して「アンドロメダ星雲」(銀河なのに何故か星雲となっています)を探して押します。

アンドロメダ銀河は、SharpCapの画面上でボーッとした淡い楕円に見えるはずです。明らかに他の星とは違って見えます。もし画面内にそのような楕円が入っていなかったら、SynScanの方向ボタンを押して少し周りを探ると(初期アラインメントさえうまくいっていたら)それほど遠くない位置に見つかるはずです。うまく画面内に入ってきたら、できるだけ真ん中に持っていってください。

ここでSharpCapで露光時間(Exposure)を15秒くらいにしてみて下さい。よりはっきり見えてきたと思います。もっとはっきりさせたい場合、SharpCapの上の真ん中らへんの「Live Stack」というボタンを押してください。しばらく待つと、見えている画面が何枚も重なってノイズが減り、より天体がはっきり見えてくるはずです。その際、画面下のヒストグラムの左と中央の黄色い点線を先ほどと同じように、山の両側に持ってきてください。さらに、画面右の小さなヒストグラムに拡大された山が見えると思います、そこで微調整してみてください。

うまくいくとアンドロメダ銀河が下の画面くらい見えるようになると思います。暗黒帯も少し見えていて構造もわかると思います。近くのM32も見えていますね。

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ヒストグラムの黄色い点線の位置は写真くらいの位置で見やすくなると思います。参考にして下さい。


星雲、銀河が次々と!

一つ目ん天体が見え、十分満喫できたら、次のターゲットに挑戦してみましょう。

例えばアンドロメダ銀河のすぐ近くにある、さんかく座のM33回転銀河です。近い天体なので、アンドロメダ銀河がきちんと入っていればM33も問題なく入るはずです。アンドロメダ銀河に比べると流石に淡いですが、なんとか形は分かります。

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だんだん時間が経つと、冬の代表的な星雲のM42オリオン座大星雲も登ってきます。濃淡の広がりがよくわかる大迫力の星雲です。目ではなかなか見えないのに、こんなに色鮮やかな天体が夜空には隠れてるんですね。

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オリオン大星雲の近くにある馬頭星雲と燃える木です。燃える木はまだ見えていますが、馬頭星雲の方はさすがに淡いです。もう少し露光時間を伸ばした方がいいのかもしれません。上に見える明るい星は、オリオン座の三つ星の一つ「アルニタク」です。

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最後はM45「プレアデス星団」、和名で「すばる」です。青い分子雲も多少見えています。これは少し驚きました。今回自宅から電視観望をしているのですが、分子雲がこの場所でこんなに見えるのは初めてです。馬頭星雲は相当淡かったですが、すばるの分子雲は期待した以上に見えました。どうもこのカメラは赤よりも青い方の方が見やすいようです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?比較的安価なSV305相当で、かつフィルター部分が星雲用に改善された、サイトロンからまもなく販売されるCMOSカメラを使って、どんな機材を使えば電視観望ができるかを紹介してみました。

この記事を見て電視観望に挑戦してみようと思っている方、実際に挑戦してみた方、もし分からないことがあったらメントに書き込んでください。できる限り答えようと思っています。また、うまくいった!という報告も大歓迎です。



今回の記事を読んで電視観望をやってみようと思った人に、もっと突っ込んだ記事を続編で書いてみました。実際に当たる壁と思われるようなことなども書いてあります。よかったら読んでみて下さい。



週末の土曜日、天気がいいので撮影してたんですが、あまりに風が強くて途中で断念。その代わりに、一昨晩に試したリモート電視観望をさらにブラッシュアップしてみました。ただしこの日は中継は無しです。色々調整しながらやりたかったのと、さすがに二晩連続中継だとヘビー過ぎます。


前回の反省と、今回試したいこと

今回一番試したかったことは広域電視観望でのLiveStackです。原因は亜鈴状星雲M27がほとんと全く見えなかったこと。小さすぎるのもありますが、ノイジーだったのでLiveStackでもう少しノイズが減れば形くらいはわかったかなというものです。でもなぜか広角でのSharpCapでのLiveStackが全くうまくいきませんでした。

原因はStickPCが非力すぎたかもというのと、収差の多いレンズだったので星像が崩れて星として認識されなかった可能性が高いです。また、広角すぎたのも原因の一つかと思いましたが、ROIで画面を区切ってLiveStackしようとしてもできなかったので、広角なことが直接の原因ではない気がします。もしかしたら複合原因の可能性もあります。

というわけで今回のLiveStack実現のための改善点は
  • PCをハイスペックなものに交換。太陽撮影とかにも使っているSurface pro 7を投入します。可搬性は少し悪くなりますが、性能的には問題ないはずです。
  • もう一つは、レンズをPENTAXの6x7の105mm/F2.4に交換
です。よく考えたら、広域電視観望のLiveStackってこれまだやったことがありません。どれくらい改善されるか楽しみでもあります。

さてこのPENTAXの105mm、収差はそこまでよくはないですが、前回のNIKKOR50mmよりは遥かにマシです。というか、明るいレンズを試してくても手持ちで明るいレンズがあまりなくて、これは私が持っているレンズの中でもF3を切っている数少ないレンズの一つになります。あと手持ちの明るいレンズといえばNIKKOR35mm/F1.4、Nikkon135mm/F2.8、PENTAX 165mm/F2.8くらいですが、35mmはさすがに収差大きすぎ、あとは100をずっと超えることになってしまいます。50mmからあまり離れたくないので、今回の105mm/F2.4くらいが適当かというところです。でもこの焦点距離を倍にしたことは次の改善点と合わせて結構当たりでした。


広角時の簡単な初期アラインメント

もう一つの改善点は、
  • AZ-GTiできちんと初期アラインメントをして、自動導入と自動追尾をできるようにした
ことです。これは手間の割にかなり効果が大きかったので詳しく書きます。

そもそも、前回のコンセプトは場所も方向も気にしない「ポン置き」でした。初期アラインメントはこのポン置きを崩してしまうために避けていたのですが、今回のように広角の場合には、初期アラインメントがものすごく簡単であることに気づきました。

まず一つ目の手間は、一番最初に鏡筒をそこそこ北向きに、そこそこ水平におかなければいけないこと。ポイントは「そこそこ」です。ポン置きから考えるとたいそうな手間に思えますが、はっきり言ってかなり適当でいいです。105mmレンズでフォーサーズ相当のASI294MC Proなら計算すると画角は10度近くあるわけです。方角も水平度も10度くらいの精度で置けばいいのなら、まあ相当適当でいいでしょう。

初期アラインメントは水平が取れていない場合は「ツースターアラインメント」がいいでしょう。アラインメントの過程で水平のズレを補正してくれます。その際、明るい星を2つ選びます。今回はベガとアークトゥルス。初期アラインメントで一番難しいのが、見ている画面内に対象天体が入ってこない場合。特に焦点距離の長い鏡筒を使う場合によくあります。でも今回は焦点距離105mmで相当広角なため、余程適当に向きを置いていない限り、初期アラインメント時に一発で画面の中に入ってきます。ベガなんか一番明るい星なので、すぐにわかります。

この状態でPCの画面を見ながら、対象天体が真ん中に来るようにアランメントを2回とります。その後、対象の天体を自動導入してみると、かなりの精度で導入できます。というよりも、広角での自動導入なのであまり精度がなくても、きちんと真ん中に来てしまうと言った方がいいかもしれません。

さらにもう一つ、途中でSynScan Proで矢印ボタンでマニュアルで方向を適当にずらしても、AZ-GTiの中に現在の位置が記憶されているので、次の自動導入時もきちんと対象天体を間違えずに導入します。なので、前回やったリモートでモーターだけを使ってマニュアルで自分で天体を探すということも併用できるわけです。どれだけ好きに動かして迷ったとしても、そのまますぐに自動導入で位置確認することができるわけです。


実際のリモート電視観望

焦点距離が前回から比べて倍なので、より暗い星まで見えますが、逆に見える範囲は狭くなり、どこを見ているのかわかりにくくなります。でも今回は自動導入があるので、基本的に迷うことはありません。迷ってもまた自動導入ですぐに位置を特定することができます。これは思った以上に便利でした。中継の時に迷いながら探すのも臨場感があって楽しいですのが、いざという時に戻ったり次の天体に移動することができるのは安心感があります。

では実際に自動導入をして画面に天体を入れてみましょう。まずは手始めは、建物からのぼるM8干潟星雲。建物からのぼる「月」とかではありません。繰り返しますが建物から上る「星雲」です。
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画面のほぼ真ん中にM8がきているのがわかると思います。自動導入の位置精度はこれくらいなので、十分だとわかると思います。この画面はまだLiveStack無し。1.6秒露光の一発撮りなので、建物も木もぶれていません。

次は昨日見えなかったM27です。LiveStackを使ってノイズを減らしますが、今回はLiveStackも全く問題なくうまくいきました。でもPCがパワーアップしたからなのか、レンズの収差が緩和されて製造が良くなったからなのかは特定できていません。
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M27ですが、それでも小さいので見やすいように少し拡大しています。見え方は前回よりは多少マシで、形もなんとかわかりますが、やはりまだ焦点距離不足です。というよりはしょせんカメラレンズ、強拡大すると星がどうしても肥大化されて見えてしまいます。


あ、一応ネタとしてM57も見せますか。
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真ん中少し下の緑の明るいのがM57です。でも恒星に赤ハロが出ているのとほとんど見分けがつきません。さすがにもう少し焦点距離が必要です。


気を取り直して、次はサドルから少し東方向です。これは三日月星雲で自動導入しています。わかりにくいかもしれませんが、ど真ん中に写っているのが三日月星雲です。画像をクリックして、さらに拡大すると多分わかります。これもLiveStackありです。
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サドルからマニュアルで少し北に寄ったところ。真ん中より少し右下に見えるのがサドルです。
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これもLiveStackあり。左側の淡いところがどこまで見えるか試したのですが、驚くほどよく見えています。この後はまた自動導入に戻りました。

アンタレス周辺ですが、ここら辺が今回のシステムの限界でしょうか。赤と黄色は辛うじてわかるものの、青が(なんかモヤッとしている気もしますが)相当微妙です。
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青色はQBPの苦手とする色の一つなので、青だけヒストグラムで補強するような機能があるといいのですが、今のところリアルタイムではできません。


今回のハイライトでしょうか、屋根から上る北アメリカ星雲。自分の家の屋根なのですが、こんなのが家の中から見えるわけです。臨場感がないわけがありません。

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最後は再び干潟星雲とか、天の川中心部です。今度はLiveStackしています。本当にLiveStackさまさまですが、まあよく見えること。

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今回の問題点とまとめ

前回のシステムから少しの変更でしたが、見え方は相当変わりました。もちろん、そもそものASI294MC Proの感度が素晴らしいのと、光害地でも劇的な見え方の改善を提供してくれるQBP(Quad Band Pass)フィルターの性能があってのことです。

今回、広帯域電視観望で初めて試したLiveStackですが、やはりものすごいです。改めてその威力を実感しました。その一方、きれいな画面を見せようとすると露光時間が長く(今回は最長12.8秒)なり、さらにノイズが緩和されるまでスタックを重ねると、どうしても見栄えが良くなるまで時間がかかってしまいます。ただ、中継の時などでも実際にはそこまで頻繁に移動するわけではないです。中継で話しながら見せることになるので、話している時間でLiveStackをするとちょうどいいのかと思います。画面の移動の時は逆にリアルタイム性を出すために、露光時間を短くしたりして星の軌跡を出したりします。中継ではその辺りの作業の様子も全部見せることができるので、電視観望の技術交換にもなるかと思います。

また、今回AZ-GTiの自動導入を使ったのですが、広域電視観望でも自動導入は使った方が圧倒的にいいです。広角レンズとカメラなら、初期アラインメントで「必ず」ターゲット天体が画角に入ってきます。ベガとか明るい星を選んでおけば画面で確実にどれた対象天体かすぐにわかります。なので初期アラインメントの手間はほとんどかかりません。そしてその後の快適さが半端ないです。

レンズに関しては前回のNIKKOR50mmよりは星像はかなりマシで、自動導入もあるので今回の105mmの焦点距離でも、画角の狭さで今いる位置に迷うことはまずありません。その一方、まだ恒星周りを見ると赤ハロが目立ちます。これはピントが少し甘かったかもしれません。また、炙り出した時に出る明るい星の周りの白い大きなハロ。これは一段絞って2.8にした方がいいのかもしれません。


今後のこと

まだ多少の改善すべき点はありますが、夏の天の川がこれだけ見えるなら相当楽しいです。また時間のある時にZoomを使って中継してみたいと思います。前回参加できなかった方も、次回はよかったらぜひ参加してみてください。

ただ、天の川を見ようとするとまだこの時期は遅い時間からになってしまいます。最初はまだあまりたくさんの人数だとトラブってしまうかもしれないので、もう一回くらい遅い時間に始めるかもしれません。あ、でもこれから月が出てくるんですよね。まあ、月がある時にどれだけ見えるか試すのもいいテストになるのかもしれません。

一方、なかなか遠征などができないこの時期に中継してみなさんと繋がりたいという気持ちもあります。その場合は天の川にこだわらず、話が中心になるんでしょうか。

あと、今回の騒動が落ち着いたらいつか観望会でこのシステムを稼働させて、できるなら科学館とかのもっも街中で天の川を子供たちに見せてあげれたらと思います。

今回の目的は、AZ-GTiの経緯台モードを使って、できるだけ簡単に星雲を撮影しようというものです。


もっと簡単に星雲とか撮影できないか? 

ここしばらく、できるだけ簡単に星を楽しむことができないかを考えています。明るい広角レンズとただの三脚を使った電視観望もその過程のひとつです。これはQBPという武器があって初めて実現することでした。

同様に、撮影に関しても高すぎる敷居をもっと下げることができないか、ずっと考えていました。もちろん、究極的な画像を求めよういう場合は別ですが、もっと手軽に、画質は自分で満足できればいいくらいの撮影というのも、あっていいと思うのです。ここではAZ-GTiを武器として試しています。

眼視から少し手を伸ばしてみたい、電視観望よりもう少し綺麗な天体を自分で撮ってみたいとかいう人たちがきっといるはずです。天体写真の敷居を下げることで、天文人口を増やすことにつながればと思います。


経緯台撮影の問題点

赤道儀は極軸合わせなど、若干敷居が高いので、より簡単な経緯台を想定します。今回は自動導入と自動追尾がついているAZ-GTiを使うことにします。

しかしながら経緯台は撮影にはあまり向いているとはいえません。問題点は二つあります。
  • 経緯台なので撮影していると写野が回転していくのですが、それをどうするか?
  • ガイドも当然なしなので、星像がふらついたり流れたりして長時間露光ができない点。

でもこれらは、もしかしたら電視観望で培った技術が解決するのではと考えるようになってきました。カメラは一眼レフカメラは使わずに、その代わりに電視観望のようにCMOSカメラを使います。


撮影手順

簡単星雲撮影のセットアップは基本的に電視観望とよく似ています。今回はテスト記事なので全くの初心者が必要な細かい手順の説明は省きます。電視観望をやったことがある人くらいが対象です。本当の初心者向けの記事は、もっと細かい位置からの手順を踏まえて後日まとめるつもりです。

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経緯台にはAZ-GTi、鏡筒には評価用に手元にあったSkyWatcerのEVOSTAR 72EDを使います。比較的安価なアポクロマート鏡筒なので、初心者にも手頃かと思います。CMOSカメラはASI178MCを使います。ASI224MCでも良かったのですが、安価で少しでもセンサーの大きさを稼ぎたかったのでこれにしました。
  1. 今回のターゲットは初心者向けに、かなり明るいオリオン大星雲M42とします。
  2. AZ-GTiは経緯台モードで自動追尾します。精度はそこまでないのと、原理的に写野が回転していくので露光時間は長すぎると星が流れていきます。長くても30秒くらい、できれば10秒くらいまでが無難。今回は短めの3秒としました。
  3. ソフトは定番のSharpCapを使います。
  4. ゲインは高すぎるとノイズが多くなってしまいます。逆に低すぎると何も映りません。露光時間は短めなので、少し高めでもよくて、最大のゲインから1段か数段下げるといいかと思います。今回は310としました。
  5. 目的の天体がそこそこ見えていたらSharpCap上でライブスタックをしてみます。
  6. ライブスタックパネル左下の何分かおきに画像を保存するにチェックを入れます。今回は3分にしておきました。
  7. AZ-GTiの精度だと、長時間撮影していると画面がずれていくかもしれません。例えば10分くらい経ってから画面を見てみて、もし天体がずれているような時は再びSysScanのコントローラーを使って天体を真ん中に入れます。その際、ライブスタックのリセットボタンを押すのを忘れないようにしてください。
ポイントは、星像が流れないようにするために、短時間露光に抑えることです。その一方露光時間が短いと読み出しノイズが支配的になりがちですが、そこは枚数を稼ぐことで緩和します。ゲインが高いのでダイナミックレンジが不足しがちですが、淡い部分を映し出す方を優先します。また、ライブスタックを活用することで、撮影枚数を減らします。

と、ここまで読んで分かる通り、やっていることは電視観望とほとんど大差ありません。それでも、赤道儀やガイドなどの、通常の撮影に比べて遥かに手軽なことがわかると思います。

今回はライブスタック3秒x60スタックで、一枚あたり3分露光した画像を、合計1時間程度撮影し、その中の画面からずれていない10枚、30分ぶんの画像を取得しました。画像のズレはAZ-GTiのものもありますが、1時間も撮影するとそもそも15度程度写野が回転してしまいます。

写野の回転は原理的にどうしようもありません。多少の回転はトリミングで見えないようにします。なので超長時間露光は難しいですが、それとて時間が経ったらカメラ自身をマニュアルで回転させてしまえば対応できないこともありません。


撮影画像のスタック

初心者にとって厄介なのは、撮影よりもむしろ画像処理です。

写野の回転と同時に、周辺の歪みによるスタック時のずれが問題になってくる可能性があります。今回はPixInsightで星を認識して星像を合わせるような重ね方をしています。でも初心者にPIを求めるのは酷と言うものです。

ステライメージは回転は補正してくれますが、画面を歪めて星を重ねるような機能はないので、こういった場合は難しいです。あとはDSSでしょうか。DSSは一番最初に星を始めた頃に触っただけなので、ほとんど理解していないのですが、調べた限りでは画面を歪ませて合わせるような機能はないみたいです。

そういった意味でも、小さめのセンサーを使って星像がブレにくい中心像だけ使うと言うのは理にかなっているとおもいます。DSSは無料で使えることもあり、最初からあまりお金をかけることができない初心者にとってはほとんど唯一の選択肢になるので、検討する余地は十分にあると思います。


追尾時のズレの様子

撮影した10枚をスタックして画像処理をしてみました。まず、どれくらいずれている10枚でやったのか、スタック直後でストレッチだけかけた画像です。

integration

初期アラインメントがワンスターアラインメントしかやっていないので、AZ-GTiの設置時の水平度不足による並行ずれと、長時間の撮影による回転のズレが生じているのがわかると思います。

水平精度をさぼったので、並行ズレは結構酷くて、10分に一回くらい構図を合わせ直していました。ちなみに、20枚撮影して落とした10枚は、様子を見ていなくて平行移動し過ぎてはみ出していたもので、10枚全部がそれです。さすがにこれはひどいので、水平をきちんと取ることにより、もう少し抑えることができるはずです。逆に言うと、星像のズレとかで落としたものは一枚もないです。SharpCapのアラインメントは相当優秀です。

回転ずれは時間とともに出てきます。もっと短時間で終わらせてしまうのも一つの手です。


撮影した画像の仕上げ

画像処理をして、そこからトリミングしてまともなところを切り出します。画像処理にそれほど時間をかけていないのでイマイチなところも多々ありますが、経緯台で簡易で撮ったにしては、そこそこ写るのかと思います。

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  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 撮影時間: 2020年2月1日22時25分
  • 鏡筒: SkyWatcher EVOSTAR 72ED
  • 経緯台: SkyWatcher AZ-GTi
  • カメラ: ZWO ASI178MC
  • 露光: ゲイン310、3秒x60枚のライブスタック x10枚 = 総露光時間30分
  • フィルターなし、SharpCapでのリアルタイムダーク補正 (3秒x16枚)あり、フラット補正なし
  • PixInsigjt、Photoshopで画像処理
トラベジウムとか少し多段でマスクをかけましたが、そもそも短時間のラッキーイメージングの手法に近くて露光不足気味で、元々ほとんど飛んでいないところが効いてきています。


いっそ、一枚撮りで


もう一つの方法が、ライブスタックの画像保存までの時間を10分とか20分とか長くしてしまって、SharpCapのライブスタック結果の一枚画像のみにして、後からスタックをしないことです。

SharpCapでは、ライブスタックの最中は恒星を多数認識して、その星がずれないようにスタックするたびに画像を歪ませて重ね合わせるので、この機能を使う利点は相当大きいです。その代わりに、長時間撮影のために天体全体が徐々にずれていくのが問題になります。これは撮影の間に画面を見ていると回転していってずれていく様子が積算されていくのがわかるので、適当なところで止めてしまえばいいのかと思います。

さらに画像の保存方式も初心者にはいくつか選択肢があって、RAWのfits形式で保存することももちろんできるのですが、もっと一般なtiff形式、もしくはPNG形式でもいいのかもしれません。特に、PCで見えている画像そのものをファイルに保存してしまう機能もあるので、これを使うと後の画像処理でストレッチをする必要もなくなります。

これと似たようなことは実はかなり昔に試していて、どの形式で保存するのが綺麗かと言う比較をしたことがあります。意外なことに、SharpCapのライブスタックに任せてしまったPNGでも十分に見るに耐える画像になっています。

少し前ですが、名古屋での大晦日年越し電視観望中に1時間ほどほったらかしておいてた3秒露光の画像を、そのままライブスタックし続けた画像が残っていました。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch
1時間くらい放っておいたライブスタック画像。撮って出し。

カメラはASI294MC Pro、鏡筒はFS-60CBに旧フラットナーですが、AZ-GTiでの自動追尾なので、そういった意味では今回の撮影方法そのものの、一枚撮りバージョンになります。ダーク補正とフラット補正をリアルタイムでしてあります。

撮って出しと言っていいのかよくわかりませんが、画面に見えているのをそのままPNGで落として、それをアップロード用にJPGにしたものです。撮影時間は1時間ほどと書きましたが、時間はあまりよく覚えていません。15度くらいいという画面の回転角から、それ位の長さだったんだろうと推測しているだけです。重要なのは、AZ-GTiでのほったらかしでも、水平の設置さえ良ければこれくらいの時間は位置を合わせ直すことなく撮影できることです。

上の画像をある程度仕上げてみます。回転で切れてしまっている部分をトリミング。ASI294MCはセンサー面積が広いので、中心部だけでも十分な面積が生き残っています。

まずはWindowsの「フォト」の「編集と作成」から「調整」のみを使った場合。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_win_photo
Windwos「フォト」での加工例。

簡単な調整だけでも多少は出てきます。

次はMacの「プレビュー」の「ツール」「カラーを調整」のみを使ったものです。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_mac
Mac「プレビュー」での加工例。

うーん、どうでしょうか、Windowsの方が、ディテール、ノイズともにまさっている気がします。ここら辺は腕にも大きく依存するので、容易に逆転するかもしれません。

いずれのケースでも、さすがにトラペジウム周りのサチってしまっているところは救い出すことはできませんでした。でも、一枚PNGからここら辺まで出れば、撮影を試してみるというのならある程度十分で、これに不満が出るならスタックや赤道儀を用いるなど、次のステップに進むことになるのかと思います。

重要なのは、このようなOS付属の簡易的なツールでも、多少は画像処理ができてしまうと言うことです。これは初心者にとっては大きなメリットでしょう。逆に、改めてみてわかったのは、さすがに1時間スタックは星像が多少肥大するとするということ。これは課題の一つかもしれません。

最後は、このPNG1枚画像をツールの制限なしに画像処理した場合です。と言ってもPhotoshopです。あと、最後の仕上げに今話題のTopazのDenoiseを試してみました。これは結構強力です。しかも簡単なので初心者向けです。有料なのが初心者にとって唯一のネックかもしれません。でもそれだけの金額を出す価値のあるソフトかと思います。Denoiseに関してはまた別記事で書こうと思います。

Stack_198frames_634s_WithDisplayStretch_DN_cut
Photoshop CC+Topaz Denoiseでの画像処理。


まとめ

AZ-GTiを使った経緯台での撮影は一言で言うと「やはり楽」です。似たようなことを既にやっている方も、もしかしたら初心者でも同様のことをごく自然な流れとしてやってしまっている方もいるのではないかと思います。

ポンと北に向けて適当に置くだけ、極軸を取る必要なし、ワンスターアラインメント、ガイドもなし、大きくずれたら直す、というので大幅に大変さを軽減できます。30分露光でここら辺まで出れば、最初に挑戦する撮影としてはかなり満足できるのではないかと思います。

その一方、画像処理の敷居は依然高いかもしれません。後でスタックするのが敷居が高いのも事実なので、一枚どりで画面の見たままで保存してしまうのでもいいのかと思います。あとはGIMPなどの無料の画像処理ソフトや、今回試したWindowsの「フォト」やMacのプレビューでの簡易画像処理だけでも最初はいいのかもしれません。 


後日、今回使ったEVOSTAR 72Dについて、試用記を書いています。よかったら合わせてご覧ください。



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