球状星団を撮影するのは初めてになります。今回、ヘルクレス座の球状星団M13をTSA120を使って撮影してみました。全天で最も美しい球状星団と言われています。
連休初日に入るこの日の夜、天気は悪くなく、夜中から天の川を撮影しようと思っていたのですが、それまでの繋ぎでM13を撮影してみることにしました。よく考えたら、球状星団をまともに撮影するのは初めてのことです。もちろん、眼視や電視観望などでの簡易撮影などはあります。それでも時間をかけてまじめに撮影するのは初めて、いろいろわからないことがありそうです。
天の川が出てくるまで1時間ほどあります。最初なのでとりあえずこれまでの星雲撮影のセッテングをベースとして、撮影時間を1時間としてみました。
撮影は順調。PHD2とAPTで、ガイドも含めて特に問題はなかったです。ちょうど同じ時間帯に、あぷらなーとさんもM13を狙っていたみたいです。
球状星団の画像処理も初めてのことで、まだ全然慣れていません。疑問だらけで、また太陽映像に取り掛かっていたこともあり、時間がかかってしまいました。
星雲の場合と違って、いじればいじるほど処理の跡が目立つような感触です。なかなかごまかしが効かない、素材の出来具合がそのまま処理後の出来に直結するような気がしました。とりあえず処理した結果です。
中心部です。
今調べたら簡易撮影では、星を始めて一番最初に撮影したメシエ天体がM13 M3(2020/5/16訂正:玄さんのコメントのおかげで4年を経てM3と気付くことができました。玄さん、どうもありがとうございました。)でした。星を始めて、一眼レフカメラを手に入れてすぐのM13 M3がこれ。1枚撮り、中心からずれてる、星がぶれてる、画像処理も何もしてない。さすがにこれを見ると、4年間で進歩したと思えます。でも望遠鏡とカメラでメシエ天体が写っただけでも、ものすごく嬉しかったこと覚えています。
最初は、初めてにしてはそこそこ中心部まで見えたのかなと思っていました。でもやはりまだまだですね。以下、反省点です。
揺れに関して少し考えてみます。撮像の揺れ時間スケールで見ると
さらに、カラーCMOSカメラで撮影していることも分解能を低下させている原因の一つです。モノクロの冷却CMOSカメラでそこそこのセンサー面積のものをそろそろ本気で考えた方がいいのかも知れません。
少なくとも今回の結果は、TSA-120のが持っている光学的な分解能には全く達していないと思います。
最後にいつものアノテーションです。少しだけ斜めになってました。念のため再度ImageSolverで計算したら回転のズレ結果は0.41度でした。上が北で、経線が縮まっていくので上の方が間が小さくなっていまるので、より斜めに見えてしまっているようです。
本当はこの撮影の後に天の川が登ってくる時間になり、中心部の干潟とか三裂星雲を狙おうとしていたのですが、外に出たら曇り。この日は撤収しました。
画像処理まで進めて、まだまだ改善の余地がたくさんあることがわかりました。球状星団は撮影時の条件がそのまま出てごまかしが来なさそうです。今回の撮影の後、もう少し試したくて、別の日にVISACで長時間撮影してみました。 これはまた次の記事で書きます。
初の球状星団撮影
連休初日に入るこの日の夜、天気は悪くなく、夜中から天の川を撮影しようと思っていたのですが、それまでの繋ぎでM13を撮影してみることにしました。よく考えたら、球状星団をまともに撮影するのは初めてのことです。もちろん、眼視や電視観望などでの簡易撮影などはあります。それでも時間をかけてまじめに撮影するのは初めて、いろいろわからないことがありそうです。
- そもそも、撮影時間はどれくらいがいいのか?星雲ほど長くなくていいのか、それともやはり長ければ長いほどいいのか。
- 1枚あたりの露光時間はこれまで通り5分でいいのか?
- QBPはあってもいいのか?無いほうがいいのか?
天の川が出てくるまで1時間ほどあります。最初なのでとりあえずこれまでの星雲撮影のセッテングをベースとして、撮影時間を1時間としてみました。
撮影は順調。PHD2とAPTで、ガイドも含めて特に問題はなかったです。ちょうど同じ時間帯に、あぷらなーとさんもM13を狙っていたみたいです。
画像処理と結果
球状星団の画像処理も初めてのことで、まだ全然慣れていません。疑問だらけで、また太陽映像に取り掛かっていたこともあり、時間がかかってしまいました。
星雲の場合と違って、いじればいじるほど処理の跡が目立つような感触です。なかなかごまかしが効かない、素材の出来具合がそのまま処理後の出来に直結するような気がしました。とりあえず処理した結果です。
「ヘルクレス座球状星団M13」
- 撮影日: 2020年4月29日0時24分-1時23分
- 撮影場所: 富山県富山市下大久保
- 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + サイトロン QBP (48mm)
- 赤道儀: Celestron CGEM II
- カメラ: ZWO ASI294MC Pro
- ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
- 撮影: ATP、ゲイン220、温度0℃、露光時間300秒x11枚 = 55分
- PixInsight、Photoshop CCで画像処理
今調べたら簡易撮影では、星を始めて一番最初に撮影したメシエ天体が
反省点色々
最初は、初めてにしてはそこそこ中心部まで見えたのかなと思っていました。でもやはりまだまだですね。以下、反省点です。
- 一つ一つの星像が大きい。もっと分離してもいいはず。
- 星雲みたいに背景を出す話ではないので、構成を分離するStarNet++が意味をなさないはずです。今回は試すこともしませんでしたが、背景のノイズを減らすのには役に立つかも知れません。今後の課題とします。
- 背景のノイズを無くそうと、DeNoiseやDfine2も試しましたが、見事に恒星の不自然さを強調します。今回は試しただけで、結局使いませんでした。
- 炙り出していくと、背景ノイズがまだ多いです。今回はトータルで1時間弱の撮影だったので、もう少し総露光時間を増やしていいかもしれません。
- すでに炙り出しすぎの感もあります。中心部から少しずれたところなんかは、微光星なのかノイズなのか見分けがつかなくなってきます。
- 明るい恒星の裾部分の階調が少し不足しています。微光星を出そうとするとこうなってしまいます。もう少し中心部の微光星を抑えても良かったかも知れません。
- 同様に、左上に写っている銀河も階調不足の感があります。
- 中心部の画像を見ると、色が白、オレンジ、青緑と3系統にはっきり分かれています。現実は多分そんなことはないので、何かおかしな画像処理過程が入っているようです。それともQBPのせいでしょうか?
- やはりまだ決定的に分解能不足です。というか、星が肥大化しています。これは画像処理以前の撮影時の問題です。
揺れに関して少し考えてみます。撮像の揺れ時間スケールで見ると
- 秒以下の揺れ: シンチレーション、地面の揺れ、風による機材の振動
- 1秒程度の揺れ: 風
- 10秒周期以上の揺れ: 赤道儀のピリオディックモーション、機材のたわみ
- この中で改善できるのは10秒以上の揺れのみ。オートガイドです。それでも1時間オーダーではたわみが問題になってきます。
- 1秒から10秒程度の揺れはオートガイドで多少は抑えることができますが、速い揺れほどその効果は小さくなります。
- 秒以下は今のところ打つ手なし。AOを使うことで、シンチレーションみたいな画面の中で揺れるもの以外は改善できます。でもAO高いです。自分で作ることを考えた方がいいかも知れません。
さらに、カラーCMOSカメラで撮影していることも分解能を低下させている原因の一つです。モノクロの冷却CMOSカメラでそこそこのセンサー面積のものをそろそろ本気で考えた方がいいのかも知れません。
少なくとも今回の結果は、TSA-120のが持っている光学的な分解能には全く達していないと思います。
おまけとまとめ
最後にいつものアノテーションです。少しだけ斜めになってました。念のため再度ImageSolverで計算したら回転のズレ結果は0.41度でした。上が北で、経線が縮まっていくので上の方が間が小さくなっていまるので、より斜めに見えてしまっているようです。
本当はこの撮影の後に天の川が登ってくる時間になり、中心部の干潟とか三裂星雲を狙おうとしていたのですが、外に出たら曇り。この日は撤収しました。
画像処理まで進めて、まだまだ改善の余地がたくさんあることがわかりました。球状星団は撮影時の条件がそのまま出てごまかしが来なさそうです。今回の撮影の後、もう少し試したくて、別の日にVISACで長時間撮影してみました。 これはまた次の記事で書きます。