ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:電視観望

天文ファン、カメラファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか?いよいよCP+の時期が近づいてきましたが、

今年もサイトロンさんに講演依頼を頂き、
CP+2024で話すことになりました!

タイムテーブルなど、詳しくはこちらのCP+のオンラインプログラム一覧の2.24(SAT)のタブをご覧ください。



今年はなんと、現地であぷらなーとさんとの連続講演になります。


セミナー情報


2024年2月24日(土) 13:20-14:00

パシフィコ横浜 CP+2024
「サイトロンジャパンブース」
(オンライン配信あり)


「画像処理でオリオン大星雲の分子雲を
あぶり出してみよう」

元々、リアルタイムで星雲星団を見ることを目指して開発されてきた電視観望ですが、近年はその延長で天体写真撮影へと手を伸ばすことも盛んになっています。本来とても手間のかかかった天体写真撮影ですが、電視観望のライブスタックなどの技術をそのまま使うことで、かなり敷居の低いものになってきています。

今回の講演では撮影方法について少し紹介し、実際事前にライブスタックで撮影したオリオン大星雲を例に、セミナー会場で画像処理をしてみたいと思います。

まず最初にお見せしたいのは、星雲本体を鮮やかに出してみること。暗い中から星雲がブワッとあぶり出される様子は、天体写真をまだ扱ったことがない方には圧巻かと思います。

次は、特に初心者がつまづきやすい星雲周りの淡い分子雲をあぶり出すことです。画像に隠れている情報をいかに引き出すか、実際に操作を見せながら、なぜその操作が必要なのか、その理由をわかりやすく説明しようと思います。こちらは画像処理を始めたくらいの方から、背景までこだわった天体写真を目指そうとする方などに参考になるかと思います。

普段私はブログ記事の文章がメインで、あまり動画など 配信しないので、私自身にとっても動作そのものを見せることができる貴重な機会になりそうです。オンライン配信されるとのことなので、後日繰り返し見ることができればより理解も進むかと思います。その中で何か得て頂くものがあればと思います。

私の会場入りは前日の金曜日午後くらいからです。土曜日は講演終了後もしばらくCP+会場にいますので、私の姿を見つけた方はお気軽にお声掛けください。一応いつものネームプレーをとぶら下げておくことにします。

私のセミナーの後に、同じくサイトロンブースにて14:35から15:15まであぷらなーとさんのセミナーがあります。タイトルは「リーズナブルな天体望遠鏡で星雲撮影を楽しむ方法」とのことです。あれ?もしかして少し内容が被るかな?とも思いましたが、独自路線のあぷらなーとさんなので、そんな心配は杞憂ですね (笑)。


現地パシフィコ横浜会場にいらっしゃる方は、来場登録をお忘れなく。
 


この記事は「小海「星と自然のフェスタ2023」参加記: 2日目前半」からの続きとなります。




講演終了後

電視観望の講演が終わって部屋に戻り、妻に「48人も入ったよ」と報告したら「見てた!すごい!」と言ってくれました。全員が席に着くまで案内を手伝ってくれてたので、ある程度の人数は既に知ってくれていたようです。妻は元々あまりたくさんの人がきてくれるとは思ってなかったみたいで、ちょっと見直してくれたみたいです。「講演も聞いてたの?」と聞くと、案内だけしてすぐに部屋に戻ったとのこと。あとはゴロゴロしてたみたいです。

とにかく今回メインの講演が無事に終わったので、私は部屋でしばし放心状態でした。本番まではかなり気を張っていたのであまり感じなかったのですが、有料講演だったということもあり、実際にはかなりプレッシャーを感じていたみたいです。終わってから、改めて思いました。

でもあまりのんびりもしれられません。次はサイトロンブースでのデモです。18時には準備を始めたいので、程なくして講演で使った機材を一部再び持って、車で下の第一会場に向かいます。


第1会場で電視観望デモ

下の第1会場に着くと、すでにかなり暗くなっていました。必要な機材を車から持ち出して、打ち合わせで決めてあった場所に向かいます。途中、暗がりの中からサイトロンスタッフさんが私の姿に気づいてくれて、声をかけてくれました。結局少し手前に場所を移したそうです。VixenさんがPENTAXの150mmでしょうか、大型屈折を出していた場所の手前あたりに陣取ることになりました。

予報では心配だった天気も、空を見る限りかなりいいです。少しだけ雲も見えますが、昨晩よりは遥かにましでしょう。この日は土曜でメインの日なので、お客さんもたくさんくるはずで、大型の32インチのモニターと、私の方は少し小ぶりの24インチモニターを出します。32インチの方はメインのハイエンド電視観望でAskarの151PHQ。なんと150mmクラスのフォトグラフィークラスのアポです。私の方は小さいモニターにつなぎ、気軽に天の川電視観望です。手軽さと広角という、ハイエンドとは逆方向の電視観望の楽しさを伝えれればとの思いです。

天の川電視観望は準備も気軽で、三脚と自由雲台、あとはCOMSカメラに明るめ広角のカメラレンズだけです。赤道儀も経緯台さえも必要なく、当然自動導入や自動追尾さえもなくて、全部マニュアル導入で追尾なしの放ったらかしです。今回カメラはフォーサーズサイズのASI294MC、レンズは35mm F1.4の1970年台のNIKKORレンズです。F1.4だと明るい星の周りに大きくハロが出ることがわかっているので、F2.0に絞って使います。この日はほぼ満月だったので、光害防止フィルターとしてサイトロンのDBP(Dual Band Pass)フィルターを入れています。

途中、講演を聞いてくれた方も含めて、このシンプルさに興味を覚えてくれる人が多かったです。古くからカメラファンの方には、手持ちのレンズで気軽に試せそうなとことも興味を引いたようです。ほぼ満月の日に6.4秒露光一枚撮りでこれくらい見ることができます。フィルターのせいもありますが、SharpCapのリアルタイムフラット補正がかなり効いています。この機能、以前はベータ版の身についていましたが、現在は4.1の最新版の正式機能として採用されています。
Stack_16bits_1frames_6s_18_08_41

天の川電視観望を見せている間に、サイトロンスタッフの方が151PHQで導入まで準備してくれています。この時点でまだ開始予定時刻の19時前だったのですが、少し雲が多くなってきたので、本番中に曇った時のためにM27をしばらくライブスタックさせておいて、予備画像として残しておくことにしました。でもこの時点ですごくて、途中の高々十数分のライブスタック画像で画像ですでに亜鈴状星雲本体の周りにある、蝶の形をした羽の部分がうっすらですが出てきてしまっています。
Stack_63frames_1890s_WithDisplayStretch_cut

さて、19時くらいになりお客さんもかなり集まっているので、改めて今回のコンセプトを話します。
  1. まず特徴は、ハイエンド機材を使うことで電視観望がどこまで行けるのか、その一端を見て頂きたいこと。
  2. その後の簡易画像処理で、その場で見るということに主眼を置いて、どこまで綺麗になるのか示してみようというものです。
具体的には、気軽にトータル15分程度のライブスタックで、見たままの画像を、フォーマットも気軽に8ビットのPNGで保存し、Photoshopでこれも気軽にほぼcamera RAWフィルターだけで5分程度で画像処理をしたら、どこまで出るのかのデモンストレーションということです。

最初はらせん星雲にしました。上下に雲がありますが、星雲本体あたりはちょうど雲が開けていて、10分程度なら露光できそうです。ここで151PHQならではの問題が。なぜかライブスタックがうまくいきません。どうやら、微恒星が点像で鋭すぎてノイズと見分けがつかなくて、星認識がうまくいっていないようです。これはライブスタックのノイズリダクションをオフにすることで、無事にスタックし続けることができました。私自身もこんな経験は初めてで、ハイエンド屈折の能力の一端を見た気がします。このやりとりを見ていたお客さんの中にはかなり驚いていた方もいたようですが、サイトロンの方が「性能もすごいですが、価格もすごいです」と今月発売開始された際の価格を伝えるとそちらも「オオーっ」という反応が。

曇りになるまでの十数分、ライブスタックを重ねた画像をPNG形式で保存して、
Stack_32frames_960s

それをPhotoshopで画像処理します。それでも保存時でストレッチまで済んでいるので、そこそこ出ています。背景を少し黒く締めて、彩度を上げて色を出します。流石に虹彩のような放射状の線は出ませんでしたが、十数分の露光に5分程度の画像処理で仕上げただけでそこそこ見える画像になったのは、やはり151mmの口径の威力もあったのかと思います。
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自宅に帰ってから改めて画像を見ましたが、さすがに5分程度の画像処理だとまだまだ持っている情報を引き出せていない気がしました。始まりの画像は同じ8bitのPNGですが、30分程度時間をかけて、ソフトには制限をかけずにもう少し炙り出してみました。本体周りの淡いところと、本体の構造はもう少し出せたのかとと思います。
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続いて、網状星雲です。網状星雲の「い」の字の形のうち、今回は明るい星が入っている東側のNGC6992-5の方です。内側の淡いところがどこまで出るかも興味があります。ちょうどはくちょう座方向はこの時十分に晴れていたので、焦ることはなくライブスタックで十数分の露光をかけました。まずはライブスタック直後です。
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かなり淡いですが、現場で5分程度でPhotoshopで画像処理をしたものです。
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これだけでもかなり出てきたのがわかります。改めてもう少し時間をかけて処理したものが以下です。
Stack_79frames_2370s_WithDisplayStretch1_ABE
さらに隠れていた淡い部分が出てきたのかと思います。これもあくまで8bitのPNG画像で簡単に見たままで保存した画像から処理しています。それでもこれくらいは情報が隠れていることがわかります。

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今回特に思ったことは、画像処理に対する需要がかなりあるのではということです。凝った画像処理はキリがないのですが、もっと基礎的な最初のとっかかりというか、今後扱うことになる本流とはどういうものかという紹介とか、例えば今回なら電視観望で得た画像をどう処理するべきかといったような、初心者がせっかく撮った画像をいかに鑑賞するくらいまで仕上げるかといったことです。画像処理も慣れてしまえばいろんな方法があることもわかってくると思うのですが、最初のうちは何から手を出していいのかわかりにくのかと思います。もしかしたら、来年の講演はこういったことを話せればいいのかもしれません。


片付け

21時近くになると、空もだんだん曇ってきました。最後まで見ていてくれたお客さんに今回のデモのまとめを話し、解散となりました。私も片付けを始め、21時半頃には第1会場を後にします。

部屋に戻る前に上の方も見ていこうと、アストロカーのところに寄ってみると、ちょうど最後のお客さんが終わるところでした。そのまま主催者のSさんとお会いすることができ、講演に招待していただいたお礼と、来年どうなるのかなどを少し話しました。

その後、第2会場に立ち寄って、やっとRYOさんとお話することができました。今回の講演では私のが電視観望の基礎、RYOさんのが電視観望の応用というような、連動企画のような状況になっていました。RYOさんとは準備段階でも連絡を頂くなど、いろいろお世話になっていました。今回の講演は二人ともかなり盛り上がったと思うもで、RYOさんとはいつかなにか合同で企画してみたいと思います。あいにく期待のRYOさん自慢のシステムGOZENSAMAは雲が出てきて稼働するところは見えなかったですが、RASA8を使ってリアルタイム電視観望の流れを汲むということで、原点復帰で非常に興味深いです。

この時点でかなり寒くなってきていて、22時15分くらいだったでしょうか、部屋に戻りちょうどウダウダしていた妻も誘って、そのまま温泉へ。どうも聞いてみたら、妻も大1会場まで見にきてくれていたみたいです。一角だけ人だかりができていたと言っていました。

温泉が冷えた体を温めてくれました。温泉を出た後の恒例のアイスを食べながら、たまたま同じ時間になったサイトロンスタッフさんと、画像処理の反応の大きさとかについて話していました。

部屋に戻って、初日朝にかった菓子パンをひとつだけ食べて(結局この日の夕食はこれだけでした)、疲れ果てて寝てしまいました。でもかなり満足した疲れでした。


3日目

朝ちょっとゆっくりめに起きて、8時頃から朝食に。休日ということもあり、子供づれの家族もたくさんいて、かなり混んでいて2階の空いている席に案内されました。昨晩はほとんど何も食べてなかったので、朝はやっとお腹が空いてそこそこ食べることができました。でも調子に乗ってまた食べ過ぎてしまい、この日も昼食抜きとなってしまいました。

朝食後は荷物をまとめてチェックアウトです。その後に、第1会場に少しだけ寄ってみると、エーデルワイス内の片付けはすでに終わっていて、キャンプ会場も撤収をしている方が多かったです。会場に残っていた何人かの方と挨拶をして、星フェス会場を後にします。

帰り道は、来た時の佐久経由ではなく、松本経由にしました。来るときに通れなかった、メルヘン街道を行ってみます。昨年より開催時期が一月近く早くなり、雪や道路が凍る心配もないので、一度走ってみたかったのです。でも、昨年までに実際通ってきた人から聞いていたのは「かなりの悪路で、あまり使いたくない」という声です。砂利道か何かなのかと想像していたのですが、実際通ってみたら全然そんなことはなく、多少クネクネしているものの、全然普通に通れる道です。アスファルトも少し凸凹していたところもありますが、富山の地元の山の狭い道とかと比べたら全然まともでした。しかもちょうど紅葉シーズンです。下の方はまだ少し早く、最高高度近くはもう葉っぱが散っているような状況だったので、高さに応じて紅葉度合いが楽しめ、とてもきれいでした。道には宣伝の看板なども皆無で、頂上あたりは尾根沿いにあたるのか、クネクネ道も少なく、昔海外にいた頃に走った道を思い出しました。

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メルヘン街道も頂上を越えどんどん進んでいくと、高度もだんだん下がり紅葉をピークから早い状態へと逆戻りしていきます。別荘がが出てきて、レストランとかの店も出てきて、普通の民家も出てきて、最後諏訪の市街地に入り車の渋滞が始まると、とうとうリゾート気分も終わりです。

高速は諏訪ICから松本ICまでで、大した距離ではありません。行きとの高速代の差額は5000円位、距離が100km近く短くなるので、ガソリン代の差額が1500円くらいでやはり無視できない額になります。高速は少しの間なので、諏訪SAに入り、少しお土産を買い、松本で高速をでてすぐに給油。そこから下道なのと、眠くなってしまったので妻に運転を代わってもらい、無事に帰宅しました。


妻の感想

恒例の妻の意見です。今年はどうでしたでしょうか?
  • いつもより1ヶ月近く早いので、紅葉が楽しめてよかった。
  • お風呂は源泉でいつもながらよかった。23時の終了間際だと星を見ていた人がたくさん一度に来るので、混んで大変かもしれない。
  • 去年ほど(自分が)ドタバタしていなかった。初日の夜に一緒に(私Samと)食事ができたからかもしれない。前回は何か行事(古スコ懇親会)があって一人で夕食だったからかも。
  • 何もしない贅沢が素晴らしく快適で、だんだん海外リゾートっぽいイメージになってきた。
  • ホテルの対応もかなりよかった。お客さんが大人数でもドタバタしていなかった。(これは私も思いました。昨年も一昨年に比べかなり改善されたと思いましたが、今年は不満が全然なかったです。)
  • ウェルカムスイーツが想像より本格的だった。
  • やはりここはガトーキングダム(日本語で「お菓子の王国」?)の名に恥じない夢にまで見た「お菓子の城」だった。でも食べすぎた。さすがシャトレーゼ。(妻は普段からシャトレーゼの大ファンです。)
  • お腹をこなすのに、美術館まで散歩で往復した。適度な距離で楽しかった。
  • 佐久ICからの、高い所を走る天空の道のような高速道路(実際には無料の道路)も良かったが、帰りの諏訪へ向かうメルヘン街道もすごくよかった。
とのことです。どうやら今年はほとんど不満もなく、いつもの辛口批評も口を潜めています。見ている限りかなり満足していたようでした。星に関してほとんど感想がなかったので、星以外で十分楽しんでいたということでしょうか。あまり相手ができなかったので、私としては勝手に楽しんでくれていたようでありがたいのですが...。


まとめとお礼

最後にですが、今回の星フェス、私としてはとても充実していて、十分に楽しむことができました。講演とデモがあり、準備なども含めると時間が少し足りないくらいで、もっと現場をゆっくり見て、他の方ともたくさんお話ししたかったというのも少しありますが、多分体力的にもほぼ限界かと思います。

会場では至る所でボランティアさんたちが、会場の設営準備から星フェスの役割分担までたくさんのことをこなしてくれていました。本当にありがとうございました。主催のテレスコ工房のSさんには、講演のお誘いから、星フェス開催までの相談など、大変お世話になりました。今回の星フェスは、これまでとは違ったエーデルワイスという新たな会場で、特に寒い夜など相当快適でした。まだまだこの星フェスは進化し続けるのではと思わせてくれました。今年も開催までにおそらく相当な困難がたくさんあったかと思います。それでも3日間、楽しい星フェスとなったのは、Sさんはじめ、スタッフの方々、ボランティアの方々のお力のおかげかと思います。心から感謝しています。小海の星フェスは、今では完全に日本の大型星まつりの一翼を担っています。できることなら来年以降も続いてほしいと、心から思います。私自身も来年以降も微力ながらも協力できればと思っています。

とにかく楽しかったー!!!


 



この記事は前回の「小海「星と自然のフェスタ2023」参加記: 1日目」の続きになります。




午前中

2日目の朝、少しゆっくり8時頃に起きてすぐに朝食に。同じくビュッフェですが、お腹が全然こなれていなくて、ヨーグルトなどごく僅かにしておきます。もう年齢のことも考えないとダメで、いつまでも若い気分で気兼ねなく食べていたらきっとダメになります。

朝食後は受付に行こうと第2会場の上まで行きますが、望遠鏡を出す受付は下ですればいいとのことで、そのまま第1会場へ。途中第2会場をみますが、まだ朝早いせいか、お客さんもまばらでした。

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第2会場に着くと、すぐにマリーチさんとお嬢様に会いました。8月の大鹿村でもお会いしていて、その時はたくさん話せたのですが、今回はホントに挨拶だけでした。しかもお土産までもらってしまい、ありがとうございました。このお菓子、妻が家で食べて大絶賛。ぜひお礼を言っておいてほしいとのことでした。でも本当に、気を遣わないでくださいね。マリーチさんのお人柄はよく知っていますし、無理とかは決してしないでいただければと。

そのまま会場に進むのですが、2日目は全部のブースが開いています。朝から結構な人がいます。
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途中、望遠鏡組み立て教室や
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鳥の絵を描く講座も開かれていて、かなり盛況な印象を受けました。
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一通りぐるっと回りますが、結局一番印象に残っているのがSkyWatcherの太陽Hα望遠鏡で実際に太陽が見えたことでしょうか。
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サイトロンのスタッフの方が準備しているのを、
天リフ編集長が興味深げに眺めているところです。

口径は6cmなので、PSTの4cmと比べると1.5倍です。この時点で入門用というより一気に初中級用でしょうか。エタロンは回転で波長を調整できるタイプで、実際に回転させてプロミネンスなど見たのですが、少しの角度でプロミネンスの明るさがかわるので、比較的波長を大きく変えられるようでした。角度を合わせるとプロミネンスがはっきりと浮かび上がります。まだエタロンの精度はわかりませんが、少なくどもパッと見たところでは広い視野に渡ってHαが見えていたと思うので、試作レベルとはいえすでにそこそこの精度は出ているように思われます。

あと、第1会場の少し小上がりになったところのフリマエリアにも行きました。

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星座ビノ製作者の上板2丁目さんと少しお話しさせていただきました。ビノを作るときに必要な、二つのビノの平行度を測る器具が面白かったです。こういった器具を使ってきちんと調整しているところも、上板さん製星座ビノの信頼性が高い理由の一つだと思います。後から聞いたのですが、1日目に出てきたEさんのところも上板さんのところの星座ビノを買ったそうです。今回特価だったようなのですが、ここの星座ビノを買っておけば間違い無く最高峰のものです。あ、自分の持ってるNikonのビノの枠を交換してくれると言ってくれたのをすっかり忘れてました。上板さん、ごめんなさい。またいつかの機会がありましたらお願いいたします。

そうそう、今年もプリンは買いましたよ。2019年以来毎年買っていて、昔の母の手作りプリンを思い出させてくれる味で、シンプルですが変な雑味は一切なく、卵の風味が豊かで、今時こう言った味のプリンを見つけるのは大変です。おいしかったので今年もXで宣伝しておきました。

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昼になってやっとお腹が少しこなれてきましたが、Kaienさんにバームクーヘンを一ついただいて、講演前にお腹を膨らすのは心配だったので、昼ごはんはこれでおしまいです。

12時半頃になって、部屋に戻って講演の最終準備をします。そういえば、車で昨晩機材を運んだのですが21時以降は車の移動が禁止ということで、そのままにしていました。講演で少し機材を見せたいので、車で上まで移動します。講演参加者には特典としてプレゼンファイルを配布する予定なのですが、途中で各ページにブログ記事へのリンクを張れば、詳細説明が後からわかるのではと思い、このときに色々追加しました。

14時半からはスイーツの時間です。この日は昨日会場だった奥のバースペース?ではなく、レストランスペースでのスイーツバフェでした。人が多いからだと思いますが、明らかに子供の姿が多いです。今日から土曜なので、それもそのはずです。うーんこれも昼ごはんかな?でもこの日はゼリーだけにしておきました。甘くない安倍川餅みたいなのが逆に美味しくて、これがホントに昼ごはんがわりになったのは秘密です(笑)


いよいよ講演本番!

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部屋に戻って、最後のスライド確認をして、15時40分くらいに講演会場に向かいます。と言っても部屋から歩いて30秒くらいです。講演で見せるコンパクトな機材を2セットを手で持って、妻に配布資料を持ってもらいます。会場外の廊下のところにはすでにそこそこの人が。参加者の方とも少し話をして、すぐに開場時間の15時50分になります。前の講演が終わって、人が出てきます。すぐに部屋の中に入って、プロジェクターと接続テストをします。スタッフの方が講演参加料を集めてくれて、人を中に入れ始めてくれます。妻には部屋の中に入ってきた方に、資料を配ってもらいます。

接続テストはすぐに終わり、参加者に目を向けると、ドンドン人が増えていて、椅子が足りるか心配になるほどでした。後で聞いたら、48人!もの方が参加してくれたとのこと。今回有料の講演で、しかも昨年よりも参加料が上がっていたので、どこまで人が入ってくれるのか全然読めずにかなり不安でした。色々特典なども考え宣伝したりもしたのですが、講演依頼を受けた時からずっと考えていたことは、やはり電視観望の一連の基礎講座のようなものを欲している人が、一定数いるのではないかということでした。


講演に際し考えたこと

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このことはこれまで何度か電視観望について解説してきて思ったのですが、電視観望が広まりつつある状況で、やはりつまづく人が少なくないようなのです。その時、情報があるにはあるが、散らばっていてなかなか欲しい情報まで辿り着けないという声でした。これまでの過去の講演のプレゼンファイルを見ても、同じ話だと何度か聞いている人には申し訳ないという思いもあり、少しずつ複雑になってきています。でもそんな話を初心者が初めて聞いたらわかりにくいはずで、繰り返しになってもいいので一連の解説をしっかりすることが大事なのではと思ったのです。

講演を引き受けた当初はこんなふうに考えていましたが、星フェスの時期が近づいてきてタイトルと内容を伝える頃になってくると、状況がかなり変わっていました。Seestarです。ZWOが本腰を入れて開発しているSeestarは、価格、性能、操作性など、電視観望初心者に向けて圧倒的に魅力な機器です。初心者が自分でこれまでのような電視観望を組もうとして努力した場合、ある程度の時間と経験を積まなければ、Seestarが遥かに手軽に出してくれる結果には辿り着かないでしょう。価格が初心者にとっても現実的になったSeestarを使うことはある意味真っ当な選択なのかと思いますし、私も推薦します。

ただし、今の段階でSeestar以降のことが議論になっていることは、まだほとんどないようです。Seestarを買った何人かの人はずっと使い続けるかもしれませんし、何人かの方は飽きてしまうかもしれません。何人かの方はそのうちSeestarの性能に不満が出てくることでしょう。一体型というのは機材を変更できないこととほぼ同義で、鏡筒やカメラの性能を上げることは難しいはずです。そのようなことまで考えていくと、やはりこれまでの電視観望を、ある意味応用の広い「カスタム型」と考えると、きっと電視観望の原理や基礎、自分で組むときの手順などが必要とされることは、何ら変わらないと思ったのです。今回の講演は、タイトルと内容は「カスタム型」と言って見た目は少し違ったかもしれませんが、基本的にはこれまでの電視観望の一連の手法を、まとめて理解できるような内容にしました。

その一方、高々1時間の話で全ての内容を伝えることはかなり難しいことも事実で、講演というのはこれから自分で興味を持って調べてくためのきっかけというのが大きな役割かと思っています。このきっかけから詳細情報へ繋ぐために、テキスト的な定番の本などがあればいいのですが、現段階ではそのようなものは存在していなくて、情報はあるにはあるのですが、かなり散らばっています。会場での準備の最中に対処療法ですが、プレゼンファイルの各ページにこの「ほしぞloveログ」への該当記事へリンクを張っておくことを思い付きました。元々、プレゼンファイルをどこかにアップロードして、そのリンクを知らせることで、講演を聞いてくれた人に後から見返してもらおうとは思っていました。ブログ記事へのリンクをプレゼン資料内に埋め込んでおけば、かなり詳細な情報まで伝わるかと考えたのです。ただ、昔の記事で情報が古いこともあることと、リンク先の記事が長いことはご容赦いただけたらと、会場でお話ししました。

会場ではみなさんかなり真剣に聞いてくれていたのかと思います。有料で参加して頂いているので、かなり興味がある方が集まってくれたのかと思います。質問時間が数分しかありませでしたが、それでも時間一杯まで質問は出ましたし、その後につながる、サイトロンでの電視観望デモでも、講演を聞いてくれた方がたくさん来て質問をしてくれていました。講演を聞いて何かわからないこことかありましたら、このブログへのコメントでもいいですし、Twitterで質問していただいても構いません。公開だと質問しにくいことなどは、一旦Twitterの方に書き込んでいただいて、相互フォローした後に、DMで質問内容など書いていただいても構いません。

講演終了後、星ナビ2023年1月号でコリメート撮影を利用した電視観望の記事を書いた方と少しお話をしました。私はコリメート撮影はしたことはありませんが、とても参考になりました。電視観望と一言で言っても現在では範囲はかなり広く、新しい手法も日々開発されているのかと思います。文化としてだんだん習熟していくのかと思います。


近況

今回の記事はここまでにしたいと思います。

実は小海から帰って、月曜の夜くらいから喉の調子がおかしいなと思っていたら、火曜朝からグングン熱が上がり、38度後半から39度台をずっとうろうろ木曜明け方くらいまでずっと辛くて、ただ寝るだけで何もできない期間が続きました。木曜は熱も収まり36度後半と37度台をウロウロしていますが、昨日までと比べるとかなり楽で、やっとブログの続きも書けるようになってきました。近くの病院が混んでいるみたいで初診では発熱外来を受けてもらえなかったのですが、どうも子供の熱がうつったようで、症状がとても似ています。子供はコロナでもインフルエンザでもなかったということとで、調べてみたらアデノウィルスというのの症状があまりにも当てはまります。まだ3連休なので、ゆっくり休むつもりです。



 




10月26日、講演参加特典など追加しました。本ページ下部をご覧ください。


今年も長野県小海で開かれる「星と自然のフェスタ」で
電視観望の講演をします!

電視観望をやってみたい人、もしくは初心者に向けて基礎からきちんと解説したいと思っています。


日時と場所ですが
10月28日 16時00分~16時50分
ガトーキングダム小海(旧小海リエックスホテル)
2階特設会場
になります。

タイトルは
「初心者のための
カスタム型電視観望入門」
としました。

eVscopeをはじめ、Vesperaや、最近発売されたコストパフォーマンスに優れるSeestarなど、一体型のスマート電視観望機器が種類も豊富になり、特に初心者にとっては、電視観望を気軽に試すことができる、素晴らしい時代になりつつあります。一体型のいいところは、初期知識ゼロ、もしくはほんの少しの知識で星雲や銀河などが簡単に見えてしまうことでしょう。その一方、あらかじめ一体型に組み込まれた機器なので、望遠鏡部分やカメラ部分などを入れ替えることは難しく、そのためにどうしても見える範囲には制限ができてしまいます。「電視観望機器」を望遠鏡の一種と考えると、入門用の一体型と、より柔軟に機器の交換ができるカスタム型に分かれていくのはごく自然な流れなのかと思います。一般的な望遠鏡で焦点距離や明るさを変えることができるように、カスタム型の電視観望では
  • 天の川を見るような超広域を見る
  • 比較的広がりのある大きな星雲を見る
  • 小さな銀河を見る
など、望遠鏡やカメラなどの機材を変えることでさまざまな天体に対応することができます。

今回の講演は、
  • もっと電視観望の可能性を広げたい
  • 一体型電視観望機器では物足りない
  • 今は一体型電視観望を楽しんでいるけれど、将来を見越して電視観望をカスタマイズを考えてみたい
というような方に聞いて頂きたいと思っています。

自分で電視観望システムを組むときにどういった方向で進めればいいか、何がポイントかなど、かなり初心者向けに特化して一から丁寧お話ししたいと思います。その中で、電視観望においても機材をカスタマイズしていく楽しさのようなものをお伝えできればと思います。

なお、今回の講演は参加費用(1000円)を頂くことになります。対象はホームページの案内では高校生~大人となっていますが、興味があり聞いてみたいと思うならば年齢は問いません。心配な場合は、当日講演会場で直接私までご相談ください。また、会場の広さには制限があり、参加希望者が多数の場合は入場制限をすることがありますので、ご了承ください。

昨年は事前にチケットを購入して頂く形でしたが、

今年は講習会会場入り口でお支払い、
ご入場となりますので、事前予約は必要ありません



ここから、星フェス直前の追加情報です!
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特典1: 「電視観望向けCMOSカメラの系譜」図の配布

カスタム電視観望用のカメラ選択の助けになるように、完全オリジナルのA3版のCMOSカメラの系譜図を配布します。下に一部を抜粋していますが、最近のCMOSカメラは種類がたくさんありすぎて、その関係を把握するのがかなり大変になっています。どのカメラがどのカメラの後継になるのかなど、メーカーを跨いで掲載しています。

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特典2: 「サイトロン製フィルター特別割引クーポン」の配布

参加費をご負担いただく代わりにというわけではないですが、サイトロン様の協賛で
「電視観望入門応援企画」
として、講演会場内で、
サイトロン製フィルター特別割引クーポン
をお渡しします。このクーポン券を使うことで
  • CometBPフィルターアメリカンサイズ
  • DualBPフィルターアメリカンサイズ 
  • DualBPフィルター48mm
のうち1点が特別価格で購入できます。金額などは当日サイトロンブースでご確認ください。

注意点ですが、
  • クーポンは一人1枚、所有のご本人様に限り1商品のみ対象です。
  • 商品はなくなり次第終了となります。
  • お取り置きや後日発送は承れません。
  • 10/28日22時まで有効です。29日の出店はありません。10月28日のみご利用可能です。10月29日は出店しませんのでご注意下さい。
この講演を聞いて、是非とも電視観望に有効な上記フィルターを手に入れてください。

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特典3: 講演ファイルのダウンロードとブログ記事へのリンク

講演参加者には、プレゼンファイルのpdf版のダウンロード先をお知らせします。講演を聞いて、その場で把握しきれないなど、後から確認できるはずです。

さらに、いくつかのページには、この「ほしぞloveログ」の該当記事へのリンクを書き込んでおきました。当ブログは情報はたくさんあるかと思いますが、膨大すぎてどこに何の情報があるのか、把握が困難な状況になっているかと思います。いくつかのリンク先はかなり過去の記事で、情報が古い場合もありますが、後から詳しい説明が欲しい場合に役に立つかと思います。リンク先の記事がいつもの通り長いのは、どうかご容赦ください。


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アナウンス1: サイトロンブースでの電視観望デモ
星フェス当日、天気が良ければ、サイトロンブースで電視観望のでもを行います。場所は企業ブースがあるエーデルワイスの前となる予定です。

今回のテーマは

「ハイエンド機器での電視観望」

です。憧れの大口径アポクロマート屈折など、電視観望で使うにはちょっと勿体無いとも思われる機器を使い、ハイエンドでの電視観望を行いたいと思います。電視観望がどこまで行けるのかの一端を見せることができればと思っています。当日は簡易的な画像処理までして、天体写真として仕上げようとも思っています。ただ、木曜現在での天気予報が、金曜はまだいいのですがメインの土曜が曇りになりつつあります。金曜日はリハーサルがてら準備も含めておそらく20時頃から始めることになると思います。メインは土曜日ですが、天気の様子を見て始めることになるかと思います。ホテルからは少し遠いですが、是非エーデルワイス前の観望会場にお越しください。


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アナウンス2: 天文楽者のRYOさんの電視観望講演

この電視観望講演の後に、同じく土曜の18時から、天文楽者のRYOさんによる

「近赤外線で見る新しい星空の世界」

という講演があります。こちらは電視観望の応用のような形になるはずです。よろしければ是非とも2つ併せてお聴きいただければと思います。RYOさんの講演ではHαフィルターの割引チケットを手に入れることができます。



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アナウンス3: 気軽に質問してください!
星フェス当日ですが、私は金曜午後過ぎくらいから日曜朝くらいまで会場にいる予定です。「Sam」と書いたネームプレートをかけていますので、どうかお気軽にお声かけください。特に、講演を聞いて分からないところなどもできるだけ答えますので、もし会期内にSamの姿を見かけたら、遠慮せずにつかまえてどんどん聞いてください。


それでは会場で、皆様とお会いできるのを
楽しみにしています。


この記事は「胎内星まつり2023参加記(その2): 土曜朝から夕方位まで」の続きの記事になります。




SWAgTiのデモ: 導入まで

胎内星まつり2日目の土曜、徐々に日も暮れてきてこの日のメインのSWAT + AZ-GTI = 「SWAgTi」のデモの準備を始めます。

SWAgTiのコンセプトは、追尾精度のいいSWATを撮影時のみ使い、それまでの自動導入とかプレートソルブなどの高度な操作はAZ-GTiに任せてしまうということです。撮影までは、精度は良くないけれどもAZ-GTiの高度な機能で楽をして、撮影になったらAZ-GTiの追尾を切ってSWATの高精度追尾に切り替えるという、AZ-GTiとSWATのいいとこ取りをしてしまおうという魂胆です。

まずお詫びですが、以前の記事で予告してあったEOS 6Dでのプレートソルブのデモは全く出来ませんでした。というよりも、6Dまでもたどり着きませんでした。

そもそも、星まつり会場に来てSWAgTiの展示に興味がある人たちと話してみると、まずは単純に動作しているところを見たいということでした。確かにそれはそうかと思い、まずはこれまでやってきた、CMOSカメラでの極軸合わせから、普通にCMOSカメラで見ながらAZ-GTiで導入し、撮影するところまで見せてから、余裕があったら6Dにすればいいやとか、気軽に考えていました。ところが実際には、その一番最初の極軸合わせのところからつまづきまくりです。

極軸合わせはSharpCapを使ってやります。鏡筒がタカハシのFS-60CB+マルチフラットナーなので焦点距離が370mm、カメラがASI294MCでフォーサーズサイズなので、北極星周りで十分な視野があるはずです。実際、自宅ではついこの間試して、これで何の問題もなくうまくいきました。でも会場で試しすと、全く全然位置を特定しないのです。大気補正しているので緯度経度情報がおかしいと思い、改めて正しい値を入れてみても、大気補正をオフにしてみてもうまくいきません。しかたないので、普段撮影時に極軸合わせに使っているガイド鏡を持ってきたのですが、それでもうまくいきません。

確かに、まだ幾つか問題となりそうなところはあります。まずは、SWATの下についている微動雲台を外しました。構造的に一番弱そうなところです。というのも、SharpCapで800ms以上の露光では恒星がボヤーっとしてしまい、露光時間を短くするごとにキリッと締まります。これは細かく揺れているからに他なりません。微動雲台を外すと、何度か位置特定しましたが、安定ではなく結局は状況は改善せず。

次の問題点はカーボン三脚の足を伸ばしすぎていることです。普段私は撮影時は安定化のために基本的に三脚は最短にします。この日はデモだったので、三脚の足をかなり伸ばしています。でも足を縮めると北極星が見えなくなることに気づきました。そもそもブーステントの南側でデモをしていたのですが、北極星を見るためにテントとテントの隙間を狙っていたのです。テントの北側に持っていくことも考えたのですが、今度は北側の木が邪魔しそうです。この時点で、極軸を取ることは諦めました。

とりあえずそこそこは北の方を向いているとして、構わずにAZ-GTiで初期アランメントをしてしまいます。画角的にはアルタイルは入りそうなので、とりあえずアルタイルです。極軸がずれているので、最初の導入では当然アルタイルは入ってきません。そこで、SharpCapでプレートソルブです。

AZ-GTiへの同期までだとうまくいかなかったので、最近やっている初期アラインメント時の最後の方の「マニュアルで合わせてください」というようなところで、SharpCapのプレートソルブの4つのオプションの一番最後の「オフセットのみを合わせる」とかいうので合わせます。この4つ目のオプションは、2つ目のオプションの「同期までする」というのが動かない場合でも、かなりの確率で動くことがわかってきたのですが、今回もその通りでした。

プレートソルブ機能を使って初期アラインメントもうまくいくことまで示せました。次は目標天体の導入です。今回は近くのM27としました。近いのでこれは確実に画面内に持ってこれるのですが、「一回で入るのですか!?」と驚きの声をあげる方もいらっしゃいました。天体の導入にはやはり苦労されている方も多いと思いますが、確かに鬼門の一つなのかと思います。

導入時は800msくらいの露光時間で、星の動きもわかるくらいのスピードでやっていたのですが「導入する時点でもう星雲も見えてしまうのですね!?」という驚きの声もありました。M27はそこそこ明るいので、800msもあれば動いている状態でも星雲本体の軌跡が残るくらいわかってしまいます。

01_M27


SWAgTiのデモ: 撮影へ切り替え

導入後は撮影のために、試しに露光時間を10秒、30秒、1分、3分と段階的に伸ばしていきます。今回は3分では星像が大きく流れてしまいました。自宅での実験ではこの鏡筒と、さらにピクセルサイズの小さいUranun-Cでも、3分露光で100%の歩留まりでした。今回3分で大きく流れるのは、上に書いたように極軸が全然あっていないためです。1分では見た目良さそうでしたが、拡大するとやはり少し流れているのがわかります。30秒では完全に点像になったので、30秒で撮影を開始することにしました。

ここで、AZ-GTiの(電源を切るとかではなく)追尾モードをSynScan Proで切り、自動追尾をSWAT側た担当するように切り替えます。SWATは電源を入れる際に大きくキックして、しばらくすると元の位置に戻ってくることがわかっているので、その様子を実際に見てもらいました。これの解決策としては、SWATの電源をあらかじめ入れておいて、追尾モードを「DEC」に合わせるとずっと止まってくれていて、追尾をAZ-GTiから切り替えるときに追尾モードを「STAR」にするとキックなしで開始することができます。

それでもAZ-GTiからSWATへの切り替えのタイムラグなどで目標天体が画面中央からずれることがありますが、AZ-GTiの追尾だけ切っているのでモーターはまだ電源が入って生きています。SynScan Proから矢印て向きを操作することもできます。なのでここでは、AZ-GTi側を使って天体の位置を微調整します。追尾はすでにSWAT、画家の微調整はAZ-GTiというこれもまたいいとこどりです。

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撮影が始まってからは、そのまま放っておきます。質問タイムや、一般の方に「星雲が見えてますよー」とか声をかけながら、ライブスタックで見えているM27をネタに、会話を楽しみます。

今回の星まつりですが、星マニアばかりではなく一般の方がかなり多い印象でした。特に夜は結構星が見えていたので、地元の方が多く参加されたのかもしれません。ただ、晴れていたかというとそうでもない印象で、少なくとも肉眼で見える星の数は大したことなく、例えば天の川方向も(会場が明るかったせいもあるかもしれませんが)ほとんど星が見えなかったです。一応35mmレンズとASI294MCの広域電視観望セットも用意していたので、早い時間帯は天の川を写したりもしていました。そのうちこちらも、雲越しの天の川に変わっていき、最後は雲しか見えなくなってしまいました。


ユニテック流?SWATでの撮影

M27の撮影を続けていたのですが、ユニテックの方が非常に面白い試みをしていました。元々極軸があっていなかったので、流れて縞ノイズが見えていたのですが、三脚の足の長さを適当に少し変えて、わざと極軸からずらして流れる方向を変えて、縞ノイズを目立たないようにしているのです。これを何度か繰り返しすと、ライブスタックでも目に見えて縞ノイズが改善されています。ずらしている最中の星が流れる画像は、ライブスッタクで星の位置合わせができないので自動的に落としてくれます。また雲であまり写りが良くない画像も勝手に落としてくれます。なのでライブスタック画像はかなり綺麗なものになります。

ここでふと、もしかしたらSWATってこのやり方がいいのではと思ってしまったのです。そもそも、SWATには本体に穴が空いていてい、そこを覗いて北極星が見えるようにすると、簡単な極軸合わせができます。もちろんSharpCapで合わせるほどの精度は出ないのですが、私は大前提として極軸はとことんまで合わせるべきだと思い込んでいたのです。でも、ある程度適当に合わせて、そこから少し定期定期にずらしてやるというのは、簡単撮影という方針から考えると全然アリなのではと思ったというわけです。ある意味、百戦錬磨のSWAT開発者の何気ないすごい手法を見たのかと思ったら、結構納得してしまいました。必ずしも「合わせこむということ」を「しない」方法があるということです。

今回はライブスタックだけでなく、RAW画像も同時に保存していたので、ユニテックの方にお渡ししました。ユニテックさんのブログに画像処理までされたM27が掲載されています。ダーク補正もフラット補正もしていないはずで「ノイズはすごかった」とおっしゃっていましたが、十分見える画像になっていると思います。興味のある方はぜひご覧ください。




会場内の電視観望

SWAgTiでの撮影が始まると私も少し余裕が出てきたので、スタッフの方が買ってきてくれたたこ焼きを頬張って、その後会場内を回ってきました。興味があったのは電視観望のデモをしているブースが出ているかです。あらかじめある程度は聞いていたのですが、一体型の機器を含めて少なくとも7箇所、気づいてないところもあったかもしれないのと、観望エリアに行けなかったのでもしそちらでもやっていたらもっとと、とにかくすごい数です。電視観望がいかにイベント向きとはいえ、星まつりのブースでここまで増えているのを見ると、特に胎内だと私的にはかなり感慨深いです。これを見る限り、天文マニアへの認知とかは完全にすんでいて、むしろ一般のお客さんに(電視観望の手法というよりは)普通に星雲星団銀河を見せているような印象でした。すごい!

興味を引いたのはBITRANさんでした。かなり高性能のカメラを開発しているところで、話を聞いたら出ているのはほぼ研究用、アマチュア天文ではなかなか売れないとのことでした。デモしていたのはフラッグシップモデルなのでしょうか、専用ソフトでカメラを制御するそうです。そのカメラでM57を写していました。ライブスタック機能とかはないのかと思います。「これだけ見えたのは初めてだ」とのことでした。他機種のカメラのいくつかはASCOM経由でSharpCapでもコントロールできるようです。多分センサーをセレクションして相当性能のいいものを使っているはずです。一度撮影とかで本気で使ってみたいです。
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いつもご一緒させていただいているサイトロンブースですが、今回はユニテックさんのところにいたのでお手伝いできませんでしたが、もうごくごく普通に電視観望をしています。スタッフの方と、小海で何か面白いことをやろうと話したので、またご一緒させてもらうことになるかと思います。
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あと、五藤さんも電視観望を試していました。私的には意外だったのですが、他の方に聞いたら星まつりでは結構よくやっているとか。この時は網状星雲を入れていました。
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富山へ帰宅

22時半すぎでしょうか、だんだん曇ってきてしまい片付けることにしました。片付けが終わった後には、暑かったのと寝不足で疲れ果てていて、まだ少し心残りですがそのまま帰宅することにしました。本当は観望エリアに行きたかったのですが、もう体力は残っていませんでした。

今回のSWAgTiのデモはまだお披露目レベルです。今後もう少し試して、さらにこなれていくと思います。京都の「星もと」でもまた展示することになるかと思いますので、興味のある方はぜひいらしてください。ユニテックの方とも、しっかりとした手応えを感じたことを確認して、ここで解散となりました。

会場を23時半頃に出て、高速に入る前のコンビニで少し食料を買い込み、食べながら運転して高速に入りましたが、やはりすぐに眠くなってしまいました。あまり覚えていないのですが、新潟を過ぎたあたりのどこかの小さなパーキングエリアで泥のように寝てしまいました。一旦起きて結構走ってからまた眠くなり再びパーキングエリアで睡眠。結局自宅に着いたのは午前8時頃でした。とにかくシャワーを浴びて汗を流し、そのまま午前も午後もよく寝て、夜も早くにベットに入り、ほとんど一日中寝ていた気がします。炎天下の中、やはりかなり疲れていたようでした。


戦利品

今回手に入れたものはかなり限られています。一つは、シュミットブースで購入した新品のセレストロンの赤道儀のコントローラーです。家には3台のセレストロン赤道儀があるので、壊れたときの予備として買っておきました。星まつりにしては珍しく、買い物はこれのみです。

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もう一つはZWOブースで貰えた布バッグです。嬉しかったのは中にASIカメラのキーホルダーが入っていたことです。実は既に一個持っていて、これで2個目になります。超カワイイです。

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最後に

よく考えたら、今回オークションも抽選会にも参加していませんでした。ちょっとだけ見たのは、新潟のローカルアイドル「コーテシー」のコンサートくらいでした。写真を撮るのは禁止されていたので、その時のステージ周りの雰囲気だけですが、宇宙の侵略者の方達もアイドルコンサートは外せないみたいです。

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今回あまり星まつり公式行事に参加できなかったのは、ものすごく暑かったのも原因の一つだと思います。オークションもこれまでとは違い日陰で行われていましたが、その頃には私もすでにかなり疲れ果てていて、夜のSWAgTiデモのために体力を温存しておきたいような状態でした。それでもたくさんの方と話すことができたので、とても楽しくて、現地開催が素晴らしかったことは言うまでもありません。

久しぶりの現地開催の胎内星まつりでしたが、やはりたくさんのブースがあり、多くの人が来る星まつりはよかったです。来年以降もまた現地開催で続けて頂けると嬉しいです。あ、きちんと寄付(英世さん1枚ですが...)もしましたよ。天気に文句を言ってもしかたないのですが、暑くなければもっとうれしいです。

最後に、星まつりを運営しているスタッフの方たちに感謝したいと思います。猛暑の中大変だったと思います。本当にありがとうございました。






 

8月18日から開催される胎内星まつりに参加してきました。今年は主にユニテックブースさんのところに滞在していました。SWAgTiがかなり注目を集めてました。でもとにかく暑かった...。


4年ぶりの胎内に向けて出発

今年の胎内星まつりは、2019年以来なんと4年ぶりの現地開催になります。日本では最大規模の星まつりですので、天文付きな方はもちろん、現地胎内近辺の方、企業ブース、スタッフの方々もかなり盛り上がるはずです。

私は金曜に休暇が取れたので、朝10時半頃に自宅を出ます。

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新潟方面に行くときに、いつも立ち寄る黒崎PAで昼食を取り、スターバックに寄ってこれまたいつもの抹茶アイスフラペチーノの一番大きいやつを注文したのですが、今回は残念ながら店員さんとの会話はありませんでした。お店の方針かとおもっていましたが、やはり店員さんの個性に寄るのでしょうか?

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途中どうしても抜けられない仕事があり、パーキングエリアで何度かリモート会議に参加してたので、倍くらいの時間がかかりました。


到着して早速SWAgTiを展示

結局現地に到着したのはちょうど18時頃でした。

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そのままユニテックさんのところに顔を出し、本部から出展業者の駐車場に車を止める許可をもらいました。今回結構な量の機材があったので、近くに車を止めることができて助かりました。

早速、目玉のSWAT+AZ-GTi=SWAgTi (スワッティ、gは発音せず)をユニテックブースのところに設置しました。初日は天気が悪かったこともあり、機材の展示だけで動作などはさせなかったのですが、それでも展示を始めてからすぐに何人もの人が足を止めてくれて、質問がいくつも飛んできました。この「ほしぞloveログ」を見てるという方もたくさんいらっしゃいましたし、「天リフでこの組み合わせを見た」という方も何人もいました。

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この日写真を撮り忘れてました。この写真は次の日に撮った物です。


会場の様子

その後、会場内をプラプラします。まだ金曜なのにお客さんがかなり多いです。さすが4年ぶりの現地開催というところでしょうか?金曜でこれだと、明日の土曜はもっとすごい人の数になるかもしれません。

KYOEIさんとZWOが隣り合わせになっていました。目玉はやはり簡単に電視観望ができるSeestarでしょう。天気が良ければデモをするそうで、事前に撮った画像を見せていただきました。

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写真にもあるように、手で簡単に持ち上げることができるくらいの軽さです。今回ZWOの創始者のSam氏がきているとのことで、KYOEIのMさんに紹介して頂きました。当然のネタの、自分のハンドルネームが同じというところから入り、日本でZWOのカメラを使った電視観望が2016年から始まったとかの話をしました。Sam氏は次の日ユニテックブースにもきてくれて、SWAgTiを見てもらいました。MORE BLUEの方が日本語がかなり堪能で、中国語に翻訳してくれたので、細かなニュアンスも伝えてくれたのかと思います。

会場を回っていると、TOMITAさんのブースにPLANEWAVEの赤道儀が展示されていました。

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デモで動いている様子を見ることができましたが、動きが早くてとてもスムーズです。こういう可動物で重要なのは、動きが止まる時です。下手な物だと止まる時にかなり振動するのですが、これはそんなことは微塵も感じられないくらいにピタッと止まりました。制御関係もかなり上手く作られているようです。対荷重はこれで45kgとのこと、かなり大きな鏡筒まで載せられますが、その分値段もすごいです。車1台分くらいか?...、そう考えると...、でもドームも必要か?...、やっぱり無理だな...、など頭の中で想像するくらいが楽しいですね。

いつもお世話になっているサイトロンブースに顔を出しましたが、この日は天気がよくなくて電視観望は諦めるとのこと。他にも電視観望をやろうとしているところがいくつかあったようですが、どこも様子見といったところでした。


夜は早めに

他にもブースをのんびり見て回ってからユニテックブースに戻ると、スタッフのKさんからとても面白い講義を受けました。SWATのギヤの滑らかさを体験できる機材を持ってきているとのことです。指でつまみを回すと赤経が回転するのですが、ほとんど何も感じないくらいにスムーズに回ります。面白いのはここからです。赤経の回転方向に負荷をかけます。下の写真では、回転中心から20cmのところにバネばかりで測って1kgの力で引っ張っています。

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この状態で先程と同じように指でつまみを回すのですが、たったこれだけの荷重をかけただけでつまみがものすごく重たくなり、回すのにかなり苦労します。いかにギヤに負荷がかかっているかよくわかります。よく赤経方向のバランスをあまり合わせずに赤道儀を稼働させることがありますが、せいぜい脱調しなければいいくらいに思っていましたが、この実験でバランスが悪いとギヤに相当な負担をかけることが実感できたので、赤経方向のバランスは必ず合わせようと反省しました。製品寿命を伸ばすことにもつながるはずです。

この日は天気も悪くほとんど星が見えません。60cmのドブの電視観望でベガが一つだけ映っていたとか、自然天文館にある60cm望遠鏡でベガを見せてもらったとか、自然天文館屋上テラスの双眼鏡でなぜか地平線スレスレにだけ何個か星が見えたとかだけで、それ以外は何も見ることができなかったので、もう完全にまったりモードです。23時前くらいでしょうか、私も早めに車に戻り、コンビニに買い出しに行き軽く夜食を食べて、そのまま車中泊でことにしました。

でもとにかく暑いのです。夕方着いた時から暑かったのですが、夜になっても全然涼しくなりません。昼間はもっと暑かったとのことで、明日の昼間は少し作戦を立てた方がいいかもしれません。この日は暗いうちは少しは寝られましたが、明るくなると直ぐに車内の気温が上がってきて、トータルでは2−3時間の睡眠でしょうか。夜中の2時頃に起きて外に出たら星が一面に出ていました。でも眠かったのでそのまま車の中へ。次の日聞いたら、その後再びだんだんと曇ってしまったらしいです。


2日目へと続きます。





 

 

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