ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:自宅

過去M33は2回撮影しています。いずれも自宅での撮影です。どうしても満足できていなかったので今回再びM33の撮影です。

3回目のM33

最初の撮影は2018年の1月、PixInsightを始めた頃で、3時間の長時間露光と頑張ったのですが、その長時間露光が原因で縞ノイズ(縮緬ノイズ)に悩まされました。


これは後の解析で、フラットファイルを暗いところで撮っていたためフラット情報を持つべき信号が足りずに、結果としてS/Nが悪いフラットファイルになっていたことが明らかになりました。


2回目は2020年の11月なので約1年前です。TSA-120とASI294MCでの撮影でした。

この時は露光時間が1時間半ほどで、どうしてもノイジーになってしまうのに悩んだ覚えがあります。


土、日の2日間の撮影

撮影は2日に分かれました。10月9日(土)と、10月10日(日)です。前回の画角が少し狭かった気もするので、今回はTSA-120とEOS 6Dで撮影してみました。これでうまくいかないなら、次はASI294MMのモノクロでRGB撮影にするかもしれません。銀河なのでフィルターは赤外でのハロ防止のためのUV/IRカットフィルターのみです。

土曜は昼間快晴だったのですが、夕方からずっと曇り。0時頃に一旦快晴になり機材を出し、0時半頃に準備を終えたら再び曇りで、一旦自宅に退散します。1時過ぎにまた快晴で、結局撮影開始が午前1時40分頃でした。この日は明け方まで撮影しましたが、露光時間が1枚あたり5分で、薄明までに34枚撮影できてそのうち29枚を使うことができました。これだけだと2時間半くらいなので、もう少し枚数が欲しくて次の日も撮影。

日曜は朝からずっと快晴なので、赤道儀も前の晩から置きっぱなしです。昼間は太陽撮影とかしていたので、そのまま移動していないため夜の撮影でも極軸を取る必要もなし。連日晴れの撮影だと準備は楽なものです。この日は45枚撮影して37枚を画像処理に回すことができました。

2日間トータルで66枚なので、5時間30分の露光になります。

でも本当はもう2時間程度長くなる予定でした。初日の撮影で、一番最初はISO1600で始めたのですが、ヒストグラムのピークが半分近くまできてしまっていたので、すぐにISO800に切り替えました。問題は2日目で、同じISO800で始めたのですが、天頂越えで赤道儀を反転させた際に、間違えてISO1600にしてしまいました。最初違うISOを混ぜて処理しようと思ったのですが、画像処理の時に見比べたら、ISO1600の方が明らかに星像が肥大していたので、泣く泣く25枚分諦めることに。

そういえばもう一つトラブルが。いつも使っているStickPCにリモートデスクトップで全くつなげなくなってしまったのです。とりあえずその場は代理のノートPCで撮影を始めましたが、後でStickPCを調べたら結構面倒でした。接続できなくなったのはWindowsのアップデートが始まってしまったのが原因のようですが、アップデートのせいなのかWi-Fiアダプタをうまく認識できなくなってしまったようです。

Wi-FiアダプターはIntelの9462で「コード10」エラーでうまく開始できないというようなメッセージが出ています。ドライバーをアンインストールして、Intelのページからあらわに最新ドライバーをダウンロードしてきたりして色々試すのですが、
  • 一瞬起動してネットワークにつながるがすぐにだめになる。
  • 起動してネットワーに繋がるが、切断と接続をずっと繰り返す。
  • 起動してネットワークにつながり安定だが、再起動するとアダプターを認識しなくなる。
などのトラブルがずっと続きました。10回くらい色々とドライバーを入れ替えたり再起動したりを繰り返していると、ある時突然安定になって、再起動とかしても普通に動くようになりました。原因はわかりませんが、とりあえず動いたのでこのままそっと使おうと思います。安定運用の観点からは、Windowsのアップデートはできるなら避けるように設定しておいた方がいいのかもしれません。

もう一つのしょぼいトラブルですが、撮影が長時間にわたるので6Dの駆動は電池切れを防ぐために外部バッテリーにしてあるのですが、その外部バッテリーが切れてしまって、2日目の天頂越えの後1時間以上にわたって撮影が中断していたことです。目が覚めた時に外にチェックしに行って発覚しました。でも結局後半は先に書いたようにISO1600で撮影してしまって、星像肥大で使わない画像となったのでまあいいかと。ISO800のままでバッテリートラブルがなかったら、9時間越えになっていたかもしれません...。

撮影時の状況はこんなところでしょうか。後日フラットとフラットダーク、足りなかったダークファイルを、ISO800の分とISO1600の分をぞれぞれ追加撮影し、やっと画像処理です。


画像処理

PixInsightのWBPPで何パターンか試しました。
  1. ISO800
  2. ISO1600
  3. ISO800とISO1600を混ぜたもの
を比べて、ISO1600が星像肥大と判断し、2と3を棄却。

でもなぜISO1600で肥大していたのかは謎です。ピントはずらしていないし、ISO800と1600で天頂に対象に撮影したようなものなので、空の高低では影響は同じくらいになってもおかしくないはずです。明け方に向かって温度が下がっていくはずなので、その温度変化でピントがずれていったのかもしれません。

あと、6Dのダーク特性がちょっと気になったのでホット/クールピクセルはPixInsightのCosmeticCorrectionで取り除くようにしてあるので、
  1. ISO800でダーク補正あり
  2. ISO800でダーク補正なし
で比較。結果、ダーク補正なしの方が少しだけ縞ノイズが残るので、ダーク補正ありを採用としました。

何でこんなことをしたかというと、もしかしたら6Dのダークノイズって素性が良くてあまり気にしなくてもいいのではと思ったからです。ダークフレームを撮影するのは時間がかかりますし、少ない枚数での補正だと逆にノイズを加算することもあります。まあ結果はほんの少しですが違いがわかったので、これからもダーク補正はしようかと思います。冬でもっと温度が低くなればダーク無しでも良くなるのかもしれません。

ABE、DBEで残りの背景補正をして、PCCで恒星の色合わせ、ASと最後は恒星を尖らせるためにHTでストレッチ。StarNetで星マスクだけ作り、MTのDilationで少しだけ製造を大きくしてPhotoshopに渡します。あとはほとんどPhotoshopで調整です。


結果

私は青紫っぽいのが好きなので、以下のようにしました。

「M33:さんかく座銀河」
Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b
  • 撮影日: 2021年10月10日1時41分-4時37分、2021年10月10日20時34分-10月11日0時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: SVBONY 2インチUV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x66枚 = 5時間30分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

ちょっと中心がサチってしまっていること、赤ポチがわざとらしいところが反省点でしょうか。淡いところはそこそこ出たと思います。解像度はまあまあ。以前ASI294MCで撮ったのよりは、ピクセルサイズが4.6μmから6.3μmと大きくなっているにもかかわらず解像しています。シンチレーションが効いているのでしょうか?でも潜在的にはもう少しでてもいいのかもしれません。これは次回以降にチャレンジとします。

画像処理でいろいろいじっていたのですが、もしかしたら色味は真ん中をもっと黄色に持っていって、青紫よりも青に寄せるほうがいいような気もしてきました。近いうちに再処理するかもしれません。

あとは、いつものAnnotationです。

Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b_ok_annotation


まとめ

いつもの自宅撮影でしたが、露光時間も5時間越えで、そこそこ出てきたと思います。解像度はもう少し出ても良さそうなので、次やるとしたら少し画角が小さくなりますが、ASI294MMでLRGBでしょうか?他の銀河でのLRGBも、今後挑戦していきたいと思います。


おまけ

以前撮影したものの再掲載です。

2018年1月のもの。縞ノイズがひどいです。
integration_Maximum_No_normalization3c

2020年11月のもの。
masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4

上の2020年と同じ画角で、今回のものです。
Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b_ok_cut

うん、こうやって比べると3年では劇的に、1年でも進化していますね。微恒星まで出て、分解能もよくなっています。でもやっぱり中央の処理は前の方がいいかも。これは再画像処理案件か?


今回は初のナローバンドです。まずは簡単なAOOから、ターゲットはM27: 亜鈴状星雲です。


M27をAOO撮影

M27は、昔コスモス天文台で25cmのMEADEのシュミカセを使って撮影したことがあります。


低F値の明るいシュミカセなのでコマ収差が避けられていないことと、この時は全く気づけなかったのですが、どうやら淡ーい赤や青の領域が周りにあるようなのです。

AOO撮影はナローの中でもシンプルな方で、HαとOIIIの2波長でR、G、BにHα、OIII、OIIIと当てはめると自然な色で(カラーで撮影したような色)出てくるようです。大きさ的にTSA-120の900mmとVISACの1800mmと迷ったのですが、VISACの三角星像が出ると嫌なので、TSA-120にしました。もしかしたらBKP800にコマコレクターでも良かったかもしれません。

カメラはASI294MM Proです。このカメラではM57のRGBフィルターで撮影で10秒露光のラッキーイメージのようなものを試みたのですが、中心星を含めそこそこの解像度になりました。


今回の目的は
  • ナローバンド撮影の感触を掴むこと
  • M27の周りの淡いところを出してみたいこと
です。

フィルターはこれまで星まつりなどでちょくちょく特価品を買い揃えていたもの。大抵は国際光器さんで購入したバーダーの中古やB級品で、サイズは1.25インチです。フォーサーズのASI294MMなので1.25インチで事足りるのですが、これ以上大きなセンサーサイズだとフィルターからまた考えなくてはならなくなります。ここしばらくはフォーサーズとアメリカンサイズフィルターでまずは色々試そうと思っています。また、手持ちの5枚用のZWOのフィルターホイールはRGBで埋まっているので、今回はフィルターを個別にCMOSカメラの先端にとりつけ、1枚ごとに交換します。


撮影

撮影はいつもの通り自宅庭撮り。今の時期、M27は天頂近くの方向にあります。

BE3315D2-6B84-45C5-9FCB-D3ED4D7DA92D

撮影はCMOSカメラなのでNINAを使います。撮影中にディザーを使いたいことが理由です。SharpCapも最近はディザーに対応してきてますが、まだこなれきっていない感じです。最近はAPTよりもすっかりNINAという感じです。6Dの場合はBackYardEOSですが、それ以外はNINAといったところでしょうか。

撮影は合計3日に渡りました。いえ、長時間撮影したとかではなく、曇りで撮影時間がほとんど取れなかったというのが実情です。

出にくいと言われている青に目処をつけたかったので、まずは月が出ていないうちに、OIIIの撮影からです。撮影日は9月6日。もう一月近くも前になります。露光時間は5分とし、ゲインは一番得をする120。もしこれで何も出ないようなら、次回はゲインを300にするか、露光時間を10分とかにするかもです。こちらは25枚撮影して18枚使えました。最後は曇って中断です。

対してHαは青より出やすいだろうとタカをくくって、半月期の月がかなり明るい時に撮影しました。というより、最近全然晴れることがなくて、それでもかろじて天気が良かった9月23、24日に渡って撮影しているのですが、両日と月が出ている時です。しかも2日とも曇りに近くて雲越しの像になってしまい、ハロっぽくなったり淡いところが見込みがなさそうでした。結局使えたのは24日の分だけで、枚数で言うと65枚中22枚が使えただけでした。両日もやはり曇って中断です。


各種補正フレームの撮影

上述の通りライトフレームはNINAで撮影しましたが、後日バイアス、ダーク、フラット、フラットダークの各フレームの撮影をSharpCapで撮影して、ビニングの名前の定義の違いで画像処理にトラブったという話を前回の記事で書きました。



でもそれは画像処理になって初めて発覚したことで、撮影自体はなんの問題もなかったです。撮影条件は
  • バイアス: 0.0032ms露光、ゲイン120、500枚
  • ダーク: 300s露光、ゲイン120、31枚
  • フラット: 1s or 16s露光(部屋の明るさに依る)、ゲイン120、50枚
  • フラットダーク: 1s or 16s露光(部屋の明るさに依る)、ゲイン120、50枚
となります。

あえて言うなら、OIIIとHαでフラットフレームを個別に撮っているところくらいでしょうか。もしかしたら一緒にできるかもしれませんが、まだよくわかっていません。フィルターによってムラの出来方が違うと言う話もあるので、念のため各フィルターでフラットフレームを撮っています。そのため、ライトフレームの撮影が数日に渡ってしまったのはラッキーでした。一日での撮影だと、フィルターを交換するたびに途中でフラットを撮らなくてはならなくなります。

これを考えると早めにフィルターホイールに入れてしまった方が良さそうです。今のRGBフィルターを入れ換えるか、8枚入るのを買ってRGBもHα、OIII、SIIも全部入れてしまうか、5枚のをもう一台買ってナローバンドフィルター用に別で作るか、迷ってます。


画像処理

画像処理の最初はいつものようにPixInsightです。ビニングの問題でWeighted Batch PreProcessing (WBPP)ができなかった以外は、極めてストレートフォワードでした。

Hα画像とOIII画像の合成はChannelCombinationを使います。R、G、BにHα、OIII、OIIIをそれぞれ当てはめます。

あとはStarNetで恒星と星雲部のマスクをHα、OIIIと別々に作っておきました。でも結局使ったのはHαのマスクだけでした。最近StarNetのマスク作りはトラブルが少なくなりました。コツはSTFのオートストレッチとHTで恒星がサチり気味なストレッチをかけて、そこにStarNetをかけることです。こうするとかなり綺麗に分離できるようです。

一つトラブルを思い出しました。PCCがどうしても上手くいかないのです。位置特定のPlate solveの方は問題ないのですが、色を決めるところでどうやっても最後エラーで終了してしまいます。かなりパラメータいじったのですが、最後諦めてしまいました。もしかしたらAOOで2色が同じなので、そもそも原理的に出来ないのかもしれません。今後の検証項目です。

ストレッチはArcsinhStretchとMaskedStretchを併用しました。それでもASが強すぎて恒星の色が強く出過ぎたのと、MaskedStretchで恒星がサチらないようにしたので、少し眠い恒星になってしまった気がしています。恒星は多少サチるくらいが鋭く見えて好みかもしれません。

ここまできたら、16bitのTIFFにして、あとはPhotoshopに受け渡します。

炙り出している過程で気づいたのですが、青はまだ出ているものの、赤の出がいまいちはっきりしません。淡いところがどうしてもノイジーになるので、一部DeNoise AIを使いました。


なぜ赤色が弱いのか?

赤が出ない理由ですが、私は単純に月夜の晩に撮影したからかと思っていたのですが、Twitterで先に画像だけ投稿したところ、おののきももやすさんから同じように月夜でもないのに赤が出ないという報告がありました。

さに、gotodebuさんから、そもそも水素のバルマー系列じゃなくて窒素の禁制線が出てるのでHαフィルターだと通りにくいのではと言う指摘もありました。Hαは656.3nm、窒素の禁制線は654.8nm,658.4nmとのことで、ともに2nm程度しか離れていません。今回使ったHαフィルターは7nmです。半値全幅が7nmだとしても、十分中に入っていて7−8割は透過してもおかしくないと思います。gotodebuさんによると、もう少し幅の広いQBPだと赤がはっきり出るとのことなので、一度QBPで撮影してみるのも面白いかもしれません。


結果

さて、画像処理の結果です。M27が見やすいようにトリミングしてあります。

Image09_DBE2_stretched7_cut_crop_b

  • 撮影日: 2021年9月6日21時14分-23時23分(OIII)、9月24日22時13分-9月24日0時12分(Hα)
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: Barder 7nm Hα, 7nm OIII
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間300秒x18枚 = 1時間30分(OIII)、300秒x22枚 = 1時間50分(Hα)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI
目的の一つだった回りの淡いところはそこそこ出ているようです。ただ、やっぱり赤が出ていない気がします。もう少し出てもいいと思うのですが、やはりリベンジ案件でしょうか。

それでも前回のM27の撮影よりははるかに進化しています。2018年11月なので3年くらい前です。
integration_DBE_DBE_PCC_st4_cut

3年前と今回の違いですが、口径は25cmと12cmで半分以下、焦点距離は1600mmと900mm、カメラはカラー常温とモノクロ低温、フィルターなしとナローバンドフィルターなどがです。画像処理の進歩も大きいです。3年前はそこそこ写ったと思っていましたが、比べてみると違いは明らかで、ずいぶん進化したことがわかります。

あと、トリミング前の画像はこちらになります。どのくらいトリミングしたかがわかるかと思います。

Image09_DBE2_stretched7_cut_b

いつものアノテーションです。
Image09_DBE2_stretched7_cut_b_Annotated


まとめ

初めてのナローで、今回は比較的簡単なAOOに挑戦してみました。自宅でもナローなら淡いところも出ることがわかったのは大きな収穫です。ただし月がある場合とない場合ではまだ写りは変わるのかもしれません。

あとトータルの撮影時間も実は大したことありません。いや、時間はかけたのですが使える枚数が少なかったです。倍くらいの露光時間があればもしかしたら劇的に変わるのかもしれません。

天気のせいで日数はかかってしまいましたが、今まで見えなかったものが見えてくると思うとナローバンド撮影もかなり面白いです。AOOにとどまらず、SAOとかにも挑戦してみたいと思います。

昨日光軸調整したVISACですが、その日の夜遅くに晴れてきたので、少し見てみました。

結果だけ言うと、シンチレーションがいまいちで星が揺れていて、いろんな方向にぶれていたので評価は保留です。まだ3つの固定具を視野から隠してないこともあるので、きちんとした評価はそれが終わってからにしようと思います。ただ、一応ある程度きちんと星には見えていたので、少なくとも光軸調整が全然間違っていたということはなさそうです。


満月間近の月

その後少しだけ月を撮影しましたが、画面で見ていても細かい揺れが多く、細部を比べると前回ほどの解像度は出ませんでした。やはりシンチレーションがよくなかったのかと思います。それでも全体を写した月と思えば、強拡大しない限り細部にそこまでこだわる必要もないので、私的には満足です。

00_36_22_lapl2_ap8304_IP-denoise2-standard_stitch

  • 月齢12.7日
  • 撮影日: 2021年7月23日0時22分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: SIGHTRON IR640 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間5ミリ秒x125/250枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、ImPPG、ICE、DeNoise AI
でもこれ実は画像処理で少しインチキしています。画素数が多過ぎてRegistaxが使えないので、ImPPGを使っているのですが、どうしても細かいノイズがのってしまいます。ノイズ除去をするために、ここにDeNoise AIをSharpを1と最低にして、ノイズ除去を20と軽くかけてみました。

DeNoiseの処理としてはかなり軽くて、暗い部分のノイズはてきめんに減りましたが、明るいところのノイズがまだ残っています。ただ、やはり月の場合は偽線が出る可能性が否定できなく、今回は試しに使ってみましたが、明るいところのノイズが消えるくらいまで強くするとどうしても不自然に見えてしまい、あまり使いたくないなあというのが正直な感想です。今回は最低限のノイズ除去だけという感じです。ちなみに、Sharpen AIも試しましたが、こちらは偽線が出まくりでさすがに使うのを躊躇しました。

Registaxが使えないという理由でImPPGを使い続けるなら、うまく相性が合うノイズ処理を見つけるのが課題かと思います。


赤外の透過波長の違いの比較

今回の撮影は少し余裕があったので、IRパスフィルターの比較をしてみました。使用したのはサイトロンのIR640、IR720、IR800で、それぞれ640nm、720nm、800nm以上の波長のみを通します。

撮影したのは上の画像の左上の方。上の写真は撮影後回転しているので、下の写真では右上に見えてしまっています。ASI294MM Proを常温で、Bin1モードにして分解能を上げ、画角を一辺4分の1の2072x1410にしました。露光時間を5ミリ秒に固定していますが、ゲインは画面の明るさに合わせてヒストグラムがフルになるように変えています。IR640、IR720、IR800の順にそれぞれゲイン200、270、340です。

撮影中の動画で見ている分にはIR640、IR720はあまり変わらなかったですが、IR800は明らかに見た目で揺れが少なくなっているようでした。もちろんその分IR800では暗くなります。

画像処理はAS!3でRegistaxになります。Waveletのパラメータは比較しやすいように全て同じにしてあります。画素数を少なくしたのでこれらの画像はRegistaxを使うことができました。RegistaxのDenoiseが細かいノイズに結構効くので、ImPPGよりももう少し攻めることができます。

とりあえず3枚並べます。

00_50_43_lapl2_ap3043_RS
IR640

00_52_38_lapl2_ap3189_RS
IR720

00_56_05_lapl2_ap3279_RS
IR800

わかりやすいように一部切り出して拡大します。

comp

左からIR640、IR720、IR800です。IR640、IR720はほとんど変わりませんが、細かいところを比べるとIR800は解像度が明らかによくなっています。ただ、IR800の場合は光量が減ったのを補正するためにゲインを上げたせいかと思いますが、ノイズが少し残っています。

波長が長くなれば揺れが小さくなるという、まあそこそこ予測通りの順当な結果ですが、分解能の違いがあると言ってもごくごくわずかで、シンチレーションの違いで出るさの方が遥かに大きい気がします。なので無理してIR800以上で撮るとかよりは、揺れの少ない日を狙った方が素直な気がします。


かゆくて、かゆくて

本当はもっと続けたかったのですが、とにかく蚊が多くて、あまりにかゆくて自宅に引き返しました。明るいところで見たら三十箇所くらい刺されてました。自宅なのでゆるゆるの格好で、Tシャツ、短パン、サンダルとかなので、そりゃあだめですよね。

ムヒを塗って痒みが収まってきたところで再び外に出たら相当曇ってきてました。雨の心配もあったのでその時点で撤収することにしました。


まだまだ連休

連休中は天文イベント目白押しです。

今回の月の撮影は木曜夜のことで、ブログは次の日の金曜夜に書いてますが、この金曜の夜はMちゃんが自宅に来てくれました。そのことも記事にしたいのですが、ネタがどんどん溜まって書ききれなくなりそうです。

しかも明日の土曜は13時から天リフの「星と宇宙の夏ライブ2021」です。こちらもかなり楽しみです。




わたくしSamがオススメの重力波のお話、よかったら聞いてみてください。




今回は自宅ノーフィルターでの星雲撮影の一環です。なかなかうまく色が出ない青い星雲を狙います。ターゲットはさそり座アンタレスの上のIC4592青い馬星雲です。

といっても撮影したのは結構前で、4月10日と11日の土日、VISACでの銀河撮影(M87M104)の後の深夜からのあまった時間で撮ったものです。乙女座銀河団を撮影した時のFS-60CB+6Dがそのまま残っていたので、VISACでの撮影が終わってからポンと赤道儀に載せたものです。両日とも撮影が始まると寝てしまいました。

実はもう結構前のことになるので、状況もあまり覚えていないのですが、記録を見るとISO800で3分露光です。10日が25枚で11日が61枚の計86枚で、総露光時間258分=4時間18分です。でも画像処理をやってわかりましたが、まだ全然足りなさそうです。この日は確か2日とも結構透明度の良い日でした。それでもやはり南のそれほど高くない位置にある星雲です。自宅から南の山までの間に丸々一つ街があり、南の低い空はやはりどうしても街明かりの影響があります。時期的も4月初めは少し早く、撮影終わりの未明で南天を少し超えるくらいです。

まあそれでも寝ながらの撮影なのでダメ元、画像処理を進めてみます。PixInsightはいつも通りWBPPで問題なく進めます。苦労したのはかなり全面に渡る感じでモクモクがあるので、ABEが使えずDBEでポイント数をかなり制限してフラット化しました。あ、もちろんフラットもいつもの昼間の白い壁で撮ってますよ。それ以外はストレッチやStarNetでの星マスク作りも問題なく進みました。

まあ淡いのはPhotoshopに渡す時点で覚悟してましたが、あぶり出しはなかなか厳しかったです。

「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_DBE_PCC_ASx5_ET_HT3a
  • 撮影日: 2021年4月11日2時34分-4時27分、4月12日0時35分-4時8分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x86枚 = 4時間18分、ダーク154枚(ISO800、露光180秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク256枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
遠目で見てる分にはまだマシかもしれませんが、拡大すると荒れ荒れです。分子雲ももっと広がっているはずですが、そこまで諧調が残ってませんでした。青い星雲だからこそのノーフィルターなのですが、やはり厳しいです。もっと暗い所に行くか、自宅なら撮影時間をもっと伸ばす必要がありそうです。リベンジ案件です。

手持ちの未処理画像はほぼ尽きてきました。これから連休ですが、天気はイマイチの予報です。新しくきたFRA135も早く試したいです。 

 

VISAC復帰第2段です。前回のNGC4216に続き、今回はM104ソンブレロ銀河。




今回のターゲット

M104にした理由ですが、あまりこだわりはなくフォーサーズのASI294MCの画角に合うところを探したらM104だったといっても良いかもしれません。M104は意外に大きくて、VISACの1800mmとフォーサーズでもそこそこの大きさになります。自宅から見てくらい東や南の空でこの画角にちょうど良い大きさの銀河が意外に少ないのです。

でもM104って、南のかなり高度がかなり低い位置にいるんですよね。撮影期間が意外に限られているので、ちょうどよかったかもしれません。


撮影

セットアップは前回のNGC4216と同じなので、ピント合わせくらいでほとんどいじるところはありません。露光時間などもNGC4216の時と同じゲイン120で5分露光で撮影しています。

22時頃から撮影を始めたのですが、平日なので撮影が始まったら放っておいて寝てしまいました。あとからチェックしたら、使えるのは50枚だったので、5分 x 50枚 = 250分で、合計4時間10分となります。


NINAで自動で天頂越え


そういえば前回から撮影ソフトにNINAを使っています。最近はCMOSカメラでの撮影は課金までしたAPTから完全にフリーのNINAに移りつつあります。構図決めや導入時のプレートソルブもうまくいくので非常に快適です。LiveViewでのオートストレッチも便利で、短時間の露光でターゲット天体が見えるので、一決めも正確です。

最近の撮影時間は結構長いので、どうしても天頂越えをしてしまいます。前回の撮影からNINAの赤道儀の自動反転機能を使い始めています。ケーブルの絡みが心配だったので、最初だけはその場にいて見ていましたが、全く問題なさそうです。最近はケーブルの固定位置を赤道儀の赤緯体の可動部付近だけ一箇所にしていて、他は余裕があるようにかなり緩めています。こうすることで、最終稼働部である赤緯体のモーター位置から、鏡筒やカメラまでのケーブルの長さが固定されるのでトラブルが少ないです。赤緯体からバッテリーやStick PCまでのケーブルはあえて固定せず、余裕があるケーブル長さでプラプラしています。赤経体が回転する時にケーブルが引っかからないか心配なのですが、赤経体がホームポジションにある時に北側から見て左右対象になるようにStick PC、バッテリーなどを配置し、(赤道儀の電源口が片側に寄っているので全部は無理なのですが)ケーブルもできるだけ左右均等になるように配置します。そうすると、たとえ赤経体が反転しても、反転前後どちらの場合もケーブルもバランスよく配置されるので、スムーズに反転します。



画像処理と結果

バイアス、ダーク、フラット、フラットダークも前回のNGC4612の時の使い回しです。セットアップが同じで冷却カメラで、カメラの回転角とかを触っていないと、これらのファイルがそのまま使えるので、画像処理が楽になります。

銀河はまだ画像処理に慣れていないのか、少し迷走しています。あまりシンチレーションが良くなかったこともあると思いますが、焦点距離が長いこともあり、星像がどうしてもボタっとしてしまいます。最初はArcsinhStretchでストレッチしたのですが、色は出てもすごく眠い恒星となったので、結局STFとHistgramTransformationのみでストレッチしました。なので恒星の色があまり出ていません。それでもまだ鈍い星像には不満で、ピントが合っていなかったのか、5分露光で長すぎたのか、赤外の収差で大きくなっているのか、まだまだ改善の余地がありそうです。


結果

結果です。

「M104: ソンブレロ銀河」
masterLight_ABE_DBE_PCC_HT
  • 撮影日: 2021年4月7日22時4分-4月8日3時28分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、-10℃
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、gain120、露光時間300秒x50枚 = 4時間10分、ダーク128枚(gain120、露光300秒、最適化なし)、フラット256枚(gain120、露光40ミリ秒)、フラットダーク256枚(gain120、露光40ミリ秒)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

恒例のAnnotationです。

masterLight_ABE_DBE_PCC_HT_Annotated

今回も水平がバッチリ決まっていて気持ちいいです。


まとめ

まだまだ反省点だらけです。星像をキリッとさせるためにまだできることがたくさんありそうです。ピントはEAFを導入した方がいいかもしれません。VISACの星像がまだ安定しないので、ピントが合ってないのか光軸がまだずれているのか迷う時がよくあります。撮影に関しても、露光時間が長すぎるのでラッキーイメージが効果的かと思います。ノーフィルターの方向性は間違っていないと多いますが、どうもIRで星像が肥大化している可能性があるので、UV/IRフィルターは入れた方がいいのかもしれません。それとは別に、最近赤外が流行っているので分解能目的でIRだけを撮るのはありかもしれません。

次回は鏡筒自身の強度を上げるために、VISACを改造します。でもこれも大きな落とし穴があったのでした。


休日で晴れていたので、久しぶりの太陽撮影です。用事があり、余り時間がなかったのでアニメとかは諦めました。

黒点はありませんでしたが、8時方向に比較的大きなプロミネンスが出てました。2つのリングを形成するプロミネンスの中に、残った輪が宙に浮いているように見えます。

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  • 撮影日時: 2021/4/3 10:28
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0beta (64bit)
  • 撮影条件: ser形式でgain 80, 1.25ms x 2000フレーム中上位50%もしくは30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

また、5時方向のプロミネンスが、光球面のフィラメントとつながっているのですが、これを画像処理でうまく表現するのがものすごく難しいです。光球面とプロミネンス部分で輝度が全く違うので、ちょっと凝った画像処理をやってしまうだけで分離されてまるで別物のように見えてしまいます。つながって見せようとすると、両方の明るさを合わせて、できるだけ差のない画像処理をしなければいけません。何度もいろんなことを試して、結局どれも気に入らなくてほとんど処理のないところに戻ってしまいました。今回はここらへんで諦めます。

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  • 撮影日時: 2021/4/3 12:41

何かいい方法はないのか?今後の課題です。

 

昨年9月に自宅に遊びに来てくれたあんとんシュガーさん。その時はまだ機材を揃え始めたばかりで、長時間の撮影はできてませんでした。その後自宅前でアンドロメダ銀河を、FS-60CBをポラリスUに載せ、FUJIFILMのX-T2で約1時間半を切るくらいの時間で撮影したそうです。撮った画像は自分自身で、時にはTwitterでの猛者たちの力も借りて、PixInsightの練習も兼ね画像処理を熱心に進めてきてました。その様子はあんとんしゅガーさんのTwitterでの投稿を見てるとよくわかり、私もいくつかコメントを返し、いつかまた一緒に画像処理やりましょうと約束してました。


直前に訪問が決まる

1月22日の金曜日「そろそろどうですか?」と聞いてみたら「それでは明日の土曜日に」となり、急遽自宅に来てもらうことに。新潟の考太郎さんも以前から参加したいと表明されていたので、声をおかけしたのですが、直前のお誘いのためにやはり仕事で都合がつかないとのこと。とても残念がってくれたので、次回こそはぜひ参加していただきたいです。


到着

久しぶりのお客さんなので、午前中少し部屋を片付けました。午後1時過ぎ、あんとんシュガーさんが到着。早速見せてくれたのが、大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会の井戸端さん製作の自由微動雲台の改良版。

IMG_1528

以前テストしたものよりも見た目もシンプルに、より頑丈そうになっていて、動きもスムーズそうでした。ただ、星を見てのテストまではできてないので、できれば実測でテストしてみたいです。ちょうどTwitterで井戸端さんと繋がって聞いてみると、揺れを収めるための制振用の柔らかい金属を挟み込んでいるとのことでした。でもこれは後から聞いた情報で、その場で見ただけではわからなかったです。これを聞いてますます実際の星で見てみたくなりました。Twitter上でも、他に手に入れられたからの意見で「相当頑丈に固定できる」との意見が出ていたので、かなりいいものに仕上がっているのかと思います。数は出ていないと思うので、手に入れられたユーザーは多分相当ラッキーなのかと思います。末長く実用レベルで使えるのか思います。


画像処理へ

さて、会話のままに引き続き画像処理になだれ込んでいったのですが、どうやってやるかが考えものでした。あんとんシュガーさんは見事にPixInsight (PI)門下になってしまって(笑)、WeightedBatchPreprocessing (WBPP)でIntegrationしたくらいの画像までは出せるようにはなっています。ただ、それ以降の炙り出しをPIの中だけでやろうとしているため、なかなか苦戦しているようです。まずはあらかじめPIでIntegrationまでした画像を用意して、今回はストレッチまで進めるところを実際にやってもらって、その後は別のソフト(今回はPhotoshop)に移して(あんとんシュガーさんはPhotoshopは持っていないので)やり方を「見て」もらう、としました。


PixInsightにて

まずIntegrationした直後の画像は、当然ですがPI上では真っ暗です。あんとんシュガーさんは、そもそもきちんと撮影できているかどうか不安で、この画像にどれくらいの情報が入っているのか理解し切れていないようでした。なかなか細部まで出てこなかったことから来ている不安だと思います。少し安心してもらいたくて、以前Twitterに投稿された画像(JPEG)から、私の方でStarNetで分離して、少しだけ炙り出した画像をTwitterで再投稿したことがあります。

Epqa74tVEAQiGyN_ABE_DBE_back

JPEGから出したものなので、情報は既に欠落しているはずです。それでもこれくらいの淡いところまで残っているので、もう素材としては十分なものが撮れているわけです。その眠っている情報を引き出すことはやはり多少の技術がいるので、今回はそこを重点的に説明することになりました。

といってもやったことは当たり前のことで、
  • AutomaticBackgoundExtractor(ABE)、DynamicBackgroungExtraction(DBE)で周辺減光など、できるだけフラット化しておくこと。
  • PhotometricColorCalibration(PCC)で恒星の色を正しいと思われるものに合わせること。
  • 主にArcsinhStretch(AS)を使って、彩度を落とすことなくストレッチすること。
がメインです。

まずABEですが、2次と4次で個別に処理してみましたが、どちらも結果にあまり変わりはなく、銀河の周りに大きなリングが残ってしまいました。ここでABEは諦めてDBEに。今回は銀河なので、暗黒帯や広い範囲にわたる星雲もなく、DBEでのアンカーは銀河以外のところに数多く、明るさの差があるところは細かく打っていきます。その結果、ABEの時よりはかなりマシになりましたが、それでもリングはうっすらと残ってしまっています。ちょうど良いタイミングでniwaさんがDBEの面白い使い方を示してくれていました。



この情報はあんとんシュガーさんが帰ってから読んだので、今回は試せませんでしたが、これでうまくリングが消えるかもしれません。それでもDBEで相当フラットになったので、M31のかなり淡いところまで出てくるようになります。ここがまず一つ理解してもらいたかった点です。

PCCはデフォルトの12等星まででなく15等星くらいまでにすること、Apartureをデフォルトの8でなく12くらいまで増やすことで、おかしな色バランスになることを防ぎます。詳しくはniwaさんたち委員会の結果を見るといいです。ちなみに私は(どこで知ったか、もう覚えていないのですが)おまじないのように15等星までやっていたので、これまで色バランスがおかしいと思ったことはないです。




次ですが、あんとんシュガーさんは色を出すのに苦労しているようなので、ASで彩度を落とさないようにストレッチしてみます。ASにはハイライトを防ぐオプションがあるのですが、これは通常オンにしておきます。ところが今回はこれをオンにしたことで少し苦労しました。ASを何段階かに分けてかけ、最後のみScreenTransferFunctionとHistogramTransformationで微調整して以下のようになりました。

_60_30__ABE_DBE1_Sam_toPS

最大にストレッチしきる手前で止めてあります。ASのハイライト防止のオプションのために恒星がサチることはいです。この状態でStarNetをかけると、一部の恒星が銀河や星雲などととして認識され、うまく分離できないという問題が出ました。恒星としての鋭さがないことが原因です。そのため、別途ストレッチを戻してから再びSFTとHTをかけて、あえて恒星をサチらせるようにすると、きちんと恒星と背景を分離できました。ここで作った恒星部をMorphologicalTransformation(MT)でDilationをかけて少し恒星を拡大してマスクとしました。

そうそう、このときあんとんシュガーさんから「サチる」がわからないと質問されました。Twitterとかでも使われてるのをみるけど意味が分からないというのです。多分これ理系用語なんですよね。「飽和」を意味するSaturationからきていますが、実験とかして電圧が測定範囲外で上に張り付いたりするときに「あ、サチってる」とか普通に使っています。

恒星をサチらせていない上の画像と、別で恒星をサチらせて作ったマスクを、16bitのTIFFフォーマットで保存して、Photoshopで開きます。でもここからはあんとんシュガーさんがPhotoshopを持っていないので、あらかたの作業工程を見せるだけになります。


Photoshopにて

Photshop上ではアルファチャンネルを利用して星マスクをかけて、銀河部分をあぶりだし、且つ銀河以外の背景のノイズを軽減します。特に銀河部の色出しは彩度、明度をともに調整しつつ自分の好みになるように調整します。中でもCamera Rawフィルターは便利なので初心者にも使いやすいと思います。

今回は星マスクを使いPhotoshopで処理しましたが、StarNetで分離した恒星画像とその他銀河を含んだ背景画像に分けた状態で処理し、レイヤーで重ねる方法もあります。ただ、PI上でArcsinhStretchを使ったために恒星が一部分離できなかったので、今回はこの方法を取ることができませんでした。後のレイヤーでの合成をうまくできるなら、初心者にはこちらの方がやりやすいと思います。

ノイズに関してはNik CollectionのDfine2やDeNoise AIが強力です。それでもこれらツールには限界はあるのと、ときには強力すぎることもあるので注意が必要です。

_60_30__ABE_DBE1_Sam_low

Photoshopに持ってくる前の画像と比べると、銀河の色は出ていますが、どこまで淡いのが出てるかに関しては、Photoshopで処理してもそこまで変わらないのかと思います。背景は銀河の炙り出しとともに荒れてきたのでDeNoiseをかけています。本当は銀河部だけのマスクを作って、銀河だけ炙り出すようなことをやるともう少しましになるのかと思いますが、今回はそこまで時間をかけることができませんでした。


課題

それらのことを含めて、まだできそうな改善の余地をあげておくと
  • DBEでもう少し銀河回りのリングをうまく除去する
  • Pink starの除去
  • 銀河部だけのマスクを使った処理、そのための銀河以外の背景のノイズ処理
  • 最後の微調整に時間をかけること
などかと思います。

結局午後6時くらいまででしょうか、5時間くらいずっとほぼ休憩なく画像処理でした。私自身いつものように紆余曲折しながら長い時間かけましたが、こういったごちゃごちゃした過程を、丁寧に一つ一つ潰しながら、時に後ろに戻って時間をかけてやっていくということを見せたかったのです。

あんとんシュガーさんはすごく熱心なので、多分今回やったこと、見てもらったことを、また自分で繰り返してくれるのかと思います。その場でも話していたのですが、前回9月にきたときにはまだ処理する画像ファイルも無いような状態だったので、すでに今回までに相当大きく進歩しています。春になれば北陸も晴れる日が増えてくるはずなので、撮影もどんどん重ねていくのかと思います。

重要なのはせっかく撮影した画像からいかに情報を引き出してやるか。環境の良いところで長時間撮影したものは処理も楽なのですが、自宅前で撮影したようなものは、画像処理もある程度手間をかけてやらなければなかなか見栄えのするものにならないです。これからも楽しんで画像処理をすすめて頂けたらと思います。


平日ですが、晴れていたので自宅で朝まで放置撮影です。ターゲットは迷いましたが三角座銀河M33。TSA-120とASI294MC Proで狙います。本当はTSA-120と6Dで試したかったのですが、少し面積が大きすぎます。でもこの間のM31がFC-76と6Dでうまくいったので、銀河をもう少し試したくて、より焦点距離が長く、よりセンサー面積が小さい方向に行きます。


撮影

夕方過ぎの暗くなったくらいではまだM33の高度はそこまで高くないので、準備はのんびり。機材を設置して、Stick PCでSharpCapでとるとどうも通信が不安定になります。Stick PCはネットワークに繋がってないとリモートデスクトップが成り立たないので、画面を見ることができず、何が怒っているかも分からなくなります。結局全くつながらなくなってしまったので、何が起きているのか見るのに、少し前に用意したモニターアダプターを使ってみます。どうやら再起動されたみたいで、アダプターを準備している間にネットワークも復帰していました。画面を見ながら、同時にpingで安定性を見ます。

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どうもCPUの負荷によって、通信が遅くなったり、止まったりするようです。その上で過度の負荷がかかると完全に止まってPCが再起動されるようです。

ここからは推測ですが、電源容量が足りてないのではないかと。CPU負荷が大きいと電力が足りなくて、Wi-Fiまで電力が回りにくくなり通信速度が落ち、さらにひどいとPC自身が電力不足で止まってしまいPCが再起動されるのかと思います。現在はLess is moreのバッテリーを使っていて安定だと思っていたのですが、電力的にはよくても電圧的には決して高いわけではないので、電圧不足になった可能性があるかと思っています。むしろ普通のUSBバッテリーに昇圧アダプターを使った方が安定なのかもしれません。

SharpCapの極軸合わせはかなり計算負荷が高く、これが終わってしまえば今回はこれ以上負荷の大きいことはしなかったので、バッテリーはそのままとしました。今回の撮影はNINAとPHD2を使ったのですが、これくらいの負担なら全く問題なかったです。昇圧の試験は次回以降に試してみます。

あとSharpCapですが、Stick PCのWindowsが64bitでももしうまく動かなければ32bitにしろと警告が出ます。実際、極軸合わせは警告ではなく動かなかったので、これ以降は32bit版で試すことにしています。


撮影状況

今回の課題は恒星のサチリと風での揺れでした。最初の300秒の露光時間のものはゲイン120で2時間くらい撮影したのですが、どうも明るすぎて恒星中心がサチっているようなのと、途中から風が出てきたので長時間露光だと星像が大きくなるようなのです。

途中でカメラがきちんとNINAで認識されていないみたいで、撮影は進んでいるのにファイルが生成されないというトラブルがありました。この時点で、ゲインはそのままの120で、露光時間を180秒にしました。
露光時間を短くするのは星像肥大にも有利かと思ったからです。同時に温度順応でピントがズレたことも疑い合わせ直したのですが、ピントは問題なかったという判断でした。でもこのピント確認自体がどうも悪さをしたようです。

朝になって見たらそれでも180秒露光のものも中心部がまだ少しサチっていました。それよりも途中から雲が出てきたみたいで、撮影した180秒のものの半分以上は無駄になってしまっていました。結局露光時間が不足しそうなので、300秒露光の2時間分と180秒露光の2時間分の計4時間分を使うことにしました。

PixInsightでは露光時間が違ったりすると別処理でスタックするので、ダークフレームも2種類用意します。フラットフレームはゲインを120と一致させたので一種類で済みました。


TSA-120でのフラットフレーム撮影

少しフラットについて書いておきます。TSA-120ではこれまでフラット補正がうまくいったことがありませんでした。撮影したフラットフレームが全然まともでないのです。FS-60とFC-76で障子越しの自然光でうまくいっているのですが、我が家の障子は枠が狭くてTSA-120の口径をカバーする面積の障子面がありません。一方、スーパーの袋で薄明後の空でフラットフレームを撮影してうまくいっている方もいるとのことなので、今回はスーパーの袋を二重にして輪ゴムでTSA-120に取り付け、太陽光が入っている部屋の日陰部分の白い壁を映すことにしました。

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できたフラット画像は見た目はそれほど悪くありませんが、左の方に少し段差のようなものがあります。ビニール袋の取り付け方か、壁の光の当たり具合かと思って色々試しましたが、特に変化がないのでこれがTSA-120の特性かと思うことにしました。かなり炙り出しているので、それで目立っただけなのかもしれません。それよりも変化が大きかったのが、太陽に少しでも雲がかかった時で、光の光量が大きく変わることです。炙り出して見ているとすごい変化に見えるので、雲が完全に無い時を狙いました。でもこれはスタックするので、実際に光量が多少変化してもほとんど影響がないと思います。

フラット補正をした結果を見る限りは、特に問題なさそうなのでしばらくはこれでいくと思います。


画像処理

処理はいつも通りPIのWeightedBatchProcessing (WBP)で。出来上がりのライトフレームは、露光時間の違いにより300秒と180秒の2種類できるのですが、よく見ると300秒の方が細部が出ていてノイジー、180秒の方が細部がなまっているけど滑らかと、ちょっと予測と逆の結果となりました。後半のほうが風の影響が大きかったか、もしくはピント確認した時に合わせ直しが甘かったのが原因かと思います。

最初300秒のと180秒のをPIのImageIntegrationで合わせたもの(3枚以下だと処理してくれないので、それぞれコピーして計4枚をスタック)を処理したのですが、改めて4時間分合わせたものと300秒単体の2時間分を比べてみると、合わせたものの細部がどうしても鈍ってしまっています。泣く泣く2時間分を切り捨て、前半の300秒露光の2時間分だけで処理することにしました。
  • なかなか納得がいかず、何度もやり直して十日くらい過ぎてしまいました。いろいろ問題点はあります。露光時間が光害地にもかかわらず2時間と短いので、根本的にノイジー。
  • 明るい恒星の中心部がサチっているのに後から気付き、残ってしまっています。短時間露光を取り直してHDR合成しようかとも思いましたが、露光時間不足が決定的でそこまでやる価値はないと思い、今回は諦めました。
  • もう少し細部が出そうな気もしますが、ノイズを考えるとここら辺が限界かもしれません。

結果です。

masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4
  • 撮影日: 2020年11月12日21時1分-13日22時55分
  • 撮影場所: 富山市自宅
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35マルチフラットナー(x0.98)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: ZWO ASI294MC Pro (-15℃) 
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: N.I.N.A、Gain 120、露光時間: 300秒 x 21枚 = 1時間45分
  • 画像処理: bias 100枚、dark 100枚、flat(12.5ms) 100枚、flatdark 100枚を使いPixInsightでスタック、Photoshop CC, DeNoiseで仕上げ

まとめ

風の影響が大きく、星像が肥大したことがそもそもの問題でした。

口径が大きくなるとより明るく撮影できます。その一方、明るくて恒星がサチってしまう恐れがあります。中心をサチらせても淡いところを出すのか、サチるのは絶対に避けるべきなのか、HDRを前提に短時間露光も別撮りするのか、ここら辺はこれから検討すべき課題です。

星像肥大でピンぼけを疑って、その後のピントが合わせきれなくて、2時間分の画像を無駄にしてしまいました。そのため露光時間不足から、画像処理も少し諦めた感があります。M31アンドロメダ銀河は自宅撮影でも処理に余裕がありました。露光時間が4時間半と長かったこともありますが、やはり根本的に明るい銀河だったからだと思います。M31で気を良くして撮影したM33ですが、M31に比べたらやはりM33は淡いです。と言っても銀河の中では大型な部類なのは言うまでもありません。自宅撮影ではやはりここら辺が限界なのでしょうか?露光時間をもっと長くしてリベンジしたい気もまだあります。

あ、それでも前回、3年近く前のM33が縮緬ノイズで救いようがなかったので、自己ベストは更新です。

あと2つ画像処理が残ってます。太陽とかすぐに記事に書けるものと、どんどん先送りになっているネタの差が激しいです。残ってる画像処理の一つは夏の天の川。もうとっくに季節が過ぎ去ってしまいました。あせらずに頑張って、そのうちやります。


年末の土曜日、次の日もまだ仕事があったのですが、夜から晴れてきたので撮影開始です。ターゲットはバラ星雲。過去に何度か挑戦していますが、いまだに満足したのは撮れていなくて再チャレンジです。


天気は微妙

この日は天気予報では午後蔵から晴れる予定でした。でもずっと曇り空が続いていて、1時間天気予報も時間と共に曇りの時間が後ろに下がっていって、なかなか晴れません。夕方もダメ、夕食前にいったん晴れてご飯食べてから外に出るとまた一面曇り。のんびりして夜21時頃に出ると星は見えるけど薄曇り。22時過ぎにもう寝ようかと思って最後外に出ると、やっと晴れてました。すぐに準備を始めます。

機材

バラ星雲だと画角的に600mmとフルサイズでぴったりくらいなので、この日はいつものFS-60Qではなく、同じ600mmのFC-76を持ち出すことにしました。あの白濁レンズのFC-76です。

  • 鏡筒: タカハシ FC-76 (口径76mm, 焦点距離600mm、対物レンズが白濁) + FC/FSマルチフラットナー(x1.04)
  • 赤道儀: Celestron CGEMII
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • フィルター: サイトロン QBP(Quad Band Pass) filter
  • 日時: 2019年12月29日0時52分-44時17分
  • 場所: 富山市下大久保
  • 月齢: 22.1、ほぼ下弦の月
  • 撮影対象: バラ星雲 (The Rosette Nebula 、NGC 2237-9, 2246、Caldwell 49)
  • 露光時間: 300秒 x 32枚 = 2時間40分

いつも通りSharpCapとASI178MCで赤道儀の極軸を合わせて、その後はコンパクトなStickPC上のBack Yard EOSで撮影、その画像をAll Sky Plate Solverで位置特定して、赤道儀の向きとの誤差をCarte du Cielにフィードバックして位置合わせをします。

でもここでトラブル。この状態でプレビューをすると何故か画面が流れています。PHD2で見ていてもターゲット性自身がどんどんずれていく始末。極軸の精度がものすごく悪いのか、赤道儀のトラッキングレートが恒星時以外になっていないか、ケーブルとか変なテンションはかかっていないかなど、いろいろチェックしましたがラチがあきません。諦めて最初からやろうと赤道儀をホームポジションにしようとしたのですが、何故か少しだけ動いてすぐに止まってしまいます。これは先日交換したバッテリーが悪いのかと一瞬疑いましたが、それも大丈夫そう。さらにCarte du Cielで自動導入しようとしても同じ様に少しだけ動いてすぐに止まってしまって、全然目的の天体まで行きません。何かおかしいです。

この時点でやっと、CMOSカメラからのガイドケーブルと、赤道儀のハントコントローラーにPCからつないであるケーブルを引き抜くと、きちんとホームポジションまで動くことが判明しました。どうも機械系のトラブルとかいうよりは、ソフト系のトラブルのようです。そもそもASCOMドライバーにBack Yard EOS、All Sky Plate Solver、Carte du Ciel、PHD2と合計4つのソフトがアクセスしています。一度全部落として、Back Yard EOSは立ち上げてもASCOMに接続させず、All Sky Plate Solver、Carte du CielだけASCOMに接続して位置特定と赤道美の位置合わせ、その後All Sky Plate Solver、Carte du Cielを落としてからPHD2でASCOMにつないでガイドとしたら、無事に動き出しました。やはり全部をASCOMに繋いでしまうと赤道儀の制御の取り合いになってしまう様です。

あ、あと位置合わせで少しトラブルがありました。All Sky Plate Solver、Carte du Cielどうしても位置のズレが出てしまいます。画角の横幅の5分の1くらいでしょうか、今回バラ星雲の中心がどうしてもずれてしまいます。何度やっても同じようになります。こちらは仕方ないので、マニュアルで少し動かして最終位置調整をしました。以前はこんなことはなかった気がしますが、また時間のある時にテストし直してみます。

トラブルで撮影開始個を遅くなってしまいましたが、その後の撮影は順調そのもの。QBPのおかげもあり、自宅でもISO3200で5分まで露光させられます。後は放っておいて寝るだけです。

あさ8時ころに片付けたのですが、赤道儀用のパワータンクは中のバッテリーを交換したこともあり、全く問題なく朝でも稼働していました。その一方、デジカメのバッテリーが朝の5時半頃に切れてしまっていました。でも朝方少し雲が出たようで、実際に使えたのは4時半頃の画像まで。2時間半以上撮影できたので十分な時間です。


画像処理

まずはJPG撮って出し一枚画像です。苦労した魔女の横顔と違い、一枚だけでも十分に見えています。

ROSE_LIGHT_6D_300s_3200_+5cc_20191229-02h10m36s201ms

今回は期待できそうなので、最初からフラットもダークも撮影しました。フラットはiPadのColor Screenというアプリで白色最大輝度にして、ISO100、露光時間100mm秒で100枚ほど撮っています。周辺減光とセンサーのゴミはほとんど回避できました。当然空から来る緩やかな被りは少し残るので、PixInsightのDBEで大まかに取り除きます。

ダークも温度をできるだけ合わせる様にしました。昼までのダーク撮影で、いつもは冷蔵庫や冷凍庫に入れたりするのですが、あまり冷えなかったり冷えすぎたりするので、今回はクーラーボックスに冷凍した補正剤を入れてカメラとStick PCごと突っ込みました。機材が濡れない様に注意が必要ですが、温度はそこそこ安定していたのでこれはいい方法ではないかと思いました。保冷剤の位置を調整することで温度もある程度調整することができます。Stick PCごと入れる理由は、BackYardEOSを走らせることができて、センサーの温度をファイル名に書き込むことができて、後から温度管理が楽になるからです。温度がばらつくこともあるので、今回5分のダークファイルを100枚以上撮影し、その中で適した温度のものを37枚選びました。

画像処理も順調そのもの。QBPのせいもあり、青色が出にくいのですが、バラ星雲の中心は青色が綺麗です。少し青色を強めに強調していますが、おそらくこれまででは最も満足のいくバラ星雲になったかと思います。魔女の横顔で苦労したときのテクニックも随所に生きています。


綺麗に出た!

結果を見てください。自宅撮影でこれです。バラの細かい構造も結構出ています。私的にはかなり満足です。やはり光害地だとQBPの効果絶大です。

masterLight_integration_DBE1_PCC_AS_all2c

あえて不満を言うと、QBPのせいか恒星のオレンジ色が出にくいこと。もう少し恒星をうまく際出させることが次の課題でしょうか。

ちなみに、かなり昔に同じ6Dで自宅撮影で撮ったのがこれです。

light_BINNING_1_integration_DBE_PCC_AS1acut

2018年の3月なので1年半以上前です。違いはQBPだけのはずなのですが、本当に雲泥の差です。6Dもまだ使い始め、PixInsightも使い始めなので、もちろん慣れや画像処理の腕も違うと思いますが、こうやってみるとなんとか進化していますね。


まとめ

QBPって得意不得意があると思います。Hα領域は自然な色に近くなるので威力が発揮できるのかと思います。反面、青やオレンジは苦手な様で、自然な色に見せるためには画像処理でうまく補填してやる必要がありそうです。

魔女の横顔に引き続き、自宅で色々撮影ができる目処がついてきました。これくらい写るのなら、私的には今のところ満足です。もちろんうまく写るのは限定された天体だとは思いますが、できれば系外銀河まで自宅でうまく撮影できるようになればというのを目標にしたいと思います。


よく考えたら、天体関連の機器を揃えるのに必死で、ソフトウェアに全く予算を割いていないことに今更ながら気付きました。そうは言ってもフリーのソフトがすごく充実しているのも事実で、無理にお金をかける必要がないという意見も一理あります。それでも一部に有料ですごく有益なソフトもありそうなので、そこらへんを少しづつ揃えていこうと思っています。

そんなわけで今回はCanon EOSでの撮影の補助としてBackyardEOS(以下BYE)を使ってみます。バージョンはこの時点での最新の3.1.8です。でもまだ使い続けるかどうかはわからないので、まずは30日の試用版です。ユーザー登録が必要ですが、キーを手に入れれば30日間は無料でフル機能使えるようです。

接続は最初ちょっと戸惑ったのですが、EOS 60Dの場合、新しくもなく、そこまで古くもないので、一番下のドライバーでした。チェックを入れておけば次回からは選択する必要がなくなります。

まずは右の上の方のSettingボタンをおして、保存フォルダを指定し直すことと、保存されるファイル名の設定の見直しを行いました。ファイル名はデフォルトの

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<timestamp>

から少し変えてカメラ名を追加し

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<cameraname>_<timestamp>

としました。

次にやったことはピント合わせです。左上の5つ並んでいるボタンの真ん中を押します。ここでMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限を外してあることがすごく役に立ちました。ただそのままBYEで見てるだけだとたとえMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限が外れていても、PCの画面に映った空は暗いままで、明るい星を頑張って導入する必要があるのですが、この時点でカメラ側のライブビューのモニターに画面をオンにしてやってカメラのモニター上に画像を写してやると、PCの画面のライブビュー映像も露光時間の制限が外れて、限界まで明るくできます。星がたくさん入るので、適当なところに向ければ大抵星が見え、たとえ暗い星でもそれを使ってピントを合わせることができます。ちなみに映っている星はすばるの一部です。


IMG_0267


ピント合わせは画面の星像内をダブルクリックすると四角い枠が移動できるので、映っている星のところに枠を合わせれば、拡大された映像を右上の拡大図の中で「同時に」見ることができます。枠はもう一度ダブルクリックすると、そこの位置で固定できます。BYEのすごいところが拡大映像をもとにFWHM(Full Width Half Maximum: 半値全幅のこと)を計算してくれるので、数値を見ながら一番小さくなるように合わせ込むことができることです。上の写真では3.7(単位はpixel?)になっています。

ちなみにFWHMとは、そこで見える星の光の明るさの最大値の半分になるところの、全部の幅(この場合直径)がどれくらいになるかという意味で、鋭さを表すときなどによく使います。FWHMが大きければ鈍っていて(この場合直径が大きいのでピンボケ)、小さければ鋭い(直径が小さいのでピントが合っている)ということです。

下の写真は先の写真と同じ星でピント合わせをしていますが、ピントが少し外れている例です。FWHMはこの場合27.9とすぐに相当大きくなるので、非常に正確にピントを合わせることができます。

IMG_0269


撮影は左上の5つ並んでいるボタンの左から2番目を押します。撮影された画像はメモリーカードの中のみでなく、PC内にも直接書き込んでもくれるので、いちいち後から移動しなくていいのが便利です。撮影モードの説明は他のページでも解説が結構されているので、今回は他に譲りたいと思いますが、(ここから2016/12/14に段落最後まで追記)一つだけ。もしシャッターを切るときのミラーの動きの振動で撮影像がブレるようなら、画面右の真ん中らへんの「Mirror lock」に数字を入れてみてください。その秒数分だけミラーが上がってから撮影開始まで待ってくれるので、ブレの影響が少なくなります

写真は実際に撮影をしている最中で、5枚中3枚目を写しています。下にこれまで撮った写真のサムネイルも出ています。

IMG_0266


一つだけ、撮影を開始するのに最初うまくいかなく、ログの細かいところを読むとバルブモードにせよとあります。これまでの機種のようにシャッターの近くにある露光調整ダイヤルを回しても30秒までしかいかないので困っていたら、マニュアルモードからさらにモードダイアルを一つ進めると初めてバルブモードになるというところは、しばらく気がづかなかったです。まだ60Dを使い込んでいないのがバレバレですね。さらにBYE内での撮影設定の時の露光時間の選択によるのですが、逆にマニュアルモードにしないと撮影が開始しないこともあるので注意です。

ピント合わせが非常に有効で、Magic Lanternとの併用ですごく使いやすくなります。ファイル名での管理もすごく強力なので、手放せなくなる気がしています。


追記: 2016/10/21、次の日の牛岳遠征に備えている最中に、お試し版だとインターネットの接続が必須とのことで、最悪iPhoneのテザリング経由で接続はできるのですが、iPhoneのバッテリーの持ちなどのことも考え、製品版を購入しました。ASCOMでの接続に備えてPro版にしておきました。$50で、Paypal経由で支払いましたが、全く問題なくスムーズに購入ができ、ライセンス番号もすぐに手にでき、新たにインストールをし直すことなくライセンス番号を変えるだけで、試用版が製品版になりそのまま使うことができました。


 

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