ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:熊の湯

今年もサイトロンさんからのお誘いを受け、志賀高原においてセミナーを開くことができました。元々のテーマは電視観望なのですが、一般の方や天文初心者に向けて少し電視観望色を薄めて、一般的な星の話から入っていきます。さてさて、うまくいったのでしょうか?


今年も志賀高原に向けて出発

2023年7月16日、朝6時前から起きて志賀高原に向け出発です。セミナーの準備も前日23時頃には完了し、機材や1泊分の旅行の準備もほぼ前日にすませておいたので、朝はそこまでバタバタしません。それでも一旦車を走らせてから忘れ物に気づいて、一度自宅に戻ったりしたので、実質的には出発はほぼ午前7時。インター手前のコンビニで朝ごはんのおにぎりなど買い込み、富山インターへ。

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富山から志賀高原は距離にしても200kmを切っていて、思ったより近いです。北陸道から、上越JCTで上信越道に入り、中野インターで降りると後は下道を25kmほど。クネクネのすごい上り坂をずっと上がっていき、志賀高原エリアに入ります。途中から感じるのですが、気温が目に見えて下がっていきます。中野の市街地で33℃位だった温度が、高原エリアでは24℃くらいになり、10℃近く一気に下がりました。車の窓を開けると風が気持ちよく入ってきます。

志賀高原エリアの南部のそこそこ奥の方に今回の目的地の熊の湯があります。運転は比較的のんびりでしたが、それでも午前10時頃には到着しました。早速会場を見に行くと、今回の天空フェスの宣伝用のライブ中継をしているところでした。

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セミナーの宣伝もしてくれていたので、私も少しだけ出演しました。天空フェスは前日の土曜と、今日の日曜の二日間の開催になります。宿泊は近くの熊の湯ホテルがべんりですが、キャンプでテント泊の方もたくさんいます。

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夜に星を見るのならば、テントの方がいいかもしれません。昨晩は天リフ編集長のトークがあり、残念ながら実演の時と、ライブ中継の時は晴れなかったようですが、その後、雲間から天の川も見えたそうです。

この日は午前は青空でしたが、時間によっては曇りがちにもなってきました。地元のスタッフの方によると、夕方までくらいに一度雨が降って、その後晴れるのではとのことです。そういえば去年もそんな感じで夜は晴れてくれました。今年も夜は晴れてくれるといいのですが。


セミナー開始まで

セミナーの開始時間までは、このブログを書いたり、セミナースライドの最終調整をしたり、昼食を取ったりして過ごしました。その間、妻はハイキングに出かけるというので、少し先の木戸池まで車で送って行きました。妻は去年の山歩きで張り切って歩きすぎてしまい、脱水症状っぽくなってしまいました。せっかくあえて頼んだのホテルの夕食にほとんど箸をつけられなかったので、今年はあまり無理をしないで、平な湿地帯を歩く程度にしておくと言っていました。(私は歩いてないのですが)志賀高原はお散歩コースもたくさんあり、気軽にハイキングのように楽しめるのがいいみたいです。メインの道路の脇の小道の様なところもあり、疲れたらバスもそこそこ走っているので、それに乗って帰るとかもできるようです。

私の方はというと、午後に少し時間があったので熊の湯と反対側の、北側の焼額山まで車で行ってみました。途中の山の駅くらいまでは湿地というイメージですが、北の方は普通の山のようなイメージでした。途中の一ノ瀬あたりはスキー場が開けているのも見え、たくさんのホテルが並んでいました。学生の頃、スキーで志賀高原にも来たことがあるのですが、この辺りに泊まっていたはずです。さらに焼額山まで足を伸ばすと、その当時高くて泊まることができなかった志賀プリンスホテルは未だ健在。ホテルだけでもが3つの建物があって、真ん中のホテルからは直結でゴンドラが出てるなど、リゾートっぷりは圧巻です。ただし夏の間はホテル全体が休みのようでした。

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ちょっとしたドライブなので、ほぼそのままトンボ帰りです。帰りに山の駅でハイキングに出かけていた妻をピックアップ。送っていった木戸池から、山の駅まで2時間ほど歩いたそうです。湿地帯がすごく綺麗だったとのことですが、メインの道路が近くて車やバイクの音がうるさかったのが残念だったようです。泊まりで朝早く起きて、車がまだあまり走っていない涼しいうちに歩けばいいのではと言っていました。

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山の駅ではゴンドラが動いていて、その先の山の中腹のホテルなどが遠くに見えます。志賀高原の規模の大きさが分かります。

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昔のケーブルカーが展示されています。

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ゴンドラが向こうの山まで続いています。


再び会場にて準備

熊の湯ホテルに戻ってきてチェックインをすまし、少し時間があったので仮眠をとります。15時45分くらいに会場に移動しました。セミナー開始は16時なので、それまでに会場のチェックと、プロジェクターの接続テスト、機材の持ち込みなど準備を済ませます。

すでにイベントしては始まっていて、望遠鏡製作などの体験コーナーなどお客さんも入っていました。

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望遠鏡製作コーナー。

今写真を見て気づきました。ここに写っている子ですが、なんと親子3人で私のセミナーにも参加してくれていました。しかも実演も最後までいてくれて、望遠鏡操作をものすごく楽しんでいる様でした。実演の時の様子は後ほど書いています。

他にもいくつかブースが出ていました。

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コーヒーショップ。
妻がおいしかったと言ってました。

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キラキラペン作りができるようです。

シュミットブースではセミナーで興味を持ってもらった商品をそのまま購入することもできます。セミナーで星座ビノの話をしたので、そのままStella Scanを購入して、暗くなってからの実演時に、私の手持ちの星座ビノと比較している方もいらっしゃいました。

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セミナー開始

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会場は満席で、熱気にあふれていました。

セミナーは予約の段階で満席だったそうです。当日キャンセルが出たようで、あせとあみのふぇんさんが飛び入りで参加できたようで、その様子をブログにまとめてくれています。

今回はセミナー参加料が実質400円と昨年よりかなり安くなっているので、もしかしたら子供も来るかもと思い、初心者もできるだけ楽しめるようにという思いがありました。セミナーはもともと電視観望がテーマだったのですが、タイトルにあえて「電視観望」の文字は入れませんでした。その代わりに普通に夜空を見上げることから話を始めました。さらに途中で、クイズを入れています。クイズといってもいつも観望会で出すようなものです。
  1. 星が動くのはなぜ?
  2. 太陽はどちらから昇ってどちらに沈む?
  3. では月はどちらから昇ってどちらに沈む?
とかです。一番聞きたいのは3つ目で、当然月も東から昇って西に沈むのですが、観望会とかで聞くと大人も含めてほとんど答えることができません。今回のセミナーでは小学5年生の男の子が参加していましたが、どうして月だとわからないか聞いてみたら、期待通りの答えで「習ってないから」とのこと。

セミナーの中でも話しましたが、せっかく宇宙に興味を持ったのなら、できれば自分で色々考えて欲しいのです。星が動くのは地球が回っているからで、太陽も自分が動いているわけでなく地球が回っているから動くわけで、東から昇ってきます。ここまでわかっていたら、月だろうと、ベガだろうと、アルタイルだろうと東から昇って、西に沈むことは考えたらあまりに当たり前のこととなるはずです。でもこの当たり前のことにたどり着く人は意外に少なく、今回もすぐにわかると手を上げてくれた人は4−5人で、わからないと手を上げてくれた方の方がはるかに多かったです。

目で星を見る話、星座ビノを使うと星座がよく見える話、天の川がどう見えるかという話など、途中いくつかクイズなどを織り交ぜて話しました。その後、星雲や星団、銀河を目で望遠鏡で見るととどう見えるか、電視観望だとどう見えるかなど、いつもの話に持っていきました。1時間半フルで話したので、質問時間がほとんどなくなってしまいましたが、その後質問がある人は個別に受け答えることにして、一旦は解散。その場でいくつかの質問にも答え、実演でもいろいろ聞いてくださいと伝え、私も片付けを終えて食事に向かいます。次は19時半から実演です。

食事はお弁当が出ていたのでそれを受け取り、そういえば妻がホテルの豪華な夕食を取っていることを思い出し、お裾分けをもらいにホテルの食堂へ。「弁当」+「妻が食べきれないおかず」で豪華な夕食となりました。


電視観望実演

19時過ぎには会場に戻り、建物のすぐ前で実演の準備をします。今回は機材がよく見えるよう、多少高さが欲しかったので、トラバースの小さいセットアップよりも、AZ-GTiにして、三脚の足も十分に伸ばしました。鏡筒はFMA135、カメラはUranus-Cでいつもの組み合わせですが、当日のセミナーで紹介したサイトロン開発中の0.72倍のレデューサを初めて使ってみることにしました。なので焦点距離は100mmほどになります。このセミナー結構すごいらしいので、またじっくり試してブログで取り上げたいと思います。

さて天気ですが、午前中の晴れ渡った空とは打って変わり、実演時にはどうも会場自身が雲の中に入ってしまったようで、霧のようは状態です。空も全面曇っているようで星が全く見えないので、せめて電視観望の操作だけでもと、SharpCapを立ち上げて説明することにしました。今回はAC電源バッテリーに24インチのモニターをHDMIでつないで反対側に向けて正面に置き、対面で操作がわかるようにしました。20人くらいは常時いたと思いますが、結構な人数だったのでこの対面スタイルで正解でした。モニターが大きいので少し荷物は増えますが、今後この方式にしようと思います。この対面式、操作を見るのにはかなり好評だったようです。どうせ星は見えなくて時間はあるので、質問も気軽にしてもらえますし、座学だけではわかりにくいところを、実操作で見ると随分とよくわかると言われました。

今回、子供が来た時のためにSCORPTECHの屈折望遠鏡を置いておきました。望遠鏡製作をして、セミナーにも参加してくれた小学5年生の子がいたのですが、両親に話を聞くと今日のセミナーもほんの興味で申し込んだとのことで、少し難しかったとのこと。流石に申し訳ないので、せめて望遠鏡でも触ってもらおうと思いました。ただ電視観望操作で忙しかったので、「どなたか詳しい人が教えてもらえれば」と聞いてみたら、大鹿村から来てくれていたKさんがボランティアで手を挙げてくださいました。「いつもこんなことをやっているから」とのことで、頼もしいお言葉です。

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Kさんのおかけでしょうか、この男の子望遠鏡を自分で操作することが随分と気に入ったみたいで、そのうち星が見えてくると「うわーっ」とか、この子の叫び声が聞こえてきます。実演時間の最後までずーっと望遠鏡を触っていました。

あと、Kさんにはお土産に地元のブルーベリーもいただきました。家に帰ってから家族でいただきましたが、とてもおいしかったです。今回は、本当にありがとうございました。

さて、電視観望ですが、途中から星が少しづつ見え始め、いくつかの天体を見せることがきました。今回はいつものようにワンスターアラインメントで導入したのですが、セミナーでも話した通りAZ-GTiでの水平を結構真面目に出したので、北から南までほぼ全ての導入で一発でほとんど真ん中まで導入出来ました。レデューサでいつもより画角が大きくなっていたことも影響していたかもしれません。

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全体に四隅が流れてますが、これはセミナーで見せたレデューサーを入れっぱなしで、バックフォーカスを全く合わせずに使ってしまったからです。バックフォーカスを合わせると、これまでの汎用レデューサーと比べてほとんど星像が乱れないと聞いているので、後できちんと検証したいと思います。

サイトロンのスタッフの方もプロジェクターと大型スクリーンを使い、電視観望で天体を映し出していて大迫力でした。

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星が見え始めてから星座ビノもいくつか出して、見比べなどしてもらいました。シュミットのブースで2倍のStellaScanを購入した方は、私がもっていた3倍のものと比較していて、見え方の違いをよく理解され、かなり楽しんでいる様でした。

私は大抵「星座の形をあまり覚えていない初心者は2倍がよくて、星座の形がある程度頭の中に入っている人は3倍がいい」と言っています。でも「2台買ってもそこまで大した値段にはならず、むしろ見比べができるとか、他の人と一緒に見ることができるなど、2台もっていることでより楽しむこともできるので、もし予算的に余裕があるなら2台持つといい」と言っています。

この方も2倍と3倍の比較の楽しさがわかったみたいなので、いずれ3倍も買うことになるのではないでしょうか。

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今年は残念ながらメインイベントのリフトが機材の不具合のため動かなかったので、盛り上がるかどうか心配していました。セミナーも、電視観望実演も含めて、かなりの人数に参加して頂き、質問も頻繁にあり、十分盛り上がって大成功だったのかと思います。

あと天文あるあるですが、実演が終わってから片付けの途中空を見上げると晴れ渡っていて、天の川もしっかりと見えていました。あと、1時間か、せめて30分でも早かったら...。


エピローグ

片付けが終わり、ホテルの部屋に戻り「うまくいったよ!」と言いながら少し妻と話したのですが、こっそり来て見ていたそうです。私が忙しそうにしたので声をかけなかったそうですが、場内会場のほうでコーヒーを飲みながら、中から外の様子を見ていたとのこと。21時頃までいたみたいで、途中から星も少し見えたと言っていたので、私は全く気づかなかったのですが、多分本当に来ていたのでしょう。

その後、名物のものすごく味のある温泉に入ったあと、昨年同様夜の反省会です。天リフ編集長とスタッフの一部の方と一緒に飲み会が始まりました。天文ネタの業界話や裏話で盛り上がる盛り上がる。結局午前2時頃まで飲んでいて、次の日の運転に影響あるからと、やっと解散となりました。あまりこういう機会はないので、とても楽しかったです。

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次の日は7時過ぎには目が覚めて、ホテルの朝食に。バイキング形式で朝からがっつり食べました。食べ物を取るときに、手袋を使わずにプラスチックの箸を一人一人使うのはいいアイデアだと思いました。食べ物をとったらすぐに箸を回収しています。箸なら多少たくさんあっても洗うことはそこまで大変でないと思います。実際に食べるときは割り箸なので、使い回しとかにならず衛生的です。

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朝からガッツリ食べました。

朝、ホテルを出発するときにサイトロンのブラックパンダさんにお会いすることができました。土曜には会場にいたとのことですが、日曜の朝に用事があって移動してしまったとのことでした。戻ってくるかもとは聞いていたのですが、ギリギリお会いして直接話せたのでよかったです。

帰り道、下道で白馬経由で糸魚川まで抜けてから富山に帰ろうと思い、中野ICでは高速に乗らずに通り越しました。目的は、昔行ったリゾートホテルの物凄くおいしかったレストランのランチです。でも途中電話で聞いたらランチ営業がなくなってしまったということがわかり、しかも結構渋滞で二人とも意気消沈。結局須佐長野東ICで高速に戻り、一瞬で中野ICを通過し、14時頃には自宅に到着しました。とても充実していた 3連休でしたが、セミナーが連続してあったりして疲れてしまっていたようです。少し寝ようと思ったら、夜までぐっすり寝てしまいました。


一般の人(妻)の意見

最後に、妻の感想です。星にはほとんど興味がない一般の人の意見なので、相変わらずズケズケいいますが、結構的を得ていることもあります。
  • 全般的には去年よりかなりよくなっていた。
  • スクリーンが大きいので、遠くから見ても何をやっているかわかっていい。
  • キャンプ場があるので、キャンプグッズ販売などがあってもいいのでは?ハンモックはよかった。
  • コーヒーが美味しかった。
  • 外のトーチはよかった。
  • 去年来たときは、夏休みだったが金曜で平日だったので人が少なかった。今回は土曜で休日なので人がたくさん来ていてよかった。
  • 場内会場は人がパラパラと居たくらいだったので、少し寂しかった。
  • アンケートを取るといい。答えたらシールとか配る。飛騨コスモスで配っているカード(写真)とかでもいい。
とのことでした。

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スウェーデントーチ作りの様子。


多分ここからは昨年行った小海のイメージかと思うのですが、
  • 地元のアクセサリとかのショップをもっと呼ぶといいかも。
  • 地元のハンドメイドの作家とかも呼ぶといいかも。
  • 地元の名産をお土産でおいてもいい。
  • 星に因んだワークショップが(今回もあったが)もっとあるといい。
  • フリーマーケットみたいにして参加者を増やしたらどうか?
  • 占星占い師とかいると面白いかも。
  • 食べ物、キッチンカー
夜以外だと
  • ハイキングツアーや朝の野鳥観察とかがあるなら参加してみたい。
  • 太陽を見るのはどうか?(太陽が見えることを知らない人が多いのでは)

などなど言ってましたが、今のように夕方からだと時間的にも厳しいかもしれません。

そういえば、リフトのことはほとんど何も言ってなかったのですが、どうもリフトがなくてもあまり気にならなかったようです。多分ですが、どんな状況でも一般のお客さん、特に都心の方から来ていて天の川とか余り見たことがない場合は、満天の星が見えれば満足してくれるはずです。暗い空が志賀高原の武器だと思います。今回曇ってましたが、少しだけでも星が見えたのでまだよかったのかと思います。天気頼みですが、全く星が見えないとするとだいぶん印象が違うと思います。

そういったことも踏まえて、天気が悪くてもそこそこ満足できるように、来年以降もうまく続いてくれればいいなあと思います。


昨年に引き続き、今年も話します!

来週末の7月15、16日に開催される

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において

を開きます。

セミナーの日時は7月16日の日曜日16時30分

です。みなさん、よろしければ奮ってご参加ください。

今年のタイトルは



としました。これまで星雲とか星団、銀河などを見たことがない人に来ていただきたいです。星に興味があるけど、どんなものが見えるかわからないという人が周りにいましたら、ぜひともお誘い合わせの上、ご参加ください。

星空を見上げた場合、星座ビノを使った場合、双眼鏡や望遠鏡で見ると何が見えるか、さらに電視観望と呼ばれる最新の技術でを使うと見えてくる深宇宙など、宇宙の魅力をどうやって味わえば良いのか、順を追って話していこうと思っています。

セミナー終了後、晴れていたら19時30分から望遠鏡や星座ビノ、電視観望の実演をする予定です。

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昨年の電視観望の実践の様子。


会場は長野県の志賀高原の熊の湯キャンプ場(〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏7148)になります。

  • 天空フェスはリフトで標高1,960mの山頂へ行き、『熊テラス』から眼下に広がる夜景と綺麗な夜空を堪能できる星イベントです。夏休みの行事として、ご家族連れで参加されても楽しいかと思います。 残念ながら機材不調でリフト運行が中止とのことです。「リフト運行に変わり、車で片道10分のとってとき星空スポットへの送迎(概ね18:00〜21:00)」とのことで、入場料も500円引きに。セミナーに申し込まれた方も現地で500円の返金があるそうです。
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山頂の「熊テラス」です。
晴れていれば、夜にはここから満天の星がみえるはずです。


申し込みはこちらの専用ページからになります。

 

  • 有料講座になりますが、セミナー参加料2900円の中にイベント入場料2500円が含まれていますので、実質400円が受講料になります。(当日会場で別途入場料を支払う必要はありません。)
  • セミナーと実践の間に1時間30分の休憩時間を設けます。その間に、お食事やナイトリフト等、他アトラクションをお楽しみください。 
  • 実践は屋外で行うため、セミナー参加者以外の方と同じ環境になります。予めご了承ください。また、曇天、雨天時は屋外での実践ができない場合ありますので、こちらも予めご了承ください。

昨年のセミナーは平日の金曜で都合がつかなかった方も多いと思いますが、今年のセミナーは月曜まで連休の間の日曜日の開催になります。定員20名ですので、興味がある方はお早めにお申し込みください。


なお、前日土曜の7月15日は16時30分から

『実践星空撮影講座〜撮れ高と
満足度をアップさせる7つのアドバイス』
講師:山口千宗(天文リフレクションズ)

も開催されます。こちらも合わせて、皆様のご参加を是非お待ちしています。


志賀高原天空フェス

2022年7月29日と30日に開催された長野県の志賀高原で開催された天空フェス。志賀高原といってもとても広く、今回はその中の熊の湯での開催です。実際には「天空フェスWeek」となっていて、7月25日から31日まで開催されているイベントで、リフトで山頂まで行き、そこから星を眺めるというのがメインです。元々は会場周辺に泊まっている宿泊客のためのイベントだったらしく、そのWeekの中の今回は週末の29、30日が特別イベントという位置付けになるようです。さらに、8月8日から14日までが横手山での天空フェスWeekで12、13日がKYOEIさんがスポンサーの特別イベント、9月23日、24日が山の駅でのイベントになります。

今回、私が電視観望のセミナーとして呼ばれたのも、サイトロンさんがスポンサーになっているからなのですが、そもそも天文関連の会社がスポンサーになるのも今年が初めてとのことで、そのため天文マニアにはこれまであまり知られていないイベントだったようです。

今年は今後まだ、横手山と山の駅でのイベントもありますので、参加される場合の楽しみ方の例も含めて記事にしておきたいと思います。


昼の志賀高原

せっかく志賀高原に来たので、昼間も少し楽しみます。

私が志賀高原に来たのは、まだバブル期だった学生の頃の冬のバスツアーのスキー以来。東京から夜行で長い時間をかけて移動したのを覚えています。夏に来たことはこれまでなく、今回は富山から上越JCTで上信越道に入り、信州中野インターチェンジで降り下道を30分ほど走ります。知らなかったのですが、志賀高原まで来ると草津温泉も下道であと数十kmで、関東からは草津から抜けてくる車も多いとのことです。志賀高原一帯の地名はスキーの時のものをまだよく覚えていて、一ノ瀬、焼額山、丸池、横手山など、今回の熊の湯もふくめて馴染みがあります。確かスキーの時にはローカルなバスが運行されていて、そのバスでスキー場間を移動していました。

今回夏に志賀高原に来て、ずいぶん印象が変わりました。インターチェンジを降りた中野市から国道292号線で志賀高原まで続くのですが、山に入るとどんどん標高が高くなり、志賀高原エリアにはいると沢山の池があることがわかります。丸池だとか蓮池なんかはスキー場の名前としても覚えていました。どうもこの辺り一帯が湿原エリアになっていて、池と池を結ぶ歩道が整備されているようです。さらに、サマーリフトと呼ばれる夏に運行しているリフトがあり、今回も熊の湯の丸山リフトというのを使い、200mくらい上にある高原エリアまで運んでもらいました。

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この日宿泊する予定の熊の湯ホテルです。
天空フェス会場は左の道を奥に歩いていったところです。

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ホテルから歩いて数分のところにあるサマーリフトの一つ、丸山リフトです。


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リフトを降りたところ。たくさんの登山客がいます。

リフトで上に登ると沢山の登山者がいて、多くの人が大沼池を目指します。この池はかなり奥にあり、徒歩でしかいけないようです。私はセミナーの準備も残っていたので、ここから近くの渋池まで少しだけ歩いて引き返し、帰りはリフトを使わずに徒歩で下って少しだけ山の散策を楽しみました。一緒に行った妻は4時間くらい歩いてきたようで、帰ってきたら疲れ果てていました。聞いたら、志賀山と裏志賀山に登ってきたとのこと。途中の道が狭くて細くて岩だらけだったらしく、簡単な四十八池の方に行けばよかったと言っていました。

他にも池巡りの湿原コースなどが志賀高原全域にあるようなので、昼は山歩き散歩を楽しみ、夜は星空フェスを楽しむとかで、夜だけでなく総合的に楽しむのがいいのかと思いました。


会場の下見とセミナー準備

さて、妻が登山に行っている間、私はセミナーの準備と会場の下見です。会場は熊の湯キャンプ場で、受付やセミナー会場は3階建ての建物の中です。

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まだサイトロンのスタッフも来ていなくて、キッチンカーがちょうど到着して準備を始めているところでした。キャンプ場のスタッフの方にセミナーとの下見ですと声をかけると、星を見る場所やキャンプをする場所などを案内してくれました。「よかったら山頂の星見会場も見ますか?」というので、お言葉に甘えてリフトに乗って山頂へ。

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途中景色がきれいで、風が気持ちよく最高でした。この時の天気はというと、雲間に青空が一部見えるくらいです。これくらいでもいいので、せめて夜に星が見えればとこの時は考えていました。

山頂に着くとなんとハンモックが!ここで寝ながら星が見えたら最高でしょう。この時は気づかなかったのですが、後から聞いたら下界も見えるそうで、夜になるとその光が綺麗とのことです。

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ハンモックで寝っ転がっていたら、スズメバチがまとわりついてきて退散。そのまま帰りのリフトに乗ります。ところがこれが怖い怖い...。景色が見える昼間だから一層だと思いますが、そのまま落ちていきそうな感覚でした。よく考えたら下にくだるリフトってほとんど乗ったことがなかったかもしれません。

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熊の湯では昨年からキャンプ場をオープしたとのことで、スキー場下部の芝生の広いスペースに自由にテントを張ることができます。申し込みは下の写真のようなチケット販売機でできるようです。

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この時にもすでに一張りテントが設営されていました。後で分かったのですがこのテントの方も電視観望セミナー参加者で、前日から泊まられていたそうです。

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一旦ここでホテルに戻り、チェックイン。ロビーで待っている間に、たまたま同席した旅行会社の人と話しました。この日は都心からの中学校の2年生が林間学校に来ていて、ここ一帯のいくつかのホテルに分散して泊まっているとのことです。この方、最初私のことを引率の先生と間違えて話しかけてきたようでした。でも旅行会社の人も今回の天空フェスのこと知らなかったみたいで、ちょっと意外でした。その後、本当の先生も現れ「引率大変ですね」とか話していたのですが、中学生は天空フェスには参加できないんだろうなと思うと、せっかくの機会のはずなのにちょっと残念でした。有料イベントなので仕方ないこともありますが、ホテルのエレベーターにさえ「中学校の生徒は使用しないでください」と張り紙がしてあるくらいなので、かなり行動が制限されているのかと思います。

チェックインの後、再び会場に行くと、間もなくサイトロンのスタッフさんも到着して、設営が始まります。2階はサイトロンのブースになり、天文機材や書籍、アクセサリーなどが並びます。

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セミナー会場も準備ができました。この日紹介するつもりなのが、架台がAZ-GTi、鏡筒とカメラがNEWTONY+Ceres-CとFMA135+Uranus-Cです。プロジェクターがすごかったです。真上にレンズが付いていて、スクリーンから30cmの距離で投影可能な最新型だそうです。

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スタッフと一緒にスライドを一通りチェックして、代替準備完了。一旦ホテルの部屋に戻り、30分くらい仮眠をとり、17時過ぎに会場に向かいました。


電視観望セミナー

2階のサイトロンブースの前では、お客さんが何人かいて、今日のセミナーを受講してくれるという方もいました。

話してみると、電視観望を始めたはいいがなかなかうまく行っていないとのこと。なんとかしたくて今回参加を決めたようです。まだ時間があったので少し聞いてみると、まず鏡筒がMAK127であること。MAK127は焦点距離が1500mmと長くて視野がかなり狭くなるので、初心者が導入するにはかなり厳しいと思います。カメラはNeptune-C IIを使っていて、もう少し視野を広げようとしてどこかの電視観望を説明している動画でASI482MCがいいといっていたので買って試したが、全くうまくいかないとのことでした。あのカメラはピクセルサイズが大きく、一見期待できそうなのですが、オフセットに難ありのようなので、私も結局使ったことがありません。とにかく初期導入に困っているとのことで、プレートソルブを試したいそうなのですが、こちらもうまくいっていないとのこと。聞くとこの日は自分の機材を持ってきているそうなので、せっかくだから一緒にやってみましょうと言って、PCとカメラとAZ-GTiを接続してチェックしてみました。私よりも年上の方だと思いますが、PCの設定もきちんとしてあり、SharpCapやPlayer Oneカメラのドライバー、 SynScan ProやASTAPもインストールされていたりで、かなり使いこなしているようでした。ASCOM関連もPlatformまではインストトールされていたのですが、SynScan Apps用のASCOMドライバーが入っていなかったのが原因でした。改めてインストールし、SharpCapから無事にAZ-GTiに接続もでき、その場では星が見えなかったのでプレートソルブのテスト機能を走らせただけですが、おそらくこれでうまくいくはずです。セミナーの時にも説明はしたのですが、この場でも焦点距離が短い方が楽だということを力説しておきました。

こんなことをしていると、セミナー開始15分くらい前になってしまい、急いで3階にいくと、もう何人かの方は席に着いていました。スタッフさんに聞いてみると、事前申込者が4、人当日申し込みが4人で、合計8人とのこと。平日の夕方からのセミナーで都心からも遠く離れているので、参加もなかなか難しいと思いますが、それでも8人も集まってくれてとてもありがたかったです。

それぞれどこから来たか聞いてみると、やはり関東勢がほとんどです。天体の経験が長い方もいましたが、電視観望の経験はと聞いてみると半分少々が試したことがあるけど、基本的に初心者に近く、いずれもあまりうまくいっていないとのこと。残りの半分切るくらいの人が、興味はあるので始めてみたいという方で、中には天体撮影もやっているベテランに近い方もいるようです。

せっかくの機会なので、わからないところはできるだけ解決してあげたくて「どんどん質問して下さい」と言っていたのですが、セミナーの途中に何度も、セミナーが終わってからもずっと質問が続くような状態でした。今回は有料のセミナーということで、いずれも何か解決したいことがあるというような意気込みを持って参加するような方が多く、皆さん相当熱心にでした。

最後の方の質問で、電視観望でまとまった書籍みたいなのはないかと聞かれたのですが「詳しいものはまだ存在していない」と答えざるを得ないことが非常に残念でした。セミナーの中でもサイトロンで作った「電視観望実践ガイドブック」があるとは伝えたのですが、それも読んだがやはりまだ細かいことがわからないという質問のようです。とうより、最初は何がわからないかもわからず、どこまでできるかもわからないということのようで、考えてみればそれはもっとかもしれません。例えば「SharpCapの有料版があることはわかっていて、どんなことができるようになるかもある程度わかる。でもどの機能が実際に電視観望に有効かを知ろうと思うととても苦労する」というようなことです。確かにこういった細かいことまでまとまった書籍というのは販売されていません。

私のところもブログの記事でしかなく情報が散乱しているので、何か一冊、細かいところまで手が届く書籍のようなものがあるといいのかもしれません。天文ガイドの記事もありますがやはり字数制限もあり、応用編などはどうしても紹介にとどまってしまいます。いつかどこかで、思う存分書けるような一冊を出版できたらと、最近考え始めています。

いずれにせよ、セミナーに参加していただいた方には、今回のスライドと動画を後でお渡しすること、わからないことはいつでも連絡をいただければ応えることをお伝えし、セミナーはここで終了となりました。

30分ほど休憩の後は、外に出ての実際の星空での実演です。休憩といっても用意して頂いていた夕食がわりのホットドックを急いで頬張り、すぐにそのまま機材の準備です。今回時間がなくてキッチンカー巡りができなかったのが心残りです。でもホットドックははみ出るほどの大きなソーセージとチーズがかかっていてとても美味しかったです。


電視観望実演

実演会場は、建物があるところから坂を10m位上ったところで、昼間乗ったリフトとは別のリフトの乗り場の開けたところになります。下の写真に写っている小屋に機材を入れておき、雨の時は退避させ、天気が良ければ出すというような形になります。電源もあるので、今回は大きなプロジェクターを出していました。

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20時半頃に建物の前に集合して、スタッフさんとともに上に上がる予定でしたが、20時20分にいくとすでに何人かは集まっていたので、私と一緒に実演会場まで先に移動してもらいました。ただしこの時点ではかろうじて薄い雲のところから星が見えている程度で「晴れてくれー」と願っているような状況でした。上に登って機材を展開していると、少なくとも南の低いところは星がはっきり見えてきて、さそり座がよく見えてきました。サイトロンスタッフのWさんはすでにセットアップをしていて、AZ-GTiのオフィシャルな赤道儀版とも言える、まだ発売前のSTAR ADVENTURE GTiを試用していました。鏡筒とカメラはWさんも私もFMA135とUranus-Cで、特に相談したわけでもなくかぶってしまいました。それだけ使いやすいということでしょう。

私もセットアップをはじめます。セミナーで話した通り、
  1. 三脚を調整しAZ-GTiの水平と、同じく鏡筒の水平も(水準器を置いてきてしまったので、目分量ですがある程度)とります。
  2. PCとカメラを繋ぎSharpCapで画面に何か見えることを確認します。
  3. PCとAZ-GTiをWi-Fiで接続し、 PC上のSynScan Proから操作し、初期アラインメントをします。
ところが今回珍しく深刻なトラブル発生です。初期アラインメントが全然うまくいかないのです。最初見えていたさそり座のアンタレスで全然画面に入らず失敗。一旦あきらめて、雲が晴れてデネブが見えてきたのでデネブで再度初期導入。これも画面に入らず失敗。AZ-GTiの電源を落とし、改めて水平をきちんと確認し、北も確認し、それでも画面に入らず失敗。惜しいところで入らないとかではなく、10度くらいターゲットからズレるようなので、磁北と真北を間違えたのではと思い、北極星の位置を見ながら確認しても失敗。相変わらず10度くらいのオーダーで全くずれてしまいます。合計4−5回電源を入れるところから繰り返したことになるでしょうか。お客さんがいる観望会でこれだけトラブルのは珍しいというか、ほぼ初めてのことです。一方、プロジェクターに映しているWさんの電視観望セットは絶好調で、次々と天体を映し出していきます。

流石に何かおかしいと思いますが、こういう時こそあせってはダメです。電源がおかしいかとかなど色々考え、あることに気付きました。答えは上の1から3の中にあるのですが、これだけで気付く方いますでしょうか?
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ヒントですが、実際には1から3のうちの3が問題でした。3の何が問題かわかりますでしょうか?
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これ以降答えになります。考えている方は答えをまとめてみてください。
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答えは、PCからAZ-GTiをコントロールしてしまったことがトラブルの原因でした。もう少し詳しく書くと、今回富山から志賀高原に移動して来たわけで、当然緯度経度はかなり違います。最初にスマホのSynScan Proで操作してやれば、スマホのGPS情報が自動的にAZ-GTiに転送されるのですが、GPSを持っていないPCで接続すると過去の緯度経度情報を使ってしまいます。そのため自動導入も全然違った方向を向いてしまったというわけです。

これに気づいてから、スマホで接続して初期アラインメントをすると、これまでの苦労がなんだったのかというくらい素直にデネブが画面内に入りました。このトラブルだけで30分近くロスしてしまったので、実演としては失格です。まあ、途中手動で北アメリカ星雲を入れてライブスタックを見せていて少し場を繋いだことと、初期アラインメントができなければその後何をやっても無駄だということを身をもって示したということで、なんとかお許しいただければと思います。

ここからはこれまでの失態を挽回すべく、どんどん天体を入れていきました。M27を自動導入し実際の電視観望で綺麗に見えることを確認し、M57ではFMA135の短い焦点距離でも十分分解することを示します。時間があまりなくほとんど写真を撮れてなかったのですが、下は数少ない写真の一つで、M8干潟星雲と、M20三裂星雲です。

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この日の空のコンディションの良さと明るい天体ということもあり、6.4秒露光の一発であからさまに画面に鮮やかな星雲が出てくるので、セミナーの受講生も含めて、その場で見ていた方は「おぉー!」というような雰囲気でした。

この頃になると私もやっと余裕も出てきて、改めて空を見上げると全面快晴。プロジェクターの明るさがすぐ近くにあるにもかかわらず、天の川もかなりくっきりと見えていました。実は私の方が見えるようになると、今度はプロジェクターを利用しているWさんの方がトラブってて「天の川で迷子になったー」と叫んでいました。

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上の写真は終了間際の21時50分くらいでしょうか、この頃にはWさんのトラブルも解消し、プロジェクターにはM51子持ち銀河が、私のPCには網状星雲がそれぞれはっきりと見えていました。

この時点でアナウンスが流れて、22時にイベントは終了とのこと。我々もここで片付けとなりました。今回トラブルはありましたが、やはりそれでも快晴の空が全てで、セミナーだけでは説明しきれない説得力を持って電視観望の楽しさを示すことができたと思います。

結局、ちょっと楽しみにしていた夜のリフトはセミナーと実演で時間がなくて乗ることはできませんでした。その代わりに妻が夜にリフトに乗ってくれていて、後から感想をたっぷりと聞かされました。ちょうど空が晴れ渡った21時くらいにに乗ったみたいで「星が目の前に迫ってくるようで、とにかく大迫力。降りたら誰もいなくて星空を独り占めで、天の川はもう普通にはっきりと見えて、下の方にあるさそり座も全部見えた。あと、すごく大きな流れ星(火球だよと教えました)を見たよ。音が聞こえたくらい大きかった。下の明かりもすっごく綺麗。これだけでもう大満足。」とのことでした。


イベントについて

片付けも終わり、ホテル内の温泉に行くと、ちょうどサイトロンの若手のスタッフ2人と一緒になりました。昭和レトロ満載の、すごい雰囲気の温泉です。お湯に浸かりながら、多分1時間くらいは話していたでしょうか。趣味としての星のこと、アマチュア天文の将来、業界の裏話など多岐に渡り、とても楽しかったです。もちろん今回のイベントについても話しました。

その延長ではないですが、今回のイベントについて改善点も含めて、少し書いておきたいと思います。

今回参加して、過去のことも調べて少しわかったのですが、まず認識しておかなければならないのは、このイベントは元々志賀高原での夏の滞在を促すためのものとして立ち上がり、基本的には会場周辺のホテル宿泊者を想定していると思われることです。そして、天文関連の会社にスポンサーを頼んだのは今年が最初のようで、天文マニアにこのイベントの存在が届き始めたはおそらく今回が初めてだったのではということです。

その上で少し議論ですが、まずイベント参加料が2500円ということです。最初少し高いのではと思ったのですが、天文マニアの視点を外して、一般の人が参加することを想像してみます。夏休みのイベントとして高原に旅行に行き、そこで(天気さえ良ければ)極上の星が天の川と共に確実に見えるというなら、この値段もありかなという気がしました。これは妻の反応が物語っていて、リフトがやはりメインであるということです。イベント参加料にはリフト代も含まれています。しかもリフトはその時間の間は乗り放題だそうです(すみません、多分間違いないと思いますが、一応参加時に確認してください)。妻はこれまでもたまには私に付いてきて、濃い天の川も何度も見ています。それでもリフトに乗って山の上に見にいくという体験は初めて。相当迫力があり楽しかったようで、(私は夜にリフトに乗れなかったので)いまだに何度も話してくれます。都会の、普段天の川など全く見えないところから来て、リフトに乗っている時も、山頂についてからも、迫力満"天"の星を楽しめる保証をしてくれるなら、決して悪くないと思ったというわけです。

その一方、普段から光害の少ないところに遠征とかしている天文マニアにとっては、天の川はよく見ているはずなので、参加料の割にそこまで魅力とならないかもしれません。とくに今回セミナーで参加して頂いた方は、ほとんどの時間をセミナーと実演に使ってしまったので、私と同じでリフトに乗る時間はなかったのが現実だと思います。百歩譲って、セミナーに参加された方は目的があり納得済みでイベントに参加しているのでまだいいかもしれませんが、一般の方で参加してリフトに乗らなかった、もしくは乗れなかった場合です。今回も、実際に満天の星が見えたのは21頃からです。21時だと家族連れで子供が小さいとすでに厳しい時間かもしれません。妻がリフトに乗った時には誰もいなかったと言っていたので、この日実際にリフトに乗って星を見た方は、参加者全体の中でも数えるほどかと思います。リフトが運行しない場合はイベント参加料が安くなるとアナウンスされていましたが、天気が悪いとリフトが運行されている場合は実際にリフトに乗る参加者は少なくなってしまうのかと思います。もちろん天気のことなので、文句を言ってもしょうがないのは参加者も納得済みかとは思いますが、天気が悪くても楽しめるようにすることをもう少し考えてもいいように思えました。

参加する前、事前に昨年の星空フェスの様子などの宣伝の動画を見ました。もっと飲食やアクセサリー販売のブースが出ていたり、ヨガイベントやバーのようなものがあるのかと思っていましたが、あれは熊の湯ではなく他の場所で行われたものだと、現地についてやっと理解できました。動画では何がどこで行われているか何も解説がなかったので、普通に考えると自分が行く場所でも行われていると期待してしまいます。妻もビデオを見て期待していたところもあったので、少し残念がっていました。それでもリフトに乗って星が見えたので「それだけで価値がある」と言っていましたが、そうでない家族連れなどは少し物足りなかったかもしれません。これは今後大いに改善して頂きたいと思った点でした。


まとめと、帰り道

個人的には電視観望の実演のところでGPSのトラブルがあったものの、セミナーも盛り上がり、実演も最後は奇跡的に快晴と、十分楽しむことができました。次の日の朝、ホテルの朝食会場でセミナー受講生の一人と会い感想を聞いてみたら「とても楽しかった、目から鱗のことがたくさんあった」というようなことを言っていただいたので、今回の講師を引き受けた甲斐があったのかなと思えました。

帰りに、志賀高原歴史記念館に寄っていきました。元々志賀高原最初のホテル「志賀高原ホテル」のエントランス部分を残して記念館にしているところです。入場は無料で、志賀高原の丸池スキー場をベースに活躍した1956年(昭和31)のコルチナ・ダンペッツオ(イタリア)冬季五輪のスキー男子回転銀メダリストの猪谷(いがや)千春の紹介コーナーは中々見応えがありました。

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山から降りて高速のインターに向かいますが、高原から下界に降りたときの暑いこと暑いこと!気温が10度以上違ったりするので当たり前なのですが、改めて高原がいかに涼しかったか思い知らされました。

久しぶりに妻もついてきた星イベントですが、ずっとコロナでどこにも行けていなかったので、とてもいい機会でした。講師として呼んで頂いたサイトロンさんにはとても感謝しています。今後の志賀高原のイベントはさらに天文マニアが増えてくる可能性があります。これまで通りのホテル宿泊の方に喜んでもらうのはもちろん、マニアも含んだ皆さんが楽しめるイベントに発展していってもらえたらと思います。

妻もとてもいい夏休みのイベントになったと喜んでたので、今回は大成功だったかと思います。

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