ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:月

2022年に撮影した月と太陽のまとめです。2021年のまとめはここにあります。 



  • 2022年1月8日
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  • 皆既月食全景
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  • 皆既月食とその前後
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  • 天王星食
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太陽

  • 2022年1月8日
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  • 2022年1月10日
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  • 2022年3月12日
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_13_07_09_lapl6_ap2568_ABE_PI

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  • 2022年4月25日
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  • 2022年4月28日
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  • 2022年5月22日
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粒状班
  • 2022年6月19日
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まとめ

2022年の月は皆既月食以外では1ショットしか撮影していませんでした。それもSCA260でのRGB合成のテストを兼ねてという、ついでの撮影です。その代わり、皆既月食は相当気合が入っています。というか、最初は天気が悪い予報であまり気合が入ってなかったのですが、突如富山でも晴れてフル機材で撮影して、画像処理をしてたらが夢中になってたというのが真相です。そのおかげか、皆既月食はかなり満足しました。地球影を直に写すという課題は残りましたが、次の日本で見る事ができる皆既月食は2025年9月8日らしいので、のんびりとやります。

太陽撮影は2022年の前半はかなりアクティブでしたが、後半は心が折れてしまっていますね。でも実際には何もやってなかったかというとそうでもなくて、記録を見るだけでもここに載せていないもので

2022年2月11日、3月27日、4月30日、5月3日、5月6日、5月7日、5月14日、5月28日、7月2日、9月4日、9月11日、10月1日

に撮影しているのですが、これらはブログ記事にもしていないのがほとんどです。前半は主にプロミネンスや黒点周りのHαのタイムラプス化に、後半は粒状斑出しに夢中でした。粒状斑は上の最後に示した画像がMAXで、その後も含めてことごとくうまくいってなかったので、全てお蔵入りになっています。その粒状斑出しも、夏が終わって大気が揺れ始めた頃になるとあきらめてしまったのですが、また2023年も挑戦したいと思っています。粒状班に関してはまだ全然満足していません。とにかくキーはシンチレーションなんですよね。シーイングが悪いのか、機材がまだ問題があるのかわかりませんが、まだ課題がありそうです。

Hαのほうですが、冬に晴れの日少ないことと、さらにそれが休日に合わないとダメなので、こちらもストップしてしまっています。粒状斑の挑戦と一緒に撮影してもいいのですが、興味が出だすとそればっかりになってしまうので、少し反省です。特に黒点が常時出ているような年だったので、少しもったいなかったです。

2022年は夜の撮影でSCA260に力を注いだのですが、また月も太陽も時期が来たら再開したいです。というわけで、よろしければ夜の方もご覧ください。



一連の皆既月食記事の8本目。いい加減にそろそろ終わりにするつもりです。前回の記事はこちらから。



Hough変換

今回はHough変換を使ったサークル抽出で、月食中の月の位置合わせに挑戦です。FS-60CBで撮影した4時間分の広角の画像から月が画面中心に来るように位置変換をします。その後、タイムラプス映像にしてみます。

Hough変換は画像の中から特徴的な形を抽出するアルゴリズムで、その中に円を抽出する関数があります。Hough変換は色々な環境で使えますが、今回はOpenCVで用意されている関数をPythonで使うことにしました。検索するとサンプルプログラムなどたくさん出てくるのと、今回は対処療法で組んでいったのの積み重ねなので、あまりに汚いコードで人様に見せれるようなものではないです。なので、どうパラメータを取ったかだけの説明にとどめることにします。

基本的にはあるフォルダにある、月が映っているたくさんのファイルを順次読み込み、カラー画像をグレースケールに変換して、HoughCircles関数を呼び出すだけです。Hough関数は以下のようにしました。

HoughCircles(gray, cv2.HOUGH_GRADIENT, dp=1, minDist=1500, param1=30, param2=2, minRadius=350, maxRadius=400)

パラメータがいくつかありますが、少しだけコツを書いておきます。
  • HOUGH_GRADIENTとHOUGH_GRADIENT_ALTは両方試しましたが、ALT付きの方が誤検出が多かったのでALT無しの方にしました。
  • dpは1以下も試しましたが、位置精度に違いはあまりなかったです。大きな値にすると精度が悪くなりました。
  • 円を複数検出するわけではないので、minDistは1000とかの相当大きな値にしておきます。
  • param1は最終的に50程度にしました。大きすぎたり小さすぎたり値では検出できなかったりしますが、位置精度にはあまり影響ないようです。
  • param2は位置精度に影響があるようです。大きすぎると精度が悪くなりますが、5以下くらいだと精度はこれ以上変わらないようです。
  • minRadiusとmaxRadiusは、月の大きさは一定なのでその半径を挟むような値を取ると効率が良いでしょう。

とりあえず結果を示します。


結局出た精度はこれくらいです。もうちょっとビシーっと止まってくれればいいのですが、まだちょこちょこズレています。

実は精度を出そうとして色々試してみてます。Hough変換のパラメータをいじるのはもちろんなのですが、大きなものは
  • グレー化後に、あらためて画像の2値化
  • グレー化後に、あらためて輝度やコントラストをいじる
  • Adobe Premiereのブレ補正
  • 一旦Hough変換でラフに位置合わせして、少し大きめに切り抜いて、再度Hough変換
くらいでしょうか。でも結局どの方法も精度を劇的に上げることはできませんでした。Hough変換で目で見てもおかしいズレがあるので、そこだけでもずれが直ったらと思ったのですが、やはりダメなものはダメで、どうも苦手な画像があるようです。

今回はFS-60CBで広角で撮ったものから抜き出しているので、解像度が良くないこと。さらに動画の中から最初の1枚だけを抜き出しているので、大気揺らぎなどで多少のブレがあります。もしかしたらスタックをすると平均化されるので、細かいブレは少なくなるのかもしれません。スタックしてから、Hough変換ではなく、特徴点を抜き出して合わせるとかいう処理をした方が精度が出るかも知れませんが、ちょっと力尽きたので、今回はここまでにします。

ついでに同じ位置合わせの手法で、いくつか画像を抜き出して天王星の潜入画像をつくってみました。位置合わせ後、比較明合成しただけです。これくらいの精度ではそこそこ合って見えるんですけど、やはり長時間のタイムラプスだときついかもです。

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まとめ

今回の皆既月食に関する記事はこれで一旦終わりにします。

撮影後、1ヶ月以上にわたって楽しむことができてかなり満足しました。その一方、そろそろ月も飽きてきました。ただ、まだ未処理ファイルが大量にあるので、気が向いたらもう少し追加で書くかもしれません。

先の記事でも書きましたが、今回は月食に関してはかなり満足して撮影できました。大きな課題は地球本影を位置補正することなく撮影することですが、次回月食ではこれ一本に絞ることにするかもしれません。

ここ数日、BlurXTerminatorがすごいことになっています。次は少しこちらの方に時間を費やそうかと思います。












まだまだ自分の中では皆既月食マイブーム状態です。今回は地球の影が止まるような位置をどう計算するかの一連の記事の、少し脱線するような記事になります。


「ほんのり光芒」さんとのコラボ? 

前回の記事でコメントをいただいた「ほんのり光芒」のみゃおさんがブログ記事の方で、地球本影の固定に関してかなり細かい検討をされています。


上記ページからリンクを辿れますが、かなり以前から考えられていたようで、私のようなにわか月食撮影とは歴史が全然違います。天リフさんのピックアップにも取り上げられていて、ほしぞloveログとのちょっとしたコラボのような様相を呈しています。




視野ズレの計算プログラム

前回までで、地球の自転による観測者の位置変化で視野に大きなずれができて、地球の影の形がひしゃげることを、多少定量的に見積もってみました。


大まかな見積もりと、実際にどれくらいずれるかは、少なくともオーダーレベルでは一致しているようなので、今回はもう少し精度良く計算できないかを考えてみます。といっても、自分だけで考えるのはそろそろ限界で、Webで少し検索してみました。すると老猫こてつさんという方が各種軌道計算などされて、その中で求めていた月の視野位置のずれそのものをpythonで計算してくれていることがわかりました。


プログラムのソースを公開してくれているので、そのまま計算することができ、とても助かります。ただし、それら計算式をどう求めているのかの記述はないので、そのプログラムの出典を調べるためにブログの過去記事を読んでいくと、どうやら中野主一さんの昔のBASICのコードをpythonに置き換えてくれているようです。


参考書籍

中野主一さんといえば、最近では小説「星になりたかった君と」で「長野秀一」という名前で出てきた重要な役割を担う老人のモデルとなった方。おそらく昔の天文少年にとっては憧れのアマチュア天文家で、多くの天文雑誌で連載をもち、アマチュアながら元国立天文台長の古在由秀先生から計算を依頼されるなど、軌道計算の大家です。私はその当時マイコン少年でしたが、大人になって天文を始めてから、昔使っていたマイコンで実用的な天体計算をしていたことを知って、とても感動したことを覚えています。実は中野主一さん、星を初めて少しした2018年に一度お会いして、お話しさせていただいたことがあります。私はかなり緊張していたのですが、気さくにお話ししていただきました。講演も聞かせてもらったのですが、当時どう計算を進めていたか、プロから依頼された当時の様子などのお話で、ユーモアたっぷりの講演で今でも心に残っています。

そんなわけで早速、サイトに載っていた参考文献を注文しました。長沢先生の「天体の位置計算」は以前から持っていたもので、まだ普通に販売されているようですが、他の3冊は流石に古本でかろうじて見つかるくらいでした。
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その中で一番古い「マイコン宇宙講座」は昭和55年の初出のもので、月の計算そのものの章があり、式の解説もあったので理解しやすかったです。

「マイコンが解く天体の謎」は昭和57年出版で、使われている言語はなんとF-BASICですよ。内容はプラネタリウムのようなものを実現することが中心ですが、実は私、中1の時にFM-NEW7を中古で買って、しゃぶり尽くした口です。その数年前に出た本のようなので、恐らくFM-7が出た時で、実際にはFM-8で組まれた時代のプログラムですね。

一番新しい「天体の軌道計算」は1992年なので、前の2さつからはかなり経っていて、プログラムも複雑になり、さらに精度を求めているような内容になっています。

とりあえずは、月の視野ズレの計算方法が載っている「マイコン宇宙講座」をもとに、老猫こてつさんのpythonコードを使わせていただいて計算を進めようと思います。

ただしこれはまだ、「月」の視野ズレを追いかけるプログラムで、一番求めたい月食中の「地球の本影」を追うものではありません。でもこれらの計算の延長上に、それもそう遠くないところに地球本影を求めることができるのではと期待しています。


赤道儀の制御

あともう一つ、仮に地球本影の視野ズレも含んだ位置を計算できたとして、それをどう赤道儀に伝えるかですが、彗星を追うメカトーフ法というのが応用できるかもしれません。ただし、地球の本影を追うというようなものは見つからなかったので、実際にどういう方法で赤道儀に伝えるのか、どういうデータ形式なのか、地球本影に応用できるかなど、もう少し調べる必要があります。

ガイドソフトのPHD2にもメカトーフに相当するような機能があるらしいのですが、どうも1次の傾きでガイド信号に補正信号を加えていくようなものらしいです。視野ズレのような複雑な動きはできないかもしれませんが、1次補正だけでも近似的にそこそこ地球の影の形はうまく出るのではと思います。もしくは撮影途中で何度か係数を変えるかとかでしょうか。


今後

視野ズレの計算方法や赤道儀の制御など、まだ直接ではないですが答えにつながりそうな幾つかの見通しは出てきました。次回の日本での地球本影が見える月食は2023年10月23日の部分月食だそうです。1年近くあるので、じっくり準備したいと思います。


 
 
 
 
 
 
 
 

前回の記事で、赤道儀を太陽時に合わせ、月食を連続して撮影すると、月をスクリーンにして月食部分の形が地球の形を表すのでは?ということを書きました。



しかしながら結果は、影の形がひしゃげてしまい、位置合わせなしでは地球の形は再現できませんでした。なぜだったのでしょうか?今回はその点をもう少し詳しく議論してみたいと思います。


地球の影固定の座標系

まずは国立天文台のこの図から。
topics02-2-l

まずこの座標ですが、地球の影が動かないような座標系を基準にしています。しかも上が真北です。

これが何を意味するかというと、まず太陽光源に対して地球の位置が動かないような太陽時に合わせた座標ということです。なおかつ、地球の影が真円近くになっているので、(これから書く)月食中の(地球の自転による)観測位置の変化による視野の差を無視したものになっているものと考えらえます。


月の公転軌道による移動量の見積もり

次に基準となる地球の影に対して月が動いていく理由は、月の公転運動が原因です。なんのことはない、月食そのものですね。一月で360度回るとすると、30日で割って1日あたり12度動きます。部分日食開始から部分日食終わりまで約4時間として、6分の1日なので、12度を6で割り、約2度動きます。月の視直径がやく30分(0.5度)なので、月の約4個分となります。上の図で確認すると、部分日食開始から部分日食終わりまで約4.5個分くらいでしょうか?少し誤差がありますが、まあそこそこ合っています。

さて、公転運動なので上の図において西から東へ横に動くのはよくわかります。ではなぜ南から北へ、上向の動きがあるのでしょうか?これは地球の地軸の傾きからきています。地軸に対して垂直な面と、月の公転軌道面に差があるために、地球の上にいる観測者から見ると月が上下に動いているように見えます。月食の時期は冬に近く、北極は一日中真っ暗で、南極は一日中明るいです。日本は北半球にあるので、月食開始の夕方にから夜中にかけて日本にいる観測者は自転により南側に沈み込んでいくような動きをします。月の公転軌道面を地球の公転軌道面に水平だと仮定すると(実際には +/-5度程度の範囲で周期的に動くのですが)、相対的に月は上に昇っていきます。月食4時間で横軸に約2度動くので、地軸の傾きが23.4度とすると、2度 x sin(23.4度)  = 0.8度 = 月の直径の1.6倍となります。上の図で部分食の始まりと部分色の終わりまでの移動距離を見ると、ちょうど説明できるくらいの量ですね。


なぜ太陽時だとズレるのか?

次の画像は、上の国立天文台の図の月の移動位置合わせて、撮影した月を位置合わせして合成したものです。

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左上と右上の枠のズレかたが各位置合わせの様子を示しています。

一方、赤道儀を太陽時に合わせて連続撮影し、位置合わせなしに重ねた図がこちらになります。
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縦に長く、横に短くなってしまっています。この違いはどこから出てくるのでしょうか?


視野のズレ

答えは前回の記事にも書きましたが、地球の自転によって観測者の位置が移動し、視点の位置がズレることによる視野の違いがこのズレの原因になります。と言っても定量的に評価しない限りは、きちんとこのズレを説明できるかどうかよくわからないので、ここで近似的にですが見積もってみます。

そもそも前回の記事で、
「地球の半径が約6400km、北緯36度くらいにで観察しているので、4時間の間に2 x π x 6400km x cos(46/180*π) x 6hour/24hour = 5400km程度、地球の時点により観測点が移動します。月と地球の距離が約38万kmなので、ざっくり1.4%になりますが、そこまで大きな影響ではなさそうです。」
と書きましたが、これは全くの見積り違いです。前回記事を書いている途中で気づいたのですが、実際そのように考えてもいたので、反省の念を込めて残しておきました。

まずは定性的な話からやり直します。地球から見て月の位置に、月の大きさよりはるかに大きなスクリーンがあると仮定します。赤道儀を用いて、無限遠にある恒星が視野の中で固定されるような追尾を恒星時に合わせた望遠鏡でそのスクリーンを見ているとします(太陽時とのズレは最後の方で議論します)。スクリーンには地球の影が投影されますが、 光源である太陽と地球の間の距離は地球と月の間の距離より十分に長いため、平行光線で投射していると仮定します。そのためスクリーンに当たっている影の大きさは地球の大きさをそのまま表します。

望遠鏡では無限遠の恒星を追尾しているため、望遠鏡の向いている角度は常に同じです。その一方、地球から見たスクリーンは無限遠に比べて十分に近いために、観測地点の位置ズレはそのままスクリーン上での位置ズレになります。すなわち、スクリーン上に映った地球の影を望遠鏡で見ていると、夕方から夜中にかけて時間と共に地球の自転で自分の位置がズレていくために、夕方見ていた地球の影は視野の中で自分の位置のズレと同じ量だけズレていくというわけです。今回の月食では、部分月食初めの頃には撮影画像の左の方にあった地球の影が、部分月食の終わりに頃には自分が地球上で移動したのと同じ分だけ、影の大きさが右にズレていくというわけです。

月は単なるスクリーンです。月食開始時には左の方にいる地球の影の右側を映し、月食終了近くには右の方に移動した地球の影の左側を映します。少なくとも地球の半径くらいのオーダーで観測者である自分は移動しているので、視野の中の地球の影もそのくらいの大きさでズレてしまい、位置合わせなしに重ねると縦長の影に見えてしまったというわけです。


定量的な評価

では実際にどれくらいズレたかざっくり見積もってみましょう。 簡単のためにズレを横(東西)と縦(南北)に分けて考えます。

まずは横ズレ。月食の4時間の間に地球は約60度自転します。スクリーン上への投影は、地球からスクリーンへの方向を自転0度とした時に、部分月食開始から部分月食終了までに19度から79度まで自転します。その時にスクリーン上に投影される移動距離は、赤道上で見ているなら4900km、北極で見ているなら0です。観測点が北緯36度だとすると、移動距離は約4000kmで地球の半径の3分の2くらいになります。地球の影を固定するためにずらして重ねた画像の枠のズレ量の横成分を見てみると、ちょうど地球の影の半径の3分の2くらいになっているので、うまく説明できそうです。

縦ズレはもう少し複雑で、地軸の傾き23.4度を考慮してやる必要があります。自転による上記の横ズレが起きる間に、地軸が傾いている場合地球の公転軌道面と並行な面に対して自転でどれだけ落ち込むかを計算してやればいいはずです。北緯36度にいることも考慮すると、約1600kmとなります。横ズレの半分以下くらいですね。これもずらして重ねた画像の枠のズレ量の横成分を見てみると、ちょうど横ズレの半分以下くらいなのでうまく説明できそうです。

さらに、横ズレは最初夕方近くなので、観測者はスクリーンに対して垂直に動くためゆっくり動き徐々に速くなっていく。縦ズレは最初激しく落ち込み、月が天頂付近に来ると落ち込みが止まることから、落ち込みスピードが遅くなります。枠のズレを見ていると、横ズレのスピードは徐々に速くなり、縦ズレのスピードは徐々に遅くなっていることから、これらのことも説明できそうです。

というわけで、今回の撮影結果と影固定での座標系とのズレは視野のズレというので定量的にも説明できそうなことがわかりました。


太陽時追尾の意味

ところで、今回は赤道儀の追尾設定を恒星時ではなくあえて頑張って太陽時に設定したのですが、はたして意味はあったのでしょうか? 

そもそも、赤道儀の太陽時とは、太陽を観測する際に視野の中にいる太陽が移動していかないようなついビスピーにするということです。太陽は正午に南中するので、閏秒を無視すれば、1日に赤道儀がぴったり1回転するというスピードです。一方、恒星時は1年で一回転する星空の分を補正して追尾するようなスピードです。いつものざっくり計算ですが、1年約360日で360度補正するとすると、1日で太陽時から1度ズレていく計算です。今回の月食の4時間では約15分角ズレます。月の視直径が30分角とすると、月の半径くらいはズレていく計算になり、今回の2つの比較画像でさらにこの補正を入れなくてはならなくなっていたでしょう。

少なくとも光源である太陽のを追尾していたので、ズレを視野角だけに落とし込むことができたという意味では、太陽時追尾にしていたということの意味はあったという結論でいいのかと思います。 


その他誤差

他にもまだ無視できない変化が残っているのか、ここまでの説明でばばっちり動かない影を再現できるのか?細かいところでは例えば、太陽光は実際には平行光でないので影の大きさは地球の大きさより小さくなること、スクリーンである月までの距離が観測者から変わることなど、細かいズレがあるはずです。

これらの誤差は無視できるのかできないのか、それらを含めてこの視野の補正を赤道儀にどう伝えるかを考えて実装し、その後の月食で本当に影が動かなくなるのか検証することになるのかと思います。長々期的な計画ですね。うーん、やっぱり現実的には難しいかな...?


まとめ

最初Twitterの議論で視野による誤差があると聞いて、あまり理解できていなかったのですが、自分で改めて考えることでだいぶん理解できたのかと思います。

やっていることは特に難しいことではなく、それこそ頑張れば中学生くらいでも理解できるようなことなのですが、できる限り文献や資料は見ないで、シンプルに太陽と地球と月の位置関係と、地軸と月の公転軌道だけから、自分頭の中で考えることで色々理解できてくるのはとても楽しいです。しかも実際に撮影したものと正しいと思われる月の見た目の位置関係の比較から、そのズレが計算値とかなり一致し、そのズレ方もうまく説明できたというのは過去の偉人たちの足跡を辿るようで、なんとも言えないいい気分です。

うーん、これだから天文趣味はやめられません。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

皆既月食の一連の結果です。前回の天王星食の記事からの続きです。


皆既月食の記事も佳境となってきました。メインの結果は今回で最後です。今回は、FS-60CBで赤道儀の追尾レートを太陽時で撮影した、4時間分の大量の画像です。


地球の形を位置合わせなしで

今回は一連の皆既月食の記事の中でも、目玉に相当るする回です。赤道儀の追尾レートを太陽時にして、月食の光源である太陽の移動速度に合わせることにより、地球による影を固定するように追尾します。影を映すスクリーンは公転運動で動いていく月です。月食の間の約4時間の間、1分に1枚撮影することで、うまくすると撮れた画像の位置合わせを一切することなく、影の形がそのまま地球の形になると期待しての撮影です。

実はこの位置合わせせずに地球の形を出す方法、昨年の限りなく皆既に近い月食の時から考えていて、太陽時に合わせればいいのではとの考えに至りました。でもシミュレーションしてみると、撮影中に月が上の方に移動していきます。上に移動していく理由は先の記事で書いていますが、一言で言うと地球の地軸の傾きのためで、地球の自転軸に垂直な面とと月の公転軌道面に差があるからです。赤道儀は赤経のみが追尾するので、赤緯を動かさない限り上下移動には対応しきれないのです。

Stellariumでのシミュレーションの結果から、画面の横方向にで2度角程度、縦方向でも2度角程度移動するようです。月の視直径が30分角程度なので、月が最低4個分、できれば6個分くらい入るような画角になります。左右だけでなく、上下にも十分な画角で撮影する必要があるため、今回は焦点距離の短い鏡筒FS-60CBを選びました。


機材

今回の機材は皆既月食で4つ出した機材のうちの一つで、これまで紹介してきた3つに続き最後になります。
  • FS-60CB + マルチフラットナー + ASI294MC + Advanced VX
です。SharpCapで撮影します。他の機材同様に、皆既月食時に合わせた長い露光時間と、満月時に合わせた短い露光時間の2種類をSharpCapのシーケンサーを使い30秒ごとに切り替えて撮影します。一つはグキの明るい部分用で、5msでゲイン120、もう一つは月食部分用で500msでゲイン240です。明るさの差は露光時間で100倍、ゲインで120 =12dB=4倍で、合わせて400倍になります。一つ一つは5秒程度の動画で撮影し、.serファイルに保存しました。

実際の撮影ですが、最初の頃は雲が少しあって極軸調整がなかなかとれなかったので、撮影開始が遅くなってしまい、結局部分月食が始まった直後の18時13分からになってしまいました。撮影は一旦始まってしまえば、あとはひたすら触らずに放っておくだけです。それでも最初と最後、あと皆既中のちょうど真ん中あたりで雲が多くなり、暗い画像になってしまったものが何枚かあります。


画像処理

撮影した画像を見ると480個の.serファイルと膨大な数になります。HDDの容量をみると400GB超えでした。

本当はそれぞれ動画で撮影した.serファイルをきちんとスタックしたいのですが、出来上がり画像の大きさがバラバラになったり、雲が多かった場合などはスタックがうまくいかない率が高かったので、1枚画像のみの方がマシだという結論に至りました。ただ、1枚ファイルを取り出す方法に苦労しました。例えばserplayerを使ってマニュアルで1枚づつ書き出すことはできますが、全部で480ファイルあるので、あまりに手間がかかります。いろいろ考えて、結局AutoStakkert!3で「Number of frames to stack」を1にして、スタックなしで書き出すことで、.serファイルから1枚のみを抜き出すことにしました。

もう一つの問題が、暗い画像を.serで保存すると、その暗さによって諧調が16bitと認識されず、15bitやそれ以下、たとえば雲がかかってほとんど真っ暗に近いファイルは10bitなどと認識されるようです。認識というのはSer Playerでもそうですし、AutoStakkert!3でもそう認識されるので、どうも保存時にどこかで判断され、そのような情報として記録されるようです。でも実際のファイルは16bitで保存されているので、(間違った情報をもとに)表示が強制的に10bitとかになってしまうと、全面(ある色で)飛んだように表示されてしまいます。上の過程で1枚だけ取り出そうとしても色が飛んでしまった画像が取り出されるので少し困ったのですが、AutoStakkert!3の解析後のAPを打つ時に「Scaling(Fit/Ser)」のところの「Auto」のチェックを外し、「Range」をあからさまに「16bit」と指示してやることで、この問題を回避できることがわかりました。

出来上がった240枚x2セットのファイルを、前々回の記事で書いたようなPixInsightのImageContainerとHistgramTransformationを使って、適当な明るさにします。その後、Blinkを使って連番のjpegファイルに落とし、ffmpegでタイムラプスに仕上げます。当然ですが、位置合わせなどは一切しません。


タイムラプス 

まずは、満月時に合わせた露光時間が短い暗い映像と、月食時に合わせた露光時間が長いものを繋いだ動画です。切り替わりの前後10コマを、露光時間の違う2枚から不透明度を段階的に変えて合成することで、なめらかな切り替わりにしています。
影の形がほとんど動かないことがわかるかと思います。

影の形は、下の露光時間の長いものの方がわかりやすいかもしれません。
影の形は地球の形を表しています。動く月をスクリーンに、地球の形が再現されるわけです。こうやってみると、太陽と地球と月の関係が一度に見え、月食の仕組みがよくわかります。これが今回やりたかったことです。


静止画

次に、タイムラプス映像の中から何枚かを抜き出して、そのまま比較合成します。皆既時のものだけは上から被せています。

mix4_cut

でもこれを見るとやっぱり今回の作戦は失敗なのです。影の形が円になっていません。もう少しわかりやすい画像です。

output_comp_cut
月が上に昇っていったことにより、影の形が縦長になってしまっています。月が上に上がっていくのは地球の地軸が月の公転面に対して傾いているためで、地球の影を固定するという考えからは、やはりなんとかしてキャンセルしたい動きと言えます。

赤道儀で「月に追尾」とすると月が上に移動していくのを追っていく赤道儀があるらしい(Vixenのスターブックテン系列や、SkyWatcherでも動かなかったという報告がTwitterのほうでありました)のですが、実際にやりたいことは追尾レートを太陽時に合わせて、しかも月の上下の移動をなくしたいので、おそらく既存の赤道儀ではかなり難しいと思われます。

さらに、地球が自転していることによる視点の位置の移動も影響するという指摘がTwitter上の議論でありました。地球の半径が約6400km、北緯36度くらいにで観察しているので、4時間の間に2 x π x 6400km x cos(46/180*π) x 6hour/24hour = 5400km程度、地球の時点により観測点が移動します。月と地球の距離が約38万kmなので、ざっくり1.4%になりますが、そこまで大きな影響ではなさそうです。

もう仕方ないので、本来の目的からは外れてしまいますが、月が上に移動しないように位置合わせした場合を、Photoshopで各画像の上下移動だけさせて、横一直線に並べます。

mix4_cut

あれあれあれ?でもやっぱり今度も影の形がひしゃげてしまいました。ここでちょっとヘルプで国立天文台のページを見てみました。


国立天文台のクレジットが入っていればWebやSNSなどでも画像を使ってもいいそうなので、ここにも貼っておきます。赤道儀を使っていてカメラの向きも赤経移動が水平になるように合わせ込んであるので、撮影画像の上下左右と、この図の北南西東は十分一致しているはずです。とすると、この図を見る限りやはり月は時間とと共に上に移動していくのが正しいようです。

topics02-2-l

ここからはとても悔しいのですが、この図に従って時間と位置を合わせることにより合成したものが次の画像になります。あ、でも単に画像で合わせただけなので、そこまでの精度はありません。
topics02-2-l_all_cut

さらにそこに国立天文台の図と同じ位置に地球の形をいれてみると...
topics02-2-l_all_circle_cut
こんどは実際に撮影した影の形がひしゃげるようなことは全くなく、ものの見事に地球の形を再現していることがわかります。

でもこの図を作るためにどれだけ位置をずらしたかを種明かしすると
topics02-2-l_all_frames
枠の欠け具合を見てもらえればわかりますが、上下だけでなく、左右にもかなりの量をずらす必要がありました。ただ、ずれの具合を見るとなんらかの規則性はあるようで、なぜこのようなずれが起きたのか、定性的に、定量的に考える必要がありそうです。

この図ができた後にいろいろ考えてみて、定性的には視野のずれで説明できることはほぼわかってきました。ただそれが定量的にどこまで合うのか、これだけで丸々一つの記事になりそうなので、後日改めて書きたいと思います。


昨年からの進歩

まだまだ課題は残るものの、昨年の地球の形の再現は月の明るい部分は全部サチっていたので、今回は2段露光で明るい部分の月の模様も出ていて、大きな進歩かと思います。あらためて並べておきます。

all_cut
2021年11月19日の皆既に限りなく近い月食。

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2022年11月8日の皆既月食。部分月食時の月の模様が出た!


まとめ

前回の記事をアップし終えた後、電気スタンドがメインのPCのモニター落下して割れてしまい使用不能に。データを吸い出してたり、さらに体調を崩したりと、色々トラブルがあり記事の更新が遅れてしまいました。やっとデータ復旧も終わり、なんとか記事を書ける状態になりました。

そろそろ自分でも気づいてきたのですが、今回の皆既月食は撮影の時から張り切りすぎで、データ量が溢れていて全然処理が追いついていません。もう少し機材を控えてもよかったですし、もう少しデータ処理の手を抜いてもいいのかもしれません。でも今回の位置合わせみたいに、謎を解いていくのが楽しくて楽しくて仕方ありません。できるだけ資料を「見ずに」、できるだけ人に「聞かずに」、自分の頭の中で考えて、自分で計算します。実測と計算が合ったときの快感は何ものにも変え難かったりします。

膨大なファイルの処理は大変ですが、皆既最中の赤銅色など、これまで天気などの影響でなかなか完璧に撮影できなかった貴重な画像を、今回は余裕を持って撮ることができました。雲が少しあったのでそれが惜しいくらいで、もう皆既月食に関してはかなり満足して撮影できました。残る課題もありますが、ここまでの経緯から位置合わせをせずに地球の影を完全い映し出すのは、おそらく相当敷居が高いです。何か制御方法を根本的に変える必要がありそうで、今後の大きな目標でしょうか。

月食関連の記事ですが、もう少し、多分あと2回くらいは続きます。


 
 
 
 
 
 
 
 

時間が少し前後してしまいますが、前回の記事の前日、8月12日(金)の話です。

8月12日は毎年恒例のペルセウス座流星群です。でも今年は満月と重なってしまい、淡い流星を見るのは難しいかもしれません。でも大きな流星も流れることもあるので、運がよければ見えるかもしれません。


飛騨コスモス天文台へ向けて出発

昨年はコロナでダメでしたが、ここ数年は飛騨コスモス天文台でペルセウス座流星群を見ることが多いです。


今年もその予定でしたが、天気予報がイマイチ。それでも一応行きますと連絡し、17時過ぎに出発。機材も気楽なもので、満月でさらに天気が悪そうなので撮影機材はあきらめ、一応電視観望と、子供用にいつものスコープテックの屈折を持っていくだけです。途中これもいつものすき家で牛丼特盛と豚汁を頼み、腹ごしらえして18時前くらいに店をでます。

途中青空も結構見えていたのですが、岐阜に入ることに徐々天気が悪くなり、雨も降ってきました。でも現地に到着する頃には、少し雲も少なくなってきて、一部青空も見えています。


ドーム操作の確認

19時15分頃に到着したでしょうか。現地にはすでにいつものスタッフも来ています。

到着してすぐに、スタッフのSDKさんと約束をしていた、ドームの赤道儀の操作方法を伝えます。SDKさんが以前試したのですが、マニュアル通りに進めても途中でうまくいかなかったとのこと。ステライメージでどのプロトコルで使えばいいか迷ったようです。実は以前、このドームを立ち上げた故Yさんがまだ元気だった時に同じことをたずねられて、一緒に試してミードのLX200モードであることを突き止めたことがあります。同様にしてみたらきちんと動かすことができました。SDKさんにも再び一から操作してもらい、今後もわからなくならないように、きちんとメモを残しておきました。


少ないお客さんとの盛り上がり

外に出ると、南の空と天頂が晴れています。ただしやはり天気は微妙なのでお客さんは少なく、関係者に近い方が二人、あとお客さんと呼べるのは3人の家族と、女性の方一人くらいでした。お客さんが来た頃には再び全面曇り。しばらくすると小雨も降り出してきました。せっかくなので、SDKさんがドームを案内して解説してくれます。

その間、私は雨よけがてらトイレのひさしがある所でスタッフのSKTさんと話し込んでいました。話題はドームの保険についていです。年額でそこそこの金額を払っていて、どうしたらいいかという相談でした。そもそも、何があった時に何に対してどれくらい支払われるかとかわからなかったので、それを確認するのがいいのではという話になりました。ここは特に手作りに近いドームです。保険といってもなかなか直してくれる業者も見つからないかもしれません。製作者に連絡を取るのが一番なのですが、遠方ということもあり頻繁にというわけにはいきません。こういった、今後の管理、保持についても考えていかなければいけません。

ドームからお客さんが出てきましたが、まだ全面曇っています。雨はかなりマシになって、ほとんど降ってませんでした。家族で来ていた方はその時点で帰ろうとしていましたが、少し雲の薄いところが見え、雲の向こうが明るくなってきてたので「もう少し待ってたら、何か見えるかもしれませんよ」とひきとめました。しばらく待つ間、いろいろ話してみました。高山から来ていてお子さんは小学5年生。その子がどうしても参加したいと言うので、親が連れてきたということのようです。流れ星は見たことがあるらしいですが、天の川はあまりはっきり見たことはないようです。

そうこう話しているうちに、月が雲越しに少し見えそうだったので、いつものスコープテックの5cmの屈折を出しました。雲がキワキワで、月よりもすぐ上の土星が見えそうだったので、まずは時間勝負で私が導入してすぐ未見てもらいます。土星を見たのは家族3人ともはじめてで、大喜びでした。特にお父さんが「ウホッ」とか言いながら興奮状態でした。男の子も最初雲越しでくらかったので「細長く見える」とだけ言っていたのですが、そのうち雲も晴れてきて、輪っかがきちんと見えると大興奮。お母さんにも、もう一人来ていた方にも見てもらいました。

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男の子とお父さんには望遠鏡の操作方法と、導入方法を伝えました。男の子はちょっと挑戦してあきらめてしまって、次にお父さんがチャレンジ。お父さんはすぐにコツを掴んで、その後その男の子もすぐに導入までできるようになりました。3年生くらいでもできる子がいるので、5年生だと大抵できるはずです。

次第に雲が晴れる時間も出てきて、月を導入してもらってみてもらったり、そのうち低空に木星が出てくるとそちらも導入してもらい、衛星までばっちり見えて大喜びでした。20mmのアイピースでたかだか40倍でしたが、木星の縞は赤いのが見えました。最初は男の子の方が見え、お父さんはどうしても見えなくてくやしがっていたのですが、さいごにはお父さんも、お母さんも縞まで見えて喜んでいました。今度は自分の望遠鏡を持ってくるそうです。

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あ、恒例のクイズも出しました。いつものとおりで、太陽や月がどちらから昇ってどちらに沈むかから始まり、やはりお父さんもお母さんも含めて月が答えられず。さらに星の動きについても聞きました。その流れで、動かない星のことを聞きました。すぐに男の子が「北極星」と答えてくれたのですが、じゃあなぜ北極星が動かないかという質問には相当頭を使っていたようです。親は流石にすぐに分かったようですが、その子は頭を北極星の方に向けて自分が回転してやっと納得したようです。

8月27日の観望会も来ると言うので、一つ宿題を出しました。惑星の「惑」は「まどう」とよ向けれども、なぜ惑うのかというものです。調べたら色々わかると思います。「チ。」とか読んでもいいですね。月末の観望会で答えを聞くのが楽しみです。

さてさて、今日のメインの流星群でしたが、きていた人の中で一人だけ一つ見えたと言っていて、他の方は全滅でした。晴れている部分が少なかったのと、月も明るかったので仕方なかったかもしれません。


次回は8月末

22時半過ぎになると徐々に曇ってきて、23時前にはすっかり曇って今日はここまでかなと言うことで解散しました。

23時ちょうどくらいには現地を出発し、0時位に自宅に到着。3時頃まで起きていたら、次の日寝坊してしまい、コメダ珈琲に行くことができませんでした。

時系列的には、この後に前回の記事の密会に続きます。 

 

次回の飛騨コスモス天文台の月例観望会は、8月27日です。

また晴れました。貴重な時間です。でも月齢17日と、満月直後くらいで月が明るすぎです。こんな時は、明るい時にできることをします。


シリウスBチャレンジ

まず、シリウスBのチャンレンジ。前回のシンチレーションはそこそこいい方でしたが、眼視ではダメで、カメラで撮影して炙り出したら見えました。



今回の機材も前回と同じくTSA120とXW3.5mm。どうも今回のほうがシンチレーションは少し悪いようです。まず前回余裕で見えたリゲルBは少し苦労しました。常時見えているというよりは、たまに見える感じです。ちょっとそらし目っぽいことをやるとかなりきちんと認識できるといった状態です。こんな状態なので、シリウスBは今回は当然見えません。一応見てみますがやはりカスリもせず、シリウス本体の方もチラチラと盛大に飛び跳ねてます。内外像もユラユラでした。


月の撮影

シリウスBチャレンジはここで諦めて、次はせっかく月が明るく出ているので、月の撮影です。まだSCA260で月を撮ったことはないので試してみます。口径26cmがどこまで分解能に効くか楽しみです。

これまで月は口径20cmのVISACで高分解能撮影に挑戦してきましたが、これを超えることができるのでしょうか?



今回の撮影では、軽量化したSCA260をCGEM IIに載せてありますが、やはりこの赤道儀には少し重荷で揺れが心配です。あとシンチレーションはそこまでよくないので、これがマイナスに効くかもしれません。

カメラはASI294MMのBIN1モード、8288x5644ピクセルの高解像度撮影です。明るいのでダークは気にすることはなく常温稼働ですが、外は気温0度くらいなので十分冷たくなってるでしょう。あと、フィルターホイールを外したくないのですが、ホイールにはL用のフィルターが入っていないので、とりあえずRフィルターを使いました。

撮影はSharpCapで1000フレームをserファイルに落としましたが、100GB近くになりました。これだと何回も撮影はできないので、(一応失敗したファイルも捨てない方針なので)ほぼ一発勝負です。

一旦設置した後の撮影とか調整は、ほとんど自宅の中からリモートでやっています。寒いですから...。
特にピント合わせはEAFが活躍してくれます。50カウントくらいの精度で最適焦点が分かります。


画像処理と結果

画像処理はAutoStakkert!3で上位50%(500枚)をスタック、PixInsightのMultiscaleLinearTransformationでwavelet変換をして細部を出しました。

細部出しについてですが、Registaxは大きすぎる画像を扱う事ができません。気楽なImPPGは細部のノイズリダクションができません。PIのMLTはRegistaxにかなり近い操作性でもう少し高機能ですが、ノイズ処理は効きが少し鈍いみたいなのでIterationの回数を増やしています。今回はLayerを4つにして、Layer1が+10、Layer2が+4でノイズリダクションがThreshold10のAmountが1、Iteration5、Layer3が+1です。これでImPPGで出すより、(同程度のノイズで)細部がもう少し出せたと思います。

結果です。このブログでは高解像度画像もアップロードできるようにしていますので、是非とも拡大してから細部を見てみて下さい。

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  • 月齢17日
  • 撮影日: 2022年2月18日23時58分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SCA260
  • フィルター: Baader Red
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • 撮影: SharpCap、露光時間2.5ミリ秒x500/1000枚、ゲイン120 
  • 画像処理: AutoStakkert!3、PixInsight、Photoshop CC
モザイク合成という意味でない1枚撮りでは一応十分高解像度なのですが、念のため過去画像と比べてみます。

左が今回のSCA260、右が2021年7月19日にVISACで撮ったものです。太陽の当たり方が左右逆なので、できるだけ当たり方が同じで比較しやすい場所を選びました。

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これはどう贔屓目に見ても過去のVISACの方が分解能が出ています。なぜだか考えてみました。

  1. まず画像を比較している最中に気づいたのですが、同じエリアをピックアップしてもVISACの画像の方が大きい事です。これは焦点距離がSCA260:1300mm、VISAC:1800mmと1.4倍近く違うので当たり前なのですが、このことを忘れてました。要するに、SCA260は焦点距離が足りなくて、カメラの分解能の制限の方が先に効いてしまい、口径が本来持っている分解能にたどり着けていないと言うわけです。これを回避するには、バローレンズなどを入れて拡大して撮影して、モザイク合成をすることになります。
  2. もう一つの理由ですが、やはりシンチレーションかと思います。撮影した動画を拡大して見返してみると、画面内でゆらゆら揺れています。ただ、一部全体が揺れている時もあるので、こちらは赤道儀の揺れのせいかもしれませんが、月は明るくワンショットが短時間露光なので、その効果はたとえあったとしてもスタックの時点でほぼキャンセルされているかと思います。

もう一つ面白かったところですが、右のVISACの画像にはっきりと写っていた直線の壁は今回の左のSCA260の画像ではほとんどわかりません。白い線がうっすら言えているだけです。
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これは解像度が悪いということではなく、日の当たり方が左右反対というところです。これだけ変わってしまうんですね。


まとめ

SCA260とフォーサーズサイズのASI290MM ProのBIN1の高解像度モードで満月後の月を撮影してみました。ちょうど収まりも良く、分解能はそこそこはでましたが、過去のVISACの分解能には届きませんでした。焦点距離が短くなったことと、シンチレーションがあまり良くなかった事が原因で、口径分の効果を引き出すには至っていません。

次は2倍のバローレンズを入れて撮影してみることにします。


2022年の初記事ですね。皆様、あけましておめでとうございます。

年末からずっと天気が悪くてほとんど何もできなかったのですが、1月8、9、10日の連休中は北陸としては意外なほど天気が良かったです。ただしシーイングや風など色々問題もあって、結果としてはどれもイマイチでした。記録がわりに簡単に書いておきます。

土曜の太陽

そもそも今週は水曜、木曜と2日連続で、夕方からSCA260を出し、極軸をとり、カメラ回転角とピントを合わせ、撮影準備完了とともに曇って片付けるという空振り続きだったので、かなり不満が溜まっていました。連休初日の土曜日は朝から快晴。午前中はCostcoで買い物に付き合い午後から久しぶりに太陽撮影です。黒点も派手に出ているようです。ただしシーイングが相当悪かったので、結果だけ示します。

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AR2924群ですが、2つの大きな黒点と小さなたくさんの黒点がリングを作っています。問題は今のPSTだとHαの中心波長がきちんと見える範囲が画面の3−4割と一部のみで、今回のように複数の黒点が広い範囲に広がると、模様が均一に見えないことです。しかも右の黒点がピンボケのようになってしまいました。画面内でピントがずれるのはあまりないはずなのでちょっと不思議ですが、シーイングが悪かったのであまり議論しても意味がないのかもしれません。

プロミネンスもたくさん出ていましたが、一番大きなものを一つだけ処理しました。こちらもシーイングがよくないので、あまり気合が入っていません。
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土曜の月

そのまま星が見え出した夕方になだれ込み、SCA260に載せ替えて極軸を取り直しますが、徐々に雲が出始めました。まだ月がでているので、試しにSCA260とASI294MM Pro(常温)で、BIN1(ピクセルサイズ2.3μm)で高解像を狙い、RGBフィルターでカラー化してみました。撮影は星雲撮影のセットアップなのでStickPCを使っています。USBでの取り込み速度が速くないのですが、さらに間違えてfitsで保存していました。そのため0.1fpsくらいのスピードしか出なかったので、RGB各20枚のみの撮影です。serにしていたらもう少し速度が出たのかと思います。

画像処理はなかなか面倒で、まずRGB別々にAS!3でスタックします。BIN1で画素数が多いため、Regisgtaxは使えないので、ImPPGで細部出しをします。ImPPGは全面ごちゃごちゃしている太陽だといいのですが、平面がいくつかある月だとDenoise機能がないため細部にノイズが残ってしまいます。

更に問題がRGB合成です。最初PIで位置合わせしようとしましたが、星が写っていないため不可。ImPPGで位置合わせをしました。ただし、スタック時に画面を歪ませて位置合わせしているはずなので、RGBで本当に合っているかどうかよくわかりません。今回はシーイングが悪くて分解能的にも意味がなく、全くやる気無しだったので手を抜きましたが、根本的にやり方を考えた方が良さそうです。

一応画像だけ貼っておきます。

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その後、月が沈むに伴いトール兜星雲を狙っていたのですが、風がビューゴー言い出して星がすごい勢いてブレていて、やがて雲が空全面を覆ったので、あきらめて撤収しました。


Masaさんの北アメリカ星雲

連休2日目の日曜は天気が悪くほとんど何も成果がありません。Masa@MasaAstroPhotoさんからTwitterのDMで長時間撮影した北アメリカ星雲のファイルを公開するので処理してほしいとの依頼がありました。Twitterを見るとすでに何人かの方が画像をアップされています。

画像を実際に見てみると3つあって、一番短い時間のものでも23時間とものすごい露光時間です。Masaさんに了解との返事をして、夕方くらいから画像処理を始めました。あまり詳しいことは書きませんが、
  1. まずxisfフォーマットを開き明るい方でリジェクトされた画像を見ると、どうも何度か画像が回転しているようです。実際の画像は測定すると9.5度程度回転しています。そのためまずは南北を揃えて、はみ出した部分をトリミングします。
  2. 左側の緑カブリがひどかったのですが、DBEを暗い部分に3点打ちして1回、さらに4点打ちしてもう一回かけることで除去できました。
  3. PCCで恒星の色を合わせますが、QBP IIを使っているとのことなので、見た目を合わせる程度にしかならないでしょう。やはりオレンジは出にくいです。
  4. ストレッチはASSで色を保ち、かつ赤がサチらないようにHTで。
  5. あとはStarNetで星マスクを作ります。
  6. ストレッチ後の画像とマスク画像をPSに引き渡して、炙り出しです。QBP IIだと赤がのっぺりしてしまいます。そのため星雲部の青を少し出します。
  7. 超長時間露光のためでしょう、ノイズらしいものはほとんど目立たないため、思う存分あぶり出すことができます。ノイズ処理は何も必要ありませんでした。
出来上がった画像です。北アメリカ星雲真ん中の透明感を重視してみました。
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ついでにAnnotationです。
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一言で言うと、非常に楽な処理でした。長時間撮影でノイズが少ないのもそうですが、元の3枚の画像を見比べてみても、星像などんほとんど差がなく、とても丁寧に撮影したことがわかります。長時間撮影自信がそもそも大変だと思うのですが、ノイズのことを考えたら明るい星雲でもこれくらいの長時間撮影をするのがいいのかもしれません。

他の方も色々特徴的な画像処理をされています。Masaが比較検討動画を作るとのことなので結果が楽しみです。


月曜は再び太陽撮影

3日目の月曜は朝から快晴です。期待しながら太陽撮影の用意をしますが、実際に見てみるとやはりシーイングが全くダメです。午前に黒点とプロミネンスを何ショットか撮影しました。午後に少しだけシーイングがいい時間があったので少し撮影し直し、その後に雲で撤収です。

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ピントがずれているかもと思い、カメラの傾きを緩めたらニュートンリングが出てしまいました。それでもまだ右上の黒点は少しピントがずれている気がします。傾きは後で戻しておきました。

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まとめ

3日間の結果としては全く冴えなかったですが、それでも晴れ間があっただけまだマシです。久しぶりでちょっと満足しました。 

限りなく皆既に近い月食から1月以上経ち、もうほとんど話題にあがることもなくなってきました。



今回の記事を公開するかどうか随分迷いましたが、やはり考えた過程として残しておこうと思います。多少衝撃的な内容かもしれませんが、全く間違っている可能性もあるので、あまり気にしないでください。


TSA-120とFC-76での違い

まずはこの記事を書こうと思った動機です。ターコイズフリンジ に関して、TSA-120で撮影したものと、FC-76で撮影したものに、大きな違いがあったことがきっかけとなります。


TSA-120の場合

まずはTSA-120で撮影したもの。皆既にかなり近い時間帯の月食です。
  • 機材はTSA-120 + ASI294MC Pro(常温) + 35フラットナー + UV/IRカットフィルター + CGEM IIです。
  • 撮影はSharpCapで25ミリ秒露光、ゲインが220で100枚撮影をワンショットとし、serフォーマットで記録します。
  • これをAS!3でスタックしRegistaxで軽く細部を出しています。ここがスタートです。

1. まずはできたTiFF画像をPhotoshopで限りなくシンプルに処理してみました。ヒストグラムを見ながら背景のピークを合わせるだけです。
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月食当日にライブで処理してTwitterに投稿した時がこれくらいの処理でした。

他の方の投稿を見てターコイズフリンジ があまりに出ていないので、少しがっかりしたのを覚えています

2. 次にもう少し濃い赤銅色を目指し、赤をレベル補正のみで出した場合。これだとどうしても青い成分が出てこなくて、ターコイズフリンジらしいものは全く出てきません。
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3. 次に上の画像を、トーンカーブでBlueの明るい部分を上げることで、かなり無理をして青を出します。わかりにくいですが、境のところの色に青成分が出てきているのがわかるかと思います。でもこの時点で真っ当な画像処理とは言い難くなってきてしまいます。
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4. さらに眼視で見た時に近くなるようにしてみます。青成分が含まれていることがわかりターコイズフリンジらしいものが見えてきます。
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5. さらにかなり苦労してですが、明るい部分と暗い部分の境が出る様に処理すると、綺麗なターコイズフリンジが出てきているように見え、一般的にいうターコイズフリンジ が見えている月食のような画像になります。
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上の画像は以前の記事で最後に「ターコイズフリンジ が見えている」と言って出した画像と雰囲気は近いです。以前の記事でも述べているのですが、はっきり言ってかなり無理をして青を出している気がします。ターコイズフリンジを見るのにここまでの画像処理を必要とするほど大変なのでしょうか?


FC-76の場合

その一方、FC-76で撮影した画像で処理をしてみました。そうすると今度は拍子抜けするほど簡単にターコイズフリンジらしいものが出てくるのです。
  • 機材はFC-76 + ASI294MC + Advanced VXです。
  • 撮影ソフトはFireCapture、露光時間は25ミリ秒でゲインが220です。70枚程度をワンショットとし、serフォーマットで記録します。
  • これをAS!3でスタックしRegistaxで軽く細部を出しています。ここがスタートです。
TSA-120での撮影との違いは鏡筒以外ほとんどなく、カメラはProかどうかの違いはありますがともにASI294MCで同等。ソフトはSharpCapとFireCaptureですが、同露光時間で同ゲイン、撮影枚数は100枚と70枚ですがまあ同等と言っていいでしょう。

やはり一番の違いは鏡筒で、特にFC-76はジャンク品で白濁している対物レンズというところが最大の違いなのかと思います。


そのため、少しコントラストが落ちるということを確認しています。



さて、スタックと細部出しを終えた画像をもとに、画像処理を進めます。

1. Photoshopで背景のピークを合わせたのみです。TSA-120の時とカメラは同じASI294MCなのでカラーバランスはそもそもあまり変わらないはずです。背景のピークを合わせただけなのでほとんど同じようになると思うのですが、既に青っぽくなっています。また、赤銅色部分も右上が明るく、左下(右下も)は暗くなっているのがわかります。この目でTSA-120の画像を見返すと赤銅色部分の明るさに差が少なくのっぺりしているのがわかります。

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2. ほんの少し青を強調するだけで、境のところに青っぽいところが出てきました。すでにかなりターコイズフリンジっぽいです。

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3. そこからさらに少しいじるだけでかなり明確に青いところが出てしまいます。TSA-120で苦労して出した最後の画像と比べると、差は明らかでしょう。

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出来上がった画像を比較してみても、TSA-120の方は赤銅色のところの明るさの差が少なくのっぺりしています。一方、FC-76の方は赤銅色の部分の明るいところと暗いところの差があります。明るい部分が拡散されている様な感じです。
  • TSA-120 -> 赤い、ターコイズフリンジが出ない、赤銅色部分に明暗が少ない。
  • FC-76 ->  簡単にターコイズフリンジが出る、赤銅色部分に明暗がある。

改めて機材を見返してみると、カメラの条件はASI294MC同士なのでほぼ同じはずです。違いは
  • TSA-120: 焦点距離900mmで35フラットナーが入っている。UV/IRカットフィルターが入っている。TSA-120はそもそも屈折鏡筒の中でもコントラストは抜群にいい。
  • FC-76: 焦点距離600mmでマルチフラットナーなど入れてないので、周辺で歪みあり。フィルターは無し。白濁ありで、コントラストがかなり悪いかも。
こうやって考えると、この青い部分の出方の違いはコントラストの違いによるものなのでしょうか?特にFC-76は対物レンズが白濁しているジャンクものです。こちらの方が明らかにコントラストが悪いのですが、これが逆に功を奏して、ターコイズフリンジらしく見えているだけなのでしょうか?

他の方の情報でも、ターコイズフリンジが出ている場合と出ていない場合が分かれているような気がします。
  • 一部の情報で同じ機材でも露光時間が短いとターコイズフリンジが見えなくて、露光時間を長くするとターコイズフリンジが出やすくなると言うのがありました。これももしかしたらある程度以上露光をすると明るいところの影響が周りに出やすくなりターコイズフリンジらしく見えるのでしょうか?
  • また、山の上に登るなど高度の高い所で撮影した画像にはターコイズフリンジが出なかったという話も聞きました。大気のかすみ具合によるコントラストの悪化影響が効くかもしれないということを示唆しているのでしょうか?

とりあえずここまででは私が経験したことや、聞いたことを書いただけで、これだけでは全く結論は出ません。青色部分が多かれ少なかれ存在するのは確からしいです。ただし、本当にオリジナルのオゾン層の影響で見えているものなのか、それとも画像処理に伴って何か見えてきたものなのか、判断がとても難しいです。

加えて、赤銅色の加減自身も相当難しいです。とにかく月食時の基準となる色を客観的には何を参照にすればいいのか、結局は不明でした。そうなると自分の感覚に頼るしかありません。


オゾン層について

そもそも、ターコイズフリンジ が出てくる原因はオゾン層にあると言われています。
  • まず、月食とは太陽と月の間に地球が入り込み、地球の影が月の食になるということです。
  • 地球の影で暗くなるはずなのに、月食時に赤銅色が出るのはなぜかというと、赤い光は地球の大気のところで屈折するために、本来届かない食のところに到達し、赤銅色を作ります。夕焼けが赤くなるのと同じ理由とのことです。
  • 青い光はレイリー散乱と呼ばれる大気での散乱のために、月には届きません。これが色部分に青い色がないことの理由です。
  • ではなぜターコイズフリンジ がでるかというと、地球のオゾン層を通るときに、赤よりも青い光に対して透過率が高いからとのことです。

  • オゾン層は大気のかなり上部にあるため、空気が少なくレイリー散乱が起きないために、青い光はそのまま透過し、屈折などもせずにまっすぐ月まで届くとのこと。その光がターコイズフリンジとなるようです。

以上の情報から、オゾン層を通った青い光がほぼ真っ直ぐ進むなら、オゾン層の厚さがそのままターコイズフリンジの幅となりそうです。オゾン層は高度10kmから50km程度の厚さ40kmのところに90%が存在するとのことなので、地球の半径が6400kmとすると、 40/6400=0.6%ほどとなるはずです。前回撮影した画像の地球の影
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から考えると、月の直径は地球の半径のざっくり半分程度です。とすると、青い光が真っ直ぐ進むと考えるなら、月の直径の1.2%程度の厚さにしからなず、非常に細いターコイズフリンジにしかならないはずです。もしこの推測が本当に正しいのなら、私の画像も含めて青い部分が月の直径の1割とかもあるような画像を説明するのが難しくなってしまいます。

ここまではあくまで素人のラフな見積もりですが、少し学術的な方向に注目してみましょう。ターコイズフリンジ については、Gedzelman, S. D. & Vollmer, M. 2008, Appl. Opt., 47, 149が初期の頃に出た論文のようです。月食時にどのように見えるかのシミュレーションの結果が実際に2008年に撮影された写真とともに載っています。これを見ると、青い部分の幅が月の直径の10-20%ほどになっています。

ただし、シミュレーションの詳細については書かれていないことと、写真についても画像処理の方法については何も書かれていないので、どのくらい強調しているなどはやはりわかりません。それでも青い部分が存在することは確からしいので、ターコイズフリンジが存在するのは間違い無いのでしょう。ただ、シミュレーションの色の結果についても「まだ正確ではなくデータ不足」と論文中にはっきり書いてあるので、ターコイズフリンジの太さについてはよくわからないようです。


双眼鏡で除いた時の見え方

あと、月食当日に双眼鏡で覗いた時の様子を書いておきます。使った双眼鏡はいつも車に入れている2019年の「星もと」で手に入れたJasonというブランドのクラシカル双眼鏡です。

見えた月はまだはっきりと記憶に残っています。まず、赤銅色と言われるものは画像になっているような派手な色ではなく、かなり落ち着いた色でした。最大食から少ししてから見たので、明るい部分が多少出始めていて、その明るさが、背景を含み食の部分にも影響を及ぼしています。よく言うと、すごくナチュラルに見える月食で、悪く言うとコントラストが悪いと言えるのかもしれません。重要なことは、明るいところと食の暗いところの境に明らかに青緑色の部分がはっきり見えたことです。これは気のせいでもなんでもなく、何度見てもはっきりと見えました。「これがターコイズフリンジか」とかなり感動しました。

ただ、上の画像やTwitterで示したように、その場で処理した最大食時のTSA-120には全くその青緑が写らず、明らかに見た目と違っていました。また、この双眼鏡は相当古いものであり、整備してあるとはいえコントラストがどこまで良いのかはよくわかりません。

もしコントラストが悪いと、鏡筒で違いが出たことも含めて、以下のようなことも可能性としては考えられます。


コントラストの影響の簡単な実験

皆既に近い月食をまねてPhotoshopでポンチ絵で描いてやります。明るい部分はRGBで192:192:192のグレー、赤銅色部分はRGBで64:32:0としました。

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上の画像に、Photshopの「Camera Raw フィルター」の「かすみの除去」のスライダーを-80にして、わざとかすみを与えてやります。

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見た目はそれほど変わりませんが、明るい部分が暗い部分に少し浸食しています。コントラストが低下したような状態を再現しています。

次にこの画像をPhotoshopのトーンカーブでBlueを持ち上げてやります。

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すると、明るいところと赤銅色の境のところに、青みがかった色が出てきます。

その一方、「かすみの除去」機能を使わないでコントラストを高く保ったまま同様にトーンカーブでBlueを持ち上げてやった場合には、上記のような赤銅色の境のところに、青みがかったような色は一切出てきません。
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以上のことは白色の非常に明るい部分が、悪いコントラストにより、暗い部分を侵食する可能性があることを示しています。コントラストが十分良いと、このような侵食は無いということです。

月食中は、月の明るいところと、皆既月食の赤銅色のような暗いところというように、明るさに差があります。さらにその月を撮影するときに、雲越しであったり、低空で霞んでいたり、今回の撮影のように鏡筒の状態などによって、コントラストが悪い場合があります。そのような状態では、上記のような過程が起こることがあり、画像処理によっては擬似的に青い部分が見受けられることもあるかもしれません。

同様なことを考察したアマチュアの記事も随所に散見します。例えば「ほんのり工房さん」は色温度について議論していて興味深いです。




まとめ

TSA-120とFC-76で撮影したものと、双眼鏡で目で見たもののそれぞれの違いをどう説明したらいいのか?コントラストの低下が青い色を出している可能性を考えてみました。このコントラスト説が正しいのかどうかまだ全くわかりません。

オゾン層が成層圏を中心に大気の密度の薄いところにあるために、そこを通る青い光は真っ直ぐ進むというものすごく簡単な仮定から、ターコイズフリンジ は月の直径の1%程度とかなり細くなるのではと考えましたが、これはこれまでに撮影されている多くの結果とはかなり異なります。

論文によるとシミュレーションの結果から青い部分が出るのはおかしく無いとのことですが、やはりどれくらいの領域で出るかははっきりとはわからないようです。月の直径の1ー2割出ている結果のようにも見えますが、画像処理などの過程も不明なため、結果は注意深く見る必要がありそうです。

色々考えさせられた月食でしたが、今回はまだたいしたデータも揃っていませんし、考察も不十分ですので、結論を出すには全然至りません。次回はもう少し謎に迫れるよう色々考えてみたいと思います。


前半の星景、星雲、銀河に関してはこちらになります。





「ASI294MM Proでのお月様撮影」
21_56_42_lapl4_ap7882_IP.2tif_stitch
  • 月齢9.5日
  • 撮影日: 2021年7月19日21時56分

「7月23日の月」
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  • 月齢12.7日
  • 撮影日: 2021年7月23日0時22分

「中秋の名月」
E_0Tb3QVQAERd4_
  • 月齢14.6日
  • 撮影日: 2021年9月21日23時00分

「限りなく皆既に近い月食」
StarStaX_IMG_6320-IMG_6480_lighten_5min


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  • 撮影日時: 2021年11月19日


太陽


「コンスタントに出る太陽黒点」
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_12_59_24_lapl4_ap2549_IP_ABE_cut

13_01_41_lapl4_ap2492_IP_cut

13_04_16_lapl4_ap2361_IP_cut
  • 撮影日時: 2020/12/27 12:58から13時4分

「太陽プロミネンス」
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14_38_10_lapl4_ap1318_IP_cut

14_39_23_lapl4_ap1371_IP_cut

14_42_32_lapl4_ap2326_IP_cut
  • 撮影日時: 2021/1/31 14:35から14時45分

「C8での太陽プロミネンスのタイムラプス」
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  • 撮影日時: 2021/2/6 14:35

「2月11日のプロミネンス」
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13_09_55_lapl4_ap1048_IP

13_10_52_lapl4_ap942_IP

13_11_43_lapl4_ap879_IP

13_12_37_lapl4_ap1199_IP

13_13_25_lapl4_ap1129_IP

13_14_37_lapl4_ap1182_IP

13_15_24_lapl4_ap1977_IP

  • 撮影日時: 2021/2/11 13:09-13:20

「2月21日の太陽」
14_03_05_lapl4_ap1219_IP
  • 撮影日時: 2021/2/21 14:03-14:09

「2月27日の太陽」
13_01_29_lapl4_ap1700_IP_cut

13_06_46_lapl4_ap1651_IP_cut

13_13_54_lapl4_ap1552_IP_cut

13_11_27_lapl4_ap2057_IP

13_12_06_lapl4_ap1565_IP_cut

13_18_59_lapl4_ap2398_IP_cut
  • 撮影日時: 2021/2/27 13:01-13:011

「4月3日の太陽」
10_28_53_lapl4_ap10625_IP_cut
  • 撮影日時: 2021/4/3 10:28

12_02_41_lapl4_ap10625_IP
  • 撮影日時: 2021/4/3 12:41

「4月24日の太陽」
15_02_44_lapl4_ap2482_IP._cuttif

15_02_44_lapl4_ap2482_IP._cut_color

14_49_27_lapl4_ap2487_IP

14_45_24_lapl4_ap2550_IP

14_47_02_lapl4_ap2521_IP

14_47_32_lapl4_ap2483_IP

「5月8日、光軸調整後」
12_42_38_lapl4_ap1472_IP_cut
  • 撮影時間: 2021/5/8 12:42

12_42_38_lapl4_ap1472_IP

12_44_21_lapl4_ap1344_IP_cut

「5月9日の太陽」
12_50_58_lapl4_ap2196_IP_cut
  • 撮影時間: 2021/5/9 12:50

12_50_58_lapl4_ap2196_IP_color_cut

13_02_33_lapl4_ap1952_IP_cut

13_00_20_lapl4_ap2474_IP2_cut

12_56_51_lapl4_ap2208_IP_cut

12_54_38_lapl4_ap1404_IP_cut

12_55_11_lapl4_ap1179_IP_cut

12_56_00_lapl4_ap1321_IP_cut

「AR2824」 
10_18_30_lapl4_ap2271_IP_cut

10_18_30_lapl4_ap2271_IP_color_cut
  • 撮影時間: 2021/5/23 10:18


「AR2882」
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  • 撮影時間: 2021/10/10 13時6分 gain70, 1.25ms x 2000フレーム中上位50%を使用

番外編


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  • 2020年27日、妻の誕生日にて

「立山」
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  • 2021年6月12日撮影


まとめと反省

太陽は前半は盛り上がっていましたが、後半、特に黒点が顕著に出出してからは、天気が悪かったりでいまいち盛り上がりませんでした。せっかく撮影体制は整ったので、来年はもう少し撮影回数を増やしたいと思います。特に、粒状斑をしっかり出してみたいです。

月に関しては、皆既に近い月食でかなり楽しめました。ターコイズフリンジはまだ色々疑問も残りますが、とりあえず撮影できたのでよしとしましょう。全体像より、少し細部にシフトしたい気もしています。バローをどう使うかでしょうか?

こうやってみると、今年惑星を全然撮っていないことがわかります。惑星は口径勝負の気がしてしまって、こちらもイマイチ盛り上がりに欠けています。SCA260で惑星撮影したらどうなるのでしょうか?来年少しやってみたいと思います。


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