ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:星像


CGEM IIの限界

SCA260を耐荷重ギリギリのCGEM IIに載せた時の振動問題。いろいろ対策はしてきましたが、この間ちょっと小さめのM100を撮影してみると、どうしても揺れが目立ってしまい、やはり限界を感じてきました。M100の画像処理はまた別記事にするとして、これまで作例として出してきたM33馬頭星雲など、ある程度画面いっぱいに広がるものは多少のごまかしが効きます。でもNGC253とか、もっと小さな銀河を目指そうとすると1分露光くらいが限界で、それ以上ではどうしても揺れが目立ってきてしまいます。


サイトロン本社にて

今後の長期的なことも考えて、もっと頑丈な赤道儀、例えばEQ8を念頭に色々考えていました。そんな折、CP+の収録でサイトロン本社に立ち寄る機会があって、昨年購入させて頂いたSCA260の結果共々、振動のこととを話していると「EQ8でいいのがありますよ」という話になったわけです。実際に展示してあったEQ8Rを触らせてもらいましたが、ちょうどSCA260が搭載されていて、触ってみても揺れそうな気配が全然なく、もう羨ましい限りでした。でも内情はというとサイトロン訪問の数日前に雪道で車で事故を起こしてしまい、車を買い替えなくてはならなくなり、妻からは「しばらく天文機材禁止」とのお達しが出てしまっていたのです。なのでEQ8などしばらくは夢のまた夢です。

そんな恥ずかしい話をしていると「CGX-Lはどうですか?」という話になりました。皆さんご存知の通り、サイトロンは長い間セレストロンの代理店でした。その当時の展示品の一つか何かで、以前から故障していて使えるかどうかもわからないものだそうです。ジャンクとして自分で直して使うのなら格安で譲ってくれるというのです。

少しだけ動かしてもらうと、何やらエラーは出ていますが、モーターは一応回転します。エラーをスキップして初期アラインメントを試しても何か動きはします。聞くと「エンコーダーを交換したり色々やってみたが、それでも直らないのでもう使う予定はない」とのこと。「物としては大きく場所もとっているので、もし自分で直してみる気があるなら...」ということなので、速攻で「やってみます」と返事をしました。そもそも、自作で大型のイギリス型の赤道儀でも作るしかないかと思っていたくらいです。動けばラッキー、ダメでも基本構造はそのまま使えるでしょうという目論見です。


どデカい箱が到着!

その後何度かやりとりをし、保証も修理もサポートもできないけれどという約束で、本当に格安で送ってもらうことになり、待つこと数週間。3月26日の土曜日の朝、とうとう自宅に届きました。配送のお兄ちゃんは力もありそうでしたが、それでも流石に大変そうなくらい大きな段ボール箱なので、一緒に手伝いながら家の中へ運びます。大きな箱が2つと、小さくて重い箱がひとつ。赤道儀、三脚、ウェイトでしょうか。

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靴と一緒に撮りましたが、そのとんでもない大きさがわかるかと思います。

一番大きな箱から開けてみます。
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どうやら三脚のようです。それにしてもでかい。これまでのAVXやCGEM IIのものと違い、内側に開き具合を制限するフレームが付いているのと、3本の脚をまとめるベルトのようなものが付いています。

広げて玄関に置いてみます。
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脚の太さは5cmから7cmに変わっただけとのことですが、とてつもなくゴツく見えます。

もう一つの大きな箱の赤道儀も出してみます。
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テーブルの上に置いてみましたが、隣のMacBook Proと比べてもその大きさがわかるかと思います。ただ、持ち運びに関しては取っ手が上下についていてバランスよくしっかりつかむことができるので、実際の重さと比べても幾分楽になります。また、このようにテーブルの上にまっすぐ置くことができるのもありがたくて、メンテナンスが楽になります。普通は赤道儀の下は平ではなく、メンテナンスで稼働させようとすると結局三脚の上に乗せる必要があったりします。

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細かく工夫されているのは、水平調整のネジの先端が丸くなっていることでしょうか。
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CGEMIIの水平調整ネジも先端はある程度加工していますが平な部分がわかります。一方、CGX-Lのほうは完全に球面になっています。

三脚と赤道儀を取り出した空箱ですが、うまく入れ込むと赤道儀の大きな箱と中身、ウェイトの小さい箱がちょうど丸々三脚の箱の中に入ります。赤道儀の二重箱の外側の箱は入らないので畳んで上に置くなどする必要がありますが、かなりコンパクトになります。

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と言っても、一つでもまだ大きいことには違いありません。

さて、赤道儀を実際に三脚に載せてみます。赤道儀の固定は横三方向から付属のM8ネジで止めることになります。その際、手で回すだけではガタついてしまうので、毎回六角レンチで締める必要があり、ちょっと手間です。
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こうやって3台並べると、今回のCGX-Lがあからさまに大きいことがよく分かります。3台同じメーカーで並べると壮観で、さながら展示場みたいでしょうか(笑)。その後、まだ繋がっていないハンドコントローラーと、電源ケーブルを電源と繋ぎ、動作確認となります。


動作チェック

ここからは賭けになります。動けば以前のPSTジャンクみたいに超ラッキー、動かなければ大きな置き物にもなり兼ねません。

まず電源を入れると、早速エラーメッセージが。写真はDecですが、何度か試すと、RAの時もあります。
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これをそのまま進めると、DECの回転が始まり、矢印ボタンで止めたりしない限り、ずーっと動き続けます。RAの時も同様で、何かしない限りは止まりません。どうもこの機能、電源を入れたら自動的にホームポジションに移動するという、CGX以上で搭載されている目玉の機能のようです。この機能があるために、赤経も赤緯も初期位置を示す三角マークとかが見当たりません。自動でホームポジション状態になるので、そのようなマークは必要ないということみたいです。

とりあえずBackボタンでスキップできるようなので、何度かBackボタンとEnterを押して次に進みます。するとCGEM IIの初期画面と同じになります。ここからさらに進め、(昼間の確認なのでまだ確実ではないですが)ベテルギウスで初期アラインメントを取ってみると、どうやらそれらしい方向を向くようです。その後、耳を澄ますとジーッという音がしているので、追尾も一応動いているようです。

この時点でエラーが出るのはエンコーダに問題があるのではと推測しました。そこで、Stellariumで赤道儀と接続して信号がどう出ているのかチェックしてみることに。初期アラインメントで赤道儀はすでにベテルギウスらしい方向を向いています。この状態でStellariumを赤道儀に接続すると、なんとStellarium上では既にベテルギウスにいると指し示しているではないですか!これは明らかにエンコーダーは生きていることを示しています。ここから考えるに、どうもエンコーダの故障とかではなく、CGX以上では初期位置確認のセンサーが独立にあって、今回はこれがなんらかの理由で働いていないようです。

言い換えると、エンコーダも動いているので、最初のホームポジションへ行くのさえ手動でやってしまえば、あとはガイドやプレートソルブさえも動くかもしれません!


トラブルシューティングの一例

ここで一旦動作確認を終えて、電源を入れ直しエラーについてもう少し把握することにします。まず、ハンディーコントローラーに問題がないか試します。

同じメーカーの機器を使い続けることの利点の一つが、共通の部品を使えることです。今回は、コントローラーが計3つあるので、CGEM IIのものとAdvanced VXのものに順に交換してみました。コントローラーによってはなぜか赤緯モーターが回らないことがありましたが、エラーメッセージはどのコントローラーでも出るので、コントローラーが原因とは考えにくく、CGX-L本体からエラーが発生している可能性が高いという結論を出すことができます。

何度か電源を入れると、たまにCGX-Lと認識されずに、機種がわからないか、オリジナルのGTとして認識されることがありました。この時はCGX-Lのバージョンなども不明と出てしまうようです。これは電源を入れ直すことでCGX-Lと認識されたのと、頻発するようではないので、まあ放っておくことにしました。

さて、こういった時のトラブルの際の解決方法の例ですが、まずは表示を日本語から英語にします。出てきたエラーメッセージをGoogleなどで検索すると、日本語のページでは引っかかりませんでしたが、海外には同じような状況になっている人が何人かいるようです。その中で、Cloudy Nightsにドライバーのアップデートで解決したというのがまず見つかりました。そのため、CelestronのFirmware Managerを使いハンドコントローラーとCGX-Lのドライバーを最新のものにアップデートします。

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この時少し失敗して、もともとどのバージョンが入っていたか確認するのを忘れてしまいましたが、とにかく繋がっている機器(今回の場合はハンドコントローラーとCGX-L)のファームを最新のものに置き換えてくれるようです。アップデートが終わると、更新された様子が表示されます。
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ただしこれ、ハンドコントローラーで確認すると違う数字が出るのですが、まあ気にしないでおきましょう。
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少なくともFirmware Managerで出てきたバージョンはCloudy Nightsで示されたものより新しいので、大丈夫でしょう。

さてこれで再度電源を入れ直します。結果はというと、やはりまだ同じエラーメッセージが出ます。念のため工場設定に初期化することなどもやってみましたが、それでもダメです。

どうもファームのせいではなさそうと判断し、もう少し探ります。すると、ケーブルが抜けているのが原因だったという投稿がCloudy Nightsに見つかりました。構造的にケーブルがねじれて抜けるか切れるかする可能性があるとのことです。さらにそのリンク先を辿っていくと、CGXの全バラ写真が大量に投稿されているページに行き着きます。CGXとCGX-Lは三脚の違いが主なので、このページはかなり助かります。

どうやら一部分解してケーブルのチェックをすることで何とかなりそうな目処がついてきました。実際の分解は次回時間がある時にやるとして、この時点で天気が良さそうなので外に出して実際に設置してみて、できれば撮影まで試してみることにしました。


外に出してみる

まず移動ですが、少なくともCGEM IIのように赤道儀と三脚を一度に運ぶことは到底できません。重さもそうですが、大きすぎて赤道儀があると三脚を掴むところまで手が届きません。運ぶときは3つのネジを六角レンチで緩めて一旦外し、別々に運んでまた組み上げてネジを締める必要があります。両手で持てる2つの取っ手がついていることと、赤道儀の下面が平らなので、そこら辺に置くことができるので、運搬に関しては思ったより苦にはなりません。

その上にSCA260を載せてみました。これまでのCGEM IIよりもかなり位置が高くなるのですが、鏡筒にも取っ手をつけているのと、同時に下側のアルミプレートの先端を持つと斜めに傾けながら持ち上げることができるので、そこまで無理することなく赤道儀に取り付けることができます。標準で10kgのウェイトが付属しているのですが、かなり端の方に固定するとこのウェイト一つでバランスを取ることができました。また、鏡筒を載せた状態で脚の一本を持ち上げ、水平を撮るために脚を伸ばしたりすることもできました。とりあえず、思ったより持ち運びと設置は大変ではなく、遠征に持って行くのも無理ではないなとの感想です。

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SCA260を乗せた後に、実際に突っついて揺らしてみました。明らかに揺れが小さいです。全く揺れないわけではないのですが、共振周波数が高くて揺れがすぐに収束します。もしうまく動いてくれるならですが、これは期待できそうです


極軸調整

暗くなってきたので、次はガイド鏡を取り付けてのSharpCapでの極軸調整です。ほとんどの過程は問題なかったのですが、最後に固定ネジを締めると角度がずれてしまうことがわかりました。垂直は2つのネジを手で締めて固定、水平は4つのネジを六角レンチで締めて固定します。この時、最後の最後のキュっと締めるときにどうしてもずれてしまいます。そのため、そこそこ極軸が合ってきたらある程度ネジを締めてしまい、最後はあまりきつく締めすぎないようにそこそこ固定することで、ズレを抑えて極軸を合った状態に保ちました。


実際に天体を入れてみる

その後、あらかじめ赤経赤緯ともにホームポジション付近に固定してから、赤道儀の電源を入れます。昼間に試したようにポジションエラーをスキップして、あとはこれまでのCGEM IIと同様にワンスターアラインメントでベテルギウスを導入、自動追尾といきます。少なくともみている限り特に問題はないようです!

ハンドコントローラーのUSB端子とPCを接続して、SharpCapでプレートソルブも試しましたが、全く問題なく赤道儀に信号を返して位置補正までしてくれました!

また、PHD2を使ってオートガイドも試してみました。ここで一つ問題発覚です。どうも赤経方向に周期的に揺れが出ます。
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上の写真のグラフの横軸は全部で400秒ですが、左から真ん中にかけてに10秒くらいの周期で大きな揺れが出ているのがわかると思います。(追記: その後調べましたが、CGXでちょくちょくこの現象出てくるようです。赤経のみで赤緯での報告は見つかりませんでした。なにか根本的に理由があるのかもしれません。)その結果として、右の同心円グラフでみても横方向に大きな幅が出ているのがわかります。その時の撮影画像が下になりますが、やはり一方向に伸びているのがわかります。この方向は赤経方向に一致します。

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ここで露光時間を1秒から0.2秒することで周期的な揺れを抑えることができました。上のPHD2の画面の途中で変えたので、グラフの半分くらいから右側で周期的な揺れが減った様子がわかるかと思います。

その後、いくつか設定を変えて続けてみたのが下の写真になります。露光時間以外もいじっているのがわかるかと思います。
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結果として、同心円でみても縦横のバランスが取れた状態になったことがわかります。


フルサイズでの四隅の状態

その後カメラにフルサイズセンサーの借り物のASI2400MCを使い、バラ星雲を導入し撮影まで試してみました。揺れの影響を見るために、3分、5分、10分と撮影しました。

3分露光。
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5分露光。
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10分露光。
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なんと、驚くことに10分でも4隅までほぼ真円を保っています。思わずヤッターと叫んでしまいました。これはもう十分すぎるほど満足な結果です。これまでの苦労が何だったのかというくらいです。でもだんだん改善されていく様子はものすごく楽しかったですし、またこれまでの苦労があったからこそ、このありがたみが実感できるのかと思います。

もう少し見てみます。3分と10分を比べると、3分の方が星像が鋭いこともわかります。これはシンチレーションなども合わせた揺れが積分されたため、長い時間の露光の方が大きくなってしまったのかと思われます。


いよいよオフアキを本格稼働か

その後、もう一つ気づいたことがありました。上で喜んだ後、三つ子銀河を導入し、実際に長時間撮影を試み何枚か撮影していると、途中から複数枚にまたがって斜めに大きく流れはじめたことに気づきました。

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このフレームの少し前に子午線を越えてしまっていて、それが原因なのかわかりませんが、PHD2で見ても流れていないので、何らかのたわみが発生し始めたのかと思います。赤道儀を反転したらこの流れは無くなりました。今のところはっきりとした原因は不明ですが、もしたわみだとしたらいよいよオフアキの出番となります。


今後

とりあえず今回はここまで。初期ホームポジションの移動以外はすでに実用的にも問題なく、十分振動が抑えられてかなり満足なのですが、やはりきっちり直したいので、次は分解してエラーメッセージが出なくなるか試してみます。


3月3日の木曜の晩、新月期でとうとう晴れてくれました。SCA260で撮影がてらいくつかのことを確認したいと思います。


目的と対象天体

今回のSCA260での目的はいくつかあって、
  1. ナローバンドフィルターの枠を取り換えたことで周辺減光が緩和されたかどうか確認すること。
  2. 副鏡をきちんと固定したため、鏡筒の向きを変えても光軸がずれないことを確認すること。
  3. 3分露光で星像が丸になることを確認すること。
です。これらの効果を見るだけならどこでもいいので星空を1枚撮影すればいいのですが、せっかくなのできちんとターゲット天体を定めて枚数を撮影して作例としたいと思います。

ターゲット天体ですが、2つの可能性を考えました。まず一つはもともとSCA260は春の銀河まつり参戦の意味合いが強いので、星像がピシッと出るかどうを確かめたいこと。特に、焦点距離が1300mmとそれほど長いわけではないので、
  1. バローを入れて高分解能を目指す
  2. 以前タカsiさんが言ってくれたように、ASI294MMの1binを使って高分解能を目指す
  3. もしくはバローと1binの両方を使う
の3択でどれが一番良いかを確かめてみたいと思っています。ただし銀河なので基本はRGB撮影です。

もう一つは、ナローバンドの周辺減光を確かめるためにHα、OIIIなどで見える輝線星雲を狙うことです。現在次期フィルターホイールをどの方向でいくか迷っているので、今回はナローバンドフィルターの周辺減光を確認することを優先し、輝線星雲を撮影対象とします。ただ、この春になりかけの時期はだんだん銀河がメインになってくるので適した輝線星雲があまりありません。さらに、星像を他の方の結果と比較してみたいので比較的メジャーな天体がいいのかと思っています。

いろいろ迷って、一度撮ってみたかった馬頭星雲の拡大像にすることにしました。


撮影

オリオン座はもう西に行こうとしているので早めの撮影になります。なのでまだ明るいうちから準備を始め、天文薄明終了後すぐに撮影にはいります。これまでのSCA260での撮影と違うのは、繰り返しになりますがナローバンドフィルターのフィルター枠を1mmほど内円の径が大きいものにしたことと、もう一つはガイドをオフアキから120mm+ASI290MMに変えたことです。オフアキの方が精度が出るはずなのですが、ASI120MM miniの感度があまり良くないこともあり、見ることができる星の数が数個のオーダーで少なすぎるので、マルチスターガイドができません。もともとSCA260の焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、今回はマルチスターガイドを狙い普通のガイド鏡を使うことにしました。

撮影は最初順調に進みましたが、10枚撮ったところで曇ってしまい、その後も待ちましたが晴れることはなく撤収となりました。


結果画像

Hαフィルターで撮影した10枚の中で、比較的よく撮れた1枚撮りです。PixInsightでオートストレッチだけしています。
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これを見る限り、ナローバンドフィルターの周辺減光は許容範囲内と言っていいでしょう。なので、手持ちのフィルターを活用すると言う意味でも、少なくともフォーサーズのASI294MM Proに対してはフィルターホイールは31.7mm用のもので十分で、まずは今の5枚入るものから8枚入るものにアップグレードします。

星像ですが、拡大図です。
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それほど悪くなく十分に真円に近くて、私的には十分許容範囲です。副鏡をきちんと固定した効果はあったようで、光軸ずれももうほとんど起きないと言っていいでしょう。3分露光でもしこのレベルが安定して出せるなら十分です...が、

上の画像はかなりいい方のものです。比較のために、撮影したうちの画像処理に回せるレベルのものを5枚ピックアップして中心部を拡大したものをgifにしてみました。位置合わせまでしてあるので、星の位置は変わりません。
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こうやって比べてみると、やはり真円かと言うとまだ程遠くて、細長くなったりしています。伸びる方向はランダムなので、これは赤道儀のせいというよりはシンチレーションでしょうか?

念のため、10枚撮影したうちの落とした悪い方5枚をみてみます。こちらは位置合わせができてないので、星の位置が動きますがご容赦ください。
Blink
何かの拍子に揺れてしまい(ほとんどがガイドのon/offで飛んだものかと思われます)こちらも方向はランダムです。赤道儀起因で揺れているとしたらですが、今回の撮影では赤経の揺れが垂直方向、赤緯の揺れが水平方向になるように合わせています。なので赤経のみとか、赤緯のみとかの特定のモードが出ているようなことはなさそうで、突発的な揺れ、もしくはシンチレーションなどの常時のランダムな揺れが支配的なのかと推測されます。風は比較的穏やかでしたが、風や地面の揺れの可能性もあるかと思います。ただ、やはり手で鏡筒を触ると揺れると言う事実は変わりないので、もう少し頑丈な赤道がは欲しいところではあります。

さて撮影ですが、3月2日に続いて、その後の3月3日と4日も馬頭星雲を撮影できたたので、なんとか仕上げるくらいの枚数にはなりました。それでも両日とも暗くなった後に晴れてきて、そこからオリオン座が西に沈む手前までなので、雲がかかったものやブレたやつとかを除いたら、初日の分も合わせてもトータルわずか1時間半ほどでした。こちらは画像処理が済んだらまた別の記事に書きます。


まとめ

SCA260がやっと3分露光でまともに撮影ができるようになってきました。ただしそれでも使えるのは高々3分露光で撮影したものの50%くらいと、まだ実用レベルと言うにはちょっと厳しいです。さらに長時間露光にしたら採択率も下がるでしょう。もっと頑丈な赤道儀があるといいのですが、もう少し我慢です。

完璧ではないですが、やっと3分露光で満足のいく星像になってきました。でも深刻な問題が発覚です。

少し晴れたので撮り増し

この日は明るいうちからSCA260の光軸調整 。どうも光軸がずれている疑いがあったからです。

赤道儀に載せて遠くの南東方向にある山の上の鉄塔を導入し、常時取り付けてあるASI294MM Proの画像を見るのですが、像が結構ブレるのでやはり光軸があっていない様子。画面を見ながら副鏡を合わせようとしますが、結局どのネジをどの方向に回せばいいのか目処が立たず諦めました。

カメラをホイールとオフアキごと外して、アイピース口に付け替えコリメーターを挿します。こちらの光軸合わせはとても簡単で、マニュアル通りに副鏡と主鏡を合わせますが、5分とかかりません。コリメータで見る限り実際に結構ずれていて、副鏡とさらには主鏡も合わせ直してから再びカメラで同じ鉄塔を見てみると、かなり満足するくらいの像になっています。この像と比べると、やはり最初に触る前に見た像は常時ブレていてお世辞にもいいとは言えず、副鏡を触る前にすでに光軸がずれていたということかと思います。

ここまでの結果から、コリメータで合わせることで(少なくとも撮像を見て闇雲に調整するよりも)十分な光軸調整ができると結論づけていいかと思います。

この状態で夜を待ち、導入がてら調整時と同じ南東方向のリゲルを見ると、ディフラクションリングらしきものが見えます。光軸があったからなのか、シーイングがいいからなのか、いずれにせよ色々試せるチャンスです。リゲルBもきちんと写りました。ちなみにその後シリウスを見ましたが、シリウスBまでは見ることができませんでした。まだ低空だったこともあり、目で見ても少し瞬いて見えたので、劇的にシーイングがいいというわけではないと思いますが、そこまで悪くはないようです。

この状態で前回同様トール兜星雲をHαとOIIIで撮影します。撮影途中の画像を見ても、おそらく前回のよりもシャープに見えます。

スタック直後のHα画像です。
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明らかに微恒星までシャープになっています。

前回と今回で比べてみましょう。切り出しはPixInsightのAberrationInspectorを使いました。

前回のHα: 恒星がボケボケといったところでしょうか
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今回のHα: 恒星が明らかに小さくシャープですが、その一方暗い星は透明度が悪かったせいか写っていません
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この差が光軸のせいなのか、シーイングのせいなのかは切り分けは難しいですが、少なくともこの鏡筒は今回のレベルで星像を出せるポテンシャルがあるということがわかります。実際、今回のレベルで撮れればそこそこ満足です。

採択率もHα: 10枚/13枚 = 77%、OIII : 14枚/17枚 =  82%なので、 3分間露光での撮影はまあ合格と言っていいでしょう。

と、ここまでだけ見ると十分な結果なのですが、その後の撮影で深刻な問題があることが判明しました。


赤道儀を反転させると...

南天時を超えて赤道儀を反転させた後です。そのまま撮影したのですが、画像を確認して愕然としました。星像が目に見えて崩れているのです。念のためピントを合わせ直しました。中央でピントを合わせても四隅がかなりずれてしまいます。

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一見揺れでブレたように見えますが、これが同じような星像で何枚も続くので、おそらくブレではなく光軸ずれかと思います。

その後、再度赤道儀を反転させ元の状態に戻して撮影してみると、完全ではないですがそこそこ星像は戻ります。なので少なくとも反転で光軸がズレているのはほぼ確定でしょう。


どこがずれたのか?

まだどこの部分がズレたのかは不明です。3つの可能性があるかと思います。
  1. 可能性が高いのが副鏡。以前コメントでタカsiさんが指摘してくれていたように、鏡筒上部のアルミのバーを外して強度的に不足している可能性があります。
  2. 主鏡自体の重量で支えきれていなくて傾いた可能性がもう一つ。
  3. 接眼部には対物側からEAF、オフアキ、フィルターホイール、冷却CMOSカメラとそこそこの重量が搭載されているので、ここで撓んでしまった可能性も否定できません。
最初に書いたように、コリメータを使うことで光軸のズレは明らかに判明します。明るいうちに赤道儀を交互に反転させて、コリメータで見ながらどこがズレているのかある程度わかるかと思います。
  1. もし上部プレートを外したことによる強度不足が問題になった場合にはいろいろと難しくなってきます。プレートを戻さずに赤道儀を反転するたびに光軸調整をするのか、
  2. プレートを戻してまた揺れと戦うことになるのか、
  3. プレートを戻してもっと強度のある赤道儀を真剣に考えるか
主鏡が問題の場合でも念のため上部プレートは戻して確認することになる思います。あまり無いとは思いますが、万が一接眼部だった場合はプレートは関係ないはずなので今のままで、接眼部の補強とかになるのかと思います。

明日の日曜の明るいうちに試そうと思います。実は最初テーブルの上で鏡筒を上下逆さにすることで試そうとも思ったのですが、赤道儀に載せて南天を見た場合左側、もしくは右側の片側が固定されて吊るされたような状況になるので、再現のためには赤道儀に乗せることは必須かと思います。今日土曜は小雨で赤道儀を外に出すことができませんでしたが、明日は曇りなのでなんとか外に出して検証してみるつもりです。

先週日曜、SCA260のファーストライトでしたが、その際内外像をみると外像が少しずれているのがわかりました。どうやら光軸調整が必要そうです。


明るいうちの光軸調整

昨日の土曜日の昼間、明るいうちにSCA260の光軸調整をしてみました。マニュアルに書いてある通りに進めます。
 
1. スパイダーの張り具合は均等で、副鏡は中心に来ているようなので、スパイダー調整ネジはいじらずそのままに。

2. 副鏡の光軸方向の位置は、マニュアルの通りギャップ5mmなので、こちらも触らずそのままに。

3. コリメーションアイピースを用意し接岸側から覗いてみると、明らかに中心がずれています。本来は中心の黒丸が、次に大きい黒リングの真ん中に来ないとダメです。目の位置を多少ずらしても、コリメーションアイピースの固定ネジを多少どうこうしても、コリメーションアイピースを回転させても、ズレの傾向は変わらず。これは有意にずれていると判断し副鏡を調整することにしました。

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マニュアルに従って、副鏡の3つのネジを触ります。どのネジがどの方向に動くかわからなかったので、まずは一つ緩めます。すると上にずれていた中心の黒丸が、リングに向かって下方向に動いていくので、そのまま緩めていきます。途中ネジがゆるゆるになったので、別のネジを締める方向で、同時に横方向も真ん中に寄せるように動かします。結局2本のネジをいじっただけで、見た目では中心の黒丸がその外のリングの中心に来たのでOKとしました。

4. 最後に主鏡の調整です。マニュアルに従って、まずは3箇所にあるそれぞれ3本のネジ、計9本を緩めます。というか、最初からかなり緩んでいました。次にコリメーションアイピースを外し、接岸部から像を確認します。重要なのは目の位置です。中心の黒丸がその外の円の中心に来るような目の位置で確認します。これはコリメーションアイピースをつけたままやった方が正確なのかもしれません。でもコリメーションアイピースに付いている十字線が邪魔なので、今回は外して見て見ました。じっくりみても、さらに外周の円も全て同心円に見えたので、結局主鏡はいじらずに、最初に緩めた計9本のネジを締めて完了としました。9本のネジは締めすぎると主鏡圧迫があるかもしれないので、今回は軽く締めただけです。

結局、副鏡のみがずれていたことになります。元々合っていたのが運搬でずれてしまったのか、元から合ってなかったのかはわかりませんが、副鏡はずれることがあると思っておくことにします。その副鏡のズレも、VISACの光軸調整に比べたらもう全然簡単で素直そのもの。これならあまり光軸調整の経験がない人でも迷うことはないと思います。


接岸部の整備

他にも色々準備しました。

まずは接眼側。カメラはASI294MM Proでの運用が中心になるかと思っています。モノクロなのでフィルターも必要で、ここは手持ちのZWOのアメリカンサイズ5枚の電動ホイールを使います。ガイドよりオフアキシスガイダー(オフアキ)のほうが運用上良さそうな気がするので、こちらも用意します。

鏡筒に付属のアダプターはM68、M54、M48の3つです。80mmのイメージサークルがあるために、大きな径で光を通す設計になっていますが、私はしばらくはフォーサーズでの運用なので、M48からさらに絞っていきます。

まずはM48にオフアキを取り付けてみました。問題は回転方向の自由度がなさすぎること。付属の3つのアダプターはただのネジなのである位置で回転が止まります。オフアキも基本M48ネジで鏡筒本体に取り付けるのであるところで回転が止まってしまい、オフアキの上下が中途半端な位置になってしまいます。これだとオフアキ本体にピックアッププリズムを差し込む位置が決まっているので、回転が止まった位置によっては、オフアキカメラの位置がフォーカサーなどと干渉してしまいます。

これらの問題は、M48のところに薄いプラスチックシートなどで作ったリングを入れてやり、回転が止まるを調整すればいいのですが、そのリングをつける手頃な厚さのシートが手持ちではないので、買ってくる必要があります。それでもシートはあくまで粗調整の範囲で、回転の微調整までは難しいので、どこかで妥協しなくてはいけません。

結局今回はオフアキをつけようとすると、カメラと本体が干渉してしまうことが分かったので、諦めることにしまて、別途持っていたオフアキ本体と同じくらいの幅のM48からM42(T2)に変更するアダプターを使うことにしました。オフアキについては次回以降の課題とします。

このSCA260のバックフォーカスは、M54のアダプターのネジ部分がない平面のところから75mm。思ったより短いです。オフアキの代わりに取り付けたM48-M42アダプターとホイールですでに一杯一杯です。今のホイールにはT2メスから1.25インチのアイピース口に変換できるアダプターをつけていて、そこにノーズをつけたカメラをつけようと思っていましたが、これだとすでに75mmを超えてしまいます。どうしようかと迷っていたら、ホイールにT2のオスオスのアダプターが付属されていることに気がつきました。これを使うことでカメラのT2ねじに直接取り付けることができ、75mm内に抑えることができました。

カメラをT2ねじで取り付けると、同様に回転位置の問題が発生しカメラの回転角が定まりません。なので今の状態では本体とフォーカサーとホイールとカメラの回転位置はしっちゃかめっちゃかです。T2の薄いリングだけは少し持っていたので、あまりにひどくならないようにはしましたが、微調整とか言うレベれるではありません。ここも次の課題とします。

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回転を微調整できる唯一の自由度が、鏡筒本体とフォーカサーのところです。ここを調整することでカメラの回転角が欲しい位置になるようにできます。この回転は、マニュアルによると底面のマイナスねじでフリクションが調整でき、横のいもねじを閉めることで固定ができるそうです。

ただ、フリクション調整のマイナスネジは合計3つあり、底面のだけでなく、他の2つもゆるゆるだったので、3つともある程度締めて回転の滑らかさを調整しました。また、固定用のいもねじは毎回レンチを出すのが面倒なので、M6のキャップスクリューで手締めすることにしました。手締めでちょうど固定でき、締めすぎないため破損もしなさそうで、ちょうどいいくらいかと思います。

IMG_3828


ガイドをどうするか?

これで最低限カメラで像を見る準備はできました。

今回はオフアキを諦めたので、さらに撮影のためにはガイド鏡を取り付けておく必要があります。これは鏡筒上部のプレートに、アルカスイス互換のプレートを取り付けることで、手持ちのガイド鏡を取り付けることができます。上部プレートには手前の方にM4のネジを切った穴が2つだけあります。2つの穴の距離が短いので少し心許なかったのですが、流石にパタパタはしないだろうと思い、とりあえずここに固定しました。

IMG_3809

前回つけた取っ手ですが、ガイド鏡をに干渉しないように、少しだけ前方にずらしました。ただ、重心からずれてしまったので、持ち運びに少し苦労しました。この位置も今後の課題です。

オフアキを導入した際、ガイド鏡を無しにするかどうかは後で考えることになると思います。ガイド鏡としては必要ないのですが、電子ファインダーとしては必要かもしれません。でも実際の導入は焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、ファインダーなしでも意外に大変ではありません。上部プレートの前後の2つの角を明るい星に合わせてやると、フォーサーズカメラならかなり近くまで来ているので、少しだけ上下左右にふってやると大抵入ってくるくらいです。なので、ファインダーとしては必要ない気がします。

実際にこのガイド鏡が必要なのはSharpCapを使った極軸調整の際です。星が流れないためにも、ガイドに負担をかけないためにも、極軸は1分角以下、長焦点なのでできるなら0.5分角以下くらいで合わせておきたいです。そのため、オフアキでのガイドが軌道に乗ったとしても、極軸調整だけのためにテンポラリーに毎回載せることになるかもしれません。


数少ない不満 

一つだけ問題点がありました。付属の温度計ですが、横に外れ防止の爪がついているのですが、この爪がキツすぎて鏡筒本体に温度計を取り付けることができません。プラスチックハンマーとかで叩けば入るかもしれませんが、液晶を壊すのがいやなのと、うまく入っても二度と取り出せないい気がしています。少し爪を削るとかする必要がありそうです。


外での設置

さて、夕方に向けて実際に赤道儀にのせて撮影の準備を始めました。

IMG_3813

準備完了で待っていると、暗くなるにつれて雲が出てきます。今年は何回もこれだったので、もうあまり不満は言いません。とりあえずこの日は長時間の撮影は諦めて、雲間でのテスト撮影にだけになりそうです。

結局北の空も厳しく極軸もあきらめて、雲越しでも多少見えるベガあたりを導入し、短時間露光で見てみました。


セカンドライトによる星像確認

先週日曜に引き続き、セカンドライトになります。

とりあえずベガ周辺です。まずSharpCapに映るを星像を見て思わず「ムハッ!」となりました。相当いいです。光条線も鋭くて、周辺も均等。

Capture_00004 19_02_42_WithDisplayStretch

四隅を拡大してもほぼパーフェクトな点像です。これは素晴らしい。

Capture_00004 19_02_42_WithDisplayStretch_cut9

条件ですが、SCA260にASI294MM Proを常温で、ゲインは400、6.4秒の1ショットです。赤道儀はCGEMですが、北の空が曇りで極軸調整をしていないため、30秒で完全に流れてしまい、20秒でも流れが確認できます。撮像に追尾エラーの影響がないように10秒以下の短時間露光としました。周辺像は300x300ピクセルを切り出しています。全体がASI294MM ProのBIN2で4144x2822ピクセルなので、各辺で10%位を見ていることになります。

これまで反射型で周辺まで星像がしっかりしている鏡筒が手持ちではなかったので、これは大きな進歩です。VISACはしっかりする時もありますが、しっかりしないときの方が多くて、安定性という意味では厳しいと言う判断です。SCA260は光軸調整でもそうでしたが、ピント出しもそこまで山が鋭くなさそうで、安定運用という意味でもかなり素性がいいように思えました。もちろんまだまだ短時間露光なので、長時間露光で枚数を重ねてから判断する必要がありますが、使っていてとても素直そうという印象です。

揺れに関しては、やはり鏡筒を触ると5Hzくらいで揺れますが、特に触ったりしなければ6.4秒露光で見ている限り速い揺れによる星像悪化はほとんどないので、問題ないように思えます。ただし風が強い時は別途検証する必要があるかと思います。

次回チャンスがあれば、6Dでフルサイズの4隅の星像も確認して見たいと思います。フォーサーズのASI294MM Proでの撮影を想定していましたが、これだけ口径が大きくて、もしフルサイズでの星像も十分いいのなら、6Dでの撮影も面白いかもしれません。

まとめ

とりあえず星像には満足です。かなり思い切ったSCA260の購入でしたが、十分な価値があると思います。260mmという大口径で、このF値5という明るさで、四隅までこの星像です。あとは撮影がうまくいくなら言うことなしです。もちろん今後も検証を重ねますが、今のところでは相当いいです。

かなり期待大です。これからの撮影が本当に楽しみです。

以前光軸調整したVISAC。


その後の進展状況です。


実際に星を見る

ある晩、期待に胸を膨らませ、実際夜に星を見てみました。

結果は見るも無惨で、内外で三角形と細長の形を行き来しているような状態でした。焦点近くでは点像に全くならずに、 三角と細長が混ざったようなひどい形。

光軸が「全然」ダメなのか、「微」調整が取れていないからダメなのかも全くわからないくらい惨敗です。最初は副鏡だけでしたが、そのうち主鏡も、接眼部も、全部の調整ネジを闇雲にいじったのですが、よくなっていく様子は全くなく、どんどん悪くなって全く手がかりなし状態になってしまいました。


昼間に調整

しかたないので別の日の昼間の明るいうちに、再びコリメーターと、こんどは点光源に近いものを実際に見て、それがどういう形になるのか視野をカメラで映してじっくり見ながら調整してみました。

あらためて明るいところでやってみると実感するのですが、どうやらこのページが示しているように、調整時にものすごい精度が必要なようです。何度曲げるとかよりは、ネジを少し力を入れて締め込む、ネジを心持ち緩めるとかで、その形が劇的に変わります。反射では普通は3つのネジのうち2つをいじれば角度に関しての自由度は足りるのですが、VISACは3つのネジが形を歪ませるように効くようで、3つともいじる必要があります。

気になるのは内外像が全く違うこと。片方は中心遮蔽部がものすごく大きくて、明るいところが1-2割とかしかなく、もう片方は遮蔽部がかなり小さくて、明るい部分が8-9割くらいで筒内気流がよく観察できるような感じです。

IMG_3434
スパイダーが上下左右4本見えていますが、全体の形は三角です。


IMG_3439
どっちが内でどっちが外かわかりませんが、
内外でこれくらい差があります。

焦点近くになってくると、3つの像が重なるような形になります。

IMG_3428
全部が重なるとそこそこ丸くなるようにも見えます。一度これで星を見てみることにします。

あと、今回の補正は主に主鏡の方で行いました。副鏡の調整がいまいちどこに効いているか分かりにくいです。唯一分かったのは、内外像の形を変えるというより、光の中心をずらす効果が大きいように思えました。

01_sub_bad
1. 副鏡を縦にずらし、主鏡で補正した場合。

01_sub_better
2. 副鏡をすこし戻し、主鏡で再び補正した場合。

03_sub_best
3. 副鏡を元に戻し、主鏡で再補正した場合。

光の強度の中心が上下にずれるのがわかると思います。でも内外像を見ると、像の形自身はほどんどずれてないんですよね。ただし副鏡のずれは主鏡とも自由度がカップルしているようで、そこまではっきりとしたことは分かりませんでした。

あと、途中迷走してどうにも状態がわからなくなった時はコリメータを入れて目で見ると良かったです。こんな時は十字線が大きくずれてしまっていて、まずはコリメータで見てそこそこおかしくないように合わせます。副鏡は中心の円が同心円になっていない場合は大きくずれているようですが、微調整まではコリメータでは分かりませんでした。主鏡は十字線が合うようにすればいいので、難しくないです。コリメータでそこそこあってれいれば、内外像の微調整レベルになってきます。逆に、内外像で調整済みのものをコリメータで見ると、これでもかというほどぴったりあっているように見えます。

少なくとも明るいところでの調整は再現性もあり、やり尽くした感があります。そこそこ点像になっている気がします。


星を見てみる

実際に星を見ると、やはり三角。というより結局今回の調整は歪(いびつ)な三角形を頑張って正三角形にしたような感じです。だめですね。

キャプチャ


何がおかしい?

  • やっぱりVISACって本質的に三角なんですよね。これが何かの2次的な効果で出てくるのかとしたら、調整はよほど難しいということになります。
  • そもそも、スパイダーは4つ割です。3つ割になっているところは限られていています。副鏡は真ん中のネジを緩めても像は変わらないので、多分歪みとは関係なし。接眼部は反射も透過も、とにかく光学系がないので多分白。主鏡はあやしいです。全バラして固定ネジを緩めた方がいいかもです。
  • 内外像の差はもしかしたら副鏡位置が間違ってるかもです。副鏡を取り付ける際ワッシャーが何枚かはいっていました。これを調整すると何か変わるかもしれません。もしくは、CMOSカメラの位置が間違っているか?
  • 接眼側に補正レンズが入っているので、バックフォーカスは重要なはずです。とりあえずカメラを適当に置いているので、問題かもしれません。
  • あと、鏡筒が地面に対して垂直に立っている時もしくは水平とは違う時と、調整時と同じ水平になっている場合で三角の鋭さが違う気がしました。水平の方が円像に近くなります。これは主鏡に重力がかかっているからなのでしょうか?

すごいシミュレーション結果を載せているページが!

また落胆してたのですが、バックフォーカスを調べている途中でものすごいページに行き当たりました。「銀命堂」様のページです。その中のVISACのシミュレーションのページが超秀逸です。このような解析をしていただいて、ものすごく感謝しています。



4年越しの計算ということで、かなり苦労されたようですが、三角形の像をものの見事に再現しています。このシミュレーションを信じると、主鏡の端で0.05mmズレたらもう像はボロボロです。ネジのピッチが0.5mmだとして、10分の1回転=36度で激変とすると、少なくともその10分の1くらいが調整の単位でしょう。ネジの回転でわずか3度ですよ!これなら難しいのも納得ですし、実際の微調整具合とオーダーで間違っていない気がします。

副鏡のずれを主鏡で直せそうと書かれていますが、その像を見るとやはり三角形。ということは、副鏡も主鏡も両方ともばっちりあってやっと円になるということです。

このシミュレーションから、光軸合わせがものすごく難しいことはよーくわかりました。それでもこれは大きな大きなヒントです。どこをどういじると、像はどう変わるのか。しかもそのいじる量のオーダーもわかります。

次回晴れた日の休日、昼間にまた点光源を見ながら調整してみます。

Player Oneの評価もそこそこに、何と今度はFMA135の試用をSIGHTRONさんから頼まれました。


Askarの新製品FMA135



ひと月ほど前にCP+の配信のことをシュミットの店長さんと電話で話していたときです。その際にAskarのことが話題になりました。なんでもFMA135が日本でも販売されそうだということを聞いて、私の方からよかったら是非試させて欲しいと頼んだような運びです。

そもそもFMA135とは、最近注目のAskar社が出した焦点距離135mm、口径30mmの非常に小さな鏡筒です。あのAskar社が出すということで、レンズも相当気を使っていて、1枚のEDレンズを含む対物3枚玉にさらに3枚玉フラットナーをつけてあるので、収差を抑えかなりシャープな星像が期待できるようです。

新製品ということですが、日本に到着してすぐに送ってくれたみたいで、4月24日に自宅に届きました。でも到着後、なかなか天気の良い日がなくて、やっと昨晩の夜中くらいに雲が結構晴れてきてファーストライトとなりました。


早速開封

到着後すぐに箱を開けて中身を取り出してみましたが、中には3つに別れたパーツが入っていました。

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真ん中が本体、左がアメリカンサイズの差込口になってここにCMOSカメラやアイピースを取り付けることができます。右の赤いのが足になり、本体にスポッとはめて取り付けることができます。

本体は小さくてとてもコンパクトです。コンパクトにもかかわらず、非常にしっかりとした作りになっています。前後には金属のねじ込み式の、かなりしっかりした蓋がついています。ふたは意外に重要だったりするので、こういった細かい所も作り込んでくるAskarの姿勢は、非常に好感が持てます。

アイピース取り付けアダプターもかなり肉厚にできていて、カメラなどのたわみもほとんど出ないと思われます。


FMA135を試したかった理由

そもそもこの鏡筒(と言っていいのかというくらい小さいのですが)を試したかったのは、焦点距離200mm以下のきちんとした鏡筒というのはなかなかないからです。200mm以下となるとカメラレンズが主となってきます。でもカメラレンズで周辺まで星が点像で写るものはかなり高価になります。しかもオートフォーカスなども付いていて高機能なのですが、星を撮影する分にはそういった機能のほとんどは必要ありません。一方このFMA135は4万円程度とかなり安価な部類になり、これで星雲など撮影できるならかなり魅力的な鏡筒になるかなと思ったからです。安価な分口径わずか30mm、それでもF4なのですが、最近の明るい高級レンズと比べると、少し暗いことは否めません。まあそこは撮影時間を稼ぐことでなんとかなるのかと思います。

ちなみにメーカー推奨はAPS-Cなのですが、せっかくの短焦点鏡筒なので、フルサイズだとどれくらいの撮像になるのか、興味があるので今回はEOS 6Dで試してみました。


一眼レフカメラと接続

6Dを含めて、一眼レフカメラとの接続は一般のT2アダプターを使います。FMA135の本体にはT2ネジが切ってあるので、そこに各社の一眼レフカメラ用のT2アダプターを持ってくれば、そのまま接続できます。

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カメラにFMA135を実際に繋いでみると、そのコンパクトさが強調されます。三脚への固定ですが、FMA135自身がかなり軽いので普通のカメラレンズと思ってしまって、カメラ本体側で三脚に固定すれば十分です。私の場合、アルカスイス互換のL字プレートをカメラ本体に取り付けてあるので、今回はそれを使って普通に三脚に取り付けました。


ファーストライト

いよいよファーストライトです。外に出てみると、まだ少し雲が残っていましたが、できるだけ雲のないところを選びます。ピント合わせはFMA135本体で行います。私は6Dでのピント出しは、カメラ側のモニターをオンにして、明るい星を選び、できるだけ拡大して映して、それが最小形になるように調整します。FMA135の場合レンズ部がヘリコイド式になっているので、回転させてレンズを伸び縮みさせます。ピント固定ネジが付いているのですが、これが結構小さくて暗い中だと苦労しました。天体撮影だと一度ピントを決めたらあまりいじらないので、もう少し固定しやすくなっててもいいかと思いました。

さて、ピントもあって、画角も決まったので、露光時間とISOを変えて何枚か撮影しますが、固定三脚だと10秒でも星が流れてしまうことがわかったので、ここで赤道儀に載せ換えます。玄関に置いてあったAdvanced VXをそのまま庭に出しただけですが、今回は極軸も取らずに、ドンとだいたい北に向けて置いただけです。こんな適当な置き方でも、固定三脚に置くより遥かにズレが少なくなりますが、ここらへんの詳しいことに興味がある方はこのページを読んでみてください。


撮影結果と星像

これで何枚か撮影した中で、露光10秒、ISO3200で撮ったときの撮って出しJPEGが適度な明るさで星が見えていました。真ん中らへんにゴミがあるのは無視してください。

IMG_4009

この周辺の拡大図は以下のようになります。

IMG_4009_cut25

内側の青の枠がAPS-Cに相当し、外側のオレンジ色の枠がフルサイズに相当します。各マスは100x100ピクセルを切り出しています。こうやって見ると、やはりメーカーの言う通りAPS-Cは十分に点像を保っています。一方フルサイズの周辺になってくると少し星像が各方向に伸びていってしまっているのがわかります。と言っても、あくまで拡大しての話で、一般の同等な焦点距離のカメラレンズと比べても全然遜色なく、全体でみている限り四隅もそこまで気になるほどでありません。むしろ折角の短焦点鏡筒の特徴を生かして、フルサイズで広い範囲を取る方向の方が面白い気がします。


周辺減光

一方周辺減光ですが、iPhoneにColorScreenというソフトを用いてホワイト画像(実際には輝度128/256のグレー画像)を出してやり、それをFMA135と6Dでフルサイズで撮影することで評価してみました。撮影はISO100、1/400秒です。その時の撮って出しJPEG画像と等高線図が以下のようになります。

IMG_4006

IMG_4006_contourPlot

等高線はPixInsightのScriptを使いました。この時の等高線の最も明るいところが0.519、最も暗いところが0.328となるので、フルサイズだと中心に比べて最周辺は0.328/0.519 = 63.2%になるので、やはりそこそこ光量は落ちてしまいます。

ちなみにAPS-Cサイズ相当の位置の最終篇の明るさが0.494程度となるので、APS-Cだと中心に比べて最周辺は0.494/0.519 = 95.2%になり、ほとんど金にならない程度になります。

こうやって星像の流れと周辺減光を見てみると、メーカーがAPS-Cまでと言っているのがわかる気がします。逆にいうと、どれくらい星がずれるか、どれくらい周辺が暗くなるかをきちんとできたので、それが問題にならない範囲で自己責任で使う分には、結構魅力的だと思います。

ちなみにFMA135で月を撮ってみましたが、フルサイズだと月がこれくらいのサイズになります。これも撮って出しJPEGなので、大きさを確認するくらいを参考にしてください。

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まとめ

さて、FMA135のファーストライトを駆け足で紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今後撮影も実際にしていきたいと思いますが、撮りたい領域が夜中以降に出てくるので、新月期近くになるまで少し待たなければならないかもしれません。

その代わりと言ってはなんですが、今回のファーストライトの後にFMA135とNeptune-C IIで電視観望を試してみました。実は電視観望用にはFMA135をあまり使おうと思っていなかったのですが、超コンパクトシステムになりかなり面白いです。電視観望については、また次回以降の記事(2021/5/2追記: まとめました)にまとめたいと思います。



これまでラッキーイメージで分解能を出そうと、露光時間を300秒と10秒で比較してきました。確かに星像を見ると、ほんの少し良くなってはいますが、30分の1の露光時間にしては、改善度合いがあまりに小さすぎる気がします。




なぜこれほど改善度が小さいのか、少し考えて見たいと思います。


目的

ラッキーイメージのような短時間露光でシンチレーションの影響を除きたいが、どれくらいの露光時間にすれば十分な効果があるのかを見積もる。


仮定

最初に簡単化のためにある仮定を置きます。

仮定: 恒星を見た時に、光学性能で決まるような最小の径が動くことで最大径になるとする。
1_cut
言い換えると、下の図の左のような最小径自身が、シンチレーションの速い成分で右のように歪んで大きくなるようなことはないとする。
2_cut
星像の線をぼやかして描いてあるのは、星像自身が正規分布に従うような輝度分布を持っているからです。


モデル化

この仮定をもとに、以下のように考えました。
  1. ものすごい短い時間で露光した場合には、シンチレーションの影響を無視できるので、光学性能のみで決まるような径に収束していく。
  2. ものすごい長い時間で露光した場合には、シンチレーションで支配されるような最大径に収束していく。
  3. シンチレーションは、ランダムウォークのような過程で、ある中心値を持った正規分布のような振る舞いをする。
  4. シンチレーションの動きはある点を中心に、典型的な中心周波数を持って揺れているとする。この周波数も中心周波数周りに正規分布に従い揺らいでいるとする。
  5. 中心周波数の1周期以上では、シンチレーションで決まるような最大径に近くなっていく。
  6. 中心周波数の1周期以下では、周期に1次で反比例して小さくなる。例えば、半分の周期なら約半分の径。10分の1の周期なら最大径の10分の1となる。

言葉だとわかりにくいので、図とともにもう少しわかりやすく書き下します。

恒星は時間とともに、水平方向及び垂直方向には以下のように動きます。
3_cut
典型的な周期に対して、長いか短いかが効いてきて、この周期より短い時間で露光することにより劇的に径が小さくなる。光学性能で決まるような最小径以下になることはない。

4_cut
以上のようなモデルを考えると、そこそこ定式化できるのではないかと思ったわけです。


定式化

さてここで考えやすい径としてFWHMを考えます。FWHMとは、Full Width Half Maximumの略で、例えば横軸を水平方向、縦軸を輝度として恒星を見てみると、輝度が最大値の半分の幅という意味です。その幅をその恒星の水平の径と定義します。垂直の径も同様に定義できます。

星の径は、鏡筒の光学性能や、シンチレーションで決まります。大事なことは撮影した1枚の画像の中に写っているたくさんの星は、原理的には明るい星でも暗い星でもFWHMは同じということです。明るい星は見かけの径が大きく、暗い星は見かけの径が小さいですが、その明るさと見かけの径の比はいつも同じなので、FWHMは同じ条件で写して1枚の画像の中ではどの星でも全て同じということです。

露光時間を変えて撮影した場合に、FWHMがどう変わるかを考えます。上で考えたように、
  • ものすごい短い時間で露光した場合には、シンチレーションの影響を無視できるので、光学性能のみで決まるような径に収束していく。
  • ものすごい長い時間で露光した場合には、シンチレーションで支配されるような最大径に収束していく。
  • 中心周波数の1周期以下では、周期に1次で反比例して小さくなる。
ということから、FWHMと露光時間は以下のようなグラフで関係づけられると考えれらます。

5_cut
  • 横軸は周波数で、一回の露光時間の逆数。対数で表示してあります。左に行くほど長い露光時間、右に行くほど短い露光時間です。1秒露光なら1Hz、10秒露光なら0.1Hz、300秒露光なら0.033Hzです。0.1秒くらいの短い露光時間で10Hzになります。
  • 縦軸はFWHMなどの、典型的な恒星の径です。
  • グラフの左側、ものすごく長い時間をかけて露光すると、シンチレーションが効いてある一定の径 dmaxになる。典型的には3~10秒角程度か。
  • グラフの右側、ものすごく短時間で露光すると、シンチレーションの影響が無視できるために、回折や収差などで決まる光学的に決まる径 dminになる。典型的には~1秒角程度か。
  • シンチレーションの典型的な揺れの周波数 f0を測定から決める。典型的には~1Hz程度か。
ここからわかることは、
  1. シンチレーションの影響が効かなくなるような周波数をfsとすると、f0からfsの間では周波数の-1次で径が小さくなる。言い換えると、この領域では露光時間を短くすることで効果的にシンチレーションの影響をなくすことができ、結果として分解能を上げることができる。
  2. 逆にいうと、この領域外で露光時間を変えても、分解能向上に対する効果は小さく限定的である。
もともと露光時間を30分の1と相対的に短くしたことが効くと思っていたのですが、実際にはシンチレーションの揺れの速度に対してどのような露光時間を設定するかということが大事だと、今回やっと理解することができました。

これらの結果をライブスタックを使ったラッキーイメージに適用すると
  • ライブスタックの場合には、例えば1回を10秒露光にした場合、毎回恒星の中心値を合わせるように画像を重ね合わせて平均化していくので、10秒露光の時の径がそのまま保たれます。
  • 普通の長時間露光の場合には、例えば300秒だった場合、1/300Hzのところの径になるとも言えますし、10秒露光の径の中心値がばらついて1/300Hzの径になるとも言えます。
ということが言えるのかと思います。

ただし注意ですが、最初に恒星像自身はシンチレーションで歪まないと仮定したので、実際にはここで考えているような最小径まではいかないはずです。また、最大径も恒星像の歪みの影響は当然受けるので、今回の見積もりよりわずかに大きくなると考えられます。しかしながら、改善の比率が知りたいと考えると、0次ではそこまで大きな誤差にはならないと思います。ここらへんの歪みのモデル化も入れることができるといいのですが、複雑になりそうなのでこのブログではここまでの範囲とします。

また、今回のモデルがそもそも根本的におかしくないか、実際の測定と照らし合わせたり、議論していただけると嬉しいです。

さて、次に具体的な例を少し考えてみましょう。


パラメータの測定

実際の測定は、
  1. 恒星が写る範囲でできるだけ短い露光時間で動画を撮影し、その時のFWHMを測定(dmin)し、その揺れの動きの典型的な周波数を求める(f0)。この周波数は、各コマでの恒星の位置(最も明るいピクセル)を測定し、FFTで周波数分布を見てピーク周波数を取り出せばいい。簡単には10秒程度動きを見て、左右に何回位動くか見ればいい。
  2. 分単位の十分長い露光時間で1枚撮影し、そのFWHMを測定する(dmax)。

揺れの典型的な周波数あたりではFWHMは最大径から -3dB ~ 1/1.4 = 0.71 倍と小さくなるので、限定的とはいえ無視できない量の改善となります。



では、例としてNGC4216の撮影で300秒露光から10秒露光にした場合、どれくらいの分解能の改善となるのでしょうか?

どれくらいの割合で改善するかを知りたいだけなら、最大径や最小径を測定する必要もなく、揺れの典型的な周波数のみ分かればいいわけです。例えばその典型的な揺れを1Hzとしてみましょう。回路などをやっている人にとっては、「ゲイン1で1Hzの1次のローパスフィルターがある時に、3.3mHzと0.1Hzの振幅の違いは」といった方がわかりやすいかも知れません。3.3mHzも面倒なので、十分低い周波数としましょう。

その場合、このページなどによるとゲインGはG = 1/(sqrt(1+(/ f0)^2))と表すことができるので、f=0.1Hz、f=1Hzを入れるとGは0.995となります。

これは簡単に暗算でも計算できます。f0が0.1なのでその2乗が0.01。sqrt(1+a)はaが1より十分小さいなら 1+a/2と近似できるので分母は1.005。1/(1+a)もaが1より十分小さいなら近似でき、1-aとなり、答えは0.995となります。

わずか0.5%ですか!ずいぶん小さい改善です。ちょっとこれだと見た目ではわからないかもしれないですね。

それでは、揺れの典型的な周波数f0を3Hzとしてみましょう。そうすると今度も暗算でG = 1-(0.1)/2 =0.95で約5%の改善です。これくらい違いがあれば目で見てわかる範囲になるでしょう。

前回比較した画像を見ると、まあなんとか有意に違いがわかるかどうかというところです。なので、この見積もりもそこまでおかしくもないかと思います。


どうすればいいか?

今回の結果からわかるように10秒露光はまだ少し長すぎたと言えます。例えば露光時間を3秒にしたら急激にもっと違いがわかるようになるかもしれません。1秒なら相当な違いになるでしょう。

当然かなり暗くなるので、あとは露光時間を短くしたときに、ノイズに負けずにどこまで写すことができるかでしょうか。感度勝負になっているので、少しでも感度の良いカメラを使うとか、少しでも口径の大きい鏡筒を使うかが大きな違いを生みそうです。


まとめ

さて、ラッキーイメージでの改善の見積もり、いかがだったでしょうか?大体感覚と合ってるとか、全然実際と違うとか、いろいろ当てはめてみると面白いと思います。

今回の話は、VISACでのラッキーイメージを始めたくらいから考え始めて、1週間ほどで大体のアイデアはまとまりました。本当はここまでに至るまでに相当考えたんですよ。
  • 10秒露光と300秒露光の恒星の中心値の振る舞いをどうやってシンプルに表せばいいか?
  • シンチレーションはランダムに動くし、中心値もランダムに動く。
  • 中心値は長い時間が経てば収束する。
  • でも短い時間だと、中心値は収束せず、いろんな値を取る。
  • でも中心値の代わりにFWHMみたいな径」で考えてやれば、短い時間でも収束する。
と、最後のところをある朝のベッドの中で閃いて、その後は10分くらいで定式化まで行きました。そこから記事にするまでに時間がかかってしまったのは、図を書くのが面倒だったからです(笑)。でもできるだけわかりやすくと思い、ちょっと頑張ってみました。


さて、3秒露光とか、1秒露光、実際にやってみますか。
 
やっぱり暗いかな?
 
結局は素直にシンチレーションが小さい日を狙った方がいいのかもしれません。


以前、星像切り出し用のコードをPythonで書いたのですが、




Matlab用に少し書き直したので公開します。結果はすでにここ最近の記事で使っているので、これまでに見ている方も多いかと思います。デザインはピンとくる方もいるかと思いますが、スターベース東京のブログの作例の切り出し画像のフォーマットに合わせてあります。

ファイル選択ですが、以前選んだフォルダを覚えるようにしました。以下のページを参考にしました。ありがとうございました。
前回の対応フォーマットはJPEGだけでしたが、今回はMatlabのimreadコマンドでサポートする画像ファイルに対応しています。なので、かなりのフォーマットに対応するはずです。実際に全部試したわけではないので分かりませんが、
  • BMP、JPEG、PNG、CUR、JPEG 2000、PPM、GIF、PBM、RAS、HDF4、PCX、TIFF、ICO、PGM、XWD

に対応するらしいです。天文で関連するのは主にJPG, PNG, TIFFくらいでしょうか。RAWファイルはあまり対応できないのですが、個別にFITS形式だけ対応させておきました。

カラーの8bit、16bitに対応しています。32bitには対応していません。あと、グレー画像は多分ダメです。結果はファイル名に”_cut25”というのが足されて、元のファイル形式と同じ形式(例えばjpgならjpg、tifならtif)に書き出されます。


7bc22bb9_cut


あまり綺麗でないですが、ソースコードです。 コピペして、Matlab上で走らせてみてください。上のような画像が出てくるはずです。簡単なコードなので、各自で希望に応じて適当に書き換えてみてください。3x3マスとかも簡単にできるはずです。

clear; %%% Paramters CS = 300; BW = 5; % File select if ispref('MyPreferences','LastUigetfileFolder') folder = getpref('MyPreferences','LastUigetfileFolder'); if ~ischar(folder) folder = '/Users/'; % for mac. if windows use 'C:\'. end else folder = '/Users/'; % for mac. if windows use 'C:\'. end [file,path] = uigetfile({ '*.*', 'All files(*.*)'}, 'Pick a file','MultiSelect', 'on',folder); if ~isnumeric(path) setpref('MyPreferences','LastUigetfileFolder',path) end % Reading image with size and class (full size) [filepath,name,ext] = fileparts(file); if extractBefore(ext,5) == '.fit' Img = fitsread(fullfile(path, file)); else Img(:,:,:) = imread(fullfile(path, file)); end [y, x, l] = size(Img); if isa(Img,'uint16') cv = 256; else cv = 1; end % Size of ASP-C ay = round(size(Img,1)/1.6); ax = round(size(Img,2)/1.6); % empty cut image CutImg = zeros(5*CS+6*BW, 5*CS+6*BW, 3, class(Img)); % Orange area CutImg(:,:,1) = 235 *cv; CutImg(:,:,2) = 170 *cv; CutImg(:,:,3) = 80 *cv; % Blue Area BA = CS+BW+1:4*CS+5*BW; CutImg(BA,BA,1) = 50 *cv; CutImg(BA,BA,2) = 50 *cv; CutImg(BA,BA,3) = 80 *cv; % Define areas in cut image C = zeros(CS,5); for i = 1:5 C(:,i) = (i-1)*CS+i*BW+1:i*(CS+BW); end % Area in original image IX(:,1) = 1:CS; IX(:,2) = round((x-ax)/2)+1:round((x-ax)/2)+CS; IX(:,3) = round((x-CS)/2)+1:round((x+CS)/2); IX(:,4) = round((x+ax)/2)+1:round((x+ax)/2)+CS; IX(:,5) = x-CS+1:x; IY(:,1) = 1:CS; IY(:,2) = round((y-ay)/2)+1:round((y-ay)/2)+CS; IY(:,3) = round((y-CS)/2)+1:round((y+CS)/2); IY(:,4) = round((y+ay)/2)+1:round((y+ay)/2)+CS; IY(:,5) = y-CS+1:y; % Filling cut image by original cut for i = 1:5 for j = 1:5 if ( ((j==1)||(j==5)) && ((i==2)||(i==4)) ) || ( ((j==2)||(j==4)) && ((i==1)||(i==5)) ) CutImg(C(:,i),C(:,j),:) = 256 *cv; % fill with white else CutImg(C(:,i),C(:,j),:) = Img(IY(:,j),IX(:,i),:); end end end %image(CutImg); if extractBefore(ext,5) == '.fit' fitswrite (CutImg, fullfile(path, [name,'_cut25',ext])); else imwrite (CutImg, fullfile(path, [name,'_cut25',ext])); end




途中からいろいろ簡略化しているのでわかりにくいと思います。% Define areas in cut image以降を、以下のコードに置き換えるとまだわかりやすいかと思います。

% Define areas in cut image C1 = 0*CS+1*BW+1:1*CS+1*BW; C2 = 1*CS+2*BW+1:2*CS+2*BW; C3 = 2*CS+3*BW+1:3*CS+3*BW; C4 = 3*CS+4*BW+1:4*CS+4*BW; C5 = 4*CS+5*BW+1:5*CS+5*BW; % Area in original image IX1 = 1:CS; IX2 = round((x-ax)/2)+1:round((x-ax)/2)+CS; IX3 = round((x-CS)/2)+1:round((x+CS)/2); IX4 = round((x+ax)/2)+1:round((x+ax)/2)+CS; IX5 = x-CS+1:x; IY1 = 1:CS; IY2 = round((y-ay)/2)+1:round((y-ay)/2)+CS; IY3 = round((y-CS)/2)+1:round((y+CS)/2); IY4 = round((y+ay)/2)+1:round((y+ay)/2)+CS; IY5 = y-CS+1:y; % Filling cut image by original cut CutImg(C1,C1,:) = Img(IY1,IX1,:); CutImg(C2,C1,:) = 256 *cv; CutImg(C3,C1,:) = Img(IY3,IX1,:); CutImg(C4,C1,:) = 256 *cv; CutImg(C5,C1,:) = Img(IY5,IX1,:); CutImg(C1,C2,:) = 256 *cv; CutImg(C2,C2,:) = Img(IY2,IX2,:); CutImg(C3,C2,:) = Img(IY3,IX2,:); CutImg(C4,C2,:) = Img(IY4,IX2,:); CutImg(C5,C2,:) = 256 *cv; CutImg(C1,C3,:) = Img(IY1,IX3,:); CutImg(C2,C3,:) = Img(IY2,IX3,:); CutImg(C3,C3,:) = Img(IY3,IX3,:); CutImg(C4,C3,:) = Img(IY4,IX3,:); CutImg(C5,C3,:) = Img(IY5,IX3,:); CutImg(C1,C4,:) = 256 *cv; CutImg(C2,C4,:) = Img(IY2,IX4,:); CutImg(C3,C4,:) = Img(IY3,IX4,:); CutImg(C4,C4,:) = Img(IY4,IX4,:); CutImg(C5,C4,:) = 256 *cv; CutImg(C1,C5,:) = Img(IY1,IX5,:); CutImg(C2,C5,:) = 256 *cv; CutImg(C3,C5,:) = Img(IY3,IX5,:); CutImg(C4,C5,:) = 256 *cv; CutImg(C5,C5,:) = Img(IY5,IX5,:);







2017/3/11、休日の前日で晴れ。今晩は満月直前なので、星雲の撮影などはできそうもありませんが、せっかくの星空が勿体無いので何をしようか考えていました。やりたいこと、やらなければならないことはたくさんあるのですが、あくまで趣味なのでやりたいことをやろうと思い、気になっている星像の流れの原因を突き止めることにしました。

先日のマルカリアン銀河鎖の撮影の際、Advanced VXとPHD2でガイドをしているにもかかわらず星像が一定方向に流れるという問題があったのですが、やっと原因が判明しました。犯人はガイドの焦点距離を伸ばそうとして、ついこの間導入したCanonのZOOM LENS EF 55-200mmです。ガイドとして使っているCCD、ASI224MCにアダプタを介してレンズを取り付けているため、電動系は全く無意味で、当然ピントなどはマニュアル、というか手でレンズの先の筒をひねって伸ばしたりして合わせるのですが、その際すごく軽くて弱そうだなと思っていました。レンズの筒の部分にちょっと触るとCCDでの映像があからさまに揺れるのです。まあガイド中は触らないからいいかと思っていたのですが、これが間違いでした。

よくよくレンズを見てみると、ズームタイプでULTRASONICとか書いています。Webで調べたら、超音波モーターを使っているとのことです。静音でいいらしいのですが、パワーがなさそうなのは容易に想像できます。駆動力がないということは、動かす対象は軽くて、構造的に弱いものにならざるを得ないということでしょうか。四千円程度と安くてよかったのですが、天体用には向かないということがよくわかりました。


検証

今回の検証のためにやったことを書いておきます。まずは前回の再現。できる限り同じ機材、同じ環境で星像が流れるかを確認します。バラ星雲あたりとスピカあたりで試しましたが、見事に流れます。

使っている機材は撮影条件によらず共通のものが
  • 鏡筒: FS-60Q (f=600mm)
  • 赤道儀: Advanced VX
  • カメラ: EOS 60D
  • ガイド用CCD: ASI224MC
  • ガイドソフト: PHD2

変えている撮影条件は
となります。

1. 最初はバラ星雲あたりを、CanonのZOOM LENS EF 55-200mmを使いPHD2でAVXの2軸に返しました。5分露光で5枚、22時39分29秒から23時05分8秒まで25分39秒かけて撮った画像を比較明合成します。比較明合成はstarstax (紹介記事本家) というソフトを使いました。5分 x 5枚の25分より長くなっている理由は毎撮影時にBackyardEOSでPC側にダウンロードしているために、その間は撮影できないからです。

rosse_canon_2axis

左右が赤経方向、上下が赤緯方向に相当するので、どうも赤径方向に大きく流れているようです。

流れた距離をPhotoshopの定規ツール(スポイトツールに隠れています)で測定すると19.06pixelありました。

IMG_1270


EOS 60Dはセンサーサイズが22.7mm x 15.1mmなので、600mmの焦点距離だと画角は2.167 x 1.441度になります。これが5184 x 3456pixelの画像になるので、1pixelあたり0.0004181度になります。秒角に直すと1.505秒/pixelとなります。なので星像が流れた距離を角度で表すと

19.06pixel x 1.505秒/pixel = 28.69秒

となります。これを25分39秒、すなわち1539秒かけて撮影しているので、移動速度は

28.69秒角 / 1539秒 = 0.01864秒角/秒 = 1.119秒角/分 = 67.11秒角/時

となります。1分で1秒以上もずれたら、数分で流れが見えるようになるのも当たり前です。


2. 同じくバラ星雲あたりを、CanonのZOOM LENS EF 55-200mmを使いPHD2で今度は赤緯のフィードバックをなくし、赤経の1軸のみに返しました。

rosse_canon_1axis

同じく5分露光が5枚で、23時6分14秒から23時31分56秒の25分41秒です。先ほどの赤経方向の動きに、さらに赤緯の方向にずれが加わっているように見えます。これは極軸の精度が悪かったために加わったと考えられます。

移動距離は22.94pixelなので、速度は1.347秒角/分となり、少し速度が増しています。これは赤緯方向のずれが加わったからでしょうか。


3. もう少し時間が経って、バラ星雲がかなり西の低い高度に移動した時の速的です。2軸に返しているだけで上と条件は同じです。5分露光3枚で、0時6分13秒から0時21分36秒の15分23秒です。

rosse_canon_2axis_West

同様に測定すると、58.82pixelとなり、約15分でこの距離なので速度は相当速くなり、5.75秒角/分となりました。やはり方向は赤経方向が主です。CCDに付いているレンズがほぼ水平になり、赤経方向に重力がかかり非常にたわみやすい状況でした。


4.  ここでバラ星雲が沈んでいったので、次はスピカ近辺で試して見ました。レンズは同等で、2軸制御です。1時38分29秒から1時59分45秒の21分16秒です。

spica_canon_2axis

測定すると、距離は27.93pixelとなり、1.976秒角/分となりました。ちょっと速いですが、場所を移動しても再現性はありそうです。


いずれにせよ2軸制御をしているときは基本的にほぼ赤経の方向のみの流れです。ガイドのCCDの像とカメラで撮影している像が、なんらかの理由で赤経方向に相対的にずれることにより、星像が赤経方向に流れているということです。


5. ここでレンズが怪しいと睨み、以前使っていたCマウントの50mm、f=1.4の軽くて短いレンズに交換しました。実はレンズを交換する前に赤系も止めてフィードバックなしで撮影してしまおうとしたのですが、Advanced VXはピリオディックモーションが+/-15秒程度あることが実測で分かっているので、ちょうど今のずれとコンパラなオーダーなので混乱してしまうと思い、先にレンズを代えることにしました。この読みは正解で、星像の流れがぴったりと止まりました

2軸制御で、2時6分50秒から2時32分35秒の25分45秒です。

spica_50mm_2axis


流れる距離が短すぎるので誤差も大きいですが、とりあえず2.14pixelと計測しました。速度はなんと0.125秒角/分となり、星像が流れる量は10分の1位になったということです。

しかも、明るいレンズのせいなのかと思いますが、PHD2のカメラのゲイン設定をデフォルトの95%から60%くらいまで下げと、カメラからのノイズが減って背景がすごく安定し、位置を読み取る時のピークの山の形がほとんど変形せずきれいになるので、位置精度が上がるためでしょう、ピクセルあたりの精度が余裕でRMSで0.2ピクセルを切っています。200mmの時の精度が適当なときは0.35-0.4ピクセル、すごく頑張って0.25ピクセル程度なので平均だとピクセルあたりで倍近くいいです。角度で表すと、2.5秒くらいまでいく(200mmの場合は1秒ちょっとくらい)ので、レンズの焦点距離の4倍の違い程の差は出ずに、実質2倍くらいの差しかありません。星像の流れは比べるまでもなく50mmのほうがいいので、しばらくは50mmでもう少しパラメータを詰めていくことにします。


さて、ここで一つ疑問が湧きました。なぜ星像の流れは赤経方向ばっかり出たのかということです。

1. まずレンズ自身が弱くてたわんだと仮定します。レンズは円筒形なので、円柱の軸に対しては円対称で、たわみは円柱軸の回転方向に依らないはずなので、星像の流れの方向は鏡筒の向きが変われば変わるはずです。なので赤緯方向に出てもおかしくありません。

2. 一方、これまではレンズが大きくて重いから、レンズやCCDを支えている根元の機械的な構造の強度が十分でなくたわんだと仮定します。構造的に赤経方向の固定方法が何かしら弱いとすれば、赤経方向のみに流れが出たというのは納得できます。

実際には赤経方向のみに流れが出ているので、一見2が正しいように思えます。ですがもし2が正しいとすると、50mmのレンズに変えた場合にずれの量は2つのレンズのモーメント比くらいでしか改善されないはずです。200mmのレンズは図体は大きいけれど密度が低いので、重さは50mmのレンズと大して変わりません。長さは200mmの方が倍くらいあるので、モーメント比はたかだか2倍です。ということは50mmのレンズに変えたとしてもずれの量は半分くらいにしかならないはずですが、実測では10分の1と圧倒的にずれは小さくなっています。

しばらく悩んだのですが、色々考えてやっと分かったのは、実は赤道儀に載せて南の空に鏡筒を向けると、いつも鏡筒が長手軸方向を中心に90度傾いた状態になるということです。これは実際にやってみるとすぐにわかるのですが、鏡筒が極軸方向を向いているホームポジションでは、長手軸方向の回転で考えた時に水平になりますが、南方向では地面の下を見ない限り、水平にはなりません。ベテランの方には当たり前のことなのかもしれませんが、少なくとも私は今回初めて気づきました。そのために重力は常に赤経方向に働き、レンズはいつも赤経方向にたわむというわけで、1のレンズ自身がたわんだと考えて矛盾しないのです。


もう一つ気になったのはPHD2のカメラのゲインがどうも自動で変わっているようなのです。これはスピカを画角に入れた時に気付いたのですが、明らかに背景が真っ暗になります。どこにもオートゲインの切り替えの設定場所はないので、というかゲインは任意に変えることができるので固定のはずなのですが、これはバグなのでしょうか?


いろいろ進んだり後退したりして回り道をしていますが、PHD2の理解がだいぶん進んできたのはもうけものです。なんとなくですがSWATでの撮影も見込みが出そうな気がしてきました。

 

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