そういえば、6月26日に開催された天リフさん主催の天リフ超会議「ガチ天」ですが、まとめ記事を書くのを忘れてましたので、ちょっと前のことですが思い出してみます。




ガチ天に参加!

わたしはまだ、ガチと呼ぶにはそれほど長くこの天文趣味を続けているわけではありません。他の多くのガチ勢の方々みたいに、天文少年だったような思い出もありません。なので最初「ガチ天」に参加しようとは思っていませんでした。ガチ天の講演者がある程度揃った時の顔ぶれを見るとあまりにすごくて、自分も含めてとてもじゃないけどこのメンバーに分け入って話をしようとは思えませんでした。こりゃあしばらく埋まらないんだろうなと思って、天リフ編集長さんに聞いてみたところ、案の定なかなかメンバーが集まらず「ガチ」と言うのが響きすぎたようだとのこと。ならいっそのこと怖いもの知らず状態で、どんなネタにするか相談させて頂きつつ、頑張ってエントリーしてみましょうかということになりました。

最初考えていたネタは4つくらいありました。
  • いつもの電視観望
  • ノイズの話
  • 太陽の話
  • 制御の話
などです。

電視観望に関しては、天リフ編集長から「今回は別の話の方が」とのお勧めがあり、最初に外しました。

ノイズの話はあぷらなーとさんと被りそうだったので、少しあぷらなーとさんと話しました。すると、一般的なノイズというよりはあぷらなーとさんがこれまでやってきた独自ノイズハンティングの話ということでした。できるだけかぶらないようにと、私はもし話すとしたらセンサー解析のようなことにしようとその時点で考えました。天リフ編集長もセンサー解析に興味がありそうでしたが、真面目に話すと本当にガチのガチみたいな話になってしまいます。冷静に考えると興味がある人にはいいけど、興味ない人には面白くないような気がしてきました。

制御の話も似たような反応になるかもしれません。制御も面白いとは思うのですが、もし話すとしても天文というよリはもう少し一般的な話になってしまう気がします。


太陽の話に決定!

太陽はこのブログでも反応の少ない部類でこれもまたマニア向けなのですが、こちらは機材の改造で進化していく様子を見せることができます。これなら太陽自身にはあまり関心がなくても、天文機材の話としても聞いてもらえそうなので、天リフ編集長に話し、結局太陽の話でエントリーさせて頂くことになりました。

と言っても、太陽も古くから成果を出している方も多くいて、果たして私のような高々太陽暦3年の初心者が、ガチなんかと言って話していいのかという心配もあります。話せることは、手持ちではせいぜい魔改造と大口径くらい。真っ当な太陽道とはかけ離れています。

でも、工夫して機材の性能を出すというアマチュア天文の醍醐味のような話は太陽という分野に限らず、同じ天文仲間ならわかってくれると信じながらの話を組み立てて、スライドを作っていきました。太陽の話を他人にするのは初めてのことなので、資料作りは一からです。太陽観測は危険も伴うので、安全に対する喚起もとても重要です。でも、ストーリー自体は頭の中にある程度できていたので、資料作りは思ったより順調に進み、かなり早くにまとまりました。

前回のCP+の生中継の反応がすごくよかったので、当日天気が良ければ、C8での太陽Hαの生中継をしようとも考えました。


ガチ天当日

ところがガチ天の前日の天気予報ではトークの時間はどんどん下り坂です。当日、朝のうちはまだ晴れていたので、もう生中継は諦めて、事前にビデオを撮影しておくことにしました。

さて、いよいよ6月26日の午後、本番です。あらかじめ講演者と参加希望の視聴者のいるZoomへつなぎます。私が接続したのは、ガチ天が始まる20分くらい前だったでしょうか。開始の15時まですぐに時間が過ぎます。始まりは天リフ編集長の司会から。講演のトップが大御所の津村さん。ものすごい歴史で、もうただただ尊敬です。津村さんの話が終わると、二番手はとうとう私です。今回は1人で45分間と「ガチ」の名に相応しく長丁場です。

実際には自分のトークが始まってしまえば、あとは特に緊張することもなく、スライドに沿って話していくだけです。ネット越しなので反応があまりわからないのですが、チャットには刻々と書き込みがなされていきます。と言っても話しながら読む余裕はないので、やはり感触はあまりわからないのですが...。自分のトークが終わってしまえば後はもう気楽なもので、他の方の話もリラックスして楽しく聴くことができました。

もし私の太陽トークに興味がある方で、また見ていない方は、天リフさんが講演者別に別途切り出してくれています。


自分のトークを改めて見てみると、まあ早口になってしまったりであまりスムーズとはいえないのですが、それよりも中継時のビデオの解像度がかなり落ちてしまっているのが問題でした。そもそも太陽Hαの動画なんて、モノクロでノイズみたいに見えるので、どうしても解像度を自動的に落とされてしまうのかもしれません。ここは今後の課題です。


Q&A

せっかくなので、当日コメントで出ていた質問に答えておこうと思います。

星の玄さん:  「20cmでも結局入ってきた熱は、反射して筒先から逃げていく、と考えて良いのでしょうか?なんか不思議...」
  • そうだと思います。UV/IRカットフィルターがどれくらい吸収しているか定量的に評価するのは難しいのですが、外して触ってみても全く熱を持っていません。なので、反射か透過でここで吸収していることはほとんどないと思います。エタロンもHαとそのFSR周期以外は反射なので、フィネスが20だとすると全エネルギーの95%は反射です。

PicoTubeさん: 「フィルターの反射光が鏡筒内の部品に当たって熱を持ったりしないのかな?」
  • 基本的に逆経路を辿るはずなので、副鏡と主鏡に当たるのみだと思います。副鏡も触ってみる限り全然熱くないです。

星の玄さん:  「昼間のひなたでのPC使用だと、液晶画面が見にくいことが多いのですが、何か工夫していることはありますか?」
  • 車のトランクのドアを開けて、その下に机と自分自身が入るようにしています。自分自身も影に入らないと、画面に反射して見辛くなります。この状態でも部屋の中で見るのと比べると相当な差があり、どうしてもの時はリモートで自宅の中から操作、撮影しています。

PicoTubeさん: 「筒先フィルターでフィルム状のやつがありますが、使わなかったのはデメリットがあるのでしょうか?」
  • あれはND4とかND5なので、1万分の1とか10万分の1の明るさになってしまいます。そこからHαを見ようとすると暗過ぎてしまうからです。

播州やたらさん:「ERFに7nm幅のHαフィルターを使うって、レンズの前にでしょうか?」
  • BFの後、CMOSカメラの先端です。ここまでで十分減光されているので、この位置で構いません。

MASAHIRO KUSABAさん:「Daystarだとどのくらいいけるのでしょうか」
  • すみません、Daystar使ったことないのでわかりません。でもDaystarで大口径を攻める方が遥かに正しい道なのでERFを先端にきちんと付けるとかすれば、PSTよりも簡単に、真っ当に解像度を出せると思います。

でもこうやって改めてチャットを見ていると、当日の反応がわかってありがたいですね。MaxHeadさんや、のん太さんの「ひので」というコメントは、私にはもったいなすぎるくらいの褒め言葉でとてもありがたいです。

後日、天リフ編集長からアンケートで書かれていた感想が送られてきました。たくさんの意見があったのでここでは紹介しきれませんが、読んでいてとても力づけられる嬉しいものばかりです。一部だけ紹介させていただきます。
  • 切磋琢磨し得た成果は何であってもうれしいものです。太陽の細かな表情を観ることができ感動しました。
  • これぞ趣味。市販の機材をどう活用するか、目から鱗が落ちた。
  • 学生時代ファブリペローエタロンを使った研究をしていたのでとても愛着があります。
  • PSTは私も分解したことはあるので、よく最後までばらしたなぁと、感心するやら驚くやら。いちばん楽しかったです。
  • 危険性をきちんと把握したうえで次々にチャレンジしているのに感心しました。
  • PSTの性能を最大限発揮させるという考え、行動力に脱帽です。
皆様、暖かい感想、本当にありがとうございました。

あと、気になったのが当日のTwitterであったGiraud-Sunさんの
  • あんなイメージしやすいエタロンの説明ははじめて聞きました。唸りました…
というコメントです。エタロンの原理についての説明は自分で考えたので多分オリジナルです。これが伝わったのが、実は一番嬉しかったです。


後日談

さらに後日談ですが、懸賞プレゼントに当たってしまいました!!!

大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会さんの「おほしさまかんそくちう!」Tシャツです。

ちょうど今日到着しました。天リフさん、迷人会さん、どうもありがとうございました。星見の時に着ていって、声をかけられたら迷人会さんの宣伝しておきます。

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いよいよ週末は「星と宇宙の夏ライブ」

さて、今週末の7月24日土曜日はいよいよ「星と宇宙の夏ライブ」です。オンライン配信で、昼の12時55分開催です。



今年も星まつり開催は厳しそうなので、天リフさんのイベントは全国の星仲間と交流ができる貴重な機会になります。

今回は天文といってもいろんな分野からいろんな人が話してくれます。どれもとても楽しみなのですが、私のお勧めは最初の重力波のお話かな...。
 


研究クラスタからの話ですが、面白い話をしてくれると期待しています。ただ非常に残念なことに、私はちょうどその時間なぜか忙しい予定で、リアルタイムで聞くことができないです。直接聞いた方からの感想なども教えていただけると嬉しいです。

今年は「星と宇宙の夏ライブ」で交流できると嬉しいですね。