ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:天の川

この記事は「小海「星と自然のフェスタ2023」参加記: 2日目前半」からの続きとなります。




講演終了後

電視観望の講演が終わって部屋に戻り、妻に「48人も入ったよ」と報告したら「見てた!すごい!」と言ってくれました。全員が席に着くまで案内を手伝ってくれてたので、ある程度の人数は既に知ってくれていたようです。妻は元々あまりたくさんの人がきてくれるとは思ってなかったみたいで、ちょっと見直してくれたみたいです。「講演も聞いてたの?」と聞くと、案内だけしてすぐに部屋に戻ったとのこと。あとはゴロゴロしてたみたいです。

とにかく今回メインの講演が無事に終わったので、私は部屋でしばし放心状態でした。本番まではかなり気を張っていたのであまり感じなかったのですが、有料講演だったということもあり、実際にはかなりプレッシャーを感じていたみたいです。終わってから、改めて思いました。

でもあまりのんびりもしれられません。次はサイトロンブースでのデモです。18時には準備を始めたいので、程なくして講演で使った機材を一部再び持って、車で下の第一会場に向かいます。


第1会場で電視観望デモ

下の第1会場に着くと、すでにかなり暗くなっていました。必要な機材を車から持ち出して、打ち合わせで決めてあった場所に向かいます。途中、暗がりの中からサイトロンスタッフさんが私の姿に気づいてくれて、声をかけてくれました。結局少し手前に場所を移したそうです。VixenさんがPENTAXの150mmでしょうか、大型屈折を出していた場所の手前あたりに陣取ることになりました。

予報では心配だった天気も、空を見る限りかなりいいです。少しだけ雲も見えますが、昨晩よりは遥かにましでしょう。この日は土曜でメインの日なので、お客さんもたくさんくるはずで、大型の32インチのモニターと、私の方は少し小ぶりの24インチモニターを出します。32インチの方はメインのハイエンド電視観望でAskarの151PHQ。なんと150mmクラスのフォトグラフィークラスのアポです。私の方は小さいモニターにつなぎ、気軽に天の川電視観望です。手軽さと広角という、ハイエンドとは逆方向の電視観望の楽しさを伝えれればとの思いです。

天の川電視観望は準備も気軽で、三脚と自由雲台、あとはCOMSカメラに明るめ広角のカメラレンズだけです。赤道儀も経緯台さえも必要なく、当然自動導入や自動追尾さえもなくて、全部マニュアル導入で追尾なしの放ったらかしです。今回カメラはフォーサーズサイズのASI294MC、レンズは35mm F1.4の1970年台のNIKKORレンズです。F1.4だと明るい星の周りに大きくハロが出ることがわかっているので、F2.0に絞って使います。この日はほぼ満月だったので、光害防止フィルターとしてサイトロンのDBP(Dual Band Pass)フィルターを入れています。

途中、講演を聞いてくれた方も含めて、このシンプルさに興味を覚えてくれる人が多かったです。古くからカメラファンの方には、手持ちのレンズで気軽に試せそうなとことも興味を引いたようです。ほぼ満月の日に6.4秒露光一枚撮りでこれくらい見ることができます。フィルターのせいもありますが、SharpCapのリアルタイムフラット補正がかなり効いています。この機能、以前はベータ版の身についていましたが、現在は4.1の最新版の正式機能として採用されています。
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天の川電視観望を見せている間に、サイトロンスタッフの方が151PHQで導入まで準備してくれています。この時点でまだ開始予定時刻の19時前だったのですが、少し雲が多くなってきたので、本番中に曇った時のためにM27をしばらくライブスタックさせておいて、予備画像として残しておくことにしました。でもこの時点ですごくて、途中の高々十数分のライブスタック画像で画像ですでに亜鈴状星雲本体の周りにある、蝶の形をした羽の部分がうっすらですが出てきてしまっています。
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さて、19時くらいになりお客さんもかなり集まっているので、改めて今回のコンセプトを話します。
  1. まず特徴は、ハイエンド機材を使うことで電視観望がどこまで行けるのか、その一端を見て頂きたいこと。
  2. その後の簡易画像処理で、その場で見るということに主眼を置いて、どこまで綺麗になるのか示してみようというものです。
具体的には、気軽にトータル15分程度のライブスタックで、見たままの画像を、フォーマットも気軽に8ビットのPNGで保存し、Photoshopでこれも気軽にほぼcamera RAWフィルターだけで5分程度で画像処理をしたら、どこまで出るのかのデモンストレーションということです。

最初はらせん星雲にしました。上下に雲がありますが、星雲本体あたりはちょうど雲が開けていて、10分程度なら露光できそうです。ここで151PHQならではの問題が。なぜかライブスタックがうまくいきません。どうやら、微恒星が点像で鋭すぎてノイズと見分けがつかなくて、星認識がうまくいっていないようです。これはライブスタックのノイズリダクションをオフにすることで、無事にスタックし続けることができました。私自身もこんな経験は初めてで、ハイエンド屈折の能力の一端を見た気がします。このやりとりを見ていたお客さんの中にはかなり驚いていた方もいたようですが、サイトロンの方が「性能もすごいですが、価格もすごいです」と今月発売開始された際の価格を伝えるとそちらも「オオーっ」という反応が。

曇りになるまでの十数分、ライブスタックを重ねた画像をPNG形式で保存して、
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それをPhotoshopで画像処理します。それでも保存時でストレッチまで済んでいるので、そこそこ出ています。背景を少し黒く締めて、彩度を上げて色を出します。流石に虹彩のような放射状の線は出ませんでしたが、十数分の露光に5分程度の画像処理で仕上げただけでそこそこ見える画像になったのは、やはり151mmの口径の威力もあったのかと思います。
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自宅に帰ってから改めて画像を見ましたが、さすがに5分程度の画像処理だとまだまだ持っている情報を引き出せていない気がしました。始まりの画像は同じ8bitのPNGですが、30分程度時間をかけて、ソフトには制限をかけずにもう少し炙り出してみました。本体周りの淡いところと、本体の構造はもう少し出せたのかとと思います。
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続いて、網状星雲です。網状星雲の「い」の字の形のうち、今回は明るい星が入っている東側のNGC6992-5の方です。内側の淡いところがどこまで出るかも興味があります。ちょうどはくちょう座方向はこの時十分に晴れていたので、焦ることはなくライブスタックで十数分の露光をかけました。まずはライブスタック直後です。
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かなり淡いですが、現場で5分程度でPhotoshopで画像処理をしたものです。
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これだけでもかなり出てきたのがわかります。改めてもう少し時間をかけて処理したものが以下です。
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さらに隠れていた淡い部分が出てきたのかと思います。これもあくまで8bitのPNG画像で簡単に見たままで保存した画像から処理しています。それでもこれくらいは情報が隠れていることがわかります。

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今回特に思ったことは、画像処理に対する需要がかなりあるのではということです。凝った画像処理はキリがないのですが、もっと基礎的な最初のとっかかりというか、今後扱うことになる本流とはどういうものかという紹介とか、例えば今回なら電視観望で得た画像をどう処理するべきかといったような、初心者がせっかく撮った画像をいかに鑑賞するくらいまで仕上げるかといったことです。画像処理も慣れてしまえばいろんな方法があることもわかってくると思うのですが、最初のうちは何から手を出していいのかわかりにくのかと思います。もしかしたら、来年の講演はこういったことを話せればいいのかもしれません。


片付け

21時近くになると、空もだんだん曇ってきました。最後まで見ていてくれたお客さんに今回のデモのまとめを話し、解散となりました。私も片付けを始め、21時半頃には第1会場を後にします。

部屋に戻る前に上の方も見ていこうと、アストロカーのところに寄ってみると、ちょうど最後のお客さんが終わるところでした。そのまま主催者のSさんとお会いすることができ、講演に招待していただいたお礼と、来年どうなるのかなどを少し話しました。

その後、第2会場に立ち寄って、やっとRYOさんとお話することができました。今回の講演では私のが電視観望の基礎、RYOさんのが電視観望の応用というような、連動企画のような状況になっていました。RYOさんとは準備段階でも連絡を頂くなど、いろいろお世話になっていました。今回の講演は二人ともかなり盛り上がったと思うもで、RYOさんとはいつかなにか合同で企画してみたいと思います。あいにく期待のRYOさん自慢のシステムGOZENSAMAは雲が出てきて稼働するところは見えなかったですが、RASA8を使ってリアルタイム電視観望の流れを汲むということで、原点復帰で非常に興味深いです。

この時点でかなり寒くなってきていて、22時15分くらいだったでしょうか、部屋に戻りちょうどウダウダしていた妻も誘って、そのまま温泉へ。どうも聞いてみたら、妻も大1会場まで見にきてくれていたみたいです。一角だけ人だかりができていたと言っていました。

温泉が冷えた体を温めてくれました。温泉を出た後の恒例のアイスを食べながら、たまたま同じ時間になったサイトロンスタッフさんと、画像処理の反応の大きさとかについて話していました。

部屋に戻って、初日朝にかった菓子パンをひとつだけ食べて(結局この日の夕食はこれだけでした)、疲れ果てて寝てしまいました。でもかなり満足した疲れでした。


3日目

朝ちょっとゆっくりめに起きて、8時頃から朝食に。休日ということもあり、子供づれの家族もたくさんいて、かなり混んでいて2階の空いている席に案内されました。昨晩はほとんど何も食べてなかったので、朝はやっとお腹が空いてそこそこ食べることができました。でも調子に乗ってまた食べ過ぎてしまい、この日も昼食抜きとなってしまいました。

朝食後は荷物をまとめてチェックアウトです。その後に、第1会場に少しだけ寄ってみると、エーデルワイス内の片付けはすでに終わっていて、キャンプ会場も撤収をしている方が多かったです。会場に残っていた何人かの方と挨拶をして、星フェス会場を後にします。

帰り道は、来た時の佐久経由ではなく、松本経由にしました。来るときに通れなかった、メルヘン街道を行ってみます。昨年より開催時期が一月近く早くなり、雪や道路が凍る心配もないので、一度走ってみたかったのです。でも、昨年までに実際通ってきた人から聞いていたのは「かなりの悪路で、あまり使いたくない」という声です。砂利道か何かなのかと想像していたのですが、実際通ってみたら全然そんなことはなく、多少クネクネしているものの、全然普通に通れる道です。アスファルトも少し凸凹していたところもありますが、富山の地元の山の狭い道とかと比べたら全然まともでした。しかもちょうど紅葉シーズンです。下の方はまだ少し早く、最高高度近くはもう葉っぱが散っているような状況だったので、高さに応じて紅葉度合いが楽しめ、とてもきれいでした。道には宣伝の看板なども皆無で、頂上あたりは尾根沿いにあたるのか、クネクネ道も少なく、昔海外にいた頃に走った道を思い出しました。

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メルヘン街道も頂上を越えどんどん進んでいくと、高度もだんだん下がり紅葉をピークから早い状態へと逆戻りしていきます。別荘がが出てきて、レストランとかの店も出てきて、普通の民家も出てきて、最後諏訪の市街地に入り車の渋滞が始まると、とうとうリゾート気分も終わりです。

高速は諏訪ICから松本ICまでで、大した距離ではありません。行きとの高速代の差額は5000円位、距離が100km近く短くなるので、ガソリン代の差額が1500円くらいでやはり無視できない額になります。高速は少しの間なので、諏訪SAに入り、少しお土産を買い、松本で高速をでてすぐに給油。そこから下道なのと、眠くなってしまったので妻に運転を代わってもらい、無事に帰宅しました。


妻の感想

恒例の妻の意見です。今年はどうでしたでしょうか?
  • いつもより1ヶ月近く早いので、紅葉が楽しめてよかった。
  • お風呂は源泉でいつもながらよかった。23時の終了間際だと星を見ていた人がたくさん一度に来るので、混んで大変かもしれない。
  • 去年ほど(自分が)ドタバタしていなかった。初日の夜に一緒に(私Samと)食事ができたからかもしれない。前回は何か行事(古スコ懇親会)があって一人で夕食だったからかも。
  • 何もしない贅沢が素晴らしく快適で、だんだん海外リゾートっぽいイメージになってきた。
  • ホテルの対応もかなりよかった。お客さんが大人数でもドタバタしていなかった。(これは私も思いました。昨年も一昨年に比べかなり改善されたと思いましたが、今年は不満が全然なかったです。)
  • ウェルカムスイーツが想像より本格的だった。
  • やはりここはガトーキングダム(日本語で「お菓子の王国」?)の名に恥じない夢にまで見た「お菓子の城」だった。でも食べすぎた。さすがシャトレーゼ。(妻は普段からシャトレーゼの大ファンです。)
  • お腹をこなすのに、美術館まで散歩で往復した。適度な距離で楽しかった。
  • 佐久ICからの、高い所を走る天空の道のような高速道路(実際には無料の道路)も良かったが、帰りの諏訪へ向かうメルヘン街道もすごくよかった。
とのことです。どうやら今年はほとんど不満もなく、いつもの辛口批評も口を潜めています。見ている限りかなり満足していたようでした。星に関してほとんど感想がなかったので、星以外で十分楽しんでいたということでしょうか。あまり相手ができなかったので、私としては勝手に楽しんでくれていたようでありがたいのですが...。


まとめとお礼

最後にですが、今回の星フェス、私としてはとても充実していて、十分に楽しむことができました。講演とデモがあり、準備なども含めると時間が少し足りないくらいで、もっと現場をゆっくり見て、他の方ともたくさんお話ししたかったというのも少しありますが、多分体力的にもほぼ限界かと思います。

会場では至る所でボランティアさんたちが、会場の設営準備から星フェスの役割分担までたくさんのことをこなしてくれていました。本当にありがとうございました。主催のテレスコ工房のSさんには、講演のお誘いから、星フェス開催までの相談など、大変お世話になりました。今回の星フェスは、これまでとは違ったエーデルワイスという新たな会場で、特に寒い夜など相当快適でした。まだまだこの星フェスは進化し続けるのではと思わせてくれました。今年も開催までにおそらく相当な困難がたくさんあったかと思います。それでも3日間、楽しい星フェスとなったのは、Sさんはじめ、スタッフの方々、ボランティアの方々のお力のおかげかと思います。心から感謝しています。小海の星フェスは、今では完全に日本の大型星まつりの一翼を担っています。できることなら来年以降も続いてほしいと、心から思います。私自身も来年以降も微力ながらも協力できればと思っています。

とにかく楽しかったー!!!


 



2023年8月12日、長野県大鹿村で星空観望会がありました。志賀高原で望遠鏡操作でお世話になったKさんを中心に、村をあげて盛り上げようとしている観望会です。


名古屋から大鹿村へ

8月11日(金)は山の日で休日。前日の木曜のうちに、仕事を終えてから実家の名古屋による移動し、金曜は母を連れて少し早いですがお盆のお墓参りです。その帰り道、そのまま母を連れて名古屋で唯一の天文ショップ「SCORPIO」に行ってきました。天文ショップなど初めての母は、展示されている望遠鏡の数とその値段に圧倒されたようです。店長さんが母にPSTで太陽を見せてくれて、はじめて見たプロミネンスに驚きの声をあげていました。おしゃべり好きの母は、店長さんとも散々話した後に、岡崎から来たというお客さんとも話だし、何でこんな趣味にのめり込むのか色々聞いていました。最後は母と私と、そのお客さんの3人で奥のサイトロンショールームに行って、そこでも機材を見ながら3人で色々話していました。私は最近は天文関連のアイテムはそこそこ揃ってしまっていて、この日もそこまで必要なものもなく買い物せずに帰ってきてしまったので、店長さんには大変申し訳なかったのですが、一番最初に天文機材を購入してとてもお世話になったショップなので、名古屋に帰った際はできる限り顔を出そうと思っています。

次の日の12日の土曜はどうするか迷っていたのですが、せっかく名古屋にいるので、ここからなら大鹿村に行くのもそこまで大変でないと思い、朝10時頃に実家を出て小牧インターから中央道に入り、大鹿村に向かうことにしました。 

ここ10年は富山の田舎暮らしで、高速の渋滞というものにあまり慣れていないので、少しの渋滞でも大渋滞に感じてしまいます。お盆だからでしょうか、中津川から恵那あたりまで断続的に渋滞でした。その後は順調に高速も流れて、目的の松川インターを13時頃に降りました。調べた限りコンビニがインター近くの松川町内にしか無いようなので、最初のローソンで念のために晩ごはん(冷やし中華)まで買い込み、クーラーボックスに詰め込みました。昼ごはんはどうしようと調べてみると、大鹿村の道の駅が評判がいいようです。大鹿村はインターを降りてもまだ20km以上奥になります。道の駅のレストランは14時半に閉まってしまうそうなので、道を急ぎます。


大鹿村で観光

14時になる15分位前に大鹿村の道の駅に到着。すぐにレストランに向かいます。

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お目当ては1日限定20食という鹿肉のステーキです。まだ残っているようで、1500円とランチとしては少し豪華ですが、早速注文します。

車で走っていても、大鹿村に入ったあたりから景色がとても綺麗なことに気づきます。鹿肉ステーキができるを待っている間に、レストラン内から外を見ると、雄大な景色が広がっています。そこから見える、下の写真の断崖になっているところの下が、今日の観望会が開かれる西山公園になります。

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出てきたものがこれです。

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なにこれ!めちゃくちゃ美味しいです。鹿の肉というのでクセがあるのかと思っていたのですが、大鹿村名物の塩だけのシンプルな味付けで食べても、全く臭みが感じられません。すごく上質な赤身で十分ボリュームのあるステーキです。付け合わせの豆腐も濃厚な味わいです。道の駅でこんなジビエ料理が食べられるなんて、これだけでもう来た甲斐があったというものです。

この道の駅でもう一つ頼んだのが、これも大鹿村の名物のブルーベリーを使ったジェラートです。

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こちらもブルーベリーの味が濃厚で、甘味も控えめ。ものすごく美味しかったです。実はジェラートはもう一種類あって、鹿肉ステーキでも付いてきた大鹿村名物の塩を使ったミルク味のものです。この道の駅のショップは18時まで空いているということらしいので、また後から来て塩ミルクジェラート食べようと思っていたのですが、結局観望会が始まってしまうと時間がなくて来ることができませんでした。無理してでもこの時に食べておけばよかったと後悔しています。

道の駅にも今回の星空観望会のポスターが貼ってありました。これを見てきてくれるお客さんもいるのかと思います。

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お腹もいっぱいになったところで、せっかくなので車で5分も行かないくらいの、すぐ近くの中央構造線博物館へ見学に行きます。
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庭も建物の中も石で一杯です。ここでは中央構造線とは何か?この博物館が中央構造線の上に立っていることなどがわかります。そして今日の観望会会場の上の、大きな断崖ができた訳などを知ることができます。私は地学系はあまり詳しくないのですが、地学好きなひとにはたまらない博物館なのかと思います。


観望会会場の西山公園へ

一通りの観光も終えて15時前、そろそろ集合時間に近くなってきたので、観望会会場の西山公園に移動します。と言っても、これも車で5分くらいなので、すぐ近くです。坂を上がって公園に到着。ちょうど開会式が始まろうとしているところでした。主催者のKさんがすぐに私のことに気づいてくれましたが、開会式に水をさしてしまったようで申し訳なかったです。

私もそのまま開会式に合流、Kさんはじめ、村長さんでしたでしょうか、何人かの方の挨拶があったのですが、実はKさんは仕事を退職してからの移住組で、村会議員さんになられたとのこと。外から来て議員さんになるというのはよほど信頼されないとダメなはずです。そのKさんが中心となってやられている星空観望会は、村を挙げて力を入れている行事なのかと思います。

そもそもこの観望界の目的が、大鹿村の人たち、特におっしゃっていたのは60人くらいる子供達に見てほしいということでした。その熱意に応えて、全国からアマチュア天文家が集まってくるのかと思います。そのため、お客さんが来るまでは、久しぶりに顔を合わせたアマチュア天文家同士の同窓会のような雰囲気です。私も知っている方が何人もいましたので、すぐに溶け込むことができました。

そんな中、久しぶりにお会いしたマリーチさんと長話しをしてしまいました。なんでもマリーチさんは

「理論武装してからでないと、なかなか機材を触ることができない」

そうです。私なんかは全く逆で、

「とりあえず一通り触ってみてから、そこからマニュアルを読んだりします」

とか話しました。

「そうするとどこがわかっていなかったか、あと、マニュアルといえど完璧じゃないとわかって、マニュアルに書いていない機能があることもよく気づいたりするんですよ」

と続けて話しました。実際にその後マニュアルで気づかされたことや、調べたことをもとにさらに機材を使い込むのですが、やはりこの繰り返しのプロセスが大事なのかと思います。マリーチさんは

「昔CADで設計とかやっていた」とのことですが、「今はPCが苦手で計算機工学を勉強してからPCを触ろうと思っている」

ということでしたが、話をした後は

「帰ってからすぐにPCも今まで触っていなかったカメラとかも、試してみる」

と仰っていました。よく考えたらいままでマリーチさんとは何度も会っているのですが、長く話したことはなかったと思います。今回はとてもいい機会でした。

会場は着々と準備が進んでいます。ドブソニアン望遠鏡だけでも10台近くあったのではないでしょうか。

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この観望会はポスターの下の方をよく見ると書いてあるのですが、「気ままに星空観望仲間」の方達が中心メンバーとなっています。Kさんもその中のメンバーだそうです。眼視に力を入れている方が多いとのことで、このドブソニアン望遠鏡の充実ぶりも納得です。

途中様々な方から、ミニトマト、枝豆、天ぷら饅頭、鹿肉焼き、オレンジジュースなどたくさんの差し入れがありました。差し入れをつまみながら、天文仲間と話して過ごす時間はとても貴重なものでした。

私の方の機材はというと、電視観望が2台、星座ビノが8台体制です。

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電視観望はどうしてもモニターが明るくなるので、眼視の邪魔になることがあり、車を影にメインの場所とは少し離れた場所に設置しました。といっても入り口から一番近い場所になるので、お客さんには目につきやすかったと思います。

暑かった太陽も西に見える断崖の下に沈み、やっと涼しくなってきました。
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星空観望会開始!

その後、徐々に空も暗くなってくると、お客さんらしき方たちの姿がポチポチと見え始めます。まだ雲が多かったのですが、星座ビノを使うと一番星で西の断崖の少し上の雲の合間にアークトゥスルが見えました。

「星が見えますよー!」

と声を上げると、続々とお客さんが集まってきます。すかさず、35mmレンズとASI294MCで広角の電視観望でも星を映し出します。電視観望は星はもちろんですが、雲もはっきり見えるので、画面を見てもらって雲の形を確認してもらって、実際の空でその雲の位置を確認してもらって、星座ビノで見てもらうと

「見えたー!!」

という声が随所で上がります。そのうちに肉眼でも見える人が出てきます。

その頃にはベガも見え始め、電視観望ではベガだけではなく三角形と平行四辺形を映し出し、こと座の形を認識してもらいます。この時間帯は星座ビノがとても楽しいです。「星座ビノだとこと座の形がわかりますよー!誰が一番早く見えるでしょうか?」とかいうと、皆さん競争で見ようとしてくれます。しかもこの日は曇りがちの空なので、星座ビノの威力がさらに増します。薄い雲越しなら目では見えない星も正座ビノだと見えることがあります。

さらに時間が立つと、電視観望で雲の間や雲ごしにものすごい数の星が見えてきました。目で見るだけだとほとんど何も見えない状況でも、高感度カメラの力を借りるとちょっと想像できないくらいの星が隠れているのに皆さん驚かれます。それでもこの日はあいにく天気で、唯一まともに見せることができたのが、南の空がいっとき雲が薄くなった時にライブスタックしながら放っておいた天の川です。

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雲が出ていましたがさすが大鹿村の空、天の川の濃淡がすごいことになっていて、しかもアンタレスのカラフルタウンの色まで出始めています。左の方にはM8とM20もはっきり写っています。6.4秒で86フレームのスタックなので約10分ですが、その一方でスタックに使われなかったものが157フレームあるというので、途中から雲がひどくなってきたのかと思います。ライブスタックは悪い状況だとスタックするのをやめる(星がみえないので位置合わせができないと言った方がいいかも)ので、こんな状況でも適度にいい画面を作ってくれて便利です。

その後、星雲用の電視観望も準備しましたが、とにかく星が出ていないので初期アラインメントに苦労しました。アライメントには持てる限りの手段を駆使したのですが、少し時間を食ってしまい、星が見えている時間を逃してしまってもったいなかったです。

それでもこの手法は、かなり曇り空でホントに極一部だけ星が見えている場合にもかなり有効で、せっかくなので手段を書いておきます。以下のような手順になります。
  1. 初期アラインメントで、適当な見えない星を導入。
  2. 初期アランメントを終了せずにマニュアルでどこか少しでも星が見えるエリアに適当に移動。
  3. SharpCapのプレートソルブの4つのオプションの一番下の「オフセットだけを合わせる」で正しい位置に持ってくる。
  4. 星は見えなくても正しいと思いそこで初期アラインメントを完了する。
これで、自動導入をするときちんとターゲットに移動するはずです。架台の水平がキモですので、水平だしはきちんとするようにしてください。この原理については、別途ブログ記事を準備しているので、詳しくはそちらで解説する予定です。

この方法で、今回は唯一M16だけ入れることができ、一部のお客さんに見せることができましたが、再ライブスタックではM16は雲で見えなくなってしまいました。その後も晴れることはなく、何も導入することはできなくて、最後21時半頃には雨が降ってきてしまいました。


泣く泣く撤収

流石に雨ではどうしようもないので、機材はすぐに撤収です。片付けながら、トランクのドアを屋根がわりにお客さんと話していたりしたのですが、ちょうどお隣に車を泊めていたギルモアさんと雨の中かなり長話してしまいました。観望会の最初の頃お客さんがたくさんいた時に、色々会話しながら、ときにはクイズ形式で天の川は何かとか、なぜ星が集まっているのかとか、夏の天の川と冬の天の川と我々がいる銀河との位置関係とか、特に子供達に考えてもらっていたことが話題になりました。私は観望会では電視観望で周りに人が囲むように集まってくるので、こういったお話でお客さんと互いにやりとりしながら、進めていく形式をよくとります。でもこの方式は望遠鏡を見るために一列に並ぶような形式だとちょっと難しいので、ギルモアさんの目には珍しいやり方だと写ったのかもしれません。こんな観望会のやり方だとか、来年はどうなるかとか、雨の中ずっと話していて、とても感慨深いものになりました。

こんなふうにかなり広い地域から集まるアマチュア天文家同士で交流できる大鹿村の観望会は、地域の観望会としては非常に珍しいものかと思います。とても雰囲気がいいので、今後もKさんを中心に続いていけばいいなあと実感しました。

22時過ぎでしょうか、雨も止まないので一旦車の中に入りやっと夕食です。といっても来る途中のコンビニで買ってきた冷やし中華ですが、お腹が空いていたのでおいしかったです。観望会の時は暗くなる途中も楽しい時間なので、早めに食事をとっておくか、終わってから遅めの夕食にするかのどちらかですね。この日は雨だったのでまだましで、晴れていたら夢中で、多分夜中過ぎの夕食になっていたかと思います。

食事を終えて少しのんびりしてから外に出てみると、雨は上がっていて一部に星も見えていました。一番見えた時で、天頂付近に天の川「らしき」ものが確認できたのが最後で、また曇ってしまい、最後は会場全体が雲の中に入ったような状態になってしまいました。

23時40分くらいだったでしょうか、ここで会場を後に、富山への帰路につきました。そのまま中央道に入り、松本インターで出てから安房峠越えのルートを撮りました。自宅に着いたのは午前4時前くらいで、やはり名古屋から大鹿村に行くよりは少し遠いです。自宅到着後は、流石にそのまますぐに寝てしまいました。

Kさんはじめ、会場にいらした皆様、とても雰囲気の良い観望会で、初参加にもかかわらず私もすごく楽しむことができました。富山からだと少し遠いのですが、時間が許すならまた来年以降も参加したいと思います。本当にありがとうございました。


エピローグ

今回の大鹿村観望会は天気が良ければペルセウス流星群が見えたはずです。極大日は次の日の13日で、一旦富山の自宅に戻り、昼から飛騨コスモス天文台に行きました。

ドームのスリットドアが動かなくて故障していたので
、交換モーターを持っていきました。無事に交換でスリットが動くことが分かったのですが、まだ開閉スイッチがうまく動かないという問題が残っているので、これは次回以降に直すことに。肝心の天気が全くダメで、星一つ見えませんでした。光っているのは雷ばかりで、飛騨市で開催れている花火大会の光がちらほらくらいでした。途中雨も降ったり止んだりして20時半ごろまでいましたが、雨も本降りになってきて流石に諦めて解散となりました。

帰り道もずっと雨で、富山だったらまだ見えるかと思いましたが、自宅も雨でこの日は諦めました。よく考えたら、飛騨コスモスで星も何も見えなかったのは初めてのことで、とうとう晴れ男の名も地に落ちてしまいました。

台風も近づいてくるようです。今夜は自宅でもしかしてとも思っていましたが富山は厳しそうです。今年はペルセウス座流星群は厳しそうです。


2023年8月4日(金)、富山の環水公園で「とやまスターウォッチング」がありました。

コロナ前までは毎年開催れていましたが、平日開催ということもあり、これまで参加したことはなく、今回が初めての参加となります。


平日の観望会

この日は金曜。平日なので、仕事が終わってからの参加になります。18時集合ということで頑張って早めに職場を出ますが、距離もあるのでさすがに間に合いません。結局18時半過ぎに会場に着きましたが、 19時には機材持ち込みした人向けの説明会があるというので、すぐにセットアップを開始します。幸いなことに、まだ機材搬入用に確保してある駐車スペースも残っていたので、観望場所のすぐ近くに車を駐めることができ、何度か車と行き来するのも楽でありがたかったです。

今回の機材です。
  1. 天の川を見るための、NIKKORの35mm 、F1.4のレンズとASI294MCで広角電視観望
  2. 星雲星団などのための、いつものFMA135+Uranus C+AZ-GTi
  3. 子供に解放するSCORPTECHの屈折
  4. 星座ビノを4台
と4種体制です。さらに、外部モニターをつないで対面からも見えるようにしています。ただし、PCは2台に対してモニターは1台なので、随時見栄えの良い方を切り替えることになります。

メインの天の川広角電視観望については、前回の記事で詳しく説明しています。




セットアップ

機材準備は順調に進み、まだ明るいですが星が見え始めます。肉眼ではアークトゥルスが最初でしたでしょうか。星座ビノではすでに他の星もたくさん見えるので、何人かの方には試してもらいました。また、肉眼でベガが見えるか見えないかの状態でも、広角電視観望ではベガを含む、こと座の形まではっきりとわかります。

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程なくして19時過ぎになります。機材設置者向けの説明会が始まります。コロナ前までは例年200人ほどのお客さんが来ていたとのこと。すでにお客さんと思われる一般の方もちらほら来始めている様です。

周りを見渡すと、望遠鏡がズラーっと並んでいます。全部で17台はあったとのことです。
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中央右に見える大きなドブはかんたろうさんの45cmです。

目玉の一つがPENTAXの口径150mmの屈折とMS-5でしょう。鏡筒だけで32kg、赤道儀は100数十kgだとうのことです。大きいです。
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学生さんの参加もありました。富山県立大の天文部と、富山大の天文同好会です。県立大の学生は先輩が組み立てたという自作のドブソニアンを、富山大の学生はVixenの鏡筒とタカハシのFC-76を出していました。若い人が参加してくれるのはいいですね。

富山大の学生さんがVixenの赤道儀で導入がうまくいかないと悩んでいたのですが、今度一緒にやれたらという話になりました。いまだに一度もうまく自動導入できたことがないとのことです。名刺を渡しておいたので、ぜひとも連絡待ってます。


観望会開始

説明会終了後は、観望会の始まりです。たくさんの人が来ていましたが、望遠鏡の数も十分にあったので、ストレス無く見えていたのではないでしょうか。夕方少し雲があったので心配だったのですが、観望会ちゅうは見るものに困ることがないくらいは晴れてくれていました。19時半からはスライドでの星の解説があり、そちらも盛況だったようです。

自分の機材に関してですが、まず天の川は大成功。富山なら街中でも全く遜色なく見えることがわかりました。この日は雲も出ていましたし、透明度は全く良くなかったので、まだ余裕がある感じです。

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これまで天の川を見たことがない人も多く、「初めて見た」と言う人や「暗いところでしか見えないと思った」という感想が多かったです。

外部モニターを追加して対面で見えるようにしたこともかなり効いていて、特に大人数の観望会ではお客さんも見やすくなると思いますし、説明もしやすくなります。ただし、天の川を表示していても天の川と認識してもらえるわけではなく、きちんと説明しなくてはならないと思いました。天の川を見たことがある詳しい方はすぐに「おおー」となるのですが、そもそも天の川を見たことがない人には「このモジャモジャしている背景が天の川です」というように説明する必要があることを実感しました。もっと広角のレンズを使っても良いのですが、同時に射手座あたりの星雲の認識までしようとすると、35mm+フォーサーズくらいが限界の気もしました。

星雲用の電視観望ですが、(説明会開始前の)肉眼で星が見えるかどうかわからないくらい明るいうちからM27が見えたり、最初絶好調だったのですが、途中AZ-GTiが動かなくなってしまいました。なんのことはないバッテリー切れで、そういえば志賀高原以来バッテリーを替えずに自宅でも何度か試していたのに、電池交換のことをすっかり忘れていました。予備バッテリーは常備しているので、交換でことなきを得たのですが、時間を食われてしまって見せる方があまり充実しなかったので反省です。

ちなみに電池が切れるとWiFiはまだ繋がっているのですが、まずはモーターが全く動かなくなります。繋がっているのに動きに反応がなくなるときは電池切れを疑うべきです。というより、観望会前は電池交換くらいしておけってことっですね。

星雲の方は画面を残すのも忘れてしまっていたので、オートセーブで残っていたものだけ載せておきます。実際に見たものは大したことがなくて、M27、M57、北アメリカ星雲くらいで、今回は天の川の方が完全に主役でした。

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長時間放っておいたものなので、画面が回転してしまっています。

さらに、今回1番の失敗はその場で使ってもらうSCORPTECHでした。電視観望2台体制で、それに加えて2穴ファインダーの説明をするのはちょっと厳しかったです。それよりも、途中から経緯台の水平方向の粗動が噛んでしまったようで全く動かず、微動しかできなかったのが致命的でした。その微動もかなり固くて、最後は微動ハンドルの取っ手の部分がもげてしまい、操作不能になってしまいました。子供もたくさん来ていて、使いたさそうにしていたので、とても申し訳なかったです。

経緯台は自宅に帰ってからすぐに修理しました。水平方向の固定ネジを固く閉めすぎていたのが原因で、壊れた微動ハンドルは手持ちのものと取り替えました。元の値段が星まつり特価で、子供たちに壊すくらいにまで使い込んでもらえば本望と思っていて、今後もまだまた活躍してもらう予定です。

途中、Kenkoの入門機のSKY WALKER SW-0を持ってきた方がいました。使い方がわからないとのことでしたが、残念ながらアイピースが付いていませんでした。アメリカンサイズならまだなんとかなったのですが、SW-0の場合は1インチアイピースなので手持ちもなく、どうすることもできませんでした。

望遠鏡を持っていても使い方がわからないとう方も多いと思うので、自分の望遠鏡を持ち込んで、詳しい人が使い方を教えるということを主においた観望会とかがあっても良いのかと思います。これは今回のような県や市がやるというよりは、やはり我々のような市民同好会的なところが企画するのが良いのかと思います。もしくは科学館とかでしょうか。


観望会終了

今回の観望会は21時までなので、あっという間に時間は経ってしまいました。機材のミスで時間を食ってしまうのは致命的なので、これからもよりシンプルで安定な構成と、事前の機材チェック、あと欲張って機材を出しすぎないことを心がけたいと思います。

機材の片付けもみなさん順調で、21時半前にはほぼ全ての機材が片付けられれていて、私も21時半には会場を後にしました。22時には駐車場が閉まってしまうそうです。

個人的には結構失敗も多い観望会でしたが、それでも多くのお客さんと話せたり、県天メンバーや学生さんたちとも話すことができ、楽しく過ごせました。


追記:「スターウォッチング」という単語

ついでに調べてたんですが、 star watchingっていう英語は日本以外にほとんど見つけることが出来ませんでした。英語ではstar gazingが一般的なようですから、star watchingと書くのはおそらく和製英語です。日本でもスターゲイジングと呼ぶことも少しはあるみたいですが、スターウォッチングは環境省でも使っているので、こちらのほうがはるかに一般的なようです。誰かが最初にスターウォッチングと名付けたのか、自然発生的に定着したのか、初めてこの単語が出てきたのはいつくらいのことなんでしょう?

アマチュア天文業界には他にもまだまだ和製英語がたくさんありそうです。例えば私も最近使いましたが「ノータッチガイド」とか。海外の単語にこだわらずに、日本語として伝わればいいということかと思います。

富山の街中で観望会があり、できることなら天の川を見せたくて、広角の電視観望で見せることができないか、前日に自宅で練習してみました。


天の川のための広角電視観望

富山県主催のスターウォッチングがあるのですが、今回広角電視観望を使って天の川をお客さんに見せることができないか考えてみました。前日の夜に自宅で練習してみました。

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十分な広角なので、PCの画面を見ながらの手動での導入です。

試した機材のセットアップを詳しく書いておきます。
  • 望遠鏡代わりに1970年台の古いNIKKORレンズの35mm、F1.4、これを2.0に絞って使用しました。F1.4だと明るい星にハロが出てしまうので、1段だけ絞っています。これと、後述の光害防止フィルターでハロはほぼ抑えることができました。
  • カメラは広角狙いでASI294MCです。気軽に操作したいので冷却とかは無しです。ホットピクセルについてはSharpCapの「ダーク補正」の「Hot Pixel Removal Only」を選び、簡易補正で済ませます。
  • フィルターはQBP IIIを使用しました。天の川なので色再現はあまり意味がないですが、それでも色バランスが多少難しくなるQBP IIIで、天の川っぽい色にすることは十分に可能なようです。
  • 三脚は普通のカメラ三脚に自由雲台です。広角なので完全マニュアル導入。自動追尾も無しです。

結果としては下の画像のように天の川を十分に見ることができました。6.4秒露光で、ライブスタックで17枚加算。総露光は2分弱の109秒。この程度で天の川の形まではっきりとわかります。

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小さいですが、M8、M20、M17、M16などの星雲もハッキリと見えています。星雲でなく、普通の雲の流れも見えているので、多少雲があってもなんとかなりそうです。

ポイントは、これくらいの広角でもSharpCapのライブスタックが余裕で機能し、時間を追うごとに天の川がはっきりくっきり出てくるところです。ただし、それらしく見せるのは少しコツが必要そうです。メモ程度ですが書いておきます。
  • カラーバランスはオートだと少し赤が強過ぎたり、青が弱すぎたりします。ライブスタック時の右側のカラーバーで微調整するといいでしょう。
  • 明るさもかなり微調整が必要かと思います。特にオートストレッチの効きをよくするために、β版のSharpCap、バージョン4.1.10931を使い、「背景減算」を一番下の「低周波」か、一つ上の「非線形勾配除去」を使います。これで画面がフラット化されます。その上でライブスタック上でオートストレッチを使うとより淡い光量の差をあぶり出すことができます。それでもさらに微調整が必要で、少しだけ左2本の線の間隔を広げて、最後右パネルのヒストグラムで見た目でいいくらいに仕上げます。

上の通り、街の中心からは少し離れている自宅では天の川を余裕で出すことが出来ました。ちなみに、自宅がある場所では年数回透明度のすごくいい日に天の川が薄っすら見えることがあるくらいです。でもこの日はカスリもしないくらい、目では天の川は全く見えることはありませんでした。

ついでにもう一枚、屋根の横の北アメリカ星雲です。35mmの広角ならではで、自宅と星雲が同時に見え、リアルタイム観望感が味わえます、こういったのも電視観望の楽しみ方の一つかと思います。

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まとめ

広角電視観望で天の川を見ることを試してみました。画面にはっきり出すのは少しコツが必要そうですが、十分に見ることができるくらいにはなります。機材や設定値は一例ですが、まだいろんなパラメータを試すことができそうです。

さて自宅ではうまく出ましたが、これが市の中心街にかなり近い環水公園でどこまで見えるのか?それとも全く見えないのか?結果が楽しみです。


志賀高原天空フェス

2022年7月29日と30日に開催された長野県の志賀高原で開催された天空フェス。志賀高原といってもとても広く、今回はその中の熊の湯での開催です。実際には「天空フェスWeek」となっていて、7月25日から31日まで開催されているイベントで、リフトで山頂まで行き、そこから星を眺めるというのがメインです。元々は会場周辺に泊まっている宿泊客のためのイベントだったらしく、そのWeekの中の今回は週末の29、30日が特別イベントという位置付けになるようです。さらに、8月8日から14日までが横手山での天空フェスWeekで12、13日がKYOEIさんがスポンサーの特別イベント、9月23日、24日が山の駅でのイベントになります。

今回、私が電視観望のセミナーとして呼ばれたのも、サイトロンさんがスポンサーになっているからなのですが、そもそも天文関連の会社がスポンサーになるのも今年が初めてとのことで、そのため天文マニアにはこれまであまり知られていないイベントだったようです。

今年は今後まだ、横手山と山の駅でのイベントもありますので、参加される場合の楽しみ方の例も含めて記事にしておきたいと思います。


昼の志賀高原

せっかく志賀高原に来たので、昼間も少し楽しみます。

私が志賀高原に来たのは、まだバブル期だった学生の頃の冬のバスツアーのスキー以来。東京から夜行で長い時間をかけて移動したのを覚えています。夏に来たことはこれまでなく、今回は富山から上越JCTで上信越道に入り、信州中野インターチェンジで降り下道を30分ほど走ります。知らなかったのですが、志賀高原まで来ると草津温泉も下道であと数十kmで、関東からは草津から抜けてくる車も多いとのことです。志賀高原一帯の地名はスキーの時のものをまだよく覚えていて、一ノ瀬、焼額山、丸池、横手山など、今回の熊の湯もふくめて馴染みがあります。確かスキーの時にはローカルなバスが運行されていて、そのバスでスキー場間を移動していました。

今回夏に志賀高原に来て、ずいぶん印象が変わりました。インターチェンジを降りた中野市から国道292号線で志賀高原まで続くのですが、山に入るとどんどん標高が高くなり、志賀高原エリアにはいると沢山の池があることがわかります。丸池だとか蓮池なんかはスキー場の名前としても覚えていました。どうもこの辺り一帯が湿原エリアになっていて、池と池を結ぶ歩道が整備されているようです。さらに、サマーリフトと呼ばれる夏に運行しているリフトがあり、今回も熊の湯の丸山リフトというのを使い、200mくらい上にある高原エリアまで運んでもらいました。

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この日宿泊する予定の熊の湯ホテルです。
天空フェス会場は左の道を奥に歩いていったところです。

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ホテルから歩いて数分のところにあるサマーリフトの一つ、丸山リフトです。


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リフトを降りたところ。たくさんの登山客がいます。

リフトで上に登ると沢山の登山者がいて、多くの人が大沼池を目指します。この池はかなり奥にあり、徒歩でしかいけないようです。私はセミナーの準備も残っていたので、ここから近くの渋池まで少しだけ歩いて引き返し、帰りはリフトを使わずに徒歩で下って少しだけ山の散策を楽しみました。一緒に行った妻は4時間くらい歩いてきたようで、帰ってきたら疲れ果てていました。聞いたら、志賀山と裏志賀山に登ってきたとのこと。途中の道が狭くて細くて岩だらけだったらしく、簡単な四十八池の方に行けばよかったと言っていました。

他にも池巡りの湿原コースなどが志賀高原全域にあるようなので、昼は山歩き散歩を楽しみ、夜は星空フェスを楽しむとかで、夜だけでなく総合的に楽しむのがいいのかと思いました。


会場の下見とセミナー準備

さて、妻が登山に行っている間、私はセミナーの準備と会場の下見です。会場は熊の湯キャンプ場で、受付やセミナー会場は3階建ての建物の中です。

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まだサイトロンのスタッフも来ていなくて、キッチンカーがちょうど到着して準備を始めているところでした。キャンプ場のスタッフの方にセミナーとの下見ですと声をかけると、星を見る場所やキャンプをする場所などを案内してくれました。「よかったら山頂の星見会場も見ますか?」というので、お言葉に甘えてリフトに乗って山頂へ。

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途中景色がきれいで、風が気持ちよく最高でした。この時の天気はというと、雲間に青空が一部見えるくらいです。これくらいでもいいので、せめて夜に星が見えればとこの時は考えていました。

山頂に着くとなんとハンモックが!ここで寝ながら星が見えたら最高でしょう。この時は気づかなかったのですが、後から聞いたら下界も見えるそうで、夜になるとその光が綺麗とのことです。

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ハンモックで寝っ転がっていたら、スズメバチがまとわりついてきて退散。そのまま帰りのリフトに乗ります。ところがこれが怖い怖い...。景色が見える昼間だから一層だと思いますが、そのまま落ちていきそうな感覚でした。よく考えたら下にくだるリフトってほとんど乗ったことがなかったかもしれません。

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熊の湯では昨年からキャンプ場をオープしたとのことで、スキー場下部の芝生の広いスペースに自由にテントを張ることができます。申し込みは下の写真のようなチケット販売機でできるようです。

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この時にもすでに一張りテントが設営されていました。後で分かったのですがこのテントの方も電視観望セミナー参加者で、前日から泊まられていたそうです。

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一旦ここでホテルに戻り、チェックイン。ロビーで待っている間に、たまたま同席した旅行会社の人と話しました。この日は都心からの中学校の2年生が林間学校に来ていて、ここ一帯のいくつかのホテルに分散して泊まっているとのことです。この方、最初私のことを引率の先生と間違えて話しかけてきたようでした。でも旅行会社の人も今回の天空フェスのこと知らなかったみたいで、ちょっと意外でした。その後、本当の先生も現れ「引率大変ですね」とか話していたのですが、中学生は天空フェスには参加できないんだろうなと思うと、せっかくの機会のはずなのにちょっと残念でした。有料イベントなので仕方ないこともありますが、ホテルのエレベーターにさえ「中学校の生徒は使用しないでください」と張り紙がしてあるくらいなので、かなり行動が制限されているのかと思います。

チェックインの後、再び会場に行くと、間もなくサイトロンのスタッフさんも到着して、設営が始まります。2階はサイトロンのブースになり、天文機材や書籍、アクセサリーなどが並びます。

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セミナー会場も準備ができました。この日紹介するつもりなのが、架台がAZ-GTi、鏡筒とカメラがNEWTONY+Ceres-CとFMA135+Uranus-Cです。プロジェクターがすごかったです。真上にレンズが付いていて、スクリーンから30cmの距離で投影可能な最新型だそうです。

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スタッフと一緒にスライドを一通りチェックして、代替準備完了。一旦ホテルの部屋に戻り、30分くらい仮眠をとり、17時過ぎに会場に向かいました。


電視観望セミナー

2階のサイトロンブースの前では、お客さんが何人かいて、今日のセミナーを受講してくれるという方もいました。

話してみると、電視観望を始めたはいいがなかなかうまく行っていないとのこと。なんとかしたくて今回参加を決めたようです。まだ時間があったので少し聞いてみると、まず鏡筒がMAK127であること。MAK127は焦点距離が1500mmと長くて視野がかなり狭くなるので、初心者が導入するにはかなり厳しいと思います。カメラはNeptune-C IIを使っていて、もう少し視野を広げようとしてどこかの電視観望を説明している動画でASI482MCがいいといっていたので買って試したが、全くうまくいかないとのことでした。あのカメラはピクセルサイズが大きく、一見期待できそうなのですが、オフセットに難ありのようなので、私も結局使ったことがありません。とにかく初期導入に困っているとのことで、プレートソルブを試したいそうなのですが、こちらもうまくいっていないとのこと。聞くとこの日は自分の機材を持ってきているそうなので、せっかくだから一緒にやってみましょうと言って、PCとカメラとAZ-GTiを接続してチェックしてみました。私よりも年上の方だと思いますが、PCの設定もきちんとしてあり、SharpCapやPlayer Oneカメラのドライバー、 SynScan ProやASTAPもインストールされていたりで、かなり使いこなしているようでした。ASCOM関連もPlatformまではインストトールされていたのですが、SynScan Apps用のASCOMドライバーが入っていなかったのが原因でした。改めてインストールし、SharpCapから無事にAZ-GTiに接続もでき、その場では星が見えなかったのでプレートソルブのテスト機能を走らせただけですが、おそらくこれでうまくいくはずです。セミナーの時にも説明はしたのですが、この場でも焦点距離が短い方が楽だということを力説しておきました。

こんなことをしていると、セミナー開始15分くらい前になってしまい、急いで3階にいくと、もう何人かの方は席に着いていました。スタッフさんに聞いてみると、事前申込者が4、人当日申し込みが4人で、合計8人とのこと。平日の夕方からのセミナーで都心からも遠く離れているので、参加もなかなか難しいと思いますが、それでも8人も集まってくれてとてもありがたかったです。

それぞれどこから来たか聞いてみると、やはり関東勢がほとんどです。天体の経験が長い方もいましたが、電視観望の経験はと聞いてみると半分少々が試したことがあるけど、基本的に初心者に近く、いずれもあまりうまくいっていないとのこと。残りの半分切るくらいの人が、興味はあるので始めてみたいという方で、中には天体撮影もやっているベテランに近い方もいるようです。

せっかくの機会なので、わからないところはできるだけ解決してあげたくて「どんどん質問して下さい」と言っていたのですが、セミナーの途中に何度も、セミナーが終わってからもずっと質問が続くような状態でした。今回は有料のセミナーということで、いずれも何か解決したいことがあるというような意気込みを持って参加するような方が多く、皆さん相当熱心にでした。

最後の方の質問で、電視観望でまとまった書籍みたいなのはないかと聞かれたのですが「詳しいものはまだ存在していない」と答えざるを得ないことが非常に残念でした。セミナーの中でもサイトロンで作った「電視観望実践ガイドブック」があるとは伝えたのですが、それも読んだがやはりまだ細かいことがわからないという質問のようです。とうより、最初は何がわからないかもわからず、どこまでできるかもわからないということのようで、考えてみればそれはもっとかもしれません。例えば「SharpCapの有料版があることはわかっていて、どんなことができるようになるかもある程度わかる。でもどの機能が実際に電視観望に有効かを知ろうと思うととても苦労する」というようなことです。確かにこういった細かいことまでまとまった書籍というのは販売されていません。

私のところもブログの記事でしかなく情報が散乱しているので、何か一冊、細かいところまで手が届く書籍のようなものがあるといいのかもしれません。天文ガイドの記事もありますがやはり字数制限もあり、応用編などはどうしても紹介にとどまってしまいます。いつかどこかで、思う存分書けるような一冊を出版できたらと、最近考え始めています。

いずれにせよ、セミナーに参加していただいた方には、今回のスライドと動画を後でお渡しすること、わからないことはいつでも連絡をいただければ応えることをお伝えし、セミナーはここで終了となりました。

30分ほど休憩の後は、外に出ての実際の星空での実演です。休憩といっても用意して頂いていた夕食がわりのホットドックを急いで頬張り、すぐにそのまま機材の準備です。今回時間がなくてキッチンカー巡りができなかったのが心残りです。でもホットドックははみ出るほどの大きなソーセージとチーズがかかっていてとても美味しかったです。


電視観望実演

実演会場は、建物があるところから坂を10m位上ったところで、昼間乗ったリフトとは別のリフトの乗り場の開けたところになります。下の写真に写っている小屋に機材を入れておき、雨の時は退避させ、天気が良ければ出すというような形になります。電源もあるので、今回は大きなプロジェクターを出していました。

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20時半頃に建物の前に集合して、スタッフさんとともに上に上がる予定でしたが、20時20分にいくとすでに何人かは集まっていたので、私と一緒に実演会場まで先に移動してもらいました。ただしこの時点ではかろうじて薄い雲のところから星が見えている程度で「晴れてくれー」と願っているような状況でした。上に登って機材を展開していると、少なくとも南の低いところは星がはっきり見えてきて、さそり座がよく見えてきました。サイトロンスタッフのWさんはすでにセットアップをしていて、AZ-GTiのオフィシャルな赤道儀版とも言える、まだ発売前のSTAR ADVENTURE GTiを試用していました。鏡筒とカメラはWさんも私もFMA135とUranus-Cで、特に相談したわけでもなくかぶってしまいました。それだけ使いやすいということでしょう。

私もセットアップをはじめます。セミナーで話した通り、
  1. 三脚を調整しAZ-GTiの水平と、同じく鏡筒の水平も(水準器を置いてきてしまったので、目分量ですがある程度)とります。
  2. PCとカメラを繋ぎSharpCapで画面に何か見えることを確認します。
  3. PCとAZ-GTiをWi-Fiで接続し、 PC上のSynScan Proから操作し、初期アラインメントをします。
ところが今回珍しく深刻なトラブル発生です。初期アラインメントが全然うまくいかないのです。最初見えていたさそり座のアンタレスで全然画面に入らず失敗。一旦あきらめて、雲が晴れてデネブが見えてきたのでデネブで再度初期導入。これも画面に入らず失敗。AZ-GTiの電源を落とし、改めて水平をきちんと確認し、北も確認し、それでも画面に入らず失敗。惜しいところで入らないとかではなく、10度くらいターゲットからズレるようなので、磁北と真北を間違えたのではと思い、北極星の位置を見ながら確認しても失敗。相変わらず10度くらいのオーダーで全くずれてしまいます。合計4−5回電源を入れるところから繰り返したことになるでしょうか。お客さんがいる観望会でこれだけトラブルのは珍しいというか、ほぼ初めてのことです。一方、プロジェクターに映しているWさんの電視観望セットは絶好調で、次々と天体を映し出していきます。

流石に何かおかしいと思いますが、こういう時こそあせってはダメです。電源がおかしいかとかなど色々考え、あることに気付きました。答えは上の1から3の中にあるのですが、これだけで気付く方いますでしょうか?
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ヒントですが、実際には1から3のうちの3が問題でした。3の何が問題かわかりますでしょうか?
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これ以降答えになります。考えている方は答えをまとめてみてください。
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答えは、PCからAZ-GTiをコントロールしてしまったことがトラブルの原因でした。もう少し詳しく書くと、今回富山から志賀高原に移動して来たわけで、当然緯度経度はかなり違います。最初にスマホのSynScan Proで操作してやれば、スマホのGPS情報が自動的にAZ-GTiに転送されるのですが、GPSを持っていないPCで接続すると過去の緯度経度情報を使ってしまいます。そのため自動導入も全然違った方向を向いてしまったというわけです。

これに気づいてから、スマホで接続して初期アラインメントをすると、これまでの苦労がなんだったのかというくらい素直にデネブが画面内に入りました。このトラブルだけで30分近くロスしてしまったので、実演としては失格です。まあ、途中手動で北アメリカ星雲を入れてライブスタックを見せていて少し場を繋いだことと、初期アラインメントができなければその後何をやっても無駄だということを身をもって示したということで、なんとかお許しいただければと思います。

ここからはこれまでの失態を挽回すべく、どんどん天体を入れていきました。M27を自動導入し実際の電視観望で綺麗に見えることを確認し、M57ではFMA135の短い焦点距離でも十分分解することを示します。時間があまりなくほとんど写真を撮れてなかったのですが、下は数少ない写真の一つで、M8干潟星雲と、M20三裂星雲です。

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この日の空のコンディションの良さと明るい天体ということもあり、6.4秒露光の一発であからさまに画面に鮮やかな星雲が出てくるので、セミナーの受講生も含めて、その場で見ていた方は「おぉー!」というような雰囲気でした。

この頃になると私もやっと余裕も出てきて、改めて空を見上げると全面快晴。プロジェクターの明るさがすぐ近くにあるにもかかわらず、天の川もかなりくっきりと見えていました。実は私の方が見えるようになると、今度はプロジェクターを利用しているWさんの方がトラブってて「天の川で迷子になったー」と叫んでいました。

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上の写真は終了間際の21時50分くらいでしょうか、この頃にはWさんのトラブルも解消し、プロジェクターにはM51子持ち銀河が、私のPCには網状星雲がそれぞれはっきりと見えていました。

この時点でアナウンスが流れて、22時にイベントは終了とのこと。我々もここで片付けとなりました。今回トラブルはありましたが、やはりそれでも快晴の空が全てで、セミナーだけでは説明しきれない説得力を持って電視観望の楽しさを示すことができたと思います。

結局、ちょっと楽しみにしていた夜のリフトはセミナーと実演で時間がなくて乗ることはできませんでした。その代わりに妻が夜にリフトに乗ってくれていて、後から感想をたっぷりと聞かされました。ちょうど空が晴れ渡った21時くらいにに乗ったみたいで「星が目の前に迫ってくるようで、とにかく大迫力。降りたら誰もいなくて星空を独り占めで、天の川はもう普通にはっきりと見えて、下の方にあるさそり座も全部見えた。あと、すごく大きな流れ星(火球だよと教えました)を見たよ。音が聞こえたくらい大きかった。下の明かりもすっごく綺麗。これだけでもう大満足。」とのことでした。


イベントについて

片付けも終わり、ホテル内の温泉に行くと、ちょうどサイトロンの若手のスタッフ2人と一緒になりました。昭和レトロ満載の、すごい雰囲気の温泉です。お湯に浸かりながら、多分1時間くらいは話していたでしょうか。趣味としての星のこと、アマチュア天文の将来、業界の裏話など多岐に渡り、とても楽しかったです。もちろん今回のイベントについても話しました。

その延長ではないですが、今回のイベントについて改善点も含めて、少し書いておきたいと思います。

今回参加して、過去のことも調べて少しわかったのですが、まず認識しておかなければならないのは、このイベントは元々志賀高原での夏の滞在を促すためのものとして立ち上がり、基本的には会場周辺のホテル宿泊者を想定していると思われることです。そして、天文関連の会社にスポンサーを頼んだのは今年が最初のようで、天文マニアにこのイベントの存在が届き始めたはおそらく今回が初めてだったのではということです。

その上で少し議論ですが、まずイベント参加料が2500円ということです。最初少し高いのではと思ったのですが、天文マニアの視点を外して、一般の人が参加することを想像してみます。夏休みのイベントとして高原に旅行に行き、そこで(天気さえ良ければ)極上の星が天の川と共に確実に見えるというなら、この値段もありかなという気がしました。これは妻の反応が物語っていて、リフトがやはりメインであるということです。イベント参加料にはリフト代も含まれています。しかもリフトはその時間の間は乗り放題だそうです(すみません、多分間違いないと思いますが、一応参加時に確認してください)。妻はこれまでもたまには私に付いてきて、濃い天の川も何度も見ています。それでもリフトに乗って山の上に見にいくという体験は初めて。相当迫力があり楽しかったようで、(私は夜にリフトに乗れなかったので)いまだに何度も話してくれます。都会の、普段天の川など全く見えないところから来て、リフトに乗っている時も、山頂についてからも、迫力満"天"の星を楽しめる保証をしてくれるなら、決して悪くないと思ったというわけです。

その一方、普段から光害の少ないところに遠征とかしている天文マニアにとっては、天の川はよく見ているはずなので、参加料の割にそこまで魅力とならないかもしれません。とくに今回セミナーで参加して頂いた方は、ほとんどの時間をセミナーと実演に使ってしまったので、私と同じでリフトに乗る時間はなかったのが現実だと思います。百歩譲って、セミナーに参加された方は目的があり納得済みでイベントに参加しているのでまだいいかもしれませんが、一般の方で参加してリフトに乗らなかった、もしくは乗れなかった場合です。今回も、実際に満天の星が見えたのは21頃からです。21時だと家族連れで子供が小さいとすでに厳しい時間かもしれません。妻がリフトに乗った時には誰もいなかったと言っていたので、この日実際にリフトに乗って星を見た方は、参加者全体の中でも数えるほどかと思います。リフトが運行しない場合はイベント参加料が安くなるとアナウンスされていましたが、天気が悪いとリフトが運行されている場合は実際にリフトに乗る参加者は少なくなってしまうのかと思います。もちろん天気のことなので、文句を言ってもしょうがないのは参加者も納得済みかとは思いますが、天気が悪くても楽しめるようにすることをもう少し考えてもいいように思えました。

参加する前、事前に昨年の星空フェスの様子などの宣伝の動画を見ました。もっと飲食やアクセサリー販売のブースが出ていたり、ヨガイベントやバーのようなものがあるのかと思っていましたが、あれは熊の湯ではなく他の場所で行われたものだと、現地についてやっと理解できました。動画では何がどこで行われているか何も解説がなかったので、普通に考えると自分が行く場所でも行われていると期待してしまいます。妻もビデオを見て期待していたところもあったので、少し残念がっていました。それでもリフトに乗って星が見えたので「それだけで価値がある」と言っていましたが、そうでない家族連れなどは少し物足りなかったかもしれません。これは今後大いに改善して頂きたいと思った点でした。


まとめと、帰り道

個人的には電視観望の実演のところでGPSのトラブルがあったものの、セミナーも盛り上がり、実演も最後は奇跡的に快晴と、十分楽しむことができました。次の日の朝、ホテルの朝食会場でセミナー受講生の一人と会い感想を聞いてみたら「とても楽しかった、目から鱗のことがたくさんあった」というようなことを言っていただいたので、今回の講師を引き受けた甲斐があったのかなと思えました。

帰りに、志賀高原歴史記念館に寄っていきました。元々志賀高原最初のホテル「志賀高原ホテル」のエントランス部分を残して記念館にしているところです。入場は無料で、志賀高原の丸池スキー場をベースに活躍した1956年(昭和31)のコルチナ・ダンペッツオ(イタリア)冬季五輪のスキー男子回転銀メダリストの猪谷(いがや)千春の紹介コーナーは中々見応えがありました。

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山から降りて高速のインターに向かいますが、高原から下界に降りたときの暑いこと暑いこと!気温が10度以上違ったりするので当たり前なのですが、改めて高原がいかに涼しかったか思い知らされました。

久しぶりに妻もついてきた星イベントですが、ずっとコロナでどこにも行けていなかったので、とてもいい機会でした。講師として呼んで頂いたサイトロンさんにはとても感謝しています。今後の志賀高原のイベントはさらに天文マニアが増えてくる可能性があります。これまで通りのホテル宿泊の方に喜んでもらうのはもちろん、マニアも含んだ皆さんが楽しめるイベントに発展していってもらえたらと思います。

妻もとてもいい夏休みのイベントになったと喜んでたので、今回は大成功だったかと思います。

今年初の飛騨コスモス天文台の観望会が、昨年の11月以来、5月28日に約半年ぶりに再開しました。ここは豪雪地帯で、雪が残る4月半ばまで車で入ることさえできないのです。

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3月18日の飛騨コスモス天文台へと行く道の様子。
まだ全然雪が残っています。この時は50cmはあったでしょうか。


朝から太陽撮影

この日は快晴で、朝から太陽撮影。Hαには見向きもせずに、粒状斑狙いです。前日の土曜日の撮影で何か少し出たと思った、Yellowに加え、640nm以上を通す赤外透過フィルターでも撮影してみました。でも結局ほとんど進歩はなく、以前一番最初に撮影できたかけてきたと思った画像を見返してみたのですが、季節的にはシーイングは同程度のはずなのに、 昔撮ったほうがどうみても粒状班らしい画像が撮れています。その時はPSTのエタロンをHαから外れた画像を処理していました。

流石に何かおかしいと思い始め、Orionの太陽フィルターを買うときに迷ったBaaderのフィルムフィルターを国際光器で撮影用のOD3.8の29x22cmのものを発注しました。本当はもっと大きなサイズのものがほしかったのですが、大きなのは撮影眼視併用のOD5の物しかなく、しかも在庫切れです。C8なら口径20cmなので、小さなサイズでもいいかと思い、OD3.8のものにしました。

その直後でしょうか、コメントにhasyamaさんから投稿があり、やはり似たようなガラスの厚みのあるAstrozap製では全然細かいところが見えなかったとのことでした。どうやらここが解のようです。フィルムフィルターの到着が楽しみです。


観望会の準備

むしろこのコメントで、これ以上今の装備で粒状斑を求めても無駄そうなので、やっと観望会の準備です。発注時のメールやコメント欄から時間を見返してみると、フィルムフィルター発注が13時35分ちょっと前、hasyamaさんからのコメントが13時50分、コメントに返したのが14時10分でした。なので、この時点で14時過ぎくらいだったことになります。そこから観望会で何を見せるかと、観望会が終わった後の撮影プランと、機材の選定と荷物の積み込み、シャワーを浴びるのと、少し睡眠をとるとすると、すでに時間はたりません。結局、すべて準備が終わったのが17時半。19時頃に現地到着を考えていたので、もう時間ギリギリです。17時32分に出発して、途中すき家で早めの夕食を取り、ファミマに寄って夜食とおやつを買い込み、飛騨コスモス天文台に向けて車を走らせます。途中ほとんど雲も見えずに快晴です。到着は19時10分くらいで、まだ十分明るい時間帯でした。


現地到着

現場には飛騨コスモスの会のいつものメンバーが3人、あと富山県天文学会関連でいつものかんたろうさんと、今回初参加で遠く黒部市から来てくれたKTさんがきてくれていました。

到着後すぐにドームに入ると、鏡筒が載せ替えられていました。これまでは群馬のKさん自作の口径25cm、焦点距離3000mmの鏡筒でしたが、温度順応に時間がかかり、さらにはドーム内気流のせいもあるのか、惑星などなかなかくっきり見えなかったという問題がありました。焦点距離も長いので、惑星以外になかなか見せられるものがないということもあり、先日スタッフのSDさんが友人から譲ってもらったというFC120に載せ替えたとのことです。

その後、外に出て改めてみてみると、かんたろうさんが3台も鏡筒を出していました。

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設置開始

私も準備をし始めます。今日は観望会後に撮影を考えているので、とりあえずまだ人が来ないうちに撮影用にCGEM IIを出します。鏡筒はFS-60CBにASI2400MC Proで、牛岳で青い馬星雲を撮った時と同じです。少し違うのは、M54の長さ調整のリングを導入したことです。

 

前回の撮影では、本来必要なフィルターホイールの厚み分の、プラスで11mm必要なバックフォーカス長を、FC76用のマルチフラットナーリングで代用したため、四隅が流れてしまっていました。今回のセットがあれば長さが4mmから39mmまで、一部抜けはありますがほぼ1mm単位で調整ができます。この日は4mmと7mmで合計11mmにして使用し、撮影鏡筒として使います。

ポイントは、撮影までの観望会の時間に電視観望で同じ鏡筒とカメラを使うことです。同じ鏡筒を使うことで、入れ替えの手間を省きます。架台は気楽にAZ-GTiを経緯台モードで使います。さすがフルサイズのASI2400MC Proです。あとで取得画像を載せますが、かなりの実力です。

問題は準備がやはり少し手間なこと。まず、冷却しなくてもDC12V電源を必要とすること。実は最初このDCを供給するのを忘れていて、何枚かは撮像できたのですが、途中で更新されなくなりDC12Vを繋ぎました。でもこの撮像できなくなった理由が、DC電源がなかったせいなのか、前回同様接続がうまくいかなかったからなのか、まだ確定していません。

今回も接続はかなり苦労しました。電視観望なのでSharpCapなのですが、1024x768ピクセルの撮像は確実に得られます。でもそれ以上の解像度の撮影がうまくいくかどうかは全く運次第でした。ケーブルを2種試しましたが、やはり全く状況は同じです。何度か解像度を変えたり、USBの転送速度を変えたり、RAW8やRAW16などの撮影モードを変えたりしましたが、うまくいくと最後には最高解像度でRAW16で動きます。一旦動くと安定ですが、安定になるまで毎度5-6回は解像度を変えるなどしました。ほとんどの項目は安定性に影響がなく運のみですが、USBのハイスピードのオンオフだけはオンの方がいいようです。ここら辺の問題さえ乗り越えれば、あとは超快適な電視観望体制になります。


最初は星座ビノ

さて、電視観望の準備をしている間ですが、まだ一番星が見える頃から徐々にお客さんが到着し始めます。ほとんどが子供づれの家族で、最初のグループは保育園年長さんと小学3年生の男の子の兄弟とご両親の4人家族でした。星座ビノを4台(Nikon, Cokin, WideBino28の現行と旧機種)出して、まだ目では見にく星を探してもらいます。

徐々に暗くなってきて、明るい星がはっきり見えるようになってくると、早速いつものようにSCOPETECHの入門機を解放して見てもらいます。といっても、季節的には惑星もないし、新月きなので月もないです。あまり見るものがないのですが、スピカが導入しやすそうだったので、最初だけ私が入れてから、小3のお兄ちゃんの方に視野からずれていったら微動ハンドルで真ん中に戻してもらう任務を任せました。慣れてきたっぽいので、次はSCOPETECHの特徴の2つ穴を利用したベガ導入に挑戦してもらいました。でもやっぱり小学3年生だと少し難しいようで、何分かやってギブアップ。今度はお父さんに挑戦してもらったら、さすがなんなく導入してくれます。お父さん得意そうで、子供たちに自慢げに見せていました。すごく微笑ましいです。その後、3年生のお兄ちゃんは真ん中に合わせるのを担当してくれていました。こうやってできるだけ望遠鏡に触る機会を作ってあげたいと思います。

途中、小5の女の子が二人、その子逹のお母さんと思うのですが二人、星座ビノがかなり気に入ったみたいです。見える星が圧倒的に増えるのが分かり、キャーキャー言いながら見てるので、毛布を出し地面に寝っ転がって見てもらいました。「交換すると見え味が違って面白いですよ」とか伝えて、星座ビノの違いも楽しんでもらいました。


観望会恒例のクイズ

電視観望はカメラのトラブルで少し時間がかかっていたのですが、その間にも続々子供たちが集まってきます。「こっちは何が見えるの?」と聞かれるので「もうちょっと待ってね」とかいっていると、「こんばんわー」と大きなこえで何人かの女の子がやってきました。暗くて顔はあまり見えませんでしたが、昨年来てくれた子達のようです。聞いてみると、5年生の女の子が二人、6年生の男の子が一人、中1の女の子が一人くらいだったと思います。その頃にはいつものMちゃんも富山から来ていていて「同じ中1だ!」とか言っていました。電視観望の準備がまだかかるので、星の解説を始めました。最初しし座の説明とかしてたのですが、さらに子供たちが集まってきたのでもっと基本の北極星から始めました。定番の北斗七星から北極星を見つける方法を話していると、方角の話になりました。みんな好き勝手に「北の反対は南」とか「あっちが東?西?」とか、色々言い始めます。

みんな東西南北の方角は確認できたみたいなので、恒例の私からのクイズです。「太陽はどっちから昇って、どちらに沈むでしょう?という質問には「東から出て、西に降りる」とかどこかしこから声が上がります。「正解です。でも太陽は本当は動いていないんですよ。」というと、6年生の男の子が「地球が動いてるから?」と的確な答えを。「星も動いているように見えるけど、実際には星が動いているわけでなくて、地球が回っていて、その地球に乗っかってる自分たちが動いているから、星が動いているように見えるんだよね。」と言って、みんな納得です。

次に第2問です。「では、月はどちらから昇って、どちらに沈むでしょう」と聞くと、これが面白いことに全員わからないのです。出てきた言葉が「習ってなーい」です。太陽は東から昇って西に沈むということを「知識として」だけで覚えてしまっているのです。先に説明までしているので、みんな地球が回っていることも知っているし理解もしているはずです。でも太陽以外になると答えることができなくなるのです。これはいけませんね。知識は必要ですがそれだけではだめで、やっぱり自分で想像して考えることがすごく大切になります。

太陽は動いていないこと。月も動いていないこと。さらに星も動いていないこと。動いているのは地球であること、だから月も太陽と同じように東から出て西に沈むこと。あそこに見えているスピカも東から昇って西に沈むこと。ここまで説明すると、「例えば、見えていないベテルギウスも東から昇って西に沈むこともわかりますね」と言っても全員納得です。このやりとりを流石にMちゃんはニコニコしながら見ていました。

そこで第3問です。「夏の太陽と冬の太陽と、どちらが高いですか?」と聞いて、「わからなかったら夏と冬どちらが暑いか考えてみてください」と言うと、これまた面白い答えが。一人の子が「夏の方が低い」と言うのです。色々聞いてみると、低い方が「近く」て、高いと「遠い」から、近くて低い方が暑くなると考えているようです。子供ながらの面白い発想です。でも結局、朝日とか夕日とかの地平線ギリギリの時と、夏の昼間にほぼ真上にある太陽の時は、どちらが暑いですか?と聞き直すと、皆さん「なるほどー」と言った様子で納得してました。

私の観望会はいつもこんな感じです。この日も、話したことに難しいことは何もないです。ここにきている子は星に興味がある子達です。いろいろ普段の体験から、自分でよく考えて「学ぶことの楽しさ」を学んでほしいと思います。


電視観望

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さてさて電視観望ですが、今回はASI2400MC ProのフルサイズCMOSカメラと、機材の素晴らしさもあり、かなり綺麗な天体を見てもらうことができました。しかも、かんたろうさんが眼視でいろいろ見せてくれています。できるだけ同じ天体を入れるようにして、眼視と電視で見比べてもらいました。

電視観望で見た順に並べておきます。
01_trip_mod
しし座の三つ子銀河。この画面では一つ途切れてしまっています。

02_M57
M57: 惑星状星雲。

03_M13
M13:ヘルクレス座の球状星団。

あ、もう一つエピソードを。昨年天体写真のカードを子供達に配ったのですが、電視観望でM13を見ていた時、「これ、自宅に飾ってある写真と同じ?」と言う子がいました。どうもM13カードを受け取ったみたいで、M13の形を覚えてしまっているようです。M13ですが、電視観望でもよく見ると星の色がわかります。「星は基本赤と青だよ。緑の星はなくて、白くなってしまうよ。家に帰ったら写真をよく見ると、多分色がわかるよ。」と伝えると、目をキラキラ輝かせて「うん、見てみる」と答えてくれました。自宅に帰った時の興奮している顔が目に浮かぶようです。でも帰る時眠そうだったから、写真を見るのは次の日かな?


05_antiares
アンタレス付近。色を出すのは難しいです。
アンタレスの黄色が綺麗で、右にM4、上に赤いエリアが出始めています。


06_M51_mod
M51:子持ち銀河。

07_M51
M51は小さくて、今回のセットアップで実際に見えるのはこれくらい広角です。
かなり拡大すると上のようになります。

08_M27
M27:亜鈴状星雲。

10_M81
M81とM82です。こちらもかなり拡大していてい、元の画像は下のようです。

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経緯台のAZ-GTiで長い時間(20分以上)露光しているので、回転してしまっていますが、画角が相当広いので、多少回転しても全然問題ないのがわかります。

眼視

かんたろうさんに眼視で見せてもらったのはもっとたくさんあります。これはお客さんが帰って、電視観望も片付けてからの分も入っています。
  • M57:惑星状星雲は輝度が高くてよく見えます。
  • M51:子持ち銀河は淡いですが、どちらが親でどちらが子供かはわかりました。腕はあまり見えませんでした。
  • M101:回転花火銀河ですが、相当淡いです。M51のほうがはるかに見やすかったです。
  • M81とM82は二つ並んでいるのがわかりました。
  • M13:ヘルクレス座球状星団はつぶつぶ感がすごいです。
  • M16:オメガ星雲は白鳥みたいに見えました。
  • M17: ワシ星雲はかなり淡くて薄くしか見えません。
  • M20:三裂星雲は分かれているのがなんとかわかりました。
  • M8: 思ったより淡かったです。もっと明るいと思ってました。
  • M31:アンドロメダ銀河は大きな銀河のはずでが、以外に双眼鏡で見たのとあまり差がなかったです。
他にも、特に球状星団や散開星団もたくさん見せてくれているはずでが、そもそも番号をあまり覚えていなくて、明確に番号で覚えているのはこれくらいです。


徐々に人が少なく

夏至も近くなってきているので昼が長く、天文薄明が終わるのが21時頃。22時頃には子供は眠くなってしまうので、だんだんお客さんも少なくなってきます。Mちゃんも中学生になって部活が忙しく、この日も部活が終わってからきたということで、23時頃にはもう眠そうでいつもより早めに帰っていきました。あ、差し入れでシュークリームを持ってきてくれて、皆さんでいただきました。さすがケーキ屋さんのシュークリーム、クリームも全くまがい物の味がせず、ものすごく美味しかったです。23時過ぎにはスタッフの3人も帰宅され、残ったのは私とかんたろうさんと、愛知から来ているIさんだけでした。

今回初参加のIさんは、最初は自分の機材で電視観望をしていて、少しお話ししました。機材はFSQ85とASI294MC ProをASIAirで操作と、かなり贅沢な機材です。20年ほど前かなり凝ってやっていて、しばらくお休みして、また最近復活したそうです。

Iさんはかなりのマニアのようで、途中から撮影に移り、サドル付近を撮っていました。天の川のタイムラプスと、もしかしたらもう一台出していたかもしれません。聞くと、前日は紀伊半島の方、この日は太平洋側が天気が悪かったので、この飛騨コスモス天文台まできたそうで、かなりアクティブな方です。

私もそろそろと、電視観望の鏡筒とカメラをそのまま使い、赤道儀をCGEM IIに替え、Elephant Trunk星雲を撮影を始めました。この日はあらかじめ、機材の交換を最小限にして、北の空が暗いことなどを考慮し、撮影対象を決めていました。撮影が軌道に乗って余裕が出たので、6Dで天の川を何ショットか、そのご午前2くらいからタイムラプスを始めました。撮影結果はまた別の記事で書きます。

2時過ぎに眠くなってきて、しばらく車で寝てしまい、起きたのは4時くらいだったと思います。すっかり明るくなっていました。片付けながら、かんたろうさんとIさんと話していました。かんたろうさんは昨年後半からここでの観望会はずっときてくれているので、また来月には会えます。Iさんはかなりいろんなところにいっているようなので、またどこかで会える気がします。

片付けが終わって現場をあとにしたのは、ちょうど5時くらい。6時くらいに自宅に到着し、少しだけ荷物を車から出して、少し朝食を食べてお腹を満たしたら、力尽きて寝てしまいました。忙しい休日でしたが、とても充実していました。その後、午前11時過ぎに起きたのですが、まだ寝不足で昼間じゅうずっと眠かったです。

それでもこの日も天気が良かったので、夜は自宅でSCA260で最近撮り続けているM82をLで、NGC6888三日月星雲をAOSで撮っていました。ここら辺もまた画像処理が終わったら記事にしますが、相当未処理画像が溜まっているので、いつになることやら。


まとめ

眼視と電視を比較しているときに、お客さんとスタッフを交えてこんな話をしました。
「最近の観望会って、街中の明るいところでやることが多くて、こんな天の川が普通に見えるようなところで、定期的に続けてやってる観望会って珍しいですよ。しかもかんたろうさんが参加してくれて眼視、私が電視で、星雲を比較できるくらいに充実してきて、多分全国的に見てもかなり面白い観望会だと思いますよ。」
とか言ってたのですが、皆さんあまりピンときていないようでした。そもそもここに来る地元の人にとっては、天の川は全然珍しくないんですよね。そういえばこの日も子供達に「天の川が見たことある人?」と聞いたら、ほぼ全員が手をあげていました。

この子達が大人になって、大きな街に出て行って、天の川が見えなくなるような場所で暮らすようになったとしても、この素晴らしい空と、楽しかった観望会のことは覚えてくれていると嬉しいです。

年明けの久しぶりの飛騨コスモス天文台の観望会でしたが、とても楽しかったです。改めてこの飛騨コスモスの回を立ち上げてくた故山口女史に感謝です。これからも無理することなく、地元の方逹のために続けていけたらと思います。 
 

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