ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:一眼レフ

昨日は夕方まで快晴。赤道儀を出して夕食をとってさあ撮影だと張り切って外に出たら一面のドン曇り。ポツリときそうなので急遽セットした赤道儀他を全て撤去。それでブログ書いていたのですが、書き終えて外に出ると、またもや全面快晴。しかもかなり透明度がいい!悔しかったのですが、SCWを見ると夜中遅くから曇ってきそうなと、やる気も萎えてきてたので、撮影は諦め簡単な電視観望としました。

やったことは前回のX5での続きです。レンズをEF 55-200/4.5-5.6 II USMという、おそらくキットクラスのズームレンズだと思いますが、こちらに変更しました。目的は、前回はオリオン座大青雲を見たので、今回はもう少し淡い星雲を見てみようと思ったこと。さらに今回は最初からQPDをつけて、Hα領域がどう改善されるかも見たかったのです。でもこれが結構意外な印象を生むことに。

まずは55mmで北アメリカ付近。QPDありです。20秒x7のスタックで2分20秒です。

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次がCBPです、少しだけ拡大率を上げているので大きく見えます。20秒x6のスタックで2分ちょうどです。

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QBP、CBP共にHαも出てますが、なんて言うのでしょうか、なんかインパクトが小さいのです。赤が出たと言うよりは、全体が暗くなったという印象の方が強いのです。ではフィルターなしの画像はと言うと、

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どうでしょうか?実際にはこちらのほうがノイズは多いです。でも賑やかで、カラフルな気がしませんか?特に暗黒帯周りとかも、はっきりさではフィルター有りの方がいい気もしますが、リアルっぽさではフィルター無しの方がいい気がします。

これ、どう評価すればいいかかなり迷いました。どれも北アメリカ星雲としては一応は十分認識できるので、まあ悪くはありません。でも実際にPCの画面を見ていると、どれも淡いのです。多分ここで見せているiPhoneで撮影したのよりは実際の方が淡い印象を持つでしょう。

ここからは感覚的な評価になってしまって申し訳ないのですが、原因は根本的に暗いところで戦っているからなのかと思います。

暗いレンズを使って、そこまで感度の良くない昔のセンサーを使っているので、そもそも明るくないです。そこそこの露光時間分スタックしてやっと模様が出くる感じです。なので、フィルターを入れるとさらに暗くなってしまい、背景も暗ければ、赤も暗い。

光害カットフィルターを入れても例えばHα自身が増えるわけでもなんでもありません。周りが減るので目立って見えるようになるだけです。本質的にHαを増やすためには露光時間を増やす必要があります。単純にいうと、このセットアップではまだ露光時間が足りないのではないかと。

次のレンズを200mmの焦点距離にズームした同領域を見てみます。F4.5からF5.6になっているのでさらに暗い状況です。フィルターはなしです。露光時間は20秒で同じ、5枚スタックで合計100秒です。

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見えているのですが、やっぱり淡いんです。

以前ASI294MCとNIKKOR50mmで広角の電視観望を試した時はF1.4。(5.6/1.4)^2=16なので、同じ時間なら16倍の明るさで見ていたことになります。105mmのPENTAX 6x7レンズの時はF2.4なので、それでも(5.6/2.4)^2=4なので5.4倍の明るさでした。

やはり根本的に暗いのでは。その分露光時間を伸ばしてますが、20秒の露光時間はF1.4だとわずか1.25秒の露光時間に相当します。

NIKKORの50mm F1.4レンズはかなり昔のものだと1万円以下で手に入ります。私も5-6千円くらいで手に入れました。収差など目立ちますが、今なら安価なので初心者でも手が出ると思います。今一度明るいレンズを使って、もう少しだけ試してみたいと思います。








SharpCapの一眼レフの対応にあたって、これまでEOS 6Dで試してきましたが、今回残りの手持ちの機種でもテストしてみました。

 



手持ちの一眼レフカメラの接続テスト

前回電視観望まで試したEOS 6D以外にはEOS kiss X5とEOS kiss X7とEOS 60Dがあります。



X7はノーマルですが、娘のものなのでとりあえず手を出さないようにしておいて、X5と60Dを試すことにします。この2機種は天体改造済みのもの。なので接続テスト後は赤外の星雲とか見てみるのも面白いはずです。

先週末の金曜の夜、時間が少しあったのでその2機種のテストをしました。60Dはそのまま問題なく繋がり、X5の方も最初つながらないと思ったのですが、単なるミスで、手順さえ間違えなければそのまま順調に動きました。ちなみにミスというのは、
  • 最初動画モードでやっていてエラーが出た(でもそのあとさらに動画モードで試したら動いたので、この時点でバッテリーがギリギリだったのかも)。
  • バッテリーが空だった。
  • バッテリーを変えて、1枚だけ撮れたが、また動かなくなった。と思ったら変えたバッテリーも空だった。
  • 接続ケーブルのコネクタがゆるゆるで、いつのまにか抜けていた。
と、簡単なことばかりです。でも古い機種とかいう先入観があるとダメですね。「あー、やっぱり動かないんだな」と思ってしまいます。皆さんはくれぐれも私のような間抜けなミスは避けてください。


安価な電視観望入門セットアップの可能性

60DとX5の両方ともが動いたのと、夜になって天気も良くなってきたので、外でどう映るかのテストをしてみます。どちらにしようか迷いましたが、より安価で使える方をと思い、X5で試すことにしました。

レンズはキタムラかどこかで中古で数千円で手に入れた、キットレンズクラスのEF 28-80mm  F3.5-5.6で、昔一度三脚ごと倒れて壊れたやつです。CANON CAMERA MUSEUMに1991年発売で、定価42000円とあるので、付属レンズではなかったのかもしれません。これを80mm側で使います。なのでF5.6でそこそこ暗いです。

ちなみに、当時のX5のレンズキットにはEF-S18-55 IS IIがついてきたそうです。ダブルズームキットだとEF-S55-250mm F4-5.6 IS IIなので、電視観望には後者の方が焦点距離的にはいいかもしれません。中古だと、本体だけだと1万円台前半から後半、レンズキットで2万円代前半でした。もしこのテストがうまくいくなら、これくらいの値段からなら始めたいという人がいるかもしれません。

全くの初心者、
もしくは一眼レフカメラだけを持っている人が
電視観望に挑戦した場合、どんなことができるのか?

という可能性を示せればと思っています。いかに電視観望に対する敷居を下げるのかというのも目標としたいところなので、できるだけ安価にすむというのは大きなファクターの一つです。

以前も格安電視観望について記事を書いたことがありますが、電視観望をする際、一番高価になるなのがCMOSカメラなのです。安価なCMOSカメラはセンサー面積が小さく導入が難しくなり、その一方、十分な面積のセンサーを持つCMOSカメラはかなり高価で、そのことが初心者に対する敷居を上げてしまっています。

中古市場ではもうかなり安価なX5でもAPS-Cサイズで、電視観望で主流のマイクロフォーサーズサイズのASI294MCより既に大きいのです。でも値段だけで考えたら5分の1から10分の1とかでしょうか。これはうまくいったら相当インパクトがありそうです。


EOS X5による電視観望テスト

とりえずテストの結果を見てみましょう。まずはファーストライト。雲がある時のオリオン座付近です。全景が見えるようにZoomが25%です。20秒露光で4枚スタックなので、80秒ぶんです。

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ノイズも多少ありますが、意外に悪くなさそう。

雲がなくなった時に少しだけ拡大(33%)。同じく20秒露光で4枚スタック、80秒ぶんです。

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馬頭星雲とかも一応出てますね。

さらにM42部分を拡大。20秒が5枚です。

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うーん、ノイズはまだ多いですが、写りはそんなに悪くないですね。高々80mmのレンズで、M42部分をかなり拡大していることになるのですが、恒星がそこまで肥大していないです。レンズ枚数が少ないのか?F5.6で暗いから収差も小さいのか?これなら観望会で見せることも許容範囲かと思います。

X5のセンサーはAPS-Cの22.3×14.9mmで5184×3456ドット。ここから計算すると1ピクセル4.3μmで、ASI294MCのピクセルサイズとほぼ同じサイズです。感度はほぼほぼ1ピクセルのサイズに比例するので、ASI294MCクラスが格安で買えると考えると、かなりお得かもしれません。

一方、馬頭星雲と燃える木をみると、もう少し赤の感度が欲しいかなというところです。

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これで20秒x6枚です。一応天体改造済みでこれなので、センサーの感度そのものはASI294MCに比べるとやはりもう少しといったところなのでしょうか。今回使ったのがF5.6と結構暗いレンズなので、レンズを明るいものに変えることでまだまだ改善はするはずです。さらにQPBとかの光害フィルターもつけていないので、その分も改善するかもしれません。

もう一つ、M31アンドロメダ銀河です。これで20秒x5枚、計100秒です。

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ちょっとノイジーですが、何とか構造も見えかています。ここらへんまで見えるなら、十分楽しめるのではないかと思います。

視野が回転し始めてるがわかるくらいまで、5分くらいまでスタックしたのが下の画像です。ノイズがまだノイズが大きいですね。スタックでのノイズ軽減があまり効果的に見えません。でも今回はダーク補正もしていないので、次の課題はここらへんのノイズの緩和とかでしょう。

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最後はM42すばるの20x13=4分20秒スタック。これも回転が見え始めています。青い分子雲がわずかに見えかています。CBPとか試すと面白いかもしれません。

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この日の環境

ちなみにですが、この日は月齢23日で、下弦からもう少し欠けた位の、まだまだ明るい月夜です。場所も自宅の庭からで、光害フィルターも無しです。普通に考えたら星雲や銀河を見るような状況ではないにもかかわらず、ここまで見えているのは随分と頑張っているのではないでしょうか。環境がいい状態で試すとまだまだ改善しそうです。

今回使ったものは一眼レフカメラの中でも入門クラスで、レンズもキットレンズクラス。それも結構昔のもので中古市場では値段もかなりこなれています。少なくとも、CMOSカメラしか選択肢がなかった状況から、中古の一眼レフカメラまで範疇に入ってくるとなると、はるかに可能性が開けると思います。


電視観望と撮影の境界

実はこのテストをしている時に、結構いろいろ考えさせられました。果たして電視観望と撮影の境界はどこだろうというものです。一眼レフカメラを使って、15秒とか20秒とかの露光で連続してシャッターを切るのは、もう撮影ではないのか?という疑問を持つ方も多いと思います。リアルタイム性として考えると、少なくとも動画のようになるわけではありません。

私自身は、それでもまだはっきりとした境界が存在すると考えています。特に今回のテストを通してよりはっきり自覚できるようになりました。

大枠での定義は、目的の天体がモニターなどを通して「観望しているその場で」十分に見えているなら、それは電視観望と言っていいのでは。もし、その場で十分に見えなくて、「後の画像処理」をして初めて十分に見えるようになるのなら、それは電視観望というよりは撮影という範疇に入るのではということです。

例えば、
  • 今回使ったX5とレンズだけで、赤道儀に載せて10秒の露光をして、カメラ付属のモニターに出してみるだけだと、おそらく「後の画像処理」がなければ十分天体が見えることにならないと思うので、これは電視観望ではないと思います。
  • 一方、HUQさんが最初にやったように、α7Sで1/4秒露光で動画モードでHDMI出力してその場で十分見えるようにしている場合は、十分電視観望と言えるでしょう。
  • 例えば、暗い空でX5で1分くらいと十分露光して、目的とする天体が十分出ていて、それをその場で楽しむというのなら、これはリアルタイム性は薄いけれども電視観望と言ってしまってもいいのかと思います。
どれくらいの露光時間かではなかなか定義はできないので、その場で楽しめるかどうかというところがポイントになるのかと考えるようになってきました。 


電視観望を可能にする重要な技術

電視観望の技術の中で、いくつか非常に重要なものがあります。例えばSharpCapのヒストグラムでのオートストレッチボタンや、ストレッチ関数と呼ばれる中間値と黒レベルを利用した、リアルタイムでの簡易画像処理です。これは「その場で天体を楽しむ」ということに大きく貢献しています。

また、LiveStackも電視観望の重要な技術だと思います。もっと具体的に言うと、単に画像をその場で重ね合わせるだけでなく、また画面の平行移動や回転だけで星を合わせるだけでもなく、LiveStack時に星の位置をきちんと認識して画面を歪ませて星を合わせていく技術です。PixInsightやSequatorなどでは後の処理で同様の画面を歪ませての位置合わせはできます。でもその場で毎回やるわけにはいかないので、電視観望のツールにはなり得ません。こういった高度な処理をリアルタイムで行うことで、星像を肥大させずにスタックし、ノイズを減らしていくことができます。さらに言うと、この技術を用いると赤道儀も必要とせず、たとえ経緯台で視野が回転してもきちんと星の位置が合うということです。もっと言うと、ある程度広角にして、見ている間に天体が画面から逃げていかなければ、経緯台さえも必要とせず、固定の三脚だけで星像の肥大を避けスタックしていくことができます。

このような高度な技術はいまのところ私が知る限り、PC上ではSharpCapとASIStudioのみ。私はまだ使っていないですがASIAIRも同様の機能を持っているはずです。最近ではeVscopeも同等の機能を持っているのかもしれません?他には、電視観望用のハードウェアのRevolution Imagerがありますが、こちらはスタック機能は持っていますが、スタック回数を何回かに制限しているだけで、星像を合わせてスタックするような機能は持っていません。

リアルタイムで画像処理に近いような事をして、その場で天体をあぶり出す事でより楽しめるようになり、そう言った意味ではSharpCapは電視観望という分野を切り開いた秀逸なソフトと言うことができるでしょう。

こういった高度な機能はあればもちろんいいのでしょうが、たとえそんな機能がなくても、その場でモニターとかに写して天体がみんなと共有で楽しめたりするならば、もう電視観望の一種と言ってしまっていいのかと思います。これから先、さらに技術が発達して、その場で楽しむことはより簡単になり、手法もどんどん広がっていくことでしょう。電視観望の概念も柔軟に変化していけばいいのかと思います。


まとめ

今回のEOS X5は、元々中古で安価で手に入れたたものです。SharpCapが一眼レフカメラを扱えるようになったことで、使う機会が少なくなってきた中古のカメラに、また一つ大きな可能性が開かれようとしています。

本来SharpCapと一眼レフカメラを繋ぐというのは、撮影時の取り扱いを便利にするというが元々の目的だと思います。それだけではなく、LiveViewモードを明示的に分けて実装してくれるなど、EAA(電視観望)用途として考えると、今回のアップデートは相当なエポックメーキングなのかと思います。

現在はテスト段階なので、本当に初心者が触るとなるとまだ敷居が高くて不安定なところもあります。でもこれは今度どんどん改良されていくことでしょう。このブログも、興味を持った人たちができるだけスムーズに楽しめるように、説明やサポートなどで貢献できていければと思っています。

手持ちのカメラや、安価な中古の一眼レフカメラを利用するなどで、電視観望の敷居が下がり、天文人口の裾野が広がってくれればと思っています。







昨晩とても晴れていたので、SharpCapを使った一眼レフカメラでの電視観望テストの第2段です。


SharpCap3.3β接続確認状況

まずはこれまで私が聞いた可動情報を書いておきます。情報は全てTwitterや本ブログのコメント、個別のやりとりなどです。

(11月21日午後23時55分現在)

Canon

  • EOS 6D (Sam): 動作確認済、LiveStack可能、ミラーアップモードでは動作せず
  • EOS 6D (RAINYさん): 動作確認済、ASCOMドライバーでのLive ViewオプションでCapture Areaがデフォルトでは960X640なることを確認
  • EOS X7i (ぺんぱるさん): 動作確認済、LiveStack可能
  • EOS 6D Mark II (steorraさん): 動作確認済、LiveStack可能
  • EOS R (steorraさん): 動作確認済、LiveStack可能、ミラーレスで初確認
  • EOS Ra (steorraさん): さすがに試すのを躊躇
  • EOS X2 (ソルトさん): 接続してミラーアップはするが、シャッター切れずエラー
  • EOS RP (リュウさん): 動作確認済
  • EOS 7D (kumbenさん): 動作確認済
  • EOS 60D (Sam): 動作確認済、LiveStack可能、ミラーアップモードでは動作せず
  • EOS X5 (Sam): 動作確認済、LiveStack可能、ミラーアップモードでは動作せず
  • EOS M  (薜さん): 動作せず
  • 5D mark II (donchanさん): 動作確認済、LiveStack可能
  • EOS X7 (donchanさん): 動作確認済、LiveStack可能
  • EOS  kiss M  (MASAさん): 動作せず

Nikon
  • D750 (智さん): 動作確認、ミラーアップモードでは動作せず
  • D5000 (あぷらなーとさん): ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • D810 (あぷらなーとさん): 「ニコン」使用、一度本体動作しなくなった、復帰後に動作確認済、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能、重い
  • D810a (あぷらなーとさん): さすがに試すのを躊躇
  • D5300 (ソルトさん): 動作せず
  • D50 (智さん): 動作せず
  • D7000 (あぷらなーとさん):  ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • CooLPix B700 (ソルトさん): 動作せず
  • D3300 (あぷらなーとさん):  ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能(SDカード必須)
  • D3100 (あぷらなーとさん):  ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能(SDカード未確認)
  • Z6 (OSAさん): 動作確認済、LiveStack可能、サイレント撮影モード(シャッター動作による振動とシャッター音を出さずに撮影できる)は動かなかった
  • D3 (あぷらなーとさん): ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • D300 (あぷらなーとさん): ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • D90 (あぷらなーとさん): ニコンレガシー使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • D610 (あぷらなーとさん): 「ニコン」使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能
  • D810a (あぷらなーとさん): 「ニコン」使用、FITS書き出し・ライブビュー・ライブスタック・ROIが可能、重い

PENTAX
  • K-30 (ソルトさん): 動作確認済
  • K-S2 (ソルトさん): 動作せず
  • K-50 (ソルトさん): 動作確認済
  • KP (薜さん): 動作せず
  • ist D (ソルトさん): 動作確認済
  • K100D (ソルトさん): 動作確認済
  • K-70 (Shinjiさん): 動作確認済、LiveStack可能
  • K-01 (ソルトさん): 動作確認済
  • Pentax K-5IIs (donchanさん) 動作せず
  • Pentax Q-S1 (donchanさん): 動作せず 

SONY
  • α7S or α7SII?(HUQさん): 動作せず
  • yα6000(amayama_54): 動作確認済、LiveStack可能

もし上記リストの訂正や、漏れている方で載せておきたい方がいましたら、Twitterかコメントに書いておいてください。上のリストをアップデートしておきます。また公開したくないという方がいましたら、TwitterのDMかコメントに書いてください。後でコメント自身も消しておきます。


さあ、6D電視観望の2回目のテストだ!

一昨晩は台風のせいか風も強かったのですが、昨晩は晴れて、風が吹いた後のこともあり透明度がそこそこ良かったです。でも21時半頃から月が出るので、長時間撮影も気が引けます。なので、まずは21時半まで少し暗いところに行って天の川撮影。これはまた記事にします。結局22時過ぎに自宅に戻って、眼視、惑星、電視観望と選択肢がありましたが、この日はやっぱりまだホットな一眼レフ電視観望です。

今回の目的はとにかく実践で使ってみること。できる限りいろんなところに向けて、これくらいまで見え、これくらいの使用にまで耐えうるとかいうことを示したいと思います。

前回のテストと少し変更したところがあります。まずはレンズですが、前回はNikonの135mm F2.8でしたが、今回はPENTAX 6x7の中判レンズの165mm F2.8です。理由は、周辺減光が顕著で、しかも色によって反応が多少違うようで、結果四隅に行くに従ってひどくなるカブリのようになってしまい、炙り出しが制限されるからです。フラット補正をリアルタイムでやってもいいのですが、いまだにうまく行ったことがなくて、今回も躊躇してしまいました。

もう一つの変更点は、今回Stick PCを使ったことです。前回はSurface PCなので、そこそこ速いですが少し大きいです。普段撮影用に使うStick PCが使えれば、さらにコンパクトにできます。


準備とトラブル

さて、まずは前回の状態の復帰です。機材はシンプルでポン置きでいいので、楽なもんです。レンズを水平にそこそこ北向きになるようにセットして、AZ-GTiでアラインメントを始めます。広角なので1スターアラインメントでもう十分です。計算によると3.65°x2.45°だそうです。これくらいの精度で最初置くだけでターゲットが視野に入ってくるので、まず取りこぼすことがありません。さすがフルサイズセンサーです。

すぐに網状星雲まで入って、画像が取り込めるようになったので、一つ新しいことを試しました。前回の一番大きな問題が、LiveViewモードの間シャッターをずっと「カシャン、カシャン」と切り続けること。6D本体のモニターをオンにすることでシャッターを開けっぱなしにしてかどうできないかです。

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一枚撮りではリモートでカラーバランスを調整できないです。
必要なら本体の方で色を合わせる必要があります。

まずSharpCapのStillモードで撮影開始してないときに、カメラ本体のモニター開始ボタンを押したらシャッターが開いて、SharpCapも落ちたりしないので、このまま行けるか!と期待しました。さらにSharpCapでLiveViewモードにして撮影開始しても音も鳴らずOKかと一瞬思いました。ところが、一枚撮影が終わったらわざわざシャッターを一度閉じて!?またすぐ開いて次の撮影にいくのです。結局各枚各枚の撮影終了時に必ずシャッターを閉じるという機能が働くらしくて、モニターオフにしている時と同じことでした。

さて、次にLiveViewへの移行です。途中SharpCapが落ちることが何度かありました。しかも一度落ちると、SharpCapを立ち上げ直してもASCMOの設定画面に行ってしまい、その後それを繰り返しカメラとの接続ができなくなってしまいました。SharpCapの立ち上げでも、カメラ本体の再起動でも解決しなくて、しばらくはPCの再起動で解決していたのですが、途中からタスクマネージャーで見てみるとSharpCapのゴミプロセスが残っていて、それを消すと再度SharpCapが問題なく立ち上がることに気づきました。

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こんなエラーが出て、これ以降接続できなくなりました。
でも実は反応がものすごく遅くなってるだけで、
分単位で待つと反応したりする時もあります。
SharpCapのゴミプロセスが残っているために起こる現象です。 

何度かやっているうちに、LiveStackに行こうとすると必ずSharpCapが落ちることに気づきました。前回とSharpCapのバージョンが違うのではとかも疑ったのですが、それも同じ。違うのはPCだけだということに気付いて、Stick PCから前回のSurface PCに戻しました。すると全く問題なくLiveStackに移行します。というより改めてSurfaceに戻ると、いかにStick PCでのSharpCapの反応が遅かったかに気づきました。少なくとも3.2の普通のCMOSカメラを繋いでいる時まではそんなことは気にならなかったので、今の3.3βと6Dは相当重いことになります。CPUが非力なためなのか、もしくはUSBの接続が遅い可能性もあります。でもUSB2.0って流石に転送速度に差が出るとは思えないので、やはりCPUの違いかなと思ってます。


充実の電視観望フルツアー

さて、これ以降は極めて順調。シャッター回数を節約したいので、15秒露光にしました。ISOは6400です。回った順番に示していきます。

状況はというと、月齢21日の半月以上の大きい月が出ていて、富山の中心の街から少し離れた住宅地です。普通なら決して星雲を見るようないい状況ではないです。そのため、QBPを入れてます。

  • 網状星雲です。赤と緑の色の違いもはっきり見えてます。
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LiveStackになると色バランスをリモートで調整することができるようになります。

  • 小さなM27亜鈴状星雲
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左端にかわいいM27が見えてます(笑)。
面倒だったので真ん中に持ってくのをサボりました。
この前にM57を見ましたが、流石に小さすぎました。
これくらいの大きさの天体だとレンズの焦点距離を伸ばす必要があります。


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拡大するともう少し形もわかりますが、恒星のハロが目立ちます。
レンズのせいです。
赤外起因だとしたらもしかしたらCBPにすると消えるかも。

  • M31アンドロメダ銀河、QBPは銀が苦手かもと思ってましたが、意外にいいかも
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構造も少しわかります。


  • らせん星雲
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  • 北アメリカ星雲一帯、ここまではっきり見えると迫力あります
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  • 白鳥座のサドル付近
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左下に小さく三日月星雲も見えます。

  • M33さんかく座銀河
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かろうじて腕らしきものが見えるくらいでしょうか。


  • カリフォルニア星雲
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月が近くにあるので、かなりカブってます。それでもこれくらい見えました。

  • ハート星雲と胎児星雲
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ここまで見えるとは。
でもかなり炙り出してるので周辺減光が目立ちます。

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でもセンサーの解像度はあるので、
多少拡大してしまえば周辺減光も気にならなくなってきます。

  • エンゼルフィシュ星雲?
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ここらへんはもうネタです。
まだ光度が低いのでほとんど見えません。
かろうじて右上を向く頭がわかるか?

  • のぼり掛けのM42オリオン大星雲と馬頭星雲、バーナードループ?
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これもネタです。黒い影は木の葉っぱです。
左端のカブリの中にバーナードループが淡く見えてます。
昇り立てで高度が低いのでこれくらい。
冬に向かって持って見やすくなるはずです。


M45プレアデス星団も導入したのですが、月が真横にあり、流石にダメでした。


まとめ

午前0時20分くらいから2時くらいまでの1時間40分。夏から冬までの星雲と銀河、もうフルコースです。ここまで見えれば大満足です。

一言で言うと、さすが撮影でも十分な実績がある6Dです。電視観望でも遺憾無く実力を発揮しています。センサーのピクセルサイズがASI294MC Proが4.6μm、6Dが6.3μmなので、一辺で1.4倍くらい大きいのです。1ピクセルの面積が大きければより多くの光子を取り込めるので、根本的に有利です。

かつ同じ焦点距離ならより広い面積を見ることができます。逆に同じ面積を見るならより焦点距離の長いレンズを使うことができるので、より暗い恒星を見ることができるはずです。実際に使ってみての感想は、確実にASI294MC Proよりも迫力があるということです。

その一方、シャッター回数の制限から一枚一枚の露光時間を長くせざるを得ないので、動きは少なくリアルタイム性には欠けます。ただ、移動する時は星の軌跡は写るので、それはみている人にとっては動きを感じるところで、全く動きがないというわけではないです。

さて、最後の画像の記録を見たら2時間近くで365回のシャッターを切っていました。15秒で一回なので、連続なら1分で4枚、1時間で240枚計算です。途中LiveViewモードからStillモードにしたりもしてたので、数的にはまあこんなもんでしょう。メカニカルシャッターの寿命が10万回だとすると、300回位観望回避r区と壊れる計算です。実際タイムラプスでは平気でこれくらいのシャッター回数になるので、15秒露光でのシャッター回数ならまあ許容範囲でしょうか。


今後やりたいこと

まだまだ試すべきことがたくさんあります。ソフト自身はアップデートを待つとして、手持ちでEOS X5があるので、これで電視観望できるかどうか。天体改造なしなので、赤は出にくいはずです。

X5の中古の値段が1万円台中くらいでしょうか。キットレンズ付きで2万ちょいです。これで本格的な電視観望が簡単にできるなら、裾野が広がりそうです。

あと、SharpCapからのプレートソルブを試してみたいです。これで導入が簡単になるかも。うまくいったらAZ-GTiなしで、StarSense ExplorerみたいなことがPCを使って実現しないかと思っています。そうするとハードは三脚と雲台とカメラとレンズ(とPC)だけで、ほぼ一般的な一眼レフカメラセットになるので、さらに敷居が下がるかもしれません。







昨日のSharpCapの一眼レフ対応の騒動から一夜明けてブログを書いています。まだちょっと興奮気味です。


SharpCapバージョンアップ間近

何日か前からSharpCapのβテストフォーラムで3.3βが間も無くリリースされるというニュースはあがっていました。金曜の夜にも確認し、そろそろかなと思って土曜の昼くらいに見たらすでにリリースされてるではないですか!

バージョン3.2から3.3βへの大きな変更点は、シーケンサー操作と、デジタル一眼レフカメラのサポートです。電視観望にとっては後者が重要です。


これまでの一眼レフへの対応状況

以前にもSharpCapで一眼レフを使う方法は少なからずありました。2018年の夏頃でしょうか、ASCOMの一眼レフカメラのドライバーを使ってSharpCapからアクセするするというものです。

でも実際私も6Dで試したりしたのですが、全く動きませんでした。その当時、幾らかの実際に動いた人がSharpCapでライブスタックを試したりもしていたそうですが、その方法はかなりトリッキーでした。カメラから直接、PC上のあるフォルダに画像ファイル書き込んで、そのフォルダ内のファイルをSharpCapが読み取ってスタックするというのが唯一の方法だったはずです。私の場合は、そもそもそれを試すところまでたどり着けない状態で、非常に不安定でした。

その後ちょくちょく気にしてはいましたが、年単位でなかなか進展がなく、そのため前回の記事のようにSIGMA fpに走って電視観望を試したりしていました。


なぜSharpCapと一眼レフカメラ?

ではそもそも、なぜSharpCapで一眼レフカメラが使えるといいのか?

一般的には撮影です。PCからカメラが制御できれば、ファイルのPCへの取り込みや、設定を変えながらの撮影、リモート操作などにつながります。でもこれらのことはこれまでも、少なくともCanonの場合はEOS UtilityやBackYardEOSを使うことでかなり以前から実現されてます。まだ私は試してませんが最近ではNINAを使ってもできるはずです。

でもSharpCapでしかできないことがあります。一般的にいう天体写真の画像処理を、簡易的にですがリアルタイムでしてしまうことです。オートストレッチやヒストグラムを見ながらのマニュアルストレッチ、LiveStackを使ってのノイズ緩和、ダーク補正やフラット補正もリアルタイムでできてしまいます。

さらにスタック時には、撮影した画面を元に星が重なるように画面を移動して追いかけます。しかもただ追いかけるだけでなく、個々の星の位置を認識し、画面を歪ませて星位置を合わせながらスタックしていきます。

これらの機能は、なかなか他のソフトでは実現できていなくて、今のところ知る限りSharpCapとASIStudioの中のASILiveのみです。これらの機能が電視観望へと繋がっていきます。快適な電視観望はこのような高度な機能の上に初めて成り立つのです。

SharpCapで一般の一眼レフカメラを使うことができると、より大きなセンサーをより安価に利用して電視観望を実現する道が開かれるのです。

そこにきて、昨日におけるSharpCap 3.3βのリリースです。まだβテスト段階に過ぎませんが、今回のバージョンでこれまで滞っていた一眼レフカメラのサポートが一気に進んだ感があります。


現段階での対応状況

さて、これらを動かすためにはASCOM環境がインストールされている必要があります。ASCOM Platformはここからダウンロードしてインストールします。DSLR(一眼レフカメラ)用のASMOMドライバーはいまだ開発段階のような状況で、私はここからダウンロードしました。インストールするとわかるのですが、接続方法は
  • CanonSdk
  • BackyardEOS
  • Nikon
  • Pentax
  • NikonLegacy
とあります。いくつかの説明を見る限り、LiveViewはCanonとNikonのみと書いてありますが、この説明も古い可能性がありますので、ここの機器の対応は現段階では自分で試す必要がありそうです。現状としては、
  • Canonは少なくとも私のところで動きました。
  • Nikonは智さん、あぷらなーとさんが動かしたという報告があります。ASCOMドライバーのカメラ選択のメニューで「ニコン」だと不安定でしたが、「ニコン・レガシー」だと比較的安定だったとのこと。
  • Sony用カメラのドライバーもあるようですが、Sonyカメラを持っていないので試せてはいません。 HUQさんが試したようですが、動かないと言っていました。
ところがです、あぷらなーとさんのところでNikonのD810をSharpCapで動かそうとしたらエラーで本体が壊れたという情報が流れました。幸い「バッテリーを抜いて強制電源OFFした後、電源を再投入してシャッターボタン長押し」で復帰したそうですが、まだ一番最初の一般向けのβテスト段階ですので、何か試す場合も自己責任で、くれぐれもご注意下さい。


SharpCapから実際に一眼レフを動かしてみる

さて、実際のテストの様子です。SharpCap3.3βのインストールはここを見てください。注意書きにもあり、また繰り返しにもなりますが、あくまでβテストです。自己責任で、人柱になるくらいの覚悟を持って、最悪機器が壊れてもいいような環境で試すことを強くお勧めします。撮影に使っている主力機などはまだこの段階では試すべきではないかもしれません。

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ASCOM関連もきちんとインストールしてあれば、あとはカメラとPCを繋ぐだけです。SharpCap3.3βを立ち上げてCameraのところを選ぶと、該当するカメラが出てきているはずです。それを選ぶと「カシャーン」シャッタを開ける音がして接続完了です。

この時点で「Snapshot」を押せば、撮影した画像が出てくるはずです。もし何も出て来なかったらカメラのキャップが外れてるかとか、露光時間が短か過ぎないかとか、ISOが低過ぎないかとかきちんと確かめてみてください。夜にいきなり本番で試す前に、一度昼間明るいところで試してみて、まずはきちんと動くかどうか確かめた方がいいと思います。


LiveViewモード

ここからが新機能です。メニュー下の左端にある新しい「LiveView」を押します。するとシャッターが「カシャーン、カシャーン、カシャーン」と鳴り始め、連続での撮影が始まります。これがこれまでのCMOSカメラでの通常の撮影にあたります。ずっとシャッターを切り続けるので、シャッター回数を気にする人はやはりまだ躊躇すべきかもしれません。もしくは露光時間を長くして対処した方が良いのかと思います。通常、これまでのCMOSカメラはメカニカルシャッターなどは、SharpCapでカメラを接続すると連続でずっと撮影をし続けています。

本当は電視シャッターを持っているか、もしくはミラーアップ撮影ができれば良いのですが、私のところのCanonでも、智さんのところのNikonでもミラーアップにした途端SharpCapが止まってしまいました。私のほうはまだマシで、ミラーアップを解除したらまたSharpCapが動き出したのですが、智さんのところはミラーアップにした途端エラーでSharpCapが落ちてしまったそうです。ここら辺は今後改良されることを期待するしかないと思います。


あと、少し理解しておいた方が良いことは、メニュー下の「Capture」とかは画像データをディスクに「保存する」ということを意味します。カメラを繋いだ段階で、保存はしなくても撮影(PCに画像を送ること)はし続けていて、保存はせずに画像を捨て続けているということです。一眼レフになってもこれは同じ概念のようで、シャッターを切り続けても、PC上のディスクにも、カメラ内の記録カードにも画像は一切保存されません。これがデフォルトの設定のようです。

表示された画像は、ヒストグラムの3本の線で見え方を変えることもできます。簡単なのは真ん中の線で、左右に動かすと明るくなったり暗くなったりするのがわかると思います。画像処理でのあぶり出しの効果を撮影している最中にできるというわけです。SharpCapの有料版のライセンスを持っている方は、オートストレッチもできます。ヒストグラム右の雷のようなボタンを押してください。簡単にある程度の最適化ができます。


とうとう、LiveStackができた! 

ここまでのテストが終わったら、次はLiveStackを立ち上げます。すると、シャッタを毎回切るとともに画像がスタックされていきます。これを見た時、おおっ!!!と感動しました。

とうとう念願だった一眼レフカメラによる電視観望で、リアルタイムに炙り出しまで実現できる道が開かれたことになります。

さらに、Live Stack中にSave Allというオプションを選ぶことができて、こうするとPCに全てのシャッターの画像ファイルが保存されるようです。でも、それでもカメラカード内には何も保存されないみたいです。

この時点で16時過ぎくらいだったでしょうか。Twitterに投げたところ、すごい反響でした。特にあぷらなーとさんは狂喜乱舞。これまでの複雑な解析手法を相当簡略化できるとのことで、早速追試して、上記の通りカメラを壊しそうになったというわけです。

テストは上記の写真の通り、昼間の明るいうちに行いました。できれば夜に実際の空で試したいのですが、天気予報は曇り。果たしでどうなるか?


実際に夜の星を見てみる

夕方過ぎ、暗くなってきたのですが全面に雲が出ています。落ち着かなくてちょくちょく外に出て見てみると、20時半頃でしょうか、ごく一部ですが薄雲越しに星が見えています。雨は大丈夫そうなので、とりあえず機材を出そうと思い、AZ-GTiに6Dを取り付けて外に持っていきます。レンズはNikonの135mm f2.8です。下の写真はちょうど天頂付近をみている様子を上の方から撮影したものです。6Dの文字が誇らしげに見えると思います。
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あとで写真だけ見たら、一瞬背景が星に見えました。実際はアスファルトです。

カメラと接続して外に置いたPCではもちろんSharpCapの3.3βを走らせます。さらにAZ-GTiをコントロールするSynScan Proを走らせて、このPC自体を部屋からリモートデスクトップで接続します。まだ暑いので、クーラの効いた部屋で快適リモート電視観望です。

さて、実際の6Dでの電視観望ファーストショットです。

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ISO6400、10秒露光の一発撮りです。10秒ごとにこんな画像が出てきます。QBPがついているので、ヒストグラムであぶりだしてやると、淡いですがすでに星雲が見えています。上の方が網状星雲、下の方が北アメリカ星雲です。

レンズの焦点距離は 135mm。これまでツースターで使っていたフォーサーズのASI294MCと比べて、フルサイズの6Dの場合1.85倍くらいセンサーの一辺が長くなるので、同じレンズで3.5倍くらいの面積が見えます。ASI294MCで135mm/1.85~75mmくらいのレンズを使うと同じような面積になりますが、恒星の見え具合は直焦点の場合レンズの焦点距離に比例してよくなります。6Dで135mmレンズを使う場合、ASI294MCで75mmのレンズを使う場合に比べて1.85倍くらい暗い星まで見えることになります。1等級以上くらい星まで見えるようになります。

星が画面いっぱいに散りばめられたような電視観望にしたい場合は、長焦点のレンズを使うことが必須になります。これまではセンサー面積が小さいと狭い範囲しか見れないことが、フルサイズのセンサーを使うことで解決されたわけです。 

でもこの画面を撮った直後に雲が出てきて、LiveStackはお預け。しばらく待ちます。


ついにLiveStackで星雲がはっきりと!

その後10分くらい待つとすぐにまた雲がひらけてきて、ついに6DのLive Stackで星雲をはっきり映し出すことに成功しました!!!

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LiveStackなので、待てば待つほど背景のノイズが少なくなってきて、星雲がどんどん見えてきます。上の画像で15秒x8=120秒、ISOは6400です。

しかもアラインメントも普通に成功です。SharpCapのアラインメント機能はものすごく優秀で、撮影した画面の中の個々の星の位置を認識し、画面を歪ませて星位置を合わせながらスタックしていきます。このためある程度広角のレンズなら赤道儀や経緯台の自動追尾なども必要なく、固定三脚でも十分実用な電視観望ができます。

操作性に関していうと、少なくとも6Dの場合は露光時間もゲインもSharpCap上から調整できます。もうCMOSカメラと変わらないくらいの操作性です。ただしカラーバランスを調整できるのはLiveStack中のみでした。CMOSカメラの時にできた取り込み時の赤と青の調整は、そもそもパネル自体が出てこないです。

とりえずうまくいったのですが、この後またモニター上で見ても雲に覆われてしまって、外に出たら空全体が厚い雲で覆われてました。雨が心配だったのでそのまま機材も片付けることにしました。一瞬のテストチャンスだったみたいです。


一眼レフカメラがSharpCapで使えることのメリットのまとめ


今一度一眼レフカメラがSharpCapで使えることのメリットをまとめておきます。
  • まず、センサー面積が大きくなる。
  • 同じ面積を見るのに、焦点距離を伸ばすことができる。
  • より暗い恒星まで見えるので、星いっぱいの電視観望になる。
  • 見える面積が広がるので、特に初心者にとっては導入が楽になる
  • 中古一眼レフカメラは安価なので、大きなセンサーが安く手に入る。フルサイズのCCDやCMOSカメラはものすごく高い。初心者では全く出が出ないほど高い。
  • カメラ用の安いレンズを電視観望に使うことができる。これはこちらのページをご参照ください。
  • 初心者が初めて電視観望を始める時、一番高いのがカメラです。この値段が下がる可能性があるので、電視観望の敷居が一気に下がることが期待できる。
など、メリットだらけです。一方デメリットは
  • まだ操作が少し複雑。最初のうちは丁寧なインストラクションや解説が必要。
  • 安定性に問題がある。これは時間が解決することになると思う。
  • シャッターを切り続けるので、シャッターの寿命が気になる
など、どれもソフト的になんとか解決しそうなものです。


まとめ

とにかく、これまで面積の大きいセンサーを使うことが(ものすごく高価で)大変で、小さい面積で初心者は四苦八苦してたはずなのです。面積が小さいと、最初に天体がセンサーないに入って来なくて、導入がすごく難しいのです。一眼レフカメラが利用できるとなると、今までベストと言われてきたフォーサーズのASI294MCよりも大きな、APS-Cとか、もしかしたらフルサイズまで安価に手に入れられるかもしれません。もしくは手持ちのカメラがあったら簡単に試すこともできるかもしれません。これらが解決するなら、さらに電視観望の敷居が下がり、天文人口の増加につながるかもしれません。 

今回のSharpCapのアップデートは大きなエポックメーキングです。このブログでは電視観望にターゲットを絞って説明しましたが、あぷらなーとさんのように他にもメリットを感じるケースは多々あるかと思います。今回触って感想として、私的には極上の電視観望用のカメラが増えたような、得した気分になれました。

私はSharpCapの開発には全然貢献できていなくて、ただのユーザーにすぎないのですが、開発陣の努力に心から感謝します。今回のようにソフトの改良、特に最近はAZ-GTiのようなハードと柔軟なソフトの組み合わせで状況が劇的に変わり、以前よりはるかに便利になったりしています。プレートソルブなんかも良い例かと思います。私が星を始めてわずか4年の間にも物事は大きく変わってきています。まだまだこれからの将来も楽しみでなりません。 








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