ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ベナール対流

太陽粒状斑撮影にフィルターワークで新兵器投入です。今回はサイトロンから新発売のPlayer One社のPhotosphere filter。540nm付近を10nmの幅で透過するようなフィルターです。



IMG_6148

元々Barrderで「Solar Continuum Filter」という名前で同様のフィルターが古くから販売されていたようなのですが、国際光器のページを除いても在庫なし、本国のページを覗いても今も2インチしか残っていないようです。

最近Player Oneから同等のフィルターが発売されたことを本国のページから知ったのですが、PayPalでは自宅住所の県の情報が入らないという、おそらくシステムのエラーのようで、うまく購入することができませんでした。その足で少し前にシュミットさんに問い合わせてみたら、いずれ日本でも発売するとのこと。期待して待っていると、早速6月24日に発売開始のアナウンスがあり、早々と使ってみたというわけです。

さて、このフィルターで何が見えるかというと、太陽の光球面のベナール対流起因の粒状斑と呼ばれるものです。下層から上がってくる斑の中心の明るい部分と、下層に下がっていく周りの暗い部分の境界の温度が6000K程度になっていて、波長で言うとちょうど540nm程度でその明るさの差が見やすくなるため、粒状班模様としてよく見えるようです。

明暗がはっきりと

前回の撮影ではこのフィルターの代わりにBaaderのYellowフィルターを使っていましたが、模様の明暗部分のあぶり出しにかなり苦労していました。

今回はその明暗のあぶり出しは相当楽になりました。結果はというと、

final

くらいで、分解能に関しては今回は前回の結果には達しませんでした。今回導入したフィルターと画像処理方法がある程度確立してきたため、この程度のものはコンスタントに出るようにはなってきました。ただし前回も今回も強画像処理の影響が大きく、もう少し画像処理をしなくても自然に粒状斑が出るよう、まだ撮影に改善の余地がありそうです。


何が効いているのか?

うまく見えるかかどうかは
  • シーイング
  • シンチレーション
  • ピント
  • 波長
  • 焦点距離 
  • カメラの分解能
  • 口径
に依存します。上に行くほど運で、下に行くほど装備といったところでしょうか。何が足りていて、何が足りないのか、少しだけ検討します。
  • 口径はC8で20cmでそこそこ十分なはずです。まだ惑星撮影の典型的な分解能に達していないので、口径制限とはなっていないはずです。
  • ピントは合ったと思った前後を何ショットか撮っておけばいいでしょう。
  • シーイングは今日はそこまで良くなかったようですが、冬よりは遥かにマシになっているようです。これは日に依るので、地道に繰り返していい日を待つしかありませんが、基本的に休日しか撮影できないので、つらいところです。朝早く起きるか?多分無理です。
  • シンチレーション等意味では、外気温40度近い状態での撮影なので、多分鏡筒などの温度が物凄いことになっています。筒内気流がどうなっているか?まだ全然考えていないので、ここら辺がキーになるのかもしれません。
  • 波長に関しては、今回のPhotosphereフィルターを使うことができるようになったので、これ以降は解決のはずです。
  • 今回はPowerMATEの2倍を入れてC8の焦点距離2000mmを4000mm換算で撮影しました。ピクセルサイズから考えるとまだ全然アンダーサンプルです。なので焦点距離を伸ばす方向が正しい気がしています。手持ちのScience Exploereの5倍のバローを次回導入してみようと思います。もしかしたら以前使ったことのあるPowerMATEの4倍を購入するかもです。

今後

とにかく、もう少し焦点距離を伸ばして、十分なオーバーサンプル状態のカメラで、シーイングのいい日を狙って撮影ということになりそうです。筒内気流はどうするか?もう少し考えます。

Baaderの減光フィルム、Televueの2倍のPowerMATE、Player OneのPhotosohereフィルターときて、状況は徐々にですが、着実に改善されてきています。もう少しでしょうか。

最近すごく忙しくて、太陽なんかやっている暇ないはずなのに、せっかくの休日の晴れだとどうしても試したくなってしまいます。さらに一昨日からSV405CCの評価を再開しています。まもなく記事にできるかと思いますが、試してみたいこともまだまだあるのでいつ終わることやら。ゴールデンウィークの頃に撮影した溜まっている画像の処理が全然進んでいません。うーん、大丈夫か?


まだ梅雨入り宣言はないものの、先週はずっと雨でもう梅雨入りしたかのような北陸。でも今日5月23日(日)は、朝10時くらいからどんどん晴れてきました。新しい黒点も出ているようなので、朝から太陽撮影です。


何気ない太陽撮影が、好シーイングに

いつものように機材を出して、PCの画面で見てるのですが、今日は結構シーイングが良さそうです。黒点のHαを何ショットかと、エタロンをずらして可視光に近い状態を1ショット撮影しました。 速報としてTwitterで早く出したかったので、プロミネンスの撮影は後回しにして、早速画像処理です。

画像処理はいつものAutoStakkert!3とImPPGですが、シーイングがいいとImPPGであまり強調しない方がいいみたいです。実はこれ結構面白くて、シーイングがボロボロだとそもそもあまり強調できません。そこそこいいとかなり強調できて見栄えが良くなります。でも今回みたいにシーイングが相当いいと、強調でせっかくの細かい分解能が略されたようになってしまい、逆にあまり強調しない方がいいみたいです。

「AR2824」
10_18_30_lapl4_ap2271_IP_cut
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.0beta (64bit)
  • 撮影時間: 2021/5/23 10:18 gain70, 1.25ms x 5000フレーム中上位25%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、Registaxで細部出し、PhotoshopCCで後処理
今日はかなり細かいところまで見えています。ここまで見えたのは初めてかも。これくらシーイングがいいと、20cmの口径が効いてくるのがよくわかります。

擬似カラー化もしてみました。カラーの方は少し派手にしましたが、どうでしょうか?カラー化するとたいていモノクロより見栄えがしなくなるので、多少明暗をはっきりさせてみました。これくらで上のモノクロと同じくらいの見栄えでしょうか?

10_18_30_lapl4_ap2271_IP_color_cut




ベナール対流?

今回、Hαの方がかなり細かいところまで見えて満足だったのですが、もう一つの可視光に近いものが私的には面白かったです。。こちらもAS!3とImPPGは変わりませんが、画像処理でかなり強調してあります。するとベナール対流っぽいのがやっと見えてきました

10_14_45_lapl4_ap2491_IP-SharpenAI-focus_cut

わかりやすいように、少しカラー化してもう少し拡大します。

10_14_45_lapl4_ap2491_IP-SharpenAI-focus_color_cut

どうでしょうか?色はベナール対流っぽいのを想像してこれくらいにしました。単なる好みです。もっと真っ赤なイメージでもいいかもしれません。小さいですが、ポコポコしているところが見え始めています。いつかこの一個一個のセルの中身の違いをはっきり見てみたいです。

ベナール対流は可視光のほうが見えやすいのは知っていたのですが、思ったより構造が小さく、C8の分解能がありここまで拡大して初めて、というかここまでシンチレーションが良くて初めて見えたのかと思います。その証拠に、午後も全く同じ状態で再撮影したのですが、動画で見ていて既に揺れていて、実際に画像処理までしても今度はかすりもしませんでした。

ここでいくつか今後の課題です。
  • エタロンを使わずにベットNDフィルターとかでもう少し広い波長で見ること。周辺部まで均一に見えるようになるはず。
  • 地面や風の揺れを軽減すること。
  • バローなどで拡大すること。
  • バローでダメなら口径20cmをもう少し大きくすること。
  • よりピクセルサイズの小さいカメラを使うこと。
  • 一番重要なのはシンチレーションのいい日を狙うこと
などです。おそらく午前の段階でもシンチレーションリミットだと思います。撮影できるのは休日のみなので、チャンスがあれば黒点に囚われずに積極的に見ていきたいと思います。

午後に撮影したもう一つの小さな黒点といくつかのプロミネンスも処理したので載せておきます。まずは新しく出た黒点(このページによると5/23 16:56の時点ではまだ番号は付いていないようです。)です。

13_57_17_lapl4_ap1745_IP_cut

でも黒点の解像度は全然ダメで、やはり午前中の方がシーイングは相当良かったとのでしょう。

目立ったプロミネンス二つです。

13_59_09_lapl4_ap871_IP_cut

14_01_59_lapl4_ap1357_IP_cut

でも午前の黒点で力尽きて、画像処理もあまり気合が入りませんでした。


はたして?

一般的に午前中の方がシーイングがいいのか?それともたまたまなのか?来週末ももし晴れたら少し早く起きて試してみます。

今日はこれから皆既月食の準備です。さっき撮影場所の下見に行ってきました。

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堤防沿いです。立山が遠くに見えるので、高さを測ってみました。5度以下なので、ほとんど問題なさそうです。

あと、先ほどSharpCapで極軸が何時頃から撮れるかやってみたら、19時30分で位置を認識し始めました。うまくいくと19時40分くらいから撮影に入れそうです。

当日晴れるといいなあ。


 

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