先日お知らせた、CP+とほしぞloveログの連携企画
「電視観望技術を利用して天体写真を撮影してみよう」
ですが、いよいよ開始します。企画名は略して「電視撮影」として、今回の記事のタイトルにも使っています。今回は (その1) で、機材の準備です。
記事としては、今回紹介する機材を用いてCP+当日までにオリオン大星雲の撮影をし、その過程をブログで公開していきます。セミナー当日は時間が限られると思うので画像処理をメインに見せたいと思っています。セミナーを聞いた人も、撮影に興味が出たらブログを見てもらうように誘導するつもりです。
セミナーを引き受けたあとに、具体的にどのように進めるかをサイトロンのスタッフさんと一緒に相談したのですが、ここでポイントとなったのは「入門者でも手が出せる天体写真撮影機材を使おう」ということです。
天体写真の撮影はなんだかんだ言って敷居が高いです。初めて撮影に挑戦する方を想定して、電視観望を利用して技術的に敷居を下げることだけでなく、機材に関しても「撮影ができるクラス」で「手の出しやすい価格帯」のものを選択することにしました。その結果、
1. Star Adventurer GTi、略してSA-GTiは1年ほど前にSkyWatcher社から発売開始された赤道儀で、2軸制御としては三脚込みで税込9万円台前半と、最安の部類になるかと思います。もっと安いのだと、同じSkyWatcher社のこれまた最安クラスの自動追尾経緯台に「AZ-GTi」というのがあるのですが、これはファームウェアを書き換えることで赤道儀モードで使うことができます。ただし赤道儀動作はメーカーオフィシャルではないためかなり敷居が高く、少なくとも初心者にお勧めできるものではないと思います。SA-GTiはある意味、AZ-GTiのメーカーオフィシャルな赤道儀としてアップグレードされたものと言えるのかと思います。
2. 鏡筒に関しては名前にEDと冠しているように、アクロマートクラスとは一線を画したもので、専用レデューサも発売されているように、明らかに写真撮影を意識したものです。「レデューサ」とは、焦点距離を短くして視野を広げるためのものですが、同時に星像を改善する働きを持たせていることが多いです。今回も撮影を目指すので、画面四隅の星まで綺麗な点になることを願って、62ED専用のレデューサを使うことにします。鏡筒が実売約6万円、レデューサを入れても約10.5万円と、撮影鏡筒としては安価な部類に入ります。初心者がはじめに手にいれる撮影用鏡筒としては手頃で、いい選択肢ではないのかと思います。
ちょっと心配なのはこのEVOLUX 62ED、シュミットの販売ページに行っても在庫切れで、他のショップやAmazonでも在庫切れやお取り寄せとなっているところばかりです。3年前のCP+でEVO GUIDE50での電視観望を紹介して、その後しばらくの間、肝心のEVOGUIDEが在庫切れという状況が続いたことを思い出してしまいました。もちろん今回CP+で見せようと思っている画像処理の方法は、他の鏡筒でも問題なく応用が効くので、お手持ちの鏡筒で構わないのですが、もしかしたら在庫有りのものにしたほうが良かったのかもしれません。
3. カメラですが、今回の目的が撮影ということなので、冷却タイプのCMOSカメラを選びました。冬季ということでそもそも冷えていることと、撮影も入門用に簡単にということでそこまで露光時間を長く取らない予定なので、ダークノイズはそこまで効かないでしょう。またホットピクセルやコールドピクセルもPlayerOneのカメラの特徴のDPS (Dead Pixel Supressioin) 機能で軽減されるので、冷却は必要ないかもしれません。それでも今後撮影に進んでいくと、一枚一枚撮影しダーク補正をする可能性は高く、冷却を選んでおくに越したことはありません。もう一つは冷却そのものというよりは、「一定の温度で撮影できる」ということが、温度管理という意味で便利だったりします。
最初は赤道儀Star Adventurer GTiの組立です。日本語版のマニュアルが同封されているので、基本的にはマニュアルを見て進めていけばいいでしょう。
1. 箱から三脚を取り出し足を広げます。三角受け皿をはめ込み、回転させて固定します。
2. ハーフピラーを三脚の上に載せ、三脚上部から出ているネジを締め、固定します。
3. ハーフピラー上部の3つのネジを緩めて、接続部を外します。
4. 赤道儀を箱から取り出し、上で外したハーフピラー上部を赤道儀本体底部ににねじ止めします。
5. 赤道儀をハーフピラーの上に載せ、ハーフピラー上部の3つのネジを締めて固定します。
6. 赤経体の経度を日本の35度付近に合わせます。赤経体が上下に動くように、赤道儀本体左右についている2つの大きめのネジが緩んでいることを確認(箱から出した直後は全て緩んでいました)して、前部についているネジを締めながら赤経の角度を35度付近にまでします。
7. ウェイトバーを取り付けますが、ここで少し迷いました。マニュアルにあまりはっきりと書かれていませんが、バーの根元に取り付けるアダプターの上下に注意です。ウェイトバーがアダプターにすっぽりハマる向きに取り付け、その後ウェイトバーを赤道儀本体に取り付けます。
機械的な組立はこれくらいです。
次に電源についてです。電池駆動もできますが、撮影中はどうせ冷却カメラに12V電源を使うことになるので、赤道儀、冷却カメラともに12Vの外部のDC電源を使うことにしました。
ちなみに、電池駆動する時の場合の手順です。こちらの方が少し迷うかもしれません。
赤道儀の組立はここまでです。
鏡筒のEVOLUX 62EDですが、どうやら日本ではあまり本数が出回っていないのかもしれません。日本語のレビューなどを探してもごくわずかしか見つかりません。専用ケースが付いてくるようですが、今回私の場合はデモ機をお借りしているので、専用ケースはありませんでした。
まずは鏡筒本体に鏡筒にレデューサをつけます。鏡筒接眼側についている、緑のアダプターを回転させ外します。
ここで、必要ならばフィルターを鏡筒側に取り付けます。取り付けることができるのは48mm径のもので、後に詳しく書きますが、今回はCBP(Commet BandPassフィルター)を取り付けました。
CBPを鏡筒側に取り付けた様子。
(2024/2/4追加) [[注意]] 初出の記事で、フィルターをこの位置に入れると書きましたが、レデューサ側にはまり込んででしまうとものすごく外しにくくなることがわかりました。カニ目レンチなどがあれば頑張って外すことはできますが、かなり大変なのと、フィルターを傷つける可能性があるので、フィルターを入れる位置は再考します。
フィルターを挟み込むようにして、レデューサを鏡筒本体に取り付けます。下の写真のように、レデューサーの字の向きが鏡筒の字の向きと逆になりますが、これが正しいです。
次にカメラと鏡筒の接続です。
Uranus-C Proには17.5mmと20mmの延長アダプターがついています。さらに、カメラのシャーシ端面からセンサー面までの距離は17.5mmとのことです。ここで、63ED レデューサーに必要なバックフォーカスを調べてみると、55mmだとわかりました。レデューサの「後端」から測って、55mm伸ばしたところに「センサー面」が来ればいいということになります。先ほどの距離を足してみると、17.5+20+17.5 = 55mmで、何とちょうど55mmとなるではありませんか。これは、最近の鏡筒のバックフォーカスは55mmのものが多いので、カメラの方でそれにうまく合うようなアダプターを付属しているというわけです。
とうわけで付属のアダプター2つを挟んでカメラをレデューサの後ろに取り付けます。ネジは全てT2と呼ばれるカメラ界隈で使われている規格で、径42mm ピッチ0.75mmになります。
CMOSカメラの電源ですが、メインはUSBで供給されます。コネクタはType-Cです。露光時間が長いので、USB2.0でもなんとかなると思いますが、転送速度はやはり早い方がいいので基本はUSB3.0以上で接続した方がいいでしょう。冷却用のDCの12V電源も別途必要になります。撮影用のバッテリーを一つ買うといいと思います。下の写真のようなDCジャックができれば複数付いているバッテリーを選ぶといいでしょう。
これで赤道儀SA-GTiも駆動できるようになります。
バッテリーとCMOSカメラ、赤道儀を接続するDC電源用のケーブルも必要です。ケーブルを選ぶときに、オスメスを間違えないように気をつけてください。今回のように、通常はオス-オスタイプが必要になりますが、実際に売っているのはオス-メスタイプが多いので、そんな場合はオスメス変換のアダプターを一緒に購入するといいでしょう。
これで鏡筒とカメラの準備は完了です。
鏡筒部を赤道儀に載せてみましょう。鏡筒にはアリガタプレートが最初から付いているので、そのまま赤道儀に取り付けることができます。
今回の撮影では、長時間撮影しても視野がずれていかないように、オートガイドと呼ばれる手法を用います。別途もっと視野の広い焦点距離の短い望遠鏡とカメラを用意して、1秒程度の短時間露光で常に画角を確認して、ずれたらそれを補正するようなフィードバック信号を赤道儀に返します。
そのためのガイド鏡を用意しておきます。ガイド鏡の「鏡」は望遠鏡からきていますが、今回は安価な監視カメラ用のCマウントレンズ(実際にはCSマウントレンズで、延長アダプターをつけてCマウントとしています)を使いました。ガイド鏡はメイン鏡筒の焦点距離の10分の1程度の焦点距離があれば十分です。今回はメイン鏡筒がレデューサーをつけて360mmなので、ガイド鏡の焦点距離は50mmとしました。こういったレンズはアマゾンなどで「cマウントレンズ」と検索すると簡単に手に入れることができます。
カメラは手持ちであったPlayerOneのNeptune-Cを使います。
ガイド鏡は、カメラにL字の適当な金具をつけ、底にアルカスイス互換のクランプをつけます。一方鏡筒側には、鏡筒付属のアリガタにアルカスイス互換のプレートをとりつけました。これらもアマゾンで「アルカスイス」と検索すると、安価な互換品を簡単に手に入れることができます。これで着脱も自由です。
全てを組み上げた全体図になります。
初めて天体機材を触る場合は、最初の組み立ては昼間の明るいうちにやっておいたほうがといいと思います。最初はなかなかうまくいかなくて、組み上げるだけでも大変です。暗い中ではさらに大変になります。あせらずに、余裕を持って、時間をかけて組み立ててみてください。
「電視観望技術を利用して天体写真を撮影してみよう」
ですが、いよいよ開始します。企画名は略して「電視撮影」として、今回の記事のタイトルにも使っています。今回は (その1) で、機材の準備です。
記事としては、今回紹介する機材を用いてCP+当日までにオリオン大星雲の撮影をし、その過程をブログで公開していきます。セミナー当日は時間が限られると思うので画像処理をメインに見せたいと思っています。セミナーを聞いた人も、撮影に興味が出たらブログを見てもらうように誘導するつもりです。
機材選択
セミナーを引き受けたあとに、具体的にどのように進めるかをサイトロンのスタッフさんと一緒に相談したのですが、ここでポイントとなったのは「入門者でも手が出せる天体写真撮影機材を使おう」ということです。
天体写真の撮影はなんだかんだ言って敷居が高いです。初めて撮影に挑戦する方を想定して、電視観望を利用して技術的に敷居を下げることだけでなく、機材に関しても「撮影ができるクラス」で「手の出しやすい価格帯」のものを選択することにしました。その結果、
- 赤道儀: SkyWatcher Star Adventurer GTi
- 鏡筒: SkyWatcher EVOLUX 62ED + ED62 Reducer
- カメラ: PlayerOne Uranus-C Pro
という機材を選んでみました。
1. Star Adventurer GTi、略してSA-GTiは1年ほど前にSkyWatcher社から発売開始された赤道儀で、2軸制御としては三脚込みで税込9万円台前半と、最安の部類になるかと思います。もっと安いのだと、同じSkyWatcher社のこれまた最安クラスの自動追尾経緯台に「AZ-GTi」というのがあるのですが、これはファームウェアを書き換えることで赤道儀モードで使うことができます。ただし赤道儀動作はメーカーオフィシャルではないためかなり敷居が高く、少なくとも初心者にお勧めできるものではないと思います。SA-GTiはある意味、AZ-GTiのメーカーオフィシャルな赤道儀としてアップグレードされたものと言えるのかと思います。
2. 鏡筒に関しては名前にEDと冠しているように、アクロマートクラスとは一線を画したもので、専用レデューサも発売されているように、明らかに写真撮影を意識したものです。「レデューサ」とは、焦点距離を短くして視野を広げるためのものですが、同時に星像を改善する働きを持たせていることが多いです。今回も撮影を目指すので、画面四隅の星まで綺麗な点になることを願って、62ED専用のレデューサを使うことにします。鏡筒が実売約6万円、レデューサを入れても約10.5万円と、撮影鏡筒としては安価な部類に入ります。初心者がはじめに手にいれる撮影用鏡筒としては手頃で、いい選択肢ではないのかと思います。
ちょっと心配なのはこのEVOLUX 62ED、シュミットの販売ページに行っても在庫切れで、他のショップやAmazonでも在庫切れやお取り寄せとなっているところばかりです。3年前のCP+でEVO GUIDE50での電視観望を紹介して、その後しばらくの間、肝心のEVOGUIDEが在庫切れという状況が続いたことを思い出してしまいました。もちろん今回CP+で見せようと思っている画像処理の方法は、他の鏡筒でも問題なく応用が効くので、お手持ちの鏡筒で構わないのですが、もしかしたら在庫有りのものにしたほうが良かったのかもしれません。
3. カメラですが、今回の目的が撮影ということなので、冷却タイプのCMOSカメラを選びました。冬季ということでそもそも冷えていることと、撮影も入門用に簡単にということでそこまで露光時間を長く取らない予定なので、ダークノイズはそこまで効かないでしょう。またホットピクセルやコールドピクセルもPlayerOneのカメラの特徴のDPS (Dead Pixel Supressioin) 機能で軽減されるので、冷却は必要ないかもしれません。それでも今後撮影に進んでいくと、一枚一枚撮影しダーク補正をする可能性は高く、冷却を選んでおくに越したことはありません。もう一つは冷却そのものというよりは、「一定の温度で撮影できる」ということが、温度管理という意味で便利だったりします。
赤道儀SA-GTiの組み立て
最初は赤道儀Star Adventurer GTiの組立です。日本語版のマニュアルが同封されているので、基本的にはマニュアルを見て進めていけばいいでしょう。
1. 箱から三脚を取り出し足を広げます。三角受け皿をはめ込み、回転させて固定します。
2. ハーフピラーを三脚の上に載せ、三脚上部から出ているネジを締め、固定します。
3. ハーフピラー上部の3つのネジを緩めて、接続部を外します。
4. 赤道儀を箱から取り出し、上で外したハーフピラー上部を赤道儀本体底部ににねじ止めします。
5. 赤道儀をハーフピラーの上に載せ、ハーフピラー上部の3つのネジを締めて固定します。
6. 赤経体の経度を日本の35度付近に合わせます。赤経体が上下に動くように、赤道儀本体左右についている2つの大きめのネジが緩んでいることを確認(箱から出した直後は全て緩んでいました)して、前部についているネジを締めながら赤経の角度を35度付近にまでします。
7. ウェイトバーを取り付けますが、ここで少し迷いました。マニュアルにあまりはっきりと書かれていませんが、バーの根元に取り付けるアダプターの上下に注意です。ウェイトバーがアダプターにすっぽりハマる向きに取り付け、その後ウェイトバーを赤道儀本体に取り付けます。
機械的な組立はこれくらいです。
次に電源についてです。電池駆動もできますが、撮影中はどうせ冷却カメラに12V電源を使うことになるので、赤道儀、冷却カメラともに12Vの外部のDC電源を使うことにしました。
ちなみに、電池駆動する時の場合の手順です。こちらの方が少し迷うかもしれません。
- インターフェースパネル下のネジを外して、インターフェース部分を取り囲んでいるカバーを外します。
- 極軸望遠鏡のカバーを外し、電池ケースを2つ取り出します。(注1. 極軸望遠鏡のカバーを外さないと、電池ケースを取り出すことができません。外れないからと言って、無理に引っ張って壊さないようにしてください。)
- それぞれのケースに4本、計8本単3電池を入れます。電池は受電式のものでも十分稼働します。
- ケースを赤道儀本体に戻します。(注2. その場合、極軸望遠鏡のカバーができなくなりますが、これは液漏れを防止するための仕様とのこと。)
赤道儀の組立はここまでです。
鏡筒とレデューサー
鏡筒のEVOLUX 62EDですが、どうやら日本ではあまり本数が出回っていないのかもしれません。日本語のレビューなどを探してもごくわずかしか見つかりません。専用ケースが付いてくるようですが、今回私の場合はデモ機をお借りしているので、専用ケースはありませんでした。
まずは鏡筒本体に鏡筒にレデューサをつけます。鏡筒接眼側についている、緑のアダプターを回転させ外します。
CMOSカメラの接続
次にカメラと鏡筒の接続です。
Uranus-C Proには17.5mmと20mmの延長アダプターがついています。さらに、カメラのシャーシ端面からセンサー面までの距離は17.5mmとのことです。ここで、63ED レデューサーに必要なバックフォーカスを調べてみると、55mmだとわかりました。レデューサの「後端」から測って、55mm伸ばしたところに「センサー面」が来ればいいということになります。先ほどの距離を足してみると、17.5+20+17.5 = 55mmで、何とちょうど55mmとなるではありませんか。これは、最近の鏡筒のバックフォーカスは55mmのものが多いので、カメラの方でそれにうまく合うようなアダプターを付属しているというわけです。
とうわけで付属のアダプター2つを挟んでカメラをレデューサの後ろに取り付けます。ネジは全てT2と呼ばれるカメラ界隈で使われている規格で、径42mm ピッチ0.75mmになります。
CMOSカメラの電源ですが、メインはUSBで供給されます。コネクタはType-Cです。露光時間が長いので、USB2.0でもなんとかなると思いますが、転送速度はやはり早い方がいいので基本はUSB3.0以上で接続した方がいいでしょう。冷却用のDCの12V電源も別途必要になります。撮影用のバッテリーを一つ買うといいと思います。下の写真のようなDCジャックができれば複数付いているバッテリーを選ぶといいでしょう。
これで赤道儀SA-GTiも駆動できるようになります。
バッテリーとCMOSカメラ、赤道儀を接続するDC電源用のケーブルも必要です。ケーブルを選ぶときに、オスメスを間違えないように気をつけてください。今回のように、通常はオス-オスタイプが必要になりますが、実際に売っているのはオス-メスタイプが多いので、そんな場合はオスメス変換のアダプターを一緒に購入するといいでしょう。
これで鏡筒とカメラの準備は完了です。
赤道儀に鏡筒を載せてみる
鏡筒部を赤道儀に載せてみましょう。鏡筒にはアリガタプレートが最初から付いているので、そのまま赤道儀に取り付けることができます。
- まずは赤道儀のウェイトのネジを緩め、ウェイトバーの下の方までウェイトを十分下げて、再びネジを締め固定します。赤経体のネジを緩めて、ウェイトをぷらぷらさせ、手を離して一番下に下がるところで赤経体のネジをしめます。
- 赤緯体のネジを緩めて、鏡筒を乗せたときに真っ直ぐ上を向くくらいの位置までアリミゾ部を回転させ、再び赤緯体のネジを締めます。
- アリミゾの所のクランプネジを緩めて、鏡筒のアリガタのところをアリミゾ部にはめ込んで、再びネジを締めて固定します。一度ゆっくり手を離してみて、落ちたりしないか確認し、さらに鏡筒部をつついてグラグラ動いたりしないか確認します。
- 赤経体のネジを緩めて、さらにウェイトのネジを緩めて、赤経体を回転させ、水平になるように持っていき、ウェイト位置を中央側にずらして、赤経体のバランスをとります。手を離しても赤経体が回転しないところを探してウェイトのネジを締め固定します。
- 赤経体は水平のまま、一旦赤経体のネジを締め水平からずれないように固定します。
- 次は赤緯体のネジを緩めてバランスをとります。鏡筒が落ちたりしないように注意しながら、アリミゾクランプのネジを少し緩めて、鏡筒部を前後に動かして、手を離しても回転しないところを見つけてください。手を離す際は「毎回」アリミゾクランプのネジを締めるのを忘れないようにしてください。油断すると鏡筒が地面に真っ逆さまになります。
- 赤経、赤緯の重量バランスが取れたら、赤経体のねじ、赤緯体のネジを緩めて元のホームポジション(鏡筒が上に来るように赤経体を上に戻し、赤緯体は鏡筒先端が北を向くようになるような位置です)に戻し、再びネジを固定しててください。
ガイド鏡
今回の撮影では、長時間撮影しても視野がずれていかないように、オートガイドと呼ばれる手法を用います。別途もっと視野の広い焦点距離の短い望遠鏡とカメラを用意して、1秒程度の短時間露光で常に画角を確認して、ずれたらそれを補正するようなフィードバック信号を赤道儀に返します。
そのためのガイド鏡を用意しておきます。ガイド鏡の「鏡」は望遠鏡からきていますが、今回は安価な監視カメラ用のCマウントレンズ(実際にはCSマウントレンズで、延長アダプターをつけてCマウントとしています)を使いました。ガイド鏡はメイン鏡筒の焦点距離の10分の1程度の焦点距離があれば十分です。今回はメイン鏡筒がレデューサーをつけて360mmなので、ガイド鏡の焦点距離は50mmとしました。こういったレンズはアマゾンなどで「cマウントレンズ」と検索すると簡単に手に入れることができます。
カメラは手持ちであったPlayerOneのNeptune-Cを使います。
ガイド鏡は、カメラにL字の適当な金具をつけ、底にアルカスイス互換のクランプをつけます。一方鏡筒側には、鏡筒付属のアリガタにアルカスイス互換のプレートをとりつけました。これらもアマゾンで「アルカスイス」と検索すると、安価な互換品を簡単に手に入れることができます。これで着脱も自由です。
まとめ
全てを組み上げた全体図になります。
今回の機材はあくまで一例です。機材はお手持ちのものがあれば、もちろんそれらを使えばいいかと思います。
初めて天体機材を触る場合は、最初の組み立ては昼間の明るいうちにやっておいたほうがといいと思います。最初はなかなかうまくいかなくて、組み上げるだけでも大変です。暗い中ではさらに大変になります。あせらずに、余裕を持って、時間をかけて組み立ててみてください。
一応これで、機材の準備は完了です。次回はPCを接続して電源を入れてみましょう。いよいよ望遠鏡の像を見ることになります。