ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:イベント > ファーストライト

ε130Dでのセカンドライトとなります。とうとうテスト撮影です。今回色々トラブルはありましたが、結果を見る限りかなりの性能のようです。


カメラとフィルターホイール、フィルターの準備

電視観望でのε130Dのファーストライト以来、ちょっと時間はかかりましたが、ε130Dで最低限撮影するだけの機材は揃ってきました。用意したのは以下のものです。

  • 2インチのフィルターホイール。
  • 2インチフィルターはZWOのLRGBフィルターセットと、ナローバンドではとりあえずBaaderのHαとOIII。
  • カメラはASI6200MM Pro。
  • 接続アダプターとして、ZWO製のCanon EFマウント用のアダプターと、ε130側にタカハシのDX-WRカメラマウント。
鏡筒以外にも、撮影しようとするとこれくらいは必要なので、本格撮影は大変ですよね。あとはEAFを用意するくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んできています。 


撮影用機材の取り付け

実際の撮影用機材の取り付けです。連休前の土日に時間をとってじっくり取り組みました。

まずは販売店のページなどで見つかる解説に従って、フィルターホイールのネジを外して分解し、CMOSカメラを取り付けます。センサー面にホコリがつくと、フラットフレームの使い回しができなくなるので、ホコリなどがつかないように細心の注意をはらいます。

カメラの固定が終わったら、とりあえずすぐにフィルターを一枚とりつけて、センサー面がこれ以上暴露しないようにします。この際、センサーの真上でフィルターを取り付けると、ねじ山の切り屑がセンサー面に落ちる可能性があるので、必ずねじ締めはフィルターホイールを回転させ、センサーの上から外れた位置で行います。

その後、各フィルターを順次取り付けていきます。フィルターホイールの付属品でフィルター押さえがついていますが、とりあえずフィルターに最初からついているリングをつけたまま取り付けてみました。装着の際はどうしてももホコリはある程度のっかってしまうので、できるだけ立てて垂直にして取り付けるとか、ブロワーでホコリを何度も吹き飛ばしながら、目で見て何もついていないことを確認しながら進めます。最終的にOKと確認して、さらに蓋の裏側のホコリもブロワーで十分に飛ばして、垂直に立てたまま蓋を閉めてネジを止めます。手で回してみてもぶつかったりはしていないようだったので、OKとしました(後でダメだったと分かった...)。


フィルターホイールと鏡筒の接続

フィルターホイールと鏡筒との接続は、Canon EFアダプターを使うことにしました。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。ε130側にはTSA-120で使っていたタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、カメラ側は以前ASI2400MC Proを試したときに用意したZWOのEOS EFマウントを取り付けます。

今回使ってみてかなり便利そうだったので、ASI294MM ProもそのうちEFマウントにしてしまおうと思いました。こうするとモノクロCMOSカメラとカラーCMOSカメラの取り替えや、一眼レフカメラを使いたい時も、電視観望にしたいときも、センサー部を暴露してホコリまみれにすることなく、再現性よく交換することができるはずです。唯一の欠点がオフアキガイドをする手がなくなるということですが、今のところSCA260の1300mmまでは普通のガイド鏡で大丈夫そうなので、交換の手軽さを優先することにします。あ、フィルター面につくホコリは少しきになるかもしれませんが、キャップもCanonのものを使えるので、入手性もよくきっちり閉じることができそうなので、そこまで問題にならないかもしれません。


いよいよテスト撮影

5月2日の夜、いよいよ明日から連休です。天気がいいので、いよいよテスト撮影開始です。あいにくの月齢12.5日でかなり明るい夜ですが、ナローバンド撮影ならなんとかなるでしょう。ターゲットは北アメリカ星雲とペリカン星雲。せっかくの広角なのである程度面積のあるものがいいかと思いました。以前似たような焦点距離のFS-60CBとほぼ同じ大きさのカラーセンサーのEOS 6Dで、CBPフィルターを使って撮影したことがあるので、結果を直接比較することができます。

せっかくのフルサイズCMOSカメラなので、16bitと高解像度を活かしてbin1でgain120、露光時間5分撮影してみました。狙いはAOO撮影なので、HαとOIIIフィルターです。でも撮影されたHα画像を見るととても暗いです。ヒストグラムのピーク位置が1000/65536にも全然達していません。Hαでこれなので、O3だとさらに暗くなりそうです。10毎撮影したところで方針転換して、bin2でgain240、露光時間5分としました。bin1だとファイルサイズが100MB越えで大きすぎるということもあります。これだと明るさはbin1->bin2で4倍、gainが120->240で12dB分なので6dB+6dB=2x2=4倍と考えて、約8倍になります。bin2といってもソフトビニングなので、読み出しノイズも4回読み出しているので、S/Nは4/sqrt(4) =4/2=2倍しか得しません。gainを4倍にしているので、読み出しノイズに制限されているならS/Nはダイレクトに4倍得するので合わせて8倍のS/Nになるはずです。かなり暗い画像なのでこの効果は結構効いていて、実際にRAW画像をASIFitsViewerで撮影中に簡易的にみても明らかにノイズが小さくなっていました。もちろん、gainを上げたことでダイナミックレンジは13.5bit程度から11bit程度に落ちてしまいますが、それでもまだ余裕があるでしょう。

結局この日はbin2のHαをさらに10枚とって時間切れで終了となりました。


いくつかのトラブル

テスト撮影でいくつか問題があることが発覚しました。
  1. フィルターホイールとカメラが重かったので、鏡筒前方に荷重がかかりすぎでバランスが崩れた。ドブテイルプレート下面にとりつけたアルカスイスプレートが邪魔をしてパランスが合わせきれなかった。
  2. フィルターホイールが途中で引っかかるることがあり、ホイールを回転させるとうまくいくこともあるが、多くの場合エラーが出て止まってしまう。たとえうまく動いても位置が確定しないようで、撮影画面を見ると片側が暗くなることがある。これは許容範囲外。
  3. フィルターホイールと鏡筒を繋ぐカメラアダプターが、回転方向にがたつく。
1つ目ですが、これはアルカスイスプレートの位置を前に少しずらして全体を後ろに後ろに移動しましたが、ずらせる範囲に限界もあり少し前荷重が残っています。

2つ目ですが、フィルターホイール内を見直してみました。すると、ZWOフィルターよりもBaaderフィルターの枠の方が分厚くて、特にOIIIフィルターの枠は特別厚いことがわかりました。

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正面奥右に見えるOIIIフィルターの枠が一番背が高く、左隣のHαが次に高いです。

これがギリギリフィルターホイールの蓋の裏側の出っ張りに引っかかっていたようです。フィルターを新たに買ってもいいのですが、予算的にも時間的に直ぐにはためせなくなってしまうので、このOIIIの枠を背の低いSVBONYのUV/IRフィルターの枠と取り換えることにしました。

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忘れないようにテプラでシールを作り貼っておきました。

3番目は結局解決せずです。下の写真の向かい合った下のZWO製のアダプターの「爪」と、上のタカハシ製のアダプターの「切り欠き」でカチッとハマって固定されるのですが、この爪の径と切り欠きの幅が合っていないのです。外すときは爪がへこんで下がるので、この爪を接着剤とかで太くすることは出来ません。切り欠きの隙間を接着剤で少し埋めて細くすることも考えましたが、安くない部品なのでまだ躊躇しています。結局、あえて力を加えないと重力程度では回転しないこともわかったので、そのまましばらく使うことにしました。

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EAFも到着

これらの手直しをしている連休2日目、ちょうど発注していたZWO製のEAFが到着しました。スターベースで頼んだタカハシ仕様のものです。カプラーの径が標準のものと変更されていて、タカハシ鏡筒のフォーカサーの太い軸に合わせたものが入っています。特にトラブルもなく取り付けることが出来ました。

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撮影2日目

前日はHαだけしか撮影できなかったので、この日はOIIIを優先します。5分を12枚の1時間を1ターンとして、OIII、Hα、OIII、Hαと4ターンを目指します。あいにく月は最後まで出ていて、暗いOIII撮影には例えナローバンドといえ影響があるといいます。まあ今回はテスト撮影なのでよしとします。

撮影開始前に、早速NINAでEAFを使ってオートフォーカスを試してみました。ちょっと前の記事でオートフォーカスについて書きましたが、NINAのオーバーシュートを使う場合は「バックラッシュ補正をイン側かアウト側の片側だけ書き込む」とありました。今回それを試したところ、初めて右側の最初のステップのずれをなくすことができ、ほぼ完璧に曲線と一致させることができました。

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ここまでピッタリ合うとかなり気分がいいです。数カウント位の精度までいっているっぽいので、今後かなり正確にピントが合わせられるかと思います。

さて、この状態での四隅を見てみます。bin2の解像度で256ピクセル四方を9枚切り取っています。

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思ったより星像が伸びています。下の方が縦長になっていて、上の方が横長です。スケアリングだけだと説明できないかもしれません。光軸をもう一度見直す必要がありそうです。

今回はBXTの恒星の補正で直せることに期待したいと思います。


画像処理

夜の撮影後の次の日の昼間に、新しい鏡筒とカメラなので、bias(実際には処理には使わない)、flat、flatdark、darkなどをNINAで撮影して、画像処理に備えます。flatはついでなので全フィルター分撮影してしまいます。ホコリなどが顕著でなければ使い回しができるでしょう。

今回Hα画像を仮処理したところでなぜかすごい分解能が出たのですが、理由は前回の記事の通りで、bin2で撮影したと思ったらPixInsighのインテグレーションの際にbin1相当の高解像度になってしまい、そこにBXTをかけたことが原因でした。drizzleで2倍の解像度にしても同様の効果があることがわかりました。

 


その後、OIII画像と合わせて画像処理を進めます。Hαに比べて、さらに暗いOIII画像は見た目にもかなりノイジーだったので、OIIIのインテグレートの後のかなり初期の段階でNoiseXTerminator(NXT)を軽くかけました。普通はBXTの前にNXTをかけるのはご法度なのですが、ノイズの差がありすぎてBXTがそれを拡大しているような処理をしてしまったので仕方なくの判断でした。

といっても、画像処理にはこういった臨機応変な対応が実はとても重要だと思っていて、他人のいい処理フローチャートがあったりしても、たとえ自分で作った処理フローチャートでさえも、闇雲に信じたりせず、本当にきちんと処理できているか確かめながら進めるのが重要なのかと思います。そのためにはやはり、実際にどんな処理しているか、できる範囲でもいいのでその理屈を理解することは大切なのかと思います。


結果

結果を示します。

「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
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  • 撮影日: 2023年5月3日1時22分-2時9分、5月3日23時44分-5月4日3時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間5分、Hα: 30枚、OIII: 22枚の計28枚で総露光時間4時間50分
  • Dark: Gain 240、露光時間5分、温度-10℃、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain240、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ε130Dの分解能は期待以上でした。特に解像度に関してですが、撮影はbin2でしましたが、画像処理は一番最初に処理した参照時にbin1相当に高解像度化されたものを使いました。BXTもこの状態でかけたので、相当高分解能で仕上がっているはずです。でも結局のところ、この解像度だとJPEGにしても画像サイズが大きすぎてこのブログにアップロードすることさえできません。結局全ての画像処理が終わってから、元のbin2相当の解像度に落としてアップしています。こうなるともう高分解能はただの自己満足です。おとめ座銀河団の時のように一部切り出して拡大するとかくらいしか使い道がありません。

あ、今思ったのですが、ε130DとASI6200MM Proでおとめ座銀河団高分解能バージョンを試してもいいかもしれません。これはまた楽しみが増えました。

問題があった四隅の星像に関しては、BXTの補正効果が圧倒的です。下の画像はbin1相当の解像度で256ピクセル四方を9枚切り出しています。なので、先に出した四隅画像より狭い範囲を見ていることになります。真ん中右の二つの並んだ明るい星が比べやすいかと思います。
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先のbin2の画像より狭い範囲を見ていても、完全に許容範囲レベルになっています。ここまで直ってしまうと、光軸調整をもう一度やるかどうか迷ってしまいます。光軸とは別ですが、そーなのかーさんが進めてくれたHocus Focusが凄そうで、スケアリングが測定できるみたいです。こちらは次回試してみようと思います。


課題:
明るい輝星の周りにハロが出てしまっています。こちらは主にOIIIフィルターの影響です。撮影用ではなく、眼視用のものを使っているからかもしれません。それでもOIIIフィルターほどではありませんがHα用のも少しだけハロが出ています。これ以上を求めると、フィルター代だけで凄いことになりそうなので、今のところは我慢して画像処理で誤魔化すことにします。

今回はAOO合成なので、そもそもどう頑張っても色のバリエーションがあまり出ません。特に、Hαの明るいところはのっぺりした赤になってしまいました。Rはそれでもまだ暗くて階調を使い切れていないので、もっと最明部の輝度を上げても良かったかもしれません。でもあまりにやると飛んでるように見えてしまうので、バランスが難しいところです。また、OIIIはそもそも暗い上に撮影時間もあまり長くなかったために、少しノイジーでした。そのこともあって、OIIIの暗い所、特に背景部に関しては赤みがかってしまいました。

おまけの恒例Annotationです。

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まとめ

さてε130Dでのテスト撮影を試みましたが、できた画像を見る限りものすごいポテンシャルの高さを感じます。光軸の問題はまだあるものの、分解能に関してはかなりものです。BXTとの相性も良さそうなので、今後もうまく使っていこうと思います。

自宅で淡い天体を広角で出すというのが目標ですが、今後の本格的な撮影が楽しみになってきました。


少し前に到着したε130、色々準備をしていたり、あまり天気が良くなかったりで延び延びになっていましたが、やっとファーストライトと相成りました。といっても、撮影するにはまだ準備不足なので、まずは試しに電視観望です。


赤道儀への取り付け準備

まずは箱から出して組み立てです。タカハシの純正鏡筒バンドとプレートは一緒に購入したので、適当な位置に鏡筒を固定します。問題はどうやって赤道儀に取り付けるかです。

そもそもタカハシの鏡筒バンドはプレート固定のための二つのネジの幅がかなり広くて、一般的なロスマンディー規格のアリガタの幅よりも広いので、鏡筒バンドとアリガタを直接固定することができません。そのため、まずは同じくタカハシ純正のプレートに鏡筒バンドを固定して、このプレートに空いている穴を介して別のアリガタなどに固定する必要があります。

サイトロンで一緒に購入したAskarのドブテイルバー(ロスマンディー規格のアリガタ)はネジ位置が合わなくて取り付けることができないのはわかっていたので、手持ちのものを探しました。以前スターベースで特価で購入したロスマンディー規格のアリガタに、なんとか取り付けることができそうです。でもアリガタの先端の方のネジを2箇所で止めることができるくらいなので、もしかするとパタパタするかもしれなくちょっと不安定です。タカハシ純正プレートにはあまり加工したくないので、アリガタに穴を新たに空けるか、もしくは後でTSA120などで使ったMOREBLUEの軽量鏡筒バンドに替えるかもしれません。でもまだ予算を他に割り当てる必要があるので、優先度は低いです。

最低限赤道儀に取り付けることができるようになったので、一度実際に取り付けてみて、特にネジの頭とかの干渉などないかチェックします。赤道儀はCGEM IIを使うことを標準としました。Advanced VXでもよかったのですが、ε130の本体自体は5kgと重くはなくても、今後フィルターホイールやカメラ、ガイド鏡などをつけていくとそこそこの重さになるのと、やはり撮影がメインなので少しでも耐荷重が大きくて頑丈な赤道儀の方がいいと思ったからです。


ガイド鏡取り付け位置

ガイド鏡を取り付ける位置は少し迷いました。最初鏡筒上部に手持ちバーを兼ねたアルカスイスプレートを付けようとしたのですが、やはり鏡筒バンドの上部にあるネジ穴の幅が広すぎて直接取り付けることができないことがわかりました。色々考えた末、結局SCA260でやっているように小判鮫状態にしました。アリガタは40cmの長さでじゅうぶんながいので、前方に飛び出ている部分の下面にアルカスイルプレートを取り付けるわけです。

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ロスマンディーのアリガタの下に、
アルカスイスプレートが取り付けてあるのがわかりますでしょうか?

この方法の利点は二つあります。
  1. 一つは鏡筒を赤道儀に乗せるときにそのアルカスイスプレートがストッパーになって、鏡筒から片手を離してもずり落ちるようなことがないことです。
  2. さらにこのアルカスイスプレートは前後に長いネジ穴があいているので、前後位置をスライドさせることができます。そのため、一度前後の重量バランスを合わせてしまってアルカスイスプレートをその位置で固定してしまえば、それ以降は鏡筒の前後バランスを取る必要はなく毎回同じ位置に取り付けることができることです。
これらの利点はSCA260で同手法を運用しているうちに気づきました。


光軸チェック

このε130は展示されていたものなので、光軸がずれてしまっている可能性があります。そのため、コリメーションアイピースを使い、光軸をチェックします。あらかじめ副鏡も主鏡にもセンターマークが付いていたので、チェックは簡単でした。とりあえず見ている限り全てのセンターマークが、コリメーションアイピースで見てセンターに来ています。主鏡が作る大きな縁も同心円上になっているようです。気づいたのは、接眼部のアラインメント調整機構がないので、コリメーションアイピースで見た時に副鏡のセンターを指していない時は、副鏡自身を平行移動などしなくてはダメなところでしょうか。でもこれも原理的に自由度が足りないとかではないので、まあ問題ないでしょう。今回は特に問題なさそうなので、とりあえず何もいじらずによしとしました。あとは、実際の撮像を見て評価したいと思います。


電視観望準備

本当は休日前とかのほうがのんびり試せるのでよかったのですが、天気の関係で平日の夜になってしまいました。でもこの日が良かったかというと、黄砂か春霞なのかうっすら雲がかかっているようで、透明度がかなり悪く北極星さえ肉眼で全く見えません。でもこの日を逃すと次はいつになるかわからないので、とりあえず庭に機材を出すことにしました。

カメラはASI294MCで、そのままアイピイース口に取り付けます。でもこのままだとピントが出ませんでした。色々アダプターを付け替えたりして試しましたが、思ったよりフォーカサーの調整範囲が狭くて、結局補正レンズを外してやっとピントが合いました。そのせいなのか四隅の星像が崩れるのは仕方ないにしても、中心部の焦点が合い切らずに星像の鋭さが全く出ません。これは後日補正板をつけて、バックフォーカスもきちんと合わせてから評価し直すことにして、とりあえずこの日はこのまま進めることにしました。


M42: オリオン大星雲

春も半ば過ぎに来ているので、もうオリオン座は早いうちに西の空に沈みます。しかも最近は日も長いので、ますますオリオン座を見る時間が少なくなってきています。とにかくM42オリオン大星雲だけは派手で見やすく、冬季節の電視観望の基準の星雲と言うべきもので、これが沈まないうちに画面に映し出します。

下の画像はgain420で露光時間1.6秒、ライブススタックで22枚、総露光約35秒のもの、フィルターはCBPです。隣の家に沈む寸前(実は一旦屋根に沈んだのですが、今一度赤道儀の位置を変えて家と家の間に見えているところを電視観望したもの)で、しかも透明度が悪い日の西の低空なので、全く見栄えは良くないのですが、まず思ったことが「速い」でした。

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こんなひどい状況では綺麗に見えるまでにライブスタックを続けてかなり待つ必要があるのですが、さすがFS-60CBの約4倍の明るさです。「速く」星雲が浮かび上がってくるのは、ある程度わかっていたこととはいえインパクトが大きかったです。


バラ星雲

この印象は次のバラ星雲でも全く同じでした。

この日のフィルターはアメリカンサイズのCBPで、カメラにつけたノーズアダプターの先に取り付けています。ただ、この位置に取り付けると周辺減光が顕著になってきます。まずはCBPなしの場合。ゲイン420で3.2秒露光で一回露光だと、バラ星雲とはほぼわかりません。
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次がCBPありの場合です。30秒露光なので、上の画像と直接比べることはできませんが、朧げながらバラの形がわかります。見て欲しいのは周辺減光で、ストレッチ具合はそう変わらないのに、CBPをカメラ先端につけると明らかに周辺減光が増えています。ε130は明るい鏡筒でセンサーに対する光の入射角が急になるので、フィルターをつけるとしてももっとセンサーに近いところにつけた方がいいことがわかります。
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上の画像をライブスタックしていくと、わずか2分半で下の画像位になります。空は相当に悪い状況ですが、それでもこの速さはやはりε130の威力といったところでしょうか。
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三つ子銀河

しし座の三つ子銀河です。天頂に近いので透明度は低いところよりはマシですが、それでもこの日の透明度はかなりイマイチです。

まずは30秒露光です。これだけでも十分に存在はわかります。
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2分露光です。かなりきれいに見えてきました。
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10分露光です。周辺減光が目立つので、中心だけ少し拡大しています。画像を拡大してみるとわかりますが、そこそこ分解能も出ていて、銀河一つ一つの構造もよくわかります。
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M81とM82

M81とM82です。北の空で富山の街明かりで明るいのですが、高度はそこそこあるので先の西の低い空よりははるかにましです。繰り返しますが、肉眼で北極星は見えない状況に変わりはないので、それでここまで見えるなら上等でしょう。

2分露光です。
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10分露光です。10分露光すると、細部もそこそこ見えてくることがわかります。
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M51: 子持ち銀河

最後は同じく北の空でM51です。2分露光と
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10分露光になります。
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例えば観望会をやったとして、10分でここまで見えるなら、まあ十分ではないでしょうか。


まとめ

かなり状況の悪い日でしたが、やはりε130での電視観望は「速い」です。必要な露光時間は近い焦点距離のFS-60CBの4分の1くらいで、実感としてもこれくらいです。例えば40分待たなければならないのが10分ではっきり出てくるようになったと考えると、やはりかなりの威力でしょう。

ε130にフォーサーズのASI294MCと合わせるとすると、焦点距離としてはM31アンドロメダ銀河が画角一杯、北アメリカ星雲単体はなんとか入りますが、ペリカン星雲と一緒には入らないので、もう少し短焦点でもいいかもしれません。その一方、三つ子銀河がそこそこの解像度で見えるので、電視観望で銀河専門と考えなければ、これ以上長焦点にする必要もないでしょう。短時間の電視観望で次々と天体を入れてくのだと、(焦点距離はもう少し短くてもいいので)分解能的には少しオーバースペックな気がしますが、長時間ライブスタックして天体写真にも仕上げたいという場合には適度な焦点距離かと思います。

いっそのことASI2400MC Proのようなフルサイズのカメラと合わせるなら、ε130は最大限威力を発揮するのかもしれません。さらにこれ以上を求めるなら、あとはRASA8とかになるのでしょうか。


今後

やはりε130君は撮影鏡筒だと思うので、次はきちんと撮影で使ってあげたいと思います。準備状況ですが、
  • 今2インチのフィルターホイールはちょっと前に買ってあります。
  • 2インチフィルターですが、RGBフィルターはZWOのものを買い、
  • ナローバンドフィルターはBaaderのものをHαとOIIIを星まつりで安く買い漁ってあります。SIIはSAO合成よりLRGBやAOOの方がかなり楽しいので、少し優先順位を落としています。
  • カメラはASI6200MM Proでこちらはお借りしているものです。
  • 接続は以前ASI2400MC Proを試したときに、ZWO製のフルサイズクラスのCanon EFマウント用のアダプターを用意したので、ε130側には手持ちのタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、EOS EFマウントで接続しようと思っています。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。

あとはEAFを用意したいくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んでいます。


久しぶりの新鏡筒です。

そろそろ次の鏡筒が...

前回鏡筒を購入したのはもう2年近く前の2020年1月、TSA120でした。



色々迷っていた時期に、調整などの余地が入り込まないような参照的な鏡筒が欲しくて決めました。非常に満足していて、シリウスBを見たり、トラペジウムのEF星、GHI星まで認識できたり、大気分散などいろいろなことを学ぶことができました。元々眼視に向いている鏡筒と言われていますが、撮影にも大活躍でここ2年間でかなりの成果を上げることができ、値段の分の価値のあるとても楽しい鏡筒でした。

その一方、どうしても口径が物足りないことを感じる時があることも事実でした。もちろん屈折では大口径の範疇に入ります。しかし系外銀河などは最後は口径勝負になることもあり、反射系の大口径に比べると分解能に物足りなさを感じてしまいます。惑星などは中心像がメインなので、C8やMEADEの25cmで楽しむことができます。VISACは口径20cmと大きく、星像が四隅まで鋭いはずなのでいいのですが、この子は本当にじゃじゃ馬で時には綺麗な点像の恒星を描くのですが、大抵がおにぎり型になってしまうのにはいまでも散々悩まされています。光軸調整も頑張っていますが、どうも自分が思っているよりも遥かに精度が必要そうです。おにぎりで悩むよりは、撮影に集中して貴重な富山の晴れの機会を逃したくないというのが正直なところです。

大口径が欲しい理由が分解能なのが第一なのは間違い無いのですが、もう一つの理由がラッキーイメージです。ラッキーイメージはそこそこ明るい天体向きですが、それでも露光時間をどこまで短くできるかは口径に拠ります。

口径だけでいいのなら、ニュートン反射鏡筒やドブソニアンという手もあります。これだと30cm以上が狙えます。ただし、ニュートンで30cmだと赤道儀から考え直さなくてはいけません。手持ちの赤道儀はCGEM IIで、耐荷重は18kg。さすがに30cmだと厳しいです。25cmニュートンにパラコア2などのコマ補正を入れることも考えましたが、そもそも25cmニュートンの大きさと調整で稼働率が上がらないのも心配でした。ドブは一つの解なのですが、視野回転と、大きさと、稼働率が心配で、やはり撮影だと心配です。gotodebuさんがされているような、大口径短時間露光は魅力ですが、やはりドブを買う時は眼視を本気でやりたいと思った時かと今は考えています。この間飛騨コスモス天文台でかんたろうさんに眼視で見せてもらってかなり面白かったので、そう遠くない日かもしれません。

ちなみにここまでで議論した20cmを超える鏡筒は
  • GINJIの25cmか30cm。
  • SkyWatcherのBKPの25cmか30cm。
  • ドブの30cm以上。SkyWatcherなら16インチ(40cm)まであります。
  • タカハシでCCA250。
  • 同じくタカハシでμ-250CRS。
などです。ニュートンとドブは先の理由で結局は却下、もしくは延期。CCA250は値段的に流石に手が出ません。μ-250CRSは値段もそうですが、手に入れるのが大変そうです。反射系で撮影まで考えると、なかなか解がないのです。


SCA260 !?

そんな中でのSCA260でした。最初のニュースは1年くらい前です。その頃はちょっといいな、でも高いんだろうなといった感想でした。その後何度か話題になり、そのうち海外では発売間近とか、日本でもサイトロンが扱うとか、徐々に試用も含めて情報が出てきました。

重さが15kg。おそらくこれはCGEM IIでは載せることができる最大級の重量です。SCA260は一部ではプアマンズCCA250とも言われていますが、もし本当にCCA250に迫ることができるなら半分から3分の1の価格。モーターフォーカサーこそ付いていませんが、ファンや温度計、鏡筒バンド、アリガタプレート、デュアルスピードフォーカサーなど、最初からそこそこ充実しているので余分な出費も抑えられそうです。付いてないのは専用ケースくらいでしょうか。でも専用ケースに入れたら大きく重くなりすぎるので、当面は自宅庭での撮影か、遠征の際も車の座席においてシートベルトで固定することでなんとかなりそうです。

Cloudy Nightsでは9月くらいから試用レポートも出てきました。


見ている限り評価は悪くなさそうです。

ここら辺の時点で、いつくらいに扱い始めるかシュミットさんに相談してみました。すると「そもそも受注生産だが、最初のロットが入荷するので納期は早い」とのこと。金額が金額なので家族とも相談する必要があります。

こんな金額の天文機器を買うのは初めてで、間違いなくこれまでで最高額です。最初は妻もとりつく島もない状態でしたが、何度か説得するうちに渋々ながらOKとの返事が。そこで晴れて正式に発注し、ちょうど先週末、名古屋の実家に行っている最中に自宅に到着しました。


到着と開封の儀

日曜日、予定より少し早めに自宅に帰ってきたら、玄関のところに特大の段ボール箱が!

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早速箱を空けてみると、中には想像より大きく見える鏡筒が。

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ちなみに、左上に置いたのは同じメーカーのFMA135です。SCA260と比べると、もう生まれたての赤ちゃんみたいです。FMA135は口径こそ3cmですが、コンパクトで非常にシャープな像。作りも良く、持っていて嬉しくなる鏡筒です。SCA260が候補になったのも、このFMA135の作りの良さが一つの理由でした。私は主にミニマム電視観望セットとして愛用しています。3cmと26cmで口径比は8.7倍ですが、体積比は約660倍。すごい差です。

箱から出してみました。カーボン鏡筒のせいでしょうか、意外にそこまで重くないです。付属品も並べて見ました。全て鏡筒に最初からついているか組み込まれているので、別なのは電池を入れる必要がある温度計くらいでしょうか。あとはマニュアル類とレンチだけです。鏡筒先端には柔らかいカバーが付いています。

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上の写真は下側のドブテイルバーが付いている方から見ていますが、もう一つ上の写真は上側から見ていて、ガイド橋とかを取り付けることができる汎用のプレートが最初から付いています。上下のプレートだけでも後付けだと数万はしてしまうので、ここら辺はありがたいです。

そういえばカーボン鏡筒を持つのも初めてのことです。25cmで最初からフルオプションに近いものがついた状態で15kgという軽さを実現してくれているので、今の赤道儀でも使えるわけです。それでも我が家では最重量。CGEM IIがどこまで耐えられるのかは実際に運用して見ないとわかりません。ひょっとしたらこれがきっかけで赤道儀を追加とか、鶏か卵か、訳のわからないことになるかもしれません。このタイミングで赤道儀も新調したいとは流石に言うこともできないので、いずれにせよしばらくはCGEM IIでの運用です。

付属のマニュアルには簡単にですが副鏡、主鏡に別れて光軸調整のことも書かれています。必要ならばこれを見ながら調整することになりそうです。

外に赤道儀を設置し、載せようとしましたが、思ったより大きいせいか意外に持ち運びは大変そうです。はやる気持ちを抑え、以前FC-76の時に買ったK-ASTECの取っ手を取り付けました。

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この取っ手と、下側のドブテイルバーを持つことで、かなり安定に持ち運ぶことができました。

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そのまま赤道儀への設置も全然余裕でした。

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かなり頑丈だと思っていたCGEM IIが、なんか頭でっかちで、頼りなく見えます。

次に当然何か天体を見ようと思うのですが、この日は雲越しにですがなんとか月が見えそうです。でも基本的に撮影鏡筒なのでアイピースの付け方もよくわかりません。この鏡筒、イメージサークルはなんと80mmなので、3つの薄型のアダプターリングで径を落としていくようになっています。

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手持ちのアダプターではアイピース口まで持っていくのがなかなか大変で、結局オフアキとフィルターホイールを取り付けて、フィルターが入っていない状態にしてホイールに直接20mmのアイピースを取り付けました。とりあえずなので、光軸もまだ調整していませんし、バックフォーカスも適当です。

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ファーストライト

ファーストライトは眼視での月です。

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月はごく普通に、とても綺麗に見えました。そういえば副鏡が想像以上に大きいせいでしょうか、アイピースから離れると副鏡の影が見えます。やはり撮影がメインで、あまり眼視向きではないのかもしれません。

あと、指で鏡筒を押して揺らしてみたら、思ったより結構揺れ、その揺れがそこそこ持続します。特に赤経体方向の揺れが顕著です。SCORPIOの店長さんが言っていたように、やはりCGEM IIには15kgの鏡筒は荷が重いのかもしれません。まあこれはあくまでわざと揺らした時なので、風など吹いてなければそこまで問題にならないと思いますが、実際に撮影までしてみないとわからないです。

その後、屋根に沈みそうな木星を見ましたが、低空であまりはっきりしないのと、1300mmの焦点距離に20mmアイピースなので高々65倍であまり大きくは見えません。最後に、そこそこ上に昇ってきたリゲルで内外像を確認してみました。内像はまだいいのですが、外像が結構ずれていました。それでも変な歪みとかではなく、片側に寄っているだけなので、VISACの内外で全く歪み方の違う像から比べたら、はるかに素直な感じです。

次の日は月曜で平日なので、ここら辺で撤収です。


まとめ

久しぶりの超本格的な鏡筒です。色々考えて決めたので、すごく期待しています。うまく撮影まで漕ぎ着けるのか、それともじゃじゃ馬なのか。

いずれにせよ光軸調整や、オフアキガイドなど撮影までまだまだ色々やることがありますが、どんな像を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。



(追記)次の新鏡筒は約1年半後の2023年3月31日にシュミットで購入したε130です。


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