ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > SCA260

今回はSCA260で、最近マイブームのお気楽撮影でない、長時間かけて真面目に撮影した方です。と言っても、自宅庭撮りなのは同じですが。

ターゲットに決めたのはアイリス星雲です。アイリス星雲は1年ほど前、飛騨コスモス天文台でTSA120と6Dを使い、ゴースト星雲と共に少し広角で撮影したことがあります。


暗い空で環境的には良かったのですが、露光時間が2時間程度と短く、ノイジーであまり解像度も出なくて、リベンジ案件となっていたものでした。今回は自宅ながら、十分な露光時間をかけることができました。淡い分子雲なども多い領域ですが、どこまで出たのでしょうか?


撮影は20日ほど置いて2回

撮影は、10月1日(土)と10月20日(木)の2日に渡りました。初日の10月1日の撮影ですが、そのころ晴れが続いていて前日からのまゆ星雲の撮影のセットアップが残っていたのでとても楽でした。赤道儀を出しっぱなしにしたことは何度かありましたが、今回初めて鏡筒も含めて昼間もそのまま残っていたため、撮影準備から開始まで10分ほどしかかかりませんでした。万が一の雨のために昼間にカバーだけはかけていましたが、カバーをとって極軸を取ることもなくいきなり導入できます。ドームがあるといつもこれくらい楽なのかと、ちょっとドーム環境が羨ましくなりました。いつかはドームですかね。

IMG_0051


シンチレーションの違い

10月1日に撮ったものが、シンチレーションが格別良かったせいか、相当な分解能が出ています。でも撮影枚数が少なかったので、やっと晴れた10月20日に撮り増ししました。この日も決してシンチレーションは悪くなかったのですが、改めて比べると10月1日のシンチレーションの良さが際立ちました。10月20日のL画像よりも、10月1日のRGBの方が恒星など鋭かったくらいです。

comp
画像は左が10月1日のインテグレート済みのL画像、右が10月20日のぶんです。左が5分で6枚、右が5分で32枚と枚数が違うので、右の20日のほうが当然滑らかです。ですが恒星に関しては、特に2つ接近しているものなどを見るとよくわかりますが、左の方が鋭く分離度よく写っています。

恒星は10月1日の分だけ、背景は全部使うとかで、うまく合成しようと思いましたが、結局全て混ぜて使うことにしました。全部混ぜてしまうと、恒星の鋭さは10月1日のみのものと(有意な差はありましたが)差はそこまで大きくなく、背景は全部混ぜた方が明らかに良かったので、今回は変なごまかしをしない全部混ぜの方を採用することにしました。


ルーチン化されてきた画像処理

画像処理はPIのWBPPに関しては、最近は簡単なルーチンワークになっています。接眼部を取り外さないようにしてホコリの混入を限りなくなくすようにすることで、フラットを使い回せるようにしているのが一番の理由です。

WBPPのその後の処理もかなり楽になっています。LRGBは経験した回数は少ないのですが、今回はもうRGB画像とか作らずに、RとGとBとLのそれぞれの画像から直接LRGB合成してしまっています。その際、まゆ星雲の処理の時も経験したように、Weightを全部1にすることが大事なようです。特にLを小さくしてしまうと、例えば全部0.25とかにしても、Lの細部が生きないことが今回もわかりました。(ただし全部1にすると、恒星が飽和することがあるので、その場合は後でそれなりの処置が必要となります。今回は最後の方でPhotoshopで少しごまかしています。)

Lが効いていると細部は出ますが、逆に色は出ないので、LRGB直後にCurvedTransfomationで色出しをします。私の場合、PIで色を出しすぎるとPSで彩度を出しすぎる傾向があるので、色出しはそこそこで抑えるようにしました。

その後、背景のほぼ全面に星雲があるので、DBEを使わずにABEの1次と2次をかけるのみとしました。これでフラット使い回しの影響もほぼ回避できます。これまではRGB合成やLRGB合成する前にABEなどかけてましたが、最近は合成後にABEや必要ならDBEをしています。そもそもABEもDBEもカラー画像で使えるものなので、手間を省くと言うのがいちばんの理由です。今のところは合成前と合成後での適用で、差は大きくは出なさそうなので、何か問題が発覚するまでは、しばらくは合成後にフラット化しすることで手順を減らす方向でいきたいと思います。

その後のDeconvolutioinやEZ Star Reductionなどは背景の淡い諧調にに影響を与えることが多いので、今回も使わないことにしました。ストレッチはMaskedStretchのみで、恒星をできるだけ飽和から守ることに重点を置いています。

あとはPhotoshopに引き渡して、分子雲などを強調します。結果は以下のようになります。


結果

「C4, NGC7023: アイリス星雲」
Image19_ABE_ABE_crop_PCC_CT_CT_MS7_cut3
  • 撮影日: 2022年10月1日20時50分-2日0時9分、10月20日19時12分-21日0時39分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L: 38枚、R: 14枚、G: 14枚、B: 17枚の計76枚で総露光時間6時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L: 0.001秒、128枚、RGB: 0.01秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
実はこの画像、2度目の画像処理になります。1度目は金曜夜中に2時間くらいかけて寝る前にTwitterにアップしましたが、朝改めて見てみたら、処理のしすぎでコテコテになってしまっていたと思い直し、土曜に一からやり直しました。今度はもっと処理をシンプルにし、細部を残すところは残し、淡いところはノイズをなくすように。苦手な恒星も、おかしく見えないように少し気を使ってみました。まだ光条線が弱いとか、輝きが足りないとかありますが、多少マシになってきている気はしています。

青いところはかなり満足です。色もみずみずしい青になりましたし、細部も含めて自宅でここまで出たのは、十分リベンジした甲斐があったと言うものです。周りの分子雲もまあまあでしょうか。アイリス星雲はケフェウス座にあるので北の方角になります。自宅からだと富山の街明かりが北にあり、どうしても不利な方向になりますが、やっと淡いところを出すコツがわかってきた気がしています。一つはやはり長時間露光と、もう一つはそれでも淡くてノイジーなので、PI画像処理の時から暗い方の諧調をできるだけ壊さないように残し、PSでもその諧調をできるだけ残しながら、ノイズ処理もしつつ、拡大していくことかと思います。

あまり見せたくないですが、1回目の画像処理の結果も載せておきます。今見ると、細部は出ていないし、分子雲はかなりのっぺりしています。あ、でも青の色合いはこっちの方が良かったかもしれません。
Image19_ABE_ABE_crop_PCC_CT_CT_MS6_cut2

恒例のAnnotationです。
Image19_ABE_ABE_crop_PCC_CT_CT_MS7_cut3_Annotated

分子雲が多いせいか、思ったよりシンプルですね。


分解能比較

1年前に撮影した時と、分解能について少し検討したいと思います。どれくらい違うか、焦点距離とピクセルサイズで考えてみます。
  1. まず鏡筒が焦点距離900mmのTSA120と1300mmのSCA260で、1.4倍。
  2. ピクセルサイズが6Dの6.3umとASI294MM Proの4.3umで1.5倍。
  3. ただし今回はモノクロなのでさらに2倍。
ざっくり一辺で1.4x1.5x2=4.2倍なので、面積だと前回の1ピクセルを約18ピクセルで表現していることになります。

ちなみに、前回のTSA120で撮影したものを同じ画角で切り取ってみるとこれくらいになります。
TSA120

比べると改めてわかりますが、やはり検討分くらいの分解能は出ていることがわかります。


まとめ

SCA260での撮影が面白くて、最近こればかりです。なんでかというと、フィルターホイールとか、EAFとか、いろいろ揃ってこなれてきたので、楽で楽しいからです。画像処理も、露光時間3分でゲイン120と固定にしているのと、フラットが再利用できるようになってきたとかで、ライトフレームだけ撮影してそのままPIに放り込むだけでLRGBSAOのどれもがインテグレートまでできてしまいます。そのため、撮影してすぐにWBPPまで処理というルーチンワークがうまくできています。逆に、何ヶ月か前のフラットが合っていなくて、なかなか処理する気になれないものが、未だにいくつか処理が残ってしまっています。

平日でも自宅なので晴れたら撮影だけ開始して、放っておいて寝てしまっています。ただ、あまり処理する画像が多くなりすぎると、画像処理にかける時間が取れなくなってしまうので、一対象に数日かけて長時間で撮るようにしています。最近は5-10時間くらいですが、もう少し晴れる日が多ければ10時間越えくらいを平均にしたいと思っています。

いずれにせよ、自宅で明るい北の空も含めて、淡いところまで含めてそこそこ撮れるようになってきたので、しばらくは無理に遠征に出ることなしに、未撮影の天体を中心に数を増やすことを続けたいと思います。


前回のM45に引き続き、SCA260でのお気楽拡大撮影の第2弾、今回はC49: ばら星雲の中心部です。

 


2度目の拡大撮影

2022/10/20の木曜、実は前日の水曜から天気が良かったのですが水曜は疲れ果てていて泣く泣く寝てしまいました。反省して、この日は早めにセッティングです。今回のターゲットのバラ星雲中心部ですが、前回の拡大撮影同様に、通常撮影の後の余り時間で撮影しています。今回は月が出るまでメインでアイリス星雲を撮影していて、その後に撮影を開始しています。

実際の撮影を始めたのは午前1時過ぎ。5分露光で月の影響があまり無いうちにBGRの順で、その後ナローでOASの順で撮影します。撮影枚数は各フィルターにつき4-6枚、6種類なので合計約3時間です。天文薄明開始前の午前4時過ぎ頃に撮影終了予定ですが、平日ということもあり、撮影が始まると1枚だけ確認しあとはベッドに入って寝てしまったので、結果がどうなったかはわかりません。

画像処理のために確認すると、風のせいでしょうか何枚かはぶれたりしていますが、ほとんどはよく撮れています。20日ほど前に撮影したフラット画像にホコリの跡があり使えないことがわかったので、休日の土曜日にフラットとフラットダークを撮り直します。今回は外が雨になりそうだったので、部屋の中の白い壁を使って、外の光と蛍光灯の光を壁に当てて撮影しました。


画像処理

土日を使って画像処理です。RGBの他にAOOを試したのですが、OIIIが暗くてイマイチでした。SAOも試しましたが、こちらもOIIIとSIIが暗いせいで採用する気になれませんでした。結局、RGBのLをHαで置き換えて細部を出すことにしました。もう月が出ている時間でしたが、Hαは流石にコントラスよく撮れています。

今回少し工夫した(インチキした?)のはRGB合成をした時点でStarNetで背景と恒星を分離し、Hαも同様に単独でStarNetで背景と恒星を分離し、背景だけでRGBのLをHαで置き換え、恒星はRGBのみのものを使い、後で背景と恒星を合成しました。理由はHαの恒星が小さすぎて、恒星込みでLを置き換えると恒星の形も色も全然バランスが取れないからです。まあお気楽撮影なので、画像処理もあまりこだわらずに好きなようにやってみるかという方針です。

結果は以下のようになります。

「C49: ばら星雲中心部」
Image97_RGB_ABE_ABE_PCC_bg_ARGB3 _cut
  • 撮影日: 2022年10月21日1時26分-4時00分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Hα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、RGBHαそれぞれ4枚の計16枚で総露光時間1時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB:0.05秒、Hα:1秒で、それぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
Hαが効いているせいもあり、ものすごい構造が出ています。恒星に関してはまだシャープさが十分でないと思います。鏡筒の性能なのか、シンチレーションなのか、画像処理が不十分なのか、

月が出ている自宅での撮影で、各色20分
、合計露光時間わずか1時間20分。口径26cmの大口径ということもあるかとは思いますが、メイン撮影の後のお気楽撮影でここまででるわけです。明るい天体ならもうこれで十分いい気がしてきました。

ちなみに下が画像処理5分で仕上げたSAOです。SIIがどうしようもなく、ノイズ処理をかなりきつめにしてもこれくらいです。Sの淡いところはほとんど階調が飛んでしまっています。
Image07



まとめ

お気楽拡大撮影、あくまでついでの撮影なので労力に対するパフォーマンスがめっちゃいいです。メインの撮影画像より気軽に処理できるので、仕上がるまでも速いです。

次は燃える木を狙おうと思ってます。アルニタクが画面内に入ってくるので、新しくしたBaaderのSIIフィルターでゴーストが出なくなるかどうか検証する予定です。


何ヶ月ぶりの撮影でしょうか?記録を見ると5月31日にIC1396象の鼻星雲を撮影しているので、なんと4ヶ月ぶりということになります。


久しぶりの晴れ

IMG_6942

9月最終週の木曜夕方、少しだけ雲は残っていますが天気予報を見ると月曜まで晴れが続くとのこと。これは久しぶりに望遠鏡を出さなくてはいけません。

IMG_6930

ターゲットは色々迷いました。条件は
  • モノクロのSCA260がメインなので、引き続き焦点距離1300mmと294のフォーサーズを念頭に。
  • SIIフィルターでゴーストが出ることがわかってきたのでできればRGBかAOO。
  • 新月期が明ける頃でまだ月があまり出てないので、ナローバンドだともったいなく、RGBか?
  • Lも撮影できるので、LRGB処理の過程を確立したい。
などです。今回の候補は3つ。
  • まゆ星雲をRGBで
  • M27亜鈴状星雲をAOOで前回以上にリベンジ
  • らせん星雲をAOOで、瞳孔みたいな模様をだすリベンジ
などを考えましたが、結局久しぶりの撮影なので、今まで撮ったことのない天体ということでまゆ星雲に決定です。


久しぶりの撮影セットアップ

まずは木曜夜にRGBで撮影。ついで金曜夜にRGBの撮り増しとL画像を撮影です。久しぶりの撮影なので調整不足です。撮影画像の四隅を見てみると、左上と左下が結構流れています。どうもSCA260の光軸がずれているっぽいのです。初日はスルーしましたが、2日目のL画像撮影の時に我慢できなくなり、星像を見ながら調整しました。多少マシになってたので撮影続行。その後、土曜昼にコリメータで再調整することになりました。

週末はずっと晴れていたので、赤道儀は結局木曜夜から日曜午後まで庭に置きっぱなし。2日目以降は極軸を毎回とる必要がないのでものすごく楽です。2日目の撮影の再準備はわずか10分程度で終わってしまいます。2、3日目の金曜と土曜は近征するか迷ったのですが、疲れていたので結局自宅撮影にどとめました。そもそも3日目は曇りそうだったので、自宅でアイリス星雲を撮影していたらやはり前半で曇ってしまいました。

RGBは以前撮影したフラットの使い回しができればいいのですが、L画像のフラットはこれまで撮ったことがないので、いずれにせよ撮影し直しです。今回の撮影で一度接眼部を外す必要があることが分かったので、土曜の昼間に全てのフィルター分のRGB、AOS、L(no filter)のフラットを撮影。今回のフラットは青空を撮影しました。これまで鏡筒先端に白いビニール袋を被せて撮影したことはありますが、今回は袋なしで単に青空を撮しました。SCA260は接眼部から光が漏れている可能性があるので、撮影時とできるだけ同じ状況(鏡筒先端から入ってくる光も、たとえ他に漏れてくる光があったとしても)にして撮してやろうという魂胆です。

フラット画像で後から気付いたのですが、1割程度のコマに鳥や昆虫なのでしょうか、数秒の単位で何枚かに連続してゴミが映り込みます。今回は全て処理してから気付いたので、流石に面倒で放っておきました。そのまま使っても平均化されるので、多分大丈夫かと思います。

その後、土曜昼の接眼部の調整後も、再度青空でフラット撮影をしましたが、以降PIのblinkでチェックして弾くようにしました。

フラットダーク撮影も青空の元で同時に起きないます。先端には鏡筒カバーを被せます。鏡筒カバーは光をよく遮断することが分かっています。また、接眼部での光漏れを防ぐために防寒着を接眼部付近にかぶせて撮影しました。

まだ未処理のM81とM82は残っていますが、これをもってこれまでの設定での撮影ファイルに区切りをつけて、その週の土曜の昼間に一旦SCA260の接眼部を再設定することにしました。




初のLRGB処理

実はRGBはこれまで何度か処理していますが、LRGBでの画像処理は初めてになります。

まずはWBPPでLRGB全てをIntegrateまでします。WBPPの新バージョンの特徴のDrizzleもx1で試しましたが、Lも含めて特に改善は見られず通常のファイルで処理を開始します。まずはLRGB全てをABEの1次と2次で軽く差を取ります。そのままRGBだけ合成します。RGB画像はPCCをかけて色バランスを取っておきます。

今回の失敗は、L画像が明るすぎたようで、恒星の一部が飽和していました。そのため、LRGB合成しても、その影響は残ってしまいます。飽和しないようにLだけ露光時間を短くするとかでもいいのですが、できれば撮影時のゲインや露光時間は揃えたいです。もしくは、多少恒星がサチってもRepaired HSV Separationなどでなんとかなるので、手間を考えるとゲインと露光時間を統一するほうがトータルでは得かもしれないです。どうするかは今後の課題です。

Lはこの時点でDeconvolutionしたのですが、結果を見ると、元々飽和していなかった明るい恒星がいくつか、中心を抜いたリング状の形にどうしても飽和してしまうことに気づきました。そのため、結局はDeconvolution無しで進めることにしました。Deconvolutionは細部出しにはいいのですが、弊害も多いのでいつも苦労しています。


L合成のタイミングと彩度

Lとの合成はLRGBCombinationを使います。今の疑問はLとRGBの合成をいつのタイミングでやるかです。通常はRGBを彩度まで含めてストレッチして、Lもストレッチしてから合成するのが普通のようです。でも原理的に考えたらリニアの段階でやっても構わない気がしています。根拠は、ファイル上は32bitで十分な諧調があることです。例えば、RGB合成もあまり事前処理をせずに1:1:1でとりあえず混ぜてしまっています。これは後から輝度比を取り直しても、オフセットをそれぞれ変更しても、32bitあるファイル上の階調は十分取れているはずで、これまで困ったことはありません。

ただし、ちょっと心配なのが彩度がきちんと再現されるかです。比較のために
  1. RGBのみの場合
  2. LRGBをリニアの段階で合成して、CurvesTransformation(CT)でSaturation(彩度)を上げたもの
  3. LとRGBをそれぞれストレッチしてから、その後にLRGBで合成したもの
を比較して、彩度がどれくらい変わるのか見ることにします。彩度については、全く出ないということがなければよしとしますので、多少の違いはCTのかけ具合と思って無視してください。

1. RGBのみ
Image18_ABE_ABE

2. LRGBをリニアの段階で合成して、CTで彩度を上げ、その後にオートストレッチしたもの
Image18_ABE_ABE_LRGB_CT_HT

3. LとRGBをそれぞれオートストレッチしてから、その後にLRGBで合成したもの
Image18_ABE_ABE_HT_LRGB

まず1に比べて2と3はLの情報が入っているので、構造に関してはより詳細まで出ているのが確認できます。混ぜるときのLウェイトを小さくすると、構造の出具合が変わるようなので、LRGB全てウェイト1で合成しました。注意すべきはウェイトの値を全部小さく同じ値にしても、Lのみを選択してRGB画像にインスタンスを投げ込む場合はL画像の比率が小さくなり構造が出にくくなることでした。あと、RGB画像をチャンネルごとに分解して、LRGB全てを指定して合成する場合と、Lのみを選択してRGB画像にインスタンスを投げ込む場合でも少し結果が違う場合がありました。リファレンスなどを調べてLRGBCombinationがどう振る舞うか調べようとしたのですが、結局内部式などを見つけることはできませんでした。

肝心な色については、CTで彩度を上げると十分にその情報は残っていることがわかります。むしろ2の方が彩度が出ているのは単にCTをかけ過ぎただけで微調整がしにくかったに過ぎません。目的は色情報が残っているかを見ることなので、少なくとも元のRGBより(ノイズなどの悪影響がない範囲で)彩度が出れば良しとします。

2と3の結果だけを見ると、リニアの段階でLRGB合成をしても、ストレッチしてからLRGB合成したものに比べて彩度は劣らないと言えそうです。ただし、3はCTをかけていません。RGBとLに簡単のためScreenTransferFunctionでオートストレッチをしてHistgramTransformationしただけです。そのため恒星が飽和していますが、これはとりあえず無視するとします。2のリニアでの合成でCTをかけていないものを載せておきます。ちなみに2はオートストレッチはCTの後に最後にかけています。

masterLight_ABE_ABE_LRGB

これをみると、リニアの段階での合成は彩度が見かけ上は出ないように見えますが、情報としては残っていて、Saturationを十分に上げてやれば遜色ないと言えることがわかります。今後も注意深く見ていきますが、とりあえずはリニアの段階でLRGB合成をする方がのちの処理が楽そうなので、しばらくはこれで進めて行こうかと思います。

一応彩度は保たれそうなことが分かったので、ストレッチはArchsinhStretchを使わずにMaskedStretchを主に使うことにしました。ASにも飽和を避けるオプションはありますが、MSのほうが微調整ができて確実です。注意することは、ブラックレベルを上げすぎてしまうと後で背景の階調が取りにくくなってしまうことがあるので、かなり慎重に設定することくらいでしょうか。彩度はストレッチ後にCTで上げることにします。


背景

それでも背景の淡いところを持ち上げるのはなかなか難しいです。StarNet V2やRange maskなどを使いマスクを作り、主にPhotoshop上で駆使します。コツは暗いところを一気に切り詰めないことでしょうか。暗いところに淡い諧調が隠れているので、これらを注意深く拡大していくような感じです。

途中一つ気になったことがあります。PIの最終段階でEZ Star Reductionを使ったのですが、その画像をStarNetで切り分けた背景を見てると、なぜか分子雲に余分な細かい構造が追加されていることに気づきました。恒星の処理が背景に影響したものと考えられます。このままだと背景を炙り出しきれないことがわかったので、今回はEZ Star Reductionを使わない方向でいきました。

こう考えると、結局でPIではDecomvolutionもEZ Star ReductionもArchsinhStretchも使わず、結構シンプルな処理で落ち着きました。その代わり、PhotoshopではDeNoiseなどのノイズ除去を使っています。自宅だとやはり明るいせいでしょうか、6時間超でも淡い背景部分はまだまだノイジーで、強めのノイズ処理は必須でした。淡い部分を余裕を持って処理する場合は、10時間超え、明るい自宅なのでもしかしたらもっと長くとかになってしまうのかと思います。


結果

画像処理の結果は以下のようになります。

Image360_bg2_cut_tw
  • 撮影日: 2022年9月29日22時50分-30日3時42分、9月30日21時14分-10月1日2時37分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L: 41枚、R: 19枚、G: 16枚、B: 22枚の計76枚で総露光時間6時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L: 0.001秒、128枚、RGB: 0.01秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回の画像を見る限り、自宅撮影にしては背景の分子雲がそこそこ出てくれたと思います。まゆ星雲の周りにこんなにモクモクした分子雲があるとは思っていませんでした。背景の淡い分子雲の処理はずっと得意でなかったのですが、やっと少しコツをつかめてきた気がします。

そのきっかけの一つが10月9日に行われた天リフ超会議の「雲のじゅうざ。」さんの発言で、「StarNetなどで一旦恒星を分離して、分子雲の様子を見る」というものです。そこでDBEを使うということでしたが、今回私はDBEは使わずにABEを使っています。ポイントはDBEだろうがABEだろうが、できるだけ大まかな明暗が無い状態にして、ストレッチがうまく行くように、その上で分子雲のモクモクを残すと理解しました。確かに青い馬星雲の背景を出す時に、StarNetで恒星をなくした背景を見て、まだまだ諧調が出し切れていないと再処理したことを思い出しました。

まゆ星雲本体はもう少し強調してもいいのかもしれませんが、まゆ星雲全体が淡いホワホワしたイメージだったので、それに近づけるようにしました。それでも細部はかなり出たと思います。これはL画像のおかげでしょう。RGBだけでの画像とは一線を画しています。

恒星の処理は相変わらず得意でないです。もっと鋭く輝くように、且つ飽和しないようなものを目指したいですが、なかなか難しいです。


まとめ

とりあえず、自宅撮影でここまで出ればかなり満足です。L画像の威力もよくわかりました。

ただし、最近画像処理に時間をかけすぎている気がします。凝り性の性格が災いしてか、いったん疑問に思うと確かめない限り全然前に進めません。時間ばかり過ぎていき、成果が全然出ないのです。今回はまあ初めてのLRGB合成ということで、今後のことを考えると少し時間をかけておきたいのはあります。それでも画像処理を始めたのが10月1日で仕上がったのが10月16日と、半月もかかっています。実際にはこの記事に書ききれていないこともいろいろ試していて、ほとんどはボツになったものです。

ある程度の画像を求めるには長時間撮影が必要になってきてもいるので、そのぶんじっくり画像処理に時間をかけるというのも一つの手かもしれません。でもまだ未処理のものが5つ残っています。天気がずっと悪いからまあいいか...。

まだ画像処理をしてませんが、9月29日、30日と自宅でまゆ星雲を撮影(追記: 10/26に記事化)していました。29日の結果から高度が低くなってしまうとかなり画質が落ちることが分かったので、30日は早めに切り上げて、あまり時間で何かもう1天体撮影できないかと考えていました。

決めたターゲットは秋の大物M45プレアデス星団、すばるです。午前3時頃なので、この季節だとかなり高い位置まで昇ってきています。


余り時間での拡大撮影

残り時間で少し欲張っての撮影なので、多少失敗しても構いません。何か撮れたらラッキーくらいのお気楽撮影です。

M45にした理由ですが、
  • 以前から、すばるの青が自宅でどこまで出るかを試したかったこと。
  • 以前TSA120とフルサイズの6DでM45を撮影したのですが、少し画角が広くて一番迫力のあるハケで描いたような模様が小さくまとまってしまったこと。 
  • 短時間で撮影するので、比較的明るい天体であること。
  • 以前馬頭星雲を拡大して撮ったのですが、大きな星雲の一部を撮るのは意外に面白いこと。
  • 時間がもったいないので、SCA260の設定(カメラの回転角とか)を崩さずにそのまま撮影できること。
などです。


お気楽撮影開始

といっても、天文薄明開始まで1時間位しかありません。カメラ交換などは時間的にきびしいので、モノクロのASI294MM Proのまま。撮影は簡単なRGBで。結局撮影できたのはRGBそれぞれ1枚、4枚、5枚でした。少しでも有利なようにBを最初に撮影しました。Bの最初の1枚はブレてしまったので、結局使用できたのはRGBで1枚、4枚、4枚で合計45分、撮影終了が午前4時15分と、ほぼ天文薄明開始と同じ時間でした。

この撮影の時の週末はかなり天気が良く、片付けは赤道儀の極軸を保ちたかったので、鏡筒だけ外してカバーを被せるだけです。重い赤道儀を片付けなくていいだけでも相当楽です。


画像処理

半分遊び気分なので、多少撮影が失敗していても余り気にならないだろうし、画像処理も簡単に済ませてしまえばいいかと気楽に思っていました。なので画像処理も特にこだわらず、姑息なテクニックもバンバン使います。DeNoiseもok、カラーバランスも自分の好きな色にします。今回の目的は「光害のある自宅撮影で、どこまで背景のモヤモヤが出るか?」です。

撮影時は開始の時のBだけチェックして、あとは寝てしまったので、後からRをストレッチして見てみたら「ギャー」となりました。すごいゴースト?です。
2022-10-01_03-49-23_M 45_R_-10.00C_300.00s_0000

GとBにはそんなものはこれっぽっちも見えないです。
2022-10-01_03-56-49_M 45_G_-10.00C_300.00s_0000

2022-10-01_03-28-59_M 45_B_-10.50C_300.00s_0001

同じBaaderのフィルターなのですが、Rだけ何か違いがあるのでしょうか?不思議です。

でもすばるは青系統が主なので、今回は赤をあまり出さなくてよく、結局はほとんど影響がありませんでした。ちょっと安心ですが、今後明るい輝星を撮るときはRには気をつける必要がありそうです。

画像処理はいつものようにPixInsightでWBPP。ダークは以前のMasterファイルが使えます。フラットはこの後のメンテナンスの直前に一通り取ったものを使います。バイアスは最近のPIでは使わない(ダークに含まれているバイアスを使うというスタンス)ので一手間省けます。ちょっと前のバージョンでは、バイアスを使わない場合でも、バイアスを指定しておかないと文句を言われたり、うまく走らないことがあったのですが、今の最新版では直っているようです。

簡易画像処理のつもりなのでカラーバランスとかも適当です。というか、PCCをかけたのですが、赤のゴーストが目立ってしまい使い物になりませんでした。なのでマニュアルでバランスを取ったというわけです。

あと模様出しをしていて気づいたのですが、背景のモヤモヤってBだけに入っていると思っていました。でも実際は、BよりもGの方が細かい情報を持っているんですね。これは眼から鱗でした。

「M45: プレアデス星団(和名: すばる)」
Image06_PCC3_cut
  • 撮影日: 2022年10月1日3時28分-4時12分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、R: 1枚、G: 4枚、B: 4枚の計9枚で総露光時間45分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB:0.01秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

できた画像を見てみると、光常線が一部二重になっているところがあります。これは撮影時に光軸がずれていたことが原因で、この後に前回の記事に書いたSCA260のメンテナンスをすることになったというわけです。

実は今回、画像処理だけで3回繰り返しています。1度目は本当に気楽に、WBPP後、STFでオートストレッチしただけでPhotoshopに渡し、適当にあぶり出しただけ。
Image04_ABE

その際に背景が結構出ることがわかり、恒星も含めてもう少し真面目に2度目の画像処理しました。でも画面の下の方に衛星の軌跡がどうしても残ってしまいました。3度目の画像処理は衛星の後が走った1枚を除いて一から画像処理をしたのですが、2度目の処理にどうしても及びませんでした。結局、2度目の画像処理でできた画像を少しトリミングしてそれを採用としました。背景を出すことを第一に考えていたので、姑息な手段も多用していて再現性がなかったことが原因です。はい、全然褒められた話ではないです...。


短時間拡大撮影の面白さ

ここからが本題なのですが、今回のこの短時間での拡大撮影、当初のお気楽気分にもかかわらず、意外なほど面白かったわけです。
  • 最初のポイントは、短時間でお気楽撮影なこと。今回の機材は口径260mmと大層なものですが、何かの撮影の余った時間のついでなので、やっぱり気楽なわけです。しかも短時間だから対象数を増やせます。
  • 当然、淡い天体は難しいでしょう。今回M45と明るい天体なので成り立ったのかと思われます。それでもすばるの青が自宅でここまで出るとは思っていませんでした。嬉しい誤算です。
  • 長焦点鏡筒で、大きい天体の一部を切り取るというのもポイントです。ちょっと見慣れない構図になりますし、面白い部分の強調にもなります。一番いいところを狙えるので迫力が出ます。
  • 突き詰めた撮影ではないので、画像処理も気楽にできます。短時間でノイジーなので、強力なノイズ処理ツールを使わざるえなくて、かえって諦めがついて罪悪感もなくなります。同様に、例えば今回はモヤモヤを出したいという目的があるので、他のこと(例えばカラーバランスなど)をあえて気にしないでサクサク進めることができます。
出来上がった画像を見ても分かるように、アラもたくさんあることは重々承知の上ですが、楽しい方を優先させてみました。今回は拡大撮影という位置付けですが、これをモザイク撮影とかに拡張しても楽しいかもしれません。モザイク撮影だとアラは目立たなくなる方向なので、さらに大胆なことができるかもです。


まとめ

今回の短時間拡大撮影、天体写真としてはかなり邪道になるのかもしれませんが、そこは短時間撮影の範疇でできることをというスタンスで、割り切ってしまっています。

そもそもの天体撮影を始めた目的が、気楽にそこそこ撮れればいいなということだったので、この方法はある意味当初の目的に最も合っているのかもしれません。究極的なものを求める修羅の道も楽しみ方の一つですが、私的には今回のお気楽撮影もかなり楽しめる方法です。特に今回はモヤモヤを出すのがかなり楽しかったです。

機会があれば、真面目な撮影の合間とかにでも、また試したいと思います。(追記: 10/20(木)の夜に薔薇星雲中心部で試しました。また記事にします。)


先日久しぶりの晴れで自宅庭撮りでまゆ星雲の撮影(画像処理は後日)をしました。SCA260での撮影でしたが、問題点がいくつか発覚し、メンテナンスすることにしました。

実は5月に撮影したM81とM82の画像処理がまだ残っているのですが、これが延び延びになっている理由の一つがL画像のフラットをとっていなかったことです。今回接眼部を外す前に、Lのフラットを含めて、RGBAOSの全フィルターのフラットを撮影時のゲインと同じ120で、それぞれ128枚撮影しておきました。これでやっとM81とM82の画像処理を進め出すことができました。


メンテナンスメニュー

今回のメンテナンスは
  1. 光軸がずれていたので、コリメーションアイピースを使い光軸調整。
  2. SIIフィルターをBaaderのものに変更。
  3. これまでLフィルターを入れてなかったので、とりあえずSVBONYのUV/IRフィルターを入れてみる。
  4. フィルターホイールを開けてみたらBフィルターがかなり汚れているので清掃。
の3つです。4月にM104ソンブレロ銀河を2倍のPowerMATEをつけて撮影した時以来、久しぶりに接眼部を鏡筒から外します。フィルターホイールごと外し、そこにアメリカンサイズのアイピースアダプターを取り付け、コリメーションアイピースを取り付けます。でも本当は接眼部はできるだけ外したくないんです。PowerMATEををつけた時もセンサー面にホコリが大量についてしまい、掃除が大変でした。


1. 光軸ズレ補正

光軸は撮影時に結構ずれていたので、途中から許容範囲を超えたと判断して、恒星の内外像を見てそこそこ合わせた後に撮影を続行しましたが、改めてコリメーションアイピースを使い見てみると、副鏡、主教共に結構ずれてました。SCA260の光軸合わせは比較的素直で、マニュアルに書いてある通りにやれば撮影時に困らないくらいにすぐに合わせることができます。


2. SIIフィルター交換

SIIフィルターはM17を撮影した際に赤ハロが出た原因となっていたので、先日の星もとで手に入れたBaaderのSIIに交換しました。ただし、Baaderのナローバンドフィルターのアダプターの内径は微妙に大きくて、ASI294MM Proのフォーサーズサイズだと四隅が蹴られてしまうことがわかっています。そのため、アダプターを別の手持ちの内径が少しだけ大きいものに交換します。その後、フィルターホイールに取り付けます。これでHαとOIIIに合わせて3つともBaaderになりました。


3. Lフィルター装着

これまでフィルターホイールのL位置には何も入れていなかったのですが、もしかしたら赤外とかがハロになる可能性があると思い、UV/IRカットフィルターを入れた方がいいと思うようになりました。他と同じBaaderが良かったのですが、とりあえず手持ちの安価なSVBONYのもので試してみます。ゴーストとか出るようならまた考えます。


ちょっと脱線、NINAのオートフォーカスについて

メーカーが違うので厚さの違いがあるかと思いますが、最近NINAのAF(オートフォーカス機能)がかなりうまく再現性よくピント合わせをしてくれるので、もう厚さの違いはほとんど気にならなくなりました。移動の際に必ず目標値を超えオーバーシュートし、さらに戻って目標値に行くので、オフセットを内外で繰り返すことになりうまくキャンセルするのがかなり効いているようです。

Fd6aaigacAA-BR9

それでも1発目の一番右の点から次の一つ左に行くときの線がうまくフィッティング曲線に乗りません。これを解決すればもう少し精度が上がるはずなのですが...。オフセットの調整は色々試しましたが、解決には至りませんでした。最初に右に動かしすぎで星像がボケすぎなのかとも思いましたが、左側はもっと外側に行ってもフィッティング曲線に乗っているので、どうもそうではないようです。


4. Bフィルターの汚れ

フィルターホイールの蓋を開けた時になぜかBフィルターだけ表面が曇った様な状態になっていました。フィルターを外してレンズクリーナーで丁寧にふくと、やっと曇りが取れましたが、なぜこんな状態になっていたのか不明です。少なくとも前回かなり汚れていたので掃除してから入れたはずです。

あれ?今思い出したのですが、そういえば前回もこんなふうにBフィルターだけ曇った様な状態でした。もしかしたら長時間で曇った様になる原因があるのでしょうか?次回開ける時に今一度気をつけて見てみたいと思います。


あー、やっぱりホコリが...

さてここまではカメラを外すこともなく、センサー面をつねにフィルターで覆った状態にして絶対に暴露せずに、かなり気をつけて作業をしました。

し・か・しです。その後テスト撮影をしてみると明らかにホコリがついていることがわかりました。画像はライブスタックして埃を見やすくしています。

Capture_00001 13_26_58_WithDisplayStretch

仕方ないので、再度カメラを外してブロアーで保護ガラス面を吹きます。これでかなり改善されました。
Capture_00001 13_30_42_WithDisplayStretch

それでもまだホコリが残っているので、いつものスワブで拭きます。
Capture_00001 13_48_46_WithDisplayStretch

左上にどうしても少し残っていますが、以前のフラットを見ても残っていて、しかも他のと比べても微妙に輪っかが小さいことがわかったので、
masterFlat_BIN-2_4144x2822_FILTER-L_mono

これは裏面についている可能性が高くて、これまでも撮影には影響してないという判断で、これで清掃は完了としました。よく見ると、保護ガラスではなくセンサー面についていると思われるかなり小さなリングがありますが、ここでは相当炙り出してしかもスタックして見ているので、撮影時ではこれらもほとんど気にならないでしょう。


まとめ

それにしても相当気を使って作業をしていてもセンサー面に簡単にホコリが付いてしまうことがわかりました。フィルターの取り外しなどはしているので、ねじ込みの時の切り子が何らかの拍子についてしまうのかもしれません。いずれにせよ、ブロアーはその場でついた埃はかなり飛ばせるので、作業をした後には最低限ブロアーは必要そうです。



ゴールデンウィーク最終日に撮影したM17オメガ星雲です。



牛岳でSCA260でアンテナ銀河撮影してたのですが、夜中過ぎには西の空に傾くので、その後何を撮影しようかと迷って、画角的にちょうど良さそうなM17にしました。しかもちょうどフィルターホイールを8枚のものに新調したばかりだったので、ここは3波でのナローバンド撮影に初挑戦してみました。


感慨深いM17

M17は実は星を始めてからM27と一緒に一番最初に撮影した星雲で、これもやはり牛岳でした。



ブログを読み返すと、既にこの当時から星雲に色がつかないことに文句を言っています。自分自身よほど不満だったのかと思います。

BKP800とAVXと天体改造のX5での撮影でしたが、その当時は赤道儀でうまく導入することもままならず、導入は県天のK会長にやってもらったものです。2分露光の1枚撮りで、何枚か撮影したものから一番流れていない1枚を抜き出し、GIMPで画像処理したものです。もちろん今見るとツッコミどころは満載なのですが、最初にとれた星雲で、M17なんて存在さえよく知らなくて、きれいに色が出て、ものすごく嬉しかった覚えがあります。今思い出しても、当時のワクワク感は蘇ってきて、ずーっとこの延長でやっているんだなあと、改めて今このブログを書きながら思いました。

さてここから6年でどれくらい進化したのか、比べるのが楽しみです。


一枚撮りでの画像

今回の撮影の様子ですが、当時の記事を見てもあまり大したことは書いてないですね。今覚えているのは、アンテナ銀河が西に沈んで何を撮影するかをその場でかなり迷ったことです。M17なら画角がSCA260とASI294MM Proで、(フラットは後で撮ろうと思ったので)カメラを回転させなくてもなんとかなりそうなのと、あーそう言えばM17ってホントに一番最初に撮影してから今まで撮ったことなかったなと意識してました。

さらにその日は青い馬星雲も同時撮影していて、ちょうどセッティングが落ち着いた頃で、アンテナ銀河と合わせると1日で3つ目の天体の撮影になります。1日に3天体というのはあまりないのと、初3波ナローなのでまあ失敗してもいいやと半分ダメ元です。試し撮りのHαの時点でかなり明いと判断し、3分露光としました。しかもかなり眠かった覚えがあるので、NINAでHα、OIII、SIIの順にセットして走らせてすぐに寝てしまったはずです。途中目を覚ましてHαとOIIIは確認して、おお、かなりはっきり出てる!と思った記憶はあります。そこから完全に熟睡してしまい、次に目が覚めたら周りはすっかり明るくなってました。SIIはそこで初めて確認して、そう言えばHαとOIIIはBaaderで、SIIがOptolongだったのをそこで思い出し、もしかしたらピントズレてたかもと反省しました。

改めてそれぞれ見てみます。順にHα、OIII、SIIです。全て3分露光、ゲインはASI294MM Proの美味しい所の120で、比較的暗い牛岳での7nmの波長幅のフィルターです。

2022-05-06_01-27-53_M 17_LIGHT_A_-10.00C_180.00s_G120_0001

2022-05-06_01-43-41_M 17_LIGHT_O_-10.00C_180.00s_G120_0001

2022-05-06_01-59-25_M 17_LIGHT_S_-10.00C_180.00s_G120_0001

明るさとしては、まあ当たり前ですがSIIが一番暗く、オートストレッチしたときの背景に横線がたくさん入るレベルで、明らかに露光もしくはゲインが足りていなかったと思われます。

改めて見てみると、Hα画像の星雲部の一番明るい部分でも10%を切る程度で、しかもこちらの背景にも多少横線が入っています。こう考えると、Hαでさえももう3倍くらい明るくしても良かったかもしれません。今回ナローバンドで3分露光だったので、いつものRGBでの10分露光よりも明るくしても良かったくらいです。

できるならHα、OIII、SIIで露光時間とゲインは同じにしておきたいので、明るいところと暗いところがきちんとADCに配分されるようにどう調整したらいいのか、今後の課題かと思います。実はこの後まだNGC6888三日月星雲とIC1369の象の鼻のナローバンドの画像処理が待っていて、それぞれ10分露光と3分露光で試しているので、ある程度の知見は出るかと思います。

ピントに関してですが、SII画像のピントはもっとひどいかと思っていました。多少ずれているようにも見えますが、まあなんとか許容範囲でしょうか。でもこれはEAFでオフセットをきちんと調整した方が良さそうです。こちらも今後の課題です。


Integration

次に、インテグレートした後の画像を見てみます。同じくHα、OIII、SIIの順です。枚数はそれぞれ5枚、6枚、7枚です。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-A_Mono

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-O_Mono

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-S_Mono

当たり前ですが、1枚の時よりもより細部が表現されています。アンプグローはもう見えないと言っていいでしょう。ダーク補正がうまくいっている証拠です。Hαは横縞はほとんど分からなくなりましたが、OIIIはごくわずか、SIIはまだ多少目立ちます。PIでLinearPattarnSubtractionとかCanonBandingRedutionとか試したのですが、ごくわずか軽減できたくらいで、明るさバランスが狂うなどの弊害もあったので、横縞はそのまま残してあります。これは撮影時の明るさをもう少し増やしてやることと、撮影枚数を増やすことでも解決できそうなので、大きな問題ではないでしょう。


いろんな合成法

さてここから合成です。一般的にはSII(S)をRに、Hα(A)をGに、OIII(O)をBに当てはめるSAO(海外ではSHOというらしいです)が一般的のようで、これはハッブル望遠鏡が想像の柱で使った配色が元のようです。

でもよくわかっていないので、とりあえず3枚のモノクロ画像をRGBに全部当てはめてみます。その種類は3!=3x2x1=6通りあるはずです。条件はPIのChannelCombnationでRGBを選び、それぞれの色にそれぞれの画像を入れ、その後ScreenTransferFunctionの各色のリンク無しでオートストレッチをし、HistgramTransformationで固定します。リンク無しなので、背景がバランスの取れたグレーに近くなります。

1. まずは明るい順のAOS:
AOS

2. 後ろ二つをひっくり返したASO:
ASO

3. 次に、明るいのを真ん中のGに置いたSAOでハッブルパレット:
SAO

3: 前と後ろをひっくり返してOAS:
OAS


5. Aを最後に持ってきたOSA:
OSA

6. 前と真ん中を入れ替えたSOA:
SOA

ふむふむ、こうやってみるとよく分かりますね。一番明るいHαを入れた色(RGB)がベースの色となります。上2つが赤がベース、真ん中2つが緑がベース、最後2つが青がベースということです。

ちょっと面白いのが、3、5、1がCyan、Magenta、Yelllowがベースに見えることです。明るい方からHα、OIIIなのですが、この二つが混ざる時の色でCMYっぽくなるということですね。

ただ、こうやって見てしまうと、ベースの色の印象が強すぎていまいち面白味がないように思えてしまいます。あぷらなーとさんはさらにCMYにAOSをそれぞれ当てはめて「リバース」というパレットを提唱していますが、Stella Imageだとそれが簡単にできるみたいです。



PixInsightはいろいろ調べたけどCMYへの配色は簡単にできそうにはないので、今回は諦めます。というか、そもそもベースが6つもある時点ですでに発散気味で、リバース法も加えて12個もあると、私的にはとてもじゃないけれど扱いきれません。こういう時は一番標準のSAOで試してみるのが良さそうで、3を出発点とします。


SAOでの画像処理

さて、ハッブルが撮影した想像の柱を見ると全然緑っぽくなく、むしろ青と黄色(オレンジ)の対比がとても綺麗です。今回撮影したM17はHαが主体なので、ハッブルみたく近づけるために、カラーバランスを大きく変え、赤と、特に青を相当持ち上げます。ただし背景はグレーに近い色を保つために、ブラックレベルを随時変更します。

SAO_dim

問題は赤。Redに割り当てたSIIが一番暗くノイジー、かつ少しピントがずれているので、
  1. どうしてもノイズが目立ってしまうこと
  2. 赤ハロが出てしまう
などが問題になります。

まず2の赤ハロから対処します。最初、上記画像にPI上でのR画像のみにEZ Star Reductionをかけたのですが、そのまま画像処理を進めていくと、R画像の明るい恒星の周りに大きな窪みができてしまいました。

drop

この原因を辿っていくと、EZ Star Reductionで、さらにはSIIのフィルターが問題である可能性が出てきました。SIIのみOptolongを使っているのですが、どうも明るい恒星だと周りにゴーストが出てしまうようです。

masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-S_Mono_cut

BaaderではHαもOIIIも見る限りこのようなゴーストは出ていません。
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-A_Mono_cut
masterLight_BIN-2_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-O_Mono_cut

とりあえず今回は回避策として、最初からEZ Star Reductionをするのはやめて、まずはStarNet V2で恒星と背景を分離し、その分離された恒星のR画像のみにEZ Star Reductionをかけてみました(この方法、一般的に結構使えるかもしれません)。その結果、背景画像のRに窪みは完全になくなり相当マシになりましたが、それでも合成して炙り出していく過程でゴーストの痕跡は残って赤く目立ってしまいます。

ghost

この結果を見るに、SIIフィルターをBaaderのものに変えようと思ったのですが、国際光器のページを見ても、本家のBaarderのページを見てもナローバンドフィルターは軒並み在庫切れのようです。ZWOのナローバンドフィルターは結構マシという記述をどこかで見たので、SIIだけそれを買うか、もしくはどうも今後SIIを使う機会があまりなさそうだということもわかってきたので、そのまま放っておくかもしれません。今回は後の画像処理でこのゴーストはできるだけごまかすことにします。

処理を進めます。ここでPhotoshopに移動し、R画像のノイズを減らします。Camera Rawフィルターは特定のチャンネルのみにフィルターを適用できるため、使い勝手がいいです。ここではディテールのノイズ軽減をレッドチャンネルに対して使います。

あとは普通に炙り出しです。ハッブルパレットだと多少派手にしても怒られなさそうなので、彩度も多少上げてしまいます。ただ、基準となる色がよく分からないので、どうしてもお絵描き感が強いと思えてしまうのも正直なところです。

最後の方で、レベル補正でRGBのピーク幅をそろえてやると、ハッブルパレットのように青とオレンジの対比が出てくるようになりました。最後に画面全体をひっくり返して北を上にします。

SAO_dim3_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm、Optlong: SII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚、SII: 7枚の計18枚で総露光時間54分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、SII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

こうやって改めてみてみると、やはりまだ赤が足りないでしょうか。でもSIIがノイジーなのでここら辺が限界です。今回は全体的に露光時間が全然足りていないと思うので、画像処理でノイズ除去とか結構強めにかけてなんとか見えるようにしています。それでもノイジー感が残ってしまっています。

いつものAnnotationです。

SAO_dim3_mod_Annotated


ちょっとAOO

SAOも綺麗なのですが、普通の見え方?に近づけるためにAOO合成をしてみました。

AOO_ABE_PCC_AS_AS_HT_mod
  • 撮影日: 2022年5月6日1時24分-2時33分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα: 5枚、OIII: 6枚の計11枚で総露光時間33分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、温度-10℃、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα、OIII、それぞれ20秒、16枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

HαとOIIIしか使っていないので、わずか33分の露光でしかなくて短すぎるのですが、それでもなんとか見えているのは26cmの口径おかげなのでしょう。

あと、この色合いだと2016年の当時に撮影したM17と直接比較しやすくなります。
IMG_0027_DPP
こちらはわずか2分の露光なので、そもそも比較するのもかわいそうなのですが、少なくともM17で始めた星雲撮影が、6年間でまたM17にたどり着いて、あらゆるところで進化してることを実感することができます。


まとめ

初の3波ナローバンドの撮影と、その全組み合わせをしてみて、最後SAO合成で画像処理までやってみました。露光時間が3波合わせて1時間未満で、特にSIIはかなり暗くて苦労しました。そのため全体的にノイジーなのは否めませんが、少し強引に一応見える位にまではできました。

フィルターもメーカーによって違いがあることもわかりました。Baarderは何気なしに使っていましたが、やはり良いものだということがわかってきました。

まだ今のところSAO合成が面白いのか面白くないのか、正直いうとよく分からないところもあります。SAOという縛りがあっても自由度が大きすぎる気がします。これはおそらく絶対基準のようなものがないからだと思います。普通の可視光も絶対基準という意味でははっきりはないのですが、それでも目で見て自然とか、いろんな画像例の中心値みたいなのはあって、少なくとも私の中ではある程度の参照基準みたいなのはあります。一方、SAOはハッブルパレットが元なので、今回は想像の柱を想像しながら色を合わせ込んでみましたが、果たしてこれが正しいのかどうか、まだよくわかっていません。

ナロー3波で撮って、最後に出したAOOみたいに、3波で自然な色合いにする方が見ていて気持ちはいいのかもしれません。そこら辺もいつか探れればと思っています。 


ゴールデンウィーク中に遠征(30-40分くらいなので近征?)してSCA260とASI294MM Proで撮影したカラス座にあるアンテナ銀河の画像処理についてです。CGX-Lを持ち出したのでかなり大変でしたが、ここで大型赤道儀で外でも撮影できる目処が立ちました。

撮影時の詳しいことはすでに記事にしていて、近場のいつもの場所、


それと、牛岳で2日分です。




画像処理

撮影は計3日間ですが、初日の撮影分は風が強すぎて使い物にならなく、結局牛岳の2日分だけを画像処理に回しました。

露光時間は10分でBaaderフィルターでのRGB撮影です。確かこの撮影の頃にフィルターホイールを1.25インチの8枚のものにしたはずなのですが、まだLは撮ってないです。処理に使った枚数はRGBそれぞれ15枚、9枚、9枚の計5時間30分です。

フラットは撮影から帰った日の5月6日に、夕方の自宅の外で鏡筒に白い袋を被せて撮影したのですが、これは結局うまく合わずに、以前馬頭星雲の時に撮影したフラットを使い回しました。袋を被せたフラット撮影はFS-60CBの頃にやっていて、うまくいってたのですが、大口径ではまだうまくいったことがありません。普段フラットは晴れ、もしくは曇りの日の部屋の中の白い壁で撮影しています。これまで撮影のたびに毎回撮影していましたが、今回の結果を見るとどうも使い回しができそうな雰囲気です。使いまわすためには大きなホコリが入るとおそらくダメになるので、接眼部に着いているカメラなどの機器の取り外しは出来る限り避けたいです。

画像処理はWBPPまでは5月のうちに終わっていて、3ヶ月も放っておいたことになります。その間何度か仕上までトライしたのですがいまいち気に入らなくて、結局前回のM104の決着がつくまで落ち着いて進めることができませんでした。昨日からやっと仕上げにはいりました。

これまでに何度かに分けてPixInsightでストレッチやマスク作りまで終わっていたので、昨日からの作業はほとんどPhotoshopです。何度かやり直してもアンテナ部分がかなり淡く、マスク処理は多少複雑になりました。そのためマスクを作り直すなどの作業は少しありましたが、なんとか炙り出すことはできたかと思います。

「NGC4038: アンテナ銀河」
Image196_pink_deconv4
  • 撮影日: 2022年5月4日21時14分-5日0時5分、5月5日21時14分-6日0時51分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、R: 15枚、G: 9枚、B: 9枚の計33枚で総露光時間5時間30分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、29枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB: 0.07秒、RGBそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

出来上がった画像を見ると、まだ恒星サイズが大きいのではと思いました。露光時間が長くて揺れが出たのかと。やはり10分露光でなく、5分露光位に抑えておいた方がいいかもしれません。

下のアンテナ部は先っぽの巻き巻きも含めてそこそこ出たと思います。それでも上のアンテナの先端の広がりがあるはずなのですが、そこまでははっきりとは写りませんでした。

あと銀河の細部がもう少し出てくれてもよかったかと思います。銀河の下部にアンテナ部との境があるように見えて、最初画像処理のせいかと思いましたが、どうもリアルにあるようです。

いつものAnnotationです。

Image196_pink_deconv4_Annotated

少し斜めになってしまっています。もうなにも記憶はありませんが、あまり真面目に回転角を合わせていなかったようです。


まとめ

牛岳という、少なくとも普段撮影する自宅よりは十分暗い場所で、結局2日にわたって5時間半のアンテナ銀河の撮影でしたが、それでもアンテナ部分はかなり淡かったです。マスクを駆使してやっと出ましたが、結構大変でした。特に銀河もう少し解像度が出るかと期待していましたが、シンチレーションと露光時間によるのかと思います。またいつか機会を見て撮影してみたいと思います。

さて、さらに溜まっている画像処理を進めることにします。

溜まっていたSCA260の画像処理をやっと再開します。

そもそも、なんで画像処理が全然進まなかったのかというと、まずここ数ヶ月ひとえに忙しかったのはあります。やっと時間ができたと思ったらSV405CCの評価が入ったりしたのもあります。でも一番の原因は、今回のM104の処理を全くやる気にならなかったからです。欲張って、
  • ASI294MMのbin1
  • PowerMATE2倍+ASI294MMのbin2
を一度に比較しようとしたのがダメでした。2つの処理をいっぺんに公平に比較というのはものすごく気を使うので、いまいちやる気になりません。でもこれを終えないと、まだゴールデンウィーク前後に撮った画像の処理も進まないので、とにかく処理してみます。


まずはM51の時と同じbin1で

撮影はもう3ヶ月以上前のことになります。メモを元に記事を書きます。

2022年4月23日、月も下弦の時期になり、夜の前半は月のない空になります。休日の土曜の夜なので気兼ねなく夜更かしできます。

夕方くらいから準備を始めます。場所はいつものように自宅の庭。重いCGX-Lをえっちらおっちら運びますが、揺れのない撮影ができると思えば全然苦になりません。暗くなり始めくらいで極軸調整も早々と済ませて、あとは暗くなるのを待ちます。

対象は迷ったのですが、M104ソンブレロ銀河に決定。南の低空で撮れる時期がある程度限られるからです。目標は上と下の間にあるモジャモジャ。前回VISACで撮影した時は心眼で見ると何か見えるような気がするくらいのものです。



三つ子銀河の撮影で分かったように、CGX-Lも威力は凄まじく、それ以前から使っていたCGEM IIに比べて劇的に揺れを抑えてくれます。

ただし、SCA260の1300mmの焦点距離がちょっと短いです。一つ前に撮影したM51は、まずはバローなど入れる前にASI294MM Proのbin設定を1x1にあえてして、高解像度で撮影し、中心部をクロップしました。今回の撮影の時点ではまだM51の画像処理まで進んでいなかったので、これが正しい判断なのかまだできていませんでした。なので、バイアスやダーク、フラットダークなどが使い回して楽なこともあり、とりあえず設定を変えずにこのまま撮影することにしました。当然露光時間とゲインも使い回しのために変えずに10分と240のままにします。RGB撮影なのですが、本当はLが欲しいところ。でもまだフィルターホイールをこのときは新調していないので(その後、8枚のものに交換しています)5枚のままで、全部埋まっているので今回は諦めます。


撮影開始

撮影開始は天文薄明が終わる20時頃。撮影ソフトはNINAです。実際に10分露光で撮影を始めて何枚か結果を見ますが、どうもイマイチです。一枚一枚を見ている限り真ん中のモジャモジャさんは全く見えていません。これはスタックすれば見える可能性もあるので、まあよしとします。でも恒星が小さくならないのです。最初ピントズレかと思いNINAのAF(オートフォーカス)機能で何度か確かめましたが、HFT8程度が限界。PHD2のグラフを見てみると揺れ幅が+/-数秒とかなり大きいです。一度カメラをNINAから切断して、SharpCapの100ms位の短時間露光で見たのですが、揺れがかなり大きいです。最初シンチレーションかと思いましたが、外に出てみると、風が強い!設定時はそれほどでもなかったのですが、徐々に強くなってきたみたいです。

こんな状態なので結果はダメかもしれませんが、せっかくの月のない休日の夜なので、そのまま撮影を実行します。

撮影終了は、月が出てくる午前1時ころ。本当はもう少し予備で撮っておこうとしたのですが、あまりに風が強くてPHD2の信号で見ると時折10秒以上の幅で激しく揺れるようになってきたので、ここで撤収です。といっても、昼間に太陽を撮りたいので、赤道儀はそのまま片付けずに、万が一の雨に備えてカバーのみかけておきます。(といっても、次の日は結局晴れずに、太陽を見ることなく昼に片付けてしまいました。)

画像処理

撮影フォルダを見てみるとR: 8枚、G: 9枚、B: 10枚が撮れていました。そのうちR: 5枚、G: 7枚、B: 7枚を画像処理にまわします。
  • WBPPですが、なぜか格子状のノイズができます。いろいろ探ったのですが、どうもImage Integrationのところが問題なようです。枚数が少なくて、Percentile Clippingを推奨されるのですが、これにするとダメでいつものWinsorized Sigma Clippingにしたら消えました。
  • また、Image Registrationのところで、RGBどれも2枚ほど弾かれうまくいきません。Image RegistrationのNoise reductionを2に増やし、この問題を回避しました。
  • Local Nomarizationで失敗してしまいます。Interactive modeで色々試して、「Scale evaluation method」を「Multisale analysis」とすると回避できることがわかりました。
  • あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は青っぽくなってしまいました。

PI、Photoshopともに、できるだけ素直な画像処理を心がけました。特殊なことは星マスクと銀河部分のマスクを作ったくらいでしょうか。細部出しもPhotoshopの範囲内で済ませています。

結果です。bin1だと画像サイズが大き過ぎでこのブログだとアップロードできないので、解像度を半分に落としてます。

Image10_RGB_crop_ABE_ABE_PCC_DBE_AS_HT_SR2_s


PowerMATEとbin2設定で

次の撮影は4月24日。今度はTeleVueの2倍のPowerMateを入れてやり、ASI294MM Proの設定でbinを2x2にして撮影してみます。対象は同じくM104です。

IMG_5305

IMG_5308

こちらも10分露光は変わらず、Gainは120にしています。PowerMATEで拡大してるので実質F10と暗くなっているため、Gainは4倍のもう120だけ上げ、240にした方が良かったかもしれません。

フラットフレームですが、夕方のほうの薄明で白色のごみ袋をかぶせて撮ってみることにしました。ただし、刻一刻と暗くなり時間変化が大きいので、枚数を限ってRGBそれぞれ32枚とします。条件を同じにしたいので、RGBすべて10秒露光とします。BGRの順にとったのですが、Gが少し暗すぎるかもしれません。Rは比較的明るくなるので、まあ大丈夫かと思います。

ただし、周辺減光がかなり大きかったせいか、どうもこのフラット補正はうまくいかなくて、4隅に大きな補正失敗部分ができてしまいました。たまたまなのか、この鏡筒+PowerMATEのせいなのかわわかりませんが、もし今後もこの組み合わせを続けるなら、トリミング前提で使う必要があるかもしれません。

後で画像で示しますが、フラットフレームを見ると、ホコリがセンサー面とフィルター面の両方にいくつか付いてしまっているようです。やはりカメラ周りをいじると必ずホコリが混入します。入れ替えをなくすという点からは、バロー無しでbin1x1のなしで固定してしまった方がいいのかもしれません。


画像処理は比較しやすいように、bin1の時と同様にできるだけ素直にすませました。あと、PCCでどうも色が安定しません。この時は赤っぽくなってしまいました。

結果です。周辺減光が残っていますが、とりあえず残しておきます。

Image39_RGB_PCC_DBE_ASx3_HT_SR


比較

さて、ここまできてやっと比較です。

原理的には分解能は同じです。
  • bin1を使ったものはより広角に撮影できますが、12bitのダイナミックレンジしか使えません。ピクセルサイズが小さくなり暗くなるので、その分ゲインを240にしていて、実効的なダイナミックレンジはさらに不利になります。
  • 2倍のPowerMATEとbin2を使ったものは、撮影範囲は各辺2分の1、面積で言うと4分の1ですが、14bitのダイナミックレンジを使えます。ゲインはbin2の時のデフォルトの120としましたが、この時も実質F値がノーマルの5から10になり、明るさでいうと4分の1と暗くなるので、ゲインは4倍明るい240のほうがよかったかもしれません。

銀河部を拡大して比較します。上がbin1で、下がPowerMATEにbin2
final

final

微恒星はPowerMATEで拡大した方がシャープに見えます。でもこの差はbin1の時は風が強かったことで説明できそうです。銀河部はむしろほぼ同じか、bin1のほうが心持ち細部が見えている気がしますが、それでもそこまで大きな差ではありません。画像処理にも微妙な違いがあるので、そこで説明がつくと思った方が良さそうです。

もしかしたらもっと差が出るのではと思っていたのですが、結論だけ言うと、このくらいの差ならば個人的にはこれは拡大せずにbin1で撮影した方がメリットが大きいと感じました。ダイナミックレンジは確かに損しますが、そこまで大きな差になるようには見えないのと、広角でも撮れるので後からトリミングなどできて楽しいこと、トリミング前提なら縦横を気にしなくもていいので、撮影時のカメラの回転も省けるかもということ、そして何よりM51の時にも書きましたが、カメラをわざわざ付け直したりしなくていいのでホコリが入らないことです。


PowerMATEの入れかえによるホコリの混入

今回、PowerMATEを入れ替えたためのホコリの影響はかなりのものです。まずは入れ替える前のフラット画像がこれくらいです。
masterFlat_BIN-1_FILTER-R_Mono
PixInsightで強度にオートストレッチしたものにABEの1次をかけているので、相当あぶり出したような状態です。よくよく見ると無数の淡いリングが見えるような気がしますが、この程度では画像処理には全く影響がないと言っていいかいと思います。

次が、今回PowerMATEに入れ替えてから撮影した後、何も状態を変えずにフラットフレームを別撮りした時です。
masterFlat_BIN-2_FILTER-R_Mono
少なくとも濃い小さなリング多数と、少し淡めの大きなリングが多数、はっきりと写っています。小さなリングはセンサーの保護ガラス面についたホコリ、大きなものはフィルター面に付いたホコリです。今回はPowerMATEをどう取り付けたらいいかで何度か入れ替えをしたので、部屋の中ですが30分程度はカメラ、フィルターを暴露していたと思います。入れ替え方法は確立したので、今後はもっと短時間になりもう少しマシにはなるはずですが、(特に、外で入れ替える場合は)ホコリの混入を0にするのは難しいと思います。

一応補足しておくと、これくらい埃があっても、個々のライトフレームではリングは多少見えますが、きちんとフラット補正した場合は仕上がりにはほとんど影響がなくなります。

それでもここのライトフレームに影響があるのが嫌なので、この後この埃を掃除したのですが、再び元のレベルまで戻すのにかなりの苦労をしました。掃除してチェックしての繰り返しなので、1時間以上の作業になります。できることならこの作業は避けたいです。


結果

その後、bin1で撮ったものとbin2+PowerMATEで撮ったものをまとめてPixInsightで処理しようとしたのですが、画像サイズも解像度も違っているものをまとめて処理する方法がわかりませんでした。calibratedまでされたものをうまくregistratioinできません。5枚の1binと5枚の2binファイルをStarAlignmentで一合わせしようとした時、デフォルトだとどちらか5枚のみ、Star DetectionのAllow clusterd sourceをチェックすると少しマシで最高7枚の位置合わせに成功したましたが、それでもStar pairを見つけるのがうまくいかないです。何かうまい方法があるのでしょうか?

というわけで、今回は結果としては、周辺減光が少なく、広い範囲で選択でき、銀河部が多少細かく出ているように見えるbin1を採用します。恒星はbin2+PowerMATEのほうがシャープですが、周辺減光が激しく不採用とします。

Image10_RGB_crop_ABE_ABE_PCC_DBE_AS_HT_SR2_cut
  • 撮影日: 2022年4月22日20時1分-4月23日1時18分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃), bin1
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 6枚、G: 7枚、B: 6枚の計19枚で総露光時間3時間10分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、RGBそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回を更新したと言えるレベルではないので、また来シーズンリベンジしてみます。


まとめ

やはりフラットフレームのホコリを見ると、できる限り状態は変えない方が得策な気がします。本当に解像度がもっと必要になる時、例えばシンチレーションで制限されず、口径とピクセルサイズで制限されるようなことがある場合に、bin1とPowerMATEで試すことは将来あるかもしれません。

とにかくやっと3ヶ月前の画像処理が終わりました。まだ溜まっているので、順次進めていきたいと思います。
 

今回のターゲットM51子持ち銀河、形は派手ですが思ったより小さな銀河です。焦点距離1300mmのSCA260では少し小さすぎて、真ん中だけに来てしまい分解能が出るか心配です。

実はM51の撮影日は4月2日、画像処理は4月末と、もうはるか昔になってしまいました。その後連休に入り、連日の撮影とその日その日のブログ書き、後半は別の原稿書きと、全然画像処理関連のブログ書きが進んでいません。これではダメだと反省し、記憶を掘り起こして書くことにします。


今回の撮影の目的

今回のM51の撮影の動機は2つあって、
  1. CGX-Lで揺れが少なくなった場合のRGB処理がどうなるか
  2. SCA260で小さな銀河を撮影するときに、焦点距離1300mmでどうやって大きく取るか
の2つです。

前者は前回すでにCGX-LでASI2400MC Proを使い、カラーでは撮影しています。揺れが減ったおかげで相当な分解能が出ましたが、今回はモノクロのASI294MM Proで撮影するために、ピクセルサイズが少し小さいこととモノクロなので、さらに分解能が出るはずです。



もう一つは今後の銀河撮影の方向性を探るための最初の一手です。SCA260は大口径の割にF5で焦点距離があまり長くなく明るいために、大きな銀河はいいのですが、小さな銀河では少し焦点距離が不足します。これを解決するのはいくつかの手があるのかと思います。


小さい銀河をどう撮影するか?

パッと思いつくのが

A. 2倍程度のバローレンズを入れて、撮影する。
  • メリット: 倍率が上がるため、分解能は上がる。
  • デメリット: F10となり暗くなるため、明るさは4分の1となる。

B. bin 1x1: 8288x5644で撮影する。
  • メリット: カメラの分解能を2倍にするため、広い範囲を撮影しながら分解能があがる。
  • デメリット: ピクセルあたりの感度が4分の1になるため、明るさは4分の1となる。ダイナミックレンジが14bitから12bitに落ちる。

A. B. 共に暗くなるため、ゲインを上げる(120から、4倍の240にするなど)などの補償が必要となる可能性があり、リードノイズは得しますが、ダイナミックレンジを損する。B.の場合は実質10bIt (1024諧調) 程度までダイナミックレンジが小さくなる可能性があります。


実際に撮影してみて

今回のM51の撮影では、まずは簡単なBを試しました。その上で、Bは実際に撮影してみて、さらにメリット、デメリットがあることに気づきました。

メリット:
  • 少し離れたところの小さな銀河などの思いもよらない天体が入っていて楽しい。
  • 画像処理で後から縦横自由に回転できる。->撮影時の縦横もあまり気にしなくていい。
  • 光学系を取り替えなくていい。->ホコリが混入しない。

デメリット: 
  • 画像1枚のサイズが4倍になり、処理が重くなる。->大したことはなかった。
  • ダークを一から取り直し。
どれも最初はあまり気にしなかったですが、この撮影以降に実はM104を撮影していて、こちらはA. B.両方とも試しています。Aを試して一番問題だったのが、バローレンズを入れるときと外した時にホコリがセンサーの保護ガラス面についてしまって、その後の掃除が大変だったことです。まだM104の画像処理は進んでいないので仕上がりを見ての判断はできませんが、結論はもう出ていて「できる限り光学系はいじらない」です。ホコリがつくと画像処理が途端に大変になります。全部のホコリを取るのはかなりの手間と神経を使います。多少ダイナミックレンジが狭くなろうとも、ホコリが入った時の手間の方が遥かに面倒です。

撮影はいつものNINAです。でもその時のことはほとんど忘れてしまったので、あまり書けません。その時の画面をiPhoneで撮ったのを見ると、この時点である程度分解能出てますね。あと、、10分露光と長時間で、風が少しあったせいか、途中から結構揺れていたのを覚えています。

(2022/5/12 追記: 撮影直後にメモっておいたのがみつかりました。以下「 」を追加しておきます。)
「新月期、相変わらずの自宅撮影です。本当は遠征したい気持ちもあるのですが、この週末はいろんな書き物が溜まっていて自宅束縛で、せめてもの放置撮影です。

CGX-Lをなんとか稼働することはできたので、振動対策がある程度できたと考え、分解能が次の何かで制限されるはずです。そのため、モノクロでまずはカメラの分解能を稼いでみます。

今回のターゲットはM51子持ち銀河です。以前VISACで一度撮影していますが、カメラがカラーのASI294MC ProからモノクロのASI294MM Proになっていること、鏡筒の口径が20cmから26cmになっていることなどが有利な点です。



しかも今回はASI294MM Proのbin1での撮影をしてみます。モノクロにしたことですでに解像度は上がっていますが、SCA260の焦点距離が1300mmとVISACの1800mmに比べて短いです。M51だと中心付近で小さく写ってしまうため、カメラの解像度を上げることで分解能を上げようという試みです。もう一つの手が2倍程度のバローレンズを使うことです。どちらが有効か分からないので、まずは簡単な方から。バローは次回以降で試そうと思います。bin1で解像度を上げ、ダイナミックレンジを犠牲にするのがいいのか、バローで解像度を上げることで星像がボケるかもしれなのか、実際に比べてみたいと思います。

今回でCGX-Lの撮影は3回目となりますが、なぜかDEC、RA両方ににfailが出るようになってしまいました。一度に一方だけだったと思うのですが、この日は数回試して、毎回両方とも出てしまいました。また一度だけですが、初期アラインメント後、プレートソルブの時から赤道儀のモーターが全く動かなくなってしまいました。画面は流れていかないので、追尾はしているようです。しかたないので一旦電源を切ると元に戻って、今度は初期アラインメント、自動導入、プレートソルブと順調にいきました。まだ露呈していない不具合がある可能性もあり、さらなる修理を含めて注意深く見ていく必要があります。

撮影はいつも通りNINAを使って。10分露光でRGBとHαと念のためOIIIの少し撮っておこうと思っています。

実際撮影を始めると、まだ赤経が周期的に揺れます。どうもこれはやはりCGX-Lの癖のようです。赤経のゲインを上げ揺れを抑え、赤緯のゲインを下げることでわざと揺らしてやり、同じくらいの揺れ幅にしてやりバランスを取ることでかなりマシになりました。

その後少し星像が甘く見えたので、オートフォーカス機能を使ってピントを注意深く合わせました。銀河の細かい構造も出てきて、すでにこの時点で前回のVISAC仕上がり画像くらいには迫っていそうなので、結果が楽しみです。」

IMG_5172


画像処理は銀河の中心部を出すのに苦労しました。三つ子銀河の時はかなりシンプルな画像処理でしたが、今回はDeconvolutionやEZ Star Reduction、さらにマスクを多用したり、ノイズ処理など、結構な処理過程をしています。

撮影した画像と採択した画像はR: 7/11, G: 7/11, B: 10/13, Hα: 3/3ですが、揺れがあってもかなり甘めに採用しています。結果少し星が流れてしまっています。 


撮影結果

結果を示します。M51は小さくしか写らないので、周りをかなりカットしています。向きは迷ったのですが、回転させて縦置きにしてみました。ここら辺の自由が効くのも広角で撮ったメリットですね。

Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_tw
  • 撮影日: 2022年4月2日20時32分-4月3日3時50分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Hα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 7枚、G: 7枚、B: 10枚、Hα: 3枚の計27枚で総露光時間4時間30分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、Hα: 0.3秒、 RGBとHαそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

露光時間も高々4時間半でそこまで大したことないので、多少ノイジーなところもありますが、自宅の庭でここまで出るのなら、私的にはかなり満足です。背景の両側から挟み込むような淡いヒゲもそこそこ見えています。

結論としては、バローなしでのbin1x1で解像度はすでに十分そうです。もしかしたら意外にbin2x2でもいけるかもかもしれません。

反省点としては、星の輝きがイマイチでしょうか。三つ子銀河をASI2400MCで撮った時ほどの輝きが出ていない気がします。あと、撮影時多少揺れたので、採択率をかなり甘くしました。そのため少し星が流れたのが惜しいです。

あと、Twitterで蒼月城さんに「銀河中心のオレンジがあまり出ていないので、途中でRを落としたことはないか」とのご指摘をいただきました。確かにその通りで、最後にHαを加えた時に全体が赤っぽくなったので、少し赤を落としました。蒼月城さんのコメントは具体的でとてもありがたいです。私自身、銀河の画像処理はやはりまだ経験不足で、今後いくつか撮影して色々試す必要がありそうです。今回は自戒の念を込めて、そのままにしておきます。


その他のカット

カットする前のオリジナルの画像です。やはりかなり小さい印象になってしまいます。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_low

縦横半分にしてみます。バローで2倍に撮ったら以下くらいの大きさになります。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_half

これでもいいですし、最初に示した縦向きにしたのもいいのかと思います。ここらへんの自由が効くのが、bin1x1で広角で撮影したメリットかと思います。

同じ配置で、以前VISACで撮った画像も出しておきます。もう雲泥の差ですね。
integration_PCC_AS_HT_SNP3_cut


Annotattionも載せておきます。冒頭に載せたものと、
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_Annotated

オリジナルのものを少しだけカットしたものです。こちらは右上の方にIC4263が認識されています。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_cut_Annotated1



まとめ

今回の結論としては、bin1x1で系外銀河撮影は十分な解像度がでる。揺れはCGX-Lで相当改善されているので、これ以上はシーイング支配になってくると思われます。ダイナミックレンジに関してはかなり心配していましたが、まあなんとかなりそうです。ただ、恒星の表現が少し難しかったので、そこら辺には効いてきているのかもしれません。ここら辺のきちんとした評価はかなり難しいですが、いつか定量的に確かめてみたいです。

画像を回転させることも楽しいです。ホコリのことも考えると、広角のbin1x1で接眼側をいじらない方が遥かにメリットが大きいのではというのが正直なところです。一応、既に撮影済みの次のM104の画像処理で、bin1x1と、バローでbin2x2での撮影を比較しますが、よほどのことがない限り、今後はbin1x1で済ますことになりそうです。

全然関係ないですが、M51を見るといつもスタートレックのエンタープライズ号を思い出すのは気のせいでしょうか?


タイトルの通りCGEM IIと260でのおそらく最後の作例となります。対象は M101回転花火銀河で、これも前回のM100に続き、馬頭星雲のついでに後半に撮影していたものです。


反転時のトラブル

ただ、もう1ヶ月以上前のことになるので、ほとんど記憶がないんですよね。唯一覚えていることが、USBハブの破壊です。

IMG_4704
と、こんな感じです。

赤道儀の反転の時にやらかしました。子午線近くになるとNINAが自動で反転してくれるのですが、これまでうまくいっていたので油断してました。富山は日本海側なので、北方向が街で普段は北の空を撮ることはほとんどありません。北の空での自動反転は初めてだったのです。撮影中は自宅からリモートで画像などをちょくちょくチェックしているのですが、なぜかちょっと前から画像が送られて来なくなって「あれ?バッテリー切れか何かか?でもまだ早いな?」と何の気なしに外に出て愕然としました。どうやら反転の際の回転中にケーブルがどこかに引っかかって、引っ張られてしまったようです。上のようにUSBハブのコネクタのところがもげていました。

でもこれ不幸中の幸いで、根元側に繋がっていたCMOSカメラのUSB2.0のコネクタ部や、USBハブの先につながっていたホイール、フォーカサーなどその他の損傷はなかったのです。ひとえに、このエレコム製のハブがこのコネクタ部を弱く作ってくれていたおかげです。接続部を見ても、ちょっとのハンダで固定しているだけで、強度を持たせていないようです。おそらく設計の段階で考えられているのかと思いますが、今回これに助けられました。これ以降もエレコムハブを使うことにすると思います。

根本的な対策としては、引っ張ったら抜けるような構造を途中に入れておくことかと思います。短い延長ケーブルとかでもいいですし、コネクタ変換用のアダプタをうまく使うという手もあるかと思います。USB-Cコネクタなんかはわざとかと思うほど脆弱に作られています。


撮影枚数

こんなトラブルがあり、他のことはほとんど記憶から吹っ飛んでいるのですが、残された画像を見てみると、3分露光で2日渡って撮影していたようです。それでも使える画像枚数は

R: 23/31枚、G: 8/24枚、B: 11/20枚、Hα: 4/10枚

と、トータル85枚で4時間15分撮影して、わずか46枚で2時間18分を画像処理に回すことになりました。これでもかなり甘く採用しているので、本当はもっと落としたいくらいです。Hαは赤ぽちだしだけなのでまだ4枚だけでもいいとして、Gの8枚は少な過ぎです。今回は揺れもそうですが、今見たら1日目に撮った画像はほぼ全滅、薄雲で淡い部分が出なかったのをかなり落としています。本当は撮り増しすべきなのですが、赤道儀も変わるのでとりあえずキリをつけてここまでとします。


画像処理

画像処理はいつものようにPixInsightのWBPPで、前回から始めたDeconvolutionを今回も適用しています。2度目なので少し余裕を持って処理できました。また、EZ Star Reductionで星像を小さくしましたが、今回はかなり小さくなってしまいました。効果の度合いをうまく選べないのが少し辛いところです。

あと、少し画像処理をPixInsightに移していこうと思い、Curve Trasnformationをいじってみました。Saturationを輝度に応じてカーブでいじれるのはPhotoshopではできないので、ここはメリットがあります。でも操作性はやはりPhotoshopの方が上と感じます。例えばPixInsightだとわざわざプレビューを開いて効果を確認しながら試さないといけないとかです。あと、やはりPhotoshopの一番の利点はレイヤーが利用できることかと思います。PixInsightもマスクを駆使することでレイヤーと同じようなことはできますが、やはり操作性は雲泥の差です。ただし、マスクの作成においてはStarNetも含めてPixInsightの方が星に特化されていたりするので、PixInsightで作ったマスクをPhotoshopで使うというスタイルはまだしばらく変わることがなさそうです。


結果

今回は2時間という短い撮影時間だったこともあり、かなりノイジーで苦労しました。結果というと以下のようになります。

Image88_ABE_PCC_DBE_decom_AS_AS_starreduction_SCNR_CT5
  • 撮影日: 2022年3月8日23時26分-3月9日3時26分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、R: 23枚、G: 8枚、B: 11枚、Hα: 4枚の計46枚で総露光時間2時間18分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 RGB: 0.08秒、Hα: 1秒、 RGBとHαそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

中心部はまだ明るいので細部がある程度出ていますが、外周はノイズ処理をしたので絵画っぽくなってしまったので、いつかリベンジしたいです。まだCGEM IIでの撮影で揺れが残っているので、今後CGX-Lに変更すると中心部ももう少し出るはずです。

いつものAnottationです。
Image88_ABE_PCC_DBE_decom_AS_AS_starreduction_SCNR_CT5_Annotated


それでも以前のTSA120で撮影した結果と比べるとかなりマシになっています。前回も画像処理は苦労した覚えがあり、結構ごまかしてやっとこれくらい出たのだと思います。

light_BINNING_1_integration_ABE_DBE_STR_DBE_STR_SNP_all_PS4_cuts


まとめ

最近ものすごく忙しくて、画像処理とかブログを書く時間が全然取れていません。実際今回も1ヶ月以上前の画像です。撮影したらその場でいいのすぐにメモ程度でも書いておいた方がいいですね。

さて、次からはいよいよCGX-Lで撮った三つ子銀河の画像処理です。でもその前に色々やりたいことがあって、時間が足りるかちょっと心配です。


 

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