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天体観測始めました。

カテゴリ:場所 > 富山

2023年8月4日(金)、富山の環水公園で「とやまスターウォッチング」がありました。

コロナ前までは毎年開催れていましたが、平日開催ということもあり、これまで参加したことはなく、今回が初めての参加となります。


平日の観望会

この日は金曜。平日なので、仕事が終わってからの参加になります。18時集合ということで頑張って早めに職場を出ますが、距離もあるのでさすがに間に合いません。結局18時半過ぎに会場に着きましたが、 19時には機材持ち込みした人向けの説明会があるというので、すぐにセットアップを開始します。幸いなことに、まだ機材搬入用に確保してある駐車スペースも残っていたので、観望場所のすぐ近くに車を駐めることができ、何度か車と行き来するのも楽でありがたかったです。

今回の機材です。
  1. 天の川を見るための、NIKKORの35mm 、F1.4のレンズとASI294MCで広角電視観望
  2. 星雲星団などのための、いつものFMA135+Uranus C+AZ-GTi
  3. 子供に解放するSCORPTECHの屈折
  4. 星座ビノを4台
と4種体制です。さらに、外部モニターをつないで対面からも見えるようにしています。ただし、PCは2台に対してモニターは1台なので、随時見栄えの良い方を切り替えることになります。

メインの天の川広角電視観望については、前回の記事で詳しく説明しています。




セットアップ

機材準備は順調に進み、まだ明るいですが星が見え始めます。肉眼ではアークトゥルスが最初でしたでしょうか。星座ビノではすでに他の星もたくさん見えるので、何人かの方には試してもらいました。また、肉眼でベガが見えるか見えないかの状態でも、広角電視観望ではベガを含む、こと座の形まではっきりとわかります。

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程なくして19時過ぎになります。機材設置者向けの説明会が始まります。コロナ前までは例年200人ほどのお客さんが来ていたとのこと。すでにお客さんと思われる一般の方もちらほら来始めている様です。

周りを見渡すと、望遠鏡がズラーっと並んでいます。全部で17台はあったとのことです。
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中央右に見える大きなドブはかんたろうさんの45cmです。

目玉の一つがPENTAXの口径150mmの屈折とMS-5でしょう。鏡筒だけで32kg、赤道儀は100数十kgだとうのことです。大きいです。
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学生さんの参加もありました。富山県立大の天文部と、富山大の天文同好会です。県立大の学生は先輩が組み立てたという自作のドブソニアンを、富山大の学生はVixenの鏡筒とタカハシのFC-76を出していました。若い人が参加してくれるのはいいですね。

富山大の学生さんがVixenの赤道儀で導入がうまくいかないと悩んでいたのですが、今度一緒にやれたらという話になりました。いまだに一度もうまく自動導入できたことがないとのことです。名刺を渡しておいたので、ぜひとも連絡待ってます。


観望会開始

説明会終了後は、観望会の始まりです。たくさんの人が来ていましたが、望遠鏡の数も十分にあったので、ストレス無く見えていたのではないでしょうか。夕方少し雲があったので心配だったのですが、観望会ちゅうは見るものに困ることがないくらいは晴れてくれていました。19時半からはスライドでの星の解説があり、そちらも盛況だったようです。

自分の機材に関してですが、まず天の川は大成功。富山なら街中でも全く遜色なく見えることがわかりました。この日は雲も出ていましたし、透明度は全く良くなかったので、まだ余裕がある感じです。

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これまで天の川を見たことがない人も多く、「初めて見た」と言う人や「暗いところでしか見えないと思った」という感想が多かったです。

外部モニターを追加して対面で見えるようにしたこともかなり効いていて、特に大人数の観望会ではお客さんも見やすくなると思いますし、説明もしやすくなります。ただし、天の川を表示していても天の川と認識してもらえるわけではなく、きちんと説明しなくてはならないと思いました。天の川を見たことがある詳しい方はすぐに「おおー」となるのですが、そもそも天の川を見たことがない人には「このモジャモジャしている背景が天の川です」というように説明する必要があることを実感しました。もっと広角のレンズを使っても良いのですが、同時に射手座あたりの星雲の認識までしようとすると、35mm+フォーサーズくらいが限界の気もしました。

星雲用の電視観望ですが、(説明会開始前の)肉眼で星が見えるかどうかわからないくらい明るいうちからM27が見えたり、最初絶好調だったのですが、途中AZ-GTiが動かなくなってしまいました。なんのことはないバッテリー切れで、そういえば志賀高原以来バッテリーを替えずに自宅でも何度か試していたのに、電池交換のことをすっかり忘れていました。予備バッテリーは常備しているので、交換でことなきを得たのですが、時間を食われてしまって見せる方があまり充実しなかったので反省です。

ちなみに電池が切れるとWiFiはまだ繋がっているのですが、まずはモーターが全く動かなくなります。繋がっているのに動きに反応がなくなるときは電池切れを疑うべきです。というより、観望会前は電池交換くらいしておけってことっですね。

星雲の方は画面を残すのも忘れてしまっていたので、オートセーブで残っていたものだけ載せておきます。実際に見たものは大したことがなくて、M27、M57、北アメリカ星雲くらいで、今回は天の川の方が完全に主役でした。

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長時間放っておいたものなので、画面が回転してしまっています。

さらに、今回1番の失敗はその場で使ってもらうSCORPTECHでした。電視観望2台体制で、それに加えて2穴ファインダーの説明をするのはちょっと厳しかったです。それよりも、途中から経緯台の水平方向の粗動が噛んでしまったようで全く動かず、微動しかできなかったのが致命的でした。その微動もかなり固くて、最後は微動ハンドルの取っ手の部分がもげてしまい、操作不能になってしまいました。子供もたくさん来ていて、使いたさそうにしていたので、とても申し訳なかったです。

経緯台は自宅に帰ってからすぐに修理しました。水平方向の固定ネジを固く閉めすぎていたのが原因で、壊れた微動ハンドルは手持ちのものと取り替えました。元の値段が星まつり特価で、子供たちに壊すくらいにまで使い込んでもらえば本望と思っていて、今後もまだまた活躍してもらう予定です。

途中、Kenkoの入門機のSKY WALKER SW-0を持ってきた方がいました。使い方がわからないとのことでしたが、残念ながらアイピースが付いていませんでした。アメリカンサイズならまだなんとかなったのですが、SW-0の場合は1インチアイピースなので手持ちもなく、どうすることもできませんでした。

望遠鏡を持っていても使い方がわからないとう方も多いと思うので、自分の望遠鏡を持ち込んで、詳しい人が使い方を教えるということを主においた観望会とかがあっても良いのかと思います。これは今回のような県や市がやるというよりは、やはり我々のような市民同好会的なところが企画するのが良いのかと思います。もしくは科学館とかでしょうか。


観望会終了

今回の観望会は21時までなので、あっという間に時間は経ってしまいました。機材のミスで時間を食ってしまうのは致命的なので、これからもよりシンプルで安定な構成と、事前の機材チェック、あと欲張って機材を出しすぎないことを心がけたいと思います。

機材の片付けもみなさん順調で、21時半前にはほぼ全ての機材が片付けられれていて、私も21時半には会場を後にしました。22時には駐車場が閉まってしまうそうです。

個人的には結構失敗も多い観望会でしたが、それでも多くのお客さんと話せたり、県天メンバーや学生さんたちとも話すことができ、楽しく過ごせました。


追記:「スターウォッチング」という単語

ついでに調べてたんですが、 star watchingっていう英語は日本以外にほとんど見つけることが出来ませんでした。英語ではstar gazingが一般的なようですから、star watchingと書くのはおそらく和製英語です。日本でもスターゲイジングと呼ぶことも少しはあるみたいですが、スターウォッチングは環境省でも使っているので、こちらのほうがはるかに一般的なようです。誰かが最初にスターウォッチングと名付けたのか、自然発生的に定着したのか、初めてこの単語が出てきたのはいつくらいのことなんでしょう?

アマチュア天文業界には他にもまだまだ和製英語がたくさんありそうです。例えば私も最近使いましたが「ノータッチガイド」とか。海外の単語にこだわらずに、日本語として伝わればいいということかと思います。


きっかけは一通のメールから

先日、名古屋の天文ショップスコーピオの店長さんから突如連絡が。なんでも富山のある会社に望遠鏡一式を納品するのだが、初心者なので地元でサポートしてもらえるような富山の天文同好会はないかという質問です。

スコーピオは私が4年前に星を始めた時に、機材を揃えたお店です。実家が名古屋なので帰省の旅に寄っていたのですが、最近はコロナ禍で全然お店に寄れていません。今回、お客さんに一連の操作を説明するために富山に来くるというので「せっかくだから納品が終わったら食事でもどうです?」とか言っていたら、なぜかとんとん拍子に私もその説明会に参加することに。なんでも初めて天体望遠鏡を使うので、富山で誰かサポートしてくれる人がいると心強いというのです。私もこんな話は大好きなので、二つ返事で「行きます!」と。


説明会当日

で、先日行ってきました。スコーピオさんが休日の水曜日です。平日なので、私も仕事を終えてからの参加です。出かける際に妻が聞いてきました。

妻: 「え、何しに行くの?」
私: 「なんか会社で望遠鏡を買ったとかで、それ見に行く。」
妻: 「え、なんで?」
私: 「店側は富山でサポートしてくれる人がいると安心だから、会社側は初めての望遠鏡で近くに教えてくれる人がいると助かるから。両方からメリットがあるから。」
妻: 「え、パパのメリットは?」
私: 「無い。でも新しい仲間ができるかも。」

と答えたところ、もう呆れ顔で「ハイハイ、勝手に行ってらっしゃい!」と言った感じで送り出されました。なんでこのワクワク感を分かってくれないのでしょうか?


日本空調さんにて

18時頃にその会社に到着しました。今回会社を挙げて天体望遠鏡を導入したのは株式会社日本空調さん。富山駅からすぐのところです。駐車場で「着きました」と電話して、スコーピオの店長さんと日本空調の社長さんにお会いして、挨拶もそこそこに社内の会議室のようなところに連れて行かれました。なんとそこには社員さんがズラーっと机に座っています。20人位はいたと思います。

実は事情を全く聞いていなかったのですが、話を聞くと超面白いです。なんでも社長さんがもともと星に興味があって、ボランティア社員を募って、社長自ら作った作った天文テストで90点以上とった社員が参加しているとのこと。90点以上にならないと追試もあるとかで、この場に集まった方はそのテストをパスしてきた精鋭さん達だということです。

ここからが重要で、今回望遠鏡を会社に導入して、小学校や中学校で観望会を開いて子供たちに見てもらいたいというのです。コロナ禍でイベントとかなかなかできないので、少しでも地域の人に楽しんでもらえたらとのことです。9月には教育関係の方の視察もあるとかで、ちょっと気が早い気もしますが、そのやる気と実行力は素晴らしいと思います。


なぜか突然講義の始まり

しかも、スコーピオの店長さんも当日こんなふうに会議室に集まって話をするとは何も聞いていなかったらしく、急遽話を作ったそうです。18時過ぎから暗くなり始める19時前くらいまで、ズラーっと並んだ社員の皆さんの前で赤道儀の説明から、設置の仕方、観望会の様子まで一通り話が進みます。おそらく皆さん、実際の望遠鏡を触った人はほとんどいなくて、基本的なことからの説明です。聞いてみると、事前に送られてきた赤道儀と鏡筒を2度ほど組んでみたとのこと。でも実際に組み立てた人は限らていて、鏡筒を覗いた人もまだ半分くらいとのこと。しかも一部の機材しか触っていないので、今回一からの設置と、極軸調整の練習をして、これまで使っていない機材も試してみるとのことです。なんと、電視観望用にASI294MCもつけたセットで、街中でも相当のことまでできそうです。

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講義が終わると、外に移動して実際の機材の設置になります。場所は歩いて数分の会社の駐車場です。


実際の設置

今回納品した機材はというと、赤道儀がVixenのSXD2、鏡筒が同じくVixenのSD103Sで焦点距離が795mm。初めての機器にしてはもう十分過ぎるくらいの性能です。さらに惑星用にバローレンズ、さらにさらに電視観望用にASI294MCとレデューサーも揃えています。よく見るとASI292MCを取り付けるためのCanonマウントアダプターもあるので、そのうち広域電視観望とかもできるかもしれません。

駐車場では何人かの人が中心となって、赤道儀の設置と水平出しを始めてます。

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  • 木星が駐車場横の家屋で隠れてしまうので「赤道儀の場所、もう少し家から離れた方がいいですよ」と言って移動してもらいます。聞いたら前回とは違う場所に置こうとしてしまったようです。まだやはり目の前の機器に手一杯で、なかなか全体に目が行かないのは無理もないことです。
  • 赤道儀の設置のときも「ウェイトが重すぎでバランスが取れない、もうこれ以上内側にいかない」と迷っていたのですが、これもアイピースがついてなくて鏡筒側の重さが足りなかったためで、スコーピオ店長さんからアドバイスがありました。
  • やはり最初のうちは何度も練習が必要で、その都度その都度トラブルや気づいたことを解決していくことがそのまま経験になるのかと思います。

街中の星観察には星座ビノ

設置している最中に、手持ち無沙汰な方もいたので、星座ビノを出して星座観察をしてもらいました。ここは駅の近くでかなり街の中心部なので、富山と言っても相当明るいです。それでも星座ビノだと、目で見るよにはるかに星の数が増えるのにびっくりされたていたようです。星座ビノは結局合計6つ出して、交代でかなりの方にみてもらいました。将来観望会をやる時にもこういった星座ビノを用意しておくといいと思います。
  • 星座ビノを使って、月のすぐ近くにアンタレスがあり、その右の3つの星も見えてさそり座の形を認識してもらいました。
  • ベガの周りの三角形と平行四辺形でこと座の形を認識してもらったりします。
  • 星座アプリ(最近は星座早見版よりこちらの方がメジャーのようです)と照らし合わせて形が分かったりするので、街中でも充分星空を楽しめて楽しいと思います。

みんなで観望

望遠鏡の設置もうまくいき、自動導入も店長さんのアドバイスのもと何度か試していたようです。参加していた社員さん全員に覗いてもらっていました。設置で苦労したせいか社長さんが「全然働いてなくて見るだけか!」と(冗談で)文句を言っていました。でも社長さんすごく楽しそうで、うまく見えているのでちょっと得意げでした。
  • 最初の月ですが、今回初めて望遠鏡を覗いた半分の社員さんには相当インパクトがあったようです。
  • さらに木星は、社長さん特製テストで4つの衛星の名前を覚えていたので、皆さんそれを確認していました。縞も十分見えたようです。
  • 土星は形が綺麗で初めて見るとインパクトがあります。こちらもテストで出ていたらしく「タイタンが見えるか?」とか言っていたのですが、流石に難しかったようです。

他にももう一台、スコーピオの方でVixenの同クラスの赤道儀と鏡筒を持ってきていて、手が空いている社員さんが何人か導入の練習をしていました。ファインダーを覗きながら入れようとしているのですが、鏡筒は全然あさっての方向を向いています。でもやはりファインダーだけを覗いていると、それがわからないんですよね。外からそれを見てる人はわかるので「もっと全然左!」とか言っていましたが、本人もファインダーから目を離して改めて気づいたようです。ここら辺も経験を積んでいくのが大切だと思います。


なんと電視観望も

最後は大トリで電視観望の練習です。アイピースからCMOSカメラのASI294MCに取り替えて、まずは惑星から。
  • ソフトはSharpCapを使いました。もしかしたらASIStudioの方が楽かもしれません。今度一緒にやる時に紹介しようと思います。
  • 惑星は導入後、カメラで見ると明るすぎるので露光時間やゲインを下げる説明をしてました。
  • 電視観望だと、木星の縞とかもみんなで同時に見えるのにインパクトを受けていたみたいで、今後の観望会への発展の感触を得ていたようです。
  • その後、改めて惑星を中心に持っていきバローレンズで拡大し、ピントを合わせ直してさらにはっきり見てました。

星雲にも挑戦です。
  • 星雲はまずは輝度の高い、こと座の惑星状星雲M57です。導入後LiveStackでノイズが少なくなっていきます。ここは私も少し活躍して、ホワイトバランスと炙り出しでどんどん見えるようになってくると「おおっ!」という感じでした。明るい街中でもきちんと色がついていて、青から赤のクラデーションが見えるのは驚きだったようです。
  • 次はこぎつね座の亜鈴状星雲M27です。ダンベルの形がわかるので「英語ではダンベル星雲というんですよ」と話すと「ほーっ!」とうなずいてくれていました。
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でも社長さんが「これは操作が難しい!覚えられなさそう。」と叫んで、「〇〇君、きちんと覚えて!頼りにしてるよ。」とか言っていました。頼まれた若い社員の方も「大丈夫かなあ?」という感じでしたが、すかさずスコーピオの店長さんが「これはベテランがやるような結構難しいことをやってるんです。」とフォローを入れていました。もちろんこれから経験が必要ですが、私も近くに住んでいるので、できるだけ一緒にサポートしていければと思っています。


説明会に参加してみて

でもこの日本空調さん、さすがに技術系の会社なので理系の方も多くて、特に宇宙に興味を持った若い社員の方が何人かいました。当然モーターとかの制御専門の方もいて、結構私も話が合ったりします。モーター制御はオートガイドとかにも通じるところがあるはずです。カメラが趣味の方ももしかしたらいるかもしれないので、撮影とかまで進むかもしれません。会社の入り口とかオフィスに撮影した写真を飾っておけばかっこいいと思うのですが、どうでしょうか?この中から、星が本当に好きになって、せっかくある会社の望遠鏡を自由に使って進めてくれる方が出てくると嬉しいです。

スコーピオさんがこの日のうちに名古屋に帰る必要があったので、21時頃でスコーピオさんと私は退散しました。「またわからないことがあれば、遠慮なくご連絡下さい」と伝えておきました。すいていれば車で30分かからないくらいです。今後うまく観望会までたどり着いて欲しいです。

社長さんと何人かの社員の方には少し話したのですが、観望会を開催するのもなかなか大変だと思います。多分最初はトラブルだらけで、うまく見せてあげられないかもしれません。だんだん暗くなって木星とか見え始めると、極軸をとる時間もなく見せ始めて、全然導入できないとか、導入しても極軸があってなくてすぐに逃げてしまうとかもよくある話です。でもそこでめげずに、何度か経験を積んでもらえば、きっとそのうちうまくいくと思います。私もそのために手助けできるなら喜んで参加します。

また経験という意味で「富山私科学博物館で毎週土曜日星空観察会をやっているので、そこに参加したらいいですよ」とアドバイスしておきました。おそらく自分たちで始める前に、観望会の雰囲気を知っておく方がいいのかと思います。


終了後、少しだけ食事に

日本空調の皆さんはもう少し続けていくようでしたが、我々はここで移動し、せっかくの機会なので少しだけ食事でもしようという話になりました。スコーピオ店長夫妻と私の3人です。でも問題は、コロナ禍で21時だと店が全然空いてないのです。これから運転して帰るので、居酒屋もいまいちです。本当はおいしい回転寿司(富山は回転寿司でも本当に美味しいです)とかがよかったのですが全然あいてません。豪華なものでなくていいというので、この時間で空いている数少ないお店で、近くの駅前の富山ローカルの「まるたかやラーメン」に行きました。富山のラーメン屋はなぜかメニューにおでんが普通にあります。あんばやし(こんにゃく)や巻かまぼこは珍しかったみたいです。名古屋の赤味噌でない、生姜風味の白味噌でおでんを食べることや、おでんにとろろ昆布がかかっているのも確かに富山だけですね。普通の一般富山人の店なので申し訳なかったのですが、一応喜んでくれたみたいでほっとしました。

私も最近全然名古屋に帰れないので、店長とは久しぶりの会話になります。聞いたら、やはり会社を挙げて望遠鏡を導入するのは珍しいケースで、スコーピオさんでも初めてのことだそうです。名古屋から富山はなかなか遠くて、電話でもなかなかサポートが難しいので、私みたいなのでも近くにいてくれるとありがたいとのことでした。


天文機器の扱いのサポート

富山の同好会は富山県天文学会(略して県天)があるのですが、最近のコロナ禍で活動が停滞しているのと、観望会はまだやるのですが初心者のサポートみたいなものはあまりしていないのが現状です。実は現会員の中にもサポートを期待して入会してくれている方もいるので、もしかしたらそういった方向もきちんと考えた方がいいのかもしれません。基本的に県天は好きな人が集まっているので、勝手に技術は習得していくもんだとという感じなのですが、ボランティアを募れば世話好きな人もきっといるはずです。そういった教えて欲しいという需要は実はかなりあるのかと思います。

観望会で自分の望遠鏡を持ってきてもらって、その時に操作を教えてもらうということもあるかもしれません。でも現実には観望会では他のお客さんに見てもらうのがメインで、なかなかそういったサポートはできていません。富山市科学博物館の観望会で、一部職員さんが面倒を見てくれている時もありますが、これもその職員さんの好意でやってくれていることだと思います。

こういったサポートは天文人口の裾野を広げることにもつながるので進めていきたいですが、まだまだこれからの課題かと思います。地域でサポートを欲しているなら、ローカルに周りに住んでいる近くの詳しい人で、なんとかサポートできるのがいいなと思います。


お疲れ様でした

コロナ禍でのスコーピオさんの店舗の状況だとか、最近の新製品の話題だとか、話はつきません。奥様はあまり星には興味はないみたいですが、こういった遠くの出張にはついていくそうです。本来水曜はお店が休みなのですが、大体こういったサポートでなかなか休みにならないそうです。大変だと思いますが、好きなことでもあるのであまり気にならないとか。いや、それでも大変だと思います。

というわけで、22時過ぎくらいだったでしょうか、この日は解散となりました。天文ショップのサポートがどのようなものかも興味があったので、私にとってもいい経験となりました。日本空調さんの志と実行力は素晴らしいです。うまく観望会までたどり着いて欲しいと心から願います。私もせっかくお知り合いになれたので、今後もできるだけ協力できたらと思います。

ペルセウス座流星群を撮るついでに、星景写真と星野写真も撮影しました。と言っても星野の方は流星が映らなかったものを流用です。

今回試したのは、三脚固定固定のカメラで撮影した天の川を何枚かスタックすることです。当然周辺では歪むので、それが回転していくと合わせようとしても星がずれてくるのですが、それをPixInsightのStarAlignmentで位置合したらどうなるのかというものです。


銀河中心部

まずは南側の銀河中心部を縦構図で。30秒露光で6枚です。下処理として、Lightroomでレンズの補正をします。周辺減光と歪みです。Lightroomの同期機能を使い6枚全てに同じ補正をかけ、全てtifで書き出します。それをPixInsightで読み込み、StarAlignmentで位置合わせをします。何か特別な設定をするわけでもなく、デフォルト設定です。後はImageIntegrationで重ね合わせます。

「夏の天の川2020」
integration
  • 撮影日: 2020年8月14日23時38分-23時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x6枚=180秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
出来上がった画像を見てみると、特におかしなずれもなくまあいいのではないでしょうか。普通に合わせるだけだと、四隅で大きなズレが出るはずですが、それが出ないのは星の位置を認識して、画面を歪ませて参照画像に合わせているからです。手前の木も風て揺れているので、重ね合わせてもそれほど遜色はありません。

これまで30秒露光の一発撮りだったので、それに比べるとノイズが少なくなっています。光害の少ない場所というのもあるので、そもそもコントラスト良く天の川が出るというのもあると思います。ここの場所、意外に暗いようでずいぶん昔に購入したiPhoneのDark Sky Meterで測定してみると、南の空は21以上が余裕で出ます。

IMG_0460

何度か測って同じような値が出るので再現性はありそうですが、さすがにこの画像のように21台後半はよく出過ぎてる気もします。天の川が大きく2つに分かれているところくらいは見えますが、構造がそこまではっきり見えるわけでもありません。SQM表の天の川の見方と比較すると20台後半からせいぜい21くらいまでかと思います。さらに北は富山の街明かりで明るいので、天頂から南にかけてがそこそこ環境よく撮影できるのではないかと思います。まあ、車で20分ちょっとのところなので、行きやすさを考えたら貴重な場所だと思います。

ちなみに、ステライメージで位置合わせとスタックをしてみると

SI8

のように特に隅の方でのズレが顕著になってしまいます。あぶり出しはしていないので、撮って出しに近いと思ってください。ステライメージは平行移動と回転だけで位置合わせをしているからです。拡大縮小はしているのでしょうか?いずれにせよ星を認識して画面を歪ませるようなことまではしていないです。また、回転でズレていく左端のところは黒い筋になっています。


北の天の川

続いて北から伸びる天の川です。時間的にはこちらの方を先に写しています。ようするにペルセウス座流星群を撮ろうとして全然撮れなかったのものの使い回しです。地面が入っていないので星野写真と呼ばれる分野になるのかと思います。

設定は上の星景写真とほぼ同様ですが、10枚を重ねているのと、地面が入っていないのでPixInsightのABEでカブリを取り除いています。

「北の天の川」
integration_DBE
  • 撮影日: 2020年8月14日22時41分-22時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO3200、露光時間30秒x10枚=300秒 
  • 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
流石に10枚も重ねると、天の川部分も無理なく相当綺麗に出てきます。もうアンドロメダも登ってきてますね。左下に見える明るい星が北極星になります。上が天頂あたりになりますでしょうか。

星景写真同様、四隅におかしな流れもありません。ここら辺まで綺麗に撮れるようになってくると、もう少し良いレンズが欲しくなってきます。SIGMA artいいなぁ、でも結構するからなぁ...。

ちなみにこちらもステライメージ 8で位置合わせして重ねると
SI8

のように、四隅で大きくずれることがわかります。

拡大して四隅を比較してみます。
comp

左がPixInsight、右がステライメージ 8です。それぞれの画像が30秒露光なので、その間の回転成分はPixInsightでも出てしまいます。さらに、10枚を重ねたときの補正し切れない回転成分がステライメージ の方では出てしまっています。

断っておきますが、これはステライメージが劣っているなどと言いたいのでは決してなく、PixInsightとはアルゴリズムが違うということを示したいだけです。ステライメージの手軽さ、初心者への優しさ、日本語で無理なく画像処理を進められることは素晴らしいことです。今回は、三脚での固定撮影で写して重ね合わせるという(ちょっと手を抜いた)特殊なことをやっているために差が出たに過ぎません。普通に赤道儀で撮影してスタックする分には、もちろんステライメージで十分な精度で位置合わせができることは言うまでもありません。

まだたくさん同画角の写真はあるので、何枚重ねられるか試してみるのも面白いかもしれません。


まとめ

今回の結果を見ると、赤道儀などを用いなくても、三脚に置いた固定撮影だけで重ね合わせても、「PixInsightならば」うまく位置合わせができるようです。これはかなり手軽なので、これからもこの方法を進めていこうと思います。

もう少し進めると、AZ-GTiなどの経緯台で撮影して回転が存在したとしても、PixInsightだとうまく位置合わせができる可能性があるということにつながります。以前、EVOSTAR72EDとAZ-GTiを使って撮影した時は、SharpCapのアラインメント機能を使って重ね合わせましたが、



経緯台で、きちんと個別に撮影して、PixInsightで位置合わせをするのも面白いかもしれません。片ずれ問題の件もあるので、うまくいくかどうかは試してみないとわかりませんが。

もともと上の記事は初心者向けに簡単にという意図で書いたのですが、PixInsightを使うようになってくるともうさすがに初心者に向けてとかは口が裂けてもいえません。


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