ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 鏡筒

やっと退院して初の週末の土曜日。この日は一日快晴のようです。

病院では検査で毎朝早く起きていたので、その名残で朝早くに目が覚めてしまうのと、まだ外食も控えていていつものコメダも行けないので、朝から太陽を見ることにしました。そもそもGW中に大きな黒点が話題でしたが、寝ているだけで全く何もできなかったので、今回出てきた黒点でその不満がやっと解消されそうです。

最初に見えた謎の2本の線

セットアップはいつものC8+PST+ASI290MMで、それをCGEM IIに載せています。PCとカメラを繋いで太陽を導入し、まず最初に見えたのが「えっ???」と思った、黒点から飛び出ている変な2本の曲線です。リアルタイムの動画状態でもそのまま確認できます。

ピントを合わせて、次にエタロンの回転を調整しようとして気づいたのですが、見ている画像はHαから全然ずれていて、エタロンの回転の端まで行っているような状態で、ある意味白色光に近いような画像です。とりあえずAutoStakkert!4で1000フレームをスタックして、ImPPGで少しだけ細部を出す画像処理した物です。
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2本の線がはっきりと確認できるかと思います。その後しばらくしてから気づいたのですが、手前側にも何か黒い模様が出ています。

最初はフレアかなと思いました。でも2分後に撮影したHα画像には何も写っていません。
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フレアなら白いスパークのような模様があってもおかしくないと思います。同時刻で調べたのですが、特に何かフレアのようなイベントが起こっているようなこともなさそうでした。

X上でダークフィラメントが伸びているのでは?とのコメントがありましたが、こちらももしダークフィラメントならHα画像に暗い線が写っていてもおかしくないと思いますが、やはりそれらしいものは見当たりません。

先ほど白色に近いと書きましたが、エタロンでHαから外しているだけなので、結構Hαに近いことでしょうか。もしかしたらそれがヒントになるのかもしれませんが、今のところ謎のままです。


大きな黒点群と、大きなプロミネンス

その後はしばらくHα画像を幾つか撮影しました。見栄えのする黒点と、すぐその下に出ていた大きなプロミネンスです。

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モザイク合成に挑戦

かなり大きな範囲で黒点、プロミネンス、ダークフィラメントが出ていたので、東側をモザイク合成してみました。

all3_cut

結構頑張ったのですが、まだ境目がわかります。PSTは画面内でHα付近のいいところが限られるので、モザイクは相当難しいです。さらに一枚一枚を見て分かったのですが、どうも上部はピントが出ずに、下部のみピントが出ているようです。しかもこれ、撮影中はほとんど分からず、スタックしてImPPGなどで細部出しまでしてやっとわかるのです。

今回ニュートンリングが残っているのが分かったので、最初の方でカメラをチルトアダプターでさらに傾けました。そのことが原因でピントずれの部分が出ているのかもしれません。一度チルトアダプターの向きをかえて、もう少し小さいチルトでニュートンリングが消えるところがないかなど、一度探る必要がありそうです。


フィラメントとプロミネンス

これまでも何度かチャンスがあったのですが、縁の近辺にあるダークフィラメントから、連続して縁に出ているプロミネンスに続く画像をうまく撮りたいとずっと思っていました。でも画像処理が未熟で、その接続部、特に光球面側のフィラメントをうまく出して、明るさをプロミネンスに合わせる方法が確立できずにいました。

プロミネンスをぐるっと一回り見ている最中に、ちょうどうまく繋がっていそうな場所がありました。今回、光球面とプロミネンス部を別々に処理することで、うまく繋がるのが表現できたのかと思います。
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白色光

その後、今度はNDフィルターを使って、本当に白色光で撮影してみました。PowerMATEの4倍を使っています。
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最初の変な線が出た撮影から約30分が経っていますが、時間が過ぎたせいなのか、本当に白色光にしたからなのかわかりませんが、あの目立っていた線は見えませんでした。今一度、エタロンをHαからはずして同様のものが見えることがあるのかどうか、試してみたいと思います。

白色光は粒状斑らしきものが少し見えてきています。動画時でもごく僅かそれらしいものが見えていました。以前、粒状斑がきちんと出るくらいの、シンチレーションのいい時の動画を見せてもらったことがあるのですが、今回はその動画には遠く及びません。そもそも、この30分ですでにシンチレーションが悪くなったようで、朝イチの時の方が(バローとかつけてないので)カメラの解像度としては悪いはずなのに、明らかに分解能が良かったように見えます。

実はブログに書いてこなかったのですが、休日で晴れている時はたいてい太陽撮影を敢行していました。ただし、休日の午前はほとんとコメダかガストに行っていたので、朝早くに太陽を撮影することは実は一度もありませんでした。なかなかいい結果が出ず、ほとんどお蔵入りになっています。今回入院でまだ外食は控えているのでたまため朝早くに撮影をしたのですが、朝の早い時間というのはやはりシンチレーションがいいのかもしれません。しばらくは日が長いので早い時間でも太陽は高い位置にくるはずです。できるだけ朝早くに撮影することを今後しばらくしてみようと思いました。


まとめ

久しぶりにブログを書く気になる太陽撮影でした。モザイクに時間がかかってしまい、記事にするのが遅くなりましたが、肝心なモザイクはまだ課題がありそうです。

やはり太陽はシンチレーションがかなり重要です。これまで動画の段階で粒状斑が出るようなのが撮れていなかったのですが、機材のせいかともずっと疑っていました(まだ疑っています)。でも朝早いとシンチレーションが全然マシかもしれないと今回思えたのは収穫でした。

今後は休日の晴れの日は、早起きして、撮影を済ませ、その後にコメダに行くことにしたいと思います。休日の天国のコメダは外せません。





久しぶりのブログ更新になります。皆様いかがお過ごしでしでしょうか?ゴールデンウィークは天気も良く、特に後半は新月期に入り絶好の星見日和だったのかと思います?

私はというと、あいにくGW中に体調を壊してしまい、前回の小ネタ記事を書いて以降ほぼ何もできない日が続きました。やっと体力も少し回復してきて、今もこの記事は病院の中で書いています。と言っても今回のM104の撮影はずっと前に終わらせていましたし、画像処理もブログ記事ある程度まで終えていたので、少し仕上げたくらいであまり無理はしないようにしています。

せっかくの長期休暇の新月期、暑くもなく寒くもなく、大きな太陽黒点と低緯度オーロラを横目にと、数々の絶好のチャンスを逃してしまい残念でなりません。その不満を払拭すべく、少しづつですが再開していきたいと思います。


三たびM104、でも本当は4度目

M104は分解能ベンチマークのような役割もあり、これまで何度か撮影しています。最初は2021年4月にVISACで。中心部を拡大すると、まだまだ無理やり解像度を出している感があります。


次は2022年8月、SCA260を手に入れてからより大きな口径で違いを見ました。


ただ、SCA260は焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、M104は小ぢんまりと写ります。そのためこの時は
  1. バローなどなしでbin1の場合
  2. 2倍のPowerMATEを使ってbin2の場合
で比較しました。1素子あたりの明るさと画角は同じになるようにして比較したということです。違いはFOV(全体の視野角)と、bit depthになります。結果としては、恒星は2の2倍でbin2方が良かったですが、銀河本体は1の方がビミョーに良かったです。でも有意な差はほとんどなくて、結局1のほうがバローの挿入などの余分な操作がなく埃などが入る余地が少ないので、今後は1でいくという結論になりました。あと、この時はまだRGB合成のみで、L画像は撮っていませんでした。

その後、2023年5月にL画像だけ撮影していて、明らかに解像度が上がっていることまで確認したのですが、同時期にRGBを撮影する機会がなかったのでそのままお蔵入りにしてしまいました。2022年のRGB画像と合成しても良かったのですが、いまいち盛り上がらずに2024年を迎えてしまって、このままではさすがにダメだと思い、今回やっとLもRGBも一緒に撮影するに至りました。


NINAが重い

今回の撮影の少し前、3月18日にNINAの3.0が正式に公開されました。ただしちょっと重いみたいです。3.0にしてから撮影画像の保存にすごく時間がかかるようになりました。1枚撮影すると保存だけで毎回1分以上かかり、保存中は撮影は進まないので、かなりの時間ロスになります。

現在はStick PCで撮影し、micro SDに保存しているのです結構非力です。最初ディスクの書き込み速度を疑いました。でも撮影したファイル単体のコピペとかだと全然速く終わります。そこで、タスクマネージャーで撮影中の様子を見てみたら、NINAがものすごくCPUパワーを食っていて、かなりの時間100%になるようです。仕方ないので、以前の2.2に戻したら、ほぼタイムロス無しで連続で撮影できるようになりました。単にソフトが肥大したのか、それとも何か負荷が増えるようなバグっぽいものなのか、3.0がさらにアップデートされたらちょくちょくチェックしてみたいと思います。


今回の撮影

今回の撮影での大きな違いは、
  • 前回まではRGB撮影だけだが、今回はL画像を撮っているところ
  • 露光時間をこれまでの5分から1分にしたこと
です。L画像は実際の解像度向上に大きく貢献することになるかと思います。露光時間に関しては、SCA260+ASI294MM Proの場合gain120で露光時間5分だと、かなりの恒星がサチってしまうことに気づきました。特に、明るいL画像は深刻です。

下の画像は昨年5分で撮影したL画像を反転させています。bin1での撮影なのでそもそも12bit = 4096階調しかありません。ここでは階調の99%以上(4055/4096)になってしまっているところを黒くしています。

2023-05-11_20-58-14_M 104_LIGHT_L_-10.00C_300.00s_G120_0004
結構な数の星と、なんと画面真ん中の銀河中心までサチってしまっています。これはいけませんね。

下は今回露光時間を1分にしたもので、他の条件はほぼ同じです。だいぶマシになっていますが、それでもまだ飽和を避けることはできていません。少なくとも銀河中心は問題ないです。
2024-04-01_22-25-41_M 104_L_-10.00C_60.00s_0013

さらに露光時間を変えるにあたり、以下の2つのことを考えましたが、処理後の画像を見比べた限り違いはわからなかったです。
  1. 自宅撮影に限っていうとスカイノイズが圧倒的に支配的になります。露光時間を短くすると、読み出しノイズの効きが大きくなってくるのですが、露光時間を1分にしたくらいではまだまだ読み出しノイズは全然効かないくらいです。
  2. 淡い部分の階調がADCの暗い側にシフトするので、階調が出にくくなる心配もありましたが、まだ全然余裕があるようです。
LRGB画像は今後1分でいいと思います。ナローに関しては輝度が10分の1以下になるので、露光時間5分をキープするか、ダイナミックレンジがそこまで必要なければgainを上げてもいいかと思います。


画像処理 

WBPPでLRGBそれぞれインテグレートまでします。その後、すぐにRGBを合成して、カラーにしてからABEとDBEでフラット化をかけました。それぞれの色でフラット化してもいいのですが、カラーでやっても独立して働くので効果は同じはずで、1度で済むので手間を省いているだけです。

銀河で自宅撮影なので、背景のIFNなどは気する必要はなく、RGB画像もL画像も、気軽に簡単にフラット化してしまいます。だいこもんさんのブログ記事(元情報はUTOさんだそうです)によると、M104の周りにも相当淡い構造(更に大元がここ)があるようなので、試しに去年撮った5分露光画像も含めてL画像をかなり頑張って炙り出しましたが、私のところではその片鱗さえ全く見えませんでした。大顧問さんはチリで30時間露光して見えたとのことなので、自宅のような光害環境ではここまで淡いのは全然無理なのかと思います。なので、今回は背景は気にしないで、とにかく目的のM104本体の内部の細部構造がどこまで見えるかに全力を傾けます。

この内部構造、シンチレーションに強度に依存するようです。L画像は二日にわたって撮影していますが、二日目の画像は全然ダメで使うかどうか迷いました。1日目だけのもの133枚と、1日目133枚+2日目の中でもマシなもの56/103枚を使ったものを比較しましたが、見た目では違いがわからなかったので2日目のも入れたもので処理を進めました。

L画像はABEの2次、DBE、BXTをかけていますが、この時点でかなりの解像度が出ていて期待が持てそうです。
Light_BIN_1_8288x5644_60s_L_drizzle_1x_ABE4_DBE_BXTc_BXT_BXT03


LRGB合成

RGBとLをどう合成するかはいまだに迷います。過去に何度が議論しています。LRGB合成を初めて試したのは2022年10月のまゆ星雲です。この時わかったのは、L画像を合成したときに色がかなり出なくなるのですが、見えなくなっているだけで色情報としては十分残っているということでした。でもLとRGBをどのタイミングで合成すべきか、どういった比率で合成すべきかなどはまだまだ謎のままでした。


その後、この2つの過程でLRGB合成の経験的な方法はある程度確立したのかと思います。



そしてこのページである程度の理屈も含めて結論が出ています。


久しぶりのLRGB合成になるのでかなり忘れていることもあり、今回改めて読み直しましたが、今見てもかなり有用な議論です。当時のniwaさん、botchさん、だいこもんさんに感謝です。

今回まずは様子見で、PIのLRGBCombinationを使ってL画像を指定してRGB画像放り込んでみると、カラーノイズが結構目立ちました。RGBの撮影時間が短いので当然なのかもしれません。そこでLab分解してaとb画像にぼかしをかけてみました。以前うまくいった方法なのですが、今回はカラーノイズに対してほとんど効果が見られませんでした。カラーノイズ対策ができないのならa、b画像で何かする価値はほとんどなくなってしまいます。カラーノイズは後で対策できることと、奇をてらう方法はできるだけ避けたいこともあり、今回は素直にLRGBCombinationを使う方法を探ります。

未だ残っている一番の疑問は、LとRGBの混合比率です。これまでわかっていることは、
  • LRGBCombination処理はリニアでやらずにノンリニアでやること。ノンリニアとはフルストレッチしてからということ。
  • でもフルストレッチは厳しすぎる制限で、多少のストレッチでも大丈夫そうなこと。
  • リニアで処理すると、恒星内部に明るい飽和の飛びができ、後からどうしようもなくなること。
  • 飽和の飛びはL画像がRGB画像より暗い場合にできたが、L画像を明るくすると無くなること。

まず思っている疑問は、リニア段階での処理では本当にダメなのかということです。リニアはノンリニアの特別な場合と考えることができ、ノンリニアでいいのならリニアでも当然大丈夫だと思うからです。今のところ確認できている弊害は、
  • 恒星の飛び
だけです。

結論だけ言うと、今回リニア段階でLRGBCombinationを試しましたが、いずれも恒星の飛びは確認できませんでした。ただしこの結果は、LとRGBの明るさの違い(混ぜる比率)に依存しそうなので、その比率を変えて幾つか試しました。試したのはLRGBCombinationのCannel Weightsを変えることです。これらは相対的な比だけで決まり、例え全部を0.1とかにしても、処理後の画像の全体の明るさは変わらないことは以前確認しています。試したのは以下の4種類です。
  1. L : R : G : B = 0.1 : 1 : 1 : 1
  2. L : R : G : B = 1 : 1 : 1 : 1
  3. L : R : G : B = 1 : 0.1 : 0.1 : 0.1
  4. L : R : G : B = 1 : 0.01 : 0.01 : 0.01
いずれの場合も上で書いたように飛びは出なかったので、とりあえず今回は少なくともリニア段階でLRGB合成したとしても確認できるような問題は起きなかったと言えます。

その一方、できた画像の解像度には明確な差が出ました。下の画像になりますが、左から順に上の1,2,3,4となります。
comp

注意すべきは2, 3, 4で、Lの比率が高いとLRGBCombination直後はほとんど色がなく、一見モノクロのように見えることです。でも色情報はきちんとのこっているので、ここで心配する必要はありません。CurveTranformationで右のSの彩度を選んで曲線をΓの字になるくらいにして彩度を上げてやると確認できます。上の画像はそのように彩度を上げたもので比較しています。

4つの画像を見る限り、カラーノイズ、彩度に関しては明確な有利不利は確認できませんでした。最も大きな違いは分解能で、Lが一定以上の明るさがないとRGBが持つ低い分解能のままで制限されてしまうということです。わかりにくい場合は上の画像をクリックして拡大して比べて見てください。明確に違いがわかります。LとRGBの比が0.1:1や1:1ならばL分解能が十分生きてこなくて、1:0.1ならば十分、1:0.01にしてももう変化がないことがわかります。以前M106で試した時は1:0.25とかにして分解能が出たので、今回も再現性があり、ある程度L画像の明るさを保たないとダメだという結果を改めて確認できたことになります。

というわけで、今後もLRGBCombinationでシンプルに、Cannel WeightsだけLをある程度大きくしてLRGB合成をすればいいということにします。


結果

結果です。とりあえずはクロップして本体をある程度の大きさにしたものを完成とします。

「M104: ソンブレロ銀河」
Image07_middle
  • 撮影日: 2024年4月1日22時3分-4月2日2時41分、4月10日20時27分-4月11日3時18分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120で露光時間1分でL: 189枚、R: 59枚、G: 51枚、B: 64枚、総露光時間363分 =6時間3分
  • Dark: Gain 120で露光時間1分が204枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120で露光時間 LRGB: 0.01秒でそれぞれ128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop

まず目的の銀河本体内部の構造ですが、結構出たといっていいかと思います。これはひとえにシンチレーションが良かったからと言うのが今回の結論です。BXTの効果も大きいかもしれませんが、シンチレーション自身が良かったのがまず第一だと思います。色は下に載せたハッブル画像に近くしました。

クロップ前の全体像になります。
Image07_low

恒例のAnnotationです。
Image07_low_Annotated

銀河っぽいシミがいくつかあると思ったのですが、候補に入らないものがいくつかあります。単に画像処理でなにか失敗してるのか、はたまたまだカタログ不足なのでしょうか?


ハッブルとの比較

恐れ多くもハッブルと比べてみます。

まず今回撮影し画像を5度時計回りに回転させ、次のハッブル画像と同じような画角に切り出したものです。
Image07_rot5_Hubble

次がハッブル望遠鏡が2003年に発表したM104です。
STScI-01EVT8YHAGM2WGQTV3DGKRFZ7Q

もちろん分解能には全然差はあって追いつけっこないですし、恒星に至っては大きさも微恒星の写りも全く違います。でもなんかちょっと比べてみようと思うくらいにはなったのかなと思って、自己満足しています。


まとめ

足掛け2年にわたって悶々としていたM104にやっと決着がつきました。2022年の結果がこれなので、大きな進歩だと思います。
final

ソフトは変わりましたが機材は同じです。今回L画像を撮影したのは大きな違いですが、やはりそのL画像のシンチレーションの影響が一番大きいと思います。撮影時のHFRを見るとシンチレーションの評価になりそうなので、いい日かどうかを定量的に評価しながらL画像を撮影すべきなのかカラー画像を撮影すべきなのかを決めることなどができそうです。そこらへんの補足記事を次に書こうと思っています。

今回健康を害すると何もできなくなってしまうことを実感しました。まだ今後も長年続けていきたい趣味なので、少し体に気をつけて、無理をせずに楽しみながらやっていけたらと思います。

画像処理も溜まっています。ダイオウイカは昨年10月くらいから残ってますし、ヘラクレス銀河団、さらに南天がいくつか残っています。これらも焦らずに進めていきたいと思います。


久しぶりのブログ更新です。前回のノイズ計算で力尽きてしまい、忙しいこともあり、あまり趣味に時間を割くことができなくなっていました。今回の撮影も、1月初めくらいに撮影して、その後CP+関連の撮影などでしばらく間が空いて、3月半ばに撮り増ししたものです。


サボり気味な撮影

撮影は1月に遡ります。ε130D+ASI6200MM Proでの、いつもの自宅での撮影です。もうその時のこと詳しくは覚えていませんが、能登地震から数日後で少し落ち着いてきたことと、対象天体をどうするか迷ってたことが記憶にあります。曇りの間の晴れ間で、長時間は晴れなさそうだったので、比較的短時間で成果が出るものとというので決めた気がします。新規天体よりも、再撮影の方が向いていると判断して、過去画像の中でも結構初期の頃のFS-60CB用のマルチフラットナーのテストで撮った、かもめ星雲にしました。



上のリンクは2019年初めの撮影で、星を初めて2年半が過ぎたくらいでしょうか。すでに画像処理はSIからPIに移っていて、DBEのおかげで少し炙り出せるようになってきた頃だと思います。まだモノクロ撮影に手を出すはるか前で、多分かもめ星雲全体が入るようにとフルサイズの6Dを選んだのだと思います。自宅撮影なのでQBPでHαを出していますが、仕上げを見ても分かるように青いところとかはほとんど出せていなくて、赤でのっぺりしています。StarNetやDeNoise AIなどのAI系のツールはまだ影も形もなく、撮影した画像のクオリティーでの勝負でした。でもこれ、今のツールで処理したらどうなるのでしょうか?時間があったら後でやってみます。

さて今回の撮影ですが、1月の時点で2回望遠鏡を出し、モノクロでRGBの3種を撮影しました。でも画像を見てみるとさすがに光害地での撮影で、しかも曇りの合間でそれぞれ1時間程度の露光時間なので、Rでも本体が淡くてほとんで出ていません。その後CP+などがあったこともあり、しばらくお蔵入りになったのですが、3月中頃にHαを追加撮影しています。4月に入り、重い腰を上げてやっと画像処理です。サボりすぎでダメですね。


フラットが合わない!?

やっとのことで画像処理を進めるのですが、なぜか以前に撮ったフラットが合いません。私は基本、フラットは一度撮ると、鏡筒やカメラの構成を変えない限り、マスターフラット化したフラットファイルを使い回しています。これまでSCA260+ASI294MM Proでもε130D+ASI6200MM Proでも、使い回しでほとんど困ることはありませんでした。今回も過去に撮影したフラットで補正したのですが、なぜか全然空いません。ここしばらくε130Dで撮影はしていませんでしたが、それでも構成は何もいじっていなくて、これまでの経験からいったらフラットが合わない理由はありません。

ちなみに下がフラットが合わなかった画像です。RGBを合成した後、ABEの1次をかけています。フラット画像は昼間の明るい部屋の白い壁を写しています。壁の左側にある窓からの光が支配的なので、1次的な傾きがあるのはわかっています。なのでABEの1次をかけるのですが、普通はこれでOKなはずです。それでもこんなに右側に残るのは何かおかしいです。

Image130_ABE

実際ここまでひどいと画像処理でどうやってもダメで、諦めてフラットを再撮影した方が良さそうです。フラットは昼間の撮影なので次の休日まで待つ必要があり、これだけで1週間程度余分に時間がかかってしまいました。

再フラット撮影ですが、フードの有り無しが影響することもあるので、フード有り無しの両方で撮影しました。比較してみると、フードの有無で差はほとんどありませんでした、過去に撮影したフラットファイルと明らかに見た目で違いがありました。

こちらが過去、クワガタ星雲の際に撮影したフラット画像で、少なともその後のイルカ星雲の画像処理の際にはずれたような兆候はありませんでした。代表してR画像を示しますが、比較しやすいようにABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
masterFlat_BIN_2_4784x3194_FILTER_R_mono_integration_ABE

次が今回撮影したフラット画像で、同じくR画像で、ABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
masterFlat_BIN_2_4784x3194_FILTER_R_mono_integration1_ABE

どうやら過去のものは左右バランスが取れいてなくて、今回のものは取れているようです。過去画像でのフラット後に右側に大きなずれが出たのも納得です。クワガタ星雲の撮影から鏡筒やカメラをいじった覚えはないので、なぜフラットがこんなに変わったのかの理由は今のところ不明です。何か触ってそれを忘れているか、季節が変わったとかか、どこかで光の漏れ具合や散乱光が変わったのでしょうか?

その後、新しく撮影したフラット画像でWBPPを再度走らせ、スタックしました。あまり細部を出す必要もないので、Drizzleのx1だけかけておきました。出来上がった個々のRGB画像を合成し、SPCCでカラーバランスを整え、BXTをかけます。ここからStarNetで背景と恒星を分離し、恒星はそのまま使いますが、背景はRを次のHα画像の背景と置き換えることにします。


かもめの頭上の明るさ

インテグレーション直後のHαを見てみてみます。オートストレッチの強い方をかけています。

masterLight_BIN-2_4784x3194_EXPOSURE-300.00s_FILTER-A_mono

これを見ると明らかに左が暗く、右が明るいです。すなわち、カモメの上部は暗いということがまずあります。でもこれをABEでもDBEでも新機能のGC(GradientCollection)でも、とにかく補正してしまうと、左が明るくなりすぎて右の暗いところの明るさを超えてしまいます。

補正の目的は、画面全体の輝度差をなくして、細部の構造の濃淡をより出したいというものなのですが、このような(カブリとかではなく)実際の空に大きな輝度差があり、あるところを境にパツンと変わるような場合は、大元の傾向を壊してしまうという弊害があるということがわかります。最近の私の画像処理では、背景全体が明るくなってしまう傾向があるのですが、おそらく根は同じようなことなのかと思います。要するに細部を出したいがあまり、大傾向を軽視してしまっているというものです。

今の所、どうしたら完璧かというような解はまだ持っていません。淡い部分の階調のわずかな違いを表現するためには、やはり強力なフラット化の手法は必要かと思いますし、背景が明るくなり過ぎるもの避けたいと思っています。特に背景は光害地で撮影している限り、階調の違いがナローでしか出てこないので、背景にどんな色がついているのかよくわからないのが大きな問題です。もしかしたら、Hα画像で撮影される背景は、実際には赤っぽくはならずに、もっと黒っぽかったり、茶色に近いとかかもしれません。

今回の撮影ですが、RGBはGC(GradientCorrection)を使って星雲本体以外はかなりフラットにしました。HαもGCを使って、こちらは結構注意深く、少なくとも逆転現象があまり出ないようにかけてみました。
masterLight_BIN-2_4784x3194_EXPOSURE-300.00s_FILTER-A_mono_GC

その時に使ったGCのパラメータです。
GC_cut

GCについては書き出すと長くなりそうなので、機会があれば別途記事にします。


仕上げ

Hα画像にもBXTをかけて、背景と恒星を分離します。先に作ったRGBの背景画像のR成分を、このHα画像の背景で置き換えます。合成したAGB背景画像と、RGBの恒星画像を、別途適当にストレッチして、Photoshopに受け渡します。Photoshopでてきじ重ね合わせ、最終調整をして仕上げです。結果は以下のようになりました。

「IC2177: かもめ星雲」
Image109_back_HT_NXT2_cut
  • 撮影日: 2024年1月4日22時59分-5日0時9分、1月14日1時48分-3時8分、3月14日20時59分-22時37分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 17枚、R: 8枚、G: 8枚、B: 12枚、の計45枚で総露光時間3時間45分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.1秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
赤の淡いところもそこそこ出ています。これはナローのHα画像が効いています。Rだけでは淡いところは全然出なかったでしょう。青もそこそこ出ているので、B画像も効いていることがわかります。これはOIIIにしても良かったのでしょうか?でもそれだとAOOにしてしまうかもしれません。ここら辺の塩梅が、まだあまりよくわかっていません。ただし、BもGもフラット化の過程で星雲本体以外はかなり消えてしまったので、星雲本体以外の赤がHαのみになってしまい、赤色だけののっぺりとしたものになっています。

フラットを再度撮影したのですが、ε130D(実際にはおそらく左右非対称からくる)のフラットの誤差がどうしても残るというのは依然問題として残っていて、今回GCで強引にフラット化してしまった弊害とも言えるかと思います。理想は左右対称な(明るい)鏡筒で、暗い場所に行ってRGBを撮影するというものですが、そんな鏡筒はなかなか無いのと、遠征になかなか行けない今の私にとっては、どちらも無い物ねだりというものでしょう。

アノテーションです。
Image109_back_HT_NXT2_cut_Annotated2

かもめ星雲はIC2177が一般的で、NGC2373と言われることも多いようです。NGCは他に3つ写っています。画面内には (シャープレス) sh2-292から297が入っているようですが、途中の294は見当たりません。調べたら画面右下をもう少し下側に行ったところにあるようです。PGCは分解能的に厳しいようで、ほとんど見えてないですね。


過去画像との比較

2019年初めに撮影したカモメ星雲を改めて載せておきます。
light_PCC_stretched_morfing_satiration_DBE_morph_ps2a

当時は赤いところも結構出るようになったと喜んでいた覚えがありますが、今見るとまだ全然ですね。しかも青成分なんかほぼゼロで、星雲本体が赤一色になっています。

露光時間は3時間越えなのでまあ同じくらいとして、鏡筒の口径は大きくなったこと、カメラはともにフルサイズですが、一眼レフのカラーカメラから、今回はモノクロのCMOSカメラでナローのHαを別撮りしているのが大きな違いでしょうか。いずれにせよ、大きく自己更新かと思います。さすがに5年という期間は、機材、ソフト、技術と、どれも進化が大きいかと思います。

さらにこの5年前に撮影したものを、RAWファイルから今のWBPPでスタックし直し、画像処理までしてみました。その結果がこれです。

masterLight-300.20s_combined_RGB_drizzle_1x_back_HT_cut

元ファイルは同じでも、別物のように違いますね。青い部分も情報としてはあったことがわかりますし、星の色もきちんと残っていました。淡いところもまだ引き出す余地があったようです。どうも撮影中に流れていたようで、縞ノイズの痕跡が見え始めています。

こうやってみると、5年間でソフトや技術が上がっていることがわかります。

ここまで出るなら、今回わざわざ撮影し直さなくても良かったかというとそうでもなくて、淡いところはより出ていますし、右翼に点在する青い部分はさらにはっきりしています。ここら辺の違いが機材の違いに起因するところでしょうか。こうやって進歩を部分部分で見るものとても楽しいです。


まとめ

イルカ星雲以来の久しぶりの本格的な撮影でした。露光時間があまり伸ばせなかったのですが、天気があまり良くなかったので仕方ないでしょう。でも久しぶりの画像処理で、結構楽しくて、結果もまあ満足です。

しばらく画像処理をサボっていた間に、GraXpertに加えて、GradientCorrenctiontという新しい機能も出てきました。ここら辺はMARSにつながる布石なのでしょうか?関連して、背景の正しい色を知りたい欲求が高まっています。もう暗いところに行くしか無いのか、それともアイリス星雲ゴースト星雲みたいに、明る自宅でもRGB撮影でまだ活路を見出すことができるのか、そろそろ次の手をどうするか本格的に考える必要がありそうです。

実は4月の新月期は結構頑張っていて、M104ソンブレロ銀河の撮影も終えていますし、ヘルクレス座銀河団の撮影ももう終えています。ここら辺の画像処理も時間を見つけて進めたいと思います。


年末の12月初めくらいから撮り続けていたSh2-308 ミルクポット星雲がやっと仕上がりました。

海外ではDolphin Head Nebulaと呼ばれているようで、日本でも「イルカ星雲」とか「イルカの頭星雲」とも呼ばれているようです。その一方、Milk Pot Nebulaとかで検索しても全く引っかからないので、どうもミルクポットと言っているのは日本だけのようです。

本当にイルカの口に似たような特徴的な形と、OIIIで写すと青く目立ってとても綺麗で、星を始めた当初からいつか詳細な形と共に撮影したいと思っていた星雲の一つです。最高高度が31度程度と比較的低い空なので、撮影可能期間もあまり長くなく、やっと実現できたというわけです。


撮影

実際の撮影開始は結構前で、12月4日の夜中過ぎからです。自宅なので平日も撮影可能で、同じ日の前半に北西方向のダイオウイカ星雲、後半に東から昇ってきているイルカ星雲を撮影しています。

一般に淡いと言われているイルカさんですが、同日に撮影していたダイオウイカ星雲がとんでもない淡さなので、イルカ星雲はずいぶん濃く感じました。下の写真の左は6時間40分のOIIIのダイオウイカで、ABEにDBEもかけて強あぶり出ししてやっとこれくらい。一方右は3時間10分でABEをかけただけでこんなにはっきり出ます。
comp

今回のイルカ星雲は、5分露光でOIIIが59枚、Hαが39枚でAOO合成の予定です。さらに恒星用にR、G、Bでそれぞれ8枚ほど撮影しています。OIIIとHαは比較的早くに撮り終えていたのですが、RGBが曇っている日が多くてなかなか撮り溜めできず、撮影は最終的に1月14日まで食い込んでしまいました。

R、G、B画像もそれぞれ同じ5分露光なのですが、明るい星はサチってしまっています。今後はRGBの各フィルターでの撮影は露光時間を短くするか、ゲインを落とした方がいいようです。

blue_BXT_Image36_DBE_DBE_Preview02_3dplot
RGB合成した画像の左側真ん中に写っている一番明るい星を、
PIの3Dプロットで表示。


画像処理

画像処理を進めていてすぐに、今回はイルカ星雲本体の青よりも、背景の赤がポイントではないかと思うようになりました。
  1. まず、イルカさんの中にも赤い部分が存在しているようで、今回程度のHαの露光時間では全然分解して表現できていないように思います。
  2. 背景の左側の赤い部分は、周辺減光か分子雲かの見分けがつきにくかったのです。特に左下の暗くなっている部分は暗くなっていますが、これは周辺減光なのか迷いました。他の方の画像を見ると確かに暗くなっているので正しいようです。
  3. 右側と上部には、かなり濃い波のような分子雲があり、こちらはHαだけでなくOIII成分も持っているようで、左下の赤とは明らかに違った色合いになり面白いです。
  4. 画面真ん中の星雲本体の周りに、下から右上方向に進むかなり淡い筋のような模様が見えますが、これも迷光などではなく本当に存在するもののようです。この筋はHαだけでなくOIIIにも存在するので、ここでも色の変化が見られとても興味深いです。

背景の淡い部分を出すには、フラット化がどこまでできるかがとても重要です。通常のフラットフレームを撮影してのフラット補正は当然として、それだけでは取りきれない
  • 輝度勾配
  • 周辺減光の差の残り
  • ライトフレーム撮影時とフラットフレーム撮影時の迷光の入り具合の差
など、大局的な低周波成分の輝度差が、淡い部分のあぶり出しを阻害してしまいます。

私はフラットフレームは晴れた昼間の部屋の中の白い壁を写しているので、どうしても窓側と部屋中心側で輝度差が出てしまいます。これはABEの1次で簡単に補正できるので、まずはHαもOIIIもインテグレーション後にすぐにABEの1次をかけます。ABE1次の後は出てきた画像を見て、毎回それぞれ方針を考えます。


GraXpert

実は今回、フラット化のために最近人気のフリーのフラット化ツールGraXpertを使ってみました。以前からインストールはしていたのですが、ほとんど使ったことはありませんでした。

今回GraXpertをPixInsightから呼び出せるようにしようと思って、この動画にあるように

https://www.ideviceapps.de/PixInsight/Utilities/

をレポジトリに登録して、ScriptのToolboxの中のメニューにも出てきたのですが、いざPixInsightからGraXpertを呼び出すと「GraXpertの最新版が必要」と言われました。アップデートしようとして最新版をインストールしたわけですが、アップデート後PIから呼び出しても、どうも動いている様子が全くありません。確認のために、まずは単独でGraXpertを立ち上げてみましたが、セキュリティーの問題を回避した後もうまく起動しません。ちなみにMacのM1です。

それでどうしたかというと、アプリケーションフォルダのGraXpertをフォルダから右クリックして「パッケージの内容を表示」でコンテンツの中身を見てみます。ContentsのMacOSの中にあるGraXpertがターミナルから起動できる実行ファイルで、これをダブルクリックすることでエラーメッセージを確認することができます。今回はいくつかpyhthonのライブラリが足りないとか出ていたので、手動でインストールしたのですが、結局解決せず。

そもそもメインPCのpython関連はそんなに変なことをしていないので、おかしいと思い調べたら、最新版はMac OS 13.6以上が必要とのこと。私はアップデート後のトラブルが嫌であまり最新のOSには手を出していなかったのですが、自分のバージョンを見たら12.4とか2世代も古いです。仕方ないので久しぶりにOSをアップデートし、一気に14.2.1のSonomaになって、無事にGraXoertが立ち上がりました。

ちょっと蛇足になってしまいましたが、
  • うまくいかないときはターミナルから立ち上げてエラーメッセージが確認できること
  • OSのアップデートが必要なこともある
というのが教訓でしょうか。

さてGraXpertの結果ですが、背景の星雲の形が大きく変わってしまい、残念ながら撃沈でした。比較してみます。最初がABEのみでフラット化したもの、
Image19_ABE4

次がGraXpertで今回は見送ったものになります。AIとKrigingで試しましたが、大きな傾向は変わりませんでした。画像はKrigingのものです。
Image13_SPCC_GX_K

違いは左下の濃い赤の部分で、GraXpertではムラと判断され、取り除かれてしまっています。また、イルカ星雲本体があるあたりの背景のHαも同様に取り除かれてしまっています。

このように、背景全体に分子雲が広がっているような場合は非常に難しく、DBEでもあまりいい結果にならないことがわかっているので、今回は再びHαとOIIIに戻って、今一度注意深くABEのみで処理することにしました。 GraXpertの方が良い結果を出す場合もあると報告されているので、実際のフラット化処理の際には一意の決まり手は存在せず、毎回臨機応変に対応すべきなのでしょう。


ABEのみでのフラット化

さて、今回最終的に使ったABEの具体的な手順を書いておきます。これも今回限りそこそこ上手くいったと思われる、あくまで一例です。
  • Hα: ABE1次、ABE2次
  • OIII: ABE1次、ABE2次、ABE3次、ABE3次 
として、ここでAOO合成。その後さらに
  • AOO: ABE4次
として、やっと落ち着きました。繰り返しになりますが、どれも決まった手順とかはなく、その場その場で画像を見ての判断です。

ポイントは
  1. 過去に他の人が撮影した画像などを参考にして、自分の背景がおかしすぎることがないこと
  2. オートストレッチで十分に炙り出せる範囲にフラット化を進めること
の2点でしょうか。それでも特に2にあるように、あぶり出しやすくするためにというのを主目的でフラット化しているので、正しい背景からずれてしまう可能性は否定できません。さらに1も、淡いところをどんどん出していくと、参考にできる他の画像自体も数が限られてしまうようになるという問題もあります。

こうやって考えると、PixInsightのMARSプロジェクトにかなり期待したいです。何が正しい背景で、何がカブリなどのフェイクかの指標を示してもらえるのは、とてもありがたいです。もちろん、誰も到達していないような淡さなどは当然データベースに登録されないと思うので、限界はあるはずです。でも私みたいな庭撮りでやっている範囲では、十分な助けとなってくれると思います。


とりあえずの画像処理

1月19日の金曜の夜、SLIMの月面着陸の様子をネットで追いながら、画像処理をしていました。着陸後、結果発表までかなり時間があったので、寝るのは諦めてのんびり進めます。その時に一旦仕上げて、Xに投稿したのが以下の画像です。

Image19_ABE4_SPCC_BXT_back3_cut

イルカ星雲本体はかなりはっきり出ています。イルカなのでOIIIの青がよく似合っています。また、背景の赤もかなり出ているのではないでしょうか。ナローバンドと言えど、自宅で背景がここまで出るのなら、結構満足です。周りの赤いところまで出してある画像はそこまでないのでしょう、結構な反響がありました。

イルカ星雲本体に含まれる赤はもっと解像度が欲しいところですし、全体に霞みがかったようになってしまっています。淡いOIIIを無理して強調した弊害です。OIIIフィルターにバーダーの眼視用のものを使っていることが原因かと思われます。IR/UVカットができないために、青ハロが目立ち、その弊害で霞みがかったようになってしまっています。


Drizzle+BXTが流行!?

土曜の朝起きて、いつものコメダ珈琲に行き、画像処理の続きです。改めて昨晩処理したものを見てみると、ノイズ処理がのっぺりしていて、恒星の色も含めて全然ダメだと反省しました。特に、拡大するとアラが目立ちます。

そもそもε130Dの焦点距離が430mmとあまり長いものではないので、画角的にイルカ星雲本体が少し小さくなってしまいます。後から拡大しても耐え得るように、WBPP時にDrizzleの2倍をかけておいて、Drizzle+BXT法で、イルカさん本体の解像度を上げてみます。



下の画像は、左がDrizzle x1で右がDrizzle x2、上段がBXT無しで下段がBXTありです。差が分かりにくい場合は画面をクリックして、拡大するなどして比べてみてください。

comp2
  1. まず上段で左右を比べると、Drizzleを2倍にすることで、恒星の分解能が上がっていることがわかります。
  2. 次に左側で上下を比べると、(Drizzleは1倍のままで) BXTの有無で、恒星が小さくなり、背景の細かい模様もより出るのがわかります。ただし、画像の解像度そのもので分解能は制限されていて、1ピクセル単位のガタガタも見えてしまっています。
  3. さらに下段のみ注目して左右を比べると、右のDrizzle2倍にさらにBXTをかけたものでは、恒星のガタガタも解消され、かつ背景もピクセル単位のガタガタが解消されさらに細かい模様が見えています。
このように、Drizzle+BXTで、恒星も背景も分解能が上がるため、圧倒的に効果ありです。

ところでこのDrizzle+BXT法ですが、2023年5月に検証して、その後何度がこのブログ内でも実際に適用してきたのですが (1, 2, 3) 、最近のXでの天リフ編集長の「効果があるのかないのか実はよくわからなかった」という発言にあるように、当時は余り信用されなかったようです(笑)。


ところが上のリンク先にもあるように、ここ最近だいこもんさんや他の何人かの方が同様の方法を試してくださっていて、いずれも劇的な効果を上げているようです。とうとう流行期がきたようです!

この手法を科学的な画像としてそのまま使うことはさすがにできませんが、鑑賞目的ならば、本物のさらに細かい構造が見えてきている可能性があると思うと、夢が大きく膨らむのかと思います。多少の手間と、(一から揃えるとPixInsightとBXTでそこそこの値段になるので) あまり多少ではないコストになりますが、それでも対する効果としては十分なものがあるのかと思います。

土曜日はこんなことをやっていて、力尽きました。


Drizzle x2

日曜日もほぼ丸一日かけて、Drizzle x2の画像の処理を進めます。なかなか上手くいかなくて、バージョン10まで進めてやっとそこそこ納得しました。あとから10段階を連続で見てみると、徐々に問題点が改善されていく過程がわかります。

金曜夜中に処理したDrizzle x1と、日曜夜遅くにDrizzle x2で最終的に仕上げた後の画像の比較してみます。ともにBXTをかけたものです。

まずはDrizzle x1
x1

次にDrizzle x2です。
x2

画像処理にかけた気合と時間が大きく違うこともありますが、それにしても結果が全然違います。では一体何をしたかというと、大きくはノイズ処理の見直しと、恒星の処理の見直しです。


Drizzle後のノイズ処理

特にノイズ処理は結構大変で、少し油断するとすぐにモワモワしてしまったり、分解能が悪くなったりで、全然上手くいかなかったです。でも筋道立てて丁寧にやっていくと、なんとか解は存在するといった感じでしょうか。

まず、ノイズ処理で気づいたことが一つあります。Drizzleで解像度2倍にした画像にはノイズ処理が効かないことがあるようです。興味があったので少し調べてみました。

今回試してみたノイズ処理ソフトは
  • Nik CollectionのDfine 2
  • PhotoshopのCamera RAWフィルターのディテールのノイズ軽減
  • DeNoise AI
  • NoiseXterminator
です。この中で効果があったのはDfine 2とNoiseXterminatorでした。他の2つは元々大きな構造のノイズが苦手な傾向があることは気になっていましたが、今回Drizzleで2倍の画素数にしたため、同じノイズでもより細かい画素数で表現されるようになり、相対的に大きな構造のノイズを扱っているような状態になったのかと推測します。まだ少し試しただけなので検証というレベルではなく、他のノイズ処理ソフト、例えばTGVDenoiseなどのPIのノイズ処理関連なども含めて、もう少し調べる必要があると思います。それぞれ得意な空間周波数があるような気がしています。

結局今回使ったのは、PI上でNXT、Photoshop上でDfine 2でした。これでモコモコしたノイズが残るとかを避けることができました。またNXTはカラーノイズ対策はできないので、カラーノイズはDfine2に任せました。


結果

結果です。拡大しないと一見、金曜夜中の画像とそこまで変わらないと思えるかもしれません。でも、少し細部を見ると全く違います。

「Sh2-308: イルカ星雲」
Image17_ABE4_SPCC_BXTx3_HT_HT_back7_cut_low
  • 撮影日: 2023年12月5日0時3分-3時9分、12月9日0時2分-1時5分、12月29日22時3分-30日4時20分、2024年1月4日20時50分-22時43分、その他2夜
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm、R、G、B
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 39枚、OIII: 59枚、R: 8枚、G: 9枚、B: 8枚、の計123枚で総露光時間10時間15分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

私的にはかなり満足なのですが、子供に上の画像を見せたら「霞んで見えるのが惜しい」と言われました。ナローバンドフィルターは星まつりで安いB級品をちょくちょく集めてきたのですが、パッと手に入れることができた眼視用OIIIフィルターだと多分もう厳しいので、新品で購入してしまった方がいいのかもしれません。でも新品でも在庫がないみたいです。いっそのことUV/IRカットフィルターを重ねてしまうのも手かもしれません。

上の画像は拡大すると真価を発揮します。イルカに見えるように画像を90度左回転し、左に明るい赤の壁を置くような構図にしてみました。

Image17_ABE4_SPCC_BXTx3_HT_HT_back7_rot_half2_wall
恒星の色もでているかと思います。大きくクロップしたとは思えないくらいです。

さらにイルカ星雲本体のみにしてみますが、ここまで拡大してもまだ大丈夫かと思います。
up2

この画像も子供に見せたら、「イルカの中の赤いところがまだ出ていない。頭のところにある脳みそみたいなところはまだマシだが、下の心臓の形はもっと出るはずだ」とか言われて、どこからか検索してきたもっと細部が出ている画像を見せられました。でもその画像の説明を見たらそもそも大口径の350mmでf/3、撮影時間がなんと45時間...、さすがに太刀打ちできるはずもないです。

超辛口な息子の意見に少したじろぎましたが、ナローバンドだとしても自宅撮影でここまで出るなら、もうかなり満足です。あとは毎回コンスタントにこれくらいまで出すことができるかでしょうか。もう少し練習が必要な気がしています。


まとめ

金曜夜から土日のほとんどを画像処理にかけてしまいました。やり直しを含めて、今回は丁寧な処理の画大切さを実感しました。淡いところを出すときは、特に慎重に手順を考えて処理しないとすぐに破綻してしまいます。

結局これ1枚に32時間くらい画像処理にかけたので、ちょっとスキルが上がったはずです。1枚に集中してできる限りのめり込むことは、かなり効果があるのかと思います。

でも次のダイオウイカとまともに戦えるとはまだ思えません。今のところ全然ノイジーです。ダイオウイカ星雲はそれくらい手強いです。


2年近く前に自宅から撮影したSh2-240、かなり淡く、当時はFS-60CB+CBP+EOS 6Dで12時間越えとかなり頑張ってみたのですが、画像処理で相当無理して出していたのがわかります。

 

結果を見ても明らかですが、これは敗退だったと言えるでしょう。

今年の春にε130Dを購入した最大の理由が、このリベンジです。無理ナントだった、超新星レムナントを自宅でどこまで出すことができるのか?特に前回は全く出なかったOIIIの青が、自宅でも本当に出るのかがポイントです。


Sh2-240の下調べ

今回のターゲット、皆さんなんて呼びますか?Sh2-240という呼び名が多分一番メジャーでしょうか?一方、Sim147(シメイズ147, Simeis 147)という名前も持っています。通称はスパゲティ星雲 (Spaghetti Nebula) と呼ばれていて、これは最初日本語で誰かがつけたと思っていたら、英語のWikidiaとかにも普通に載っているので、どうも世界的に一般にこの通称で呼ばれているようです。

星雲としてはかなり大きくて、見かけの直径は約3度もあります。月が0.5度くらいなので、一辺で6個分、面積だと36倍の大きさです。おうし座からぎょしゃ座にかけて広がるレムナント(超新星残骸)です。約3000光年先にあるとのことで、10万年ほど前に現れてこの大きさにまで広がったようです。一つの超新星爆発がこんな複雑な形を作るのは、まさに宇宙の神秘かと思います。

ちょっと脱線ですが、Sh2はシャープレスカタログ(Sharpless catalog)と呼ばれていて、淡い天体を撮影しようとするとすぐに候補として出てきます。




アメリカの天文学者スチュワート・シャープレスが、パロマー天文台のスカイサーベイからの画像を使用して銀河系のHII領域を調査し、1953年にSh1として142天体をカタログに登録、その後1959年に第2版とのSh2として313の天体を登録しているとのことです。

シャープレスカタログはまだいいのですが、シメイズカタログは調べてもあまりよくわかりませんでした。日本語だとHIROPONさんのページくらいしか引っ掛からなくて、

「クリミアにあるシメイズ天文台で、ソ連の天文学者ヴェラ・ガゼ(Vera Fedorovna Gaze, 1899~1954)とグリゴーリ・シャイン(Grigory Abramovich Shajn, 1892~1956)によって1955年に編集された散光星雲のカタログです。カタログはクリミア天体物理天文台の会報に掲載されており、主に北半球にある306個の散光星雲を一覧にしています。有名な天体としては、おうし座~ぎょしゃ座にかけて存在する超新星残骸Simeis 147(=Sh2-240)があります。」

とあります。「シメイズ」と検索しても、ほぼシメイズ147しか結果が出てこなくて、色々調べてやっとSimbadの中のカタログまで辿り着きました。232個が登録されているようです。


久しぶりのε130D

ε130Dですが、5月にアメペリ星雲網状星雲おとめ座銀河団を撮って以来になります。これまではテスト撮影のようなもので、
  • bin2と分解能とBXTの関係
  • 淡いOIIIがどこまで出るか
  • bin1で系外銀河の描写がどこまで可能か
など、かなり実験的です。いずれも、ε130Dの分解能と口径の大きさを遺憾なく発揮した結果となりました。

その一方で
などが問題点として浮かんできました。今回の撮影の前に、上記二つの問題に対してもある程度解決の目処をつけようとしています。


星像の改善

まず最初の問題、星像についてですが、コリメートアイピースを利用しての光軸調整自身は何度かしてみました。でも、何度調整しても結果として毎回同じようなズレになるので、通常の光軸調整とは別のシステマティックなずれがあるような気がします。

具体的な問題としては、
  • 鏡筒に付いている回転装置を回すと、像が変わる。
  • 四隅の星像が流れる。特に、縦方向に像の上下でピントの内外が違うのがはっきりわかる。
などがあります。これらのことから、光軸というよりはスケアリングがずれているのではないかと考え、K-ASTECのスケアリング調整が可能なテーパーリング接続キットを購入しました。



IMG_8512

オフアキは使わないので、上の写真の右のように12.5mmの延長リングも合わせて購入したのですが、これはカメラ付属の5mm幅のセンサーチルトアダプターを「付けたまま」接続します。最初勘違いしていて、このセンサーチルトアダプターを外して組んでしまい、星像が改善しないと悩んでいました。一度スターベースに遊びに行った時に星像が合わないと相談して、スタッフの方の指摘で気づきました。どうもありがとうございました。

その後、スケアリング調整です。接眼部の鏡筒側の回転装置を回転させて、縦にしても横にしても、きちんと遠方の景色のカメラ中心がずれないように、合わせました。このこともスターベースで話したのですが、カメラ中心基準だとテーパー部のネジの締め具合で中心位置がずれてしまうので、回転させた時に中心が基準にならないかもという指摘をうけました。そのため、ネジの締め具合が毎回均等になるようにして中心の再現性がある程度あることを確認してから、回転させても遠方景色の中心がずれないようにスケアリングを調整しています。

IMG_8659
こんな風に回転装置でフィルターホイールごと回転させて、
遠方を見ながら、カメラ中心がずれないようにスケアリングを調整しました。

今回の撮影での四隅の様子です。
2023_11_21_03_22_49_ASI6200MM_2x2_A_300s_g100_9_80C_mosaic
まだ左下と左真ん中が縦に伸びていて、右上が右斜め方向に伸びています。

それでも調整前の北アメリカ星雲の時などは下のようで、真ん中以外全方向が伸びていたので、かなり改善されています。
_2023_05_04_00_51_54_A_9_90_300_00s_0001_mosaic

下の画像は、RGBを5分9枚づつインテグレートしたものですが、方向が多少散らされるのか、さらに目立たなくなります。
Image04_ABE_DBE1_mosaic01
それでも強拡大すると、完全に伸びがなくなっていないのがわかりますが、私的には許容範囲です。それよりも青が少しずれているのが気になるくらいなので、ここまで調整できればよしとします。

ちなみに、上のものにBXTをかけるとさらに星像は引き締まり、青のずれもなくなり、真円に近づきます。それでもまだ左下は少し縦に伸びています。
Image04_ABE_DBE1_mosaic

これくらなら歪みと言っても微々たるものなので、私的には結構満足です。今後ε130Dでもどんどん撮影していこうと思います。

ところで今回の星像の改善に一番効いたと思われるのは、実はスケアリングではなく、バックフォーカスでした。もともとε130Dにタカハシ純正のCanon用の変換アダプターを付けて、カメラ側にZWOのCanonマウントアダプターを使っていたのですが、これだと指定のバックフォーカス長の56.2mmぴったりで、フィルターの厚みなどを光量すると、微妙に長さが足りないのです。K-ASTECのテーバー接続リングは、あらかじめ1mmほど長く設定して出荷され57.2mm -0.2,+0.8の範囲で調整できます。実際にはもう少し伸ばしましたが、以前より1.5mmほど伸ばしたことが星像の改善に一番貢献したものと思われます。


フードの影響

今回簡易的に鏡筒先端にフードを付けてみました。

IMG_8784

ε130Dでこれまでフラット補正がうまくいかなかった原因の一つが「フードを取り付けていなくて周辺の光が入り込み、その光の入り込み具合が赤道儀の回転とともに変わっていって、単一のマスターフラットファイルでは補正しきれないのでは」と考えたからです。フード自身はまだ仮のもので、福島の星まつりで特価で手に入れたものを使いました。

今回はRGBAOと5種類撮影しましたが、その中でB画像の迷光が一番ひどく見えました。スタック後のBにABEの4次をかけて、オートストレッチの強い方をかけたものです。
masterLight_BIN_2_EXPOSURE_300_00s_FILTER_B_ABE

まだかなり残っていますが、HαやOIIIはこれより大分マシだったので、これがMaxだと思ってください。

下は以前おとめ座銀河団を撮影した際に、フードなしで撮ったスタック後のL画像にABEの4次をかけて、オートストレッチの強い方をかけたものです。

masterLight_BIN_1_EXPOSURE_300_00s_FILTER_L_ABE

L画像とB画像なので直接比較は不公平かもしれませんが、フードで少しマシになったようにも見えます。それでもフードが解というには厳しくて、やはりε130Dと付き合っていくには非対称的な迷光を許容していく必要がありそうです。

というより、この非対称性って接眼部が横についていることからきている可能性が高いと思っていて、ε130Dだけの問題ではなく、そのような形の反射型全般の構造的な問題かと思っています。

「そんなの出てないよ」という方も、フラット画像にABEの4次をかけて、オートストレッチの強い方をかけてみてください。できれば中心だけを見るのではなく、CMOSカメラのAPSCとかフルサイズクラスで見ると外の方に見えるのかと思います。「CMOSカメラ」とあえて書いたのは、一眼レフカメラだとカメラ本体のミラー部のケラレが上下に出てしまう可能性があるからです。そのケラレでの光の落ち方の大きさが、今議論している迷光の模様よりも大きい場合があって、ストレッチで炙り出してもケラレの方で制限されてしまい、迷光の微妙な違いがわからないことがあります。画像処理によっては問題にならないレベルかもしれませんが、今回のように淡いところを強度にあぶり出していく場合は、どうしても問題になってきます。

あ、ブログを書いていて最後に見直した時に思ったのですが、よく考えたら今回のフラット、以前のものを使い回しています。フードのない時に撮ったフラットということです。フードをつけて取り直したらもう少しマシになるかもしれません。休日で、天気のいい昼間に撮り直してみます。
 

撮影時

撮影は11月20日から22日の3日間に渡りました。上弦の月を過ぎた頃で、前半は月も明るくSh2-240自体の高度も低いので、どの日も後半がメインとなります。初日の前半は準備と星像確認に費やし、0時頃から撮影開始でした。

フィルターですが、前回はCBPでした。今回はカメラもモノクロなので、HαもOIIIも個別のです。どちらもBaaderのものになり、バンド幅もかなり小さくなるのでコントラスも向上するはずでが、OIIIが眼視用で青ハロが出ることがわかっているので、少し気になるところです。

2日目と3日目は、前半まだSh2-240の高度が低いので、その間クワガタ星雲を撮影しました。半月越えの月が出ていますが、ナローバンド撮影なのでなんとかなるかどうかのテストも兼ねています。この話はまた別の記事で書こうと思います。

2日目の後半は順調に枚数を稼いだのですが、途中でPCに繋げてあるバッテリーが落ちたようで、残されたファイルを見ると午前3時過ぎのものが最後でした。

3日目前半のクワガタ星雲の撮影後に、急遽Sh2-240のRGBを個別に撮ることにしました。以前の北アメリカ星雲のAOO撮影で赤の淡いところを出すのに無理をして、恒星の色がおかしくなり、恒星の周りに赤ハロのようなものが目立ってしまったからです。短時間ながらもRGBで別撮りしておけば、恒星の色もある程度残るのではとの期待です。各色5分で9枚、45分づつ撮影しました。3日目の後半は途中から風がすごいことになってきたので、午前3次頃に中断して片付けました。

そうそう、Xではつぶやいたのですが、最近自宅の近辺でクマの被害がかなり出ています。歩いて行ける距離の所で一人亡くなっていて、さすがにそのクマは駆除されたのですが、その後も車で5分くらいのところでも二人襲われています。さらに、これも自宅から5分くらいのところですが、いつも仕事に行く時に使う道を横切るクマの映像がニュースで流れていました。

実際の撮影は冗談抜きでクマに怯えながらでした。できる限り外に出ている時間を短縮して、セットしたらあとはプレートソルブやEAFを駆使してリモート撮影に徹底します。それでも反転の時だけは心配で、その場に行ってケーブルとかが引っかからないか見ながら、マニュアルで反転してました。


ビニングについて

元々今回の記事の中でビニングについて書こうとしていましたが、結構な分量になってしまったので、独立した記事としました。詳しくは前回の記事を見てください。

少しだけ書いておくと、富山の自宅でスカイノイズが大きいことを緩和するために、bin2でソフトウェアビニングをかけて撮影し、輝度を上げショットノイズのS/Nを上げようとしました。

 

bin1に比べて4倍の露光時間をかけたことに相当しますが、それでも露光時間がまだ足りないか、もっと暗いところに行くべきなのかと思います。ちなみに、今回の撮影時間がトータル12時間なので、bin1で撮影していたらショットノイズに関しては、48時間撮影したのと同等のS/Nとなります。


画像処理

まず、OIIIの一枚画像を見てみます。ABEの4次をかけ、強い方のオートストレッチをかけます。何か模様は出ているようです。これならスタックさえすればなんとかなりそうです。

2023_11_21_00_34_08_2x2_O_300_00s_g100_10_00C_0005_ABE

次にPixInsightのWBPPが終わった段階のマスターOIII画像を改めて見てみます。ABEの4次をかけ、強い方のオートストレッチをかけます。淡いながらも(この時点では)十分に出ていると思いました。

masterLight_BIN_2_300_00s_FILTER_O_integration_ABE

Hαも同様に見てみますが、OIIIがでているので、Hαは余裕と思っていました。

masterLight_BIN_2_300_00s_FILTER_A_mono_drizzle_1x_ABE

でも、その後の画像処理は困難を極めました。やはり淡い青がつらいのです。青が出てると言っても、そもそも青単独のところは一部で、多くは赤と重なっていて仕上がりで明るい紫になります。単独の青は、もっと淡いところにまだ隠れいているようです。今回の条件ではそこまで届きませんでした。

青は他にも問題があって、そもそも今回使っているOIIIフィルターが眼視用で、どうもUV/IR領域がカットされていないようなのです。そのため、青ハロができてしまったりして強度の炙り出しが難しくなります。無理に出そうとすると、その青ハロが霞を増加しているように見えてしまい、処理を難しくしています。青ハロだけでなく、淡い天体部分と背景の輝度がかなり近い(背景ノイズが大きい)ので、淡いところを出そうとすると無理が出ます。


drizzle x1の効果

Niwaさんが、SPCCをする際は1倍でもいいのでdrizzleをするといいとの記事を書いてくれています。ノイズが少し軽減され、背景が緑化されるのを防ぐこともできるそうです。私は緑化で困ったことはないのですが、1倍なら特にファイルサイズが増えることもないので、ノイズが軽減されるならと試してみました。

drizzleされたマスターライトとものと、されていないマスターライトができあがるので、PixInsightのスクリプトからSNRを比較してみました。結果はdrizzleしたものがSNR = 7.475e+04 、してないものがSNR = 4.222e+04とのことで、2倍近くの向上がみられました。

comp1

上の画像は、左がdrizzleなしの通常の処理、右が1倍のdrizzleです。drizzleをかけると、背景のクールピクセルっぽい黒い穴が少なくなっていることがわかります。SN比の向上と一致していますね。その代わりに、少し星像が肥大しているでしょうか?シャープさがなくなったようにも見えます。

多少の不利さもありそうですが、2倍近くのS/Nの向上はかなり魅力的なので、今後も使っていくことになりそうです。


結果

やっと画像処理の結果です。
Image22_DBE_SPCC_back_BXT_HT1_HT2_NXT_SCNRG6_cut
  • 撮影日: 2023年11月21日0時8分-5時23分、11月21日22時48分-22日2時25分、11月22日22時14分-23日3時14分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 48枚、OIII: 70枚、R: 9枚、G: 9枚、B: 9枚、の計145枚で総露光時間12時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、OIII: 0.2秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

結果を見るに、かなり出たのではないでしょうか!いろいろ苦労はありましたが、今回のレムナント、明らかにリベンジは果たせたと思います。

まず2年前に全く出なかった青は明らかに出ています。赤も無理して出していたものは、かなり複雑な模様まで詳細に出るようになりました。鏡筒だけでなく、ナローバンドフィルター、モノクロ冷却カメラと、機材も総取っ替えで挑んだ甲斐がありました。自宅からでも無理ナントではなかったと言っていいでしょう。

その一方、これで終わりかというと、画像を見てもまだ無理をしている感があるのも事実です。
  • まず、青に関してですが、やはりOIIIフィルターが眼視用のせいか、どうも恒星周りに青ハロっぽいのが出てしまっています。この青ハロの明るさが、淡いところの明るさと同程度になるために、淡いところをこれ以上炙り出すのが難しくなっています。星もとで48mmのOIIIフィルターを特価で見つけた時に、パッと買っておけばと、今でも悔やまれます。
  • 一方、Hαの赤も、よく見るといくつかの大きなリングの中に、ノイズに埋もれそうな淡い構造が明らかに見え始めています。これだけ見てもまだHαの方も露光時間を増やした方がいいいのかと思います。
  • 焦点距離が430mmとまだ微妙に長くて、全景が入っていません。モザイク撮影で周りも少し入れてみたいです。
こうやってみるとまだ不満な点もあるので、できるならもう一度リベンジしたいです。

今回の成果の一つは、ε130Dの星像がしっかりしてきたことです。今後は躊躇せずに、この鏡筒で撮影をどんどんしていきたいと思います。その一方、フードはフラット補正に少しは貢献しましたが、まだ完全な解決までは遠いです。でも他にアイデアもないので、これはもうあるものとして付き合っていくしかないと思います。


ナローバンド撮影と光害の関係

ナローバンドで、明るい月夜や明るい場所と、暗い場所でどれくらいスカイノイズに差が出るのか、今後きちんと実測と計算をしてみたいと思います。もしかしたらナローバンドフィルターの影響が強くて、意外なほど周りの明るさがあっても撮影結果に差が無いのではとも少し思っています。ナローで淡いところを出す場合、光害はあまり関係なく、いかに天体を明るく撮るかにかかっていて、口径、F値、露光時間、ピクセルサイズなどで決まってしまうのではないかという推測です。

もしこれが数値的に示されたとすると、自宅で撮るのは環境的には決して難しいことではなく、あとは機材と露光時間の根性という話になります。あ、ビニングなどの工夫もありますか。

暗いところにいって、ナローバンド撮影をしてみればすぐに判明するので、いつかまた遠征した時にナローで撮影して差を見てみたいと思います。


ビニング x drizzle x BXT

もう一つのアイデアです。

今回bin2で撮影しましたが、いわゆるソフトウェアビニングなので、bin1で撮影してから、画像処理の段階でPC上でbin2にしても同じことになります。しかも、16bitカメラなので後からビニングして32bitファイルに書き込めば、4倍の明るさになるのでダイナミックレンジは2bit得するはずです。

今回は後からのビニングができるのかわからなかったので撮影時にビニングしていますが、元のbin1の解像度が高すぎるので、bin2でもまだ十分な解像度があります。いっそのことここから更にビニングしてbin4相当にして更に4倍の明るさにして、でも流石にそれだと解像度がしょぼくなりすぎるので、drizzleで2倍にするというのもありだと思います。

もちろんそれだけだとS/Nは得しても、解像度に関してはあまり得しないので、この状態でBXTをかけるというアイデアです。drizzleとBXTは相乗効果が非常に高い可能性があることはすでに検証しているので、
 
解像度がほぼ今のままで、更に淡いところを出せるかもしれません。bin4だとすると今回のbin2に比べたら4倍、元のbin1に比べると16倍の露光時間になります。今回トタールで12時間半の撮影時間なので、16倍ならちょうど200時間の撮影時間と同等ということになります。自宅撮影の可能性をさらに広げてくれるかもしれません。分解能がどこまで犠牲になるかも注意しながら、余裕があったら試してみたいと思います。


まとめ

長い記事になってしまいましたが、半年くらいの細々とやっていたε130Dの調整も入っているので、実際にはまだまだ書き足りないくらいです。念願だった自宅レムナントがやっと出てくれたので、かなり満足している一方、まだ十分でないこともわかったので、いつかまたリベンジしたいと思います。

これでε130Dも多少安定して撮影できそうです。今後、どんどん活用していきたいと思います。

次はイカ釣りかな?


日記

コロナの後遺症か、熱がひいてからも数週間体力がなくて、今回やっと望遠鏡を出す気になりました。それでもこのブログを書いている現在もまだ咳が続いていたりします。

この間にも、どんどん試したいことが増えています。SharpCapの惑星ライブスタックとか、SharpCapでガイドなしのdhitherとかです。でももう既に冬型の気圧配置になってしまったのでしょうか、天気が全然ダメです。天気が悪くても、まだノイズ解析は進めたいですし、小海でお借りしたInteractiveの読み込みとかもしたいです。これらもまた、いずれ記事にしたいと思います。時間が全然足りません。


2023/10/12、久しぶりに新月期で晴れです。平日なのであまり無理をしたくないのですが、せっかくなので撮影を敢行しました。


久しぶりの撮影

実は前日の10月11日も晴れていたのですが、ε130Dの光軸調整で時間を潰してしまい、何の成果もありませんでした。実際光軸調整も大したことはできず、せっかくの晴れでもったいないです。なんとか撮影の成果だけは残そうと思い、SCA260+ASI294MM Proで簡単な撮影をしました。この日の撮影は、前半がM27、後半がM45です。でも結局撮影が忙しくて、せっかくε130Dを出してセットアップまでしたのに、光軸調整はやっぱりできないんですよね。平日に二つのことは厳しいです。

今回M27にした理由ですが、5月にHα画像を写していました。その後続けてOIIIも撮ったはずなんです。でも撮影後に確認したら、実際に撮影していたのはB...。AOO撮影のはずなのに、Aの次はBと思い込んでしまったようです。今回はそのリベンジで、OIIIの撮影です。でもここでも痛恨のミス。縦横を合わせ損なって90度ずれてしまい、使えるのは重なる正方形の部分だけとなってしまいました。

前回M27を撮影したのは2年前のTSA120を使ってです。2021年9月になります。この時が、そこそこセンサー面積があるモノクロカメラを使った初のナローバンド撮影で、まだフィルターホイールも持っていなかったので、手でフィルターを付け替えてのAOO撮影でした。本体周りの羽の部分を出したくてOを重点的に出そうとしました。羽はそこそこ写ったのですが、意外にAが出なくて、Aのリベンジが課題だったことを覚えています。



それでもこの時のM27には結構満足していて、もうしばらく撮ることはないなと思っていましたが、2年経つとアラも見えてきますし、SCA260でさらに光量が稼げるとか、BXTが台頭してきたとかで、状況も大分変わってきています。高度も高く、夏を中心に一年のうちのかなりの期間撮影が可能なので、ベンチマークがわりに再びM27を撮影しようとここしばらく思っていて、やっと実現できたというわけです。


撮影

SCA260での撮影は久しぶりです。少しづつ思い出しながらのセットアップになりますが、それでもほとんどトラブルもなく、比較的順調に撮影開始となりました。一つだけミスがあって、StickPCを使っているのですが、SCA260+ASI294MM Proで使っているStickPCと、ε130D+ASI6200MM Proで使っているStickPCが入れ替わっていて、気づかずにカメラの設定やフィルターごとのEAFのピント位置とかの設定でファイルを上書きしてしまいました。気づいたのはプレートソルブがどうしてもできなくて、ε130Dの焦点距離の400mmが入っていた時でした。でも面倒なのでそのままStickPC交換せずに使い続けたのですが、色々不具合が出てきて、すぐに交換すればいいと後から後悔しました。
M27
撮影中のNINAの画面。ガイドも順調です。

撮影は順調に続き、OIII画像が溜まっていきます。23時位になるとM27が隣の家の屋根にかかってしまい、次に考えたのが、ずっとやってみたかったモザイク撮影です。以前拡大撮影したM45: プレアデス星団が次のターゲットですが、これは別の記事で書きたいと思います。


追加撮影

OIIIの撮影直後は5月に撮影したHαと合わせて仕上げてしまおうと思っていましたが、縦横の間違いが悔しかったので、結局10月17日にHαを、OIIIと同じ方向にして撮影し直してしまいました。こうなってくるとOIIIもHαももう少し追加したくなり、18日にも追加撮影して、5分露光でHαが44枚、OIIIも44枚で、合計88枚、総露光時間440分で7時間20分となりました。17日から18日にかけては庭に望遠鏡を出しっぱなしにしていたので、すぐに撮影に入ることができ、18時台から撮影を開始できています。


フラットでトラブル

久しぶりの撮影なので、フラットを撮り直しています。フラット撮影は、昼間に明るい部屋で白い壁を映しています。ところが、今回条件を一緒にしようとして「冷却して」撮影したのは失敗でした。結露が起こってしまったことに後から気づき、結局常温で全て撮影し直しです。DARKFLATも温度を合わせるため、こちらも全部取り直しです。
2023-10-14_14-00-20_M 27_2x2_FLAT_R_-10.00C_0.01s_G120_0000
フラット撮影中にオートストレッチして、こんな風に真ん中にシミのような大きな模様ができていたら、結露しています。拡大すると、おかしな黒い点々が見えたりします。

普段はフラットは昼間に部屋が明るい時に撮っていましたが、雲があると明るさがバラバラになるのでダメですね。今回は早く画像処理を始めたかったため、暗くなってから部屋のライトをつけて撮影しました。でもこれ、もしかしたらダメなのかもしれません。特にHαですが、微妙にフラット補正が合わずにムラになってしまいました。

以前記事に書いたことがあるのですが、ナローバンド系はフラットファイルそのものがどうしてもムラムラになってしまいます。



当時、センサー自身のムラではないかと予測したのですが、その後ZWO自身がこのムラはセンサーの特徴だと言及しているページを見つけました。



当時このページの存在は知らなかったのですが、後からやはり推測は正しかったと分かりました。でもいずれにせよ、このムラはフラット補正で解決できましたし、ZWOの説明でも同様のことが書いてあります。

でも今回は、フラット補正をしてもどうしても、ムラの形が残ってしまいました。まず、今回撮影したフラット画像のうちの1枚です。ナローバンド特有の大きなムラ構造が出ています。
masterFlat_BIN-2_4144x2822_FILTER-A_mono

次に、AOO合成した直後の画像です。上のフラット画像と比べてみると、ムラの形がよく似ていて、暗いところが赤くなってしまっているのがわかると思います。
Image11_ABE

まだ未検証ですが、部屋の明かりを使ったのが悪かった気がしています。明かりとしては、蛍光灯と電球を合わせたのですが、それぞれ波長が違っていて、違った種類の光源が複数方向から来ているので、複雑な形の輝度勾配ができてしまっていた可能性があります。もし時間が取れるなら、再度晴れた日の明るい部屋の中で自然光を光源に、再度撮影してみたいと思います。あ、多分ですが、晴れた日にの薄明時に鏡筒を空に向けるのが一番いいのかとは思いますが、時間が限られるので、壁での方法を確立しておきたいということです。

今回問題だったフラットのムラはHα、OIIIともにDBEを細かくかけることで、なんとか見える程度にすることができました。


ダークの撮影

あと、今回ついでにダークも久しぶりに撮影しました。ダーク系を撮るのも昼間は注意が必要です。カーテンを閉めてできるだけ部屋を暗くするのはもちろんですが、鏡筒や特にフォーカサー部などにきちんと暗幕(タオルとか、服とか)をかけて撮影しないと、完全にダークになりません。今回は二度に分けてダークを撮りましたが、最初の暗幕が甘くて、十分暗くなりませんでした。
IMG_8668
こんな風に望遠鏡をくるんで、さらに部屋を暗くしてダークを撮影してます。


最新版PixInsightと、Mac M1でのStarNet

私は画像処理にMacのM1を使っているのですが、最近PixInsightを1.8.9-2にアップデートしたら、StarNet V2が使えなくなりました。その後StarNet V2もアップデートされ、最新バージョンのPIでも使えるようになったということでしたが、再インストールの方法を忘れてしまい少し手間取りました。Niwaさんのページやその参照元のCloudy Nithtsに解説があるのですが、自分の環境とは微妙に違っていて、そのままではうまく動きません。うまく動いた方法を書いておきます。

まず、ダウンロードページに行って、



をダウンロードします。その後、ファイルを解凍します。
  1. StarNet2_weights.pbとStarNet2-pxm.dylibは/Applications/PixInsight/bin/にコピーします。
  2. libtensorflow.2.dylibとlibtensorflow_framework.2.dylibはApplications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/にコピーします。PixInsight.appの中身は、PixInsight.appを右クリックして「パッケージの中身を表示」を選ぶとアクセスすることができます。
  3. 以下のコマンドを、一つ一つコピペしてターミナルから実行します。
  • sudo chown root:admin           /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb
  • sudo chmod 644                  /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb

  • sudo chown root:admin      /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib
  • sudo chmod 755             /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib

  • sudo rm -f             /Applications/PixInsight/bin/libtensorflow*
  • sudo chown root:admin  /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*
  • sudo chmod 755         /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*

あとはREADME.txtに書いてある通りに、
  • PI上でPROCESSES=>Modules=>Install Modulesで'Search'を押すと、StarNetが出てきます。
  • その後他のボタンは何も押さずに'Install'を押します。
  • うまくいくとStarNet2がPROCESSES-><Etc>もしくはPRECESSES-><All Processes>に出てくるはずです。
怖かったのは、マニュアルに「ちゃんと手順を踏んでやってもサーチでStarNetが出てこない場合は、AVXに対応してないから仕方ないとか、心を折るような記述があることです。でもM1のMacでPIの最新版で、確実にStarNet V2をインストールできたので、諦めずに正しい手順でやってみてください。


結果

画像処理に関しては、あとはほとんど問題はありませんでした。ナローなので、色決めに一意の解はなく、SPCCも恒星の色を合わせるように設定したので、星雲の色は自由度があります。他の画像を見ていてもM27の色は様々で迷いますが、前回TSA120で出した色が比較的好みなので、今回も近い色としました。

画像処理の結果が下のようになります。
masterLight_BIN_2_300_AOO_SPCC_BXT_DBE_MS_MS_BG2_cut_X3
  • 撮影日: 2023年10月12日20時59分-22時52分、10月17日20時34分-23時29分、10月18日18時18分-22時35分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260 (f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα, OIII
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、Hα:44枚、OIII:44枚の計88枚で総露光時間7時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、42枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα, OIII:10秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ちなみに、2年前に撮ったTSA120の画像が以下になります。
Image09_DBE2_stretched7_cut_crop_b


比較と評価

2年前と今回を比較してみます。
  • 最初のスタック画像を見ていると、微恒星に関してはどうも前回のTSA120の方がより出ている気がしました。これまで同じ対象でTSA120とSCA260を比べて、SCA260が負けたことはないので、意外な結果でした。原因はシンチレーションくらいしか考えらないです。もう夏の気候は終わってしまったので、揺れは大きくなっているのかもしれません。それでもBXTをかけて改善する余地があったので、結果としては今回の方が微恒星は数も鋭さも出ています。
  • 狙いの本体外側の蝶の羽の部分は、今回の方が明るい鏡筒で露光時間も倍以上と長いため、明らかに綺麗に出ています。羽の部分はOIIIの青よりも、Hαの赤の方がやはり淡いようで、前回よりも出てはいますが、フラットムラのこともあり、まだ露光時間を伸ばすか、このレベルの淡さになってくると自宅よりはさらに暗いところに行ったほうが効率がいいのかと思います。ここ最近の記事で、明るいところと暗い所のスカイノイズの影響が数値で定量的に出るようになってきたので、いずれこの淡さならこの場所に行くべきというようなことが言えるようになるのかと思います。
  • 中心部の微細構造は、口径とBXTの効果で圧倒的に今回の方がいいです。ただし、淡い羽部分の分解能との差がありすぎるので、多少なりともバランスを取るために、あえて少し分解能を落としてあります。
今回のM27、羽の部分、中心部分の分解能、微恒星の鋭さ、背景のノイズなど、ほぼ全てを2年前の結果を上回っていて、自己記録更新です。あえていうなら、透明度みたいなのだけは以前の方が良かったように思いますが、これは画像処理に依っていて、まだ私も確信を持って(少なくとも見かけの透明度さえも)透明度をコントロールできていないので、偶然によってしまっています。それ以外はトータルとしてはかなり満足しています。


まとめ

久しぶりのSCA260での本気撮影でしたが、かなり満足な結果でした。自宅庭撮りで、M27の羽がここまで出るのなら、十分なのかと思います。その一方、これ以上出すのは撮影時間がかかりすぎることなどから難しく、暗いところに行く必要があると思います。次のシーズンに飛騨コスモスでしょうか?

ε130Dの光軸調整がなかなかはかどっていないので、しばらくはSCA260での撮影も継続していこうと思います。


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