ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > 鏡筒

シュミットさんからお借りしているEVOSTAR 72EDですが、前回のおまけ記事で最後と思っていたのですが、せっかくなのでレデューサーを使っての撮影をし、画像処理までしてみました。




カメラ選択

カメラをフルサイズ一眼にするか、CMOSカメラにするか迷ったのですが、 結局ASI294MC Proにしました。理由は2つあります。

元々の焦点距離が420mmで0.72倍のレデューサーを入れると約300mm。これだと結構広い画角となるので対象が限られてきてしまいます。パッと思いつくのが
  • カリフォルニア星雲
  • カモメ星雲
  • 勾玉星雲
くらいです。複数天体もありとすると
  • オリオン大星雲と馬頭星雲まで
  • 馬頭星雲からバーナードループの一部まで
  • モンキー星雲とクラゲ星雲を一緒に
などですが、やはり一画面に二つの中くらいの天体だとインパクトに欠けそうです。他にもSh2-240もありますが、さすがに自宅からだと暗すぎます。マルカリアンチェーンもありですが、後述のQBPを使いたいので、銀河は今回はパスです。結局この画角だと対象が思ったより少ないので、少し画角を絞る意味でフォーサーズ相当のASI294MC Proにしました。

もう一つの理由が、31.7mmのアメリカンサイズQBP(Quad Band Pass) フィルターで撮影レベルできちんと試してみたかったことです。Black Pandaさんにせっかく作っていただいたQBPですが、これまでは元々の目的である電視観望でのみ試してきました。CMOSカメラに取り付けた状態で、もっと条件の厳しい撮影レベルで使えるかどうかの判断をしてみたかったのです。

ASI294MC Proとの組み合わせだと、対象天体も一気に増えてきます。冬だけでも
  • オリオン大星雲
  • 馬頭星雲と燃える木
  • モンキー星雲
  • クラゲ星雲
  • バラ星雲
  • 魔女の横顔
夏のことまで考えるとやはりこの画角が一番楽しそうです。その中で今回は、最初の星像チェックで見事に失敗したバラ星雲をリベンジしたいと思います。

一方、撮影時に気付いたのですが、ASI294MC Proにしたことにより、接眼部に取り付けるアダプターの選択肢が少ないために、レデューサーからのバックフォーカス長が長くなってしまっています。長くする方向には差し込み部分を少なくて調整し星像の違いを試したのですが、短くする方向に試すことができませんでした。長くする方向では星像は改善しなかったので、アダプターをもう少し考えて短くする方向を探る必要があるかと思います。


撮影

実はバラ星雲の撮影、4日間にわたっています。
  • 1日目は2時間ぶんの画像を撮ったのですが、ガイドなしで撮影してみてやはり縞ノイズが盛大に出てボツ。
  • 2日目は30分ぶんの画像を撮影したのですが、後からみたら透明度が悪くてボツ。
  • 3日目は準備して撮影を始めたら、1枚だけ綺麗に取れて、2枚目以降雲が出て全くダメでいやになってボツ。
  • 4日目にして2時間撮影して、人工衛星(流れ星?)が盛大に写っているのを除いてやっとまともな撮影画像を得ることができました。
おかげで4日目はセッティング開始から撮影を始めるまでにわずか20分ちょい。もう全部組んであるので、外に出すだけです。19時半ころから玄関にある赤道儀と鏡筒を庭に運び、極軸をとって、バラさん導入。PHD2でガイドを始め、20時前には撮影を開始していました。今回は露光が5分と長時間撮影の範囲になります。撮影ソフトはディザーをしながらガイド撮影をしたいので、今回初めてAPT (Astro Photography Tools)を使いました。PHD2との組み合わせで、ほとんど何も考えることなくうまくディザーまでできました。これについては後日、別記事で扱います。

また、恥ずかしながら今回初めて冷却してまともな撮影をしてみました。冷却のテストはしてたのですが、撮影したことなかったんですよね。ダークノイズが減るのはもちろんいいことなのですが、ダークフレームを撮るときに温度を一意に固定できることにありがたみを感じました。これまで6Dで撮影した後は、カメラを冷蔵庫に入れたりしてダークフレームを撮っていたので、それに比べたら随分効率がいいです。

実際の撮影ですが、そもそも開始時から結構西の空の方なので光害であまりいい方向ではありません。それでも4日目は透明度が良かったせいもあり、そこそこの画像を20枚得ることができました。約2時間の撮影後は近所の屋根に隠れてしまうような状況でした。


画像処理

画像処理はいつも通りのPixInsight (PI)です。1日目の画像はディザーなしで縞ノイズでいろいろ頑張ったけど今回もやはりどうしようもなかったので、4日目に撮った画像のみ20枚を使っています。フラットは撮ったのですが、うまく合わなかったので諦めてPIのDBE (Dynamic Backgroud Extraction) で済ませました。アンプノイズのところは適当にごまかしています。ダークフレームは-15℃で28枚、バイアスフレームは同じゲインであることに気をつけ、温度に依存しないはずなので常温で最短露光時間で100枚撮っています。

BatchProcessでスタックされた画像まで出した後、DBEとストレッチまでPIで済ませてTIFFで保存。それをStarNet++で恒星と背景に分けてPhotoshop CCに渡してあぶり出します。今回はDeNoiseは(試用期間が切れてまだ購入していないこともあり)無しです。DeNoiseを使うと綺麗になりすぎるので、淡いところとかの評価をしにくくなります。でも本当の理由は今月はお小遣いがないのでただの負け惜しみです。素直に使ってもっと綺麗にしたいです(笑)。ただし、NikCollectionのDfine2は使っています。

結果です。

「バラ星雲」
light_BINNING_1_integration_DBE_DBE_DBE_STR_all_PS5a
  • 撮影日: 2020年3月26日20時2分-21時59分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: SkyWatcher EVOSTAR 72ED
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • 撮影条件: ゲイン220、温度-15℃、露光時間300秒x20枚 = 1時間40分 
  • フィルター: サイトロン QBP(アメリカンサイズ)
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CCで画像処理

淡いところの諧調がまだ不十分で少し不満ですが、2枚玉アポ入門機で、自宅での撮影、しかも季節終わりの西の空でここまで出れば十分と言えるのではないでしょうか。光害を軽減し撮影時のコントラストを上げるという意味で、QBPの効果も大きいです。以前心配していたハロなども何も気になるところはありませんでした。アメリカンサイズのQBPも撮影レベルで十分な性能を発揮できていると思います。

その一方、やはりレデューサーを入れても最周辺には星像の歪みがどうしても残ってしまっています。撮って出しではほどんど目立たなかったと思っていたのですが、その撮って出し画像もよくみるとAPS-Cサイズでも僅かながら歪んでいることに気づきました。今回のCMOSカメラではバックフォーカスが長くなってしまい調整し切れていないので、接眼部を改良しバックフォーカスを短くすることで星像はまだよくなる可能性は残されているはずです。今回はその歪みがあぶり出しによっって目立ってしまっているようです。といっても、本当に一番外側だけで、少し中に入るだけで一気にマシになるので、周辺を多少トリミングするつもりで最初から画角を決めるのがいいのかもしれません。


恒星の出し方

あと、個人的には今回のポイントは恒星の処理です。StarNet++で恒星と星雲画像を分けるのですが、恒星画像の結合時にできるだけ境目が目立たないように、一部の明るい星をのぞいてサチらないように、色の特徴が残るように仕上げてみました。今年の目標課題の一つでしたが、少し時間をかけて探ることができたので記録がてら手法を書いておきます。

レイヤーは「覆い焼き(リニア)加算」にします。「比較(明)」とか他にもいろいろ試しましたが、恒星の色が失われずに残るのと、境目が変に段になったりせずに滑らかになるので、これが一番いいみたいです。多分、StarNet++で作った星雲画像から、恒星だけの画像をPhotoshopで作るときに「差の絶対値」で作るので、くっつけるときは「和」である加算の方が素直なのだと思います。

ただし、名前の通り「加算」なので星雲背景が明るいと、構成部分の明るさのためにすぐにサチってしまいます。この場合は恒星レイヤーをCamera Rawフィルターのハイライトを下げることで、サチらない範囲まで持っていきます。ただしこのフィルター、レイヤーのみを表示しながらしか調整できないので、元の画面に戻って効果を確認するなど、何度も往復して微調整をする必要があります。

あと、個々の恒星の外周と背景のつなぎ目の諧調が飛ぶ場合があるので、その場合はCamera Rawフィルターの黒レベルで調整します。ここら辺に気をつければ、あとは彩度で色を出そうが、多少何をしても破綻するようなことはないようです。


まとめ

元々、前回の記事でもう終わりにしようと思っていたのですが、せっかくの鏡筒だったのでバラ星雲を再度撮影し、画像処理まで進めてみました。アメリカンサイズのQPDの撮影での実力も見えたので良かったです。こちらはやると言っていてなかなかできていなかったので、やっと少し肩の荷がおりました。

周辺の歪み改善にまだ少し課題を残しましたが、結構綺麗に出たのではないかと思っています。これだけの画像を残せるなら十分なコストパフォーマンスであると言えるのかと思います。正直いうと、後1時間くらいかけて淡いところをもう少し出したかった気もしますが、季節ギリギリなのでまあこれくらいが限界かと思います。

少し前の記事で書いたように、タカハシの新マルチフラットナーを持っている方は、フルサイズのカメラで同程度の画角になるはずです。周辺像が気になる方はこちらで試してみてもいいでしょう。

今回の撮影を通じで、必要に迫られてですが、やっとAPTでのディザーもうまくできたので、今後CMOSカメラでの撮影にも力を入れていこうと思います。



今回はEVOSTAR 72EDでのいくつかの失敗などの裏話です。

前回までで、EVOSTAR 72EDのフルサイズの星像とレデューサーをつけた時の星像、追加でタカハシのマルチフラットナーを試した場合の星像を実際に撮影して示しました。





ところがこの試み最初全然うまくいかなかったのです。今回のお話は、何がうまくいかなかったのか、なんでうまくいかなかった、そんな反省の記事です。


フルサイズの撮影にいたるまで

EVOSTAR 72EDを受け取ったのが1月30日、最初のテストでASI178MCで簡易星雲撮影をしたのが2月1日、





2つめの記事の公開が、2月10日になります。主にこの2つめの使用記でのコメントをもとに、フルサイズの星像に挑戦しようと思うとともに、同じくリクエストのあった72ED用の専用レデューサーを借りることができないか、シュミットさんの方に問い合わせてみました。すると、ちょうど一つサンプルでレデューサーがあるというので、送ってもらえることになりました。

やはりアクロマートと言っても2枚玉なので、そのままフルサイズで写すだけだと星像の流れが大きいことが予想されます。でもレデューサーがあれば俄然やる気が出てきます。とりあえずレデューサーが到着するまで、撮影を進めることにしました。


ASI294MC画像の片ズレ

短時間だけ晴れた2月14日(金)の夜中近く、EVOSTAR 72DとASI294MC Proを使って、いきなりフルサイズには行かずに、まずはフォーサーズ相当での画像チェックをしてみました。なぜフルサイズにいかなかったかいうと、3つくらい理由があって、
  1. アメリカンサイズのQBPをCMOSカメラに取り付けての撮影テストを同時に試したかった。
  2. いきなりフルサイズだと、大きすぎる星像の流れが予想された。
  3. 手持ちのEOS 6Dへの接続準備がまだできていなくて、前回と同じCMOSカメラをアイピース口に差し込むだけの方が簡単だった。
ということくらいです。あまりたいした理由でないですね。単にフルサイズの接続が、その時面倒だっただけとも言えます(笑)。

ASI294MCをAZ-GTiをEVOSTAR 72Dとに取り付け、AZ-ZTiに載せ経緯第モードで薔薇星雲を自動導入します。SharpCapで10秒露光をLiveStackで18枚重ねて保存し、それを1枚の画像とします。合計5枚撮影したので15分ぶんの画像があります。他にも4枚の12分ぶんの馬頭星雲と燃える木も撮影しました。

ところがどの画像を見てもなぜか片側がずれるのです。その中の1枚です。撮影したFITS画像をPixInsightでオートストレッチして、JPEGに変換してあります。四隅の切り出し画像も載せておきます。

Stack_00_40_54_16bits_18frames_180s

Stack_00_40_54_16bits_18frames_180s_cut9

レデューサーなどの補正レンズをまだ使っていないので、四隅で流れるのは仕方ないのですが、明らかに左右のズレ方が違います。左側の方がズレが大きく、右側の方がズレが小さいです。他の4枚の画像も、馬頭星雲4枚も比べましたが、全て同様の傾向でした。私は当時この片ズレを鏡筒のせいだと思い込んでいました。


レデューサーでも片ズレ、しかも星像改善みられず

その後、シュミットさんからレデューサーが届いたのが2月15日、次に晴れた2月19日の平日、曇るまでの少しの間レデューサーをつけて、再度ASI294MC Proで同様の撮影をします。この時もAZ-GTiに載せて10秒露光の18枚LiveStackで180秒露光が一枚画像なのは変わりません。この日は10枚のバラ星雲を撮影しました。その中の1枚ですが、他の9枚も同様の映り具合です。

Stack_20_10_37_16bits_18frames_180s

Stack_20_10_37_16bits_18frames_180s_cut9

やはりこの場合も左側の星像の伸びが大きくて、右側が小さいです。右側は前回より少しだけマシかもしれませんが、それでも全然です。問題はこの時きちんとレデューサーつけてるんですよね。レデューサーは星像をかなりマシにするはずです。もしこの結果が本当だとしたらレデューサーでの星像改善が全然なされない!?ことになります。

ここでそうとう悩みました。もしこの片ズレが鏡筒から来ているのなら、カメラ側のスケアリング調整で直る可能性もあります。一旦シュミットさんと電話で相談して、「もしスケアリング調整でも片ボケが直らないのなら一度送り返してもらって調整してみましょうか?」という提案も頂きました。この個体だけなのか、もし他のユーザーにも同様の傾向があるなら販売店として心配だという思いがありありと伝わってきました。「いずれにせよ次の晴れ間に再度確認して、それでもダメなら送り返します。」という約束をして、次の晴れ間を待つことに。結構気合の必要なテストなので、ある程度の時間安定した晴れ間が必要です。


TSA-120での片ズレ!?

その間、短い晴れ間を利用してTSA-120のテストなどをしていたのですが、ここで重要なことに気づきました。

3月3日のトラペジウム撮影の際のことです。M42をTSA-120をCGEM IIに載せてASI294MC Proで1秒露光で60回LiveStackして、それを14枚重ねました。

integration1

integration1_cut9

20時41分から21時17分となっているので、実際にはスタック失敗のコマ落ちがたくさんあり、36分間かけて14分ぶんの画像を撮影しています。その14枚をスタックしたものをですが、ガイド撮影とか何もしていないため36分で一方向に結構な距離流れてしまい、縞ノイズが見えています。

四隅を気をつけて見てみると、右下の星像の伸びが一番ひどく、左上もまあひどい。一方、右上と左下はそれほどでもありません。このズレは当然、ガイドなしのために30分の撮影の間に赤道儀が左上から右下にかけて流れて知ってしまったために起こったものなのですが、少なくとも右下左上と右上左下でここまで違いが出るのです。

ここで「あ、EVOSTAR、片ズレとか言っていたけど、もしかしたら追尾のせいかも」と思うに至りました。EVOSTARでの撮影、鏡筒が軽いのをいいことに手を抜いてAZ-GTiで撮影していたのです。しかも1枚の画像が180秒露光に相当します。そもそもAZ-GTiの経緯台モードで撮影しているので、画面は1日で360度回転します。

例えAZ-GTiが誤差なしで完全に天体を追尾しても、3分間だと360度 x 3分 / (24時間 x 60分) = 18/24度 = 45分角と結構ズレます。これは0.013radに相当するので、画像の横幅が4144ドットとすると、4144 x 0.013 = 54ドットもずれていることになります。回転ズレはあぷらなーとさんが以前コメントしてくれたように、南天で最大、東と西で最小になりますが、この時はまだ西に沈む前。そこそこの回転速度のはずです。さらに加えてAZ-GTiの追尾誤差が入ってきます。

今回のズレの主な原因が回転だとしたら、効きは当然左右で逆方向になります。片ズレにもなるわけです。また、これだけずれていたらレデューサーの星像補正もへったくれもありません。


赤道儀を使った短時間露光撮影でやっと解決

というわけで、改めて鏡筒の片ボケ(まだこの時は片ボケも仮定はしていました)と視野の回転から来るズレを分離するために、まずは赤道儀に載せます。今回はCGEM IIを使い、極軸もSharpCapの極軸ツールを使い1分角以下のズレまで抑えました。また、露光時間も30秒に抑え、時間によるずれの効果を少なくしました。カメラも当然一気にフルサイズです。

その結果が、前回の



になるわけです。実際に撮影してみると、鏡筒の片ボケなんかは存在せず。純粋にAZ-GTiでの経緯台モードでの撮影から来る回転と、追尾の精度(光学系による星像の悪化を評価するには、露光時間が長すぎたということ)が問題だったということがわかりました。

その上でレデューサーの星像補正の効果も十分に見ることができたというわけです。これでやっと一安心できました。


反省点

今回のことは色々教訓を含んでいます。まず技術的な面。
  • 経緯台での自動追尾は長時間露光だと星像が大きく流れてしまう。
  • 誤差は一番大きなものが出てしまうので、レデューサーの微妙な補正効果などは吹っ飛んでしまう。
  • 赤道儀でも長時間の追尾ズレ(ノータッチガイド、ガイド鏡のたわみなどによるガイドのドリフト)でも星像を壊す可能性が十分にある
  • いくら性能のいい鏡筒を使っても、運用上のずれでその性能は容易に台無しになってしまう可能性がある
といったところでしょうか。普段気を付けているつもりだったのですが、今回軽い鏡筒ということもあり「AZ-GTiでいいや」と完全に油断しました。撮影時は精度が必要と、今後肝に銘じておく必要があります。

もう一つ、こちらは別の意味でもっと重要なのですが、機器をお借りしての評価なので、間違った方法で判断してしまうと、メーカーの信頼を損なう恐れがあることです。もともと勝手に始めた評価だったのですが、自分の発した言葉には必ず責任が伴ってきます。自分のことだけならまだしも、他人を巻き込んでのことなので、安易な結論を出す前に、きちんと考える必要があります。以下が、今回得た教訓と言ってもいいのかもしれませんが、
  • おかしなことがあっても、必ず別の日、別の条件などで再現性があるか試す。
  • 納得がいかなかったら、原因を色々考える。
  • 安い機材だからダメだとか、高級機だからいいとか、先入観を持たない。
以上のことは、お借りした機材だけでなく、自分だけのテストでも心がけるようにしたいと、切に思うようになりました。

実際、今回は鏡筒がおかしいと判断して送り返してしまう一歩手前まで行きました。当然送り返した先の検査では問題ないと出たでしょうし、そうなると泥沼です。このブログを読んでくれている方に間違った情報を伝えてしまいますし、このブログの内容も信頼をなくすことになるでしょう。もしかしたら機材の売り上げにも影響するかもしれません。

もちろん、所詮個人が試しているレベルのことなので、ミスもあるでしょうし、これからも勘違いもあることでしょう。完璧は難しいですが、今回のことを反省材料に、できる限り客観的に、精確に評価できるよう心がけてきたいと思います。


まとめ

正直、実際に撮影しながらレデューサーの性能が出た時、やっとほっとしました。評価終了までずいぶんと時間がかかってしまったので、サイトロンさんには申し訳なく思っています。

今回の反省記事も含めて4回(最初の簡易星雲撮影も入れたら5回 (2020/3/30 追記: ついでにおまけ記事撮影まで試したので計7回の記事になりました。) )にわたりEVOSTAR 72EDについて書いてきました。色々紆余曲折もありましたが、実際に触りながらのレポートで、EVOSTAR 72EDの魅力も十分に伝わってくれていればと思います。

EVOSTAR 72EDですが、電視観望鏡筒として、入門機の次のステップとして、初めての撮影になど、すでに持っている方も、今後実際に購入して試す方もたくさんいらっしゃるかと思います。レデューサーはじめ、いろいろ工夫することで撮影にも十分耐えうる鏡筒だと思います。値段も付属品の充実具合とともに、アポクロマートとしては十分魅力的だと思います。

今回の私のような失敗をしないように、いや例え失敗したとしてもきちんと検証して次に進み、鏡筒が持っている性能をうまく引き出すことができるようになると、さらに楽しさが増すのかと思います。今回のEVOSTAR 72EDは、そんなテストにも十分耐えうるだけの性能を持ち、かつ値段的にもいろんなテストが気軽にできる、ある意味とても使いがいのある鏡筒なのかと思います。鏡筒の性能を十二分に引き出して、もしそこで不満が出たら次のステップに進むのも、さらにまた道が広がっていくのかと思います。

EVOSTAR 72EDシリーズの記事もこれでひと段落になります。また何か面白いことがあったら記事にします。

追記: その後撮影の一例として、レデューサーにASI294MC Proをつけ、バラ星雲を撮影し画像処理まで進めてみました。


おまけ、カメラ落下事件

あ、撮影中にカメラ(EOS 6D)を落下させたこと書くのを忘れてました。これも失敗の一つです。

私の持っているM42から2インチスリーブへの変換のカメラアダプター、長さが1cm位と短いのです。しかもそのアダプターを固定する2インチスリーブの3つあるネジの一つを閉め忘れて赤道儀に鏡筒を取り付けたら、6D君が見事に外れてそのままアスファルトの地面に落下。落下はC8以来、久しぶりにやらかしました。

実はこのカメラL字アルカスイスプレートをつけてあって、後で傷を見たら、ラッキなーことにそのL字プレートのところで地面に激突したみたいです。

IMG_9747


動作も問題ありませんでした。L字アダプターさまさまです。アダプターの選択と、ネジの閉め忘れには十分なご注意を。



先日テストした、シュミットさんからお借りしているEVOSTAR 72EDですが、簡易星雲撮影ということで、カメラに1/1.8インチというセンサー面積の小さいASI178MCを使い、星像が綺麗な中心像を主に使った例を示しました。




コメントの中で、APS-Cやフルサイズ面積の星像もみたいというリクエストがありました。天気もあまりチャンスがなく、トラブルなどもありなかなか進展していませんでしたが、やっとまともに検証できたので結果を示したいと思います。


一眼レフカメラの取り付け

72EDには2インチアイピース口が標準となります。基本的には他のアダプターなどは付属していないので、一眼レフカメラを取り付けために、いくつかのアダプターをあらかじめ準備しておく必要があります。

まずは、EVOSTAR 72EDの販売ページに行ってみます。



そこに色々なオプションパーツへのリンクが張ってあります。この中で必要なものを挙げていきます。

とりあえずはカメラ接続だけなら2インチの延長等を兼ねたM42への変換アダプター



が必要になります。これがあればあとはカメラメーカーごとに対応したT2マウントアダプターがあれば、手持ちの一眼レフカメラに直接接続できます。




撮影だけの場合は上記のものでいいのですが、普通は31.7mmサイズのアイピースも使うと思いますので、上記の代わりに別のM42ネジになっていないタイプの2インチ延長筒と、2インチから1.25インチの変換アダプターにしておいた方がいいかもしれません。





この場合、カメラを取り付けるにはさらに2インチスリーブとM42ネジへの変換アダプターが必要になります。



実はカメラを鏡筒に取り付けるだけなら、2インチスリーブとM42ネジへの変換アダプターだけでもいいのですが、フォーカサーの伸びに限界があるためピントが出ません。そのため実際には延長筒は必須になります。

私は今回は後者のタイプでカメラを接続しています。後者の場合もT2マウントアダプターが必要なのは、前者と同様です。

実際に接続した場合、下の写真のようになります。

IMG_9649

惜しむらくは、鏡筒バンドを取り付けることのできる位置が限られているので、一眼レフカメラを取り付けるとどうしても後ろが重くなりがちになってしまうことです。赤道儀などに取り付ける際はバランスに注意が必要です。


72ED用、専用レデューサー

前回の評価記事のコメントの一つに「レデューサーの性能も見たい」と言うようなコメントがありました。でも今回お借りしたのは鏡筒だけで、レデューサーは無いんですよね。

と・こ・ろ・が、前回の記事を見てシュミットさんが、な、なんと、レデューサーも評価用のサンプルがたまたまあるとのことで、貸してくれることになりました。これで俄然撮影の方もやる気になってきます。

ジャンジャカジャーン!とうとう専用レデューサー到着でーす。

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「焦点距離を0.85倍に縮小し(焦点距離357mm 口径比4.9)、視野周辺の星像を改善する」とのことなので期待大です。定価は40,975円(税込)ですが、今ホームページを見ると20%オフになっていて税込 32,780円になっていました。鏡筒の値段が税込 47,300円なので、決して安いものではありませんが、価値があるかどうかは後の実際の画像を見て判断してみてください。


専用レデューサーの実際の取り付け

レデューサーの取り付けは、中にマニュアルが入っているので迷うことはないかと思います。ただ、日本語になっていないので少しわかりにくいかもしれません。簡単にですがここで解説しておきます。

まず、付属の2インチスリーブを回して取り外し、代わりにレデューサーに付属のアダプターリングを取り付けます。レデューサー本体の前後のキャップを回して外し、そのアダプターリングに直接取り付けるだけです。

IMG_9505


(お詫び: 初出記事にレデューサーのネジ径に間違いがありました。レデューサーのカメラ側の接続ネジはM48径が正しいです。ご迷惑をおかけしました。)

次にカメラ用アダプターの接続ですが、ここで問題が発生しました。レデューサーのカメラ側のネジがM48ではないようで、普通のT2アダプターだとM42が標準のようでねじ込むことができません。

ホームページ
にはきちんとM48と書いてあります。しかもよく見ると「同社」専用アダプターを使って下さいと書いています。

EOS用、NIKON用があるようです。





さらに専用の回転装置もあるようです。



回転装置は鏡筒とレデューサーの間に挟むものなので、レデューサーとカメラ間の距離はカメラアダプターのみで決まるようです。

さて、レデューサーについているカメラ側のネジを実測するとM53のやはりM48のようです。私の場合はたまたま持っていたタカハシのカメラマウントDX-S EOS:KA01250がM53の一段下がった内側についているネジがM48だったので、接続だけはできました。

下の写真の左がレデューサー、右側のアダプターが一般的なT2アダプターでM42(自宅にあるのは3つともM42でした)、真ん中がタカハシのM53ので外側がM53、内側にM48が切ってあります。径の違いが写真でもわかるかと思います。カメラ接続アダプターを購入するときはT2(M42)でなく、間違えずにM48のものを選んでください。バックフォーカスも考えると、上記の専用品を買うのが良いのかもしれません(すみません、今回は検証できていません)。


IMG_9738


今回このタカハシのM53のアダプターの内側のM48を使って固定することで撮影しましたが、専用品と違ってカメラセンサーまでの距離が変わりますし、ねじ込みも数回転しかねじ山が引っかからずに少し不安だったので、あり合わせのものを使わずに、専用品を購入した方がいいでしょう。

さて、とりあえず撮影の準備ができました!実際に撮影して星像を見てみましょう。


撮影環境

今回はセットアップしたEVOSTAR 72EDを手持ちの赤道儀CGEM IIに鏡筒を載せて撮影しています。
  • 露光時間30秒でM42付近を撮影しています。
  • テスト撮影で星像を見るだけなので、1ショットの30秒短時間撮影の撮って出しとしています。
  • スタックなどの画像処理は一切していません。
  • QBPなどのフィルター類も入れていません。
  • カメラはEOS 6D。天体用に赤外線フィルターを外したものです。

赤道儀への取り付けですが、先に書いた通り、前後バランスはやはりカメラがついているせいもあり、後ろ側が重いです。赤道儀に取り付ける際、できるだけ前の方に取り付けるようにします。


フルサイズ星像

撮影結果です。まずは鏡筒単体です。露光時間30秒は全部共通、ここでのISOは3200です。JPEGの撮って出し画像になります。

IMG_5427

やはり、アポクロマート鏡筒と言っても2枚玉の限界、さすがに四隅の星像は大きく歪んでしまっています。さらに気になるのが周辺減光です。撮って出しなのでなんの加工もしていません。思った周りが暗くなるようです。

四隅を拡大して見てみます。300ピクセル四方を切り出しています。最周辺の8マスがフルサイズ換算、中の周囲8マスがAPS-C相当になります。

IMG_5427_cut

中心像はいいのですが、やはり素のままの鏡筒ではフルサイズでもAPS-Cでも星像の流れは大きいです。


専用レデューサーでの星像

次に、専用レデューサーでの星像です。0.72倍で明るくなるので、ISOを1600に落としてあります。あとは露光時間30秒も含めて全て同じ条件です。あ、回転角は取り付け時にサボって合わせなかったために(合わせるためにはイモネジを緩めて調整する必要があります)適当です。こんなことを回避するためにも専用回転装置はあったほうがいいのかと思います。

IMG_5429

レデューサーのおかげで鏡筒単体に比べて、圧倒的に星像が改善されています。あと、特筆すべきが周辺減光の改善です。普通は周辺減光厳しくなるのかと思いましたが、JPEG撮って出しで特に何もしていないので、実際に改善されているものと思われます。

四隅も拡大して見てみます。

IMG_5429_cut

相当いいです。フルサイズだと、よく見るとまだ少し歪んでいるところもありますが、APS-Cだとほぼ点像になっています。しかも今回使ったカメラ接続アダプターが専用のものではないので、レデューサーとカメラセンサー間の距離がメーカー推奨値と違うため、最適化されたものとはまだ違う可能性があることも考慮に入れておく必要があります。それでも十分な星像です。

手持ちのものに例えるなら、フルサイズだとFS-60CBにレデューサーをつけたものとそう変わりはないくらいでしょうか。この値段でこれだけの星像を得られるのは、ある意味驚きです。撮影にも余裕で耐えることのできる十分な性能だと思います。


まとめ

今回の記事で、フルサイズまでの星像を見てみました。素のままでは2枚玉の限界もあり、四隅の星像は乱されてしまいますが、レデューサーをつけることで相当改善することがわかりました。APS-Cサイズならほぼ点像、フルサイズでも十分許容範囲の星像です。

初めてのアポクロマートとしては相当魅力的な値段がつけられているEVOSTAR 72ED。前回の記事で電視観望用として最適ではと書きましたが、レデューサーを取り付ければ撮影用鏡筒としても十分な性能を発揮しそうです。


EVOSTAR 72ED関連の記事、まだ続きます。あと2つくらいネタがあります。乞うご期待。

2020/3/15 追記: 次の記事でレデューサーに引き続き、フラットナー?を試しています。




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