ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > TSA-120


めずらしく晴れた!さあ撮影だ!

1月20日と21日、珍しく1日半程度、撮影ができるくらいに晴れました。しかも昼間の立山があまりにきれいにくっきり見えました。透明度はいいに違いありません。

もうずっと晴れてなくて、途中短時間の電視観望や太陽撮影はありましたが、星雲に関して言えば前回の撮影日が12月9日でオリオン大星雲なので、もう一月以上撮影できていません。



M42は楽しかったですが、昔撮ったものの取り直しも飽きてきたので、今回はあまりにメジャーな明るいものでなく、少し淡いモクモクしたものを撮りたくなってきました。そのための最初の一歩になります。平日なので自宅撮影です。でもそもそもそんな淡いモクモク、遠征せずに撮れるのでしょうか?

ターゲットですが、この時期でTSA-120と6Dで撮れる画角のものから選びます。いろいろ考えてオリオン座の上の方のM78としました。まだ真面目に撮影したことがないので、初撮影になります。かなり昔、電視観望では見たことがありましたが、中心以外はかなり暗いのでほとんど何も映らなかった記憶があります。


半月が出ててもフィルター無しで撮影

今回は少し課題をつけます。
  1. 平日なので自宅になるため光害は気にしない
  2. 冬の北陸で天気のいい日がかなり限られているので、月があっても厭わない。この日は月齢7日で、ほぼ半月。沈むのは0時頃ですが、そのころにはオリオン座も結構西に傾いてしまっているので、夜の早いうちから撮影を始めます。
  3. M78は白色や青色が豊富なので、フィルターを入れるとどれくらい色が変わってしまう可能性があります。なのでNo光害フィルターでいきます。ただし、恒星にハロが出る可能性があるのがわかっているので2インチのUV/IRカットフィルターを入れます。
要するに、ほとんど光害対策をしなくてどこまで淡い天体が出るかということです。

これまでQBP、CBPなどを使って、自宅でも輝線スペクトルをそこそこコントラスト良く出せることを示してきました。しかしながら、これらはかなり強力な光害防止フィルターのようなものなので、たとえ輝線スペクトルをきちんと通すとしても、カラーバランスが崩れてしまうことはどうしても避けられないのかと思います。例えばQBPではかなり赤によりがちになります。CBPは青をもう少し出してくれるのでまだマシかと思います。ところが、特に今回のM78のように、反射星雲だと波長は恒星によるはずで、QBPやCBPでは本来あるべき波長がカットされてしまっている可能性があります。また、暗黒星雲とその周りのモクモクの色なんかも光害カットフィルターで様子が変わってしまうのでは思っています。これはCBPで網状星雲を撮影したときに、右側に出るはずの広い暗黒星雲が全く出てこなかったことに起因します。

実はこのフィルター無しでとこまで写るのか、ずっとやってみたかったのです。だってHIROPNさんが都心で低ISOで成果を出しているし、トータル露光時間を伸ばせば背景光ノイズは相当小さくできるはずで、必ず記録はされているはずの天体情報は、うまくすれば引き出すことができるはずだからです。でも失敗してせっかくの撮影時間をまるまる潰す可能性があるので、なかなか勇気が出ませんでした。


撮影開始、でもやはり光害の影響はすごい

そんなこんなでいろいろ考えながらも、準備を焦らずゆっくりして、22時近くから撮影を始めました。6DでISO800、露光時間は3分です。ところが途中で試しに1枚、ABEで滑らかにしてオートストレッチ後、HTしてみたのを試しに見てみたのですが、もうひどいものです。

LIGHT_180s_ISO800_0c_20210120_23h55m36s483ms_RGB_VNG_ABE

リングは多分ABE由来ですが、M78自身が中心以外ほとんど何も写ってません。センサーの汚れも目立ちます。衛星もたくさん写り込んでそうです。どうもこの超ノーマル状態での光害下での撮影はだめそうです。

ちなみに撮って出しJPEGだとそれこそほとんど何も写ってません。

LIGHT_180s_ISO1600_+8c_20210120-21h32m46s782ms

この時点でかなりやる気をなくしたのですが、また設定し直すのも面倒なので、そのままフテ寝してしまいました。朝起きて確認すると夜中の1時頃でカメラのバッテリー切れで止まっています。トータル3時間、月が沈むのが0時だったので、最初の2時間分はまだ月が出ていたことになります。もうだめそうだし、時間も途中で切れてかけれなかったのでここで諦めても良かったのですが、次の日も途中までは晴れそうです。

結局二日目も同じ構図で、少し撮り増し。というか、どうせ途中で曇る予報なので新たに別の天体を撮り切る時間もなさそうですし、M78なら前日の設定が全て残っているので、楽だったからと言うのが実際の理由です。二日目は準備もほとんどできているので、少し早めの18時過ぎから撮影を始めました。天気予報通り、21時すぎで雲が出てきたのでここで終了。この日も3時間程度の撮影時間でした。


スタックした画像を見てみると!

こんな状態だったので、画像処理もあまりやる気にならずに半ば諦めて放っておいたのですが、一応後日フラットとフラットダークを撮影してPixInsightでスタックまでの画像処理をしてみました。

ダークとバイアスは以前の使い回しなので、最近は楽なもんです。ISOと露光時間を合わせておくと、冷蔵庫法のダークライブラリの構築がそこまで大変でないです。スタック後の画像を見てみると、なんと意外にいけそう。下はオートストレッチ後、HistgramTransformation (HT)で適用したものです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180.8

失敗画像を除いても5時間越えぶんの露光時間が効いたのでしょうか?色もきちんとついてますし、暗黒体の部分も結構出ています。

これは俄然やる気になってきました。


フラット補正とカブリ

ただし上の画像、フラットフレームを部屋で別撮りで撮ったので、実際の空とは違いどうしても1次的なカブリが残ってしまっています。

今回フラットフレームの撮影も簡易的な方法に置き換えました。昼間に太陽が出てる時、もしくは全面曇りの時に、部屋の中の窓から少し遠い白い壁を写すだけです。注意点は
  • 鏡筒の影を避けるために、壁に近づけすぎないこと。
  • 以前は鏡筒の先にスーパーの白い袋をかぶせていたが、今回はそれも外したこと。
  • ISOを同じにして、露光時間を短くしてヒストグラムのピークが中央らへんにくるようにすること。
  • その場で蓋をしてフラットダークも一緒に撮影してしまうこと。
などです。以前は晴れの日を選んで、スーパーの袋をかぶせていました。太陽が出ていて雲が横切ると明るさが変わってあまり良くなかったのですが、空一面の曇りなら大丈夫ではということです。あと、どうせピントは合わないので(多少壁はざらざらしているが)スーパーの袋はなくてもいいのではと言うところが改善点です。

さて、上の画像に残るカブリを取りたいのですが、左下の赤い部分はバーナードループなのでこれは残したいです。こんなときはABEはあまり使えません。実際にABEを1次で試しましたが、赤い部分が大きく取り除かれてしまいした。こんな時はDBEの方がよく、しかも点数をかなり制限してやります。実際打ったアンカーは数えたら10個ちょいでした。

DBE
(アンカーが見やすいように少し画面を暗くしています。)

これでできたのが以下のようになります。カブリが取れて、かつ左下の赤いのはしっかりと残ってます。

masterLight_180_8_integration_DBE4


ここでPCCのトラブルに直面

この後はPCCで、恒星の色を合わせます。ところがところが、肝心な時にPCCがなぜかうまく動きません。これで2日ほどストップしてしまいましたが、その顛末は前回の記事にまとめてあります。




ストレッチからPhotoshopに渡して仕上げへ

PCCがうまくいったあとはArcsinhStretch (AS)を何度かに分けてかけ、ストレッチします。ASは彩度を落とさない利点があるのですが、恒星の鋭さが無くなるので、StarNetで恒星が分離しきれない問題があります。そのため、ストレッチ前の画像から改めてScreenTransferFunctionでオートストレッチして、HTで適用することで恒星を鋭くしました。こうすることでStarNetできちん恒星と背景を分離できるようになります。分離した恒星画像から星マスクを作ります。実際にMaskとして使うにはMohologiacalTransformationのDilationをかけて少し(1.5倍位)星像を大きくします。

あとはPhotoshopに渡していつものように仕上げです。基本はほとんどが先ほど作った恒星マスクを当てての作業になります。DeNoiseも使います。そういえばDeNoiseのバージョンが2.4.0に上がり、Low Lightモードのノイズがさらに改善されたとのことです。DeNoiseは非常に強力ですが、それでもやはりマスクの境や、モコモコしたカラーノイズのようなものが出るなど、悪影響がどうしても残ってしまうことは否めません。今後はいかにDeNoiseから脱却することが課題になってくるのかもしれません。

結果を示します。少しトリミングして90度回転しています。

「M78」
masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut

  • 撮影日: 2021年1月20日21時51分-1月21日1時12分、1月21日18時12分-21時20分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー + SVbony 2inch UV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI120MM miniによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO800,  露光時間: 180秒 x 108枚 = 5時間24分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
どうでしょうか?光害下で、Noフィルターとは思えないくらい出たのではないかと思います。自分でもびっくりです。M78はこれまでも何度か挑戦しようとして諦めていたので、これくらい出ればそこそこ満足です。

ついでにAnotationです。

masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut_Annotated



考察

今回の結果はある意味一つの挑戦です。

光害や月明かりが、実際の仕上げまでにどこまで影響するかです。はっきり言って、庭で半月でフィルターなしでここまで出てくるとは全く思っていませんでした。少なくとも1枚画像を見たときはこのチャレンジは失敗だと思っていました。

色バランスを考えた場合、フィルターは少なからず影響を与えます。なので色の再現性だけ考えたときには、フィルター無しの方が良いのかと思います。その代わり当然ですが、フィルターが無いと光害地では明るい背景光やカブリが問題になります。

明るい背景光は大きなノイズ(ノイズは明るさのルートに比例します)を出すので、淡い天体はノイズに埋もれてしまいます。それでも背景光に比べて、天体の明るさの分、少しだけ明るく記録されます。背景光のノイズは多数枚スタックすることで小さくなります。ヒストグラムで考えると、ピークの広がりが小さくなるということです。ノイズピークの広がりが小さくなれば、その一定値に近くなった明るさの中央値をオフセットとして引くことで、天体をはっきりと炙り出すことができるようになります。トータルの露光時間が増えれば、多少の光害地でも淡い天体を炙り出すことは不可能ではないということです。

ではフィルターの役割はなんでしょう?まずは背景光のノイズを光の段階で軽減させることが一番の理由でしょう。もちろん程度問題で、暗いところで撮影したら光害防止フィルターの効果は小さいでしょう。逆にあまりにひどい光害地でフィルターなしで撮影しても、一枚あたりの露光時間をろくにとれなくなったりするので、どうしてもフィルターが必須という状況もありえるでしょう。

あとこれは個人的な意見ですが、フィルターのメリットの一つは画像処理が圧倒的に楽になることではないかと思います。今回の光害下での撮影の画像処理は結構というか、おそらく初心者から見たらかなり大変です。例えばカブリ取りなんかは相当戦略を考えて進めることになります。こういった困難さを避けることができるのなら、光害防止フィルターは大きな役割があると言っていいのかと思います。

逆にフィルターのデメリットの一つは、すでに書きましたがカラーバランスが崩れるということがあると思います。画像処理で多少は回復できますが、それはそれで負担になってしまいます。あと、高級なフィルターの場合、値段もデメリットの一つと言えるのかと思います。

フィルターを使う使わないは、状況に応じて臨機応変に考えれば良いのかと思います。それでも今回、光害地で半月が出ている状況で、フィルターなしでも、画像処理によっては淡い天体をある程度炙り出すことも可能であるということが、多少は示すことができたのではないかと思います。このフィルター無しの方法が、どのくらいひどい光害まで適用できるのか、ここら辺は今後の課題なのかと思います。

今回は失敗かと思ったところからの大逆転、かなり楽しかったです。



 

ここしばらくシリーズ化しているメジャー天体撮り直しシリーズ、M31アンドロメダ銀河M45プレアデス星団に続き今回はM42オリオン座大星雲です。







これまでのオリオン大星雲

M42は初期の頃からのFS-60Qでの撮影も含めて、


QBPのテスト
の時や、


AZ-GTiの赤道儀化のとき


ラッキーイメージングなど細部出しに特化したもの、


また明るい天体のため、電視観望でもよく見ることができ、見ている画面を保存して簡易的に画像処理してもそこそこ見栄えのするものができてしいます。


電視観望の応用でAZ-GTiの経緯台モードでの撮影も試したりしました。


TSA-120を手に入れてからも、フラットナーがない状態でも解像度ベンチマークなどでトラペジウムの撮影を中心に何度も撮影してきました。分解能に関して言えば、この時が最高でしょう。


その後、昨シーズン終わりにやっとTSA-120用に35フラットナーを手に入れてから一度テストしていますが、四隅の星像の流れはもちろん改善していますが、中心像に関してはフラットナーなしの方が良かったというのが以前の結論でした。



でもテスト撮影も多く、なかなか満足のいく露光時間はかけていませんし、仕上がりに関してもまだまだ細部を出すことができるはずです。今回はそれを踏まえての、初めてのまともな長時間かけての撮影になります。


撮影開始

撮影日は平日でしたが冬シーズンにしてはたまたま晴れていた(次の日からはまたずっと天気が悪い予報)のと、月が出るの午前1時過ぎと、多少の撮影時間が確保できそうでした。平日なので自宅での庭撮りになります。夕食後準備を始めました。このシーズンオリオン座は夜の始めはまだ低い高度にいるので、焦らずに準備できます。

鏡筒はTSA-120。これに35フラットナーをつけて、前回M45の撮影の時に準備したCA-35とカメラワイドアダプターをつけます。カメラはEOS 6D。フィルターはここのところ光害地では定番のCBPです。青を少し出したいことと、赤外での星像肥大を避けることが目的です。赤道儀はいつものCGEM IIです。撮影環境はStick PCにBackYardEOSを入れて、PHD2で二軸ガイド。

一つ気をつけたことが、Stick PCの電源を最初から大容量バッテリーのAC電源出力からとったことです。これは、これまでSharpCapでの極軸合わせなど計算量が多くなった時に何度か落ちたことからの反省です。前回のM45の撮影時の画像連続チェックで落ちてからAC電源に交換して、それ以降落ちなかったので、その経験から今回は最初からAC電源です。効果はテキメンで、SharpCapでの極軸合わせの時も全く問題ありませんでした。ダメな時はネットワークが不安定になるところから始まるのですが、そんな兆候も全然なく、やはりネットワークがダメだったのも計算負荷にで電力がネットワークアダプターのほうに回っていなかった可能性が限りなく高かったと言う結論になりそうです。


オリオン大星雲の撮影目標

せっかくの明るい星雲なので、
  • 階調と分解能をできるだけ出すこと。
  • 長時間露光でノイズを抑えること。
  • 星雲周りの分子雲を出すこと。
  • トラペジウム周りで飛ばないこと。
などを目標とします。

露光時間は淡いところを出したいので300秒とします。自宅庭撮りでこれだけ長くできるのはCBPなどの光害カットフィルターがあるからです。長時間露光の代わりに、ダイナミックレンジを稼ぎたいのでISOは少し低めの800としました。これでヒストグラムのピークが1/5くらいのところになりました。それでもトラペジウム周りは完全にサチってしまうので、別途同じISOで1秒露光のものを20枚、最初に撮影しておきました。同じISOにしたのはバイアスとフラットが使いまわせると目論んだからです。でも、後で書きますが、この目論見は失敗に終わります。


露光時間とISO

ISO800にした理由ですが、このページを見るとISO100の時のダイナミックレンジが12bit=4096、ISO800で11.5bit=2896とそこまで落ちないからです。さらに300分の1の露光時間の1秒露光で20枚ほど撮影してあるので、うまくつなぐとさらに300倍のダイナミックレンジ(2896x300= ~869000)を稼ぐことができることになります。

でもまあ、画像に写っている中で一番明るいオリオン座のι(イオタ)星のHatysa(ハチサ)が2.75等級なので、それより例えば15等級下の17.75等級を見ようとすると100万のダイナミックレンジが必要になり、既に不足となります。300秒露光の画像は既に背景のヒストグラムで最大値の1/5位のところにあるので、ということは背景の5倍の明るさで既にサチることになってしまいます。こうやって考えると恒星に割り当てることのできるダイナミックレンジはものすごい小さいことになってしまいますが、これでいいのでしょうか?何十枚もスタックして背景のランダムなノイズを下げ、オフセットは引くことができるので、もちろん1枚の時よりダイナミックレンジは増えます。画像処理のストレッチ過程で暗い恒星を炙り出すので、RAW画像の見た目の5倍というよりは実際にはもっと広いダイナミックレンジを扱うことができます。それでもサチっているところはサチったままです。

逆に言うと、背景に近い暗黒帯などは(低い方の)ダイナミックレンジが十分にあるところで情報としてRAW画像の中に残しておかないと、きちんとした諧調で表現することができなくなります。例えばPhotoshopでRAW画像を見たときに背景ピーク位置が256段階の3くらいのところにあったとします。ピークの幅が3くらいで、この中に暗い部分の背景の情報が入っているとします(実際には欲しい部分は背景のピークより少し値が大きいところにありますが、幅は同程度と仮定しています)。16bit=65536で処理するとすると1段回で65536/256=16階調あることになるので、3段階だとわずか48階調で背景の暗黒帯や対象天体の淡い部分などを表現することになります。ところが、背景ピークが10倍の30あたりにあり、その幅が30程度あるとすると、16階調をかけて480階調で表現できるようになります。ADCの量子化ノイズなどと言われたりしますが、一番見たいところをADCのどこの位置に持ってくるかを露光時間はゲインで調整するというわけです。でも実際にはたとえ階調不足でも、今のソフトはよくできていて、飛び飛びになっている階調を自動で補完してくれるので、見かけ上は階段状に見えるようなことがあまりなかったりします。

とりあえず今回は明るすぎる恒星は主に画像処理で回復し、トラペジウム周りの白飛びのみを1秒露光の画像で補完することにします。

セットアップ後は自宅からぬくぬくリモートモニターです。月が出る午前1時過ぎまで仮眠でも取ろうと思いましたが、結局そのまま起きていて、片付けが終わって寝たのが2時過ぎだったので少し寝不足になってしまいました。


6Dのセンサー面の清掃とフラット画像

後日、画像処理のためにフラットなどを撮影します。まずはカメラを外せないフラットからです。本当は太陽が出ている明るい時に撮影したかったのですが、北陸はしばらく冬型の気圧配置で、今後天気は期待できそうにないので、曇りの日に撮影することに。そういえば今回はM42の撮影前にカメラのセンサー面の掃除をしたので、フラットフレーム最近いつもあるゴミの後はほぼ一掃されていました。清掃といってお、カメラの清掃モードを利用してセンサー面を露出し、エアーで吹き飛ばしただけです。これだけでかなりの効果がありました。

フラットダークとバイアスに関しては同じISOの以前使ったマスターファイルがあるので、それを再利用できます。

ダークは冷蔵庫と冷凍庫にカメラを入れて冷却状態で撮影します。温度がばらつくので、多少多めに撮影しておきます。それでも枚数が稼げないこともあるので、その場合はダーク補正なしでCosmetic Correctionのみにする時もありますが、今回はそこそこの枚数を稼げたので撮影時の温度に合わせて選択して使うことにしました。


画像処理

撮影したファイルをPIのWBPPで処理します。できたファイルをPCCにかけます。背景に分子雲が大量にあるのでカブリとの見分けがつかず、ABEやDBEは使わないことにしました。ノイズ処理とDecombolutionもPIで試しましたが、やはりまだDeNoiseの方が有利な気がして、今回も使いませんでした。いずれ移行したいですが、もう少し検討してからにしてみたいです。

恒星中心の回復はRepaired HSV Separation Scriptを使い、Masked Stretchで恒星を保ちながら炙り出しました。

問題はStarNetの適用のタイミングです。今回はPhotoshopでも炙り出す余地を残したために背景と恒星の分離を少し早い段階で済ませました。そのため、PSでの処理時に恒星をさ散らすことになってしまったので、あまりMasked Stretchの意味がなかったかもしれません。でもその一方、恒星を全くサチらせずに処理すると、恒星が野暮ったい感じになりインパクトに欠けることにもなります。今回はサチらせる方向を取りましたが、ここはもう少し検討したいところです。もしかしたら再処理するかもしれません。

1秒露光の画像の処理も同様にPIでやったのですが、WBPPが全くうまくいきませんでした。仕方ないので、マニュアルでCosmeticCorrectionから順番に確認していくと、ImageCaibrationのバイアスやフラット補正が全くうまくいきません。バイアスファイルやフラット補正ファイルは、ISOを合わせた300秒露光の補正で使ったものの使い回しなので問題ないはずです。ファイルが問題と言うよりは、補正すること自体がダメなようです。簡単に言うと暗かったライトフレームが補正で明るくなってしまうような状態です。どうやってもうまくいかなかったので、補正は諦め、撮影した21枚、21秒分を位置合わせしてスタックしただけにして、トラベジウム周りだけを使うことにしました。

300秒画像のトラペジウム周りはサチっているので、境目が滑らかになるように輝度を落とし、そこに1秒露光の画像をPhotoshop側で合成しました。

結果は以下のようになります。
masterLight_PCC_pink_MS_all5


2020/12/14追記: 次の日少し見直して1から処理し直しました。StarNetを使わずにマスク処理で恒星部を調整し不自然さと幸理をできるだけ無くしています。あと、まだ赤寄りだったのでもう少し青寄りにして色調豊かにしました。まだ不満はいくつか残っていいます。
  • 分子雲の中の微恒星周りが不自然です。これはマスクの領域を拡大しすぎたからかと思います。明るい領域の微恒星と暗い領域の微恒星では多分マスクの扱いが違うのかと思います。最後に気づいたので力尽きて諦めました。またそのうちに解決策を手段を考えます。
  • 分子雲と背景のノイズ処理が甘くてボコボコしているようなところがあります。DeNoiseの効果なのですが、他のノイズ除去フィルターでも同じようになってしまいます。Dfine2で大まかなノイズを除いてからDeNoiseで解決できる可能性もありますが、根本的には露光不足なのでさらに長い時間撮影するのが一番です。
  • かなり炙り出しているので、人工衛星の軌跡が目立ち始めています。軌跡が残っている画像は全て捨てるのが解決策なのですが、今回もかなりの枚数に軌跡が映り込んでいます。これだけ衛星が多いとオリオン座はもう難しいのかもしれません。
それ以外のところは、「今のところ」不満はありません。でも気づいてないことがまだたくさんあると思うので、あくまで今のところです。

masterLight_integration2_ABE1_PCC_SCNR_HSV_MS_all3_cut
  • 撮影日: 2020年12月9日20時57分-12月10日1時10分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー + CBPフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI178MCによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600,  露光時間: 300秒 x 50枚 = 4時間10分 + 1秒 x 21枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
分子雲については十分に出ていて、星雲本体の階調も分解能も満足できます。トラペジウム周りもそこそこ自然に出ています。

その一方、恒星部にはまだ少し不満もあります。露光時間が300秒と長いために星像がガイド揺れやシンチレーションでボテっとなるのは仕方ないです。でも1秒露光の方でトラペジウム部分を見てもあまり分離できていません。ピントがずれている可能性もありますが、おそらくこの日はシンチレーションが酷かった可能性が高そうです。

トラペジウムもピシッと見えていて、背景もきちんと出ているようなものを多露出露光合成なしで撮れるような、タイミングと機器とパラメーターが揃った時に、いつかまた気合を入れて撮影してみたいものです。でもまだ今の機材でももう少し攻めることができる(ラッキーイメージングでしょうか?)はずなので、今後も継続して挑戦していきたいと思います。オリオン大星雲は深いです。


まとめ

メジャー天体際撮影シリーズはこれで終わりかと思います。4年半前に星を始めて、最初の頃に挑戦したものでしたが、機器も技術も4年半の間に随分進歩したことがわかります。ソフト的な進歩も大きいです。

特にPixInsightでのDBEやストレッチの技術と種類の多さ、StarNetでの分離、Nik CollectionやDeNoiseなどの細部だしやノイズ除去など、自分の腕の不足を明らかに助けてくれます。今後はこういった便利なソフトから少し離れて、自分の腕で画像処理を極めたいと思っていますが、実際この楽な状況から本当に脱却できるのか?まあ、当分はそのままかもしれません。


おまけ

Annotationです。

masterLight_PCC_pink_MS_all5_Annotated


恒例の以前FS-60Qで撮影したものです。約4年前と

cut

1年半前です。

light_M42_PCC_maskstretched_ok_HDR_dark

今回の撮影もまだ不満はありますが、自己ベストは明らかに更新です。何年か経つととりあえず進歩の跡が見られるのはいいものです。オリオン大星雲は楽しいので、また条件を変えて挑戦します。



前週に飛騨コスモス天文台で撮影したM45プレアデス星団(和名すばる)、良く言えば個性的な、悪く言えばみるも無残な結果でした。



画像処理を終えてかなり凹んでいたので、早速次の週末(11月21日の夜)にリベンジです。

また、これは最初の頃に撮影したメジャー天体の取り直しシリーズの第2段にも当たります。ちなみに第一弾はM31アンドロメダ銀河です。




準備

まず準備として、前回発覚したTSA-120とEOS 6Dが接続できない問題を解決しました。一眼レフカメラに接続するためのCA-35は既に購入していましたが、さらにCanonやNikonなどカメラ別にワイドリングというカメラを取り付けるアダプターが必要になります。

これ既に持っていると思っていたのですが、手持ちのものは「DX-60W」と呼ばれる、「カメラマウントDX」に「ワイドリング60C」というものが付いているもの。これはFS-60用です。

TSA-120に接続するには、「カメラマウントDX」は共通なのですが、そこに「ワイドリング」が付いている「DX-WR」というセットにしなくてはいけません。

実際には違う部分の「DX-WR」だけ購入すれば、マイナスドライバーでいちいち付け替える手間はありますが、事足ります。でもこれ、スターベースには単独では売っていなくて、KYOEIとかだと単独で売っていて3千円くらいと、高い部品ではありません。でも毎回付け替えるのが面倒かなあと思って、結局DX-WRのセットで欲しくなりました。さらに送料も惜しくなってドローチューブ減速微動装置MEF-3を買うとちょうど3万円越えで送料無料かと思って、気づくと最初の予定の10倍の値段。嬉しいのか悲しいのか、まあ、よくあることですね。

ちなみに、このMEF-3は2つ目です。FS-60Q用にずっと自作の減速機を使っていたのですが、



TSA-120用に一つ純正品を購入して取り付けてみたらかなりいいので、とうとう自作のものも置き換えです。自作の減速機は無駄にせずにFC-76に使います。


撮影場所

さて、この日は夕方くらいから晴れてくる予報ですが、富山側が天気が良く、岐阜まで行くと曇りの予報です。撮影場所は迷いましたが、結局いつも行く県境近くの山の上に行くことにしました。20時過ぎに出て、コンビニで買い出しをして21時前には到着なので近いものです。北は富山市街地方向なので明るいですが、天頂から南にかけてはそこそこ暗いところです。iPhone用の簡易測定ソフトでSQMを測定したら21.3でした。まあ気軽に行ける割にはそれほど悪い場所ではないでしょう。

ターゲットはもちろん前週に失敗したM45です。やっと念願のTSA-120と6Dで撮影ができます。もし余裕があればM42も撮影したいと最初の頃は思っていましたが、結局時間が足りなくてこちらはまた次回となりました。到着してから月が沈むまでにまだ時間はあったので、のんびり準備してました。前回忘れてしまった撮影用のStickPCも、今回は忘れてません。ELECOMの簡易ルーターを使い、StickPCも電源を入れたら自動的にこのルーターにIP固定で繋がるように設定してあります。固定IPを叩いてそのままリモート接続でき、撮影時は車の中からでも状況を確認することができます。

ちょうど準備が終わったのが月が沈む22時50分頃。この時点ですばる自身は天頂超え少し手前でしたが、自動導入すると赤道儀は子午線越えで始めてくれたので、切り替えも必要なく助かりました。恒星中心がサチることも考えて、まずISO1600で3秒露光のものを20枚撮っておきました。その後、いつも通り、PHD2でガイドしながらBackYardEOSでISO1600、300秒露光で撮影を始めました。

ちょっと風が強かった時もあり、ガイドが暴れる時もあったのですが、まあ撮影結果を見る限り星像はほぼ丸だったので、大丈夫だったみたいです。

IMG_1238



Stick PCの電源トラブル

基本的に順調だったのですが、途中撮影された画像を何枚か連続で確認していたらStickPCにかける負荷が大きすぎたのか、接続が切れてしまいました。何が起こっているか確認するために、こんな時のために購入しておいたHDMI出力をUSBに変換するアダプターを使い、母艦のMacBook Proに接続して様子を見てみると、やはりStickPC自身が完全に落ちていました。同様のことは前回のM33の撮影の時も起きていたので、やはりLess is more電源でもまだ不安定な可能性があると考え、AC出力ができる大型リチウムバッテリーにStickPCに付属のType C出力のACアダプターを使うことにしました。また不安定になることが怖くてあまり負荷はかけていませんが、少なくともこの日はこれ以降落ちることはありませんでした。

撮影中はなんとも優雅な時間でした。周りに誰もいない一人での撮影なので、妻から熊に気をつけるように言われていて、ラジオの音をガンガン鳴らし、車の中でTwitterで星仲間と繋がってました。たまに外に出て星を見て、寒くなると車に戻ります。ラジオからは昔の懐メロがかかっていて、誰もいないので大声で歌っていました。

オリオン座が高く上がってきたので、M42に移るか迷いましたが、途中のトラブルもあり撮影時間が中途半端になりそうだったので、結局そのままM45を撮影し続けることにしました。


画像処理について

明るい天体で、撮影時間も4時間越えと十分で、画像処理も楽でした。
  • フラットは前回同様、TSA-120の先にスーパーの白い袋を二重にして被せ、太陽が出ているときの部屋の中の影になっている白い壁を同ISO1600、ヒストグラムのピークが真ん中らへんにくる1/200秒で写しました。
  • フラットダークもそのまま同条件で鏡筒に蓋をして暗くして100枚撮影。
  • バイアスは以前撮った同ISO1600、最小時間の1/4000秒で100枚撮ったものから作ったマスターバイアスを使い回し。
  • ダークは冷蔵庫の中に入れ撮影したものを、IrfanViewを使い温度情報を引き出して確認して使いました。
画像処理はいつも通りPixInsightです。最近PixInsightを使う人が増えてきて、皆さん成果を上げています。日本ではかなり以前から蒼月城さんが動画と共にとても詳しい解説をしてくれています。最近でもNiwaさんが丁寧な解説記事を書いてくれていますし、M&Mさんはこれまでの画像処理方法から変えて100日でPIをマスターすると宣言して、PIであからさまによくなった結果を出してきています。

私は基本的にストレッチまではPIで、それ以降はPhotoshopに渡しています。星雲部を分離することができるのでStarNetを使うことも多く、背景の炙り出しに関してはずいぶん楽にできるようになってきました。その反面、恒星に対する無頓着さが目立ってきて、恒星の飛びや、合成時の不連続性が気になるようになってきました。まだ試行錯誤中ですが、今回特にスバルということで、とにかく恒星中心があまり辺にならないように気をつけてみました。具体的には蒼月城さんが動画で解説しているPinkstarを解決したり、ストレッチもAS一辺倒でなく、少し工夫しています。

ただ、やはりPIだけで処理してしまうのはまだ難しいので、途中からPhotoshopを併用します。操作性に関しては慣れのせいもありPhotoshopが楽です。その際、NikCollectionやDeNoiseなどの便利すぎるフィルターを使うことができるため、特にノイズ処理と細部出しにおいてPIでどこまで処理すればいいのか迷っています。

SCNRはわかりやすく効果も見えやすいのでいいのですが、TGVDenoiseに関してはまだ全然使いこなせていません。どうもボヤッとしてしまうのを避けきれなくて、うまくいった時のDeNoiseには及ばない気がしています。細部出しに関しても、LHEを何度か試していますが、実際に適用するまでに至っていません。PIでのマスク処理に関しては少し慣れてきたので、LHEとの組み合わせも結構目処はついてきていますが、ストレッチとStarNetの分離、PSへの引き渡しとを考えるとどのタイミングで細部出しをすればいいのかまだ迷うところです。

これと同様に、MorphologicalTransformation(MTF)を使った星像のシャープ化もどのタイミングでやるのかを迷っています。やはりPSに渡す直前でしょうか。でもできるならPSで処理した結果を見てMTFを適用するか決めたいのですが、またいちいちPIに戻るのもPSのレイヤー構造などが全て破棄されるので、躊躇してしまいます。今回はMTFは無しです。

また、いつも使うStarNetも今回は使っていません。使わなかった理由ははっきりしていて、一度StarNetで分離したら青い分子雲の中の恒星が分離できなくて、処理を進めると周りの恒星との輝度に明らかな違いが出てしまったからです。そのため一旦戻ってStarNet無しで進めることにしました。分子雲を含めた背景はStarNetありで進めたものを保存しておいて、StarNetなしで同等程度にすることを目標としました。こうやって同じ画像で処理し直すと、StarNetで分離したときにいかに楽に処理できていたかが実感できます。また恒星部に関しては、StarNetありだとよく言えばシャープ、悪く言えば貧弱になるので、今回のStarNetなしの場合は多少ボテっとしますが、微光星まで出ているのかと思います。

あと、これまで背景の暗黒帯をあまり出してこれなかったので、今回少し目立たせるようにしました。でも結果を見ると、もう少し出してもいいくらいなのかもしれません。

上のオレンジの恒星はアクセントになるので、撮影時から構図に気をつけました。この画角だとギリギリ入るくらいでしょうか。 


結果

最近思うのは、2時間と5時間の撮影時間では結果に大きく差が出るのではということです。特に暗部のノイズに差が出るので、結果として仕上がり具合が違ってくるようです。今回は4時間越えで、そこそこの時間をかけています。結果ですが、下のようになります。

「M45プレアデス星団(すばる)」

masterLight_integration_DBE1_PCC_HSV_AS_PIP_all6_cut

  • 撮影日: 2020年11月21日23時12分-4時52分
  • 撮影場所: 富山県富山市伏木
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600,  露光時間: 300秒 x 51枚 = 4時間15分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
どうでしょうか?少なくとも、前週に飛騨コスモス天文台で撮影した微妙な光条線付きのものよりはもう全然マシで、青い分子雲に関しても刷毛で書いたような模様が綺麗に出ています。細かいところはまだ手を入れ切れてないところもあるのは十分承知ですが、私的にはそこそこ満足です。

Annotatinon付きの画像です。

masterLight_integration_DBE1_PCC_HSV_AS_PIP_all6_cut_Annotated


ちなみに、4年前のM45が下の画像です。

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とにかく背景を出したくてかなり無理をしていました。それでもいまだに色は嫌いではありません。一見よく見えるかもしれませんが、画像をクリックして拡大してみて下さい。ノイズがすごく目立ち、これを見ると今回の撮影で4年経った進歩を感じることができます。


エピローグ


帰り道、立山連峰を見たらものすごく綺麗でした。これだけきれいに見えるということは、透明度は良かったんだなあと思いながら、午前6時頃には自宅に到着。近場は楽でいいです。この日の撮影は仮眠を取らなかったので、ベットに入るとすぐに寝てしまいました。

IMG_1244

 

前回のCBPの検証記事が長くなりすぎたので、撮影した三裂星雲の画像処理と仕上げは別途この記事で書いておきます。




撮影時の様子とトラブル

機材は前回の記事で書いたので詳しい事は省きます。撮影ソフトはNINAを使いました。最近これが多いです。撮影自体は問題なかったのですが、「撮像」タブにあるLiveviewがいまいちうまくいかなかったです。(→後に、LiveViewではなく、1秒露光とかにして循環(ループ)をオンにして、その上で「撮像」を押すといいと分かりました。)やはりLiveViewは安定性、操作性ともSharpCapに軍配が上がると思います。そのせいか、ASI294MC Prpの露光時間とゲインの調整がすこしうまくいきませんでした。結局180秒露光で、ゲイン120にしたのですが、まだ少し明るすぎたようで、恒星が一部サチってしまっていたようです。3分露光なら0dBでもいいかもです。ゲイン120下げるとすると、-12dBなので高々4分の1です。恒星がサチると、あぶり出しのときにArcsinhStretchが使えなかったりするので結構不利になったりします。 

あと、カメラの温度は-10℃に設定したのですが、夏場で夜でも暑かったのか思ったより電力を食い、冷却用のバッテリーが一番最初に切れました。真夏は-5℃とか0℃くらいの方がいいかもしれません。少し温度を上げるだけでバッテリーの持ちが随分とよくなるようです。


撮影結果

今回撮影した32枚、合計96分の画像を全て使い、最後まで画像処理してみました。北が上になります。三裂星雲M20の青がきれいに出ています。左上に写っているのは連番のM21になります。

「M20三裂星雲とM21」
integration1_PCC_ST_all_AS6
  • 撮影日: 2020年8月14日21時4分-23時40分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、温度-10℃
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間180秒x32枚(フィルター無し17枚、サイトロン CBP (48mm): 9枚、サイトロン QBP (48mm): 6枚)  = 1時間32分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC

昔FC-76で自宅でQPBで撮影したもの
と比べると、もちろん機材も露光時間も違いますが、今回の方が明らかに青色も広範囲に渡って出ているのが分かります。ただし今回処理した画像は、フィルター無しのノーマル画像の数が一番多いので、青色がCBPによって出たかどうかの影響は少ないです。あくまで撮った全部を使いたかったという、私のもったいない精神でこうなりました(笑)。

CBP純粋の効果は次回以降のお楽しみとさせてください。


エピローグ

この日の撮影はお盆の金曜日。お盆はずっと晴れていたので、すでにこの日で3日連続の出撃でした。この後、三日月星雲とかも撮ったのですが、雲が出てきて枚数不足でした。この日は撤収で自宅に帰りましたが、夜起きてる習慣がついてしまい、結局明け方まで寝られませんでした。

その次の日、土曜の夜も同じ場所に行ったのですが、さすがに4晩目は疲れてきました。赤道儀まで出したのですが、少し雲が出ていたのを見て気力が萎えてしまって、早々と撤収。帰ろうとすると珍しく一台の車が。この場所で他の人を見るのは初めてです。

「こんばんは」と声をかけると、両親と男の子の3人で天の川を撮っているみたいです。話を聞くと子供は中学一年生、星はお父さんの趣味。小4の娘は車の中でぐっすり寝ていて、4人できているとのことです。と、こんなことを話していると奥様が突然「〇〇さんですか?」と真っ暗な中、私の名前を言うではありませんか?「えー!見えないのになんでわかるんですか?」と聞いたら「声でわかった」とのこと。でも私は心当たりはありません。聞いたら妻の知り合いで、子供つながりで私も何度か会ったことのある方です。でも声だけでわかるなんて...。そんなに特徴のある声だったのでしょうか?天の川狙いなので、短時間でもいいので雲の晴れるのを待っているとのことです。

私はこの日はもう諦めたのですが、どうやら後から晴れたみたいで、この日は全国的に天気が良かったとのことです。残念でしたが、家に着いたら結局すぐに寝てしまい、もう朝までぐっすりでした。

その後、今週はほぼずっと晴れていたので、自宅でCBP何度か撮影しました。画像処理が進んだらまた記事にします。

 

ZEROの振動特性でもう一つやってみたかったことです。TSA-120を載せて使い勝手を試してみました。


ZEROのこれまでの経緯

手持ちのポルタIIの経緯台と付属の三脚で惑星などを見ると、結構揺れてしまうのが不満でした。初心者向けというのでコストの限界もあるため仕方ない面もあるのですが、見ている最中にフレキシブルハンドルの揺れで視野が揺れてしまったり。なのでこれまで観望会などでもあまり出番がありませんでした。

フリーストップの操作性の良さを保ちつつ揺れの改善ができるならと、ZEROにAdvanced VX付属の三脚をつけて試してみたところ、揺れを大幅に改善することができ、体感的にはざっくり10分の1程度になったというのが前回までの結果です。これで観望会などでも不満なく使ってもらえるようになりそうです。


TSA120をもっと気軽に使いたい

この一連の検証の過程にはもう一つの大きな目的がありました。口径120mmのTSA-120をZEROに載せてもっと気楽に使えないかということです。

TSA-120にはロスマンディー規格のアリガタを付けていて、通常CGEM IIに載せて使っています。CGEM II自身は頑丈で操作性もよく不満はないのですがやはり重くて、気軽に出すというよりはいつも気合をいれて出しています。これが観望会でも気楽にパッと出すことができるなら、TSA120の稼働率がかなり上がるはずです。

前回までの検証ではポルタII付属の口径80mmの鏡筒を使いましたが、ZERO+AVX三脚で十分な揺れの少なさを実現できました。どれくらいの共振周波数だったら実用的にどれくらいの揺れになるか、感覚的にもある程度結びついたので、他の組み合わせを測定して比較する準備もある程度できてきたと言えると思います。そこで今回
  • メーカーでは推奨TSA-120をZEROに載せるのは推奨していない
  • 某ショップ店員さんが試したところ、やはりTSA-120+ZEROは揺れてしまうという報告があった
ということを気にしつつ、本当のところはどうなのかというのを自分で確認して使えるかどうかを判断したいと思います。


実際に載せてみる

まず、ZEROに取り付けるためにロスマンディー規格のアリガタをVixen企画のアリガタに取り替えました。その状態で実際にZEROに取り付けてみたのですが、さすがにあれだけの重さと、値段(笑)のものをネジ一本で固定するのは不安になってきて、結局Takahashi純正の鏡筒バンドをZERO側に取り付けることにしました。M6ネジ2本で固定されているZERO付属のアリミゾを外すと、90度ずれた方向にM8ネジ用のねじ穴も空けてあるため、M8ネジ2本で固定する純正鏡筒バンドもそのまま取り付けることができます。ここら辺の柔軟性はさすがです。

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実際にとりつけた写真です。

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さらに実際に鏡筒も取り付けた場合です。三脚が丈夫なせいか、不安定になるようなことはなく、転倒などの心配は皆無でした。

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揺れの見積もり

一応この時点で鏡筒の端を少したたいてみます。すると、思ったより揺れるではないですか。ポルタII鏡筒の時より揺れも持続しているみたいです。ちょっと心配なので、簡単に揺れを見積もってみました。

前回の結果から、揺れの実感は基本モードの共振周波数の違いの3乗で効きそうだということが分かっています。共振周波数は慣性モーメントで効くはずなので、まずは慣性モーメントを概算してみます。効いてくる違いは2点、
  • ポルタII鏡筒A80MfとTSA-120の重さが3.3kgと6.7kgで約2倍の違い。
  • 鏡筒の長さが焦点距離に比例するとして910mm(初出の焦点距離に間違いがありました。910mmが正しいです。)と900mmでほぼ同じ。
中空円筒のピッチ方向とヨー方向の慣性モーメントの式は

m/4{(外径^2+内径^2)/4+(鏡筒長^2)/3)}

と書けますが、外径と内径が鏡筒長に比べて十分短いので前項を無視して

m/12 x 鏡筒長^2

とすると計算が簡単になり、上の数値を当てはめると慣性モーメントはそれぞれ、0.23 と0.45 [kg m^2]となります。鏡筒長は2乗で効きますが、両方とも900mm程度でほぼ同じなので、実質重量の違いだけの違いになっています。

共振周波数は慣性モーメントのルートで効いてくるので、sqrt(0.45/0.23)=1.4となり、ZEROにA80Mfを載せたの時の14.1Hzと比べて1.4分の1、すなわち10.0Hz程度まで下がることになりそうです。

Q値が変わらないと仮定すると、共振周波数の3乗で揺れることになるので、1.4の3乗で2.7倍程度揺れを感じることになるはずです。ポルタIIとZERO+AVX三脚の揺れの違いが10倍程度だったので、その中間くらいという予測になります。


TSA-120をZEROに載せたときの実際の揺れ

さて、実測はどうでしょうか?前回同様にASI294MC Proをつけて、木星を見てみました。カメラ部分を指で弾いてやり、その揺れの様子を撮影します。焦点距離5mmのアイピース程度を想定し、画素を4分の1程度にトリミングしています。前回と違うのはビニングをするのを忘れてしまったので、フレームレートが60fps程度となってしまいました。揺れを10回計測するので、測定結果には影響はないはずです。

まずは横揺れです。

Yaw(横向き)に揺らした場合

ZEROにA80Mfを載せた時より明らかにゆっくり揺れています。

動画から、10回揺れるのに36.392秒から37.428秒まで1.036秒かかっています。ということは1周期が0.1036秒となるので、共振周波数はその周期分の1で1/0.1036=9.7Hzとなります。予測の10.0Hzとほぼ一致ですね。重さもカタログ値、長さも焦点距離から換算しただけなのですが、こんな適当な見積もりでもそこそこ実測と合ってしまうことのほうが驚きでしょうか。

実際の揺れは共振周波数の3乗で効くとすると(14.1/9.7)^3=3.1と体感では約3倍になることがわかります。


ちなみに縦方向の揺れです。 

Pitch(縦向き)に揺らした場合



実際に使用しての感想

さらに、実際に眼視で使ってみての感想です。確かに揺れの感覚ではちょうどA80MfをポルタIIとZERO+AVX三脚の時の中間くらいと言っていいかと思います。

ではこれが許容範囲かというと、アイピースの焦点距離が20mmの900÷20=45倍程度ではそこまで不満ではないです。

問題はさらに拡大した場合、今回5mmのアイピースを使い900÷5=180倍にしたときははっきりと不満を感じました。何も触っていない時はそれでもまだ大丈夫です。微動ハンドルをいじっただけでも、そこまで揺れなくて、揺れても比較的すぐに揺れは収まるので、これもそこまで問題ではないです。1番の問題はピントを合わせるときです。鏡筒を直接触るので、かなり揺れます。揺れているとピントがあっているかどうかわからないので揺れが収まるまで待ちます。ダメならまた調整で揺れます。これでは微調整が難しくて実用とは言えません。観望会で「ピントが合ってなかったら自分で合わせてみてね」ということが言えないので、観望会での使用も厳しいでしょう。

では、元々のポルタの揺れは許容範囲ではないのかというと、低倍率ではまだいいと思います。ですが、強拡大するとやはり不満です。そもそも経緯台で180倍、ポルタでも6.3mmのアイピースが付属するので144倍計算になりますが、そこまで倍率を上げて見ることに意義があるか?ということです。これだけの倍率だと視野も狭くなり、経緯台だとすると追いかけるのが大変です。ポルタIIの場合は揺れもあるので、144倍でもう過剰倍率に近いのではと思います。

ところが、TSA120で高倍率で見てしまうと、話は変わってきてしまいます。ZEROにTSA120を載せて高倍率で木星と土星を見たのですが、それはそれは見事なものでした。


TSA-120で初めて見た惑星

今回はじめてTSA-120で惑星を見ました。TSA-120の眼視がすごいという理由が分かった気がします。このときの感動を、忘れないうちに書いておきます。
 
TSA-120で惑星を見ると違った世界が見えるとか、口径だけで説明できない何かがあるというようなことを聞いていたのですが、確かに納得です。より大口径のシュミカセでは、明るさはもちろん有利なのですが、像の甘さのようなものがあったことがよくわかりました。
  • 180倍だと木星の縞の濃淡がよーくわかります。
  • 土星のカッシーニの間隙が余裕で見えます。
  • また、大気収差が目立ちます。眼視でもADCを入れた方がいいかもしれません。
  • この日は大気揺らぎは小さい方だったと思います。 それでも細かい模様はユラユラ揺れてしまうので、もっと穏やかな日に見たら、さらによく見えることでしょう。
きちんと作った素性の良い鏡筒だとここまで見えるという、お手本のような見え方だと思います。できることなら、観望会でもこの素晴らしい惑星を来てくれた方達に見せてあげたいです。

しかしながら、TSA-120の性能を活かす高い倍率ではZEROでは特にピント合わせ時の揺れが気になってしまい、時間の限られている観望会での運用はやはり厳しいかと思います。また、ZEROに載せるために鏡筒バンドについているアリガタプレートを毎回外すのも楽とは言えず、手軽さという観点からは遠ざかっていきます。結論としては、今後はTSA-120を使う場合は観望会などでも重い赤道儀に載せて見ることになるかと思います。


まとめ

今回のA80MfとTSA-120の比較の結果は、鏡筒長がほぼ同じだったということもあり、重量の違いだけで揺れの具合を簡単に説明でき、それが実測ともかなり一致することがわかりました。高々共振周波数の1.4倍の違いが、揺れにすると3倍に相当することも、かなり体感と一致すると言っていいと思います。

でもこの3倍の揺れ、正直言うと使い方によっては十分許容範囲です。問題はTSA-120だと倍率を上げたくなる、ここに尽きると思います。高倍率にすると揺れが顕著に問題になるので、その意味ではTSA-120を高倍率で見ることまで考えると、ZEROでは少し力不足といったところでしょうか。でも、ピントさえ一旦合わせてしまって、一人で見続ける分には高倍率でもそこそこ使えると思います。

当初のZEROで気軽に「観望会とかの大人数で」TSA-120を使うという目論見は、残念ながら難しそうです。ZEROはメーカーの言うとおり、やはりせいぜい口径100mm位までの鏡筒に抑えておいて、気軽に見ることに重点をおいた方が向いていると思いました。

元々TSA-120まで見越して選んだAVX三脚はそこそこ重いので、手軽さと言う観点からは少し大袈裟な気がします。かと言ってポルタクラスの三脚だとさすがにZEROの性能を活かすのには勿体ないので、軽い頑丈な三脚を用意するのがいいのかもしれません。

あまり大きくないカーボン製を手に入れるか、もしかしたら今手持ちのGizzoのバサルトのトラベル三脚でもいいのかもしれません。これは足を伸ばしても相当安定しています。

 

球状星団を撮影するのは初めてになります。今回、ヘルクレス座の球状星団M13をTSA120を使って撮影してみました。全天で最も美しい球状星団と言われています。


初の球状星団撮影

連休初日に入るこの日の夜、天気は悪くなく、夜中から天の川を撮影しようと思っていたのですが、それまでの繋ぎでM13を撮影してみることにしました。よく考えたら、球状星団をまともに撮影するのは初めてのことです。もちろん、眼視や電視観望などでの簡易撮影などはあります。それでも時間をかけてまじめに撮影するのは初めて、いろいろわからないことがありそうです。
  • そもそも、撮影時間はどれくらいがいいのか?星雲ほど長くなくていいのか、それともやはり長ければ長いほどいいのか。
  • 1枚あたりの露光時間はこれまで通り5分でいいのか?
  • QBPはあってもいいのか?無いほうがいいのか?

天の川が出てくるまで1時間ほどあります。最初なのでとりあえずこれまでの星雲撮影のセッテングをベースとして、撮影時間を1時間としてみました。

撮影は順調。PHD2とAPTで、ガイドも含めて特に問題はなかったです。ちょうど同じ時間帯に、あぷらなーとさんもM13を狙っていたみたいです。


画像処理と結果

球状星団の画像処理も初めてのことで、まだ全然慣れていません。疑問だらけで、また太陽映像に取り掛かっていたこともあり、時間がかかってしまいました。

星雲の場合と違って、いじればいじるほど処理の跡が目立つような感触です。なかなかごまかしが効かない、素材の出来具合がそのまま処理後の出来に直結するような気がしました。とりあえず処理した結果です。



「ヘルクレス座球状星団M13」
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  • 撮影日: 2020年4月29日0時24分-1時23分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + サイトロン QBP (48mm)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: ATP、ゲイン220、温度0℃、露光時間300秒x11枚 = 55分 
  • PixInsight、Photoshop CCで画像処理
中心部です。

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_STR2_center

今調べたら簡易撮影では、星を始めて一番最初に撮影したメシエ天体がM13 M3(2020/5/16訂正:玄さんのコメントのおかげで4年を経てM3と気付くことができました。玄さん、どうもありがとうございました。)でした。星を始めて、一眼レフカメラを手に入れてすぐのM13 M3がこれ。1枚撮り、中心からずれてる、星がぶれてる、画像処理も何もしてない。さすがにこれを見ると、4年間で進歩したと思えます。でも望遠鏡とカメラでメシエ天体が写っただけでも、ものすごく嬉しかったこと覚えています。

IMG_0326



反省点色々

最初は、初めてにしてはそこそこ中心部まで見えたのかなと思っていました。でもやはりまだまだですね。以下、反省点です。
  • 一つ一つの星像が大きい。もっと分離してもいいはず。
  • 星雲みたいに背景を出す話ではないので、構成を分離するStarNet++が意味をなさないはずです。今回は試すこともしませんでしたが、背景のノイズを減らすのには役に立つかも知れません。今後の課題とします。
  • 背景のノイズを無くそうと、DeNoiseやDfine2も試しましたが、見事に恒星の不自然さを強調します。今回は試しただけで、結局使いませんでした。
  • 炙り出していくと、背景ノイズがまだ多いです。今回はトータルで1時間弱の撮影だったので、もう少し総露光時間を増やしていいかもしれません。
  • すでに炙り出しすぎの感もあります。中心部から少しずれたところなんかは、微光星なのかノイズなのか見分けがつかなくなってきます。
  • 明るい恒星の裾部分の階調が少し不足しています。微光星を出そうとするとこうなってしまいます。もう少し中心部の微光星を抑えても良かったかも知れません。
  • 同様に、左上に写っている銀河も階調不足の感があります。
  • 中心部の画像を見ると、色が白、オレンジ、青緑と3系統にはっきり分かれています。現実は多分そんなことはないので、何かおかしな画像処理過程が入っているようです。それともQBPのせいでしょうか?
  • やはりまだ決定的に分解能不足です。というか、星が肥大化しています。これは画像処理以前の撮影時の問題です。
画像処理以前のこととして、決定的だと思ったのは、一枚の撮影時間の5分が長すぎたではないかということです。長時間露光はどうしてもブレが積分されるので星像がボケてしまいます。もちろんシンチレーションとか風の揺れによるのですが、1枚は1分程度に抑えて、枚数を増やした方がいいのかも知れません。

揺れに関して少し考えてみます。撮像の揺れ時間スケールで見ると
  • 秒以下の揺れ: シンチレーション、地面の揺れ、風による機材の振動
  • 1秒程度の揺れ: 風
  • 10秒周期以上の揺れ: 赤道儀のピリオディックモーション、機材のたわみ
などがあります。
  • この中で改善できるのは10秒以上の揺れのみ。オートガイドです。それでも1時間オーダーではたわみが問題になってきます。
  • 1秒から10秒程度の揺れはオートガイドで多少は抑えることができますが、速い揺れほどその効果は小さくなります。
  • 秒以下は今のところ打つ手なし。AOを使うことで、シンチレーションみたいな画面の中で揺れるもの以外は改善できます。でもAO高いです。自分で作ることを考えた方がいいかも知れません。
このように考えるとすぐにわかるように、一枚あたりの露光時間を1分程度に短くしても大した効果はありません。ただ、揺れの大きさで考えると、突風などの突発的事象で星像が肥大することはあり得るので、露光時間を短くしてそれらの揺れの大きいものを省くことはできます。ラッキーイメージの考え方ですかね。

さらに、カラーCMOSカメラで撮影していることも分解能を低下させている原因の一つです。モノクロの冷却CMOSカメラでそこそこのセンサー面積のものをそろそろ本気で考えた方がいいのかも知れません。

少なくとも今回の結果は、TSA-120のが持っている光学的な分解能には全く達していないと思います。


おまけとまとめ

最後にいつものアノテーションです。少しだけ斜めになってました。念のため再度ImageSolverで計算したら回転のズレ結果は0.41度でした。上が北で、経線が縮まっていくので上の方が間が小さくなっていまるので、より斜めに見えてしまっているようです。

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_STR2_Annotated

本当はこの撮影の後に天の川が登ってくる時間になり、中心部の干潟とか三裂星雲を狙おうとしていたのですが、外に出たら曇り。この日は撤収しました。

画像処理まで進めて、まだまだ改善の余地がたくさんあることがわかりました。球状星団は撮影時の条件がそのまま出てごまかしが来なさそうです。今回の撮影の後、もう少し試したくて、別の日にVISACで長時間撮影してみました。 これはまた次の記事で書きます。


 

M101に引き続き、TSA-120での単体銀河撮影の第2段、M51子持ち銀河です。


ピクセルサイズの小さいASI178MCで分解能を稼ぐ

M101よりだいぶん小さいので、ASI294MCで撮影すると

Stack_21_17_47_16bits_15frames_192s
のように、かなり小さく写ってしまいます。

しかもピクセルサイズが4.6umと大きめなASI294MCでは、解像度が足りなくてTSA-120の分解能は生かせきれないことが月とPowerMATEを使った検証でわかりました。

そのため、分解能を稼ぎたくてASI178MCで撮影してみたというのが今回の主題です。

でも実は今回の撮影は、上の分解能検証よりも先に済ませてしまっています。ASI178MCで撮影したものの妥当性を知りたくて上の検証をしたというのが実際です。結局、4倍バローを持って分解能は良くなったとしても、明るさが16分の1になるので厳しいというのが結論です。なので、口径を大きくして明るくして、焦点距離を上げてカメラの分解能を活かす方向で、系外銀河に関してはVISACを用いることになっていくのかと思います。

まあ、気を取り直してTSA-120とASI178MCで撮影したM51を処理してみたいと思います。


撮影状況

撮影は先週土曜日のことなので、1週間近く経ってしまってます。もう結構忘れてしまっていますが、透明度は良くなく、北極星がかろうじて見えるくらいでした。しかも風がかなり強かったです。最近もそうですが、春なのでしょうか、なかなか透明度がよくなりませんし、風が強い日が多いです。晴れているのに北極星が見えない日も多いです。

撮って出し(300秒1枚露光をDebayerしてAutoStretch)だとこんな程度です。おそらく風のせいでしょう、星像が肥大してしまっています。

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まあ、それでも一応写ってはいますね。あと炙り出すと178はアンプグローがかなりひどいです。しかも右上、右下、左下と3方向。ホットピクセルもひどいです。

結局今回は300秒露光を22枚で、トータル1時間50分の撮影。その後ダークを同条件で30枚撮影しました。


画像処理

画像処理は結構手抜きです。手抜きと言う意味は、
  1. 中心部のみを使っているのでフラット補正はそもそもあまり必要ないことと、長時間露光フラットはむしろ補正しない方が縞ノイズ回避できることがわかっていること、短時間フラット補正もイマイチまだ正しいかどうかわからないので、いずれにせよフラット補正はなし。
  2. また、UTOさんのコメントにより、Optimizeオプションのないダーク補正は、バイアス情報を含んで補正しているので、バイアスファイルも撮影せず。
と言う意味です。アンプグローが激しいので、ダーク補正だけはしっかりやります。

処理はいつものようにPixInsightでBatchPreProcessingですが、問題点が一点。星の数が少ないせいか位置合わせがうまくいかなくて、マニュアルでStarAlignmentをやり直しました。その際、「Star Detection」の「Noise Scales」を2に上げたらうまく行きました。ノイズスタック直後のオートストレッチ画像です。

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アンプグローがほぼ無くなっているところに注目です。バイアスノイズっぽいのも出ていません。カラーバランスですが、赤が小さく出てしまっているようです。ASI294MC Proの時とは逆のセンスです。

ここまできたら次はStarNet++。でも今回あまりうまくいきませんでした。明るい星は分離できるのですが、暗い星がうまく分離できません。おそらく風のせいで星像が甘いため分離できないのだと思います。これってStarNet++の弱点なんですかね。以前、M57やM1で試した時は全く分離できないこともありました。長焦点で星像が甘くなるとうまくいかなくなるのが一つの特徴かもしれません。

仕方ないので、一部分離できた状態でPhotoshopに渡します。ここからは適当に炙り出して、Dfine2とDeNoiseで適当にノイズをごまかして、ブレた端をトリミングして出来上がりです。

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  • 撮影日: 2020年4月25日20時48分-4月17日22時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI178MC
  • 撮影条件: ゲイン220、温度20℃、露光時間300秒x22枚 = 1時間50分 
  • フィルター: サイトロン QBP (48mm)
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AIで画像処理

まとめ

最後まで仕上げましたが、恒星はぼやっとしてるし、星雲は細部が出ない出ない。口径、ピクセルサイズ、透明度などもまだ問題がありますが、今回の一番の原因は風でしょう。これはリベンジ案件です。いつか取り直します。まだ未処理物がいくつか残ってます。連休中にのんびりやります。


2020/5/17追記: VISACで撮影し直しました。





月曜でしたが、在宅勤務。せっかく明るいうちから自宅にいるので、夕方の月を見ます。


夕方の月と地球照

この日は月齢4日、まだそれほど太くはありません。明るい夕方だと白い月です。最大光度に近い金星も近くにいるはずですが、肉眼だとまだよくわかりません。せっかくなので3倍の星座ビノを使ってみました。これならさすがに青い空の中の金星も一発で見つけることができました。位置さえわかれば簡単です。肉眼でもすんなりと見つけることができました。 

そうだ、地球照でも撮影しようと思い、さっそくTSA-120をセットします。まだ北極もあまり見えていないので、極軸も適当です。

夕方と食後の暗くなってから、何ショットか撮影しました。

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  • 富山県富山市下大久, 2020年4月27日19時6分、月齢4.3
  • タカハシ TSA-120 + 35フラットナー + ZWO ASI294MC Pro (常温17.6℃) + Celestron CGEM II
  • SharpCapで撮影、露光時間 25ms, gain 50, RAW16で記録、800/1000フレームを使用
  • AS3でスタック, Registax6でWavelet, PhotoshopCCで画像処理 、月が画面に広がるようにトリミング
右下に赤い収差が見えているのは大気分散だと思われます。収差の方向と月の向き、高度からのずれの量も計算値とほぼ一致します。

ついでに、目で見た明るさに(感覚で適当に)近づけてみました。こちらはトリミング無しです。でもこういったのってどうやって客観的な明るさにすればいいのでしょう?難しいです。

18_59_37_lapl2_ap231_RS2_evening

さらに地球照です。これもどんな色が正しいかよくわからないですが、夕方感を出してみました。

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PowerMATEを用いての分解能比較

さて、今日の課題はここからです。TSA-120に35フラットナーを付けた状態で、宮路泉さんにまだそのままお借りしている4倍のPowerMATEでどうなるかを見てみます。焦点は出るのか、分解能はどうなるか、変な収差は出ないかなどです。

接続は特に困ることもなく、35フラットナーの後ろにそのままPowerMATEを取り付けて、特に延長塔などつける必要もなく、そのまま少しフォーカス位置をずらすだけでピントが出ました。同様に月の一部を撮影しました。結果には影響ないと思いますが、ミスでRAW8で保存してしまいました。まあ、分解能をみたいだけなので多分問題ないでしょう。

とりあえずその結果です。

20_53_02_lapl2_ap723_RS
  • 富山県富山市下大久, 2020年4月27日20時53分、月齢4.3
  • タカハシ TSA-120 + 35フラットナー + PowerMATE x4 + ZWO ASI294MC Pro (常温16.9℃) + Celestron CGEM II
  • SharpCapで撮影、露光時間 25ms, gain 300, RW8で記録、800/1000フレームを使用
  • AS3でスタック, Registax6でWavelet, PhotoshopCCで画像処理 

でもまあこれはどうでもよくて、見たいのはPowerMATEありなしの比較です。両方の画像を拡大して比較します。

comp2

左が4倍のPowerMATEあり、右がPowerMATE無しです。左はQBPを入れてしまったで色が違うとかは気にしないでください。

PowerMATE無しもかなり検討していますが、やはりジャギーが目立ってしまっています。わかりにくい場合は画面をクリックして拡大してみてください。また、以前の結果と同じくPowerMATEによる変な像の乱れは私が見る限り確認できません。結論としては、今のTSA-120とASI294MCの組み合わせでは、4倍のPowerMATEを入れた方が有意に解像度が高いと言うことが言えます。

ここで少し比較のための情報を。
  • レイリー限界が1秒角くらい1ピクセルが1秒角くらい。なので、1ピクセルがレイリー限界と等価くらい。
  • でもカラーCMOSカメラなので、モノクロCMOSカメラに比べて解像度は4分の1程度のはず。 
レイリー限界を超えて見える可能性についてです。
  • 他数枚をスタックしているのでレイリー限界以上に(多少)解像度が上がってもおかしくはないはず。
  • RegistaxのWavelet変換でシャープになっている
  • 強度の画像処理はしていないので、擬似的に解像度を上げるようなことにはなっていないはず
これらの条件はPowerMATEのある無しに関わらず同じです。また、今回はカラーCMOSカメラなので、PowreMATE無しだとレイリー限界に全然到達していない可能性が高いです。PowerMATEで分解能が上がりましたが、レイリー限界が見えているかどうかは、今回の結果だけでは良くわかりません。PowerMATEで4倍にしているので、一応カラーCMOSであることも考えると、1ピクセルがちょうどレイリー限界と計算上はコンパラなくらいです。

と思って、最後の最後でPowerMATEありの方を1ピクセルが見えるくらいに強拡大してみました。
PowerMATE_Extended
まずは大気分散リミットのようです。どうやら、PowerMATEのおかげで大気分散が姿をあらわにしてきました。一応ちょっと検証します。

赤から青まで約20ピクセル。4倍なので、もともと5ピクセル。ということは画面からの概算は、1.08秒/ピクセルをかけて約5.5秒角。この時の月の高度は14度で、計算によると大気分散は6.2度。読み取り誤差を考えると大気分散で確定でしょう。

どうやら次に進む前に本格的にADCが必要か。


まとめと今後の方針

さて、これらの結果をものすごく単純にまとめると、ASI294MC ProだけではまだTSA-120の分解能を引き出し切れていないということだけは確実に言えます。
  • エクステンダーやバローレンズ
  • よりピクセルピッチの小さいカメラ
  • モノクロのカメラ
などが必要になります。もちろんこれらには欠点もあり、
  • エクステンダーやバローレンズは暗くなりますし、像を歪める可能性もあるので、高性能のものが必要となります。
  • センサーの感度は1ピクセルの大きさに大体比例するので、ピクセルピッチが小さくなると当然感度が落ちます。
  • モノクロカメラはカラーにしたい場合はRGBで撮る必要があるなど、手間も時間もかかります。
など、トレードオフになります。このような対策をして、次は大気分散のことを考えてやる必要が出てきます。


さて、今回の結果をどう活用するか。もともとは焦点距離900mmで撮影できる系外銀河を考えていたのですが、系外銀河って意外に、と言うか当たり前ですが小さくて、900mmで撮影できるものは少ないのです。口径からくる分解能に達しているかどうかを見極めたかったのですが、今のシステムではまだバローとかで焦点距離を伸ばしても得しそうということはわかったわけです。でも拡大すると暗くなるんですよね。4倍のPowerMATEだと焦点距離3600mmですが、明るさ16分の1です。
  1. 2倍くらいの性能の良いバローにして、今のカラーのASI294MC Proで撮り続けるか
  2. 口径の大きいVISACに移すか
  3. それともモノクロのカメラを買うか
うーん、迷いますが、やっぱり2かなあ?夏も近いので一度M57でVISACの再テストですかね。TSA-120では小さい銀河は諦めて、もう少し広い領域を目指すことになりそうです。


回転花火銀河M101を撮影してみました。この天体は電視観望では何度か観たことがありますが、撮影は初めてです。自宅からですが、富山特有の北の明るい空です。さて、どうなることやら。


light_BINNING_1_integration_ABE_DBE_STR_DBE_STR_SNP_all_PS4_cuts
銀河部分を大きくみるために最終結果を切り出したものです。


撮影

今回はもう少し北側のM101に挑戦です。挑戦と言う意味ですが、富山は日本海側のため基本的に北が市街地になっているので、北の空はどうしても明るくなってしまい、これまでも撮影は避けてきました。

前回、三つ子銀河の自宅からの撮影がQBPを入れたまま知らずに撮影してしまうというアクシデントのおかげか、思いの外うまくいったので味をしめてしまいました。これならもう少し明るい領域でもなんとかなるのではと思い、この季節北東から真北に動いていくM101にしました。

機材セットアップは三つ子銀河の時と全く同じで、TSA-120にQPDでASI294MCProです。撮影自身は順調。ガイドもほとんどズレなしです。透明度はというと、三つ子銀河の時よりは悪かったと思います。見た目でもわかるくらい三つ子さんの時は細かい星まで散りばめられていましたが、M101のこの日の空は、悪くはないですが、まあそこそこと言ったくらいでしょうか。普通に星は見えますが、細かい星まではあまり見えません。

撮影はStickPCを利用したリモート撮影です。いったんセットして撮影が始まってしまえば、あとは部屋からヌクヌク状態でモニターすることができます。予定では3時間以上の露光時間を狙います。ところが、天頂越えまでまだ少し時間がある頃、部屋からリモート接続のでダウンロードされる画像を見ていると、星が流れて出していることに気づきました。おかしいと思い、外に出てチェックしてみると、天頂越え直前でカメラが三脚の当たって止まってしまっていました。これまでこんなことあまりなかったのですが、鏡筒が長いと天頂近くになるとカメラ側が脚に当たってしまうこともあるのがわかりました。こんなことならAPTで赤道儀の反転テストを試せばよかったです。赤道儀が明らかにずれてしまったのと、もうしばらくすると月も出てくるので、この日はこれで終了としました。5分露光で30枚なので2時間半分の撮影です。


全体の流れ

ガイドのズレを見るためにいつものように2時間半分の画像を動画にしてみます。

Blink

今回は1方向に動いているわけではなく、一度左に行って、右に戻ってきているような感じです。APTのDithering Distanceで4としてあるのですが、このランダムな動きがその4というので動いているのかもよくわかりません。1方向のドリフトではないのですが、まだたわみか何かが原因で動きすぎている気がします。

上の動画は明るさを規格化してしまっていますが、一番最初と一番最後ではヒストグラムで見ると明るさが1.5倍くらい違います。なぜかだんだん暗くなっていきます。最初北東にあったM101が高度を上げながら真北へ向かっていくくらいまでを撮影したのですが、普通に目で見ても北の方が明るいのは確かです。高度が上がっていくから暗くなるのか、夜中になり町の明かりが減っていったから暗くなっていったのかはわかりませんが、(QBP有り無しで高々3倍の明るさの違いなので)1.5倍は無視できないくらいの違いです。2時間半分あるのですが、淡いところだけを出すのなら後半のみ使うくらいの方がいいのかもしれません。今回は、結局画像処理をやっている過程で、最初の30分を使うのをやめました。そのため淡い部分がもう少し出るようになった気がします。


画像処理

今回結構色々学びました。特にAPTはまだまだ経験不足で慣れていないことも多いので、癖を知っておく必要がありそうです。


1. light frame

撮影した画像を見てみると、どうもホワイトバランスが根本的に取れてません。QBPのせいでしょうか?赤がどうしても強くなってしまいます。でも、後のフラットで逆に赤が暗くなったことを考えると、QBPのせいでもない気がします。

ight_redshift
rawファイルをカラーバランス補正なしでオートストレッチした画面。
ヒストグラムを見ても赤が支配的です。

SharpCapの場合はカラーバランスをソフト側でとることができて、fitsファイルにもそれが反映されてます。APTの場合にはカラーバランスを調整できる場所がありません。いや正確には見かけのカラーバランスは調整する場所はあるのですが、画面だけに反映され、fitsファイルにはそれは反映されないようです。


2. dark補正

今回はdarkの補正の時にアンプグローをうまく差っ引くために、前回のUTOさんのアドバイスを元にOptimizeオプションをオフにして処理しました。  オンとオフで比べてみます。

light-BINNING_1
デフォルトのOptimizeがオンのまま。右上にひどいアンプグローが残っています。

light-BINNING_1
ダーク補正の際のOptimizeをオフにした場合。
アンプグローは相当マシになります。

最初BatchPreProcessで設定場所が見つからなかったので、ImageCalibrationの中でOptimizeをオフにしてバッチ処理でなくその後もマニュアルでやったのですが、後にBatchPreProcessの右側のグローバルオプションのところに設定できる場所があることを見つけました。これでバッチ処理で手間をかけずに進めることができるようになりました。

ちなみに、ダークだけをものすごく炙り出してみるとこんな風になります。

Capture 00_12_39_00001 00_17_12_c_d

右上が目立ちますが、左上にもそこそこのアンプグローがあり、よく見ると右下にも少しあります。3箇所もあるので大変そうですが、ダーク補正でOptimizeをオフにすることで解決できるので、もうそれほど大きな問題ではないのかと思います。


3. bias補正

最初bias補正をすると画面が暗くなりすぎてしまいました。これはbais frameの撮影時のbiasの値(オフセット)が大きすぎたことと、次に書くフラット補正がうまく行っていなかったことが原因かと思われます。

badbias
カラーバランス補正をしてオートストレッチすると青と緑が暗すぎてしまう。
バイアス補正でオフセットが引かれ過ぎていると考えられる。

ligh frameの撮影時、APTでのbias設定が40でした。そのためbias frameの(オフセットの意味での)bais値は撮影時に40以下にしています。最初オフセットを30にしてSharpCapdで0.0032msで撮影したのですがまだ十分下げ切れていませんでした。それに合わせてflat frameのカラーバランスも合っていなかったせいで、赤が過補正のため青と緑が相対的にオフセットを引かれすぎた状態になってしまって、出来上がり画像の青と緑が暗すぎてしまったのかと思います。

そのため改めてbiasを撮影して、その際オフセットを20に下げ、今度は念のためAPTで撮影しました。一応これでうまく行きましたが、実際にはbias値を下げたからよくなったのか、後述のフラットのバランスが取るように対策したからなのかは不明です。


4. flat補正

その中でも、今回の撮影では特にflat補正で学ぶことが多かったです。TSA-120の口径が大きすぎて、いつもやっているようなiPadでのフラット撮影は出来ませんでした。手持ちのiPadでは画面が小さすぎてはみ出てしまうのです。その代わりにMacbook Proのモニターをフラットパネル代わりに使ってやりました。使ったツールは天リフさんのこのページです。



このページはカラーバランスを整えることができるので、非常に便利です。

短時間露光のflat frameなので、最初はディスクへの画像取り込み時間が速いのでSharpCapで撮影していたのですが、条件をそろえる意味で途中からAPTでの撮影に切り替えました。ゲインはlight frameと同じ220、露光時間は以前の検証から100msです。枚数は50枚程度ですが、これも以前の検証からこれくらいの枚数で十分だと思われます。

ここから色々不思議なことがあり、まだ完全に解決できていません。あいからわらずフラットは謎が多いです。

上の「1. light frame」のところでも述べましたが、APTでlight frameを撮影すると赤色が一番強調して撮影されます。上のスナップショットでヒストグラムのところを見ると、赤が青や緑に比べて1.5倍くらい明るいのがわかります。

これは有意なずれで画像処理に影響を与えるくらいかなり大きな差です。最初QBPのせいで赤くなっているのかなと思っていたのですが、不思議なことに鏡筒とカメラの設定を全く状態を変えないでMacのモニターでホワイトバランスをとったものをflat frameとして撮影すると、今度は赤が一番暗くなるのです。青や緑に比べて2分の1以下くらいの明るさです。

flat-BINNING_1

このflat frameを使いフラット処理をすると、もともと1.5倍明るい赤が、2分の1位の暗さの赤で割られるので、その結果赤が3倍くらい明るいlight frameが出来上がることがわかりました。そのため少なくともPIでは、light framとflat frameのカラーバランスは、そこそこ同じようにする必要があることがわかります。実際にはMacの画面のカラーバランスを、あらかじめ赤が3倍くらい明るいものにして、それを撮影することで、そこそこlight flameと同じカラーバランスの取れたflat frameを作ることできるようになりました。

もう一つ問題がありました。撮影したflatの画面のうち赤色だけ様子がおかしいのです。RGBに分解してみてやると、青や緑はいたって普通に見えますが、赤色だけはセンサーの長手方向に蝶形になるような、形が現れてきて、変に見えます。

flat_BINNING_1_integration_RGB_VNG
赤だけ変な形が現れる。

とりあえず軽減する方法は見つけました。どうもフラットパネル(今回はMacbook Proのモニター)で撮影することが悪さをしているようです。まず、フラットパネルを使わずに、昼間にスーパーの袋を二重に重ねてflatを撮影してみると、この変な形は随分とマシになります。カラーバランスはその時に入る光に依るので、少し赤っぽい、実際には電球色の光を入れています。

flat_BINNING_1_integration1_RGB_VNG
蝶のような形はなくなったようにみえます。 

画像を見ても少しマシになっていることがわかると思います。でもマシになっただけで、やはり同じような形は残っています。

で、結局最終的にやったことはというと、flat補正をしないという選択肢を取りました。どう見てもこれが一番マシなのです。そもそもカメラがフォーサーズ相当で周辺減光があまりないので、それほどフラット補正にこだわる必要はないのかもしれまん。

でもここで不思議なのは、同じ鏡筒で同じ条件で撮影しているのに、なんで普通のlight frameの撮影の方では、こんな変な模様が見えてこないかです。まだflat frameの撮影方法に問題があるような気がしています。ここらへんは時間があったらもう少し試してみます。


5. 仕上げ

フラット補正なしにしてスタックした画像がまともになるとやっと、その後の仕上げの画像処理に困ることはなくなりました。ちなみにこれ以前のフラットが合っていない時の画像処理は熾烈を極め、時間も相当かけてしまいました。ちなみに最後のフラット無しの結論に至るまでに、PixInsightでのフルスタックの画像処理の回数は11回。そのうちPhotoshopに移って最後まで処理を進めたのが4回。下処理がきちんとしていればいるほど、画像処理にかける時間も少なくなりますし、出来上がった画像もいいものになります。


結果

画像処理の段階で色々紆余曲折はしましたが、そこそこ満足のいく仕上がりになりました。透明度の差もあるのでしょうか、三つ子銀河の時ほどくっきり出すのは難しかったですが、アンプグローが軽減できたのと、フラットがマシになったぶんもあり、淡い部分をより炙り出すことができていると思います。

light_BINNING_1_integration_ABE_DBE_STR_DBE_STR_SNP_all_PS4_cut
  • 撮影日: 2020年4月16日21時29分-4月17日0時20分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • 撮影条件: ゲイン220、温度-15℃、露光時間300秒x24枚 = 2時間0分 
  • フィルター: サイトロン QBP (48mm)
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AIで画像処理

自宅でこれなら、まあ十分ではないでしょうか。これも一度暗いところへ行って撮影してみたい対象です。一体どれくらい変わるのか、真ん中のしわしわの部分をもっときれいに出せたらと思います。

その一方、富山の北の空でこれだけ出るのなら、もう少し自宅で時間をかけていろんな銀河を探っていきたくなりました。自宅からなら、天気さえ良ければ平日でも比較的気楽に試すことができます。


Annotation

天体の名前入りの画像です。こちらも定番になりそうです。

light__integration_ABE_DBE_STR_DBE_STR_SNP_all_PS4_cut_Ann


前回の三つ子銀河は全面縦横ズレなしだったのですが、今回は右はあっていても左側が斜めになっています。北の空だからでしょうか。座標に対しては画面が歪んで写るんですね。


まとめ

TSA-120の自宅での撮影第2段。QBPのおかげもあり、北の空の銀河でもそこそこ写ることがわかりました。銀河の撮影も楽しくなってきました。TSA-120での撮影を今しばらく続けていきたいと思います。

その一方、まだ画像処理では理解不足なところがあります。特にflatはいまだにミステリーです。きちんとしたflat撮影方法をもう少しきちんと考える必要がありそうです。
 

大きな低気圧が抜けていき、透明度のいい日だったので、自宅からですがTSA-120で初めてまともな撮影を試みました。

これまでの準備

TSA-120に関しては、これまで撮影のためにいくつか準備をしてきました。









ガイド鏡のカメラにはこれまでピクセルサイズが2.4umと比較的小さいASI178MCを使っていましたが、カラーなので解像度的には4分の1になり、あまり得をしません。ピクセルサイズは2.9umと少し大きくなりますが、モノクロのASI290MMを使うことにしました。2.4/2.9x4 = 3.3倍くらい分解能が良くなっているはずです。ガイド鏡自身も焦点距離50mmのレンズから128mmにしたので、こちらも2.5倍くらい分解能の面で得しているはずです。合わせると8.5倍くらい分解能が良くなるので、精度向上が期待できます。

撮影するくらいまで準備が整ったので、チャンスを伺っていました。焦点距離880mmで、フォーサーズサイズのCMOSカメラなので、これまでのFS-60Qと6Dとかよりももう少し拡大して撮影できます。そこで、春で構図的にもちょうど治りがいいので、しし座の三つ子銀河をターゲットにすることにしました。


撮影

さて、TSA-120にフラットナーをつけての初のDSO撮影になります。テストでガイドなしのM42とか月とかの撮影はしていますが、今回はガイドありでの銀河です。四隅の星像にも注目したいと思っています。

そういえば、前回の月の撮影の時くらいから、鏡筒に差し込むカメラの回転角度に気を付けています。Facbookのあるフォーラムで解説されていた方法でやってみました。極軸合わせが終わった後、鏡筒が北極付近を向いている状態で、赤緯だけを揺らして星が平行、または(カメラの画角によっては90度傾いた状態だと)垂直に動くように、カメラの角度を調整すればいいというものです。

これまで画角の傾きには全く無頓着で、適当に水平垂直になったかなと思うくらいで合わせていました。ひどいと数十度のずれになっていることもありました。この方法は手軽で正確なのでいいです。後で示しますが、plate solvingで確認すると、ほとんど回転角0度になっていました。

今回のもう一つの大きな進展は、ガイド鏡の強化によりオートガイドの精度が大幅に上がったことでした。PHD2の画面の写真ですが、

IMG_9879

これをみるとRMSで1秒を切っています。

これまでのFS-60Qで撮影してきた時のとかの典型的なやつが
IMG_9761
になります(これでもかなり調子が良い時のものです)。グラフは同じスケールです。赤線、青線が相当フラットになったことからも、同心円のところばらつきが減ったことからも、明らかに精度が上がったことがわかります。

ところが、撮影した画像を位置合わせをせずに順に見ていくと

Blink

ランダムディザーで揺れてはいるのですが、やはり右に流れていきます。オリジナル画像だと1ピクセル1秒角くらいで、最初と最後を比べると約2時間で80ピクセルくらい右に流れていくので、約80秒角くらいずれたことになります。画像1枚が5分で、5分あたり3秒角ちょっとドリフトしてることになります。結構な量です。まだ撓み(たわみ)があるものと考えられます。これは一度きちんと定量的に評価する必要がありそうです。

今(ブログアップ直前)、ガイドグラフを改めて見てて気づいたのですが、ガイドの赤経をよく見ると一方向にのみ定期的にパルスが出ています。これってもしかしたらたわみがフィードバック信号に現れてしまって、その結果ドリフトを起こしているいるのかもしれません。パルス量とその周期から計算した赤道儀の回転量が、画面から計算したドリフト量あっていれば面白いです。このパルスがなくなるような対策をすればいいので、短時間で効果が見えると対策が楽になるはずです。

あと、撮影使ったソフトはAPTなのですが
  • 撮影画面のカラーバランスが取れず、赤く表示されてしまう。
  • やはりヒストグラムがあまり見やすくない。
  • オートストレッチが使いにくい。
  • カラーのヒストグラムを見ることができない。
などの不満がありました。その後、カラーバランスについては、APT Settingsの CCD/CMOS settingsタブのRed Channel Color BalanceとBlue Channel Color Balanceで色のバランスを取ることができるのがわかりました。保存されるRAWファイルには適用されず、見た目だけのバランスのようです。またオートストレッチに関しては、Auto Stretch Factorをいじると、デフォルトのオートストレッッチの強さを変えることができるので、これで合わせると程よい明るさで見ることができそうです。でもこの設定、撮影中にできる時と、撮影中はロックされて何も設定できない時がありました。再現性なくあまりよくわかりませんでした。

このとき試せなかったのが、天頂越えでの赤道儀の自動反転です。天頂越えくらいで月画で始めるので、ギリギリまで反転せずに撮っていたからです。いつかチャンスがあったら試したいです。


画像処理

画像処理に関してはまあいつも通りです。透明度が良かったせいか、RAW画像のコントラストが良かったこともあり、あまり苦労することはありませんでした。

フラットは前回までの検証から、100ミリ秒の短時間露光100枚でOKのはずです。ダークはバラ星雲の時に撮ったものの使い回し。

DeNoiseを少し使っています。ノイズが確実に緩和されるので随分と助かります。ヒストグラムで見るとすごいですよ。幅が尋常でないほど狭くなっています。最初、え、別のファイル開いたのか?と思ったくらいでした。

撮影結果です。

M65 M66 NGC3628: 三つ子銀河」
light_BINNING_1_integration_DBE_ST_PCC_SNP_all_PS3
  • 撮影日: 2020年4月14日21時4分-23時1分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • 撮影条件: ゲイン220、温度-15℃、露光時間300秒x22枚 = 1時間50分 
  • フィルター: サイトロン QBP (48mm)
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC、DeNoise AIで画像処理
各銀河の細かいところもそこそこ出ています。赤いポツポツも出すことができました。四隅の星像は以前報告した通り、バックフォーカス長が調整し切れていないので少し歪みますが、まあ拡大しなければ目立たないでしょう。TSA-120初の撮影ですが、自宅からここまで出るのなら、そこそこ満足です

上手く取れたので、Annotationもつけてみました。nabeさんがやり方書いてくれていましたが、PIでScript -> Image Analysis -> ImageSolver で位置を解決して、そのままScript -> Render -> AnnotateImageでできます。

light_BINNING_1_integration_DBE_ST_PCC_SNP_all_PS3_Annotated

こうやってみるとかっこいいですね。格子がほぼ完全に縦横になっているので、カメラの回転角はかなり合わせることができていたとわかります。でもnabeさんのページにあるように、多少斜めになっていた方がカッコよく見えるのは気のせいでしょうか?(笑)

そういえば今回、PCCでも上のImageSolverでもそうだったのですがplate solvingが全然うまくいきませんでした。いろいろやって、結局解決したのがカタログをUCAC3に変更してからです。オートとか他のカタログは全滅でした。星の数が少ないから?原因不明です。


ところで、今回撮影した三つ子銀河が昔とどれくらい変わったかと言うと、以前FS-60Qで撮影した三つ子銀河が以下のものになります。

light_BINNING_1_Maximum_No_normalization_DBE_PCC

PixInsight使いたての頃で、縞ノイズに悩まされた時です。今回は口径が120mmで2倍になったのもありますが、QBPでコントラストが上がっていることと、縞ノイズを回避したこと、画像処理の腕は多分上がっていること、StarNet++のマスク効果と、DeNoiseの効果もあることなど、いろいろ進化していることがわかります。

でも不満なところもいくつかあって、一つはASI294MC特有のアンプグローです。背景を炙り出そうとすると目立ってくるので、なんとかごまかさないといけません。もう一つは、下の画像を見て欲しいのですが、強度に背景を強調したものです。

light_BINNING_1_integration_DBE_ST_PCC_SNP_all_potato

右上のアンプグローは原因もわかっているからまだいいとして、背景全体にある格子状の模様はサッポロポテト現象の一種なのでしょうか?銀河周りの淡い腕とか出したいときはここらへんまで炙り出す必要があり、どうしてもこの格子が邪魔になります。今回は適当にごまかしましたが、アンプグローも取り切れていないのも合わせて、バイアス補正とかがうまくいってないのでしょうか?今後の課題です。

2020/4/18 追記: Twitterでnagahiroさんから「この格子DeNoiseのせいでは?」と言う情報がありました。「画像をあの格子で区切って、それぞれにニューラルネットかけているのだと思ってます」とのことです。で、改めて確認してみました。その結果、DeNoiseの前後で格子がなかったのが見事に出てきました。DeNoiseの思わぬ欠点発覚ですね。さっそく一つ原因がわかってしまいました。nagahiroさん、どうもありがとうございました。


まとめ

TSA-120にフラットナーをつけて、ガイド、ディザーをしながら撮影してみました。カメラの回転角を合わせることもできるようになりましたし、ガイドもRMSで1秒角以下になっているので十分な精度です。やっと撮影までできる体制が整ったことになります。銀河の分解能から見ても鏡筒自身の性能は申し分ないです。基本的にTSA-120、眼視用で有名ですが撮影でも十分使い甲斐があると思います。

課題は
  • まだガイドが長時間でドリフトすること
  • アンプグローをもう少し取りたい
  • 格子状のノイズが残ること
くらいでしょうか。

今回は自宅でしたが、もっと暗いところに遠征することも考えても良さそうです。
 

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