ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:場所 > 科学館

1月24日の日曜日、富山市科学博物館で開かれている県天の写真展の最終日に案内係がてら行ってきたことを記事にするのを忘れてました。少し思い出しながら書いておきます。


写真展の案内

休日の朝の楽しみの一つ、名古屋人の心の故郷、コメダ珈琲でモーニング。嬉しいことに富山にも何軒か進出しています。朝はコーヒーを頼むだけで、パンとゆで玉子とかがついてきます。しかも長居ができるところがいいです。ここでブログを書くこともよくあります。

その後12時頃でしょうか、富山市科学博物館に移動し、県天の名札を入り口で見せて案内係として特別展室に向かいます。最終日だからでしょうか、それとも日曜日だからでしょうか、前回あんなににきた時と比べると意外なほどお客さんがいます。私がいる2時間くらいの間に数十組、5-60人くらいはきていたと思います。ただし、小さな子を連れた親子連れが8割以上を占めていた印象です。親子連れなのでおそらく写真展のために来たというよりは、日曜で来てみて、たまたま写真展がやっていたということなのかと思います。

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そんな中、何人かは個人で来ていて、明らかに写真展目当てのお客さんがいました。熱心そうな方には声をかけて話をしますが、その中の一人が「ブログを見て最終日だからきた」と言うのです。よく聞いてみると、なんと「ほしぞloveとかいうブログ」と言うので、「あ、そのブログ書いてるの私です」と。

ブログを見てわざわざ写真展に来てくれるなんて本当に嬉しいものです。少し話してみると、県内の方だそうです。地元の人でこのブログを見てきてくれたということは、少なからずもこのブログが宣伝になっていたということです。

実は先ほどこの方からコメントが来てました。こんなマニアックなブログを見てくれていると言うことは、少なくとも天体観測や天体写真に興味があるはずの方です。コメントの中にはあまり大袈裟にはできないと言うようなことは書かれていますが、またいつかどこかでお会いできたらと思っています。

他にも榎本武揚が隕鉄から5振り作らせたうちの一刀、「流星刀」を熱心に見ている方などいました。この方は写真展もそうですが、展示の隕石に興味があるようでした。でもやはり大半は親子連れで、写真展よりも展示物の方が遥かに人気です。

子供も楽しめるように、いくつかの展示物があります。月、土星、火星、木星での体重を知ることができる体重計は子供たちが全部乗って、「木星が一番重いー」とか、「土星はあまり変わらなーい」とか言っています。月の体重計はかなり軽く表示されるのでお母様方にも人気です。


太陽系儀でクイズ

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真ん中にあるのが太陽系儀です。

一組、星に興味がありそうな親子がいました。聞いたら男の子は小学4年生、ちょうど理科の授業で天体のことをやるはずです。その親子が興味を示していたのが太陽系儀。太陽の周りを回る惑星の動きを歯車を使い再現した模型です。展示してあるものは、電気とモーターで動くものです。

おそらく学芸員さんの一人が『週刊 天体模型 太陽系をつくる』で作ったものかと思いますが、お母さんがインテリアとしてでしょうか、興味を持ったみたいです。そこでお母さんと子供にクイズを出してみました。地球自身がくるくる回っているので

「地球が太陽の周りを一周する間に、地球は自分で何回転するでしょーうか?」

問題の意味はわかったみたいなのですが、「えー、そんなの...」と言う感じですが、「ではヒントです。一年は何日でしょうか?」と言ったら、「あっ!」と言う顔をして分かったみたいです。(でも実際はこの太陽系儀の地球は月の公転に合わせて地球が自転しているだけなので、そんなに回っていませんでした。)

「では第2問、月が地球の周りを回っていますが、地球が太陽の周りを一回転する間にこの月は地球のまわりを何回まわるでしょーうか?」

これも最初「えー???」とか言っていましたが、「知識なんか必要ないですよ、これも生活に密着してます」「ではヒント、1年は何ヶ月でしょうか?」と言ったら、今度は子供が先だったでしょうか、「あっ!」と答えがわかったみたいでした。実際には12回ともう少しなのですが、一年は12ヶ「月」と言うのは子供でも知っていることですね。

「不思議ですよね。こんな天体の動きが、普段の生活から分かるわけです。でも当たり前ですよね。もともと地球と月の動きがもとで太古から生物は適応してきたのですから」とかの話になりました。すごく興味深く聞いてくれているようなので、毎週やっている観望会の話もしました。過去に何度かきたこともあるとのことです。「晴れてれば私もお手伝いに行くので、また観望会で会えるかもね」と誘っておきました。

お星様にかわいいお願い

もう一つの人気コーナーが「ほしにねがいを」です。星型の付箋紙に願い事を書いて貼り付けます。

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小さい子に声をかけると、楽しそうに書いてくれます。もう貼り付けるとことは隙間もないくらいいっぱいです。そんな中で見つけたのが下の写真。

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字を覚え立ての子が、がんばって書いてくれたのだと思います。本当に早く収束して欲しいですね。

私は午後2時頃に科学館をあとにしました。ひょっとしたらMちゃんきているかとも思いましたが、学芸さんによると土曜の観望会には参加してたそうですが、この日は見てないとか。名古屋のお土産のアイピースはまた今度手渡します。


年末の土曜日、天気が悪かったのですが、夕方明るいうちに少し晴れ間が見えてきたので、いつもの富山市科学博物館の観望会に顔を出しました。今回で今年は最後の官房会になります。到着した時には相当晴れ間が広まっていたので、すぐに電視観望セットを用意。でも準備が終わることにはまたかなり雲が広がってきました。

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今はコロナ禍で、観望会も予約制で50分の2部制になっています。各回20人程度とのことです。それでもこの日は天気が悪く、最初の部は人数は予約の半分程度。最初少しだけ観望しますが、月が少し見えたくらいです。実は一瞬アンドロメダ銀河を入れましたが、雲越しでお客さんに見せるレベルではありません。こんな日は室内に入ってお話が中心になります。 科学博物館の職員の方が季節に沿ったスライドを用意しています。しかも毎週来る常連さんもいるので、毎週ネタが変える必要があり、用意するのが大変かと思います。今回はオリオン座のギリシア神話です。月の女神アルテミスとの仲を心配した兄アポロンが罠を巡らして、アルテミスにオリオンを弓で打たせてしまう悲しいお話です。

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お話が終わると外に出て少しだけ観望しますが、ほとんど何も見えず、電視観望でごく稀に月の輪郭が見える程度でしょうか。残念ながら、一部はここでおしまい。次の2部の人たちが来始めました。

2部の人の中に、いつものMちゃんがいました。残念ながら、写真展の時に会った男の子は名簿には載っていましたが今回は天気が悪いせいか不参加のようです。この間声をかけたのですが、ずっと天気が悪くてなかなか自宅観望会に誘うことができません。晴れたらぜひ二人とも遊びに来て欲しいです。学芸員さんの話が終わっても天気が悪かったので、そのまま部屋でMちゃんとお母さんと少し話すことに。

お母さんによると、Mちゃんがとにかくカメラを欲しがっているとのこと。しかもよくよく聞いてみたのですが「普通のカメラの方がいろいろ使えるはずなのに、なぜか『赤いやつ』が欲しいらしい」と言うのです。ハハーァなるほどと思いました。Mちゃん曰く「もうポルタIIでは星雲が淡くてなかなか見えない」ということが悩みで、何人かの人に勧められたらしく、ZWOのカメラが欲しいみたいなのです。でも残念ながらクリスマスでもサンタさんはカメラはくれなかったとのこと。やはり小学生にはカメラは相当高価な部類になります。

ASIのどの機種かまではわかっていないようでしたが、冷却のことは高価になることも含めて効果についてもきちんと理解していました。センサー面積が重要で、面積が大きくなるほど効果になるというのがまだ理解できていないようです。「あ、でもコンピューターがいるよ」と言ったら「コンピュータは持ってるから大丈夫」とのこと。一応どう使うかのイメージはできているようです。

最近はもうお母さんにとっては、だんだん理解の範囲を超えてきたらしくて、子供の質問にきちんと答えることができなくなってきとのことです。このまま機材を買い与えていいものなのか真剣に悩んでいるようでした。機材だけの問題なら私の余っているものを貸してもいいし、色々助言することもできるのですが、問題はそういうことではなく、このままのめり込みすぎていいものかを心配しているようです。私自身の考えは、興味のある時期というのは長い目で見たら人生の限られた時間のうちのことなので、その興味が続くうちにどこまで深く追求できるかが鍵だと思っています。そんなこともありお母さんには「理科とか、数学とかには役立ちますよ」とアドバイスしたら「今も理科と算数しか勉強しないんです!国語とか、英語とかどうなるのか心配で...」とのこと。それを聞いて、国語は論理性、英語はどうせ読むようになるので、ああ大丈夫だと思ったのですが、やはり問題はのめり込みすぎのことのようです。

Mちゃんに一眼レフカメラも勧めてみましたが、目的がどうやら眼視でなかなか見えない淡い天体を電視観望のようなもので見たいようです。確かにその気持ちはよーくわかります。あれは本当に楽しいですから。Mちゃんは、高校生になってアルバイトでお金を貯めて買いたいというようなことを言っていました。すごくいい子です。でもそれだとまだ5年後くらいの話です。お母様の心配がなければ、いろいろ手助けしてあげたいのですが、どういう結論になるのか、少し待ってみることにします。

個人的には今だったらまずAZ-GTiを手に入れたほうがいい気がします。必要ならカメラは私が提供します。それでどんどん好きなように進んで、もっと星好きになってもらえれば...と思うのは勝手なマニア心ですかね。お母様の心配ももっともな気もします。

結局、観望会の時間も過ぎて何組かが残って、外に出てみると少しだけ晴れてました。月と、運良く東の低空の一部が空いていたので、オリオン大星雲を入れてみました。雲越しでしたが、少しだけM42が見えて、残っていた人たちみんなすごく喜んでくれました。あ、Mちゃんと仲の良い子がいるのに気づきました。聞いたら同じ学校の3年生の女の子です。まだ最近、11月くらいから参加し始めたとのことで、最初に来た時にMちゃんとたくさん話をして仲良くなって、それから毎回来てくれているようです。こうやって毎週続けていくことで仲間が増えていく場を提供できている富山市科学館の取り組みは素晴らしいと思います。

さて、後片付けも終わってオフィスに顔を出したら、ケーキが。実はMちゃんの家はケーキ屋さん。お母さんが差し入れてくれたシュトーレンをみんなで頂きました。と言っても、アルコールが入っているとのことで、実際に食べたのは家についてからです。

観望会も終わって、21時半頃ですが、食事がてら「かつや」に行ったのですが、食べているとちょうど後片付けが終わった学芸員さんの一人がが入店してきました。声をかけて、一緒の席で食べることに。まだ30前くらいの若い方で、なんで富山市科学博物館に来たのかかとか、それまで電波望遠鏡で研究していたのかとか、いろいろ話を聞くことができました。

実は今、富山市では別の場所にある富山市天文台をどうするか議論されていて、そのことについてもいろいろ話すことができました。現在富山市天文台は2018年に起きた土砂崩れと施設の老朽化で、それからずっと休館中です。予算をかけて復活させるのか、新しい場所に移転するのか、もうやめてしまうのか揺れています。一番心配しているのが、科学博物館で観望会を続けているのでもう天文台はなくてもいいのではと思われてしまうことだそうです。毎週観望会を続けていることが逆に仇になってしまうかもしれないというのです。そんなことは絶対あるはずがありあません。これだけ熱心に観望会を続けていることがどれだけ富山の子供たちの理科の興味に貢献していることか、きちんと評価すべきだと思います。富山はおそらく全国でも珍しく富山市天文台とアマチュアの富山県天文学会が非常にうまく噛み合って実績を上げてきたところです。このまま天文台がなくなってしまうのはあまりに惜しいです。富山県天文学会のメンバーの中でも活発な議論がされています。なんとかいい方向で富山の天文活動が続いていって欲しいと思います。そのためにできる協力は惜しまないつもりです。


12月5日から1月24日まで、富山市科学博物館で「星空をみよう!」というタイトルで天体写真展が開かれます。写真展の入場料は無料ですが、科学博物館の入館料がかかります。富山県天文学会会員の写真が展示されます。

今日は富山県天文学会の皆さんが集まって、展示の準備をしてきました。展示は星雲、星団銀河、星景星野、太陽、火星、月その他など、天体対象によって場所が分かれることになりました。全部で50点ほど、皆さんの力作が並んでいます。私は3点、この間フジプリで印刷した網状星雲、富山であまり撮影できなかったネオワイズ彗星、科学博物館の方のリクエストで天の川リフレクションズを提出しました。

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12月5日からの展示会では、特に休日は会員の何人かが会場にいて解説をしてくれるかもしれません。私も何日かは顔を出そうと思っています。よろしければ富山市科学博物館まで足を運んでみてください。


昼間に少し富山市科学博物館に用事があったのですが、ついでに最近の観望会の様子を聞いてみたら、コロナ禍の中でも再開して頑張って毎週土曜日に続けているとか。せっかくなので、是非ともお手伝いにということで、久しぶりに参加してきました。前回参加した観望会が2月だったので、約8ヶ月ぶり、本当に久しぶりです。

現在、科博の観望会は完全予約制になっていて、毎週土曜日なのは変わりませんが、定員20人を2回、各1時間で、18時半から20時半まで、2ローテーションまわすのみとのことです。今回のテーマは「アンドロメダ銀河」。SCWでは19時くらいから晴れそうなのですが、18時過ぎではほとんど雲に覆われています。18時半になっても、ごく一部所々に隙間があるくらいで、街中のこともあり、目で見ててもほとんど星は見えません。ときおり明るい木星や火星、最初の頃にアークトゥルスが、たまに天頂付近のベガやデネブが見えたくらいでしょうか。こんな日は観測は難しく、ほとんどお話だけになってしまいます。実際の観望はMEADEの25cmがあり、そこに木星や火星を入れるのですが、なかなか見えなくて順番待ちになってしまいます。

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私の方は、一応50mmのレンズとASI294MC Proで広角電視観望をセットして、もし何か見えたらくらいに思ってました。でもアンドロメダ方向はかなり雲がかかっています。

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ごくごく稀にアンドロメダが薄雲越しに見えて、一部のお客さんにはみてもらいましたが、薄雲の中なのでなかなか形まで分かりません。ボーッとしてるのが銀河ではっきりした恒星とは違って見えますが、一般のお客さんには恒星と銀河の違いはなかなかわからないかと思います。それでもお話の中で他の星の配置とアンドロメダ銀河の位置を聞いていたのか、認識はしてくれてほとんどの方が喜んでくれていたのが幸いでした。

今回一番嬉しかったのは、2月に観望会で会った星ガールと今回再び会えたことです。「次回の観望会で」と再会を約束したのですが、その後すぐにコロナで観望会がずっと中止。もしかして今回来てるかもと思って、約束していたポルタ用の微動ハンドルを一応持っていきました。科博のスタッフの方に聞いてみたら、2グループ目にちょうど来てるとのこと。前回会った時は2月で4年生でしたが、もう5年生になっていました。「余っていた微動ハンドルなのでどうぞ使ってください」と言って渡すと、相変わらずのテンションマックスで大喜びです。分解しようとしてお母さんに怒られてました。全く星に飽きていないみたいで、しょっちゅう望遠鏡を出しているそうす。以前は科博の観望会に持ってこれてた自分のポルタⅡも、コロナ禍では持ってくることも叶わず、その代わり自宅で見ることが多くなったそうです。でも駐車場で見てると、コロナだからあまり大っぴらに見ることができないとか。少人数で見ている分には構わないと思うのですが。

結局、この子とお母さんとずっと話していたら空が結構晴れてきてました。デネブ方向にレンズを向けると、街中にもかかわらず北アメリカ星雲がバッチリ見え、ものすごく喜んでいました。それでも天頂付近もまた雲に隠れてしまったので、次にM27を探したのですが、固定三脚でアンタレスとベガの間のそれらしい方向に向けるのですが残念ながら見つからず。その後、アンドロメダ銀河に戻ってると、こちらはバッチリ見えます。もう、キャーキャー言いながら喜んでいます。機材にも興味津々で、カメラと小さなレンズだけでこれだけ見えるのをすごく不思議がっていました。レンズは古いものなのでまだしも、カメラはやはり小学生には高価すぎますし、PCも必要なので大変です。それよりも「きちんとアイピースを使って、星の色とか自分の目で見ることが大事だよ」と伝えました。でもこれだけ喜んでくれるとこちらも嬉しくなって色々見せてあげたくなってきます。

明日の日曜晴れそうなので、もしよかったら自宅に来て、夜に望遠鏡見ますかと誘ったら、19時頃に自分のポルタIIを持って来てくれることになりました。しかも色々聞いていると、ちょっと前にペルセウス座流星群の時の夜に偶然会ったUさん一家と仲がいいとか。Uさん一家はうちの妻とも仲がいいので、もうウェルカムです。結構こういう星とかに興味がある子達は、みなさん近い関係にあるのかと思いました。もしかしたらUさん一家も誘ってくるとかで、明日の晩は賑やかになるかもしれません。

明日は木星、土星、火星と惑星フルコース、しかも新月期なので電視観望で星雲も期待できます。うまく見せてあげられるといいなあ。



久しぶりの観望会

夕方少し晴れそうなので、富山市科学博物館の観望会に出かけました。科学館での観望会は調べたら去年の5月以来で本当に久しぶりです。よく考えたら夏は星まつり秋は飛騨コスモスと、いろいろ忙しかったせいかあまり行けてませんでした。あと、とにかく観望会の土曜日になかなか晴れなかったのです。実際今日も職員の方達が「雨プロ(雨の時のプログラムという意味らしいです)のネタが尽きたー。今日晴れてよかったー!」と言っていたくらいで、本当に久しぶりの晴れの観望会とのことです。

富山市科学博物館の凄いところは、毎週土曜日に必ず観望会を開くところです。天気が悪くても、室内でお話しがあります。これをずっと続けているのは凄いことだと思います。でも、北陸の冬の天気は結構悲惨で、なかなか観望会の日に晴れてくれなくて、今回は久しぶりの晴れの観望会となったわけです。


光害地での広域電視観望のテスト

今回の観望会での目的は、先日うまくいったQBPと明るい単焦点レンズを使った広域電視観望のお披露目です。



これまでは自宅で試していたので、住宅街といえどもまだ星は見える場所です。今日は科学博物館のある場所で、完全に市街地です。昔、娘のNatsuが自由研究で光害の影響を調べたとき、科学博物館から山側へ移動して行くと光害がどれくらい変わっていくかというのの、最初の起点の一番明るいところです。



こんな明るいところで、一体どこまで見えるのか?それを確かめるためのテストも兼ねています。


セットアップ

機材は前回までと全く同じ、NIKKORの50mm、F1.4レンズをF2で使い、アメリカンサイズのQBPをCMOSカメラに直付け。CMOSカメラはASI294MC Pro(常温で使用)です。他はシンプルな三脚と自由雲台だけで。雲台にカメラを取り付けるアダプターも前と同じで、超シンプルシステムです。

車から機材を運びますが、移動距離100m強。PC2台、観望会用に星座ビノ8個、テーブル、椅子を持っても一度で余裕で運ぶことができます。とにかく軽い。テーブルと椅子が一番重いくらいで、機材一式は重さ的にはもう誤差の範囲に入ってきています。

実際の設置も超簡単。一番時間がかかったのがテーブルの組み立てでしょうか。あ、あと星座ビノ8個ををケースから出すこと、これが意外に時間を食います。それに比べたら、特に今回はPC上に前回のSharpCapの設定が立ち上がったまま残っていたので、三脚の足を広げて、ケーブルをPCに繋いで、PCでカメラの映像が写っていることを確認して、カメラをオリオン座の方に向けて、ピントを合わせて、たぶん2分くらいでM42までたどり着きました。この手軽さに比べると、手軽だと思っていたAZ-GTiさえ煩わしくなってしまいます。


市街地での広域電視観望の実際

さて、こんな明るい中での広域電視観望、うまくいったのでしょうか?

結果だけ言うと、大成功。写真見てください。

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もちろん、この場所より暗い自宅でやった時ほどきれいには出ていません。でもオリオン座の三つ星とベテルギウス、M42に馬頭と燃える木、左上にはバラ星雲、なんと言ってもバーナードループも淡いですがきちんと出ています。これらを一つの画角に入れることで、実際に目で見ているオリオン座と大きさを比較できて、星雲がどの位置にあるのか、バーナードループがどれくらい大きいのかが実感できるというわけです。これでも露光時間1.6秒で、スタックは写真では89枚となっていますが、20枚もスタックすれば十分見えます。

ちなみに、科学博物館が設定した今日の観望会のテーマが「オリオン座をみよう」です。オリオン座は電視観望でもインパクトがあるので、今回のテストにもぴったりのテーマです。今回の観望会には、もちろん科学館の望遠鏡や富山県天文学会(県天)の方達の望遠鏡も出ていて、オリオン座に関連するもの、リゲルやベテルギウス、トラペジウムなどを見てもらいます。県天メンバーで他にも電視観望をやっている方もいて、実際M42などをお客さんに見てもらってたようです。

それでもおそらく今回のように、街中の観望会でバーナードループを見ると言うのは、これまであまりなかったのではないでしょうか。さすがにこれには来ていた人たちもびっくり。科学館の職員の方や、他の富山県天文学会のメンバーなど、星に詳しい人たちは特に「こんなところでまさかバーナードループまで見えるとは」と、本当にびっくりしていたようです。職員の一人は「初めてバーナードループ見た」と言っていました。


面白そうな女の子が

そんな中、一人異常に反応の良いお客さんがいました。女性の方で、子供と一緒に来たお母さんのようです。上の画面を見て「すぐに子供を連れてくるから待ってて」というのです。連れてきた女の子がこれまた凄い。聞いたら「小学4年生」と言うのですが、上の広域電視観望の画面にものすごく感動したらしくて、いろいろ話してくれました。「半年くらい前にこの観望会でいろいろ教えてもらって星に興味が出た」「レグルスを一番最初に覚えた」「バラ星雲を見たかったけど、いろいろやって自分ではどうしても見ることができないとわかったのに、今回初めて本当にバラ星雲を見れたので本当に嬉しかった」とかです。

それならと「是非星座ビノを試してください」と、お母さんとその子に見てもらいました。この日は星座ビノ8種類を大放出。見え方の違いを含めて、他の人たちにも楽しんでもらっています。お母さんもその子も星座ビノの存在は知っていて欲しかったらしいのですが、選ぼうとしたら種類がありすぎでどれがいいかわからなかったとのこと。ホントはNikonのテレビューを見て欲しかったのですが、お母さんは老眼と自己申告、その子もメガネをかけているので、ピントが調節できるWideBino28を新旧バージョンを最初に見てもらいました。

これもまた面白いように反応してくれます。うまく見えているようなので、それではとCS-BINO3x50を見てもらいます。



これは流石にインパクトがあったようで、二人ともキャーキャー言いながら取り合いで見ていました。もしこれが買いたいなら、CS-BINOという機種の3倍の方ですよときちんと伝えておいたので、もし購入したくなってもわかるかと思います。

というのも、以前書いた通り倍率が3倍と少し高いので、狭い範囲を見ることになり星座の全景が見にくくなるのが少し心配だったのです。「倍率が高いと星座の全景が見えないので、星座の形を覚えていないなら2倍の方、星座の形を覚えていると3倍のほうが良いんですよねー」とか私が言うと、すかさず女の子が「はい、星座の形覚えてます!」とのこと。これならまあ大丈夫でしょう。


トラペジウムの導入

その後、お母さんは何処かへ行ってしまい、その子といろいろ話していたのですが、なんと「望遠鏡を買って今日も持ってきている」とのことです。これは一緒に見なくてはと、反対側のエリアに行くとそこにはVixen PORTAの80mmが。

びっくりしたのは、「何を見ようか?」と話していて「じゃあ、トラベジウムって知ってる?」と聞いてみたのですが「見たことある!」と言って、何の躊躇もなくすぐにその子が導入を始めました。するとファインダーを覗いてから、すぐに鏡筒に移りほぼ一瞬です。多分全部で2-30秒でしょうか、「入った」と。「え、こんなに早く?」と思って見てみるときちんと台形が見えます。しかも結構大きく。「え、アイピース何mm?」とわかっているかどうか試す意味も含めて、わざとシンプルに聞いてました。アイピースをきちんと外して確認して「えーと、6.3mm」とケロっとして言います。「えーっ、そんなに短いの!それで一発導入!?」なんだこの子は?私よりもはるかに速い...。紛れもない星ガールです。

わずか半年前に星に興味が出て、小学4年生の女の子に4、5万もするポルタを買い与える親も相当理解があると思っていたのですが、物凄い価値のある買い物です。こんな子がずっと星好きでいてくれて、いつか中学校や高校で天文部に入るか、もしくは天文部がなくても作ってしまうか、どんどん伸びていって欲しいです。

お母さんも星座ビノが欲しい、その子も望遠鏡で撮影もしてみたいと、やりたいことにキリがないみたいです。「そんなのを沼って言うんですよ」と言ったらお母さんの方から「そうですよねぇ」としみじみと返事が。そこで、星まつりのことを話しました。天文機材はやはり高価です。星まつりならかなりお値打ちに物が揃うはずです。胎内の星まつりのことは聞いたことがあったみたいで、今年は是非とも行ってみるとか。

20時すぎ、この日の観望会も終わりの時間となり、またここでの再開を約束してこの日はお別れとなりました。まだ小学生、変に高価な機材とかに走らずに、子供のうちだからこそ味わえる星の楽しみ方を充分に堪能して欲しいです。そして純粋に星が好きなのを忘れずに、素直に進んでいって欲しいです。まあ、今の様子を見ていると心配はなさそうです。


エピローグ

その後、私も後片付けをして、事務室のところでコーヒーをいただきながらスタッフの人たちと喋っていました。ちょうど星ナビの今月号があり、KYOEIのMさんが書いた電視観望の記事のことが話題になりました。「私も星ナビに出てるんですよ」と、小海の講演の時の小さな顔もわからないような写真を見てみんなで笑っていました。

久しぶりの観望会でしたが、バーナードループも見せることができたし、面白そうな子がいたし、大満足の1日でした。観望会の最後の方からですが、夜は予報通り曇り。記事にしていないですが、実は昨日も夜にいろいろやっていて少し睡眠不足で眠いので、今日はもう素直に寝ます。


今回の富山市科学博物館の観望会のテーマは「大きな星座BEST3」。集合時間ではまだ明るいので最初に建物の中に入ってお話しです。大きな星座から挙げていくとうみへび座、おとめ座、おおぐま座だそうです。ただ、国道沿いの街中でどこまで見えることやらというのが課題でしょうか。


観望会のテーマ

富山市科学博物館では観望会のたびにテーマを決めているとのことですが、この時期はテーマを決めるのが難しいのがわかります。 時間帯は19時半から21時、下弦近いので月も出ていなければ、時間的にも惑星も出ていません。なので星座というのはよくわかります。問題は星座なので、望遠鏡が使えないこと。双眼鏡でも倍率が高過ぎます。もちろん普通に肉眼で星座を見ればいいのですが、かなりの光害地のために2等星が見えるかどうかくらいです。私の目には北斗七星があるのがわかるかどうか、柄杓の形はわかりません。北極星は全然見えません。こんな時こそ星座ビノ。今回は6個出しました。

星座ビノがあると、こんな時でも北斗七星も北極星もはっきり見えます。それどころか、北斗七星の二重星、ミザールとアルコルも余裕で見えます。死兆星の話をすると一部の年代の人には異様に受けます。

この日星座ビノで確認できた星座は、おおぐま座の北斗七星の部分、しし座、さそり座、かんむり座くらいでしょうか。人工衛星も星座ビノを使った方が当然よく見えます。それでも星座ビノを使っても。見えた人と見えない人で結構差がつきます。
  • ピントを合わせるのが大人でも思ったより難しいみたいです。でもピントが合って星が見えた時の感想は聞いていても嬉しくなります。
  • 目がいい人はパンフォーカスのテレコンビノが調整なしで見えるので、手軽でいいです。特に子供はピント合わせできないと思った方がいいので、テレコンビノに限ります。
  • 子供はすぐにレンズを指で触りたがります。触らないでと言っても絶対無理です。あとで見ると全部指紋ビッタリです。これが耐えられない人は観望会で星座ビノを使ってもらうのはやめた方がいいです。あとで掃除すればいいので、私は気にしません。

星座電視観望

この季節はちょうど夏の大三角が登り始めるくらいです。こと座は高度が低くベガが見えるのみで、星座ビノを使ってもこと座の形を見ることはどうしてもできませんでした。その代わりと言っては何ですが、もう一つ星座用の電視観望をしました。広角のカメラレンズをアダプターを介してCMOSカメラにつけるだけですが、街中でも星座がよく見えます。一つ失敗したのが、ASI294MC ノーマルからProになったので、アルカスイス互換のマウントに取り付けれなくなっていたのをすっかり忘れていたことです。仕方ないので少し視野は狭くなりますが今回はASI178MCを使いました。レンズはシグマのAPS-C用の10-20mm, F3.5。

北斗七星なら全体像もアルコルも見えますし、柄杓のところを5倍伸ばしたら北極星という説明も、画面を見ながら簡単にすることができます。特にアルコルが見えない人もいたので、補助的に見てもらうのもありかなと思いました。

さずがに電視観望だと光害で見えない星もかなり見え、星座ビノで分からなかったこと座の形までよくわかります。今日のテーマの大きな星座ですが、乙女座もうみへび座もASI178MCだと焦点距離10mmでも視野に入りきりません。特にうみへび座は高度が低過ぎて、そもそも全然わかりませんでした。


自宅くらいの空ならば電視観望で天の川も余裕で見えるのですが、いつか街中の科学博物館でも天の川まで見せてあげられたらと思います。夏の透明度がいい日ならと思っているのですが、果たしてどうでしょうか。


子供の目の感度

でも子供ってすごいんですよ。北斗七星ははっきり見えているみたい。私が全く見えない北極星も余裕で見えているみたいです。ある女の子はアルコルも肉眼で見えていると言っていましたが、もし本当なら私と視力も感度も全然違います。羨ましいです。苦労して星座ビノを使ってよく見えたと言っている大人が馬鹿らしくなってきます。

21時に終わりで、最後にアンタレスが美術館の建物の上にできてたのをみんなで確認して終わりです。アンタレスも街灯が近くにあり私はかなり頑張って見えるくらいでしたが、子供には平気で普通に見えているようでした。星座ビノで見て低空で瞬いているのがよくわかったのですが、子供たちは普通に肉眼でも瞬いているのもはっきりわかっているみたいです。


まとめ

電視観望は星雲星団に限らず、広角カメラレンズでの電視観望と星座ビノという組み合わせで観望会で星座観察というのも一つの手段だと思います。今度はもっと視野の広いASI294MC Proで同じことをやってみたいと思います。

21時になって片づけが始まった時に、科学博物館の方達に少し星座ビノを見比べてもらいました。この時はNIKONが一番人気だったです。「星座ビノ欲しいー」とのことでしたが、NIKONは市販でないですよと言ったら残念そうでした。でも笠井のものでも十分に見えます。一つ持っておくだけですごく楽しめると思います。

片付け途中に、東京から来たという子供を二人連れた家族が1組到着しました。隣の高岡で法事があり、わざわざ富山市まで来てくれたようです。私もまだ機材が出ていたので、星座ビノを渡して少しだけですが星の解説をしました。明日は東京へ帰ってしまうとか。天の川を見たことがないとのことなので、本当は山まで行って天の川を見せてあげたかったのですが、またこれから高岡へ帰るとか。いつか満天の星空を見てもらいたいです。

 

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