ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測・撮影 > 彗星

先日セットアップしたStick PCのテストも兼ねて、ネオワイズ彗星の電視観望とZoomでの中継をしてみました。


やっと梅雨明けか?

週末の金曜日本当に久しぶりに天気がよくなったので、NEOWISE彗星の電視観望と、Zoomでの中継をしました。

一番の目的は、世間的にはまだネオワイズ彗星を見ていない人が結構多そうで、もしその方達に少しでもいいので見てもらえればと思っていたことです。他の方の撮影結果を見ると、もう5等くらいとかなり暗くなってきていて、テイルも相当淡くなっているようです。おそらく一般の方が双眼鏡で見たとしてもほとんど分からないのではないかと思います。電視観望ならまだテイルまで見える可能性が高いです。なので、Twitterで「お子様、初心者大歓迎」と呼びかけて、できればマニア以外の一般の方に参加してほしいと思っていました。

もう一つの目的は、前回の記事で書いたStick PCの試験です。過去に何度かSURFACEを使ってやっていたリモート制御用PCを、今回はもっと気軽なStick PCで置き換えて、中継に耐えられるかを試したかったのです。当然私自身は、クーラーのついた部屋の中から快適に中継ということになります(笑)。


よし、中継の準備だ

彗星は最後、高度がかなり低くなるので、機材は二階のベランダに置きました。左右の見える範囲は狭まりますが、隣の家などの邪魔されずに低高度まで見えるようになります。2度目の中継にあたる7月19日の自宅からの中継は、北向の窓がある子供の部屋に機材を置きました。でも10日ほどの間に北西方向から真西方向に45度ほども方角が変わったので、今回は西向きに面しているベランダに移しました。

IMG_0376

機材は広域電視観望のセットアップに近いものなります。カメラはこれまでと同じZWO社のASI294MC Proを常温で稼働。これにNIKONの大昔の50mmのF1.4レンズをニコン->Canonアダプターをつけ、さらにCanonマウントからASIカメラにとりつけるアダプターをつけて接続しています。リモート駆動としてSkyWatcher社のAZ-GTiを経緯台モードで使っています。

いちばんの心配はWiFiの電波がベランダまで届くかでしたが、ほぼ真下にあたる1Fの電波が良好で、ここに繋ぐことで安定して接続することができました。唯一の間抜けなところが、これはStick PC以前の問題なのですが、AZ-GTiのステーションモードを5GHzの方につなげようとして、どうしてもつながらないと焦っていたことでしょうか。AZ-GTiは2.4GHzしかつながらないので注意が必要です。すっかり忘れてました。ドスパラのStick PCでは外部アンテナがあったのですが、今回の新Stick PCはそう言ったものもなくデザイン的にもスッキリしています。でもアンテナの感度はほとんど変わらないようです。

電視観望に関してはは順調そのもの。CMOSカメラを繋いだStick PC上で、SharpCapの動作も重いところなど全くありませんでした。自宅のWi-FiにAZ-GTiをステーションモードで接続、さらにStick PCも自宅Wi-Fiに接続します。Stick PC上でSynScan Proを走らせて自宅W-Fi経由でAZ-GTiに接続。私は部屋の中から別のPCでベランダにあるStick PCにリモートデスクトップで接続。さらに部屋のPCでZoomに接続してリモートデスクトップ画面を共有すると言う形をとっています。


ネオワイズ彗星見えたか?

肝心のネオワイズ彗星ですが、昼間から天気が良かったので期待できました。私としては珍しく少し早めに中継すると決心して、準備を終えアナウンスしたのが夕方。それが良かったのか、天リフさんでもピックアップで「このあとすぐ!」という触れ込みで宣伝していただけました。

その甲斐もあってか、知り合いの方、天文マニアの方はもちろんですが、(おそらく)一般の方も10人から20人くらいの規模で参加していただけました。でもほとんどの方がマイクがなくて、こちらからの説明だけで会話ができなかったのが残念です。あとでTwitterのコメントで、初めて見ることができたとかの投稿もあったので、「ああ、やって良かったな」と思いました。

多分日本全国ずっと天気が悪かったのでしょう。天文仲間もたくさん参加してくれました。なんと宣伝してくれた天リフ編集長も参加してくれたのですが「宣伝していいか迷ってた、参加人数が多くなりすぎるのが心配だった」と随分気を使って頂いていたことを聞くことができました。あと、参加者同しで「今ネオワイズ彗星中継してるよ」と電話で知らせあっていて、その時の声と電話に出ている様子がビデオ映像で流れていたのには皆さん大笑いでした。

実際の彗星の見え具合ですが、前半は継続してずっとテイルまで見えていました。もちろん、もうかなり淡くなっているので以前ほどのインパクトはないですが、はっきりとテイルの形は分かります。

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あ、今回はサイトロン社のCBP(Comet BandPass)フィルターをマウントアダプターの中に取り付けています。もともと彗星用と言うよりは星雲の青い部分を出したくて手に入れたのですがそちらは天気が悪くて全然試せてなく、せっかくなので遅ればせながら彗星にも使ってみました。 今回ははっきりと比較して比べたわけではないので詳しい評価は控えますが、それでも前日に他の方が撮影されたものや、同日撮影された画像と比較しても、高々電視観望ではっきりとテイルの形が分かったのはCBPのおかげかもしれません。

はっきりと見れていたのは21時くらいまででしょうか。だんだん雲が多くなってきて、この日は21時半頃には終了としました。きちんと数えたわけではないですが、結構人は入れ替わり立ち替わりで、全部合わせると30人は余裕で超えていたと思います。

IMG_0392
終わりの頃にはこんなに雲がかかってしまいました。

その一方、中継の最後の方から参加してテイルが見えなかった方もいましたし、後からコメントで中継に間に合わなかったとか、中継が終わってから誰もいない会議室を覗いてくれた方も(メールで誰か入ってきたのがわかるのですが)10人近くいました。まだ彗星を見てみたい方は少なからずいるようです。もし晴れるなら、もう一度くらい中継しようと思ったのが次の日の土曜日の朝です。


結局2日連続で中継、でも...

土曜日も朝からずっといい天気でした。でも夕方に近づくにつれ雲が出てきました。まだSCWとGPVでは予報は悪くありません。なのでまた雲も晴れると期待して、少し強引に中継を決めて再び18時くらいにTwitterでアナウンス。この日も「お子様、初心者大歓迎」と書いておきます。

もしかしたら天気が悪いかもと思い、機材を直前にベランダから庭に移しました。庭ならば、視界の限られるベランダと違い、全天を眺めることができます。もし彗星が見えなくても、せめて月とかでも見えたらと思っていました。低い光度は見えなくなりますが、彗星の高度もずいぶん上がっているので、前日の経験から、低い高度はもやで見えにくくなるので、そこまで遅くまで中継しなければ大丈夫でしょう。

19時半頃から中継を始めましたが、ずっと雲が出ています。金曜よりは人数は少なかったですが、この日は一般の方、もしくは初めましての方が多かったのが特徴でしょうか。でも実際に見えたのは、ほんの一瞬が2-3回といったところです。

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雲の切れ間の上の方、緑色の核とほんの少しテイルが分かります。

いちばん見えた時で写真よりほんの少しいいくらい、テイルが本当にかろうじてわかる、かなり厳しい状況でした。それでも見えて嬉しかったとお礼を言ってくれた方もいたので、少しだけほっとしています。

あ、一つ曇り空に花を添えたことを思い出しましたし。途中Stellariumで彗星の位置を確認していたら、Stellariumの上でISSが迫ってくるのに気づきました。すぐにカメラを少し右に寄せると、雲越しですが本当に時間通りに動いていくISSが見えました。これはちょっと面白かったです。

後半はずっと曇りで、最後は星好きが私も入れて4人残り、いつしかおしゃべりモードに。学生のnezumiさんが金沢で撮影している状況を中継してくれたり、結局23時過ぎまで話し込んでいました。

これもまたあるあるなのでしょうか、Zoom会議を終わるころには空は晴れ渡り、少しだけ白鳥座方向を電視観望で見てみると、月明かりの中北アメリカ星雲がよく見えました。右側に網状星雲も少しだけ見えていますが、月が明るすぎてせいぜいこれくらいでした。でもCPBのせいでQBPよりも青が出ているからでしょうか、見た目が自然の色に近い印象でした。

EAA


まとめ

一応2日とも何とかネオワイズ彗星をテイルまで見ることはできました。でもあまり天気が良くはなく、見たかったけど見えなかった人もいるかと思います。でも月も満月に近づくので明るいし、今日は天気もあまり良くなさそう。もうネオワイズ彗星もほとんど終わりなのかと思います。

実を言うと、中継の準備はこの日だけでなくこの一週間、雨が降っている日以外は毎日準備していました。唯一木曜日に雲間からほんとに一瞬だけ見えた時がありました。

IMG_0370

映ったと言っても、薄い雲越しなのがわかると思います。そのまますぐに雲の中に隠れ、その日も中継は諦めました。天気には文句を言っても仕方ないですが、これだけの彗星が梅雨時でなかったらもっと盛り上がったのではないかと思います。

またそのうちに何か企画したいと思いますので、楽しみにしていてください。


おまけでStick PCの電源について

最後に、電視観望に平行して、別途Stick PCの電源テストをもう少しだけしました。

結論だけいうと、通常のUSB端子の電源供給ではたとえ起動することがあっても、計算負荷が高くなると落ちてしまい、実用レベルでは厳しいです。

具他的には、StellariumとSharpCapの極軸合わせを同時に立ち上げるくらいでだめになります。実際には立ち上げてからそこそこ持ちますが、特に一旦放っておいてモニターの電源が切れ、再び立ち上げようとするときに落ちるというのは、かなり再現性がありました。どうも使い続けている限りは大丈夫なようですが、復帰の時に電力を消費するのでしょうか?

昇圧するなどの方法もあるかもしれませんが、Less is moreのバッテリーの100W出力端子は不安定になるようなことは全くないので、しばらくはこれで使い続けようと思います。

 

ネオワイズ彗星の画像処理をしていて、検証できたことが一つありました。バイアスノイズの影響です。

4連休なのに天気がずっと悪くてどうしようもないです。少しでも見えれば電視観望くらいと思っているのですが、さすがに雨が降っているようでは手が出ません。仕方ないので画像処理時少し時間を費やしました。


なぜか縦縞ノイズが残る?

まずこちらを見てください。

integration1_ABE_DBE2_STR_stripenoise_cut


初日に撮影したうちの処理途中のネオワイズ彗星を少し見やすくしたものです。炙り出しを進めると縦方向に縞ノイズがあることが分かります。このノイズ全体にあるのですが、特にダストテイルの真ん中下部が分かりやすいかもしれません。分かりにくい方は今見ているモニターの明るさをできるだけ明るくしてみてください。

この時は速報性重視で時間が勝負だったので、撮影から帰ったその夜中に、しかも朝には仕事があるにもかかわらず、PixInsightでライトフレームだけ使い、バイアス補正、ダーク補正、フラット補正をしていない状態で出てきたものです。

このノイズがあるために画像処理を控えめにして縦縞ノイズを目立たないようにしたものをブログに載せています。コメントでRAINYさんから「屏風絵のようで和を感じる」などと評価いただいたのですが、私はそんなに心の綺麗な人間ではないので、本当はもっと炙り出したかったのです(笑)。その時のコメントでこっそり書いてますが、まだまだ彗星の画像処理も未熟で迷走状態だったわけです。


縦縞ノイズの原因

原因は比較的はっきりしています。マスターバイアスフレームを炙り出したものを見てみます。

20191109_bias-6D_ISO1600_s4000_x100

縦縞の様子が似通っています。最初は何もノイズ処理をしていなかったので、取り除いていなかったバイアスノイズが出てしまったと推測されます。


真面目にノイズ処理をしみた

1回目の撮影はあまり真面目にノイズ処理をやらずに縦縞ノイズが残ってしまったので、2回目の撮影ではきちんと各種補正をしようと思い、PixInsightで
  • バイアス補正あり、ダーク補正あり、フラット補正あり
で画像処理をしました。詳しく言うと、
  1. ライトフレームISO1600、30秒露光を20枚に対して
  2. バイアスフレームはカメラにキャップをして、暗所で撮影、ISO1600で最短露光の1/4000秒を100枚スタック、ただし半年以上前に撮影したもの
  3. ダーク フレームはカメラにキャップをして、暗所で撮影、ISO1600で30秒露光を50枚
  4. フラットフレームはライト撮影時の105mmレンズを開放のF2.4にして、ISO100で1/50秒露光で50枚、ここにあるように障子の漏れ光を利用して昼間に撮影
となります。結果を見ます。

masterLight_BINNING_1_FILTER_NoFilter_EXPTIME_30_integration_DBE

全ての補正をしたのでこれでOKと思っていました。でもまだ縦縞ノイズが残るんです。なぜでしょう?ここから迷走して少し時間がかかってしまいました。

でも、鋭い方ならここの時点でピンと来た人もいるのかと思います。この時点で全てのヒントは出ているので、もし理由を考えたい方がいたらここでじっくり考えてみてください。
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縦縞ノイズが残った原因

何が問題だったか、答えを言いますとフラットフレームだけISOを100として撮影していて、その他ライト、バイアス、ダークフレームのISO1600と違っていたことが原因です。

フラットフレームを撮影する際、昼間の障子紙越しの光を使ったのですが、十分明るいのでISO100、1/50秒で撮影しました。この際のISOがライトフレームの1600と大きく違ったことが問題だったというわけです。ISO100で撮影したフラットフレームに残っているバイアスノイズが、ISO1600で撮影したライトフレームのバイアスノイズを補正できなかったのです。

その証拠にライトフレームと合わせるためにフラットのISOを1600と上げ、その代わりに露光時間を1/2000秒と短くして撮影し直し、上記で試した
  • バイアス補正あり、ダーク補正あり、フラット補正あり
で、フラットファイルだけを新しいISO1600のものに変更して処理し直したものを示します。

masterLight_BINNING_1_FILTER_NoFilter_EXPTIME_30_integration_DBE

これまで出ていた縦縞ノイズが綺麗さっぱり消えています。分かりやすいように目立つ場所の比較をしてみます。左が間違ったISO100のフラットフレームで補正した画像、右が正しいISO1600のフラットフレームで補正した画像です。

comp_center

明らかにライトフレームと違うISO100の補正では縦縞が残っていて、ライトフレームと同じISO1600では補正がうまく行っているのがわかると思います。

ここで一つ結論が出ます。

以前紹介した短時間で撮影したフラットフレームは、ライトフレームとISOを合わせる必要がある。そうでないとバイアス補正がうまくいかない。

ということです。以下のページを見て参考にされた方がいましたら、是非とも今回の結論に合わせてISOを揃えるようにしてください。





このような淡い縦縞ノイズは、相当な炙り出しをしない限りは問題にならないかもしれませんが、今回のような彗星の淡いテイルなどは確実に影響を受けます。最初シンクロニックバンドに直交するように縞が出てしまって「なんじゃこりゃ?」となったわけです。

実はこの短時間フラットフレーム撮影のISOを合わせた方がいい件、確かどなたかがコメントかTwitterで指摘してくれていたと思ったのですが、その発言を見つけることができませんでした。今回はやっとここが検証できたことになります。

これでめでたしめでたしかと思いきや、でも実はそうでもなかったんですよね。これ以降詳しく書きますが、こちらの方の検証で相当時間を食ってしまったというのが実情です。


ここからがバイアス補正の謎

さて、これまでの議論が正しければ、フラット補正やダーク補正なしで、正しいISOのバイアス補正だけをした場合も綺麗に縞ノイズが消えるはずです。ところが、ところがですが、
  • バイアス補正あり、ダーク補正なし、フラット補正なし
という状態で処理した画像を示しますが

masterLight_BINNING_1_FILTER_NoFilter_EXPTIME_30_integration_DBE

上の画像が示す通り、なぜかバイアス補正だけでは縦縞ノイズは消えないんですよね。いろいろ検証しましたが、いまだに謎です。やったことは

縞ノイズが残った場合
  1. バイアス補正なし、ダーク補正なし、フラット補正なし
  2. バイアス補正あり、ダーク補正なし、フラット補正なし
  3. バイアス補正あり、ダーク補正あり、ISOの違うフラット補正あり

縞ノイズが消えた場合
  1. バイアス補正あり、ダーク補正あり、正しいISOでのフラット補正あり
  2. バイアス補正なし、ダーク補正なし、正しいISOでのフラット補正あり
  3. バイアス補正あり、ダーク補正なし、正しいISOでのフラット補正あり
です。ここからわかることは、とにかく正しいISOでのフラットで補正でないといずれも縦縞ノイズが出てしまうということです。

繰り返しになりますが、以下の2通り
  1. バイアス補正なし、ダーク補正なし、フラット補正なし
  2. バイアス補正あり、ダーク補正なし、フラット補正なし

でバイアス補正が共にされていないという事実から、バイアスファイルに問題があるのではとも思いました。半年以上前に撮影されたものなので、もしかしたら温度とかの条件が違うからかもしれないからです。念のため、今回さらに新たにバイアスフレームをISO1600、露光時間1/4000秒で100枚撮影しました。そのバイアスフレームを使って、
  • バイアス補正あり、ダーク補正なし、フラット補正なし
で、試しますが、

masterLight_BINNING_1_FILTER_NoFilter_EXPTIME_30_integration_DBE

上のようにやはり縞ノイズが残ってしまいます。バイアスフレーム自身は直近で撮影していて流石に問題ないと思うので、むしろバイアス補正が全く効いていないような状態です。確かにライトフレーム撮影直後にバイアスフレームを撮影したわけではないので数日の時間差はありますが、それでもその程度の時間差でバイアス補正が効かないとしたら、やはりこの補正方法自体が役には立たないでしょう。

結局この新しいバイアスフレームでもいろいろ試しましたが、結果は全て上と同等で、正しいISOでのフラット補正をした場合のみ縦縞ノイズが消え、バイアス補正は縦縞ノイズに何ら関係ないとなりました。

一方、ダーク補正につても考えます。単純に考えるとフラットフレームの中にバイアスノイズが含まれているので、正しいフラットフレームならバイアスノイズを消せるはずというので理解はできます。これが正しいならダークフレームの中にもバイアスノイズは含まれていて、ダーク補正だけでも縦縞ノイズは消えるはずです。
  • バイアス補正なし、ダーク補正あり、フラット補正なし
というのも試しましたが、縦縞ノイズは消えませんでした。少なくとも今回の検証ではダークフレームに含まれるはずのバイアスノイズは、ダーク補正において縦縞ノイズに何の影響も与えていないという結果です。


うーん、何がおかしいのか?

ちなみにこの結果は、一連の状況を経験してから、改めて一から全ての処理をし直し、再確認しています。それでもなにか勘違いなどで間違いを繰り返している可能性はあります。ただ、最後はバイアスの有無だけとかなり物事をシンプルにしたので、おかしいところは相当限定されていると思います。

これまでのことから、PixInsightにおいては、バイアス補正のみだとうまく補正できていない、もしくは補正し切れていなくて、正しいフラット補正(ISOを合わせたという意味)においてのみバイアスノイズの補正がうまく行われているようだということが言えます。

もしかしたらPixInsightのバグかもしれません。でもバイアス補正はPixInsightの相当基本的なところなので、かなり検証されているはずです。

私がとんでもない勘違いをしている可能性もあります。一つの可能性が、バイアスノイズと思い込んでいるものが実はフラットフレームのみに現れる全く別のノイズかもしれないことです。でもこれもあまり正しいとも思えません。

今回の検証が本当に正しいのかどうか、もしどなたか追試していただける方がいてくれると嬉しいです。


2回目の能登半島羽咋の撮影で、ある程度枚数を稼いだのと少し雲が出てきたので、一度やってみたかったテイルのある彗星の電視観望を試してみました。


電視観望でネオワイズ彗星を見てみる

今回は簡単な電視観望なのですぐに準備は整います。1回目の撮影の時に焦っていて見つからなかったカメラアダプターも、今回はきちんとどこにあるか確認しておいたので、すぐにカメラとレンズは説明できました。赤道儀も経緯台も使わずの普通の三脚にカメラを乗せるだけなので、こちらもトランクから出してすぐにセットできます。

思い立ってから5分後には画面上に彗星が写りました。機材は一番シンプルなASI294MCにNIKKORの50mm F1.4レンズで以前やった広域電視観望にあたります。QBPなどのフィルターは入れていません。実際に見てみた画面がこちら。

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ダストテイルはもちろん、うっすらですがイオンテイルもリアルタイムで写っています。思ったよりも見えます。さすが超高感度CMOSカメラでの電視観望です。

彗星周りと下のほうにも霞んで見えるのは雲です。22時近いですが撮影するにはすでに状況が厳しくなってきているのがわかります。


ネオワイズ彗星を中継できるかも

それでも高感度カメラのおかげか、うまく見えたことに気を良くした私は、突然Zoom中継できないか思い立ちました。遠征先ですが、iPhoneのテザリング機能を使えばなんとかなるかもしれません。

ところが、最初に繋いだSURFACE PCがなぜかiPhoneまでは繋がるのですが、インターネットに繋がりません。5分くらい格闘して時間もないので諦めて、予備というかメイン機に入っているBootCampのWindowsを立ち上げ、新たにカメラをつなぎ変えてドタバタしながらなぜかこちらはすんなりとインターネットにつながりました。

その後、Zoomの会議室を準備し、すぐにTwitterで「彗星が沈むまでの短時間ですが」と断って呼びかけました。この時点で22時くらいだったと思います。すぐに何人かの方が参加してくれて、まだかろうじて尾っぽが見える状態でした。全国的にはそこまで晴れたわけではなく、この日見えなくて諦めた方も多かったようで、「リアルタイムなので見えた気分になれた」と喜んでくれる方もいました。それでも時間と共に低空に下がってきて、さらに雲がどんどん濃くなってきます。結局途中から参加された方は見ることができなくて申し訳なかったです。

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彗星は見えなくなってしまいましたが、何人かの方が参加してくれました。
  • baibaiさんがかなりはじめから参加してくださって、無事に尾っぽも見てもらいました。電視観望も中継で見るのも初めてだったとのことです。
  • シベット さん、タカsiさん、nagahiroさんも入ってくれました。特に関西勢のみなさんが天気が悪くて見えないとぼやいていました。
  • ケニ屋さんが時間が合わずに入れなかったようで、中継が終了してから入ってくれていたようです。水星が見えている時間も短く、短時間での中継だったので申し訳ありませんでした。
彗星の中継は可能性がありそうです。日本全部で晴れているわけではないので、晴れていないところからその様子を見てもらうことで、楽しんでいただけるかもしれません。彗星の見頃もあと1週間くらいですが、できるならもう少し早い時間から始めてリベンジしたいと思いました。


2回目の電視観望

そんなことを考えていた次の日の日曜日、SCWの予測によると富山は曇りの予報。でも19時頃に外に出てみるとかなり晴れています。この時GPVを確認すると富山は晴れの予報。少し差があるようです。

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自宅から見た北西の空。

とにかく彗星方向も結構見えそうなので、夕食を急いでとって車で5分くらいの河川敷に向かいました。日食を撮影した場所です。到着してすぐに昨日と同じセットアップで設置。ものの5分とかかりません。SharpCapで見えることを確認し、Zoom会議を立ち上げて、すぐにTwitterで呼びかけます。

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  • starstyleさんが仕事中にも関わらず参加してくれました。さすがに仕事中はマイクでは話せなかったみたいです。
  • 昨日に続き、タカsiさんがお子さんと一緒に参加してくれました。
  • 以前大晦日の電視観望でご一緒した智さんが参加してくれました。智さん自身も次の日広角で電視観望をしてみて見事にネオワイズも見えたそうです。双眼鏡だと厳しかったかもとのこと。やはりCMOSカメラは高感度で、ざっくり探すだけでも有効かもしれません。
  • staruzさん、三河のほうで電視観望をやりたいということで、α7Sがいいのか、ASI294MCがいいのか迷っていました。あとで、違いが多少説明してあるこのページをお勧めしておきました。
  • 昨日間に合わなかったケニ屋さんが参加してくれました。
  • CANPでお会いしたMatsuokaさんも入ってくれていたようですが、マイクの調子が悪いのか会話はできず残念でした。
  • spicaさんがお子様と一緒に参加してくださいました。親子で宇宙のことが大好きとのことでした。テカポのライブ中継の後に参加してくれたようです。東京からだとなかなか見えないそうです。でも残念ながらちょっと参加するのが遅くて、彗星が雲に隠れてしまい見せることができず、申し訳なかったです。その代わり少しだけ天の川を見てもらいました。
  • 他にも結構な人数の方、入れ替わりで十数人は入ってくれたかと思います。フォローし切れていない方もいると思いますが、申し訳ありません。
参加してくれた皆さま、どうもありがとうございました。特に、子供が参加してくれるのは嬉しいです。でも後半のspicaさんのところの女の子には見せてあげられなかったこと、これが一番悔やまれます。

最初は彗星のテイルまで綺麗に見えていたのですが、途中からどんどん雲が厚くなり、最後は核さえも全く見えなくなってしまいました。それでも夏の大三角はある程度まで見えてましたし、南の天の川中心付近も見えていました。北西方向があまり良くなかったみたいです。下の写真はZoom中の様子ですが、もうかなり炙り出した状態で、かろうじてテイルまで見えています。

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ちなみにこの時点では、肉眼ではこの方向には星も何も全く見えません。双眼鏡で見ても彗星の核も他の星も全く見えませんでした。それでも炙り出してしまう電視観望はやはり強みがあると思います。


無事に終了

さて、高度的にはまだ見えているはずなのですが、結局雲に隠れてしまって、さすがの高感度CMOSカメラでもどう炙り出しても核さえも見えなくなってしまったので、ここで終了としました。22時前くらいだったでしょうか。次の日もが仕事なので、あまり遅くならずちょうど良かったです。

電視観望も、それを中継するのもとても面白かったです。まだ見えてない人が「見た気分になれた」と言ってくれるのを聞くととても嬉しいです。晴れてくれたらもう一度くらい挑戦したいです。

できれば子供に参加して欲しいです。もちろん本当は肉眼で見て欲しいのですが、spicaさんが会議中に話してくれましたが、東京とかの明るいところでは流石に肉眼で見るのは難しいようです。双眼鏡が一つあれば結構な市街地でも見えると思うのですが、低倍率の双眼鏡でないと初めての人はなかなか場所がわからないかもしれません。実は星座ビノが低倍率で視野が広くて良かったりするんですよね。

ネオワイズ彗星の見頃もあと1週間くらい。悔いのないように楽しみたいです。
 

2度目のネオワイズ彗星のチャンスがありました。天気を見ての判断で、再び能登半島の羽咋まで遠征することにしましたが、うまく撮影までできたでしょうか?


前回の撮影の反省点

7月16日に撮影したネオワイズ彗星ですが、画像処理まで終えてみると幾つか反省点が出てきました。主には2点で
  • テイルが思ったより長いので、もっと広角で撮影しても良かったのではないか?
  • 核が恒星に対してあまり動かないので、もっとトータル露光時間を伸ばしても良かったのではないか?
ということです。

ちょうど前回のブログの記事を書き終えた土曜日の午後、富山はダメそうですが、石川とか福井とかでまた天気がいいところがありそうな雰囲気になってきました。福井まで行ってしまえば暗くていいのですが、石川の南の方は金沢の市街地の明かりでちょっと厳しいかもしれません。19時ころは確かに石川の南とか福井がいいのですが、夜22時くらいまでの天気を考えると、もう一度能登の前回と同じ場所にするのも悪くはありません。ここはもう賭けになるので、とりあえず前回と同じ場所に向かい、その場でダメなら南下しようと決めました。


というわけで能登羽咋に向けて再び出発

前回のセットアップもほぼそのまま残っているので、ほとんど準備はできていいます。場所も道もわかっているので自宅を出たのは前回よりずいぶんのんびりで15時半過ぎ。17時半前には到着しましたが、まだ全面曇りなので途中で買ってきたお弁当で早めの夕食です。

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前回写真を撮り忘れたのですが、場所はこんなところです。コンクリート部分は斜めになっているので、三脚の足の長さを適当に変えて水平に設置するようにしなくてはいけません。。

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下は18時半頃の写真ですが、少し青空が見えるようになってきました。遠くに見えるのが漁港で、島になっているところを利用しているようです。

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天気ももしかしたらなんとかなるかもと思い、準備を開始しました。19時少し前の写真ですが、太陽が見えていて、北西の方向の雲が少し薄くなってきています。

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その後1時間で、北西方向がかなり開けてきました。これなら期待できそうです。

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この時iPhoneのカメラで彗星まで写らないか試したのですが、露光をあげるとボケボケになります。

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手持ちだったのでブレただけなのか、何か画像処理で解像度を落として感度を上げているのかわかりませんが、少なくとも露光を上げないと真っ暗にしか写らず、露光をあげるとこんなふうになってしまいます。三脚を使うとまた結果は変わるのかもしれません。ちなみにiPhone XRなので、たいしたカメラではないです。


ネオワイズ彗星の撮影

気を取り直して、きちんとしたカメラで撮影します。今回は焦点距離を短くして、PENTAXの6x7レンズで105mm F2.4です。もしかしたらこれでもまだ入りきらないかもしれないので、PENTAX 6x7の75mm F4.5を予備で用意しておきます。前者は明るいですが、星像は少し乱れるかもしれません。後者はかなり点像になりますが、F.4.5と少し暗いです。

そこそこ暗くなってきてシャッターを切ると、今日はさすがに場所の検討もついているのと広角なので、すぐにネオワイズ彗星が視野に入りました。相変わらずきれいなテイルです。

結局ISOは1600で共通、
  • 10秒を30枚
  • 20秒を20枚
  • 30秒を20枚
  • 位置を変えて30秒を16枚
  • レンズを75mmに変えて30秒を20枚
の計5セットを撮影しました。絞りは両方とも開放で105mmがF2.4と75mmがF4.5です。

その時の撮影時の様子ですが、すでにモニター画像上でイオンテイルがうっすらですが確認できます!

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画像処理

画像処理が思ったより時間がかかってしまいました。とにかく雲が処理の邪魔をします。たとえ薄い雲でも炙り出すとあからさまに雲と目立ってしまいます。

105mmで最初の方に撮ったものは核が右に寄りすぎていたので、結局後から位置を変えて30秒で16枚撮影したものを使いました。


integration_DBE_STR_SNP_all_ps4
  • 石川県羽咋市, 2020年7月18日20時15分-21時23分
  • レンズ: Pentax 6x7 105mm F2.4
  • カメラ: Canon EOS 60D (ISO1600), 露出30秒 x 16 = 8分
  • PixInsightで核基準で位置合、StarNet++で構成と分離し合成、Photoshopで画像処理
前回より明るめに仕上げました。StarNet++で恒星と背景がうまく分離できたので処理はしやすかったですが、それでもトータル露光時間が長いわけではないので、淡い部分のノイズに悩まされました。

彗星の右側に見えているのはダストではなくて雲です。雲は思ったより影響が大きいです。雲がないときに撮影したいです。

PixInsightで彗星の核で位置合わせをしていますが、強拡大しないと恒星のズレがわからないくらい、核の移動スピードが遅いようです。恒星での位置合わせと核での位置合わせで、テイルの構造など比べましたが、もしかしたら若干核合わせの方がいいかもくらいで、ほとんど有意な差は見られませんでした。

前回木曜日のが255mmで、今回が105mmなので、縦横2.5倍くらい大きな視野となっています。より広角になり、ダストテイルもイオンテイルも広く捉えることができました。それでもイオンテイルはまだはみ出しているのかもしれません。もう少し広角の75mmで撮影したものは、さらに雲の影響が大きいのと、低空になってきて海が入ってしまったので、処理が難しくなってしまい、あきらめました。


まとめと反省点

同じ場所の2日分を処理して思うことは、海は意外に明るいということでしょうか。これまで海で撮影したことはなかったのですが、低空が霞むこともありますし、対岸の光や、漁火でしょうか意外なほど明るいです。でも日本海側で北が暗いところって、海側しかないんですよね。南に降ると基本的に北の街明かりがつらいです。それなら山の南側まで行く必要があるのですが、これだと低空は見えなくてまた辛いのです。

雲の影響が相当大きいです。快晴の方がもちろんいいのですが、広角で撮影して全面快晴というのは梅雨時にはなかなか厳しい条件なのかもしれません。(2020/7/23 追記: 天リフさんの画像で、スタック時に中央値で処理すると雲も消えるかもと言うのがありました。一度試してみます。)

StarNet++がうまく恒星を分離できるので、もっと長時間撮影して、核基準で位置合わせして淡い部分を出し、恒星基準で位置合わせしたものと合成してもいいかもしれません。

それでも梅雨時にもかかわらず2度も撮影できたのは幸せだったのかもしれません。もう一度くらいチャンスがあるか?あればもう少しだけチャレンジしたいです。

この日、撮影のあと電視観望もしたのですが、それは次の記事で書きます。


おまけの写真

いくつか、おまけです。1度目の木曜に撮影した分もまざってます。


「流れ星と彗星」
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「海と彗星」
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「蜃気楼と彗星」

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漁火が二重に、また対岸の陸地が浮かんで見えています。
 

ずーっと雨で何もできなくて、久しぶりのブログ更新です。今回は話題のネオワイズ彗星。いろんなことが人生初の経験でした。


ネオワイズ彗星!?

ネオワイズ彗星というのがなんかすごいことになっているらしいというのを、ぽちぽち目にするようになりました。最初はほとんど海外の情報です。と思っていたら梅雨時の日本でも、北海道とかで撮影できたとかいう報告が少しずつ上がってきました。なんでも夜中の3時頃、夜明け前です。

私もなんとか見てみたいと思い、夜中に起きたり、時には夜更かししてその時間まで起きたりしたのですが、とにかく富山はずーっと雨か曇り。富山晴れるか?という予報も数度ありましたが、結局自宅からは何も見えず。悶々とした日々を過ごしていました。

太陽への最接近を過ぎて、徐々に夕方にも見え始めたとの情報も出てきました。彗星は何故、朝ものすごく早くか、次は夕方からなのかと、眠い目を擦って思っていました。でもよく考えたら、太陽の近くに来てやっと尻尾が出るので、尻尾が長いうちは太陽のそばから離れず、それを見ようと思ったら朝と夕方なのは当たり前なんですよね。多分彗星を長年追っかけている人にとっては当たり前の事で、今回自分で見ようとして初めてこのことを意識しました。


彗星遠征決定、どこに行こう?

そんな折、どうやら7月16日の木曜日の夕方は少しだけ晴れそうだという予報。でも富山は少し怪しそうですが、少し足を伸ばせばなんとかなるかもしれません。この日は仕事もあまり忙しくなさそうなので、休暇をとって遠征することにしました。

北の能登半島の方と、南の岐阜の一部が晴れそうです。北に行くか、南に行くかかなり迷いました。SCWの局所予報で見ると21時頃までは同じでも、22時には能登半島に一部雲がかかるとの予報です。でも日本列島全体の大きなエリアで見ると南から雲が上がってくるような様子なので、外れることも多い局所予報にかかわらず、大局で見た方がいいという判断で能登方面に決めました。

同様に晴れた場合に北と南でどちらが得かも考えてみました。光害となる太陽との相対的な距離は変わらないので、南に行って早く太陽が沈もうが、北に行って太陽が沈む時間が遅くなろうが同等。ならば、北に見える彗星なので、沈む時間が遅く上ってくる時間が早い高緯度の北方向が得かもと思ったわけです。

いずれにせよ、天気も観測時間的にも北が得という判断です。ではどこまで行くか?天気予報だと半島の根本の方が晴れの確率が高そう。彗星が北西方向なので、能登半島の西側の方がいいということで、羽咋市らへんで探すことにしました。


とりあえず羽咋に向けて出発

とにかくここで出発。何日か前にも晴れそうな時に遠征しようとしていたので、準備はほぼできています。この時点で13時頃。現地まではゆっくり行っても3時間。まだ余裕はあります。

ところで皆さん、羽咋といえばコスモアイルはご存知でしょうか?宇宙をテーマにした大きな施設があります。

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2階より上の展示場やシアターは有料で、以前行ったことがあるので今回はパスですが、これもかなり凝っていて面白いです。1階部分には市の図書館があったりするので、多分これ市の施設だと思います。NASAから持ってきた宇宙船もあるとかですが、発起人が元市の職員だったとか書いてました。無料の一回だけ見ても面白くて所々に宇宙人がいます。

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コロナ禍では宇宙人も3蜜に気をつけているようです。

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北陸に来た際には2階展示スペースも含めて、ぜひ寄ってみてください。


撮影場所の決定

さて、夕方の彗星は北西方向に出るので、光害が南になるようにできるだけ羽咋の街から北に行ったほうがよさそうです。さらに羽咋の少し北に灯台があるようなので、少なくともそこよりは北に行ったほうがよさそうです。Google mapで見ると島のように出っ張っているところがあり、堤防などもあり漁港のような感じになっています。

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奥に漁港があります。

実際に行ってみると、漁業関係者以外の車は立ち入り禁止だったのと、航空写真ではわからなかった外灯があったので、そこから少し離れることにしました。漁港が南側になるように、数百メートルほど北に行った、コンクリートがあるところを陣取りました。

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左の海の向こうに見えるのが上の漁港です。

16時半ごろには場所が決まったのですが、雲が結構出ていて雨が降る可能性があったのと、日没までにまだ時間があったので、近くの、と言っても5kmくらい車で走ったコンビニに夕食を買いに行きました。簡単に食べられるようにおにぎりとおつまみだけです。でも結局忙しくて、食べるの忘れてしまうんです。


機材セットアップ

再び現場に戻り、まずは太陽が沈んでいくところをタイムラプスに収めようとセットしました。APS-CサイズのEOS 60DにPENTAX 6x7の75mm f4.5レンズをつけたものです。太陽が沈む瞬間、グリーンフラッシュが綺麗に見えました。ほんの1秒くらいだったでしょうか。ものの見事に緑色に輝いていました。残念ながらタイムラプスが20秒に一枚だったので、グリーンフラッシュの瞬間は撮影できませんでした。実はこのタイムラプス、後で書きますが画角的にネオワイズ彗星が全く入らずに完全に失敗だったので、動画クラスで撮影してグリーンフラッシュを納めておけばよかったと後で反省しました。

失敗なので公開してもしょうがないのですが、2時間もとっていたのでもったいないので動画にしてみました。雲がどれくらいあったかとか、星が出るまで気分を盛り上げる導入と思ってください。途中何度か露光を変えています。



もう一つ、こちらがメインなのですがFS-60CBと0.72倍のレデューサーで焦点距離255mmにして、天体改造済みのEOS 6Dでの撮影です。赤道儀は玄関に置いてあったCGEM IIをそのまま車に積み込んだものです。6cmの鏡筒にCGEM IIは大袈裟過ぎますが、自宅でも遠征でもそのまますぐに移動できるので、最近はこればかりです。これをコンクリート部分に設置します。

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撮影開始、でも導入が全然うまくいかない!

十分余裕を持ってセットして、日が沈むまで待っていました。だんだん暗くなってきて彗星を探しつつ導入しようとしましたが、全くうまく導入できません。導入なんかどうにかなるやとなめていて、完全に想定外でした。まだ結構明るいので、そもそもこの明るさで見えるかどうかもわかっていません。自動導入しようにもCGEM IIだけでは彗星のデータは入っていません。

仕方ないので、AZ-GTiを出して自動導入してみようと思いました。新機能で彗星導入が最近追加されたとのことです。SynScan Proをあらかじめアップデートしておいたたまではよかったのですが、何故かNEOWISEの2020年が出てこないのです。2018年まではきちんと出てきます。この時点でAZ-GTiも諦めます。(ちなみに、自宅に帰って試したらきちんと2020年のものまで出ました。もしかしたらデータのダウンロードにネットワーク接続が必要だったのかもしれません。)

次に感度が十分な電視観望で見てやればいいと思い、ASI294MC Proに50mmくらいのカメラレンズをつけようと思ったのですが、カメラ接続アダプターが何故か全然見つかりません。CMOSカメラと一緒に入っているはずで、絶対持ってきてるはずなのですが、どこを探してもないのです。結局見つからずに電視観望も諦めました。(実は最後の最後、撤収の時にアダプターが見つかって、取り付ける予定だった50mmレンズの袋にわざわざわかりやすいように一緒に入れてあって、奥まで見ていれば見つかったはずなのです。焦っていると全くダメだということが今回よくわかりました。)

今考えたら、光学ファインダーでもよかったはずなのです。でもその時は焦っていたのと、そもそも光学ファインダーで見えるかどうかもわかっていなかったので、思いつきもしませんでした。もう経験のなさがもろに出てきてしまっています。

いよいよ暗くなってきてだんだん肉眼でも普通に星が見え始めてきたので、ここで一旦落ち着いて赤道儀CGEM IIの極軸をきちんと取ることにしました。いつものSharpCapでの電子極望ですが、この時点でも多分まだ焦っていたんですね。全然星が認識されないのです。結局単にレンズとして使っていたガイド鏡のピントがずれていただけなのですが、これに気づくだけでも5分くらいかかってしまいました。でもここで極軸を正確に出しておけたのでよかったです。精度が1分角以下とかなり正確に合わせられるので、一旦撮影が始まったら恒星追尾がずれていくことはまずありません。後で画像処理してもわかりましたが、10秒露光9枚を位置合わせなしでスタックしても、恒星が全くずれてませんでした。

こうやって考えると、一番の敗因は実際の彗星の位置が思っていたよりかなり北向きだったことです。日没の太陽の位置から15度くらい北と思っていたら、もっとずっと北で、現場でStellariumで確認して、北斗七星の柄杓が見えて、やっとその下あたりだとわかりました。水平線に沈む位置だけ比べたら、太陽とネオワイズ彗星で40度くらいのズレがありました。


とうとう彗星が!!

最初からきちんと場所を確認しておけばよかったのです。でもとりあえずやっと場所が大体わかったので、その方向に鏡筒を向けてシャッターを切ると、一発目で簡単に彗星が入ってきました!下の写真が初めて入った彗星です。モニターで見ても尻尾が見事に写っていてとにかくうれしかったです。

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この後彗星の位置を合わせたりして、まずは保険に何枚か撮影しておきました。


肉眼でも尾っぽまで見える!

この日のもう一つの敗因は、双眼鏡忘れたことです。仕方ないので常備している星座ビノを使ってその方向を見てみると、なんとハッキリくっきりネオワイズ彗星が見えるではありませんか。そして肉眼でも見てみようと思い、まずはそらし目で。淡いですが、位置がわかりました。位置さえ分かれば、余分な光を手をかざして遮断して注意して見てみると、なんと目で見てもはっきりと彗星の形が分かります。この日のなかで一番感動しました。肉眼でもわかるくらいの彗星にこんなに早く会うことができるとは!

これまで彗星を撮影したのがウィルタネン彗星だけ。それでもテイルを見ることはできませんでした。いつかテイルが出ている彗星をと思っていましたが、今回のものはその期待に十分以上に答えてくれた体験でした。でもこれでもヘールボップ彗星の方が全然凄かったとのこと。今度はいつか大彗星と言われるクラスのものを見てみたくなりました。


とりあえずの簡易画像処理

とりあえずここまでの画像処理の結果を一枚載せておきます。

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  • 石川県羽咋市, 2020年7月16日20時49分
  • FS-60CB + x0.72reducer
  • Canon EOS 60D(ISO1600), 露出10秒 x 8 = 80秒
  • PixInsightとPhotoshopで画像処理、トリミング済み
上が北になります。ダストテイルは十分に見えていますし、青いイオンテイルも見えています。テイル中に見える筋のようなシンクロニックバンドも見えています。シンクロニックバンドというのは今回初めて知りました。よく見ると、イオンテイルの中にも筋が見えます。これもシンクロニックバンドというのでしょうか?ただ、快晴ではなかったようで雲少しかかっていました。


タイムラプス映像

21時すぎ、ここにきて60Dでずっと撮影しているタイムラプスに彗星が全く写っていないことに気づきました。もともと太陽が沈んだ様子と彗星を同じ画角に収めようと思っていました。でも調べてみると、太陽が沈んだ時の彗星は確かに北西の方向にあったのですが、彗星が「沈む」のはかなり北によって、北西というより北北西。20度くらいずれます。思ったより北に彗星がいたのです。75mmレンズとAPS-Cでは画角的に全く治らないところを延々と写していたことになります。

気を取り直してカメラの向きを変えると簡単に彗星が見えました。その時のタイムラプスです。20秒ごとに25分間分の76枚を動画にしています。



この画像を見た妻の一言。

「なんで逆向きに進んでいくの?」

最初、何を言っているのかわからなかったのですが、よくよく聞くと

「尾が出てるのだから、尾と反対に進まないとおかしい」

という意味らしいです。頑張って日周運動だとか理由を説明しましたが、

「うーん、理屈は分かったけど普通の人はそうは思わない」

とピシャリ。私は「宙のまにまに」の「キャシー・レヴィー彗星」で「あ、彗星って尾っぽからのぼってくるんだ」と初めて意識しました。マンガなので時系列で進んでいて、彗星の動きを意識させてくれます。


続いて、彗星が沈むまでです。


最初のうちは中空に厚い雲が、そして徐々に低空にうすい雲がかかってくるのがわかります。彗星はちょうど雲を避けていてくれたような状態す。

実は天気は最初からあまり良くはなく、北西以外は結構曇っていました。特に東と南はどん曇りで、雨が降るのではと心配してたくらいです。ちょうど夕日すぎくらいから彗星が見えるところだけ雲が避けてくれているような状態で、とてもラッキーだっと思います。


大満足の結果

いろいろ落ち着いて、気付いたら21時30分、ここでやっと余裕ができて夕食を食べてないことに気づきました。彗星はだいぶん低空に来ていて、星座ビノを使っても見えにくくなってきています。車に戻り、食事をとり、その後少しずつ片付けを始めます。

22時半近く、どうやら彗星も水平線の下に沈み、気づくと雲も多くなってきたので、ここで撤収です。とにかく、帰りはまだ興奮気味で、自宅に到着してからも寝付けずにそのままいくつか簡易画像処理をして、Twitterに速報で流して、結局ベッドに入ったのは4時近くになってからでした。


反省点
  • 導入はボロボロだった。あらかじめ、機材、ソフトの準備を確認まで含めてきちんとしておく。
  • 使う可能性のあるものはどこに入れてあるかチェックしておく。
  • 赤道儀に載せているので、少なくとも恒星はほとんどずれていきない。なので、露光時間をもっと伸ばしてもよかった。
  • テイルの広がりが思ったより大きいので、天気が良ければもっと広角のレンズでもいいかも。
とにかく人生初だらけでした。尾っぽがある彗星も初めて、撮影できたのも初めて、さらに目で実際に彗星の形を見れたことも初めてです。もう大満足です。反省点にも書きましたが、画像処理をやっていて、もう少し攻めることができたのではと思うようになりました。初回でいろいろわからないこともあったので、晴れてくれればですが、できればもう一度くらい挑戦したいと思います。-> 二日後、また同じ場所で撮影しました。



 

とうとう彗星に手を出してしまいました。

タイトルにもある通り、実はこれが生まれて初めて見た彗星になります。いつかはやってみたいと思っていましたが、これまで彗星はほとんど興味がなかったので、今回の46Pの盛り上がりはいい機会になりました。

冬型の天気でここ最近ずっと天気が良くなくて、週末も全く期待していなかったのに、なぜか土曜日12月15日は昼間も夜の天気予報もずっと晴れ。どうせ次の日はダメという予報(実際朝から曇りでした)だったので、この日しかないなら何か撮ろうと思って、せっかくだから地球最接近が次のに日になるウィルタネン彗星と、極大日が前日だったふたご座流星群を狙おうと決めました。


とりあえず今回はウィルタネン彗星2枚です。一つはNIKKOR-S 50mm f/1.4をf/4.0にして、アダプターでASI294MCに取り付けたものです。広角にしてヒアデスとプレアデスを入れてみました。赤、青、緑の対比が綺麗です。

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富山県富山市, 2018年12月15日21時11分
ASI294MC + NIKKOR 50mm f1.4を4.0で使用 + CGEM赤道儀
露出30秒x30枚 総露出15分 
PixInsight、Photoshop CCで画像処理

60枚以上撮影したのですが、実際に使ったのは30枚です。30枚に制限したのはこれ以上重ねると核の移動が目立ってしまうからです。流石に使ったのがオールドレンズだけあって無理も多く、4隅はコマがひどいです。50mmくらいのいいレンズも欲しくなってしまいます。



もう一枚はFS-60QにEOSの6Dをつけて、30秒x20枚で10分くらいの露光になります。こちらはPixInsightで彗星の核を基準に重ねました。

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富山県富山市, 2018年12月16日0時54分
FS-60Q + CGEM赤道儀
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出30秒x20枚 総露出10分 
PixInsight、Photoshop CCで画像処理

この時はまだテールが見える可能性があるなんてこれっぽっちも思ってなくて、10分間でも十分かと思っていたので、撮影したのは本当にこれだけでした。核を基準にスタックできると知っていたら、もっと長い時間撮影していたかもしれません。周りの恒星を流れなくする方法もあるようなのですが、かなりややこしそうなので、今回は見送りました。

処理のついでに、PixInsightのBlinkを使って、10分間分の20枚を動画にしてみました。10分でも結構移動していくのがあらためてよくわかります。



今回、彗星を見るのも撮影するのも初めてということで、とりあえず撮ってみた感が強いのと、あまりに寒くて自宅からの撮影にしたのでそれほど暗い空ではないため、テールはどう処理しても見ることができませんでした。テールを出すためにはどうやら分子雲が映るくらいでないとダメみたいです。光害もひどいでしょうし、露光時間も全く足りないということを後で知って、彗星を撮るのも星雲を取るのも必要なものは同じだと思い知らされました。他のFacebookや天リフでアップされている素晴らしいテールを見ていると羨ましくなってきます。いやー、彗星なめてました。さっそくリベンジしたくなってきました。また晴れてくれないかなあ。


あと、ふたご座流星群ですが、月が沈んでカメラを仕掛けて寝てしまいました。EOS 6Dに広角のSMAYANG 14mm F2.8をつけて30秒露光で撮り続けたのですが、流星が写ったのは139枚中わずか2枚。ここでアップする価値があるかわからないくらい小さなもので、雲がかかっているせいもあって、写真の中のどこに写っているか探すのも大変なので、トリミングしてみました。

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しかも途中から薄雲が広がってきたりで、流星群の方は大した結果は得られませんでした。途中起きて見に行ったら寒くて電池切れになっていたのと、薄雲が目で見ても広がっていたので、これで撤収としました。 


テールは見えなかったなど、いろいろ不満な点もありましたが、それでも初めての彗星です。あんな綺麗な緑色が出るとか、結構移動するとか、画像処理もこれまでと違い、かなり楽しむことができました。

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