ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > フィルター

CBPの作例の最後になります。みずがめ座のらせん星雲です。撮影日が8月21日でのんびり画像処理していたので、もうかなりのことを忘れてしまっています。下の文書の撮影時の様子は、撮影当日か次の日に書き留めておいたことです。やっと記事として日の目を見ます。

一晩で2対象の撮影

秋の星座なので、そこそこ高度が上がってくるのが夜少し遅くなってからです。なので前半は前回示した三日月星雲を撮影してました。



らせん星雲がのぼる頃には三日月星雲の撮影をやめて、らせん星雲へと移りました。

撮影時のStick PCのトラブル

三日月星雲のときは調子良かったStick PCでの撮影ですが、らせん星雲に移ろうと準備をしているときにStick PC自身が何度か落ちました。特に、ShaprCapを使う時が多かったような気がします。このStick PCの弱点の一つなのですが、ファン側を床などにくっつけてしまってしばらく運用すると、温度が上がって確実に落ちるようです。また、極度に暑い夏はSharpCapとかでの計算量が増えると反応が無くなってしまうことがあるようです。ただしファンは回りっぱなしなので、外見を見ただけではわかりません。

今回は外での撮影だったので、直につなぐモニターを用意していなくて、リモートデスクトップで見ていて反応が無くなったということしか分からかったので、最後どうやって落ちたのかよくわかっていません。ネットワークトラブルでただ単にリモートデスクトップが繋がらなくなって落ちたと勘違いした可能性ももしかしたらあり得ます。特に、Stick PCをモニターしているクライアントの方のWi-Fiを弱い方につなげていたことが後でわかったので、そのせいの可能性があります。

今回一番の失敗が、夜中に赤道儀を反転してから撮影を初めて放って寝てしまって、朝確認したら午前2時で撮影ファイルの生成止まっていたことです。1時間半ぶんくらいの撮影時間を無駄にしてしまいました。確認したら撮影用に走らせておいたソフトも全部立ち上がっていなかったので、どうもPCが再起動されたような形跡があります。これがトラブルで止まったのか、アップデートとかで再起動されたのかは分かりません。そもそのアップデートはその日のうちに事前にしておいたので、そんなに連続であることはないと思うのですが。

-> その後記録を見たら、撮影をしたその日(夜中)に幾つかの「品質更新プログラム」というのが3つインストールされていました。これが再起動を要請したかどうかまで分かりませんでしたが、どうやらこれが怪しいです。アクティブ時間を撮影時の夜から明け方にしておく方がいいですね。


画像処理と結果

最初、ダークを昔撮ったもので使いまわして処理しました。露光時間は3分で同じですが、温度が0度のライトフレームに-10℃のダークフレーム、ゲインが220のライトフレームに180のダークフレームを使ってしまってます。これだとものの見事にアンプグローが出てしまいました。気を取り直して露光時間、ゲイン、温度全部合わせて取り直して改めて処理。きちんとアンプグローも消えてくれました。やっぱり横着はダメですね。バイアスはあり、フラットは無しです。バイアスはダーク内に含まれているはずなのでなしでもいいのかもしれません。フラットは代わりにABEを使い、StarNetで恒星と分離してから、星雲側の背景にのみ、細かいところを補正するために再度DBEを使いました。そこそこ炙り出していることになって、ノイズが目立ち始めてるので、これ以上を求める場合は露光時間を増やすしか改善していかないと思います。

masterLight_ABE_ABE_DBE_ALL3

  • 撮影日: 2020年8月21日午前0時2分-1時29分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + CBPフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、温度0℃
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: NINA、ゲイン220、露光時間180秒x32枚 = 1時間36分  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

期待していた、瞳の虹彩のような線はあまり出なかったです。背景が少し荒くなっています。これらは露光時間が1時間半と短かったせいでしょう。

今回は赤と青とかだけでなく、惑星状星雲らしいカラフルな天体です。CBPで撮影しているので、色がどこまで正しいかがよくわかりません。そもそも色情報は欠けてしまっている可能性が高いので、それらしい色に仕上げているだけです。そこに根拠はありませんが、大きくいじるような必要は全然なかったので、CBPの色バランスはそれほど悪いわけではないかと思います。


CBPフィルター検証のまとめ

これまで、CBPで三裂星雲の一部網状星雲北アメリカとペリカン星雲三日月星雲、らせん星雲と

あとやり残したのは、M42すばると、アンタレス付近とかでしょうか。多分これらはCBPでも難しいと思います。暗い空に勝るものはなくて、これらを自宅から満足いくくらい出すのがもっと大きな目標ですが、焦らずにゆっくりやっていこうと思います。

今回でCBPの初期評価はおしまいです。今回の検証を通して把握できたのは以下のようなことです。
  • QBPほどではないにしろ、十分な光害防止効果がある(QBPの1.3倍くらいしか背景が明るくならない)
  • 青色もかなり出る(紫外の方まで透過して、かつCMOSカメラも感度がある)
  • 赤外起因のハロも防げる
  • 色バランスがあまり崩れない
これまで評価の高かったQBPにも勝るほどメリットが多いです。はっきり言って、十分すぎるほど使えることがよくわかったので、今後も完全に実戦投入決定です。


 


CBPの作例の3つ目(三裂星雲も入れたら4つめ)です。前回の北アメリカとペリカン星雲に引き続き、今回は三日月星雲です。




セットアップ

前回まではFS-60CBだったのですが、再びTSA-120に戻ります。画角的に焦点距離900mmとフォーサーズのASI294MC Proでぴったりです。実は三日月星雲、その前の週に三裂星雲を撮ったときに、最後に20分ほどだけ撮影して感触を掴んでいました。簡単に三日月本体が出たので、結構舐めてました。

セットアップが前日と違うので、ガイド鏡をTSA-120に載せ替えるなど少し時間がかかります。Twitterで初期アラインメントで議論が盛り上がっていたので少しだけ。

いつも通りSharpCapのPolar Alignで極軸を取ります。初期アラインメントは1点のみ。極軸の精度が1分角以下までとってあるので星像のズレは大きくなく(パッと計算すると4分間で最大1秒角のズレ。紙を使わず頭だけでできる計算方法はここを参照。)、1点アラインメントで全く問題ありません。もっと言うならアラインメントプロセス自体必要なく、手動でターゲットを入れてあとは恒星時で自動追尾していれば大丈夫です。この場合、ピリオディックモーションが星像のズレを支配するような状態になります。長時間露光になるのでガイドは必須ですが、極軸を十分な精度で合わせてあるため、ガイドはピリオディックモーションのみに集中すればよく、変な負担も全くかかりません。

準備も終わりPHD2でガイドも初め、NINAで20時半頃には撮影を始めました。ただし、プレートソルブが全然動かなかったので、ここは再度検証が必要です。StickPCで新しくインストールにたNINAなので、まだ設定がうまく行ってないのかと思います。

撮影自身は順調でしたが、この日は三日月星雲の撮影は22時40分でおしまい。40枚撮影して、少し流れていた7枚を除いて33枚を拾い上げました。この後は登ってきたらせん星雲にバトンタッチですが、こちらの画像処理はまた次に。三日月星雲は高度が高いのでこれからも長い期間撮影することができますが、らせん星雲は南天時でも高度が低く、撮影できる期間が限られているのでこちらを優先します。

でも、この判断があっていたのかどうか...? 三日月星雲の露光時間が短すぎて、画像処理に相当苦労しました。


画像処理

画像処理はいつものように、最初はPixInsightです。使うのはライトフレームとダークフレームのみ。フラットはTSA-120の広いメージサークルのうちフォーサーズだけ使っているので省いています。バイアスもダークに含まれているとしてなしです。さらにダークは三裂星雲の時に撮影したものを使い回しです。結構手抜きですね。

今回、PixInsightのアップデートがありました。嬉しいのはStarNetがデフォルトの機能として取り込まれました。これまでMacだとコマンドを打って起動していたので、GUIで統一されます。StarNetは「Process」メニューの「MaskGeneration」の中に入っています。起動したら右下のスパナマークを押して、PixInsightをインストールしたフォルダからLibrary以下を選び、mono_starnet_weights.pbとrgb_starnet_weights.pbを選ぶと使えるようになります。 このラブラリの場所ではデフォルトでインストールした場合以下の場所になるとのことです。

Linux: /opt/PixInsight/library​
macOS: /Applications/PixInsight/library​
Windows: C:\Program Files\PixInsight\library​

コマンドの場合と違って、「Create star mask」にチェックを入れておけば、星雲のみでなく恒星のみの画像も同時に作ることができるので便利です。「Stride」の値はデフォルトは128ですが、コマンドラインのデフォルトが64だったので、とりあえず64で試すことにしました。ちなみにこのバージョンはまだCPUだけを使うそうですが、将来的にはGPUを使うことも考えているらしいので期待大です。

星雲部と恒星部が分離されたファイルができた後は、Photoshopに受け渡し、それぞれレイヤーに置いて「覆い焼き(リニア)- 加算」で重ねます。最初しばらくの間、恒星がなんか小さいなと思ってたら、「比較(明)」になってました。無理に恒星を合わせようとかなり大きくしてしまったところでやっと気づきました。やはり覆い焼き(リニア)- 加算のほうが自然になるようです。


結果

結果は以下のようになりました。

「三日月星雲」
masterLight_ABE_PCC_STR_SNP10_cut

  • 撮影日: 2020年8月20日20時30分-22時42分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー + CBPフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、温度0℃
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間180秒x33枚 = 1時間39分  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
炙り出しは相当苦労しました。まず良かったところは、三日月本体の背部の青いとことろが出たのでびっくりでした。三日月星雲はナローバンドでの撮影の作例が多く、それぞれの基線の色をRGBに置き換えているので色はあまり信頼できなくて、あの青いのは置き換えした後の色かと思っていました。CBPで見てもきちんと存在しているようです。その一方、その青はとても淡いのでかなり無理してあぶりだしています。境がはっきりするサイドはきちんと出たのですが、上の淡いところはぼやけて出てしまっています。

三日月本体の赤ははっきり出ています。中心部の淡い赤はまだ不十分かもしれません。それよりも、背景全体に広がる赤がかなり淡いです。これは約1時間半の露光時間が決定的に足りないと思うに至りまた。赤の色がそもそも北アメリカとかとは違うみたいです。どちらかと言うと緑というか、黄色っぽい赤しか出ません。QBPでよく出る朱色に近い赤とも違います。なのでその赤の色がなかなか決まらないです。 かなりノイジーで無理して炙り出しているので、いつかもっと露光時間を伸ばしてリベンジしたいと思います。 


適した画像の大きさ

あと、最後の微調整でかなり迷いました。大きな画像でいいと思うものを、サムネイルクラスの小さな画像にするとインパクトが弱いのです。具体的にいうと、小さな画像では暗く、色が目立たなく見えます。逆に小さな画像でいいと思うものは、なんかモクモクしているようなやつで、それを大きな画面にしてしまうと背景が明るすぎて霞んで見えてしまうのです。

背景の明るさや、暗黒帯、淡い星雲部の炙り出しはまだまだ完全に経験不足です。一度10時間クラスの露光時間で試してみて、何が正しいかを自分自身できちんと認識する必要がありそうです。


最後に

あー、このブログの記事を書くのがすごく苦痛でした。画像処理に納得していないとなかなか筆が進みません。実は次のらせん星雲も撮影失敗して露光時間短くなってしまったんです。明日以降、のんびりと再び画像処理からはじめます。 

 

一連のCBPのテストの一環で、作例として前網状星雲を示しました。




連日のFS-60CBでの撮影

今回、同様のセットアップで北アメリカ星雲とペリカン星雲を撮影しました。これも平日の自宅庭撮りになります。鏡筒がFS-60CBにマルチフラットナー で焦点距離370mm、カメラがEOS 6Dで露光時間3分が40枚、5分が35枚なので、合計295分、ほぼ5時間の露光です。

IMG_0478

前日と同じセットアップのせいもあり、撮影準備開始が19時半頃、撮影開始がまだ少し明るいうちの20時と、とても順調でした。後から見ると最初の方に撮ったのは明るすぎたので、実際に画像処理に使ったのは十分に暗くなった20時半過ぎからのものです。一番最初、前回の網状星雲と同じ設定の300秒で撮影したのですが、(その時は気づかなくて)まだ明るかったこともあり、すぐに180秒露光に変更しました。途中、0時頃に赤道儀の天頂切り替えの時にやはり暗すぎと思い、そこから300秒に戻し午前3時半頃まで撮影しました。


画像処理

他に溜まっている画像もあり、画像処理は焦らずに結構のんびりやっています。

ISO1600、露光時間1/200秒で障子の透過光を利用して撮影したフラットフレーム102枚と、同設定で暗くして撮影したフラットダークフレームは100枚は、前回の網状で使ったものの使い回しです。

今回露光時間が180秒と300秒で2種類あるので、ダークはオプティマイズオプションをオンにして、前回撮影した300秒のダークフレームを使いました。オプティマイズが効いていると、ライトの露光時間に応じてダークノイズを適当に調整してダーク補正をしてくれるはずです。ASI294MCはアンプグローが大きいのでこの手法は使えませんが、6Dの場合は変な特徴的なノイズはないので、オプティマイズ機能が使えるはずで、今回の結果を見る限り特に問題なだそうです。


出来上がり画像

結果は以下のようになりました。結構派手に仕上げています。

integration_ABE_STR_all8_cut
  • 撮影日: 2020年8月19日20時26分-8月20日3時32分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO1600, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MCM、PHD2によるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒 x 40枚 + 300秒 x 35枚 = 4時間55分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC
まず第一の感想として、そこまで苦労せずコントラストも色も十分出ています。前回の網状星雲同様、自宅庭撮りでここま基本的に満足な結果です。5時間という長い露光時間も効いているのかと思います。


どこまで見栄え良くするか

多分一過性のものだと思いますが、最近派手目に仕上げています。インスタグラムの影響でしょうか?

冷静に理由を考えると、天リフやTwitterとかでなのですが、小さなサムネイルになった時に印象に残ることを考えているのかと思います。画面を小さくするとある程度はっきりさせておかないと、ぱっと見よくわからないと思うのです。例えば網状星雲なんかは細い線になってしまうので、大きな画面の状態である程度出しておかないとかなり印象が薄くなってしまいます。

といってもやってみるとわかるのですが、実は最初なかなかうまくいかなくて、炙り出そうとしてもノイズばかりが目立ってしまうことが多いです。ノイズの少ないコントラストの高い素材を最近やっと撮影できるようになってきて、ようやく派手目にすることができるようになってきました。

派手目というのを別の言葉に置き換えて良く言うなら、狭いところに押し込められた諧調をできるだけ余すところなく、可視の諧調に置き換えて使えるようになってきたと言ったところでしょうか。どこまでやるかは人それぞれかと思いますが、海外の方が派手目なのが多い気がします。

この傾向、今のところ悪い評価よりもいい評価の方が多いみたいです。特にこれまでなかった海外からの反応もあるので、やはりパッとみたときの最初の印象は大事なのかと思いました。

でも果たして濃い天文マニアの人たちから見たらどうなのでしょうか?この色合いは好き嫌いが分かれるかと思います。少なくとも素材をそのまま生かしただけのシンプルな画像処理とは違うので、お絵かきになる可能性も十分にあり、ここら辺は自分自身肝に銘じておくべきかと思います。


その他評価など

その他細かい評価です。
  • 最初赤だけを強調していたのですが、そうするとかなりのっぺりしてしまいます。赤に比例して青と緑もきちんと炙り出してやると階調豊かになるようです。
  • 北アメリカ星雲とペリカン星雲では、同じ赤でも結構違うのが分かります。ペリカンの方が赤のみが多いのに対して、北アメリカは青や緑成分がかなり混ざるようです。他の方の作例でもこの傾向は同じなので、あまり間違ってはいないと思います。
  • 明るい恒星3つが、右から青、オレンジ、緑と綺麗に出ました。これはCBPの利点の一つで、QBPではなかなか出てこないと思います。
  • いまいち暗部の諧調が乏しいです。特に中央の黒い部分です。 三裂星雲でも、網状星雲でも暗部の諧調が出にくいような傾向が見られました。これまで分子雲とかをきちんと出したことがあまりないので、経験的にまだまだなのかもしれません。今回の5時間の撮影時間も私の中では最長の部類ですが、暗部をもっと出すためには根本的に露光時間が足りないのかもしれません。もしかしたらCBPの特徴という可能性もありますが、今の私にはまだよくわかりません。ここら辺は今後検討していく必要があるかと思います。
繰り返しになりますが、庭撮りででここまで出たのは個人的には十分満足です。CBPがうまく働いたと考えていいかと思います。QBPでも赤は十分出たと思いますが、青と緑も含めた階調や、特に恒星の色はなかなか出なかったと思います。


3年の進歩

ちなみに下は3年前にフィルターなしで同じFS-60CBで自宅の庭で撮ったものです。カメラがその当時EOS 60Dだったので、今回EOS 6Dになった違いはありますが、それ以外はフィルターの有無の違いだけです。当時もかなり頑張って画像処理して、それなりに満足していました。そこから見たら画像処理の腕も上がっているとは思いますが、CBPが入ることで素材の時点で優れたものが撮れていて、仕上がりも無理をしなくても素直に出てくるのかと思います。

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こうやってみると、わずか3年のことですが、機器も画像処理ソフトも自分の処理技術も確実にレベルが上がっていることが実感できます。進歩が目で見てわかるということは、趣味でも仕事でもモチベーションを保つ上ですごく重要で、それが実感できる天体撮影はなかなかやめられません。


まとめと今後

庭撮りCBPの2作目ですが、思ったより思い通りに出ました。CBPやはり結構いいです。

まだ未処理画像が2つあります。画像処理はブログを書くよりもはるかに時間がかかります。こちらも焦らずに進めていこうと思います。次は三日月星雲の予定です。


前回の三裂星雲はCBPも使いましたが、フィルターなしの画像が一番多くQBPも使っていましたので、CBPでの作例とはまだ言えませんでした。今回からが純粋なCBPだけでの撮影となります。




CBPを使っての庭撮り

今回のターゲットは網状星雲です。やはりCBPなので、青色近辺を含む星雲を選びました。

網状星雲はむかーし、フィルターなどまだ全然使ってなかった頃テストで撮っただけで、全然あぶり出なかったので、リベンジという意味もあります。撮影日は平日なので、仕事もあるため庭撮りになります。光害地での検証と言えると思います。その代わり自宅なので、一晩中放っておいて撮影できるというメリットがあります。

網状星雲全体を入れたいので、焦点距離の短いFS-60CBにマルチフラットナーをつけて、EOS 6Dで撮ります。?(クエスチョンマーク)の形の下のところまで入れたかったので最初縦長にしようと思ったのですが、縦だと幅がギリギリなのと、西網状、東網状と言いたかったのであえて横構図にしました。

午後7時頃から準備を始めたのですが、久しぶりのFS-60CBということもあり、少し戸惑ってしまって撮影を始めたのは21時半過ぎです。というのも、今回始めて新StickPCで長時間撮影を試みました。カメラがEOS 6Dなので、撮影ソフトはこれまで通りBackYard EOSを使いました。将来的には6DでもNINAを使ってもいいかもしれませんが、これはまた別の日に試したいと思います。いくつか設定不足のところがあり時間がかかってしまいましたが、トラブルというよりは、画像保存フォルダの場所とか、ファイル名が上手くつかなかったとか、細かいことです。撮影自身は、Stick PCに関してはほとんど何もトラブルなく、一晩中、朝まで問題なく撮影を続けることができました。

撮影時間は21時半過ぎから午前4時前まで、約6時間。失敗はなかったので全部使うことができました。ディザーもあるので実質露光時間は5時間ぴったりでした。

masterLight_ABE_PCC_STR_all3_DBE4_cut
  • 撮影日: 2020年8月18日21時47分-8月19日3時52分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO1600, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MCM、PHD2によるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x60枚 = 5時間0分  
  • 画像処理: PixInsight、StarNet++、Photoshop CC
率直な感想ですが、淡いところまでかなり綺麗に出ました。庭撮りでしたが、ここまで出れば私的にはかなり満足です。


以下、細かい感想です。まずはよかった点:
  • 青い部分がかなりはっきり出た。
  • 赤もQBPの時より補正があまり必要なかった。
  • 青だけでなく、緑の淡い部分も残っているようです。
  • 全体的にカラーバランスはQBPよりははるかにとりやすいと思います。
  • 光害に関しては、月は出ていませんでしたが、住宅地なので前回の三裂星雲よりはるかに状況は悪いです。それでもこれだけ出せるので、QBPほどではないにしても相当迫る実力だと思います。
  • とくにゴーストなど問題になるようなところも見受けられませんでした。
  • ハロのようなものもほとんどなく、星像はかなりシャープに出ていると思います。

もう少し検討したい点:
  • 網状星雲の中央に赤と青の淡い線が走るはずなのですが、さすがにそこまでは出ませんでした。もっと明るい鏡筒か、真に暗い空、さらなる(10時間クラス?)の露光時間が必要なようです。
 
  • 右側に暗黒帯が大きく広がっているはずですが、試しに極度に強調しても全く出ませんでした。黄色っぽい色になるはずで、この波長帯は苦手なのかもしれません。
  • 下の写真のように、恒星だけを強調して見てみると右側が大きなエリアで減光しているのは確認できたのですが、背景がついてこれていないようです。
masterLight_ABE_PCC_STR_all_darkarea

まあ、庭撮りでここまでは望みすぎなのかもしれません。


おまけのAnotationです。

masterLight_ABE_PCC_STR_all3_DBE4_cut_Annotated



まとめ

今回は庭撮りで光害地での検証に当たるのですが、CBPやっぱりいいです。元々彗星用途ですが、星雲用途にも十分期待に答えてくれると思います。CBPの目的の一つであった青も淡いところまで出てくれたので、私的にはかなり満足です。

網状星雲はCBPのテストとしては格好の材料だったようです。でもさすがに上を見るとキリがなくて、網状星雲はまだ全部の顔を見せてくれません。これがCBPのせいなのか、それとももっと暗い空を求めなければならないのか、はたまた露光時間が足りないのか、これからも挑戦のしがいがあります。

次はCBPを赤のみの星雲で試して、QBPと色がどれくらい変わるのか試してみたいと思います。
 

みなさんこんにちは、ほしぞloveログのSamです。最近「ほしぞloveさん」とか呼ばれたりしますが、ハンドルネームは「Sam」です。「ほしぞloveログ」と書いて星空ブログ(ほしぞらぶろぐ)と読みます。

前回
前々々回の記事で、先週金曜日にペルセウス座流星群と天の川の撮影をしてたと書きましたが、本当は今回書く記事が一番試したいことでした。少し時間がかかってしまいましたが、やっと画像処理も終わったのでまとめておきます。

QBPのこれまでのまとめ

これまで好んで使っていた、サイトロンのQBP(Quad Band Pass)はHα、SII、Hβ、OIIIの4つ(Quad)の基線を通すためこの名前がついています。このフィルターかなり便利で、自宅のような光害地でも、多少の月明かりがあっても、星雲を相当炙り出すことができます。

QBPの作例については以下をご覧ください。

















さらになんと、私がTwitterで電視観望でも使いたいと呟いたリクエストで、QBPのアメリカンサイズまで作ってくれ、もうサイトロンさんには感謝しても仕切れないくらいです。



私にとって、QBPは撮影にも電視観望にも、すでに無くてはならないフィルターになっています。


QBPの不満

このQBP、ものすごく便利なのですが、実は2つ不満があります。
  1. 一つは、最初の方の作例を見てもらうとわかるのですが、普通に赤を出そうとするとどうしても朱色がかった赤になってしまうのです。他の方の作例を見ても同様の傾向が多いので、これはQBPの特徴の一つなのかと思います。でもこれは何度か画像処理をしていて、青を少し強調してやると赤の色バランスがよくなることに気づきました。QBPの特性として、どうも相対的に青色が弱く写ってしまうようです。最後の方のバラ星雲なんかは適度に補正してあるので、初期の頃とだいぶ色合いが違うのがわかるかと思います。
  2. もう一つは記事の中で時々書いているのですが、恒星の色、特にオレンジとか緑とかが出ないのです。これは結局解決に至らず、適当に色が抜けたような状態でごまかしています。なので、どうしても色を出したい場合はQBPをあえて使わない時もありました。
そもそもQBPは青が強いM45プレアデス星団や、恒星の色に近い銀河はあまりきちんとした色が出ないようで、今のところ主にHαを出したい時にQBPをよく使っています。

そうは言っても、QBPはこの手のフィルターにしては比較的波長帯の制限をゆるくしてあるために、色バランスが崩れにくいというのが大方の評判で、私もその意見に賛成です。ただ、上記のような不満もあるのも事実なので、これをなんとか改善できないかとずっと思っていました。


CBPの検証開始

今回やったことはサイトロンから少し前に発売されたCBP(Comet Band Pass)フィルターの検証です。

 

一方、今回使ってみたCBPは彗星用に開発されたフィルターということもあり、青や緑の波長帯を通すとのことで、QBPの弱点であった、赤以外の色が意外にバランスよくでるのではという期待があります。ただ、星雲用に開発されたわけではないので、これは自分で試してみないとよくわからないでしょう。

というわけで、毎度のこと前置きが長かったですが、やっと検証の開始です。

今回のターゲット天体は青色を適度に含むM20、三裂星雲です。機材はTSA-120に35フラットナーをつけ、ASI294MC Proで撮影をします。もう8月後半なので、M20は宵のうちから高い位置にあり、しかもこの日はちょうど下弦の月のころなので、M20が沈むくらいまでは月は出てきません。さらに前回の記事でも書いたとおり、この場所は天の川が結構はっきり見える(2つに分かれているのは十分に分かります)場所なので、光害の影響があまりないところです。条件としてはいいのですが、光害のカットという意味での検証にはならないということは注意が必要です。

今回はM20を
  1. フィルター無し
  2. 48mmのCBPを取り付ける
  3. 48mmのQBPを取り付ける
という3つのケースで撮影して比較したいと思います。時間的にはこの順番で、それぞれ上から17枚、9枚、6枚撮影しました。枚数が違うのは、だんだん時間が無くなってきて焦ってきたからです。同じ日で撮った方が公平になると思ったので時間が限られてしまいました。ここら辺はご容赦ください。

高度から考えると、時間と共に位置が下がってくるので、1のフィルター無しが一番有利で、順にCBP、QBPとなるはずで、QBPの7枚目以降はまだそこそこ高度はあったのですが、背の高い木が少し入ってしまったので、そういったうまく撮れていないのは省いた枚数になります。


結果の比較

今回非常に面白い結果が得られたので、早速撮影された画像を見て見てみましょう。画像はどの場合も、1枚のRAWファイル(fits形式)をPixInsightでDebayerして、STFでオートストレッチをかけただけです。画角が同じなので、オートストレッチが公平に働いて、画像の質によって星雲などのコントラストがそのまま表されてきます。

1. フィルター無し

まずはフィルター無しのノーマルです。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
フィルターなしの場合。

特に色をあぶり出したりしているわけではないので、のっぺりした色合いになっています。それでも暗いところなのでM20の赤と青はそこそこ出ています。


2. QBP

先にQBPを見せます。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
QBPフィルターを適用。

QBPの実力通り、フィルター無しに比べて赤が相当強調されています。実際に画像をスタックして画像処理までして比較してもみたのですが、一枚でこれだけ差が出ていると、スタックしても結果に大きな違いが出ます。フィルターなしの方が枚数が多いので当然ノイズは少ないですが、淡いところの赤を出そうと思っても最初から色が出ていないものは後から処理してもなかなか出てきません。枚数が少ないQBPの方が遥かに簡単に色が出ます。


3. CBP

ではお待ちかね、最後はCBPです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
CBPフィルターを適用。

明らかに青がノーマルの時よりはもちろん、QBPの時よりも強調されています。赤はフィルターなしの場合より濃くなっていますが、QBPよりは若干薄いでしょうか。


分かりやすいように並べてみます。

com1

左から、フィルターなし、QBP、CBPの順です。CBPで青が明らかによく出ているのがわかるかと思います。赤い三裂(4裂?)の周り、特に上部や下部の青なんかは違いが顕著です。

赤はやはりQBPが一番出ていますが、ノーマルと比べるとすでに朱色がかっているのがわかるかと思います。CBPは赤に関してはある意味ノーマルとQBPの中間で、まだそこまで朱色がかっていないです。

これは期待通りというか、期待以上の結果です。


光害に対する効果

QBPよりもCBPの方が波長の透過域が増えるので、光害に対しての効果は減ると推測されます。今回は光害の影響があまりない場所での撮影だったので効果が分かりにくいため、あくまで暫定的ですが少しだけ評価してみます。

PixInsightのSTFのオートストレッチは、画像の持っている明るさによってストレッチ(あぶり出し)のパラメータを決めます。撮影したRAWファイルを何倍くらい明るくするかは、(同じ画角で撮った場合)光害に依るという意味です。光外の少ない暗い画像ほど大きな倍率をとって明るくするはずですし、光害が多く明るく写った画像ほど倍率は小さくなるはずです。出来上がった画像の(背景の)明るさはあまり変わらなくなります。

そのため、撮影した画像の背景の明るさと天体(淡い星雲)の明るさに差があるほど、背景を同じ明るさにした場合には天体がよりコントラスト良く浮き上がってくるはずです。この時のオートストレッチの倍率を比較することで、光害がどれだけ軽減されるか、言い換えると光害防止フィルターがどれくらい働いているか推測することができるはずです。

オートストレッチの値から、フィルターなしを1としたときにQBP、CBPでそれぞれ何倍明るくしたかを表にしました。色によって倍率が違うのでRed、Green、Blueで別々に計算しています。具体的にはSTFのスパナマークを押すと表が出ます。最初なかなか意味がわからなかったのですが、いろいろ試して、結局真ん中の列の逆数が元の画像から何倍ストレッチしたかに相当することがわかりました。結果は以下のようになります。

 RGB
No filer111
QBP3.983566944.486127173.40584795
CBP3.537339063.440159572.7432878

さて、結果をじっくりみていきましょう。


QBP:


この結果を見ると、まずQBPはフィルターなしに比べて4倍くらい明るくできるので、言い換えると余分な光を4分の1くらいにしているということがわかります。以前、波長帯の広がりからざっくり4倍くらい得すると推測していましたが、実測もかなりこの推測に従っているようです。




CBP:

次にCBPです。まず第一に、結果の数値だけを見るとそこまでQBPとは大きく違わないというのが印象です。CBPの方がかなり(下手したら何倍も)明るく出るのではと思っていたのですが、平均だと1.2倍程度です。

R関しては除去比は少しQBP劣りますが、ほとんど違いがありません。GとBに関してはCBPの方が光害を除去しないことになります。と言っても高々1.3倍とか1.2倍です。これはCBPが彗星の核や尾のCN, C2, C3らの基線を透過させるように、主に紫外から青を新たに通すように設計してあるため、この波長での光害に対する除去効果は軽減されるので納得です。ただ、青よりも緑の方が違いが大きいというのが少し疑問ですが、Gセンサーも青の帯域に感度はあるので、これはあり得るのかもしれません。

ここでパッと疑問に思ったのは、青に対する明るさの倍率が低いCBPがなぜQBPよりもより青色を出すか?です。これは当然、これまでカットしてしまっていた青い光をより通すようになったからと考えることができます。倍率が低くても、捨てていた青い光を拾った方が得だったということです。


結論

というわけで、ここでの結論は「CBPはQBPよりも光害に対する効果は多少低いが、違いは全然大きくはなく、むしろ青を通すことでより強調する効果がある。これは青い成分を持つ星雲に有効である。」と言っていいのかと思います。もちろんこの値は光源に依ります。繰り返しになりますが、今回は光外の影響があまりないところで試したので、街明かりの場合や月明かりの場合は結果が違ってくる可能性もあるかと思います。

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さらなるCBPの効果

でもでも、実は面白いのはここからだったのです。この検証の過程で3つの画面を見比べていて、一つ気付いたことがあります。もしかしたら勘のいい人はもう気付いているかもしれません。

上で出した3つの比較画像のそれぞれの左上の明るい星に注目してください。その左横に2つの星があると思います。これを3つで見比べてみてください。わかりやすいように拡大して並べて比較します。左からフィルターなし、QBP、CBPです。

com2


わかりますでしょうか?

なんと、CBPの星像が一番小さくて、しかも色がきちんと出ているのです。ピントの違いの可能性もありますが、他の星の大きさが大きくは変わっていないので、おそらくピントは関係なく、フィルターの違いから来ていると思われます。これは最初の方で書いた2つ目の不満「恒星の色が出ない」を解決する可能性があります。特にオレンジに近い色が出なかったので、期待できます。


なぜこんなことが起きるかというと、ここからはまだ推測なのではっきりとは言えませんが、QBPは実は赤外を通すのではという推測があります。シベットさんがここらへんの話に詳しくて



に記述があります。また、あぷらなーとさんの最近の実験でもその推測を推す結果となったようです。

QBPは赤外を素通しで、赤外の方では収差を補正しきれていない鏡筒ではハロとなって出るが、それに比べて、CBPはきちんと赤外の波長が透過しないように処理もしてあるのではという推測です。このハロを除去したい場合、QBPでは別途フィルターを入れる必要があるが、CBPでは1枚で済んで、恒星の色の再現性も高いということが考えられます。

これまでQBPで恒星の色が出なかったという方は試してみてもいいかもしれません。


まとめ

というわけで長かったですが、CBPの検証はこれで終わりです。赤はもちろん青も出て、色バランスも良く、恒星の色もきちんと出て、光害にも効果がありそうというので、私的にはある意味理想的なフィルターになりそうです。CBPはQBPであった不満をほとんど解決してくれそうです。かなり期待できそうなので、今後CBPの作例を増やしてもう少し検証していきたいと思います。


次の記事で今回撮影した三裂星雲を画像処理して仕上げています。



 

先日試した、31.7mmQBPを使った電視観望システムですが、ある程度の完成をしたので、お披露目の記事になります。

ことの始まりはTwitterでのリクエストに答えてくれたサイトロンさんが送ってきてくれた、CMOSカメラに直接取り付けることができる31.7mm径のQuad Band Passフィルターです。ASI294MC Proに、付属のリングと共に取り付け、カメラレンズアダプターを併用すると、その先に一眼レフカメラのレンズを取り付けることができるようになります。



実際に焦点距離50mm、F1.4という非常に明るい昔のNIKKORレンズを取り付けて見てみました。結果は驚くべきことに、赤い星雲を直接探しながら空を見ることができるというもの。ただし、ハロが酷く、特に明るい構成のハロはネコの目のように目立ったしまいました。それを解決したのが前回、



レンズをF1.4という開放で使っていたのが原因でした。F2まで一段階絞ることで、猫目ハロは完全解決。でも天気が続かず、赤ハロの検証をするに至りませんでした。


まずはオリオン

天気のいい休日の夜、月が出るまでに1時間くらいあったので広域電視観望の続きを試してみました。前回と同じようにレンズを一段絞ってF2で始めます。少し暗いので、ゲインを一段階上げておきます。これで最大(550)まであと一段だけ(500)です。

まず手始めにオリオン座。自宅は東と天頂はそこそこ暗いのですが、北は全滅、西も道路と住宅の明かりでダメです。前々回の最初に試した時は、時間が遅くてオリオン座は明るい西の空で沈む寸前。前回は曇りでこれもだめだったので、実質初めての暗い空です。場所もまだまだ南天近くにいるので、かなりきれいに見ることができます。
IMG_9416

暗いと言っても住宅地なので、やはり光害地なのには変わりありません。もちろんQBPが入っているのでこれだけコントラストよく見えるわけです。

写真は1.6秒露光の72スタックで、115秒と2分切るくらいですが、これは写真を撮るのにもたもたしていたからで、もっと少ないスタック枚数でクオリティーは十分になります。10スタックもすれば相当見えるくらいになってきます。

もうバーナードループも余裕です。わずかこんな時間で、こんなに綺麗に見えるとは。レンズは一段絞ってF2にしてあるので、前回より少し画面が暗いですが、炙り出せば良いだけの話でそれはほとんど問題にならないです。ノイズが大きくても、少し待てば十分減ってくれます。


赤ハロ青ハロはレンズのせいだった

それよりも周辺で星がそこそこ歪みます。これは古いレンズなので仕方ないでしょう。さらに、真ん中が青ハロ、周辺が赤ハロとなっています。これは間違ってもQBPのせいではなくて、レンズ側の問題だとやっと確証が取れました。最後の方でもっとわかりやすい写真を見せますが、ピント位置によって赤ハロと青ハロの出方が相当変わります。今回、絞りを一段階暗くしてF2にしたことによって、このような細かいところがやっとわかるようになってきました。開放のF1.4の時のひどいハロでは、やはりここまで調整もできなかったと思います。


なんとエンゼルフィッシュ星雲も!

ついでにオリオン座のすぐ上のエンゼルフィッシュです。導入は自動導入なんてたいそうなものは必要ありません。画面を見ながら、三脚についている自由雲台を緩めて「エイ、ヤっ」とエンゼルフィッシュを「見ながら」導入します。
IMG_9418

これも1.6秒を72枚スタックですが、スタックなしの1.6秒一枚リアルタイムでもうっすら見えています。


拡大に耐えられるか?

続いてM42の拡大と、馬頭星雲の、SharpCap上での拡大です。
IMG_9421

IMG_9424

流石に画面上で250とか300とかに拡大(全体を見る時が40なので、6倍とか8倍に相当)しているので、星像が肥大化して見えてしまっていることと、ハロも目立ってしまっています。観望会などで見せるには少し厳しいかもしれません。


冬の星雲巡り

今回は早い時間だったので、オリオン座が南中くらい。なので、その西の早い時間帯の星座にある星雲星団も確認できました。最初にプレアデス星団が見えました。その上にカリフォルニア星雲があるはずですが、レンズの向きが厳しいです。そんな時は面倒なのでエイやっと三脚ごと向きを変えます。こんな気軽な星雲観測は広域での電視観望ならではじゃないでしょうか。実際に見えたプレアデス星団とカリフォルニア星雲です。同じ画角に入りました。
IMG_9425

スタックなしの1.6秒ワンショットだと下の写真くらいです。それでも十分見えます。
IMG_9427

カリフォルニア星雲の拡大です。
IMG_9429

これくらいの拡大率なら、それほど星も肥大せずそこそこ見えます。

西の空にアンドロメダ銀河が沈む頃でしたが、流石に明るすぎました。でもそれを差っ引いてもやはりQBPは銀河は苦手な気がしています。こんな時に気軽にQBPを外すことができるようにアメリカンサイズをリクエストしたのですが、ごめんなさい、この時は外して確認することを忘れてました。
IMG_9433


前回も見たバラ星雲とカモメ星雲です。バラ星雲は少し拡大しています。
IMG_9435

IMG_9436

カモメさんを拡大したらこんなもんです。
IMG_9438


モンキー星雲とクラゲ星雲です。
IMG_9443

同じ画角ですが、ピントが少しずれて赤ハロが盛大に出てしまった場合です。反対側にずれると青ハロが少し出ます。
IMG_9440


最後です。これを最初に見た時、何か一瞬わからなかったです。撮影したこともあるのに...。
IMG_9447

でもこれで答えを見ました。ああ、勾玉星雲だった...。



星雲の形をデフォルトで表示してくれるのですごくわかりやすいです。広域電視観望の地図がわりにぴったりです。長押しで他の波長も表示してくれます。


まとめ

いやー、楽しい。わずか小一時間で、冬の星雲を一網打尽できました。観望会でも大活躍しそうです。とにかく空を見ながら星雲を探す。これは本当に楽しいです。

一応、31.7mmのQBPと50mmの明るいレンズを使っての広域電視観望は実用レベルで使えることが分かりました。システムとして完成と言っていいでしょう。

もちろん光害の具合によっては見える度合いも違うでしょうし、まだまだ改良する点もあるでしょう。それでも、前回そうでしたが、月が出ていた時でもバーナードループくらいは見えているので、明るいところでもかなり楽しめるのではないかと思います。

やはりレンズの明るさは正義です。まだハロが少し残っているのと、拡大時の肥大が少し気になるので、もう少し良いレンズを探しても良いかもしれません。例えばシグマの50mm F1.4 DG HSMなんかものすごく良いのでしょう。でもさすがに、電視観望のためだけにこれだけの値段をかけていいものなのか。

最後に、今回何より重要だったのがQBPでした。以前の48mmのQBPも撮影では十分すぎるほど活躍してくれていたのですが、今回のカメラレンズと合わせるというのは31.7mmのQBPになって初めて実現したものです。QBPがなかったら、ここまでやろうとさえ思っていなかったでしょう。BLACK PANDAさん、私のちょっとつぶやいただけの希望を聞いていただいて本当にありがとうございました。

このシステム、賑やかな夏の空でも早く試してみたいです。

3.5nm HαフィルターをBFに代えて使おうとした試みの、最終回です。前回までで、撮影レベルではうまくいかなかったことまで報告しました。 今回は起死回生の利用方法についてです。

そもそも、BFに代えて3.5nm Hαフィルターを使ってみた撮影自身は11月には、それも2度も終えていました。でも結果はイマイチで、太陽の活動にも比例してか結構意気消沈していて自分の中で全く盛り上がっていませんでした。

ところが最近、シベットさんに触発されて電視観望でフィルターを入れるのが楽しそうなことを知りました。シベットさんも(こちらはもちろん普通に星雲にですが)3.5nmのHαフィルターを使っていました。あ、これも楽しそうだというのと、そろそろ国際光器さんに結果を報告しなくてはと思っていたのが先々週くらいです。


前回記事でクイズの答え

ジャンジャカジャーン!それでは前回の記事のクイズの正解発表です。答えは

「3.5nm HαフィルターをCMOSカメラに取り付けて写すだけ」

です。ブロッキングフィルターもつけたままです。

ズバリの正解はいませんでしたが、むしろ面白いアイデアがいくつかありました。確かに、シベットさんの言う『ERFを取り除く』はありかもしれません。でもERFは代替のものを安価で手に入れることができるのも分かっているので、いまいち動機が盛り上がりません。でも今回の記事を読むとわかりますが、シベットさんの『「Hα+エタロン+BF」で無茶苦茶コントラストが上がった』というのがほぼ正解ですかね。

Lambdaさんの『フィルターを傾けて中心周波数を移動させる』と言うのは全然考えつきませんでした。あぷらなーとさんの『ブロッキングフィルターを星雲に使う』は一度本当にやってみたい気もします。Twitterではいのさんが『QBPとかの他のフィルターと組み合わせる』も何か応用がありそうです。フィルターはまだまだ柔軟に考えるといろいろ発展しそうです。

え、正解が単純過ぎる?多分そう思いますよね。私も最初はそう思っていたんです。でもあからさまな違いがありあました。というわけで、今回の記事を始めます。


3.5nm Hαフィルターを多段に入れてしまおう!

前回の記事のとおり、なかなかBFの代わりにするアイデアは上手くいかなくて、その後いろいろ考えていたのですが、突然閃きました。「BFの代わりと思っていたが、よく考えたらいっそのこと多段にしてもいいのではないか」と。

理由はいろいろあります。まず第一にフィルターに対していろいろ柔軟に考えるようになってきたこと。もともと、あまりフィルターは好きではなかったのですが、旧型のQBPの性能が良かったことと、NV(ナイトビジョン)ではフィルターが必須で、フィルターによって見え具合を変えていると言うのを知ったこと。特に最近31.7mmのQBPが手に入ったのが大きかったです。カメラレンズでもフィルター使えるようになるんだと妙に納得しました。直接のきっかけは31.7mmのQBPにUV/IRカットフィルターを実際に重ねたことでしょう。あ、そうかフィルターって多段でもいいんだ!もちろん知識では知っていましたが、この時の経験がBFとさらにHαを重ねてもいいのではと思うに至ったのです。

さて、思い立ったが吉日。なんとか少しだけ晴れている週末の日曜、15時頃からはじめました。

IMG_9357
今回はBFもついているので、マスキングテープの必要もありません。

今回は3.5nm HαフィルターをASI290MMに取り付けるのみ。ブロッキングフィルターはそのままです。撮影は3.5nm Hαフィルター有り/無しが違いだけです。画像処理とかもほぼ同様のプロセスです。


実際の撮影結果

結果をまず言うと、今回は大成功。まずPCの画面上ですでにはっきりと違いがわかりました。

3.5nm Hαフィルターをつけた方がもちろん暗いのですが、暗さの違いはわずか4dB、SharpCapのゲインのところで40だけです。それよりもフィルターありの時の明るさが相当均一になったのにまず驚きました。PSTのエタロンは決して性能が良いとは言えないので、明るいところと暗いところの差が結構出ます。エタロンの明暗自身は変わらないと思うのですが、このときにエタロンとは関係ない不自然な明暗がなくなり、かなり均一になって、言ってみれば至る所で周辺減光が減ったようなイメージです。

おそらくですが、、強烈な太陽光に対して鏡筒内にジャンク光がまだまだたくさん存在しているのかと思います。理想的にはHαだけが通り抜けてきているはずですが、実際には他の波長の光も明らかにカメラ側まできているのでしょう。PCの画面を見ながら鏡筒の位置を少し動かしたりしてみると、3.5nmフィルターがない時にこれまで見えていた明るくなったり暗くなったりが、あからさまに消えています。

同時に、ここからは画像を実際に見てもらったほうがいいのですが、フィルターありの方がコントラストが高く、明らかに像がキリッとしているのです。ImPPGまでの処理を終えたところでの比較です。

3.5nm Hαフィルターありと、
15_45_23_lapl4_ap1555_IP2

3.5nm Hαフィルターなし。
15_46_48_lapl4_ap1574_IP2

ほぼ同時刻、同条件、画像処理も同じです。フィルター分焦点がずれる可能性はあるので、ピントだけはそれぞれで調整しています。光彩面もそうですが、特に境のスピキュールのところのツンツン具合があからさまに違います。プロミネンスも明らかに出方が違いますが、これもPC上での撮影時もフィルターありほうが明らかに見易かったです。

別カットです。フィルターありと、
15_44_19_lapl4_ap1496_IP

フィルターなし。
15_48_02_lapl4_ap1972_IP

公平を記すために、先ほどと撮影順序を先後と後先と変えてあります。こちらも明らかにフィルターありの方が細部まで出ています。まるで分解能が完全に一皮むけた感じです。


仕上げと考察

せっかく上手く撮れる方法が見つかったので、少し仕上げまで持っていってみました。トリミングしています。

15_45_23_lapl4_ap1555_IP2_color_cut

Photoshopで更にあぶりだすと、明らかに細かいスピキュールがよく見えて、もうツンツンしています。スピキュールだけで言えばこれまで撮った中で一番きれいに出ています。同時に、これも当然かもしれませんが、プロミネンスの解像度もこれまでよりかなり楽に出るようになっています。撮影した日は夕方の西日で、決してシンチレーションがいいとは言えなかったので、これは3.5nm Hαフィルターを加えることによるジャンク光を取り除く改善効果と言ってしまっていいかと思います。

これくらいスピキュールやプロミネンスが出てくると、次に試したくなることが出てきます。プロミネンスの形の変化のアニメ化です。以前一度試していますが、位置がずれていくことによる、画質クオリティーのブレを補正するのが大変で、画像処理合わせと位置合わせでえらい苦労をしました。今回ジャンク光を軽減したことで、多少位置がずれても明るさが大きく変わらないので、この苦労が多少軽減されると思いますし、解像度も上がるのではと期待しています。あとは、いかに太陽撮影時のガイド方法を編み出して位置を固定することでしょうか。


まとめ

PSTではエタロン部を外から回転させることで、波長域を調整できるのですが、見えている全面に波長域が合っているかと言うと、ここは悲しいかな、安価なエタロンのためせいぜいきれいに見えるのは3-4割と言ったところです。このとき見えていないところは、今回の3.5nm Hαフィルターを入れても大きな改善はありません。逆にエタロンできちんと見えているところは、これまで入っていたジャンク光と思われるものがかなり減少したと考えられ、相当の改善が見られました。

今回の撮影は夕方の西日でした。これまで分解能が出たのはいずれも朝か、南中。西日ではたいていボケボケでした。その状態でもかなり分解能が出ているので、もっとましなシンチレーションや時間帯になれば、さらなる改善が期待できそうです。

元々の動機の「全体像をもう少し広い範囲で見る」というのはのは今回は諦めざるを得ませんでした。さすがにBFが高価なわけが少しわかった気がしました。今回の試みはある意味BFをサポートして能力を向上させるようなものかと考えられます。

今回のアイデアは、3.5nm HαフィルターをCMOSカメラに取り付けるだけという、極めて簡単にでき、誰でも試すことができる太陽撮影時の分解能向上です。また、アイピースに取り付けることもできるはずなので、安全性を守れば眼視にも適用でき、コントラストの増加につながるかもしれません。

もし3.5nm Hαフィルターを手に入れるチャンスがある方は、一度試してみることをお勧めします。その一方、私のは改造機なので、そもそもの性能が悪いだけで、たまたまそれが改善されただけなのかもしれません。実際に他の方でも効果があるのかどうか、結構興味があります。

最後に、私の突拍子もないアイデアに付き合って頂き、3.5nm Hαフィルターをご提供いただいた国際光器様、当初あまりよくない結果でお知らせするのをためらってしまっていましたが、別の効果は十分にあったのかなと思います。結果が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。さらに、本来の使い方の星雲でも試してみたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

それにしても、太陽早く活動期にならないかな?たくさんの黒点とか、大きなプロミネンスとかフレアも今回のセットアップで撮ってみたいです。


前回の、3.5nm Hαフィルターがブロッキングフィルターとして使えるかの理論編の続きで、実際に撮影してみた実践編の結果です。


注  意

今回の使用法はPST、そして3.5nm Hαフィルターも含めて、本来想定される使用方法とは大きく異なります。この記事の目的は、決してこの使用方法を推奨するわけではなく、あくまで可能性を探る目的として、テスト的に試すものです。もし、この記事を見て追試や似たような方式を試される方がいたとして、何かトラブルになったとしても、本ブログは何の責任も負うことはできません。また、試験中に使用されるフィルターを提供して頂いた国際光器さんにも、一切の責任はありません。もし試される場合は、くれぐれも自己責任の範囲内でお願いいたします。

また、安全にはくれぐれも気をつけてください。一般的に太陽観察は危険を伴います。太陽はその強力な光源のために、直接、またはレンズを通して見ると、最悪失明の恐れがあります。少なくとも私はPSTの改造後、今回のテストも含めて一切眼視では見ていません。太陽像を確認する場合は、必ずカメラで撮影するようにしています。万が一、フィルターが割れていたなどの事故もあり得ます。カメラだけならば物の事故で終わりますが、目の場合は取り返しがつかないことがあります。

繰り返しますが、安全には最新の注意を払い、くれぐれも気をつけて、あくまで自己責任の範囲内でお願いします。


それではここからが今回の記事になります。

実際に3.5nm HαフィルターをBFの代わりで使って撮影してみる

そもそも、なんで10月の小海で3.5nm Hαフィルターを受け取って、11月には撮影していて、それでこんな時期の記事になったかというと、実はあまりいい結果がでなくて記事自体がお蔵入りになりかけていたからです。

昨年11月のある日、晴れていたので早速のテスト。とりあえず、これまで使っていたPSTを久しぶりに取り出してきて動作確認をします。そもそもずーっと太陽は停滞期。昨年4月の黒点以降、イマイチ盛り上がりに欠けます。なのでこの日も黒点はもちろん、プロミネンスもほとんど何もない状況。

撮影してみて、特に10cmPST自身動作に問題はなく、光彩面の模様は普通に見えます。この像を基準とします。下はBFはオリジナルのままで実際に撮影した画像で、撮影後画像処理をしたものです。

2019-11-04-0535_5-Capture_lapl5_ap2568_IP
BF換装前のオリジナルの状態。これを基準にします。

基本的にはSharpCapで撮影して、Registaxでスタック、ImPPGで模様を出します。本来はここからPhotoshopでフラット補正やカラー化、トリミングなどしますが、今回は比較だけのためImPPGで止めておきます。

さて、肝心のBFを3.5nm Hαフィルターで置き換えた場合です。まず、そもそもBFがアイピース止め口と一体になっているので、BFをを外してしまうとアイピースやカメラをきちんと固定することができません。今回の場合は仕方ないので、マスキングテープを利用して仮止めします。

IMG_8581

固定方法は雑ですが、とりあえず撮像を見ることはできます。ピントも普通に出すことができました。

まず、撮影していてPCの画面を見て思ったのが「明るい」でした。これは当然で、元々のBFよりも波長透過域が広いので明るくなるのは正しいです。でも模様が明らかに少ない気が。Registax直後の画像がこれです。

2019-11-04-0659_0-Capture_lapl5_ap1306

というか、ほぼのっぺらぼうです。この時点では「あー、これはダメかな」と思っていました。その後、ImPPGで模様だし。その際ガンマを相当下げたらやっと少し見えてきました。

2019-11-04-0659_0-Capture_lapl5_ap1306_IP

なんとか光彩面の模様も見えたか?と言ったレベルでしょうか。明るさで隠れていた情報は画像処理で多少引き出せたのかと思います。それでも元のオリジナルのBFに遥かに劣るように見えます。

少し詳しく見ると、分解能に関してはそれほど悪いとも思えない一方、コントラストは明らかに悪いです。エタロン自身は同じなので分解能はそこである程度決まってしまい、その後出てくる余分な光があるかどうかでコントラストが決まってしまうような気がします。

それでもさすがにこのレベルだと撮影としては使い物になりません。ただ、元のBFでの画像も意外なほどボケボケなので、たまたまその日がシンチレーションが悪かったということもあるかと思います。一応その週末に確認のために、再度撮影をしてみました。

1週間後に撮ったオリジナルBFでの太陽と

2019-11-09-0239_2-Capture_lapl5_ap1950_IP

BFを3.5nm Hαフィルターで取り替えた場合の画像です。

2019-11-09-0235_6-Capture_lapl5_ap2085_IP

残念ながらこの日はさらに差が広がってしまいました。と、ここら辺で今回の取り組みは諦めとなりました。


結論とまとめ、そして今後の展開

まあ、結論としては「3.5nm Hαフィルターをブロッキングフィルターとして使うと、かろうじて像をあぶり出すが、実際の撮影レベルで使うには厳しい」と言ったところでしょうか。うーん、せっかく面白いアイデアだと思ったのに、非常に残念です。とりあえずBFの「代わりとして」使うことは諦めることにします。もしこれがいい成果を出せたなら、BFを安価に大口径化できたはずなのですが。

もし興味があって追試される方がいるかもしれませんが、BFを抜いた状態になりますので、安全にはくれぐれも気をつけてください。今回の散々な結果を見て試したいと思われる方はほとんどいらっしゃらないとは思いますが。

ところで、そもそもなんで11月にお蔵入り状態だった記事が、2月のこの時期に突然復活したのか?それはつい最近3.5nm Hαフィルターを使って進展があったからです。ここでクイズです。

Baader製3.5nm Hαフィルターを使って確認できた
進展とはいったいどんなものだったでしょうか?

何か思いついた方はコメント欄に書いてみてください。全然難しいことではありません、むしろ単純です。ヒントは、近頃凝っている電視観望でのフィルター使用の経験が生きているということです。


起死回生の案の実際は、次の最終回の記事で。乞うご期待。


週末に試した50mm、F1.4レンズと31.7mmの新型QBPを使った電視観望の続報です。



平日なので、時間も限られていることもあり、限られた事しかできていませんので、速報のようなものと思っていただけると助かります。


UV/IRフィルターの影響

まず試したのが、UV/IRフィルターを入れた場合です。とりあえずは前回の猫目ハロの再現。

センサーには前回同様T2-1.25''変換フィルター



がついていて、そこに31.7mmのQBPがついています。QBPの先に、2017年の胎内星まつりで買ったZWO社製の31.7mm径のUV/IRカットフィルターをつけています。その状態で撮った写真が

IMG_9383a


になります。前回と違い、月がすぐ近くにあるためにさらなる炙り出しが必要で、周辺減光が目立っていますが、取りえず無視してください。前回UV/IRがない時にQBPだけでとったもの

IMG_9322a

と比べても、若干カラフルさは無くなったような気はしますが、猫目はほとんど改善されていないことがわかります。また、今回の方が若干星の周りの青ハロが改善されているようにも見えますが、ピント位置にもよりまだ時間をかけて検証できていません。とりあえず誤差の範囲だと思ってください。



猫目ハロとピントの関係

いろいろ試している間に一つ気づいたことがありました。ピントによって猫目の大きさが大きく変わるのです。例えば、ピントを少しずらすと猫目が消えます。その代わりに他の星がぼやけます。

IMG_9381a


ちなみに猫目とピントを共に妥協したくらいだと以下の写真くらいでしょうか?

IMG_9384a


ここら辺で、ハハァー、と何となくかわかってきました。

猫目ハロはQBPのせいではなく
レンズから来ている可能性が高い

と。


絞りを変えてみる

ここで、絞りを一つだけ絞ってみました。F1.4からF2になります。

撮れた写真がちょっと雲が出てきた時のものしか残っていなくて(実は別ショットをSharpCapでsnapshotをPNGで取っておいたですが、設定不足でなぜか白黒)写真では完全に直接比較とはいきませんが、見ている限りジャスピンでも劇的に改善しています。

IMG_9389a

もちろん一段階暗くなるので、その分ゲインを上げるとか、ヒストグラムでより攻めるなどの対策が必要となります。それでも同じ露光時間でリアルタイム製を損なうことなくバラ星雲は見えるので、まあノイズ的には許容範囲かもしれません。

一応白黒も出しておきます。F1.4の時のシリウスと

Capture_00001

F2の時のシリウスです。明らかにこちらの方が改善されています。

Capture_00002


NIKKOR 50mm F1.4レンズについて

改めて「NIKKOR オールドレンズ 50mm」で調べてみると「F1.4ではボケを楽しめる」だとか、「F1.4だとイマイチだがF2にすると結構いい」というような評価が散見していました。今回はそれを裏付けるような結果になっているかと思います。F1.8レンズの方が安くて性能が良いという評価も見られました。

やはり安いだけのレンズでは問題もあるということがわかってきました。もちろんどこまで妥協するかという問題で、明るい星を見なければF1.4のままでもいいのかもしれません。でも50mmレンズとASI294の組み合わせの場合だと比較的広い範囲を見るので、明るい星が入る可能性が高く、やはりF2が実用的なラインかと言えると思います。

結論とまとめ

今回の結果から、前回出した猫目ハロはQBPのせいではないことがわかりました。31.7mmの新型QBPでひどいハロが出るような印象を与えてしまい、申し訳ありませんでした。少なくとも猫目ハロに関してはレンズのせいであったことは明白で、QBPのせいでは全くありません

ただ、シベットさんが報告しているような赤ハロの方は、今回検証する時間もなく雲が出てきてしまいました。こちらは次回以降にまた試してみます。(追記: 今回のアメリカンサイズQBPで、後日バラ星雲を撮影画像処理までしてみました。QBPでハロが問題になるようなことはありませんでした。)

せっかく作って頂いたQBPなので、実際に確かめてみて、使えるという確証を早く得たいと思っています。新型QBPがきちんとした撮影レベルで使えるかどうかも、次回以降、晴れて天気が安定している時にきちんと検証するつもりです。今しばらくお待ちください。


シベットさんが最近フィルターを使った電視観望を盛んに試されています。私のところにも31.7mmのアメリカンサイズのQBPフィルターが届いたので、ずっと試したかったテストをしてみます。


アメリカンサイズのQBPができた!

そもそもは昨年9月にQBPを使って電視観望をするとどれくらい見えるようになるかというテストをしたことに始まります。



この時の結論はHαで見えている赤い星雲はQBPによって相当見やすくなる一方、プレアデス星団などの青い星雲や白色光に近い系外銀河はむしろQBPによって電視観望では見えにくくなってしまうというものでした。なので、見る対象によってQBPをつけたり外したりするといいのですが、48mm版のQBPはFS-60CBの鏡筒とフラットナーの間に入れてあって、なかなか取り外しにくいのです。

そんな折、ちょうどBLACK PANDAさんからTwitter上でQBPの新バージョンができるというアナウンスがありました。なんでも基材を合成石英にアップグレードするということです。これまでの基材が何かはわからない(2020/2/3追記: B270だそうです。)のですが、合成石英は研究レベルでもよく使われ、熱膨張が少なく、紫外、赤外共に透過率が高かったりします。

上のブログの更新時のTwitterでのアナウンスでBLACK PANDAさんがコメントをくれ、「QBP入れ替えができるように、CMOSカメラに直接つけることができる31.7mmサイズがあればいいなあ」とか返事をしたら、なんと本当に反応してくれました。新バージョンを作る際に、31.7mmバージョンも作ってくれるというのです!これは期待大です。

合成石英を使用した新バージョンのQBP自身は11月半ばにできたと記憶しています。その時のものは元と同じ48mmサイズでした。その後、つい先日の1月29日、とうとう新バージョンの52mm版と、まさかまさかの31.7mm版が本当に発売されたのです!約束を守っていただいて本当に嬉しいです。BLACK PANDAさんどうもありがとうございました。

しかも値段を見ると、アメリカンサイズはこれまでの約半額、税抜きだとなんと1万円切りです。これならユーザーとしては気軽に試すことができるので、大変嬉しい価格設定です。

さらにここから話は急展開します。なんと製品を送るのでテストで使って欲しいとのこと。願いまで聞いていただいて、しかもサンプルも送っていただけるとは!

というわけで、送っていただいた新型のアメリカンサイズのQBP、やっと昨晩テストを敢行することができました。


31.7mmのQBPが生きるところ

フィルターサイズが小さくなって一番良かったのは、CMOSカメラに直接取り付けたり、フィルターホイールに入れたりできるところでしょうか。センサーサイズ的にはフォーサーズまでは使うことができるはずです。電視観望でよく使うASI294MCならば大丈夫でしょう。

もともとはASIカメラについている前に出ているアダプター

IMG_9368


に取り付けることを考えていましたが、年末の名古屋年越し観望会の智さんのレデューサートラブルの検討のときのコメントで「ASI294MC Proについていた薄いアダプターに31.7mmフィルターを取り付けるこができる穴が開いていて、以前よりも飛び出ることなくセンサーに近いところにフィルターを取り付けることができる」ということを教えてもらいました。

実際にASI294MC ProにQBPを取り付けると下のようになります。

IMG_9308

これまでは鏡筒に取り付ける時のみQBPを利用することができました。これならば、一眼レフのレンズをASIカメラに取り付ける時にも、アダプターの中に十分スペースがあるので、広角レンズを使ってもQBPを試すことができます。シベットさんはすでに同様のことを各種フィルターで試しているようなので、私も今回チャレンジしてみます。

今回は上の写真のように、古いオールドNIKKORの50mm/f1.4の明るいレンズにCanonレンズのアダプターをつけて、そこにさらに、ZWOが出しているASIカメラにCanonレンズを取り付けることができるアダプターを取りつけています。そのアダプタの空間にフィルターがうまく収まっています。

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明るいレンズとQBPを組み合わせての電視観望

さて、土曜の晩晴れた際にTSA-120のファーストライトの合間を縫って、このセットアップで電視観望を試しました。ポイントは焦点距離が50mmと広角なので、赤道儀やAZ-GTiさえ使う必要がなく、ただの三脚と自由雲台に載せただけで、手で動かすだけで見たいところを見ることができます。

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このセットアップ、本当に超手軽です。ぱっと持ち出してPCとケーブル一本繋ぐだけです。

もう一つのポイントは、f1.4の相当明るいレンズを使っていることです。以前ASI294MCを最初に手に入れたときその後何度か明るい広角のレンズを使って電視観望をしています。それでも十分に見えたのですが、明るすぎるレンズは画面が飛ばないように露光時間やゲインを抑える必要があるので、星雲なども当然見えにくくなってしまいます。今回はQBPを使って光害をカットしているので、星雲のコントラストが上がり見えやすくなっています。しかも明るいレンズのために露光時間をそこまで伸ばさなくても、十分情報を得ることができ、リアルタイム性に一役買っています。


実際の見え方

実際の見え味ですが、結構衝撃的です。まずは1.6秒露光のライブスタックなしのオリオン座です。

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真ん中に三つ星が映っているのがわかると思います。すぐ下のオレンジの明るいところがM42オリオン大星雲になります。繰り返しますが、これわずかトータル時間で1.6秒だけ露光したものです。三つ星の一番左のところに馬頭星雲らしきものがうっすら出ています。それどころか、よく見るとバーナードループ まですでに出ています。

これを24枚スタックしたのが次の写真です。あ、写真は全てPCの画面をiPhoneで写しているだけなので、ほとんど実際の見え味と同じです。

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馬頭星雲も燃える木もバーナードループも普通にはっきりしています。これでもトータル40秒以下です。

さてここで、ちょっと嫌なことに気づきました。明るい星の周りにハロが出ている(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)のです。炙り出しなどせずに普通に見ているだけではこのハロは気付きません。電視観望でヒストグラムをいじって炙り出すと目立ってきます。この時点ではQBPのせいなのか、レンズが悪いのかはっきりしなかったので、ここでQBPを外してみました。

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同じ1.6秒露光、30枚スタックです。QBPがないと明るくなりすぎるのでゲインを50(5dB、半分近く)落としています。バーナードループも辛うじて見えているようですが、明らかにコントラストは悪くなっています。これはQBPの効果が大だったといえるでしょう。でもその一方、ハロは抑えられています。

シベットさんがブログの中でQBPは赤外を通すためにハロがでるのではという報告をしています。その中でアポクロマートなど赤外でも収差補正をきちんとしている鏡筒はこの問題は出ないのではという考察がされています。これまで私もFS-60CBやFS-60Q、FC-76で旧版の48mmのQBPを使ったのですが、星がサチらない限りはハロは出ることはありませんでした。

今回星がサチっている可能性が一つと、単なる相当昔のカメラレンズなので、赤外で収差があるのは十分可能性があるでしょう。ただ、ハロの様子が赤だけでなく、なんかカラフルになっているのも気になります。シベットさんによるとUV/IRカットフィルターを併用すると、星像はフィルター間の反射で少し悪くなるが、ハロは消えたという報告がなされているので、次回私も試してみようと思います。

ハロは確かにあるのですが(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)、暗い星ではそこまで気にならないのと、星雲の出かたが思いの他すごいので、とりあえず今回はQBPをつけてこのまま進めます。


ばら星雲です。1.6秒露光で31スタック。トータル50秒くらいです。

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ばら星雲の上にも少し赤い領域があります。クリスマスツリー星雲ですね。

というか、今回何かを導入するというのではなく、画面を見ながら赤いのがあるとこれはなんだ?と、「星雲を見ながら探す」という夢のような体験をしています。例えば上のバラはリアルタイムの1.6秒一枚露光ではこのように見えます。

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もう、全然見える範囲の明るさです。

一番衝撃的だったのは次の例でした。

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真ん中らへんに何か赤いのが見えます。スタックするとさすがにわかります。

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そう、電柱の上をカモメが飛んでいるわけです。もう夜中に一人で大爆笑。普通の住宅街でこんなのがほぼリアルタイムで見えるわけです。面白くないわけがありません。

その様子を動画にまとめました。


左手でiPhonedで撮影しながら、右手で三脚の自由雲台の上のCMOSカメラを操作しているので、揺れたりして見にくい点はご容赦ください。オリオン座から電柱上のカモメ星雲、次にバラ星雲を突き止めて、最後にまたオリオン座に帰ります。バラ星雲なんかポンッと出てきます。実際にホントにこのように見えるわけです。

他にもプレセペ星団、

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M46、47、48です。

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適当にレンズを向けて見えたものです。1.6秒だけの露光なのでM46、47、48は少し見にくいですが、カモメ星雲のところの左上にもM46とM47は写り込んでいます。

あいにく、系外銀河は一つも認識できませんでした。アンドロメダとか出ていれば別ですが、さすがに広角レンズでは銀河は小さすぎるのと、やはりQBPは白色の系外銀河が苦手なのかと思います。あと今回はハロがキツかったので、恒星と銀河の見分けがつきにくかったのもあるかと思います。

最後に、オリオンが沈みかけるところです。右のほうが赤カブリになっていますが、それでもよく見るとエンゼルフィッシュ、辛うじてですが写ってますよね!

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まとめ

まだハロの件など克服すべき課題も多い(2020/2/5追記: 猫目ハロは解決しました。新型QBPが問題ではなく、カメラレンズが問題でした。)ですが、QBPと明るい広角レンズを用いることで、

光害地で、導入いらず、
リアルタイムにかなり近い、超お手軽な星雲星団観察

が可能だというのは特筆すべきことだと思います。一番最初にHUQさんが見せてくれてα7Sでの電視観望に近いかもしれません。α7Sの凄いセンサー感度にSharpCapとQBPで頑張って迫っているという感じでしょうか。

ちなみにこの50mm/f1.4レンズ、古くても標準レンズだったこともあり、今でも中古カメラ店やヤフオクで格安で普通に手に入れることができます。私は名古屋のコメ兵で5-6千円くらいだったと思います。

レンズは安くてもやはりASI294MCがまだ高いですかね。そこはASI385MCとかに代えて節約するという手もあります。

キットの望遠レンズを使った電子観望
も以前試しましたが、



広角、QBPが違う点になります。今回のこの手法も同様に、導入のための機器もいらないのと、さらに広角レンズを使っているために導入スキルも必要ありません。なので、相当手軽かと思います。

自由に空を見て星雲を探すインパクトは相当なものなのですが、今回のブログでそれが伝わったかどうか?比較的楽なセットアップだと思いますので、これまで電視観望を試したことがない人も、よかったら試してみてください。




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