古スコ電視観望シリーズ、スーパーチビテレに続き、今回胎内で手に入れたファミスコで電視観望を試してみました。

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昔のプラスチック鏡筒なりの問題点もわかりました。
  • まず、前回対物レンズからCMOSカメラまでの距離が足りなかったので合焦しなかった件ですが、手持ちの機材を漁ったらT2の延長筒を発見しました。どこで手に入れたのか全く記憶にないのですが、もしかしたら一番最初のBKP200の付属品かもしれません。これを鏡筒とカメラの間に入れることで合焦するようになりました。
  • CMOSカメラの取り付けはT2ねじなのですが、回転位置を調整することができません。ネジ山の切り方で締め付けた時の位置が決まってしまいます。
  • 基本的にプラスチックなので、ネジをあまり強く締めることができません。アルカスイス互換プレートをつけましたが、一応金属の雌ネジが埋め込まれてるようですが、少し怖いのであまり強く締め付けませんでした。アルカプレートをつける位置が随分と対物レンズから離れているため、重心バランスが取れずに対物側が重くなってしまい、ネジをきつく締めていないこともあり、頭が垂れていってしまいました。ネジをもう少し締めてなんとか固定しましたが、やはりちょっと怖いです。
  • ピントは指摘されている通りものすごく合わせにくいです。鏡筒の対物レンズ側を回転させて伸び縮みさせるのですが、なめらかではないのでなかなか思った位置に止めることができず、微調整が難しいです。

ファミスコは最近稼働率が高いAZ-GTiにマウントしています。今日は最近はまっていた赤道儀モードと違って、電視観望なので簡単に経緯台モードでの稼働です。ファームウェアを赤道儀も対応するものに書き換えたので、経緯台モードでは鏡筒の向きが以前と前後逆になって、AZ-GTiがL字に見える方向から見て、手前側が対物側、奥側が接眼側になります。

さてこんな状態で、期待しながらまずは月を見てみます。鏡筒はプラスチックでもレンズは期待できるはずです。

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赤い鏡筒にはZWOの赤カンがよく似合います。

あれ?なんか画面が眠いぞ。もっとはっきりしてくれてもいいはずなのに。

さらにM57。ナンジャコリャ、全然星が点にならない。四隅どころか、画面のど真ん中でもぜんぶの星が十字型です。

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あれ、確かファミスコって値段や作りの割に、見え味はそこそこという評判だったのでは?
  • ファミスコは確かハレー彗星の年なので、1986年くらいのはず。スーパーチビテレは記録によると1980年発売。設計はファミスコ の方が新しい。
  • 値段はスーパーチビテレが 広告の値段で36800円とか。ファミスコが1万円程度とか、6千円くらいだったとか、特価で3千円だったとかなので、値段だけ見たらスーパーチビテレの方がはるかに高級機です。
  • スーパーチビテレの方が短焦点なので多少不利か?
と色々考えると、もう少しファミスコが検討してくれても良さそうです。スーパーチビテレも四隅は厳しかったのですが、中心はまだはるかにマシでした。結果としてはスーバーチビテレの方が圧勝です。もしかしてこのファミスコ単体の問題なのでしょうか?

少しだけ検証すると、今回見えたのは内外像で星像が縦方向から横方向に伸びていく様子で、非点収差の典型だと思われます。非点収差の原因はレンズのそのものか、レンズに無理に力を加えて固定しているために歪んでしまっていることが原因のようです。前者は手が出ないのですが、後者は少し手を出す余地がありそうです。そうは言ってもファミスコの対物レンズは完全にプラスチック部分に接着されてしまっているので、分解するためには鏡筒部を一部破壊するしかないようです。何かいい手はないものか?もう少し考えてみます。


今回、私にとってある意味伝説のような2機種を見て比較することはできました。でも色々考えされられました。単に古いものへの憧れだけで、安易にスーパーチビテレとファミスコを手に入れて、念願だった実際の星を覗きましたが、昔の人たちは本当に苦労していたのだと。いい機材を心底切望していた気持ちがよくわかった気がします。いかに、現代のごくごく普通の入門機でさえも、きちんと星が星として見えるようになったのかを実感できます。

もちろんあの時代にもきちんと見える鏡筒は存在したと思います。でも当時の多くの天文少年にとって、それらは本当に高嶺の花だったことでしょう。時代の進歩は素晴らしいと思います。技術がきちんと一般化していって、普通の人が、普通に星を見ることができる望遠鏡を、無理することない価格で手に入れることができます。

昔の郷愁に想いを馳せて、技術の進んだ現代に生きていることを感謝して、また空を見ていこうと思います。