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天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > CGEM II

light_BINNING_1_integration_DBE_min_color_stretch_ps_cut
富山県富山市伏木, 2018年5月15日22時28分-5月16日1時52分
FS-60CB + flattner + CGEM II赤道儀
EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出3分x60枚 総露出180分
PixInsight、Photoshop CCで画像処理


先週末に撮影したアンタレス付近ですが、強風と赤道儀のガタにより星像がぶれてしまって使い物になる枚数が限られてしまったため、今回は長時間露光でのリベンジです。今回は新月期最後の晴れということもあり、平日にもかかわらず珍しく夜中の出撃です。場所は前回と同じ、自宅から20分くらいの富山と岐阜の県境のあたりです。


前回問題だったAdvanced VX (AVX)ですが、やはり赤経方向にガタがありました。簡易分解しただけでは原因はわからなくて、どうやらウォームホールあたりでカタカタします。上下方向や前後方向にガタは全くなく、回転方向のみのようで、クランプを十分締め付けても存在するようなガタです。バックラッシュなどのギヤのところではないようで、これ以上の調査は全分解に近いものが必要になりそうで、一旦は保留としました。おそらく風が強くなければ十分実用かとは思いますが、やはり心配なので、今回は新導入したCGEM IIでの出撃です。

AVXは車で運べるように、いつもきっちりプラスチックケースに入れてトランクに効率よく入るようにしてあるのですが、CGEM IIは大きいこともありまだ運搬の用意ができていなくて、玄関に組み上げて置いてあったものを三脚と赤道儀部だけ外して、後部座席にそのままポンと置いて積むだけでした。でもこの手抜きの運搬方法が意外に便利だということがわかりました。AVXはきちんとケースに入れるために、ウェイトバー、水平移動押しネジ、コントローラー台、コントローラーと、かなりの部品を毎回取り付け、取り外さなくてはいけません。何だかんだで、取り付けも取り外しも10分くらいはかかっているので、合計20分くらい損しています。さらに今回は三脚も押上げプレートを緩めるだけで外さずに後部座席の床にポイと置いただけなので、それも合わせたら、きちんと計っていたわけではないですが30分くらい実質得している気がします。実際の手を動かす手間も圧倒的に少ないのでずいぶん楽です。今度から遠征も二人までならできるだけ手間を省いて後部座席を活用しようと思います。

さて、CGEM IIの初の撮影への実戦投入になったのですが、まず驚いたことが安定度がこれまでのAVXと別物のように違うことです。AVXも普通に使うぶんには十分に安定です。それでもまずAVXのときはピリオディックモーションが避けられないので3分以上の露光ではガイドが必須でしたが、今回はノータッチガイドで焦点距離370mmで3分間、全く余裕でもちます。星像も完全にまん丸です。なので今回はガイドなしで行くことにしました。実は今回も風が相当強く、前回と同じか少し弱いくらいだったのですが、こんな風で大丈夫なのかというくらい星像が乱れませんでした。最初の頃はまだ風が弱く、最後撤収時には相当な風になっていました。それでも星像の肥大や偏心など画像を拡大しても目で見る限り差は感じられませんでした。

結局この日は強風にもかかわらず、安定して3分60枚を撮影したところで終了しました。平日の出撃でしたが意外なことに、車の中で3時間くらい眠ることができたので、次の日の仕事にはほとんど支障がありませんでした。自宅から20分という便利さも効いていたのかと思います。

さて、ここから画像をチェックしていきますが、2つの問題があることがわかりました。まず一つは、透明度が5月11日の方が圧倒的に良かったこと。撮って出し画像を比べればすぐにわかります。

GOOD_ANT_LIGHT_6D_180s_3200_+15cc_20180321-23h55m31s178ms
5月11日、透明度が良かった時



ANT_LIGHT_6D_180s_3200_+25cc_20180515-23h59m58s810ms
5月15日、透明度はイマイチでした。

赤道儀が違うだけのほぼ同じ条件ですが、前回の5月11日の方は最初から色が出ている一方、今回の5月15日のは撮って出しレベルでは全然色が出ていないことがわかります。前回が特別良かったのか、今回がたまたま悪かったのかまだよくわかりませんが、確かに星の数も天の川の濃さも前回の方がすごかったので、今回は晴れてはいたけれども少し霞みがかったような状況だったのかと思います。ちなみに、昼間見る立山の見え具合も比例して5月11日がよく、5月15日はイマイチだったので、昼間である程度の夜の透明度の予測はできそうです。

もう一つの問題点は、3時間という長時間露光なのでまたもや縞ノイズが出てしまったことです。前回のASI294MCの結論としては、ホットピクセルが多いので縞ノイズが出たということでしたが、6Dもやはり3時間クラスになると縞ノイズは盛大に出るようです。前回のAVXの時はガイドもやっていたのでついでにDitherもしていたのですが、今回赤道儀の安定性に頼ってしまいガイドをしなかったことが裏目に出たようです。ガイドなしで、BackYardEOS(BYE)単体でDitherができるのならASCOM経由でBYEとCGEM IIをつないでしまえばいいのですが、ここら辺はまだよくわかっていないのでまた調べてみようと思います。

light_BINNING_1_integration_DBE_shima
縞ノイズが盛大に出ています。 

いずれにせよ縞ノイズが出た場合はPixInsightの魔法のオプションで多少軽減できますが、やはりそれでも結構残ってしまうようでが、最初よりはかなりマシです。その際、Cool pixelの跡が残ってしまう問題がありましたが、

integration_DBE_cooltrajectory
縞ノイズは軽減されましたが、Cool pixelの跡がいくつも残ってしまっています。

integration_DBE_cooltrajectory_up
上の拡大図です。黒い筋がいくつも見えます。


このような時には、ImageIntegration時のオプションで消すことができることがわかりました。

Pixel Rejection(1)
  • Min/Maxをチェック
  • No normalizationを選択

Pixel Rejection(2)
  • Min/Max lowを5に

IMG_4550

のようなオプションにしたら、下の画像のようにCool pixel跡も無くすことができました。ただしこれはバッチ処理ではできないので、別個最後にやり直す必要があります。

light_BINNING_1_integration_DBE_min_color_shima2
縞も軽減され、Cool pixesの傷跡も無くなっています。


この状態で最後まで仕上げたものが一番上の画像になります。PixInsight(PI)の操作もすっかり慣れてきてストレッチまではPIで簡単に済ますことができるようになりました。前回も今回も撮影時に余分な時間があまりなかったので、フラットを取ることができませんでした。仕方ないので自宅でPCの液晶画面に、撮影時のカラーバランスがそこそこ再現できるように適当に色を出して、ISO100、1/20秒で多数枚撮影してPixInsightに放り込みました。前回作ったbiasもそうですが今回のflatも一度作ると同じ機材で撮っている限りISO、露光時間に限らず使い回しができるので便利です。というのも、PixInsightのDBE (DynamicBackgroundExtraction)機能がものすごく秀逸で、多少のカブリは物ともせずに除去してくれます。ただし、フラット補正を何もせずにDBEだけでは4隅に少し暗いところが残ってしまうなど、不十分なところが残りますが、これとて少しトリミングしたら十分見られるくらいにはなってしまいます。

PIが終わったら、あとはPhotoShopの出番です。いつも通り星雲を少しづつ炙り出していきます。この際いつも悩むのが、背景のボツボツです。緑が目立ちますが、青や赤の成分もあります。カラーノイズ除去などをしても、ある程度は軽減されますが色の波のようなものが残ってしまいます。滑らかなホワイトバランスが取れた背景を目指しますが、星雲とかの色を炙り出そうとするとどうしてもこのぼつぼつが目立ってきます。撮影時にコントラストよく星雲など撮れてればいいのですが、よほど空が暗くないところ以外どうしても付いてまわる問題なのでしょう。やはり撮影時にフィルターを使うのが解決策の一つなんでしょうか。何かいい方法はないものなのか、いつも悩むところです。

さて、今回処理したものと、前回の5月11日の画像を比較評価してみます。機材などの条件はほぼ同じ、透明度は前回のほうがいい、撮影時間は今回の方が3倍強です。結果はそれほど変わらないか、かろうじて今回の方がいいくらいでしょうか。でも縞ノイズでの悪化を差っ引いたらまあ等価くらいかと。3倍強の時間をかけても同じくらいということは、透明度が思ったよりかなり効いているということです。次回は透明度の高い新月期で、CGEM IIでDitherまでやってのリベンジを目指すことになりそうですが、果たしていつのことになるのか、今年中にチャンスは訪れるのか。

週末の金曜日、晴れているので新規投入のCGEM IIのテストです。

やはり重い。中型赤道儀の部類に入ってくるのですが、こんなもんなんでしょう。重いです。バッテリーはもちろんですが、追加ウェイトも結局AVXのものをそのまま使うことができました。

ここにMEADEの口径25cmのシュミットカセグレン式のLX200-25を載せます。これまた重い。今まで軽かったのがいかに楽だったかを思い知らされます。

IMG_4346


バッテリーに電源ケーブルをつないで電源オン。モーターの動きもスムーズで特におかしなところはなさそうです。今日は月が出ているので、とりあえず簡単にソーラーアラインメントで月のみで初期アラインメントをとってみましたが、こちらも問題ないです。大口径で見る月はそれはそれは明るくて、眩しいくらいでした。次に木星を見ました。星が瞬いているので、シンチレーションは良くないですが、すでに副鏡もそこそこ調整されていて、特にボケることもなく木星の縞も見ることができます。

さて、問題はここからです。もう一度月を導入してから、例のオプティカルエンコーダーを試そうとクラッチを緩めて適当なところに持って行き、再び月を導入したのですが、全然実際の月のところまでいきません。あれっ?と思い、「MENU」ボタンを押してユーティリティーから「Get Axix Position」を選んで見てみると、コントローラーのボタンで方向を変えた時はきちんとリアルタイムで表示位置が変わるのに対し、クラッチを緩めて移動した時は全然表示位置は変わりません。これはエンコーダーと連動していないことを示します。

その後色々調べると「光エンコーダー」とは書いてあるのですが、「デュアルエンコーダー」とは一言も書いていないんですよね。検索で引っかかったのは2chの投稿で、CGEM IIでもクラッチを緩めて動かしてもまた元に戻る「はずだ」というようなことが書いてあったので信じていたのですが、どうやらこれは間違いのようです。

決め手はCludy Nightの投稿で、そもそもCGEMからのアップデートは
  • ハンドコントローラーがUSBポートになった
  • クラッチハンドルが長くなった
  • 三脚にインデックスマークがついた
  • アリミゾがビクセンとロスマンディーの両対応になった
ということだけだと書いています。そこに追加で

These are not the axis encoders you hear about that allow you to move the scope by hand, yet continue to know where it is pointing.

と書いてありました。どうやらEQ8とかにあるようなエンコーダーのようにはならないようです。

うーんこれは紛らわしいですね。光エンコーダーというと、普通は別の独立エンコーダーで、回転情報を保持していると思ってしまいますよ。これからCGEM IIを購入される方は、後悔しないようにこの点注意してください。

誤解されないように書いておきますが、CGEM IIには「エンコーダー」はついていてその役割はきちんと果たします。でもAVXにも「光」ではないですが、モーター部にエンコーダーはついていますし、これまでも自動導入などで恩恵を受けてきました。例えば、バランスが悪くてモーター途中でカックンとかなっても、エンコーダーが情報を保っているので、スリップさえしなければ何度か導入することで目的のところまで持っていってくれます。でも、読み出しが「光」になっても、本質的にはモーター部のエンコーダーと同じことで、もう一つ独立に回転軸を直接読むようなエンコーダーがない限り、クラッチを緩めて位置を保っているということはできません。

もしデュアルエンコーダーがついていてクラッチフリーで情報を保持する赤道儀が欲しい場合は、現行ではEQ8とスカイウォッチャーのAZ-EQ5GTくらいなのでしょうか。もう少し選択肢があればいいのにと思います。

一番期待していたところが期待外れでしたが、それ以外の機能は特に不満はないです。値段的にも(多分普通にCGEMを買うよりも)安く買えたので、まあよしとします。

あ、あとハンドコントローラーは相当良くなっていました。文字の解像度が上がって読みやすいし、ボタンは押しやすいし、USB接続はまだ試していませんがRS232Cの代わりになるようなのでケーブルも少なくできそうです。ここら辺は「新機種」の恩恵ですね。AVXからの機能アップとしては「パーマネント」のPECがあります。こちらもいずれ試してみます。


手持ちのAdvanced VX分断事件の修理後、多少不安に思いつつも使っていたのですが、ついに新しい赤道儀を購入してしまいました。選んだのはCelestronのCGEM IIです。ブログの中やコメントでもちょくちょく「CGEM II欲しいと」言っていたのですが、特価品が出ていたのでついつい勢いで購入してしまいました。機種選定は実は結構長い間悩んでいたので、ここで選んだ理由をまとめておくと、


1. まず動機ですが、火星最接近を控えた惑星シーズンに際し、MEADEの25cmシュミカセ(実測13kg)をなんとか早く稼動させたいというのがありました。今の手持ちのAdvanced VXの搭載可能重量は13kgなので本当にギリギリ、しかも一度、二つに分断されているので重いものはちょっと怖い。

2. 大きな重い赤道儀は稼動率が下がるため、極端に大きいのは避ける。この時点で
  • タカハシのEM-200 (オリジナルは1989年、搭載可能重量16kg、精度も良くかなり頑丈、ステッピングモーター、実売47万円位)
  • ケンコーのEQ-6PRO(2012年発売、搭載可能重量17kg、ステッピングモーター、実売25万円位)
  • Sky-WatcherのEQ6R(2016年発売、搭載可能重量20kg、ステッピングモーター、実売22万円位)
  • iOptronのiEQ45Pro (2014年発売、搭載可能重量20kg、ステッピングモーター、実売27万円位)
  • CelestronのCGEM (2009年発売、搭載可能重量18kg、DCモーター実売20万円位、在庫なし)
  • CelestronのCGEM II (2017年発売、搭載可能重量18kg、DCモーターデュアルエンコーダー(追記: 間違いでした、「光」エンコーダーですがデュアルではないです)、実売25万円位)
などが候補です。ちなみに(個人的に)グリーンはメリット、赤はデメリットと思う点。他にもフリーストップが特徴のロスマンディーのGM811GHDもいいなと思いましたが、こちらは予算オーバーです。

3. 新しいデザインの方が色々良くなっているだろうという期待から、EQ6RとCGEM IIが候補。中古でいいならEM-200もありですが、新品だと流石に予算オーバー。マニュアル導入の腕のない私には自動導入は必須なので、EM-200でもTemmaはあった方がいいが、これだと中古でも高価。同じく中古などで安いならCGEMやEQ-6PROもありかと。

4. ステッピングモーターは少し惜しいですが、AVXでDCモーターでそれほど不満はなかったこと。ちなみにロスマンディーもDCモーターのようです。

5. 今のAVXもエンコーダーはついているが、それに加えてオプティカルエンコーダーの威力を実際に試してみたい。ここで一気に絞られCGEM IIに決定です。でも将来オプティカルエンコーダーという理由でEQ8を見据えるなら、いまのうちからEQ6Rという手もあるのですが、将来よりも今のオプティカルエンコーダーを選びました。う(テストでデュアルエンコーダーではないことに気づきました。クラッチを緩めてしまうと位置情報は保持されなくなるので、これまでのAVXでついていたモーター部のエンコーダーと本質的には同じです。)

6. 同じCelestron系だと、これまで構築したソフトなどをそのまま使えるというのもあります。

7. 実はこれがいちばんの理由なのですが、予算がそれほどあるわけではないので、CP+展示品で特価だったことがホントの決め手になりました。



太陽も落ち着いてきて、やっと少し時間もできたのでCGEM IIを開封して組み立ててみました。雨の日なので外に出すわけにもいかず、部屋の中での組み立てです。その際の感想です。

IMG_4342

  • まず最初に思ったことが「重い」。AVXより多少重いくらいだろうと思っていましたが、重さは想像以上でした。車で持って行って外で組み立てるのが億劫になる重さです。組み立てておいて玄関から外へだけの移動の、自宅稼動に限るかもしれません。 
  • あたりまえですが、作りがAVXに比べてかなり頑丈です。クランプひとつ取っても不安感がありません。
  • 三脚の脚の部分がが思ったより開いている(気のせいかも)?脚が太いのもあってか、ぱっと見AVXより相当安定な気がします。AVX三脚も決して不安定ではないですよ。でもそれにも増してという感じです。
  • ウェイトが一つしかついていないので、買い足す必要があるかもしれませんが、AVXのが使えたら使い回しするかもしれません。
  • バッテリーと極軸望遠鏡も使い回しできそうです。極軸望遠鏡はSharpCapを使った電子極望で十分なのでそもそも必要ないかもしれないくらいです。
  • 三脚に水準器がついているのがいいです。AVXは何もついていないので自分で後付けしました。

さて、晴れた時に実際に25cmのシュミカセを乗せて試してみたいと思います。


その2 テストに続きます。
 

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