ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > PST

とうとうP.S.T.用の秘密兵器がオーストリアから到着しました。

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分解したP.S.Tのエタロン部の先に妙な筒がついています。
これが今回の秘密兵器です。

P.S.T.は太陽のHα機器としては非常に廉価なのですが、口径わずか40mmと小さいために分解能があまり良くなく、ドーズ限界で考えると3秒ほどにもなってしまいます。P.S.T.の焦点距離が400mmで5倍のバローレンズなんかをつけてしまうと合成焦点距離が2000mmとかになってしまい、例えば今使っているASI178MCは1/1.8インチサイズで3096x2080画素なので、一素子あたりの画角を計算すると0.24秒ほどになります。口径からくる分解限界が、センサーの画素の12.5ドット分にもなってしまうので、やはりもう少し口径を大きくしてカメラの方の分解能を活かしたくなります。ちなみに、分解能は動画の多数枚スタックで緩和されると思うのですが、枚数のルートで良くなっていくと考えてもいいのでしょうか?ここら辺の理論限界の話をあまり聞いたことが無いので、いつかまた考えてみたいと思います。

日本ではP.S.T.の改造は「庭先天体写真家?」さんや、「星への誘い」さんなど、検索すると数例がヒットしますがそれ以外はほとんど見つかりません。それでも海外ではこの手の改造はもっと盛んなようで、P.S.T.の改造はStage1とかStage2とか段階を踏んで名前がつけられていますが、口径を大きくしようとすると必ず突き当たる問題があります。エタロン部の先のネジがM50で、それを例えば2インチサイズになんとか変換して鏡筒の2インチの接眼部に取り付けるなどの必要があります。このM50から2インチの変換が大変で、改造したい場合は大方の場合特注で部品を作られているようです。特注は大変そうなので、がんばって色々探していると、世界で唯一オーストリアの天文ショップがこんなPSTの改造が前提という摩訶不思議な変換アダプターを、なんと在庫ありで置いていることがわかりました。「PST-50」という型番なのですが、結構よくある型番みたいで、Googleでこれを検索しても他のものばかり出てきてなかなかヒットしません。これを見つけたときは海外にもかかわらず早速注文してしまいました。

面白いのがここからです。発注後店長さんからメールが届いて、なんと奥様が日本人だということで、たまたま日本に帰る機会があるから、ちょっとだけ待てるなら送料が安くなるので日本に着いた時に送ってあげるよとメールが来たのです。普通だとオーストリアからの輸送は意外に費用がかかって、55ユーロの部品に35ユーロの送料がかかるみたいです。迷わず待つ方を選び日本からの送付をお願いし、今度は奥様とのメールのやり取りが始まりました。その過程でわかったのですが、なんとこの店長さんはあの有名なガイドシステム「M-GEN」の開発者だったのです。M-GENは天体写真を撮ろうとする人は一度は検討する、日本で今最も有名なガイド機材で、KYOEIさんが販売を手掛けています。ちょうど今月5月号の天文ガイドでもM-GENの詳しい解説がされていました。

とにかくこの時点で、さすがに世界で何人が必要とするかわからないアダプターをなぜ製作販売するのか、やっと理由がわかりました。本人が筋金入りのマニアで、しかも技術も才能も十分にあるショップなのです。ちなみにM-GENはLACERTA M-GENと呼ばれたりもしていますが、LACERTAとは、店長の名前と、トカゲ座(lacerta)を重複させた意味の会社名だそうです。メールのやり取りの途中で色々と話が合うところもあり、店長と奥様と結局25通ほどもやりとりしてしまい、ショップで作っている数々のオリジナルグッズからいくつかサンプルを送るので、日本でも紹介してほしいと、そんな運びになってしまいました。

届いた箱を開けてみてびっくり。予想もしていなかったものがめちゃくちゃ大量に入っています。もともと欲しかったのはPSTの2インチへの変換アダプターPST-50のみ。そのほかは全部オリジナル商品のサンプルで、順に行くと

1. まずはももともと頼んでいたPST-50。

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これをP.S.T.のエタロン部の先に取り付けると、2インチ径になるために、2インチのアイピースが取り付けることのできる鏡筒に接続することができます。実際に取り付けた写真がこのページのトップのもので、前回までは大口径化のテストとして80mmの鏡筒の接眼部をまるまる外し、下にアリガタを取り付けて無理やりくっつけていたのですが、これでやっとF値の違いや光軸合わせも心配せずに取り付けることができます。

今週末は雨のようなので、次回晴れて時間が取れるときに試したいと思います。今からものすごく楽しみです。


2. LACERTAロゴが入っている、赤いLEDが先に埋め込まれたキャップ。写真で光っているのがわかりますでしょうか?これは下のSukeがすぐに持って行ってしまいました。来年の星まつりにかぶっていくそうです。

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3. ワインボトルです。

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と言うのは嘘で、実は星座がプリントされた折り畳み傘。これは娘のNatsuが傘がちょうど欲しかったと言って持っていってしまいました。

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4. 太陽関係で、太陽用のファインダーも入れてくれていました。PSTを大口径改造するとファインダーの光の取り入れ口が影になってしまい、PST付属のファインダーが使えなくなってしまうので、これは素直に嬉しかったです。太陽ファインダーはTelevueのSol-SearcherとCORONADOのSol Rangerがメジャーですが、日本で入手しやすいのはSol-Searcherの方だけだったりします。これも日本で発売されると嬉しい方も多いと思うのですが。

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試しにSkyWatcherのBKP200取り付けてみました。特に問題なくハマるようです。

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5. 次のは今まであるようでなかった商品かと。潜望鏡タイプの小さな望遠鏡のようで、倍率を1.25倍と2.5倍に変えることができます。一見下側の穴にアイピースを取り付けられるようですが、微妙に径が合わなくてアイピースは入りません。

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最初何に使うかよくわかりませんでしたが、ここを見てやっとわかりました。極軸望遠鏡に取り付けて、無理な体勢で見なくてむ拡大鏡です。うちのセレストロンのAVXに付いているCG-5にはそのまま取り付けることができました。これはもしかすると意外なほど便利かもしれません。

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6. あと、これがどうしてもわかりません。Remote Shutter Relese Quadrublicateと書いてあるので、連動してシャッターをどうにかするようなスイッチか何かみたいなのですが、どなたかわかる方いますでしょうか?

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7. 最後にモーツァルトチョコレート。家族みんなでいただきました。

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8. あと、一緒にショップのカタログも入っていたのですが、多分オーストリアなのでドイツ語なのでしょうか、全然読めないので写真や図から色々想像を巡らします。実は海外ショップのカタログってこれまでみたことがなく、このカタログが今回送ってもらったものの中でなぜか一番面白かったです。SkyWatcherとかタカハシとかCelestronなど、日本でおなじみのメーカーのものも載っているので大体はわかるのですが、オリジナル商品もたくさんあり、こちらは結構本気で推理しないとどんなものかなかなかわかりません。

USBで接続できる電動フォーカサーシステムのようです。M-GENのようなオリジナル開発で、カタログの中ではM-GENと並んで大きく取り扱ってありました。

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こちらもLACERTAオリジナル開発のニュートン反射のようです。店長とのメールのやり取りの中でいつかこのFoto-Newtonを香川の天体望遠鏡博物館に入れたいと書いてありました。

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200kgの重さを乗せてもビクともしないLACERTAブランドの木製三脚が左下に載っています。右のページは未だに何かよくわかっていません。

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子どもの頃英語のパンフレットで、読めもしないのに想像を巡らしていたことを思い出してしまいました。ちなみに、M-GENのカタログも入っていて、こちらは英語だったので、ドイツ語?よりもはるかにすらすら読めるような気がして、なんだか不思議な気分でした。


オリジナルで、痛いところをつく非常に有用な開発を進めるLACERTAですが、今回ふとした縁から、色々話が発展しました。実はKYOEIの方ともお話ができて、M-GENの取り扱い時についても少し話をお聞きすることができました。その当時オーストリアまで交渉に行って自宅にまで招かれたそうです。LACERTAの店長さんはもちろん日本のこともよく知っていて、前回行った香川の天体望遠鏡博物館の話をしたら、是非とも次回日本に行く際には寄ってみたいとのことでした。こうやって少しずつ人の輪が広がっていくことも天文趣味の醍醐味かと思います。
 

続き P.S.T. (その14): 今回のPST-50を使ってみました。
果たしてその結果は? 

前日tilt mountによってニュートンリングが消えたので、晴れて日曜日、改めて撮影をして見ました。まずはtilt mountの結果が効いてくるバローレンズで撮影してのプロミネンスの撮影です。


2018-03-25-0116_8_lapl4_a_red1_ImPPG_cut
富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface (2018/3/25 10時16分 ): : Shutter 25ms, gain 300, 400/500 frames
Prominence (2018/3/25 10時6分 ): Shutter 100ms, gain 380, 240/300 frames
Autostakkert3 + ImPPG(surface) or Registax(prominence) + Photoshop CCで画像処理

でもこれ奇跡の一枚かもしれません。実はこのあと口径80mmでも撮影したのですが、なぜか口径40mmの上の写真の方が圧倒的に解像度が高いのです。画像処理をして初めてこれだけの解像度にびっくりしたのですが、まだこれがコンスタントに出せるわけではありません。あと反省点として、少しまだセンサー面にゴミが残っていて、黒点のように見えてしまっているところがあります。フラットを撮って補正した方がいいかもしれません。

なぜ80mmで解像度が落ちたのか? 思い当たるのは80mmでエタロンの調整を変えたか、ピントがずれていたかです。エタロンの調整は本当に難しいです。画像処理をするまでは、PCの画面で見ている限りほとんど差は分かりません。あえていうなら一度モノクロで表示すると模様がわかりやすくていいです。やはりモノクロのCMOSカメラが必要な気がしてきました。でも40mmでまだこれくらいのポテンシャルがあることがわかったので、80mmでもっとマシな画像が撮れる期待が持てます。

あとはフルサイズの太陽です。こちらは口径80mmでの撮影です。

2018-03-25-0304_2_lapl4_a_ImPPGtif
富山県富山市
P.S.T.(口径80mmに改造) + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface (2018/3/25 12時3分 ): : Shutter 50ms, gain 220, 400/500 frames
Prominence (2018/3/25 12時4分 ): Shutter 25ms, gain 50, 400/500 frames
Autostakkert3 + ImPPG(surface) or Registax(prominence) + Photoshop CCで画像処理

今回の画像処理では光球面にImPPGというソフトを使ってみました。Registaxの代わりですが、以前の画像処理の記事でRegistaxだとイマイチ強調しすぎてギトギトするとか書いたのですが、このImPPGは適度に細かいところを強調してくれて、結果がくどすぎず、なおかつ操作は簡単で、結構いいです。


今回は40mmの結果に驚いたのですが、まずはこれをコンスタントに出す方法を見つけようと思います。



続き P.S.T. (その13): 魔改造の秘密兵器PST-50到着
 

バローレンズを使い太陽を拡大して撮影すると、干渉縞のようなシマシマが出てくるということに悩んでいたのですが、HBさんのコメントからニュートンリングであると判明し、カメラ側を傾ければ解決することが示唆されました。

少しまとめておくと
  1. バローレンズなどを使い拡大して撮影しようとすると、焦点距離を長くすることに等価なので、F値の大きな光学系になってしまいます。
  2. F値が小さいということは焦点距離に対して相対的に口径が大きいために、いろいろな方向から光がやってきます。
  3. 逆にF値が大きいということは相対的に焦点距離に対して相対的に口径が小さいということになり、光は光軸中心付近だけの限られた方向から来ることになります。そのために、カメラ付近に汚れなどがあると、一方向から来る光に照らされて汚れがセンサー面に影を落とします。
  4. これがバローで拡大して撮影するとゴミが目立つ理由で、一眼レフカメラではわざと絞りを絞ってF値を高くした状態で汚れを目立たせてから、センサークリーニングをするようです。
  5. ニュートンリングは一般的に平行に近い2つの平面に垂直に単色光(今回はHαなので単色光に近いはず)を入れて、その入射軸と同じ方向から見ると見えます。
  6. ニュートンリングが今回見えたこともゴミが目立つことと同じ理由です。そもそもセンサー面と、センサー付近の平行に近い面、例えば保護板やフィルターなどで、干渉縞ができるのですが、F値が低いといろんな方向からの光で拡散されて見えなくなっているだけで、F値が大きくなると一方向からの光で照らされるのでニュートンリングも目立って見えるようになります。
とまあ、こんなわけだということがやっと理解できてきました。これを解決するためにはニュートンリングが表れる条件を崩してやればいいわけです。なので、センサーを少し傾けて取り付け見ている方向を変えてやれば消えるはずだというのが理屈です。

今回手に入れたTilt mountはASI製のもので、取り付けると下の写真のようになります。傾ける時のネジの長さが3mm位、ネジとネジの間の距離が5cmくらいなので、3/50 * 180/pi ~3.5度くらいまで傾けることができそうです。

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カメラの下についているのがTilt mountです。
少し傾いているのがわかると思います。



その際に、傾けることにより焦点がずれるのではないかという心配もありますが、センサーサイズがASI178MCの場合1/1.8インチなので、長編で14mm程度。これを最大3.5度傾けた時、焦点距離のずれで0.84mm程度のずれとなります。ずれの許容範囲はDavid Cortner氏のThe slow blogによると、The New CCD Astronomyという本のp39に、問題になるくらいの焦点距離の位置の誤差が

f^2 * 2.2 [um]

で表されると書いてあって、例えば今回焦点距離400mm、口径40mmのF10のP.S.T.に5倍のバローをつけるとF50と等価なので

50^2 * 2.2 = 5500[um] =5.5[mm]

となるので、0.84mmに比べて十分大きいため許容できることになります。今回はP.S.T.を改造して口径80mmとかにしているので、一番小さくなることを考えると、Fが5とかになり、3倍のバローで見たときに、

15^2 * 2.2 = 495[um] =0.495[mm]

とかになるので、上の0.84mmは問題になってくるかもしれません。その場合は傾きの角度をもう少し小さくすればいいのかと思います。

さて、今回のtilt mountをつけた場合と、つけない場合の比較です。2018/3/24に試しました。

2018-03-24-0205_9_lapl4_ap1059_conv
P.S.T.に5倍バローをつけて撮影。センサー面の傾き無し。
ニュートンリングが見えています。
ボケているのはスタックしただけで、Wavelet変換などまでしていないからです。


2018-03-24-0211_9_lapl4_ap1154_conv
同様にP.S.T.に5倍バローをつけて撮影。
Tilt mountをつけてセンサー面を傾けています。
傾けた角度は最大の半分くらいなので1.7度程度。
ニュートンリングが消えているのがわかります。

上の写真を比べると分かりますが明らかに効果ありです。これで拡大しての撮影にも目処がつきました。このあと曇ってしまったので、実際の撮影はまた次の機会です。


あともう一つ、P.S.T.と一緒にジャンクでSolarMax40を手に入れたのですが、どうも当初からほとんど効果が見えないというか、像がおかしくなるので、とうとう分解を試みました。するとエタロン部分が壊れていて、二つの鏡が分離してしまっていることがわかりました。これではさすがに機能しないはずです。


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エタロンの写真です。ガラスの破片のようなスペーサーが見えると思います。
くっついているように見えますが、撮影用にただ置いただけで、二つに別れてしまっています。

まあ、壊れたついでなので色々見ることにしましたが、まずスペーサーですが、適当に割れたかけらのようなスペーサーを周り5箇所と真ん中に一つ配置しています。こんな形でいいのか?と思うのと、あとはどうも接着はオプティカルコンタクトのようでした。オプティカルコンタクトとは、機材表面がある程度以上に平坦になって来ると分子間力が働いてくっつくというものです。機材同士を同様の材質にすることもポイントなのですが、うまくクリーニングができたらまたくっつけることはできるかもしれません。もしくはピエゾ素子を3つ挟んでアラインメントと鏡間の距離を変えるようなものにするか。電圧を屋外で確保する必要があるので、ドライバを作る必要がありそうです。

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右の黒いリングの真ん中に棒が出ていて、
それでエタロンを押すだけのものすごく単純な構造です。

あと、調整リングを回しての波長の調整機構ですが、何の事は無い、真ん中に棒が一本ついていて、リングを回すとその棒が押されてエタロンの中心部分に圧力を加えるだけです。エタロンはP.S.T.付属のものと同じく、スポンジ状のものの上に置かれている状態で、圧で微妙な角度が変わることで、透過波長を調整するだけのようです。コスト削減のためとはいえ、さすがにこれではきちんと調整するのは厳しい気がします。


続き P.S.T. (その12):  3度目の撮影で奇跡の一枚が



 

土曜に引き続き、日曜も朝から晴れているので太陽観測です。今日は昨日出ていなかった小さなプロミネンスが出ています。代わりに昨日大きかったプロミネンスは少し小さくなっています。こうやって日々変わっていくところが太陽の面白いところでしょうか。

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富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface1 (2018/3/4 11時57分 ): : Shutter 10ms, gain 175, 400/500 frames
Surface2 (2018/3/4 11時56分 ): : Shutter 10ms, gain 325, 400/500 frames
Prominence (2018/3/4 11時59分 ): Shutter 20ms, gain 325, 400/500 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理
 
手法は昨日までとほぼ同じです。ただし、太陽らしい色を出すために青と緑のセンサーの情報も使っています。

プロミネンスだけを取り出しても結構見栄えがします。もっと大きなプロミネンスが出た時に写してみたいです。

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さて、今日もう一つ大きなことをしました。手持ちのiOptronの焦点距離400mm、口径80mmの鏡筒にP.S.T.のエタロン部、及び焦点部、フィルター部を取り付けて口径を大きくして撮影してみました。P.S.T. 大口径化計画の初期テストです。焦点距離はP.S.T.と同じですが、うまくいくと口径が2倍になるので分解能も2倍細かく見えるはずです。まだ試しなので、iOptronについていたアイピース側のフォーカサー一式を取り外し、下にプレート置いてそこにiOptronの鏡筒部とP.S.T.のエタロン部より下流側を配置しました。隙間も空いていますがまあ気にしないでおきます。

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P.S.Tに口径80mmのiOptron製の鏡筒部分を取り付けました。


いちばんの問題は、エタロンがF10用に設計されているはずなので、エタロンへの入射光が平行光で無くなるはずで、性能が落ちるなどの無理がくるはずです。さて試して見ると、まず合焦は問題なくします。ただし、ピントを合わせていく過程で像がピントに合わせて拡大、縮小されるようになりました。ノーマルなP.S.T.の時はこんなことはなかったので、F値が変わったことの影響が出たようです。その後、バローも試しましたが、最初対物レンズからエタロンまでの距離が短かったため、合焦しませんでした。対物レンズ-エタロン間の距離を1インチほど長くしてやることで、無事に合焦するようになりました。

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ノーマルP.S.T.と80mm P.S.T.でこの状態で解像度を見るために拡大して撮影してみました。昨日までの5倍とは違って、Celestronの3倍のバローレンズです。Autostakkert3でスタックして、Registax6でWavelet変換しました。Phoroshopなどは使っていません。ニュートンリングが見えているのはとりあえず気にしないでください。

まずはノーマルのP.S.T.の口径40mm。

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ノーマルP.S.T.での撮影。口径40mm。

次に魔改造後の口径80mmでの撮影結果です。

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P.S.T.のエタロン部を口径80mmの鏡筒に取り付けての撮影。



comp
拡大図: 口径40mm(左)と口径80mm(右)。

画像処理もAutoStakkert3, Registax6も全く同じパラメータで処理したので、ある程度きちんと比較できると思います。結果は黒い筋のところを見るのがいちばんわかりやすいですが、明らかに80mmで撮ったほうが分解能が高いです。これは思ったより差が出ました。撮影している最中は外で明るかったせいか、画面上ではほとんど見分けがつかなかったのですが、画像処理をするとさすがに細かい違いがわかります。これはもっとやる価値がありそうです。やはり10cmクラスで、F10付近の鏡筒に取り付けるべきでしょうか。BFの径が5mmなのが気になり出しそうです。いずれにせよこれはもう少しチャレンジしていきたいです。


夜は子供達が集まって観望会。M42をFAMILY800と、SCOPETECHの60mmと、Vixenの初代ポラリス80Lで見比べました。古くてもさすがに口径80mmの初代ポラリスが圧倒的でした。FAMILY800はアイピースがダメなのか、もしくは汚れてしまっているのか、にじんでしまい、どの星を見ても星雲に見えてしまいました。アイピースを変えるだけでもかなりマシになると思います。あと、微動機構をつけたくなります。
 
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その時にSCOPTECH60mmに同じくSCOPETECHが販売しているスマホアダプターをつけてiPhone5で撮った月です。

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鏡像になってしまっていますが、こんなんでも結構取れてしまうので、観望会で手持ちのスマホで撮影というが受けるわけです。

さて、2日連続の太陽撮影に、P.S.T.の改造、夜の観望会と今週も充実した週末でした。


続き P.S.T. (その10): 画像処理の検証をしてみます。
 

土曜日、朝から天気が良かったのでP.S.T.で2度目の撮影です。

基本的には前回の撮影と同じ機材、同じ設定ですが、午前中ずっと晴れていたので結構な時間色々試すことができました。とりあえず撮影結果を示します。

2018-03-03-0225_9_lapl3_ap4589_w4
富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Surface (2018/3/3 11時28分 ): : Shutter 10ms, gain 180, 400/500 frames
Prominence (2018/3/3 11時26分 ): Shutter 20ms, gain 280, 400/500 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


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富山県富山市 2018/3/3 11時1分
P.S.T. + ASI178MC + x5 barlow lens + Advanced VX赤道儀
Shutter 200ms, gain 350, 80/200 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理

表面には黒点?というのでしょうか、暗いフィラメントが2箇所出ています。プロミネンスは大きなものが一つと、その上にすごく小さいのが動物のツノのように2つ対称で出ています。下の写真は大きい方のプロミネンスの拡大です。

太陽表面、プロミネンスともにP.S.T.にCMOSカメラのZWO社のASI178MCを取り付けて撮影しています。カメラをP.S.T.にそのまま取り付けようとするとピントが合わないので、カメラが少し内側に行くようにP.S.T.を多少改造しています。動画を撮影して、それをAutostakkert3でスタックし、Registax6でWavelet変換しています。エタロンの角度を調整して、プロミネンスがよく出る角度と、太陽表面の構造が出る角度が違うのでそれぞれ撮影して合成しています。

プロミネンスを撮影する際は、かなりゲインを上げて暗いところまで映るようにしています。その際太陽表面はサチり気味になっています。太陽表面を撮影するときは、明るすぎるより、多少暗いほうが構造がよく出るようです。特に、明るい外でPCの画面を見ているので、そこで多少暗く見えても十分明るい場合が多いです。30秒でプロミネンスや表面の形が変わることもあるというので、撮影時間は30秒以内に抑えました。ASI178MCだとフルサイズで18fpsくらいが限界なので500フレームで30秒くらいになります。暗くて露光時間が必要な場合はフレームレートが落ちるので、それに合わせて30秒に抑えているのでフレーム数を少なくしています。


前回の最初の撮影はまだウハウハ状態だったので、あまり気にならなかったのですが、2回目になり少し落ち着いくると、多少不満も出てきました。

まず、エタロンの角度調整で、PCの画面上のHα線の出る範囲があまり広くなく、画面の一部に偏って出てしまいます。でもこれは程度問題であって、傾向はこの個体だけではなく、P.S.T.全般に共通なことのようです。見た目で太陽の3-4割の部分が見やすいというのが一般的のようなのですが、私の手持ちのもそれくらいかと思います。

もう少し正確にいうと、太陽表面だけを見ても画面全体で明るさが均一にならないので、画面で見ている限り一部しかHα線からくる構造が見えないのです。でも実際には画像処理をすると構造は出てくるので、見えていないだけのようです。おそらくPCの画面も、人間の目も、似たような色を識別できる範囲はあまり広くなく、P.S.T.に付いているエタロンではその中の範囲に画面全体のHαの構造を抑え込むほど精度は出ていないということが言えるでしょう。

次に、これも上に関連することなのですが、エタロンの最適な調整方法がなかなか見つからないのです。エタロンの角度を変えると、画面の明るさが変わります、明るさが変わるとHαの構造も本来存在するのに見えにくくなります。そのためエタロンの角度を変えるごとにゲインや露光時間を変えたりしながら、どこの角度がいいのかをHαの構造を見ながら決めます。でもゲインや露光時間を変えてもなかなか見やすくならず、最適な角度を割り出すことができません。

そこで今回はSharpCapのヒストグラムの雷ボタンを使うことにしてみました。この雷ボタンは淡い天体を簡易的に見やすくすることができ、PixInsightのSTF(Screen Transfer Function)機能に相当するものです。これだと、ゲインや露光時間を調節するだけよりはかなりマシになりますが、それでも完璧というわけにはいかず、かなり行き来して最適点を探さなくてはなりません。結局のところ、どこが一番いいかがやはりはっきり出ないので、相当迷いながらの撮影になります。

もう一つ、プロミネンスを撮影するときに、拡大するためにバローレンズを使うのですが、センサー表面のほこりなどがなぜか拡大するとすごく目立つのと、ニュートンリングが発生します。惑星の時にもほこりは目立ったのですが、ニュートンリングは記憶にないので太陽のみに出てくるようです。エタロンが影響しているのでしょうか?ここら辺はきちんと解決しないとだめで、今回プロミネンスを撮影した写真にも表面部分にニュートンリングが出ていたので、真っ暗にして見えないようにしています。ちなみに消さないとこんな風になります。

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赤い点はホコリ、いくつかある直線みたいなものは多分汚れ、同心円状のシマシマは干渉縞のようですが原因わからずです。(2018/3/26追記: tilt mountで解決しました。)


それにしても太陽楽しいです。しかも昼なので冬でも寒くない。昨日と今日も夜に星が出ているのですが、満月期ということもあり寒い夜に外に出る気がしません。夜に無理をしないので随分気楽な気がします。でも誰かが言っていましたが、夏は暑いので昼間の太陽撮影は辛いと。冬は温かい昼の太陽、夏は涼しい夜の星がいいのですかね。


さて、P.S.T.の2回目の撮影と画像処理を終えましたが、仕上げの際の明るさや、色合いなどまだどんな感じにすればいいのかよくわかっていません。今回も適当です。おいおい詰めていきたいと思います。


続き その9へ: とうとう魔改造へ踏み出します。
 

これまでP.S.T.を何度かに分けて分解してきましたが、とうとうエタロン部に到達しました。何でこんなに時間がかかったっかというと、エタロン部と真鍮の鏡筒部が全く外れなかったからです。ここを外すだけで約2週間戦いました。

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左の真鍮でできたパイプ部分と、真ん中のエタロン部分が
ものすごく強固にねじ込まれています。

あ、毎度のことですが、分解はくれぐれも自己責任でお願いします。こんな風に分解したら当然メーカー保証は受けられなくなってしまいます。

手で回して全くダメ。潤滑剤を隙間に入れても全くダメ。百円ショップで蓋開け用のゴムの道具を使ってもダメ。結局最後は水道管を回す「ウォーターポンププライヤー」と呼ばれるかなり太いパイプをつかめる道具を鏡筒側とエタロン側に2つ使い、鏡筒とエタロン部に傷をつけないようにゴムのシートを挟んで力一杯回しました。実は最初それでも全く動かなかったので、接着剤でもついているのかと思い(海外の記事ではそう言った記述もありました)、模型用に使うかなり強力な部類の有機溶剤を隙間に流し込み、やっと緩めることができました。 外してからねじ込みのところを見てみても、接着剤が少なくともたっぷりついているような様子はありませんでした。少しだけ緩んだ後はほとんど力を入れなくても手で回せたくらいなので、もしかしたらごく少量の接着剤がついていた可能性が高いと思われます。

いずれにせよやっと外れたので、これで分解とその後の改造を進めることができます。とりあえずエタロン部と鏡筒部の全バラ写真です。

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左上が対物レンズ、その右が真鍮のパイプ、右下が出社レンズ(黄変しているみたいです)、左に向かって外部回転リングとゴムの滑り止め、入射系レンズ、エタロン固定金具、一番左の真ん中がエタロン本体とスポンジ部、その下がエタロンの筐体になります。


エタロン部は入射側から、レンズ、エタロン、レンズという構成になっています。エタロンは平行光で最もうまく働くので、レンズはF10の鏡筒からの光を平行光に変えるようなものが使われているはずです。エタロンをでた平行光は次のf=200mmのレンズで集光されます。これらのレンズを変えることで、適当なF値の鏡筒や、適当な焦点までの距離のフォーカサーなどを使えるようになるものかと思われます。ただし、BFの径が5mmなので、そこの位置にかなりの制限が出ることになるのかと思います。



分解してみるとわかるのですが、 このエタロンの調整機構はなかなか微妙かなと。エタロンの下部にスポンジ状のオレンジ色のリングがくっついて、エタロン部下側はそのスポンジを介して鏡筒側に接触していることになります。エタロン上部はねじ込み式の金具で蓋をかぶせて、エタロンを押さえつけてい流ような状態になります。外部のリングを回すことで、その金具が回転してエタロン部を押さえつける力を調節します。エタロン部はスポンジで浮いているような形になっているので、入射光に対する角度がきちんと決まっているかというとそうでもなく、スポンジ部のクッションで結構適当に決まってしまいます。

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エタロン部アップです。グリスが脇にたっぷりついています。


今回の分解でだいぶん機構もわかったので、とりあえず再び組み上げます。

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エタロンの中央部にグリスがつかないように注意しますが、上に乗せる金具を先にエタロンに乗せてから、エタロンと金具療法を一緒に下の大枠の中に入れたほうがよさそうです。エタロンを取り外す時も金具を先に外すのではなく、金具をエタロンとごとひっくり返して外した方がいいかもしれません。あと、金具をどれくらいキツく締めるかですが、これは太陽を見ながら調節したほうがいいかもしれません。後日試してみます。

さて、前回の撮影で口径が解像度を制限しているらしいことはわかってきたので、次は口径の大きな望遠鏡にエタロン部を固定する方法の模索です。みなさんここで結構苦労しているみたいです。私もゆっくり考えることにします。


続き その8へ: 2回目の撮影です。



 

CMOSカメラでの合焦を目指してアイピース差込部分を短く改造したP.S.T.を試してみました。

とりあえず結果だけ示します。

「初めての太陽望遠鏡での撮影」

2018-02-23-0503_9-Capture_lapl4_ap2976_w_rot

富山県富山市
P.S.T. + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 12.5ms, gain 150, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


画像処理も初めてなのでまだ適当ですが、なんとか見えるくらいにはなりました。



今日やったことを振り返ります。主には4つで、
  1. ピント合わせ
  2. エタロンの動作確認
  3. ダブルスタックのテスト
  4. SME40の調整
となります。明るくて画面が見にくいので、傘を差しながらの作業でした。ちなみに傘は星図傘です。

IMG_3680



まずピント合わせですが、P.S.T.改造の結果は見事に合焦。というより、むしろ短すぎてカメラを奥まで入れるとまたもやペンタプリズムでの合焦範囲を超えたので、アダプターの途中まで入れることで適当な合焦位置を見つけることができました。下の写真を見てもわかるように、きちんとエッジが出ています。

IMG_3676


この時既にプロミネンスが見えていました。これには結構感動しました。

IMG_3679


さて、ここでエタロンの調整です。画面を見ながらリングを回転させて調整します。まず、少なくとも画面の状態が変わるので、エタロンが動いていることは確認できました。そしてプロミネンスが出る位置と、表面の模様が出る位置が違うことがわかりました。プロミネンスが出る位置は、プロミネンスが一番はっきりする位置で止めればいいのですぐにわかります。問題は表面です。明るく見える位置がいいのか、暗く見える位置がいいのか、よくわかりません。時々模様が出ますが、明るすぎたり暗すぎたりして見えないような気もするので、その都度カメラのゲインを調整します。どうも一番暗くなるところから少しだけずれたところに一番模様が見えるところがあるようです。そしてこの位置は、リングの回転の真ん中に近い位置にあったので、エタロンの調整自信は必要ないことがわかりました。

この状態でASI178MCでいくつか動画を撮影しました。一番最初に上で示したものと、下が5倍のバローを入れて拡大したものです。プロミネンスを出してみました。

「太陽プロミネンス」
16_10_59_lapl4_ap3051_w_ps_cut
富山県富山市
P.S.T. + x5 barlow lense + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 200ms, gain 400, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理
 

さらに太陽の表面のH alphaを強調して見ました。

「太陽表面」
16_06_58_lapl4_ap2545_w2_cut
富山県富山市
P.S.T. + x5 barlow lense + ASI178MC+ Advanced VX赤道儀
Shutter 100ms, gain 400, 80/100 frames
Autostakkert3 + Registax6 + Photoshop CCで画像処理


これは上手く写った方で、何が原因かわからないですが、ちょっとしたことでモアレのようなものが出てしまいます。このH alphaの模様ですが、本当に正しく出ているのかまだ確証がありません。もっと渦のように見えるのかと思っていました。やはり口径40mmだと解像度が足りないのでしょうか?ここら辺が限界なら、大口径への改造をしたくなるのがわかる気がします。

いくつか動画は撮ったのですが、ものになったのは上の3つくらいで、あとはテストレベルでした。特にダブルスタックでの撮影は厳しかったです。

まず、ゴーストが出ることがわかりました。これはダイアルつまみを回してSME40を傾けることによりすぐに消えます。

IMG_3682
右上がゴースト。


次に、先端の調整リングの最適位置がよくわかりません。まずシングルエタロンで653.6nmだけが見えているとすると、2つ目のエタロンを入れた時には透過光のピークが重なる位置が最適位置のはずなので、一番明るくなる位置を探せばいいはずです。ところが、調整リングは既に端に行ってしまっています。ダイアルつまみを回しても同じような効果が出るので、もう少し回してみましたが、こちらも一番傾けてもまだ明るくなり続けます。この時点で下の写真にある金具の位置を変えて、先端リングをもう少し回せるようにしました。

IMG_3686


その結果、一番明るくなるところがリングの回転の真ん中くらいにすることができました。

それでも画像を見るとイマイチです。まず暗い。一段のエタロンの時の10分の1くらいの明るさでしょうか。次に太陽表面の模様の出るところが一部に限られてしまっています。この結果だけ見ると、シンチレーションが安定している時に露出時間を長くして、いいところだけを映すように拡大した撮影の時のみ生きてくる気がします。ただ、このあと曇ってしまい十分な時間をかけてテストすることができなかったので、判断はもう少し先伸ばししたいと思います。

それでもとりあえず、P.S.T.は使えそうなことがわかったので十分満足です。


明日の朝から八ヶ岳で星見会です。当然P.S.T.も持っていきます。いまからとても楽しみです。
 

続き その7へ: とうとうエタロンを取り出します。
 

P.S.T.でFabry-Perot etalonを扱い始めたので、そこらへんの理屈を少しまとめておきたいと思います。今回はまず、前回示したFSR(Free Spectral Range)が、なぜこのような式になるのか簡単に考えたいと思います。

IMG_3672


 写真はゴムの滑り止めのリングを外して中のネジを取って、金属のリングを外したところ。本来このネジのところにシールが貼ってあって、はがさないような指示があるらしいのですが、購入したものにはそのようなシールはありませんでした。既に誰かが剥がしたのでしょうか?

このリングを外すと中にいくつも穴が見えます。この位置を調節することにより、エタロンの入射光への角度をより大きく変えることができるそうですが、これは次回晴れの日に実際の像を見ながら調整したいと思います。


概念
  1. 簡単のために波長1μm(マイクロメートル、10^-6m, 1e-6m)の赤外光を考えます。
  2. これまた簡単のために、まずはエタロンを構成する2枚の鏡の間の距離を上の光の波長と同じ1μmとします。
  3. このエタロンに上の光を入れると、ちょうど波長の長さとエタロン間のギャップの長さが同じなので定在波がたち*(もう少し詳し話は最後にします。)光が共振します。すなわち対物レンズ側から入った光がアイピース側に十分透過していきます。
  4. 次にエタロンを構成する2枚の鏡の間の距離を光の波長の10倍のと同じ10μmとして考えます。この場合、ギャップ感には10個の波がちょうど入ることになります。定在波が立つので、光は透過していきます。
  5. さてここで、ギャップの長さを10μmに保ったまま、波長の長さを少し長くしてみましょう。どれくらい長くするかというと、ギャップに9個波が入るくらいの長さの波長にします。10μm/9=1.11...μmくらいの長さの波長ということです。この場合も定在波が立つので光が共振し、光はそのままエタロンを透過していきます。
  6. 逆に波長の長さを短くして11個入れてみましょう。10μm/11=0.9090..μmの波長の光です。これも共振し透過します。
  7. 同じように、8個の波、12この波...も全て透過していきます。これが櫛のように光の波長を周期的に通すという理屈です。
  8. ギャップの長さをさらに10倍して100μmのものを考えましょう。100個の波も101個の波も99個の波も...透過していきます。P.S.T.では使われているエタロンは0.1mmくらいのギャップだというので、これくらいの数の波が実際にエタロンの中に入っていることになります。あ、ターゲットはH alphaの0.6536μmの長さの波長なのでもう少し入っている波の数は多いですね。

定式化

さて、理屈がわかったのでこれを式にしてみます。前回書いた式を考えてみましょう。

Δλ=λ22nlcosθ

  • λ: 中心波長、今回の場合6563Å=656.3nm。
  • n: キャビティー中の媒質の屈折率、今回の場合空気なので1でいいでしょう。
  • l: 2枚の間の鏡の距離、今回の場合0.1mm以下程度とのこと。
  • θ: 光の入射角、PSTの場合ここを回転つまみで調整している。動かせる幅はPSTでは0.5度程度とのこと。

1. まず、エタロンのギャップの中に含まれる波の数は

m=lλ [個]

と書くことができます。

2. エタロンのギャップの長さをキープしたまま、入射する波長の長さを変えていった時に、波長がどれくらいおきにエタロンを通過するかは大まかに言って、エタロンのギャップの長さを、含まれる波の個数で割った長さごとに起きるので、

Δλ=λm=λ2l

と書くことができます。だんだん近くなってきました。

3. ここで波はエタロンを往復しているこいうことを忘れてはいけません。そのためにエタロンのギャップの長さlの効きが2倍になります。そのためにlのところに2をかけます。

Δλ=λ22l

4. エタロンの中の媒質の屈折率が上がるとそのぶん波は進みにくくなるので密度が増します。周期的には短くなるセンスです。これは1次で効いてくるので分母にnと置いてやって割ります。

Δλ=λ22nl

5. 最後に、エタロンを光の入射方向に対して傾けると入射光から見るとエタロン間のギャップの距離が1/cosθで長くなったように見えます。これはFSRが長くなるセンスです。その項を考えると

Δλ=λ22nlcosθ

となります。やっと先日書いた式と同じになりました。

実際にはP.S.T.では入射角を0.5度程度を変えられるらしいです。近似でcosθ = 1 - θ^2 / 2と考えると、cos(0.5deg) = cos(0.5/180 * pi) = cos(0.0087) = 1- 0.0087^2/2 = 0.999962とほとんど1に近くなりますが、FSRが変わるということは、個々の透過光のピークトピークの間隔がこれくらい変わるということなので、全体の長さはこれのλ / FSR倍くらい変わるはずです。波長が600nm程度でFSRが2nmとすると300倍くらい効くはずで、1- 0.0087^2/2 * 300 = 0.978となり、透過光のピーク位置でFSRの2%くらいは変更できるはずです。うーん、でもまだ変化が小さすぎるような気がします。何か計算間違ってますでしょうか?



補足: 光の共振

上で「定在波が立つ」という書き方をしましたが、あまり正確な表現ではありません。もう少し正確に記述します。

エタロンの対物レンズ側の1枚目の鏡を(ある透過率で)透過した光が、アイピース側の2枚目の鏡で反射して、1枚目の鏡に戻り再び1枚目の鏡で反射します。その時対物レンズ側から入ってきた光と先ほどの反射光の光の位相が一致すると光は強めあって共振します。それらの光はまた2枚目の鏡で反射し、さらに1枚目の鏡で外から入射してきた光と(今度は自動的に)位相が合うので、さらに共振して強め合います。このような折り返し反射を何度か繰り返すのですが、何回くらい折り返すかはエタロンで使っている鏡の反射率と透過率で決まります。

例えば、反射率90%、透過率10%の鏡を両端に持っていると、最初に1枚目の鏡を10%光が透過して入ってきます。その光は2枚目の鏡で10%抜けるけれども9割は戻ってきます。戻ってきて9割は1割は入射側に抜けていきますが、9割は反射するので、約8割はまたエタロンの中に戻されます。大まかに言って1割抜けていくのを10回繰り返すと光は全て共振器の中からなくなるでしょう。この場合、10回片道旅行できるので5往復します。

これが反射率99%、透過率1%の鏡を使うと、100回片道旅行ができるので50往復できるでしょう。ただし、鏡のロスとかを無視しているので、ロスがあるとこの回数は当然減っていきます。P.S.TはFinesseが15程度といっているので、折り返し回数は15 / Pi * 2 = 10回程度とすると、反射率95%、透過率5%程度の鏡を使っていると考えられます。

とりあえず訂正的な説明と、少し数値を入れてみましたが、イメージは多少しやすくなったかなと思います。式をきちんと書いた方がスッキリするかもしれませんが、また時間とやる気のある時に書いてみるかもしれません。

 続き その6へ: 実際に太陽での撮影をしてみました。 

前回P.S.T.を少しだけ分解しました。今回はもう少し進めてBFとERFを分解して、CMOSカメラで合焦するように少し改造しています。


日曜以降いろいろ調べて判明したことは、もともとP.S.Tはアイピースによる眼視が目的のため、そもそもカメラで合焦することがあまり考えられていないようで、日本のみならず世界中で苦労していることがよくわかりました。まずこの問題を解決しないことにはアイピースで見るだけで、写真や映像を残しておくことができません。これを解決する方法はいくつかあるようです。

1. なんとかしてアイピース部分の筒を短くして、カメラをもう少し内側に持ってくる。
利点: 付属の部品を使うので安価。
欠点: なんらかの工作が必要となる。

2. バローレンズで焦点を外側に持ってくることで、カメラが合焦する。
利点: バローレンズさえあれば手軽に試すことができる。拡大して見たい場合は一番適している。
欠点: 拡大されるので全体が見たい場合にはより面積の広いセンサーが必要になりそう。バローレンズを適合させるのが難しいという話もある。

3. P.S.T.のペンタプリズムボックスでフォーカスする代わりに、別のフォーカサーを持ってくる。
利点: P.S.T改造につながっていきます。口径の大きい鏡筒への改造を考えているのならこれが一番です。
欠点: 後付けのBFを新たに購入しなくてはならず高価。鏡筒の口径を大きくすることを考えると、さらに口径の大きいBF-10やBF-15を選ぶことになりさらに高価。別途ERFも必要かも。なんとかしてP.S.T.付属のBFを使う場合、結構難度の高い工作が必要になりそうなのと、鏡筒の口径の増加は期待できない。


「手軽さ、追加投資、性能」を「簡単、安い、高性能」から「難しい、高い、性能向上低い」をA, B, Cで考えると

1: B, A, B 
2: A, B, C
3: C, C, A

といったところでしょうか。3番の性能向上の理由は、後の拡張につながることを考えてと、BFが新しくなることで手持ちのくらいかもしれないBFが改善されるかもといったところです。

さて今日はこの中の1番について少し試したいと思います。方法としては、DRAGONDEMANDさんがASIカメラ付属のアダプターを削るという面白方法を試してます。他にもアイピースホルダーを削るとかも考えられますが、不可逆な改造はできるだけ最後の手段として撮っておきたいので、もう少し色々考えました。まず最初にしたことは、BFとERFの分解です。

あ、前回の記事の繰り返しになりますが、このような改造はメーカー保証が受けられなくなる恐れがあるので、くれぐれも自己責任でお願いします。また標準構成以外で太陽をのぞいたりすると、冗談でなく失明の恐れがあるので、安全には絶対に気をつけてください。もし何か事故など起きたとしても、私はなんの責任を取ることもできません。


BFの分解

最初に上のBF部分を外します。裏を見ると2つの穴があるので、外せそうです。このような場合に写真のようなカニ目スパナがあると楽に外せますし、何より光学系を傷つけるリスクが減るので、安いものでもいいので手に入れておくといいでしょう。

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ただし、外れないように接着剤のようなもので一点止めをしているようです。

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これは引っ張るとすぐに剥がれました。

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カニ目スパナで円盤を回転させて外すと、中から立方体型のBlocking Filterが顔を出します。固定されていないので、ひっくり返したりすると転がっていくので注意です。

IMG_3647

BFは金コーティングされているみたいなので、どうやら初代ブルーの次の2世代目のバージョンのようです。現在は新しいブルーとのことです。BFを注意深く見てみると、かなり汚れています。

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いつも使っているFUJI FILMのレンズクリーニングキットと綿棒でふくと全て綺麗になりました。金コーティングされている面も綺麗にします。

光学系のクリーニングですが、若干コツがいります。まず当然ですが、新品の綿棒を使います。綿棒の先端ころには絶対に触ったりしないでください。手の油とかがつくと全て無駄になります。クリーニング液の量ですが、クリーニング液が鏡面に残ったまま乾燥するとそこにシミができます。拭きながら乾くくらいの少量のクリーニング液を使うのがコツです。一度吹いたら綿棒を捨てるくらいの無駄遣いをしてください。綿棒をケチると結局綺麗にならず余分に使ってしまいます。どうしても残ったしつこいカスなどは、乾燥した綿棒で多少力を入れて吹いてしまっても構いません。これくらいでどうにかなるようなコーティングではないようです。

面白いのは、BFを真横から見たときでしょうか。赤い部分と透明な部分の2層構造になっています。理由はよくわかりません。どなたかご存知の方いませんでしょうか?

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清掃が終わったらまた元の通りに組み直します。クリーニングの結果ですが、明らかに透過率が上がりました。電球などで比較したのですが、目で見て分かるレベルです。BFが暗いことが理由で格安だったのでこれは嬉しい誤算でした。ただし、まだそもそもの明るさがどれくらいあるのかは不明なので、元に戻ったのかどうかはわかりません。



ERFの分解

次はERFです。ボックスから外して裏面を見るとやはり2つ穴があるのでカニ目スパナで回転して外します。すると写真のようにフィルター部分が外れます。ここは今回の意改造の重要なポイントで、どうもERFがついている延長筒を省けばカメラまでの距離を短くすることができそうです。

IMG_3646


が、その前にフィルター部分の裏を見ると2つの切り欠きがあるので、さらにカニ目スパナを使って外します。これらも接着剤がくっついているので適当にはがします。分解すると写真のようになります。

IMG_3662

中身は「ITF 0152 #」と書かれたフィルターのようです。フィルターについている黒いものは接着剤の残りで、どうしても取ることができませんでした。まあBFの径が十分小さいので放っておくことにしました。さて、このフィルターの型番に一致したものは見つかりませんでしたが、もしかしたらITFで引っかかったMAIER PHOTONICSの

http://maierphotonics.com/656bandpassfilter.aspx

なのでしょうか?と思ってもうすこ調べたらCludy Nightsにも出ているので

https://www.cloudynights.com/topic/445617-itf-h-alpha-filters/

多分これで確実でしょう。やっとERFのデータが手に入りました。630nm以下と700nm以上をカットするようです。600nm以下でOD5-7、800nm以上でOD4-7と十分な除去比がありそうです。追記: よく読んだらP.S.T.のフィルターをMAIERのフィルターで交換するという記事でした。もともとP.S.T.についてるのは錆びたりするとの事なのと、MAIER PHOTONICSのフィルターは値段も$75と安いので、交換品の候補と考えるといいのかと思います。ところでITFって何かの略なのでしょうか?さらに追記:  ITF: Induced Transmission Filterだそうです。一般名詞ですね。 

さて、ERFがついていた延長筒を使わずにERFをうまくBFに固定すれば、カメラまでの距離を短くすることができます。私は最初両面テープを使ってBFの下側に貼り付けようとしました。

IMG_3663

くっつけるとこのようになります。

IMG_3664

でもこれだと、ペンタプリズムを移動して上の方に持ってきた時に干渉してしまうことがわかりました。なので順序を変えて、BFが付いているアイピースホルダーの中に入れてやることにしました。ただし固定されないので、写真のように隙間に小さなクッションを入れてやることで簡易固定しました。とりあえずひっくり返したりしても問題なさそうです。

IMG_3666


ちなみに、ASIカメラのアダプターにうまくねじ込めないかと思いましたが、ごくわずかフィルターの枠の系の方が大きくて無理でした。あと、ERFですが、コーティングがおもて面と裏面で違うようなので、裏返したりしないようがよさそうです。(後で気づきましたが上の写真は間違えて裏返して取り付けてしまっていました。)

さて、簡易改造ですがうまく合焦するのか。BFを前に持ってきたので太陽像が大きくなっている分入りきるか心配です。次の晴れで確かめたいと思います。

続き1: エタロン部を少し考え始めています。
続き2: 実際に合焦するか太陽で試して見ました。 

P.S.Tファーストライトで色々疑問も出たので、早速P.S.T.の分解です。とりあえずは光学系を除いた簡単な分解のみ。

当然ですが、こんなことをするとメーカー保証は効かなくなると思いますので、もし試される場合は自己責任でお願いします。この通りにやって壊れたとしても私はなんの保証もできません。

今回手に入れたものは格安のジャンク品です。なので気がなねく色々試すことができます。まず外せるところまで外して中を見ます。

IMG_3629


右上から下に向かって、
  1. BF(Blocking Filter): etalonで透過してきた光からH alpha付近を抜き出す働き
  2. Energy Rejection Filter
  3. プリズムとフォーカサーボックス
  4. etalon+鏡筒
  5. 対物レンズ
となります。 残念ながら固すぎて鏡筒からエタロン部分を外すことができませんでした。普通に外れるはずなんですが。

次にプリズムが入っているボックス部分の蓋を開けてみます。あ、ここのネジ外す時恐ろしく硬かったです。下手な道具を使うと舐めることがあるので、ある程度きちんとした六角レンチを使ったほうがいいと思います。

IMG_3615


五角形のプリズムが入っているのが見えると思います。上に乗っかっている黒いのはスペーサーで、その上にマジックテープみたいなのが貼ってあって、それがプリズムが動くときにうまく上の蓋と滑るようになっているみたいです。光は左側の鏡筒から入って、左右対称に見た五角形の左上の(写真では垂直に見える左側の)辺からプリズム内に導入され、五角形の右下の辺で一度反射し、次に左下の辺で反射、最後に右上の辺から、上側のアイピースに向かって抜けていきます。

お尻のつまみを回すことで、このプリズムがつまみの軸方向に動くことで焦点からの距離が変わります。五角形の対象軸に平行に動くことで、像の位置を変えることなく焦点からの距離を変えることができます。よく考えてあるのは、偶数回の反射(この場合は2回)なので、多少軸の角度に誤差があってもうまく打ち消すようになっています。左下についている小さなプリズムはファインダーに光を持っていくものなのすが、このプリズムへの入射光がどうやって入っているのか最初よくわかりませんでしたが、プリズムボックの太陽側の前面に小さな穴が空いていてここから光を取り込んでいることがわかりました。

さて、つまみを右に回すとプリズムが下側に移動し焦点からの距離が長くなり、左に回すとプリズムが上側に移動して焦点までの距離が短くなることがわかりました。つまみと箱の間に隙間が空くともう左に回しすぎで、この状態ではプリズムが大きくカクンとシフトしてしまっているので、ここまで回してはダメです。つまみが箱にくっついた状態で右に回していくと、そのうち止まってこれ以上回せなくなります。これがプリズムが一番下まで来た状態です。プリズムの移動距離は1cm程度でしょうか。2回反射しているので、光学的な距離としては2cm程度の範囲があると思っていいと思います。

仕組みはわかったのですが、でもこの右に回し切った状態って焦点からの距離が一番長い状態なんですよね。CMOSカメラを入れた時はもっと焦点までの距離を短くしたいんです。一番左まで回してつまみが浮くくらいまで試してまだ合焦しなかったので、やはりCMOSカメラを使う場合はもう少し内側に入れるようななんらかの手が必要です。

あと、BF、ERF、etalonの透過光をじかに見てみました。BFとERFは赤い光のみ見えます。アイピースに近いBFは直径5mmと小さく、厚みがあり、透過率もかなり低いです。ERFは直径15mm程度でしょうか。薄くて透過率も高いです。裏から見た写真を撮りましたが、左のERFは写真ではわかりにくいですが、中心の方が少し色が変わっているので、ダメージを受けているのかもしれません。

IMG_3627



面白いのはetalonです。赤い光が来るかと思ったら、むしろ薄い青に見えます。etalon自身は問題ないとのことなので、この色が正しいのでしょうか?これはFabry-Perot etalonの仕組みを考えればすぐにわかります。

Fabry-Perto etalonの2枚の鏡間の距離のみで決まるような、FSR(Free Spectral Range): という量が定義できます。一般的には周波数の単位の[Hz]で書くことも多いのですが、わかりやすくするために単位を波長と同じ[m(メートル)]で表すと

Δλ=λ22nlcosθ
  • λ: 中心波長、今回の場合6563Å=656.3nm。
  • n: キャビティー中の媒質の屈折率、今回の場合空気なので1でいいでしょう。
  • l: 2枚の間の鏡の距離、今回の場合0.1mm以下程度とのこと。
  • θ: 光の入射角、PSTの場合ここを回転つまみで調整している。動かせる幅はPSTでは0.5度程度とのこと。面倒なのでとりあえず0と置きます。

と書くことができます。エタロンはこの(波長の)周期で光が通っていくようなコームフィルター(櫛形フィルター)となります。

とりあえず計算してみるとFSRは20Å = 2nmか、もう少し長い程度になります。400nmから800nmまでの紫外から赤外の間だけでも数百本の波長の光が通っていきます。

その中で、エタロンが通す櫛の一本だけを考えます。その櫛の一本がどれだけの波長幅を通すかを表すような量としてFWHM(Full Width Half Maximum、半値全幅)という値があります。ある波長の透過率の、最大値の半分の値が、波長で見てどれだけの幅を持っているかという意味です。PSTでは典型的には0.7Å = 0.07nmだとか、1Å = 0.1nmだとか言われています。

FSRとFWHMで決まるような比をFinesse = FSR / FWHMといい、共振器の鋭さを表します。これは鏡の反射率のみで決まる量です。PSTの場合はたかだか15程度だそうです。上の値から計算すると2nm / 0.1nm = 20程度なので、値としてはだいたい一致します。空気中ということでオーダー的にはこんなもんなんでしょう。世の中にはFinesseが10万とかいう光共振器もあります。こういった高いFinesseは当然真空内で実現されます。

ちなみにFinesseと光の共振器内での折り返し回数Nには一意の関係があって、N=Finesse / Pi * 2という式で表すことができます。Finesseが15だとすると、光の折り返し回数はPiで割って2をかけるので10回程度エタロン内を往復していることになります。

さて、エタロンはコームフィルターと言いましたが、そのためにある波長のみが通り抜けていくのではなく、FSRおきの波長の光が数百本通り抜けていくので、欲しい赤い光だけでなく他の色の光も通り抜けるために、今回は青っぽくなったのかと思われます。こう考えると、BF(Blocking Filter)が必要な理由が自ずと見えてきます。BFの波長選択性はエタロンに比べてそれほど良くはありません。ある程度の広がりを持った波長しか選択することができないというわけです。今回の場合H alpha=656.3nm周りを中心に2nm以下くらいの波長幅で選択できるフィルターが必要となります。PSTのものではないですが、ここに同じCORONADOのBF15の透過率のグラフがあります。縦軸はODなので、1で10分の1、2で100分の1、3で1000分の1になります。このグラフによるとFWHMは縦軸最大の66%の半分の値の33%くらいのところの横軸の幅を見て、まあだいたい0.75nm程度ですね。思ったより優秀です。これならきちんと一本の櫛のみ抜き取ることができますね。

まとめると、エタロンが1Å 程度の幅の波長を「数十Å程度の周期的に」通すために、欲しい波長のみ選択することは不可能になる。そこで欲しい波長以外のいらない波長を省くためにBFが20Åくらい(データではしたのは7.5Åくらい)の幅でH aphaを通す。この2つを併用することで1Åという非常に狭い波長幅でH alphaのみ通すことが実現できるというわけです。


最後に、それぞれのフィルターの透過光をiPhone5で簡単に写真を撮りました。フィルター面での反射が激しいので、あまりわかりやすくはないですが、参考になればと思います。


  • 元画像:
IMG_3630
白熱電球が傘に当たって光っている写真です。

  • BF
IMG_3633
視野も狭く、透過率も悪いです。2nm幅だけ通しているのでこんなもんなんでしょうか。
iPhoneで適当に撮っているので、明るさはあまりあてになりません。


  • ERF
IMG_3632
赤くなります。視野も広く、透過率も高いので、そこそこ見えます。
透過する波長幅もかなり大きいように見えます。


  • etalon
IMG_3637

ほとんど普通のガラスみたいに見えます。ちょっと青みがかっています。
白い枠はiPhoneのカメラの縁です。反射が多いのでどうしても写り込んでしまいます。

etalonはわかりにくいので、障子のところも撮りました。青みがかっているのがわかりますでしょうか。

IMG_3639



さて、ジャンクで買ったPST、この中のどれが悪い部分なのか、それとも大して問題なく普通に使えるのか、これから色々検証していきます。

あ、あと触れてなかったですが、同じCORONADOのSOLARMAX SME40も同時に格安で買いました。こちらもジャンク品です。PSTと合わせてダブルスタックで使えるものですが、どうも像が甘いとか。こちらはまずはPSTを片付けてから試したいと思います。


続き: カメラで合焦できるような改造を試します。
 

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