ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > ASI294MC

先日の記事で、メーカーが出しているASI294MCの性能のグラフの読み方を考えてみました。実際の性能を確かめるため、SharpCapを使い手持ちのASI294MCの実測もしたのですが、記事自体はかなり一般論になっていて、じゃあ具体的にどのような設定で使えばいいのかという話まではまだ繋がっていません。今回はそこら辺のところを考えてみたいと思います。難しい理屈は嫌だという方は、今回の記事だけ読んでも実用的には役に立つのかもしれません。

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さて今回は
  1. 電視観望
  2. 空が暗く、非常にいい環境での撮影
  3. 光害地での撮影
という3パターンに分けて考えてみましょう。



1. 電視観望

まずは電視観望から始めます。普通の天体撮影をされる方にとっては電視観望というのはあまり一般的ではないかもしれませんが、電視観望はかなり極端な設定を必要としますので、性能の限界を考える時にはなかなか面白いのです。

電視観望では、短時間でのリアルタイムビューを重要視するために、内部ゲインを相当上げて、露光時間をできるだけ短くして臨場感を出します。その代わりにノイズは大きいですし、そのノイズを緩和するためにライブスタックと呼ばれる、いわゆるコンポジットをリアルタイムで行なっていきます。

かなり基本的なところから考えます。まず、内部ゲインを上げるとは一体どういうことなのでしょうか?物理的にはセンサーの後に増幅回路があって、その増幅回路のゲインを上げるということなのですが、これがメーカのグラフの上でどのようなことを意味するのかを考えてみます。

電視観望ではZWOの言うGainを400とか500とか600近くまで上げます。Gainは200で20dB、すなわち10倍、400で40dB、すなわち100倍、600で60dB、すなわち1000倍ということです。簡単のため電視で仮に400まで上げたとしましょう。ZWOが出しているページのグラフの横軸で400のところを見ると、Read noiseは1.4 [e-] 程度とかなり小さい値を示しています。でも画面ではなぜかノイズが目立ちます。Read noiseは小さいはずなのになぜ?という疑問が湧くかもしれません。そこにコンバージョンファクター(ZWOのグラフではGAIN(e-/ADU)となっている2つ目のグラフ)がキーとなります。この値はGain400ではかなり低く、0近くになっていてグラフから読み取ることも困難です。昨日実測した値を見て見ると0.036 [e-/ADU]と記録されています。この値でADCのカウントでどれだけノイズが目立つのか計算してみると、

1.4 [e-]  / 0.036 [e-/ADU] = 39 [ADU]

となり、何とADCの読みで39カウントもノイズが出ていることになります。じゃあ39カウントのノイズって何だと言う話になりますが、分散とかの話をすると難しくなるので、まあざっくり39カウントくらいの間で明るくなったり暗くなったりしているピクセルが画面中にバラついていると考えてください。それよりも意識しておきたいことがあって、このGain400の時のfull wellの値です。full wellとは内部ゲインが高すぎる時にセンサーの出力が限られてしまい、これ以上ADCの値が上がらない上限値のことを指します。これも昨日の実測値を見てみると、何とわずか585です。ADCの値にすると、585が最大値でそのうちの39がノイズだとしたら、1割とは行かないまでもレンジの約7%がノイズになってしまっていることを示します。これじゃあ画面がノイズだらけなのは致し方ないと言うことです。

(追記1: すみません、上の記述勘違いしていました。[e-] が単位のfull wellと、[ADU]が単位の画面のサチレーションを勘違いしていました。ADCのサチレーションカウント16384の中で39カウントノイズになっているだけです。ちなみにゲインを600まで上げると400カウントくらいがノイズになります。これだと4%くらいになるので、これくらいでさすがに目に見えるくらいですね。)

(追記2: 改めてSharpCapのfull wellの値を見ているのですが、どうもこれは真面目に全てのゲインで飽和カウントを測定したわけではなく、単にADCのフルレンジ16384をコンバージョンファクターで割っているだけのようです。これはSharpCapだけでなくZWOの測定結果も同様の方法で簡易的に出しているだけのようです。そう言った意味ではセンサーが出せる最大出力という意味での真のfull wellとは言えないので注意が必要です。あくまで、ADCの最大カウントからくるfull wellがZWO及びSharpCapで示されているに過ぎないということでしょう。)



ライブビューを謳うので露光時間もあまり上げることができません。残る手はSharpCapの秘技、LiveStackです。これは単に画面を重ね合わせるのではなく、恒星の位置を数十個自動認識して、それらが重なるように画面をリアルタイムでコンポジットしていきます。上の読み出しノイズは枚数に正比例(注: 枚数のルートに比例してではありません、ノイズに関しての詳しい議論は後日します。)して減っていきますので、見ている間に劇的にノイズが軽減されていくというわけです。

(追記: 2017/12/212017/12/23実際にASI294MCで電視を試してみました。)


2. 空が暗く、非常にいい環境での撮影

次に、かなり空が暗いすごく環境の良い状態で、撮影をすることを考えて見ましょう。まず、空が暗いということは、長時間露光してもサチルことがないので、一枚一枚の露光時間を長くとることができます。 内部ゲインx 露光時間でヒストグラムのピーク位置が決まります。ピークの位置が左から3分の1程度になればいいとか言われている(これもまた議論の余地があると思いますが、いつか検証します。)ので、適当にゲインと露光時間を調節するのですが、じゃあゲインは具体的にはどれくらいにすればいいのでしょうか?

こんな時に指標になるのが、3つ目のグラフDR、すなわちダイナミックレンジです。ダイナミックレンジはFull wellをRead noiseで割ったものをbit換算したものになります。グラフを見ると一番いいところで13[stops]くらいでしょうか、これは2の13乗を意味し、2^13=8192となるので、信号部分である天体を最大8192階調で表すことができると言うことを示しています。ここで面白いのが、Read noiseが横軸のGain120あたりのところで、いきなりジャンプして劇的に良くなっていることです。このためダイナミックレンジも最初Gainとともに落ちていくのが、Gain120のあたりで再び良くなっています。これはGain120より多少大きいあたりで撮影するのが一番得だということを示しています。このGainでヒストグラムのピークが3分の1くらいになるような露光時間で撮るのが、最も効率のいいセッティングになります。これで時間が許す限り取れるだけの枚数を撮ってしまい、あとはコンポジットしてノイズを減らしていきます。


3. 光害地での撮影

最後に光害地での撮影です。基本的には上の最も効率のいいGain120で、露光時間を短くすることでヒストグラムのピーク位置を3分の1程度のところに持って来ればいいのですが、それでも明るすぎる場合には、Gainを0近くに持ってくる手もあるのかと思います。ダイナミックレンジが一番得をするところを探すという考え方は同じです。ただ、同じクオリティーの画質を出すのにより長い時間かかってしまうので、結局は損をしてしまうと思います。



3パターンで考えましたが、センサーの性能を理解していると、効率のいい設定をあらかじめ予測することができます。もちろんこの設定が完璧というわけではなく、例えば雲が多くて時間が限られている日には多少恒星が飽和するのを覚悟して、Gainを上げて短時間で撮影するなどの戦略をとることもできます。実はこのカメラが欲しかった理由の一つが、センサー感度がいいことを利用しての短時間露光のシンチレーション回避を試してみたいと思っていることなのですが、これはまた上の原則には当てはまらずに、いろいろ戦略を練ることになりそうです。ここら辺は追い追い試していきます。

(追記: 実は上のことだけ考えていると、一般的なカメラ撮影でもダイナミックレンジが一番広い低感度で撮る、すなわちiso100とか極端なのがいいという変な結論に陥ってしまいますが、もちろんそんなわけはないです。これをきちんと考えるためには、撮りたい天体の極限等級、露光にかけたい時間などの要求値をあらかじめ決めておかなければならず、それらの条件のものでノイズを考え、その時のS/Nから要求が満たせるかどうかの判断をして、その要求が充たせる範囲の中でゲインや露光時間を調整すべきです。S/Nの話は、定性的なお話や、定式化までは簡単なのですが、定量的に考えようとすると、読み出しノイズやダークノイズなどのカメラの性能だけでなく、ターゲット天体の明るさを信号として、空の明るさなどをノイズとして数値的にきちんと評価してやらなくてはいけません。具体的にこのブログのレベルで示せるものなのか、ちょっと今試行錯誤中です。)




さて、外を見ると今日は一日中雪が降り続いています。晴れるのはいつになることやら。

もう少し、次はノイズについてちょっとだけ議論したいと思います。


( 追記: ノイズについていろいろ検討してみました。定式化までですが、参考になればというくらいです。定量化はもう少し。)

富山は今日は雪。せっかくの新CMOSカメラも外で試すことができないので、仕方なくASI294MCの脳内シミュレーションです。

ZWOのASI294MCのページを見ると、カメラの性能を表すのにFW, gain, DR, Read noiseだとかいうグラフがならんでいますが、最初これらのグラフを見た時あまり意味がよくわかりませんでした。
  • Read noiseはなんとなく小さい方がいいとわかるのですが、それでもその数値の意味がよくわかりません。
  • DRはdyanmic rangeですが単位の[stops]が不明です。でもグラフの数値が14までなので、これはADCのビットに相当するものなのかという予測がつきます。ということは14というのは2^14で16383という意味なのでしょうか?
  • FWはfull well capacityのことで日本語でいうと飽和電荷数だとか、飽和容量というらしいのですが、一体どんな意味なのでしょうか?
  • gainに至ってはわかりそうなのに全くよくわかりません

一つ一つ紐解いていきましょう。まず、これらグラフの中で出てくる単位のADUだとかe-ですが、ADUはADC(Analog to Digital Converter)で読んでいる単位(Unit)の略でADU。ADCから出てくる数値そのものです。ASI294MCの場合RGB各色で14bitのADCが使われているので、例えばCMOSセンサーの一素子のR(赤)色成分に入ってくる光を露光時間分積分した結果、0から16383のある値をとります。この読み取った値そのものがADUとなります。真っ暗なら0[ADU]、サチルくらいなら16383[ADU]、半分くらいの明るさなら8192[ADU]となります。もちろん値はノイズで揺らいでいるので、真っ暗でも0にはなりません。e-は電子(電荷)の数です。例えば10 [e-]というと、10個の電子がセンサーの一素子で数えられたという意味です。

本当は全部電子の数で考えたいんです。でも直接電子の数を知ることはできません。唯一読み取れるのがADCの値なんです。電子の数はこのADCの値から推測するしかないのです。ところがこの推測が一定の変換ではなく、その変換係数が増幅回路のゲインに依って変わってしまうことが物事を難しくしています。それではこれ以降、個別に考えていきます。


1. gain: conversion factor, コンバージョンファクター

実際には電子の数は簡単には数えられませんね。そこで出てくるのが、一番わかりにくい「gain」というやつです。gainは「Conversion Factor」などと言われたりもしますが、ADCでのカウント数と電子の数を変換してくれるとても便利な値です。なので単位は[e-/ADU]とかになっています。要するに、電子の数は直接数えられなくてもADCでカウントした数は計算機上で数値を読み取ることができるので、このコンバージョンファクターさえ分かっていればADCのカウント数から、幾つ電子が数えられたかを知ることができるのです。例えば、ZWOのASI294MCのページのグラフの横軸のGain(unit0.1dB)の0のところのFW(e-ADC)を見ると、3.9位でしょうか。これはADCが約4カウントを数えると電子を一個数えたことになります。Gainが175くらいのところだと、gainが0.5[e-/ADC]くらいなので、ADCの読み2[ADU]で電子1個を数えたことになります。

そうは言っても、電子の数を数えても何がいいことがあるのかいまいちよくわかりません。でもこれは天体から入ってくる光子の数sと、センサーで数える電子の数nが、定数で変換でききるからなのです。この定数をシステム効率ηなどと呼び

η=n/s

と表すことができます。ポイントはこのシステム効率が内部回路のゲインや積分時間などによらないということです。なので、電子の数を数えるということは、幾つ光子が入ってきたかが直接わかるため、重宝されるというわけです。一方、ADCのカウント数と光子の関係は内部回路のゲインに依存してしまうため、便利でないのです。

このことは次の式を理解すると意味がわかるようになってきます。

センサー感光部に、入射光と暗電流を合わせてカウント[ADU]にあたる一定の電子が発生する時、あるピクセルのカウントの標準偏差を[ADU]、読み出しノイズをNread [e-]とすると、コンバージョンファクター(gain) fc [e-/ADU]は

([ADU])^2 = [ADU] / fc [e-/ADU] + (Nread [e-])^2 / (fc [e-/ADU] )^2

を満たします(証明は略します)。簡単のためNreadは十分小さいとし、右辺2項目を無視します。

例えば1秒間の積分の画像データを100フレーム取得し、各(ij)ピクセル目の100フレームの平均値をカウントSijとして、分散をカウントNij^2として測定することができます。測定したデータを横軸にSij、縦軸にNij^2として各ピクセルをプロットしてやると、例えば一例としてADI294MCで内部ゲイン0の場合のプロットが下の写真の右のグラフのようになります。

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上の関係式があるために、何とADCの値の読みSとその散らばり具合Nを多数プロットするだけで、これまでわからなかった[ADU]と [e-] との関係を導くことができてしまうのです。具体的には、このグラフの傾きがコンバージョンファクターの逆数に相当します。今回の結果によると、グラフの傾きは0.259と測定できたので、コンバージョンファクターは1 / 0.259 = 3.86 [e-/ADC]と測定することができました。この値を、ZWOが測定したASI294MCの値と比べて見ると、上から2番目のGAIN(e-/ADU)のグラフのから3.9程度と読み取ることができるので、実測とメーカーが測定した値とかなり一致していることがわかります。このコンバージョンファクターはカメラの増幅回路のGainに依存するので、各Gainで測定してやらなければいけません。

ちなみに、ZWOのカメラのGianの単位は0.1dBなので、200で20dB、すなわち一桁明るくなります。Gainは294MCの場合600まで上げることができるので、Gain600だと60dBすなわち3桁明るさを明るくすることができるというわけです。そうやってそれぞれのゲインで何点も測定した結果が以下のようになります。

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この結果は実はShaprcapのβ版に搭載された新機能で、カメラの性能を自動で実測して、コンバージョンファクター、読み出しノイズ、full well、実際のゲイン、ダイナミックレンジと評価に必要なデータを、数値データとともに直接出すことができる優れものの機能です。各数値をZWOのASI294MCの測定値と比較しても、かなり一致していることがわかるので、ZWOの出しているデータはかなり信頼できることがわかります。

というわけで、このコンバージョンファクターを求めること自体がすごく重要で、この(ゲイン依存の)変換係数があるおかげで、ADCの値を読むだけでありとあらゆるものを電子の数で考えることができるようになるので、単位が揃って便利だということです。



2. FW: full well, 飽和電荷容量

さて、このコンバージョンファクターがわかると、ADCの読みから様々なものが単位 [e-]として、電子の数で数えることができるようになります。例えばfull wellです。十分にサチレーションを起こすくらい明るい光をカメラに入射し、その時のADCの値の平均値を読み取り、それをコンバージョンファクターで電子の数に変換してやったものがfull wellになります。実測から例えばゲイン0だとADCで16385 [ADU]程度カウントされ、full wellが63271 [e-]となっているので、14bitのADCの分解能である16383の全部を使っていることになります。この値もZWOによるASI294MCの測定値の63700と比較してかなり一致していることがわかります。他にも、例えばGain200、すなわち20dBで一桁内部ゲインを上げた時のADCのカウントは1494 [ADU]で、その時のfull wellが5766で、これは14bitのADCフルレンジ16383の約9.1%を使用していることになります。

こうやって考えると、ZWOが今回改善されたと言っているfull wellの値63700は実際にはADCの14bitというダイナミックレンジの上限から制限されていることがわかります。


3. Read noise: 読み出しノイズ

ここまでわかると、Read noiseの意味もやっと分かってきます。日本語でいうと読み出しノイズだとか言われるこのノイズは、センサーの読み出し回路に起因するノイズのことです。これは露光時間に依存せずに短時間撮影でも必ず存在するノイズです。もう一つよく似たノイズにダークノイズというのがあります。こちらはセンサーに光が入っていない時にも暗電流が流れることにより存在してしまうノイズで、時間のルートに比例して増大していくノイズです。

これらのノイズの測定は、実際にはカメラに蓋をしてセンサーに光が入らないような暗い状態で測定したトータルノイズから算出します。測定されるノイズはダークノイズσdark [e-/sec] と読み出しノイズσread [e-]が合わさったノイズが出てきて、実際に測定されるノイズをσとすると、

σ^2 = σdark^2 x t + σread^2

という関係式で書くことができます。ダークノイズは時間のルートで増加していき、読み出しノイズは時間に依存せずに一定なので、十分な積分時間を取ると後者は無視できるため、まずは長時間撮影をしてダークノイズを測定します。その後、2枚の同条件で暗いところで1秒間でとった画像2枚をの差分を取ると、その時のノイズσ2との関係は

σ2^2 = 2 σdark^2 + 2 σread^2

となるため、そのトータルノイズから既知となったダークノイズの貢献分を除くことにより、目的の読み出しノイズを求めることができます。

当然のことながらこれらの測定は全てADCの出力を見ているので単位は [ADU] で出てくるのですが、先に測定したコンバージョンファクターがあるために、電子の数 [e-]に変換することができます。例えばカメラのGainが200、すなわち20dBのとき、今回の実測からRead noiseは1.65 [e-]と出ましたが、この時のコンバージョンファクターが0.35 [e-/ADU]なので、(この20dBというゲインの時は)ADCの出力として1.65 / 0.35 = 4.7 [ADU]くらいのノイズが実際には出てくることになります。

SharpCapはこの読み出しノイズまで自動的に測定してくれる優れものです。実測した値は最小値で1.4 [e-]程度と、ZWOが言っている1.2 [e-]には少し及びませんでしたが、それでも実測でこれならば十分優秀なカメラなのだと思います。


4. DR: dynamic range, ダイナミックレンジ

さて、最後に残ったダイナミックレンジですが、これはもう簡単で、Full wellをRead noiseで割って、bit換算したものです。例えばGainが0の時は63271 / 7.91 = 7999ですが、これをbitで表してやるとほとんど13bitになります。Gainが400の時は585 / 1.43 = 409とかなりダイナミックレンジは小さくなり、bitで書くと8bitが256で9bitが512なので、8bitの後半ということで8.68と出ています。



いま外を見たら、とうとう雪になっていました。今週はまだしばらく天気は期待できそうもありません。そんなわけで、今回は色々と部屋の中で試してしまいましたが、SharpCapの新機能にびっくりするなど、面白いことがたくさんわかりました。今回言えることは、ZWOのASI294MCはメーカーが示している性能と実測値がかなり一致していることがわかったということだと思います。これはある意味驚異的だと思います。

とりあえずなんとかカメラを測定する手段を手に入れたので、次回もう少し手持ちの他のカメラも測定してみようと思っています。


その3: 続きです。実際の使用を想定して見ました。

また、ノイズについてさらに詳しく検証して見ましたので、
興味のある方はこちらをご覧ください。 




 

我が家に3台目のCMOSカメラ、通称赤カンがやってきました。ZWO社の新製品ASI294MCで、目的はもちろん電視です。1台目の224MCは星見屋さん、2台目の178MCはZWOのwebサイトから直で、今回はKYOEIさんでの入手になります。

元々は今回もZWOで手に入れようともしたのですが、国内の販売店の方がサポートなども楽にできるのでお勧めとのことです。実はKYOEIホームページを見てもZWOの新製品は載っていないので、最初ZWOに直に行ったのですが、残念ながらZWOでは在庫切れでした。一方KYOEIさんの方は、webには載せていなくても在庫があるとのことで、問い合わせてみることが大事だとよくわかりました。


ASI294の中身

さて、実際に箱を開けてみた中身ですが、

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  • まずはセンサーサイズの大きさに驚きます。これまで使っていたCMOSカメラとは全然違う印象です。
  • ASI224MCやASI178MCと違って、まずCSマウントの簡易レンズが入っていません。なので初めてのCMOSカメラとして一番最初に使おうとすると、簡単にテストができないので戸惑うかもしれません。フォーサーズレンズか、鏡筒を別途用意しておくといいでしょう。
  • 1.25インチ(φ31.7mm)に変換するアダプターは同じですが、それに加えてT2径を11mm伸ばすアダプターが付いていて、そこに先のφ31.7mm変換アダプターを取り付けることができます。そのため普通のアイピース差込口にそのままはめることができます。
  • さらに16.5mmと書いてあるアダプターがあるのですが、これは「M43-T2 adapter」と呼ばれるものなのでしょうか、4/3レンズをつけるマウントみたいですが、私はまだフォーサーズレンズを持っていないので確かめられません。
  • どうもいくつかZWOのASI294MCページの説明と写真とは少し違うようで、まず説明の方の1から7番の部品で、3、5、6番がオプションとなっていますが、2番のEOS-T2アダプターもオプションで付属はしていません。私は以前電視用に購入しているのですが、Canonレンズを使いたい場合は持っていてもいいかもしれません。
  • 1番のM43-T2 adapterは写真の方には載っていませんが付属しています。代わりに写真の「T2-1.25'' adapter」は付いてこないようなので注意が必要です。
  • キャップが1.25インチ、2インチともに付いているのは好感が持てます。


ASI294MCの特徴

さて、ASI294MCの特徴ですが、電視観望という観点からなにが面白いかと言いますと、

1. まずはフォーサーズという大きなサイズでありながら、2017年6月とかなり最近発表されたSONYの裏面照射CMOSセンサーIMX294を使うことで、SNR1s0.14lxという驚異的な数値を出しているところでしょう。これはこれまで最高だったASI224MCにも使われてるIMX224や、ZWOのもう一方の新製品ASI385MCに使われるIMX385の0.13lxに相当する値で、なおかつセンサーサイズが2.5倍から4倍と圧倒的に大きいということです。同じ画角で焦点距離の長いレンズを使うことでより暗い星まで映し出すことができるはずです。SNR1sは電視にかなり直結する値だというのが以前調べた時の印象で、今回は大きく期待できるところです。

2. また画素数も4144x2822もあり、不足気味だったASI224MCの1305x977と比べると、撮影にも十分対応できるくらいの分解能です。

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右がフォーサーズサイズのASI294MC、左が1/3インチサイズのASI224MCになりますが、実際のセンサーサイズを比べてみると、その差は歴然です。単純に一辺で4倍なので、面積は16倍になります。

なお、中の黒いリングは最初から固定されていて、取り外して使うことは想定していないようです。私は最初これにフィルターをつけることができるのかと思っていましたが、よくみるとネジを切っているわけではないので、取り付けることはできなく、下手に取り付けようとすると下のガラス面を傷つけるので気をつけた方がいいです。

3. 一素子のサイズも3.75umから4.63umと大きくなっているので、一素子あたり受けるフォトン数も約1.5倍となります。

それでもSonyのα7Sに使われている一素子8.4umでフルサイズ35mmというお化けセンサーに勝つことは到底できませんが、あれはセンサー単体では発表されていないのと、一眼レフカメラという制限がどうしても付いてしまうために、星食い問題があったり、別途スタックができないということなどから、意外に今回のIMX294でもなんとか太刀打ちできるのではないかと考えています。

4. 伏兵なのがFull wellが63700とかなり大きいということかもしれません。これまでASI224MCでの電視で不満だったことの一つが、明るい恒星がすぐに飽和してしまうことでした。大きなFull wellはダイナミックレンジに直結するので、飽和を緩和できるかもしれません。


考えられる使い方

まず一番に考えられるのが、大きなセンサーサイズを利用した、50mm以下の短焦点レンズを用いての広角の電視です。星が画面一面に散らばったような映像を楽しむことができると期待しています。
(追記: 2017/12/17にやっと少しだけ雲間から星が見えてファーストライトが実現しました。本当に圧倒的な迫力で星がちりばめられていました。)
その中に色がついた星雲がいくつも見えるような電視観望ができたらと思っています。実際、天の川などの淡い部分もかなりの光害下でも見えてしまうのではと思っています。いろいろ試してみたいと思っていますが、問題が一つ。これまでASI224MCの電視で使っていたようなCSマウントやCマウントのレンズを使うことは苦しくなってくるはずなので、別途レンズを揃える必要があります。以前買ったNIKORの50mm、f=1.4でまずは試して見たいと思います。

これまではASI224MCのセンサーサイズの制限から、星雲などを見るときも200mm以下の非常に短い焦点距離のレンズを使っていましたが、もう少し長い焦点距離のレンズを使うことができます。具体的にいうと、FS-60CBに0.5倍のレデューサーをつけて180mm程度にしていたものから、FS-60Q状態の600mmで使うことが十分できるようになります。圧倒的な解像度で楽しむことができるでしょう。その一方、当然焦点距離が伸びた分暗くなるので、電視にとっては幾分不利になるのも事実で、より明るい光学系が欲しくなるかもしれません。もしかしたら一番最初に買って最近あまり出番のない口径20cm、焦点距離800mmのSKYWatcherのニュートン反射BKP200がかなり使えるかもしれません。

できることなら撮影にも使いたいと思っています。冷却タイプではないのですが、解像度、14bitという分解能、圧倒的なセンサー感度から考えて、かなり「気軽」にそこそこの撮影ができてしまうのではないかと密かに期待しています。

さて、富山は冬型の気圧配置で今日も雲一面です。雪も降り始めているのですが、新CMOSカメラのテストができるように、晴れてくれる日がとても待ち遠しいです。


その2でASI294MCの性能評価しています。
 

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