ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:カメラ > ASI294MC

先日の撮影結果から、ファーストライトでVISACにASI294MC Proで撮影した際にはピンボケだったのではないかというお粗末な結論だったのですが、一応再度検証です。

この日は月齢13.5日、ほぼ満月に近いです。アペニン山脈を含んで撮影をし、これを以前の画像と比較します。


撮影条件

鏡筒: Vixen VC200L (口径200mm, 焦点距離1800mm)、通称VISAC
架台: Celestron CGEM II
センサー: ZWO ASI294MC Pro
フィルター: なし 
日時: 2019年8月14日、23時5分から
場所: 富山市下大久保
月齢: 13.5

露光時間4ms、ゲイン120、RAW16で1000フレーム撮影して、上位25%の250枚をAutostakkert!3でスタックします。Registaxで細部を出し、Photoshop CCでしあげます。


前回はピンボケだったのか?

まずは、今回撮影したものと、同条件で前回撮影してピンボケだったと思われるものの比較です。

comp_VISAC_focused
明らかに同条件での撮影で、今回の方が解像度が高いので、前回はピンボケだったと結論づけていいと思います。


ASI294MC Proのセンサーの分解能は足りているのか?

次に、今回ASI294MC Proで撮ったものと、前回ASI178MCで撮ったものとの比較です。1素子のサイズがそれぞれ4.65umと2.4umで、ASI178MCの方がより細かいです。比較してみます。

comp_VISAC_294_178
やはり明らかにASI178MCで撮った方が分解能が出ています。この時点で、左のASI294MCProで撮影した方は(ピンボケの可能性は捨て切れませんが、それでも相当気を使って合わせたので)、アンダーサンプリングのためカメラのセンサーの素子の細かさで制限されてしまっていて、鏡筒が持つ分解能を活かしきれていないと結論づけることができると思います。

その証拠の一つとして、上の画像の右のASI178MCで撮ったものをPhotoshopで解像度を約2分の1(正確には2.4um / 4.65um = 0.516倍)にして、もう一度もとの画素数に戻したものと比較します。

comp_VISAC_294_178low
これで見る限り、ASI178MCの解像度を半分にしたくらいで、かなり分解能は一致しているように見えるので、ASI294MC Proでの撮影結果も素子サイズ相当のものが得られていることがわかります。言い換えると、ASI294MC Proでの撮影はまだ工夫することによって分解能を上げることができそうだということです。


考察と結論

以上の結果から、VISACに素子サイズ4.65umのASI294MC Proで直焦点で撮影した場合、アンダーサンプリングで、センサーの素子の細かさが足りていないため、VISACの持つ光学的な分解能に達していなくて、その性能を引き出しきれていないことがわかりました。

今回は実際の画像でそのことを確認したのですが、定量的に理屈とどこまであっているかも時間があれば検証したいと思います。


今後の課題

さて、VISACの性能を生かすためには、素子のサイズが小さいセンサーを選ぶ必要がありますが、当然素子が小さくなれば感度は落ちます。例えばASI224MCとASI294MCは素子サイズがほぼ同じなので同様の感度がありますが、ASI178MCは素子サイズが小さいため、実際に試してみたところ感度は4分の1程度しかありません。





もしくは、ASI294MC Proのサイズの大きさと感度を生かすためには、バローレンズなどを入れて中心部を拡大して撮影するなどの工夫で、VISACの分解能を生かしきれると考えられます。でもバローレンズを入れることで問題が起きないかなど、実際にきちんと検証する必要がありそうです。



最後はお月様の全体像

さて、せっかく満月に近いの日の撮影だったので、2枚をモザイク合成して全体をが見えるようにしてみました。合成はMicrosoftのICEを使いました。

2019-08-14-1406_4-Capture__lapl3_ap14709_RS_stitch
解像度もそこそこあるのでかなりシャープな月になったと思います。

仕事前の最後の休日の夜でしたが、澄んだ空で、明るすぎるくらいの大きな月がものすごく綺麗でした。


近頃、KYOEIさんにおいてZWO社のASI294MC Proを手に入れました。これまでもASI294MCを使ってきていましたが、今回はこの冷却タイプにあたります。私にとっては初の冷却カメラの使用になります。

でもずっと天気が悪くていまだにファーストライトが実現できていないので、その分時間は余っています。せっかくなので、冷却タイプの性能評価を、ノーマルタイプと比較してみたいと思います。

IMG_6171


 
評価方法

さて、同じようなカメラが2台あるので、興味があるのはその性能の比較です。ノーマルタイプについては以前も性能評価をしています。SharpCapを利用することで、センサーの性能を簡単に実測することができます。測定できる項目は
  • コンバージョンファクター
  • リード(読みだし)ノイズ
  • フルウェル(飽和容量)
  • 実効ゲイン
などです。

SharpCapのSensor Analysis測定は3段階に分かれています。
  1. 最初はGain 0でe/ADU(コンバージョンファクター)を測定。
  2. 次が蓋をしての、ダーク、最短露光時間状態での、リードアウトノイズの測定。
  3. 最後に、再び蓋を外してゲインを変えての実ゲインの測定です。

詳しい説明はリンク先を参照するとして、興味があるのはセンサーが同じで、冷却した時にどこにどれくらい違いがでるのかを実際に確かめてみたいと思います。


 

測定時の注意点

測定は久しぶりだったので多少戸惑いました。今回気になった、測定するときの注意点です
  • 最初はRAW8に設定されていることが多いです。RAW16モードで測定すること。
  • 光源はiPadを使ったのですが、明るすぎるのと、フリッカーのような瞬きがあるので、紙を何重にかして光を通しています。
  • 光の量の調整が結構シビアです。暗いよりは明るいほうが測定の失敗が少ないです。測定開始時の最初の自動露光時間調整で、適度な露光時間に落ち着いたときの値が20msとかより短くなると、測定を開始することができますが、光量がまだ少なくて失敗する確率が増えます。露光時間が2msから5msくらいまでの間になるようにすると成功率が上がります。
IMG_6280
  • うまくいかない場合の典型なケースでも、最初のe/ADU(コンバージョンファクター)の測定と、ダークの測定まではすんなりいくはずです。
  • 次の「ゲインを変えての測定」がうまくいかないことがあるかもしれません。ここで失敗すると最初からすべてやり直しです。そのほとんどが光量が少なすぎて、露光時間が長くなりすぎるケースです。一つは、ものすごく光量が少ないとゲイン0の時に10秒以上の露光になって止まってしまうこと。たとえもう少し光量があっても、多分これはSharpCapのバグだと思うのですが、露光時間が1.5sとか1.7sくらいの時に、測定完了の判定がうまくできなくて、露光時間を長くしたり短くしたりを繰り返すことで、タイムアウトで終わってしまうことです。回避方法としては、光量を増やして、すべての測定の露光時間を1s以下に抑えることです。
  • できる限りホワイトバランスが取れている光を入れたほうがいいのかと思います。測定時の写真が以下のように紫に寄ったような光になりますが、センサーで見るとバランスが取れていたりします。
IMG_6273
  • 今回はiPadのColor Screenというソフトを使い、センサー側で見たホワイトバランスをある程度合わせてから測定しました。でもホワイトバランスがある程度ずれていてもうまく測定してくれるようで、何度か測定してもあまり結果は変わりませんでした。あまり気にしなくてもいいのかもしれません。
  • 結構重要なのが、SharpCapの一番下のPreviewingとかdroppedとか出ているところです。接続状態が悪いとdroppedの値が増えていきます。droppedが0でなかったらおかしいと思って、ケーブルをさしなおす、ケーブルを変えるなどしてください。0でなくても測定はできますが、すごく時間がかかります。通常の測定は全部終了するまでに5分もかかることはありません。dropしていると10分以上かかったりしてしまいます。


ASI294MC ノーマルタイプ

まずは測定がうまくできているかを検証するために、以前と同じASI294MCのノーマルタイプで測定しました。この時のセンサーの温度は冬の暖かい部屋の中での測定ということで、37度程度でした。センサーが動いている場合は外気温よりは高くなるので、特に問題ない温度だと思います。

IMG_6224


測定結果ですが、約一年前に測ったものと比べても、誤差の範囲内で特に変化はなく、経年劣化なども確認されなかったと言えます。相当ハードに、約1年間使い込んでもほとんど性能劣化が見られないというのは特筆すべきことだと思います。

ただ、読みとっている横軸のゲインの設定値がだいぶん違っています。これはSharpCapの方の選択の問題なのですが、以前は低ゲインを細かくとっていたり、最大ゲインの570をとっていたりしましたが、それらがなくなりました。その代わりに59と61をとるとか、119と121をとるとか、性能が大きく変わるところをあらかじめ知っていて、測定しているみたいです。今回の場合もゲインが119と121で特に読み出しノイズの値が大きく変わっていて、メーカーが出しているグラフの結果をよく再現しています。

ちなみに、RAW8で測定した結果は以下のようになり、8bitのダイナミックレンジで制限されてしまうことがよくわかります。SharpCapのマニュアルにはできるだけ大きなビット数で測定しましょうと書いてあるので、16ビットで測っておくのがいいのでしょう。

IMG_6207


ASI294MC Pro 冷却タイプ


IMG_6235
箱の中身。オフアキとかのことも考えて、各種厚みのリングが入っています。
CD-ROMの中に日本語のマニュアルが入っています。わかりやすいです。 

次にASI294MC Proですが、まずはUSB接続のみで、外部電源(12V/3Aと表示されています)も繋げずに常温で比べてみます。ただ、同じ部屋の中で測定してもなぜかセンサーの温度がそこまで上がりません。しばらく待って温度をならして、しかも測定をしながらでも25度程度でした。これは冷却コントロールをしなくても外気温をうまく取り入れる機構ができているのかもしれません。

IMG_6283

測定結果は、ASI294MCのノーマルタイプとほぼ同じです。正確に言うと、ノーマルが37度、Proが25度と温度が低いにもかかわらず、Proのほうが少し結果が悪いのですが、これは個体差の範囲内でしょう。


実際に冷却しての測定

さて、ここからの冷却過程は初めての経験になります。12V, 3A以上出せる外部電源を用意します。今回はいつも使っているACも出すことのできる40000mAhのリチウムイオンバッテリーの12V出力端子を使いました。SharpCapのThermal Controlsのところをオンにします。ターゲット温度を下げていくと、使用電力が上がり、センサー温度が下がっていく様子がわかります。何度が試しましたが、一番下がった時で-20度に設定して、-15.8度まで行きました。ものの5分もたたないくらいにターゲット温度まで行くので、ずいぶん簡単です。最低到達温度は外気温に結構依存しそうです。

測定時は-15度がターゲットで、到達温度が-11.7度でした。その状態での結果です。

IMG_6271


一見常温の時と変わりないように見えますが、リードノイズは明らかに下がっています。温度を変えて測定したのでグラフを示しておきます。

all

上のグラフだとかなり重なっていてわかりにくいので、Gain = 500のところだけを別のグラフにしてみました。

G500


これを見ると、温度とともにリードノイズが増えていることがわかります。理屈の上では回路系の抵抗の熱雑音が多少貢献していると考えられるので、温度が下がることによってリードノイズも下がることが期待されます。測定でもリードノイズが温度によって下がることは確かめられましたが、その一方、結果だけ見ると大した効果でなく、せいぜい40℃温度が上がると1割増えるとか、たかだかそれくらいということもよくわかると思います。


ダークノイズとリードノイズの関係


ここで今一度リードノイズとダークノイズの関係を確認しておきます。カメラに蓋をしてセンサーに光が入らないような暗い状態で測定した場合、測定されるノイズはダークノイズσdark [e-/sec] と読み出しノイズσread [e-]が合わさったノイズが出てきて、実際に測定されるノイズをσとすると、

σ=σ2darkt+σ2read

という関係式で書くことができます。ダークノイズとはセンサーに光が入っていない時にも暗電流が流れることにより存在してしまうノイズで、時間 t のルートに比例して増大していくノイズです。

SharpCapの場合は、測定時間 を設定できる最短の時間0.032msとして、上式の前項を無視できる形にして読み出しノイズσreadを直接測定しているようです。ただ測定過程をじっとみていると、測定中に"Brightness"を変化させてバイアス(ヒストグラムで見ると、ピークの中心値のこと)を何度か変えてテスト測定をし、最後は"Brightness"を20に固定して最終的な読み出しノイズを測っているようでした。この過程の理由がよくわからないのですが、ばらつきの結果出てくる負の値を防ぐためのように思われます。

ちなみに読み出しノイズは、画像処理で行われるバイアスノイズと同義と言ってしまってもいいのかと思います(これちょっと自信がありません)。


ダークノイズの温度依存性

読み出しノイズは温度の依存性はあまりないことは上の実測でわかりましたが、ダークノイズは盛大に温度に依存します。簡単にですが、その結果だけ示しておきます。

測定時の条件は
  • モード: RAW16 (16bit)
  • 露光時間: 30s 、バイアスノイズの時だけ0.0032ms
  • Gain: 120
  • Brightness(オフセット): 20
  • ホワイトバランス: Red 50, Blue 50
  • 画像はfitsファイルをPixInsightで開き、DebayerはせずにそのままJPEGに変換
です。Gainが120の理由ですが、ここでノイズが小さくなるからです。

まず露光時間を最短にしたリード(バイアス)ノイズに相当するもの。ただし測定時の温度は17.6℃です。
dark_10_frames_17.6C_2019-01-27T02_11_10


次に、露光時間を撮影時を想定して30秒とした場合でリードノイズとダークノイズが合わさった場合で、温度が低温時の-16.2℃の場合です。明るさは上のバイアスノイズと比較できるように同じ値でストレッチしました。
dark_10_frames_-14.1C_2019-01-26T20_42_42

右上にアンプノイズが見えます。左側に明るいカブリが見えますが、これは漏れ光とかではないと思うので、何か余分なノイズが出ているようです。

最後に同じく露光時間30秒で、常温時の温度が25℃です。
dark_10_frames_16.2C_2019-01-27T02_06_54

低温時と比べて背景も相当明るくなります。さらに拡大してみるとわかるのですが、輝点がはるかに大量に発生しています。


まとめ

疲れたので、今日はとりあえずここら辺までとします。今回わかったことは、
  • ASI294MCは一年ほど使い込んでも経年劣化のようなものは見られない。
  • ASI294MCとASI294MC Proにおいては常温時では性能に差が見られない。
  • Proの方がクーラーを使わなくてもセンサー温度が低い状態を保つことができる。
  • 読み出しノイズは、温度の増加で大きくなるが、大した影響ではなく、40℃温度が上がって1割程度の増加である。
  • 一方、ダークノイズは温度増加で、背景、輝点ともに盛大に増える。
などです。温度によるダークノイズの差は見えましたが、これが実際の撮影にどれくらい効くのか、次回以降、気合が残っていればもう少し定量的に評価してみたいと思います。

今回の記事は結構一般的なことだけ書きましたが、まだまだ他にもまとめきれていないことがたくさんあります。例えば、
  • リードノイズとBrightnessによるバイアス設定の関係
  • バイアスはゲインを合わせなくてはいけないのか?
  • Gain120の振る舞いがあまりに面白くて、これだけでひとつ記事が書けそう
とかです。特にGain120はちょっと変っぽいです。なんか、サチらないピクセルが存在するためにノイズが少なく見えているだけのような印象です。

いやあ、CMOSカメラも奥が深いです。温度というパラメータが一つ増えたのでちょっと溢れ気味ですが、焦らずゆっくり進めていきたいと思います。




先週、今週と2回にわたり撮影したホタル。前回記事にした静止画に引き続き、今回動画をまとめました。ホタルのリアルタイム撮影は超高感CMOSかめらを手に入れてからずっとやって見たいと思っていたことでした。

カメラはこれがあって初めてリアルタイムのホタル撮影が実現したと言ってもいいZWO社のASI294MCで、そこに50mmのオールドNIKORレンズをつけています。F1.4なので、ASI294MCの高感度と相まってかなり明るく撮ることができます。ソフトはいつものSharpCapです。それでも実際のホタルが飛ぶのが映るくらいのリアルタイムでの撮影は相当暗かったので、いくつか工夫をしています。

まず動画と言うためには、最低10FPSほどないとスムーズに見えないことがわかりました。できれば20FPSくらいあるとかなり滑らかになります。露光時間でいうと50msということです。今回の動画は主に20FPSで撮ったもので、一部10FPSです。それ以下のものはホタルの軌跡に飛びができてしまっていて使うことを諦めました。15FPS程度が明るさとスピードの妥協点くらいかもしれません。

FPS数を大きくすると、当然一コマあたりの露光時間が短くなるの、でゲインを上げる必要があります。ゲインを上げすぎるとノイズが大きくなり、ダイナミックレンジが小さくなってくるのであまり上げたくありませんが、それでも明るく取ろうとするとほぼ最大ゲインレベルに近いものが必要となります。

それを回避するためにハードウェアビニングを2としました。これで明るさが4倍になります。解像度は落ちますが、それでももともとASI294MCは高解像度なのでビニングしても2072x1410ピクセルで撮影でき、Full HD(1920x1080)を十分確保できます。実はASI294MCのフル解像度4144x2822で撮影すると転送速度の制限で数FPS程度にまで落ちててしまいます。4Kのリアルタイム撮影は、画素数的には足りていてもかなり厳しいのかと思います。

解像度だけを落として転送速度を上げることもできますが、それだと画面の一部だけ切り取ってしまうので、ASI294MCの特徴の4/3インチ大センサーの恩恵が生きてきません。ビニングだと画角は最大のままで解像度だけ落ちるので、大センサーの恩恵が使え、そのまま広角で撮ることができます。


一つ不思議だったのが、RAW16で撮影すると表示画面が相当暗くなってしまうことです。撮影されたファイルを見てもRAW16の方が見た目暗くなるようです。仕方なく今回はRAW8で撮影しましたが、なぜこうなるのか理由がわかっていません。もしかしたらバグの可能性もあります。


撮影した動画の編集はMac上のiMovieで行いました。SharpCapのRAWファイルは.ser形式なので、まずはSER PlayerでAVIに変換します。それでもiMovieはAVIをそのまま読み込むことはできないので、例えばHandBrakeでMP4形式などに変換するか、QuckTime PlayerでMOV形式に変換します。最初HandBreakでやっていたのですが、どうもQuickTimeの方が階調が豊かに出るようです。もちろんビットレートなどの条件によるので一概には言えませんが、編集環境がMacで閉じるならば標準でついて来るQuckTime Playerの方が最初から強制的にMOVに変換して表示してくれるので楽だと思いました。

iMovie上では多少の画像処理ができます。ホワイトバランス、Brightness、コントラスト、レベル補正に相当するもの(ただしRGBまとめて)、彩度、カラーバランスくらいでしょうか。ないよりは遥かにマシですが、やはり少し物足りません。本当は動画上でトーンカーブがいじれればもう少ししまった仕上がりにできたのかもしれませんが、無料のiMovieにそこまで求めるのは酷かもしれません。Premireクラスだとそういったこともできるのでしょうか?他にも、タイトルとかキャプションももう少し豊富だとありがたいと思いました。

タイトルです。シンプルなものを選びました。

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最初の動画は、歩いて行くと一番初めに見えてくる川べりです。いつもはここはそれほど飛んでいないのですが、今年は大量に飛んでいました。さすがに暗いのである程度ノイジーになってしまいます。

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娘のNatsuの手の中で遊んでいるところです。捕まえると小さい子とが寄ってきます。ここは地区を挙げてホタルを保護しているところです。当然ですが、すぐに逃がしてあげます。持って帰るようなことをする人は見たことがないです。地域の方とおしゃべりすることができるのもこの場所の魅力でしょう。ここまでがASI294MCとNIKKOR50mmでの撮影です。

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水路のところの遠景と近景です。この景色が一番好きかもしれません。この2ショットはASI294MCとNIKKOR35mmで10FPSでの動画です。初日でビニングも思いつかなかった、まだ試行錯誤段階の時です。

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次が前回も出した比較明合成のために撮ったもののタイムラプス映像です。EOS 60DとシグマのF3.5, f10-22mmです。

vlcsnap-2018-06-14-09h07m32s302

再びASI294MCとNIKKOR50mmで動画撮影です。かなり暗くて相当厳しいです。

vlcsnap-2018-06-14-09h07m15s043


最後がASI294MCシグマのF3.5, f10-22mmでの天の川撮影です。天の川はそこそこ出ているのですが、調整不足で周辺がかなり流れてしまっています。

vlcsnap-2018-06-14-09h06m48s740


さて、実際の動画ですが、下がYouTubeにアップしたものになります。まともに動画を編集しようとしたのは今回が初めてで、YouTubeへのアップも初めて少し真面目にやって見ました。推奨のH.264で15Mbpsでアップしましたが、それでもやはりオリジナルのものからは、特に階調と細部描写は多少落ちてしまっているようです。ここら辺はもう少し最適化の余地があるかと思います。




この動画を作るにあたって、ホタルの動画を検索しましたが、ホタルが飛んでいる動画を、リアルタイムかつ明るく、なめらかに撮っているものはそれほど多くは無いようです。いくつかSONYのα7Sで撮影しているものが見つかりましたが、暗いものも多いです。センサー自身はASI294MCよりα7Sの方が高性能のはずなのですが、ASI294MCは計算機を必要とする代わりに、ビニングなどの微調整をPC上でできるのが有利に働いているのかもしれません。それでもいくつかはα7Sで綺麗に撮れているものがありました。レンズなどの機材や撮影技術にももちろん依るのかと思います。あと、NIKONのD800で今回の私と全く同じ場所を撮った素晴らしい動画がありました。この方は動画編集にAdoveのPremireを使っているようです。ものすごく綺麗な画質で出ています。

私も相当昔、まだ学生の頃、動画処理がやっとできるかどうかという時代に秋葉原の当時のTSUKUMOでIEEE1394カードと、SCSI3(!)接続の不思議な格安の10GBの大容量(笑)HDDを買って、そこについてきたPremireを使って動画編集をしていたことがあります。今ではもうほとんどどんな機能だったか忘れてしまいましたが、その当時から飛び抜けて高機能だったので、今もすごいのかと想像してしまいます。高感度カメラもどんどん一般になって来るので、将来はもっと楽に取れるようになるのかと思います。



今回の反省点です
  • いくつかのホットピクセルと思われる輝点が出てしまっています。露光時間も感度も決まっているので、ダーク補正をリアルタイムするべきでした。
  • ASI294MCにZWOのCanonレンズアダプターを付けて、さらにNIKORレンズにCanonアダプターを付けて撮影しています。そのため周辺がボケまくってしまいました。レンズからセンサー面の距離をきちんと調整していないためかと思われます。あと、少しガタがあるので間にテープなどを詰めてガタつかないようにしなくてはいけません。
  • 動画はASI294MCが適していますが、比較明合成するための20秒程度の長時間露光はEOS 60Dの方が楽だと思いました。当たり前ですが計算機など必要無く単体で撮ることができます。露光時間をかけることができ、画像処理もじっくりできるなら、わざわざCMOSカメラで撮る必要はないという意味です。動画の場合は高感度センサーのASI294MCの方が圧倒的に有利です。

反省点は多々ありますが、今回初の本格的な動画編集で、念願のホタル動画が撮れたこともあり、結構満足です。

ちなみに今日は自分の誕生日。いつのまにやらもう46です。家族には先週末に祝ってもらい、物は赤道儀をかなり前に先物買いしてしまったので、この動画は自分自身の誕生日記念になりそうです。


 

5月24日、平日ですがとても晴れているのでASI294MCをMEADEの25cmシュミカセLX200-25に取り付けての電視観望です。焦点距離が1600mmのf6.3と、焦点距離があまり長くなく明るいので電視観望に向いてそうです。

実はこの日は惑星撮影のためにMEADEの25cmのシュミカセを使っていたのですが、実際の撮影をするにあたり、やはりまだ色々準備不足なところがあることが判明しました。まず、C8での惑星撮影の時に使っていたマイクロフォーカスを使うことができません。 もともとこの鏡筒は頂き物で、接眼部がオリジナルのものかどうかはわからないのですが、少なくとも付属のアダプターで手持ちのマイクロフォーカスを直接取り付けることはできませんでした。そのためミラーシフトを避けることができず、ピント調整がとても厳しいです。また、フードを用意していないため、しばらくすると補正板が曇ってきてしまいます。自宅で電源が取れたので無理やりドライヤーで温めたりしたのですが、ヒーターなども用意する必要があるかもしれません。あと副鏡の調整もまだ全然甘そうだということも判明しました。一度明るいところで合わせたのですが、内外像は全然ダメで、逆に内外像から合わせていくとピントを合わせた時に全然ダメです。そんなこんなでこの日は一旦惑星は諦めて、お気楽な電視観望へと路線変更したというのが実情です。

さてそんな適当な動機の電視観望でしたが、夏の星雲星団は久しぶりで、しかも新カメラと明るい鏡筒なので思いのほか楽しむことができました。まずは定番のM57です。

Stack_40frames_160s


SharpCap上で適当にスタックしたのを一旦PNG形式で保存して、ブログにアップするためにjpgに変換しただけの、後からの加工などは何もしていない、実際に画面でリアルタイムで見えている画像そのものです。4秒露光で、記録を見ると40回スタックしているので、計2分40秒の露光になります。拡大すると中心星もきちんと2つ写っています。解像度が高いカメラなので、リアルタイムで拡大しても画面が破綻しないです。ピントが甘く、流れてしまっているのは惑星撮影の際の鏡筒の副鏡調整の失敗であきらめたときの名残ですのでご容赦ください。

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右端の方に、近くの渦巻銀河IC1296も入ってはいますが腕はさすがに全く見えていません。IC1296の腕とともにM57をいつか綺麗に撮るのが目標の一つです。

ちなみに今回の電視は一回の露光時間を4秒、ゲインを470に固定して、dark画像を撮ってリアルタイムで補正をしています。dark補正をしないと

Stack_40frames_160s_hot

のようにホットピクセルによる偽色が出てしまいます。dark補正をすると普通に見るぶんには問題にならないレベルくらいにはなります。また、赤道儀の極軸の精度が悪くて画面が流れていくと、星をうまく重ねていくアラインメントの効果で画面をずらしながらスタックしていくので、ホットピクセルが目立たなくなります。露光時間やゲインを固定しての電視は厳しいことも多いので、わざと極軸をずらすというテクニックはTipsとして知っておいてもいいかもしれません。

ちなみにこの偽色はASI294MCだけの問題ではなく、ASI224MCでも同様に出て来ます。というより、以前はじめてまともに極軸をきちんと合わせてから電視観望をやって、そのときにやっとホットピクセルに気づいたという経緯があります。


次も定番のM27です。ライブスタックで見たままのものです。4秒露光で46回、計3分4秒です。

Stack_46frames_184s

ちなみにその時の画面をiPhoneで撮ったものがこちらです。ちょっと明るく写っていますが、基本的にはノイズも色もその場で見るのと同じような見え味です。

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さすがに撮って出しだと少しノイジーなので、 Photoshopで3分加工です。お気楽3分露光に3分加工でこれならまあ許容範囲でしょうか。

Stack_46frames_184s

次はM13の撮って出しです。

M13_Stack_46frames_184s


やはり周辺減光が激しいので、今度はフラット補正をリアルタイムでするといいかもしれません。ちなみにこれもPhotoShopでガンマだけいじる30秒加工で見栄えだけはもう少し良くなります。

M13_Stack_46frames_184s_gamma



最後は三日月星雲。画面を撮ったのしか残ってませんでした。

IMG_4586

自宅からなのでこれくらいが限界です。あ、ちなみにこの日は上弦の月を過ぎたくらいで、この時間にはまだ月が明るく照らしていました。なので条件はそもそも良くないです。月がなければもう少し全体的にましになるかと思います。

久しぶりの一人電視観望でしたが、夏の星雲、星団を見ることができて結構満足でした。平日で次の日も仕事なのであまり遅くなることもできず午前0時前には退散でした。



 

ASI294MCを使っての電視観望を以前レポートしましたが、鏡筒は口径わずか60mmのFS-60Qを使ったため、暗いというのが印象でした。口径のもっと大きな鏡筒を使えばこの問題は解決するのではと思い、今回は焦点距離が800mmと比較的近いBKP200を使って試してみます。

計算上は口径が200mm/60mm = 10/3倍、焦点距離が800mm/600mm = 4/3倍なので、明るさは ((10/3)/(4/3))^2 = (5/2)^2 = 25/4 ~ 6倍くらいになります。FS-60Qの6秒露光がBKP200での1秒露光に相当するということです。


まずオリオン大星雲。明るいので非常に見やすいです。今回は動画です。

 



さすがは口径200mm。500ms露光ですがほぼリアルタイムになっていて、見ていても全く見劣りしません。もちろんASI294MCの高感度と高解像度、高い飽和容量も効いているでしょう。

ライブスタックの様子も映像でアップしておきます。画像調整を少ししているので、上の動画とは少し見え味が違いますが、スタックしていくにつれてノイズが減っていくのがわかると思います。



最後は馬頭星雲と燃える木ですが、今日は少し霞みがかっているせいか、自宅からではあまりはっきりとは見えませんでした。こちらは6.4s露光でのライブスタックになります。最初見えなかった馬頭星雲が、スタックするにつれて、見えてくるのがわかると思います。


他にもいろいろ見たのですが、一つ気づいたことがあります。どうも迫力に欠けるのです。最初は春霞のせいかと思っていました。でも先の馬頭星雲でも、FS-60Qの時の方が暗いのですが迫力がある気がするのです。例えば以前撮った写真の記事と比べて見てください。明らかにFS-60Qの方がよく見えています。

ここでやっと気づいたのは、BKP200にセンサー面先の大きいASI294MCをつけると、周辺減光が激しいのです。周辺減光といっても普通に眼視する分には全く気にならないレベルです。でも電視の場合にはある意味明るさの違うごくわずかな色領域をリアルタイムであぶり出すようなことをするので、どうしても周辺減光が目立ってしまいます。これが圧倒的に迫力を無くしています。フラットで補正すればいいかもしれませんが、露光時間、ゲインごとにフラットを用意して、リアルタイムでそれぞれの設定によって変えていくなんてことは現実的ではありません。

また、これは反射のせいなのでしょうか、コントラストが低い気がします。副鏡などがあるので反射の方がコントラストが低くなるという話はよく聞きます。通常の撮影では画像処理でコントラストを多少持ち上げることができるのですが、今のSharpCapではコントラスト調整はありません。V3.0以前はコントラストなどがあったので、もしかしたら古いバージョンの方が見栄えがいいかもしれません。最近雷ボタンに頼りすぎなのですが、調整機構を省かれてしまった弊害が出ているのかと思います。

今回の状態はBKP200のため明るさ十分、ASI294MCのため解像度十分過ぎ、でも周辺減光影響大の状態です。解像度が十分すぎるので、もしかしたら焦点距離が3ぶんの2以下になるFS-60CB状態にして、明るさを2倍以上にして、解像度は犠牲にし(それでもまだPC画面の解像度に比べて十分すぎ)、より広い範囲で見るのが一番楽しいかもしれません。



週末の金曜日、岐阜方面の山側が晴れていたので、富山ももしかしたら今日は晴れるかなと期待しながら、夕方仕事帰りに自宅近くまで来ると、雲はないはずなのになぜか一面のすごい濃霧。たまたま雲がない日になんでまたこんな霧が...と思いました。

あまりの天気の悪さに、ずっとネタ切れでブログの更新も止まっていたのですが、今回はいくつか新しいことがありました。まず夕飯を終えて自宅でのんびりしていると、この間落札した35mm f1.4のNIKKOR -NC Autoレンズが届きました。目的は主に電視観望用ですが、味のある写りらしいので普通の撮影に使っても意外に面白いかもしれません。NIKKORのオールドレンズは50mmに続きこれで2本目になります。


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NIKKOR NC Auto 35mm f1.4


この前シグマの10mm-22mm f3.5をASI294MCに使ってみたのですが、もう少し明るいものが欲し買ったのと、同じく50mm f1.4のNIKKORもASI294MCで試したのですが、これよりもう少し広角が試したかったからです。ASI294MCはセンサーサイズがフォーサーズとASI224MCより大きくなっているので、CマウントやCSマウントレンズが使えません。カメラ用の明るいレンズは焦点距離が短くなって来ると非常に高価なので、どうしても古いものになってしまいます。APS-C用のシグマの35mm f1.4も考えたのですが、フルサイズでも使えるものと思い、オークションで出ていたものを落としました。

手にれたレンズは相当昔のもので、俗にいう「アトムレンズ」、別名「放射能レンズ」「トリウムレンズ」とかいうものとのことで、かなり「黄変」といって黄色くなってしまっています。

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PCの画面を白くして撮って見ました。明らかに黄変しています。

そう思って見て見ると、以前買った50mmの方も気にしていなかったのですが、今見るとやはり黄変しています。どうせホワイトバランスは画像調整で整えるのであまり気にならないのですが、透過率が悪いのはもったいないです。紫外線で透明に戻るという情報もあるので、そのうちに試してみようと思います。あと、途中のレンズにアイリスの羽根の跡が少し残っているのが気になりましたが、撮影にはほとんど影響ないみたいです。いつか分解した時に掃除しようと思います。少し調べてみるとこのNCというのは1973-1976年に製造されたもののようで、今から40年以上前のレンズです。今では珍しいと思われる、金属製のフードがついています。

さて、レンズ到着の時に外に出てみると、霧もすっかり晴れて本当に久しぶりに星空が広がっていました。早速届いたレンズを試してみます。このレンズで試したかったことが、前回あまりうまく見えなかったバーナードループです。しかもガイドなしどころか、赤道儀も追尾もなしの、カメラ三脚にASI294MCを取り付けて、玄関先にポンと置いただけの完全固定撮影です。どこまで手を抜いて撮影ができるかです。

レンズの見え味は、まあ予想の範囲内。50mm f1.4をそのまま少し広角にしたような感じです。f1.4でフルに開放すると星像がぼやけてしまったので、一段階だけ絞ってf2にしました。これでぼやけ具合は気にならない程度です。

今回は試しなので5秒露光で100枚撮ってみました。露光8秒あたりから、拡大すると星が流れ出すのが見えるようになったのでもう少し短い時間にというのが5秒の理由です。ヒストグラムのピークをそこそこ右に持って来るために、ゲインは相当高く400/570にしています。 

一枚一枚はこんな感じです。うっすらバーナードループが見えているのと、左上にバラ星雲が薄く見えています。

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電視観望と違い、撮影になるので今回始めてSharpCap上でフラット補正とダーク補正もしてみました。フラットフレームの撮影はこんな感じになります。

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後ろの画像が撮影したフラットフレームですが、撮影時と同じパラメータで、10枚撮って平均化しています。レンズにスーパーの袋を被せたのですが、なぜか赤っぽくなってしまっています。フラット撮影時にダーク補正が必要なのかどうかよくわかりませんでしたが、今回はダーク補正はせずにフラットだけで試しました。ダークも含めて何枚くらい取る必要があるか、ゲインと露光時間はいいのですが、他にカラーバランスやガンマ、ブライトネスなど、どのパラメータが効いてくるのかもう少し検証が必要そうです。ただ、フラットはに関してはやるとやらないでは、不完全でもやったほうが周辺減光の影響は大きく軽減されることがわかりました。

固定撮影の場合、スタック処理はこれまでのSteller Imageだとずれてしまってうまくできないみたいなので、今回始めてPixinsightと戦っています。


次の記事に続く。

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