現在電視観望には主にタカハシのFS-60QとiOptronの80mmを使っていますが、入門記事の中で言及していた比較的入手しやすく、安価なCelestron製のTravel Scope 70が使えないか試してみました。

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もともと電視観望は最初の頃は口径の大きなものを使っていたのですが、使っているCMOSカメラASI224MCのセンサーサーズが小さいため、焦点距離の短いFS-60Qのエクステンダーを外したFS-60CB状態の、焦点距離355mmで使っていました。それでも焦点距離が長い時もあるので、さらに0.5倍のレデューサを使ったりもしています。ただ、解像度の出ない電視観望にFS-60はちょっと贅沢なので、安価なiOptronの口径80mmを電視専用にと胎内星まつりで買ったのですが、ちょっと入手しにくいこともあり、より安価で入手しやすいCelestoronのTravel Scopeを試して見ました。私は胎内星まつりでシュミットさんでジャンクで鏡筒のみで購入したものですが、普通に天体ショップはおろか、普通にアマゾン楽天ビッグカメラなどでバッグまでついて一式で一万数千円で購入することができます。

感想は一言で言うと、やはり安価なのでそれなりのスペックだが、電視に限ってしまえばまあ使えないこともないと言ったところでしょうか。

まず一番困ったことは、ピント調節ネジの反転で像が大きくずれることです。ピント固定ネジがあって、それを占めると多少マシなのですが、それでも結構ずれます。まあ、プラスチックなので仕方ないでしょう。こんな時はピント調節ネジの裏の4つのネジを外して、接眼部を抜いてしまい、鏡筒の内側の接眼部が当たるところにテープなどで厚みをつけて径を小さくしてしまえば安定になります。と思って分解してみたら、3本あるプラスチックの細長い板の2本にすでにテープが付いていました。ジャンクで買ったので、誰かがつけたのか、最初からついていたのかはわかりませんが、同じようなことをやっている人もいるので方向性には間違いがないようです。

ところがやっていて気づいたのですが、接眼部を固定するネジのすぐ上に小さな穴が二つあって、その中にイモネジが入っています。このイモネジを小さな六角レンチで締めることで内側に入っている3本の板を外側から抑えることができ、接眼部が当たる径を調節できます。ジャンクで買ったのでマニュアルがないためわからなかったのかと思い、英語版のマニュアルをダウンロードして読んで見たのですが、そのような記述はないので、工場出荷時の調整以降あまり調整されることは想定されていないのかもしれません。いずれにせよテープ案は却下で、このネジ2本を調整することでガタはかなりなくなりました。

さて、実際にに導入してASI224MCでいつものようにM57を最初に見てみました。まず気づいた点が、なぜか色が乏しいのです。写真で比較します。

  • iOptron
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  • Travel Scope 70
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ぱっと見の印象がそうだったのですが、改めて比較しても明らかに段階的に変わる惑星状星雲の色が貧弱に見えます。色々試していてわかったのは、Travel Scopeの方が色収差が大きいのではないかということです。そもそも短焦点なので色収差が出やすいのですが、さらにセンサーで強度に拡大しているので、どうしても精細さにかけてしまう映像になります。

  • 参考に、昨年撮ったFS-60CBのものも載せておきます。
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場所も時間も違うので一概に比較できませんが、やはり色収差に気を使った鏡筒だと電視においても違いが出てくるようです。それでもSharpCapでの調整をきちんとすることで、楽しめる範囲なのだと思います。他には特に不自由なところは何もありませんでした。値段から考えたら十分及第点ではないでしょうか。

簡単なテストなので、今回はこんなところですが、色収差に目をつぶればTravel Scope 70でも十分電視観望を楽しむことはできそうです。もう少し広角な天体なら相対的にさらに色収差も気にならなくなるでしょう。比較的気楽に買うことのできる鏡筒なので、思い切って電視専用としてしまうのもいいかもしれません。