ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:調整・改造 > テスト

長く続いてきたSV405CCの評価も佳境になってきました。今回の記事は作例とともに、青ズレの謎に迫ります。さてさて、どこまで解明できるのか?


北アメリカ星雲再び

まずは作例です。今回の一連の記事のその2で出した北アメリカ星雲の再撮影です。

目的は2つ、
  • 前回の撮影は透明度がかなり悪く、階調がほとんど出なかったので、そのリベンジ。
  • 四隅の流れを改善しておきたい。
といったところです。本当はあと一つ、あわよくば青ズレを直す方法が見つかったらと思いましたが、この時点ではそれは叶いませんでした。

まず透明度ですが、今回の撮影では白鳥座の羽の先が見えるくらいよかったです。その影響はかなり大きく、見た目だけなら今回の3分露光の1枚で前回の全スタック分くらいの諧調が出ています。(アップロードの関係でサイズを各辺半分にしています。)

2022-07-02_00-00-47_NGC 7000_180.00s_g120_0.10c_0050_low

依然青ズレは出ていますが、これならインテグレーションしたら階調に関してはかなり期待できそうです。

もう一点、マルチフラットナーを使っているにもかかわらず、前回までバックフォーカス長を適当にとっていたため、SV405CCでもASI294MC PRoでも、いずれの撮影にも関わらず四隅の星像が流れまくりでした。

2022_07_01_01_39_49_M_20_180_00s_g120_0_10c_0034_mosaic
前回までの間違ったバックフォーカスでの四隅の一例。

タカハシの鏡筒はCanonやNikonといった、一眼レフカメラのバックフォーカス長に合わせてアダプターなどの製品を提供しています。今回は手持ちのタカハシ純正のCanon用の一眼レフカメラ用のアダプターを使ってマルチフラットナーのバックフォーカス長に合わせるようにしました。このアダプターに合わせてCMOSカメラを使う場合は、例えばZWOから出ているCMOSカメラとCanon EFマウントに変換するアダプターを使うこと、ほぼ何も考えることなくバックフォーカス長があった状態にしてくれるので楽です。

今回は、かなり前に買ったZWOのCanon EFマウントアダプターを使ってみました。現行モデルはフランジ長が固定ですが、初代のZWOのCanonマウントアダプターはフランジ長を1cm位調整できます。CBPを取り付けたくて、SV405CCに付属の1.1.25インチフィルター用のリングをセンサー部に取り付けたので、ZWOのCanonマウントアダプターは少し手前で固定されるはずです。そのため、マウントアダプターの長さは最短に調整しました。この状態で四隅を見てみると、

2022_07_02_00_00_47_NGC_7000_180_00s_g120_0_10c_0050_mosaic
のように四隅の流れはほぼ無くなりました。

その後、撮影前に少しだけ青ズレを直せないか試したのですが、この日は結局太刀打ちできず、透明度も良くて時間ももったいなかったので、そのまま撮影続行としました。結局天文薄明開始までの午前3時前まで3分露光で72枚撮影しました。前半は雲が通ることも多かったですが、後半はずっと快晴でした。使えたのは雲のない44枚の2時間12分ぶんでした。


画像処理

インテグレーション直後の画像をオートストレッチしたものです。

integration1

一部拡大するとわかりますが、依然青ズレがあります。

integration1_Preview01

もう一つ、今一度上の画像をクリックして拡大して見てもらいたいのですが、微恒星の中心が暗く抜けてしまっています。最初はピントが合っていなかったと思っていたのですが、実際にはかなりピントは気を付けて合わせているにもかかわらず、ほぼ毎回こうなります。また、そーなのかーさんがSV405CCで撮影した画像も同様に中心抜けになっているようなので、どうもこれはピンボケというよりは何か系統的に問題があるような気がしています。

恒星に関しては仕方ないとして、そのまま画像処理を進めます。

途中やはり恒星部分で苦労しました。一番大変だったのは、StarNetのバックグラウンドと恒星部の分離の時に、色ズレのせいかハロの部分がバックグラウンドと認識されてしまい、ここを誤魔化すのが大変で、最後まで不満が残ってしまいました。

Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT_bg

パッと見はわかりませんが、B画像を抽出してみると同様のハロが他にもたくさん残っていて、あぶり出しとともにたくさんのハロが目立ってきます。

結果


Image24_Linear_PCC_ASx2_MS_HT3_cut_tw
  • 撮影日: 2022年7月2日0時38分-2時53分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: SIGHTRON CBP(Comet BandPass filter)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: SVBONY SV405CC (0℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイド
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分x44枚で総露光時間2時間12分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、128枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間 0.3秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

淡いところの階調もかなり出ています。前回の透明度の悪い時より相当良くなっています。庭撮りでここまで出るならまあ満足でしょう。あとはやはり恒星です。

普通ならここでおしまいなのですが、もう少し続きます。ここから大きな進展です


青ズレ検証その後

上の北アメリカ星雲の撮影のあと、もう少し青ズレに関して何かわからないかと思い、後日いろいろ試してみました。ただし雲が多く出ていたので、その隙間でのテストであまり時間をかけることができませんでした。

とりあえず、SharpCapで3分露光を何ショットか撮影しました。最初のショットがやはりこれまでのように暗くなるのが再現され、やはりドライバーレベルで何かやっているのかと思います。この時、雲の動きが速く、雲間が貴重なためにすぐにNINAに移りました(ここで焦っていたのが後で効いてきます)。

NINAでは少し雲が薄くなってきて余裕も出てきたので、じっくり青ズレを見ながら、ASI294MC Proとも交換しながら、何が問題かじっくりみることができました。

一つ疑っていたことがあって、オフセットが40と小さすぎることが原因ではないかということです。SV405CCの場合、オフセットは最大255まで設定でき、今回はわずか40と、最大の6分の1くらいとしています。ちなみにASI294MC Proの場合は最大80で半分の40としています。前回のPedestalの記事であったように、オフセットが低くて輝度の低いところが問題を起こしているのかと思ったわけです。でもオフセットが40の場合でも、120にした場合でも、青ズレに関してはなんら違いが見られませんでした。なので、オフセットは無関係かと思います。

結局、このとき画面を見ながら出した結論は、ASI294MC Proでは何をどうやっても(ゲインやオフセット、露光時間など)青ズレのようなものは出ない、その一方SV405CCでは何をどうやっても(こちらおゲインやオフセット、露光時間など)青ズレを消すことはできない。ということでした。

その後、改めてSV405CCのRAW画像を、RGBで分離して見たり、4つのセグメントごとに見たりしました。
  • SV405CCのBayer パターンがなぜかGRBGであること。ASI294MC ProはRGGB。
  • でもなぜか星雲の濃さから判断するとCF0:G1, CF1:B, CF2:R, CF3:G1のように見えること。
  • CF2の恒星中心部近くに極端に暗くなっている欠損部が多いこと。輝度は周りの1%程度であるが0でないこと。
  • CF1に星の中心部近くに輝度が完全に0のところがあること。CF2ほど欠損の数は多くないこと。
などがわかりました。そーなのかーさんも同様のレポートをしていたので、再現性もあるようです。

結局、この時点ではどうすることもできなくて諦めて、次はNINAで触れないパラメータをいじってみるのかなと思っていました。というのも、CMOSカメラはどこかに設定が保存されていて、例えばSharpCapで触った設定が、FireCaptureを立ち上げるとそのまま引き継がれるというようなことがあるからです。


なんと、原因判明!

そんなことを考えながら昨晩、上の北アメリカ星雲の画像処理を終えて、次回テストの準備をしようと思い、「そういえばSharpCapでSV405CCで撮影した画像があったなあ」と何の気無しに開いてみたら、どこをどう見ても青ズレが見えません。

Capture_00001_20_47_33_RGB_VNG
SV405CCでSharpCapで撮影。青ズレは皆無です。

2022_07_04_21_28_47_NGC_7000_30_00s_g120_10_00c_0084
上の画像の直後にSV405CCでNINAで撮影。明らかに青ズレが出ています。

わかりやすいように拡大して比較して見ます。
ShapCap_NINA_SV405CC
左がSharpCap+SV405CC、右がNINA+SV405CCです。

明らかに違いがわかると思います。ただし、SharpCapでの露光は180秒、NINAでの露光は30秒です。露光時間が逆だったらまだ疑いの余地もありますが、NINAでわずか30秒で青ズレが出てしまっているので、結論は覆らないでしょう。これは明らかにどうやっても青ズレが消えなかったNINAとは、状況が全く違います。

カメラのドライバーはSharpCapでもNINAでも同じ「SVBCameraSDK.dll」を使っています。一応念のために改めて確認しましたが、SVBONYで配布されている1.7.3のカメラドライバーを普通にインストールしたあと、SharpCapは最新版を改めてインストールすると、SVBCameraSDK.dllに置き換わっていました。その一方NINAでは現在の最新版でも、カメラドライバーは最新のものに自動的に置き換わらず
、その前に使っていた1.7.2のままだったので、マニュアルでSharpCapにインストールされていたSVBCameraSDK.dllをNINAの方にコピペして、改めてNINAを立ち上げて1.7.3になったことを確認しています。

ここまでの検証が正しければ、最新版のNINAでの読み出し方の問題ということになります。


よく考えると、SharpCapで撮影した時は雲が流れてたので、時間がなくあせっていて青ズレをきちんと画面で確認していませんでした。そういえばSharpCapで電視観望した時もSV40CCで青ズレが出なくて、彩度もSV405CCとASI294MCで変わりがなかったことを改めて思い出しました。この時は露光時間が短かったからかと思っていましたが、どうもNINAとSharpCapの違いの方が濃厚そうです。

今のところCMOSカメラを使ってのDSOの撮影はShaprCapではディザーガイドがやりにくいなど、NINAやAPTなどに頼らざるを得ません。SV405CCはAPTは対応していないので、実際はほぼNINA一択になるかと思います。NINAでこの青ズレがある状態は致命的です。

というわけで、SVBONYさんの方に今回の結果を報告し、開発陣に連絡してもらうように頼みました。これでキチンとNINAでも対応してくれるように手配してもらえれば、青ズレ問題はとりあえず解決することになりそうです。

今の段階であとやれることは、次に晴れた時に改めてSV405CCを使ってSharpCapで撮影、画像処理までしてみて、(ディザーはやりにくいのでパスするかもしれませんが)青ズレが出ない仕上げ画像まで作ってみることでしょうか。


まとめ

ここまでの結果が正しいのなら、問題はハードではなくてソフトで解決できるということになります。ここが切り分けられるだけでも、かなりSV405CCの未来は明るくなります。その際、彩度がこれまで通り出なくなるのかちょっと気になりますが、まあ優先度としては次の話でしょう。

SV405CCの初期の評価、長かったですがやっと解決につながる道を見つけることができました。やっとあぷらなーとさんにお渡しすることができそうですが、どうもあぷらなーとさん骨折で入院しいるとかで心配です。焦らせてしまっても申し訳ないので、活動できるようになってから渡るようにしたいと思います。


3月3日の木曜の晩、新月期でとうとう晴れてくれました。SCA260で撮影がてらいくつかのことを確認したいと思います。


目的と対象天体

今回のSCA260での目的はいくつかあって、
  1. ナローバンドフィルターの枠を取り換えたことで周辺減光が緩和されたかどうか確認すること。
  2. 副鏡をきちんと固定したため、鏡筒の向きを変えても光軸がずれないことを確認すること。
  3. 3分露光で星像が丸になることを確認すること。
です。これらの効果を見るだけならどこでもいいので星空を1枚撮影すればいいのですが、せっかくなのできちんとターゲット天体を定めて枚数を撮影して作例としたいと思います。

ターゲット天体ですが、2つの可能性を考えました。まず一つはもともとSCA260は春の銀河まつり参戦の意味合いが強いので、星像がピシッと出るかどうを確かめたいこと。特に、焦点距離が1300mmとそれほど長いわけではないので、
  1. バローを入れて高分解能を目指す
  2. 以前タカsiさんが言ってくれたように、ASI294MMの1binを使って高分解能を目指す
  3. もしくはバローと1binの両方を使う
の3択でどれが一番良いかを確かめてみたいと思っています。ただし銀河なので基本はRGB撮影です。

もう一つは、ナローバンドの周辺減光を確かめるためにHα、OIIIなどで見える輝線星雲を狙うことです。現在次期フィルターホイールをどの方向でいくか迷っているので、今回はナローバンドフィルターの周辺減光を確認することを優先し、輝線星雲を撮影対象とします。ただ、この春になりかけの時期はだんだん銀河がメインになってくるので適した輝線星雲があまりありません。さらに、星像を他の方の結果と比較してみたいので比較的メジャーな天体がいいのかと思っています。

いろいろ迷って、一度撮ってみたかった馬頭星雲の拡大像にすることにしました。


撮影

オリオン座はもう西に行こうとしているので早めの撮影になります。なのでまだ明るいうちから準備を始め、天文薄明終了後すぐに撮影にはいります。これまでのSCA260での撮影と違うのは、繰り返しになりますがナローバンドフィルターのフィルター枠を1mmほど内円の径が大きいものにしたことと、もう一つはガイドをオフアキから120mm+ASI290MMに変えたことです。オフアキの方が精度が出るはずなのですが、ASI120MM miniの感度があまり良くないこともあり、見ることができる星の数が数個のオーダーで少なすぎるので、マルチスターガイドができません。もともとSCA260の焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、今回はマルチスターガイドを狙い普通のガイド鏡を使うことにしました。

撮影は最初順調に進みましたが、10枚撮ったところで曇ってしまい、その後も待ちましたが晴れることはなく撤収となりました。


結果画像

Hαフィルターで撮影した10枚の中で、比較的よく撮れた1枚撮りです。PixInsightでオートストレッチだけしています。
2022-03-02_21-21-53_IC 432_LIGHT_HA_-10.00C_180.00s_G120_0010
これを見る限り、ナローバンドフィルターの周辺減光は許容範囲内と言っていいでしょう。なので、手持ちのフィルターを活用すると言う意味でも、少なくともフォーサーズのASI294MM Proに対してはフィルターホイールは31.7mm用のもので十分で、まずは今の5枚入るものから8枚入るものにアップグレードします。

星像ですが、拡大図です。
2022_03_02_21_21_53_IC_432_LIGHT_HA_10_00C_180_00s_G120_0010_cut
それほど悪くなく十分に真円に近くて、私的には十分許容範囲です。副鏡をきちんと固定した効果はあったようで、光軸ずれももうほとんど起きないと言っていいでしょう。3分露光でもしこのレベルが安定して出せるなら十分です...が、

上の画像はかなりいい方のものです。比較のために、撮影したうちの画像処理に回せるレベルのものを5枚ピックアップして中心部を拡大したものをgifにしてみました。位置合わせまでしてあるので、星の位置は変わりません。
Blink
こうやって比べてみると、やはり真円かと言うとまだ程遠くて、細長くなったりしています。伸びる方向はランダムなので、これは赤道儀のせいというよりはシンチレーションでしょうか?

念のため、10枚撮影したうちの落とした悪い方5枚をみてみます。こちらは位置合わせができてないので、星の位置が動きますがご容赦ください。
Blink
何かの拍子に揺れてしまい(ほとんどがガイドのon/offで飛んだものかと思われます)こちらも方向はランダムです。赤道儀起因で揺れているとしたらですが、今回の撮影では赤経の揺れが垂直方向、赤緯の揺れが水平方向になるように合わせています。なので赤経のみとか、赤緯のみとかの特定のモードが出ているようなことはなさそうで、突発的な揺れ、もしくはシンチレーションなどの常時のランダムな揺れが支配的なのかと推測されます。風は比較的穏やかでしたが、風や地面の揺れの可能性もあるかと思います。ただ、やはり手で鏡筒を触ると揺れると言う事実は変わりないので、もう少し頑丈な赤道がは欲しいところではあります。

さて撮影ですが、3月2日に続いて、その後の3月3日と4日も馬頭星雲を撮影できたたので、なんとか仕上げるくらいの枚数にはなりました。それでも両日とも暗くなった後に晴れてきて、そこからオリオン座が西に沈む手前までなので、雲がかかったものやブレたやつとかを除いたら、初日の分も合わせてもトータルわずか1時間半ほどでした。こちらは画像処理が済んだらまた別の記事に書きます。


まとめ

SCA260がやっと3分露光でまともに撮影ができるようになってきました。ただしそれでも使えるのは高々3分露光で撮影したものの50%くらいと、まだ実用レベルと言うにはちょっと厳しいです。さらに長時間露光にしたら採択率も下がるでしょう。もっと頑丈な赤道儀があるといいのですが、もう少し我慢です。

先週日曜、SCA260のファーストライトでしたが、その際内外像をみると外像が少しずれているのがわかりました。どうやら光軸調整が必要そうです。


明るいうちの光軸調整

昨日の土曜日の昼間、明るいうちにSCA260の光軸調整をしてみました。マニュアルに書いてある通りに進めます。
 
1. スパイダーの張り具合は均等で、副鏡は中心に来ているようなので、スパイダー調整ネジはいじらずそのままに。

2. 副鏡の光軸方向の位置は、マニュアルの通りギャップ5mmなので、こちらも触らずそのままに。

3. コリメーションアイピースを用意し接岸側から覗いてみると、明らかに中心がずれています。本来は中心の黒丸が、次に大きい黒リングの真ん中に来ないとダメです。目の位置を多少ずらしても、コリメーションアイピースの固定ネジを多少どうこうしても、コリメーションアイピースを回転させても、ズレの傾向は変わらず。これは有意にずれていると判断し副鏡を調整することにしました。

IMG_3800a

マニュアルに従って、副鏡の3つのネジを触ります。どのネジがどの方向に動くかわからなかったので、まずは一つ緩めます。すると上にずれていた中心の黒丸が、リングに向かって下方向に動いていくので、そのまま緩めていきます。途中ネジがゆるゆるになったので、別のネジを締める方向で、同時に横方向も真ん中に寄せるように動かします。結局2本のネジをいじっただけで、見た目では中心の黒丸がその外のリングの中心に来たのでOKとしました。

4. 最後に主鏡の調整です。マニュアルに従って、まずは3箇所にあるそれぞれ3本のネジ、計9本を緩めます。というか、最初からかなり緩んでいました。次にコリメーションアイピースを外し、接岸部から像を確認します。重要なのは目の位置です。中心の黒丸がその外の円の中心に来るような目の位置で確認します。これはコリメーションアイピースをつけたままやった方が正確なのかもしれません。でもコリメーションアイピースに付いている十字線が邪魔なので、今回は外して見て見ました。じっくりみても、さらに外周の円も全て同心円に見えたので、結局主鏡はいじらずに、最初に緩めた計9本のネジを締めて完了としました。9本のネジは締めすぎると主鏡圧迫があるかもしれないので、今回は軽く締めただけです。

結局、副鏡のみがずれていたことになります。元々合っていたのが運搬でずれてしまったのか、元から合ってなかったのかはわかりませんが、副鏡はずれることがあると思っておくことにします。その副鏡のズレも、VISACの光軸調整に比べたらもう全然簡単で素直そのもの。これならあまり光軸調整の経験がない人でも迷うことはないと思います。


接岸部の整備

他にも色々準備しました。

まずは接眼側。カメラはASI294MM Proでの運用が中心になるかと思っています。モノクロなのでフィルターも必要で、ここは手持ちのZWOのアメリカンサイズ5枚の電動ホイールを使います。ガイドよりオフアキシスガイダー(オフアキ)のほうが運用上良さそうな気がするので、こちらも用意します。

鏡筒に付属のアダプターはM68、M54、M48の3つです。80mmのイメージサークルがあるために、大きな径で光を通す設計になっていますが、私はしばらくはフォーサーズでの運用なので、M48からさらに絞っていきます。

まずはM48にオフアキを取り付けてみました。問題は回転方向の自由度がなさすぎること。付属の3つのアダプターはただのネジなのである位置で回転が止まります。オフアキも基本M48ネジで鏡筒本体に取り付けるのであるところで回転が止まってしまい、オフアキの上下が中途半端な位置になってしまいます。これだとオフアキ本体にピックアッププリズムを差し込む位置が決まっているので、回転が止まった位置によっては、オフアキカメラの位置がフォーカサーなどと干渉してしまいます。

これらの問題は、M48のところに薄いプラスチックシートなどで作ったリングを入れてやり、回転が止まるを調整すればいいのですが、そのリングをつける手頃な厚さのシートが手持ちではないので、買ってくる必要があります。それでもシートはあくまで粗調整の範囲で、回転の微調整までは難しいので、どこかで妥協しなくてはいけません。

結局今回はオフアキをつけようとすると、カメラと本体が干渉してしまうことが分かったので、諦めることにしまて、別途持っていたオフアキ本体と同じくらいの幅のM48からM42(T2)に変更するアダプターを使うことにしました。オフアキについては次回以降の課題とします。

このSCA260のバックフォーカスは、M54のアダプターのネジ部分がない平面のところから75mm。思ったより短いです。オフアキの代わりに取り付けたM48-M42アダプターとホイールですでに一杯一杯です。今のホイールにはT2メスから1.25インチのアイピース口に変換できるアダプターをつけていて、そこにノーズをつけたカメラをつけようと思っていましたが、これだとすでに75mmを超えてしまいます。どうしようかと迷っていたら、ホイールにT2のオスオスのアダプターが付属されていることに気がつきました。これを使うことでカメラのT2ねじに直接取り付けることができ、75mm内に抑えることができました。

カメラをT2ねじで取り付けると、同様に回転位置の問題が発生しカメラの回転角が定まりません。なので今の状態では本体とフォーカサーとホイールとカメラの回転位置はしっちゃかめっちゃかです。T2の薄いリングだけは少し持っていたので、あまりにひどくならないようにはしましたが、微調整とか言うレベれるではありません。ここも次の課題とします。

IMG_3803

回転を微調整できる唯一の自由度が、鏡筒本体とフォーカサーのところです。ここを調整することでカメラの回転角が欲しい位置になるようにできます。この回転は、マニュアルによると底面のマイナスねじでフリクションが調整でき、横のいもねじを閉めることで固定ができるそうです。

ただ、フリクション調整のマイナスネジは合計3つあり、底面のだけでなく、他の2つもゆるゆるだったので、3つともある程度締めて回転の滑らかさを調整しました。また、固定用のいもねじは毎回レンチを出すのが面倒なので、M6のキャップスクリューで手締めすることにしました。手締めでちょうど固定でき、締めすぎないため破損もしなさそうで、ちょうどいいくらいかと思います。

IMG_3828


ガイドをどうするか?

これで最低限カメラで像を見る準備はできました。

今回はオフアキを諦めたので、さらに撮影のためにはガイド鏡を取り付けておく必要があります。これは鏡筒上部のプレートに、アルカスイス互換のプレートを取り付けることで、手持ちのガイド鏡を取り付けることができます。上部プレートには手前の方にM4のネジを切った穴が2つだけあります。2つの穴の距離が短いので少し心許なかったのですが、流石にパタパタはしないだろうと思い、とりあえずここに固定しました。

IMG_3809

前回つけた取っ手ですが、ガイド鏡をに干渉しないように、少しだけ前方にずらしました。ただ、重心からずれてしまったので、持ち運びに少し苦労しました。この位置も今後の課題です。

オフアキを導入した際、ガイド鏡を無しにするかどうかは後で考えることになると思います。ガイド鏡としては必要ないのですが、電子ファインダーとしては必要かもしれません。でも実際の導入は焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、ファインダーなしでも意外に大変ではありません。上部プレートの前後の2つの角を明るい星に合わせてやると、フォーサーズカメラならかなり近くまで来ているので、少しだけ上下左右にふってやると大抵入ってくるくらいです。なので、ファインダーとしては必要ない気がします。

実際にこのガイド鏡が必要なのはSharpCapを使った極軸調整の際です。星が流れないためにも、ガイドに負担をかけないためにも、極軸は1分角以下、長焦点なのでできるなら0.5分角以下くらいで合わせておきたいです。そのため、オフアキでのガイドが軌道に乗ったとしても、極軸調整だけのためにテンポラリーに毎回載せることになるかもしれません。


数少ない不満 

一つだけ問題点がありました。付属の温度計ですが、横に外れ防止の爪がついているのですが、この爪がキツすぎて鏡筒本体に温度計を取り付けることができません。プラスチックハンマーとかで叩けば入るかもしれませんが、液晶を壊すのがいやなのと、うまく入っても二度と取り出せないい気がしています。少し爪を削るとかする必要がありそうです。


外での設置

さて、夕方に向けて実際に赤道儀にのせて撮影の準備を始めました。

IMG_3813

準備完了で待っていると、暗くなるにつれて雲が出てきます。今年は何回もこれだったので、もうあまり不満は言いません。とりあえずこの日は長時間の撮影は諦めて、雲間でのテスト撮影にだけになりそうです。

結局北の空も厳しく極軸もあきらめて、雲越しでも多少見えるベガあたりを導入し、短時間露光で見てみました。


セカンドライトによる星像確認

先週日曜に引き続き、セカンドライトになります。

とりあえずベガ周辺です。まずSharpCapに映るを星像を見て思わず「ムハッ!」となりました。相当いいです。光条線も鋭くて、周辺も均等。

Capture_00004 19_02_42_WithDisplayStretch

四隅を拡大してもほぼパーフェクトな点像です。これは素晴らしい。

Capture_00004 19_02_42_WithDisplayStretch_cut9

条件ですが、SCA260にASI294MM Proを常温で、ゲインは400、6.4秒の1ショットです。赤道儀はCGEMですが、北の空が曇りで極軸調整をしていないため、30秒で完全に流れてしまい、20秒でも流れが確認できます。撮像に追尾エラーの影響がないように10秒以下の短時間露光としました。周辺像は300x300ピクセルを切り出しています。全体がASI294MM ProのBIN2で4144x2822ピクセルなので、各辺で10%位を見ていることになります。

これまで反射型で周辺まで星像がしっかりしている鏡筒が手持ちではなかったので、これは大きな進歩です。VISACはしっかりする時もありますが、しっかりしないときの方が多くて、安定性という意味では厳しいと言う判断です。SCA260は光軸調整でもそうでしたが、ピント出しもそこまで山が鋭くなさそうで、安定運用という意味でもかなり素性がいいように思えました。もちろんまだまだ短時間露光なので、長時間露光で枚数を重ねてから判断する必要がありますが、使っていてとても素直そうという印象です。

揺れに関しては、やはり鏡筒を触ると5Hzくらいで揺れますが、特に触ったりしなければ6.4秒露光で見ている限り速い揺れによる星像悪化はほとんどないので、問題ないように思えます。ただし風が強い時は別途検証する必要があるかと思います。

次回チャンスがあれば、6Dでフルサイズの4隅の星像も確認して見たいと思います。フォーサーズのASI294MM Proでの撮影を想定していましたが、これだけ口径が大きくて、もしフルサイズでの星像も十分いいのなら、6Dでの撮影も面白いかもしれません。

まとめ

とりあえず星像には満足です。かなり思い切ったSCA260の購入でしたが、十分な価値があると思います。260mmという大口径で、このF値5という明るさで、四隅までこの星像です。あとは撮影がうまくいくなら言うことなしです。もちろん今後も検証を重ねますが、今のところでは相当いいです。

かなり期待大です。これからの撮影が本当に楽しみです。

3年半以上前に購入したドスパラのStick PC。撮影やリモートPCとしてずいぶん活躍してくれました。最近は非力でトラブルも多くなってきて余り使ってなかったのですが、ここにきてやっと買い替えとなりました。

梅雨でずっと雨で、いまいち気合いが入らないです。ブログもなかなか書く気になりません。昨日やっと少し晴れてくれたので、Stick PCのテストも兼ねて電視観望をしてみました。


手持ちのStick PC

私がStick PCに手を出したのは2017年です。ここからの連番記事を見ていただければわかると思いますが、その非力さから設定にはかなり苦労しました。その甲斐もあって寒い冬にもお部屋でぬくぬく状態でリモートで撮影をすることができたので、かなり重宝していました。しかしその後、特にSharpCapのアップデートともに計算量が増え、途中で止まるなどのトラブルが頻発してきたために、徐々に使用を控えるようになってしまいました。これまで使った経験から、少しStick PCについてまとめます。

Stick PCの長所
  • コンパクトで軽量。
  • 外部バッテリーで駆動するので、大きなバッテリーを使えば相当な長時間駆動が可能。バッテリーがないので、へたることがない。外部のバッテリーはへたれば交換すればいいだけ。
  • 基本リモート接続なので、リモートデスクトップさえできればどのPCからでも操作できる。特に寒い冬は自宅の部屋や車の中で状況を確認できる。

Stick PCの欠点
  • モニターがないので、トラブルがあると外部モニターに繋がなければならない。遠征時の使用では念のため小型のモニターとキーボードマウスを持っていく必要がある。
  • 基本的にCPUパワーやメモリがあまりないので、重い操作はあまりできない。

手持ちのStick PCの問題点
  • Windows 10 home editionなのでリモートデスクトップの実現に相当苦労をする。
  • メモリが4GBで、撮影に支障がない最低レベルだが、もう少し欲しい。
  • CPUがAtom x5-Z8550でちょと非力。
  • 付属の記憶領域が32GBで既にWindowsシステムでほとんど消費されていて、Proにさえアップデートするのがはばかられる。->リモートデスクトップを必ず別途用意する必要がある。
  • Carte du CielとPHD2、BackYard EOSでのディザー撮影は可能。SharpCapでの撮影も可能だが、転送レートが遅くとりこぼしや落ちることがある。Stellariumは遅すぎて実用的でない。
  • SharpCapのあるバージョンのころから、Polar Alignで止まるようになってしまった。ビニングして画素数を減らしたり、ROIで画素数を減らすと動くこともあるが、めんどう。そのためPolar Alignだけ別のノートPCでやってから撮影時にはStick PCに繋ぎ直すとかしていた。
とまあ、いろいろ不都合もあるのですが、Stick PC自体はそのコンパクトさとリモート操作から、かなり撮影に向いていると思っているので完全に捨てることができません。それより問題は、このStick PC世間的にはあまり人気がないらしく、なかなか新機種が出ないのです。年何回かStick PCについて調べるのですが、あまり手持ちのと差がないのでイマイチ買い換える気にならなかったのです。なので古くて非力でも使い続けざるを得ませんでした。


新しいStick PCが結構よさそう

Twitterでのnabeさん情報で、新しいStick PCを買ってずいぶん快適になったとのこと。しかもたまたまAmazonのタイムセールで安く出てるのを知りました。メモリが4GBのままだったので、ここだけは8GB欲しかったですが、Celeronのn4120 (AmazonではN4100ともN4120とも表記、実際に来たものは箱にはN4120と表記、でもN4100の偽装の疑いあり、Winodows上ではN4120 1.10GHzと出ている) でストレージは64GBで、性能的には相当の改善です。

20台のセールで私が見た時には既に残り4台だったので、早速ポチりました。もしかしたら天文マニアで買い占めてるかもとの噂です。


セットアップと電源トラブル

何日かして到着。早速セットアップです。

電源はType Cで供給です。Type C端子がついたACアダプターも付いています。出力は5V、3Aとなっています。モニター端子はHDMIとMINI DPがついていて、それぞれ接続用のケーブルもついています。USB3.0が2つ、Micro SDを一枚挿すことができます。

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WindowsはHomeが入っていると思い込んでいて、手持ちのProライセンスがあったのでアップデートしてしまいましたが、そもそも入っていたのはHomeでなくProだったようです。リモートデスクトップの使用だけならアップデートの必要がありませんでした。でもProがはいっているだけでもお得です。

一つだけ気になったことがありました。どうも電源を選ぶようです。付属のACアダプターはもちろんいいのですが、USB端子からの給電だと最初動いてもWindows起動直前で止まってしまうことが何度かありました。

一度も問題なかった電源
  • 付属のACアダプター
  • Macbook Pro用のACアダプター
  • Macbook Pro用と思って買ったLess is moreの「100W IN/OUT」端子

一度でもダメだった電源

ところが、一度ダメだったものも改めて試したりすると、全部きちんと立ち上がるんですよね。イマイチ再現性がありません。

Amazonのレビューに書かれていましたが、「このStick PCのTypeCコネクタはホスト機能がないようで、情報のやり取りをしていない。なので1.5A以上流電流を流せないため、使用することができない。」というような意見です。ところが、少なくとも2度目以降、一番非力と思われるMac本体のType Cから(Mac本体にACアダプター接続なし)でもきちんと起動しているので、上のコメントが間違っているか、もしくは1.5Aまで流れていないかのどちらかです。

使っていて思ったのは、このStick PCものすごい省電力です。バッテリーの持ち時間からの判断ですが、以前のドスパラのStick PCよりバッテリー長く持ちます。Macbook Proに繋いでも、Stick PCを接続する場合と接続しない場合でも、体感的にはMac本体のバッテリーの持ち時間にほとんど違いを感じられません。

USBの電力チェッカーがあれば良かったのですが、持っていないので私も推測と手持ちの電源での検証しかできていません。

安価なバッテリーでも大丈夫そうなのですが、遠征に行く時だけは一番確実なLess is moreを使うことにするかもしれません。


撮影用天文関連ソフトのインストール

さて、一通りの天文関連のソフトをインストールします。最初からあるストレージ領域も64GBとかなり余裕があるので、いくつかのアプリは直接Cドライブにインストールしました。追加で128GBのmicro SDを挿しているので、Plate solveのデータなどのGBクラスのものは追加のストレージの方にインストールしました。インストールしたのは
  • ASCOM platform、ASCOM用にCelestron driverとSynScanドライバー
  • ZWO カメラドライバー
  • Stellarium
  • SharpCap
  • ASIStudio
  • PHD2
  • NINA
  • All Sky Plate Solver
  • PlateSolve2
  • ASTAP
  • EOS Utility
  • BackYard EOS
  • Zoom
くらいでしょうか。画像処理関連はまだ何もインストールしていませんが、撮影までなら十分だと思います。

一つだけ、FireCaptureはまだインストールしていません。理由は取り込み速度が出ないからではないかと思っているからです。FireCaptureは惑星と太陽用途のみ。両方とも取り込み速度が重要なので、そのばあいは相当早いノートPCを使うので、おそらくこのStick PCで使うことはないだろうと思うからです。


簡単な稼働テスト

その後、実際に稼働テストをしてみました。この時のバッテリーは一度もトラブっていないLess is moreでした。

とりあえずやったことは、SharpCapでの電視観望。結果だけ言うと、超快適。サクサク動きます。以前のStick PCのモッサリ感から比べたら雲泥の差です。一つだけ注意は、Stick PC本体裏面のファンを塞ぐと熱で止まってしまうようです。警告が書いてあるのですが、一度たまたまファン側を地面に置いてしまい塞がれていて止まってしまいました。

リモートデスクトップもHomeの時の苦労はなんだったんだと思うくらいスムーズです。まあProなので当たり前ですが。

まだ使い始めたばかりなので、またいろいろ試して報告します。

ちょっと間が空きましたが、N.I.N.A.の試用記の続編です。



前回の記事を書いてからなかなか晴れなくて、やっと日曜の夜に少しだけ星が見えたのでテストしました。本当は撮影までしたかったのですが、結局曇ってしまいNINAのテストだけで終わってしまいました。

第一回の撮影までに加えて、今回は少し応用編。導入など、撮影の準備に相当する部分になります。撮影までのことなので、本当はこちらを先に説明しても良かったのですが、一度赤道儀で導入して撮影まで進めてしまえば見通しが良くなると思ったからです。


スカイアトラス 

最初に左アイコン群の「スカイアトラス」でターゲットを調べるといいでしょう。左上に対象とする天体を入力します。例えばM57と入力すると、その情報が出てきます。

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その際、「オプション」「一般」タブの「スカイアトラス画像ディレクトリ」を設定しておくといいでしょう。ここはスカイアトラスで画像を表示するために使います。サイトのダウンロードページの一番下にある「Misc」のところの「Sky Atlas Image Repository 」をダウンロード、展開して、「スカイアトラス画像ディレクトリ」で設定したディレクトリに置くと、「スカイアトラス」の「詳細」のところにカタログ画像が表示されるようになります(TKさんに教えてもらいました。ありがとうございました。)。

このスカイアトラスのところで「導入」ボタンを押してしまっても導入はできるのですが、次のフレーミングで導入した方がいいでしょう。


フレーミング

撮影時にPCがインターネットに接続されているなら、フレーミング機能が便利です。デフォルトで縦横3度の視野角を見るようになっていますが、画像を落とすのに結構時間がかかります。今どれくらいダウンロードしたか表示があるとよかったかもしれません。

一旦ダウンロードした画像はキャッシュに保管され、キャッシュを表示することを選べばインターネットがない環境でも確認することができます。撮影時にインターネット環境がないなら、事前に対象天体の検索して画像をダウンロードしておくといいでしょう。

ダウンロードした画像があると、撮影時の画角や位置を確認できます。

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M57を囲んで大きな四角い枠が見えます。これが接続されているカメラと、この画面の「画像の読み込み」の「カメラパラーメーター」の「焦点距離」から計算された、撮影した場合の画角になります。

黄色の丸は、現在赤道儀(望遠鏡)が向いている位置になります。上の写真の場合、M57の中心からは少しずれた位置にいることになります。でもこれは実際に向いている位置とは限らなくて、N.I.N.A.が「赤道儀が向いていると思っている」位置です。この数値は接続した赤道儀から得ています。なので、この状態で撮影しても、黄色の場所が中心なるとは限らず、後のプレートソルブを使い誤差を無くします。

さて、画角を示すこの四角は移動することができます。四角の中心が導入したい目的の位置になります。今はM57の中心が四角の中心になっているので、ここで「導入」ボタンを押してみます。すると実際の赤道儀の向きに合わせて、一旦黄色い丸が画面からはみ出し、しばらく待つと

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のように、黄色い丸が画角の中心にきます。

この際、もしガイドをしっぱなしなら、PHD2のオートガイドを外すのを忘れないようにしてください。また、導入が終わったら、撮影前に再びPHD2のオートガイドをオンにするのを忘れないでください。

でもまだ注意です。ここですでに画面中央に目的の天体が導入されたかに見えますが、本当にその向きに向いているかどうかの保証はありません。赤道儀の持っている情報と実際の向きが合っているかは保証がないからです。ここで次のプレートソルブの出番です。


プレートソルブ

プレートソルブは思ったよりはるかに簡単にできました。もともとAPTで「PlateSolve 2」と「All Sky Plate Solver(ASPS)」をインストールしていたからというのもあります。この場合は「オプション」「プレートソルブ」のところでパスを通すだけで使えてしまいました。

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具体的には、撮像ページで右上「ツール」アイコン群の左から3つ目「プレートソルブ」を押してプレートソルブパネルを出します。

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パネルの位置がわかりにくいかも知れません。「画像」パネルの下のところに「プレートソルブ」タブが出ていると思いますので、それを選択します。ここで「同期」が「オン」になっていると、プレートソルブが成功した際の位置情報が赤道儀にフィードバックされ、赤道儀上の一情報が書き換わります。その際「ターゲットの再導入」を「オン」にしておくと「エラー」の値よりも誤差が大きい場合に再度自動で導入し直してくれますが、導入は後で自分でもできるので、とりあえずはオフでいいでしょう。「露出時間」と「ゲイン」なども適当に入れます。準備ができたら、真ん中の三角の再生マークのところの「画像素取得してプレーとソルブ処理します。」を押します。

勝手に撮像が一枚始まって、プレートソルブが始まり、うまく位置が特定できると「成功」のところにチェクマークが出ます。

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フレーミングでM57を中央にしたにもかかわらず、やはり実際に撮影するとずれしまっていて、その誤差を赤道儀側にすでにフィードバックしているので、今一度フレーミングを見てみると、

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のように、黄色い丸がずれているのがわかると思います。横にずれたのはカメラが90度回転しているからです。この状態で再度「導入」を押すと黄色い丸がM57のところに行き、実際に撮影してみると

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のように、今度は本当に赤道儀がM57の方向をきちんと向いていることがわかります。


その他

ASI290MMでLRGB撮影をやってみようと思っていて、かなり前に勝手ずっと使っていなかったZWOのフィルターホイールを繋いでみました。ポイントはEFW用のASCMOドライバーをZWOのページから落としてきてインストールしておくことと、NINAを一度再起動することです。これでNINAの「機材」の「フィルターホイール」からZWOのフィルターホイールとして認識され、選択することができるようになります。

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フォーカスに関して
  • オートフォーカス機能はあるようですが、マニュアルでのフォーカスをサポートするような機能は見当たらない。と思っていたら、撮像の右上のツールのところにありました。今度使ってみます。

まとめ

だいたい試したのはこれくらいでしょうか。2度に渡って使用して、その使い勝手をレポートしましたが、2回目は撮影まではしていないので、まだ説明が不十分なところもあるかもしれません。例えば、フォーカサーとかフラットパネルと接続した撮影の機能もあるみたいで、ここら辺は機材を持っていないので試すことができません。

とりあえず十分すぎるくらいの機能があることもわかって、撮影するには何も不便なところはなく、ベータ版でもすごく安定しています。

前回と今回の記事を読めば導入して撮影するまでできるのではないかと思います。わかりにくいところがあったらコメントしてください。私も全部理解しているわけではないですが、質問に答えがてら理解していきたいと思います。


前回のEVOSTAR 72EDの記事で、フルサイズ領域での星像を、鏡筒そのものと、SkyWatcher純正の専用レデューサー、実際の星像を撮影して評価してみました。



さて今回の記事はフラットナーを試しています。

「え?フラットナー?EVOSTAR用のフラットナー
なんてありましたっけ?」

と言う方、正しいです。ありません。

今回の記事はEVOSTAR 72EDにタカハシのマルチフラットナーが使えるかどうか試してみたというテスト記事です。SkyWatcherとタカハシの両方から怒られてしまいそうな(笑)記事です。


タカハシマルチフラットナー1.04x

タカハシの「マルチフラットナー1.04x



は別売りの「マルチCAリング」と呼ばれる長さの異なるアダプターリングを取り付けることによって、タカハシ製のFC50からFS152まで対応できるかなり汎用性のあるフラットナーです。私もFS-60CB用とFC-76用のリングを持っていて、フラットナー本体は使い回しが効くので非常にコストパフォーマンスのいいフラットナーになります。

性能も申し分なく、例えば以前比較した記事の中の新旧のフラットナーのところを比較していただければわかりますが、以前の専用品よりもはるかに綺麗な点像を実現します。




今回これを汎用的なフラットナーとして、専用フラットナーのないEVOSTAR 72EDに適用してみたらどうなるかと考えてみました。前回レデューサーでは星像が改善することが分かったのですが、レデューサーなので当然焦点距離が短くなります。鏡筒そのままの焦点距離で撮影したいこともあるはずです。


EVOSTAR 72EDへの接続方法 (その1)

さて、タカハシ製マルチフラットナーのEVOSTAR 72EDへの実際の取り付けですが、少し面倒です。

マルチフラットナーの取り付けネジ径がM56x0.75というものらしいのですが、そのままだとEVOSTAR 72EDに取り付けることができません。今回はレデューサーに付属されていた、アダプターリング(下の写真)を使用することで問題を簡易的(ある意味無理矢理)に回避しました。

まずは鏡筒本体に付属の2インチスリーブを回転して取り外します。そこにレデューサー付属のアダプターリングを取り付けます。この状態でフラットナー本体を取り付けことができるのですが、実は微妙にネジ径は同じなのですが、ピッチが違うようで、途中で止まってしまい最後までねじ込むことができません。この時点ですでに怪しい取り組みになるので、気になる方は真似しないでください。でもこんなことを気にしてると何もできません。今回の記事を最後まで読むとわかりますが、もっと怪しくなります。とにかく、当然ですがメーカーのサポート外のテストになりますので、試してみたい方は決して販売店の方に問い合わせるようなことはしないでください。あくまで自己責任でお願いします。

さてこのレデューサーに付属のリングですが、結局SkyWatcherの独自規格のようで、いろんなところの情報とノギスでの実測でM54オスとM56オス(普通は雄ネジ側の径で測定するのでこちらのネジ径が正しい値となります。ただし誤差は含みます。)という微妙なネジ径の違いを変換するリングということになります。ただし、M56のピッチを測ってみると1mmのようで、タカハシ標準の0.75mmとは違うので、同じ径のようですが直接の互換性は無いようです。便利なので別売りしてくれれば良いのですが、さすがに難しいでしょう(おそらく後述のSkyWatcher製のカメラ回転リングで代用できそうです)。

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ED72レデューサーに付属の、アダプターリング

さらに写野の回転を考える場合は、回転装置などを取り付けた方が良いかと思います。レデューサー付属のアダプターリングを使うことで、タカハシの「カメラ回転装置(SKY90用) [KA21200]」を(フラットナー接続時と同様に)無理矢理にですが取り付けることはできます。取り付け場所はアダプターリングとマルチフラットナーの間になります。実際やってみるとネジ径が違うはずなのにカメラ回転装置の場合は結構すんなり最後の方までネジ込めます。その後はマルチフラットーをそのまま取り付けることができるので、この方が素直かもしれません。

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左から順に、鏡筒本体、レデューサー付属のアダプターリング、
タカハシ製カメラ回転装置、マルチフラットナー、タカハシ純正カメラアダプター


EVOSTAR 72EDへの接続方法 (その2)

もう一つのマルチフラットナーのEVOSTAR 72EDへの接続方法です。こちらは実際には試していなくて、推測になりますのでご了承ください。レデューサーを持っていなくて、変換アダプターリングがない場合の話です。EVOSTAR 72ED専用のカメラ回転リングというのがあります。



このページを見るとレデューサー付属のアダプターリングの代わりに使っているので、これがそのまま使えるかもしれません。二千円と安価ですし、カメラ回転装置も兼ねるので便利かと思います。上の(その1)で紹介したタカハシ製のカメラ回転装置を使わなくてよくなるので、かなり節約できます。

それでもタカハシのマルチフラットナーを取り付ける際のネジ径は(その1)で示した通り、ピッチが1mm
と0.75mmで微妙に違うのできちんとははまらないはずです。あくまで、自己責任で納得しながら試すことになります。繰り返しになりますが、私は自身は今回この回転リングを試していないので、アイデアのみのお話です。試す場合は人柱になることを覚悟して、自己責任でお願いいたします。

さて、ここでふと気づいたのですが、私がお借りしているのはEVOSTAR 72ED(だと思います)で、現在シュミットさんのページに載っているのがEVOSTAR 72ED IIになります。ホームページには「※初期型との外観の違いは鏡筒長がわずかに短くなっています。レンズ性能等は従来のモデルと同等です。またロゴ等も変更はありません。」と書いてあるので、外観以外にもしかしたら違いがあるのかもしれませんし、そもそも外観も新旧見比べないと分からないです。ので、イマイチ変更点が不明で、もしかしたら自分のところにあるのもすでに新型のIIなのかもしれません。(追記:  シュミットさんに電話で聞いてみました。現在手持ちのものはIIで確定。初期型のものとIIとの違いは本当に鏡筒長以外、ロゴなどからはほとんど分からないそうです。)

問題はカメラ回転リングがホームページの説明によると「※初期型EVOSTAR72EDにはお使いいただけません。」となっていることです。もし手持ちで初期型のEVOSTAR 72EDをお持ちの方は(どこがダメなのかはわかりませんが)おそらくうまくいかないと思いますので、注意してください。


マルチフラットナー以降の接続

さて、やっとマルチフラットナーまで接続できましたので、さらにその後ろの接続に行きます。

フラットナーの後ろにはタカハシが販売している、それぞれの鏡筒に適合したマルチCAリングと呼ばれるアダプターリングをつけるのですが、これが今回色々試してみるところです。今回は手持ちのマルチCAリング 60CとマルチCAリング 70を試します。

アダプターリングの後ろには、タカハシ純正の「カメラマウントDX-60W(EOS) [KA20245]」を使っています。EOS用とNikon用があるのに注意してください。私はCanonなのでEOS用、Nikonの場合は同ページで購入できますが、型番が違います。ポイントは、この部分をタカハシ純正以外の代替品に変えてしまうとバックフォーカス長が変わってしまい、きちんとした比較ができなくなるので注意が必要です。自分で何種類もマルチCAリングを試す場合は、この限りではなく、サードパーティ製でも構わないと思います。

ここまでできたらあとは、手持ちの一眼レフカメラを取り付けるだけですね。

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やっと準備が整いました。それでは実際の撮像を見てみましょう。


マルチCAリング 60C

まずはFS-60CBに使っているマルチCAリング 60Cを試します。FS-60CBが焦点距離355mmなので、今回のEVOSTAR 72EDの焦点距離420mmに一番近いからです。

IMG_5431

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お、結構うまく補正されています。フルサイズではまだ少し流れていますが、APS-Cでは十分許容範囲でしょう。いやいや、素の鏡筒の星像から見たらすでに相当な改善で、マルチフラットナーとりあえず十分使えそうです。


マルチCAリング 76

次に、FC-76に使っているマルチCAリング 76を試します。FC-76が焦点距離600mmなので、今回のEVOSTAR 72EDの焦点距離420mmより多少長いです。

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CAリング60Cの時に比べると、同程度か若干CAリング76の方が星像の流れが大きいくらいでしょうか?

むしろ、CAリングの長さが1cm以上短くなっているのに、星像がそこまで変わらないのはなぜなのでしょう?答えは次でわかります。


マルチCAリング無し

リング長で星像が多少なりとも変わることが分かったので、今度はマルチCAリングを外してしまいました。その時の星像です。

IMG_5434

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これはAPS-Cでさえも全然ダメですね。

マルチCAリングのラインナップを見てみると、焦点距離の長い鏡筒用のものほど、マルチCAリングの長さが短いです。ということは、リング無しだと全然補正できなくて、CA76でもまだ補正が足りない、EVOSTAR 72EDがFC-76とFS60CBの間の焦点距離なので、CA60Cだと過補正になっているのではという推測ができます。


最後の無理矢理、マルチCAリングゆるゆる撮影

CA76だと短すぎ、CA60Cだと長すぎということのようです。それではここでCA76を緩めて少しだけですが長さを伸ばしてみましょう。ネジの箇所はマルチフラットナーとCAリングの間、CAリングとカメラアダプターの間の2箇所あります。それぞれネジ山に2回転くらい引っ掛けただけなので、ガタガタしていますが、1箇所で2.5mmくらい伸ばすことができました。合計5mm程度伸びていることになります。この状態で撮影してみました。

下がその時の星像です。ただし、ガタガタしているために少しカメラ側が下がって、光軸がずれている可能性があります。

IMG_5435

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いや、これは今までで一番良いんではないですか!!

ガタつきのために上下で少しだけ差が出ていますが、ほとんど誤差の範囲くらいです。これだけうまく補正できるのなら、マルチフラットナーでの補正を真剣に考えても良さそうです。

ここから考えると、マルチCAリング 76よりも少し長い、マルチCAリング 60 (60Cとは違うことに注意、60Cは相当長いです。) が一番適していそうだということが分かります。実際にはCA60だと1-2mm足りないかもしれないので、ガタつかないようにプラスチックシートなどでリング状のスペーサーを作って、微調整しながら少し伸ばして使うといいかもしれません。


少し考察

この記事を書いている途中で気づいたのですが、実は同様のことは天リフさんでもすでにFOT104で試されていました。



というか、天リフさんの記事のことすっかり忘れていて、最初は自分で考えたいいアイデアだと思って喜んでいました。改めて天リフさんの記事を読み直してみると、今回のテストやらなくても良かったのではというくらいのかなり詳細なレポートでした。ちょっと悔しいです。でも、よく内容を見比べてみると今回の結果に驚くほど一致しています。今回の記事もマルチフラットナーの汎用性の実証の一つくらいにはなったと思いますので、まあ、やってよかったかなと。

ところで、今回の結果を考えてみると、バックフォーカス長が相当重要だということが分かります。これはタカハシというメーカーが一眼レフカメラの接続まで純正オプションを揃えることで初めて成り立つ状況です。

では、CCDやCMOSカメラでの撮影はどうなのでしょうか?この場合は純正オプションはないので、結局自らテストしながら最適バックフォーカス長を調整していかなければいけません。これまでバックフォーカス長を気にしたことがあまりなかったので、少なくともレデューサーやフラットナーをつけるときは、これから気をつけなければということに気づかされました。

といったこともあり、前回のレデューサーの記事はカメラまでの部品をSkyWatcher推奨の純正品で揃えてバックフォーカス長をあわせた方が良いのでは、というような書き方にしています。でも実際にそこまで色々試したわけではないので、多少の許容範囲はあるでしょうし、それぞれの場合でテストしながらやっていくのが正しい道なのかと思います。


まとめ

今回は、メーカーを跨いだフォーカサーの試用テストをしてみました。タカハシ製のマルチフラットナーは汎用フラットナーとしての可能性を大きく秘めています。これは天リフさんと同じ結論かと思います。バックフォーカス長が調整できるような可変のリングが存在すれば、さらに応用範囲が広がると思います。

新しい可能性がある一方、メーカーの指定条件からは外れてしまうので、規格の違いなどもあり試行錯誤が必要となります。タカハシさんのほうがこのような使い方を喜ばない可能性も十分にあり得ます。

ユーザーとしては、こういったことを面白いと楽しめるなら、色々試してみるといいでしょう。もしくは、こういったやり方は不安だという方もいらっしゃると思いますので、やはりその場合はメーカー推奨のやり方で進めながら撮影に臨まれる方がいいかと思います。

個人的には、光学という誰でも自由に試すことのできる物理現象の範囲の話なので、手に入る設計のレンズなどを好き勝手に使いながらやるというので正しいのかと思います。うまくいかない時も当然あるので、それは自己責任でということを納得しながらやれば、いろんな応用範囲が広がっていくのかと思います。メーカー指定の範囲外でうまくいかないことを、メーカーに文句を言ったり問い合わせたりするのは、この場合筋違いです。

いや、何より楽しいのが一番で、こういった自由なテストをできること自体が天文趣味の醍醐味だと思っています。とりあえず楽しくて仕方ありません。


最後、おまけの裏話に続きます。

 

トラペジウムでさらに楽しんでいます。

何回か前の記事でトラペジウムのE星、F星が見えたことを書きました。 



その後、気を良くしてシリウスBに挑戦したのですが、



シンチレーションが良かったせいか、シリウスBもあっさり見えたので、同じ日にトラペジウムを今一度撮影してみました。

もう少し見えるのでは?

シリウス撮影終了後、バローを試すかどうか一旦悩んだのですが、どうせバローを試すならトラペジウムで同じ条件にしてから試そうと考えたのが、トラペジウムに移ったそもそもの動機です。

そもそもこの日はシンチレーションが良かったので、前回トラペジウムを見た時よりももう少し見えるはず。前回のE星、F星はある意味ラッキーイメージングに近いもので、動画で撮影し、揺れている映像の中からいい画像を一枚抜き出したものになります。シンチレーションがいい場合は、いいところだけを選ぶ必要もなくスタックとかもできるはずで、ノイズを劇的に減らすことができるはずです。

鏡筒は同じくTSA-120、カメラはASI294MC Proを常温(冬場なので8℃程度になっていた)です。いつものようにSharpCapで撮影し、露光時間は前回一番よく見えた1秒、ゲインは高めの285です。ゲインを高くした理由ですが、この日は月が近くにあり、背景の星雲の様子もあわよくば一緒写ればと思い、アメリカンサイズのQBPをカメラ手前に入れたからです。全体的には少し暗くなるのでその分ゲインをあげてあります。ただ、QBPは恒星からの明かりも暗くするはずなので、トラペジウムをより細かく見ると言う目的で得策だったかどうかは不明です。

画面で見たものをとりあえず一枚見てみます。これはLiveStack上で炙り出した画面をそのままPNGで保存して、Photoshopで少し炙り出し、拡大してトラペジウム周りを切り取った画像です。

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前回と同じくE星とF星は見えているのですが、さらに矢印の先に恒星らしきものが見えている気がします。位置的にはG星のようです。これが見えたのが今回の記事の始まりです。


シンチレーションが悪くなっていく

なんか見えそうなことは分かったので、パラメーターを詰めていきます。いろいろ探った結果、撮影はLiveStackを使い、1秒露光を60枚重ねて、それを1枚の画像とすることにしました。ダークフレームはSharpCapのダーク撮影機能で64枚撮影したものを使っていて、撮影中にリアルタイムで補正してあります。ガイドは無しなので、星像の流れは極軸合わせの精度のみで決まってしまいますが、1秒の短時間露光の重ね合わせなので、それほど問題ないはずです。結局14枚の合計14分の画像を撮影しました。

ところがこの方針、あまり良くなかったようです。14枚をPixInsight (PI)でスタックしたのですが、いくつかの落とし穴にハマってしまいました。

1. まずはトラペジウム周りにミミズのはったような跡が残ってしまったこと。

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これはPI上でCosmeticCorrection (CC)をしたことによる弊害でした。画面全体を見ると目立たないのでわからないですが、一部を強拡大してみると明らかに偽の跡が残るのがわかりました。探っていくと、CCを欠けた直後から、一枚一枚にミミズが走っていました。これまでCosmeticCorrectionを気にせず使っていましたが、闇雲に補正するのではなく、今後注意して使用したいと思います。

2. 次の問題が、スタックです。スタック後の画像のトラペジウム回りを見ても、どう炙り出しても解像度が上がってこないのです。

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これは少し悩みました。少なくともこれまでの経験ではスタックすることではるかに暗い星まで見えてくるはずです。

でも「あ、そういえばこの後シリウスに戻ったときにシンチレーションがボロボロだった」と思い出し、改めて画像を一枚一枚見てみると、時間が経つにつれ分解能が悪くなっていることがわかりました。かなり暗い状態で撮っているので、LiveStackでもドロップしている画像が結構あって、60秒分の露光を一枚撮るのに実際3分くらいかかっていることが原因でした。結局まともそうに見える最初の4枚だけを使い、スタックすることにしました。

それでもLiveStackを使わずに、枚数は多くなってしまいますが、個別に画像を残しておいた方がさらにラッキーイメージング的に選別できるのでよかったのかもしれません。これは次の課題です。

あと、今回結局お借りしたPowerMATEは使いませんでしたが、やはりCMOSカメラのピクセル解像度で制限されつつあるので、使っておいた方が良かったのかもしれません。でももし使っていたら、設置やピント出しなどで時間を食ってしまい、いいシンチレーションを逃していた可能性が高いので、まあとりあえずは結果オーライとして、こちらも次回以降の課題です。


今回の記事のテーマとは違うので蛇足になりますが、14枚全部スタックした画像を一応出しておきます。

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縞ノイズ、四隅の星像など課題も。

ガイド無しということもありものの見事に1方向に流れてしまっていて、縞ノイズがひどいです。さらに、フラットナーとかつけずに撮影しているので、さすがにTSA-120といえども四隅は星像が崩れてしまっています。フラットナーの評価も次回の課題にします。

それでも向きを揃えて、DeNoiseとかかけるとそこそこ見えてしまいます。

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フラット補正を何もしていないので、炙り出しは控えています。それでもHDRとかマスクとか全く無してここまでトラペジウム(E、F星は拡大するときちんとわかります)が出るので、今後もう少し煮詰めて完成度を高めていきたいと思います。


トラペジウムのG、H、I星

ちょっと寄り道に逸れてしまいましたが元に戻って、先に4枚だけスタックした画像をPixInsightのMutiscaleLineaTransformでシャープ化しPhotoshopでもう少し見やすくしたのが下の画像です。

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E星、F星に加え、さらに星が炙り出されています。わかりやすいように矢印を入れてみました。

integration_cut_arrows

G、H、I星までなんとか見えていると言っていいでしょうか。H星は実際にはさらにH1とH2に分離しているはずで、画面を見ると確かに横に伸びているような気もしますが、さすがに分離している様子までははっきりとはわかりませんでした。

また、H星のすぐ左にも恒星がありますが、最初フェイクかとも思ったのですがハッブルやMUSEの画像を見ると、確かに存在するようです。





G、H、I星の他に写っている恒星もまだあり、ハッブルの画像と比べてどこまで写っているかとか比べていると、時間が経つのを忘れてしまいます。たかだか12cmの口径でここまで迫ることができれば、もう十分満足です。


まとめ

そもそもG星、H星まで述べているページや、実際にG星、H星が写っている画像があまりなく、I星に至ってはMUSEなどの研究用を除いてはアマチュアでは画像としては1例しか見つけることができませんでした。なので今回のものがどこまで正しいのかは良くわかりません。また、星像がくっきりではないので、これで写っていると言っていいのかどうかも不明です。ですが、自分のTSA-120で撮れた解像度としては明らかに前回の撮影を上回っています。

今回のがシンチレーションが良かった故の奇跡なのか、またこのレベルのものを再び撮影することができるのか。PowerMATEを試したいこともあるので、今しばらくトラペジウムを楽しめそうです。

これまでTSA-120を4回使ったことになりますが、なんとか性能を引き出せつつあるようです。妻に「この間の高かった望遠鏡、やっぱり無理してでも買ってよかった」と報告したら「よかったねぇ」と言ってもらえました。やっと納得してくれたようです。


前々回の記事でトラペジウムのE星、F星が見えたことを書きました。



その後のコメントと、Twitter上で、シリウスBの話で盛り上がりました。


TSA-120でシリウスBを見ることは可能か?


その中で、多分すばる関連の方だと思いますが、沖田さんという方が口径とシーイングとシリウスBの関係をグラフ化してくれました。



この計算によると12cmでもシーイングによっては十分に見えるようです。Lambdaさんによると、反射だと20cmギリギリで、計算結果も感覚とあっているとのこと。コントラストの良い屈折ならばもう少しいけるはずではないかとのことです。

そんなこともあり、できればTSA-120でシリウスBを見てみたいと思い挑戦してみることにしました。


3月2日、シリウスB初挑戦

さて、一昨晩のことです。21時過ぎでしょうか、雲もありましたが、一部で星が見えているので早速TSA-120のセットアップ。前回の経験から、極軸は出来る限り正確に合わせておいた方が導入も正確だし、ずれていかないので落ち着いてみることができるため、SharpCapで極軸を1分角程度の範囲には合わせておきます。

まずはオリオン座のトラペジウムを導入し、前々回の記事の再現です。カメラは分解能的にまだ余裕はありそうなので、ASI178MCからASI294MC Proに変更しました。294の方が感度がいいので暗い星が見えるだろうことと、センサー面積が広く広角で撮ることができるので、M42の全体像と一緒に撮影とかできるかと思ったからです。

とりあえずカメラの映像を見てみると、まあ、揺れていますがE星はPCの画面上でも確認できます。F星は見えるような見えないような。ラッキーイメージ的にたまに見える時があるので、以前の状態をある程度再現することができていると判断。そのままシリウスに向けます。

ところが画面上でいくら露光時間やゲインを変えようが、ヒストグラムで炙り出そうが、伴星があるようにはかけらも見えません。埒があかないので、その後アイピースに変えてみました。アイピースは3.5mmまで試したので、約250倍と倍率程にはそれほど悪くないはずです。そもそもディフラクションリングがほとんど見えません。シリウス自身もピンピンチカチカ弾け飛んでいるように見えます。

前回のトラペジウムの時に、セレストロンの3倍バローを使ったら収差のせいで逆に見えにくくなったと書いたのですが、Twitter上で宮路泉さんが「それなら」と貸してくれたTeleVueのPowerMATEの4倍をダメ元で使ってみることに。TeleVeu製は初めてで、これまでこんな高級機使ったことありません。このPowerMATEは位置出しが大変で、結局2インチの延長筒を3つ鏡筒側に取り付けて、その先にPowerMATEを取り付けることでやっと焦点を出すことができました。

延長筒3つとPowerMATEで結構な長さと重さですが、さすが2インチ。各固定もしっかりしているのでほとんどブレることはありません。目で見ている限り収差は分かりませんが、倍率を上げているので多少暗くなることもあり、結局シリウスBが見えることはありませんでした。

本当はカメラも試したかったのですが、23時頃には雲がかなり広がってきてしまい、結局この日は諦めることに。シリウスB結構難敵です。


見えなかった原因は?

その後、少し計算してみました。TSA-120にASI294MCを取り付けたときのCMOSセンサーの1素子のピッチが0.96秒角と判明。画面上でざっくり1ドットが1秒ということになります。シリウスの伴星の離角が2020年頃は11秒くらいとのこと。ということは、画面で見えているシリウスの中心から11ドット離れたくらいのところにシリウスBがあることになります。撮影した画像を見てみると贔屓目に見ても中心から10ドットくらいまではシリウスの明るさで完全に支配されているような状態。ちなみにシリウスAは-1.09等級、シリウスBは8.44等級。さすがに10等近く差がある伴星を見るのは、今の状態では厳しでしょう。

やはり、シンチレーションがひどいようです。目で見てもチカチカゆらゆらしているので、この状態では程遠いです。やはり口径の大きいのが必要なのでしょうか?


3月3日、ついに!

次の日の19時過ぎ、子供を迎えにいかなければならなかったのですが、外を見たら快晴。星の瞬きもパッと見、ほとんどありません。これはチャンスと思い、子供の迎えを「ごめん!」と言って妻に頼んで、早速TSA-120をセットアップです。極軸も同じようにきちんと取ります。連夜同じことをすると、前のセットアップが残っているので楽なもんです。極軸合わせも、ものの5分とかからず。

今日のポイントは、下の写真のように、むかーし、最初に行った原村の星まつりで買った2インチのフリッパーミラーを入れたこと。

IMG_9634

そもそも延長筒を一つつけて、フォーカサーを相当伸ばしたところでピントが出ているので、多少の物をつないでも全然焦点内に入りそうです。鏡筒からの長さが必要なPowerMATEもこれで多少使いやすくなるはずです。これまでほとんどこのフリッパーミラー使っていなかったのですが、やはりアイピースとカメラの切り替えが楽ですごく便利です。惑星撮影にでも使えば良かったですが、そもそも多分アイピースをほとんど使ってこなかったので、フリッパーミラーの必要性も感じてこなかったのだと思います。

リゲルで初期アラインメントを終え、とりあえずはリゲルBを確認。一番倍率の高い3.5mmで見ますが、こちらはファーストライトで見た通り、余裕で見ることができました。次にシリウスを導入して、まずはやはり基本のアイピースでの観察。愛機CGEM IIの導入精度もまあまあで、西の空のリゲルから東の空のシリウスに赤道儀が反転しましたが、それでも3.5mmで視野内に入るくらいの一発導入です。

その途中ですでに分かったのが「あれ?今日はディフラクションリングがはっきり見えるぞ!」ということ。そもそもピントを合わせていく最中に、何重ものリングが小さくなっていく様子がはっきり見えます。これまでこんなことはありませんでした。ピントを合わせ切ると、随分とシリウスが小さい印象です。

しばらく見ていると、多分2、30秒でしょうか、

明らかに小さな星があります!シリウスBです。
しかも一発で確証が持てるくらいはっきり見えます。

「え?こんなにあっさり見えていいの?」というような状態です。何度見直しても同じ位置にいます。これはさすがに見間違いのレベルではありません。


シリウスBを撮影してみる

次にCMOSカメラで撮影を試みます。カメラは昨日と同じASI294MC Proですが、冷却はしていないです。温度を見たら8℃くらいだったので、冬場のこともありそれほど熱くはなっていないようです。

SharpCap上の設定は、最初は露光時間もゲインも適当でしたが、それでもすぐにシリウスBらしきものが見え始めました。結局一番良かった設定が、露光時間100ミリ秒、ゲイン140とかでした。その時の画像です。ROIで640x480ピクセルに制限して、ヒストグラムで炙り出して、画面に見えたものをそのまま画像に落としています。一枚画像で、スタックとかもしていません。

Capture_00005 19_57_55_WithDisplayStretch

ちょっと分かりにくいので、シリウス周りをトリミングして、画像を拡大してみます。

Capture_00005 19_57_55_cut

下の方にはっきりと写っています。


シリウスBの離角

でも上の画像、拡大してサイズ変更した時に補完されてしまって滑らかになっているので、ピクセルのドットが消えてしまっています。なので、拡大前の画像も載せておきます。

Capture_00005 19_57_55_cut


ちっちゃいですが、この画像を今見ているPC上で拡大してみてください。写っているピクセルの数を数えることができます。(と思ったけどダメでした。ブログにアップする時点でドット間が補完されてしまうようです。)オリジナルの画像で実際に数えてみるとシリウスAの中心からちょうど11ドット目にシリウスBが写っています。最初の方に書いた通り、1ドットが1秒角なので、やはりちょうど11秒角くらい離れたところにいることがわかります。これはシリウスBであることの確実な証拠の一つですね。

追記: PC画面で拡大した画像の画面をiPhoneで撮影してみました。PC画面の直接撮影なので少し色が変になってしまっていてシリウスBが緑色に見えてしまっています。そででもこれでドットの数を数えることができると思います。

IMG_9640



その後

拡大してみてみると、シリウスBが写っているのが1ピクセル少々なので、本当はここでPowerMATEを試して解像度を稼ぐべきだったのですが結局できませんでした。

実は見ている間に、時間と共にシンチレーションが悪くなってきたのか、多分10分くらいの単位でしょうか、明らかに見え味が落ち始めました。そのせいもあって、その後確認のために、もう一度トラペジウムに戻って色々試したのですが、これは次回の記事で書くことにします。なのでお借りしたPowerMATE、結局まだ試すことができていません。宮路泉さん、今しばらくお待ちください。手持ちのバローと合わせて比較してみたいと思っています。

ちなみに、トラペジウムから帰ってきて今一度シリウスBを見てみたのですが、もう揺れ揺れで全くみることができなくなっていました。どうやら冬場の一瞬の奇跡の時間だったのかもしれません。


まとめ

とにかく、シリウスBをやっと初めてこの目で見ることができました!いやあ、うれしかったです。

普通は数十cmの口径の鏡筒で見るのがほとんどで、本当に12cmという小口径で見えるのかと疑問で、Twitterで教えてもらったVixenの10cmで見ることができたという情報が頼りでした。その画像を見るとディフラクションリングが余裕で見えているので、やはりシンチレーションに依存するのかと予測はしていましたが、実際に試してみると本当にその通りでした。しかも時間とともにシンチレーションが悪化していく様子も体感することができ、こんなに状況は早く変わるんだという感想です。冬で環境が悪いはずでしたが、本当にわずかの貴重な揺れの少ない時間だったようです。

TSA-120の性能も改めて信頼できると言うことがよくわかりました。コントラスト良く見えるのも屈折ならではなのかと思います。トラペジウムの時にも同じことを言いましたが、本当にこの鏡筒手に入れて良かったです。

さて、ここから少しずつTSA-120と使った撮影に入っていこうと思います。乞うご期待。

TSA-120でやってみたかったことが一つ実現しました。トラペジウムでの分解能ベンチマークです。

ファーストライトで月とリゲルB、ディフラクションリングを見て、セカンドライトで金星。今回はTSA-120でのサードライトになります。


TSA-120でオリオン座を見てみる

連休の最終日、新月期で晴れていたのですが、空を見るとけっこう霞がかっています。さすがにこれだと撮影しても仕方がなさそうなのですが、せっかく星は見えているのでTSA-120を出していろいろ試してみることにしました。

まずはオリオン大星雲M42を眼視。星祭りでジャンクで手に入れた北軽40mmアイピースで見てみます。もちろん星雲の淡いモヤモヤは見えます。でもこれは結構ふーんという感じです。さすがに120mmの口径でも、淡い星雲はそこまでインパクトはありません。おそらくもっと大口径の方がよりはっきり見えます。そもそも今日の目的は星雲ではありません。

少し倍率を上げ、PENTAXの5mmで観察。まずは眼視でトラペジウムがはっきり見えることを確認。台形の形をしています。これも順調です。


トラペジウムでのテスト

さてトラペジウムがどこまで認識できるのか、CMOSカメラで試してみます。カメラは解像度重視で、手持ちの中ではピクセルサイズが一番小さいASI178MC。ソフトはいつものSharpCap。

分解能を真剣に探るのはある意味初めての試みなので、動画、静止画色々試してみました。まず、この日はシンチレーションが結構ひどい。トラペジウムの台形の長い方の辺の1-2割は常に動いているような状態です。それでもSharpCapのヒストグラムであぶり出しをすればA星横のE星は比較的簡単に(!)見えそうです。

露光時間は0.1秒から1秒くらいまでをいくつか試し、ゲインはダイナミックレンジ重視でできるだけ低め。ホットピクセルが邪魔なのでリアルタイムでダーク補正をします。ダークファイルはSharpCapのダークキャプチャーで64枚とったものを使いましたが、そのまま使うと背景が暗くなりすぎるので、まずBrightnessを300でダーク撮影し、その後ダーク補正を適用してからBrightnessを400にあげています。

撮影したのは
  • 動画: 0.1秒露光、ゲイン310を500枚
  • 動画: 1秒露光、ゲイン190を50枚
  • 動画: 1秒露光、ゲイン260を50枚
  • 静止画: 同じような露光時間とゲインを調整しながら24枚
などです。

シンチレーションがひどいので、ラッキーイメージ状態で良いものを選ぶことになります。シンチレーションでくずれてるとダメなものは全くダメ。たまたま星像のいい画像を選ぶことで、分解能が出ます。静止画は枚数が少なすぎて、なかなかいいのがありません。この中で一番うまくいったのが1秒露光、ゲイン190の動画の50枚の中の数枚でした。その中で一番きれいに見えたものを炙り出したのが下の一枚です。

trapezium_ok2

結構拡大してトリミングしているので画像サイズが小さくなってしまっていますが、

E星どころか、F星まではっきりと写っています!

もう、この画像が撮れただけでもTSA-120を手に入れた甲斐があったというものです。さすがにさらに5等(100倍)以上暗いG星とかH星までは写っていませんでしたが、かなり満足な結果です。今回は1枚画像ですが、スタックするとまだまだ見える可能性がありそうです。今後の楽しな課題の一つです。

ちなみに台形の明るい4つのうち、右下がA星、右上がB星、左上がD星で、左下の一番明るいはずのが(なぜか?)C星です。A星の右隣の小さいのがE星で、C星の左隣の小さいのがF星になります。E星はPCの画面上でも比較的簡単に見えました。でもF星はC星の明るさに負けてしまってPC画面上ではなかなかうまく捉えられません。画像処理を何もしない段階だとF星あるかな?というくらいです。

これまでCelestron C8MEADE 25mシュミカセVixenのVISACでトラペジウムを撮影してきましたが、ここまで出たのは全く初めてです。







TSA-120が分解能に関して相当の信頼性がおける鏡筒だということがよくわかりました。今回それでも見にくかったのはあくまでシンチレーションのせいで、確実にそれ以上のポテンシャルを持っている鏡筒だということがわかる結果です。

一方、結局カメラの解像度は十分だったので、感度重視でASI224MCとか、もしくはモノクロのASI290MMでも良かったかもしれません。こちらは今後の課題です。


じゃあ、バローレンズで見てみたら

実は途中で少し面白いことを試しています。ちょっと蛇足になってしまいますが、セレストロンの3倍のバローレンズを使った場合のトラペジウムの見え方です。ちなみのこのバローレンズ、惑星撮影の時にもよく使っているもので、C8にこのバローを使った時の土星とか火星の撮影結果を見ても、特に不満はありません。



バローをCMOSカメラの手前に入れてみます。するとPCの画面で見た時にすぐに明らかに変化がありました。当然画面上でのトラペジウムは3倍大きくなるのですが、バローなしの時に比べて、バローを入れた方がE星が見えにくいのです。3倍大きく見えているので、カメラの分解能に対しては余裕が出るはずです。でも、ものすごく調整すればなんとかE星まで見えるのですが、バローなしの時にE星までは比較的簡単に見えたのに比べると全然見えません。

いろいろ探ってやっとわかりました。下の画像を見てもらえると一発です。

Capture_21_23_07_00018_22_01_01_21_23_07_00018_22_01_01

これでも一番見えているものを選んでいます。なのでE星はなんとか見えていますが、F星は全くダメです。原因は明らかに収差が出ていることです。上の方に青っぽいのが広がっています。画像処理までしてやっとわかりました。

ほんのこれだけですが、PC上での見え味でもはっきり差が出るくらいバローを入れた時の収差の影響がわかりました。惑星撮影だけではこれまで全然気にならなかったことです。

(追記: その後、今回のCelestronの3倍も含め、バロー 4種を比較した記事を書いています。)


ついでに

トラペジウムのE星、F星が見えたことに味をしめ、ついでにシリウスBに挑戦してみました。バローは当然外しています。でも今回もあえなく撃沈。霞のせいでしょうか?それともまだ何か足りないのか?

最後に今一度眼視でトラペジウムを見てみましたが、霞が酷くて暗く、E星も全く見ることができませんでした。こちらはまた次回、シンチレーションの良い日を選んで試していたいと思います。

ここで、少し雲も出てきたのでこの日は退散です。

(追記: 後日、今回のE星、F星に加えて、G、H、I星まで見えた記事を書いています。)


まとめ

この日はとにかく、TSA-120の実力をまざまざと見せつけられた日でした。すごい。トラペジウムがここまで分解して撮影できるとは。私の中で参照鏡筒としての地位が確立されてきています。まだまだ試したいことがたくさんあります。この鏡筒をきっかけに、少し別の世界が広がりつつあります。


あ、そういえばなぜかこんなものが...。

IMG_9555

さて、次回は撮影になるのでしょうか。

あぷらなーとさんはじめ何人かの方がMatlabを購入し画像処理に活用し始めましたようです。



私もMatlabは学生の頃から使っていて、今調べてみたら一番古いファイルは1998年でした。なので20年以上使っていることになりますが、 これまで画像処理に使ったことはありませんでした。

あぷらなーとさんが指摘しているように、確かにMatlabは行列を容易に扱えるので、2次元が基本の画像処理は向いているはずです。最近過去のコードをpython化したりしてるのですが、pythonは2次元だと必ず繰り返し処理が入るので、コードが冗長になりがちです。私も少し試してみたのですが、どうやら画像処理に関してはMatlabの方がコードがかなりシンプルになり見通しが良くなるので、有利というのは正しそうです。とうわけで、遅ればせながら私もMatlab画像処理に参画します。

Matlabを使ってまず手始めに試したのが、昨年3月依頼謎が解けなくて止まってしまっているASI294MC Proのノイズ解析の続きです。

 


最初にごめんなさいと謝っておきます。今回の記事はかなり細かくてめんどくさい話で、ほとんどの人には役に立たないです。しかもうまくいかなかったという結果なので、ほんとに興味のある方だけ読んでみてください。

Matlabで画像処理を始めてみたいという人がいたら、もしかしたらコードが参考になるかもしれません。


以前のおさらい 

ざっとおさらいしてみます。ZWO社のASIシリーズは性能を示すデータを公開してくれています。例えば広いセンサー面積を利用した電視観望や、撮影にも十分に使うことができるASI294MC Proのページを見ていくと、下の方にいくつかグラフが出てきます。このグラフ、一見分かりそうで分かりにくいところもあるので、以前その読み方を解説しました。



上のページでも解説している通り、SharpCapを使うとZWOのページにあるようなデータを測定することができます。冷却バージョンのProも



で実際に測定した記事を書いています。特にGain[e/ADU]の値はコンバージョンファクターとも呼ばれて、設定gainが0の時のコンバージョンファクターはユニティーゲインなどにも直結するような非常に重要な値になります。少しコツは必要ですが、SharpCapのスクリプトでCMOSカメラの特性を実測すると、ZWOにあるような値に非常に近いものを測定することができます。2つのツールで同様のデータが取れているということはかなり信頼が置けるはずです。さらにもう一歩進めて、このようなツールでのスクリプトでなく、実際に自分でノイズを撮影して解析してみようと試したのが、昨年3月までの一連の記事になります。

ところが、実際に撮影して解析してみるとどうしてもZWOのデータやSharpCapでの解析結果と合いません。

SharpCapで撮影した時の撮影条件は限りなく再現させたと思っています。具体的には撮影対象の明るさ、カメラのゲイン、露光時間です。明るさは同等のものが撮れているので、撮影に関しては問題ないと思います。問題はノイズです。明るさとノイズの関係からコンバージョンファクターを求めるのですが、撮影された画像の明るさのばらつきが、想定していたものよりかなり大きいと出てしまいます。

具体的には標準偏差を用いるとノイズが大きすぎると出てしまい、苦肉の策で(ノイズが小さいとでる)平均偏差を使うと、大体ZWOとSharpCapの測定と一致するという結果でした。

ヒントになるかと思いモノクロのASI290MMで測定したら、標準偏差で計算してもZWOやSharpCapと一致した結果を得ることができました。ということはやはりカラーの場合も平均偏差などを使わずに標準偏差を用いるのが正しいのではと推測することができます。

そんな折、あぷらなーとさんがRGGBを一素子づつ解析したCFA(Color Filtr Array)で評価した場合と、RGBにdebayerした場合では、debayerの方が標準偏差で考えて0.75倍とか0.79倍程度に小さくなることを示してくれました。



それでもdebayerで計算してもまだZWOやSharpCapでのノイズの少なさには辿りつきません。

いろいろやっていて結局行き着いたところはこの画面で、

IMG_6436

小さいと思われるRGBの標準偏差よりも、Lの標準偏差の方がなぜかさらに小さいことがSharpCapの一枚の撮影で出てしまっていることです。いまだにSharpCapが内部でどうやって計算しているのかよくわかりません。このLの標準偏差を仮定するとノイズはかなりZWOもしくはSharpCapのスクリプトで測定した結果に一致します。言い換えると、これくらい小さい標準偏差くらいのばらつきになっていないと結果は一致しないということです。


Matlabでの画像処理の実際

やっと前振りが終わりましたが、今回Matlabで以前のpythonコードを書き直すかたらわら、どうしたら一致した結果を出せるか、なぜSharpCapのLがノイズが小さく出ているかを念頭に置きながらいろいろ試してみました。

Matlabを初めて使う人が一番面食らうのは、配列の表記法かと思います。これが独特なのですが、この独特な表記によりコードがシンプルになるので避けるわけにもいきません。私が書くよりももっといい説明がたくさんあるかと思いますが、今回の画像処理に必要な最低限だけ書いておきます。

まず2次元の配列、Matlabだと行列といっていますが、例えば2行x3列の配列Aを

>> A=[1 2 3;4 5 6;]

A =
     1     2     3
     4     5     6

と作ります。例えば第2行,第1列成分を見たい場合には

>>A(2,1)

と打つだけです。答えは

ans = 4

と出ます。これは至って普通です。独特なのは:(コロン)の使い方で、例えばAの1行目すべてを見たい場合は

>>A(1,:)

と打ちます。答えは 1 2 3となります。:はどこからどこまでを意味し、

>>A(1,1:2)

だと

ans =     1     2

となります。:(コロン)だけだとその次元の最初から最後まで全部という意味です。これがMatlabで絶対理解しておかなければならない表記法の一つです。

今回は画像を扱うのに4次元の配列を使っています。1、2次にy座標とx座標。左上からyは向かって下に、xは右に移動していきます。3次目はRGBやCFAのインデックス。RGBなら3つ、CFAなら4つとっています。 4次目は何枚目の画像かを表しています。今回8枚の画像を使っていますが、その何枚目かを表します。あと成分を表す数字は1から始まることにも注意です。0からではありません。 

例えば、AにRGBで別れた画像が8枚入っているとすると、5枚目のG画像を表す時は

A(:, :, 2, 5)

と表します。:が2つあるのはy、x座標それぞれ全部を表しています。"2"はRGBの2番目と言う意味です。Bなら3ですね。"5"は5枚目と言うことです。

例えばサンプルコードの最初の方にある

 Raw(:, :, i) = fitsread(ファイル名);

はi番目の画像にfitsファイルを読み込んで、1次目にy座標のデータ、2次目にx座標のデータを全部入れていきなさいと言うのをわずか1行で表記したものです。

これらの表式は慣れるしかないのですが、ここらへんを感覚的に理解できるとコードもすらすら読めて、シンプルなコードを書くことができるようになるのかと思います。


モノクロセンサーASI290MMの場合

とりあえずMatlabでやってみた画像処理を説明していきます。まずはモノクロのASI290MMの結果です。

ASI290MM
このグラフを出したMatlabのソースコードをアップロードしておきます。使用した画像も(サイズを切り詰めるために中心部のみ切り取ったものですが)一緒に入れておきましたので、すぐに走らせることができると思います。もしMatlabを持っていて興味があったら走らせてみてください。

ASI290MM.zip 


結果は前述したとおり、平均偏差ではなく一般的な標準偏差を使っています。メーカー値はコンバージョンファクターが3.6程度、ユニティーゲインが110程度ですので、グラフ内の数値と比較してみるとそこそこ一致していることがわかります。なので、カラーでも標準偏差を用いる方向を探りたいと思います。

また、以前pythonで書いたコードと比較して同等の結果を出すことできています。

Conversion_Factor_ASI290MM_std

Maltabでもこれまでと同様のことができることがわかり、かつ遥かにシンプルに書けることがわかりました。


カラー版ASI294MC Proの場合: CFAで解析 

さて、Matlabでの画像処理にも慣れたところで問題のカラーのASI294MC Proの解析です。

結論から言うと、結局今回も謎は解けずじまいでした。

まずはシンプルなCFAの方から。RAW画像からCFAへ分離するところはビルトインの関数とかはないようなので自分で書いてみました。以前は平均偏差(mad)で無理やり答えを合わせましたが、今回ASI290MMの結果なども含めていろいろ考えた末に、結局諦めて標準偏差(std)を使うことにしました。

ASI294MCPro_CFA

各測定点はそのまま解析した結果を表示していますが、フィッティングは無理やり合うように補正してます。考え方としては、謎な部分をunknown factorとしてフィッティングするところで無理やり補正するというやりかたです。今回のCFAの場合、unknown factorはノイズ(標準偏差の2乗)を2分の1とすることでZWO、SharpCapの結果と一致することがわかりました。

ちなみにメーカー値はコンバージョンファクターが3.9程度、ユニティーゲインが117程度です。繰り返しますが、CFAで測定されたノイズを無理やり半分にすることでメーカー値に近くなります。

先に説明したように、SharpCapでLのノイズが小さく出ている理由がわからなかったので、もうこのように無理やり合わせてしまうしかなかったという苦肉の策です。これはあぷらなーとさんが示してくれた、CFAとRGBで標準偏差で0.75倍違うというのを考慮してもまだ少し足りません。

まあ、このやり方に言いたいことはたくさんあるかと思いますが、とりあえず先に進むことにします。


カラー版ASI294MC Proの場合: RGBで解析

次はRGBでの解析です。

最初はMatabビルトインのdemozaicという関数を使ったのですが、これだと中で何か変に処理しているのかノイズが話にならないくらい大きくなりすぎました。仕方ないので自分でRGBに落とすコードを書いています。そこそこまともそうな値は出たのですが、ただしこのコードまだ未完成です。なぜかというと、センサーアレイはRGGBなのでG(グリーン)が二つあるのですが、その応答が少し違うことに起因します。Gを2つ使って求めると強度の山が2つでできてしまい、ばらつきが大きくなりすぎるからです。そのため今回は2つあるG素子のうち1つだけを使うことにしました。

ASI294MCPro_RGB

RGBになりあぷらなーとさんが示してくれた通り、CFAの時よりもばらつきは少なくなることがわかりました。それでもまだノイズが大きすぎるのでCFAの時と同様にunknown factorとしてフィッティングするところに無理やり入れました。RGBの場合、unknown factorはノイズ(標準偏差の2乗)をルート2で割ってやることでZWO、SharpCapの結果とかなり一致することがわかりました。


考察

ASI294MC Proで使ったファイルもアップロードしておきます。よかったら参考にしてください。

ASI294MCPro.zip 

今回はまだ苦肉の策で、無理やり答えを合わせるように測定結果を割っているだけなので、考察と呼べるようなものにはなりません。CFAの場合出てきたノイズを半分に、RGBの場合ルート2でわってやるとSharpCapやZWOの結果とかなり近い結果になりましたが、その理由は全然わかっていません。

前回のpythonコードを使った時はCFAやRGBの変換はPixInsightを使いました。でも今回はRAWファイルから直接計算してCFAもRGBも取り出しています。ここら辺はMatlabに移ったことでやりやすくなったところだと思います。このように今回はかなり噛み砕いてブラックボックスがないように進めてきたつもりです。撮影した画像はSharpCapのスクリプトで撮影したものと同等と仮定していいかと思います。これでも結果が一致しないということは、
  • ZWOもSharpCapも何か特殊なことをやっているか
  • もしくはまだ私が馬鹿なミスを犯しているか
です。とにかく怪しいのがZWOのLのノイズが小さく出過ぎていること。この謎が解けない限り進展がない気がします。


まとめ

週末を結構な時間費やしましたが、コンバージョンファクターに関しては結局昨年から進展がなかったので疲れてしまいました。それでも得られた成果としては、
  • Matlabでの画像解析の手法に慣れることができた。
  • あぷらなーとさんが出してくれた、debayerの方がCFAよりもノイズが0.8倍程度と小さくなることを確かめることができた。
ことくらいでしょうか。でも全然だめですね。これ以上は時間の無駄になりそうなので、一旦ここで打ち切ることにします。

それでもMatlabが使いやすいことは分かったので、今後の画像解析はMatlabで進められそうな目処はついたと思います。

元々この解析はダークノイズ解析につなげたいとか、EOS 6Dのユニティーゲインを測定したいとかで始めたのですが、なかなか進みません。いつ実現できるのかまだまだ未定ですが、諦めることはしたくないのでまたいつか再開する予定です。

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