ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:調整・改造 > テスト

SAMYANGの14mm F2.8の歪みが結構な量なのですが、Lightroomを使って補正できるということは以前書きました。それでもレンズプロファイルは必ずしも正しくないなど、星景写真を処理していく過程でいろいろ気づいたことがありましたので、メモがわりに書いておきます。


まずはLightroomの準備

実際の歪みを調べるために、多少距離があり格子状のものということで、自宅の障子を撮ってみました。穴が空いていたりして恥ずかしい限りなのですが、それは置いておいて、やはりレンズ自身の歪みは相当大きいことがわかります。一応そこそこ画角の枠に合うように障子を撮ったつもりなのですが、少し水平が出ていなかったことと、右側の方が障子までの距離が近く、左側の方が障子までの距離が遠かったようです。

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  1. 最初、障子の縁の方で差を見ればいいと思って枠がちょうど画角の縁の方に来るように撮影したのですが、Lightroomで開いてみるとなぜか障子の縁の方が見えていません。ヒストグラムのすぐ下にある点線の四角のアイコン「切り抜きツール」でなぜかデフォルトで一部切り抜かれて、周りの5%くらいが現像されない状態になっていました。いつからこうなっていたのかわからないのですが、まだそれほど数は多くないですがおそらくこれまでLightroomで現像したものは一部欠けて処理をしていたことになります。
  2. その他デフォルトで勝手にオンになっている処理機能があるのが心配で、一旦「現像」の全ての処理をオフにしました。右端の各種処理項目の左にある上下スイッチのようなものを全部下側にします。こうすることで変な処理がされないようにします。
  3. が、それでも一番上のヒストグラムにはスイッチは見当たりませんし、ヒストグラム部分をさわってしまうと変な処理が知らずにされてしまうこともあります。こんな時はヒストグラム部分をダブルクリックすると元に戻るようです。
  4. さらに、次の6個アイコンが並んでいるところは、それぞれのアイコンを押して初めてオフにするスイッチが出てきますし、その中の最初の「切り取りツール」はオンオフスイッチ自体がないです。その代わりに「初期化」というボタンがあるので、それを押しておきます。他にも初期化ボタンがあるものやないものもあるので、結構ややこしくて一つ一つ見ていくしかないようです。 




付属のレンズプロファイルは必ずしも正しいものではない

さて、やっとこの状態でレンズプロファイルについて検証できる準備が整いました。まずは何も補正しない場合です。プロファイルを使っていますが、ゆがみの補正量を0にしているため、ゆがみ補正についてはオリジナルの画像を同じであることを確認済みです。

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次にゆがみ補正がデフォルトの100の場合。かなり補正されていますが、それでもLightroomで表示した格子と比べるとごくわずかずれています。

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できるだけ格子に合うようにしてみると、ゆがみ補正が125程度の時が最適なようです。わずかなズレですが、100の時とは有意に違いがあることを意識しておくくらいでいいのかと思います。

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このプロファイルですが、以前の記事でSAMYANGのプロファイルはPhotoshopだと使えないが、Lightroomだと使えるということを書きましたが、どうやらそれは間違いで、PhotoshopでもLightroomでも.cr2のRAWフォーマットだと使えて、そこから.tifや.jpgなどフォーマットを変えてしまうと使えなくなるということがわかりました。調べてみたらプロファイルはRAW用とそれ以外で2種類あるとのことです。

でも、このことは後に大きな問題であることがわかりました。画像処理の最初の方でゆがみ補正をしてしまうと、あぶり出しの過程で、そのゆがみの跡があらわに出てきてしまうからです。

cut

処理途中の画像を一部切り抜いた画像です。
クリックして拡大するとわかりますが、右端の雲のとこらへんに縞が盛大に出ています。
Lightroomのレンズのゆがみ補正からできてしまう縞です。

なのでこのゆがみ処理を、あぶり出しの終わったできるだけ最後の方の処理過程でやりたいのですが、その時には汎用のTIFFフォーマットになってしまっていてSYAMYANGのプロファイルを使うことができません。TIFFフォーマットでもJPGフォーマットでも使えるレンズプロファイルは数が少なく、SAMYANGは残念ながらその中に入っていないようです。

では、プロファイルを使用せずに、Lightroomの「レンズ補正」の「手動」で補正した場合はどうなるのでしょうか?下の2枚の写真は真ん中らへんを合わせようとしたものと、四隅を合わせようとしたものですが、両立するのは無理なようです。

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仕方ないので、TIFFファイルをRAW準拠の.dngフォーマットやPhotoshop用の.psdフォーマットに変換してRAW用のプロファイルが使えないか試してみました。残念ながら結果は本当に.cr2しか対応していないみたいで、全く無理でした。

次に、Adobe Lens Profile Creatorというのでレンズプロファイルを作成することができると知りましたが、マニュアルを読んでみると、格子状の模様を何枚も撮影してプロファイルを作るとかで、結構面倒そうです。しかもそれがRAW以外に適応できるかどうかもまだよくわかりません。もう少し簡単なツールとして、他のユーザーが作ったプロファイルをダウンロードするAdobe Lens Profile Downloaderというツールがあったらしいのですが、2018/1/1から配信停止になっているそうです。

そんなことをしている過程でレンズプロファイルの中身を実際に見てみたのですが、構造は結構簡単で、もしかしたらRAW用のプロファイルからTIFFやJPEGでも使えるプロファイルを作ることができるかもと思いました。


1. まずレンズプロファイルがそもそもどこにあるのかですが、Macの場合結構わかりにくいです。アプリケーションにある「Adobe Lightroom Classic CC」フォルダの中の実行ファイル「Adobe Lightroom Classic CC.app」を右クリックして「パッケージの内容を表示」を選びます。そこに出てきた「Contents」から「Resources」->「LensProfiles」->「1.0」フォルダをたどっていって、例えば今回の場合「Samyang」フォルダの中の「Canon」フォルダから「Canon (Samyang 14mm f2.8 ED AS IF UMC) - RAW.lcp」ファイルをエディタなどで開いてみます。簡単なテキストファイルなのがわかります。

2. ここで、RAWとRAW以外の共に対応しているプロファイル、例えばSONYのものや、Samyangのすぐ前のSamsungというものなどをみるとわかるのですが、まずフォルダの中にファイル名が似たものが2つづつあります。ファイル名にRAWが付いているかついていないかでRAWのみに対応するのか、それ以外にも対応するのがわかります。

3. 二つのファイルを同時に開くとわかるのですが、違う点は

CameraRawProfile="True"

の部分のみです。ここがRAW以外に対応するのは"False"になっています。違いがこれだけならば
、ここを書き換えれば動かすことができそうです。

4. ただ、ファイルをコピーして、RAWという部分を除いてペースト、上のTrueをFalseに書き換えるだけではプロファイの選択肢に出てきませんでした。どうやら「LensProfiles」フォルダの中にある「Index.dat」の問題のようですが、これは単純なテキストファイルではなくバイナリファイルのようで、簡単に書き直すことはできません。

5. そのため、既存のRAW以外に対応するプロファイルで、自分がおそらく使わないプロファイル、例えばSamsungなどの中身をごっそり欲しいプロファイルに置き換えてしまうことにしました。単純にテキストをコピペするだけです。でもアプリの中に含まれるファイルのために保護されているようなので、ファイルを書き換えようとすると認証を求められたりします。パスワードを入れてやれば普通に変更することができます。


このようにすることで、一応RAW以外対応していない目的のプロファイルをRAW以外にも適用することができるようになりました。まあ、裏技みたいなやりかたなのであまりおおっぴらにしてもダメなのかもしれませんが、あぶり出しで縞が出てしまうようなゆがみ補正では使い物にならないのもまた事実です。


と、いろいろやって調べているうちに、WindowsのLightroomで同じようなことをやっている方を発見しました。Windows版はレンズプロファイルの場所などが違うので、WindowsでLightroomを使っている方はこちらを見た方がいいかと思います。また、「CameraRawProfile="True"」とかで検索したら、海外でも同じような記述が複数見うけられました。同じようなことを考える人間は世の中結構いるものですね。


でもなんでこんな簡単なのに、RAWだけに制限してしまうのでしょうか?単純にもったいない気がします。

とにかくこれで、TIFFに変換し、PixInsightやPhotoshopなどであぶり出してから、最後にLightroomで読み込んで、TIFFフォーマットでレンズプロファイルを適用することができるようになりました。さあ、これでやっと溜まっている星景写真を処理するぞと。


あと今回、周辺光量補正については今回ライトをきちんと当てていないので何も検証していませんが、星景写真の経験からもやはり補正量が100だと不足で、200近くまで持っていってやっとまともになるくらいかと思います。まあ星景写真の場合はそこまで周辺減光にこだわらなくていい気がしますし、景色が映らない星野写真の場合もフラットフレームを別途撮影したり、PixInsightのDBEなどソフトである程度補正できるので、そちらに任せた方がいいのかもしれません。


週末の金曜日、晴れているので新規投入のCGEM IIのテストです。

やはり重い。中型赤道儀の部類に入ってくるのですが、こんなもんなんでしょう。重いです。バッテリーはもちろんですが、追加ウェイトも結局AVXのものをそのまま使うことができました。

ここにMEADEの口径25cmのシュミットカセグレン式のLX200-25を載せます。これまた重い。今まで軽かったのがいかに楽だったかを思い知らされます。

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バッテリーに電源ケーブルをつないで電源オン。モーターの動きもスムーズで特におかしなところはなさそうです。今日は月が出ているので、とりあえず簡単にソーラーアラインメントで月のみで初期アラインメントをとってみましたが、こちらも問題ないです。大口径で見る月はそれはそれは明るくて、眩しいくらいでした。次に木星を見ました。星が瞬いているので、シンチレーションは良くないですが、すでに副鏡もそこそこ調整されていて、特にボケることもなく木星の縞も見ることができます。

さて、問題はここからです。もう一度月を導入してから、例のオプティカルエンコーダーを試そうとクラッチを緩めて適当なところに持って行き、再び月を導入したのですが、全然実際の月のところまでいきません。あれっ?と思い、「MENU」ボタンを押してユーティリティーから「Get Axix Position」を選んで見てみると、コントローラーのボタンで方向を変えた時はきちんとリアルタイムで表示位置が変わるのに対し、クラッチを緩めて移動した時は全然表示位置は変わりません。これはエンコーダーと連動していないことを示します。

その後色々調べると「光エンコーダー」とは書いてあるのですが、「デュアルエンコーダー」とは一言も書いていないんですよね。検索で引っかかったのは2chの投稿で、CGEM IIでもクラッチを緩めて動かしてもまた元に戻る「はずだ」というようなことが書いてあったので信じていたのですが、どうやらこれは間違いのようです。

決め手はCludy Nightの投稿で、そもそもCGEMからのアップデートは
  • ハンドコントローラーがUSBポートになった
  • クラッチハンドルが長くなった
  • 三脚にインデックスマークがついた
  • アリミゾがビクセンとロスマンディーの両対応になった
ということだけだと書いています。そこに追加で

These are not the axis encoders you hear about that allow you to move the scope by hand, yet continue to know where it is pointing.

と書いてありました。どうやらEQ8とかにあるようなエンコーダーのようにはならないようです。

うーんこれは紛らわしいですね。光エンコーダーというと、普通は別の独立エンコーダーで、回転情報を保持していると思ってしまいますよ。これからCGEM IIを購入される方は、後悔しないようにこの点注意してください。

誤解されないように書いておきますが、CGEM IIには「エンコーダー」はついていてその役割はきちんと果たします。でもAVXにも「光」ではないですが、モーター部にエンコーダーはついていますし、これまでも自動導入などで恩恵を受けてきました。例えば、バランスが悪くてモーター途中でカックンとかなっても、エンコーダーが情報を保っているので、スリップさえしなければ何度か導入することで目的のところまで持っていってくれます。でも、読み出しが「光」になっても、本質的にはモーター部のエンコーダーと同じことで、もう一つ独立に回転軸を直接読むようなエンコーダーがない限り、クラッチを緩めて位置を保っているということはできません。

もしデュアルエンコーダーがついていてクラッチフリーで情報を保持する赤道儀が欲しい場合は、現行ではEQ8とスカイウォッチャーのAZ-EQ5GTくらいなのでしょうか。もう少し選択肢があればいいのにと思います。

一番期待していたところが期待外れでしたが、それ以外の機能は特に不満はないです。値段的にも(多分普通にCGEMを買うよりも)安く買えたので、まあよしとします。

あ、あとハンドコントローラーは相当良くなっていました。文字の解像度が上がって読みやすいし、ボタンは押しやすいし、USB接続はまだ試していませんがRS232Cの代わりになるようなのでケーブルも少なくできそうです。ここら辺は「新機種」の恩恵ですね。AVXからの機能アップとしては「パーマネント」のPECがあります。こちらもいずれ試してみます。


手持ちのAdvanced VX分断事件の修理後、多少不安に思いつつも使っていたのですが、ついに新しい赤道儀を購入してしまいました。選んだのはCelestronのCGEM IIです。ブログの中やコメントでもちょくちょく「CGEM II欲しいと」言っていたのですが、特価品が出ていたのでついつい勢いで購入してしまいました。機種選定は実は結構長い間悩んでいたので、ここで選んだ理由をまとめておくと、


1. まず動機ですが、火星最接近を控えた惑星シーズンに際し、MEADEの25cmシュミカセ(実測13kg)をなんとか早く稼動させたいというのがありました。今の手持ちのAdvanced VXの搭載可能重量は13kgなので本当にギリギリ、しかも一度、二つに分断されているので重いものはちょっと怖い。

2. 大きな重い赤道儀は稼動率が下がるため、極端に大きいのは避ける。この時点で
  • タカハシのEM-200 (オリジナルは1989年、搭載可能重量16kg、精度も良くかなり頑丈、ステッピングモーター、実売47万円位)
  • ケンコーのEQ-6PRO(2012年発売、搭載可能重量17kg、ステッピングモーター、実売25万円位)
  • Sky-WatcherのEQ6R(2016年発売、搭載可能重量20kg、ステッピングモーター、実売22万円位)
  • iOptronのiEQ45Pro (2014年発売、搭載可能重量20kg、ステッピングモーター、実売27万円位)
  • CelestronのCGEM (2009年発売、搭載可能重量18kg、DCモーター実売20万円位、在庫なし)
  • CelestronのCGEM II (2017年発売、搭載可能重量18kg、DCモーターデュアルエンコーダー(追記: 間違いでした、「光」エンコーダーですがデュアルではないです)、実売25万円位)
などが候補です。ちなみに(個人的に)グリーンはメリット、赤はデメリットと思う点。他にもフリーストップが特徴のロスマンディーのGM811GHDもいいなと思いましたが、こちらは予算オーバーです。

3. 新しいデザインの方が色々良くなっているだろうという期待から、EQ6RとCGEM IIが候補。中古でいいならEM-200もありですが、新品だと流石に予算オーバー。マニュアル導入の腕のない私には自動導入は必須なので、EM-200でもTemmaはあった方がいいが、これだと中古でも高価。同じく中古などで安いならCGEMやEQ-6PROもありかと。

4. ステッピングモーターは少し惜しいですが、AVXでDCモーターでそれほど不満はなかったこと。ちなみにロスマンディーもDCモーターのようです。

5. 今のAVXもエンコーダーはついているが、それに加えてオプティカルエンコーダーの威力を実際に試してみたい。ここで一気に絞られCGEM IIに決定です。でも将来オプティカルエンコーダーという理由でEQ8を見据えるなら、いまのうちからEQ6Rという手もあるのですが、将来よりも今のオプティカルエンコーダーを選びました。う(テストでデュアルエンコーダーではないことに気づきました。クラッチを緩めてしまうと位置情報は保持されなくなるので、これまでのAVXでついていたモーター部のエンコーダーと本質的には同じです。)

6. 同じCelestron系だと、これまで構築したソフトなどをそのまま使えるというのもあります。

7. 実はこれがいちばんの理由なのですが、予算がそれほどあるわけではないので、CP+展示品で特価だったことがホントの決め手になりました。



太陽も落ち着いてきて、やっと少し時間もできたのでCGEM IIを開封して組み立ててみました。雨の日なので外に出すわけにもいかず、部屋の中での組み立てです。その際の感想です。

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  • まず最初に思ったことが「重い」。AVXより多少重いくらいだろうと思っていましたが、重さは想像以上でした。車で持って行って外で組み立てるのが億劫になる重さです。組み立てておいて玄関から外へだけの移動の、自宅稼動に限るかもしれません。 
  • あたりまえですが、作りがAVXに比べてかなり頑丈です。クランプひとつ取っても不安感がありません。
  • 三脚の脚の部分がが思ったより開いている(気のせいかも)?脚が太いのもあってか、ぱっと見AVXより相当安定な気がします。AVX三脚も決して不安定ではないですよ。でもそれにも増してという感じです。
  • ウェイトが一つしかついていないので、買い足す必要があるかもしれませんが、AVXのが使えたら使い回しするかもしれません。
  • バッテリーと極軸望遠鏡も使い回しできそうです。極軸望遠鏡はSharpCapを使った電子極望で十分なのでそもそも必要ないかもしれないくらいです。
  • 三脚に水準器がついているのがいいです。AVXは何もついていないので自分で後付けしました。

さて、晴れた時に実際に25cmのシュミカセを乗せて試してみたいと思います。


その2 テストに続きます。
 

SharpCapのツールのカメラの性能評価機能を使い、手持ちのZWO社のCMOSカメラ
  • ASI224MC
  • ASI178MC
  • ASI294MC
の3台について測定、比較してみました。測定結果に示す各値の意味については以前の記事が参考になると思います。ASI294MCについては今回新たに測定し直していますが、結果はReadNoiseがよりダークな環境で測定することに気をつけたためか、多少良くなっている点を除いては、かなり一致しているので、そこそこ信頼がおける結果になっているのではないかと思います。



測定方法

まず、測定方法を簡単に書いておきます。SharpCapにカメラを接続し、認識させてから、「Tools」メニューから「Sensor Analysis」を選びます。下の方に出てきた測定エリアの指示に従えばいいのですが、いくつか気づいた点を書いておきます。 

まず、映している画面の中で、赤い四角で囲まれているところのエリアのみ測定します。なので、例えば画面中央部と4角では結果が違う可能性があります。選んだエリアが暗すぎたりすると、下の写真のようなメッセージが出ます。

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ある程度は自動でゲインや露出時間を変えて測定してくれますが、基本的には次の写真にあるように、ピークが一本ピンと立っているような状況がいいみたいです。その一方、精度よく測るには暗い方がいいようなことが書かれていますが、あまり暗いとあるところから進まなくなってしまって迷いました。そんな時はもう少し明るい状況にすると進み出します。

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最初はコンバージョンファクターの測定です。測定が始まると上の写真のように、横軸ADCのカウント、縦軸ADCのノイズの分散でプロットしてくれます。その傾きをコンバージョンファクターとしています。ここで注意ですが、本来この測定はゲインを変えて何度も測定すべきですが、SharpCapではコンバージョンファクターはこの一回しか測定していません。それにゲインの変化分を換算して、簡易的に種々のゲインでのコンバージョンファクターを求めているようです。測定し終わると、次の写真のようになります。ダーク測定の後にゲインを変えているようですが、右のグラフがいくつも出るわけではないので、やはり簡易的な計測なのだろうと思います。

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最初の測定が終わると、次にカメラに蓋をかぶせてダーク状態で読み出しノイズの測定をします。このとき光が漏れていると、読み出しノイズに余分な信号が入ってしまい、読み出しノイズが大きく計測されてしまうようなので注意です。カメラに蓋をして、さらに暗い所へ持っていくなどの工夫が必要かもしれません。

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ダーク測定が終わると上の写真のようになるので、再び蓋を取って、最後の測定に入ります。内部ゲインや露光時間を変えて色々測定しているようですが、ここはあまり何をやっているかわかりません。この時に十分な明るさがないと、全然先へ進まなくて同じ設定を繰り返しするような状態になってしまうことがあります。こんな時はもう少し明るくして見てください。

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測定が終わると、数値とともに測定結果を記したグラフ(注: 次に示すグラフとは別の測定でとった写真なので少し値が異なって来ます)が出てきます。

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測定結果

さて今回は上のような測定方法で、3つのカメラを測定してみました。結果は以下のようになります。

comp



結果を見ると、ZWOに示してあるグラフ(ASI224MC, ASI178MC, ASI294MC)と比べて、かなり一致していることがわかるかと思います。また、上で出したグラフはZWOが出しているグラフと表示形式を少し変えてあるのに気づくと思いますが、以下で説明していきます。

測定結果を見ていて思ったのですが、ZWOのグラフのGAIN(e-/ADU) (コンバージョンファクター)のところの縦軸がリニアになっているのはどうしてもいただけません。内部ゲインが高いところで0付近になっているためほとんど見分けがつきませんが、これは0付近でオーダースケールで0に近づいていくことに意味があるので、これは対数スケールで書くべきです。今回測定したグラフは対数スケールにしてあります。こうするときちんと直線になっていて、意味があるのがわかると思います。


考察

さてこのグラフを少し考察してみましょう。まず最初に思ったことが、Full Wellの値に果たして意味があるのかということでした。そこで試しに、ASI294MCにある「Full Well」の値を「e/ADU」で割ってみましょう。測定の数値結果を以下に示します。

ASI294MC_number



一番右の欄に計算結果も書いていますが、どの「Gain Value」に対しても全てぴったり16384になるのがわかる(ちなみにASI224MCの場合は全てぴったり4096になります。)と思います。これはADCの14bitのカウント数16384が最初にありきで、それを実測した「Gain Value」で割っているだけで、その結果を「Full Well」と呼んでいるだけだということがわかります。なので、示したグラフの上二つはほとんど同じことを言っていて、二つのグラフを両方とも示す意味は本当にあるのかと思ってしまいます。

本来のFull WellとはSensorの出力で制限される値を測定すべきなのですが、全てのゲインで測定していない簡易測定なのでこんな結果になってしまったか、もしくは測定していてもADCのbit数の制限でリミットされてしまっていて、少なくともセンサー本来が持っているFull Wellで制限された値が示されているわけではないことがわかります。このことは、言い換えるとセンサー本来はもっと出力できるのに性能がADCで制限されてしまっているか、もしくは簡易測定のためにADCに制限されたように見える、よくわからない結果になってしまっていると言えます。

それでも実際には高ビット化をしようとして、例えば安易に16bitADCにしようとしても、16bitの性能を引き出すのはノイズや転送速度、データ量の観点から普通はとても難しいので、14bitだからと言って一概にダメだということは全くありません。むしろこの価格で14bitで、転送速度まできちんと出ているというのはすごいことで、賞賛こそすれ非難できるようなことは何もないでしょう。


次に考えたことは、Read NoiseをADCのカウントにしてやったほうがわかりやすいのではないかということです。今回出したグラフはZWOのものにさらに追加してあって、一番下に書いてあります。これは単に一つ上の「Read Noise(e)」を「e/ADU」で割っただけなのですが、16384に対してどれくらいノイズとして明るさの変動があるかという目安になります。先のノイズの記事でも書きましたが、この「
Read Noise(ADU)」の意味は、内部ゲイン500の時、ノイズ100くらいだとしたら、明るさのバラツキが100カウントくらいで収まる範囲が68%に収まっている。200カウントのバラツキは98%に収まっているということです。200カウント以上のバラツキは2%くらいしかないですが、それでも0ではありません。300カウント以上は統計的にはわずか0.13%ですが、これはかなり0に近いのですが、ピクセル数が4144 x 2822 = 11694368もあるので、そのうち0.13%だとすると15200ピクセルくらいは300カウント以上飛んだ明るさを持つので、決して少ないわけではありません。

もちろん各ピクセルには信号を測定した際の平均的な明るさがオフセットとして乗っかるので、明るいピクセルはノイズは目立ちにくいでしょうが、暗いピクセルはノイズが目立つことになります。また、これは読み出しノイズについてのみ話しているので、他のノイズの兼ね合いで、意味のあるノイズだったり、無視できるノイズだったりします。例えば長時間露光してしまえば読み出しノイズは無視できます。逆に短時間だと読み出しノイズによって制限されてしまったりします。ここら辺は以前のノイズの記事をご参照ください。こうやって考えると、測定結果がやっと実際に目にしているノイズに近いものになってくることがわかります。


今回はわかったことは、メーカーの提示している仕様と、実測はかなり一致していること。ただしきちんと意味を考えないと、グラフを見ていても意味のある情報が得られないことなどです。


次に考えている目標は、スペックシートからそのカメラの性能がノイズや写り具合も含めてきちんとわかるかどうかということ。これはもう少しまとまったら、またそのうちに記事にしたいと思います。


赤道儀の遠隔操作のためにStick PCを使うことがあります。Stick PCはモニターを持っていないので、いずれにせよなんらかの遠隔の画面表示が必要になります。特に、冬場の遠征ではとてつもなく寒いので、暖かい車の中から遠隔操作するというスタイルを一度経験すると、ずっと外で待っているというスタイルには戻ることができません。

そのための接続としてこれまで、
  1. Stick PCの無線LANを無理やりルーター化する
  2. 超小型の安価な簡易ルーターを使ってみる
  3. BUFFALO製のポータブル無線LANルーターで接続する
と試してきました。1.はUSB3.0カメラの雑音で接続が不安定になり、5GHzに逃げようとするもできないことがわかり断念。2.は付属ソフトがこなれていなくてバグだらけで設定が大変なのと、Windowsが動いているPCのUSBに挿さなければならず、USBポートを無駄に使用してしまうのでイマイチ使用頻度が下がってお蔵入り。3.は接続がどうも安定でなく、時々Remote Desktopでの接続が切れてしまうのが悩みでした。

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ELECOM製は変な切断はないと聞いていたので、ちょと前に5GHzのポータブルの無線LANルーターWRH-583GN2-Sを購入してみました。色をグリーンにしたのは単に安かったからです。ブラックはなぜか倍近くの値段がしました。パッと使ってみた限りでは変な切断などはなさそうです。

実際にテストして良かったと思ったのは、BUFFALO製に比べてはるかに高機能で、普通の家庭用無線LANルーター程度のことができてしまいます。例えば
  • SSIDの名前の変更
  • パスワードの変更
  • 管理者の名前の変更
  • LAN側のIPアドレスの範囲を任意に変更することができる
など結構基本的なことが普通にできます。BUFFALO製はこれらのことがことごとくできなくて、本当に簡易使用を前提としているようで不満だったのですが、ここら辺のことが見事に解決されました。特に、
  • MACアドレスを見てDHCPの割り当てIPアドレスを固定できる
のが便利で、やっとこれでその場でIPをDHCPの範囲内でやみくもに打って、Remote DesktopでStick PCを探し出す必要がなくなりました。

逆にできると思っていたのにできなかったことが、
  • 無線でWAN側につないで、LAN側からもインターネットに接続する
という、BUFFALOではできていたことができません。WAN側は有線使用が前提みたいです。これは結構痛くて、遠征時にiPhoneのテザリングなどで外につなぐことができなくなります。遠隔地では基本Stick PCに接続できればいいだけなので、外につなぐ場合は操作する側のPCを直接テザリングでiPhoneにつないでしまえば問題ないので、ほとんど大丈夫なのですが、Stick PCにアプリを入れたい時だけは困ってしまいます。それでも遠征するような光害がないところは、携帯の電波も貧弱なので同じかもしれません。まあ、痛し痒しです。

こういったことは買ってみて自分で試さないと、事前に調べただけだとなかなかわからないんですよね。それでもELECOMの方は、実際に使うときのために事前に柔軟に設定できるので、使用時に無駄な時間を取ることなく、何より安定性は優れていそうなので、すぐに実践投入できそうです。アマゾンのレビューで熱暴走の心配が報告されていましたが、これはBUFFALO製も同じような評価でした。夏場は外に出て星を見ていた方が楽しいのでそれほど遠隔操作で使う機会がなく、むしろ冬場の使用が多いのでそれほど問題ないと思います。


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