ペルセウス座流星群を撮るついでに、星景写真と星野写真も撮影しました。と言っても星野の方は流星が映らなかったものを流用です。
今回試したのは、三脚固定固定のカメラで撮影した天の川を何枚かスタックすることです。当然周辺では歪むので、それが回転していくと合わせようとしても星がずれてくるのですが、それをPixInsightのStarAlignmentで位置合したらどうなるのかというものです。
まずは南側の銀河中心部を縦構図で。30秒露光で6枚です。下処理として、Lightroomでレンズの補正をします。周辺減光と歪みです。Lightroomの同期機能を使い6枚全てに同じ補正をかけ、全てtifで書き出します。それをPixInsightで読み込み、StarAlignmentで位置合わせをします。何か特別な設定をするわけでもなく、デフォルト設定です。後はImageIntegrationで重ね合わせます。
出来上がった画像を見てみると、特におかしなずれもなくまあいいのではないでしょうか。普通に合わせるだけだと、四隅で大きなズレが出るはずですが、それが出ないのは星の位置を認識して、画面を歪ませて参照画像に合わせているからです。手前の木も風て揺れているので、重ね合わせてもそれほど遜色はありません。
これまで30秒露光の一発撮りだったので、それに比べるとノイズが少なくなっています。光害の少ない場所というのもあるので、そもそもコントラスト良く天の川が出るというのもあると思います。ここの場所、意外に暗いようでずいぶん昔に購入したiPhoneのDark Sky Meterで測定してみると、南の空は21以上が余裕で出ます。
何度か測って同じような値が出るので再現性はありそうですが、さすがにこの画像のように21台後半はよく出過ぎてる気もします。天の川が大きく2つに分かれているところくらいは見えますが、構造がそこまではっきり見えるわけでもありません。SQM表の天の川の見方と比較すると20台後半からせいぜい21くらいまでかと思います。さらに北は富山の街明かりで明るいので、天頂から南にかけてがそこそこ環境よく撮影できるのではないかと思います。まあ、車で20分ちょっとのところなので、行きやすさを考えたら貴重な場所だと思います。
ちなみに、ステライメージで位置合わせとスタックをしてみると
のように特に隅の方でのズレが顕著になってしまいます。あぶり出しはしていないので、撮って出しに近いと思ってください。ステライメージは平行移動と回転だけで位置合わせをしているからです。拡大縮小はしているのでしょうか?いずれにせよ星を認識して画面を歪ませるようなことまではしていないです。また、回転でズレていく左端のところは黒い筋になっています。
続いて北から伸びる天の川です。時間的にはこちらの方を先に写しています。ようするにペルセウス座流星群を撮ろうとして全然撮れなかったのものの使い回しです。地面が入っていないので星野写真と呼ばれる分野になるのかと思います。
設定は上の星景写真とほぼ同様ですが、10枚を重ねているのと、地面が入っていないのでPixInsightのABEでカブリを取り除いています。
流石に10枚も重ねると、天の川部分も無理なく相当綺麗に出てきます。もうアンドロメダも登ってきてますね。左下に見える明るい星が北極星になります。上が天頂あたりになりますでしょうか。
星景写真同様、四隅におかしな流れもありません。ここら辺まで綺麗に撮れるようになってくると、もう少し良いレンズが欲しくなってきます。SIGMA artいいなぁ、でも結構するからなぁ...。
ちなみにこちらもステライメージ 8で位置合わせして重ねると
のように、四隅で大きくずれることがわかります。
拡大して四隅を比較してみます。
左がPixInsight、右がステライメージ 8です。それぞれの画像が30秒露光なので、その間の回転成分はPixInsightでも出てしまいます。さらに、10枚を重ねたときの補正し切れない回転成分がステライメージ の方では出てしまっています。
断っておきますが、これはステライメージが劣っているなどと言いたいのでは決してなく、PixInsightとはアルゴリズムが違うということを示したいだけです。ステライメージの手軽さ、初心者への優しさ、日本語で無理なく画像処理を進められることは素晴らしいことです。今回は、三脚での固定撮影で写して重ね合わせるという(ちょっと手を抜いた)特殊なことをやっているために差が出たに過ぎません。普通に赤道儀で撮影してスタックする分には、もちろんステライメージで十分な精度で位置合わせができることは言うまでもありません。
まだたくさん同画角の写真はあるので、何枚重ねられるか試してみるのも面白いかもしれません。
今回の結果を見ると、赤道儀などを用いなくても、三脚に置いた固定撮影だけで重ね合わせても、「PixInsightならば」うまく位置合わせができるようです。これはかなり手軽なので、これからもこの方法を進めていこうと思います。
もう少し進めると、AZ-GTiなどの経緯台で撮影して回転が存在したとしても、PixInsightだとうまく位置合わせができる可能性があるということにつながります。以前、EVOSTAR72EDとAZ-GTiを使って撮影した時は、SharpCapのアラインメント機能を使って重ね合わせましたが、
経緯台で、きちんと個別に撮影して、PixInsightで位置合わせをするのも面白いかもしれません。片ずれ問題の件もあるので、うまくいくかどうかは試してみないとわかりませんが。
もともと上の記事は初心者向けに簡単にという意図で書いたのですが、PixInsightを使うようになってくるともうさすがに初心者に向けてとかは口が裂けてもいえません。
今回試したのは、三脚固定固定のカメラで撮影した天の川を何枚かスタックすることです。当然周辺では歪むので、それが回転していくと合わせようとしても星がずれてくるのですが、それをPixInsightのStarAlignmentで位置合したらどうなるのかというものです。
銀河中心部
まずは南側の銀河中心部を縦構図で。30秒露光で6枚です。下処理として、Lightroomでレンズの補正をします。周辺減光と歪みです。Lightroomの同期機能を使い6枚全てに同じ補正をかけ、全てtifで書き出します。それをPixInsightで読み込み、StarAlignmentで位置合わせをします。何か特別な設定をするわけでもなく、デフォルト設定です。後はImageIntegrationで重ね合わせます。
「夏の天の川2020」
- 撮影日: 2020年8月14日23時38分-23時42分
- 撮影場所: 富山県富山市
- カメラ: Canon EOS 6D(HKIR改造)
- レンズ: Samyang 14mm F2.8
- 撮影: ISO3200、露光時間30秒x6枚=180秒
- 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
これまで30秒露光の一発撮りだったので、それに比べるとノイズが少なくなっています。光害の少ない場所というのもあるので、そもそもコントラスト良く天の川が出るというのもあると思います。ここの場所、意外に暗いようでずいぶん昔に購入したiPhoneのDark Sky Meterで測定してみると、南の空は21以上が余裕で出ます。
何度か測って同じような値が出るので再現性はありそうですが、さすがにこの画像のように21台後半はよく出過ぎてる気もします。天の川が大きく2つに分かれているところくらいは見えますが、構造がそこまではっきり見えるわけでもありません。SQM表の天の川の見方と比較すると20台後半からせいぜい21くらいまでかと思います。さらに北は富山の街明かりで明るいので、天頂から南にかけてがそこそこ環境よく撮影できるのではないかと思います。まあ、車で20分ちょっとのところなので、行きやすさを考えたら貴重な場所だと思います。
ちなみに、ステライメージで位置合わせとスタックをしてみると
のように特に隅の方でのズレが顕著になってしまいます。あぶり出しはしていないので、撮って出しに近いと思ってください。ステライメージは平行移動と回転だけで位置合わせをしているからです。拡大縮小はしているのでしょうか?いずれにせよ星を認識して画面を歪ませるようなことまではしていないです。また、回転でズレていく左端のところは黒い筋になっています。
北の天の川
続いて北から伸びる天の川です。時間的にはこちらの方を先に写しています。ようするにペルセウス座流星群を撮ろうとして全然撮れなかったのものの使い回しです。地面が入っていないので星野写真と呼ばれる分野になるのかと思います。
設定は上の星景写真とほぼ同様ですが、10枚を重ねているのと、地面が入っていないのでPixInsightのABEでカブリを取り除いています。
「北の天の川」
- 撮影日: 2020年8月14日22時41分-22時46分
- 撮影場所: 富山県富山市
- カメラ: Canon EOS 6D(HKIR改造)
- レンズ: Samyang 14mm F2.8
- 撮影: ISO3200、露光時間30秒x10枚=300秒
- 画像処理: Photoshop CC、PixInsight
星景写真同様、四隅におかしな流れもありません。ここら辺まで綺麗に撮れるようになってくると、もう少し良いレンズが欲しくなってきます。SIGMA artいいなぁ、でも結構するからなぁ...。
ちなみにこちらもステライメージ 8で位置合わせして重ねると
のように、四隅で大きくずれることがわかります。
拡大して四隅を比較してみます。
左がPixInsight、右がステライメージ 8です。それぞれの画像が30秒露光なので、その間の回転成分はPixInsightでも出てしまいます。さらに、10枚を重ねたときの補正し切れない回転成分がステライメージ の方では出てしまっています。
断っておきますが、これはステライメージが劣っているなどと言いたいのでは決してなく、PixInsightとはアルゴリズムが違うということを示したいだけです。ステライメージの手軽さ、初心者への優しさ、日本語で無理なく画像処理を進められることは素晴らしいことです。今回は、三脚での固定撮影で写して重ね合わせるという(ちょっと手を抜いた)特殊なことをやっているために差が出たに過ぎません。普通に赤道儀で撮影してスタックする分には、もちろんステライメージで十分な精度で位置合わせができることは言うまでもありません。
まだたくさん同画角の写真はあるので、何枚重ねられるか試してみるのも面白いかもしれません。
まとめ
今回の結果を見ると、赤道儀などを用いなくても、三脚に置いた固定撮影だけで重ね合わせても、「PixInsightならば」うまく位置合わせができるようです。これはかなり手軽なので、これからもこの方法を進めていこうと思います。
もう少し進めると、AZ-GTiなどの経緯台で撮影して回転が存在したとしても、PixInsightだとうまく位置合わせができる可能性があるということにつながります。以前、EVOSTAR72EDとAZ-GTiを使って撮影した時は、SharpCapのアラインメント機能を使って重ね合わせましたが、
経緯台で、きちんと個別に撮影して、PixInsightで位置合わせをするのも面白いかもしれません。片ずれ問題の件もあるので、うまくいくかどうかは試してみないとわかりませんが。
もともと上の記事は初心者向けに簡単にという意図で書いたのですが、PixInsightを使うようになってくるともうさすがに初心者に向けてとかは口が裂けてもいえません。