ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:画像処理 > タイムラプス

前回、LuSol-Guideというソフトを使い、太陽黒点まわりの撮影をオートガイドしながら撮影した記事を書きました。



今回は撮影したたくさんのserフォーマットの動画を元に、タイムラプス映像にする画像処理の話です。

内容的には以前まとめた太陽タイムラプス記事の続編ということになります。



大まかな概念は上のページに書いてあるので繰り返しませんが、他にガイドとタイムラプス映像にするための画像処理について主に書いてあります。

ガイドについてはFireCaptureの形状認識でしたが、これは時として太陽が画面外まで飛んでいってしまって、決して「戻らなくなる」のが問題でした。これについては前回のLuSol-Guideで別途ガイド鏡で太陽全体を見ながらガイドすることになったので、かなり解決されたはずです。

もう一つは、これまでうまくいってなかった画像処理時の動画にするときの「位置合わせ」です。hiroさんがImageJの強化版の「Fiji」というソフトを紹介してくれたため、今回位置合わせが完璧と言っていいくらいうまくいきました。



このFiji、バイオ系の顕微鏡画像処理などでよく使われているらしいのですが、ものすごく複雑で私はまだ全然細かいところまで見えていません。hiroさんが教えてくれた筋道をそのまま辿っただけです。hiroさんの説明はコメントに書かれているだけなので、改めてほぼコピペ状態でこのページにまとめておきます。わかりにくいところはコメントなどに書き込んでください。かなり便利なソフトのようなので私自身でもいろいろ検証してみたいと思います。

まずは、Fijiに行く前です。一番の問題は、AutoStakkart!3でスタックすると、画像サイズがバラバラになること。hiroさんがRegistaxで処理すると全ての画像サイズが同じになることを教えてくれました。久しぶりにResistaxでスタックをしてみたのですが、AS!3でスタックした場合に比べて細部だしの具合が甘くなってしまいます。おそらくこれは目立ったものが黒点しかないためです。AS!3はSurfaceというオプションで(例えば月の拡大のような)全面に広がったようなものも上手くスタックしてくれます。Registaxはもともと惑星撮影で発達したソフトで、アップデートが長い間されていなくて少し古いこともあるのか、今回のような光球面のスタックはうまく行ったりいかなかったりで、安定しないようです。

というわけで、今回もスタックにはAS!3を使い、その後違ったサイズで出てきた画像を以前の記事で書いたようにPhotoshopのアクションツールを使い、全てサイズを揃えます。

さらに今回、もう少し下処理をしました。各画像ごとの明るさの違い、ガイドの精度不足で黒点がブレたときの周辺減光の影響の違いを除去するために、PixInsightのABEを1次と4次で2回かけることにしました。他数枚の画像に同じ処理をするのは、そーなのかーさんのこの記事

を参考にさせていただきました。

背景補正が有ると無いとでは、仕上がったタイムラプス映像の見やすさが全然違い、細かい動きがよりみ見やすくなりました。光球面の動きはあまり目立ったものではないので、この下処理の効果は非常に大きいです。

さて、ここまで来てやっと今回の本題のFijiを使った位置合わせになります。基本的にはhiroさんが教えてくれた手順そのままで、少しだけ言葉を補足しています。
  1. FIJIを起動する。 
  2. 動画からスタック済みの一連の画像を選択し、FIJIの窓枠内にドロッする。 
  3. Plugins > Feature Extraction > Extract SIFT Correspondences を選択する。
  4. ポップアップ画面の最下部にexpectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。上手く行っていれば赤色の+マークが開いた画像の内の2枚に複数ついているはずです。 
  5. このまま続けて、Image>Stacks>Images to Stacke を選択し、ポップアップ画面のOKを押す。これで位置合わせ用として認識された複数の画像が一続きの要素として確定されます。 
  6. Stack画面の左下の▶を押すと、位置合わせ前の一連の画像がアニメとして動きます。 
  7. 更に続てけて、 Plugins > Registration > Linear Stack Alignment with SIFT を選択します。そして、expectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。 
  8. これで、位置合わせ完了です。画面の左下の▶を押すと位置合わせされた一連の画像を確認できます。 
  9. 動画から必要な部分だけ切り出したいときは、カーソルを画面を左上から右下へ動かすと選択できます。この後、Image>Crop を選択しOKで完了。 明るさとコントラストはImage>Adjust を選択すると調整バーが出てきます。 
  10. 保存は「File」->「Save as」->「Image Sequence」で、あとは好きなフォーマットで保存してください。
この位置合わせの威力は素晴らしく、これまでどんなソフトでやってもうまくいかなかった光球面の位置合わせがほぼ完璧にできてしまいます。その一方、おそらく今回は黒点があるから位置認識がうまく行っているのかと思います。純粋な光球面だけだとうまくいくかどうかはまだわかりません。

結果です。ブログでそのまま表示できるように少しサイズを切り詰めgifファイルに落とし込みました。

Blink3a

いかがでしょうか?今回はテスト撮影のつもりで、わずか1時間ぶん、60枚のタイムラプスです。プロミネンスは1分単位でもかなり激しく動くことは過去の記事のタイムラプス映像からもわかるかと思うのですが、光球面はこの時間スケールではほとんど動くことはないと思っていました。今回のタイムラプス映像を見てみると、実際ほとんど動いていない部分が大多数なのですが、一部黒点の右上くらいは1時間で激しく動いていることがわかります。これは全く予測していなくて、この動きの片鱗が少し見えたときは大興奮で、夜遅いにもかかわらずできるだけ見やすくしようとして、PixInsightのContainerに初挑戦してしまいました。

撮影条件を書いておくと、

鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
エタロン: Coronado P.S.T.
赤道儀: Celestron CGEM II
カメラ: ZWO ASI290MM
撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
撮影時間: 2022/3/12 15時45分-16時44分 gain120-170, 1分おきに1ms x を5秒分、平均400フレーム程で1ファイルあたり1.7GBで合計60ショット。各動画の上位75%を使用。
画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCC、PixInsight、Fijiで位置合わせ、ffmpegで動画化。 

となります。

課題は、まだ細部出しの度合いが安定しないことです。同じ条件でとっても細部が出る場合とものすごくボケる場合の差がかなり激しいです。今回は全部同じ条件で処理したので、出ていないのもここに処理すればまだ細部が出る余地は残っているのかもしれませんが、今後のことも考え自動処理だけで済ませる方向で進めました。

この不安定な処理のため、最初は激しい動きのところも安定に取れていないからかとも疑いましたが、画像処理を進めるにつれどんどんはっきりしてきたので、おそらくこれはリアルに起こっている現象で間違いないかと思います。

あと、一枚画像をするときの最後のPhotoshopなどでの仕上げの細部出しに相当する部分があるのですが、今回はその過程を省いています。もしかしたらもう少しうまく出せるかもしれません。

もう一つは、まだ明るさが完全に言っていになっていなくて、動画にすると画面がチカチカしてしまいます。ここもまだ改良できるかと思います。

とりあえず今回はテスト撮影でしたが、それでも驚くほどの映像になりました。もう少しパラメータなど切り詰めて次回撮影に臨みたいと思います。

まだ夜に撮影した3天体の処理が全く進んでいません。今日の夜は入門講座の予定です。馬頭星雲とM100とM101、画像処理が終わってブログ記事にできるのはいつになることやら...?

 

2021年2月12日(金)の週末、とうとう念願の能登半島の真脇遺跡に行ってきました。

金曜夜に突然思い立って

そもそも真脇遺跡の存在を知ったのは「君は放課後インソムニア」という天文ネタのコミックです。

この日は夜に突然思いたったのですが、いくつか理由があります。ちょうど新月で撮影したいのですが、天気が微妙です。この時期実はまだSh2-240を撮影している歳ちゅでしたが、晴れなのに結構雲が多そう。特に前半がダメそうなのです。Sh2-240は0時すぎ頃に屋根の下に沈んでしまうので、この日の撮影は無理そうです。SCWで雲の予報を見ると、明け方の天の川が出ることには能登半島はほぼ快晴の様子です。もしかしたら今から出ればちょうど能登に着く頃には晴れているのではとの見込みで、それならいっそ真脇遺跡まで行ってみようとなったのです。


真脇遺跡に向けて出発

今回は星景写真ですなので、準備も楽です。さっと準備を済ませ、21時過ぎに出発。休憩も入れて約3時間の道のりです。しかも富山から能登空港までは元々有料道路だったものが無料になった道が大半で、運転しやすく、移動時間もかからず、しかも無料。途中コンビニなどで夜食を買いながら、のんびり行っても0時過ぎには到着しました。

初めての場所なのですが、真っ暗で誰もいません。どこまで車で入ったらいいのか?本当にこんな時間に遺跡まで寄って行っていいのか?こんな時間に誰かに聞けるわけもなく、とりあえず調べたら普通に近寄って行っていいみたいなので、カメラをセットしてみました。ここら辺でやっと目も慣れてきて気づくのですが、天頂は満点の星なのですが、地上近くは割合ライトも多く、思ったより明るいです。なので、ライトが遺跡でうまく隠れるような配置にすることにしました。明け方前の天の川が一番の狙いなので、天の川が一番濃い南東を中心にしました。でもこれちょっと判断ミスで、後で見返したら、この時期は天の川が上がってくる途中で意外に早く明るくなって染むので、もう少し中心を真東に寄せて、淡くても高くに上がる天の川を狙ったほうがいいと思いました。

とりあえず誰もいなさそうなので、タイムラプス映像を撮影することに。撮影中に気づいた限りで車が2台通っていっただけでした。撮影のその間、仮眠を取ろうとしたのですが、結局眠れたのは30分くらい。気になってなかなか眠れませんでしたが、明け方まで誰も来ませんでした。

撮影できた3時間半分のタイムラプス映像。一応その場で確認してみると、天の川もチラッと写ってます。でもやはりまだ2月は早すぎるかもしれません。ちょっと上がってきたところくらいで明るくなっていました。やっぱりタイムラプスで撮影する時はカメラは2台あった方がいいかもしれません。でも広角のレンズで明るいものをたいして持っていないので、もう少し考える必要があります。

明るくなった午前6時ごろ撤収。油断すると自宅に着くのが遅くなるので、どこにも寄り道せずに帰りました。帰宅したのは午前9時頃でしょうか、そのまますぐにベットに潜り込んで昼過ぎまで寝ていました。


撮影結果

その後の撮って出しと、PixInsightでJPEG画像をそのままBlinkで動画化したものはTwitterにその日のうちにアップしたのですが、その後の真面目な画像処理はずっとほったらかしていました。重い腰を上げてとりあえず進めます。

下は、明るくなり始める直前で、一番天の川が高く写っているものです。タイムラプス映像の中から選んで個別に画像処理してます。

IMG_1536_PS

  • 撮影日: 2021年2月13日5時39分
  • 撮影場所: 石川県能登町
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造)
  • レンズ: Samyang 14mm F2.8
  • 撮影: ISO6400、露光時間20秒 
  • 画像処理: Lightroom、Photosop、PixInsight、

タイムラプス映像

もう一つは午前2時30分から朝6時までの約3時間半のタイムラプス映像です。

こちらは楽をしてJPEG画像をPixInsightのBlinkでオートストレッチしました。LightroomでRAW画像から色々いじったのですが、途中どこかの街灯が消えたかついたかで、大きく背景の明るさが変わる境目がありました。それを何度も処理するのが大変すぎて、今回はオートストレッチである程度自動で明るさを揃えることで済ませました。

それでもDIGICエンジンは十分な表現力です。JPEG画像なのに、ほんとにオートストレッチするだけで十分でした。天の川の描写は甘くなりますが、滑らかさとか考えて今回は簡易的な方法をとりました。



撮影後のこと

後日談です。撮影中にTwitterに真脇遺跡に来ていることを投げていたら、「スピリッツネタ?」という投稿がありました。真脇遺跡でスピリッツというともう「君は放課後インソムニア」しかありません。でも私はコミックでまとめてしか読んでなかったので、間が開くのも嫌で、その時は「コミックで読みます」とか返事をしていました。

自宅に帰って、仮眠してから起きてみると仲のいいかんたろうさんから「今週のビッグスピリッツ見よ!」との指令が。「では今から買ってまいります!」とか返事をしてコンビニに何軒が行くが、もう売り切れでした。近くの本屋に行くと幸運なことにまだ残っていたので、その場では中身を見ずに自宅に帰ってから最初から読みました。

最近雑誌を買うことがほとんどなくなってしまったので、週刊の漫画雑誌を読むのは久しぶりでした。学生の頃は昔は立ち読み含めてほぼ全種類読んでいたのですが、久しぶりでちょっと新鮮でした。400円という値段にも驚きました。チラッと週刊少年ジャンプを見ると290円、子供の頃170円だった記憶があります。マガジンは昔と変わらずジャンプの10円プラスの300円、サンデーに至っては340円。今の雑誌は値段だけを見ても大変なのかと思います。ちょっと脱線しますが、最近読んでる単行本もスピリッツのものが結構多いと気付きました。「チ」とか「プラタナスの実」とかです。あと、アフロ田中がいつのまにか結婚してました。
さて、とうとう「君は放課後インソムニア」のページにたどり着きました。おお、なんとセンターカラーで真脇遺跡!チョーかっこいいです。しかも内容的にも盛り上がるところ。作者のオジロマコト先生が真脇遺跡をここに持ってきたかったわけがすごくわかる気がします。満天の星と太古からの遺跡の神秘的な雰囲気、他に誰もいない状況がいやが応にも気分が盛り上がります。連載と同じ、夏の真夜中に、真上に上天の川の季節に行きたかったです。

IMG_1879


まとめ

真脇遺跡、実際に行ってみてものすごくよかったです。夜中に見たからかもしれませんが、ホントにもうなんか地球の歴史だとか、時間の流れだとか、宇宙の大きさだとか、色々感じてしまいました。

もう少し経ってから、あと何回か行ってみたいと思います。人が多くなると思うので、タイムラプスは難しいかもしれませんが、天の川をもう少しいい位置で撮ってみたいです。石川は他にもキャンプで行った見附島とか、ボラ待ちやぐらとか、「君は放課後インソムニア」にも出てきた天の川スポットがあるので、通い甲斐があるというものです。

さてさて、この時の週末は金曜の夜から活動してましたが、満足して疲れ切って帰ってきてもまだ土曜の朝なので、休みが長く感じます。まるで3連休のような気分でした。私は自宅撮りや車で1時間程度までの近征が多く遠征はあまりしないので、久しぶりで楽しかったです。


2月11日、せっかくの晴れなのでこの日も太陽タイムラプス映像にチャレンジです。前日に同様の処理をやっていたので、ある程度繰り返しでできます。


プロミネンスをいくつか

でもこの日も黒点はなし。小さなプロミネンスがいくつかと、南西方向と、北東方向に少し大きめのプロミネンスが出ています。まずはプロミネンスをいくつか撮影。でもシンチレーションがそこまでいいわけではないので、処理も簡単に済ませました。明らかに手抜きなところも見えますが、ご容赦ください。

13_08_26_lapl4_ap2357_IP_cut

13_09_55_lapl4_ap1048_IP

13_10_52_lapl4_ap942_IP

13_11_43_lapl4_ap879_IP

13_12_37_lapl4_ap1199_IP

13_13_25_lapl4_ap1129_IP

13_14_37_lapl4_ap1182_IP

13_15_24_lapl4_ap1977_IP

  • 撮影日時: 2021/2/11 13:09-13:20
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影条件: ser形式でgain 130-160, 1.25ms x 2000フレーム中上位60%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCとShapen AIで後処理

北東のカラー化したものを除いて、どれも結構淡いです。シンチレーションの成果、そこまで解像度はよくありません、それでもスピキュールくらいは見えています。
  • 面白いのは上から3番目のやつ。プロミネンスが浮かんでいます。おそらくこれ、前日に捻れてたプロミネンスが出てたので、それが千切れたのではないでしょうか。
  • 1枚目の右下のプロミネンスも淡いですがそこそこ大きくて、リング構造が見えています。
  • 一番下のはかなり淡いですが、高く飛び出しているのがわかります。
数は多いですが、どうもインパクトには欠けます。やはり黒点が待ち遠しいです。


プロミネンスのタイムラプス

続いてタイムラプス映像です。位置合わせは今回もImPPGがうまくいかず、結局Photoshoになりました。枚数も昨日と同程度なのでそこまで苦になりません。


最後にしたの方でなんどか火柱が立っています。メインのプロミネンスの動きはそれほどでもないですが、でも動画にしてみると動いているのがよくわかります。

でも今回のタイプラプス映像、1時間15分程度のものですが、撮影時間は13時半頃から14時半頃と、約3時間かけてます。でもその間に雲で遮られたり、ガイドがうまくいかなくてズレてしまったりで、その中の連続した一番長い1時間15分ぶんを切り出しています。しかも1回の撮影枚数を400枚くらいに増やしたら、1ファイルで1GB越え、これが180個くらいあって全体で200GBを超えています。一回でこれだけの量になると少し考えものです。週末の土日は晴れてましたが、新月木で夜の撮影もあるので、太陽は少し休憩です。

黒点が出たら超長時間の撮影で、黒点の変化をみてみたいです。5分おきで8時間分とかでしょうか。


2021年2月6日の太陽です。南東方向に大きなプロミネンス が出ていました。

この日の朝、ゆっくり寝ていたら朝9時過ぎ、部活に行っている子供から電話がかかってきて、
「制服忘れた、午後からサイエンススクールで制服いるから持ってきて」
とのこと。 外を見ると曇りなので「いいよ、じゃあ昼ごはんどっかで食べよう」と電話を切りました。

午前11時過ぎ、そろそろ出ようと外に出るとなんと快晴!?
「くっそー、こんな日に忘れ物しやがって」
と朝の言葉とは裏腹に、子供を恨みつつ後ろ髪を引かれながら車に乗って子供の元へ。

議論の結果早く済むCoCo壱番でカレーを食べ、頑張って早く戻りましたが、自宅に着いたのは結局14時近く。もう太陽も少し西に傾きかけてます。貴重な休日の快晴なので、早々とC8とPSTの準備をします。太陽は準備が楽ですね。極軸もどうせ取れないので、そこそこあっていればよく、初期アラインメントも太陽の反射光がきちんとシュミット補正版の真ん中にいけばそのままカメラの視野に入ってきます。準備時間は実際10分くらいでしょうか。

まずはぐるっと見渡しますが、目立った黒点はなく、南東方向に大きなプロミネンスがあるくらい。南の方にフィラメントがありましたが、そこまで大きくはないので興味は引かれませんでした。とりあえずプロミネンスを撮影。

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14_35_41_lapl4_ap1177_IP5_cut

撮影日時: 2021/2/6 14:35
撮影場所: 富山県富山市自宅
鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
エタロン: Coronado P.S.T.
赤道儀: Celestron CGEM II
カメラ: ZWO ASI290MM
撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
撮影条件: ser形式でgain 150, 1.25ms x 2000フレーム中上位60%を使用
画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCとShapen AIで後処理


撮影できそうなのがプロミネンス だけで、まだ少し時間があったので、撮影ソフトをFireCaptureに移し、赤道儀をASCMO経由で接続してガイドして、連続撮影をはじめました。うまくいくとC8での初の太陽タイムラプス映像になります。

5秒で50フレームほど撮影し、55秒休むというのを繰り返す設定です。安定していそうだったのでそのまま放っておいて、前回の記事で書いたケーキ作りの材料の買い出しに行きました。帰ってからもまだきちんとガイドしていましたが、もうかなり西に傾いていて、間も無く暗くてガイドが外れ、そのまますぐに太陽が屋根にかかって撮影は終了です。後で見ると、81個の動画ファイル、すなわち81分ぶんの太陽の変化が撮れていました。

FireCaptureを使った撮影時のガイドのやり方や、太陽画像のタイムラプス映像の作り方はこちらから。


でも、残念ながらImPPGでの位置合わせがどうやっても(先に暗くして円弧を出したり、明るくして扇型にしたりなどなど)うまくいきません。焦点距離が長く円弧が滑らかになるので、うまく中心と半径が掴めないようです。コントラストで見分けて位置合わせするのもやってみましたが、やはりガタガタしてしまいます。しかたないので、81枚をPhotoshopで一枚一枚手で位置合わせしました。「ファイル」->「スクリプト」->「ファイルをレイヤーとして読み込む」ですべて最初からレイヤーにしてしまうとそこそこ楽にできます。その際「名前順で並べ替え」で読み込むようにするのを忘れないようにしてください。

あとは上記リンク先の手順で大丈夫でした。10枚を1秒で表示したので、約8秒の映像になります。出来上がったタイムラプス映像です。


久しぶりの処理なので少し時間がかかりましたが、なんとか映像までなりました。思ったより動いていることがわかります。最後のところで大きな火柱が上がるのですが、この後を撮影できてたらと思います。

各コマ50フレームちょいしか撮ってないので画質が心配でしたが、アニメにすると多少のアラは目立たなくなります。時間軸があるのでかなり補完されるみたいです。少し処理は不満なところがあるのですが、Photoshopの位置合わせをできればやりたくないので今回はこれで完成とします。

明日は休日ですが晴れるかもしれません。晴れたらまた挑戦したいです。


みなさん、こんにちは。「ほしぞloveログ」のSamです。最近凝っている、太陽プロミネンス動画ですが、昔撮影してうまく最後まで処理できなかったファイルを、改めて処理したので載せておきます。


3月のテスト撮影

一つ目は少し前の3月7日に撮影したものです。まだテスト段階でしたが、ファイルが残っていたので動画にしてみました。でもプロミネンスの大きさがあまり大きくないので、動きもあまりたいしたことありません。

Blink2

鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
エタロン: Coronado P.S.T.
赤道儀: Celestron CGEM II
カメラ: ZWO ASI290MM
撮影ソフト: FireCapture
撮影時間: 2020/3/7 13:55-14:50
撮影条件: ゲイン310、露光時間25ms、200フレーム撮影し150フレームをスタック 
画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、Sharpen AI、Photoshopで画像、PixInsightとffmpegで動画作成 

前回と同じようにgifにしましたが、gifファイルはあまりファイルサイズを小さくできないので、撮影時間1時間の60枚くらいが限界です。


4月の長時間撮影

次のファイルはゴールデンウィーク始めの4月29日撮影の約3時間ぶんの結果です。

  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: FireCapture
  • 撮影時間: 2020/4/29 12:59-15:55
  • 撮影条件: ゲイン300、露光時間25ms、200フレーム撮影し120フレームをスタック 
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、Sharpen AI、Photoshopで画像、PixInsightとffmpegで動画作成 
PixInsightで動画を作る際、

-y -r 25 -i Blink%05d.png -b:v 15000k -vcodec libx265 Blink2good.mp4

として、H.265でmp4にして、youtubeにアップしました。ただ、やはりプロミネンスがあまり大きくないので、長時間の割に動きが少ないです。このときちょうど小さな黒点も出ていたので光球面も一緒に出してみました。

本当は黒点周りや、Benar対流の動きが見たかったのですが、この日はかなり風が強く鏡筒が揺れてしまっていたので、分解能があまりよくありません。じっくり見てると少しだけ動いているのはわかりますが、いまいちインパクトがありません。再度挑戦して、もう少しはっきりとした動きを見てみたいと思います。やはり、プロミネンスと光球麺を同時に出すのはまだ難しいです。静止画ならマスク処理などで別々に細部を出せるのですが、動画だとそこまで手をかけることはできません。

SODの4月29日の動画との比較です。



UTCなので、午前5時くらいから午前8時までくらいに相当します。


苦労は理解され難く

ちなみに、撮影したファイルの合計は190GBになりました。3時間ものの超大作をやっと動画にまでして、この喜びをわかってもらおうと、妻に「すごいでしょう」と言って見せたとき、なんて言ったと思います?

「なにこれ?シューシューしてるの?
ヤカンの湯気みたい。」

ですよ!1億5千万キロも離れたプロミネンスの動きをヤカンの湯気なんて...。がっくりでした。

妻にとっては下の鳥の方がはるかにいいみたいです。


おまけ、初の鳥写真

さて、気を取り直してもう一つ、天文ネタと全然関係ないですが、庭にいつもいるキジを撮影してみました。ご存知かも知れませんが、キジは国鳥です。

FS-60CBにマルチフラットナー をつけてEOS 6Dで撮影しています。庭の端の方にいて少し焦点距離が足りなかったので、トリミングしています。

IMG_5492_cut

IMG_5492_cut_small-gigapixel-scale-4_00x

鳥をきちんと撮影するのはほぼ初めてで、星雲とかと違って色が最初から出ているのでずいぶんと楽です。普段の画像処理テクを駆使して細部とかも出してみました。羽がとても綺麗です。でもこれって正しい方法なのかどうか?

この子、この辺りにもう何年も住みついていて、グェー、グェーといつもうるさいです。今年もつがいでいます。毎年ひなを育てているのを見るのですが、今年も無事に生まれてほしいです。。

太陽プロミネンスのタイムラプスの手法がやっと確立しました。


これまでの試み

太陽アニメはこれまでも何度か挑戦しています。





でもこれ、めちゃくちゃ大変だったんです。2018年のは10分おきに3時間ですが、そもそも昼間で極軸が出ていないので赤道儀がずれてきます。ほぼずっとつきっきりでとにかく大変で、二度とやりたくないと思いました。

また、いずれもPhotoshopで一コマ一コマ手で位置合わせをしています。2019年4月の2つ目は何分かおきに撮りましたが、コマ数は11コマと少ないのでまだましです。でも位置合わせだけでなく、明るさとかもかなり違っていて、一枚一枚合わせこむので、これくらいが手合わせでは限界です。ジェットの結果は面白かったですが、この時ももう二度とやりたくないと思いました。


太陽タイムラプスの何が難しいのか

でもやっぱり太陽の変化をアニメにしたいんです。しかも1分おきくらいに数時間にわたるアニメです。そのためにはクリアしなければならない問題がいくつもあります。
  • PSTは安価ため、エタロンの平行度があまりいいわけでなく、Hαをうまく出せる部分が限られていて、画面の30-40%のみ。長時間撮影で太陽の位置が画面内でずれると、Hαの見え方も変わってくる
  • そのため長時間太陽がずれないような手法を確立する必要がある。極軸さえ合わせられないので、ほっといたらずれていく。ガイドか?でもどうやって?
  • 撮影時間が長く、画像の枚数が多いと、個別の画像処理は現実的ではなくなる。画像処理をまとめて一気にやってしまいたいが、一度にうまくできるのか?
  • たとえ撮影時の位置があまりずれなかったとしても、その精度ではアニメにしようとするとブレブレになってしまう。かと言ってステライメージやPixInsightなどの画像処理ソフトで位置合わせをしようとしても、星を使った位置合わせのような基準が何もないのでできない。
など、思ったより大変そうです。もう少し細かく考えます。
  • 撮影したserファイルをAutoStakkert!3でスタックしますが、太陽のブレ具合によって毎回出来上がる画像のサイズ(縦、横のピクセル数)が変わってきます。オプションでcropにしても拡大する方を選らんでもサイズは毎回変わってしまうようです。このため、動画にするときの位置合わせが難しくなります。
  • 炙り出しの際ImPPGを使っていますが、同じ設定でも撮影時の条件の微妙な違いにより、出来上がりの明るさや細部の描写などがバラバラになってしまいます。撮影時の条件をよほどうまく合わせるような工夫を何かしなくてはダメです。
実はあまり記事にしていないのですが、これまで何度もアニメには挑戦してきて、やっと上記問題を解決しなければうまくいないことがわかってきました。これらの反省点を含めて、手法を何度か改善しつつ、今回やっとうまく動画まで持っていける手法を確立することができました。

今回やった方法を順に書いていきます。それでもそこそこ大変です。


FireCaptureによる太陽オートガイド撮影

撮影はFireCaptureを使います。ポイントはガイド機能を使うこと。そのためにまずは赤道儀をASCOMやST4経由でPCから制御できるようにしておきます。接続がOKなら、「Setting」タブで「Telescope」を選んで、ASCOMやST4ドライバーを選びFireCaptureと赤道儀を接続してください。うまく接続できると画面の最前面に方向ボタンが出てきます。いくつか押してみてFireCaptureの画面に見えている太陽がきちんと移動するか確認するといいでしょう。

その状態で縦に並んでいるアイコンの上から5つ目の「AutoGuide」にいきます。まずは右クリックをするとオプションが選べます。制御はPHD2などと比べると随分シンプルでできることも限られますが、「Swap direction」でフィードバックする方向をきちんと選ぶこと、極軸があっていないので思ったよりずれていくことがあるので、「Guide rate」フィードバック量をデフォルトの倍くらいに増やすことなどに気を付けて調整します。

IMG_0012


設定が終わったら「AutoGuide」横のチェックボックスをクリックして、ガイドをオンにします。赤い四角いボックスが表示され、太陽のリムの形を使ってをオートガイドすることができます。最初なかなかうまくいかないかもしれません。しばらく待ってずれていかなければ成功ですが、方向とかを間違えるとどんどんずれていきます。いくつか設定を変えて試してみてください。うまくいくと数時間とかの単位できちんとガイドしてくれました。

タイムラプス映像にしたいので、一コマ一コマの時間間隔が重要になります。そのため撮影はフレーム数単位でなく、時間単位になります。今回は12.5ms露光で5秒間撮影、その後55秒休みます。保存はRAWで残したいので.serにします。今のPCだと80fpsで取り込めるので1ファイル400フレームくらい、サイズは1.7GBくらいです。これをFireCaptureの「Capture」タグのところにある「カメラアイコン」を押して出てくる「AutoRun」機能で繰り返します。「Delay」を55秒、「Limt」を5秒にします。これで1分に1度5秒間撮影します。出来たファイルのサイズやフレーム数は多少ばらつきが出ますが、気にしないでおきます。

cap1

撮影時にもう一つ気を付けておくことが、ゲインの設定です。ゲインはサチるくらい高めにしておきます。今回は440まで上げています。理由は、淡いプロミネンスを階調よく撮るためというのが一つの理由です。でも、実はもう一つの理由の方が重要で、ヒストグラムで見た時の背景ピークの幅を広げてピーク位置の依存性を少なくし、後の画像処理の時のパラメータにあまり依らないようにするためです。輝度の高い光球面までダイナミックレンジの中に入れようとすると、背景のピークが鋭く左の暗い方に寄ってしまいます。この状態で画像処理をしようとすると、撮影条件が変わった時にピーク位置がずれ、画像処理の設定が対応しきれなくなって、仕上がり画像のばらつきが大きくなってしまうからです。今回のようにゲインを上げて撮影する場合、当然ですが光球面の模様は諦めなくてはいけません。プロミネンスに特化したアニメになると思ってください。

実際のガイドの様子の動画です。娘のギターがうるさいですが、気にしないでください(笑)。


PC画面の右上の矢印がピコピコ反応して、きちんとガイドしているのがわかると思います。

長時間にわたる撮影の場合、保存されるファイル量が数百GBクラスになることもありますので、残りのディスク容量に注意してください。


ちょっと脱線、太陽のオートガイドについて

この記事を書きながら色々調べてみました。どうやら、このFireCapureのガイド機能を太陽撮影で使った例は、海外も含めてほとんどないようです。基本的に惑星での使用例ばかりです。太陽でのガイド撮影はCloudy Nightsとかでも「Hinode(ヒノデ)ソーラーガイダー」を勧めていました。名前は日本語っぽいですが、アメリカ製だそうです。ガイド精度も上記ページで動画があります。実はこれ、胎内(だったと思います)で実物を見た記憶があります。太陽を始めていたのでガイドにちょっと興味があったのですが、値段がそこそこ。なんか工夫してできないかと思っていました。

今回、SharpCapの機能で画像認識をしてそれがズレないようにガイドするのも試しました。まだ実験的と書いてあるからなのでしょうか、こちらはあまりうまくガイドできませんでした。FireCaptureはなんとかうまくガイドできましたが、これも最初はあまりうまくいかずパラメータ出しに苦労しました。あと、雲とかで一度位置を失うと、その後の復帰は位置が大きくズレる可能性があります。

要するに、まだ太陽のガイドってあまり確立された技術ではないようなのです。まあ、太陽やっている人が少ないので、仕方がないと言えば仕方ないのですが。

今考えているのは、別のカメラを用意して焦点距離を短くして、全体を見ながらガイドをかけるとかでしょうか。というのは、今回は太陽の縁が入っていたのでたまたまガイドできましたが、今後、黒点のアップなどを長時間撮影したい場合は今の方法では無理なので、何か別の方法を考える必要があります。


画像処理

ここから動画ファイルになるまでの過程を説明していきます。

まずは撮影後の画像処理ですが、動画の場合は通常以上に複雑になります。これまで太陽撮影や、太陽画像の処理をしたことがない方は、まずは下記のページを参考に一枚の画像を最後まで処理してみてください。




一枚がきちんと出せないようでは、多数枚を出すのは至難の技です。今回の動画の処理過程もある程度このページの処理方法に依っています。今回の記事では上記ページに加えて、動画作成で必要な部分に焦点を当てて、一枚画像の処理との違いを中心に説明していきます。


AutoStakkert!3での一括スタック

最初はいつも通り、AutoStakkert!3でのスタックです。撮影した全てのserファイルを一度に開きます。最初のファイルだけ処理すると、順に同じ設定で全てのファイルを処理してくれます。

ファイルの数が多いので、時間がかかります。間違えると全てやり直しで大変なので、慣れていない方は練習のためにまずはファイルを一つだけ開いて、うまく処理できるかどうか試した方がいいでしょう。これでうまく処理できたのを確認してから、改めて全てのファイルを一度に開いて処理した方がいいでしょう。

多数のファイルを処理する場合、撮影時の太陽の位置が長時間安定していなかったり、雲などで画面の明るさに変動があるとそのファイルはうまくスタックできない可能性があります。少なくとも、最初の方のファイルと最後の方のファイルをRAW動画で見てみて、位置が大きくずれていないか、明るさは大きく変わっていないかを確認した方がいいです。

全部の処理には時間がかかると思いますので、じっくり待ちます。


Photoshopで画像の大きさを揃える

次のステップとして、Photoshopで画像の大きさを揃えます。この過程はすごく重要です。なぜなら、AutoStakkert!3は写りの良い部分だけを処理するので、出てきたファイルの画像サイズは一枚一枚バラバラだからです。サイズを合わせないと、後の位置合わせがうまくいかなくて、全くアニメになりません。サイズ合わせはPhotoshopの「イメージ」->「カンバスサイズ」を使ってやります。AutoStakkert!3でできたサイズの中で一番小さいサイズ以下の大きさに設定します。

この過程をアクションツールを使って全てのスタックされたファイルに適用します。詳しいやり方は「Photoshop アクション 繰り返し」などで検索すると出てきますので、そちらを参考にしてください。ちなみにこのページが分かりやすかったです。ここでは簡単な手順だけ書いておきます。
  1. Photoshopを立ち上げ、「ウインドウ」から「アクション」を選び表示します。
  2. アクションパネルの下のアイコンの右から二番目の「新規作成」アイコンを押します。
  3. 新規アクションに名前をつけて、記録を開始します。
  4. 画像ファイルを開くところを含んで記録します。
  5. 先のサイズ合わせを一通りします。
  6. ファイルを「別名で」保存します。
  7. その後、アクションウィンドウの下の左の停止ボタンを押し記録を止めます。
  8. 次に「ファイル」->「自動処理」->「ドロップレットを作成」を開きます。
  9. 「ドロップレットを保存」で先ほどのアクションを選びデスクトップなどに保存します。ポイントは左の「”開く”コマンドを無視」と右の「”別名で保存”コマンドを省略」にチェックを入れておくことです。
  10. デスクトップなどに出来たドロップレットに、ImPPGで処理したTIFFファイルを全て選択し放り込みます。
うまくできましたでしょうか?実際に画像サイズが全て揃った、出力ファイルをきちんと確かめてみてください。


ImPPGで位置合わせ

次にImPPGを使い位置合わせをします。「Tools」の「Align image scequence」を選びます。上のPhotoshopの処理をサボって画像サイズがバラバラだと、位置合わせは全くうまくいかないので注意してください。

cap_ImPPG01

Photoshopで大きさを揃えた画像ファイルを選択します。ポイントは「Align on the solar limb」を選ぶこと。条件は太陽の縁がきちんと出ていることです。太陽が円になっていなくて、一部だけが写っていても、縁さえ写っていればうまく処理できます。これでうまくいかない場合は上の「Stabilize high-contrst feature」でやりますが、こちらは精度が悪くアニメにした時にぶれてしまうと思います。


ImPPGでの一括処理

次に改めてImPPGで炙り出しと細部出しをします。まずはImPPGで位置合したファイルを画像を1枚開き、処理過程を進めます。処理が終わったところで、「File」->「Save Processing Settings」でその際の設定を保存します。次に「File」->「Batch Processing」で、AutoStakkert!3でスタックされた画像を全て選び、先ほどの設定ファイルを選択し、適当な出力先を指定します。保存形式は「TIFF 16-bit」を選択します。「Start processing」ボタンを押して連続処理します。

IMG_0011


最終調整

この時点でもう動画にする準備はできていますが、ImPPGでの画像処理だけだと不十分なこともあるでしょう。例えばPhotoshopのアクション機能を使うことで、全ての画像に同じような処理をすることもできます。また、DeNoiseも最新バージョンではバッチ処理をサポートしていて、同じ処理を多数のファイルに一括で適用することができます。

それでも、背景の明るさが揃い切っていなかったりすることもあるかと思いますが、ある程度は一枚一枚微調整が必要なこともあるかと思います。ここら辺はアニメーションを扱うときには仕方のないことでしょう。


動画ファイルの作成

さて、素材のファイルができたのでここからやっと動画ファイルの作成になります。動画作成はいろいろな方法があるかと思いますが、ここではPixInsightを使います。PixInsightを立ち上げ、「Process」->「ImageInspection」->「Blink」を選び、これまでにできた画像ファイルファイルを全て開きます。
  1. 再生ボタン(右三角)を押すと動画の様子が確認できます。
  2. 真ん中のアイコン列の上から2つ目のオートストレッチがオンになっている場合、画像処理されてしまいます。オフにすると元の画像のまま表示されます。
  3. Previewで一部を切り取るとその部分だけ拡大してその部分だけ動画にすることもできます。
  4. Blink画面の右下の一番右端の撮影開始マークアイコンで動画にします。
  5. ffmpegがない場合は別途インストールしてください。ffmpegがインストールされていても、実行ファイルをフルパスで入れないとうまくいかないことがあります。/usr/local/bin/ffmpegとかいうことです。
  6. 今回の場合秒15コマのgifファイルにしたかったので、-y -r 15 -i Blink%05d.png Blink.gifとしました。
gifファイルは256色の制限があるので、パレットを最適化したい場合は別途コマンドラインで、

ffmpeg -y -r 15 -i Blink%05d.png -filter_complex "[0:v] fps=15,scale=1024:-1,split [a][b];[a] palettegen [p];[b][p] paletteuse" Blink.gif

などとするといいかもしれません。

Blink

実際に出てきたgifファイルを確認してみてください。gifアニメはWebなどでは再生することなく勝手に動画になってくれるので、見ていて楽しいです。長いファイルだとサイズが大きくなりすぎるかもしれません。その時はmp4などに変換するといいでしょう。


まとめ

IMG_9612


一応、動画になるまでの過程を書き出しましたが、うまく動画ファイルになりましたでしょうか?一枚一枚みていただけではあまり変化がわからなかった画像も、動画にするとプロミネンスが活発に動いていることに驚かれるかと思います。

ここに挙げた方法はあくまで一例です。他にも面白い方法があれば、どんどん探ってみてください。また、自分でやってみて分かりにくいところがありましたら、コメントでお尋ねください。できるだけ応えるようにします。

今後、このような動画ファイルがたくさん出てくると、太陽をやってみようという人がもっと出てくるかもしれません。早く太陽活動活発にならないかなー?もっとすごい動画が見てみたいですよね。

太陽楽しいですよー。


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