ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 一般


名古屋市科学館から満天NAGOYAへ



名古屋市科学館で2回のプラネタリムを堪能した後、常設展示に後ろ髪を引かれつつも時間も勿体無いので移動します。最寄りえきは矢場町ですが、時間稼ぎで栄まで歩き、そのまま地下鉄東山戦に乗り、名古屋駅の次の亀島駅まで移動しました。

その頃家族はというと、バンクシー展を見てからすでにイオン近くに来ていて、あらかじめ調べてあったラーメン屋に行っているとのことです。私は時間的にはきびしかったので、イオンの中で食べればいいやと、とにかく移動します。

亀島駅からイオンモールに行くのは苦労しました。広すぎてGoogleマップを見てもどちらから回っていけば入り口側に行くかわからなかったのです。結局裏の駐車場入り口側に回ってしまいましたが、店内に入ることはできました。その中からさらにプラネタリウムに行くのに人に聞きながら、3階にあるということがわかり、やっとのことで辿り着きました。

プラネタリウム近くに行くと何故か息子が椅子に座って休憩しています。「プラネタリウム一緒に見るか?」と聞いてみると、開口一番「ラーメン美味しかった!これまで食べた中で一番美味しかった」とのこと。食べることができない私にとってはそんなことはどうでもよく、「プラネタリウム見る?」と再び聞くと、珍しく「うん」とのこと。

一番早いプログラムは高校生が主人公のアニメ。次の回がポケモン、その次が宇宙ステーションから見た映像がメインのものでした。そこまでは待てなかったので、結局一番早い15時からのチケットを2枚取ります。高校生がどう星に絡むのか楽しみです。

開演まで30分くらい時間があったので、急いで昼食を取ります。すると、通りがけのフラダンスショップには妻の姿が。ちょっと前にフラダンスを趣味で始めたので、都会のフラダンスショップに一度来てみたかったとのことです。声をかけたのですが、趣味なので自分と同じで説明が長くなりそうだったので、何とかふっ切ってフードコートに。早く出てきそうなカルビ丼を頼んで、急いでお腹にかきこみます。気づくとすでに入場開始の14時50分、エントランスへ移動です。


いよいよドームの中へ

エントランスで客層を見てみると、友達同士の若い女性がかなり多く、他はカップルのみです。我々のように男複数というのは全くいません。しかもアニメといっても子供向けではないので家族連れの姿も全くなく、すでに浮いているかもしれません。

すぐに案内があり、中に入ります。

中ではすでにプログラム前のデモ映像が流れています。指定された席に座って上を見上げてしばらく見ていましたが、この時点でもう完全に圧倒されました。壁から天井全体に一面に直接配置された高輝度LEDでこれまでのプラネタリウムでは表現できなかった映像を次々と映し出します。オーロラが出たり、メテオストライクみたいな映像がありましたが、感動したのはたまに流れる極々普通の空の風景。例えば雲が流れる星空、普通のプラネタリウムでは絶対にありえない映像です。昼間の青空が綺麗に表現できるのもLEDのコントラストのおかげかと思います。夕方の星が出始める黄昏時の雰囲気も十分に出ています。これはすごい!

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技術的なところを見るために、席を立って壁際のLEDの写真を撮ってみました。LEDのピッチは数mm位でしょうか、間近で見たら一つ一つのLEDが認識できますが、少し離れたところではもう個々のLEDは全くわからなくなります。LEDはおそらく数10cm x 数10cm程度のシート単位になっていて、よく見ると境目がわかりますが、これも将来は解決されていくでしょう。これだけの数のLEDをムラなく表示させるのはかなりの技術なのかと思います。

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男二人組で、しかも壁際に行って写真を撮ったりしているので、ちょっと変な人と思われたかもしれません。プログラムが始まる前に写真を撮ること自体は問題ないみたいで、他のお客さんも空の写真をたくさんとっていました。でもこの極々普通の空の風景、これがどれだけ普通のことではないのか、できるならこの場で見ている人全員に理解して欲しいです。エンターテインメントはこういった最先端の技術を贅沢に消費していくのですが、それでお客さんが入り、星好きな人が増えてくれるとすごく嬉しいです。満天NAGOYAを見た方は、是非とも名古屋市科学館をはじめ全国にあるプラネタリウムにも訪れてくれればいいなあと思います。

さて、実際のプログムラムについてはネタバレになるので詳しくは書きませんが、普通のプラネタリウムレベルの正確な空を何度も映し出してくれます。ここら辺はさすがコニカミノルタです。不思議な感覚だったのは、主人公が見ている方向によって座っている観客の空の方角が一瞬で変わること。南向きの空、西向きの空、あともう一方向と三方向がセットされていました。普通の投影型のプラネタリウムでは方角が変わることは絶対にありません。おそらく今後見ている方向がさらに増えていったり、リアルタイムで方向が変化していくような映像も用意されるのではと思います。一つだけネタバレ、最後の方に出てきた街中の夜明けの空は、まるで本当に外に出ているような、ものすごくリアリティーのある風景でした。

振り返ってみると、やはりものすごいです。これまでもプラネタリウムの印象を完全に覆します。将来的にはこの形式がかなり増えるのではないかと思います。今後はもっと他の状況も再現してくれるのかと期待します。例えば皆既月食、さらには皆既日食も再現できるのではと思えるくらいです。雲越しの月とか、冬の満月の静けさとか、そんな雰囲気まで再現してくれたらと思います。あ、一つどうしても表現できないものを思いつきました。さすがに雨は再現できないと思います。

その一方、星空に関しては普通の投影型プラネタリウムも負けてはいません。満天NAGOYAのようなLEDを壁面に埋めるタイプでは、暗い空と星のコントラストは出ますが、星雲、銀河など、細かい表現は限界があるはずです。今回失敗したのは双眼鏡や星座ビノの類を持っていくのを忘れてしまったことです。最近の高性能プラネタリウム映像を双眼鏡で見ると、例えばアンドロメダ銀河などもきちんと見ることができます。LEDタイプのプラネタリウムで双眼鏡などの倍率を上げた時の映像は果たしてどうなるのでしょうか?ここら辺の追求はまだこれからの課題なのかもしれません。もしかしたらLEDと投影のハイブリッドとかも出てくるのかも。

満天NAGOYAは、LED埋め込み方式を採用した日本で初のプラネタリウムです。そして本日3月24日、横浜にも2つ目の同じ方式のプラネタリウムがオープンしました。名古屋の方でまだ見てない方はもちろん、関東の方もぜひ見に行ってください。天文ファンでこれまでのプラネタリウムに詳しいなら、全く新しいプラネタリウムの表現を思う存分楽しめるかと思います。


その後、SCOPIOと三基光学館へ

さてさてその後ですが、地下鉄東山線をさらに乗って天文ショップSCOPIOに顔を出しました。店長さんと満天NAOGYAの凄さを確認しあいました。

店内に来年中学に上がるという男の子と、その子のお父さんとお母さんがいました。お母さんの方から話しかけてくれて、どんな望遠鏡がいいのか聞かれました。ちょうど店長さんからCelestronのStarSense Exprolorerの説明を受けていたので、これいいですよと勧めておきました。子供が中学入学祝いでどうしても望遠鏡が欲しいので、子供にせかされて遠くから来たとのことです。その子とも少し話して、本当に興味がありそうだったので本を勧めておきました。店の中でも熱心に読んでいたので、結局この日は本だけ買っていましたが、すぐに望遠鏡も買うことになるのかと思います。こういった子を育てていける、リアル店舗がある都市部はちょっと羨ましいです。

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その後、実家への帰り途中に地下鉄を栄で降りてトップカメラを覗きました。特に何も買わなかったですが、科学館から数えて4箇所も天文関連で周り、大満足の一日でした。

次の日は朝早くから妻の実家の神奈川県の相模原に移動です。昼頃には着いて少し時間があったので、相模原市の田名にある三基光学館に立ち寄りました。秋葉原から移転してきたのですが、妻の実家から2キロくらいで無理すれば歩いてもいけるような距離にあったりします。

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でも残念ながらこの日はお休みなようでした。店長さん、ずっと体調を悪くしていたようですが、最近のブログで元気になってきたとの書き込みがあったので、お会いしたかったのですが。

時間が余ったので、子供と一緒に同じく田名にある淡水の水族館「相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら」に行きました。ここはタナゴ専用水槽や、タガメやゲンゴロウ、ミズカマキリなどの珍しい水生昆虫もいて、意外なほど楽しめます。

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この日の宿泊は「相模川自然の村清流の里」です。妻の実家の常宿だそうです。安くて食事も豪華で、久しぶりの宿泊での料理を堪能できました。でも運転疲れか体調を崩してしまい、夜も天気が悪かったので、電視観望セットも持っていたのですが結局披露もできず。

次の月曜日には、南大沢に向かいアウトレットモールへ。こんな人が集まるイベントは本当にひさしぶりです。ついでに近くにある学部時代のサークルの部室を覗いたりしました。昼過ぎには高速に乗り、富山に戻ります。

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3連休で富山から名古屋、相模原、富山実家巡りという、久しぶりの家族大旅行でした。私は天文関連で十分楽しめましたが、家族もそれぞれ楽しんだようです。何が一番良かったかと聞いたら「ラーメン!」とのこと。なんだかなぁ...。



3月の連休、名古屋の実家に帰る機会があり、名古屋市科学博物館と昨年末にイオンモールのノリタケ店にできたLEDタイプの全く新しいプラネタリウムに行ってきました。


久しぶりの家族での遠出

3月18日の夜遅く、名古屋の実家へ向かって走ります。家族で実家に行くのも2年ぶりです。次の土曜に朝からフルで遊ぶため、夜中移動です。到着したのは午前1時頃。その日は寝るだけですが、もう母親もいい年なのと、昨年の足の骨折で無理を言えないので、布団などは到着してから自分たちで敷いてそのまますぐに寝ます。

朝は早くから起きて、早速科学館に向けて出発。私以外はプラネタリウムなんか興味がないと、名古屋駅あたりでやってるというバンクシー展へ。午後にイオンで合流することにしました。


名古屋市科学館

前回名古屋市科学館に来たのはもう2年半前になります。



その際は午後遅くに到着したために、プラネタリウムを見ることができませんでした。その鬱憤を晴らすべく今回は2回連続で見ることにしました。

科学館は外観だけで相変わらずインパクトがあります。

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この日は隣で木下大サーカスのテントが出てました。そう言えば昔名古屋で子供を連れてサーカスを見たことを思い出しました。ちょっと見たい気もしましたが、今回は時間が取れそうも無いので、天文に集中です。

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スケジュールを見ると、11時20分のファミリー向けの回と、12時40分の一般向けの回があります。ちょっと迷ったのですが、とりあえず両方見ればいいかと思い、400円追加で2回分の席を取りました。その後、知り合いの学芸員さんに挨拶してきました。研究会などでちょくちょくお会いしている方です。突然の来訪にも関わらず、お忙しいところ丁寧に対応して頂いて恐縮でした。この日のこの方の解説は5回目の公演とかで、残念ながら直接聞くことができなくて残念ですが、とにかくここのプラネタリウムの解説はすごくレベルが高いので他の方の解説も楽しみです。

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プラネタリウム開始時刻まで少し時間があったので、常設展をちょっとだけ見ました。

実は名古屋市科学館は常設展の充実具合が尋常ではなく、冗談抜きで丸一日いても全く飽きることがありません。私が小学生の頃やはり一人で来て、お弁当持参で朝から晩までいました。今は私が通っていた頃に比べて建物が倍増されて常設展エリアは倍増していますので、さらに楽しめるはずです。この間、富山のスーパー宙ガールの小6のMちゃんに会って話した時も、名古屋に来ると「必ず科学館に行き、始まりから終わりまで8時間たっぷり滞在する」と言ってました。まあ、科学好きな子にとっては当たり前のことなのかもしれません。もうこれくらい楽しいところなので、もし余裕があるなら十分な時間をとっていくといいかと思います。

プラネタリウム開始直前に実験のパフォーマンスがありました。時間ギリギリでしたが途中で抜けてもいいというので10分程ですが見ていきました。博士と助手という役で、小さい子にも受けるようにかなり考えられています。空気砲やピンポン球をドライヤーで浮かすとか、短い間に次々とネタを披露していきます。深皿もドライヤーで浮かすことができるのは結構面白かったです。これが浮くと思った人は観客の中でわずか3人だけでした。ここら辺のやりとりは、子供たちどう話せばいいかなど、とても参考になります。


いよいよプラネタリウム

時間になりプラネタリウムへ。まだこの日の初回だからなのか、まだガラガラで指定席と知らずに空いてる席に座ってしまいました。

この回はファミリー向けというので、最初アニメか何かでもやるのかとあまり期待していなかったのですが、全くそんなことはなく全編生解説です。次の日の春分の日の説明があり、前の日の満月の説明と月の満ち欠けの説明があり、冬の大三角とダイアモンドなど、子供がいようがいまいが手抜きの様子がこれっぽっちも見られません。私が一番好きな、街中の星空から光害のない星空へ移る時の、真っ暗になって星がバーっと見えてくる様子もたっぷりと堪能できます。テープ解説や出来合いの映像を流すプラネタリウムとは明らかに一線を画した名古屋市科学館。ファミリーコースという名に惑わされてはいけません。充実のプログラムです。

終わってからプラネタリウム機材を見ながら解説席の方に目を向けると、先ほど挨拶に伺った学芸員の方がいました。実はこの方とは以前観望会について電視観望のことを少し話したことがあり、今回観望会のための機材などを紹介していただきました。


科学館での観望会

まずは口径80cmの三鷹光器製の望遠鏡。この日は一般に公開されていてドーム内に入ってみることができ、昼間のアークトゥルスに向けてありました。残念ながら曇りで、過去映像が出ているのみでした。

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大型の赤道儀に鏡筒が設置されていますが、これはわざと鏡筒側を下に、ウェイト側を上に置き、覗きやすくしたそうです。メートル競争には参加せず、80cmは都会ならこれが最大と根拠を持って決めたそうです。

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80cm望遠鏡に入る手前の屋上の開けた所が夜の観望エリアで、多い時には200人が入るそうです。

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ポイントは退避エリアがあること。雨などの機材の退避や、雷時の人の退避エリアの役割もあるそうです。こういったことは以前からの経験がとても効いているとのことで、2011年のリニューアルになってようやく長年の不満や必要だと思っていたことが実現できたそうです。例えば望遠鏡を出し入れするのに、以前は重い機材を階下から出してくる必要があったのですが、今は待避所の奥の倉庫からすぐ出すことができるそうです。

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倉庫の中を少し見せていただきましたが、その機材の運搬機が秀逸です。EM400にTOA150を載せてあるセットが5台程あったでしょうか。

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これにぴったり合うような専用の運搬機を用意しています。この運搬機、一見特注のようですが、よく見ると市販のキャリー台に一部のみ特注のアダプターをつけて、大型の望遠鏡を簡単に持ち上げて安定に移動し設置できるように設計されています。昔から科学館の企画展示を請け負ってくれていた会社と一緒に考えたとのことで、数百人規模の観望会を定期的に頻繁に、いかにスムーズに実行するために、各所に相当の工夫がされていることがわかります。

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他にも電源を取るためのコンセントが屋外なのに何箇所も設置されているとか、栄、名古屋駅方面の明るい方向を目隠しする壁とか、南側を確保する屋上設計とか、非常によく考えられています。

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屋外コンセントが多数あります。


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街明かりを防ぐ壁と、そこに観望会に役に立つ図が書かれています。

ちなみに以前の観望会の屋上の場所を教えてもらいましたが、エアコン室外機が観望方向にあったなど、反省点が多くあり、そういったことから今の形が出来上がったとのことでした。

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以前の観望会の場所。
ちょうど南側に室外機があって空気はゆらゆらだったそうです。


2回目のプラネタリウム一般コースへ

色々説明していただいている間に、次の一般向けのプラネタリウムの時間が迫ってきました。プラネタリウムドーム内に戻り、機材の説明までしていただきました。

メインの投影機が真ん中の大きな球体ですが、左に見える低い装置が太陽を投影するもの、右に見える小さい装置が天の川を投影するものだそうです。
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このCarl Zeissの機材、600という番号が示す様に600番目のプラネタリウムとのことです。もう見ているだけでその機能美に惚れ惚れします。

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クリックして拡大すると、シリアル番号が見えます。
プラネタリウムを見た際はぜひ自分の目で確認してみてください。

今回お忙しい中、学芸員の方に観望装置、プラネタリウム機材など色々解説していただきましたが、いつか名古屋市科学館で私が持っている技術の電視観望で観望会を実現してみたいです。地元名古屋に貢献できればと思うのと、都市部での観望会がどれくらい大変なのか、一度経験しておきたいという思いがあります。

一般コースのプラネタリウムも十分満足です。この日二度目でも全く飽きることのない、隙のない生解説。未来の空というテーマも面白かったです。単に何万年か先の空を見せるだけではなく、どの星が今の位置からどれくらい動くか、近い星はよく動き遠い星はあまり動かないなど、理由と共に線で結んで表示してくれます。「科学館」の名に相応しく科学的なアプローチで、天文マニアでも十分に満足できる内容でしょう。

一般コースが終わってから、再び学芸員の方と話す機会がありました。その際の会話中で、昨年新しくオープンしたイオンの名古屋ノリタケ店の中にある、コニカミノルタのLEDタイプのプラネタリム「満天NAOGYA」の話になりました。コンテンツの内容を事前に調べていたのですが、正直言うとあまり興味のある内容ではなかったので迷っていたのですが、学芸員の方から絶対見たほうがいいというアドバイスをいただきました。なんでも名古屋市科学館もリニューアルの時にLED壁面設置をやりたかったとのことですが、当時の技術ではLEDの詳細化ができなかったことと、重みで壁が耐えられなかったとのことです。イオンの方はエンターテイメント、科学館は教育ときちんとユーザーの棲み分けができてお互い共存できているとのこと。これは見に行かないわけにはいきません。


常設展の見学から、次の満天NAGOYAへ

その後、少しだけ常設展を見学しました。現在のプラネタリウムの先代の機材が展示されています。解説によると、1962年11月3日から、2010年8月31日まで使われていたそうです。こちらもカッコいいです。

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下の写真は愛知県東栄町の御園にあったプラネタリウムだそうです。私は行ったことがないですが、御園は双望会の開催場所だったことで有名ですね。

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さて時間があまりないので、この時点で移動します。次は満天NAOGYA編です。




先月から天文ガイドを、今月から星ナビも合わせて定期購読にしました。


定期購読素晴らしい!

富山は地方なので、雑誌の発売日が1日遅れるのです。なので毎月5日発売の天文雑誌を読むことができるのは6日。でも定期購読だと4日には自宅に配達されます。実質2日早く読めるのです!これはかなり良いです。

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注目記事

今月号の星ナビにはあぷらなーとさんが記事を書いています。短期連載の3回目です。最初は王道かと思っていましたが、どんどん内容がマニアックになってきています。アクロマートで単色で撮影をするという、あぷらなーとさんが以前から取り組んでいた内容ですが、高級鏡筒でしかうまく撮影できないという神話を工夫によって崩していく過程は見ていてとても楽しいです。でもこれ、あぷらなーとさんはサラッと書いてますが、おそらくかなりの苦労があるかと思います。例えば複数の鏡筒を調整するのは、やってみると相当大変なのかと思います。

もう一つの注目記事は「君は放課後インソムニア」。以前、探偵ナイトスクープで取り上げられていて、コミックスで読み始めたのですが、かなりいいです。数少ない天文系マンガですが、天文ファンなら読んでおいて間違いはないでしょう。石川県七尾高校がモデルになっているとのことで、富山の隣の県ということもあり、私もちょくちょく訪れるところが舞台になっています。このマンガに刺激され、真脇遺跡に星景写真を撮影しに行きました。



先日の石川朝日放送で、高校の天文部の部室を含む現地の紹介をしていました。聖地巡礼したくなってきます。記事の中には、よく行く満天星の方の話も出ています。ここも面白くて、星型の独立したロッジに望遠鏡が置いてあったりして、宿泊すると満天星のプラネタリウムと、実際の空を両方楽しめます。8人くらいまで宿泊できるので、合宿とかやるのも楽しいかもしれません。

天文ガイドの方は、サイトロンジャパンの「天体写真コンテスト2021」の結果が掲載されていました。対象はタカsiさん、準大賞の一人はだいこもんさんです。他にもTwitterなどでやりとりしている方達も入選されていました。入選された方おめでとうございます。素晴らしい写真ばかりでした。今回は一般的なコンテストに比べて個性的な作品も多く、コメントや評を見ているだけで楽しかったです。

もう一つ注目したのが、惑星撮影の連載です。今回はフィルターに関しての内容でしたが、近赤外フィルターの話や、メタンバンドフィルターの話、珍しいUVフィルターの話なども載っていて、参考になるところが多かったです。最近惑星やっていないのですが、SCA260で金星とか撮影するのもまたたのしいかもしれません。


小惑星になった山口さん

あと天文ガイドの105ページの「小惑星ガイド」に、いつも観望会をやっている飛騨コスモス天文台を創設された山口さんが、小惑星「Yamaguchiyuko」の名前として登録された経緯が掲載されています。惑星の命名についてはいくつかされているのですが、今回は特に山口さんのことが詳しく書かれていて、写真付きで、それもあの渋沢栄一氏一緒にに並んで掲載されています。

山口さんは飛騨の数河高原に天文台を建設し、飛騨古川地域に天文文化を広め、その一方絵馬の作者として芸術家としても活躍されていました。私は星を始めてすぐにある講演会で知り合ったのですが、観望会に誘われてそれからずっと、今でも観望会にはお手伝いをさせていただいています。

そんな山口さんですが、1昨年前の8月に残念ながら亡くなられました。山口さんが天文界隈に残した大きな功績が評価され、円館金さんと、天文ガイドでこの「小惑星ガイド」の記事を連載されている渡辺和郎さんが1996年に発見された21294に名前が登録されたとのことです。

このことは我々飛騨コスモス天文天文の会のメンバーにとっても非常にうれしことで、本当に星になられた山口さんですが、きっと天国で喜んでいてくれているのかと思います。


定期購読の弊害

定期購読は早く読めるので非常に満足なのですが、その一方、定期購読にした場合の欠点がわかりました。

それは本屋に行かなくなることです。

少なくとも毎月6日には本屋に行っていたわけです。それがなくなることで、新刊のコミックをチェックする機会をなくしてしまったのです。そのため大好きな「君は放課後インソムニア」を買いそびれるところでした。星ナビの記事で新刊が出ていることを知ったのですが、結局本屋に行ったのは時間が取れた7日の日曜日。1軒目の本屋では売り切れ。近くには本屋はあと1軒しかありません。そこでなんとか最後の1冊をゲットです。ついでに 「君は放課後インソムニア」が連載されている週間ビッグコミックスピリッツも買ってきました。なんんでも天文ガイドとコラボで、巻頭カラーだそうです。しかもアニメ化?楽しみです。あと、これも好きな「チ。-地球の運動について-」と「プラタナスの実」も連載されているので、毎週買おうかなあ?でも420円はちょっと高いかなあ?


まとめ

今回定期購読を頼んだのですが、雑誌は紙媒体がいまだに好きで、パラパラと読めるのが良いです。星を始めてからこの2誌はずっと買っていて、天文ガイドに至っては地元のIさんからいただいた1974年からずっとあります。

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星を続けいている間は天文雑誌は購入し続けると思うので、もっと早くから定期購読にすれば良かったかもしれません。インターネット全盛で雑誌には厳しい時代かもしれませんが、この2誌には末長く頑張って欲しいと思います。


以前「格安電視観望」という記事を書きました。その応用編です。




再試行の理由

今回改めてこの記事を書いたのは4つの理由があります。

1. 以前は入門用の電視観望用のカメラと言ったらASI224MCか、ASI290MC位しか選択肢がなかったのですが、近頃では多くのメーカーから入門クラスのCMOSカメラが発売されています。先日の「星をもとめて」の講演では現状で手に入るカメラを選び、選択例を示しました。最近の新しいカメラを例に試してみようと思います。




2. 多分これがもっとも大きな理由なのですが、SVBONYからCanonレンズのEFマウントをアイピース口に変更するためのアダプターが出ています。



アマゾンでも購入できます。


ちょっと前までなかったかと思いますが、いつも間にかNikon版も出たようです。



ZWOからも同様のアダプターは出ていて、こちらはT2ネジで取り付けるタイプになります。私はこれのオリジナルのバックフォーカス長が変えられるものを持っています。現在のものはバックフォーカス長が固定なはずです。


Nikon用もあるようです。


でもSVBONYのは半額以下ととにかく安い。初心者にとってこの差は大きいです。これを実際に使ってみたかったことが2つ目の理由です。

3. 以前の記事はQBPなどのフィルターを使いませんでしたが、QBP II、CBPとアメリカンサイズも出揃い1万円程度と安価になりました。効果は絶大なので、これを使わない手はありません。

4. 先日の星をもとめての講演配信を見た地元の富山県天文学会のHさんから、電視観望を始め用と思うが、カメラと鏡筒をどうすればいいか迷っていると直接質問を受けました。最初はASI294MCを勧めたのですが、最初なのでやはり入門用のものから始めたいということです。明日地元の牛岳で会う予定なのでそれまでにできるだけ簡単な方法はないか、探してみようと思ったのが4つ目の、というか突然やってみたくなった理由です。


機材

  1. CMOSカメラNEPTUNE-C IIを選びました。ZWOは最近は高級機路線で、入門機をあまり出していません。Player Oneは新しいメーカーですが、NEPTUNE-C IIを使ってみた限り、既にドライバーとかもこなれていて、実際にノイズがかなり小さい印象です。
  2. レンズは中古で数千円で手に入れた、手持ちのCanonのキットレンズ28-70mm F3.5-4.5。調べたら1988年発売だそうです。こんな古いレンズでも十分です。
  3. レンズをカメラを繋ぐアダプターは上に書いたSVBONYのCanonタイプのもの。ただしこれ、そのままだと無限遠でピントが出ないことがわかりました。対処法は後で記します。
  4. レンズの焦点距離が短いので、自動導入とかは無し。カメラ用三脚と自由雲台で、マニュアルで導入します。
  5. フィルターは、CBPかQBP。今回はQBPとしました。QBPの場合、赤外を通す可能性があるので、UV/IRカットフィルターと2段重ねで併用した方がいいでしょう。でも今買うならCBPの方がいいでしょう。CBPならUV/IRカットフィルターは必要ないです。
  6. 他にノートPC、接続用USB3.0ケーブル椅子などを用意します。

その他、こまかいものです。まず、自由雲台へのマウントですが、自由雲台にはアルカスイス互換のクランプをつけてあります。


カメラの後ろのネジ穴を利用して、Monotatoで買ったL字のアルミブラケットを取り付けています。


下側はアルカスイス互換プレートをつけ、間に上下で固定できるようなアルカスイスプレートをはさんで操作棒がわりにしています。



実際に電視観望開始

では早速組み上げて試してみましょう。

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上の写真のようになるのですが、最初試した時、このSVBONYアダプター

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無限遠どころか全くピントが出ませんでした。アダプターの距離が長すぎるのです。そのため、アダプターのアメリカンサイズに変換するところをネジを緩めてを外し(長いネジなので頑張って外す)、カメラ側の接眼アダプターも外して、T2ネジで直接カメラをアダプターに接続します。

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このさい、フィルターを取り付けられなくなるので、T2ネジとアメリカンサイズネジを変換する薄手のリングを使い(別のカメラについてきたモノですが、別途販売されていて)、


ここにフィルターを取り付けます。カメラのねじ山はまだ余るので、レンズを取り付けることもできます。

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今回私が使ったレンズはオートフォーカス用で、ピントを合わせるためには強引にレンズ先端を手で回転させて伸縮させなければならず、しかもその範囲が狭いため、さらに必要に応じてレンズとSVBONYアダプターの間で回転させて距離を調整する必要がありました。そのためきちんとレンズを固定することができず、重力でレンズが垂れ下がって、星像が上側に歪んでしまいました。もう少し適したレンズの方がよかったかもしれません。

カメラレンズは単焦点レンズ、ズームレンズ(最初Zoomレンズと書いたが、これだと会議のZoom用のレンズとかと思ってしまった)ともに、短い焦点距離のものが中古まで含めれば安価に選びたい放題なので、いろいろ試すといいと思います。


曇ってるがとりあえず見てみた

この日は曇りがち。撮ったのは2ショットのみです。

昇りかけのM42オリオン大星雲です。28mmの画角でオリオン座が半分とちょっと入るくらいでしょうか。三つ星が縦に、右にリゲルが見えています。オリオン大星雲もそこまで大きくは見えません。
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ズームレンズなので、70mmにして拡大してみました。これならオリオン大星雲も多少形がわかるくらいでしょうか。ちなみにこの時は空一面に一様な雲がかかっていて、肉眼で星はほぼ0。リゲルがかろうじてうすーく見えたくらいです。むしろよくこんな状況でここまで出たなというのが感想です。

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まとめ

とりあえずのテストなのですが、以前のASI224MCを使った電視観望よりはるかに綺麗に見える気がします。Neptun-C IIとQBP、あとレンズを焦点距離の短いものにしたのが違いになります。明日の土曜日天気が良ければ牛岳でもう一度試します。

さらにもう一本MILTOLも用意していて、こちらは牛岳でご一緒する予定のHさんがAZ-GTiを既に買ったというので、それに載せてテストしてみようと思います。

追記: 牛岳に行く前に、このセットアップで自宅でもう一度試しました


今回の記事は




からの続きになります。


いざ夜の世界へ

さて、前回までの記事で明るいところでの準備ができたので、夜を待ってさっそく外に持ち出しましょう。

持ち運ぶ時は、経緯台の一番下のプレートを両手で持つようにしてください。上の可動部は精度が必要なところになりますので、この部分を手で持って持ち上げると、変な力がかかってしまい、ずれなどが発生する可能性があります。せっかく手に入れた機器です。長く使うことになると思います。大切に扱ってあげたいものです。

外に出て、空が開けた場所を見つけてください。地面がアスファルトなどある程度固いところの方がいいでしょう。土や草の上だと、使っているうちに傾いてしまって見ている天体がズレていってしまう可能性があります。適当な場所が見つかったら、そこにVIRTUOSOを置きます。


水平合わせは大事

この時大事なことが、水平をきちんと合わせること。経緯台のところに水準器が付いています。この泡が黒丸の中央に来るようにします。もし泡がズレていたら、泡の寄っている方向が高く、反対側が低く傾いているいということになります。薄い板のようなものを何枚か用意して、低い方向の足の下にその板を入れて、水準器中の泡が真ん中に来るように調整してください。

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この例だと、泡が右に行っているので、左側が低いということになります。
低い方向の足に用意した板を入れます。

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板を足の下に入れると、泡の位置がほぼ真ん中になりました。


この水平取りはこれからやる初期アラインメントの精度に大きく関わります。ここをサボると天体を導入するのにものすごく苦労することになるので、この水平出しは省略したりせず、きちんとやって下さい。

ついでに、鏡筒の水平出しもやってしまいましょう。パネル上のネジを緩めて鏡筒をある程度水平に設置します。左右どちらに倒すか迷うかもしれませんが、鏡筒を水平にしたときに接眼部が上に向くような向きが正しい向きです。ここで別途用意した水準器を鏡筒の上に置きます。

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水準器の泡が線と線のまんなかになるように、鏡筒の水平方向の傾きを微調整します。これも初期アラインメントの精度に関わるので、必ずやっておいた方がいいでしょう。

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次は鏡筒の先を北に向けます。経緯台下の真ん中にある大きな手回しネジを緩めて、経緯台の上部を鏡筒ごと回転させて、鏡筒を北に向けます。この際、スマホの方位磁石を使うと楽かもしれません。ただし、磁石が差す北と、本当の北はずれているので注意です。場所にもよりますが、例えばここ富山なら7度ほどずれています。スマホなどは設定で本当の北を指すようにする機能があるかもしれないので、チェックしてみてください。方位磁針などが無い場合は、北極星を目印に北に向けてください。これまでの設置で水平を精度よく取ってあれば、この時点で多少北の向きが違っていても怖いことはありません


SynScan Proと接続

最後の準備は、VIRTUOSOとスマホやタブレットを接続することです。まずはVIRTUOSOの電源を入れます。パネルのところにスイッチがあるのですぐにわかるでしょう。オンにするとWi-FiのLEDが赤く点滅します。

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ここで、スマホやタブレットを使います。ネットワークの設定で、Wi-Fiの接続先をVIRTUOSOにして下さい。これを忘れて次のSynScan  ProでVIRUTOSOに接続できないと焦る場合があるので、まずはWiFiレベルでできちんとVIRTUOSOに接続することを忘れないでください。

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Wi-Fiの接続がきちんとできたことを確認して、あらかじめインストールしておいたSynScan Proを立ち上げます。立ち上がったら上の「接続する」を押します。
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すると検索中という画面になり、

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5秒もすればVIRTUOSOが見つかり、

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接続完了になります。これでやっと準備完了です。


初期アラインメントで天体導入

それでは早速天体を導入してみましょう。初期画面から「アラインメント」を選び、次に「1スターアラインメント」を選んでみます。アラインメント方法はいくつかありますが、慣れないうちは1スターアラインメントが一番楽です。

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そのときに出ているわかりやすい天体を選びます。今回試した時は実際の空に土星が見えていたので、一覧の中から土星を選びます。

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ここで「アラインメントをはじめる」を押すと、VIRTUOSOが動き出します。

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しばらく待ってから動きが止まると、すでにある程度は土星の方向を向いているはずですが、おそらくまだ完全に捉えきれていないと思います。こんなときにはスコープファインダーを使います。

まずは空を見てどこに土星があるのか大体の位置に検討をつけます。鏡筒が向いている方向の空を目で見て、明るい星を見つけます。おそらくそれが今回の場合土星です。その位置が確認できたら、両目を使って、片側は空、片側はスコープファインダーを覗き込むと、スコープファインダーに天体が入っているかどうかが分かりやすいと思います。

スコープファインダー中の天体を見ながら、スコープファインダーの右側にある回転するスイッチをカチッと入れます。その状態でスコープファインダーを覗き込むと赤い光が見えます。この光が結構明るいので、ターゲット天体が見えにくいので、スイッチを入れたり切ったりして光を無くしてみるとわかりやすいかと思います。

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赤い光と天体がずれていたら、それが重なるように、SynScan Proの矢印を使って鏡筒の向きを調整します。
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もし、スコープファインダーの中の天体が全然動かないと感じるなら、スピードが遅いので、上の画面の方向キーの上の方の左右にある右向きの矢印を押して見てください。真ん中の数字が5から増えていきます。この数字は鏡筒の移動スピードを表していて、スコープファインダーを覗いている時は7程度の方がいいかと思います。

スコープファインダーのスイッチは、見終わったら必ず切るようにしてください。ボタン電池なので、すぐになくなってしまいます。


ここでアイピース を覗いてみよう!何か見えるかな?

鏡筒の向きを調整して、赤い光と天体が重なったら、この時点で、アイピースを除くと目標天体はそこそこ入っているはずです。

目で見るとこんなのが見えるかと思います。
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うまく見えましたでしょうか?もしはっきりした形になってないけど、何か明るいものが見えたら、ピントが合っていないのかもしれません。接眼部横のつまみをゆっくり回転させてピントをあわて見てください。

上の写真はスマホでその場でカメラをアイピース に合わせて撮影しただけなので、かろうじて土星の形がわかるくらいですが、自分の目で見ると、小さいですがもっとくっきり見えるはずです。


うまく見えてたら、SynScan Proの矢印を使って、天体を真ん中に持ってきましょう。鏡筒の移動速度を再び5とか4位まで落として、天体が視野の真ん中に来るようにします。アイピース を覗きながらなので少し大変かもしれませんが、矢印を押すと見ている天体が動くことを確認しながら、一つ一つボタンを押していきます。

うまく天体が視野の真ん中にきたら、上の画面の真ん中の星とチェックマークがある横長のボタンを押します。ただし、画面の上向の矢印のように、1つもしくは2つの矢印が点滅している場合は、それを押して点滅を無くし、その後真ん中の横長ボタンを押します。これで初期アラインメントは完了です。

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アイピースの交換

うまく真ん中にきたら、今度はアイピース を交換してみましょう。

今使っているのが25mmのアイピースです。今回使っている鏡筒の焦点距離が650mmなので、650/25=26倍の倍率で見ていることになります。

これを、付属しているもう一つの10mmのアイピースに交換します。すると650/10=65倍の倍率で見ることになります。アイピースを交換したらピントを合わせ直すことを忘れないでください。うまく見えましたでしょうか?先ほどより大きく見えますね。

もし10mmのアイピースに交換して見えなくなるようなら、今一度25mmのものに戻してください。そしてターゲット天体が真ん中にきていることを今一度確認してください。きちんと真ん中にきていれば、アイピースを10mmのものに変えてもきちんと視野の中に入っているはずです。


椅子があると便利

ちょっと脱線します。アイピースや、特にスコープファインダーを覗いたりする際、地面に近いかなり低いところを覗くことになります。足腰が強い方はいいかもしれませんが、それでもなかなか辛い体制になるので、安定して見るためには座面の低い椅子があった方がいいかもしれません。私は下の写真のような椅子を使っています。

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高さを調整できるので、低い位置にして座れば安定してアイピース を覗くことができ、あまり疲れることはありません。少し値ははりますが、天体観測にはこれ一つあるとものすごく快適になります。


次の天体を!

土星外見えていれば、木星もそれほど遠くないとことにいるはずです。次は木星を自動導入してみてみましょう。まずは一旦、アイピース を25mmに戻してください。倍率を下げて広い範囲を見た方が自動導入の成功率が上がります。

次にSynScan Proで左上にある「戻る」を何度か押して、初期画面に戻ります。そこで「天体」を押し、下の画面に行きます。

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木星は太陽系内の惑星なので、ここでは「太陽系」を押します。

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「木星」が見えていますね。ここに表れているということは、空に出てると言う意味です。そのまま「木星」を押します。

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さらに「導入」を押します。すると下のような導入中の画面になります。

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しばらく待って鏡筒の動きが止まったら、アイピースをのぞいてみてください。今回の場合初期アラインメントで土星を合わせ、そこから遠くない木星を導入したので、ほとんどアイピースの中に木星が入っているはずです。もし視野に木星が入っていない場合は、最初に設置したときに水平をうまく取れていない可能性があります。設置時の水平取りの精度はこんなところにも効いてきますので、できるだけ丁寧に設置するようにしてください。もしうまくアイピース 内に入らない場合は、土星の初期アラインメントの時のようにスコープファインダーを使うといいでしょう。

木星が視野に入っていたら、あとはSynScan Proの矢印で真ん中に持ってくるだけです。その後、画面真ん中の横長ボタンを押すと、下のように「導入成功」と出ます。

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ここまでが自動導入の手順です。見たい天体があったら、今のようなことを繰り返します。


ちょうど月が出てきたぞ

この日はちょうどこの時点で月が地平線から昇って見えるようになってきました。最後に月を導入してみましょう。

木星の時と同様に、初期画面から「天体」「太陽系」と押していき、「月」を押します。月は明るく大きいので、土星や木星より遥かに簡単に導入できるはずです。うまくアイピース に入りましたか?もし入らないようならアイピースが25mmのものになっているか確認してみてください。繰り返しになりますが、導入時は焦点距離が長い25mmの方が視野に入りやすいです。それでも入ってなかったらスコープファインダーを使ってみてください。

もし空に最初から月が出ているなら、土星や木星よりも、最初は月で練習するのがいいかもしれません。月で慣れてから、木星、土星といく方が簡単順序としては楽かと思います。

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うまく入っていたら、矢印で適当に真ん中に持ってきて、横長ボタンを押し、導入を完了させましょう。


スマホでパシャリ

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上の写真もスマホのカメラレンズのところをアイピース にくっつけて撮っただけです。この日は少し曇っていたので、雲越しのお月様が写りました。実際には月の上の雲がどんどん流れていく様子が見えます。こんなのが見えるのも、望遠鏡ならではですね。

この後どんどん曇ってきたので、この日はここで終了です。次回もお楽しみに。

 





連載記事:VIRTUOSOを使いこなそう

 

 

 

 

 
 

SkyWatcherから、新しい経緯台VIRTUOSOが発売されました。「ヴィルトオーソ」と呼ぶそうです。サイトロンさんから試用を頼まれましたので、いろいろ試してみようと思います。


初心者のために

VIRTUOSOの特徴はなんといってもその値段で、自動導入経緯台のみで実売税込みで2.8万円、口径13cmのニュートン反射型の鏡筒まで込みで実売税込み約4万円と、これまでにない値段となっています。口径15cmニュートン反射、口径127mmのマクストフカセグレンのモデルもあります。星を始めてみたいという初心者の方にも相当注目されるのかと思います。



というわけで、今回からターゲットをこれから星空観察を始める初心者に絞って、実際に使用しながら各種機能を見ていきたいと思います。今のところの予定ですが、
  1. 明るいところでの準備
  2. 実際に天体を見てみよう
  3. 電視観望に星雲に挑戦
  4. リモート観望できるかな?
というようなテーマで、4回くらいに渡ってこのブログでできるだけ詳しく解説していこうと思います。

あらかじめ使用するものを挙げておきます。

準備段階:
  • 小さめのプラスドライバー(スコープファインダーの電池カバーを外します)
  • 単3電池8本(充電式が経済的)
眼視での天体観測
  • 水準器
  • スマートフォン、またはタブレット(iPhoneでもAndroidでもOK)
電視観望
  • CMOSカメラ(今回はPlayer OneのNeptune-C IIを使おうと思っていますが、他にも選択肢はたくさんあります)
  • PC(Windows10が走るくらいの性能があれば十分)
  • USBケーブル(CMOSカメラを繋ぐためのもの)
なくてもいいが、あると便利なもの
  • 0.5倍レデューサ(視野が広くなるので導入しやすくなります)
  • 椅子(意外に覗くところの位置が低いので、低めの椅子があるといいです)
  • 机(電視観望の時にPCを置くのに机があると楽です)
 
今後試す過程で、他にも必要なものが出てきたら、随時追加しています。


到着から開封まで

今回到着したモデルは、13cmのニュートン反射型とセットのものです。大きな箱に入っています。

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段ボールの蓋を開けるときにテープをカッターなどできるときは注意です。すぐ下に日本語マニュアルが入っているので、これを切ってしまわないように刃を少しだけ出して、テープだけを切るようにするか、安全のためハサミなどでテープをカットするようにしてください。

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下の写真のように茶色のダンボール箱の中に、VIRTUOSOの箱が入っていますが、この中の箱は無理に取り出さなくていいです。茶色の箱を処分したい場合はこの限りではないですが、そうでなければ無理せずに茶色の中にVIRTUOSOの箱を入れたままVIRTUOSOの箱の蓋を開け、そこから中身を取り出した方が楽です。

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中身は上から引っ張り上げて取り出してもいいですが、箱を倒してゆっくり横に引っ張り出してもいいでしょう。

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本体は結構大きいので、気をつけてください。ちなみに、VIRTUOSOの箱の中に英語版のマニュアルが入っています。これと日本語版を比べると、かなりそのまま訳したものをサイトロンジャパンの方でつけているのかと思います。ただし、日本語版も英語版も最低限の説明は書いていますが、全くの初心者だとこれでは辛いかもしれません。このブログでできるだけ補足していこうと思います。

他に箱が入っていて、その中には
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  • スコープファインダー
  • 25mmアイピース
  • 10mmアイピース
  • 光軸調整用接眼キャップ
が入っています。まずは、これらの機器のセットアップから始めます。


昼間の明るいうちにできる準備

何の準備もせず、夜に突然外に機器を持ち出して組み立てようとしても、まずうまくいかないでしょう。最初に明るい所でやれる準備をできるだけしておくべきです。

まず最初に重要なことは、経緯台に鏡筒をしっかり固定すること。車で運んで暗いところに持っていく等でいずれ外すとしても、一度は明るい所で練習しておいた方がいいでしょう。アリガタ、アリミゾと呼ばれるクランプ構造で、ネジを締めて固定します。

その際の位置決めですが、経緯台外側のパネル上部にある大きな固定ネジを手で緩めて、鏡筒がスムーズに動くようになったのを確認してから、鏡筒が水平になるように動かします。手を離しても水平を保てるように、重さバランスが大体合うように左右アリミゾの位置をずらしながら位置を決めます。位置が決まったら、一旦鏡筒を垂直に立てて、下側が経緯台に当たらないか確認してください。これで当たるようなら、下に行き過ぎです。ちなみにどちらが上に来てどちらが下に来るかですが、アイピースを挿し込む覗き口が付いている方が上になります。下側奥には主鏡と呼ばれる、メインの大きな鏡が取り付けられています。

鏡筒が固定できたら、スコープファインダーを取り付けましょう。スコープファインダーはLEDを使い、その光の指している方向にターゲットの天体を合わせることで鏡筒の向きを調整する機器です。LEDをつかうので電池が入っています。電池の蓋は小さめのプラスドライバーでねじをゆるめて開けます。電池と電極の間に薄いプラスチックのシートが入っているので、まずはそれを取り除きます。再び蓋を閉め、ネジを締めます。これで電源が入るようになるので、次に横にあるつまみをカチッと音が鳴るように回します。すると赤いLEDが光るはずです。それが確認できたら、鏡筒の前部にあるファインダー台のところにはめ込み、ネジを締めて固定します。LEDはつけっぱなしだと電池を消耗するので、すぐに消すのを忘れないでください。

アイピースも明るい所で一度つけておいた方がいいかと思います。最初に使うのは25mmの方で、プラスチックのキャップを外しておきます。このキャップはアイピースの保管の時に必要なので、無くさないようにして下さい。次に接眼部のネジを緩めてアイピースを差し込みますが、その際ネジを緩めすぎて落とさないようにして下さい。暗い所で落とすとみつからないこともありますので、どこら辺まで緩めればいいか確認しておくといいでしょう。アイピースを奥まで差し込んだら、ネジを締めて固定します。

次に経緯台本体に電池を入れます。まず経緯台外側パネルのところにある電池ケースの蓋を開け、電池ケースを取り出します。このケース、ケーブルの収まり具合が微妙で、方向を間違えるとうまく入らなくなることがあります。ケースを取り出してケーブルから外すときに、ケーブルの収まり方と、ケースの方向をよく確認しておくといいでしょう。電池は単3のものが8本必要です。恐らく一晩を数回使うと電池は空になると思うので、これから何度も使うことを考えると、充電タイプの単3電池を8本用意したほうが経済的かもしれません。

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あと、このVIRTUOSOを操作するためには、スマホかタブレットが必要になります。PCでもいいのですが、スマホかタブレットの方が手軽でしょう。あらかじめSynScan Proというアプリを検索して、ダウンロード、インストールしておいて下さい。

ただし、Android版でGoogle Playストアでダウンロード出来るSynscanアプリは、バージョンが古すぎてandroid11ではクラッシュしてしまうそうです。回避する為にはSkyWatcherサイトの該当ページから最新版を直接ダウンロードしてください。詳しくはサイトロンのページをご参照ください。





明るいうちにアイピースを覗いてみよう

できるならば一度、練習がてら望遠鏡で昼の景色をみておいた方がいいでしょう。

経緯台外側のパネル上部にある大きな手回しネジを緩めて鏡筒がお辞儀方向に動くように、経緯台下の真ん中にある大きな手回しネジを緩めて経緯台の上部を鏡筒ごと回転できるようにします。これで鏡筒がどの方向でも自由に動くようになるはずなので、なにか遠くの景色をアイピース を覗いてみて下さい。最初はピントが全然ずれているので、ボケボケだと思います。アイピースを覗きながら、アイピースの下の接眼部についているつまみをゆっくり回して、ピントが合うところを探してみてください。このとき、ピントを合わせるのにつまみをどれくらいの速度でまわせばいいかの感触をよくつかんでおいてください。夜に星を見ながらだと、早く回しすぎたり、動かなさすぎてピントが合わなかったりで、何も見えないということもあります。昼間に練習しておけば、夜に慌てなくてすみます。

ここまでのことが暗くなってもできるように、明るいうちに何度も練習しておくといいのかとおもいます。


次回

今回はここまでです。次回の記事では、実際に夜にVITUOSOを外に出して、天体を導入し、アイピース で見てみます。うまく見えるでしょうか?





連載記事:VIRTUOSOを使いこなそう

 

 

 

 

 
 

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