ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:画像処理 > フラット補正

画像処理をするにあたり、フラット補正は最初の方できちんとしているのですが、画像処理を進めて星雲部分を強調していくと、どうしてもフラットに仕切れていない部分が目立ってきます。そのため先日撮影したバラ星雲を使い、少し検証してみました。簡単のため、コンポジットなしの一枚の画像のみで比べます。

最初はフラット補正無しと有りの比較です。ステライメージ7上でフラット補正後、ベイヤー/RGB変換をしてレベル補正で暗い部分をあぶり出しています。以下の2枚の写真を見ると、明らかにフラット処理をした方が周辺減光がまともになっています。

  • フラット補正無し
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_noflattest1

  • フラット補正有り
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat0


なので効果はあることは明らかです。しかしながら、フラット補正をした後でも、少しわかりにくいですが、右上隅に行くに従って途中までは暗くなっていっているのに、あるところから突然明るくなって、三角州のような明るい形が残っています。左上は周辺減光という言葉の通り、徐々に暗くなっていきます。このように一方は明るく一方は暗くというような場合、特に右上のように途中から明るさのスロープの傾きの正負が逆転しているような場合は、ステライメージ7上での周辺減光補正がすごくやりにくくなるので、少なくとも両方とも暗いとかの、スロープが滑らかなる状態を目指します。

あと、もう一つ気になるのは、フラット補正をした場合としない場合で明らかにカラーバランスが変わっている点です。補正無しは緑っぽく、補正有りはホワイトバランスがマシになっています。これは作業ミスというわけではなく、上の2枚をレベル補正のRGBで明るさを合わせようとしただけで、カラーバランスは何も変えていません。


ここから検証です。まずフラット補正時のオフセットの値を変えてみます。
  • プラス20%: 右上、左上、共に少し暗くなりますが、まだ右上が明るいです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat20


  • プラス40%: 左上はさらに暗く、右上はほぼフラットでしょうか。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat40


  • プラス60%: 両側とも暗くなる方向です。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60



逆にマイナス側のオフセットをかけます。
  • マイナス20%: 逆に明らかに右上がより明るくなっています。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat-20


  • マイナス40%: 両側とも明るくなりました。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat-40


マイナス側は逆センス、プラス40%以上なら、少なくともアンバランスはかなり軽減されるようです。念のためこれ以降の処理をプラス60%をデフォルトとしておきます。

次にフラット補正時のガンマをいじってみました。オフセットは数学的にはフラットフレームに和もしくは差で下駄を履かせるというのでわかるのですが、このガンマはどのような処理なのかいまいちよくわかっていません。おそらくフラットフレームの明るさ方向の幅を決める係数のような気がします。オフセットは+60%で固定です。

  • ガンマ0.6: 四隅とも結構暗くなります。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g06

  • ガンマ0.8: 0.6に比べると少し明るいでしょうか?でもデフォルトの1.0より少し暗いです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g08

  • ガンマ1.0: オフセットの変化の時に載せた60%と同じ画像を並べておきます。それほど悪いようには見えません。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60

  • ガンマ1.4: 右上が再び明るくなりました。周辺減光補正(周辺を明るくするという効果)が効きすぎているようです。
ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat60_g14


ガンマを上げていくと、周辺減光補正の効きが強くなるようなので、ガンマがどれだけフラット補正の効果を効かせるかという係数という推測は間違っていない気がします。

オフセットとガンマではフラット補正で残った残差の調整は、最初の目的の明暗逆方向に行っているものを一方向のみにすることはできるとわかりましたが、それでも結局きちんとバランスを取るまでの調整はしきれないことがだいたいわかりました。そもそも、なぜこんなことが起きるかというと、フラットフレームとライトフレームの減光度合いが違っているからに他ならないのですが、考えられる原因はいくつかあって、
  • フラットとライトのカラーバランスが一致していない。
  • フラットの光源はPC画面だが、PC画面を見た場合と、夜空を見た場合で何らかの光の経路が違う。
  • 露光時間の違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
  • ISOの違いが、周辺減光に何らかの影響を及ぼす。
  • フラットが明るすぎる。
などです。この中のフラットのカラーバランスだけはすぐに試すことができるので、とりあえずパッと試してみました。そしたら何と、明らかに効果ありです。

フラットフレームですが、ベイヤー状態ではカラーバランスの補正はできないので、まずはRGBに変換します。その時ホワイトバランスを自動で調整しないでそのまま見てみたら、何と画面全部緑です。

FLAT_1s_100iso_20170305-04h10m44s002ms_x60_RGBnowhiten

白い画面を写したのに、何でこんなに緑が大きくなるのでしょうか?カメラは天体改造してあるので、赤が目立つならわかるのですが。PCのプレビューでは普通に白く見えています。実はフラットフレームだけでなく、ライトフレームもホワイトバランスを自動にしないと緑が大きく強調されてしまいます。

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h05m51s444ms_RGBnowhiten

何かがおかしいです。ステライメージのベイヤーからRGBへ変換ルーチンでしょうか?何か設定を間違えているのでしょうか?これは後できちんと検証するとして、とりあえず気を取り直して、とにかくホワイトバランスをトーンカーブで整え、まともな色のフラットフレームを作ります。

FLAT_1s_100iso_20170305-04h10m44s002ms_x60_RGB


次にライトフレーム一枚をRGBにします。これがこのページの一番上の写真と同じものです。その次に、作ったRGBカラーでのフラットフレームを使って補正します。オフセット0%、ガンマも1とデフォルトの状態にします。そしてできた画像がこれです。
  • ホワイトバランスをとったフラットで補正したもの

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_flatten_byRGBwhitenframe

直接比較するべきは上から2枚目です。見やすいように再度載せます。
  • ホワイトバランスが大きくずれたフラットで補正したもの

ROSE_LIGHT_120s_3200iso_+11c_20170303-23h03m39s648ms_flat0

ホワイトバランスをとったフラットフレームで補正した上のほうは、完璧ではないですが四隅がかなり改善されています(追記: それでも画像処理を進めていくとやはり補正しきれていない部分が目立ってくるのが後でわかりました。まだ根本的に何かがずれているのかと思います。2017/9/21さらに追記: CANPでの話を参考に、その場でフラットを撮影するようにしたら、このようなズレは無くなりました。iPadなどのLEDでの光源と、周辺環境の余分光源からの回り込みにどうしても差が出てしまうようです。これ以降はフラットはその場で撮るようにすることにしました。)。それでも今回はとりあえずの対処療法で、フラットフレーム、ライトフレーム共にRGB変換した後にフラット補正したので、ベイヤーでフラット補正できるようカラーバランスの取れたフラットファイルが必要になってきます。

さて、そうなってくるとなぜ白い画面を撮っているのに、カラーバランスが崩れて緑になるかが謎です。これは機材を出して検証する必要があるので、また時間がある時に試します。


追記: どうやらステライメージ7でRAW現像(RAWで開いてベイヤー/RGB変換をしても、最初からRAW現像をしても)をすると緑がかるのは既知の問題の様で、アストロアーツによると仕様だとのことです。ということは、どうもホワイトバランスがとれたベイヤーでフラット補正するのは諦めた方が良さそうという結論になります。対策としては、
  • 最初の方の方式のようにフラット補正の際オフセットを加えて周辺減光を滑らかにしてから、マニュアルで周辺減光を撮る
  • ソフトを変える
などがありますが、当分は前者かなと思っています。 そのうちにPixinsightも試してみたいと思います。






牛岳での前回の撮影の際、フラットフレームの一枚撮りを無加工でjpegで載せておきました。今回の話はこれがスタートなので、今一度このページでも載せておきますが、

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms

真ん中に黒点があるのと、四隅が少し暗いことくらいがわかります。これを再度よく見てみます。

あらためて撮影条件の確認ですが、2016年11月18日、天体撮影後、鏡筒やピントなどもそのままでフラットフレームを撮影。PCの画面を真っ暗になる一段階前(10%)にして、そこに鏡筒を平行に寄せて、ISOは100、露光時間は1秒で撮影しました。その際の一枚撮りのフラットフレームのRAWファイルをステライメージ7(以下SI7)で「ベイヤー配列」で開き、すぐに「ベイヤー・RGB変換」。その際ホワイトバランスを自動で整えました。

まずはその時の状態をjpegに画質6(画質が高すぎるとblogのサイズ制限ではねられてしまうので画質を落としてあります。)で落としたもの。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms_org_6


先の前回の画像は取ってから無加工なのですが、この画像はホワイトバランスをとっているので、少し明るくなっています。よく見ると、上の右のほうにももう一つ黒い丸があります。

次に、ヒストグラムの「σ(1,1)」でかなり粗(あら)が見えるようにして、jpegの画質6で保存したものが次の画像です。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m10s699ms_sigma_6


驚くことに、今まで見えていなかっただけで他にもホコリでしょうか、黒い丸が多数あります。色も上下左右でかなり違います。

次に、前回の画像処理に使うためにフラットをダーク補正し、16枚をコンポジットしたものを同様の条件で見てみます。

FLAT_Tv1s_100iso_60D_20161118-20h48m_x16_sigma_6


16枚のコンポジットなので、ランダムノイズはsqrt(16)=4で4分の1になっているはずなのですが、見た目にはほとんど変わっていません。フラットのダーク補正が必要なことは、他のページで検証されている方がいらっしゃるので、そこはいいとして、コンポジットの肝であるランダムノイズが改善されているようにはどうしても見えません。jpegファイルは細かい画像だとファイルサイズが大きくなり、のっぺりした画像だとファイルサイズが小さくなる傾向にありますが、コンポジットした方が6.3MB/5.6MB=1.125倍程度逆に大きくなっています。これはノイズが減った方向とは逆のセンスです。


話をもどして、その後11月24日の数河高原での撮影の際にカメラのミラー部分を掃除してから、天体撮影をしました。最後は計算機のバッテリー切れと霜でフラットが撮影できなかったので、昨日11月25日に自宅で夜中にフラットを撮りました。その際の設定が、鏡筒はFS-60Qのまま、ピントはいじっていない状態を保ちつつ、PCの画面を真っ暗になる一段階前(10%)にして、そこに鏡筒を平行に寄せて、ISOは100、露光時間は前回の1秒だとヒストクラムのピークが8割くらいのところまで行っていたので、0.5秒に落として撮影しました。その際の一枚撮りのフラットフレームのRAWファイルをステライメージ7(以下SI7)で「ベイヤー配列」で開き、すぐに「ベイヤー・RGB変換」。その際ホワイトバランスを自動で整え、ヒストグラムの「σ(1,1)」でかなり粗が見えるようにして、jpegの画質6で保存したものが次の画像です。

FLAT_Tv05s_100iso_60D_20161126-01h13m13s465ms_sigma_6


まず、濃い黒丸が2つ少なくともなくなっています。これは掃除のおかげでしょう。エアーで吹き飛ばしただけなので、大きなものは取れますが、くっついているような細かいものは取れないようです。また、鏡筒に対してカメラの取り付け角が変わっているのですが、それでもその他のホコリの位置は変わっていないことから、これらの汚れはカメラ側ということがわかります。

もう一つ気づくのは、少しわかりにくいかもしれませんが、ランダムノイズが多くなっているように見えることです。違いは露光時間が1秒から0.5秒に変わったけで、相対的に少し暗いものを写しています。ヒストグラムのσ(1,1)で見ているので、見た目の明るさは同じになるように調整されています。このことを元に、次に同条件で天体撮影時の感度に合わせたISO3200、ヒストグラムのピークを真ん中らへんに持ってくるように露光時間を1/100秒に合わせ、同じようにσ(1,1)で見てみました。

FLAT_Tv1100s_3200iso_60D_20161126-00h29m20s793ms_sigma_6

圧倒的にノイジーです。黒い丸さえも見えません。ISO x 露光時間は100 x 0.5 = 50と3200 x 1/100 = 32でほとんど同じなのに、ISOが大きいために大量のランダムノイズが乗ってしまったというわけです。これは果たして何を意味するのでしょうか?

ここからは推測です。そもそもフラット補正の目的は画面の明るさの分布の違いや、ホコリなどでできた不連続なシミを取ることです。ランダムノイズの除去は目的ではないはずです。そうするとランダムノイズが乗っているフラットフレームは、そもそも適していないということになります。本来見えていて欲しい黒丸さえも、いろいろ試したのですが、どうやっても影も形も見えなくて、情報が欠落しているような状態になっています。ISOは天体撮影時と同じ方がいいという説がありますが、もし上の考え方が正しいとすると、トータルで同じ明るさならばフラット撮影時のISOは低くしてノイズを出さないようにした方がいいということになります。また、今回コンポジットであまりランダムノイズが減ったようには見えなかったですが、たとえ理論通りに枚数のルートでノイズが減ったとしても、ISO3200で例えば16枚取るよりも、ISO100で一枚撮った方がsqrt(16):sqrt(3200/100) = 4:4sqrt(2)で、ISO100で一枚撮りの方がノイズが1.4分の1に少なくなるということになります。もしランダムノイズがアルゴリズムのせいなどで理論通りに減っていないとすると、さらにこの差は開きます。

もし、今回の推測が正しいとすると、牛岳でISO100でフラットを撮ったのは間違えだったと撮ってからずっと思っていたのですが、奇しくも偶然正しい方向で進めていたことになります。少なくとも画像処理の段階で四隅の補正に関しては問題はありませんでした。ただし、以下に示すように一つだけ困ったことがありました。

もう一つ気づいたことが、このページの上から3枚目の画像と5枚目の画像を比べると、下の部分が5枚目の方が明るいのです。最初これが謎だったのですが、よく考えると、おそらく下側に何らかの明るい部分があって、その明るさの絶対量は変わらないのですが、5枚目の方が全体が相対的に3枚目よりも暗いので、見た目の明るさを合わせると下の部分が5枚目の方が明るく出てしまっているのではないかという結論に至りました。実は牛岳の写真を処理している時に、M45の方だけどうしても下側が明るくなってしまうということがあって、泣く泣く一部トリミングしたという経緯がありました。少なくともここの部分はまだ補正がうまくいっていないのだと思います。


今回の話は、調べた限りあまり聞かないような話ですが、ごくごく素直に考えていて、奇をてらっているわけでも何でもないので、あまり間違ったことは言っていないと思いますがどうでしょうか?実際にこれから処理をする過程で、できた画像の結果を見ながらもう少し検証していきたいと思います。

それにしてもフラットは奥が深いです。


 

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