ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測機器 > レンズ

前々前回の記事でPENTAXの6x7の75mmでとったオリオン座とエンゼルフィッシュ、



前々回の記事でコスモス天文台での話、



前回の記事でPENTAXレンズを含んだアトムレンズの記事(結局PENTAXはアトムレンズではなかったのですが)



を書いたのですが、今回はそれらを統合したような話です。


PENTAX 6x7をレンズもう一本

先週東京に出張した際に、秋葉原のキタムラにて懲りずにPENTAXの6x7マウントのSUPER TAKMAR 105mm f/2.4レンズを手に入れました。前回手に入れたマルチコートではないようです。

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程度は悪くないのですが、レンズをのぞいてみると激しく黄変しています。

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Webで調べてみるとどうやらこれは紛れもないアトムレンズのようです。前回同様実測してみました。

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前面は1.27μSv/hとNIKKOR35mmより低いくらいでしたが、背面(カメラボディー側)はなんと9.99μSv/hと表示されて測定範囲外に。少なくともNIKKOR35mmの数倍はあることになります。これは少し驚きました。それでも100時間くらいのオーダーで数cmくらいの近距離において使った場合にやっと自然被曝程度なので、普段使用では安全性に問題があるとは思えないのですが、念のため保管の時はきちんと鉛板で覆ったケースに入れておいたほうがよさそうです。

測定の結果、今回のPENTAXレンズは本当にアトムレンズということもわかったので、同じPENTAX 6x7マウントでどれくらい性能が違うのか興味があります。はたしてアトムレンズはすごく性能がいいのか、はたまたそんなのは迷信なのか。


久しぶりの快晴で透明度も良!飛騨コスモス天文台で撮影敢行

そんな折の土曜日、昼間から珍しいくらいに快晴で しかも月も深夜遅くまで顔を出さないとあって、この日は撮影日和です。しかも遠くの立山もかなりはっきり見えるので透明度もいいはず。飛騨コスモス天文台に行って、ドームの望遠鏡の調整がてらPENTAXレンズで撮影を敢行することにしました。

飛騨コスモス天文台に到着したのはまだ日が沈む前。夕焼けが綺麗でした。

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撮って出しJPEG画像

ドームの話は次回に譲るとして、今回はPENTAXレンズの比較だけにします。試したのは以前75mmと一緒に手に入れたのにまだ試していなかった200mmでエンゼルフィッシュ星雲。今回手に入れたアトムレンズの105mmで北アメリカ星雲とサドルの近辺です。まだ画像処理が全然進んでいないので、とりあえずJPEG撮って出し画像だけ出します。

まずは200mmです。これも前回の75mmと同じで、ピントリングで最小像を超えることができないためにリングを無限大のところまで持って行っています。

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次に105mm。こちらはなぜかピントリングで最小像を超えることができます。最小像まではいいのですが、それを超えるととたんに赤ハロが目立ちます。どうやらK&FのPENTAX 6x7からCanon EFに変換するアダプターですが、レンズによってピント出し位置が多少異なるようです。無限遠が出ない可能性もあるので注意です。

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周辺星像

4隅の画像です。まずは200mmですが、赤ハロがひどいのがわかります。コマ収差もかなり目立ちます。

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次に期待のアトムレンズ105mmです。中心像は悪くないですが、周辺はコマでしょうか?収差が多少あります。それでも200mmよりは遥かにマシです。ハロはそれほど目立ちません。

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あれ?でも前回の75mmってもっとマシじゃなかったっけ?ちょっと前回のものも再掲載します。

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うーん、もう明らかに75mmの方がマシですね。アトムレンズにはこれ以上を期待していたのですが、どうやら75mmだけの奇跡だったのかもしれません。


PENTAX 6x7マウントレンズのまとめ

今回で3つのPENTAXの6x7レンズを試したことになります。結構目立つ赤ハロとコマ収差が出る200mmと比べると、アトムレンズである105mmの星像はかなりマシです。でも75mmの素晴らしい星像と比べると雲泥の差で、どうやらアトムレンズといえども決定的に有利というわけではないようです。今回の105mmはかなり期待していたのに、少し残念です。

でも同じPENTAXの同マウントで、なんで75mmだけこんなに性能がいいのでしょうか?他にもこのレベルの他の焦点距離のレンズも存在するのでしょうか?流石に昔のレンズで情報もあまりないので、こればかりは買って実際に試してみないとわからないですね。

次回は画像処理をして、実際の仕上がり具合で比較してみることにします。
 

一つ気にになっていることがありました。この間購入したPENTRAXのTAKUMAR LENS、言わずとしれたオールドレンズです。このようなオールドレンズにはアトムレンズとかトリウムレンズなどとも呼ばれ、性能の向上を図ったレンズの可能性があります。前回の撮影で思ったよりも収差も少なかったので、もしかしたらアトムレンズなのではと思い調べてみました。

 


アトムレンズとは

アトムレンズとはレンズ基材に微量ながらも放射性物質である酸化トリウムを混ぜ、高屈折かつ低分散を実現させ、現在のフローライトレンズと同じような効果を狙ったものです。屈折率が高いとその分同じ厚さでもより光を曲げることができるため、レンズを薄くすることができその分湾曲を防ぐことなどができるというわけです。

ただ一つ、欠点があって、古いアトムレンズは覗いてみると黄変とか言って、劣化で黄色く見えるなどの特徴があるそうです。この黄変は製作後数年で出てくるそうで、アトムレンズが生きのこらなかった理由の一つが、黄変が短期間で出てきたことがあると言われているようです。黄変は屈折率などには関係ないので、ホワイトバランスが崩れることや、透過率が下がるなどの弊害はありますが、星撮りでは後の画像処理が入るために、それほど大きな問題にはならないと考えられます。


測定対象としたレンズ

今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4とは別に、NIKONのオールドレンズを50mm/f1.4と35mm/f1.4の2本持っていて、こちらもアトムレンズの可能性があります。実際のところ、どれがアトムレンズに相当するのかよくわからなかったので、今回この4本を市販の簡易放射線カウンターで測定してみることにしました。

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今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4

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昔手に入れたNIKKOR50mm/f1.4と35mm/f1.4

 
黄変の具合

測定の前に、黄変の具合を見てみます。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4になります。
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上のNIKKOR2本は目で見ると明らかに黄色くなっています。特に35mmの方はかなりはっきりわかる黄変です。50mmのほうは、写真で見るとわかりにくくなってしまっていますが、目で見ると誤差の範囲でなく黄色いです。今回手に入れたPENTAXの75mm f/4.5と200mm f/4の2本は目で見る限り黄変のような兆候は見られませんでした。




実際の放射線量の測定

実際の測定結果は以下のようになります。上がレンズのフロント側、下がレンズのカメラ側になります。左上からNIKKOR 35mm f.1.4、右上がNIKKOR50mm/f1.4、左下がPENTAX 75mm f/4.5、右下がPENTAX 200mm f/4です。出来るだけセンサー位置をレンズ中心になるようにおきました。木の棒が置いてあるのはレンズ面にセンサーが触れるのを防ぐためです。

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レンズのフロント側。

back
レンズのバック側(カメラ側)

まずは今回購入したPENTAXの2本ですが、レンズの上に乗せて測ってみても表示は0.1μSv/h程度と、あまり普通の場所での値と変わりません。NIKKORの50mmも同様です。ところが、NIKKORの35mmに近づけた途端に0.3とかに跳ね上がりました。レンズの前で測ると最終的に2μSv/h程度、レンズの裏に至っては4μSv/h以上にまでなりました。

日本の年間平均自然被曝量が2mSv程度とのことなので、500時間身につけていて自然被曝量程度になります。通常使用では全く問題のないレベルです。


アトムレンズの写り具合

昔、この35mmのアトムレンズを使って、ASI294MCを取り付けて固定撮影でオリオン座付近を撮ったことがあります。



フォーサーズサイズのセンサーでも星像は4方向に伸びていっているのがわかります。今回手に入れたPENTAXの75mmの方が、フルサイズでも星像がかなりマシなので、アトムレンズが必ずしも絶対的に性能がいいというわけではなく、あくまで相対的には性能のいいレンズが作れたということでしょうか。しゃんすがあれば今一度晴れた時に試して見たいと思います。


まとめ

アトムレンズの実測をしているページは探すとすぐにいくつも見つかります。それでも、NIKKORレンズにはアトムレンズは存在しないのではというページもあったり、今回の35mm f1.4がアトムレンズだという記事はありましたが、実測している記事は私が探した範囲では見つけることができませんでした。

アトムレンズは黄変だけで判断するのも難しそうです。NIKKORの35mmと50mmを比較すると明らかな差はわかりますが、単体で50mmだけを見ても黄色く見えるので、迷うかと思います。

PENAXのTAKUMARも、収差が少ないのでもしかしたらアトムレンズかもと思っていたのですが、完全に気のせいでした。やはりきちんと測定などして確かめることが大事です。今回自分で測定し色々調べてみて、実際にいつの年代のどこのメーカーのレンズがアトムレンズの可能性が高いのか、どれくらいの放射線量なのか、どのくらいの時間使っていると危険なのかの目安など、実感として納得しながらわかることが多かったです。こうやってみるとアトムレンズはかなり限られていて、古いレンズで黄変していても、アトムレンズは意外に少ないのかもしれません。

あ、それでもやはりあぷらなーとさんは持っていて、しかもきちんと実測してました。



最初の方でアトムレンズは星撮りに問題にならないと書きましたが、あぷらなーとさんによると、放射線にセンサーが反応してノイズになるとのことです。さすがあぷらなーとさんの解析です。私はまだまだこの域には程遠いです。


梅雨明けしたはずなのに台風が来て、さらに台風が過ぎてからもずっと大雨が続いています。今シーズンは感染しないように耐えていたのですが、とうとうポチリヌス菌の症状が出始めてしまいました。

今回の症状はSAMYANGの14mm F2.8 IF ED UMCなのでまだ軽めです。EOS 6Dにつけることのできるまともなフルサイズ用のレンズとしては初めてのレンズになります。

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写真に写っていないですが、レンズカバーと、
レンズを入れる巾着が付いてきます。

正確にいうとフルサイズレンズは初めてではないのですが、持っているものはキタムラ秋葉原店で中古で買った1980円のCanon EF 28-80mm F3.5-5.6 USMというのと、60Dで望遠用にとアマゾンで中古で4760円で買ったCanon EF 55-200mm F4.5-5.6II USMという、ともにごくごく一般的なものだけです。昼間の普段使用ではあまりこだわりはないのでこれで十分なのですが、星を撮るのにはさすがにきつそうで、広角のフルサイズ用のものをとりあえず欲しいと思っていました。

シグマのArtシリーズの14mmや、同じSAMYANGでもXP 14mm F2.4なども考えましたが、値段が全然違うので今回は諦めて、まずはとりあえずの安価な一本です。ただこのレンズ、片ボケだとか光軸ずれの報告が結構あります。最近のものは品質管理もしっかりしてきてだいぶんましになってきたようなのですが、それでも心配だったので中古とかには手を出さずに、交換対応もしてくれるというので今回は馴染みのSCOPIOさんで購入することにしました。どこの店でも一時期の底値の時より1万円近く上がっているのですが、それでも十分安価です。

とにかくこのレンズの魅力はと言いますと、各所にすでに散々書かれていますが、フルサイズ対応の超広角レンズでF2.8とそこそこ明るく、他のレンズと比べて圧倒的に手が出しやすい価格に抑えられていることに尽きると思います。もちろん短所もたくさんあり、オートフォーカスもないのはおろか、絞りもマニュアルです。なので昼間の普段使いには全く向きませんが、基本全てマニュアル操作になってしまう星景写真には十分です。品質にばらつきがあるという噂もあるので、このことも短所になるでしょう。もしダメだった場合の交換も視野に入れた購入店を選ぶということも、選択時に考えておく重要なことかと思います。

今回購入時にSCOPIOさんから「Canonとかの純正やシグマのレンズとはシャープさも違うのでご了承ください」という親切?な助言をメールでいただいています。もちろん納得済みでの購入ですし、そもそもまだカメラのレンズに対して全然肥えた目は持っていないので、全く不満に思わないかもしれないですし、もしかしたら、あ、やっぱり全然ダメだとなってレンズ沼にはまり始めるのかもしれません。でも、どういう結果になってもいいくらい気楽に試せる値段というのが、やはり一番の魅力かと思います。

初のフルサイズ広角レンズ、さて撮れ味はどうなのか?ニュースによると日本全国かなりの範囲で、しばらくの間、大雨が続きそうです。晴れたら早速試して見たいと思います。もし日曜に晴れたらヒメホタルを見に行く予定です。星景と合わせてうまく撮れたらと思っています。

追記: 2018/7/8にファーストライトです。

2017/3/11、休日の前日で晴れ。今晩は満月直前なので、星雲の撮影などはできそうもありませんが、せっかくの星空が勿体無いので何をしようか考えていました。やりたいこと、やらなければならないことはたくさんあるのですが、あくまで趣味なのでやりたいことをやろうと思い、気になっている星像の流れの原因を突き止めることにしました。

先日のマルカリアン銀河鎖の撮影の際、Advanced VXとPHD2でガイドをしているにもかかわらず星像が一定方向に流れるという問題があったのですが、やっと原因が判明しました。犯人はガイドの焦点距離を伸ばそうとして、ついこの間導入したCanonのZOOM LENS EF 55-200mmです。ガイドとして使っているCCD、ASI224MCにアダプタを介してレンズを取り付けているため、電動系は全く無意味で、当然ピントなどはマニュアル、というか手でレンズの先の筒をひねって伸ばしたりして合わせるのですが、その際すごく軽くて弱そうだなと思っていました。レンズの筒の部分にちょっと触るとCCDでの映像があからさまに揺れるのです。まあガイド中は触らないからいいかと思っていたのですが、これが間違いでした。

よくよくレンズを見てみると、ズームタイプでULTRASONICとか書いています。Webで調べたら、超音波モーターを使っているとのことです。静音でいいらしいのですが、パワーがなさそうなのは容易に想像できます。駆動力がないということは、動かす対象は軽くて、構造的に弱いものにならざるを得ないということでしょうか。四千円程度と安くてよかったのですが、天体用には向かないということがよくわかりました。


検証

今回の検証のためにやったことを書いておきます。まずは前回の再現。できる限り同じ機材、同じ環境で星像が流れるかを確認します。バラ星雲あたりとスピカあたりで試しましたが、見事に流れます。

使っている機材は撮影条件によらず共通のものが
  • 鏡筒: FS-60Q (f=600mm)
  • 赤道儀: Advanced VX
  • カメラ: EOS 60D
  • ガイド用CCD: ASI224MC
  • ガイドソフト: PHD2

変えている撮影条件は
となります。

1. 最初はバラ星雲あたりを、CanonのZOOM LENS EF 55-200mmを使いPHD2でAVXの2軸に返しました。5分露光で5枚、22時39分29秒から23時05分8秒まで25分39秒かけて撮った画像を比較明合成します。比較明合成はstarstax (紹介記事本家) というソフトを使いました。5分 x 5枚の25分より長くなっている理由は毎撮影時にBackyardEOSでPC側にダウンロードしているために、その間は撮影できないからです。

rosse_canon_2axis

左右が赤経方向、上下が赤緯方向に相当するので、どうも赤径方向に大きく流れているようです。

流れた距離をPhotoshopの定規ツール(スポイトツールに隠れています)で測定すると19.06pixelありました。

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EOS 60Dはセンサーサイズが22.7mm x 15.1mmなので、600mmの焦点距離だと画角は2.167 x 1.441度になります。これが5184 x 3456pixelの画像になるので、1pixelあたり0.0004181度になります。秒角に直すと1.505秒/pixelとなります。なので星像が流れた距離を角度で表すと

19.06pixel x 1.505秒/pixel = 28.69秒

となります。これを25分39秒、すなわち1539秒かけて撮影しているので、移動速度は

28.69秒角 / 1539秒 = 0.01864秒角/秒 = 1.119秒角/分 = 67.11秒角/時

となります。1分で1秒以上もずれたら、数分で流れが見えるようになるのも当たり前です。


2. 同じくバラ星雲あたりを、CanonのZOOM LENS EF 55-200mmを使いPHD2で今度は赤緯のフィードバックをなくし、赤経の1軸のみに返しました。

rosse_canon_1axis

同じく5分露光が5枚で、23時6分14秒から23時31分56秒の25分41秒です。先ほどの赤経方向の動きに、さらに赤緯の方向にずれが加わっているように見えます。これは極軸の精度が悪かったために加わったと考えられます。

移動距離は22.94pixelなので、速度は1.347秒角/分となり、少し速度が増しています。これは赤緯方向のずれが加わったからでしょうか。


3. もう少し時間が経って、バラ星雲がかなり西の低い高度に移動した時の速的です。2軸に返しているだけで上と条件は同じです。5分露光3枚で、0時6分13秒から0時21分36秒の15分23秒です。

rosse_canon_2axis_West

同様に測定すると、58.82pixelとなり、約15分でこの距離なので速度は相当速くなり、5.75秒角/分となりました。やはり方向は赤経方向が主です。CCDに付いているレンズがほぼ水平になり、赤経方向に重力がかかり非常にたわみやすい状況でした。


4.  ここでバラ星雲が沈んでいったので、次はスピカ近辺で試して見ました。レンズは同等で、2軸制御です。1時38分29秒から1時59分45秒の21分16秒です。

spica_canon_2axis

測定すると、距離は27.93pixelとなり、1.976秒角/分となりました。ちょっと速いですが、場所を移動しても再現性はありそうです。


いずれにせよ2軸制御をしているときは基本的にほぼ赤経の方向のみの流れです。ガイドのCCDの像とカメラで撮影している像が、なんらかの理由で赤経方向に相対的にずれることにより、星像が赤経方向に流れているということです。


5. ここでレンズが怪しいと睨み、以前使っていたCマウントの50mm、f=1.4の軽くて短いレンズに交換しました。実はレンズを交換する前に赤系も止めてフィードバックなしで撮影してしまおうとしたのですが、Advanced VXはピリオディックモーションが+/-15秒程度あることが実測で分かっているので、ちょうど今のずれとコンパラなオーダーなので混乱してしまうと思い、先にレンズを代えることにしました。この読みは正解で、星像の流れがぴったりと止まりました

2軸制御で、2時6分50秒から2時32分35秒の25分45秒です。

spica_50mm_2axis


流れる距離が短すぎるので誤差も大きいですが、とりあえず2.14pixelと計測しました。速度はなんと0.125秒角/分となり、星像が流れる量は10分の1位になったということです。

しかも、明るいレンズのせいなのかと思いますが、PHD2のカメラのゲイン設定をデフォルトの95%から60%くらいまで下げと、カメラからのノイズが減って背景がすごく安定し、位置を読み取る時のピークの山の形がほとんど変形せずきれいになるので、位置精度が上がるためでしょう、ピクセルあたりの精度が余裕でRMSで0.2ピクセルを切っています。200mmの時の精度が適当なときは0.35-0.4ピクセル、すごく頑張って0.25ピクセル程度なので平均だとピクセルあたりで倍近くいいです。角度で表すと、2.5秒くらいまでいく(200mmの場合は1秒ちょっとくらい)ので、レンズの焦点距離の4倍の違い程の差は出ずに、実質2倍くらいの差しかありません。星像の流れは比べるまでもなく50mmのほうがいいので、しばらくは50mmでもう少しパラメータを詰めていくことにします。


さて、ここで一つ疑問が湧きました。なぜ星像の流れは赤経方向ばっかり出たのかということです。

1. まずレンズ自身が弱くてたわんだと仮定します。レンズは円筒形なので、円柱の軸に対しては円対称で、たわみは円柱軸の回転方向に依らないはずなので、星像の流れの方向は鏡筒の向きが変われば変わるはずです。なので赤緯方向に出てもおかしくありません。

2. 一方、これまではレンズが大きくて重いから、レンズやCCDを支えている根元の機械的な構造の強度が十分でなくたわんだと仮定します。構造的に赤経方向の固定方法が何かしら弱いとすれば、赤経方向のみに流れが出たというのは納得できます。

実際には赤経方向のみに流れが出ているので、一見2が正しいように思えます。ですがもし2が正しいとすると、50mmのレンズに変えた場合にずれの量は2つのレンズのモーメント比くらいでしか改善されないはずです。200mmのレンズは図体は大きいけれど密度が低いので、重さは50mmのレンズと大して変わりません。長さは200mmの方が倍くらいあるので、モーメント比はたかだか2倍です。ということは50mmのレンズに変えたとしてもずれの量は半分くらいにしかならないはずですが、実測では10分の1と圧倒的にずれは小さくなっています。

しばらく悩んだのですが、色々考えてやっと分かったのは、実は赤道儀に載せて南の空に鏡筒を向けると、いつも鏡筒が長手軸方向を中心に90度傾いた状態になるということです。これは実際にやってみるとすぐにわかるのですが、鏡筒が極軸方向を向いているホームポジションでは、長手軸方向の回転で考えた時に水平になりますが、南方向では地面の下を見ない限り、水平にはなりません。ベテランの方には当たり前のことなのかもしれませんが、少なくとも私は今回初めて気づきました。そのために重力は常に赤経方向に働き、レンズはいつも赤経方向にたわむというわけで、1のレンズ自身がたわんだと考えて矛盾しないのです。


もう一つ気になったのはPHD2のカメラのゲインがどうも自動で変わっているようなのです。これはスピカを画角に入れた時に気付いたのですが、明らかに背景が真っ暗になります。どこにもオートゲインの切り替えの設定場所はないので、というかゲインは任意に変えることができるので固定のはずなのですが、これはバグなのでしょうか?


いろいろ進んだり後退したりして回り道をしていますが、PHD2の理解がだいぶん進んできたのはもうけものです。なんとなくですがSWATでの撮影も見込みが出そうな気がしてきました。

 

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