1月末、今年の目標を考える時期になりました。書き始めたはいいのですが、反省と称してブログ見直してたら何日かにわたってしまって、とうとう2月に食い込んでしまいました。いつもに増して長い記事です。お暇な方はよろしければお付き合いください。
昨年の反省にならい
去年立てた目標を見直してみます。
うーん、2020年はコロナでショップに行けなかったこともあり、機材に関してはあまり進んでいない気がします。
1. モノクロ冷却CMOSカメラはASI294MM Proが出たので購入リストには入っているのですが、最近ASI2600MM Proが発表されたので迷っています。ただ、今もカラーカメラのブロードバンドやQBP、CBPでの撮影も面白くて、もう少し待つかもしれません。
2. TSA-120購入当初の頃はシリウスBを見たり、トラペジウムのE星、F星やさらに暗い星を見たりと、TSA-120ならではの楽しみかたで、かなり充実していました。
でもあとは惑星を少しみたくらいで、特に2020年の後半はそれほど進んでいません。その代わり、撮影に関して(後述)はQBPやCBPなどかなり進展がありました。
3. Pentax 6x7レンズに関してはここでまとめましたが、
はほとんど進展はありません。しかも上記ページで評価した165mm、後に赤星像が肥大することがわかり、結構ショックでした。この記事で紹介した165mmが最後に購入したPentax 6x7レンズになります。
それでもNEOWISE彗星で6x7の105mmを使ったり、広域電視観望でも使ったりと、実用でもそこそこ役立っています。
あと、一昨年の目標で
ポルタIIは入門用に広いシェアを得ています。ステップアップとしてZEROは面白いと思っていたのですが、残念ながらつい先日生産中止が決まってしまい、現行モデルでは在庫限りとなってしまっているようです。後継機が出てくれれば良いのですが、開発に大きく関わった方が引退されてしまっているというので心配です。
機材に関してはTSA-120以降、大きなものは購入していません。というかTSA-120が相当楽しいので、他を購入するモチベーションがかなり下がってしまっています。というわけで、
目標: 屈折はTSA-120でかなり満足しているので、反射のいいものが欲しい気もしています。まあ守れるかどうかわかりませんが、今年の目標としては
これも昨年の目標を見返してみます。
1. TSA-120に関しては結構がんばったと思います。というか、昨年はTSA-120がメインの1年でした。作例だけ見ても、13あります。ちょうどCBPを手に入れた頃で、自宅庭撮りとかでも結構うまく出ました。これだけでもTSA-120を購入した甲斐があったというものです。かなりの稼働率です。
特にアンドロメダ銀河と、プレアデス星団と、オリオン大星雲は、昔撮影したものを再撮影してみたくなったものです。何年か経って、機材も画像処理の技術も随分と進化したことがわかります。
他にも、星景写真や惑星など、2020年に撮ったものは他の機材のものも含めてここにまとめてあります。
2. 飛騨コスモス天文台での撮影に関しては、雪解け時には既にコロナ禍であまり移動もできず、結局ドームでの撮影はできませんでした。飛騨コスモス天文台で観望会が3回あったのみです。
3. 4. のラッキーイメージとナローバンドに関してはほとんど進展がありません。VISACの復活とともに進めることになると思います。
5. 電視観望のお手軽撮影に関しては、SharpCapが一眼レフカメラに対応したことが大きいです。例えば6Dで連続撮影してその画像をLiveStackすることができます。電視観望をする際のいちばん大きな壁が、CMOSカメラの値段かと思います。小さな面積のASI224MCなどはまだ安価ですが、センサー面積の広いASI294MCなどは10万円近くするので、やはり初心者には敷居が高いと思われます。本当は導入の楽なセンサー面積の広いものほど初心者に使ってもらいたいのです。その点、APS-Cなどの中古の安価なカメラが電視観望ように使えるなら、かなり敷居が下がることになるかと思います。
ただ、いまだSharpCapの一眼レフ対応はベータ版で、そのまますぐに初心者におすすめというわけにはいきません。ここら辺は時間が解決してくれるでしょう。
もう一つ、サイトロンのSV305-SHJとSkyWatcherのEVOGUIDE 50EDを使った電視観望入門記事は、かなり好評だったようです。コメントの数も63とこれまでの記事で最も多いです。
6. 大口径鏡筒での太陽撮影は大きな進展がありました。C8とPSTを利用した口径20cmの太陽Hα望遠鏡です。2年越しの計画がひょんなことでうまく行きました。シンチレーションがいい日の解像度は物凄いものがあります。あくまで自己責任ですが、これはやった甲斐がありました。
その後の太陽黒点も、PSTで撮影したとは信じられないくらいの解像度で撮影できています。これは昨年の大成果の一つでしょう。
太陽関連で言うと、日食をまともに撮影したのは昨年が初めてでした。部分日食でしたが、それでも十分楽しめました。
7. 太陽アニメーションも手法を確立できました。かなり複雑な手順になりますが、出来上がりを見るとやる価値はあると思います。
ただ問題は、恐ろしくディスク容量食うんですよね。節約して1コマ2GBで撮ったとしても200コマとか撮ると400GBです。処理も合わせると5-600GBとかいってしまうこともあります。なかなか気楽にはできません。
目標: 全体を振り返ると、TSA-120、お気軽電視観望、太陽まあそこそこ進んでいますね。撮影に関しては、そろそろ明るいのよりはもう少し淡いのとかが楽しくなりそうです。なので今年の目標は
去年は
かくいう私も、Zoomを利用した電視観望中継を何度かやってみました。
あ、そういえばこの電視観望中継ですが、星ナビにも紹介されたのでした。これは大きな宣伝効果ですね。
そういえば、ネオワイズ彗星の中継なんかもしました。撮影のついでだったのですが、ずっと梅雨が続いていて全国的に天気が悪く、この中継で初めてネオワイズ彗星が見えたという方もいたみたいで、反応が大きかったです。マニアだけでなく、一般の方も結構参加してくれました。
ここら辺は広域電視観望の技術を確立できたことで、かなりやりやすくなり、見ている方も見応えが出る感があります。
広域電視観望については、この間の天リフさんのリレーでも紹介しました。昔からカメラをやっていた人にとっては、むしろこちらの方がとっつきやすいかもしれません。これも広まっていくと良いなあと思っています。
この過程で出てきた、「屋根から上る北アメリカ星雲」は電視観望ならではの臨場感で、最も気に入っているものの一つです。
Zoomにおいては電視観望だけでなく、遠くのいろんな人と繋がることができる、ある意味コロナ禍でなければ気づかなかったかもしれない使い方を模索できました。
PST分解の中継なんて、Zoomがここまで広まらなかったら多分考えもつかなかったと思います。
ブログやTwitterで質問が来て、それをZoomで相談にのるというのもありました。こんなのもやはり新しい形なのかと思います。
Zoom飲み会と称して、ノイズをネタに大勢が集まってしまって焦ってしまったこともありました。学会みたいだったと言われてましたね。
星まつりでの電視観望の講演などはコロナで実現しませんでしたが、その分結局別の方法でいろいろやることになったんだなというのが感想でしょうか。特にベランダ感冒のおかげか、ここ1年で一般の方達にも認識され始めるくらいになってきていると思います。今後も技術的なことはもちろん、リモートでの講演とかでも積極的に話して、電視観望の魅力を伝えていけたらと思っています。
目標: 今年の目標ですが、
理論的なことは昨年は意外なほど進んでいない気がします。というより、これまで考えてきたいろいろなことが、ノイズ軽減や画像処理に生きてくるようになってきたと言っても良いのかと思います。
例えばノイズ飲み会のもとになった、天リフ編集長の疑問に答えるとかも、過去の考察があったからなのではと思います。
エタロンの直感的な理解の記事もやっと書くことができました。
CMOSカメラのコンバージョンファクターを求めることも継続していますが、カラーCMOSカメラはいまだに謎で進展がありません。Matlabの紹介くらいで終わってしまっています。
測定、評価に関しては大きく二つのことをしました。
ZEROの振動測定と
大阪あすろとぐらふぃ〜迷人会の井戸端さん製作の微動自由雲台の振動測定です。
ともに、減衰特性に優れた素晴らしい機材です。惜しむらくは、ZEROが生産中止になって在庫限りになってしまったことです。井戸端さんはさらに改良を重ねているらしいので、こちらはさらに楽しみです。
他にもいろいろやってます。
CBPフィルターの検証は、彗星だけでなく、光害フィルターとしても十分に使え、しかもQBPより青系も出やすいとか、赤ハロを防ぐことができ恒星の色が出やすいとかのメリットもあるのではという面白い結果になりました。
トラペジウムを利用したバローレンズの見比べもかなり面白かったです。TeleVueいまだに借りっぱなしです。まだ使っていいよと言ってくれてますが、いい加減に返さなくてはダメですね。
縞ノイズ解析もやりました。画像処理に関連することになりますが、縞ノイズの一つの原因がフラットであることもわかりました。撮影後、暗い中で長時間かけて撮るフラット画像はノイジーということです。それよりも明るいところで短時間で撮った方がいいという結果でした。
大気収差も少し解析してみました。TSA-120で月を見て収差らしきものが見えてびっくりしたのですが、計算すると大気分散で説明ができそうでした。逆に大気分散が見えてしまうTSA-120の性能に驚きました。
シュミットさんからたまたまお借りしたEVOSTAR 72EDの勝手な評価記事は、なんと6本の分量になってしまいました。入門者の最初のED鏡筒としては手軽で扱いやすいものかと思います。タカハシのマルチフラットナーと組み合わせると像がかなり決まりますが、接続に少し苦労しました。
太陽用のBF(ブロッキングフィルター)を3.5nmのHαフィルターで置き換えられないかを、国際光器さんに協力していただいて試したのも面白かったです。結局この試み自体は失敗に終わったのですが、カメラ側に入れてやれば散乱光などを防ぐためか、コントラストが明らかに向上するという効果が見られました。この件シベットさんも追試してくれていました。その後3.5nmフィルターは返してしまいましたが、後のC8にPSTを繋げた時の散乱光の影響の大きさを見るに、やはり一定の効果があるものと今も思っています。
新しいStick PCも試しました。これすごく良くて2台持っています。電源だけが弱点ですかね。
縞ノイズの可視化は結構インパクトがあったみたいです。
固定三脚で天の川を撮影しPixInsightでスタックできるのは、結構実用性が高いと思いました。
小ネタは意外なほどウケがいいです。
あと、TSA-120を整備する過程での鏡筒周りの小ネタとか、ガイド鏡の固定方法とかケースについての考察とかです。
ソフト解説も少ししています。主に撮影ソフトですね。
電視観望の初心者向けにソフトの紹介です。SharpCapは初心者には思ったより敷居が高いみたいで、ASILiveの方がやはり楽みたいです。でもLiveStackは少し重いのと、微調整がやりにくいので、慣れたらSharpCapに移っていくのかと思います。
そういった意味では、ASILive自身が電視観望の普及という意味で、ずいぶん貢献してくれていると思います。
少しだけ開発もしてます。と言っても、以前pythonで書いたものの移植ですが。
こうやってみると、面白いことからくだらないことまで、相変わらず結構な量のことをやっていることがわかります。基本的にはその時に面白いと思ったことだったり、必要だったりしたことです。おそらくただそのまま撮影するよりは、何か新しいことをやってその結果を見たいというのがあるのかと思います。それでもTSA-120が来てからは、性能にはあまり疑いを持つ必要がなくなってしまったので、平日夜中中放っておいて撮影という余裕?みたいなものも出てきました。
目標: おそらくこれからも考察などは状況に応じて行き当たりばったりだったりします。機材の評価を突然頼まれたりもしますし、頼まれもしないのに勝手に評価したりもします。ここら辺は今後も、その時その時の興味の赴くままにやっていけたらいいのかと思います。
昨年はコロナ禍ということもあり、ほとんど外で活動することができませんでした。
星まつりは福島のスターライトフェスティバルのみです。それでも開催できたのが奇跡と思えるくらいでした。
数少ない観望会は飛騨コスモス天文台での観望会が3回。
富山市科学博物館での観望会はしばらく中止が続き、再開してからも完全予約制で人数を制限して現在も進められています。お手伝いはコロナ前が1回、落ち着いてからが2回参加できたのみです。
一方、こちらは富山のある企業が観望会を計画して実現するために機材を導入するという、少し面白い経験でした。
現在はさらに進化して、VMC260Lを発注したというから大したものです。
写真展は昨年の中では貴重な行事の一つでした。一つはコロナ第一波直後くらいでしょうか、黒部市の科学館です。
もう一つは、年末から年始にかけての富山市科学博物館での写真展です。
天文ショップには数えるほどしかいけていません。コロナ前にスターベースでTSA-120を決める時に行けたのと
コロナが落ち着いた時と、母親が骨折した時に、実家に帰って寄ったSCORPIOショップ2回のみです。
それでも新しい友人もたくさんできました。SNSなどのやりとりが主ですが、実際にあんとんシュガーさんが2度自宅に来てくれました。
科学博物館の観望会で知り合った宙ガールのMちゃんも自宅に来てくれました。相変わらず星三昧のようなので、これからどういう道に行くのかとても楽しみです。
これらの活動記録、並べてるので多少外でもいろいろやっているように見えますが、一昨年と比べると遥かに少なくなっています。一時はありとあらゆる行事が中止になってしまったので、コロナの影響はやはり大きかったです。ワクチンも出来てきて落ち着いていく方向に行くと思うのですが、今年はいろいろな行事もある程度は再開されることを期待したいです。
上の中から、昨年1年で大きく印象に残っていることを3つ挙げるとしたら
画像処理は自分自身まだ進化している途中だと思いますが、自宅撮影とかでも長時間露光と相まってなのか、やっと少し満足するようになりつつあります。以前ももちろん、その当時はできる限りのことをしてきたつもりですが、今見直して再処理したくなるのがいくつかあります。当然、今いいと思っていても将来見るとまだまだだなあとなると思うのですが、昨年1年間に続き今年もこの路線を続けて、少なくとも自分で満足できるような、そしてできれば他の人が見ても納得してもらえるような方向で進められたらと思います。
ちなみに、1年で何本ブログの記事を書いたか数えてみると、2020年1月1日から12月31日まででなんと141本でした。3日に一本以上書いている計算になります。でもまだネタは全くつきず。書きたいことだらけです。
あ、去年の反省の最後に書いた「ブログの記事を短くする」は全く達成できませんでした(笑)。
こうやってみるとやはりこの1年間、たとえコロナ禍であってもいろいろやってきたんだなあと、改めて実感します。この趣味のおかげでしょうか、外に出れない厳しい環境下でもほとんどストレスなく、楽しいことに没頭できた気がしています。
昨年の反省にならい
- 機材、撮影、画像処理、考察評価など、活動、その他
機材関連
去年立てた目標を見直してみます。
- モノクロ冷却CMOSカメラを手に入れる。
- TSA-120を利用した眼視体制の強化。
- PENTAX 6x7レンズをできるだけ試して星景、星野の向き不向きを判別し、焦点距離の抜けを補完する。
1. モノクロ冷却CMOSカメラはASI294MM Proが出たので購入リストには入っているのですが、最近ASI2600MM Proが発表されたので迷っています。ただ、今もカラーカメラのブロードバンドやQBP、CBPでの撮影も面白くて、もう少し待つかもしれません。
2. TSA-120購入当初の頃はシリウスBを見たり、トラペジウムのE星、F星やさらに暗い星を見たりと、TSA-120ならではの楽しみかたで、かなり充実していました。
でもあとは惑星を少しみたくらいで、特に2020年の後半はそれほど進んでいません。その代わり、撮影に関して(後述)はQBPやCBPなどかなり進展がありました。
3. Pentax 6x7レンズに関してはここでまとめましたが、
はほとんど進展はありません。しかも上記ページで評価した165mm、後に赤星像が肥大することがわかり、結構ショックでした。この記事で紹介した165mmが最後に購入したPentax 6x7レンズになります。
それでもNEOWISE彗星で6x7の105mmを使ったり、広域電視観望でも使ったりと、実用でもそこそこ役立っています。
あと、一昨年の目標で
- Vixen Portaの経緯台の評価と安定化
ポルタIIは入門用に広いシェアを得ています。ステップアップとしてZEROは面白いと思っていたのですが、残念ながらつい先日生産中止が決まってしまい、現行モデルでは在庫限りとなってしまっているようです。後継機が出てくれれば良いのですが、開発に大きく関わった方が引退されてしまっているというので心配です。
機材に関してはTSA-120以降、大きなものは購入していません。というかTSA-120が相当楽しいので、他を購入するモチベーションがかなり下がってしまっています。というわけで、
目標: 屈折はTSA-120でかなり満足しているので、反射のいいものが欲しい気もしています。まあ守れるかどうかわかりませんが、今年の目標としては
- モノクロ冷却CMOSカメラを手に入れる。
- 反射の口径の大きい性能の良い鏡筒を手に入れる。
撮影
これも昨年の目標を見返してみます。
- TSA-120での撮影確立
- 飛騨コスモス天文台での満足のいく撮影
- ラッキーイメージングでの高分解能の追求
- ナローバンド撮影
- 電視観望技術を利用した超お手軽撮影で、どこまで迫れるか
- 太陽黒点の高解像度撮影
- 太陽アニメーションを作る手法を編み出す
1. TSA-120に関しては結構がんばったと思います。というか、昨年はTSA-120がメインの1年でした。作例だけ見ても、13あります。ちょうどCBPを手に入れた頃で、自宅庭撮りとかでも結構うまく出ました。これだけでもTSA-120を購入した甲斐があったというものです。かなりの稼働率です。
特にアンドロメダ銀河と、プレアデス星団と、オリオン大星雲は、昔撮影したものを再撮影してみたくなったものです。何年か経って、機材も画像処理の技術も随分と進化したことがわかります。
他にも、星景写真や惑星など、2020年に撮ったものは他の機材のものも含めてここにまとめてあります。
2. 飛騨コスモス天文台での撮影に関しては、雪解け時には既にコロナ禍であまり移動もできず、結局ドームでの撮影はできませんでした。飛騨コスモス天文台で観望会が3回あったのみです。
3. 4. のラッキーイメージとナローバンドに関してはほとんど進展がありません。VISACの復活とともに進めることになると思います。
5. 電視観望のお手軽撮影に関しては、SharpCapが一眼レフカメラに対応したことが大きいです。例えば6Dで連続撮影してその画像をLiveStackすることができます。電視観望をする際のいちばん大きな壁が、CMOSカメラの値段かと思います。小さな面積のASI224MCなどはまだ安価ですが、センサー面積の広いASI294MCなどは10万円近くするので、やはり初心者には敷居が高いと思われます。本当は導入の楽なセンサー面積の広いものほど初心者に使ってもらいたいのです。その点、APS-Cなどの中古の安価なカメラが電視観望ように使えるなら、かなり敷居が下がることになるかと思います。
ただ、いまだSharpCapの一眼レフ対応はベータ版で、そのまますぐに初心者におすすめというわけにはいきません。ここら辺は時間が解決してくれるでしょう。
もう一つ、サイトロンのSV305-SHJとSkyWatcherのEVOGUIDE 50EDを使った電視観望入門記事は、かなり好評だったようです。コメントの数も63とこれまでの記事で最も多いです。
6. 大口径鏡筒での太陽撮影は大きな進展がありました。C8とPSTを利用した口径20cmの太陽Hα望遠鏡です。2年越しの計画がひょんなことでうまく行きました。シンチレーションがいい日の解像度は物凄いものがあります。あくまで自己責任ですが、これはやった甲斐がありました。
その後の太陽黒点も、PSTで撮影したとは信じられないくらいの解像度で撮影できています。これは昨年の大成果の一つでしょう。
太陽関連で言うと、日食をまともに撮影したのは昨年が初めてでした。部分日食でしたが、それでも十分楽しめました。
7. 太陽アニメーションも手法を確立できました。かなり複雑な手順になりますが、出来上がりを見るとやる価値はあると思います。
ただ問題は、恐ろしくディスク容量食うんですよね。節約して1コマ2GBで撮ったとしても200コマとか撮ると400GBです。処理も合わせると5-600GBとかいってしまうこともあります。なかなか気楽にはできません。
目標: 全体を振り返ると、TSA-120、お気軽電視観望、太陽まあそこそこ進んでいますね。撮影に関しては、そろそろ明るいのよりはもう少し淡いのとかが楽しくなりそうです。なので今年の目標は
- モクモク暗黒体を撮影する。
- 銀河も積極的に手を出す。
画像処理
昨年の目標は
- 恒星処理
だけでした。これはまだ継続中ですが、着実に進歩していると思います。StarNetの扱いもだいぶノウハウが溜まってきました。またPixInsightでの恒星の扱いもだいぶマシになったと思います。というか、去年1年で画像処理全般の腕がかなり上がったのではと思っています。StarNetとDeNoise AIの力が大きいかと思いますが、画像処理全般について私だけでなくPixInsightの使いこなしなども含めて、特に新しい若い方を中心に進んでいる気がします。蒼月城さんのビデオ解説はもちろんですが、最近はNiwaさんのブログでの解説が非常に有用です。私も置いてかれないように丁寧な画像処理を今後も目指したいと思います。
あと、今もそうですが少し派手目な色調に傾倒しています。じっくりみると飽きてしまうのですが、最初のインパクトや画面を小さくした時でもきちんと認識されるのがいいところかと思っています。まだしばらくギリギリのところを攻めて行こうと思っています。そのうち飽きたら落ち着いた作風にするかもしれません。
あ、そういえばモニターのキャリブレーションも一時期凝ってました。印刷したものとモニター上の画面がこんなに合うとは、ちょっとびっくりでした。
カラーチャートまで作ってしまいました。
カラーマネージメントはそのうち通る道だとは思っていたので、いい経験でした。印刷に関してもある程度の知見を得ることができました。でもいまだに雑誌に投稿できてないチキンです。
目標: 画像処理に関しては、
あと、今もそうですが少し派手目な色調に傾倒しています。じっくりみると飽きてしまうのですが、最初のインパクトや画面を小さくした時でもきちんと認識されるのがいいところかと思っています。まだしばらくギリギリのところを攻めて行こうと思っています。そのうち飽きたら落ち着いた作風にするかもしれません。
あ、そういえばモニターのキャリブレーションも一時期凝ってました。印刷したものとモニター上の画面がこんなに合うとは、ちょっとびっくりでした。
カラーチャートまで作ってしまいました。
カラーマネージメントはそのうち通る道だとは思っていたので、いい経験でした。印刷に関してもある程度の知見を得ることができました。でもいまだに雑誌に投稿できてないチキンです。
目標: 画像処理に関しては、
- ハッと思われる画像処理を目指す。
- 隙のない画像処理を目指す。
電視観望? 中継と言ってしまっても良いかも
去年は
- 電視観望がさらに一般的な観測手段になっていくように努力する。
かくいう私も、Zoomを利用した電視観望中継を何度かやってみました。
あ、そういえばこの電視観望中継ですが、星ナビにも紹介されたのでした。これは大きな宣伝効果ですね。
そういえば、ネオワイズ彗星の中継なんかもしました。撮影のついでだったのですが、ずっと梅雨が続いていて全国的に天気が悪く、この中継で初めてネオワイズ彗星が見えたという方もいたみたいで、反応が大きかったです。マニアだけでなく、一般の方も結構参加してくれました。
ここら辺は広域電視観望の技術を確立できたことで、かなりやりやすくなり、見ている方も見応えが出る感があります。
広域電視観望については、この間の天リフさんのリレーでも紹介しました。昔からカメラをやっていた人にとっては、むしろこちらの方がとっつきやすいかもしれません。これも広まっていくと良いなあと思っています。
この過程で出てきた、「屋根から上る北アメリカ星雲」は電視観望ならではの臨場感で、最も気に入っているものの一つです。
Zoomにおいては電視観望だけでなく、遠くのいろんな人と繋がることができる、ある意味コロナ禍でなければ気づかなかったかもしれない使い方を模索できました。
PST分解の中継なんて、Zoomがここまで広まらなかったら多分考えもつかなかったと思います。
ブログやTwitterで質問が来て、それをZoomで相談にのるというのもありました。こんなのもやはり新しい形なのかと思います。
Zoom飲み会と称して、ノイズをネタに大勢が集まってしまって焦ってしまったこともありました。学会みたいだったと言われてましたね。
星まつりでの電視観望の講演などはコロナで実現しませんでしたが、その分結局別の方法でいろいろやることになったんだなというのが感想でしょうか。特にベランダ感冒のおかげか、ここ1年で一般の方達にも認識され始めるくらいになってきていると思います。今後も技術的なことはもちろん、リモートでの講演とかでも積極的に話して、電視観望の魅力を伝えていけたらと思っています。
目標: 今年の目標ですが、
- コロナ禍のうちはリモートでの企画を続ける
- 晴れてコロナ禍が終わったら、星まつりや観望会で電視観望の魅力を伝えていく
考察、実験、評価など
理論的なことは昨年は意外なほど進んでいない気がします。というより、これまで考えてきたいろいろなことが、ノイズ軽減や画像処理に生きてくるようになってきたと言っても良いのかと思います。
例えばノイズ飲み会のもとになった、天リフ編集長の疑問に答えるとかも、過去の考察があったからなのではと思います。
エタロンの直感的な理解の記事もやっと書くことができました。
CMOSカメラのコンバージョンファクターを求めることも継続していますが、カラーCMOSカメラはいまだに謎で進展がありません。Matlabの紹介くらいで終わってしまっています。
測定、評価に関しては大きく二つのことをしました。
ZEROの振動測定と
大阪あすろとぐらふぃ〜迷人会の井戸端さん製作の微動自由雲台の振動測定です。
ともに、減衰特性に優れた素晴らしい機材です。惜しむらくは、ZEROが生産中止になって在庫限りになってしまったことです。井戸端さんはさらに改良を重ねているらしいので、こちらはさらに楽しみです。
他にもいろいろやってます。
CBPフィルターの検証は、彗星だけでなく、光害フィルターとしても十分に使え、しかもQBPより青系も出やすいとか、赤ハロを防ぐことができ恒星の色が出やすいとかのメリットもあるのではという面白い結果になりました。
トラペジウムを利用したバローレンズの見比べもかなり面白かったです。TeleVueいまだに借りっぱなしです。まだ使っていいよと言ってくれてますが、いい加減に返さなくてはダメですね。
縞ノイズ解析もやりました。画像処理に関連することになりますが、縞ノイズの一つの原因がフラットであることもわかりました。撮影後、暗い中で長時間かけて撮るフラット画像はノイジーということです。それよりも明るいところで短時間で撮った方がいいという結果でした。
大気収差も少し解析してみました。TSA-120で月を見て収差らしきものが見えてびっくりしたのですが、計算すると大気分散で説明ができそうでした。逆に大気分散が見えてしまうTSA-120の性能に驚きました。
シュミットさんからたまたまお借りしたEVOSTAR 72EDの勝手な評価記事は、なんと6本の分量になってしまいました。入門者の最初のED鏡筒としては手軽で扱いやすいものかと思います。タカハシのマルチフラットナーと組み合わせると像がかなり決まりますが、接続に少し苦労しました。
太陽用のBF(ブロッキングフィルター)を3.5nmのHαフィルターで置き換えられないかを、国際光器さんに協力していただいて試したのも面白かったです。結局この試み自体は失敗に終わったのですが、カメラ側に入れてやれば散乱光などを防ぐためか、コントラストが明らかに向上するという効果が見られました。この件シベットさんも追試してくれていました。その後3.5nmフィルターは返してしまいましたが、後のC8にPSTを繋げた時の散乱光の影響の大きさを見るに、やはり一定の効果があるものと今も思っています。
新しいStick PCも試しました。これすごく良くて2台持っています。電源だけが弱点ですかね。
縞ノイズの可視化は結構インパクトがあったみたいです。
固定三脚で天の川を撮影しPixInsightでスタックできるのは、結構実用性が高いと思いました。
小ネタは意外なほどウケがいいです。
あと、TSA-120を整備する過程での鏡筒周りの小ネタとか、ガイド鏡の固定方法とかケースについての考察とかです。
ソフト解説も少ししています。主に撮影ソフトですね。
電視観望の初心者向けにソフトの紹介です。SharpCapは初心者には思ったより敷居が高いみたいで、ASILiveの方がやはり楽みたいです。でもLiveStackは少し重いのと、微調整がやりにくいので、慣れたらSharpCapに移っていくのかと思います。
そういった意味では、ASILive自身が電視観望の普及という意味で、ずいぶん貢献してくれていると思います。
少しだけ開発もしてます。と言っても、以前pythonで書いたものの移植ですが。
こうやってみると、面白いことからくだらないことまで、相変わらず結構な量のことをやっていることがわかります。基本的にはその時に面白いと思ったことだったり、必要だったりしたことです。おそらくただそのまま撮影するよりは、何か新しいことをやってその結果を見たいというのがあるのかと思います。それでもTSA-120が来てからは、性能にはあまり疑いを持つ必要がなくなってしまったので、平日夜中中放っておいて撮影という余裕?みたいなものも出てきました。
目標: おそらくこれからも考察などは状況に応じて行き当たりばったりだったりします。機材の評価を突然頼まれたりもしますし、頼まれもしないのに勝手に評価したりもします。ここら辺は今後も、その時その時の興味の赴くままにやっていけたらいいのかと思います。
課外活動
昨年はコロナ禍ということもあり、ほとんど外で活動することができませんでした。
星まつりは福島のスターライトフェスティバルのみです。それでも開催できたのが奇跡と思えるくらいでした。
数少ない観望会は飛騨コスモス天文台での観望会が3回。
富山市科学博物館での観望会はしばらく中止が続き、再開してからも完全予約制で人数を制限して現在も進められています。お手伝いはコロナ前が1回、落ち着いてからが2回参加できたのみです。
一方、こちらは富山のある企業が観望会を計画して実現するために機材を導入するという、少し面白い経験でした。
現在はさらに進化して、VMC260Lを発注したというから大したものです。
写真展は昨年の中では貴重な行事の一つでした。一つはコロナ第一波直後くらいでしょうか、黒部市の科学館です。
もう一つは、年末から年始にかけての富山市科学博物館での写真展です。
天文ショップには数えるほどしかいけていません。コロナ前にスターベースでTSA-120を決める時に行けたのと
コロナが落ち着いた時と、母親が骨折した時に、実家に帰って寄ったSCORPIOショップ2回のみです。
それでも新しい友人もたくさんできました。SNSなどのやりとりが主ですが、実際にあんとんシュガーさんが2度自宅に来てくれました。
科学博物館の観望会で知り合った宙ガールのMちゃんも自宅に来てくれました。相変わらず星三昧のようなので、これからどういう道に行くのかとても楽しみです。
これらの活動記録、並べてるので多少外でもいろいろやっているように見えますが、一昨年と比べると遥かに少なくなっています。一時はありとあらゆる行事が中止になってしまったので、コロナの影響はやはり大きかったです。ワクチンも出来てきて落ち着いていく方向に行くと思うのですが、今年はいろいろな行事もある程度は再開されることを期待したいです。
最後に
上の中から、昨年1年で大きく印象に残っていることを3つ挙げるとしたら
- TSA-120購入から、テスト、撮影まで。
- 口径20cmでの太陽Hα撮影でのものすごい分解能。
- 画像処理の進歩
画像処理は自分自身まだ進化している途中だと思いますが、自宅撮影とかでも長時間露光と相まってなのか、やっと少し満足するようになりつつあります。以前ももちろん、その当時はできる限りのことをしてきたつもりですが、今見直して再処理したくなるのがいくつかあります。当然、今いいと思っていても将来見るとまだまだだなあとなると思うのですが、昨年1年間に続き今年もこの路線を続けて、少なくとも自分で満足できるような、そしてできれば他の人が見ても納得してもらえるような方向で進められたらと思います。
ちなみに、1年で何本ブログの記事を書いたか数えてみると、2020年1月1日から12月31日まででなんと141本でした。3日に一本以上書いている計算になります。でもまだネタは全くつきず。書きたいことだらけです。
あ、去年の反省の最後に書いた「ブログの記事を短くする」は全く達成できませんでした(笑)。
こうやってみるとやはりこの1年間、たとえコロナ禍であってもいろいろやってきたんだなあと、改めて実感します。この趣味のおかげでしょうか、外に出れない厳しい環境下でもほとんどストレスなく、楽しいことに没頭できた気がしています。