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天体観測始めました。

カテゴリ:鏡筒 > EXT-60AT

インフルエンザにやられてしまい、ずっと寝込んでいましたが、昨日あたりからやっと回復して来ました。昨日今日で、少し試したことを書いておきます。ちょっとした工夫で結構な進歩です。

一つはStick PCのワイヤレス接続の安定化で、アクセスポイントモードにならないのを解決したことで、こちらの記事の中に追記記事として書いておきました。

もう一つは、Stick PCにインストールしたStellariumからAdvanced VXで自動導入できるようにしたことです。これは以前やったのと全く同じことなので簡単でした。ただし、(もともと、CCDから出ているガイドケーブルを利用して自動導入もできないかという試みでしたが)シリアルケーブルを省くことはできないため、ガイド撮影状態から実質ケーブルは一本追加です。でもこれでリモートで自動導入ができるようになったようなものなので、よしとしましょう。


今日の本題です。以前ETX-60ATの記事を書いてから、だいぶん時間が経ってしまいました。 なぜこんなに間が空いてしまったかというと、手持ちの0.5倍のレデューサーが、ETX-60ATの可動範囲ではどうしてもピントが出ず、このままだと画角が狭すぎていまいち電視に向かないため、やる気が出なかったからです。ETX-60ATはもともと眼視用のアイピースで焦点が合えばいいように作られているので、当然のことながらレデューサーの使用なんかは全く想定に入っていないため、調整範囲がそれほど広くないことから起こる問題です。

今回のセットアップでピントを出すためには
  • 調整つまみがもう少し回って、鏡筒の(多分2枚玉なので)2枚のレンズ間の距離がもう少し縮まる
  • CCDをもう少しだけ望遠鏡の中に入れ込む
  • CCDの前に取り付けられるレデューサーをもっとセンサー側に近づける
などがあります。

なんとかうまい方法はないかと、手持ちのアダプターを色々組み合わせたりしたのですが、いずれも解無しで、最後はどうしても取り外せないアイピース取り付け口を切ってやろうかと、半ば諦め掛けていました。その過程でレデューサー自身を分解してみたのですが、中身は結構な厚みの2枚がさねの平凸レンズの形をしているということがわかりました。通常に取り付けると平側がCCD側、凸側が鏡筒側に向きます。これを見ていて、はっと思いつきました。凸側をCCD側に向けてやれば多少なりともCCDとレンズの距離は縮まるのではと。でも変わる距離としてはミリメートルのオーダー、これで効果はあるのか?とも思いましたが、結果は思った以上で、余裕で鏡筒の調整つまみの範囲内に無限遠でのピントが入ってきました。


ついでに気を良くして、ラジコン用のHe-NeバッテリーがEXT-60ATに使えないかも試して見たのですが、これも上々です。そもそも充電式の乾電池6本だと1.2V x 6 = 7.2Vくらいしか電圧が出ません。アルカリ電池ならまだマシなのですが、このために大量のアルカリ電池を用意するのもいまいちです。9Vの角型アルカリ電池も試したのですが、こちらは電流不足で、モーターの回転が始まると止まって、復帰してを繰り返します。ラジコン用He-Ne電池は公称7.2Vなのですが、実測は8.5Vくらいは余裕であります。今回試していないですが、Li-Poなら公称7.4Vで、実測はさらに高いです。何れにせよ大電流が前提の電池なので、こういった負荷が大きいモーター駆動には向いているようです。

とりあえず、やっとこれでETX-AT60の電視の準備が完了しました。あとは晴れるのを待って実戦投入です。またレポートします。


 

ETX-60AT (その1): 落札とその理由からの続きです。

年末の2016/12/28、久しぶりに空が晴れた際、以前落札したMEADEのETX-60ATを試すチャンスがやっと訪れました。一応到着時に電池だけは入れてみたので、電源が入ることは確認してあります。夕方星がではじめたので、マンガ形式のマニュアルを見ながら試したのですが、モーターが動かないとかいうエラーがでてしまいます。どうやら2軸あるモーターのピッチ方向がうまく動かないようです。改めて電源を入れ直し方向ボタンを押して動かして見ると、確かにヨー方向はスムーズに動きますが、ピッチ方向は全然動きません。それでも電気的には何か反応はしているようで、少しピッチ方向に押してやるとたまに動く時があります。おそらく駆動系が機会的に何処かおかしいと思い、その日は諦めて箱にしまい直しました。

年が明けて2017/1/4、改めて電源を入れ直して見て、やはりピッチが全然動かないことを確認して、修理のために分解することにしました。分解は結構手こずります。分解方法ですが、英語のページは見つかるのですが、日本語のページは見つけることができなかったので、ここに書いておきます。これはETX-60シリーズだけでなく、ETX-70シリーズでも同じかと思われます。ただし、ETX-90以上は全く違う構造のようなので、この方法では分解できません。

1. まず、底面の真ん中の直径4cmくらいのプラスチックの蓋をマイナスドライバーなどを突っ込んで明けます。その中に入っているプレートのようなネジを緩めるのですが、これが固くて、適当な工具がないので、とてもやっかいです。私はラジオペンチを写真のようにして

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外しました。どうしても外せない場合は、水道管などに使う

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のような工具がいいかもしれません。いずれいせよ、これさえ外してしまえば後は楽です。

2. 底蓋を外します。

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3. 鏡筒の横についている、目盛りがあるところの大きなつまみを両側とも手で緩めて外します。

4. ピッチのモーターが入っている側の上に向か腕の方のネジは外す必要はありません。モーターが入っていない、同じ太さの太いネジが3本ある方を、3本とも外します。

5. 腕を外すと、鏡筒も合わせて外れます。

6. モーターがついている方の腕のネジを内側から5本外して蓋をあけると、中の回路や駆動系にアクセスできます。

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さて、今回の問題点はピッチのモーター回転時に、シャフトを動かす最後のギヤと、途中のギヤが当たってしまい、その途中のギヤが歪んで回転しにくくなることでした。写真を見ると

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二つ並んだギヤが平行になっていないのがわかると思います。写真で見ると上のギヤが斜めになっているように見えますが、実際には下のギヤが斜めになっています。シャフトを動かす最後のギヤが当たってしまっているためです。今回はこの最後のギヤの当たっている部分を削ってしまうことにしました。

そもそも、最初からこうなっていたはずはないので、何らかの経年劣化でギヤが移動したとか思ったのですが、どうやってもきちんとした位置に移動するような様子はなく、全部のギヤがきっちり収まっているので、今回は諦めて削る方向で解決することにしました。

削り終わった写真がつぎです。もう二つのギヤが平行でなくなるようなことはありません。

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きちんとモーターが回ることを確認して、再度組み立てです。組み立ては逆の手順ですが、いくつか注意点があります。

1. 底蓋をはめ込むときに、上側のギヤの部分が内側に移動してしまっていると、底蓋が最後まではまりません。手で外側に押すと簡単に移動するので、金具に当たってこれ以上外に行かないところまで押せば、底蓋は簡単にはまるはずです。

2. 底蓋の外しにくかったネジを締めるときに、きちんと締めないとヨー方向のスリップが多くなり、少し力をかけただけでヨーがズレるようになります。ある程度きちんと締めてスリップしないようにします。台座中心部の上側にレバーがついているのですが、これがヨーのスリップを微調整するためのもののようです。これが結構きつくなるくらいまでネジを締めるといいと思います。
 

組み立ててから試運転して見ましたが、きちんと導入成功のところまで行きました。今度夜に星が見えたときに試してみようと思います。それにしても追尾のモーター音はかなりうるさいですね。音はギアの噛み合わせで決まるのですが、そのうちにもう少し駆動系を調整してみるかもしれません。

少なくとも自動追尾するということはわかりましたが、所詮経緯台なので、視野の回転だけはどうしようもありません。それでもSharpCapは回転も含めて追尾してくれるので、電視観望に限ってしまえば自動導入も可能なため、SharpCapと合わせれば必要かつ十分な機種かと思います。

あと、鏡筒についている対物レンズの内側にあからさまにカビのようなシミが少し確認できたので、レンズを外して、洗浄しました。洗浄液は最近はFUJIFILMの「レンズクリーニングリキッド」という30ml入りのものを使っています。ペーパーは同じくFUJIFILMの「レンズクリーニングペーパー」50枚入りを使っています。見ている限りカビのようなものはうまく取れたようで、電視観望なら十分なくらいに綺麗になりました。


その後、夕方の暗くなる前にASI224MCをアイピース取り付け口に実際に付けて像を見てみたのですが、一つ致命的なことがわかりました。普通にCCDだけつけると無限遠にピントが合うのですが、0.5倍のレデューサーをつけるとどうしてもピントが合いません。これだと焦点距離が350mmとなるので、少し長いです。ただ、不思議なことにレデューサーをつけたほうが対物レンズまでの距離が短くなる方向でピントが合うセンスなので、逆の気がしています。今回試していないのですが、もしかしたらもっと長くする方向に解があるのかもしれません。さらに検証してみます。

2017/2/12 追記: ちょっとした改造でうまい方法を見つけました。

 

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MEADEのETX-60ATをオークションで安く落とすことができました。目的は電視観望専用機に仕上げることです。FS-60の経験で口径60mmでも電視で星雲が十分に見えることと、電視にそれほど星像の良さは必要ないので、電視専用にできないかなと思ったからです。

もともとの一番の動機は、以前牛岳でFS-60でカメラで撮影しているときに、たまたま星を見に来ている一般の人が興味を持ってくれたことがあって、そんな時にも星雲をその場で見せてあげたかったという経験があったからです。その時は撮影の真っ最中で、カメラで撮った未加工の写真を見せるのが精一杯でした。

またこれまでの経験から、電視は自動導入と相性がいいので、自動導入ができ、かつできるだけ安く手に入るものを探していました。MEADEのこのシリーズは2000年頃のずいぶん古い機種(最近アメリカでは20周年として新たに復活して販売されているようです)で、特にこの60ATは一番小さい口径ですがとても軽く、天体のデータも1700程度とあまり多くはないですが、逆に気軽な電視観望用にはぴったりです。専用の三脚を使うなどした設置の仕方次第では赤道儀のようにも使えるのですが、基本的には(簡単に使おうとすると)経緯台方式なので、電視の間の10秒程度の露光の間、さらには画面をスタックし続けている間、きちんと星が追えるか心配です。でもSharpCapのAlignment機能が秀逸なので、なんとかなるのではないかという淡い期待を抱いています。

晴れた時に一度試してみて、またレポートします。

その2: 「駆動系の不具合の修理」に続きます。 

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