ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: アイデア、理論など

前回のEVOSTAR 72EDの記事で、フルサイズ領域での星像を、鏡筒そのものと、SkyWatcher純正の専用レデューサー、実際の星像を撮影して評価してみました。



さて今回の記事はフラットナーを試しています。

「え?フラットナー?EVOSTAR用のフラットナー
なんてありましたっけ?」

と言う方、正しいです。ありません。

今回の記事はEVOSTAR 72EDにタカハシのマルチフラットナーが使えるかどうか試してみたというテスト記事です。SkyWatcherとタカハシの両方から怒られてしまいそうな(笑)記事です。


タカハシマルチフラットナー1.04x

タカハシの「マルチフラットナー1.04x



は別売りの「マルチCAリング」と呼ばれる長さの異なるアダプターリングを取り付けることによって、タカハシ製のFC50からFS152まで対応できるかなり汎用性のあるフラットナーです。私もFS-60CB用とFC-76用のリングを持っていて、フラットナー本体は使い回しが効くので非常にコストパフォーマンスのいいフラットナーになります。

性能も申し分なく、例えば以前比較した記事の中の新旧のフラットナーのところを比較していただければわかりますが、以前の専用品よりもはるかに綺麗な点像を実現します。




今回これを汎用的なフラットナーとして、専用フラットナーのないEVOSTAR 72EDに適用してみたらどうなるかと考えてみました。前回レデューサーでは星像が改善することが分かったのですが、レデューサーなので当然焦点距離が短くなります。鏡筒そのままの焦点距離で撮影したいこともあるはずです。


EVOSTAR 72EDへの接続方法 (その1)

さて、タカハシ製マルチフラットナーのEVOSTAR 72EDへの実際の取り付けですが、少し面倒です。

マルチフラットナーの取り付けネジ径がM56x0.75というものらしいのですが、そのままだとEVOSTAR 72EDに取り付けることができません。今回はレデューサーに付属されていた、アダプターリング(下の写真)を使用することで問題を簡易的(ある意味無理矢理)に回避しました。

まずは鏡筒本体に付属の2インチスリーブを回転して取り外します。そこにレデューサー付属のアダプターリングを取り付けます。この状態でフラットナー本体を取り付けことができるのですが、実は微妙にネジ径は同じなのですが、ピッチが違うようで、途中で止まってしまい最後までねじ込むことができません。この時点ですでに怪しい取り組みになるので、気になる方は真似しないでください。でもこんなことを気にしてると何もできません。今回の記事を最後まで読むとわかりますが、もっと怪しくなります。とにかく、当然ですがメーカーのサポート外のテストになりますので、試してみたい方は決して販売店の方に問い合わせるようなことはしないでください。あくまで自己責任でお願いします。

さてこのレデューサーに付属のリングですが、結局SkyWatcherの独自規格のようで、いろんなところの情報とノギスでの実測でM54オスとM56オス(普通は雄ネジ側の径で測定するのでこちらのネジ径が正しい値となります。ただし誤差は含みます。)という微妙なネジ径の違いを変換するリングということになります。ただし、M56のピッチを測ってみると1mmのようで、タカハシ標準の0.75mmとは違うので、同じ径のようですが直接の互換性は無いようです。便利なので別売りしてくれれば良いのですが、さすがに難しいでしょう(おそらく後述のSkyWatcher製のカメラ回転リングで代用できそうです)。

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ED72レデューサーに付属の、アダプターリング

さらに写野の回転を考える場合は、回転装置などを取り付けた方が良いかと思います。レデューサー付属のアダプターリングを使うことで、タカハシの「カメラ回転装置(SKY90用) [KA21200]」を(フラットナー接続時と同様に)無理矢理にですが取り付けることはできます。取り付け場所はアダプターリングとマルチフラットナーの間になります。実際やってみるとネジ径が違うはずなのにカメラ回転装置の場合は結構すんなり最後の方までネジ込めます。その後はマルチフラットーをそのまま取り付けることができるので、この方が素直かもしれません。

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左から順に、鏡筒本体、レデューサー付属のアダプターリング、
タカハシ製カメラ回転装置、マルチフラットナー、タカハシ純正カメラアダプター


EVOSTAR 72EDへの接続方法 (その2)

もう一つのマルチフラットナーのEVOSTAR 72EDへの接続方法です。こちらは実際には試していなくて、推測になりますのでご了承ください。レデューサーを持っていなくて、変換アダプターリングがない場合の話です。EVOSTAR 72ED専用のカメラ回転リングというのがあります。



このページを見るとレデューサー付属のアダプターリングの代わりに使っているので、これがそのまま使えるかもしれません。二千円と安価ですし、カメラ回転装置も兼ねるので便利かと思います。上の(その1)で紹介したタカハシ製のカメラ回転装置を使わなくてよくなるので、かなり節約できます。

それでもタカハシのマルチフラットナーを取り付ける際のネジ径は(その1)で示した通り、ピッチが1mm
と0.75mmで微妙に違うのできちんとははまらないはずです。あくまで、自己責任で納得しながら試すことになります。繰り返しになりますが、私は自身は今回この回転リングを試していないので、アイデアのみのお話です。試す場合は人柱になることを覚悟して、自己責任でお願いいたします。

さて、ここでふと気づいたのですが、私がお借りしているのはEVOSTAR 72ED(だと思います)で、現在シュミットさんのページに載っているのがEVOSTAR 72ED IIになります。ホームページには「※初期型との外観の違いは鏡筒長がわずかに短くなっています。レンズ性能等は従来のモデルと同等です。またロゴ等も変更はありません。」と書いてあるので、外観以外にもしかしたら違いがあるのかもしれませんし、そもそも外観も新旧見比べないと分からないです。ので、イマイチ変更点が不明で、もしかしたら自分のところにあるのもすでに新型のIIなのかもしれません。(追記:  シュミットさんに電話で聞いてみました。現在手持ちのものはIIで確定。初期型のものとIIとの違いは本当に鏡筒長以外、ロゴなどからはほとんど分からないそうです。)

問題はカメラ回転リングがホームページの説明によると「※初期型EVOSTAR72EDにはお使いいただけません。」となっていることです。もし手持ちで初期型のEVOSTAR 72EDをお持ちの方は(どこがダメなのかはわかりませんが)おそらくうまくいかないと思いますので、注意してください。


マルチフラットナー以降の接続

さて、やっとマルチフラットナーまで接続できましたので、さらにその後ろの接続に行きます。

フラットナーの後ろにはタカハシが販売している、それぞれの鏡筒に適合したマルチCAリングと呼ばれるアダプターリングをつけるのですが、これが今回色々試してみるところです。今回は手持ちのマルチCAリング 60CとマルチCAリング 70を試します。

アダプターリングの後ろには、タカハシ純正の「カメラマウントDX-60W(EOS) [KA20245]」を使っています。EOS用とNikon用があるのに注意してください。私はCanonなのでEOS用、Nikonの場合は同ページで購入できますが、型番が違います。ポイントは、この部分をタカハシ純正以外の代替品に変えてしまうとバックフォーカス長が変わってしまい、きちんとした比較ができなくなるので注意が必要です。自分で何種類もマルチCAリングを試す場合は、この限りではなく、サードパーティ製でも構わないと思います。

ここまでできたらあとは、手持ちの一眼レフカメラを取り付けるだけですね。

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やっと準備が整いました。それでは実際の撮像を見てみましょう。


マルチCAリング 60C

まずはFS-60CBに使っているマルチCAリング 60Cを試します。FS-60CBが焦点距離355mmなので、今回のEVOSTAR 72EDの焦点距離420mmに一番近いからです。

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IMG_5431_cut

お、結構うまく補正されています。フルサイズではまだ少し流れていますが、APS-Cでは十分許容範囲でしょう。いやいや、素の鏡筒の星像から見たらすでに相当な改善で、マルチフラットナーとりあえず十分使えそうです。


マルチCAリング 76

次に、FC-76に使っているマルチCAリング 76を試します。FC-76が焦点距離600mmなので、今回のEVOSTAR 72EDの焦点距離420mmより多少長いです。

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CAリング60Cの時に比べると、同程度か若干CAリング76の方が星像の流れが大きいくらいでしょうか?

むしろ、CAリングの長さが1cm以上短くなっているのに、星像がそこまで変わらないのはなぜなのでしょう?答えは次でわかります。


マルチCAリング無し

リング長で星像が多少なりとも変わることが分かったので、今度はマルチCAリングを外してしまいました。その時の星像です。

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これはAPS-Cでさえも全然ダメですね。

マルチCAリングのラインナップを見てみると、焦点距離の長い鏡筒用のものほど、マルチCAリングの長さが短いです。ということは、リング無しだと全然補正できなくて、CA76でもまだ補正が足りない、EVOSTAR 72EDがFC-76とFS60CBの間の焦点距離なので、CA60Cだと過補正になっているのではという推測ができます。


最後の無理矢理、マルチCAリングゆるゆる撮影

CA76だと短すぎ、CA60Cだと長すぎということのようです。それではここでCA76を緩めて少しだけですが長さを伸ばしてみましょう。ネジの箇所はマルチフラットナーとCAリングの間、CAリングとカメラアダプターの間の2箇所あります。それぞれネジ山に2回転くらい引っ掛けただけなので、ガタガタしていますが、1箇所で2.5mmくらい伸ばすことができました。合計5mm程度伸びていることになります。この状態で撮影してみました。

下がその時の星像です。ただし、ガタガタしているために少しカメラ側が下がって、光軸がずれている可能性があります。

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いや、これは今までで一番良いんではないですか!!

ガタつきのために上下で少しだけ差が出ていますが、ほとんど誤差の範囲くらいです。これだけうまく補正できるのなら、マルチフラットナーでの補正を真剣に考えても良さそうです。

ここから考えると、マルチCAリング 76よりも少し長い、マルチCAリング 60 (60Cとは違うことに注意、60Cは相当長いです。) が一番適していそうだということが分かります。実際にはCA60だと1-2mm足りないかもしれないので、ガタつかないようにプラスチックシートなどでリング状のスペーサーを作って、微調整しながら少し伸ばして使うといいかもしれません。


少し考察

この記事を書いている途中で気づいたのですが、実は同様のことは天リフさんでもすでにFOT104で試されていました。



というか、天リフさんの記事のことすっかり忘れていて、最初は自分で考えたいいアイデアだと思って喜んでいました。改めて天リフさんの記事を読み直してみると、今回のテストやらなくても良かったのではというくらいのかなり詳細なレポートでした。ちょっと悔しいです。でも、よく内容を見比べてみると今回の結果に驚くほど一致しています。今回の記事もマルチフラットナーの汎用性の実証の一つくらいにはなったと思いますので、まあ、やってよかったかなと。

ところで、今回の結果を考えてみると、バックフォーカス長が相当重要だということが分かります。これはタカハシというメーカーが一眼レフカメラの接続まで純正オプションを揃えることで初めて成り立つ状況です。

では、CCDやCMOSカメラでの撮影はどうなのでしょうか?この場合は純正オプションはないので、結局自らテストしながら最適バックフォーカス長を調整していかなければいけません。これまでバックフォーカス長を気にしたことがあまりなかったので、少なくともレデューサーやフラットナーをつけるときは、これから気をつけなければということに気づかされました。

といったこともあり、前回のレデューサーの記事はカメラまでの部品をSkyWatcher推奨の純正品で揃えてバックフォーカス長をあわせた方が良いのでは、というような書き方にしています。でも実際にそこまで色々試したわけではないので、多少の許容範囲はあるでしょうし、それぞれの場合でテストしながらやっていくのが正しい道なのかと思います。


まとめ

今回は、メーカーを跨いだフォーカサーの試用テストをしてみました。タカハシ製のマルチフラットナーは汎用フラットナーとしての可能性を大きく秘めています。これは天リフさんと同じ結論かと思います。バックフォーカス長が調整できるような可変のリングが存在すれば、さらに応用範囲が広がると思います。

新しい可能性がある一方、メーカーの指定条件からは外れてしまうので、規格の違いなどもあり試行錯誤が必要となります。タカハシさんのほうがこのような使い方を喜ばない可能性も十分にあり得ます。

ユーザーとしては、こういったことを面白いと楽しめるなら、色々試してみるといいでしょう。もしくは、こういったやり方は不安だという方もいらっしゃると思いますので、やはりその場合はメーカー推奨のやり方で進めながら撮影に臨まれる方がいいかと思います。

個人的には、光学という誰でも自由に試すことのできる物理現象の範囲の話なので、手に入る設計のレンズなどを好き勝手に使いながらやるというので正しいのかと思います。うまくいかない時も当然あるので、それは自己責任でということを納得しながらやれば、いろんな応用範囲が広がっていくのかと思います。メーカー指定の範囲外でうまくいかないことを、メーカーに文句を言ったり問い合わせたりするのは、この場合筋違いです。

いや、何より楽しいのが一番で、こういった自由なテストをできること自体が天文趣味の醍醐味だと思っています。とりあえず楽しくて仕方ありません。


最後、おまけの裏話に続きます。

 


10cm PSTでの太陽撮影時の問題点

太陽のHα撮影はPSTを使っています。PSTは太陽望遠鏡の中でも入門用ということもあり、口径4cm程度です。分解能の観点からいくと口径で制限されていることはわかっているので、PSTに10cmアクロマートを無理やり取り付けた魔改造機で観測を続けてきました。

PSTの中に入っている波長選別器の働きをする2枚合わせ鏡のエタロンは、入射光に平行光を要求するために、直前においたレンズ系で平行光を作り出しています。このレンズ系はF10の光学系を要求するために、元々の口径4cmの鏡筒は焦点距離400mmでの設計。口径10cmのアクロマートも焦点距離はF10を保つために1000mmのものを選んでいます。焦点距離が長くなると、より拡大して見えるわけですが、焦点距離1000mmは太陽の全体像を見るのにもうギリギリです。ASI294MCを使っていてもセンサーいっぱいに太陽像が広がります。

根本的な問題は、センサーに来るまでにすでにサイズがギリギリいっぱいになっていて、少し光軸がずれるだけで太陽像が欠けてしまうところです。このサイズを制限しているのが、BF(ブロッキングフィルター)になります。安価なPSTには一辺わずか5mm程度のBFが使われています。実際にはこんな感じです。

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このBFのサイズを大きくすればいろいろ解決するのですが、このBFがとにかく高いのです。単体で購入するとざっくり1cm10万円が相場で、ちょっとサイズを大きくするだけで平気で数十万円とかいったりします。太陽は本気でやるとものすごい金食い虫で、私のような低予算組にはなかなか手が出ないのが現実です。

何かいい方法はないかと考えていた時に、半年くらい前、国際光器さんからバーダープラネタリウム製のの3.5nmのHαフィルターが販売されるとの情報がありました。「3.5nm? 結構線幅狭いな!」と思い、その時にパッと浮かんだアイデアが「もしかして3.5nmのHαフィルター、安価なBFの代わりにならないかな?」というものでした。


太陽Hα望遠鏡の仕組み

ここでまず、太陽Hα望遠鏡の仕組みを理解しなくてはいけません。PSTの場合、太陽側からアイピースに行くに向かって
  1. 対物レンズ
  2. 平行光を作るレンズ
  3. ファブリペローエタロン
  4. BF(ブロッキングフィルター)
  5. ERF (Energy Reducing Filter)
などで構成されています。PSTを以前分解したことがあるので、この記事を見ると中身がよくわかるかと思います。



この中で一番重要なのはファブリペローエタロン(太陽でHαフィルターと言ったら普通これを指す、以下エタロンとか呼びます)です。光彩面の模様やプロミネンスなどHα線をできるだけ単一波長で鋭くみるために必要です。PSTに入っているエタロンは1Å (オングストローム、0.1nm) の超狭帯域幅の波長を通すためのフィルターとのことです。このエタロンがあるから、一般的に太陽望遠鏡はおそろしく高価になります。エタロンの原理に関しては過去記事をご参照ください。

でもこのフィルターには決定的な欠点があります。Hαの656.3nmだけ0.1nm幅で通してくれればいいのですが、その波長幅を周期的に他の波長に対していくつも通してしまうのです。なのでコーム(櫛形)フィルターなどと呼ばれたりもしています。実際、エタロンに光を通してみても暗いわけではなく、様々な周期的な波長の光が通ってきているために、意外に明るかったりします。

でも太陽観測のためにはHα線だけを見たいので、Hα以外の波長をブロックする必要があります。そこで登場するのがBF(ブロッキングフィルター)になります。Hα周りに、エタロンよりももう少し広い波長幅で透過するようなフィルターで、余分な波長をカットしてくれます。

さらにさらに、実はBFもHαのみを通すのではなく、もっと短い波長、もっと長い波長を素通ししてしまいます。なので、その素通しを防ぐためにもっと広い範囲でHαのみを通し、さらに短い波長と長い波長は全てカットするフルターを入れる必要があります。その役割を果たすのが最後のERFです。

このように太陽望遠鏡は3段階のフィルターで構成されているというわけです。エタロンと、BFと、ERFの3つですが、順序はそれほど重要ではありません。例えば初期のころのPSTは、対物レンズにERF用のコーティングをしていました。これはコーティングの劣化で対物レンズごとダメになるので、そのうちにアイピース側に置く小さなERFに置き換えられました。


エタロンの透過波長の間隔

さて、エタロンが周期的に波長を透過すると言いましたが、その周期はどれくらいでしょうか?これはFabry-Perto etalonの2枚の鏡間の距離のみで決まるような、FSR(Free Spectral Range)という量で表され、以前計算しています。繰り返しになりますが式で表すと、以下のようになります。

Δλ=λ22nlcosθ

  • λ: 中心波長、今回の場合6563Å=656.3nm。
  • n: キャビティー中の媒質の屈折率、今回の場合空気なので1でいいでしょう。
  • l: 2枚の間の鏡の距離、PSTの場合0.1mm以下程度とのこと。
  • θ: 光の入射角、PSTの場合ここを回転つまみで調整している。動かせる幅はPSTでは0.5度程度とのこと。今回は初期状態として0としておきます。
これらの値を入れていくと、FSRは鏡の距離だけで決まるような量になり、

Δλ=λ22×1×l×cos0=λ22l

=656.3[nm]22×0.1[mm]=2.15[nm]

のように、PSTの場合 Δλ = 2nm ( = 20Å) か、(鏡間の距離が0.1mmより狭いということなので)2nmよりもう少し長い程度になります。

要するに、Hα線の656.3nm左右に2nm空けて、654.3nmと658.3nmも、さらに外側の波長も2nmおきに通してしまうということです。


ブロッキングフィルターの波長透過幅

では、BFの透過波長幅はどれくらいでしょうか?PSTのものではないですが、ここに同じCORONADOのBF15の透過率のグラフがあります。このグラフによるとFWHM(Full width Half Maximu: 半値全幅、最大値の半分の値になるところの両側の幅という意味) は縦軸最大の66%の半分の値の33%くらいのところの横軸の幅を見て、まあだいたい0.75nm程度ですね。エタロンの線幅の7倍くらいでHα線をとおし、左右2nm離れた波長は十分にカットできる性能を持っていると言うことが分かります。

ちなみに2nm離れたところでどれくらい光を通すかと言うと、左右ともにグラフの範囲外なのではっきりとした値はわかりませんが、上の658.3nmは無視できるくらい小さく、一方下の654.3nmは数%は透過してしまうことが推測できます。


3.5nm HαフィルターはBFとして使えるか? 

さて、これで求めたい条件が揃いました。これでやっと本題の3.5nmのHαフィルターはBFとして使えるかどうか?に答えが出せます。

単純に言えば2nmかそれより長い長さおきに、0.1nmのピークがあるわけです。今回のHαフィルターの中心周波数が656.3nmで、そこを中心に3.5nmだけの広がりを持っていたら、左右の2nm離れたところの0.1nmの広がりを持つ波長はカットされるはずです。

おお、やった!これなら安価にBFの代わりに使うことができる!と思ったわけです。


補足:
ただし、現実的には3.5nmの幅の定義があまりはっきりしてなくて、Baaderのページを見るとどうもFWHMらしいことがわかります。仮に3.5nmの幅がFWHMで定義されていて、かつその透過曲線をガウス分布と仮定すると、左右2nmのところではまだ40.5%程度の光を透過してしまいます。左右3nmのところまで広がっていれば13%透過まで絞れます。

やはりまだ隣の波長の光が多少漏れそうなので、もう少し透過幅の小さいフィルターがあるといいのかもしれません。現在では3.5nmが一般的に手に入れられる最狭(さいきょう、最強?)のものなので、まずはこれを考えることにします。

ちなみに、透過幅がこれまで販売されていた7nmのものだと、2nmのところでは計算上80%もの光を通してしまいます。これだとほとんど効果がないので、やはり3.5nmがでたことで可能性が出てきたと言ってもいいかと思います。



なんと国際光器さんの協力が!

と、こんな話を確か胎内の星まつりの時に、3.5nmのHαフィルターの輸入元の国際光器さんと話していました。その場で在庫があれば購入することも考えていたのですが、その時はまだ輸入するかしないかの頃で、天リフさんでやっとレポートが出たくらい。その場には当然在庫は無し。でも国際光器さんが、これは面白そうだということで、テスト用に無償で提供してくれることになり、なんと小海の星まつりで本当に持ってきてもらえたのです。これでとうとうテストすることができます。国際光器さん、本当にありがとうございました。

というわけで、小海から帰ってしばらくしての11月の晴れた日の昼間、早速テストです。まずは3.5nmのHαフィルターをASI290MMに取り付けます。

IMG_9361

うーん、なんかスペシャル感が漂います。でも写真の赤い色と実際の金色のような色が違うのが気になりますが、写真はまあイメージなのでしょう。

さて今回の記事、理論編はここまで。
実際撮影してみてのテスト結果は、また次の実践編で。


先日の年越し電視観望で、智さんのレデューサーがうまく働かなかった件の追記です。

これは鏡筒とレデューサーという2つのレンズを使うと合成焦点距離はどうなるのかという極々一般的な問題です。基本となる合成焦点距離の式については以前の記事



をご覧ください。今回の記事に合わせて、式を見やすい様にTeX化しておきました。


0.5倍レデューサーの計算例

例えば焦点距離800mmの鏡筒に、焦点距離が50mmのレデューサーを取り付けてみましょう。レデューサーをCMOSカメラに取り付けるためのアダプターの長さによって、センサー面からレデューサーまでの距離はほぼ一意に決まってしまいます。

センサー面からレデューサーまでの距離が決まると、拡大率も一意に決まってしまい、以下のグラフのような関係で表されます。

adapter_mag

しかもこのセンサー面からレデューサーまでの距離に応じて、フォーカサーで対物レンズまでの距離を調節してやる必要があり、以下のグラフで表される距離おいてのみ焦点を合わせることができます。

adapter_dis

逆にたどると、フォーカサーでの調整距離がせいぜい10cmくらいあったとしても、センサー面からレデューサーまでの距離が取れる範囲は高々10mmちょっとです。なのでアダプターをきちんと選ばないと範囲から外れてしまい、焦点を結ばなくなるというわけです。


サンプルファイのアップロード

Livedoorブログではファイルのアップロードもできるようなので、上のグラフを書くために作ったファイルを添付しておきます。Excelで作ったものなので多くの人が読めると思います。

Sample file (Excel形式)


アダプターについて

安価なレデューサーの焦点距離ですが、例えばレデューサーで指などをみてみると分かります。せいぜい50mmくらい離れたところでピントが合うくらいなので、焦点距離は50mm程度ということがわかります。これに相当するセンサー面からレデューサーまでの距離は25mm程度です。そうやってみるとASIカメラに付属のアダプターにレデューサーを取り付けると40-50mm程度にはなってしまうので、はやはりこのアダプターは長すぎます。

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ではどんなアダプターがいいかというと、ZWOからロープロファイルカバーとかいう名前で出ていて、国内だとKYOEI星見屋などから購入することができます。これはカメラの赤いカバー部分を取り外して、その代わりに取り付けるタイプです。

でも実は私が持っているのは全く別のもので、言うなればC(S)マウントから31.7mmへの変換アダプターです。

IMG_9008
この写真では上がカメラ側について、したがレデューサーを取り付ける側。

これにASIカメラ付属のCSマウント変換アダプターを取り付ければ、うまく赤い部分を外すことなく取り付けることができます。

IMG_9009

IMG_0147

いうなればこれ



とかこれ



の短いバージョンなのですが、探したけど見つかりません。どなたか知りませんでしょうか?

じゃあ私はどこで手に入れたかというと、多分昔Revolution Imagerを買った時についてきたのをそのまま使ったのかと思います。




機材の振動(その1): 揺れの見積もりからの続きの記事となります。 今回は、揺れの減衰と前回出したQ値との関連を示して、実際に機材を使って揺れの測定をして評価してみました。


伝達関数の式

前回の復習を兼ねて、共振のグラフがどうやって書かれたのかと、なぜQという値を用いたかを少しだけ追加で説明したいと思います。

1次元の共振を伴う振動の周波数応答の伝達関数H(振っている振幅x0から、振られている振幅xへの比)は
H=xx0=ω20ω20+iωω0Qω2

のように書くことができます。ここでωは角周波数で、系を振っている周波数fを用いてω= 2π fωは共振周波数f0の時の角周波数で、ω0 = 2π f0です。は前回出てきたQ値のです。iは虚数のiですね。

この式は直感的で面白くて、もし振っている周波数fがずっと小さい時、すなわちものすごくゆっくり振っているときは<< fすなわちω << ω0となるので、分母の後ろの2項は1項目に比べてものすごく小さくなるので0とおいてやると
H=ω20ω20=1

となって、1になります。これは振った振幅がそのままの大きさで伝わることを示しています。

もし振っている周波数f0 と同じだったら、共振状態にあり、fすなわちω = ω0となるので、まず分母の1項目と3項目が打ち消しあって、次に分母の2項目のω0の2乗と分子のω0の2乗が打ち消しあって、結局
H=ω20ω20+iω20Qω20=iQ

となります。 -iは位相が90度遅れることを意味しますがここではあまり考えずに、とりあえずHの絶対値はQになるというところに着目します。これは共振付近で振っている振幅がQ倍に増幅されることを示しています。このようにちょうどQ倍になるように、あらかじめQを定義してあるというのがミソです。このQが一般の運動方程式の減衰定数とどう関わるかは、また別の機会に説明します。

もし振っている周波数fよりずっと大きい場合、すなわちものすごく速く振っているときは>> fすなわちω >> ω0となります。分母の最初の2項は3項目に比べてものすごく小さくなるので、0とおいてやると
H=ω20ω2f2

とな理ます。共振周波数より上の周波数では、振っている周波数の2乗に反比例して、振られているものの揺れが小さくなるというわけです。これは言い換えると、共振周波数より高い周波数においては、周波数の2乗で振幅が落ちていくような「防振効果」があるということです。ちなみに、- (マイナス)が出てきているので、これは位相が180度遅れるということを表しています。振った方向と反対方向に揺れるということです。

ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、Q値がなぜ便利なのか多少理解できたかと思います。本当に共振で揺れがちょうどQ倍されるということですね。


振動の減衰とQ値の関係

さて、ここからが本番です。上のような伝達関数で表される系に、インパルス的な衝撃が加わった時、系は最初大きく揺れて、やがてその揺れは収まっていきます。星を見ながら鏡筒にぶつかってしまうと星像が大きく揺れるのですが、ちょっとすると揺れは収まってまた元の星像に戻る「あの揺れ方」です。このようなインパルス応答は時系列の式で書くと
\[H(t)\propto\exp\left(-\frac{\omega_0 t}{2Q}\right) \sin\omega_0t\]
のようになります。これを共振周波数1Hz、Q=10の場合をグラフで表してやると、

damping1

のようになります。横軸は時間、縦軸は振幅です。時刻が0の時にインパルス(衝撃)によって大きく揺らされ、それがQ値で表される減衰項によって減衰し、振幅が小さくなっていく様子を表しています。

ここで特に振幅の部分
\[\exp\left(-\frac{\omega_0 t}{2Q}\right)\]
だけに注目します。は時間なので、この式は時間とともに振幅のエンベロープ(最大振幅を結んだ外側の線)がどうなるかを示しています。形としては指数関数の逆数になっているので、最大振幅は時間が経つと小さくなっていく様子を示しています。

こう考えるとこのインパルス応答の式は、ある周波数で揺れながら振幅が小さくなっていく様子、すなわち上のグラフで見た、またいつも機材が揺れる時に見る「あのだんだん収まっていく揺れ方」そのものを表しています。この振幅の中にQが入っているのが最大のポイントです。

ここからが重要です。すなわち、この揺れの減衰の様子を測定すれば、伝達関数を直接測らなくてもQ値が分かってしまい、地面の揺れがどれだけ増幅されるかが分かってしまうというわけです。これは結構すごいと思いませんか?


この恩恵にあずかるためには、あと少しだけ計算する必要があります。= 0の時の振幅が2分の1になった時の時刻をt1/2とします。そうすると
\[\exp\left(-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}\right)=\frac{1}{2}\]
が成り立ちます。これをQについて解いてやると
\[\log_\mathrm{e} \mathrm{e}^{\left(-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}\right)}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{2}\]
\[-\frac{\omega_0 t_{1/2}}{2Q}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{2}\]
よって
Q=12loge122πf0t1/2=4.53×f0×t1/2

となり、共振周波数fと振幅が2分の1になった時の時刻をt1/2を測定して掛け合わせて4.53倍すれば、なんとQ値がものすごく簡単に求めることができてしまうというわけです。

ちなみに、振幅が10分の1になった時間をt1/10とすると、
\[\log_\mathrm{e} \mathrm{e}^{\left(-\frac{\omega_0 t_{1/10}}{2Q}\right)}=\log_\mathrm{e} \frac{1}{10}\]
よって
Q=12loge1102πf0t1/10=1.36×f0×t1/2

が成り立つので、こちらも振幅が10分の1になるまでの時間を測定して、それに共振周波数と1.36をかけても同じようにQ値が出てきます。


どの周波数の揺れが問題か

実際の撮影で、どれくらいの周波数で揺れるのが一番問題になるでしょうか?まずガイドのあるなしで考えたいと思います。ガイドがないと、基本的に全ての揺れが星像に出てきます。露光時間が長いDSOの撮影なんかはガイドなしでは難しいのは言うまでもありません。

まず1Hz以下の低い周波数のゆっくりした揺れは、ガイドがあると揺れに追随して消すことができるのであまり問題になりません。極軸のずれからくるDC的なドリフト、ピリオディックモーションなんかがそうですね。地面振動も低い周波数の方が元の揺れは大きいのですが、1Hzから下くらいの低周波の揺れは基本的にガイドで打ち消すことができます。

では10Hz以上の高い周波数の地面振動はと言いますと、こちらは元々の地面の揺れ自身が十分小さいので、ほとんど問題になりません。例えば、10Hzの揺れは1Hzの揺れに比べて100分の1ほどです。

問題は1Hzから10Hzくらいの間の揺れです。ガイドも効かなければ、元の揺れも小さくありません。この間の周波数に機器の共振があると、元の揺れを大きく増幅してしまう可能性があります。

風の場合は時間によって揺れの大きさが大きく変わるため、高周波の共振でも揺れが大きくなることがあるので、注意が必要です。


Q値の実測

さて、ここから実測なのでどんどん面白くなります。

ほとんどの準備が整ったので、実際に鏡筒と赤道儀を使って、赤道儀の基本モードのQ値を測定してみましょう。まず、赤道儀に鏡筒を乗せて、測定しやすそうな天体を導入して追尾します。小さな揺れでも見やすくするために焦点距離は多少長めの方がいいでしょう。また、目で見て振動を測定するのは困難で精度が出ないので、測定しやすくするために動画の撮影できるカメラを接眼部に取り付けるといいでしょう。

今回、赤道儀はCelestronの中型のCGEM II。ここに鏡筒として13kg程度のMEADEの25cmのシュミカセLX-200-25を載せます。CGEM IIの耐荷重が18kgとのことなので、まだ余裕はありますが、鏡筒はそこそこ重く大きいので、低い共振周波数で何か見えるのではないかと思い実験してみました。星はとしてはわかりやすいように、面積のある木星を入れてみました。追尾しているので何もしなければ木星はずっと中央にます。そのため、回転方向に揺れている間も揺れの中心位置は常に変わらず、精度よく測定することができるというのがポイントです。もちろん追尾なしで、昼間に何かをターゲットにして試してもいいでしょう。


赤経周りの大きな揺れ

実際に何度か揺らしてみてわかったのは、赤経周りの揺れが一番低い共振周波数になりそうだということです。具体的には下の図の赤色の矢印の向きに、赤系軸が振動するように揺らします。

2modes

少し力を加えて、木星がカメラの画面上でずれたのを確認して手を離します。これはインパルス応答とは少し違い、ステップ応答になりますが、減衰の様子は基本的に変わらないのでこれで十分です。その時の木星の揺れ方を見てみましょう。


結構大きく揺らし、かつその揺れがそこそこ続いているのがわかります。


実際にQ値を求めてみる

さて、この揺れですが動画で撮ってあるので、何Hzくらいで揺れていて、振幅がどれくらいで半分になるか数えてみます。

まず共振周波数ですが、振動が10回続くのが1.26秒なので f = 1/0.126 = 7.9Hzとなることがわかります。

次に振幅ですが、動画をコマ送りしてある時の揺れが2分の1になる時間を、動画に記録された時間から測定すると1.38秒となることがわかりました。この時の測定ですが、振幅は一番最初から測る必要はなく、あるところの振幅を測って、その振幅が半分になるところまでの時間を測ればいいです。このことも測定を簡単にしているポイントの一つになります。

さて、その時のQ値はというと、

= 4.5 x f x t1/2 = 4.5 x 7.9 x 1.38 = 49.1

なんと約50と出ました。これは赤経の基本モードの共振のために7.9Hzの地面振動は50倍も増える!ということを示しています。ただし、実際には7.9Hzの地面振動は1Hzの地面振動に比べて7.9^2 = 62なので、62分の1になっていることに注意してください。7.9Hzの共振のおかげで増幅された振動と、1Hzの共振も何もない振幅が大体同じということです。でもこれを言い換えると、共振周波数が7.9Hzと高かったからこの共振が特別問題になりませんでしたが、もし鏡筒がもっと重くて共振周波数が下がってくると、共振周波数の減りの2乗で地面振動が増えていくので、問題は急激に深刻になっていくということです。このことが耐荷重ギリギリの鏡筒を載せる時の問題の一つです。

ちなみに、共振周波数7.9Hz、Qが49.1の時のグラフを書いてみると

damping2
となり、1.38秒くらいのところで元の振幅が半分になっているのがわかります。


赤緯周りの小さな揺れ

もう一つ面白い動画を見てみます。これは上の写真の青い方向、赤緯方向に揺らした時の木星の揺れです。赤緯方向なので、画面上では縦に揺れます。


このモードは測定できないほど高周波ですぐに減衰します。その後むしろ、カップリングのため赤経方向が励起されてしまっているのがわかります。なぜこれほどまでに違いが出るのでしょうか?その一つの原因が赤経方向と赤緯方向の慣性モーメントの大きな違いにあります。

そもそも赤経方向の揺れの上に載っかっているのは、赤緯体、鏡筒、ウェイトと、合わせるとかなりの重量物になります。その上、鏡筒とウェイトが軸中心から離れたところに置かれていてダンベルのような状態になっているため、慣性モーメントが非常に大きいです。

一方、赤緯方向の揺れの上に載っかっているのは、鏡筒のみ。しかも質量がむやみに両端によっているわけでもありません。

赤経方向の揺れにかかる質量が回転中心からざっくり30cmくらいのところに集中していて、赤緯方向の揺れにかかる質量が回転中心からせいぜい10cm(主鏡が一番重くて実際には中心から5cm程度しか離れていない)離れたところに中心があるとします。質量は赤緯に比べて赤径の方がざっくり倍(鏡筒とウェイト)くらいでしょう。慣性モーメントは距離の2乗で効くので、少なく見積もっても赤経の回転と赤緯の回転の慣性モーメントは20倍くらい違うということです。周波数でいうと赤緯の回転方向の共振周波数は150Hz以上とかなり高くなってしまうので、こちらは地面振動に関してはほとんど問題にならないことがわかります。


まとめ

今回の見積もりと、簡単な実測だけでもかなり面白い結果が出てくると思いませんか?少しまとめますと、
  • 機材を揺らし、その共振が減衰する様子を動画で撮影するだけの簡単な実測で、外乱による揺れがその共振によってどれくらい増幅されるかをQ値という値で評価することができる
ということです。もちろんこれは簡易的な測定に過ぎず、本当は加振器で赤道儀と鏡筒を揺すって、加速度計などでその揺れがどれだけのものになるのかなどの、周波数応答を測るのが正しいやりかただとおもいます。でも基本モードに限ってしまえば上記のような測定でもある程度の評価はできてしまうわけです。

もし本当に加振実験をすると、指紋や声紋ならぬ、赤道儀紋みたいなのが出てくるはずです。周波数応答を表す伝達関数を見ただけで、あ、あの赤道儀だ!とか、この赤道儀はこの共振が厄介だねとかいう議論ができるはずで、購入する時の重要な指針になるはずなのですが、流石にそんなデータはあまり存在しないですね。


最後に

簡単にまとめるつもりが、結局2回にわたる長い記事になってしまいました。振動に関しての理解のとっかかりくらいになってくれれば嬉しいです。わかりにくいところも多々あるかもしれませんが、コメントなどで質問していただければと思います。

今回の揺れのことに関してもそうですが、我々のいるアマチュア天文界は以外に神話のようなものが多く、誰々が言っていたとか、偉い先生が言っていたとかで信じてしまうことも多々あるかと思います。人の意見を参考にするのは、情報を集めるという観点からももちろん悪いことではありません。でも、必ずしも鵜呑みにせず、常に疑問を持って、できるなら自分で確かめることで噛み砕いて、納得していくことが大切なのかと思います。もしかしたらここで書いていることも、全然間違っているのかもしれません。多分、そうやって自分で考えていくことの方が面白いかなと、私自身は思ってしまうわけです。

まだ、運動方程式から共振の伝達関数の式の求め方とか書いていないので、気合があったらですが、もう少しだけ続きを書くかもです。

原村星まつり前にとったデータをまとめておきます。やったことは、赤道儀と鏡筒の揺れの測定です。この揺れの減衰を測定することで色々なことがわかります。

 趣味全開の記事なので、多少長くなっていることをご了承ください。今回の記事はまだ前半部くらいで、測定前の見積もりに当たります。次回くらいで実測までいけたらと思います。


目的

鏡筒を載せた赤道儀をインパルス的に揺らしてみて、その応答を見ることで外乱がどれくらい影響するかを評価します。 


背景

天体撮影の際、特に惑星や系外銀河の場合長焦点撮影になり、鏡筒や赤道儀の揺れが撮像に対して問題になってきます。基本的には、揺れを抑えることが星像を点像に近く捉えることに繋がります。地面が揺れるために防振するなどの努力は一般的になされていますが、そもそも地面がどれくらい揺れて、それが星像にどれくらい影響を与えるのかという検証は、これまであまりなされてきていないようです。今回この部分を評価してみようと考えました。

実際の撮影では、鏡筒自身の光学的性能や大気のシーイングなども問題になりますが、ここではそれらのことは考えずに、機材が物理的に揺れることのみを考えます。


地面の揺れの評価

まず、機材が三脚などを介して地面に固定されている状況を考えます。機材を完全な剛体と仮定すると、機材の重さにかかわらず、地面の揺れがそのまま機材を揺らしてしまうような状況となります。なので、まずは地面の揺れを最初に考えることにします。

地面は決して止まっているわけではなく、地震などが起こらなくても常に常時揺れています。その揺れの振幅(スペクトル)は一般的に1e-7/f^2[m/sqrt(Hz)]といわれています。グラフで書くと

20190901_seismic

のようになります。本当は実測データもあるのですが、個人で加速度計とかを持っているわけではないので、実測データを計算で表したグラフを示しています。横軸はその揺れの周波数。左はゆっくりとした揺れ、右は速い揺れを表しています。縦軸は振幅になります。この1Hzのところを見ると1e-7[m/sqrt(Hz)]という値になるという意味です。

1e-7/f^2[m/sqrt(Hz)]というややこしい数字については、この記事の最後に補足という形で書いておきますので、興味があったら読んでみて下さい。最後まで読むと得する情報があるかもです。ここでは簡単のため、ザックリと1Hzすなわち、1秒の周期で1um(マイクロメーター)くらいの振幅で揺れているとしてしまいましょう。


地面の揺れは星像にどれくらい影響するのか?

では1umの揺れとは実際の星像でどのようになるのでしょうか?望遠鏡で星を見る時は無限遠を見ていると仮定すると、回転のみが星像の揺れとなって表れ、地面が平行に揺れても星像には影響ないはずです。地面振動の回転成分がどれくらいか評価できればいいのですが、あまりきちんとしたデータはないようです。なのでここでは地面振動の水平揺れの成分が鏡筒を揺らすと仮定します。例えば、長さ1mの鏡筒を考えます。これは10cmの短すぎる鏡筒ではなく、10mの長すぎる鏡筒ではないという意味で1mということです。1mの鏡筒の先端が、アイピース口に比べて相対的に1um揺れていると考えます。そうすると角度にして1um/1m = 1urad (1マイクロラジアン)揺れているということになります。1uradということは度に直すとπで割って180を掛けてやればいいので 1/180 x pi = 60 [u degree (マイクロ度)]ということになります。0.00006度ですね。これを秒角にするには3600を掛けてやればいいので、約0.2秒角となります。では0.2秒角というのはどれくらいなのでしょうか?木星の視直径が40秒角くらいなので、木星の直系の200分の1くらいになります。

やっと答えが出ました。地面の1Hzの揺れは木星の200分の1くらいなのです。こんなに小さいなら大した影響はなさそうですね、と思いきや、実は機材がこの揺れを更に大きくするのです。このことを理解するには、共振とは何かということを理解する必要があります。


共振で揺れは増大する!

赤道儀など、機械的なものを製作すると、その形、構造、強度などに応じて必ず揺れが出ます。普通は一番弱いところが一番大きな揺れになって、例えば赤道儀では赤経体や赤緯体の首のところで一番揺れたりします。しかもその揺れは、ある特定の周波数で大きく揺れる共振という現象を伴って揺れることになります。高校の物理くらいでやる振り子やバネの共振のことです。一般的に振り子やバネを振ってやると、その周期によって揺れが大きくなったり、小さくなったりします。その様子をグラフに表してやると、

20190901_resonance
のようになります。横軸は振り子やバネを振ってやる周波数。左程ゆっくり振ってやって、右に行くほど速く振ります。縦軸は元の揺れに対して、振り子やバネの先にあるものが相対的にどれくらいの大きさで揺れているかの比(ゲイン)を表しています。ゆっくり揺らす場合は揺らしている振幅がそのままの大きさで伝わるので、ゲインは1になります。だんだん揺らす周期を速くしていくと、ある周波数(ここでは1Hz)になると大きく揺れます。このときの周波数を共振周波数と言います。更に速い高い周波数では、揺らされているものの揺れは小さくなっていきます。その小さくなっていく様は周波数の2乗で落ちていることがわかります。一般にバネや振り子は、高い周波数では防振の効果があります。

ここで重要なのは、ある特定の共振周波数付近では元の揺れが何倍にも、時には何十倍にも何百倍にも平気でなることです。複雑な構造を作れば作るほど、この共振の数は多く、また共振の形も複雑になってくるので、共振をなめてはいけないということです。

その共振の大きさはQ値というもので表されます。元の揺れが共振周波数でQ倍になるというように定義された値で、様々な構造体を評価する時に便利な値です。Q値がいくつ位になるかは、どれだけ共振のエネルギーが散逸するかによります。素材そのものによっても変わります。例えばゴムなどはとてもロスが大きいので、Q値は低くなります。一般的に金属はロスが小さいので、Q値は高いです。これを応用することで、エネルギーをうまく逃がしてやれば、Q値の高い大きな揺れを小さくすることもできます。例えば、揺れている部分にプラスチックやゴムの板を挟むなどです。

なんでこんなややこしそうなQという値を持ち出すかは後でわかるとして、普通にものを作ると、よほど揺れないようにできたものでもQ値が3から4、普通は10以上に簡単になってしまいます。すなわち、元の揺れは平気で10倍以上になってしまうということです。例えば、1HzにQ値が10の共振があるとすると、上で求めた木星は地面振動が10倍に拡大され、直系の20分の1くらは揺れてしまうことになります。木星の20分の1の揺れ幅だと、例えば惑星撮影の時とかはだんだん無視できなくなってくる値です。ちょっと心配になってきましたね。


共振周波数はどうやって決まる?

共振周波数のあたりで大きく揺れることはわかりました。では、その共振周波数はどうやって決まるのでしょうか?

基本的に、揺らされるものが「大きく」「重く」なると共振周波数は下がってきます。もう少し詳しくいうと、揺れているものが重くて、さらにその重さが揺れの中心から遠くにある時ほど「慣性モーメント」が大きくなって、共振周波数が低くなり、ゆっくり揺れるようになります。フィギアスケートでくるくる回転している時に伸ばしている手を縮めると回転が速くなるのもこれで説明できますね。手を伸ばしている時は回転中心から遠いのでゆっくり回り、手を縮めた時は回転中心に重さが集中していくので速く回るということです。

共振周波数を決めるもう一つの要因が、揺れの中心となる部分がいかに頑丈に作ってあるかです。これはバネの柔らかさに相当して、頑丈なものは硬いバネ、弱い物は柔らかいバネです。硬いバネほど共振周波数が高く、柔らかいバネほど共振周波数が低いです。例えば、入門用の細い赤道儀なんかは、小さく首のところも細いので、バネが柔らかく低い周波数で揺れます。逆に高級機と言われるガッチリした大型の赤道儀なんかは、バネが堅く高い周波数で揺れます。

すなわち、載せている鏡筒が大きく重いほど、支える赤道儀が小さく弱いほど、共振周波数は下がり、鏡筒が小さく軽く、赤道儀が大きく頑丈なほど共振周波数が高くなります。地面振動に関して言えば、共振周波数が高くなるほど元の地面の揺れが小さくなるので、揺れにくくなるわけです。このことをよく「共振を高い方に逃がす」とか言います。


少し脱線

よく間違って言われていることがあります。「機材は重ければ重いほど揺れない」ということです。私もベテランのアマチュア天文家の方からも何回か聞いたことがあるのですが、これは少なくとも地面振動に関して言えば間違いです。機材が重くなるほど共振周波数は下がるので、低い周波数の大きな地面振動が共振で更に大きくなり不利になります。正しくは「頑丈な赤道儀を用いるほど(共振周波数が上がるので、もともと地面振動が小さいに周波数帯に持っていけるため)揺れない」が正しいです。

ところが、風に対しては一概には言えなくて、同じエネルギーの風に対しては重いものほど動きにくというのは一理あるので、前者の「重いものほど揺れない」はあながち間違ってはいないのです。なので、今実際に揺れている原因は、地面なのか、風なのか、それとも他の何かなのかをきちんと分けて考える必要があります。

風でも「鏡筒が大きいとよく揺れる」ということもよく言われます。こちらは重さだけなく、大きくて風の当たる面積が大きいということと、さらに慣性モーメントが大きいので共振周波数が下がることが原因となります。繰り返しになりますが、「重いから慣性質量が大きいために揺れにくい」というのと、「重い(慣性モーメントが大きい)と共振周波数低くなる」は別のことになるので、やはり風の場合でも必ずしも重いからいいという訳ではなく、重くて小さくて、回転中心に質量が固まっていることが重要になってきます。

ちょっと脱線しましたが、今回は地面振動を考えるので、共振周波数が高いのか低いのかが重要になるとします。


ここまでのまとめ

少しまとめます。地面の揺れがどれくらい星像に効くかですが、
  • もともとの地面の揺れの大きさ
  • 機材の持っている揺れ(「モード」とかいいます)の共振周波数
  • そのモードのQ値
などが重要な要因で、その中で共振周波数は
  • 鏡筒の慣性モーメント(重さと、重さの広がり具合)
  • 赤道儀の構造、強度
などで決まり、元の揺れをどれだけ増幅させるかを表すQは
  • エネルギーをどう損失させるか
で決まります。なんでQだけ「など」で決まると書いてないかというと、数学的にはその系のロスをLとした時、

Q = 1 / L

と一意に書けるからです。何の事はない、Q値とロスは一対一の関係なんですね。



この時点でもうすでに長すぎの記事ですね。ちょっと疲れたので、続きは次回の記事にします。次回は一連の話のキモで、Q値と振動の減衰の関係です。一気に実測まで進むかも。さらに実用的になってくるはずです。




補足: 地面振動スペクトルの読み方

ごくごく簡単にですが、揺れの「スペクトル」の意味について書いておきます。

1e-7は10のマイナス7乗、すなわち0.0000001、0が7個ついてその後に1がきます。10^-7などと書くこともあります。例えば1e-7[m]とは0.0000001m、0.0001mm(ミリメートル)、0.1um(マイクロメートル)などと表すことができます。

f
は周波数を表し、1秒間に揺れる回数です。例えば1秒間に1回揺れるなら1Hz、1秒間に10回揺れるなら10Hzなどとあらわします。/f^2とは周波数で2回割っているということで、周波数が大きくなるほど、2乗で小さくなるということを意味します。例えば、10Hzの揺れは1Hzの揺れに比べて100分の1になります。100Hzの揺れはなんと1万分の1になります。高周波に行くほど、速い揺れになるほど、急激にその揺れの大きさは小さくなっていくということです。

わかりにくいところはその単位のm/sqrt(Hz)です。「メートルパールートヘルツ」などと言います。mは長さですが、/sqrt(Hz)というのは周波数密度あたりという意味になります。なので、どの周波数を見るかということを決めなければ実際の揺れの大きさにはなりません。観測する周波数帯のルートをとったものを掛けて、初めて実際の振幅(切り分けるためにrms振幅などと言います、rmsはroot mean squareの意味です。)になります。例えば高い周波数から100Hzくらいまでを測定することを考えると、100Hzのルートの10を掛けたくらいの値が実際の揺れになります。すなわち、1e-7/100^2 x10 = 1e-10[m]くらいの揺れとなるわけです。高い周波数から1Hzまでを考えると1Hzのルートは1なので1e-7/1^2 x1 = 1e-7[m]となります。すなわち1Hzの揺れは0.1um(マイクロメーター)くらいということです。「1Hzで1マイクロメーターの10分の1くらい揺れている。」この数字は覚えておいても損はないです。実際の地面の揺れの大きさは場所によって違っていて、これより揺れが大きい場合が多いので、ざっくり「1秒間に1マイクロメーター揺れている」と覚えておいてもいいでしょう。

ところで、なんでこんなややこしい「パールートヘルツ」なんていう単位を用いるのでしょうか?これは地面振動のようなピークのない「なだらかなノイズ」を表示するのに適しているからです。このなだらかなノイズをこのパールートヘルツという単位で表示すると、結果は常に一定になります。もしピークがあるようなデータをこのパールートヘルツで表示すると、表示の仕方(FFTのバンド幅の取り方)によってピークの高さが変わってしまいます。逆に「メートルパールートヘルツ」からパールートヘルツをとったメートル(rms)で表示しようとすると、ピークの高さはFFTのバンド幅によらずに一定になりますが、なだらかなところの大きさが今度はFFTのバンド幅によって表示ごとに変わってきてしまいます。グラフの単位も表示したいものによって、きちんと適したものを選ぶ必要があるということです。

この周波数密度のことをもっと知りたい場合はCQ出版の「計測のためのアナログ回路設計」という本を読んでみてください。かなりわかりやすく書いてあります。これより簡単な説明を少なくとも私はみたことがありません。

後半の記事に続きます。
 

先日のVAISCでの月の撮影時の分解能について、天文リフレクションズのピックアップで少し取り上げてもらえました。



まず、
  • VISACのエアリーディスク径が12μmでASI294MC Proのピクセルピッチが4.65μmでもアンダーサンプリングで、最小星像径の1/2.5の大きさのピクセルでは光学系の性能はフル発揮できないことは衝撃的
との指摘で、その後の投稿で
  • 星が1ピクセルでは全く足りなくて、2x2ピクセルでもまだ不足。星像径12μでASI178MCのピクセルピッチ2.4uが充分効果的というのは納得 
という意見でした。実際の場合でも納得というのは心強い意見です。

さらにHIROPONさんから
  • 鏡筒の「遮断空間周波数」(Spatial cutoff frequency)とセンサーのナイキスト周波数から考えて、2.25μmがフルに鏡筒の性能を生かせる
 という説明がありました。2.25umは実際に試した2.4umに近いピッチだったので、それほど間違ったことをやっているわけでもないと思います。標本化定理を考えると、情報を落とさないという意味では理論的にはほぼこれで決定なのですが、今回はもう少し実感が湧くように実際の画像で考えてみたいと思います。


エアリーディスクの可視化

エアリーディスクについては、以前ラッキーイメージングのところで議論しましたが、



1次のベッセル関数を使って

2J1(x)/x

のように書くことができます。ただしこれは1次元の場合なので、平面で表すためにxをr=sqrt(x^2+y^2)と書いてやり、2次元で表します。それを例えばMathematicaなどで等高図(密度分布)で書いてやると

airydisk


のようにエアリーディスクの形になり、ディフラクションリングも(グラフではちょと薄く見えてしまいますが)実際のイメージに近く見えるようになります。さて、今回はこれを元にCMOSカメラで分解能がどれくらい出るかを検証します、


レイリー限界

今回、カメラの分解能をわかりやすく見るために何が一番いい指標になるか、色々考えてみました。エアリーディスクそのままよりも、レイリー限界に相当する2つのエアリーディスクを2次元等高線で書いてから、それをカメラのピクセルピッチの粗い画素で見たときにどうなるかを表すのがわかりやすいのではと考えました。

まずはレイリー限界で離れている2つのエアリーディスクを等高図で出してみます。レイリー限界は、エアリーディスクの最初に一番暗くなった部分が、隣のエアリーディスクの最大のところにかかるというのが定義です。

VISACの場合、F9なので、標準の550nmの波長を考えた時に、エアリーディスク径は

Da = 2.44 F λ = 2.44 x 9 x 0.55 [um] = 12.1 [um]

となります。一方レイリー限界は一般的な式では口径のみで決まり、


DR=127.5D[mm][arcsec] = 0.6375 [arcsec] 

となりなります。単位が秒角なので、これをわかりやすいようにumに変換します。焦点距離1800mmの場合のarcsecからumへの変換係数

Cumarcsec=tan(12×60×60π180)×2× 1800×1000       = 8.73 [um/arcsec]

をかけてやると、レイリー限界は0.6375 [arcsec] x 0.73 [um/arcsec] = 5.56umということになります。このように、レイリー限界がエアリーディスク径の約半分になるということはラッキーイメージングの時に議論しました。

これをMathematicaでグラフで表してやると

DensityPlot[(2 BesselJ[1, Sqrt[(x - 3.831705970207512`/2)^2 + y^2]]/
      Sqrt[(x - 3.831705970207512`/2)^2 + y^2])^2 + (2 BesselJ[1, 
       Sqrt[(x + 3.831705970207512`/2)^2 + y^2]]/
      Sqrt[(x + 3.831705970207512`/2)^2 + y^2])^2, {x, -10, 
  10}, {y, -10, 10}, PlotPoints -> 100, PlotRange -> All, 
 PlotLegends -> Automatic, ColorFunction -> ColorData["GrayTones"]
 ]

rayleigh

エアリーディスクの暗くなった部分の中心が、隣のエアリーディスクの一番明るい部分を通っていることがわかると思います。式の中の、3.8317...とかいう数字は、一番最初のエアリーディスク径の式で強度が0になるxの値です。これがVISACの場合、5.56umに一致するというわけです。

ちなみに、ASI294MC Proのピクセルピッチが4.63umなので、だいたいレイリー限界くらい、もしくはエアリーディスクの半分か、3分の1くらいになります。


カメラセンサーで見た場合1: レイリー限界ピッチ

さて、面白いのはここからです。Mathematica上でセンサーアレイを再現するために、Table関数を使いました。あ、本当はカラーセンサーにしたいのですが、とりあえずモノクロで考えます。まずは、センサーのピクセルピッチがレイリー限界と同じ5.56umだった場合です。ASI294MC Proでもざっくりこれくらいと同じと考えていいでしょう。

array = Table[(2 BesselJ[1, Sqrt[(x - 3.831705970207512`/2)^2 + y^2]]/
        Sqrt[(x - 3.831705970207512`/2)^2 + y^2])^2 + (2 BesselJ[1, 
         Sqrt[(x + 3.831705970207512`/2)^2 + y^2]]/
        Sqrt[(x + 3.831705970207512`/2)^2 + 
          y^2])^2, {y, -3.831705970207512` 3, 3.831705970207512` 3, 
    3.831705970207512`/1}, {x, -3.831705970207512` 3, 
    3.831705970207512` 3, 3.831705970207512`/1}];

plot = ArrayPlot[array, Frame -> True, FrameTicks -> Automatic, 
  ImageSize -> 1.95/2 -> {50, 50}, PlotRangePadding -> 0.12, 
  PlotLegends -> Automatic,  ColorFunction -> ColorData["GrayTones"], 
  PlotRange -> All]

rayleigh_CMOS

まあ予想通りというか、全く分離できていません。横に広がっているだけに見えます。この場合はたまたまピクセルの中央がちょうど二つのエアリーディスクの中心と一致した場合です。ピクセルの境がエアリーディスクの中心と一致した場合はどうなるかというと、

rayleigh_CMOS_border
と、こちらも2ピクセルが同じような明るさになりますが、横長に見えるだけなのは変わりません。


カメラセンサーで見た場合2: レイリー限界の半分のピッチ

では次に、ピクセルピッチをレイリー限界の半分の2.78 [um] にしてみましょう。

rayleigh_CMOS_half
これは劇的な変化です。完全に二つのエアリーディスク光源が分離できます。

この時点で言えることは、レイリー限界よりピクセルピッチを小さくすることで、まだまだ鏡筒が持っている分解能のポテンシャルを引き出すことができる可能性があることを示しています。


さて、調子に乗ってもう少し試します。ピクセルピッチをレイリー限界の3分の1にした場合です。

rayleigh_CMOS_one_3rd
当然ですが、まだ分解能は上がります。さて、どこまで分解能が上がるかと言うと、理想的には一番上の図のようなところまで見えるのですが、実際にはそんなことはなく必ずいろんな制限があります。

まず、オーバーサンプリングの時に出てくるエイリアスの効果は入っていないので、実際にはゴーストのような像が出てくる可能性があります。また、シンチレーションが悪い、地面の揺れや風などで鏡筒が揺らされている場合は、このような改善は全く得られない可能性があることは言うまでもありません。特に長時間露光が必要なDSOなどの撮影では、揺れの効果が積分されるので、ピクセルピッチをあげても鏡筒の性能を引き出すことは難しい場合もあることを忘れないでおきたいです。

逆に、惑星や月のように明る天体を短時間露光で動画などで多数枚画像をスタックすると、シンチレーションの影響などを小さくすることができ、今回検証したようなピクセルピッチを小さくすることで分解能の改善が期待できるような理想的な状態に近づくのかと思います。


実際のカメラのピクセルサイズで

最後に、前回試したASI294MC ProとASI178MCのピクセルピッチで計算してみます。ただし、これらのカメラはカラーセンサーで、4ピクセルを使って3つのカラーの画素を出すので、分解能は上のモノクロのものよりも更に悪くなるはずです。本当はカラーセンサーをシミュレートしたかったのですが、ちょっと力尽きました。なので、以下の結果は参考程度で、実際にはこれの倍くらい分解能が悪くなると思ってください。


ASI294MC Proでピクセルピッチが4.63umの場合:

rayleigh_CMOS_294
ピクセルピッチがレイリー限界の時とほとんど変わらない結果ですね。

次にASI178MCの場合で、ピクセルピッチが2.4umのときです。

rayleigh_CMOS_178
これもピクセルピッチをレイリー限界の半分にした時の結果とほとんど変わらないです。。

繰り返しになりますが、これはモノクロセンサーと仮定し計算した時のものなので、カラーセンサーにした時には分解能が更に倍悪くなります。そのためピッチを小さくする効果はもっと大きくなるのかと思います。


まとめ

簡単な検証でしたが、ピクセルピッチを小さくするのは分解能を上げるのまだまだ有効で、特にシンチレーションの影響を避けることができる惑星や月の撮影では効果が高いと思われます。ただし、ピクセルサイズを小さくすると一般的に感度が悪くなるので、特にDSOなどの暗い天体をラッキーイメージングなどで撮影する場合には、実質損をしないかどうかきちんと検討する必要があります。

また、センサーのピクセルサイズを小さくする代わりに、バローレンズで像を拡大して相対的にピクセルピッチを改善する方法もありますが、これも拡大することで明るさを失っていきます。天体の明るさ、鏡筒の口径とF値、カメラのピクセルピッチ、カメラの感度、露光時間、シンチレーションなどが複雑に絡んで実際の分解能に結びつきます。今回検証したのはその中のごくごくほんの一部です。

いつも思うことは、何が問題になっているのか、何が性能を制限しているのかを考え、そこを叩くことが重要なのかと思います。


ラッキーイメージングを少し始めたのですが、どうも腑に落ちません。トラベジウムの分離がイマイチできていない気がするのです。


星像の大きさについて

もともとは、MEADEの25cmシュミカセで0.1秒と1秒と10秒で星像を比べたのがきっかけです。もしシーイングが悪いせいで揺らぐなら、露光時間が短い場合と長い場合で、星像にあからさまに差がつくはずです。ですが、結果は差はつきますが本当にごくわずか。いろいろ試していたとき気づいたのが、そもそも中心像でもボタっとしていて、星像が大きすぎるのではないかということ。

それでも念の為ですが、M42を高解像度で撮ったと言われている、他の方の、すでに画像処理を施した他とトラペジウム周りを見比べてみると、自分のものはベストではないが、それほど悪いわけでもなさそうです。画像を見比べただけの分離度はそんなに差はありません。

また、もう一つ気づいたことがあって、微恒星がどこまで出るかも一つの指標になりそうです。例えばトラペジウムだけを分離度よく見せかけようとしたら、画像処理でどうにかできてしまいます。でも微恒星が写るかどうかは解像度に結構依っているようで、トラペジウムだけよく分離しているように誤魔化しても微恒星が出てこなくなります。なので、微恒星も同時にみるとどれだけ分解能が出ているかが判別しやすくなります。


目的

と、ここまでが前置きで、今回試したかったのは果たして理屈の上ではどれくらいの分解能があるはずで、実測した分解能とどれくらい乖離があるかを見極めることです。

もともとの目的は、今の手持ちのMEADE25cmおよびC8の性能がきちんと出ているのか、まだ性能が引き出せるい可能性があるのかを探りたいということです。要するにボテっとしている星像はこんなもんで正しいのか、それとももっと改善できるかが知りたいのです。

今回検討したことは4つ。
  1. エアリーディスク(Airy disk)
  2. レイリー限界(Rayleigh criterion)
  3. スポットダイアグラム(spot diagram)
  4. シーイング(seeing)
です。


エアリーディスク

エアリーディスクによる星像がどのようになるかですが、式の上ではエアリーディスク径Da

Da=2.44Fλ

のようになります。ここで、は鏡筒のF値で、λ は波長です。ただ、エアリーディスク径といっても、式だけみると一体どこの径のことを言っているのかよくわかりません。よく調べてみると、上の式の場合は直径を表しているとのことです。それでも直径といってもどこのことなのか?これはなぜこの式が出てきたのかの導出を調べるとわかります。

エアリーディスクの振幅は横軸を星像の半径方向、縦軸を振幅ととると1次ベッセル関数で表すことができます。式としては
2J1(x)/x

となり、半径 の関数である1次ベッセル関数 J1(x) を半径xで割ったような式です。この式の導出自身は平面波仮定した波素を無収差レンズに入れた時に、結像点でどのような振幅になるのかを積分してやるのですが、ここでは式の導出自体は目的ではないので、解説はその他専門の文献に譲ります。

上の式は振幅なの、実際の光強度にするためには2乗してやる必要があります。2乗したものをグラフに表すと、
airydisk

のようになります。エアリーディスク径といっているものは、このグラフで0からみて正負の方向に最初に0になる点の間の距離のことを言います。この点を求めるのはちょっと面倒なのですが、Mathematicaなどがあれば

In[192]:= FindRoot[(2 BesselJ[1, x]/x)^2 == 0, {x, 1, 5}]

Out[192]= {x -> 3.83171}

のように簡単に求めることができます。最初にゼロになるxは+/-3.83程度とわかります。

なんでこんなことをするかというと、実際の星像では強度がゼロになるところなど見えるわけがなく、普通真ん中が明るくて徐々に暗くなっていくような正規分布のような強度を持っているものにはFWHM(Full Width Half Maximam, 半値全幅)といって、最大強度の半分になるところの直径で評価します。

ではエアリーディスクのFWHMはどれくらいでしょうか?先ほどの式を2乗したもので、今度は0ではなく0.5になるようなところを求めればいいということになります。

In[198]:= FindRoot[(2 BesselJ[1, x]/x)^2 == 0.5, {x, 1, 5}]

Out[198]= {x -> 1.61634}

で、xが+/-1.62程度です。上のグラフで見ても実際にそれくらいのところですね。 なので、最初のエアリーディスク径の式を1.62/3.83=0.42倍したものがFWHMでみたエアリーディスクからくる星像と考えることができます。波長は目視の標準的な緑の550nmを選び、例えばC8の場合F10を考えるとエアリーディスク径C8

DC8=2.44Fλ=2.44×10×0.55[um]=13.42[um]

となり、FWHMでみたエアリーディスク径C8, FWHM

C8, FWHM = 13.42 [um] x 0.42 = 5.66 [um]

となります。

これを現在使っているASI294MCProで何ピクセルに相当するかも見たいので、画素ピッチ4.63[um]で割ってやると、1.22[pixel]となりますが、これだけみるとエアリーディスク径とピクセルサイズが大体同じくらいと、ずいぶん小さいことがわかります。

さらに、um(マイクロメーター)単位のものを秒角(arcsec)で表すために、umからarcsecに変換することを考えておきます。式としては

Cumarcsec=tan(12×60×60π180)×2×f×1000

となり、焦点距離 に依存します。基本的にはある焦点距離のレンズを通したものが、ある大きさ[mm]のセンサー面で結像し、そのセンサーの大きさを単位1としたという意味です。tanの中のセンサーの大きさ「1」を2で割っているのは、センサーの真ん中から片側分の大きさで決まるからです。3600で割っているのは秒から度にするため、あと、Excelなどの関数で計算する場合は単位がラジアンなので度からラジアンへの変換係数として180度で割って、πをかけています。最後の1000倍はセンサーの大きさを[mm]単位、エアリーディスクを[um]と考えたための変換係数です。

例えばC8の焦点距離200mmを入れてやると変換係数は9.70[um/arcsec]となりますが、実はエアリーディスクがF値の関数なので、エアリーディスクのF値と変換係数の焦点距離がキャンセルします。そのため、エアリーディスク径は視野角の秒で書くとF値や焦点距離にによらず一定で、FWHMで書いた場合0.584[arcsec]程度となります。


レイリー限界

レイリー限界を考えてみます。これも式は調べるとすぐに出てきます。

DR=127.5D[mm][arcsec]

鏡筒の口径[mm]だけで決まる量で、C8の場合の200mmを考えると、0.638[arcsec]となります。単位が秒角で出てくるので、上で求めた変換係数ををかけてやると、6.18umとなります。ん、FWHMで見たエアリーディスクと結構近いですね。でもこれはある意味当たり前で、レイリー限界が、2つの同じ高さのエアリーディスクを並べた時に、片側の最初の暗いリングの中心が、もう片側の強度のピークと一致する距離と定義したからです。なので結局(元の定義の)エアリーディスク径の半分程度になり、一方FWHMで見た時のエアリーディスクも元の定義の半分くらいになるので、同じような量になるわけです。

というわけで、結論としてはレイリーレンジはエアリーディスクと同じような原因なので、とりあえずここでは考えなくていいでしょう。

でもなんで一方のエアリーディスクは[um]で求めて、もう一方のレイリー限界は[arcsec] で求めるんでしょうね?両方ともarcsecで式を書いておいた方が、F値によらないので楽な気がするのですが。


スポットダイアグラム

だんだん、現実的になってきます。スポットダイアグラムはなかなか評価が難しいのですが、とりあえずC8相当の口径20cm、F10のシュミカセをLensCalでシュミレートしたスポットダイアグラムを元にします。緑の550nm付近が支配するくらいだと下からわかるように、黒い参照円の直径が20umなので、緑の部分は8um程度です。

IMG_6880

緑だけでなく、可視光とされる範囲の波長を考えると40umくらいになってしまいます。

IMG_6881

どの色までを考えるかはなかなか難しいです。実際の色のついた星をある波長依存性を持ったカメラで撮影して像を結んだものが、映った星像となるので、一概にはなかなか言えません。ここでは最大径として可視光を仮定します。

スポットダイアグラムは点光源とみなせる線素が多数入った時に収差によってどれくらいスポットが広がるかを示している図であって、少なくともLensCalではエアリーディスクの効果は入っていないようです。なので、それぞれの線素がエアリーディスク径を持つと仮定すると、スポットダイアグラムの外部にエアリーディスクの半径分の広がりを持つと考えることができます。スポットダイアグラムのFWHMは外周にある線素のエアリーディスクのFWHMだけ考えればいいので、下の手書き図のようにFWFMで考えたエアリーディスクの半径を外周に持つような台形に近い形となり、それをスポットダイアグラムの径と考えていいのかと思います。

IMG_6879

計算すると、スポットダイアグラムの広がりの40[um]にFWHMでのエアリーディスク径5.66[um]を足すことになって、45.66[um]。ピクセルに直して、9.86[pixel]です。かなり大きく、C8の場合はスポットダイアグラムが支配的なのがわかります。

ただしスポットダイアグラムを見てもわかるように、実際には端の方ほど密度が少ないので、このモデルは多分正しくなくて、やはりもっと中心が盛り上がったような、FWHMでは測ってももっと径が小さく出るようなモデルにするべきかもしれません。ここら辺は次の課題とします。


実際の星像と比較してみる

さて、実際に撮影した星像を見てみましょう。2019/4/4にC8でASI294MCPro撮影したものです。

IMG_6884


シーイングの影響を少なくするために露光時間250msecで撮影した動画から、一枚だけ抜き出してFWHM測定します。測定はPixInsightを使いました。そのままのRAW画像だとBayer配列なので、PixInsight上でDeBayerをして、測定したい星像を選択します。選ぶのは少なくともサチっていない星。さらにFWHM測定ツールがカラー画像には適用できないので、gray scaleに変換してから測定しています。結果は12.62 [pixel] とのこと。計算の9.86 [pixel] より3割ほど大きいです。

(実測では次に考えるシンチレーションの影響が入っているので、計算値より大きくなった分はシンチレーションの影響と考えていいかと思います。説明は後にして結果だけ書いておくと、露光時間250msecのシンチレーションの影響は1.3秒角となります。)

ただし、例えばトラペジウムのところを3次元の等高線図で見てみると、

IMG_6882

結構尖っていてあまり台形っぽくないので、やはりモデルの方があまり合っていないかもしれません。実際にはスポットダイアグラムも端の方の効果が小さくなる気がするのですが、その一方でそのようにすると形ももう少し尖り、計算上の見積もり径は小さくなるので、結果としてはズレていく方向になってしまいます。

もう一つは観測時に鏡筒のピントや光軸がずれていた可能性があることです。ピントはSharpCapでFWHMが最小になるように合わせたので、それほどずれているとは思えませんが、光軸はあまり自信がないです。露光時間がもっと短ければ、さらに計算値に近づくかもしれません。ここら辺も次回もう少し見直すところでしょうか。


シーイング

やっとシーイングにたどり着きました。シーイングが悪いと、露光時間が増えていけば星像が大きくなるはずです。

ではC8で露光時間を先ほどの100倍の25秒かけて撮影した動画から一枚を取り出したものを見てみます。同様のFWHMを測定してみると結果は19.56pixel。0.25秒の時の倍近くなので、明らかに肥大しています。

IMG_6885

この大きさがシーイングで決まっているとすると、スポットダイアグラムで決まるような径を持った星像がシーイングで揺らされて、ランダムにある範囲内を動き回ると考えられます。スポットダイアグラム径と同程度のゆらぎの場合にはスポットダイアグラムの形や強度も揺らぐと考えられますが、ここではそれはないと仮定します。そのため簡単なモデルとしてはやはり、スポットダイアグラムの時と同様に外周にエアリーディスクの半径が付いた台形型の星像が得られるとします。

モデルからどれくらいのシーイングがあれば星像はどのくらいの大きさになる計算できます。実測が19.56umなので、先に求めたumから秒角への変換係数を用いると、25秒露光ではシーイングにより6.5秒角程度揺らされていることになります。日本では2秒角だと静かな方で、3秒角くらいが平均、ひどいと10秒角くらいになるとのことです。確かにこの日シーイングはひどかったと考えられますが、C8の結果の6.5秒角は10秒角という範囲内で、評価はそれほど間違っていることはなさそうです。


MEADE 25cmで測定した時の場合

以上のことを、前回MEADEの口径25cm、焦点距離1600mmで測定した時の結果とも照らし合わせてみます。MEADEの場合、エアリーディスク系はFWHMで0.85[pixel]とかなり小さくなります。これはF値が小さくなるためです。そのためスポットダイアグラム、シーイングでも外周のエアリーディスク半径自身が小さくなるので、ともに星像の肥大が多少抑えられます。

例えば、前回
  • 0.1秒露光: FWHM = 6.952 pixel
  • 1秒露光: FWHM = 7.333 pixel
  • 10秒露光: FWHM = 8.108 pixel
という結果が得られましたが、これはあくまでスタックされたものです。それでも0.1秒露光の動画から一枚だけ抜き出してきてFWHMを測定しても6.0pixel程度とほとんど変わりません。スタックはそこそこうまくできていることがわかります。また、10秒露光でも肥大がそれほどないことから、この日はシーイングが相当よかったことがわかります。

本当はC8でやったような計算をMEADEの25cmでやりたいのですが、MEADE用のスポットダイアグラムがなかなか計算できない、もしくは見つからないのです。なので、MEADEのスポトダイアグラムは0.1秒露光の星像がシーイングでのブレが0だったと仮定して、スポットダイアグラムがほとんど径を制限しているとすると、スポットダイアグラムの上限は25[um]ほどになります。たとえ0.1秒露光でシーイングがある場合は、スポットダイアグラムが小さくなるセンスです。なのでこれが正しいなら、いずれにせよ中心像に関してはC8よりもMEADEの方がかなり性能がいいことになります。ただし、四隅のコマ収差はF値の2乗に反比例して悪くなっていくので、MEADEの方が(10/6.3)^2=2.5倍くらい大きく出るはずです。コマ補正は必須でしょう。

さらに、10秒露光での星像が長時間露光のためにシーイングで制限されているとすると、その揺れ幅はモデルから1.2秒角程度と計算できますです。C8で測定した時よりもはるかにシーイングの影響が少なく、揺れも少なかったものと考えられます。実際の動画を今更ながら見ても、ほとんど揺れていなかったことがよくわかります。トラペジウムのところで分離が悪いように見えましたが、あからさまにサチっていたので、これは何の評価にもなっていませんでした。

このような日はスポットダイアグラムで支配されるような星像がえられているはずなので、スポットダイアグラムがさらにいい鏡筒を選ぶことで、星像の大きさは改善されるはずですが、逆に言うとラッキイメージングで星像があまり改善されない日ということもできます。



考察

モデル化などまだ不十分な点はありますが、それでも今回のことからいろいろなことがわかります。
  • 露光時間が長くなると星像が肥大化することが確かめられた。
  • 露光時間によって径が変わる範囲では、シーイングによる影響が効いていると思って間違いない。
  • C8で測定した日はシーイングが悪かったようである。
  • このような場合、星像の大きさは現実的に撮影するような1秒以上の時間単位ではシーイングに制限されている。
  • 1秒をはるかに切るような短時間露光では、シーイングの影響のない星像を得ることができる可能性があるが、明るさが足りない、撮影枚数が増える、スタック処理が大変などを考えると、あまり現実的ではない。
  • ラッキーイメージで露光時間を短くすれば星像の改善にそのまま繋がる。
  • MEADEで測定した日はシーイングが良かったようである。
  • 短時間露光のスタック方法も、特に問題ないこともわかった。一枚だけの星像の径と、スタックした後の星像の径を比較すればすぐにわかる。
  • このような日は鏡筒の、特にスポットダイアグラムの性能が効いてくるので、より性能のいい鏡筒が星像を改善する。
  • 逆に言うと、ラッキーイメージでの星像の改善をあまり望めない日でもある。
画像を見ただけでは実際の径は全然わかりません。階調圧縮や拡大でFWHM径は容易にかわってしまいますし、単に画像処理で小さく見せてしまうこともできます。サチらない範囲で星像を撮影して、きちんと測定することが大事です。


課題もまだあります。
  • スポットダイアグラムの中心と端の部分で同じように評価していいのか。端の方が密度が薄くはずなので、実効径はもう少し小さくていいはずである。また、波長によってスポットダイアグラムがちがうので、これも端の方がより密度が低く、実効径はもう少し小さくなるはず。
  • 超短時間で露光した場合は、スポットダイアグラムで支配されるような径に一致するのか?もしそうなら、それがスポットダイアグラムの実測径とすることができそうである。

結論

まず結論の一つとして言えることは、実際の撮影では、短時間露光の動画を見て、明らかに揺れている場合は露光時間を短くとるといいということでしょう。短時間露光の動画を見て、あまり揺れていなければ露光時間を延ばしてリードノイズの効きを緩和していった方が有利です。

それでは今回の元々の目的の、C8やMEADEで撮影した星像はおかしいのでしょうか?それとも正しかったのでしょうか?計算してみると、シーイングにかなり左右されますが、少なくとも説明できる範囲内には入っているようで、光軸など多少の改善の余地はあるものの、性能としておかしなことが出ていると言うことではないようです。

シーイングがいい時にはこの鏡筒の性能に制限されることもありますが、シーイングが悪い時には性能は何ら問題ではないということがわかります。ただし、ラッキーイメージングでシーイングの影響を除いていく時に、鏡筒の性能で制限される時がくることがあるはずです。それでも現実の1秒程度の露光時間でもまだシーイングが効いている(星像が揺れている)時には鏡筒はこのままで十分でしょう。ただしこれはあくまで中心像のみの話で、周辺像の例えばコマ収差が効いてくるような場合はシーイングの影響よりもスポットダイアグラムで見た径が効いてくるので、この補正をきちんとするなりする必要があります。四隅の短時間露光映像もきちんと見て、全然揺れていなければラッキーイメージの効果はあまりなく、むしろ鏡筒の性能を改善した方がいいということです。

いずれも、結論としては短時間露光の動画を見てスポットが動くならラッキーイメージングで鏡筒の性能に迫る努力をする、動かないなら鏡筒の性能で制限されていると判断して差し支えないと思います。


まとめ

色々長々と書きましたが、計算量は大したことはありません。これだけの検討でかなりのことが納得できました。ラッキーイメージングで露光時間をどれくらいにすれば価値があるのかもだいぶんわかってきました。次回以降、実際の撮影で試していきたいと思います。

 

しつこいようですが、いまだにコンバージョンファクターの測定です。だんだん何が目的かわからなくなってくる完全に自己満足の世界です。カラーでどうしても疑問が解決しないので、モノクロCMOSカメラのASI290MMを使って、基本に立ち返って検証してみました。


疑問点


疑問は2つ。
  1. ノイズの評価に標準偏差を使うとSharpCapに比べて大きく出すぎる。平均偏差だと同じくらいのノイズになるが、正しい方向なのか?
  2. debayerをするとノイズが平均化され小さく出るが、果たして公平な解析と言えるのか?
です。カラーカメラは余分な処理も多いので、もっとシンプルなモノクロCMOSカメラを使えば何か知見が得られるかもしれません。


モノクロカメラのSharpCapでの自動測定の結果


まずはSharpCapのセンサー測定機能で測定してみます。光源はこれまで通りiPadのColor Screenです。測定結果だけ示しますが、ほぼメーカー値と同じ値が出ます。ゲイン0でのコンバージョンファクター(Gain, e/ADU)は3.6程度です。

IMG_6411


モノクロカメラのマニュアル測定と自作コードでの解析の結果

次は自分で撮影して、その画像を解析します。画像の撮影自身にはSharpCapを使いました。今回はより厳密に、SharpCapで自動測定している様子をビデオに撮って、その時に使われたパラメータ、特に露光時間を全く同じにして測定しました。解析はpythonでの自作コードです。結果を示しますが、ここでは2つの結果を比較したいと思います。まず一つは、ノイズの評価に標準偏差を使ったもの。これはカラーCMOSカメラの場合は、ノイズが大きすぎると結論を出したものです。結果です。

Conversion_Factor_ASI290MM_std
モノクロの場合は標準偏差を使うことで、少しだけずれますがほぼメーカー値およびSharpCapの自動測定と同じ結果を出すことができるようです。Unity gainのズレとして15程度、1.5dBなので、1.18倍くらいの違いなので、まあ許容範囲でしょう。

一方、カラーで正しそうな値を出した平均偏差を使った場合の結果はというと

Conversion_Factor_ASI290MM_madmean
というように、ノイズが小さく評価されすぎていてメーカー値より大きなコンバージョンファクターとなってしまっています。

カラーカメラを再びマニュアルで解析

前回の測定は何かまだ問題があったかもしれません。再確認のために、モノクロカメラで測定した時と限りなく同様に、自動測定の時の様子をビデオに撮影し、その時のパラメーターを再現することで、より厳密にマニュアルで撮影、解析してみました。

まずは一番素直でモノクロの結果に一番近いはずの、標準偏差でのノイズ評価と、CFA分離です。結果はやはりノイズが大きく出すぎていて、コンバージョンファクターはメーカー値4程度に対して、わずか半分程度と出てしまいます。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_CFA_std1
次に、CFA分離ですが平均偏差での評価です。3.3程度とだいぶんましになりますが、やはりまだ4とは優位にズレがあります。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_CFA_madmean


次に、あぷらなーとさんが解析してくれたようにdebayerした場合です。ノイズが平均化されてばらつきが少なく出ます。まずは標準偏差を使ってノイズ評価した場合。それでも結果は2.5程度と、まだノイズが大きく出すぎています。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_RGB_std

最後に、前回正しいと判断したdebayerして平均偏差をノイズ評価に使った場合です。結果は4.06と、メーカー値の4程度にかなり近い値が「たまたま」出ています。

Conversion_ASI294MC_Pro_Factor_RGB_madmean

今回はモノクロで正しい値が出たものと、相当近い方法でより厳密に測定していますが、結果は前回と変わりませんでした。前回もすでに、測り方としては特におかしい方法だったわけではない、ということがわかります。でもやはりこの平均偏差を使うことと、debayerでノイズを小さく見積もることが、恣意的な操作がなされているようで、どうしても正しいと思うことができません。


考察

モノクロの結果だけ見ると、ノイズの評価には標準偏差を使うことで、メーカー値やSharpCapと同様の結果を出すことができるので、標準偏差を使った方が正しそうということがわかり、統計の観点から言ってもその後の解析もしやすそうですし、素直な気がします。debayerで滑らかになったものを評価するような恣意的なことも入り込む余地もないので、このモノクロの結果には特に疑問となるようなことはありません。

それではなぜカラーCMOSカメラの場合は標準偏差を使うとノイズが大きく出すぎたり、debayerしたものの方よりも、RGGBのアレイごとに分割したCFA分離の方のノイズがメーカー値よりも大きな値が出たりしてしまうのでしょうか?SharpCapのSensor Analysisの説明
if you have a colour camera it must be in a RAW mode to perform sensor analysis as the debayer process used to convert RAW images into RGB or MONO images causes sensor analysis to give incorrect results.
という記述があることから、やはり解析の際にはdebayerはしていないようにしているようにとれます。


補足

ここで少し気づくことがありました。下の写真はカラーのASI294MC ProでADU値が10000程度の時を測定している様子です。

IMG_6436

SharpCapでは16bit形式で値を出しているので、実際に記録された14bitに換算する場合は4で割ってやります。横軸は10000程度になることがわかります。

ノイズは4で割って、さらにdebayerした時に15くらい下がることを考えると、RGBともに200後半台なので、結果として50程度になることが予測できます。ノイズは2条分布で評価するので、この50を2乗して2500程度。先ほどの10000をこの2500で割ってやるとコンバージョンファクターになって、10000/2500=4程度となるわけです。でもよく見るとRGBの線の他にもう一本白い線があり、こちらの方がかなり小さいノイズになっています。たぶんこれLなんですが、でもなんで?RGBよりもばらつき具合が小さくなる理由が全くわからないです。

Lの標準偏差で評価した時のノイズが、RGBでdebayerして平均偏差を使った時のノイズと、数学的に等価になるとか証明できたら安心して校舎を使うことができますが、パッと考えてもなかなかイメージできません。あと、Lのノイズが小さすぎることも気になります。

(追記: 一晩寝て考えたら多分謎が解けました。もっと単純な話で、今晩帰ったら検証してみます。)
(さらに追記: ヤッリダメでした。詳しくはコメント欄を。何か根本的におかしなところがあるのか?)

まとめ


いずれにせよ、SharpCapの自動測定は何かRGBとは違う評価方法を使っているのかと推測できます。

まだまだ先は長いですが、コンバージョンファクターもそろそろ飽きてきました。この状態だとまだASI294MCのダークノイズの評価の準備がまだ整っていない気もしますが、徐々にちらの方に移っていこうと思います。


ASI294MC Proのコンバージョンファクターを求める一環であぷらなーとさんからのコメントがあり、debayerせずにRGGBの画素ごとに分離してみたらという助言がありましたので試してみました。 

RGB分離したファイルからS-N^2分布をプロットするpythonコードを、fitsから直接CFA (Color Filter Array)のRGGBの4つ分に分離するようなものに改良して再度プロット。画像数は縦横2分の1、面積では4分の1になります。結果が以下のようになります。

20190304_02_Conversion_Factor_CFA



ところがグラフを見てもわかるように、全然メーカー値(コンバージョンファクター: 4程度、ユニティーゲイン:120程度)を再現できていません。要するに各画素の画像ファイルのノイズが大きい、すなわち輝度のばらつきが大きすぎるのです。 自分で書いたルーチンが何かおかしいのかと疑い、PixInsightを使ってマニュアルでも解析してみました。

PixInsightにはPreprocessingのところにSplitCFAというコマンドがあります。これを画像に適用してやると、画素ごとに分離された画像が自動的に出来上がります。この画像を使って、これもPixInsight上のImageInspection -> Statisticsで統計的な値をみてやりましたが、pythonで解析したのと同様の傾向でした。また、CosmeticCorrectionでのホットピクセルとクールピクセルの除去は結果にほとんど影響を与えませんでした。これは中心付近だけをみてもほとんどホットピクセルとクールピクセルが入っていないからかと思われます。

わかりやすいところで、輝度10000付近になるところを例として、結果を示しておきます。

Capture_00_16_30_00010_00_20_06_cc_CFA0->Preview01
CFA0 CFA1 CFA2 CFA3
count (px) 15544 12540 15120 14868
mean 10205.3 9805.5 9803.4 9209.9
median 10205.5 9806.6 9803.6 9209.6
stdDev 65.7 67.0 65.3 61.1
avgDev 52.6 53.2 51.9 48.9
MAD 44.0 44.0 44.0 42.0
minimum        9912.5 9528.6 9543.6 8977.6
maximum        10444.5 10049.5 10084.5 9475.6


Capture_00_16_30_00010_00_20_06_cc_RGB_VNG->Preview01
R G B
count (px) 14950 14950 14950
mean 10229.3 9798.6 9206.1
median 10229.5 9798.8 9206.9
stdDev 59.566 56.9 57.6
avgDev 47.138 44.4 45.6
MAD 39.040 36.2 38.0
minimum 10003.5 9551.6 8941.1
maximum 10484.4 10049.5 9445.2


上がCFAで分離した場合、下がdebayerした場合になります。赤いところを見比べればいいのですが、全く同じ画像から作り出したにも関わらず、明らかにCFA分離の方が平均偏差(avgDev)が大きく出てしまっています。あまり大きな差に見えないかもしれませんが、分布図を作るときにこの値を2乗してプロットするので、ざっくり(52/46)^2で1.28、約3割の増加です。1次グラフの傾きも3割くらい変わってきて、コンバージョンファクターも、ユニティーゲインも3割くらい(ZWOカメラのゲインにして40程度)変化があります。

どうもPixInsightでdebayerをするときにばらつきが減るような効果があるようなのですが、なぜそうなるのかはまだよく理解できていません。ただ、SharpCapでもただちにRGBにdebayerして測定していると思われるので、とりあえずはdebayerを正しいと思って進めることにします。

まとめですが、今回の過程でまだ2つのしっくりこない部分が残りました。
  • ばらつき具合を評価するのに標準偏差よりも平均偏差を使ったこと。
  • debayerとCFA分離でノイズに明らかに差が出る。debayerの方がノイズが少ない。
ということが判明したのですが、特に後者のわかりやすい説明があれば知りたいです。

debayerの時に周りの(同じカラーの)ピクセルの値を一部情報として輝度を決めるはずなので、確かに少しばらつきがなくなるというのも一理あるのですが、はたしてそれを性能評価として使っていいものなのか?科学的には間違っている気がしてなりません。

ではなぜメーカー値もSharpCapも同じ値を出せるのか?やはりまだ何か自分が根本的に間違っているのでしょうか?


続きの記事。

 

年が明けてもうだいぶん立っていますが、相変わらずやりたいことだらけです。でも時間も天気も全然思い通りになりません。なので今年の目標を書くだけ書いておこうかと思います。長期目標も入っているので、まあできる範囲ということで。


機材関連
  1. FS-60Qにカメラを付けたままでしまえるケース
  2. MEAD 25cmシュミカセ用フードをヒーターに改造
  3. Vixen Portaの経緯台の評価と安定化
  4. α7sの入手
  5. 焦点距離100mmくらいの、いいカメラレンズを手に入れる
  6. FS-60Qより長焦点の撮影鏡筒を手に入れる
  7. 双眼鏡の性能がわかるようになる
1のケースは今年初めに実家の名古屋のホームセンターで大きなものを見つけました。スポンジを入れて今はこんな風になっています。エクステンダーをつけてもカメラを外さずに入れることができます。とにかく、組み立ての時間を短縮したいので、できるだけ分解せずに出し入れできるケースにしました。何度か使ってみてもう少しスポンジの位置を調整します。

IMG_6195

2は国際光器で購入したフードがあるのですが、冬場にはヒーターが必須なことがわかりました。ヒータ付きのものはサイズが限られたり高価だったりするので、自分で改造するつもりです。実はもうニクロム線とかも買ってあるので、近いうちに改造です。

3ですが、VixenのPortaを小海の星フェスで手に入れて、自宅で一度月や星を見てみたのですが、思ったより揺れてしまいます。なんでこんなに揺れるのか、対策はできないかなど、時間ができたら試してみたいです。

IMG_5577


4は長期計画の一つで、予算ができたら手に入れておきたいと思っています。α7sとSharpCapでライブスタックができる可能性が何通りか見えてきているので、予算の都合がつけば早めに試したいところです。また、30秒縛りの星景写真でも威力を発揮しそうなので、できれば夏までには手に入れたいのですが、予算が...。

5ですが、FS-60CB+レデューサーで焦点距離255mmです。もう少し広角で撮りたい時のレンズが今のところありません。撮影に耐えるようなレンズを手に入れておきたいですが、3が先か、4が先か?

6はさらに長期での計画です。600mmを超えた長焦点の撮影鏡筒の可能性を探っているところで、今のシュミカセの延長になるのか、屈折にするのか?まだまだのんびりと結論を出すつもりです。

7ですが、このまえ安価な双眼鏡を購入しました。でもまだまだ双眼鏡を見る目を全然持っていません。そのうちレポートしますが、私にとって双眼鏡という分野はまだまだ長期計画の部類でしょうか。あ、できればもうこれ以上沼に落ちたくはないとは思っています。一応。


撮影

撮影関連の目標は結構具体的です。機材関連のことも一部入っています。
  1. FS-60CBでのレデューサとマルチフラットナーを使った継続的な撮影
  2. AZ-GTiの赤道儀モードでのガイド撮影
  3. C8での太陽Hα撮影
  4. シュミカセのコマ収差の補正
  5. シュミカセを使ったラッキーイメージ法での遠方銀河の撮影
  6. 冷却CMOSカメラに慣れる
  7. モノクロでの天体撮影
  8. モノクロ冷却カメラの入手と撮影
1はQBPの入手とともに、すでに始めています。ちょっとづつですが結果も出てきているので、継続して続けていきたいです。

2は昨年やり残したことで、ガイド付きではまだ撮影に入ったていません。すでに短時間の数ショットでは試しているのですが、長時間撮影までまだ及んでいません。近いうちに試そうと思っています。

3は昨年のリベンジです。危険でなく、口径を生かせる安価な方法を考えています。これは早いうちに試したいです。

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昨年C8で太陽の熱で割れたフィルター。もっと安全な方法を探ります。


4から6くらいまではセットで考えていて、最近冷却カメラを手に入れたので、夏頃までになんとかものにしたいです。

IMG_6182


7と8はまだ長期計画で、来年以降になるかもしれません。


画像処理
  1. FS-60CB用+レデューサーの四隅の処理法
  2. FS-60CB用+マルチフラットナーの四隅の処理法
新しく手に入れたレデューサーとマルチフラットナーですが、レデューサーで撮影した画像をみるとぱっと見は不満はないですが、強拡大すると四隅は完全な星像にはなっていません。画像処理でどこまで綺麗になるのか、もう少し試してみたいです。


電視観望
  1. 季節ごとの電視観望に適した天体リストの作成
  2. 電視メシエマラソン
昨年はASI294MCを手に入れたおかげで、電視観望のクオリティーが大幅に上がりました。これはセンサー面積によるところが大きいです。また、後半に手に入れたAZ-GTiが電視観望に向いているので、こちらも機材のコンパクト化に大きく貢献してくれました。

IMG_4972
AZ-GTiで電視観望用のセットアップがかなりコンパクトになりました。

2ですが、昔電視メシエマラソンの練習だけしました。月と天気を選んでまるまる一晩やってみたいです。ライブ配信とかできたらいいのですが、自宅から離れるとネット環境が厳しいのでなかなか難しそうです。


考察など
  1. シュミカセの補正レンズの設計と簡単な試験
  2. FS-60CBの光学設計を理解、フラットナー、レデューサーでの星像の再現
  3. CMOSカメラのゲインの最適値の議論
ラッキーイメージに関連して、もう少しきちんとシュミカセの理解と補正法を、光学設計の観点から確認しておきたいと思っています。あわよくば、FS-60CBで旧フラットナーとか今回購入したフラットナーとレデューサーのスポットダイアグラムの再現ができたらと思っています。

3はあぷらなーとさんのブログで質問されたのですが、なかなかパッと答えるのは難しくて、もう一度きちんと今考えることができるものを考慮して、一から追ってみたいと思っています。


その他
  1. 機材リストのアップデート
  2. 古い機材の整理整頓
星を始めてから2年半で手に入れた、ほぼ全ての機材のリストをエクセルで作っています。それぞれの値段も記載しててあるのですが、合計を取るのが怖い怖い。でも最近書き込むのをサボっているので、レシートとにらめっこでリストのアップデートが必要です。

ついでに今の機材で稼働率が良くないものを見直して、活用できる手を考えたいと思っています。


まとめ

まあ、こうやってみるとやっぱりやりたいことだらけですね。どこまでできることやら。でもどれも楽しみながらできそうで、あくまで仕事ではなく趣味の範囲なので、あせらず、やりたい時に気の向くままにやろうと思っています。

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