ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 参考資料

先日天文ガイドを大量にいただいた方から、さらに昔の1976年から1980年の天文ガイド70冊を追加でいただきました。まだ創刊してから10年くらいの時代のものです。しかも専用バインダーに綴じられています。まだ前の280冊が読めていないのですが、先に一番古い1976年から読み込んでみることにしました。

IMG_2766


そもそも1970年代の天文雑誌は友人の家や店などで何冊かをちらっと見たことはあったのですが、じっくり読むのは初めてです。富田弘一郎氏、宮本正太郎氏など大先生クラスの方々が普通に記事を書いています。ダウエル、スリービーチ、パノップの御三家が全盛期で、もう広告を見るだけで大興奮です。

どれだけ探してもほとんど資料が出てこなかった、この間手にいれたVIxenのポラリス 80Lが普通に広告に載っていて値段まで書いてあります。口径80mm、焦点距離1200mmで、名前が1976年4月号はポラリス3で7万5千円、5月号はポラリス8Lとなっていて8万円(2017/9/21 追記: 6月号で8万2千円と訂正記事があり、その後8万2千円が続いているので、正しくは8万2千円のようです)。焦点距離と光景だけで判断したので、うちにあるのはもしかしたら勝手にポラリス80Lと思っているだけで、ポラリス3とか8Lというのが正しいのかもしれません。

カートンやEIKOWなんかはたまにヤフオクにも出るのでまだ調べたことはありますが、全然知らない望遠鏡もたくさんあります。日本精光研究所のUNITRON、キング商会のコル天体望遠鏡、ニコーギ研のニコルス、山本製作所のヤマモトなど、今ではほとんど名前を聞くことがありません。性能はどのくらいだったのか、いろいろ想像してしまいます。 GOTOのMARK-Xはこの時代のデビューなのですね。写真が白黒なのでわからないのですが、このころからあの綺麗なブルーだったのでしょうか?

昨晩自宅で撮影(網状星雲を狙っていたのですが結局途中で曇ってきて諦めました)をしていたら近所のKさんがやってきて、大きな赤道儀として旭精光の物を現役で使っていると聞きました。旭精光の名を聞いたのは昨晩が初めてだったのですが、それも普通に広告に載っています。

ミザールは1976年には名器と言われるH-100やCX-150をもう広告に乗せているのですが、CX-150の定価18万円には驚かされます。タカハシのTS100mmの反射が定価8万5千円なので、CX-150がいかに口径が大きいとはいえ、かなりの値段だったという印象です。

雑誌の広告を見ていると、自分が小さいころコンピューター雑誌の広告を食い入るほど見ていたのを思い出しました。コンピューターを手にするのがどれだけ夢だったか。分野は違えど、あの頃の天文少年達も多分一台の望遠鏡にものすごい想いを馳せていたのでしょう。


お便りコーナーはまだ僅か2ページほどと少ないのですが、相変わらず年齢層がものすごく若いです。10代後半が中心、20代前半までがほとんどです。


面白い記事をピックアップしていきます。
  • 1976年4月号に「先生はアストロカップル」という天文クラブの紹介記事があります。なんと小学校の天文クラブです。最近は高校の天文クラブでさえも珍しいのですが、この当時は小学校にも普通に天文クラブがあった時代なのかもしれません。先生夫婦の自宅のコタツに小学生が集まっている写真が載っているのですが、見ていて微笑ましいです。「生徒が帰ったあとは二人だけの...」と続いていて一瞬天文雑誌らしからぬと思ったのですが、「二人だけの星の時間が始まります。」とのことで、やはり天文雑誌です。
  • 1976年7月号に本名「すぴか」という仙台の女子高生が取り上げられています。今だったら考えられませんが、なんと住所付きで。名前の通り星が大好きな女の子のようです。今でも星を見ているのでしょうか?当時としてはとても珍しい名前のはずなので、星を続けていればどなたか知っている方もいるのかと思います。
  • 1976年9月号に「切り抜くたのしい天体観察用具」という本広告がありました。子供の科学の別冊みたいですが、「北斗七星で時刻を知る<星時計>」「昼間に金星を見る<三角木>」「ベガ星で緯度を測る<観測台>」など、とても気になるふれこみの観察用具が20種もできる本だそうです。子どもの観測用具のヒントになりそうなのでぜひ見てみたいですが、さすがに40年以上経っているので現物はもう残っていないでしょう。
  • 1976年11月号に「星空への招待」という題で福島の天文イベントの紹介がありました。スラーライトフェスティバルの前身でしょうか。このころからこういったイベントは盛んに行われていたようで、当時の様子がよくわかります。写真に写っている人みんな若いですが、とても楽しそうです。

とりあえず1年分を読んで見ました。まだまだたくさん残っています。Iさん貴重な雑誌をどうもありがとうございました。大切に読まさせていただきます。

胎内星まつりで、なぜか2年連続でテントサイトが隣同士になった、富山在住の方と知り合いになりました。原村の星まつりでも再会し、その時に雑誌のバックナンバーが楽しくて集めているとかいう話をしていたのですが、今回、昔の天文ガイドが大量にあるのでいらないかとのオファーを受け、日曜にその方の自宅に行ってきました。

IMG_2716


まず、冊数がすごいです。最近引っ越したために置き場所がなくなったとのことですが、持って帰って数えてみるとなんと280冊。一番古いのが1989年からあって、1990年台前半は少しだけ、1990年台後半から2016年まででは一冊抜けただけて、ほぼ全部揃っています。もちろん自分で集めていた多少のバックナンバーもあったのですが、9割方被らなかったので、相当補完された形です。特に、以前手に入れた1990年台前半が被らなくて助かりました。さすがにこの冊数だと読むのに時間がかかりそうですが、必ず目を通して、またこのブログでまとめ記事にしたいと思います。

実は雑誌だけでなく、自作ピラーや余っている昔の鏡筒など、色々なものも同時に頂きました。特に鏡筒は、整備して星好きだけどなかなか望遠鏡を手に入れられない子に渡したいと思っています。ポイントは1インチ接眼部から1.25インチ接眼部の変換でしょうか。アイピースは星まつりで集めた安いものがあるのですが、三脚や赤道儀、経緯台などの余りがないので、ここら辺をなんとかしなくてはいけません。細かいパーツでも新品で買っているとすぐにいい値段になってしまうので、中古やジャンクなど、できる限り安価にと思っています。

Iさんは眼視が好きと言っていました。カメラもフィルム時代のものが多いそうです。それよりもっと面白いのは、ジャンク品を安く買ってきて自分でいろいろ直して使っているところです。私もジャンク大好きなのですが、長年集めた圧倒的な機材の数には到底及ばないと思いました。屈折の対物レンズだけ手に入れて、自分で鏡筒と組み合わせて、光軸まで調整できるとのことです。いままで屈折だけは怖くてあまり分解したことがなかったのですが、これから自分でも挑戦してみようと思いました。いろいろ面白くて、午前中ずっとお話しさせてもらいました。

Iさん、たくさんの雑誌と機材、本当にありがとうございました。頂いたものはできる限り有効に使わせていただきます。


夏休みは観望会のシーズンです。お盆休み初日、毎年恒例の近所のお寺での観望会が開かれました。自宅から歩いて30秒ほどの隣のお寺で、昨年に引き続き参加しました。富山県天文学会のメンバーのKさんがこれまた歩いてそれこそ10秒のすぐお隣さんに住んでいて、今回はその方と私の二人で盛り上げていきます。

ところが今日の天気はGPVの予報で見ても全くダメ。曇りどころか雨が降りそうです。仕方ないのでお寺のお堂でのお話のみになりそうな雰囲気です。ところが今日は朝から、先の記事でも書いていた通り、望遠鏡の整備に時間を費やしてしまい、いまいちお話の準備ができていません。どうもお客さんの層を聞いて見ると小さい子が多そうなので、かねてから考えいた、絵本「ホシオくん天文台へゆく」の読み聞かせをすることにしました。

19時半からなのですが、19時少し前にお寺に行くと、すでにKさんはC9.25を準備が完了していて、屋根のある軒下に置いてありました。私の方はというと、おそらく雨も降りそうなので赤道儀を出すのは最初からあきらめ、子供に勝手に触ってもらうための、いつも大活躍のSCOPETECHと、昨日から整備しているミニポルタA70LFを自宅から手で運び、あとは曇り用にいつもの高感度CMOSカメラASI224MCで雲の隙間からの星をねらおうと準備しました。

設置している途中から子供に適当な景色を入れてもらったりしていましたが、高感度カメラで見ても結局雲間からも星は全く見えず、19時半になるとお堂で集まってのお話が始まりました。最初はKさんのお話で、MITAKAを使っての星空の紹介だったと思うのですが、実はその間も自分のトークの準備をしていて、ほとんど聞けていませんでした。ちょうどKさんの話が終わる頃に準備も完了し、まずは「ホシオくん天文台へゆく」の読み聞かせです。

私は絵本の読み聞かせというのは初めてで、うまくいくかどうかわからなかったのですが、さすがホシオくんとウチュウさんの奇妙なやりとり、小さい子もきちんと話を聞いてくれていました。総ページ数54ページと、絵本としては異例の分厚さなのですが、今日は空が見えないのでお話だけで済ませなくてはならないと思い、少しゆっくり目に読みました。長すぎもせず、早く終わりすぎもせず、ちょうどいい時間で終わるくらいでした。

その後はスライドを使って、「ホシオくん天文台にゆく」ならぬ、富山の天文台も行って星を見てみようというお話と、富山で天の川を見るには牛岳へ行ったらいいという話を交えて、これまで撮った写真などを紹介しました。こちらの方は付き添いの大人の方も楽しめたのではないかと思います。

話の途中でKさんから北極星が見え出したとの情報が入ったので、急遽話のピッチを上げて切り上げ、皆さんに外に出てもらいました。出た直後は北極星は消えてしまっていてやはりダメかとも思ったのですが、程なくして少しづつ星が見え始め、ISSが見えるほんの数分前にはちょうど北から西の空が結構見え始め、もしかしたらイリジウムフレアも見えるかもと期待が高まりました。雲が少し残っていたのですが、予測時間くらいに誰かが、「あ、動いている」とか言い出し、すぐにかなり明るい光がお寺の屋根の上をゆっくりと動いて行くのがわかりました。今日は星が見えることさえ全く期待していなかったので、かなり盛り上がりました。

IMG_2537


さらにその頃には土星が見え始め、早速整備したミニポルタで土星を導入しました。Kさんの方もC9.25で入ったとの声が上がり、さらに下の子がSCOPETECHでも導入して、3台体制でほぼ全員の人が土星を見ることができました。さすがに経緯台なので倍率をあまり上げることはできないのですが、それでもSCOPETECHもミニポルタも土星の輪ははっきりとわかるので、皆さん、特に初めて見る方は歓声を上げていました。

もともとこの観望会は子供が対象なのですが、今日はたまたま知り合いの高校生のお客さんも先生と一緒に何人か来ていて、先生も高校生も子供に混じって経緯台を駆使して土星などを導入しようとしていました。実際に私もミニポルタで自分でつけた二つ穴で導入しようとしたのですが、穴が少し小さいせいか、雲がまだかかっていて土星が明るく見えないせいか、結構難しかったのです。うちの下の子は目がいいのか、そんなことは全く気にせず平気で導入していました。

途中から夏の大三角も見え始め、星座解説も少しだけすることができました。それにしても今日は朝からずっと曇りで雨も降っていて、しかも天気予報でも夜の天気は全く期待できなかったことを思うと、意外や意外、大満足の観望会でした。

夜も21時を過ぎしばらくするとお客さんもだんだん減って来て、月の明かりが少し見え出したのですが、肝心の月の姿は厚い雲に隠れていて、まだほとんど何も見ることができません。片付け始めることに少し月が見えてきたのがわかったので、来てくれた高校生を招待して、自宅の庭で観望会第2弾の月の観望会を開始しました。そこにはSCOPETECHとミニポルタに加えて、娘が使い始めている焦点距離1200mmのビクセンのポラリス80Lと、2000mmの長焦点のC8も加えて、月を見ることにしました。計4台あったので、ほとんど一人が一台の状態で、月のクレーターの美しさにみんな感嘆の声を上げていました。22時半頃までいたでしょうか、月が雲に隠れてしまい、片付けも手伝ってもらって、ここでお開きとなりました。

今回のお寺の観望会の参加も2回目となり、昨年よりはだいぶん手慣れた自分がいることがわかりました。昨年は、確かこの観望会で初めてお客さんに自分の望遠鏡を見てもらったはずで、その時随分戸惑っていた覚えがあるので、一年経ってやっと多少お客さんにも余裕を持って楽しんでもらうことができるようになってきたのだと、少し成長が実感でき嬉しかったです。

来週このお寺の敷地を借り、下の息子Sukeが、お墓の周りを歩く肝試しをやるそうです。すでに30人以上から申し込みがあったとか。肝試しが終わったら昨年やったお化け屋敷観望会に引き続き、肝試し観望会でも開きますか。お寺さんには毎回こんな行事のために快く場所を提供していただいて、感謝感謝です。

IMG_0919










 

前回の記事から大分時間が空きましたが、久しぶりに天文ガイドバックナンバーの読み込み記事です。

IMG_2210


今回は1992年1月号から12月号の一年分ですが、今回一番思ったことがワクワク感がだんだんなくなって来たことです。 なぜだか理由ははっきりしています。この時代の広告の商品が今のラインナップともう大きく変わらないからです。もう御三家の広告もとっくになくなってしまいました。シュミカセもMEADE、Celestron共に普通に一般的になっています。値段もかなりこなれています。

もっと根本的に言うと、光学系に関してはほぼ民生の技術が確立して来た感があります。赤道儀に関しもVixenのSPから8年ぶりにバージョンアップしたGP(Grate Polaris)がこの年の5月21日に手頃な値段で出ていますし、8月号ではGPの特集が組まれています。自動導入もSKYSENSORが3にまでなっていて相当一般的になったことがわかります。特にSKYSENSORはコンセプト、方向性、メーカーの姿勢など、今見ても革新的だったことがわかります。SKYSENSORについては一度別個の記事でまとめて見たいと思っています。今も普通に使っている技術が一般的に浸透して来たのがこの頃のようです。

むしろCCDやパソコンの方がこの頃から比べて現在の技術が発達しすぎているので、隔世の感があります。例えば、8月号に初期の冷却CCDのST-4の解説が載っています。X68000(なつかしい)での画像処理だそうです。同号のカラーページにはST-4の画像例も載っています。その当時の天文マニアの最高技術だと思いますが、今の電視でのリアルタイム観望くらいの画質と比較できるくらいでしょうか。時間をかけて処理していたものが今ではリアルタイムと、やはり技術の進歩はすごいですね。なお、12月号には早速ST-6の記事も載っています。また、9月号に初のステライメージの宣伝が載っています。今のアストロアーツではなくアスキーからです。マルチメディアという言葉が流行った頃かと思います。

一方で、今ではほぼ完全に廃れてしまった、フィルム時代の吸引や増感の記事がいくつかあります。やって見たかったと思う反面、正直今のデジタル一眼の時代で楽になったのはよかったとも思えてしまいます。

特集記事などです。
  • 8月号にNifty ServeのSPACE FORUMのオフラインミーティングの特集が組まれていました。やっとこの頃マニア同士のネットでの情報交換ができ始めてきた時期です。だんだん情報が雑誌オンリーからネットに変わっていく変わり目の時代です。ただし、パソコン通信の時代の幕開けであり、まだまだインターネットは全く一般的ではありません。でもいつの時代でもマニアはやっぱりマニアですね。
  • 1月号のカノープス北限記録は昨年に引き続きまた失敗に終わっていましたが、こう言った記事は後から読んでも十分楽しめます。昨年は岩手県栗駒山で雲に覆われ失敗、この年は秋田県須川温泉ですが、やはり雲で失敗。失敗なのですが、何かやって見たいという挑戦心が刺激されます。
  • 11月号には手作りの分解能測定装置の記事がありました。92年のスターライトフェスティバルでお披露目されたそうです。手軽に分解能を測定できる環境はちょっと羨ましいです。最近の興味は惑星撮影での動画をスタックする技術での分解能です。スタックした時の分解能の理論的な限界を知りたいですが、どこかにないでしょうか?自分で計算するしかないかな?それを実測で試すのも面白そうです。
  • 1月号で投稿写真に対するスタッフの批評コーナーが終了し、入選者の声に変わっています。いつかここに私が知っている人も掲載されているのではと今から楽しみです。

このブログの以前の天文ガイドの紹介記事のコメントコーナーでも面白かったと感想があった、赤瀬川原平さんのコラムですが、やはり面白いです。
  • 3月号で「ついにタカハシを買う」という記事が載っています。経緯はどうあれ、最初にタカハシを買うという一大イベントは全ての天文ファンに共通なのではないでしょうか。記事も書いてある通り、雑誌の中にそれらしき記事や写真が出てくると穴のあくほど見つめ、その僅かなニュアンスから信頼度を必死に探る。「天体望遠鏡の全て」なんて別冊が出ると、全ページ舐めるように見尽くす。赤瀬川さんは高橋製作所まで乗り込んで言ったそうです。ちなみに私の場合は最初のタカハシ(といってもまだ一本しかないですが)は福島のスターライトフェスティバルで落とした、工場に眠っていたと言うFS-60Qのアニバーサリーモデルのデモ機でした。
  • 8月号では「星派」か「メカ派」かを議論しています。赤瀬川さんは機械派だそうです。私も冷静に考えると機械派だと思います。星の写真を撮るにしても何か工夫してその成果を試したいと言うのが根幹にあるのです。ちなみにこの記事によると星派は政治的人間で自分の天文台を持ったり裕福なイメージみたいですが、メカ派はヘンタイだそうです。

モリマサユキ氏の「おもちゃの星座箱」です。
  • ケンタウルス座の紹介記事が印象的でした。「あの地平線を越えればケンタウルスの全ての姿を見られるのだろうか?その心意気は時を超え今日まで受け継がれています。ボストークとなり、アポロとなり、ボイジャーとなったのです。」とありますが、星好きな人が宇宙の深淵を望遠鏡で覗くのも同じ思いなのではないでしょうか。少なくとも私は同じです。いろいろ挑戦していきたいです。
  • この連載も6月号で終わり、7月号からは森雅之氏(なぜか漢字に)の「口笛の科学」という4コマ漫画になります。こちらも示唆に富んだ漫画で面白いです。


読者の投稿コーナーは相変わらず面白い投稿が溢れているので、バックナンバーといえども欠かさず読みます。
  • 3月号で「星見に命をかけたボク」という14歳の子の投稿があるですが、屋根で星を見ていて夜露で滑って地面に後頭部を強打、3日間眠りっぱなしで左目失明という記事がありました。奇しくも最近子供が屋根に登って星を見出したので、この記事を見てやめさせることにしました。でもこの投稿の本当の論点は、その時に双眼鏡の光軸が狂ってしまったことと、さらにカメラを踏んづけて壊してしまったので、誰かカメラ譲ってくださいと言うことでした。編集でもシャレにならないとの感想でしたが、いろんな意味で本当にシャレになりません。
  • 5月号では女子高の流星観測会の様子が報告されていました。「金、金、金」はよくある話ですが、「男、男、男」だそうです。まあ、欲というのは男も女も、老いも若きも変わらないものですね。このあいだのイオン観望会で短冊飾をみんなに書いてもらったのですが、天文マニアの七夕の短冊は「おおきなぼうえんきょうがほしい」でした。
  • 6月号には「感心してしまうアメリカ製品」という投稿がありました。「とやかく言われるアメリカ製品ですが、発想の素晴らしさと低コストで仕上げる生産技術には、ミードやセレストロンの製品などを見るにつけ毎度敬服する次第です。」とあります。私も同感です。天文に限らずですが、日本は根性で精度を出し高価な値段をつけますが、アメリカは手を抜いてそこそこの精度を安価に出すのが得意ですね。民生品は後者の方が有利な気がしています。研究レベルで、定量的に評価して必要なところに精度を出していくのはアリだと思いますが、趣味という範疇ではいかに裾野を広げるかと言うことが重要なのかと思います。まあ、最近は中国製が多いのですが、これとて精度としては十分なものも多く、決して侮ることはできません。
  • 8月号にプラネタリウムでに双眼鏡を使った観測の投稿がありました。今では結構一般的な手法ですが、この頃に発案されたみたいです。
  • この年の話題の投稿は公共天文台のあり方です。2月号で都市部に作って、「一番口径が大きいと宣伝できることが最も大事だ」と市の職員に言われたと怒っている記事に、4月号で月をまたいで反応がありました。天文マニアのわがままではないかと言う意見です。公共天文台はいろいろな役割があります。安全も考えなくてはいけません。富山の天文台には時々手伝いに行きますが、職員さんの計らいもあり、市民と天文マニアのうまい橋渡し役になっているのかと思います。天文マニアにも一般の人に見せてあげることが好きな人もいれば嫌がる人もいます。好きな人は土曜日とかには天文台に自分の機材を持ち込んで、たくさん来るお客さんの対応を手伝う人もいます。ちなみに7月号に2月号で投稿した人からさらに投稿がありました。星好きの天文台職員がいて、みんなが星好きになってくれればという意見だそうで、いずれにせよみなさん星好きの裾野が広がることを願っていることには変わりないみたいです。

また長い記事になってしまいましたが、私にとっては昔の記事は経験不足を埋める数少ない手段の一つです。と同時に、技術の進化などは趣味としてもとても楽しみながら読むことができます。昔からの天文ファンの方にも、この頃のことを思い出すきっかけになれば嬉しく思います。また次の年の分も読んだら(実はもうとっくに読み終わってはいるのですが)まとめてみたいと思います。





 

先日購入した天文ガイド5年分のうち、1991年の1年分12冊を読んでみました。

このころはある意味雑誌の最盛期ですね。まだバブルも弾ける手前、インターネットも無い時代で、全国的に天文ショップの数も今とは比べものにならなくらい多く、雑誌の広告も、雑誌の厚さも段違いです。広告も、読者の写真もカラーページの枚数も、昔の号と比べると格段に増えています。読むのに時間がかかります。

IMG_1931


その中でも、青紫色のアトムの広告のページの多さと、天文リフレクションで紹介されていた星ナビのBORG開発者の中川さんの話と絡めて読むと、現存する天文ショップの勢力図というか、アトム出身の天体ショップの関係者が今も活躍されていることがよくわかります。いつも寄らせてもらっているスターベースのI店長や、この間訪れたEYEBELLの店員さんも、名前は聞かなかったですが、アトム出身の方とのことです。いつもお世話になっているKYOEIのMさんもアトム出身だと聞きました。アトムは後に今のスターベースに代わるのですが、なぜかアトムがまだ残っているのに名古屋のスターベースの広告がすでに出ています。今でこそ両方ともスターベースなのですが、もともとは別の系列だったのかもしれません。1991年の12冊では答えが出ませんでした。12月号の広告の「新装11.15東京OPEN」というのがヒントなのでしょうか?

このころのアトムといえば、アストロカー「GINGA」が異彩を放っています。ミニバン型の車の後部に天体望遠鏡が設置されていてスライディングルーフを開けばすぐに観測ができるというものです。9月号にカラーページで特集があるのですが、望遠鏡は独立したターンテーブルの上に載っていて、極軸合わせも車の停車した方向とは関係なくできるみたいです。バブルのころの賜物なのでしょうか、さすがに現在こういったものが残っていないろことを見ると、あまり出回らなかったのかもしれません。というよりも、下手をすると望遠鏡よりも車の耐用年数の方が短い気がします。

広告でもう一つ面白いのがMEADEの赤道儀が2月号からでしょうか、ピリオディックエラー+/-1.8秒以内を謳っていることです。PEC(ピリオディックモーション補正システム)の記録が残るPPEC(programmable periodic error correction)という機能を使ってのことらしいのですが、同じ2月号の評価記事の「NEW FACE TEST REPORT」の中では初めての使用ということで+/-1.8秒は出なかったようです。実際ガイドなしだと相当厳しい値かと思います。それとは対照的に同じく6月号の「NEW FACE TEST REPORT-6」の中でCelestron C8と一緒に販売していた赤道儀C8 UltimaPECの実測で+/-1.8秒が出たというのが面白いです。Celestronは特にピリオディックエラーについてはどこまで出ると明言していないで、そのことが逆にメーカーの方針を垣間見ることができ、このころの精度の戦いがいかに熾烈だったのかが想像できます。ちなみにCelestronの方はPECの記録が残るものではなく、毎回消えてしまうために必ず再測定が必要になることは明記しておきます。

「NEW FACE TEST REPORT」は毎回充実していて、例えば10月号のST-4を見るとやっと冷却CCDが民生で実用化されてきて、2軸ガイドもできてしまうという触れ込みです。今から15年前くらい前の話になるのですが、CCDも計算機とあいまって相当進歩したことがわかります。

ニュースでいくつか気になったものがあります。「JNLT」という名前をご存知でしょうか?ハワイにある8mの国立天文台の「すばる」の計画段階の名前だったようです。私は今の「すばる」でしか知らなかったのですが、8月号で計画にゴーサインの特集記事がありが、10月号で名前が決まったとの報告記事がありました。その後補償光学での鮮明な画像で名を馳せ、ハッブルに迫る性能を出すすばるですが、すでにこのころから期待されていたことがわかります。


連載記事では「望遠鏡発達史」がけっこう勉強になりました。100均の虫眼鏡で望遠鏡を作ろうとしたことがあるのですが、5月号の記事を見てなぜ2枚のレンズだけだとダメなのかがやっとわかりました。関連して「テレオプト」というNECのPC98で動く天体望遠光学シミュレータソフトを使った、光学設計の連載が開始されていました。この記事も合わせていい勉強になります。望遠鏡の光学設計というのもそのうちやってみたいと思います。今ならもっといいソフトがあるはずですが、基本の理屈は変わらないはずです。


同じく連載なのですが、このころのコラムで気に入ったのが二つありあります。一つは2月号から始まったインド哲学・仏教を専攻し、声楽家という春日了氏のコラムです。言っていることにいちいち棘があり、それが逆に小気味いいです。葬式の時に宗教オタクの親類から仏教論争をふっかけられたのに、専門家として軽くあしらっているところなど読んでいて笑ってしまいます。この連載は8月号で何の前触れもなく突然終わってしまっているのですが、いろいろ問題発言があったのかもしれません。

もう一つがコラムというよりは短い星座紹介の記事なのですが、「おもちゃの星座箱」という記事で、毎回独自の視線で星座を紹介していきます。かんむり座の紹介では、いつか大酒飲みの旦那様が現れて私を幸せにしてくれないかとか、あまり子供向けの星座紹介にはなっていません。毎回考えさせられる星座紹介で大好きです。


「読者の天体写真」コーナーでは、なんと高校の同級生の名前を見つけることができました。以前の記事でも少し書いたのですが、同じ高校の天文部に所属していた女の子です。掲載されていた星景写真は大学1年の時のはずで、まだ星を続けているのか一度会ってみたいです。あと、天体写真家で有名な富山出身の大西さんの名前を随所に見ることができました。しかも大抵優秀賞とかで、扱いがすごく大きいです。やはりこのころからその才能が注目されていたのかと思います。昔ですから、当然銀塩写真なのですが、その時代の制限された技術を使って、他の人に差をつけることができるというのはやはり才能で、すごく羨ましいです。天体写真の評価記事にページを割いているのも今ではない試みです。今ではデジタルに変わってしまいましたが、それでも評価すべき基準はあまり変わっていないのかと思われます。


特集記事で一番面白かったのが、8月号の「望遠鏡だけ持ってキャンプに出かけよう」です。編集部員が家族を連れてキャンプに行く話なのですが、その中の現地でのプログラムが
  • 一番星探し競争
  • 北極星は動かないか!?肉眼で確かめる
  • 君は戦士になれるか!?北斗七星のアルコルとミザールで目の検査
  • 初夏の星座を探す
  • 自分の星座を作ってしまおう
  • 双眼鏡で天の川下り
  • 白昼の金星を見つけてみよう
など、アイデアいっぱいで、家族でキャンプに行っても、観望会などでもそのまま使えそうです。あいにく、実際のキャンプは曇りで、記事用の星の写真を撮るのも難しかったらしく残念な結果だったらしいのですが、それでもキャンプに行きたくなるような記事で秀逸です。

読者サロンのコーナーでは、一人一人のお便りの内容がすごく長くなっている傾向が見受けられます。それを毎回何人か載せるので、ページ数も結構割いています。相変わらず文通コーナーはすごいです。住所を公開しているなど、今では考えられないですが、そのことが原因のトラブルとそれに対する意見など、お便りコーナーにまではみ出している号もたくさんあります。もう間も無くするとNiftyなどのメールサービスが始まる頃のはずで、文通コーナーも衰退するちょっと前の最盛期なのかと思います。


このころは部数が出ているせいか、メジャー路線に偏っていっているような気もします。式が出てくるようなマニアックな記事は以前読んだ80年代に比べると少なくなった気がします。それでも厚さのせいもあり情報量がたくさんあり、読み応えがあります。引き続き1992年を読んでみます。


性懲りも無くまたもや天文ガイドを大量にオークションで落としてしまいました。前回(記事その1その2その3)は1980年台が主だったのですが、今回は1991年1月号から1995年12月号まで60冊で抜けなしです。90年台の後半くらいまでは天文ショップのバックナンバーにたまにあるのですが、90年台前半はほとんど残っていません。これまでもいろいろ集めているのですが、実は天文ガイド、SkyWatcher、月刊天文などを見渡しても91-95年のはまだ一冊も持っていないので、一気に揃うのは魅力的でした。


IMG_1878


ついでに天文ガイドの1984年8月号臨時増刊も珍しくオークションで出ていたので落として見ました。こちらは前に勧められて読んだ時も面白かったので今回も楽しみです。

両方ともオーストラリアに行っている際に無事に届いていたようです。まだ帰国した直後で、何冊かだけ読んだのですが、90年台は多分最盛期でとにかく分厚いです。時間のあるときに読んで見て、面白い記事などあったらまた取り上げてみたいと思います。 

このページのトップヘ