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天体観測始めました。

カテゴリ:イベント > 講演会

10月26日に小海の星と自然のフェスタのたくさんある講演の中で、電視観望の講演を行いました。KYOEIさんとの合同講演で、前半がKYOEIさん、後半が私です。講演自身は立ち見が出るほど盛況で、質問もたくさんでました。その後の夜の星雲を実際に見ながらの実演でも、かなりの人が来てくれました。

それでも時間はどうしても限られてしまい、わかりにくいところや、もっと理解したいところ、質問したくても人が多すぎて聞けないような方もいたかもしれません。今回、講演に使ったスライドを多少の補足も加えながら、公開したいと思います。


導入部

最初のページです。この記事ではカットしても良かったのですが、実はタイトルはすごく大事です。なんでこんな手軽な機材でも、電視観望だと十分に星雲などを楽しむことができるかを理解してほしいと言う思いをタイトルに込めました。

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動機です。2016年当時の原村の星まつりでドブの方達に聞いたのは、子供なら感度があるので緑系は色がつくかもしれないと言う話でした。その時一緒にいたうちの子に(当時4年生)にたぶんM57だったと思うのですが、色付きで見えるか聞いてみたら「見える!」とのこと。でも多分子供なので暗示だと思います。私にはどうやっても色がついているようには見えませんでした。
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電視観望と言う言葉は、胎内で出会ったHUQさんの造語で、当時「電視」としたかったのにこれだと中国語でテレビの意味になってしまうから「観望」をつけたとのこと。最近は電 "子"観望と呼ばれることもありますが、このブログでは命名者に敬意を表して電"視"観望と行っています。でも言葉は進化していくものなので、どちらでも構わないと思います。
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機材説明

続いて機材の確認です。電視観望に特化した機材と、一般的な機材です。最後の方のスライドで出てくるのですが、光害フィルターはもう必須に近いので、このページに入れてしまった方がいいかもしれません。
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鏡筒は短焦点ならもっと安価なものでも構わないと思います。電視観望は写真撮影ほど性能を求めないので、高性能な鏡筒と普及帯の鏡筒でもそこまで差が出ないです。なので、手持ちの手軽な入門用鏡筒から始めるのも一つの手です。
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カメラ選びですが、一番最後におまけスライドでもっと詳しい表を載せています。

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実際にどう見えるかの例

電視観望の一例です。講演前日の懇親会の日の夜に撮影したオリオン座周りの画像も入れることで、臨場感を出したつもりです。

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当日、講演時間が短くなりそうだったので、直前でカットしたスライドが何枚かあります。これはその中の一枚です。惑星は、惑星撮影をしている方にとっては見慣れた映像かもしれません。月は意外に面白くて、観望会でここをみたいとか言われたら、画面上でトリミング拡大してさも月旅行に行った気分になるとか、拡大して大気揺らぎを見るとか、カメラのゲインを思いっきりあげて地球照を見るとか、いろいろ応用があります。

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これもカットしたスライドです。明るいところでも天の川が結構よく見えてしまいます。最近の子供たちは天の川を見たことない子が大多数なので、かなりウケがいいです。あと、星座観察なんかもできます。都会だと星座をトレースするのも難しいので、画面で説明しながら、星座ビノなんかで見て実際に形を認識してもらうとよく理解してくれます。
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太陽にも電視観望を応用することができます。このスライドは話すかどうか最後まで迷っていたのですが、時間のこともあり結局カットしたものです。太陽が好きな人にとっては、観望会で一つネタが増えるきっかけになるかと思います。実際に撮った動画をここにアップしています。でも、明るすぎてPCの画面が見えにくいと言うのがオチです。
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電視観望の方針とセッティング

これも多分当日カットしたスライドだったと思います。ちょっとうろ覚えで、もしかしたら話したかもしれません。手軽なセットアップはやはり便利で、軽い、ケーブルの数が少ないなどを目指しています。観望会の準備の時間が意外に少なかったりするときもあるので、すぐに準備できるということはかなり重要です。また、見せることに特化することを目指して、画面を選択して自動導入など複雑なシステムにしないというのも心がけています。これはトラブル防止につながり、お客さんを待たせることをできるだけなくすことにつながります。凝ったことをやろうとするとたいてい本番で失敗し、さらに焦ってパニックでどうにもならなくなります。
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SharpCapをすでに使っている方にとっては、電視観望用に必要となるであろうセッティングをまとめました。
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本当は次のように文書でもスライドを用意していたのですが、(時間制限に関係なく)カットしました。動画の方がわかりやすいと思ったからです。
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動画になります。実際の動画はここにアップしてあります。途中ノイズが軽減される様子を強調するために、途中多少明るくして最後に暗くしていますが、明るすぎる必要は全くないです。また、彩度も少し強調しすぎかもしれません。ちなみに彩度はLiveStackのヒストグラムの横の赤青緑のバーの横の灰色のバーで強調することができます。これは意外に知らない人が多いかもしれません。
当日講演内で見せたように、動画の一番最初と一番最後を交互に見てみると、before and afterで違いがよくわかります。
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小口径電視観望のメカニズム

ここからが、今回の講演で一番伝えたかったことです。
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そもそもカメラの分解能、鏡筒の分解能の方が、PCの画面の分解能よりもポテンシャルが高いので、PCの画面上でトリミング拡大してもそこそこ見えてしまいます。M57より電視観望で小さいものを見るのは(少なくとも私は)あまりないので、これ位まで見えれば十分ではないかと言うことです。ちなみにこの状態で、大きなものではアンドロメダ銀河がちょうど画面に収まるくらいです。アンドロメダから惑星状星雲を見える範囲としてターゲットとしていると言ってもいいのかもしれません。
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明るさはヒストグラムの左2本線をいじり、レベル補正とガンマ補正に相当するあぶり出しで改善されます。ノイズはライブスタックで改善されます。空間分解能はPCの画面で制限されるのであまり問題になりません。ただし、ダイナミックレンジだけは犠牲にしていて、明るい恒星は白とびしてしまいます。ASI224MCからASI294MCにカメラを移行した時に、ダイナミックレンジが12bitから14bitになって、飽和容量も4倍になっているので、白飛びはだいぶん改善されました。それでもまだ十分ではないです。

カメラの感度がまだまだ足りていないのは事実なので、本当のリアルタイム映像を満足した画質で見ることは現段階では不可能です。今の状況ではリアルタイム性を追求するより、その時間をノイズ除去に当てた方が見栄えがいいと思います。なので、導入はリアルタイム、導入してからはライブスタックでノイズを下げると言うようなやり方で運用しています。

RASAを一度使ってみたいです。8インチのRASAなんかでSharpCapで電視観望したら、露光時間が10分の1くらいで同等の見え味なので、0.1秒オーダーのリフレッシュレートになり相当リアルタイムに近くなるはずです。
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もう少し補足します。SharpCapの設定でさらっと書きましたが、ゲインは最大近くに持っていっています。これはまず短時間で明るくしたいと言う要請が一番の理由です。さらにもう一つ、実は講演が終わってから考えていて気づいたのですが、読み出しノイズを考えると、これも最小になっています。ここは少しわかりにくいかもしれませんが、ゲイン最大だと画面上に出てくる読み出しノイズは最もたくさん出てきます。ただし、そのたくさんの読み出しノイズを大きなゲインで割るので、S/N(信号と雑音の比)の観点からは一番得をしています。これがグラフで表されている読み出しノイズが最小と言う意味です。

短時間で明るく表示できて、なおかつS/Nがいいと言うのが、ゲインを最大にしている理由で、小口径でも上手く見える理由の一つです。その代わりにダイナミックレンジはかなり制限されるので、白飛びに関してはあえて妥協をしているわけです。

以上のことが、次のスライドにもつながります。手軽な小口径というのは魅力の一つでもあります。これで慣れてから、さらに不満な場合には大口径に移行するというのが正しい道筋な気がしています。大口径はメリットはもちろんありますが、手軽さ、視野角など、よく考えないとデメリットも少なからず存在すると言う意味です。RASA8は最強ですが、RASA11やRASA14だと今のセンサーサイズから考えると視野角の不利さが出てきてしまうかもしれません。
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光害フィルターの効果と、おまけスライド

光害地での電視観望ではQBPのような光害防止フィルターを使うと効果的です。でも逆に見えにくくなってしまう天体もあるので注意が必要です。
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最後におまけで、カメラの特徴を示した表です。といってもこのページの焼き直しなのですが。
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まとめ

どうでしょう、講演のスライドを解説付きで公開するというのはこれまであまりやったことがないのですが、役に立ちますでしょうか?講演の時間も制限があったので、話が早くて理解不足のところもあったかと思います。スライドをゆっくり見ていただいて、さらに理解を深めていただければと思います。わかりにくいところがあればまたコメントなどしてください。できる限り答えるようにしたいと思います。

できることなら、小口径でなぜ電視観望が成り立つのかの理由を理解してもらい、さらに皆様からいろんなアイデアを出してもらい、電視観望が発展していくことを期待しています。同時に、電視観望を通じて深宇宙への敷居を下げることで、天文人口の裾野を広げることができればと思っています。

いろいろ試して、何か面白い結果が出たりしたら、またコメントにでも報告してください。Enjoy it !


私にとっては「星と自然のフェスタ」で一番のメインとなる、電視観望の講演と実演についてです。講演に来てくださった皆さま、どうもありがとうございました。講演では立ち見もたくさんいて、夜の実演と合わせて大盛況で、大成功だったと思います。今回の記事は、発表する側の立場でどんな思いで講演や実演に臨んだのかという内容になります。


講演前

実はこの日は朝からメイン会場を回っていてもなかなか落ち着かなくて、一番楽しみなはずの特価品あさりも思ったより進みません。フリーマーケットで何も買わなかったと前回の記事で書きましたが、理由の一つが講演のことが結構頭から離れなくて、じっくり見ることができなかったというのがあります。でも、そんなことを吹っ飛ばすくらい今回の講演は充実していて価値があったのかなと思っています。

本当はタカハシの講演を聞きたかったのですが、その頃が準備で一番テンパってて、泣く泣くあきらめました。次の野鳥の話の時にはだいたい準備も終わり、スコープテックさんの講演を聞くことができるくらいになりました。座席について話を聞きながら自分の講演の最終調整をしようとPCを取り出したら、なんと予備のPC!やはり焦っていたんでしょうか、いつすり替わったのかは定かではないですが、当然講演ファイルは(古いバージョンしか)入っていません。再び部屋までPCを取りに。そんなこんなで、スコープテックさんの公演スタートに少し遅れてしまいました。ちょうど部屋に入る時に、原村でお会いしたマリーチさんが入りにくそうにしているので「気にすることないですよ」と言って、一緒に講演部屋に入りました。


スコープテックの講演にて

スコープテックさんのお話は、フリーストップの片持ち経緯台ZEROの開発についての話で、是非とも聞いておきたい講演でした。実際ものすごく面白かったです。新製品の開発がいかに大変だということがよくわかります。まず理想があって、限られた予算の中でできるだけのことを詰め込んで、試作をして、量産品を作って、マニュアルなども整備する。なかなか一筋縄ではいかないことは容易に想像できます。ユーザーのためを考えて、かなり思いを込めて作った商品だということが十分に伝わってきました。コンパクトに折りたためて、かつ揺れないというのは非常に魅力的です。

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特に、振動の減衰の様子をビデオで見せていたのですが、片持ちなのに相当早く揺れが収まります。これなら見ていても不満は感じないと思います。将来的にはエンコーダーなどを取り付けることができるように、各所にネジ穴などを空けてあるそうです。息の長い製品になりそうで、経緯台の決定版になるかもしれません。

後から実際にZEROを会場で改めて見たのですが、振動特性は申し分なく、三脚を揺すった時の振動とほぼ同等レベルの印象で、とてもバランスよく作り込んでいると思います。かなり頑丈に設計してあるようで、共振周波数も高めで変な励起などはなさそうです。鏡筒を覗きながら視野を動かしたりしてみますが、ほとんど揺れが気になりません。

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間も無く量産に入るそうですが、こういった熱意のこもった製品を開発するメーカーには、絶対に生き残ってほしいと思います。


いよいよ電視観望の講演に

さて、スコープテックさんの講演の後はいよいよ我々の番です。開始時間は15時30分からなのですが、10分位前の時点でも既に下の写真くらいの人がいました。実際スコープテックさんの講演が終わった後もほとんど出て行く人がいなくて、さらに新たな人たちが入ってきたような状況で、立ち見の方もかなりいたようです。

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この人数を見るだけでも、電視観望についての関心がかなり高いことが実感できます。今回は電視観望について、KYOEIさんと合同で話すわけですが、二人で30分とそれほど長いわけではないなので、できるだけスムーズに話す必要があります。前半はKYOEIさん、後半は私です。

さて、時間になり早速KYOEIさんのお話が始まります。

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内容は電視観望とはどんなものかということから、「楽しい」をコンセプトに、観望会で電視観望がどのように使われるのか、実際の見え具合を交えてわかりやすく話してくれました。もちろんKYOEIさんはお店なので、どんな機材が良いかという紹介もしれくれます。初心者だと機材選びも大変なので、購入に際してもいろいろ相談に乗ってもらえるのかと思います。鏡筒はRASA、RedCat、カメラはASI294MCとRevolution Imager、制御とソフトはASIAirとSharpCapなど、入門からハイエンドまで幅広いラインナップを紹介していました。電視観望だけでなく、ついでに撮影までできるという紹介の仕方は私の視点にはなかったので、こういったアプローチ方法もあるんだと参考になりました。

メイン会場のKYOEIブースの前にはRASAとASI294MC Proの組み合わせで機材を見ることができ、夜にはRASAとASIAirで電視観望の実演もしていました。

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いよいよ自分の番です 

KYOEIさんの話はすごくわかりやすくて作例も多いのですが、すでに制限時間30分のうちの15分が過ぎていて、まだ終わりそうにありません。「あ、これはオーバーしそうだ」と思い、土壇場で自分のスライドの数を少し減らしました。結局ほぼ20分で前半が終了。残りの時間は約10分です。最終的に用意したスライドは16枚。時間は厳しかったですが、それでも前半で基本的な概念をわかりやすく説明してくれていたので、私は少し凝った話をすることができました。

タイトルは「なぜ小口径6cmの鏡筒で電視観望が成り立つのか?」です。いつも電視観望で使っているFS-60QをAZ-GTiに載せた機材も横に置いて話しました。丸ごと片手で持てるくらいコンパクトな機材です。

トークのはじめの方で、電視観望を実際にやっている、もしくは試したことがある方に手を挙げてもらったのですが、半分くらいは挙がったでしょうか。思ったより多い数です。星まつりで知り合った星仲間もたくさんきてくれていました。このブログを読んでくれている方や、Twitterでフォローしてくれている方もたくさんきてくれていたと思います。かなりの人が本気で電視観望に興味があるはずです。

小口径電視観望には必須のSharpCapのパラメータやコツに加え、「なぜ」小口径でも電視観望が成り立つのかという理由のところをできるだけ理解してもらえるように話を進めたつもりです。また、作例では昨晩の実演練習で見たオリオン座と馬頭星雲も早速見せて、小海の地での電視観望の実例を盛り上げるようにしてみました。

講演は10分という短い時間だったので、全部を読み上げるわけにはいかず、主要なところを説明するようにしましたが、言いたいことは十分伝わったのではないかと思います。講演が終わってからも、次の方の講演のギリギリの時間まで、かなりたくさんの方が質問で手を上げてくれました。KYOEIさんと私とで手分けしながら回答をしていましたが、質問される方や聞いている方の反応を見ていると、手応えとしては十分すぎるくらいあったのかと思います。

講演が終わって片付けをしてから外に出ても、何人もの方からさらに色々質問を受けたり、お話ししたりしました。ずっとブログを読んでくれているという方もいました。本当に嬉しい限りで、今回改めて講演やってよかったと、この時実感しました。


電視観望の実演

講演の最後の方で、この後暗くなってから会場のどこかで電視観望の実演もしますと宣伝しておきました。できるだけ操作とかを実際に見てもらって、わかりにくところなどを色々話しながら解決できたらと思ったわけです。この日は天気予報では夜から晴れるはずだったのですが、暗くなってからもなかなか雲が無くなりません。雲というか、まるで霧の中にいるような感じです。それでも19時すぎくらいからでしょうか、雲の隙間から少しづつ星が見えてきます。早速車から機材を運び、昨晩と同じような場所で電視観望のセッティングを始めました。準備の時から人が集まり始めていたのですが、空はなかなか晴れてくれません。とりあえず曇りの間に試しに見たM57が次の写真です。

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さすがに雲が結構ある中なので、どうしてもコントラストが悪くなってしまいます。この後また曇って見えなくなったり、少し見えたりを繰り返しているので、逆にその間に色々状況や手法を解説することができました。そのうち、空が完全に晴れてきたときのM57がこれです。

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やはりあからさまにコントラストが違います。このころにはかなりの人が集まってきていて、綺麗な画像が出てくると「オーッ」と声援が上がります。

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とにかくみんなでワイワイガヤガヤ、星雲を見ながらいろんな議論が始まります。技術的な話、コンセプト、昼間わかりにくかったところの解説とか、全然時間が足りません。

特にナイトビジョンのAさんの奥様から聞くことができた、初心者から見た電視観望の印象はとても参考になりました。マニアには常識的な星座の名前や星や星雲のことも、初心者にとっては未知のものです。観望会とかではそこに気を使う必要があるようです。例えば、惑星状星雲といっても多分何が何だかわからないので、見えている画面にテキストで名前を入れるとか、天体の解説をテキストで書いて画面に出しておくだけで、さらに興味を引くことができるはずです。そのうちに、別モニターで解説を出しておけばいいとか、いやそれだと明る過ぎて星が楽しめないとか、もう画面を見ながらいろんな話が飛び交うのです。「あー、こんなのが電視観望でやりたかったんだ!なんか幸せだなあと」と実は一人で感慨深くなっていました。

21時過ぎくらいでしょうか、雲が一面を覆ってきたので、私は一旦多機材を片付けました。でも片付け終って先ほどの場所に戻ったら、また少し星が見えてきています。Aさんのナイトビジョンも出ていて、まだまだこれから盛り上がりそうでした。もう一回出すかとも思ったのですが流石にかなり疲れてしまっていたので、とりあえずその場を後にし、温泉に行って少し休憩。露天風呂の中からかなり星が見えたので、風呂上がりにこの日はアイスを5本も食べて、再び先ほどの場所へ。

すぐに目に入ったのが、Aさんと友人で、最近このブログのコメントでやり取りをしているシベットさんが、Revolution Imagerのカメラを使ってSharpCapで電視観望をしているではないですか。アンドロメダ銀河を入れていて見ようとしていました。このカメラはアナログ出力なのですが、LiveStackの機能がカメラについているのが最大の特徴で、他にもカメラ自身に結構な画像処理の機能がついています。シベットさんと一緒にパラメータの絞り込みをしていったのですが、このカメラの画像処理機能が逆に悪さをしているところがあり、とりあえずカメラ側を出来るだけノーマルな出力にして、SharpCapに処理を任せることでかなりマシな像になりました。シベットさんも講演に来てくれて、その後いろいろ一緒にできたのもまた嬉しい経験でした。

次の日も忙しくなりそうなのと、運転のこともあるので、結局0時過ぎくらいに部屋に戻りました。かなり疲れたのですが、ものすごく充実した一日で、非常に心地よい疲れです。講演に続いてその晩に実演と、自分で考えていたことにかなり近いことができました。今回講演に来ていただいた方、実演を見ていただいた方が地元に帰って観望会などで電視観望を試してくれるなら、かなりの数の観望会で電視観望が披露される可能性があります。これは本当に嬉しいことです。

一方、nabeさんのTwitterのコメントでしたでしょうか、「あまり注目されなかった普通の望遠鏡」というような意見がありました。こういった状況はよくありません。私はアイピースでの眼視を否定する気は全くありません。あくまで電視観望も観望会などでの一手法として確立してくれればと思っているだけです。早く電視観望がごくごく一般の方法になって、アイピースでの観望も含めていろんな方法で宇宙を楽しむことができればと思っています。そして、天文人口の裾野が広がって、子供達が宇宙や科学に興味を持ってくれるきっかけになってほしいと心から願っています。


講演スライドについて

なお、今回の自分の分の講演内容については、スライド内容を別の記事で全部掲載したいと思っています。パッと見ただけだとわかりにくいこと、忘れてしまうことなどもあるかと思いますので、お役に立つのならと思っています。掲載まで今しばらくお待ちください。(2019年11月2日公開しました。)




CANP1日目の続きです。

再び会場へ


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二日酔いすることもなく、朝も遅れることなく目覚めることができました。朝食もすませてホテルのロビーに朝8時に待ち合わせ。5人そろって川崎駅に向かいます。駅の近くで名古屋から来ているYさんに偶然会い合流。なぜか名古屋のお土産をもらってしまいました。ちょうどその時、駅のエスカレーターでペットボトルを下まで落としてしまいました。実は展示用に持っていった機材が重くて大変だったのです。わざわざこんな重いの持ってこなくても良かったかなあという考えがふとよぎったのですが、でもこれは間違いで、後で実際に展示したときにやっぱり頑張って持ってきて良かったと思ったのでした。

会場には開始時刻の9時になる前に十分余裕で着いたのですが、今日もすでにたくさんの人が来ています。昨日と同じ席に座ります。今日はかんたろうさんと隣同士です。


二日目開始

二日目最初のトークは超ベテランの方で、雑誌の投稿写真でよく名前をお見かけする方です。都会でのナローフィルターを使った撮影方法です。都会での撮影の一番の問題はフラット補正。カブリがすごいみたいです。通常のフラット補正の後、それでも残る被りをソフトと使うとうまく補正できるという話です。どうもナロー特有のフィルターから光の入射角が原因で出てくるカブリが原因なのではと会場からコメントが出て、割り算がいいのか引き算がいいのかが議論になっていました。そもそもなんでこんな話なったかというと、都内の自宅で撮るかららしいのですが、自宅だから一晩放っておけると10時間のオーダーで撮影して一枚を仕上げています。私も自宅ですが、さすがにこんな根性はありません。

二人目は天リフ編集長のお話で、鏡筒からカメラレンズの話です。短焦点小型鏡筒と長焦点カメラレンズの比較が面白かったです。同じような焦点距離になるのですが、やはり中心像は鏡筒に軍配があがるようです。星ナビに記事を書いていたように、小型鏡筒や軽い機材での撮影を勧めていました。私も小型鏡筒が好きなので、大いに賛成できました。仕事柄か、かなりの数の機材を評価してきた経験からいろいろ質問に答えていました。作例として、シグマの105mmのF1.4で天の川をモザイクで撮影したものを見せてくれました。ちょうど100mmくらいのレンズを探しているところです。シグマのアートはかなりいいとのことなので、いつか手に入れたいです。

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午前最後のトークはラズパイについて。SONYセンサーに独自に対応したライブラリを書いているそうです。基本的に広角のセンサーの対応ですが、天体用のもっと感度のいいセンサーに対応してもらえるとユーザーが増えるのかもしれません。とくに、撮影途中でデータが非破壊で読み取れたらオフアキガイドに相当するような使い方もできたりしそうなのですが、そもそも感度のいいセンサーを単体で手に入れられるかどうかの問題もあるので、実際には難しいのかもしれません。

一旦ここでオフィシャルなCANP2019は終了です。午後からは自主参加のシンポジウムとなります。これは夕方までオフィシャルなものとしてやってしまうと、遠方からの参加者が最後まで参加できないことを考慮してかと思われます。


機材展示を敢行

昼食休憩が1時間ほどあったので、電視観望の機材を展示しました。展示とともに人が集まってきて、結構な人と話すことができました。コンパクトさでインパクトがあったようです。でも興味の対象の多くは電視観望というよりは、AZ-GTiを赤道儀モードで使った時の話が多かったです。撮影までできるのかとか、精度はどうかとか、ガイドはうまくいくかとかです。他にも、自作の減速装置とか、電視ファインダーの取り付け方法とかレンズとか、システマティック化された三脚とか、いくつか興味をもってくれたみたいです。

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昨晩一緒に二次会に行ったMさんが撮ってくれていました。

同じ機材展示に五藤のハーモニック赤道儀があり、こちらはもっと人が集まっていました。これは後のデモで会場一同が驚くことになりますが、まだこの時は秘密です。

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自主セミナー

さて、午後は自主セミナーという形ですが、実際には講演をするという形は同じです。さすがに遠方から来た方が帰り始めているので、午前よりは少し人数が少なくなっています。

午後の最初はアストロアーツの主にソフトの紹介です。質問時間も長めに設けてあって、マニアが集まるCANPは製品へのフィードバックのいい機会のようです。GAIAのデータを取り込む若いプログラマーの話が面白かったです。やはり製品レベルでソフトを開発するのは大変そうです。ユーザーが質問しているのを聞いていると、ステラシリーズが日本のアマチュア天文に大きく貢献をしていることがよくわかります。

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午後二つ目は五藤の開発中のハーモニックドライブを利用した赤道儀。ハーモニックドライブだけでもすごいのですが、会場でのデモがもっとすごいことになっています。トークで聞いていた説明が全部吹っ飛ぶくらいでした。キーワードはIoT。なぜか「ねえグーグル」とか言っていました。それでウィーンと。もう完全に未来の赤道儀ですよ。しかも今度は赤。かっこいいです。

午後3人目はラズパイの話です。Linuxをリヌークスと呼ぶなど、相当こだわりのある方だということがわかります。AstroBerryで打倒Microsoft帝国のような雰囲気でしたが、私は天文ではWindowsがメインです。でもLinuxが嫌いなわけではないですよ。仕事ではマニアックなGentoo使ったりしてます。


いよいよ自分のトーク

さていよいよ最後、とうとう自分のトークの番です。持ち時間は30分。うまい具合に緊張はありません。内容は電視観望ですが、撮影に厳しいCANPの方々に電視観望の話が受けるのかが心配なところです。大きな声で、はっきりと、ゆっくり(それでも早口だったかもしれません)話します。用意したスライドは約30枚。一枚1分計算です。

一旦始まると、あとはもう夢中で話すだけです。電視観望を始めたきっかけから始まり、機材の説明、実際の観望でどれくらい見えるかをいつものiPhoneでその場で撮った写真を中心に見せます。色がついた星雲、銀河や星団、惑星と月を例にして、実際どれくらい見えるのかを紹介します。目玉は太陽電視観望の動画でしょうか。話している途中でまわりの反応を気にしてみると、結構皆さん聞き入ってくれているようです。後半は、実際の電視観望をやる立場になった時の、なかなか気づかないコツなどを動画で。最後はかなりマニアックに、どうして小口径での電視観望が成り立つのかの考察を、時間分解能と空間分解能、明るさ、焦点距離などを交えて話しました。さすがCANP、ふんふん頷いてくれている人もいたので、言いたいことは伝わっているようです。

ほぼ30分を使いきり話し終えたのですが、あっという間だった気がします。話し終わると実行委員長から自主ゼミ終了の挨拶がありそのまま解散となりましたが、すぐに何人かの人が集まってきてくれて質問攻めにあいました。「FireCaptureよりSharpCapの方がいいのか」とか、「自分もやっているけどうまく見えない」とか、「こんなに見えるとは驚いた」とか、「以前からやってみたかったけど話を聞いて実際にやってみようと思った」とか、最初にCANPで受けるかどうか心配していたのは全くの杞憂でした。中でも「今日の話の中で一番面白かったと言ってくれる方がいて、これが一番嬉しかったです。私みたいな星を始めてわずか3年の初心者が超マニアが集まるCANPで話をして、それを一番面白かったとわざわざ伝えてくれるんですよ。たとえお世辞だとしても、嬉しくないはずありません。CANPにいる人はベテランの方々ばかりです。もしこんな人たちが少しでも興味を持ってくれたら、電視観望も広がって天文人口を増やしてくれるのかと期待してしまいます。

その後、機材の片付けの間もずっと何人かの方と話しを続けて、みなさん面白かったと言ってくださいました。憧れのラッキーイメージングのUさんと、映像作家のKさんも声をかけてくださったのは、とても心強かったです。片付けている途中で隣で機材を展示していた五藤光学の方達とお話しする機会がありました。電視観望面白そうと言ってくれたのもありがたいのですが、私は素直に赤道儀が夢の機械のようですごいというのをお伝えしました。おひと方は今回講演をした社長さんです、もうおひと方は小海の星フェスで分光の講演をしてくれた方でした。あの時の講演がすごく面白かったので、その時の感想も伝えました。今日の発表の内容はブログでもう公開してもいいとお墨付きを得たので堂々と書くことができます。今度のMark Xはなんとスマホからの音声操作で自動導入してくれます。「ねえグーグル、M42導入して」とかです。


スターベースへ

片付けも終わり、もう人も少なくなり、かなり最後の方です。仙台のKさんが残っていてくれて、新幹線まで時間があるとのことなので、では一緒にスターベース でもどうでしょう?と声をかけ、一緒に行くことになりました。建物を出るときにちょうど太陽で有名なSさんと話すことができました。Sさんとも結構話が盛り上がり、飛騨の天文台で太陽フィルターを見比べた時のレポートを送ってもらう約束をしました。実際すぐにそのレポートを送ってきてくれて、その後メールのやり取りをしました。資料はエタロンの回転と写り具合の関係などとても興味深いものでした。

新川崎駅でSさん達と別れ、Kさんと一緒に秋葉原へ。Kさんひょうひょうとしてますが、面白すぎです。先に書きましたが、10年家族に星を秘密にするという話は電車の中でまた色々聴き直してしまいました。あっという間に秋葉原に着いたのですが、Kさん昨日初めてKYOEIに行って思ったより狭くてびっくりしたということで、どうやら秋葉原にあまり来たことがないとのことです。この時点で午後6時とあまり時間はないのですが、せっかくなのでキタムラも寄っていくことに。カメラも好きなKさん。この時MAMIYAレンズのことを教えてもらいました。645でなくてRBというのにすればいいらしいです。ちょうど欲しかった100mmくらいのレンズがあったのですが、アダプターの方がはるかに高いので、今回は諦めました。「あー目の毒だ」とお互い呟きながら、次のスターベスへ。

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スターベースではなんとCANP帰りの若者が3人すでに店内に。Kさんを店長さんに紹介し、若者3人も交えてCANPのことを色々話しました。彼らもスターベース の常連のようです。ちょうどRedCatが置いてあって、これをMark Xに載せて赤カンをつけたら完璧だねとか話してました。私はFC-76の白濁レンズのことを聞きたかったのが目的です。今のところレンズ交換も対応してくれるとのことなので、撮影してみて不満だったらお願いしようと思いました。ただ、焦点よりが現行のものになるので600mmから570mmになるのではとのことです。

物色も終わり、Kさんと若者3人も一緒に、歩いて秋葉原へ。途中も会話がつきません。大学の天文部の話、社会人になって忙しいだとか、本当に楽しかったです。秋葉原駅でそれぞれの方向へ。Kさんとは東京駅まで一緒に行って、新幹線乗り場のあたりでまた再会を誓いお別れです。でもみんなSNSで繋がるので、近況は意外にわかったりします。

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弁当を買ってすぐに新幹線に乗り込み、夜10時過ぎに無事に富山の自宅に戻りました。むちゃくちゃ濃い二日間でとってもとっても充実していました。

このような会を開いてくださった運営の皆様、本当にありがとうございました。夢のような二日間でした。また来年も都合がつく限り参加したいと思います。次回もみなさんとお会いできるのを楽しみにしています。


富山県黒部市にある黒部市吉田科学館にて富山県天文学会写真展「天体写真の楽しみ」の一環として5月21日の日曜日午後2時半よりというギャラリートークを開催します。15分くらいの話が3つあり、その中の一つを私も担当することになりました。タイトルは今のところ

「星歴一年の初心者が語る星の楽しさ」

というのを考えています。ほんの一年前まで星に全然興味がなかった初心者が、いかにのめり込んでいったかという話を面白おかしく語ろうと思っています。星を好きになる人が少しでも増えてくれたらと思っています。

近隣にお住いの方はぜひご参加ください。

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2016年11月20日、朝から娘と一緒に石川県小松市にある、「サイエンスヒルズこまつ」に渡部潤一氏の講演を聞きに行って来ました。テーマは「賢治作品の中の宇宙」ということで、宮沢賢治の作品を天文学者から見た場合のお話です。娘の今年の夏休みの自由研究がちょうど「星でめぐる銀河鉄道の夜」 というタイトルだったので、面白そうだと思い申し込んでおいたものです。

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お話はとても面白く、賢治がM31だけでなく、M57もfish mouth nebulaと呼んだことなど、知らないこともいろいろあり、1時間15分くらいでしょうか、すごく楽しめました。残念ながら娘は途中15分ほど眠っていましたが、小学生には少し難しいのかもしれません。でも後から、すごく面白かった、ただ眠かっただけだと言い訳していました。質問時間がなくなるほど講演は充実していたのですが、司会者から一人だけ質問を受け付けますと言われ、いろいろ聞きたいこともあったのですが、小さな女の子がひとり「ハレー彗星は珍しいのですか?」という質問をしました。子供の質問でとても場が和みます。

一番前に座ったのですが、たまたま隣の席に富山大の天文同好会の知り合いの学生たちが二人来て、午後はユーシートレードに行くといいます。私もちょうどUNITECのSWAT-200が未使用品で安く出ていたので、帰りに寄って行こうと思っていたところでした。また、講演会場には県天のNさんも来ていました。 講演が終わってから渡辺氏とサイエンスヒルズこまつの学芸員の方と、地元の議員さんと、あと地元の天文愛好家の(後から名前がわかったのですが)Nさんと少しお話ししました。北陸ではこういった施設はとても貴重なので、盛り上げていって科学好きな子供が増えてくれればと思います。

さて、昼食は近くにあったゴールデンカレー(ゴーゴーやチャンピオンは行ったことがありますが、ゴールデンは初めて行きました。)ですませ、午後は予定通り金沢のユーシートレードに寄っていくことにしました。お目当はSWAT-200ですが、久しぶりの訪問なので、いろいろ見て見たいと思っていました。到着したらすでに学生の二人は来ていて、店長さんと一緒に4人でいろいろ天文談義に花が咲きました。娘は車の中でずっと寝ていました。公演中もそうだったのですが、最近よく寝ます。そんな年頃なのかもしれません。


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SWAT-200はリモコンや微動回転台などもあったみたいなのですが、それらはすでに売れてしまったそうです。極軸スコープだけ残っていたのですが、極軸はCCDで合わせた方が楽そうなので、極軸スコープはあまり必要ありません。本体だけでもいいとのことなので、結構迷ったのですが、いずれ必要な時期がすぐにくると思うので結局購入しました。店頭渡しということで、少しだけ安くしてもらいました。念願のSWATで、これでまた軽量化計画が一歩進みます。一軸制御でどこまでいけるのか楽しみです。HUQさんは32分まで試したとのことです。


他に、ミザールがまだ日野金属産業(私はミザールは海外の会社だとずっと思っていました。この日初めて日本の会社だったと知りました。)だった頃の何十年も前の屈折望遠鏡が3台ほどおいてあり、安くしてくれるというので子供が買えるくらいの値段で一台売ってもらいました。焦点距離は1000mmとちょっと長めです。ミザールのホームページで調べたところどうやらニューアポロ型というようです。古いですが、レンズは全然大丈夫そうで、マニュアルですが赤道儀も三脚もついています。唯一の難点が、アイピースの口が25.4mmで今の規格に合いません。幸いなことに変換アダプターの前のネジは普通の36mm?だったので、Vixenの31.7mmへの変換アダプターを買って取り付けることができました。これで手持ちの安いアイピースをつけることができるので、一度自分で確認してから、誰かに興味がありそうな子に譲ろうと思います。

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天気はイマイチでしたが、とても充実した1日でした。
 

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