ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:software > Magic Lantern

久しぶりに電視ネタです。

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年末実家に帰った時に、中古でニコンのかなり古いレンズを購入しました。レンズ前面には

NIKKOR-S Auto 1:1.4 f=50mm Nippon Kogaku Japan No.85578

と書かれています。焦点距離50mm、F値はなんと1.4で、我が家初の明るいレンズです。というより、うちには娘が最初に買ったEOS X7のダブルズームキットで付いてきたレンズしかないので、初の別買いのレンズです。

このレンズ、調べて見るとニコンの明るいレンズの標準と言われるくらい相当数が出たらしく、いまでも安く手に入れることができるようです。しかも今回はジャンク扱いだったので、値段は格安です。ジャンクといっても絞りはリングを手で回す完全マニュアル絞りですし、ピントもどうせ星を見るだけでマニュアルしか使わないので、レンズさえ綺麗なら十分です。少しだけ曇りがありましたが、これもクリーニングすればすぐに取れそうです。カメラ初心者の私にとって希少価値などはまだ気にしていないので、古くても良い性能のものが安価に手に入れられることが助かります。

実は同じ値段で同じ50mmで現行のCanon EFマウントのもあったのですが、AFでいいのかとも思いましたが壊れている可能性もあるのと、F値が1.8になってしまうので、とにかく明るいのを試したくて、アダプターをつけるのを前提にニコンにしました。 アダプターはアマゾンでレンズ側がNIKON Fマウント、ボディー側がEOS用という、安いものを買いました。注意したところは無限遠を保証しているかどうかです。星を見るので、無限遠が出ないと意味がないです。

EOS 60Dに取り付けてみたのが以下の写真です。

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ちょっと変わった雰囲気になりました。ところが、取り付けたのはいいのですが、アダプターをレンズから外すのにすごく苦労しました。下の写真のように

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指でつまみを押して、小さなピンを1mmほど上に引き抜いた状態でアダプターを回転させるのですが、まずアダプターを反時計回りに力をいれて少しだけ締め込んだ状態にしないと、ピンが出て来ません。うまくつまみを押すことができてピンが出たのを確認して、その状態でアダプターを「時計回り」に回転させます。注意ですが、CanonとNikonは回転方向が逆らしく、時計回りが取り外す方向です。アダプターを外すだけで色々調べたりして20分くらい格闘しました。

試し撮りをしたのですが、これまで持っていた50mmでF4.5のものと比べると、当たり前ですが圧倒的に明るいです。星はリングの無限遠位置より少し手前でピントがあいました。

さて、ここからが本番です。これだけ明るいので、以前試したMagic Lanternの長時間露光ライブビューで電視ができないかを明るいレンズで再度試してみました。場所はいつものように自宅の庭です。

以前の記事の繰り返しになりますが、手順を再度書いておきます。
  1. まずEOS 60Dを動画モードにします。
  2. isoは6400にします。
  3. ゴミ箱ボタンを押してMagic Lanternを起動し、メニューの「Expo」というページの「Expo. Override」をオンにします。
  4. 「Movie」の「FPS override」をオンにし、さらにQボタンを押して「Desired FPS」を小さな値にします。今回は0.33とか0.25とかを使いました。それぞれ3秒露光、4秒露光に相当します。0.2までいくので、5秒露光までできることになります。前回の記事では露光時間をある程度長くすると、これ以上明るくならないと書きましたが、今回は5秒露光まで、きちんと段階的に明るくなるのを確認しました。
  5. さらに「Display」メニューの「LV contrast」を「Very High」に、「LV Saturation」を「High」にするともう少し見やすくなります。
ポイントはこんなところです。今回は雲が出てきていたためにあまり時間がなかったので、PCに接続したりせず、ライブビュー画面だけの結果ですが、それでもそこそこ実用的なレベルになってきています。

最初はオリオン座です。3秒露光です。

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そこそこの星の数と、オリオン大星雲、雲の向こうの星なども見えると思います。オリオン大星雲のところを10倍に拡大してみると

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のように見えます。あくまでカメラ付属のモニター上のライブビュー画面の表示をいつものようにiPhoneで撮っただけなので、PCやHDMIでモニターに出すともう少し綺麗に見えるのかと思います。

だんだん雲が多くなって来たのですが、最後に木を写してみました。

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夜にもかかわらず木の緑色が綺麗に出ています。当然ですが目で見る限り木のところは真っ暗にしか見えません。写真では星が写っていますが、目で見ると実際には薄雲でほとんど何も見えていません。

明るいレンズの威力は相当なものです。HUQさんのα7Sでの電視が、iso10万とか20万、0.25秒露光が最長なので、レンズが同じとしたら、今回はiso6400でこれが15倍から30倍くらい暗く、露光時間が5秒まで持っていけるので20倍くらい明るいので、ほぼ打ち消しあい、だいたいコンパラなくらいのオーダーになります。もちろん、露光時間が長いということは、リアルタイム性を犠牲にしているという点で不利なのは否めません。さらにHUQさんは最初の頃のレンズは58mmでF1.2くらいだったと思いますが、最近は100mmでF1.0のとんでもないレンズを使っているとのことなので、どうしてもレンズの差は出てしまいます。それでも実用上はかなり楽しめるところまで来ているのではないかと思います。

もう少し時間があるときに、PCかHDMIでモニターにつないでみようと思っています。とにかくやっとある程度広角で電視が楽しめそうな状況になってきました。
 

よく考えたら、天体関連の機器を揃えるのに必死で、ソフトウェアに全く予算を割いていないことに今更ながら気付きました。そうは言ってもフリーのソフトがすごく充実しているのも事実で、無理にお金をかける必要がないという意見も一理あります。それでも一部に有料ですごく有益なソフトもありそうなので、そこらへんを少しづつ揃えていこうと思っています。

そんなわけで今回はCanon EOSでの撮影の補助としてBackyardEOS(以下BYE)を使ってみます。バージョンはこの時点での最新の3.1.8です。でもまだ使い続けるかどうかはわからないので、まずは30日の試用版です。ユーザー登録が必要ですが、キーを手に入れれば30日間は無料でフル機能使えるようです。

接続は最初ちょっと戸惑ったのですが、EOS 60Dの場合、新しくもなく、そこまで古くもないので、一番下のドライバーでした。チェックを入れておけば次回からは選択する必要がなくなります。

まずは右の上の方のSettingボタンをおして、保存フォルダを指定し直すことと、保存されるファイル名の設定の見直しを行いました。ファイル名はデフォルトの

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<timestamp>

から少し変えてカメラ名を追加し

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<cameraname>_<timestamp>

としました。

次にやったことはピント合わせです。左上の5つ並んでいるボタンの真ん中を押します。ここでMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限を外してあることがすごく役に立ちました。ただそのままBYEで見てるだけだとたとえMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限が外れていても、PCの画面に映った空は暗いままで、明るい星を頑張って導入する必要があるのですが、この時点でカメラ側のライブビューのモニターに画面をオンにしてやってカメラのモニター上に画像を写してやると、PCの画面のライブビュー映像も露光時間の制限が外れて、限界まで明るくできます。星がたくさん入るので、適当なところに向ければ大抵星が見え、たとえ暗い星でもそれを使ってピントを合わせることができます。ちなみに映っている星はすばるの一部です。


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ピント合わせは画面の星像内をダブルクリックすると四角い枠が移動できるので、映っている星のところに枠を合わせれば、拡大された映像を右上の拡大図の中で「同時に」見ることができます。枠はもう一度ダブルクリックすると、そこの位置で固定できます。BYEのすごいところが拡大映像をもとにFWHM(Full Width Half Maximum: 半値全幅のこと)を計算してくれるので、数値を見ながら一番小さくなるように合わせ込むことができることです。上の写真では3.7(単位はpixel?)になっています。

ちなみにFWHMとは、そこで見える星の光の明るさの最大値の半分になるところの、全部の幅(この場合直径)がどれくらいになるかという意味で、鋭さを表すときなどによく使います。FWHMが大きければ鈍っていて(この場合直径が大きいのでピンボケ)、小さければ鋭い(直径が小さいのでピントが合っている)ということです。

下の写真は先の写真と同じ星でピント合わせをしていますが、ピントが少し外れている例です。FWHMはこの場合27.9とすぐに相当大きくなるので、非常に正確にピントを合わせることができます。

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撮影は左上の5つ並んでいるボタンの左から2番目を押します。撮影された画像はメモリーカードの中のみでなく、PC内にも直接書き込んでもくれるので、いちいち後から移動しなくていいのが便利です。撮影モードの説明は他のページでも解説が結構されているので、今回は他に譲りたいと思いますが、(ここから2016/12/14に段落最後まで追記)一つだけ。もしシャッターを切るときのミラーの動きの振動で撮影像がブレるようなら、画面右の真ん中らへんの「Mirror lock」に数字を入れてみてください。その秒数分だけミラーが上がってから撮影開始まで待ってくれるので、ブレの影響が少なくなります

写真は実際に撮影をしている最中で、5枚中3枚目を写しています。下にこれまで撮った写真のサムネイルも出ています。

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一つだけ、撮影を開始するのに最初うまくいかなく、ログの細かいところを読むとバルブモードにせよとあります。これまでの機種のようにシャッターの近くにある露光調整ダイヤルを回しても30秒までしかいかないので困っていたら、マニュアルモードからさらにモードダイアルを一つ進めると初めてバルブモードになるというところは、しばらく気がづかなかったです。まだ60Dを使い込んでいないのがバレバレですね。さらにBYE内での撮影設定の時の露光時間の選択によるのですが、逆にマニュアルモードにしないと撮影が開始しないこともあるので注意です。

ピント合わせが非常に有効で、Magic Lanternとの併用ですごく使いやすくなります。ファイル名での管理もすごく強力なので、手放せなくなる気がしています。


追記: 2016/10/21、次の日の牛岳遠征に備えている最中に、お試し版だとインターネットの接続が必須とのことで、最悪iPhoneのテザリング経由で接続はできるのですが、iPhoneのバッテリーの持ちなどのことも考え、製品版を購入しました。ASCOMでの接続に備えてPro版にしておきました。$50で、Paypal経由で支払いましたが、全く問題なくスムーズに購入ができ、ライセンス番号もすぐに手にでき、新たにインストールをし直すことなくライセンス番号を変えるだけで、試用版が製品版になりそのまま使うことができました。


 

先日EOS X5にマジックランタンを入れて、ライブビューで長時間露光でどこまで見えるかを試しましたが、結局のところ時間積分して露光していないので、電視観望には使えないという結論を出しました。

しかしHUQさんのコメントを見てハッと思ったのは、そう言えばこの日はマニュアルモードしか試していなかったなあと、もし動画モードで試したらどうなるかと思い、改めて試してみました。

条件は前回と同じく、EOS X5に55-250mm F4-5.6のレンズをつけ、Magic lanternをインストールし長時間露光に挑戦しています。

動画モードにした場合にまず違ったところは、ダイアルを回すなどで変えることができるシャッタースピードは無効になり、露光時間がそのままでは1/29.9秒に固定されてしまうことです。これを変えるためには「Movie」の「FPS override」をオンにし、さらにQボタンを押して「Desired FPS」を小さな値にします。そこで設定した値に近い値が実際の「Actual FPS」というところに出て、例えばDesired FPSを2とかにするとActual FPSは2.002とかになり、約0.5秒間分積分露光して、画面も0.5秒ごとの更新となります。でも、0.5秒更新くらいまでは順当に明るくなっていくのですが、それを超えたあたりから逆に暗くなってしまうみたいです。メカニズムは今の所良くわかっていません。

それでもこれで、とりあえずの不満だった長時間積分した露光は、一応はある程度解決しました。ライブビューモニター上の画面は以下のようになります。

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露光時間分だけ積分してくれる分、暗いものまで映るようにはなるのですが、結局ノイズも増えてしまい、ライブビューモニターの解像度があまり良くないことも相まって、かろうじて星が見えると言ったくらいでしょうか。それでも長時間露光している分だけあって、先日のマニュアルモードでの画像よりは大分マシです。

これがPC上だと解像度は大分マシになります。

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上と同じ画面をEOS Utilityを使いUSB経由でPCに表示した場合です。PC上でも長時間露光積分は有効です。

さらに拡大機能はPC上でも確認できますが、ボタンに対する反応が相当遅いです。

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写真に映っている明るいのは、こと座のベガです。

長時間露光積分は可能ということはわかりましたが、ここでの結論はやはり電視観望に使うにはセンサー感度が足りなく、ノイズの多い画面になってしまうということです。EOS X5の場合はノイズが多いのですが、もう一つ手持ちのEOS 60DはX5よりもはるかにノイズはマシという報告があるので、もしかしたら60Dにしたらうまくいくのではと思い、まだほとんど使っていない60Dを試してみました。

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ライブビューモニターの解像度もX5よりいいので、ずいぶんマシになります。長時間積分露光も問題なくできます。写真は白鳥座のデネブ付近を映していますが、IR改造をしてあるにもかかわらず、それでも今の段階ではやはり天の川や星雲に色がつくレベルにはならなさそうです。

ただし、今回試したレンズはF4からF5.6と決して明るくないということは書いておくべきだと思います。実際ASI224で同レンズで見たのはオリオン大星雲だけなので、同じ対象で同じレンズを使って比較するか、もしくは60DをBKP200に直接つけて直焦点で動画モードでこれまで見た天体と比べる必要があります。

というわけで、今回の結論としては
  • 動画モードを使えば長時間積分露光は可能であり、
  • EOS Utilityを使えばPC上の大きな画面でも同様の長時間積分露光で見ることができる
ということは言えますが、
  • 本当に電視観望として使えるかどうかはもう少し(レンズの種類や直焦点撮影など)検討する必要がある
ということです。というか、60Dくらいにしてやっともう少し検討してみてもいいかという気になったということでしょうか。センサー感度はやはり重要ですね。

センサーの感度そのものを、数値の上だけでもいいのでSonyとCanonで直接比較してみたいのですが、どこかにデータはないのでしょうか?

ここの記事で、一眼レフカメラのライブビューで星雲を見ることができるかどうかということ少し書いたのですが、その後のコメントでHUQさんから情報を頂いたマジックランタンを、Canon EOS X5で早速試してみました。インストール方法などは他の解説ページに譲るとして、今回の目的は
  • マジックランタンの長時間露光機能をオンにしたライブビューで星がどこまで見えるか試す
というものです。

まずは現状確認として通常のライブビューでどのように見えるかですが、マジックランタンなしでのライブビューの画面をiPhoneで撮ったものが以下になります。実際に目で見た画面にかなり近い感じです。

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普段星の撮影をする方ならすぐにわかると思いますが、通常のライブビューでは、かなり明るい星がやっと見え、それを拡大してピント合わせが何とかできるくらいです。あいにく今日は薄曇りで、デネブ周りを撮影したのですが、ほとんど何も写っていません。少し定量的に示すとISO3200でシャッター速度1/8 = 0.125秒くらいまで、ISO6400でシャッター速度1/15 = 0.065秒くらいまモニターの明るさの変化が、目で見ての判断ですが、あるとわかります。すなわちISO x シャッター速度で400位までならモニターの明るさが変化し、それ以上はサチって明るさは変化しないということです。

次にマジックランタンのExpoというページのExpo. Overrideをオンにします。

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この設定で、少なくともライブビュー画面がこれまでよりもはるかに明るくなります。その時同じくデネブ周りの星をライブニューで映して、その画面をiPhoneで撮ったものです。

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マジックランタンの画面なので、はるかに情報上が多くなっています。ISO3200でシャッター速度4秒くらいまで、ISO6400でシャッター速度2秒くらいまで明るさが変化します。すなわちISO x シャッター速度で12800位までならモニターの明るさが変化し、それ以上はサチって明るさは変化しないということです。これだけ明るくなると、星を見てのピント合わせがずいぶん楽になります。

数値だけ見るとISOとシャッター速度の積が長時間露光なしの400から長時間露光ありの12800まで大きくなっているので、ライブニューの画面は32倍くらい明るくなることがわかります。ただし、空の状態が悪かったと言え、ノイズがひどくあまり見えたものではありません。決定的なのは次の画像で、これはこの状態で露光時間を10秒で撮った「写真」です。

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ISOが6400で露光時間が10秒なので、積は64000でライブビュー画面より5倍明るいのですが、ライブビュー画面よりはるかにたくさんの星が写っています。5倍明るいので、星の数が増えるのも当たり前だと思うかもしれませんが、何が言いたいかというと、たとえマジックランタンで長時間露光を設定したとしても、
  • 実際の露光時間分の積分をしているわけではなく、
  • あくまでモニター上の明るさを、これまで制限されていた部分を解除したのみであり、
  • 「ライブ」の名にふさわしく、リアルタイムで画面も動く
ということです。すなわち本当の意味での長時間積分露光ではないということです。

また、この長時間露光の機能はカメラについているモニター上では機能しますが、EOS Utilityを使ってPC上で見ると一番上の写真のように暗いままです。HDMI出力はモニターがないので試していません。また、SharpCapなどのキャプチャーソフト上からはカメラとしては認識されないようです。

というわけで、欲しい機能としては、
  • 本当の意味での長時間露光、すなわち露光時間分を積分した更新頻度にして欲しい。
  • EOS Utility上からもマジックランタンの効果が見えるようにして欲しい
  • SharpCapなどの外部ソフトからカメラとして認識されるようにして欲しい。
といったところでしょうか。(追記: 最初の二つは動画モードを使うことにより解決しました。)

結論としては、
  • マジックランタンの長時間露光機能はこれまでより32倍明るくなるので、星を見てピントを合わせる際には大いに役に立つが、
  • 今の所ASI224やRIなどの代わりにはならない
ということが言えるかと思います。


最後に、マジックランタンは他のページにもくどいほど書かれていますが、あくまで自己責任で試すソフトです。カメラが壊れる可能性があります。私も実際、短時間で2回ダウンして、反応が全くなくなってしまい、電源を切っても落ちずに、バッテリーを抜いてやっと元に戻るという経験をしました。最悪壊れても構わないという機器で試した方が無難です。



 

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