ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:software > BackyardEOS

先日のオリオン大星雲の撮影で、途中でStick PCのバッテリーが切れてしまい、ダークファイルが撮れずじまいでした。まあ、後で取ればいいと気楽に思っていたのですが、なかなか気合が入らず画像処理が一向に進みません。そんな状況だったのですが、Stick PCが実用的になったのもあり、EOS 60DBackyard EOSと組み合わせて気合を入れてダークライブラリーを構築することにしました。富山の冬は晴天率が悪く暇な時が多いのと、貴重な晴天時の撮影時間がもったいないこと、また、撮影時にダークファイルがあるかどうか気にするのもだんだん嫌になって来たのもあります。

まず、Backyard EOSのファイル名の管理が秀逸です。Backyard EOSは撮影時の温度も測定でき、ファイル名にその温度を自動で入れ込むことをできます。他にもダークモードにしておけばこれもファイル名に自動に「DARK」と入ったり、時間はミリ秒単位出記録されたりなど、ダークライブラリーを作る気になるだけの機能があります。ちなみにファイル名は

DARK_60s_1600iso_+19c_60D_20161112-21h21m38s575ms.CR2

のようになり、ステライメージ7でそれぞれのダークファイルをスタックしたものは32ビットのfits形式で保存するので、

DARK_60s_1600iso_+19c-20c_60D_20161112-21h21m-21h50m_x15.fts 

のようなファイル名にしています。

実際の撮影方法はカメラにキャップをして、さらに光がカメラに入り込むのが嫌なのと、外の寒い気温に近づけたいので、カメラとStick PCを接続して両方とも冷凍庫に入れリモートでコントロールすることにしました。

3秒露光、3秒ミラーアップで撮影を続けながら、ダウンロードなどの時間もあり、192枚を19℃から摂氏1℃まで約40分程度かけて撮影しました。1度分が約10枚取れている計算になります。1℃以下にも下がりそうでしたが、カメラの温度体制と、結露なども心配だったので、とりあえず1℃で止めておきました。

その後、温度を反転させて上げるために、カメラとStick PCを冷凍庫から冷蔵庫に入れ替え120秒露光のダークファイルを撮影しました。1時間15分ほどかけ、32枚撮影しました。冷蔵庫は1℃から始めて17℃で上昇が止まり平衡状態になりました。1度分が2枚程度撮影できています。

各温度分の枚数が足りないので、何度か冷蔵庫と冷凍庫の行き来をする必要がありそうですが、これで必要枚数を貯めておけばライブラリーの構築は問題なさそうです。

 

よく考えたら、天体関連の機器を揃えるのに必死で、ソフトウェアに全く予算を割いていないことに今更ながら気付きました。そうは言ってもフリーのソフトがすごく充実しているのも事実で、無理にお金をかける必要がないという意見も一理あります。それでも一部に有料ですごく有益なソフトもありそうなので、そこらへんを少しづつ揃えていこうと思っています。

そんなわけで今回はCanon EOSでの撮影の補助としてBackyardEOS(以下BYE)を使ってみます。バージョンはこの時点での最新の3.1.8です。でもまだ使い続けるかどうかはわからないので、まずは30日の試用版です。ユーザー登録が必要ですが、キーを手に入れれば30日間は無料でフル機能使えるようです。

接続は最初ちょっと戸惑ったのですが、EOS 60Dの場合、新しくもなく、そこまで古くもないので、一番下のドライバーでした。チェックを入れておけば次回からは選択する必要がなくなります。

まずは右の上の方のSettingボタンをおして、保存フォルダを指定し直すことと、保存されるファイル名の設定の見直しを行いました。ファイル名はデフォルトの

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<timestamp>

から少し変えてカメラ名を追加し

<target>_<frametype>_<duration>s_<iso>iso_<fstop>_<temperature>_<filter>_<cameraname>_<timestamp>

としました。

次にやったことはピント合わせです。左上の5つ並んでいるボタンの真ん中を押します。ここでMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限を外してあることがすごく役に立ちました。ただそのままBYEで見てるだけだとたとえMagic Lanternでライブビューの露光時間の制限が外れていても、PCの画面に映った空は暗いままで、明るい星を頑張って導入する必要があるのですが、この時点でカメラ側のライブビューのモニターに画面をオンにしてやってカメラのモニター上に画像を写してやると、PCの画面のライブビュー映像も露光時間の制限が外れて、限界まで明るくできます。星がたくさん入るので、適当なところに向ければ大抵星が見え、たとえ暗い星でもそれを使ってピントを合わせることができます。ちなみに映っている星はすばるの一部です。


IMG_0267


ピント合わせは画面の星像内をダブルクリックすると四角い枠が移動できるので、映っている星のところに枠を合わせれば、拡大された映像を右上の拡大図の中で「同時に」見ることができます。枠はもう一度ダブルクリックすると、そこの位置で固定できます。BYEのすごいところが拡大映像をもとにFWHM(Full Width Half Maximum: 半値全幅のこと)を計算してくれるので、数値を見ながら一番小さくなるように合わせ込むことができることです。上の写真では3.7(単位はpixel?)になっています。

ちなみにFWHMとは、そこで見える星の光の明るさの最大値の半分になるところの、全部の幅(この場合直径)がどれくらいになるかという意味で、鋭さを表すときなどによく使います。FWHMが大きければ鈍っていて(この場合直径が大きいのでピンボケ)、小さければ鋭い(直径が小さいのでピントが合っている)ということです。

下の写真は先の写真と同じ星でピント合わせをしていますが、ピントが少し外れている例です。FWHMはこの場合27.9とすぐに相当大きくなるので、非常に正確にピントを合わせることができます。

IMG_0269


撮影は左上の5つ並んでいるボタンの左から2番目を押します。撮影された画像はメモリーカードの中のみでなく、PC内にも直接書き込んでもくれるので、いちいち後から移動しなくていいのが便利です。撮影モードの説明は他のページでも解説が結構されているので、今回は他に譲りたいと思いますが、(ここから2016/12/14に段落最後まで追記)一つだけ。もしシャッターを切るときのミラーの動きの振動で撮影像がブレるようなら、画面右の真ん中らへんの「Mirror lock」に数字を入れてみてください。その秒数分だけミラーが上がってから撮影開始まで待ってくれるので、ブレの影響が少なくなります

写真は実際に撮影をしている最中で、5枚中3枚目を写しています。下にこれまで撮った写真のサムネイルも出ています。

IMG_0266


一つだけ、撮影を開始するのに最初うまくいかなく、ログの細かいところを読むとバルブモードにせよとあります。これまでの機種のようにシャッターの近くにある露光調整ダイヤルを回しても30秒までしかいかないので困っていたら、マニュアルモードからさらにモードダイアルを一つ進めると初めてバルブモードになるというところは、しばらく気がづかなかったです。まだ60Dを使い込んでいないのがバレバレですね。さらにBYE内での撮影設定の時の露光時間の選択によるのですが、逆にマニュアルモードにしないと撮影が開始しないこともあるので注意です。

ピント合わせが非常に有効で、Magic Lanternとの併用ですごく使いやすくなります。ファイル名での管理もすごく強力なので、手放せなくなる気がしています。


追記: 2016/10/21、次の日の牛岳遠征に備えている最中に、お試し版だとインターネットの接続が必須とのことで、最悪iPhoneのテザリング経由で接続はできるのですが、iPhoneのバッテリーの持ちなどのことも考え、製品版を購入しました。ASCOMでの接続に備えてPro版にしておきました。$50で、Paypal経由で支払いましたが、全く問題なくスムーズに購入ができ、ライセンス番号もすぐに手にでき、新たにインストールをし直すことなくライセンス番号を変えるだけで、試用版が製品版になりそのまま使うことができました。


 

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