ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測・撮影 > 電視観望


志賀高原天空フェス

2022年7月29日と30日に開催された長野県の志賀高原で開催された天空フェス。志賀高原といってもとても広く、今回はその中の熊の湯での開催です。実際には「天空フェスWeek」となっていて、7月25日から31日まで開催されているイベントで、リフトで山頂まで行き、そこから星を眺めるというのがメインです。元々は会場周辺に泊まっている宿泊客のためのイベントだったらしく、そのWeekの中の今回は週末の29、30日が特別イベントという位置付けになるようです。さらに、8月8日から14日までが横手山での天空フェスWeekで12、13日がKYOEIさんがスポンサーの特別イベント、9月23日、24日が山の駅でのイベントになります。

今回、私が電視観望のセミナーとして呼ばれたのも、サイトロンさんがスポンサーになっているからなのですが、そもそも天文関連の会社がスポンサーになるのも今年が初めてとのことで、そのため天文マニアにはこれまであまり知られていないイベントだったようです。

今年は今後まだ、横手山と山の駅でのイベントもありますので、参加される場合の楽しみ方の例も含めて記事にしておきたいと思います。


昼の志賀高原

せっかく志賀高原に来たので、昼間も少し楽しみます。

私が志賀高原に来たのは、まだバブル期だった学生の頃の冬のバスツアーのスキー以来。東京から夜行で長い時間をかけて移動したのを覚えています。夏に来たことはこれまでなく、今回は富山から上越JCTで上信越道に入り、信州中野インターチェンジで降り下道を30分ほど走ります。知らなかったのですが、志賀高原まで来ると草津温泉も下道であと数十kmで、関東からは草津から抜けてくる車も多いとのことです。志賀高原一帯の地名はスキーの時のものをまだよく覚えていて、一ノ瀬、焼額山、丸池、横手山など、今回の熊の湯もふくめて馴染みがあります。確かスキーの時にはローカルなバスが運行されていて、そのバスでスキー場間を移動していました。

今回夏に志賀高原に来て、ずいぶん印象が変わりました。インターチェンジを降りた中野市から国道292号線で志賀高原まで続くのですが、山に入るとどんどん標高が高くなり、志賀高原エリアにはいると沢山の池があることがわかります。丸池だとか蓮池なんかはスキー場の名前としても覚えていました。どうもこの辺り一帯が湿原エリアになっていて、池と池を結ぶ歩道が整備されているようです。さらに、サマーリフトと呼ばれる夏に運行しているリフトがあり、今回も熊の湯の丸山リフトというのを使い、200mくらい上にある高原エリアまで運んでもらいました。

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この日宿泊する予定の熊の湯ホテルです。
天空フェス会場は左の道を奥に歩いていったところです。

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ホテルから歩いて数分のところにあるサマーリフトの一つ、丸山リフトです。


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リフトを降りたところ。たくさんの登山客がいます。

リフトで上に登ると沢山の登山者がいて、多くの人が大沼池を目指します。この池はかなり奥にあり、徒歩でしかいけないようです。私はセミナーの準備も残っていたので、ここから近くの渋池まで少しだけ歩いて引き返し、帰りはリフトを使わずに徒歩で下って少しだけ山の散策を楽しみました。一緒に行った妻は4時間くらい歩いてきたようで、帰ってきたら疲れ果てていました。聞いたら、志賀山と裏志賀山に登ってきたとのこと。途中の道が狭くて細くて岩だらけだったらしく、簡単な四十八池の方に行けばよかったと言っていました。

他にも池巡りの湿原コースなどが志賀高原全域にあるようなので、昼は山歩き散歩を楽しみ、夜は星空フェスを楽しむとかで、夜だけでなく総合的に楽しむのがいいのかと思いました。


会場の下見とセミナー準備

さて、妻が登山に行っている間、私はセミナーの準備と会場の下見です。会場は熊の湯キャンプ場で、受付やセミナー会場は3階建ての建物の中です。

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まだサイトロンのスタッフも来ていなくて、キッチンカーがちょうど到着して準備を始めているところでした。キャンプ場のスタッフの方にセミナーとの下見ですと声をかけると、星を見る場所やキャンプをする場所などを案内してくれました。「よかったら山頂の星見会場も見ますか?」というので、お言葉に甘えてリフトに乗って山頂へ。

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途中景色がきれいで、風が気持ちよく最高でした。この時の天気はというと、雲間に青空が一部見えるくらいです。これくらいでもいいので、せめて夜に星が見えればとこの時は考えていました。

山頂に着くとなんとハンモックが!ここで寝ながら星が見えたら最高でしょう。この時は気づかなかったのですが、後から聞いたら下界も見えるそうで、夜になるとその光が綺麗とのことです。

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ハンモックで寝っ転がっていたら、スズメバチがまとわりついてきて退散。そのまま帰りのリフトに乗ります。ところがこれが怖い怖い...。景色が見える昼間だから一層だと思いますが、そのまま落ちていきそうな感覚でした。よく考えたら下にくだるリフトってほとんど乗ったことがなかったかもしれません。

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熊の湯では昨年からキャンプ場をオープしたとのことで、スキー場下部の芝生の広いスペースに自由にテントを張ることができます。申し込みは下の写真のようなチケット販売機でできるようです。

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この時にもすでに一張りテントが設営されていました。後で分かったのですがこのテントの方も電視観望セミナー参加者で、前日から泊まられていたそうです。

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一旦ここでホテルに戻り、チェックイン。ロビーで待っている間に、たまたま同席した旅行会社の人と話しました。この日は都心からの中学校の2年生が林間学校に来ていて、ここ一帯のいくつかのホテルに分散して泊まっているとのことです。この方、最初私のことを引率の先生と間違えて話しかけてきたようでした。でも旅行会社の人も今回の天空フェスのこと知らなかったみたいで、ちょっと意外でした。その後、本当の先生も現れ「引率大変ですね」とか話していたのですが、中学生は天空フェスには参加できないんだろうなと思うと、せっかくの機会のはずなのにちょっと残念でした。有料イベントなので仕方ないこともありますが、ホテルのエレベーターにさえ「中学校の生徒は使用しないでください」と張り紙がしてあるくらいなので、かなり行動が制限されているのかと思います。

チェックインの後、再び会場に行くと、間もなくサイトロンのスタッフさんも到着して、設営が始まります。2階はサイトロンのブースになり、天文機材や書籍、アクセサリーなどが並びます。

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セミナー会場も準備ができました。この日紹介するつもりなのが、架台がAZ-GTi、鏡筒とカメラがNEWTONY+Ceres-CとFMA135+Uranus-Cです。プロジェクターがすごかったです。真上にレンズが付いていて、スクリーンから30cmの距離で投影可能な最新型だそうです。

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スタッフと一緒にスライドを一通りチェックして、代替準備完了。一旦ホテルの部屋に戻り、30分くらい仮眠をとり、17時過ぎに会場に向かいました。


電視観望セミナー

2階のサイトロンブースの前では、お客さんが何人かいて、今日のセミナーを受講してくれるという方もいました。

話してみると、電視観望を始めたはいいがなかなかうまく行っていないとのこと。なんとかしたくて今回参加を決めたようです。まだ時間があったので少し聞いてみると、まず鏡筒がMAK127であること。MAK127は焦点距離が1500mmと長くて視野がかなり狭くなるので、初心者が導入するにはかなり厳しいと思います。カメラはNeptune-C IIを使っていて、もう少し視野を広げようとしてどこかの電視観望を説明している動画でASI482MCがいいといっていたので買って試したが、全くうまくいかないとのことでした。あのカメラはピクセルサイズが大きく、一見期待できそうなのですが、オフセットに難ありのようなので、私も結局使ったことがありません。とにかく初期導入に困っているとのことで、プレートソルブを試したいそうなのですが、こちらもうまくいっていないとのこと。聞くとこの日は自分の機材を持ってきているそうなので、せっかくだから一緒にやってみましょうと言って、PCとカメラとAZ-GTiを接続してチェックしてみました。私よりも年上の方だと思いますが、PCの設定もきちんとしてあり、SharpCapやPlayer Oneカメラのドライバー、 SynScan ProやASTAPもインストールされていたりで、かなり使いこなしているようでした。ASCOM関連もPlatformまではインストトールされていたのですが、SynScan Apps用のASCOMドライバーが入っていなかったのが原因でした。改めてインストールし、SharpCapから無事にAZ-GTiに接続もでき、その場では星が見えなかったのでプレートソルブのテスト機能を走らせただけですが、おそらくこれでうまくいくはずです。セミナーの時にも説明はしたのですが、この場でも焦点距離が短い方が楽だということを力説しておきました。

こんなことをしていると、セミナー開始15分くらい前になってしまい、急いで3階にいくと、もう何人かの方は席に着いていました。スタッフさんに聞いてみると、事前申込者が4、人当日申し込みが4人で、合計8人とのこと。平日の夕方からのセミナーで都心からも遠く離れているので、参加もなかなか難しいと思いますが、それでも8人も集まってくれてとてもありがたかったです。

それぞれどこから来たか聞いてみると、やはり関東勢がほとんどです。天体の経験が長い方もいましたが、電視観望の経験はと聞いてみると半分少々が試したことがあるけど、基本的に初心者に近く、いずれもあまりうまくいっていないとのこと。残りの半分切るくらいの人が、興味はあるので始めてみたいという方で、中には天体撮影もやっているベテランに近い方もいるようです。

せっかくの機会なので、わからないところはできるだけ解決してあげたくて「どんどん質問して下さい」と言っていたのですが、セミナーの途中に何度も、セミナーが終わってからもずっと質問が続くような状態でした。今回は有料のセミナーということで、いずれも何か解決したいことがあるというような意気込みを持って参加するような方が多く、皆さん相当熱心にでした。

最後の方の質問で、電視観望でまとまった書籍みたいなのはないかと聞かれたのですが「詳しいものはまだ存在していない」と答えざるを得ないことが非常に残念でした。セミナーの中でもサイトロンで作った「電視観望実践ガイドブック」があるとは伝えたのですが、それも読んだがやはりまだ細かいことがわからないという質問のようです。とうより、最初は何がわからないかもわからず、どこまでできるかもわからないということのようで、考えてみればそれはもっとかもしれません。例えば「SharpCapの有料版があることはわかっていて、どんなことができるようになるかもある程度わかる。でもどの機能が実際に電視観望に有効かを知ろうと思うととても苦労する」というようなことです。確かにこういった細かいことまでまとまった書籍というのは販売されていません。

私のところもブログの記事でしかなく情報が散乱しているので、何か一冊、細かいところまで手が届く書籍のようなものがあるといいのかもしれません。天文ガイドの記事もありますがやはり字数制限もあり、応用編などはどうしても紹介にとどまってしまいます。いつかどこかで、思う存分書けるような一冊を出版できたらと、最近考え始めています。

いずれにせよ、セミナーに参加していただいた方には、今回のスライドと動画を後でお渡しすること、わからないことはいつでも連絡をいただければ応えることをお伝えし、セミナーはここで終了となりました。

30分ほど休憩の後は、外に出ての実際の星空での実演です。休憩といっても用意して頂いていた夕食がわりのホットドックを急いで頬張り、すぐにそのまま機材の準備です。今回時間がなくてキッチンカー巡りができなかったのが心残りです。でもホットドックははみ出るほどの大きなソーセージとチーズがかかっていてとても美味しかったです。


電視観望実演

実演会場は、建物があるところから坂を10m位上ったところで、昼間乗ったリフトとは別のリフトの乗り場の開けたところになります。下の写真に写っている小屋に機材を入れておき、雨の時は退避させ、天気が良ければ出すというような形になります。電源もあるので、今回は大きなプロジェクターを出していました。

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20時半頃に建物の前に集合して、スタッフさんとともに上に上がる予定でしたが、20時20分にいくとすでに何人かは集まっていたので、私と一緒に実演会場まで先に移動してもらいました。ただしこの時点ではかろうじて薄い雲のところから星が見えている程度で「晴れてくれー」と願っているような状況でした。上に登って機材を展開していると、少なくとも南の低いところは星がはっきり見えてきて、さそり座がよく見えてきました。サイトロンスタッフのWさんはすでにセットアップをしていて、AZ-GTiのオフィシャルな赤道儀版とも言える、まだ発売前のSTAR ADVENTURE GTiを試用していました。鏡筒とカメラはWさんも私もFMA135とUranus-Cで、特に相談したわけでもなくかぶってしまいました。それだけ使いやすいということでしょう。

私もセットアップをはじめます。セミナーで話した通り、
  1. 三脚を調整しAZ-GTiの水平と、同じく鏡筒の水平も(水準器を置いてきてしまったので、目分量ですがある程度)とります。
  2. PCとカメラを繋ぎSharpCapで画面に何か見えることを確認します。
  3. PCとAZ-GTiをWi-Fiで接続し、 PC上のSynScan Proから操作し、初期アラインメントをします。
ところが今回珍しく深刻なトラブル発生です。初期アラインメントが全然うまくいかないのです。最初見えていたさそり座のアンタレスで全然画面に入らず失敗。一旦あきらめて、雲が晴れてデネブが見えてきたのでデネブで再度初期導入。これも画面に入らず失敗。AZ-GTiの電源を落とし、改めて水平をきちんと確認し、北も確認し、それでも画面に入らず失敗。惜しいところで入らないとかではなく、10度くらいターゲットからズレるようなので、磁北と真北を間違えたのではと思い、北極星の位置を見ながら確認しても失敗。相変わらず10度くらいのオーダーで全くずれてしまいます。合計4−5回電源を入れるところから繰り返したことになるでしょうか。お客さんがいる観望会でこれだけトラブルのは珍しいというか、ほぼ初めてのことです。一方、プロジェクターに映しているWさんの電視観望セットは絶好調で、次々と天体を映し出していきます。

流石に何かおかしいと思いますが、こういう時こそあせってはダメです。電源がおかしいかとかなど色々考え、あることに気付きました。答えは上の1から3の中にあるのですが、これだけで気付く方いますでしょうか?
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ヒントですが、実際には1から3のうちの3が問題でした。3の何が問題かわかりますでしょうか?
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これ以降答えになります。考えている方は答えをまとめてみてください。
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答えは、PCからAZ-GTiをコントロールしてしまったことがトラブルの原因でした。もう少し詳しく書くと、今回富山から志賀高原に移動して来たわけで、当然緯度経度はかなり違います。最初にスマホのSynScan Proで操作してやれば、スマホのGPS情報が自動的にAZ-GTiに転送されるのですが、GPSを持っていないPCで接続すると過去の緯度経度情報を使ってしまいます。そのため自動導入も全然違った方向を向いてしまったというわけです。

これに気づいてから、スマホで接続して初期アラインメントをすると、これまでの苦労がなんだったのかというくらい素直にデネブが画面内に入りました。このトラブルだけで30分近くロスしてしまったので、実演としては失格です。まあ、途中手動で北アメリカ星雲を入れてライブスタックを見せていて少し場を繋いだことと、初期アラインメントができなければその後何をやっても無駄だということを身をもって示したということで、なんとかお許しいただければと思います。

ここからはこれまでの失態を挽回すべく、どんどん天体を入れていきました。M27を自動導入し実際の電視観望で綺麗に見えることを確認し、M57ではFMA135の短い焦点距離でも十分分解することを示します。時間があまりなくほとんど写真を撮れてなかったのですが、下は数少ない写真の一つで、M8干潟星雲と、M20三裂星雲です。

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この日の空のコンディションの良さと明るい天体ということもあり、6.4秒露光の一発であからさまに画面に鮮やかな星雲が出てくるので、セミナーの受講生も含めて、その場で見ていた方は「おぉー!」というような雰囲気でした。

この頃になると私もやっと余裕も出てきて、改めて空を見上げると全面快晴。プロジェクターの明るさがすぐ近くにあるにもかかわらず、天の川もかなりくっきりと見えていました。実は私の方が見えるようになると、今度はプロジェクターを利用しているWさんの方がトラブってて「天の川で迷子になったー」と叫んでいました。

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上の写真は終了間際の21時50分くらいでしょうか、この頃にはWさんのトラブルも解消し、プロジェクターにはM51子持ち銀河が、私のPCには網状星雲がそれぞれはっきりと見えていました。

この時点でアナウンスが流れて、22時にイベントは終了とのこと。我々もここで片付けとなりました。今回トラブルはありましたが、やはりそれでも快晴の空が全てで、セミナーだけでは説明しきれない説得力を持って電視観望の楽しさを示すことができたと思います。

結局、ちょっと楽しみにしていた夜のリフトはセミナーと実演で時間がなくて乗ることはできませんでした。その代わりに妻が夜にリフトに乗ってくれていて、後から感想をたっぷりと聞かされました。ちょうど空が晴れ渡った21時くらいにに乗ったみたいで「星が目の前に迫ってくるようで、とにかく大迫力。降りたら誰もいなくて星空を独り占めで、天の川はもう普通にはっきりと見えて、下の方にあるさそり座も全部見えた。あと、すごく大きな流れ星(火球だよと教えました)を見たよ。音が聞こえたくらい大きかった。下の明かりもすっごく綺麗。これだけでもう大満足。」とのことでした。


イベントについて

片付けも終わり、ホテル内の温泉に行くと、ちょうどサイトロンの若手のスタッフ2人と一緒になりました。昭和レトロ満載の、すごい雰囲気の温泉です。お湯に浸かりながら、多分1時間くらいは話していたでしょうか。趣味としての星のこと、アマチュア天文の将来、業界の裏話など多岐に渡り、とても楽しかったです。もちろん今回のイベントについても話しました。

その延長ではないですが、今回のイベントについて改善点も含めて、少し書いておきたいと思います。

今回参加して、過去のことも調べて少しわかったのですが、まず認識しておかなければならないのは、このイベントは元々志賀高原での夏の滞在を促すためのものとして立ち上がり、基本的には会場周辺のホテル宿泊者を想定していると思われることです。そして、天文関連の会社にスポンサーを頼んだのは今年が最初のようで、天文マニアにこのイベントの存在が届き始めたはおそらく今回が初めてだったのではということです。

その上で少し議論ですが、まずイベント参加料が2500円ということです。最初少し高いのではと思ったのですが、天文マニアの視点を外して、一般の人が参加することを想像してみます。夏休みのイベントとして高原に旅行に行き、そこで(天気さえ良ければ)極上の星が天の川と共に確実に見えるというなら、この値段もありかなという気がしました。これは妻の反応が物語っていて、リフトがやはりメインであるということです。イベント参加料にはリフト代も含まれています。しかもリフトはその時間の間は乗り放題だそうです(すみません、多分間違いないと思いますが、一応参加時に確認してください)。妻はこれまでもたまには私に付いてきて、濃い天の川も何度も見ています。それでもリフトに乗って山の上に見にいくという体験は初めて。相当迫力があり楽しかったようで、(私は夜にリフトに乗れなかったので)いまだに何度も話してくれます。都会の、普段天の川など全く見えないところから来て、リフトに乗っている時も、山頂についてからも、迫力満"天"の星を楽しめる保証をしてくれるなら、決して悪くないと思ったというわけです。

その一方、普段から光害の少ないところに遠征とかしている天文マニアにとっては、天の川はよく見ているはずなので、参加料の割にそこまで魅力とならないかもしれません。とくに今回セミナーで参加して頂いた方は、ほとんどの時間をセミナーと実演に使ってしまったので、私と同じでリフトに乗る時間はなかったのが現実だと思います。百歩譲って、セミナーに参加された方は目的があり納得済みでイベントに参加しているのでまだいいかもしれませんが、一般の方で参加してリフトに乗らなかった、もしくは乗れなかった場合です。今回も、実際に満天の星が見えたのは21頃からです。21時だと家族連れで子供が小さいとすでに厳しい時間かもしれません。妻がリフトに乗った時には誰もいなかったと言っていたので、この日実際にリフトに乗って星を見た方は、参加者全体の中でも数えるほどかと思います。リフトが運行しない場合はイベント参加料が安くなるとアナウンスされていましたが、天気が悪いとリフトが運行されている場合は実際にリフトに乗る参加者は少なくなってしまうのかと思います。もちろん天気のことなので、文句を言ってもしょうがないのは参加者も納得済みかとは思いますが、天気が悪くても楽しめるようにすることをもう少し考えてもいいように思えました。

参加する前、事前に昨年の星空フェスの様子などの宣伝の動画を見ました。もっと飲食やアクセサリー販売のブースが出ていたり、ヨガイベントやバーのようなものがあるのかと思っていましたが、あれは熊の湯ではなく他の場所で行われたものだと、現地についてやっと理解できました。動画では何がどこで行われているか何も解説がなかったので、普通に考えると自分が行く場所でも行われていると期待してしまいます。妻もビデオを見て期待していたところもあったので、少し残念がっていました。それでもリフトに乗って星が見えたので「それだけで価値がある」と言っていましたが、そうでない家族連れなどは少し物足りなかったかもしれません。これは今後大いに改善して頂きたいと思った点でした。


まとめと、帰り道

個人的には電視観望の実演のところでGPSのトラブルがあったものの、セミナーも盛り上がり、実演も最後は奇跡的に快晴と、十分楽しむことができました。次の日の朝、ホテルの朝食会場でセミナー受講生の一人と会い感想を聞いてみたら「とても楽しかった、目から鱗のことがたくさんあった」というようなことを言っていただいたので、今回の講師を引き受けた甲斐があったのかなと思えました。

帰りに、志賀高原歴史記念館に寄っていきました。元々志賀高原最初のホテル「志賀高原ホテル」のエントランス部分を残して記念館にしているところです。入場は無料で、志賀高原の丸池スキー場をベースに活躍した1956年(昭和31)のコルチナ・ダンペッツオ(イタリア)冬季五輪のスキー男子回転銀メダリストの猪谷(いがや)千春の紹介コーナーは中々見応えがありました。

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山から降りて高速のインターに向かいますが、高原から下界に降りたときの暑いこと暑いこと!気温が10度以上違ったりするので当たり前なのですが、改めて高原がいかに涼しかったか思い知らされました。

久しぶりに妻もついてきた星イベントですが、ずっとコロナでどこにも行けていなかったので、とてもいい機会でした。講師として呼んで頂いたサイトロンさんにはとても感謝しています。今後の志賀高原のイベントはさらに天文マニアが増えてくる可能性があります。これまで通りのホテル宿泊の方に喜んでもらうのはもちろん、マニアも含んだ皆さんが楽しめるイベントに発展していってもらえたらと思います。

妻もとてもいい夏休みのイベントになったと喜んでたので、今回は大成功だったかと思います。

今週末の7月29日金曜日18時30分から、

において
をすることになりました。
  • 天空フェスはリフトで標高1,960mの山頂へ行き、『熊テラス』から眼下に広がる夜景と綺麗な夜空を堪能できる星イベントです。夏休みの行事として、ご家族連れで参加されても楽しいかと思います。
  • セミナーの内容は初心者向けにわかりやすく、一般の方にも興味を引くようなものにしようと思っています。


会場はタイトルにあるように長野県の志賀高原の熊の湯キャンプ場(〒381-0401 長野県下高井郡山ノ内町平穏7148)になります。

実は今回の話、有料イベントと知らずに引き受けてしまったのですが、セミナー参加料2000円の他に、イベント入場料(一部アトラクション代、保険代、リフト乗車代が含まれます。):
  • 大人:税込2,500円
  • 小学生:税込2,000円
  • 小学生未満:無料
が必要とのことです。

さらに私の講演は平日の金曜にあるので、なかなか参加しにくいかもしれません。定員20名ですが、まだ枠はあるとのことです。もし電視観望に興味があり平日時間が取れる方は、よろしければぜひご参加ください。

お申し込みはこちらから


お願いいたします。



当日はサイトロンの天文機器の販売ブースも出ますので、講演を聞いて興味が出たらその場で機材を買うこともできるようです。せっかくの機会なので、

その場で購入した機材を使って、
私Samといっしょに
電視観望のセットアップを組むことができたら

と考えています。さらに、もし天気が良ければ

実際にその機材で電視観望で星雲などが見えたら

と思います。
NEWTONY

なお、7月30日の土曜日は17時30分から
も開催されます。

こちらも合わせて、皆様のご参加を是非お待ちしています。


 

今回の記事は、SV405CCの評価の中休み的なものです。晴れ間に気軽に電視観望を試してみました。

電視観望のチャンス

2022年7月2日、天気予報が悪くてほとんど何も準備していなかったのですが、途中から予報が変わり朝まで快晴。せっかくなので、後日試そうと思っていたSV405CCでの電視観望を自宅で試してみました。ドライバーは6月13日付の最新のものにしてあります。最初のほうでASI294MCと比較していますが、SV405CCでもASI294MCでも露出時間は6.4秒、ゲインは450としています。ライブスタックでのトータル露光時間は2分の場合と10分の場合がありますが、詳細は画面で情報を見てください。

鏡筒はいつものお気軽なFMA135にAZ-GTiの経緯台モードです。フィルターはCBPです。

最近は赤道儀もそうですが、経緯台モードのAZ-GTiでもワンスターアラインメント時の初期導入で天体が入ったかどうか確認もせず、プレートソルブをかけて強制導入してサボってしまうので、とても楽です。SV405CCでもきちんとプレートソルブができ、経緯台モードのAZ-GTiにズレをフィードバックしてきちんと天体を導入できることがわかりました。

あと、今回のテストで「背景減算」のところで「グラジエント除去」を選択しています。これは結構いいです。自宅なので周りの明かりでかなりカブリが出てしまうのですが、基本ほとんど1次の補正で除去できるようです。ただし、周辺減光があると1次での補正だと補正しきれないのでうまくいかないかもしれません。周辺減光がなければ、オートストレッチで以前よりもかなり攻めることができ、実際の画像でも目に見えて改善を確認できます。


SV405CCとASI94MCで比較

初期アラインメント完了後、まずM27: 亜鈴状星雲を導入しました。この状態でSV405CCとASI294MC(プロでないほう)で比較してみます。 両方ともCBPを使っています。公平を記すために、SV405CCも冷却なしの常温とします。上がSV405CC、下がASI294MCです。
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SV405の方が少しピントが甘く、恒星が大きくなってしまっていますが、それ以上の違いがホットピクセルの数です。SV405CCの方がASI294MCに比べて圧倒的にホットピクセルが少ないです。拡大してみます。左がSV405CC、右がASI294MCです。
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ホットピクセルの数の違いが分かります。クリックしてさらに拡大してみてください。

これくらいホットピクセルが少ないと、リアルタイムダーク補正がいらないので、かなりいいですね。この意味でもSV405CCは電視観望に向いていると言ってもいいと思います。

ところで、実際このSV405CCにはPlayer One社のDPSのような機能があるのでしょうか?SVBONYのページを見る限り、そのような記述はないようです。ここら辺は同じIMX294センサーのASI294MCから進歩しているところなのかもしれません。SV405CCのこのホットピクセルの少なさは特筆すべきで、もっと宣伝しても良いのかと思います。


続いて北アメリカ星雲での比較です。上がSV405CC、下がASI294MCです。
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後から気付いたのですが、ASI294MCの方の恒星にハロが出てしまっています。理由が不明ですが、特に雲が出ていたとか、曇っていたとかはなかったと思います。これまでこんなのは気になったことがないです。たまたまなのか、今後少し気にするようにします。

SV405CCのヒストグラムのライブスタックのピークの位置が結構右に来ているのは、輝度を挙げているからです。どうも「黒レベル」というのがASIでの「輝度」に相当するようです。最大値が255なので、真ん中近くの120としましたが、少し大きすぎたようです。

拡大するとわかりますが、やはりホットピクセルはASI294MCの方が多く、SV405CCではほとんど目立ちません。


彩度の差

実はこれまでの撮影のから、SV405CCは色が出やすいことがわかってきています。少し先取りして載せますが、前々日にM8とM20を較撮影した時のNINAの画面です。3分露光での撮影時のNINAのオートストレッチでの画像です。上がSV405CC、下がASI294MCです。

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SV405CCでの撮影時。


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ASI294MCでの撮影時。

明らかに彩度に差があり、SV405CCの方が色が出ているのがわかります。この時点でドライバーは6月13日付の最新のものにしてあるので、ゲイン違いの不具合などは直っています。また、NINAのオートストレッチのせいかというとそうでもなく、ASIFitsViewerでオートストレッチしても同じような傾向です。

この結果から、電視観望でも彩度はSV405CCが濃くなるかと思っていたのですが、北アメリカ星雲の電視観望画像を見る限り、ではほとんど差が出ませんでした。露光時間が短いと彩度に差が出ず、露光時間が長いと彩度に差が出るということなのでしょうか?

もう一つここで述べておくべきことは、撮影時にSV405CCで出ていた青ズレの類が、電視観望の画像では有意に見えていません。

まだまだ謎は深まりますが、SV405CCは電視観望用途としては申し分ないでしょう。


SV405CCで連続電視観望

ここからは比較でなく、SV405CCオンリーで薄明開始まで見えるだけみてみます。まずは網状星雲です。自宅からですが、十分見えています、
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次は小さいM57を600%の拡大で見てみます。ピクセルのジャギーが見えていますが、いつものASI294MCでの画像と遜色ないです。
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M31です。画角に収まるように拡大しています。
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クールピクセルの縞ノイズと思われるものが画面を這っているので、ここでリアルタイムダーク補正をしてみます。
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かなり改善されているのがわかると思います。ホットピクセルだけならダーク補正は必要ないと思いますが、クールピクセルなどの黒い筋ができる場合は、リアルタイムダーク補正をした方がいいようです。

ちなみに、その時のM31を含む全画角が以下のようになります。ここからM31の部分を拡大してみていると言うことになります。広い画面です。IMX294のフォーサーズの画角を利用できるのはやはり良いですね。
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最後はNGC7293:らせん星雲です。これだけ25分ほどのスタックになるので、その分色もかなり濃く出ています。
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最近のSharpCapでアノテーションができるのはご存知でしょうか?名前が出るので、観望会でも役に立つと思います。
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まとめ

SV405CCですが、電視観望にかなり向いているカメラだと思います。フォーサーズサイズで大きな面積、かつホットピクセルが少なく、冷却付きで10万を切る価格。これだけでも十分な価値があります。

彩度に関しては撮影ではASI294MCとSV405CCで差が出ましたが、電視観望ではほとんど差が出ませんでした。まだまだ色々謎です。でも、この彩度の違いが青ズレと関係していると推測しています。この青ズレ問題、次回以降でも扱っていきます。


島根で行われた公開天文台協会の全国大会で電視観望の話をしました。元々は天文普及教育研究会でのトークでの懇親会で電視観望の話をして下さいということでお誘いを受けていました。


観望会における電視観望

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8時間かけて到着した出雲市駅。ここからさらに車で1時間の三瓶山に向かいます。

参加メンバーは全国の科学館やプラネタリウムなどの天文台を持っている施設関連の方がほとんどで、私がこれまであまり関連を持てなかった方達ばかりで、非常に貴重な体験でした。これまでのブログでの配信や、星まつりでのデモとは違った層の方達に電視観望をアピールすることができるので、かなり気合が入ります。今回のテーマが「多様化の時代に求められる観望会とは」 というもので、その中でも電視観望は重要な手法の一つとして捉えていただいているようです。基本的に一般の方達に天文を広めていくプロの方たちの集まりです。参加者からさらに電視観望が広がっていくかもしれないので、大いに期待してしまいます。

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会場準備中の写真。

研究会は3日間の日程です。個々の発表があり、自らの施設の紹介、コロナ禍での施設運営、光害の話や、博物館方についての議論など、内容は様々ですが、どれも非常に興味深かったです。KYOEIさんが光害防止フィルターについて発表されていたのも印象深かったです。

自分の電視観望の発表は1時間近くあったので、かなり詳細に話すことができました。かなり好評だったようで、その場での質問も多く出ましたし、トーク終了後もかなりの方に個別に色々聞かれました。今回皆さんと話していてわかったのは、公開天文台においてもかなりの率ですでに電視観望が実施されている、もしくは非常に興味があって導入を検討しているというところが大多数であるということでした。なので皆さんトークもかなり真剣に聞いてくれていて、とても心強く感じました。また、参加者の中にはこのほしぞloveログをすでに読んんでくれている方もいましたし、電視観望に否定的な意見も出るかなとも心配していたのですが、それは全くの杞憂であって、もう完全に観望手段の一つで、今後電視観望を導入していかない手はないというような雰囲気でした。アマチュア天文から発展し、公的な天文台等にもきちんと認識されているということがわかっただけでも、私としてはかなりの収穫でした。

トークで一つ強調したのは、皆さん施設において大きな望遠鏡を触れる立場の方が多いはずなので「是非ともCMOSカメラを付けてみて下さい」ということです。焦点距離が長くても、導入精度のいい赤道儀もあるはずなので、系外銀河とかも難なく見えるはずです。私自身はそんな大型の望遠鏡を触ったことがないので、ある意味羨ましいのですが、色々試していただいてまたどのように見えるのか、何が難しいのかなどノウハウが蓄積されていき、その情報が共有できるといいのかと思います。


電視観望の実演

梅雨が心配だったのですが、会期中に梅雨も明け3日とも夜は晴れるというコンディションで、当然夜は電視観望のデモを行いました。機材は電車でも持っていけるように、FMA135+ASI294MC+AZ-GTiをミニ三脚に載せた非常にコンパクトなものです。トークの最中に明るいところでも機材を見てもらいましたが、鏡筒の小ささに皆さん驚いていました。

トークの中でも重点的に説明したのですが、ライブスタックよりもまずはヒストグラムの左の2本線で挟むこと、これを実演して見せることができました。後で聞いたら、「電視観望やっているけど、2本線で挟むことをやっていなくてあまりはっきり見えていなかった。帰ったら早速試してみる。」と言ってくれた方もいました。

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初日の電視観望で観た、雲越しの北アメリカ星雲

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定番のM27。この頃から雲も少なくなってきました。

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網状星雲。

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アンタレス付近のカラフルタウン。青が少し出始めたか?

上の画像は初日のものですが、最後の夜に30分ほどでしたが、M57、M27、北アメリカ星雲を参加者のかなりの方に見てもらうことができました。トークの後での実演だったので、本当にこんな小さなシステムでここまで見えるんだと、びっくりされた方も多かったようです。


配信システム

今回の大会で、特筆すべき欠かせない役割として活躍したのが、会場とオンラインのハイブリッド開催を担う配信システムでした。

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普段から星空中継などをされているチームがボランティアベースで構築してくれていたのですが、ハードウェアコーディングなどの機材を実際に見ることができてかなり勉強になりました。PCベースだと不安定で、ハードベースにすることでかなり安易したシステムにしているとのことです。また、発表スライドの表示形式や配信にあった設定などもとても詳しくて、自分のトークの時にも色々設定していただきました。

今後の天文イベントはこういった配信体制の確立は必須だなあと実感させられました。もちろん一般のにも応用が効きそうな方法なので、色々参考にしたいと思います。


発表会以外のプログラム

発表以外のイベントも楽しくて、歩いて5分くらいのところにある三瓶自然館サヒメルでは、日本最大のスライディングルーフがあり、GOTOのクーデ型の望遠鏡4台を覗かせてもらったり、

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西村の口径15cmの屈折で電視観望、口径60cmの反射望遠鏡で眼視と、M5球状星団を見比べることができました。

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電視観望ではM5の恒星の色を見分けることができ、皆さんその威力を垣間見ることができたのではないかと思います。その後のプラネタリウムでは特別ゲストで生ブラック星博士が出てきたり、

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三瓶自然館サヒメル

せっかくなので、少しだけ三瓶自然館サヒメルについて。

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時間があったので施設の見学をしました。三瓶山の自然や動植物、昆虫などの展示が多く、家族連れで楽しめる施設になっています。埋没林が印象深く、火山で埋もれた高さ十数メートルの木を掘り出したものを展示してあります。かなりの迫力です。

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車で移動ということなので行けませんでしたが、埋没林博物館というのもあるとのことです。

望遠鏡は先に書いたスライドルーフに納められたクーデ式と60cmの反射があります。堀田仁助という地元出身の江戸時代の天文方の展示があり、プラネタリウムではその伝記のプログラムもあります。

SANBE BURGERという地元の肉を使ったハンバーガーショップもあります。

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看板メニューの三瓶バーガー美味しかったです。

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まとめ

会場でお会いできた皆様、電視観望の実演を含めていろいろお話させていただきありがとうございました。普段聞けないような話も色々していただきとても参考になりました。電視観望が観望会でかなり使われていることを聞いて、とても嬉しかったです。私のトークやデモが実際に参考になってくれれば幸いです。またJAPOSの役員の皆様、サヒメルのスタッフの皆様、3日間大変お世話になりました。とても快適に楽しく過ごすことができました。本当にありがとうざいました。

3日という短い間でしたが、最後の解散の時は名残惜しかったです。もしまた機会があれば参加してみたいです。
 

前回記事で試したASI2400MC ProとFS-60CB +旧フラットナーで試した電視観望。

お気軽電視観望というところからは程遠いことがわかり、今回は満を辞してのTSA120の登場です。さて、どうなることやら。


TSA-120にASI2400MC Proを取り付ける

前回FS-60CBでの反省を踏まえ、TSA-120でのセットアップです。

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  1. まず、カメラセンサーの近くにホコリがついていた可能性があるので、ブロアーで吹き飛ばしました。
  2. 周辺が歪まないようにフラットナーを鏡筒側に取り付けます。
  3. FS-60CBで苦労した接続も、2インチアイピースが標準のTSA120なら楽勝です。カメラに付属の2つのアダプターは、2インチアイピース口の差し込み口の径に合うような48mmのものになっています。落下防止の意味も含めて、アダプターを2つ連結してカメラに取り付けます。
  4. 月は出ていないですが街中で明るいのでCBPをカメラのアダプターの先に取り付けます。
  5. カメラ本体をアイピース口に差し込みます。
  6. 架台もAZ-GTiでは当然荷が重いので、CGEM IIにします。
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さあ、豪華セットで電視観望開始!

この状態でM42オリオン大星雲で比較します。今回も、西の空低くの沈みかけになります。FS-60CBではなかなか出なかったのですが、TSA-120では細部までかなり出ていることがわかります。ランニングマンも写りかけています。基本的にピクセルサイズが6μmと大きいため感度が高いためか、西のかなりひどい状況の空でも十分に映し出すことができています。
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ただし、FS-60CBの時よりはましみたいですが、それでも周辺減光があります。実はこれ、周辺減光はひどいわけでは全くなく、普通の撮影時で出てくる周辺減光と同レベルです。電視観望では強度の炙り出しをリアルタイムでしてしまうために、どうしても周辺減光が必要以上に目立ってしまいます。

次に、馬頭星雲と燃える木です。一応見えてますが、あまりはっきりしません。周辺減光で炙り出し切れていないせいもありますが、そもそも隣の家の屋根に沈む寸前。これ一枚ライブスタックした次の画像は、屋根が入ってしまいました。

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次はこちらも沈む少し前のバラ星雲です。画面をiPhoneで撮影したものです。
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この時にSharpCapでキャプチャした画像が下になります。
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この一部を拡大してよく見るとホットピクセルが多少あります。
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でも解像度が高いので、引きで全体を見ている限りはそこまで目立たないようですが、スタック時間が長くなるとミミズのように伸びていきます。これはリアルタイムダーク補正でだいぶマシになります。

下はダーク補正をした場合。少し残りますが、細くなっていて実際の電視観望で全体で見ている限りはまず気になりません。
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これ以降はの画像は全てダーク補正をしてあるものになります。


周辺減光をなんとかしたい

周辺減光を緩和できないか試してみました。次の画像はリアルタイムフラット補正をしたものです。iPad ProでColor Screenというアプリを使い、灰色に近い色を画面に出し、鏡筒の先端に当ててフラットを撮影しました。その際、画面が明るすぎたので露光時間を100msと短くしました。ちなみにLiveStack時は露光時間6.4秒ですが、一般にゲインさえ変えなければフラットフレームの露光時間を変えても問題ないはずです。
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でもこれを見ると、どうも赤が過補正になってしまっています。この時はモノクロのフラットフレームを作成しました。

色別で補正具合が違うということのようなので、各色で補正しなくてはダメなのかと思い、次はカラーのフラットフレームを作成してフラット補正した場合です。ダーク補正が何か影響するのかとも考え、この一枚はダーク補正もなしです。
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今度は白で過補正になっていますね。これまでも何度かSharpCapでフラット補正を試していますが、うまくいったことがありません。この日もこの時点で諦めました。以後はフラット補正はしていなくて、ダーク補正はしてあります。


春の銀河を電視観望

オリオン座が沈む頃の時間帯、春はあまりカラフルな天体はなく、鮮やかさでは寂しくなってしまいます。その代わり銀河はよりどりみどり。フルサイズなので広角ですが、十分に見応えがあります。

例えばしし座の三つ子銀河ですが、やはり周辺減光が大きいですが...、この画角だと拡大して一部だけ見た方がいいと思います。
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実際、高解像度のカメラなので、拡大画像でも全く破綻しないんですよね。むしろこれがASI2400MC Proの真骨頂で、拡大しても得られた画像は素晴らしいの一言です。実際に見ているのに近い、iPhoneで撮影したものです。
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もうツルッツルですよ。これで6.4秒露光で、ライブスタックでトータル20分ちょいです。

参考に、画面をキャプチャしたものも載せておきます。
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中心部を拡大すればこんなふうにかなり見えるようになるので、たとえ2インチ対応の鏡筒でも電視観望の炙り出しで周辺減光がある程度残ってしまうことを考えると、フルサイズの広角なのを利用して導入で楽をして、目的の天体を画面中心に持ってきて、画面上で拡大というのが使い方としては現実的なのかもしれません。

ちなみに下は、10分の1の時間、ライブスタック2分の時の画像です。
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20分と比べるとザラザラ感は残りますが、これでも電視観望なら十分過ぎるくらい綺麗なものになります。

拡大して比較してみます。左が20分スタック、右が2分スタックです。2分のほうがノイジーですが、逆に20分は画像が流れた縞ノイズが少し出ています。
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ただ、拡大してこの程度なので、通常の電視観望ではたとえ2分露光のものでもかなり綺麗に見えたという印象になるかと思います。

20分スタック画像を簡易処理してみました。10分程度でパッとやったくらいです。流石に長時間かけた天体写真と比べるとダメですが、それでも十分鑑賞できるくらいにはなるのかと思います。
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次はソンブレロ銀河です。20分露光です。周辺減光が目立たないように中心部を拡大しています。これだけ見えれば十分でしょうか。
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最後はM51子持ち銀河です。これも20分露光で、中心部を拡大。少しノイジーですが、かなり細部まで出ています。これは結構すごい!
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少しノイジーだったので、あっと思い、この段階でこれまで冷却していないことに気づきました。そのため、では冷却したらどうなるかを試しました。
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ただし、その際、SharpCapを最新版にアップデートしたのですが、少し状況がわかったようです。ほぼ同じ条件で冷却をオンにしただけですが、明らかにノイジーになってしまっています。必ずしも最新版がいいわけではないようです。インターフェースは白の明るい部分がなくなり、改良されているようです。

そもそも電視観望は長時間露光ではないので、冷却がどこまで効くかは疑問で、今回は冷却に関しての効果の判断は保留としたいと思います。

とここら辺まで試して月が出てきたので終了。ASI2400MCとTSA-120での贅沢電視観望いかがでしたでしょうか?このレベルを観望会で、しかも大型画面やプロジェクターで見せることができたら、結構すごいと思います。


まとめ

ASI2400MC Proでの電視観望である程度わかったことをまとめておきます。
  • 鏡筒をかなり選んでも、フルサイズの電視観望では周辺減光はどうしても目立ってしまう。
  • リアルタイムダーク補正は結構効く。
  • リアルタイムフラット補正は結構難しい。
  • 感度、フルサイズの解像度、ダイナミックレンジは素晴らしく、電視観望でも撮影に近いレベルで画像を得ることができる。
などです。苦労もありますが、それに見合う結果は出るのかと思います。

ただし、このカメラの値段を調べてもらうとわかりますが、ちょっとというか、かなりのものです。電視観望のためだけに購入するのはなかなか勇気が必要で、今回は借り物だから実現できたのかと思います。撮影のためにこのカメラを購入し、そのついでに電視観望をするとかならまだ現実的でしょう。予算がある公共の天文台とか、個人でも余裕がある方は電視観望用途でも検討する価値はあるかと思います。ただ、今回私も口径や焦点距離、周辺減光などで結構苦労したので、ある程度のスキルも必要になってきます。こう考えると個人で電視観望のみの用途だとは少しもったいないレベルの機材の気がしますが、ただし、得られる画像はかなりのものであることは間違い無いので、興味がある人は検討する価値があるのかもしれません。

今回はこれまでとは方向性の違った豪華機材での電視観望でしたが、かなり楽しかったです。結論としては「ASI2400MC Proは価格はすごいが、得られる画像もやはりすごい!です。
 


フルサイズカラーCMOSカメラASI2400MC Pro

普段は格安電視観望を記事にしたりしているのですが、今回は正反対の贅沢電視観望です。機器はお借りしているASI2400MC Pro、何とフルサイズのカラー冷却CMOSカメラです。センサーはSonyのIMX410。ピクセルサイズが5.94μmと大きいため、電視観望向きです。SNR1sの情報が中々見つからなかったのですが、どうやら0.11lxらしいです。やはりかなり小さいようで、期待できます。

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FS-60CBとの接続で苦労

せっかくのフルサイズなので広角で見てみようと、単焦点の鏡筒を考えたのですが、FMA135だとさすがに口径のほうが30mmで小さくなるのでもったいないです。とりあえずFS-60CBにしてみました。ASI2400MC Proの取り付けですが、一番簡単に鏡筒につけるのは付属のM48のアダプターをつけて、2インチアイピース口に差し込むことなのです。しかしながら、 FS-60CBは標準では2インチアイピースに対応していません。SKY90用のが使えるらしいのですが、残念ながら手持ちでは無いです。今回はT2マウントを利用することにしました。カメラに付属のT2リングを使うと、手持ちのZWOの旧型のCanonマウントへの変換アダプターにとりつけることができました。FS-60CBは普段から6Dを取り付けられるようみにCanonマウントになっています。

ところがこれ、FS-60CB用のレデューサをつけるとどうしてもピントが出ないのです。マウントからセンサー面までの距離が離れているためで、回転装置などを外してフォーカサーを最短にしてもまだ長過ぎます。本来はフルサイズクラス用のZWOのCanonマウントへの変換アダプターを使って正しいバックフォーカスにすべきなのですが、とりあえず手持ちのアダプターを使って試したいので、泣く泣くレデューサはあきらめました。代わりに旧型のフラットナーを取り付けると、今度は逆に距離が足りません。回転装置を再び取り付けてやっとピントが出ました。
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架台はお気軽にAZ-GTiです。
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実際の電視観望画面

さて実際の電視観望画面を見てみましょう。もう西に沈みかけているM42オリオン大星雲です。
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まず、これだけ見てもいくつか問題があることがわかります。
  1. まず、周辺減光が大きくてオートストレッチで攻め込んで炙り出すことができません。
  2. ホコリが結構付いているので掃除が必要。せっかくの高性能カメラなのにもったいないです。
  3. 旧型フラットナーにフルサイズだとやはり周辺の流れが目立つ。
などです。

時間も経ってしまい、これ以上は春なので主に銀河になってしまいます。銀河に広角は流石に厳しいのと、少し曇ってきたで、この日はこれであきらめました。せっかくのフルサイズカメラなので広角を狙っていましたが、どうやらFS-60CBでは役不足なのかもしれません。


お気軽でない電視観望へ

そもそもASI2400MC  Proは冷却をしなくても12Vの電源入力が必須です。一応販売ページにはASI294MC Proも12V電源がないとダメと書いてあるのですが、冷却なしなら12Vなしでとりあえず動くことは試しています。でもASI2400MC Proは12V電源を繋がないと、SharpCapなどで起動さえできません。なのでこのカメラでお気軽電視観望というのはそもそも向いてないのだと思います。

やはりASI2400MC Pro恐るべしです。タカハシでもFS60クラスの小口径では相手にならないようです。ここは満を辞してTSA120の登場です。TSA-120+ASI2400MC Pro、超贅沢な電視観望です。

どんなふうに見えるのか?結果は次回記事で。お楽しみにしていて下さい。



電視観望についてトークのオファーが

以前CANPで知り合った方から、日本天文教育普及研究会の関東部会で電視観望について話してくれないかというオファーがあり、昨晩話させていただきました。クローズドな会合で、会員以外の方の参加も可能でしたが、Youtubeなどの配信と違いZoomでの双方向の会議ということもあり、私からは宣伝は控えていました。それでも100名以上、多くの分野からの参加者があり、Zoom会議としてはかなり大型のものとなったようです。


会議の様子

内容はというと、基本的にはこれまでの講演などで話してきた事のまとめのような形にしました。ただ天文教育と普及いう事なので、機材などの説明は少し簡略化し、むしろ今後電視観望を使うとどのように普及に貢献できるかということを主に置きました。あと、電視観望の理論というか技術的背景のようなこともせっかくなので最後の方に少し加えておきました。天文っぽいことはあまり入れなかったので、そこらへんのことを期待していた方には少し物足りなかったかもしれませんが、そちら方面は私なんかよりはるかに詳しい方も多いと思うので、今回は電視観望に特化したような話にしました。

参加者は研究者、学校などの教育関係者、もちろん趣味として天文をされている方もいました。今回は会員と会員外が半々くらいだったとのことです。サイエンスに興味がある方も多いと思うので、電視観望のような見る手段だけの話がどれだけ通じるか少し心配だったのですが、興味がある方が集まっていることもあり、かなり好意的に受けとられたのかと思っています。

トークの最後にはFMA135とASI294MCをAZ-GTiにのせてリモートで自宅の庭からの空を見てもらいました。北陸としては奇跡的に全面快晴で、月は出ていましたが短時間のうちにオリオン大星雲、馬頭星雲、バラ星雲、かもめ星雲を見てもらいました。ライブスタックの時間も十分に取れなかったのでまだノイジーでしたが、かなり実際の雰囲気は伝わったのかと思います。

他の講演もすごく楽しみで、一人は大阪市立科学館の方で、eVscopeを使ってマニュアルまで書いてくれていた方で、天文学会の機関紙の「天文月報」にも電視観望で記事を書かれた方です。実はその天文月報の記事が出る直前にやりとりをしたことがあり、今回直接顔を見てお話が聞けたのが嬉しかったです。



もうお一方が、電視観望について論文を書かれた方です。教材開発というものとプレートソルブというテーマで教育の範囲で2本書かれています。




この方は本当に名前だけしか知らなくて、これまでやりとりしたことがなかったので、実際にお話しできて嬉しかったです。

天文月報も論文の方もいずれもアマチュア天文で広まっているとの記述があり、この「ほしぞloveログ」も見てくれていたようなので、とてもありがたいです。

トークについてはチャット欄に質問もたくさんきていて、いくつかはチャットで、いくつかは口頭で答えました。でも実際の会話はその後の22時から続いた懇親会のほうがいろいろ込み入ったことも話せました。

懇親会

懇親会はまずはAtom camを用いた流星観測の話がありました。1時間弱くらいこの話で盛り上がったでしょうか。その後話題はeVscopeに移り、その後ブレイクアウトルームに移りそこで電視観望を含んだ雑談に近いような話をずっとしていました。このブログにコメントをよくいただけるRainyさんもいて、今後電視観望を盛り上げていく話をしていました。0時半ころでしょうか、主催者からメインルームに戻るように促され、そこからもずっと電視観望に関する話をしていました。徐々に人数が少なくなってくると、いろいろオフレコの話も飛び出し、とても楽しかったです。結局午前2時前くらいまで続いたでしょうか。さすがに平日の夜なので、そこで私は退散。もう終わりそうな雰囲気でしたが、さらに残った方もいるのかもしれません。


まとめ

今回、星好きの方たちといろいろつながりもできました。非常に有意義な会合で、トーク、懇親会共に参加してとてもよかったです。

実際の教育や普及に関わる方たちの集まりなので、実際に電視観望の普及にもつながりそうで期待しています。トークの中でも話したのですが、やはり天文人口の裾野を広げるのが大切なのかと思います。どなたかも言っていましたが、電視観望がその一翼を担うことができると嬉しいです。

 

CP+の配信も終わり、ちょっとほっとしています。今年は収録配信でしたが、どんな結末だったでしょうか?


サイトロン本社での収録

2022年2月25日(土)にCP+配信のための収録をするためにサイトロン本社に向かいました。横浜アリーナでちょうどこの日の関東に出張だったため、少し早めに朝富山から新幹線で移動です。

実はこの出張、かなり早くから決まっていたので、講演の依頼をいただいた時点でそもそも今年のCP+のライブ配信は諦めていました。その代わり関東には来ているので横浜アリーナのステージで話す予定だったのですが、ご存知の通りリアル開催は中止になり全てオンライン配信になってしまいました。その前後も忙しくてほとんど時間が取れなかったので、元々予定していた土曜の同じような時刻で収録ということになったというわけです。

実は東京に来るのは2年ぶり。ずっとコロナ禍で来ていなかったので、新幹線から興奮気味です。行きの新幹線で以前よく食べていた「ますとぶりの小箱」を富山駅で買い乗り込みます。新幹線の中では収録スライドの最終チェックをして、少しトークの練習をします。サイトロンに到着したのは朝の10時半過ぎくらいだったでしょうか。

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聞いたら店舗はずっとお休みで、今はネットと電話でのみ対応しているとのことです。この日は収録のためにドアを開けていてくれていました。

中に入って少しお話をしました。新製品を含む機材もその場で見せていただきましたが、個人的な一番の興味はまだ開発中というAZ-GTiの小型版です。小海で実物を見せていただいて、前日のブラックパンダさんを含めてトークの中でも出ていたのですが、電視観望にさらなるコンパクトかの可能性を見出してくれそうで、かなり楽しみです。他にも4枚玉の107PHQを初め、いくつかの新赤道儀とか、小海ではまだ展示されてなかったものもあり、スタッフの雰囲気も合わせてとても元気な印象を受けました。

そんなことをしている間に11時も回ってしまい、さっそく収録です。事前にスライドをスタッフの方と一緒にチェックしましたが、基本的に私の意向を全面的に尊重してくれて、何も手直しすることなく収録に進みました。収録では昨晩東京から福岡に帰った天リフ編集長とZoomでつながってのやりとりです。サイトロンの雰囲気も伝えつつ、用意したNEWTONYとCeres-C、AZ-GTiを画面の中に入るよう近くに寄せて収録が始まります。

収録自身は特に緊張することもなく、滞りなく終わりました。途中FMA135とASI294MCも紹介しましたが、どうだったでしょうか?スライド内では広域電視観望として、昨年と同じく一眼レフカメラの焦点の短い明るいレンズを使った方法も紹介しています。今年はオリオン星雲はもちろん、バラ星雲とかカモメ星雲を画面を見ながら手動導入してみました。この広域での電視観望も導入装置とか必要なく手軽なので、広まってくれればいいなと思います。

本当は、Ceres-Cとズームレンズを使ったものを紹介しようとしたのですが、Ceres-Cもズームレンズも三脚へのマウントが難しく、今回はあきめました。もう少しいうと、マウントはMoreblueの1.25インチのマウントを手に入れたので間に合いました。



これでCeres-Cをアルカスイスプレートなどに固定できます。ただし、穴の大きさがギリギリでCeres-Cを入れ込むのに少し苦労するので、噛んだりしないよう注意して下さい。これを手に入れたまでは良かったのですが、その後全く天気がだめで、北陸の冬の空を恨みました。実際、スライド内で使った撮影画像や動画はほぼたった1日のワンチャンスで撮ったものです。Ceres-Cを使ったズームについてはまた天気が良い時に試して、そのうち記事にします。

さて、収録さえ終わってしまえば、私としてはあとは配信を待つのみで、気楽なものです。その後、ファイルの転送とチェックがてら、天リフ編集長とサイトロンのスタッフの方といろいろ話していました。最近は雑談レベルで会話できる機会がなかなかないので、こちらの方も楽しかったです。

その後まだ仕事まで少し時間があったので、スタッフの方と藍屋に移動して食事をしました。久しぶりに行った藍屋ですが、富山に藍屋はないのでちょっと嬉しかったです。ここでもいろんな話を聞くことができました。秘密の話もちょっとありました。やっぱりこうやって星好きな人と話すと楽しいですね。


2月26日(日)の配信当日

さて、2月26日の日曜日、実際の配信当日です。この日も東京で仕事が結構遅くまであり、宿泊しているホテルに戻ったのは配信の1時間前くらいでした。パパッと片付けて、配信を見始めたのが根本さんのDBPとQBPのお話しが始まる少し前でした。根元さんの話の途中から少しコメントに参加しましたが、QBPとCBPでの青の出方の話になっていました。私は撮影用には青も出したいのでCBP、電視観望用では青を出すのがそもそも難しいのでQBPの方が好きだったりします。さらに青以外にもオレンジや緑もCBPの方が出やすいとかコメントしてたら、まもなく私の配信の時間になってしまいました。


今回のポイントは、ライブ中継ではないのでその分コメント欄で皆さんの質問にリアルタイムで答えていくことです。

最初に
  • Sam: ​コメントできるだけ拾いますので、どんどん質問とかして下さい。
と呼びかけました。サイトロンさんからも
  • サイトロンジャパン / SIGHTRON JAPANさん: Samさんの配信は収録となりますが、チャットに入られていますので、随時ご質問をどうぞ。
とのサポートコメントが。

何人かの「待ってました」とか「よろしくお願いします」とか反応がありました。最初は質問というよりは、いくつかやりとりです。
  • たつまるさん: Prayer One激推しです。
  • Sam: Player One、新しい会社なのに使ってみると恐ろしくこなれています。
  • M1623:さん 電視観望で初めて見たときは感動したなあ
  • Sam: 是非自分の目で見て下さい。絶対感動しますよ。私も電視観望始めた時、ほぼ毎日見てました。
  • kyoyaさん: 「その場で色が付く」!パワーワード!!
  • Sam: やっぱり電視観望はリアルタイムというのが良いのかと思います。
その中で
  • 渋ニャアー(マネア)さん: 今日もライブスタック中継あるか!と、思ったけど録画かぁ。
とのコメントがありました。申し訳ありません、今年は上に書いたような事情で録画になってしまいました。またいつかライブ中継やります。

昨年の中継については
  • 291inuさん: 去年のセミナー見て始めた口ですが、すごい面白いですよ。
  • たつまるさん: 去年の講演は何十回も見て勉強しました。
  • Civet2009さん: 自分は電視観望なかったら今ごろ星やってないかもしれないくらいの勢いです(笑)
という嬉しいコメントが。 

トークが始まるとNEWTONYについてコメントがたくさんありました。
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  • 291inuさん: ニュートニー小海の時に買っておけばよかった…w
  • M1623さん: これで銀河も見えるんですねえ
  • 雑兵Aさん: マルカリアンチェーンがこんなに!
  • Sam: シュミットのサイトで買えますので、是非是非。
  • kyoyaさん: すごい…!
  • 渚みかんさん: ちっさいので持って行くのも楽ですね!
  • 雑兵Aさん: 6600円のNEWTONYでこんなに見えるのはすごいですよねえ
  • M87JET tubeさん: NEWTONY君、かわいい(*´▽`*)
  • はにちゃいさん: 初心者でも手を出しやすくてありがたい価格!シュミットのサイト早速見てきました笑
  • Civet2009さん: 接眼部にヘリコイドのついたNewtonyを1万円くらいで出してくれないかな・・・実は現状ではピント合わせがまあまあ難しいです。
  • Sam: センサー面積が小さいので、短い焦点距離の教頭が必要になるのです。NEWTONYは安価で数少ない短焦点の鏡筒です。

セットアップ時の水平出しは重要なのでコメントでも強調しておきました。
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  • T.マリーチさん: 水平出し、ちゃんとやらなかったからダメだったんだ。早速、ダメポイント!
  • Sam: 水平出しは実は相当重要です。導入の精度を上げたい場合は必須です。

Ceres-CのDSPも皆さん関心が大きい様です。
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  • fukutiwhiteさん: DPS効果あるみたいですね
  • 2あぷらなーとさん: 出た!DPS!!
  • masatoshi yamadaさん: DPSあるのはいいなぁ
  • Sam: DPS電視観望にこそいいですよ。LiveStackでほとんどミミズが出ません。
  • Civet2009さん: Ceres-Cもダークなしでいけますか?
  • Sam: ダークなしで余裕です。ホットピクセル見つけたのは1個だけでした。
  • 2あぷらなーとさんさん: やはり「ガイディングカメラ」シリーズは他のシリーズよりもDPSが強めのテイストに設定されてるのかもしれませんね
  • Sam: DPSもついていてさらに安価なので、入門用はほぼこれ一択かと。
  • Sam: DPSの設定が撮影用途と違うというのはあり得るかもしれません。比較してみたいです。

QBPについてもいくつかやりとりがありました。
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  • fukutiwhiteさん: QBP2とQBP3はだいぶ違いますか?
  • T.マリーチさん: フィルターの重要性がかなり分かる!
  • 俵藤太さん: QBP2とQBP3は邪悪さんの課題対応で、赤外線カットが違うのでは?
  • Sam: QBP3のほうが赤外の影響が出にくく赤外に感度があるカメラでは赤ハロが軽減できるはずです。
  • 2あぷらなーとさん: 高級アポや反射系ならQBP2でも良いと思いますが、赤外線領域の色収差が大きな筒(アクロマートなど)に赤外感度の高いカメラだとQBP3の方が圧倒的に良いです
  • 2あぷらなーとさん: 高級アポや反射系ならQBP2でも良いと思いますが、赤外線領域の色収差が大きな筒(アクロマートなど)に赤外感度の高いカメラだとQBP3の方が圧倒的に良いです
  • Sam: CBPでも赤外ハロはあまり出ないはずです。
  • 291inuさん: 2枚玉EDとCBPだとなんか恒星に滲みっぽいものでるので赤外フィルター入れてますがいらないのかな?
  • Sam: CBPがあれば赤外フィルターなしで良いはずです。
  •  kyoyaさん: 最初のセットでフィルタは無しでもそこそこ色も見えますか?
  • Sam: フィルタなしでもとりあえず試してみて下さい。そこそこは見えます。次にフィルタを入れてみて違いを見るのも楽しいです。違いははっきりわかると思います。

Live stackについてです。
  • 雑兵Aさん: おー、重ねるときれいになった!
  • T.マリーチさん: グラフの見方を初めて理解できました。
  • Sam: 山が太いとノイズが大きいと思って下さい。スタックすると細くなります。
  • kyoyaさん: これは固定で、追尾はしてないということなのですか?
  • Sam: 経緯台ですが、自動追尾しています。さらにLiveStackではSharpCap上でソフト的にも追尾します。

電視観望で憧れを実現できるはずです。
  • みるみるくさん: マルカリアンチェーン憧れです。すごい!
  • Sam: マルカリアンチェーンならホントにすぐ見えます!ただ、今の季節だと夜遅くまで起きてないとダメですが(笑)。

途中、なんとあぷらなーとさんから「Samさんセット」の提案が!
  • 2あぷらなーとさん: 電視観望入門用「Samさんセット」とか発売されないかなぁ♪
  • Sam: サイトロンさんで聞いたのですが、ホントにSamさんのトークと同じものを欲しいという問い合わせがあるそうです。
  • ブラックパンダさん: 古典アクロマート3本セットの「あぷらなーとさんセット」と、電視観望入門用「Samさんセット」いいですね!
  • 2あぷらなーとさん: ブラックパンダさんノリ良すぎ♪

ASI294についてのコメントも。
  • Civet2009: ここ3年くらい非冷却でASI294MCを超えるCMOSは出てないと思います
  • Sam: ASI294MCはかなり息が長いです。電視観望では性能だけ考えたらベストだと思います。
FMA135についても既に持っている方からコメントが。
  • fukutiwhiteさん: FMA135買ったけど後悔していないw
  • M1623さん: FMA135はいいですぞ
  • 291inuさん: 今度試してみます。
  • 雑兵Aさん: 手で導入できるの、いいですね!AZ-GTiがちょっと価格を押し上げちゃうので。
  • T.マリーチさん: 「超コンパクト」なんて最高です!
  • たつまるさん: 去年のsamさんの講演見て、FMA135+Neptune-CⅡを買いましたw
  • 雑兵Aさん: 小さいなあ
  • シュガーあんとんさん: この屋根の上の北アメリカはインパクトありますよねぇ~!
  • Sam: 屋根からシリーズは私もかなり好きです。
  • 雑兵Aさん: 屋根が入ってるの、リアル感あって好きです。
  • アルさん: FMA135楽しいですよね
  • Sam: FMA135は小さいM57から大きいアンドロメダまで全部楽しめます。

いくつか質問やアドバイスなどです。 
  • 俵藤太さん: 写真として保存できるんですよね?
  • Sam: 写真と電視観望画像の差はほとんどないです。自動的に記録する設定もできるので、後からみたものを写真として振り返ることもできます。
  • ころばせさん: ニュートニー、住宅街だと筒先にフードがあるといいかも。
  • Sam: NEWTONYはカメラが先端につくので、近くの光が邪魔になる時があります。やはりフードがあると良いです。

広域電視観望の感想です。
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  • Civet2009さん: この広角電視観望がまたタノシスギル!
  • Taro Mineさん: シームレスに手動導入しちゃうのか!!
  • たつまるさん: いきなりこんなに見えるんですね〜
  • Sam: ほんんとのほんとに手動導入です。
  • Sam: 屋根からシリーズは私もかなり好きです。
  • 雑兵Aさん: 屋根が入ってるの、リアル感あって好きです。
  • Sam: 広角電視観望は観望会でも大人気です。

カメラレンズに関してもやりとりが。
  • たつまるさん: PENTAXレンズに付ける方法が分からないんですよね〜。
  • Sam: PENTAXをCanonに変換するアダプダーがあれば、あとはCanonでピントが合います。
  • たつまるさん: なるほど、一度EFマウントに変換するんですね!ありがとうございます!
  • 291inuさん: 完全電子マウントなソニーのレンズだと厳しいなぁ…
  • Sam: ソニーマウントは経験ないです。ピントと絞りが外から手で調整できればなんとかなる気がするのですが。
  • 291inu: Eマウントだとピントリングすら電子制御なんで…
  • Sam: なるほどEマウントはやはり難しいのですね。
  • Civet2009さん: 広角電視観望用に古い一眼レフレンズをゲットしてもいいと思いますよ。自分は1600円のCanonFD50mmF1.4を使用(笑)
  • Sam: クラシックな明るい標準レンズはかなり安価に買えるはずです。ここで使ってるのも5千円くらいでした。
  • Taro Mineさん: タクマ―なら何本も持ってる
  • Sam: タクマーも十分使えますよ!
  • 291inuさん: なので近所のハードオフ巡って使えそうなレンズ探してますw

北陸の天気に関してです。
  • シュガーあんとんさん: 北陸はホントに晴れないのに・・よく撮れましたねぇ・・素晴らしいなぁ!
  • Sam: この1日だけでした。本当はこのあと月のない日をずっと狙ってたのですが、結局全く晴れなかったです。
  • Sam: 月があってもこれくらい見えます。
  • 雑兵Aさん: 月があんなに近くにあるのに!
  • Sam: 月と重なってたので、エンゼルフィッシュ星雲は流石に諦めました。

いくつか回答を飛ばしていたものがありました。申し訳ありませんでした。ここで回答しておきます。
  • masatoshi yamadaさん: SharpCapはpro版?
無料版でもかなりのことはできますが、炙り出しとか圧倒的に楽になるので、有料版をお勧めします。1年あたり2000円です。支払いはPayPalが楽です。
  • b ICEさん: 次は画像処理の解説を是非
本格的な画像処理は難しいですが、電視観望用の簡易画像処理は開設してもいいかもしれません。


いくつか、とてもありがたいコメントです。
  • ころばせさん: 初めて星雲・星団を探すとき、どれくらいの大きさで見えるのかが分かると探しやすいので、こういう講演は参考になりますね。
  • Civet2009さん: これから電視観望が天文への入り口だった、っていう人も出てくるんでしょうね。電視人口も増加の一途?
  • たつまるさん: 電視観望やっていたら、見知らぬ小学生にメッチャ喜ばれました。
  • Sam: 子供の反応を見てると自分も楽しくなりますよね。

トークが終わってからのコメントです。みなさん、どうもありがとうございました。私も楽しかったです。
  • fukutiwhiteさん: モチベ上がる~
  • みるみるくさん: わくわくが止まりません。ありがとうございました。
  • Taro Mineさん: ワクワクをありがとう!!
  • 俵藤太さん: サイトロンのセミナーは良かったです
  • 渋ニャアー(マネア)さん: ブログと併せていつも楽しませて頂いております。
  • Taro Mineさん: 楽しかった~
  • kyoyaさん: まだ頭がグルグルしてます(@▽@;)
  • はにちゃいさん: 質問に答えていただけて勉強になりました!
  • サイトロンジャパン / SIGHTRON JAPANさん: Samさん、しつぎのご回答ありがとうございます!
  • Mitsuyuki TAKEUCHIさん: ありがとうございました!
  • 俵藤太さん: 質疑応答できるととてもいい
  • 291inuさん: 電視観望から始めてもいいし、入門用望遠鏡の次のステップにもいいですね。
  • 石橋隆司さん: ワクワクしました!ありがとうございました(*^^*)
  • Taro Mineさん: 全画面表示でもチャットが載ってくるのが良いですよねぇ。
  • Sam: 今回は収録だったので、コメントに集中できました。このやり方もいいかもです。

サイトロンさん、本当にありがとうございました。
  • ブラックパンダさん: Samさん、ありがとうございました!
  • Sam: ブラックパンダさん、ありがとうございました。
  • 中村恋魚さん: 3日間楽しかったです(*´∀`*)
  • 天リフVideoさん: サイトロンジャパン様、素晴らしい企画をありがとうございました!

数えてみるとみなさんから合計145のコメントがあり、私Samが質問などに59回答えていました。最初はLive中継でなかったので申し訳ないかな思っていたのですが、コメントに集中してリアルに返していくというのはかなり良かった気がしています。これまで中継しているうちはほとんどコメントを追うことができず、寂しかったのですが、今回はむしろ視聴者との結びつきが強かったのかと思いました。ただし、リアルでテンポよく回答していくのはかなり大変だということにも気づきました。終わった後の心地よい疲労感はLive中継した時と同じくらいかと思いました。

正直いうとやはり昨年の天気が奇跡的に晴れた時の方がインパクトがあったかと思いますが、今年は今年で入門者がより手を出しやすくというので、また繰り返して見ていただければと思います。電視観望がじわじわ広まって、第3の観望スタイルみたいになっていってもらえればと期待してしまいます。

現在ではサイトロンさんはじめ、多くの販売店やメーカーが電視観望に力を入れてくれています。eVscopeはじめ、新しいStellinaやVesperaなどのもっと手軽な機器も出てきています。まだまだ発展する技術だと思います。今回は入門用の配信でしたが、ベテランの方も気楽に見える電視観望を是非とも試していただけたらと思います。

電視観望の未来は明るいです!
 

この記事は、星と自然のフェスタの1日目の続きの記事となります。



今回の「星と自然のフェスタ」の目的の一つが、電視観望のデモをすることでした。最初は個人的に披露すること考えていたのですが、ちょっと前にシュミットさんの方から提案があり、店頭で解説と実演をしてもらえないかということでした。CP+で講演の機会を与えてくれたこともあるので、二つ返事でOKしました。

当初は電視観望の「解説」と、晴れれば「実演」、あとは「質問コーナー」など、結構きっちり考えていたのですが、実際はもうめちゃくちゃでした。解説でどんなことを話すかとかも考えていたのですが、全部吹っ飛んでしまったのです。


実際の準備

「星と自然のフェスタ」の初日、午後3時頃からでしょうか、駐車場とシュミットブースをちょくちょく行き来し、機材などを持ち込み、一緒に実演をするスタッフのWさんと夜の電視観望実演の準備を始めました。大雑把な担当として、WさんがSCA260、私SamがFMA135です。カメラは最近注目のCeres-CとNeptune-C II。しかも面積の狭い1/3インチのCeresをSCA260に使い、1/1.8インチの広い方のNeptuneをFMA135に使います。より狭い範囲を見ること、より広い範囲を見ることに特化します。

この設定は共に両極端ですよね。片や口径260mmの大望遠鏡、片や口径わずか30mmの赤ちゃんのような望遠鏡です。元々は大口径長焦点は惑星とか月を見て、小口径単焦点は星雲を見ようとか言っていたのですが、実際には同じ星雲や銀河を極端なセットアップで見たときの比較が、思ったより楽しかったのです。両極端は元々Wさんのアイデアなのですが、こう言った比較ができるのもリアル星まつりの魅力の一つかと思います。


テスト?本番?

私はFMA135を担当なので、まずは自分の使い慣れたFMA135とノートPCを用意します。カメラと架台のAZ-GTiはシュミットさんのものをお借りしました。接続しようとしていた大型モニターにHDMI端子が無かったなど、色々トラブルはありましたが、結局2台のノートPCをテーブルの上の大きな箱の上に乗せることで高さを確保し、見やすくしようということになりました。

カメラもAZ-GTiも自分のではないので、かなり明るいうちからテストを始めます。16時過ぎくらいだったと思います。月は見えていますが、まだ木星も見えていないくらいの明るさでした。

地面が土なので水平の安定性があまりよくありません。月の導入でさえうまくいかないので、三脚を少し地面に押し込むようにして固定し、水平をきちんと出します。何度か導入を試すと、やっと月も一発で入り、その頃には木星も目ではまだ見えませんが、カメラでは確認できるようになってきました。この頃から少しづつお客さんが集まってきました。

木星が目で辛うじて見えるようになってくると、続いて土星も入れてみますが、なんとか視野に入ってきます。もう一度、一から月、木星、土星とアラインメントを取り直し、だいたい準備完了です。空を見上げると、1等星が少しづつ見え始めていました。西の空はまだ明るく、オレンジから青のコントラストがとても綺麗でした。

少し遠くの天体を試したくて、見えたらラッキーくらいでM31アンドロメダ銀河を導入します。まだ空は一部明るくて、月も煌々と出ているのに、淡いながらも、なんとアンドロメダ銀河が見えてしまったのです!しかも口径わずか30mm。目では数えるほどしか見えない星も、カメラ上では散りばめるように写っています!誰かが「うぉ!こんなに明るいのにアンドロメダが見える」とか叫んだからでしょうか、一気に空気が変わり、ここからどっと人が集まってきます。

この時点では光害防止としてCBP(Comet BandPass)フィルターを付けていたのですが、銀河の場合は白色光に近いのでかなりの情報を欠落してしまいます。そのため銀河を見るときはCBPを外すようにしました。するとまだ明るい中でもさらにM31の形がハッキリします。これ以降、星雲を見るときはCBPと取り付け、銀河を見るときはCBPを外すということをしました。

この日の小海の空は透明度が良かったのかもしれません。時間とともに徐々に暗くなってくると、アンドロメダもどんどんはっきりしてきて、腕の構造までかなりはっきり見えてきます。電視観望で口径わずか30mmでここまで見えるというのは、初めて見た人には相当なインパクトなのかと思います。機材の実物も目の前にあるわけで、そのコンパクトさにさぞ驚かれたことでしょう。

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PCの画面が飽和してますが、FMA135でアンドロメダを映している時です。
写真はあまり撮れなくてこれくらいしか残っていませんでした。 

「19時まではテストです。19時から本番です。」と何度言ったことか。ごめんなさい、全く守れませんでした。そのまま本番の時間になだれ込んでしまって、テストと本番の境なんて全くなかったです。考えておいた「解説」は全て吹っ飛びました。実際のものを見せる「実演」の方が遥かに説得力が大きかったのです。「質問コーナー」も計画していましたが、準備している最初の時からほぼ質問攻めで、ずーっと質問コーナーが続いているような状態でした。

結果として、設置から初期アラインメント、導入、SharpCapでどう炙り出すかを一連で繰り返し示していたことになります。細かい操作も、一連の実演の中でごくごく自然に見せることができたのかと思います。


数多くの質問

実演している間じゅう、質問がひっきりなしに飛んできました。
  • 「なにで見てるの?」という質問には、機材を指差し「高性能カメラと小さいけれども高性能な望遠鏡で見ています。」、皆さんコンパクトさにビックリします。
  • 「どこを見てるの?」では、「この望遠鏡が差している方向で、カシオペアとペガスス座の間くらいです。」
  • 「初期アラインメントで天体が全然入らない」 -> 「北の方向はある程度適当でもいいが、水平をとるのが大事。AZ-GTiの水準器はあまり精度がないので、付属三脚の水準器を見るのがいい。あと鏡筒の水平を水準器を使って撮るのも忘れないように。こうすると、少なくとも最初に入れた天体の『高度』はかなりあっているはずなので、あとは左右に振ってやれば画面に入ってくるはず。」
  • 「自動導入がうまくいかない」-> 「まずは目的の天体の近くの明るい恒星を入れて『ポイント&トラック』すると、精度が上がる。」
  • SharpCapの使い方では「自分でやったけどあまり綺麗に見えない」というので、「まずはライブスタックよりもヒストグラムでのあぶり出しが重要です。」と見えない最初の設定と、あぶり出して見やすくなった設定を実際に見せて、比較しました。
  • 「ライブスタックでうまくスタックされていかない」という方もいて、「検出した星を四角でマークして見えるので、まずはその機能をオンにしてうまく星が検出できているか確認するといいですよ」とアドバイス。
などなど、星が少し好きな一般の人から、電視観望に興味を持っている初心者、果ては明らかにベテランと思われるような方まで、ほぼずーっと質問攻めでした。できる限りわかりやすく答えたつもりでしが、どうでしたでしょうか?


実演で見たもの

実演の際、その場で見たものを列挙しておきます。
  • 月、木星、土星、M31、M27、M57、M45、M33、M15(球状星団)、網状星雲、北アメリカ星雲、ステファンの5つ子、エッジオン銀河
などです。

操作と話すのに必死で写真がほとんど残ってないのですが、長時間LiveStackしていたためにSharpCapのフォルダに自動保存されていたものを簡易的に画像処理をして載せておきます。

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M31 アンドロメダ銀河

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M33 さんかく座銀河

M31は露光時間4秒でゲイン350。M33は少し淡いので8秒露光でゲイン350。このときは共にCBPは外しています。LiveStackでのトータル露光時間は両方とも10分になります。もっと短くてもそれほど出来上がりに差はないのですが、自動保存の設定が10分だったというだけです。これで少し画像処理をすると、上のようになります。電視観望の途中で記録的に残したファイルから処理したものとしては、そこそこ見えるのではないでしょうか?

その一方、電視観望特有の問題もあって、例えばよく見るとホットピクセルと呼ばれる明るい点がミミズのように這いずり回ってしまっています。これはリアルタイムダーク補正をしてやるか、もしくはSCA260で使っていたCeres-Cなどに搭載されているDPSテクノロジーと呼ばれるホットピクセルやコールドピクセルをハードレベルで取り除くような技術があると目立たなくなります。


カメラごとの比較

FMA135:
こんな小さいのに、アンドロメダ銀河の腕まで見えるのは流石にインパクトがあったようです。また、M33の形がわかるのも、みなさん驚いていました。比較的大きなアンドロメダの全景や、北アメリカ星雲の全景を見えるためには、これくらいの短い焦点距離と広いセンサー面積が必要です。

今回見た中で、FMA135で見やすいもの、見にくいものを揚げておきます。
  • FMA135が適しているもの: 月の全景、M31、M27、M45、M33、北アメリカ星雲
  • FMA135でなんとか楽しめるもの: M57、M15(球状星団)、網状星雲の全景(もう少し広く見たい)
  • FMA135だと厳しいもの: 月の詳細、木星、土星、ステファンの5つ子、エッジオン銀河

SCA260:
大口径と長焦点(カメラのセンサー面積が小さいことも含め)を生かして、小さいものを分解能よくみることができます。M57やM27もかなり細かいところまで炙り出せます。また、M33などは中心部に近いところのみ見えますが、中心付近の腕の細かい構造や、赤ポチと呼ばれるHα領域も電視観望で見えてしまいます。
  • SCA260が適しているもの: 月の詳細、木星、土星、M57、M27、M15(球状星団)、ステファンの5つ子、エッジオン銀河
  • SCA260でなんとか楽しめるもの: M33
  • SCA260だと厳しいもの: 月の全景、M31、M45、網状星雲、北アメリカ星雲

二つを比較すると、まず口径差が約10倍、値段差も約10倍と、圧倒的な違いがあるにもかかわらず、インパクトではFMA135が全然負けていなくて、意外なほど見える対象が多いことがわかります。口径の小ささが逆にインパクトを増しているような状態です。その一方、SCA260の細かい分解能を見ていると、FMA135では絶対に辿り着けない大きな壁があることもわかります。結局は見たい天体に対して適材適所というわけですが、見える天体がかなりオーバーラップしているということも特筆すべきかと思います。この二つの極端な比較は、リアル星まつりならではと思います。

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数少ない写真の一つで、比較で撮っていたものです。
M15を見てるときです。上がSCA260で、下がFMA135。
ともに球状星団として見えていますが、
この画面で見てもSCA260の分解能がすごいことがわかります。 

実際の操作を見ながらの解説で、お客さんもかなり楽しんでくれていたようです。あるお客さんが帰り際に「今日は本当にここに来てよかったー。」としみじみとつぶやいて去っていったのが聞こえてきました。ここまで喜んでくれたのなら、実演を引き受けた甲斐が本当にあったというものです。


知らなかったお客さんの多さ

説明をしていて、そこそこお客さんが来ているのはわかっていました。でも後ろの方の様子はあまりわからないので、実際どれくらいの人が来てくれていたのか実はよくわかっていませんでした。後で知り合いのTwitter投稿写真を見てちょっとびっくりしました。





なんかすごいことになっていたみたいです。後ろの人がきちんと画面など見えていたかちょっと心配になってしまいました。

終了予定時間の20時をすぎて、やっと少し周りを見渡す余裕が出ました。この頃、WさんがSCA260でエッジオン銀河を見せていたのですが、私の方は実は寒くて寒くて凍えてました。指先も冷えていて、だんだんPCの操作もやりにくくなってきていました。さすがに疲れてきたのかと思います。時間的にもちょうどいいころなので、ここで終了となりました。


疲れ果ててしまって...

その後、片付けをWさんと、その場にいたM87JETさんに手伝っていただき、車に機材を戻しました。そこで少し服を重ねて、靴下も厚いものにしたのですが、それでも寒くてホテルに移動してずっと行けなかったトイレに行き、ロビーで暖をとっていました。食事を取ろうと思ったのですが、すでに全てのキッチンカーは閉まっていて、ホテルのカレーもちょうど片付けているとこでした。

後から考えると、ここら辺の判断が色々間違ってたんですよね。まず終わったら機材を片付けずに、そのまましばらく待っていて個人で電視観望を始めたりすれば良かったのです。ですが実際には前日の睡眠不足もあったのでしょう、一仕事やり切った感じで、そんなことを考える余裕もないくらい疲れてしまっていました。

ホテルで暖をとっていると、かんたろうさんから呼び出しの電話が。天リフ編集長とか、皆さんキャンプ場のところで集まっているとのことです。暖かくなってやっと少し落ち着いていたので、重い腰を上げホテルから移動。

キャンプ場では、先日出版された「星空撮影塾」を送っていただいた成澤さんや、星景写真で有名な塚原さんなど、主に星景関係の方々が集まっていました。嬉しいことにspitzchuさんが電視観望用にNeptune-C IIを買ってくれたとのことでした。でもお腹も空いていて皆さんとあまり話す余裕もなく、朝に買ってポケットに入れていたおにぎりを食べても全然足りずに、申し訳なかったのですが私は早々と退散。

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車に戻ってから、夕ご飯の調達にコンビニまで買い出しに行くことにしました。コンビニで少し多めに食事と飲み物を買って、そのままコンビニの駐車場の車の中で食べます。よほどお腹が空いていたのか、ぺろっと平らげてしまいました。この時点で22時頃だったでしょうか、そのまま会場へ戻るのですが、お腹も膨れたせいか耐えられないほど眠くなってしまい、途中の道の脇のスペースに車を止め寝てしまいました。

目が覚めたらなんともう0時半頃。あせって会場へ戻って、歩いて一回りしてみるのですが、少し雲も出ていたせいかほとんど人もまばらです。キャンプ場のあたりに何人か話している人がいるので声をかけたら、たまたま成澤さんでした。この頃には私もやっと元気になっていて、初めて成澤さんと少しまともに話すことができました。同じ場所にいた成澤さんの友人で最近撮影とか始めたIさんも交えて、一緒にしばらくのんびり話しました。

その頃にはそこそこ曇っていたのですが、成澤さんは曇りを利用して朝焼けを撮影しに行くというのです。もうほとんどの人が撮影は諦めているような状態なのに、さすがプロのカメラマンです。プロ根性と言っていいのかわかりませんが、もう考え方から全然違います。一番いい時間帯に寝落ちしてしまって完全にあきらめモードの私とは雲泥の差です。

午前2時頃だったでしょうか、成澤さんが出発し、残ったIさんと話していました。聞いたら元々成澤さんのファンだということで、色々コンタクトを取っているうちに一緒に行動などするようになったとのことです。まだ若い方で結婚したばかりとのこと、奥様を連れてきているらしいのですが、既に車の中でお休みだそうです。ついてきてくれるのがそもそも素晴らしいです。今回うちの奥さんもかなり誘ったのですが、車中泊ということを言った途端全く相手にされなくなりました。Iさんは本格的な撮影機材を揃え出したのもまだ最近で、家族が増える前の買えるうちに機材を揃えておいた方がいいとかいう話で盛り上がりました。

朝は目標のホテルのビュッフェに行くと決めていたので、2時半頃でしょうか、私も退散して寝ることに。寝る前のトイレに行く途中で、ちょうどオリオン方面だけ晴れていて空を見ていたら、いのさんと、朝にお会いした金沢のドブソニアンを出している方と会って少しだけ会話しました。その後戻って駐車場を一回りしたのですが、もうほとんど誰も外に出ていなかったです。

後から聞いたら、最初の頃は空も快晴で、駐車場ではヒロノさんはじめ、ドブソニアンで見ている人も結構いたらしく、またメイン会場ではXRAYさんや智志君らが電視観望していたらしいです。ちょっと羨ましかったですが、今回はシュミットさんに実演でとてもいい経験をさせてもらったので、十分満足でした。

車で戻ってすぐにまたぐっすり寝てしまったのですが、明け方はかなり寒くなり、さらに服を着込んだりしました。7時に起きる予定が、目が覚めたら既に8時。2日目の様子は次の記事で書くことにします。



最安クラスの新発売のCMOSカメラ、Ceres-Cでの電視観望を試してみました。果たしてどこまで見えるでしょうか?


最安値の天文用CMOSカメラ

感度の高いIMX224センサーを利用した、(おそらく)最安値の天体用途のCMOSカメラ、Player One社の新発売のCeres-Cを手に入れました。実売で税込1.65万円というのはかなりインパクトがある価格で、特に電視観望をやってみたいと思っている方の中には、この格安カメラに興味のある方も多いのではないでしょうか。




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右に写っているのがカメラ本体になりますが、小さいですね。でもこの小ささが今回の鍵になります。また、Player Oneのカメラに(おそらく)もれなく付いてくるブロアーはコンパクトで強力で、使い勝手が良さそうです。USBケーブルも付属なのですぐに使うことができます。

このカメラ、実はメーカーによるとエントリークラスの「ガイドカメラ」だそうです。でも接続はUSB3.0なので、惑星撮影などにも使えるはず。今回はこのガイドカメラと謳っているものが、電視観望用途に耐え得るものなのか、実際に試してみました。


鏡筒

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まず今回のテストに選んだ鏡筒が、サイトロンから発売されているNEWTONY


この鏡筒を選んだのには明確な理由があります。IMX224センサーはエントリークラスなので、値段が安い代わりにセンサー面積が小さいです。この場合、鏡筒の焦点距離を短くしないと見える視野が狭くなってしまい、天体の導入が難しくなってしまうために、快適な電視観望が実現できなくなってしまいます。NEWTONYの焦点距離は200mm。望遠鏡としてはかなり短い部類になります。

NEWTONYの値段は税込で約6千円。この価格も大きな魅力で、電視観望を始めてみようと思うきっかけになるのかと思います。

もちろんNEWTONY以外にも焦点距離200mm台の鏡筒は存在しますが、ほとんどが高級機と呼ばれるもので、値段は10倍以上とかになってしまいます。唯一多少安価なものにSky Watcher社のEVOGUIDE 50EDというのがありますが、これでも実売で4倍以上の値段です。

中古のカメラレンズを探せば、短焦点でさらに安いものが見つかることもあると思います。でもNEWTONYのように、入手しやすく安価な鏡筒という意味では、サポートなどのことも含めて現行モデルの方が初心者には心強いと思います。

しかもこのNEWTONY、横の蓋を開けると中身が見えて、ニュートン反射望遠鏡の仕組みがよく分かるので、入門者にとっては最適です。

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私はもともと、観望会とかで子供とかに望遠鏡の仕組みを説明したくてこの鏡筒を購入したので、そこまで実用的に使うことを考えていませんでした。でも焦点距離がここまで短いニュートン反射はこのNEWTONYくらいである意味貴重な存在で、今回電視観望でうまくいけば今後大いに活用することができます。


Ceres-CとNEWTONYの組み合わせ

ところがこのNEWTONY、通常のCMOSカメラと組み合わせると、少しというか重大な問題があります。ピントが出ないのです。アイピース口にカメラを取り付けるとき、ほとんどのカメラの場合あと5mm位中に入り込んでいけばピントが出るのですが、私も以前同じPlayer OneのNeptune C-IIを取り付けた時、あとすこしでピントが出なくて悔しい思いをしました。

Ceres-Cはその形を見てもわかりますが、アイピース差し込み口と同じ径が続いているので、奥まで差し込むことができ、それでピントが出るのです。Ceres-CとNEWTONYの組み合わせがここで効いてくるのです。


AZ-GTi

もう一つ重要なアイテムを紹介しておきます。SkyWatcher社のAZ-GTiです。



いくらNEWTONYが短焦点といっても、空のかなり狭い範囲を見ることになります。地球は回っているので、空を見ていると星は動いていくように見えます。
  1. 見たい天体をスムーズに導入することと、
  2. 星を追いかけるために自動導入、自動追尾の機能
がある「台」が必要になります。今回はこの手の機能を持った機器としては最安に近いAZ-GTiを使うことにします。もし、既に赤道儀などを持っていたら、もちろんそれらを使うこともできます。


組み立て

さて、実際に機材を組み合わせてセットアップしてみましょう。まずはNEWTONYをAZ-GTiに取り付けます。この場合、NEWTONY付属の簡易三脚から鏡筒本体を外して、それまで三脚が付いていた本体下面のネジを利用してアリガタを取り付けます。

アリガタはCeres-Cの販売店のシュミットにもいくつかありますし、

アマゾンなどでも「アリガタ」で検索すればいくつも見つかると思います。

私は簡単に取り外せるよう、アリミゾからアルカスイス互換のクランプへの変換アダプターを作り、NEWTONYにはアルカスイス互換のプレートをつけて、取り付けるようにしています。普通はビクセン規格のアリガタを直接取り付けるので十分でしょう。

次はNEWTONYにCeres-Cをとりつけます。アイピース口のところに差し込み、固定ネジを締めるだけです。
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PCとソフトウェア関連

カメラをPCに接続しますが、その前にあらかじめPlayer Oneのサポートページに行って、ドライバーをダウンロードしインストールしておいてください。
 
リンク先の「Native driver」の中の「Camera driver」を選びます。

今回電視観望用に使うソフトは「SharpCap」。



これもダウンロードしてインストールしておいてください。無料でも使えますが、いくつかの機能は有料版のみで使えます。基本的な電視観望は無料版でもできますが、オートストレッチなど有料版の機能を使うと便利な時があります。年間2000円程度なので、もし電視観望が楽しいと思って続けたいと思うなら、有料版を考えてもいいのかもしれません。

ソフトの準備ができているなら、カメラをUSBケーブルでPCと接続します。SharpCapでカメラを認識させますが、ドライバーなどがうまくインストールされていれば、Ceres-Cがカメラの選択肢として出てくるはずです。
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これらのことは、あらかじめ昼間などの明るい時に試しておくといいかもしれません。うまく接続できたら、露光時間とゲインを適当に合わせてPCの画面にカメラで見ている映像が出ているのを確認してみてください。もともと天体用のカメラなので、昼間に見ると明るすぎる場合があります。その際は露光時間を数ミリ秒とか、ゲインを0近くにするとかして、きちんと画面に反応があるかを確認してみてください。


ピント合わせについて

さて、ここで気づくと思うのですが、NEWTONYが安価なせいもあり、ピント合わせがアイピース全体を回転させる方式になっています。そのため、カメラを固定したままだと視野が回転してしまうことと、ねじ込み式のためにきちんと固定できず、多少ガタついてしまいます。

なので、カメラの固定ネジを緩めて、何か景色や夜なら星にNEWTONYを向けて、PCの画面を見ながらカメラを出し入れしてみます。ある程度ピントがあったところで固定ネジを締めてカメラを固定します。その後、わずかにカメラごと回転させてピントを合わせるようにします。視野は多少回転しますが、ピントの調整範囲はごくわずかなので、回転もごくわずかに抑えられるはずです。

その後は、USBケーブルに無理なテンションなどかけなければ、ガタでピントがずれるようなことはありませんでした。


電視観望に使えるか?

さて、実際に夜に電視観望でCeres-Cを使ってみます。この安価な「ガイド用」と言われているカメラ、どこまで使えるのか非常に楽しみです。

試したのは2021年10月14日の夜、夕方からずっと曇りだったのですが、23時頃から晴れ始めたので早速準備です。この日は月齢8日の半月を越えたくらいの明るい月が西の空に傾いているような空でした。

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セットアップした機材を外に出し、アウトドア用の机を別途用意し、PCをそこに置いて操作します。AZ-GTiで、明るいこと座のベガを初期アラインメントで導入します。

ピント合わせは先に説明したように、カメラをアイピース 口に出し入れしてある程度合わせてから、回転で微調整します。星を見ながらやってみてもきちんとピントが合うことが確認できました。

さて、これで準備完了。目的の天体を自動導入します。


M27: 亜鈴状星雲でファーストライト

まず最初に見たのは、西の隣の家の屋根に沈みそうになっているM27亜鈴状星雲です。
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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack89枚、4分40秒

さすが224系のセンサーです。綺麗に見えますね。どうやら電視観望用途としてもこのCeres-C、十分に使えるようです。この時は露光時間3.2秒、ゲインを300に設定しました。最初ゲインを500とかに設定したのですが、明るすぎて画面が真っ白になってしまいました。ゲインは最大780まで設定できるようですが、300程度で十分なことがわかりました。

上の画像のように明るく見るためには、SharpCapの右パネルのヒストグラムを見ながらの調整が必要になります。ヒストグラムをよくみると3本の黄色い縦の点線があります。そのうち左と真ん中の点線で、山を挟むようにします。すると淡い部分ががあぶり出されてくるはずです。線の位置は画面を見ながら色々微調整してみてください。ちなみに、有料版のSharpCapではこのあぶり出し操作を自動でやってもらうことができます。有料版を持っている場合は、ヒストグラムにある雷マークのようなボタンを押してみて下さい。自動的に淡い部分があぶり出されてくるのが分かると思います。このことを「オートストレッチ」と言います。

うまくあぶり出されて、見たい天体が画面内に入っていることが確認できたら、ライブススタックでノイズを落としてみましょう。メニューの「ツール」から「ライブスタック」を選びます。下に出てくるライブススタックの中のヒストグラムを同様にいじって、左と真ん中の黄色い点線で山を挟んでみて下さい。その際は右パネルのヒストグラムの線で挟むのは一旦元の位置に戻しておいて下さい。雷マークの横のリセットボタンを押すと一発で戻るはずです。リセットしておかないと画面が真っ白に近くなってしまいます。

ライブスタックでは、時間が経つにつれて画面が重なっていき、背景のノイズがどんどん綺麗になっていくのが分かると思います。ライブススタックのヒストグラムで大まかにあぶり出し、右のパネルのヒストグラムで微調整するなどもできます。各自色々試してみて下さい。


M57: 惑星状星雲で迷光が...

M27でCeres-CとNEWTONYでかなり見えることがわかったので、次の天体に移動します。次も今にも沈みそうなM57、こと座のM57惑星状星雲です。小さいですが、輝度の明るい星雲なのでハッキリ見えます。

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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack56枚、3分

実はM57を導入した時に、最初妙な迷光が画面に表れてきました。
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迷光エリアの中の真ん中少し上にM57が写っています。小さいですね。

色々な方向を遮ったりして試した結果、隣の家の窓の明かりが入ってきていることに気づきました。カメラの取り付け位置が鏡筒のかなり先端に近い所にあるので、鏡筒先端から入ってくる光がカメラに入り込んでしまうためです。今回はとりあえず光を遮るようにテーブルを移動して影になるようにして迷光を避けましたが、フードのようなものを自作するのが良いのかもしれません。自分で工作などして鏡筒を育て上げていくのもまた、趣味としては楽しいことなのかと思います。

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手前から来る光を机とPCで遮ってカメラに入らないようにする。


M31: アンドロメダ銀河でレデューサを試す

次は銀河を見てみます。秋と言えばM31アンドロメダ銀河です。

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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack69枚、3分40秒

腕の構造も多少見えているのが分かるかと思います。かなり感度の良いカメラと言えると思います。

焦点距離200mmですが、さすがにアンドロメダ銀河は大きくてCeres-Cでは入りきりません。そこで、レデューサのテストをしてみました。SVBONYの0.5倍のもので、アマゾンなどでも安価に手に入れることができます。Ceres-Cの先端にはねじ山がきってあるので、このようなアメリカンサイズ(31.7mm)のレデューサやフィルターなどを付けることができます。レデューサを直接とりつけてみます。

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Ceres-Cの先にレデューサやフィルターなどをつけることができます。
この写真ではレデューサと、次の北アメリカ星雲で使うCBPをすでに取り付けてあります。

まずはレデューサが最低限使えるかどうかですが、カメラ位置を前後することで全く問題なくピントが出てくることがわかりました。その時の画像です。

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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack24枚、1分17秒

多少画角が広がっていることがわかります。ただし、レデューサをセンサーにかなり近づけた状態でとりつけてあるので、倍率はおそらく0.7倍くらいであまり減少されていなくて、見える範囲もそれほど広がっていません。また、この時間帯M31は天頂付近にあるため、経緯台では追うことが苦手で、短時間でも流れてしまっていることがわかります。


北アメリカ星雲

次に、白鳥座付近に移って北アメリカ星雲を見てみます。ところが、もうかなり西の低い空に傾いていて隣の家の明かりの影響が出ているせいか、位置はあっているはずなのにどう調整しても全く何もあぶりだすことができません。おそらく強烈なカブリのために大きな輝度差があって、ストレッチとかが役に立たないからだと思われます。

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こんな時は光害防止フィルターの類を入れると状況は劇的に改善されます。今回はサイトロン社のCBP(Comet Band Pass)フィルターを使いました。このフィルターをカメラと先ほどつけたレデューサとの間に挟むように取り付けます。こうすることでレデューサとセンサー間の距離を稼ぎ、倍率を下げることでより大きい範囲を見ようとしてます。その結果が以下の画像です。

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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack33枚、1分45秒

同じ位置を見ているのに、CBPがあるだけで劇的に星雲のあぶり出しが改善されることが分かるかと思います。また、星の位置を比較することで、より大きなエリアを見ていることも分かるかと思います。これで0.5倍程度になると思うので、焦点距離100mmの鏡筒にCeres-Cを取り付けているのと同じことになります。また、レデューサの星で四隅の星像が流れてしまっているのがわかります。これは安価な汎用的なレデューサのため、性能があまり良くないので仕方ないでしょう。

レデューサをつけたとしても北アメリカ星雲の一部しか見えていないので、大きな天体を見るにはCeres-Cではまだセンサー面積が小さいことがわかります。これ以上のエリアを見ようと思ったら、もっと短い焦点距離が必要で、こうなってくると望遠鏡というよりは、カメラレンズの範疇になってきます。次回、カメラレンズでも試してみようと思っています。


M42: オリオン大星雲

0時半頃、既にオリオン座がそこそこの高さまで昇ってきています。M42オリオン大星雲を導入してみました。オリオン大星雲は明るいので、わずか1分ちょっとの露光でも十分きれいになります。CBPはつけたままです。

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Gain300、露光時間3.2秒、LiveStack23枚、1分14秒

レデューサが入っているので、四隅は流れてしまっています。上の方にランニングマンも見えていますが、レデューサが入ってやっとM42と合わせて画角に収めることができます。


馬頭星雲と燃える木

最後は馬頭星雲と燃える木です。馬頭星雲は結構淡いので、露光時間を6.4秒に伸ばしました。

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Gain300、露光時間6.4秒、LiveStack18枚、1分55秒

それでも2分弱でここまで出ます。感度やノイズの少なさも含めて、Ceres-Cがセンサーの性能をきちんと引き出すようにうまく作られているのを、この画像がよく表していると思います。

次の日も朝が早いのと、ちょうどPCのバッテリーが少なくなったとの警告が出たので、ちょっと名残惜しかったですが、ここで撤収としました。


Ceres-Cの評価

Ceres-Cでの電視観望どうでしたでしょうか?私の評価は「相当いい」です。入門用の電視観望カメラとしては間違いなくベストバイだと思います。

まず値段。初心者にとってこの値段は電視観望をやってみる敷居が相当下がるのではないでしょうか?この値段で、作りに手を抜いているようなところは全くみられなかったです。

次に感度。予想より相当いいです。ガイド用と謳われているので心配してましたが、全くの杞憂で電視観望用途には十分な性能があると思います。IMX224はセンサーとしてはかなり古い(2014年発表)部類で、相当こなれているといえます。Ceres-Cは現在の技術でこなれたセンサーの性能を余すところ無く引き出しているような印象です。

ダークノイズに関しても秀逸です。見ている限り輝点に相当するものは一つしか確認できませんでした。秋になってきて涼しくなってきたとはいえ、これは驚異的です。Ceres-Cの解説を見ると

「Player OneのプラネタリーカメラにはDPS(Dead Pixel Suppression)テクノロジーが搭載されています。DSPにより自動的にデッドピクセル(ホットピクセル、コールドピクセル)が一掃されます。 」

とあります。おそらくこれが効いているのかと思いますが、電視観望には非常に有利に働くのかと思います。仮に輝点がたくさんあったとしても、SharpCapのリアルタイムダーク補正機能である程度緩和することはできますが、露光時間やゲインを変えるたびにダークファイルを入れ替える必要があります。ダーク補正をしないでいいのなら、しないに越したことはありません。特に初心者にとっては、手軽に綺麗な画像を得られるのは相当なメリットかと思います。


まとめ

 結論だけ言うと、電視観望用に購入する初めての入門用カメラとしては確実に「買い」でしょう。まだ1日触っただけですが、相当高性能で素直な印象を受けました。私としてはかなりの高評価です。

期待以上によく見えたので、まだまだ色々試したいです。Ceres-C関連の記事、もう少し続けようと思いますので、ぜひご期待ください。

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