ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:場所 > 数河高原

2023年6月17日、先月5月に続いて今年2回目の飛騨コスモス天文台での観望会です。




観望会にお誘い

火曜日くらいでしょうか、RYOさんから TwitterのDMがあって金沢に用事があるので、「土曜日に富山でお茶でもしませんか」とデート?のお誘いがありました。ほぼ同時刻にあんとんシュガーさんから「土曜日一緒に撮影でもしませんか」と、こちらもデート?のお誘い。なんかモテモテです(笑)。

二人ともに「土曜は飛騨コスモス天文台で観望会なので、よかったら一緒にどうですか?」と聞いてみたら、衝撃の事実が!なんとRYOさんの言う土曜日は先週の土曜日とのこと。よくよく聞いみると、先週の木曜くらいにDMを送ったそうです。そう、DMの遅配です。

実は全く同じことが過去にもあって、その時は重要なDMとともにジャンクDMも10通くらいいっぺんに来ましたが、重要なDMは約2ヶ月半遅れて到着というとんでもないことに。今回も2通いっぺんに来たので、遅配の場合は何か別のDMがきっかけでいっぺんに送られるのかもしれません。とにかくTwitterのDMは遅配が複数回あったので、そんな可能性があり得ると想定して使うことしかできないということがわかりました。

というわけで、当然RYOさんのデートのお誘いには応えることもできなくて、あんとんシュガーさんとは何度か連絡を取り 飛騨コスモス天文台の観望会に来てもらうことになりました。以前から撮影の様子を見て欲しいと頼まれていたので、やっと約束が果たせそうです。さらにあんとんしゅがーさんが智さんを誘ってくれて、わざわざ岐阜の反対側から来てくれることになりました。智さんも何か聞きたいことがあるそうです。


飛騨コスモス天文台に向けて出発 

観望会当日は、現在故障中のドームの開閉装置の高い位置にあるモーターの様子を見るために脚立を積み込んでの出発になります。少し早めの15時頃に自宅を出ます。

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16時半頃には到着したでしょうか。現地は雲ひとつない青空です。

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さっそくドームの開閉部のモーターをチェックします。モーター2つで開け閉めするのですが、そのうちの一つが動いていません。高い位置にあるので脚立に上り、型番を写真で撮影します。

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調べてみると現行品のようですが、値段を見るとかなり高い!以前壊れたモーターの倍くらいの値段です。しかもギヤボックも電源がいるみたいです。それも合わせると以前の交換の3倍くらいの値段がします。まだモーター故障かどうかの断定まではできていなくて、スイッチ故障や断線の可能性も捨てきれはしていません。でも状況証拠からはモータ故障の可能性が一番高いのと、もう10年以上経っているのでいざとなったら予備にすればいいと思い、発注して交換してみることにしました。

モーターをチェックしている最中に智さんが到着です。チェックが終わってから車の近くでしばらく智さんと話していると、あんとんシュガーさんも到着。「近くまで来て、何度も迷った」と言っていました。確かに奥まった夜は暗いところなので、昼間に来ても初めてだとわかりにくいかもしれません。

智さんの聞きたいことは、撮影用のフィルターをどうしてるかということと、NINAのAF(オートフォーカス)がうまくいかないことがあるみたいで何が原因か知りたいということの二つでした。

前者の答えは、私は星まつりとかで安く買い集めたBaaderと、2インチのLRGBはZWOを使っていることを伝えました。「ナローバントフィルター高いよね」という話になりました。モノクロ撮影を少し考えているみたいで、何がメリットかという話にもなりました。

もう一つのAFは、以前NINAのオートスストレッチのパラメーターが劇的に効いたことを伝えました。




撮影と観望会準備

この後、3人とも機材の準備を始めます。

智さんはiOptron CEM26に載せたACL200+ASI2600MC Proでアイリス星雲狙いと、EQ5に載せたFRA300 Pro+Nikon Z6(多分)で網状星雲狙いの2台体制です。

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智さん自作のフードがすごくて、初めて実物を見せてもらいました。現地で話していましたが、バッフルもきちんとついていて売り物になりそうなレベルです。

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あんとんシュガーさんはタカハシのEM200のTemma2にVixenのR200SS+ASI294MM Proでヘルクレス座の球状星団M13狙いだそうです。金ピカアルミ箔できちんと結露対策をしています。

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私はというと、ACUTER TRAVERSEで電視観望の準備と、いつもの自由に触っていいSCORPTECHを出します。

ここら辺でかんたろうさんが到着。かんたろうさんもいつもの45cmドブの準備を始めます。さらに飛騨コスモスの会のスタッフの方達も到着します。


天体写真カードの配布

19時半頃からでしょうか、ポツポツお客さんが来始めます。今回の目玉は来てくれた子供達に配る、新作の天体写真カードです。といっても、私が撮りためた画像をL版で印刷しただけなのですが...。でもこれ、子供達はすごく喜んでくれます。昨年も230枚用意して配っていたのですがもう在庫がなくなったということで、今年はとりあえず30種類x10枚の合計300枚を用意しました。10種くらいは惑星など昨年人気があったものを焼き増し、20種くらいが新しいものです。

印刷は今回もフジプリで頼みました。L版だと「最高級印画紙」を選んでも通常仕上げなら1枚あたり10円、送料と消費税を入れても1枚あたり12円切っています。今回も全部で3520円なので、貰ってくれる子供達の喜ぶ様子を見たらすごいコストパフォーマンスです。注文時に「最高級レーザーペーパー(サイズ限定)」を選んで、画像をアップロード。ポイントは「色調自動補正」を必ずオフにすることです。今回注文した後にこれを本当にオフにしたかどうか確証が持てなくて、30分以内ならキャンセル可だったので、泣く泣く一旦キャンセルして、一からやり直しました。

一回観望会に来ると1枚のカードがもらえるのですが、子供達がカードを真剣に選ぶ様子がもう可愛くて可愛くて。「どれが新しいやつ?」とか、「こっちとこっちどっちがレア?」とか色々聞かれます。「こっちは皆既月食だからその時しか見えないからレアだけど、こっちの象の鼻星雲は目ではなかなか見えないからこっちもレアかなあ?でもこの象の鼻って忍者に見えない?」とか答えます。

電視観望の準備をしているときも女の子が何人かカードのお礼を言いに来てくれました。皆既月食の地球影の連続写真のカードを選んでいたので「この影が地球なんだよ」とか、タイムラプス動画を見せてあげたりして、「なんで月食が起こるかわかる?」とか聞くと身振り手振りで説明してくれて、すごく盛り上がりました。

帰るときもわざわざ「カードありがとうございました」と言いに来てれる子もいます。「また来月も参加してね。またカードもらえるよ!」と言うとすごく嬉しそうにしています。このカード作戦、単純ですが思った以上の効果のようです。

自宅に帰った後にこの天体写真カードについて妻と話しました。妻曰く「写真を印刷するって文化がなくなったので、子供たちにとっては印刷された写真を見ること自身が珍しいことなのでは?」ということでしたが、妙に納得させられました。スマホとかの画像で見ることはあっても、手に持って写真を見ることがもうほとんどないのです。もらったカードを飾っている子もいると聞いているのですが、確かにスマホだと飾るとかもできません。我々世代が思っているよりも、今の子供たちははるかに印刷された写真に価値を見出しているのかもしれません。


電視観望は大失敗

カードは好評でした。SCORPTECH望遠鏡も、夕方から金星を見たりで上手く行きました。でも電視観望は今回稀に見る大失敗でした。

今回はAZ-GTiの代わりに、新兵器でACUTERのTRAVERSEを持っていきました。実は前日の金曜日に、きちんとテストして自動導入からプレートソルブ、電視観望まできちんとできることを確認しておいたのです。それでも本番のこの日は、自動導入とプレートソルブが全く上手くいきません。

そもそも、電視観望用のPCを新しくしたので前日のテストはその確認も兼ねていました。まず、接続がイマイチです。最初にスマホで接続してGPS情報を提供して初期アラインメントまで済まし、その後にプレートソルブをするためにPCで接続するのですが、どうも切り替えがうまくいっていないようで、接続が不安定になります。

なんとか接続しても、プレートソルブが全く上手くいきません。現象としては、ASTAPが「星の数が多すぎる」とか出て上手くいかないのです。しかもこれ、プレートソルブ単体(経緯台を同期しない)だと上手くいくのに、同期しようとすると途端に星の数エラーが出ます。バグのような感じです。ASTAPの代わりにASPSを使うとプレートソルブして同期までしようとするのですが、実際には同期しようとしても経緯台の方が反応がないのです。元の古いPCも一応持ってきていたので、戻してみたのですがそれでも同様の現象。

これはTRAVERSEの問題かと思い、AZ-GTiにしたのですが、なんと不思議なことにAZ-GTiでも全く同じ現象です。これには困り果てて、今日の電視観望は諦めることにしました。結局見せることができたのは、たまたま入ったM27だけでした。

でもTRAVERSEだけでなく、なぜこれまで安定していたAZ-GTiでもダメだったのか、冷静になって色々考えてみました。緯度軽度はきちんと確認したし、天気もよかったので星もきちんと見えていたはずです。唯一思い当たるのが、どうせプレートソルブするからいいやと思って水平を出さなかったことです。TRAVERSEでサボって、AZ-GTiに変えたときも焦っていて水平をとっていなかったのです。いや、正確に言うと、ハーフピラーを外していたので、AZ-GTi本体の下部で三脚の台座についている水準器が隠れてしまい見えなかったので「まあいいや」と思ってしまったのです。他にもプレートソルブで画面に入っているはずと判断差されたM57が実際には画面にいなかったりなど、不可思議なことが連発していました。もしかしたら水平に置いていないことは思ったより深刻な誤差を生むのかもしれません。今後のこともあるので、時間のある時に再度検証することにします。

電視観望が全然ダメだったのですが、かんたろうさんがドブでお客さんに色々見せてくれてたので、とても助かりました。本当は、眼視と電視の比較、特にM101の超新星の見比べをしたかったのですが、その機会を作ることができなくて非常に残念で、申し訳なかったです。


あんとんシュガーさんの撮影をヘルプ 

明るいうちにあんとんシュガーさんの撮影の準備状況を少し確認しました。ここでいくつかアドバイスを。メモがわりに書いておきます。
  • 極軸合わせ、カメラの回転角の調整、あらかたのピント合わせまではSharpCapでやる。
  • PCと赤道儀を接続して、SharpCap上の方向ボタンを押すことできちんと赤道儀に反応があるかを確認。
  • ハンドコントローラーでも赤道儀が動くかどうかを確認。実際最初動かなくて、かんたろうさんからのアドバイスで、EM200のコントローラーからのケーブルの、赤道儀本体側での接続コネクタをきちんと押し込まないと接触不良を起こすことがわかった。
  • これらの確認は、SharpCapのカメラの画像の動きを見ることで確かめること。NINAにも画像モニターはあるが、遅くてリアルタイム性ではSharpCapにはるかに劣るので、最初の動作確認はSharpCapを使った方がはるかに効率がいい。

その後、観望会の終わり近くで電視観望を諦めた後、気を取り直してあんとんシュガーさんの撮影にじっくり付き合うことにしました。とりあえず「調子はどうですか?」と聞いてみたのですが、「いや全然、まだ撮影まで行ってません」とのこと。具体的によく聞いてみると「NINA」のプレートソルブをしているとのこと。でも様子を見てみると、全然進んでいなくて途中で止まってしまっているようです。まだM13の導入もできていないようなので、プレートソルブを一旦止めて、NINAのスカイアトラスから自動導入してみますが、そもそも赤道儀が反応しません。ここから怒涛のトラブル回避でしたが、覚えている限り書いておきます。
  • NINA上で「望遠鏡(実際には赤道儀)」の接続を切って再び接続すると、止まってしまっていた導入やプレートソルブをリセットでき、赤道儀がきちんと反応するようになった。その後、プレートソルブをするとうまく機能し始め、赤道儀の同期もうまくいく。さらにNINAのスカイアトラス画面で自動導入をすると、無事にM13が画面に入った。
  • NINAのAF(オートフォーカス)が全く上手くいかなかった。星の大きさが全然変わっていない。これはEAFがスタック?か何かで全く回転していなかったようである。AFの前に、改めてNINA上でマニュアルでフォーカス移動のボタンを押してきちんと軸が回転しているかを確認することが大事。
  • 撮影カメラとガイドカメラを2つUSBケーブルで繋いでいると、PHD2がカメラの選択でミスることがある。特に新規ウィザードを使ってセットアップするときは、ガイドカメラでなくて撮影カメラが勝手に選択されることがよくある。撮影カメラのUSBケーブルを抜いて新規ウィザードを走らせることで、確実にガイドカメラを選択できる。
  • 赤道儀が子午線を少し超えたところで稼働範囲限界を越えるようで追尾が止まってしまう。これがPHD2のキャリブレーション中に起きたので、上手くいかなかった。星が一方向に流れっぱなしになったので気づいた。
  • 一旦うまく動き始めたPHD2でのガイドが、途中何度も止まった。撮影用とガイド用の2つのカメラの切り分けがうまくできていないようで、例えばNINAから PHD2に接続した時など、途中でダークライブラリーが使えないとか、プロファイルがわかったとか何度も出て、その度にカメラ設定を一からとか、キャリブレーションを(次回も結果を使い回すと指定していても)何度もやり直す羽目になった。これはバグクラスの不具合なので、操作でどうこうすることはできず、今回はダークライブラリーをマニュアルで取り直したりでなんとか回避。どうもNINAは今年になって一回、PHD2はかなり前、ZWOのカメラドライバーはアップデートしたことがないようなので、全て最新版にアップデートするようにアドバイス。
他にも、
  • 導入時や撮影時にStellariumはいらない、導入だけならNINA単独で十分。
  • AFの露光時間が長すぎたので短く(10s->5sくらい)、プレートソルブの露光時間が長すぎたので短く(15s->5sくらい)、ライブビューの露光時間が長すぎた(10s->2sくらい)のとゲインが低すぎたので大きく(100->400くらい)。
  • オーバーシュートのバックラッシュの値が大きすぎる(200->100)。
  • オフセットが0だったので40にした
などです。

他にも何かありましたでしょうか?一応覚えているのは書き出したつもりです。とにかくトラブルだらけで、撮影までたどり着くのがかなり困難な状況でした。これだと、あんとんシュガーさんが全然うまくいかないというのも納得で、初心者だとほとんど回避不可能状態です。今回一緒にやる機会があってよかったです。

重要なことは、問題をきちんと切り分けることだと思います。また、自動でやる高機能なものは、まずはマニュアルで反応があるか確認するなども重要です。

そうそう、この時にMちゃん親子が来ていることに気づきました。Mちゃん4月からもう中2だそうです。最初にあったのが小4か小5の頃だったはずなので、早いものです。ケーキ屋のお母様からシュークリームの差し入れがあり、残っていたみんなで頂きました。いつもの通り、ものすごくおいしかったです。どうもごちそうさまでした。次の日試験があるとかで、0時頃には帰ってしまいましたが、今回もかんたろうさんのドブを十分楽しいでいたようです。


さすがの智さん

一方智さんの方は、困っていると言っていたNINAでのAFも、オートストレッチパラメタをすでに自分で調整していて、うまくV型のグラフになっていました。私がアドバイスするどころか、フードもそうですし、PCの収納方法など見習うところが多かったです。さすがかなりの頻度で撮影されてる智さんです。

アイリス星雲の撮影時には観望界にきてくれていたお客さんにもPC画面を見せてくれていて、皆さん青のアイリス星雲の美しさに「きれいー!」と声をあげていました。


あんとんシュガーさんの撮影

あんとんシュガーさんですが、結局数々のトラブルをなんとか回避して、やっと撮影体制に入りました。もう0時くらいだったでしょうか。Windyで雲が迫ってくることが予測されていたので、最低限の成果だけでも出るようにと、ピントなどをマニュアルで合わせたのみでまだ不十分でしたが、撮影を開始しました。あ、この時球状星団にはHαは取らなくていいこともアドバイスしました。

最初は3分露光でL10枚とRGBをそれぞれ2枚。この1ターン分の約1時間を実行します。

最初のターンが終わった後にAFを試したら、バッチリV字のグラフが得られ、恒星の径も3.5ピクセルくらいから2.5ピクセルくらいまで改善されたので、少し薄雲が南と西にかかってきたようですが、もう1ターンピントが合った状態で撮影します。

対象が球状星団だったので比較的雲影響がすくなかったので、2時前くらいからさらにもう1ターンの撮影を開始します。この時点で私は眠くなってきて、片付けもすでに終えていたので、午前2時に退散です。

3時頃には自宅に到着して、後片付けは朝にやることにして、そのままベッドですぐに眠ってしまいました。


まとめ

電視観望はうまくいかずに残念でしたが、かんたろうさんドブでお客さんを楽しませてくれましたし、天体写真カードは好評でした。あんとんシュガーさんも智さんも来てくれて、特にあんとんシュガーさんのトラブルシューティングは実は私にとってはとても楽しいものでした。トラブルの例を知っておくのは私自身のためにもなります。

あと、かんたろうさんとも話していたのですが、天の川が余裕で見えるくらいの場所で定期的な観望会が続けられているこの環境は、日本全体で見てもかなり貴重なのではと思います。スタッフの方は地元なので当たり前の環境みたいでもしかしたらピンと来なかったかもしれませんが、この貴重な観望会が今後も長く続けばと思います。


雪の季節も終わり 、2023年5月20日の土曜日、やっと飛騨コスモス天文台の観望会が再開しました。


ドーム修理

実は今年は飛騨コスモス天文台自体にはすでに4月に来ていて、ドームの回転部のモーターの交換修理をしています。



ところがその後、現代表のSDKさんから回転はするようになったが、スリットが一旦開いて閉めたら開かなくなってしまったとの連絡を受けていたので、16時過ぎの明るいうちに到着してドームの様子を見てみることにしました。以下、自分用のメモです。

まず電源を入れて開閉スイッチを押しても確かにピクリとも動きません。通常は開閉スイッチを押すと電磁スイッチがオン/オフされてモーターが動くのですが、その電磁スイッチが全く反応しません。電磁スイッチはマニュアルで押すこともできるので、試しに押してみたらモーターは動きます。

ただし、スリットが少しだけ開いて直ぐに止まってしまいます。電磁スイッチのマニュアル操作で再び閉めることもできますが、いずれにせよ稼働範囲が5cmほどとものすごく狭いです。この原因は直ぐにわかりました。スリットは左右に取り付けられて2つのモーターで動かすのですが、動いているのは片側のモーターだけのようです。もう片方が動いていないので、チェーンが弛むぶんの5cm位は動くのですが、それ以上は動かないモーターが負荷となって止まってしまうようです。

次に、反応のない開閉スイッチを外して、ボタンを押したときの抵抗値などを見てみたのですが、スイッチ単体では特に問題がないようです。そこで、開閉スイッチと電磁スイッチがつながっているところの電圧をチェックしてみたのですが、ここの電圧が本来100V出るはずなのに数10V程度しか供給されていないことがわかりました。ただし、これが電磁スイッチの故障なのか、モーターが壊れたために電圧が出ないかは不明です。一応モーターにつながっているケーブルを外して試してみたのですが、それでも反応はありませんでした。なので電磁スイッチの故障の可能性も高いのですが、全てのケーブルを外して試したわけではないので、まだ確証は持てていません。

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問題はモーターがかなり高い位置に取り付けられていて、型番など確認できなかったことです。前回の修理で交換したモーターと同じかと思っていたのですが、どうも下部についているパッシブなギヤボックスの代わりに、ケーブルが3本出ている謎のボックスが取り付けられているようです。次回来るときに脚立を持ってきて、型番をきちんと確認してから交換しようと思います。あ、モーターが片側動かないのは実は断線の可能性も捨てきれないので、2つあるモータにつながっているケーブルを交換するとかで、モーターかケーブル断線かの切り分けができるのですが、その確認も高い位置でする必要があるので、今回は断念しました。

いずれにせよ、次回型番確認でモーターを購入、次次回モーター交換して電磁スイッチが故障かどうかを確認します。モーターさえ動けばマニュアルスイッチでスリットの開閉だけはできるはずで、一応使用することはできます。もし電磁スイッチが故障ている場合は発注してさらに次の回に交換になります。

このドームのメンテナンスですが、実際に直してくれるような業者を見つけるのはかなり大変そうです。聞いたところによると作ってくれた業者はすでに無くなってしまったそうです。その後故障した時に、個人的に頼んでわざわざ関東から来てもらい修理してもらったそうです。たまたまそのときは直ったそうですが、今回のようなモーター交換が必要な場合は少なくとも二度来る必要があるため、そうそう頼むこともできません。私はそこまで大きなことはできませんが、電気的なことくらいの面倒は見ることはできます。スタッフとしてできる限りメンテナンスを続けていければ思います。せっかくのドームなので、できる範囲ですが最大限長持ちさせて活用していきたいと思います。


観望会

ドームのチェックが終わるともう18時半くらいになっていました。程なくしてスタッフの方たちがとうちゃくしました。メンバーは代表のSDKさんの他に、SKDさん、KBさん、MMさんと、さらに私の合計5人でのオペレーションになります。オペレーションといっても大袈裟なものでは全くなく、基本まったりモードで、お客さんが来ていろいろ雑談しながら、機器の準備もしたり、導入もしたりと、少人数観望会のいいところを最大限活かしなららすすめています。

お客さんにもよく言うのですが、天の川が普通に見えるようなこんな暗い場所で、定期的に続いている観望会は多分全国的にもそう数はないのかと思います。多くの定期的に繰り返される観望会は、安全に気をつけることもあるのかと思いますが、結構明るいところで開催されるケースの方が圧倒的に多いのかと思います。人が集まりやすく交通の便がいいことと、暗い空は大抵は相対するからです。もちろん山の中なので車で来る必要があるのですが、家族で参加されたり、それぞれ相乗りしてきたりで、子供から大人まで幅広い年代の方が参加してくれています。天の川もよく見えるので、星景写真の撮影や、星雲星団銀河などのディープスカイ撮影をする人もいます。私も観望会が終わってから天気が良ければ朝まで撮影することも多いです。

最後の観望会が昨年9月(10月は天候不良で参加できず、冬の間は閉鎖)だったので、久しぶりの再会です。スタッフ同士も雑談話に花が咲きます。今回天気予報があまりよくなかったので、大した機材は持ってこなかったのですが、それでも到着時は青空が広がっていて、日が暮れてからも時々全面雲に覆われることもありましたが、全面星が見える時もあり、そこそこの環境でした。

薄暗くなってきて金星も見え始めたので、いつものSCORPTECHの入門用の屈折を出して見てみます。綺麗な半月状の金星が見えます。アイピースはサイトロンの8mm-20mmの可変のもの。経緯台なので、20mmで導入して8mmに変更します。8mmにピントを合わせておき、金星がずれて視野から見えなくなると20mmにしてピントは合わせずに導入だけしてセンターに合わせて、直ぐに8mmに戻します。

ものすごく遠目の冴えるSKDさんが火星も見えてきたと言い出した頃、最初のお客さんが到着し、その後連続的にお客さんが到着し、順次金星を見てもらいました。あるご家族の中に、5歳くらいの小さな女の子がいたのですが、背が全然届かないので天頂プリズムの固定ネジをゆるめて回転させて横から金星見てもらうのですが、それだと他の人には目の位置が低すぎます。この女の子、金星をずいぶん気に入ったらしくて何度も見たがり、その度に天頂プリズムを回転させるのですが、毎回金星を見た後にものすごく満足そうにニコッとします。回転の手間なんか全然気にならないくらい可愛いです。

星座観察で星座ビノを4台出して夕方の空で星を探してもらいました。子供用にピントを合わせる必要のないCokinとCanon、目が悪い子や大人用にSuperWidebino36とサイトロンの3倍のものを出しました。

金星の直ぐ上にふたご座のカストルとポルックスがあるのですが、この時間でも星座ビノだと良く見えるようです。星座ビノは暗くなってからも大活躍でした。星座ビノはあまり環境の良くない明るい空や、夕方の明るいうち、例え雲が多少あっても星がたくさん見えます。実はこの場所、かなり環境のいい暗い空で、裸眼でもあまりに星が見えてしまい、星座ビノの効果がいまいちなのです。でも今日みたいな雲が所々にあるような日にはもってこいでした。

今回お客さんは4−5組だったでしょうか。ふもとの天気があまりよくなかったとのことで、星が見えるかどうか心配だったそうです。ふもとの天気が悪いとお客さんの数が少ないのですが、ある家族が車から降りるときに、「わーっ、すごい星!!!」と言いながらでてきたので、このひ来てくれた方達はラッキーだったのでしょう。去年も来てくれていた常連の方達も来てくれました。去年惑星はなぜ「惑」星というのかというクイズを出して、色々調べてきてくれたご家族もいました。ある小学2年生の女の子が星と星座の図鑑と星座早見盤を持参して参加してくれていたのですが、この子が色んなことに詳しくて、各所で大きなこえて説明してくれていました。将来が楽しみです。


電視観望

私の方はというと、お客さんといろいろ話をしながら電視観望の準備をしていました。いつものFMA135にAZ-GTiです。春なのであまり見栄えのする天体はないのですが、雲の合間をぬって三つ子銀河を入れてみました。

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三つ子銀河でお客さんの方がかなり盛り上がってくれたので、私の方も気を良くして、ちょうど昇ってきたベガの説明をしながらM57を導入してみました。雲がひどくてベガも見えたり見えなかったりですが、画面にM57のカラフルな映像が出ると、こちらもかなりの盛り上がりでした。というより、雲があって目ではほとんど何も見えないのに、星雲が見えることとその背景にものすごい星の数が見えて、しかも星雲にも恒星にもきちんと色がついていることに驚いているようでした。

しばらく雲がひどかったので、このページ(各ページのトップにある「Nebula」から行けます)にまとめてある過去に撮った天体画像をお客さん達に見せながらいろいろ話していました。



M51子持ち銀河を見せているときに「本当は今日見せようとしたんですが...」と言って空を見ると、北の方が結構晴れています。「せっかくだから見えたらラッキーくらいで見てみましょうか」と導入してみると、もうかなり天頂に近い位置にいて、短焦点のFMA135なので小さいですがはっきり見えます。

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上はスタックした後ですが、導入直後にも淡く見えていて直ぐに「おぉー!」という声が上がりました。やはりあらかじめ写真などで形を認識してもらってからみると、(電視観望なのでインパクトはかけるかもしれませんが)同じものが見えるとインパクトが上がるようです。


この日は素直に帰宅

雲がさらに出てきたので、21時半頃でしょうか、観望会としてはここで終了。お客さんもみんな帰っていき、スタッフの皆さんも「また来月お願いします」と挨拶をして帰っていきました。私の方は今日出した機材は大したことはないので、直ぐに片付けます。その間にも晴れたり曇ったりを繰り返していましたが、撮影は難しいと判断し、帰宅しました。

そういえば、行きがけにコンビニに寄ることを忘れてしまい何も食べるものがなかったので、帰り道のファミマでトンカツ弁当を買って自宅で食べることに。自宅には23時頃に到着したでしょうか。空を見たらドン曇りでした。

元々の天気予報が、北の富山側も南の高山側もダメそうで、ちょうど飛騨市のあたりだけ雲が薄いようのかんじだったので、いろいろ見えただけでもラッキーだったのかもしれません。未だに私が参加した飛騨コスモス天文台での観望会で、星が見えなかったことは一度もないので、晴れ男の名誉は保てているようです(笑)。


昨年秋くらいから動かなくなってしまった飛騨コスモス天文台のドーム。



交換部品も手に入って、雪も解けた春になってようやく修理することができました。


ドームのモーター交換

昨年9月にドームの回転ができなくなってしまい、色々分解してチェックするとどうもモーター自身が故障で動かないようで、交換用のモーターを探していました。

使われていたモーターはかなり古く、同型のものがもうな無くて、中古やオークションなどを探しても見つかりません。一旦同メーカーの互換性のある電力の少し大きなものをMONOTAROで選んで注文したのですが、結局それも入荷せずでキャンセル扱いに。互換性は必須で、モーターの下部にギヤボックスがあり、別メーカーのものや、同メーカーでも互換性がないものではネジ位置なども違ってしまい取り付けにかなり苦労しそうです。

半分諦めていたのですが冬近くでしょうか、ある時全く同型のものがMONOTAROで復活しているのに気づきました。半信半疑で注文してみると、ちょっと時間はかかりましたが無事に到着。でも季節は冬で、雪もあるためもう天文台に車で行くことは大変になっていました。

3月に名古屋に行く途中で寄った時にはまだ途中の道が雪に埋もれていました。
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春になり雪も解け、やっと天文台のところまで車で登って行けるようになりました。
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モーターの交換は、前回取り外す時に散々苦労してメカニズムを理解していたので、今回は楽なものです。黄色に見えるのがバネで、これで左のボックスを向こう側に押さえつけています。
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ボックスの中にはローラーが入っていて、これがボックスごとスプリングでドーム上部に押さえつけられていて、ローラーが回転するとドーム全体が回転することになります。
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モーターをボックスごと外します。右が外したモーターとギヤボックスおよびローラー、左が新しいモーターです。
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モーターとその下のギヤボックスを外すのにちょっと苦労しました。長いネジがギヤボックスの下まで通っていてナットで止めてあっただけなのですが、それに気づかずプラスドライバーだけで無理やり緩めようとしてうまくいかず、少しねじ山を舐めてしまいました。トラブルはそれくらいでしょうか。

まずは古いモーターにつながっていた配線を新しいモーターに繋ぎ直して、実際にドーム回転のスイッチを入れてモーターが回ることを確認しました。これでやはりモーターがダメになっていたことがわかりました。

新しいモータをギヤボックスにはめてネジで再び固定し、全体のボックスを元の位置に戻し、ローラーがドーム側にきちんと接触するようにスプリングにテンションをかけます。その状態でスイッチを入れるとドームがきちんと回転し始めました。スプリングが強すぎたせいか、数カ所で回りにくいところがあったので少しスプリングのテンションを緩め、再度全周360度スムーズに回転することを確認して、今回の作業は完了です。

あ、配線ボックスの中が暖かいのでしょうか?てんとう虫の死骸が大量にあったので、少し掃除しておきました。


撮影は...

せっかく飛騨コスモス天文台まで来たので、夜はそのまま撮影になだれ込もうと目論んでいました。昼間は天気が良かったのですが、修理作業が終わってのんびりしていると雲がどんどん出てきました。

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事前の予報では夜には雲もなくなるはずでしたが、その予報もどんどん悪くなっていき、夜中1時頃まで晴れないというものになっていました。しかも風がかなり強いです。迷ったのですが、さすがに撮影まではできないだろうと判断し、真っ暗になる前に帰路につきました。


神岡町のお祭り

富山への帰り道の途中、神岡町を通る時に今日はお祭りだと気づきました。昔何度か行ったことがありますが、調べたら5年ぶりの開催とのこと。小ぢんまりとした雰囲気のいいお祭りで、山間の小さな町のメインストリートを、獅子舞や神輿、巫女さんや天狗に模した男衆が、笛や太鼓を鳴らしながらゆっくり練り歩きます。絵本の中の世界をそのまま切り取ってきたような幻想的な風景です。

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一本入った道には、屋台も出ています。子供たちが射的を楽しんでいました。
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まとめ

ドームの修理は仕組みを良く理解できるいいチャンスです。いつかドームを作るときに役立つかもしれません。撮影ができなかったのは残念でしたが、そのおかげで神岡のお祭りに寄ることができました。

富山の自宅について空を見上げたら、一面雲に覆われていました。やはり撮影は無理そうで、早めに切り上げて正解だったのかと思います。


先月8月の定例観望会は雨で中止となってしまったため、7月の観望会以来2ヶ月ぶりの定例観望会になります。ただし、8月はペルセウス流星群の観望会が飛騨コスモスであったので、毎月行っていることにはなります。


機材準備と車への詰め込み

2022年9月24日(土)は3連休の中日で台風が来る予想でしたが、途中から予報が変わり午後から晴れるとのことです。しかも次の日曜も晴れということなので、新月期なこともあり撮影の準備もすることに。

朝から撮影対象を考えていました。暗い北の空を利用することと、観望会後なので最長でも6時間くらいで、そこまで長時間では撮れないこと。ナローバンドは自宅でもできるので、できればRGBで撮影できることなど、いろいろ考えてアイリス星雲のリベンジにしました。SCA260で撮影をしようと、CGX-Lも載せたのでもう車の中はこれでもかというくらい荷物で一杯です。他に持って行ったのは来てくれたお客さんが自分で触れるようにSCOPTECHの屈折、惑星用にC8とCGEM II、電視観望用にFMA135+Uranus-Cと50mmと35mmにASI294MC、予備でFS60CB、あとは星景用に18mmレンズと6Dです。

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座席も運転席以外は全て埋まってしまい、もう一箱も荷物を詰め込めません。本当はさらにTSA120を持っていきたかったのですが、流石に全く入りません。

この日は14時過ぎに自宅を出ました。実は8月に「天文ドームが不調で動かなくなってしまった」と聞いていて、調子を見て欲しいと言われていたため、早めに到着して様子を見ることにしたからです。

途中コンビニでサンドイッチとおにぎりなど買い込みました。昼食はしっかり取ったのでこの時点でお腹は空いていませんでしたが、夕食の時間に簡単に食べられるようにという目的です。


ドーム修理

15時過ぎに飛騨コスモスに到着。富山を出た時にはまだ雨が降っていましたが、天気は途中から徐々に良くなり、到着時には7割方青空が見えていました。

早速ドームの様子を見ます。どうやらドーム屋根の回転が全くできないようです。窓部分の上下開閉は特に問題ないので、電気系が全滅とかではなさそうです。

回転周りの電源から順に見ていきますが、モーターのところまできちんと電圧が入っていることが分かりました。それでもモーターはピクリともしないので、結論としてはモーターの故障です。

ただしモーターを外すのが結構大変で、型番を確認するのにも一苦労でした。やっとモーターとローラー部がどうドームに固定されているかと、ドーム側へローラーを圧着する方法まで理解して、うまく取り外すことができました。

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型番から確認すると、モーターとギヤボックスからなっているようで、おそらくギヤボックスはそのまま使えるはずなので、モーター部だけ発注し次回の観望会の前に交換してみます。

修理の途中でかんたろうさんが到着。私もちょうど終わるところだったので、後片付けだけして外に出ます。到着時より曇ってますが、下層の雲で流れも速いためまたすぐに晴れるでしょう。


機材セットアップ

この時点でまだ17時くらいなので、のんびり機材を出し始めます。最初に撮影用のSCA260とCGX-Lをセットし、ついでC8とCGEM IIもセット。その頃には北極星も見え始めていたので、そのまま両方ともSharpCapで極軸調整です。

星も見えてきたので、ここで星座ビノの比較テストをしました。先週の「星をもとめて」で手に入れたSuper  WideBino36がどれくらい見えるか知りたかったためです。豪華5機種での比較ですが、かなりハイレベルで、驚きの結果でした。詳細は別の記事で書きます。


やっとお客さんが

暗くなりかけてるのに、スタッフもお客さんも全然来なくて心配になりましたが、19時前くらいでしょうか、やっとスタッフのSDKさんとSTさんが到着。どうも高山方面が全面曇りでお客さんが来ないかもということでした。でもここ数河高原は晴れているので、SDKが何人かに電話してしばらくするとやっと何組かのお客さんが到着しました。

飛騨コスモス天文台では、来てくれた子供に天体写真を印刷したものを配っています。私の拙い写真なのですが、子供はとても喜んでくれます。20種類くらいある中から選んでもらうのですが、アンドロメダ銀河と土星が大人気のようです。ちょうどアンドロメダ銀河を選んでくれた子がいたので、その子の一家と星座ビノでアンドロメダ銀河探しです。

お父さんはすぐに見つけることができましたが、お母さんがかなり苦労をしていました。裸眼では見えるのに、星座ビノだと見えないというかなり特殊な例です。おそらく目がかなりいいのと、星座ビノのピントが合わせられないのが問題なのかと思いますが、その後もずっと星座ビノと格闘していました。

子供が7歳と5歳の男の子で、二人とも星座ビノが少し難しそうだったので、SCOPTECHでお父さんに木星を入れてもらうことにしました。私も少し手伝いましたが、無事に木星が導入され、子供たちも見ることができていたみたいです。お母さんはその時もずっと星座ビノと格闘中。「焦らずじっくり試してください」と声をかけておきました。星座ビノで星の数は増えているそうなので、ピントは合ったようです。

その後、SCOPTECHで土星も導入したり、C8でも木星や土星を導入したりして楽しんでもらいましたが、この頃になるとお母さんが「やっと見えたかもしれない」とボヤーっとしたアンドロメダ銀河をわかってもらえたようです。


前回のクイズの答え合わせ

この日はお客さんは4−5組だったでしょうか。その中に8月のペルセウス座流星群の観望会の時に「惑星はなぜ惑う(まどう)という漢字が当てられているのでしょうか?」というクイズを出し、宿題にするので考えてきてくださいと話した家族が、今かも再び参加してくれていました。

答えは恒星と違い、年周運動から差が出るからなのですが、家族みんなで調べてくれたようで、自分の言葉で子供もお父さんも説明してくれました。色々調べるためんみ星の本とかも増えたとのことで、とてもいい傾向です。このまま星の世界にどっぷりとハマってくれるとさらに嬉しいのですが(笑)。

せっかく惑星のことに興味を持ってくれたので「チ。」をオススメしておきました。少し前に完結したばかりで、全巻通して楽しむことができます。お父さんが「大人買いする」と言っていました。


今月のクイズ

他の家族にですが、今回もクイズを出しました。ちょうど「すばる」が東の地平線あたりのまだフェンスにかかるくらいのところに昇ってきたときです。

今回のクイズは「あのすばるは、1時間に何度動くでしょう?」です。みんななかなか答えは出てきません。最初のヒントです、「あのすばるが空の真上まで登るのに何時間かかるでしょう?」と聞くと、お父さんは少しピンときたようです。さらにヒント「あの東の地平線にあるスバルが、西の地平線に行くのに何時間かかるでしょうか?」これでお父さんからすぐに答えがでました。半日、すわなち12時間で180度回るので、180割る12で、1時間あたり15度ですね。2時間で30度もすぐに分かりますし、6時間経つと90度で天頂まで行くこともお母さんもすぐに理解してくれました。

では第2問です。「今月の観望会ですばるが地平線近くに見えました。来月の観望会で全く同じ時間にみたら、すばるはどこにあるでしょうか?」というものです。これも一年間で元の位置にもどることから、360度を12ヶ月で割ってひと月で30度進むことがすぐに理解してもらえました。

お母さんが「昔に習ったことだけと忘れていた」と言っていましたが、「覚えていなくても、考えればすぐに出てきます。地球が一日一周することは子供でも毎日実感していることですよね。」と言ったら妙に納得しているようでした。

さて今回のクイズのネタのすばるですが、星座ビノと、三脚に固定した双眼鏡でもみてもらいました。ついでに双眼鏡でアンドロメダ銀河も。手持ちで見てもらうと導入がかなり難しく、どうしても揺れてしまうのですが、固定していると誰でも見ることができます。すばるやアンドロメダ銀河は双眼鏡だとかなり迫力が出ますね。


電視観望

かんたろうさんが45cmドブソニアンでお客さんにいろいろ見せているので、私も電視観望で同じ天体を見てもらうことに。最初はM27亜鈴状星雲星雲です。

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すでに眼視で見ている方が多かったために、ものすごく反応がいいです。色がついて見えることにも驚いていました。さらにFMA135の小ささにもみなさん一様に驚いていました。カメラはUranus-Cで「高性能カメラのおかげでこんな小さな望遠鏡、と言ってももう望遠鏡と言っていいのかも分かりませんが、星雲や星団をここまで綺麗に見えることができます」と説明します。

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他にもM8干潟星雲とM20三裂星雲、網状星雲などを見ました。でもその後小雨がぱらついてきたので電視観望機材を中心に一部撤収となりました。


終盤

その後、星座ビノを片付け、C8に蓋をして、SCA-260を片付け、CGX-Lのウェイトまで下ろした時点で天気がある程度回復してきました。CGX-Lは極軸を取ってあるのでもう少しキープです。

ScopetechでスタッフのSTさんが惑星の導入を試みていたのですが、2つ穴での導入に手間取っていたので、光学ファインダーをセットし直して木星、土星を入れやすくしたり、C8で火星やアルビレオを火星、アルビレオを導入して見てもらったりしたのですが、もう22時過ぎです。ここら辺でほとんどのお客さんは帰っていきました。
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いつのまにか最近は毎回参加の富山の中1にMちゃん親子と、うちの奥さんの知り合いのU一家4人も来ていました。かんたろうさんは相変わらずいろいろお客さんにみせてくれているようで、私もいくつか見せてもらいました。


撮影はどうなったか?

この日は基本的に南と東がよく晴れていたのですが、23時半頃からでしょうか、やっと北の空が晴れてきてこの日の目的のアイリス星雲のあたりも星が見えてきました。再びSCA260を赤道儀に載せてセットアップです。極軸だけは残してあったので、セットアップはまだ楽でした。撮影を始めたのですが、B(ブルー)を5枚撮ったところでまた北側だけ雲が出てきました。この時点で撮影は諦め、撤収を始めます。


オリオン大星雲にも眼視で色がついた!

その途中でM42オリオン大星雲が登ってきて45cmドブで見せてもらいます。するとトラペジウムあたりに明らかに色がついて見えます! かんたろうさんは緑と言っていましたが、私には青みがかって見えます。その上の羽のところが色がついているかどうか、いまいち確証がありませんが、私にはオレンジっぽい色がついているような気がしましました。ちょっとハッブルパレットに似たような感じでた。

青っぽいのは少なくとも色がついていたのは確実でしょう。羽の部分はまだ確証がないです。でも少なくとも前回のM57に引き続いてM42にも色がつくことは納得しました。

色としてはM57の方がはっきりしていたと思います。M42の羽の部分のオレンジっぽいのより、M57の周りのオレンジの方が一瞬でしたがはっきりしていたと思います。


帰宅と次の日

午前1時半頃でしょうか、もう残っているのはかんたろうさんと私のみです。ここで前日の朝11時頃に朝昼ごはんを食べてから何も食べていないことを思い出し、ものすごくお腹が空いていることに気づきました。かんたろうさんも食事をはじめたので、私もコンビニで買っておいたサンドイッチとおにぎりとおやつを一気に食べました。その後、午前2時少し前に帰路につきました。3時頃に自宅に着き、そのまま何も片付けにベットに入りバタンキュー。

次の日曜日は朝9時半頃に起きて車の中の機材を片付け、休日の楽しみコメダ珈琲に行ってブログ書きです。
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実は朝郵便ポストを見たらかんたろうさんから封筒が。そういえば星もとで財布を車に置いてきたというので夕食代を立て替えておいたのでした。でもそんなことすっかり忘れていて、思い出したかんたろうさんが帰り道にポストに入れておいてくれたようです。この軍資金をもとに、少し贅沢して初めての「ミニ」でない方のシロノワールを注文しました。流石にフルムーンバーガーとシロノワールでもうお腹いっぱい。昨日の夕食がコンビニの簡易食だったので、まあよしとしましょう。

そういえば、観望会のお客さんの何人かにこの「ほしぞloveログ」のことを話しました。見つけてくれたでしょうか?右の「場所」の中から「数河高原」を選ぶと、過去の飛騨コスモスでの観望会の記事が出てきますので、よかったら読んでください。観望会の感想など、よろしければコメントもお待ちしています。

時間が少し前後してしまいますが、前回の記事の前日、8月12日(金)の話です。

8月12日は毎年恒例のペルセウス座流星群です。でも今年は満月と重なってしまい、淡い流星を見るのは難しいかもしれません。でも大きな流星も流れることもあるので、運がよければ見えるかもしれません。


飛騨コスモス天文台へ向けて出発

昨年はコロナでダメでしたが、ここ数年は飛騨コスモス天文台でペルセウス座流星群を見ることが多いです。


今年もその予定でしたが、天気予報がイマイチ。それでも一応行きますと連絡し、17時過ぎに出発。機材も気楽なもので、満月でさらに天気が悪そうなので撮影機材はあきらめ、一応電視観望と、子供用にいつものスコープテックの屈折を持っていくだけです。途中これもいつものすき家で牛丼特盛と豚汁を頼み、腹ごしらえして18時前くらいに店をでます。

途中青空も結構見えていたのですが、岐阜に入ることに徐々天気が悪くなり、雨も降ってきました。でも現地に到着する頃には、少し雲も少なくなってきて、一部青空も見えています。


ドーム操作の確認

19時15分頃に到着したでしょうか。現地にはすでにいつものスタッフも来ています。

到着してすぐに、スタッフのSDKさんと約束をしていた、ドームの赤道儀の操作方法を伝えます。SDKさんが以前試したのですが、マニュアル通りに進めても途中でうまくいかなかったとのこと。ステライメージでどのプロトコルで使えばいいか迷ったようです。実は以前、このドームを立ち上げた故Yさんがまだ元気だった時に同じことをたずねられて、一緒に試してミードのLX200モードであることを突き止めたことがあります。同様にしてみたらきちんと動かすことができました。SDKさんにも再び一から操作してもらい、今後もわからなくならないように、きちんとメモを残しておきました。


少ないお客さんとの盛り上がり

外に出ると、南の空と天頂が晴れています。ただしやはり天気は微妙なのでお客さんは少なく、関係者に近い方が二人、あとお客さんと呼べるのは3人の家族と、女性の方一人くらいでした。お客さんが来た頃には再び全面曇り。しばらくすると小雨も降り出してきました。せっかくなので、SDKさんがドームを案内して解説してくれます。

その間、私は雨よけがてらトイレのひさしがある所でスタッフのSKTさんと話し込んでいました。話題はドームの保険についていです。年額でそこそこの金額を払っていて、どうしたらいいかという相談でした。そもそも、何があった時に何に対してどれくらい支払われるかとかわからなかったので、それを確認するのがいいのではという話になりました。ここは特に手作りに近いドームです。保険といってもなかなか直してくれる業者も見つからないかもしれません。製作者に連絡を取るのが一番なのですが、遠方ということもあり頻繁にというわけにはいきません。こういった、今後の管理、保持についても考えていかなければいけません。

ドームからお客さんが出てきましたが、まだ全面曇っています。雨はかなりマシになって、ほとんど降ってませんでした。家族で来ていた方はその時点で帰ろうとしていましたが、少し雲の薄いところが見え、雲の向こうが明るくなってきてたので「もう少し待ってたら、何か見えるかもしれませんよ」とひきとめました。しばらく待つ間、いろいろ話してみました。高山から来ていてお子さんは小学5年生。その子がどうしても参加したいと言うので、親が連れてきたということのようです。流れ星は見たことがあるらしいですが、天の川はあまりはっきり見たことはないようです。

そうこう話しているうちに、月が雲越しに少し見えそうだったので、いつものスコープテックの5cmの屈折を出しました。雲がキワキワで、月よりもすぐ上の土星が見えそうだったので、まずは時間勝負で私が導入してすぐ未見てもらいます。土星を見たのは家族3人ともはじめてで、大喜びでした。特にお父さんが「ウホッ」とか言いながら興奮状態でした。男の子も最初雲越しでくらかったので「細長く見える」とだけ言っていたのですが、そのうち雲も晴れてきて、輪っかがきちんと見えると大興奮。お母さんにも、もう一人来ていた方にも見てもらいました。

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男の子とお父さんには望遠鏡の操作方法と、導入方法を伝えました。男の子はちょっと挑戦してあきらめてしまって、次にお父さんがチャレンジ。お父さんはすぐにコツを掴んで、その後その男の子もすぐに導入までできるようになりました。3年生くらいでもできる子がいるので、5年生だと大抵できるはずです。

次第に雲が晴れる時間も出てきて、月を導入してもらってみてもらったり、そのうち低空に木星が出てくるとそちらも導入してもらい、衛星までばっちり見えて大喜びでした。20mmのアイピースでたかだか40倍でしたが、木星の縞は赤いのが見えました。最初は男の子の方が見え、お父さんはどうしても見えなくてくやしがっていたのですが、さいごにはお父さんも、お母さんも縞まで見えて喜んでいました。今度は自分の望遠鏡を持ってくるそうです。

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あ、恒例のクイズも出しました。いつものとおりで、太陽や月がどちらから昇ってどちらに沈むかから始まり、やはりお父さんもお母さんも含めて月が答えられず。さらに星の動きについても聞きました。その流れで、動かない星のことを聞きました。すぐに男の子が「北極星」と答えてくれたのですが、じゃあなぜ北極星が動かないかという質問には相当頭を使っていたようです。親は流石にすぐに分かったようですが、その子は頭を北極星の方に向けて自分が回転してやっと納得したようです。

8月27日の観望会も来ると言うので、一つ宿題を出しました。惑星の「惑」は「まどう」とよ向けれども、なぜ惑うのかというものです。調べたら色々わかると思います。「チ。」とか読んでもいいですね。月末の観望会で答えを聞くのが楽しみです。

さてさて、今日のメインの流星群でしたが、きていた人の中で一人だけ一つ見えたと言っていて、他の方は全滅でした。晴れている部分が少なかったのと、月も明るかったので仕方なかったかもしれません。


次回は8月末

22時半過ぎになると徐々に曇ってきて、23時前にはすっかり曇って今日はここまでかなと言うことで解散しました。

23時ちょうどくらいには現地を出発し、0時位に自宅に到着。3時頃まで起きていたら、次の日寝坊してしまい、コメダ珈琲に行くことができませんでした。

時系列的には、この後に前回の記事の密会に続きます。 

 

次回の飛騨コスモス天文台の月例観望会は、8月27日です。

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニにより、ここ2ヶ月近く評価していたSV405CCをあぷらなーとさんに送付しました。 ついでに夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

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到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

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観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

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まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

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1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

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同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

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この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

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あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
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45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

M27

たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

前回のSV405CCもそうでしたが、2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

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