ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:場所 > 自宅

プロローグ

前の日の土曜日、富山市科学博物館で8ヶ月ぶりに再会した小学5年生の女の子。ものすごく熱心な子で、その日は雲が多くて目的のアンドロメダ銀河もなかなか見えなかったので、よかったらうちで見ますかと親子でお誘いしたら、早速次の日、日曜日の夜に来てくれることに。




準備を張り切りすぎて

到着は19時頃になるとのこと。なので夕方17時くらいからゆっくり準備を始めます。でもちょっと張り切りすぎて、惑星用にMEADE25cm、広角電視観望で50mmレンズ、FS-60CBでもう1組電視観望。あと、すばる用に双眼鏡を2つ、星座ビノを5個くらいと、なんかフルコースになってしまいました

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19時過ぎに電話が。しかも、お互いに知り合いのU一家も一緒に誘ってきてくれました。なのでIさん一家がMちゃん(今日ようやく名前を聞きました)とお母さん、あとUさん一家が小4女の子、中1男の子と両親の、2家族。計6人のお客さんでした。


皆さん自宅に到着

ちょうど木星を導入しているときに到着。早速見てもらいましたが、やはり温度順応がまだまだでいまいちシャープさに欠けます。実は夜中に火星を撮影しようと思っていたのでMEADEにしたのですが、観望会のことだけを考えてC8のほうが良かったかもしれません。

Uさんのところはお父さんが天文好きで、この日もBORGの70mmくらいのを持ってきてました。Uさんのところの子供二人も多分星は好きなのでしょう。でも今回はMちゃんに圧倒されてしまいます。


もう興味津々

まず一番最初から、Mちゃんだけは赤道儀のCGEM IIに興味津々。「自分で導入してみる?」と言って、コントローラーを渡したら「わーっ!いいんですか?」とすごく嬉しそう。土星の導入をしてもらったのですが、やり方は一度言うだけで完璧に覚えてしまいます。「じゃあ次は火星導入してみたら」とかいうと、もう勝手にどんどん進めていきます。

すごいのは、火星の自動導入時は鏡筒が大きく動くのですが、きちんとケーブルが噛まないかとかさりげなく気を使ってることです。もちろん私は何も言ってませんよ。こんな子なら安心して機材も触ってもらえます。

でも初期アラインメントを木星一つしか合わせてないため、離れているる火星の導入はずれてしまいました。そうしたら「これファインダーってどこにあるんですか?」と聞いてきます。普段私はあまりファインダーを使っていないことを反省して、急遽ファインダーを付けます。もう一度木星に入れてもらって(もう完全にMちゃんに任せてます)、ファインダーの調整もMちゃんにやってもらいます。ファインダーも最初Vixenのものと違うので少し戸惑ってましたが、すぐに慣れて自分できちんと合わせてました。その後、火星も勝手に導入してしばらくすると「入った」と。そのときに基準星の置き換え方法を教えたら、これも次のベガとかで自分で置き換えもやろうとしてました。



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MEADEはミラーシフトが大きいので、KASAIのフォーカサーでピントを合わせてもらいましたが、これも戸惑っていたのは最初だけ。子午線越えの場合アイピースの上下が逆になったりしてしまいますが、アイピースを上に向けるためにフォーカサーを回転するときに必ず落とさないように手を添えるとか、基本がきちんとできています。おそらく自分で経験してどこが大事か知っているためか、ホントにほんの一言言うだけで、あとは物凄く丁寧に気をつけて、考えながら操作してます。多分かなり自分で星を見てポルタを使い込んでいるからだと思いますが、危ない操作を避けることも、自分で何度か機材を落として学んだのではないかと思います。なんかもう、お手本のような子です。

MEADEでM57を導入しようとしていたので「まずベガで基準星を置き換えるといいよ」と言うと、もう手慣れたものできちんとやっていました。面白いのは、ハンドコントローラーのボタンの英語が読めないのです。ここら辺はさすがに小学生で、なんか可愛かったです(笑)。結局、どのボタンがどの機能か覚えてしまったみたいで、今度は「DEEP SKY」ボタンを使ってM57も導入してました。見えた時の喜び具合もすごい反応で、他の子や大人の星雲を見たときの反応は結構一般の人に近い「ふーん」というのに対し、もう大興奮で一人キャーキャー叫んでました。


Mちゃんのポルタ

さて、だんだん木星と土星が低くなってきたので、MちゃんのポルタIIを出してもらって、自分の望遠鏡でも見てもらいました。聞いてみると、持っているアイピースは6.3mmと20mm。もう手慣れたもので、惑星の導入は一瞬。しかも最初っから6.3mmで導入までしてしまうみたいです。せっかくなので、私の部屋で少し機材を見てもらい、ついでにポルタに付いてこない10mmと40mmのアイピースをあげることに。昔星まつりで安く買ったものですが、私が使うよりMちゃんに使ってもらった方が遥かに役に立ちそうです。

外に戻ると早速40mmのアイピースを使って、M31を導入しはじめてました。実は、昨日科学館の観望会で一緒だった県天のメンバーのKさんが自宅のすぐ前に住んでいて、今日のことも聞いていたので顔を出してくれて、いろいろMちゃんに教えてくれていたようです。M31は恒星とか惑星は違って、導入するのはなかなか大変です。Mちゃんも最初相当苦労してましたが、Kさんの教え方がうまいのか、じきに自分で導入できるようになり、あっという間に慣れてしまったようです。初めてM31が導入できた時の喜びようはもうすごくて、こんなに喜んでくれるならアイピースの何本でも惜しくないと本気で思いました。


電視観望と眼視での比較

眼視もある程度見たので、次は電視観望です。最初広角電視観望から始め、北アメリカ星雲とかサドル付近を見てもらいました。

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ついでにM31を50mmの広角電視観望で見てもらいました。前日の科学館で雲であまり見えなかったので、少なくとも晴れていて光害も少ない場所でのM31は形もわかって好評でした。

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そんなこんなで、あっという間にUさん一家が帰宅する時間になりました。せっかくなので、M57だけでも見てもらおうと、FS-60CBでの電視観望にASI294MCを付け替え、画面に映し出します。先ほどのMEADEでの眼視と比べて明らかにカラフルなので、今度は皆さん「きれーい!」。

再びMEADEでも導入し直し、改めてみんなで眼視で比べて見てみます。見比べはやはり面白くて、特に眼視のモノクロと比べると電視観望での色が映えます。でも「眼視のいいところもあるんです」とキチンと両方のいいところを説明しました。

さらに帰ろうとしているUさん一家を引き留め、M27亜鈴状星雲を電視観望でもMEADEでも導入し、再び比較。眼視の方はM57よりさらに淡くなるので、見るのが難しい人もいたみたいです。

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ちょうど21時頃でしょうか、ここで明日の月曜に学校があるUさん一家が帰宅。Mちゃんの勢いがすごすぎて、Uさんのところの子供2人が乗り切れてなかった気がしたので、少し心配でしたが、家族みんなでお礼を言ってくれました。

あ、そうそう、うちの妻を含めてお母さん同士は3人でずーっと何か話してました。あとで妻から聞いたら、最近Uさんのところの上の子も中1でなかなか家族のお出かけに着いて来なくなったとのこと。そういえば確かに、しきりに上の子の方が「もう帰ろう」と言っていました。うちの子もそうですが、だんだんと自分の世界を作っていくので、しかたないのかなあと思います。


Mちゃん格言

その後もMちゃん、独走体制で一人でハンドコントローラーに入っている天体を片っ端から導入していきます。私とKさんは横で微笑ましく見ていました。詳しい人はもうわかると思いますが、ハンドコントローラーに登録されているほとんどの天体、特にDSOはこんな街中では見えません。途中でMちゃんもそのことに気づいたみたいで、少し話しているとしみじみとした口調で「最近、自分の望遠鏡だと見えないものが多いことがわかった」とのこと。もうポルタと経緯台だと限界なのかもしれません。

あと、本も紹介しました。聞いてみると持っているのは星の図鑑くらいだそうです。興味を持ち始めたのがわずか1年前、仕方ありません。それでこの進化はすごいです。でも私も逆に、小学生で読めそうなものがなかなかありません。とりあえず誠文堂新光社の「メシエ天体&NGC天体ビジュアルガイド」を見せると爛々と目を輝かせています。「貸してあげるからいつか返してくれればいいよ」というと、「お母さんにスマホで表紙の写真撮っておいてもらう。自分で買う。」とのこと。その時ボソッとつぶやいたのが「メシエ全部覚えられそう...」。うーん、楽しみな子です。

最後にFS-60CBの電視観望でM31を見てみました。すでに少し薄雲がかかってきていましたが、それでも構造まで見えるM31に親子共々びっくりしてたようで「図鑑と一緒だ」と叫んで、スマホで画面を映して待ち受け画面にしていました。ここら辺は普通の子供っぽくてかわいいものです。

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21時過ぎくらいでしょうか、一瞬で空が曇ってきて、電視観望もM31ももう中心だけがボヤーっと見えているだけ。「これがさっきのアンドロメダ銀河...?」となんだかガッカリして寂しそうでした。

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なんでもこの日の午前が授業参観か何かで、明日は月曜でも学校はお休み。このまま晴れていたらオリオン座が上がってくる0時頃まで居座ってそうでした。うちは全然いいのですが、流石に天気はどうしようもなくここで解散。この時でしょうか、「オリオン大星雲は緑に見えるくらい」とさりげなく言うのですが、私はいまだにM42に色がついて見えたことがありません。「赤とかピンクとかは?」と聞くと「それは見えたことがない」とのこと。一緒に見てたお母さんも色はついて見えないと言っています。子供の方がやはり目の感度がいいのでしょうか?なんともうらやましいです。

後片付けをしながら「キャップがなくなったー」とか騒いでずっと探していました。結局見つからなかったのですが、多分ポケットの何処かから出てくる気がします。道具を大切にするのはとてもいいことだと思います。とにかく、とても楽しかったらしく、「科学館より凄かった」とのこと。科学館の方には少し申し訳ないですが、それよりも私の方が楽しませてもらった気がします。Mちゃんの反応や星に対する純粋さを見ていると、ほんとに嬉しくなってきます。「またいつでも来ていいからね」と言って見送りましたが、ほんとにいつ来てもらってもいいくらいです。これからどんどん成長していくのか、そのうち飽きてしまうのか、もちろん本人次第ですが、やる気がある限り応援してあげたいと思います。


お菓子美味しかったです

あ、そういえばIさんのところからも、Uさんのところからもお土産いただきました。でも私の家族、気を使ってもらうのが苦手で、実は手土産とか無しの方がいいんです。なので「今度からは手ぶらで気楽に来てください」と伝えました。でも困ったことに、富山の「手ぶらで来てください」は「何か持ってきてね」と同義らしいのです。うちはアメリカ暮らしが長かったので、手土産を持っていく文化に慣れてないので、もしうちに来ることがある場合は、本当に手ぶらで来てください。星仲間として来て欲しくて招待してるので、気兼ねすることなく何度も来て欲しいのです。

でもなんでこんな話を珍しく書いたかというと、Iさんのところが実はケーキ屋さんらしいのです。最初「自前のお菓子を持ってきた」と言うので、見てみたら絶対どこかで買ってきたもの。それでよくよく聞いてみるとケーキ屋で「あ、確かに自前だ」というオチだったのです。うちからも近いので、今度お店の方にも行ってみようと思います。こうやって関係ができていくのは、逆に狭い富山のいいところですかね。

どれも美味しかったです。でもUさんの持ってきてくれた「カイコのふん入りコーヒー」、インパクト強すぎて、まだ誰も飲んでいません。私もちょっと様子見です。いや、もちろん美味しいとは思いますが...。


なんか他のことばっかりやっていて、相変わらず惑星はのんびりです。この日は満月でしたが、火星の最接近も間も無くで、月の横にあっても赤々と輝いています。10月6日が一番近く明るくなり、-2.6等級までいくとの事なので、4日前のこの日はもうー2等級より明るくで見えているはずです。


一ヶ月ぶりの惑星撮影

週末の金曜日、久しぶりにかなり晴れていたので、帰宅後食事もそこそこにC8を出して今季二度目の惑星撮影です。前回は9月の頭だったので、ほぼ一ヶ月ぶりでしょうか。9月はそれくらい天気がずっと悪かったです。

機材はいつものC8にASI224MC、Celestronの3倍バローです。赤道儀はCGEM II。あ、そういえば後から気づいたのですが、UV/IRカットフィルターを入れ忘れてました。でも結果を見るとそこまで問題ではなかったようです。まだ惑星でどんなフィルターがどう影響するとか、ほとんど検証したことがないので、ここら辺はまた今後の課題かと思います。

最初、木星を拡大率が低い状態で見たらそこそこいいかなと思ったのですが、実際バローまでたどりついて見てみたらゆらゆら。本当は、シンチレーションがよければC8とMEADEとVISACでどう違いが出るかをやりたかったのですが、それ以前の問題なので諦めました。


木星、土星はいまいち

一応 木星も土星も何ショットか撮ったので、スタックして見てみましたがやはり惨敗です。一応載せておきますが、画像処理で相当ごまかしています。

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Sat_204251_lapl5_ap107_RS_cut


火星は思ったより出た!

0時近くなって、火星が天頂近くまで登った頃を見計らって5000枚を5ショット撮影しました。5ショットの撮影条件はほぼ同じで、何度かピントを変えただでけです。一つ違うのが、風が結構強くなってきてたので、途中からC8用のフードをあえて外し、できるだけ揺れないようにしました。スタックしてみると、やはりフードを外してからの方が結果がよかったです。風はありましたが、シンチレーションは木星、土星を撮った時よりだいぶんマシみたいです。

その中の一番まともだったものです。動画では結構揺れてるのでどうかと思いましたが、思ったよりきれいに出てくれました。

2020-10-02-1454_2-U-RGB-Mars_cut_L
  • 撮影日: 2020年10月2日23時54分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Celestron C8
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • バローレンズ: X-Cel LX 3x Barlow
  • カメラ:  ZWO ASI224MC
  • 撮影: FireCapture、5ms, 80fps, gain300, 2000/5000 frames  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、Registax6、Photoshop CC
ちなみに、今回露出5msで80fpsくらいです。以前は120fpsくらい出てたはずなので、ちょっと遅いです。1024x768ピクセルで撮ったのでちょっとサイズが大きかったかもしれません。

本当はこの時点でMEADEとVISACを出したかったのですが、風が強くなってきたのと、どうも薄雲がかかり出したようなので、撤収としました。それと、なんか疲れてて、眠くて眠くて...。



久しぶりに目立つ太陽黒点が出ているとのことで、早速撮影してみました。前回の黒点の撮影は2019年の4月なので、なんと一年以上ぶりの黒点撮影になります。

午前中の用事を済ませた頃、仲のいいかんたろうさんから電話がかかってきました。午前中に反射板でさっそく黒点を見たとのこと。「これから撮影しますよ」というと、自宅まで来てくれるとのことです。撮影準備をして雲が晴れるのを待っている頃、かんたろうさんが到着しました。星仲間と実際に会うのは何ヶ月ぶりでしょうか。県内ならやっとこんな交流もできるようになってきました。

雲がたまに晴れますが、いずれも短時間。その間にピントを調整したり、エタロンの角度を合わせたりで、撮影できるチャンスを待ちます。その間、最近手に入れた機材や、撮影した写真とか見せ合います。やっぱり星仲間との会話はいいですね。 

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太陽撮影風景。写っているのはかんたろうさんの手です。

そのうち、何度か晴れ間があり、黒点を含めて何ショットか撮影しました。 その中のワンショットを処理したものです。

15_05_53_lapl4_ap403_IP_cut
  • 鏡筒: 国際光器マゼラン102M、口径102mm、焦点距離1000mm、F10 アクロマート
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.2 (64bit)
  • 撮影時間: 2020/6/7 14:51 ser形式でgain 320, 12.5ms x 5000フレーム中上位30%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

 撮影後、自宅の部屋で撮影した画像を見たりして話は全然つきません。そうそう、最近かんたろうさんも私もZEROを手に入れたのですが、この話はまたいずれ。

久しぶりの黒点、結構満足でした。これから太陽活動も活発になっていくのでしょうか。楽しみです。


実は魔女の横顔が西の木の枝に隠れてしまった後、薄明まで少し時間があったので春の銀河を短時間ですが撮影しました。時間がそれほどあったわけでもないので、設定は全てそのまま。画角もできるだけたくさんの銀河が入るというだけの超適当です。フラットもダークも魔女さんの時と同じものが使えるので、処理は楽です。

機材、条件など

魔女の時の繰り返しになりそうですが、一応機材関連もフルで情報書いておきます。
  • 富山県富山市自宅, 2019年12月1日4時33分-5時35分
  • FS-60CB + FC/FSマルチフラットナー (口径6cm、合成焦点距離370mm)+ CGEM II赤道儀
  • EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出90秒x36枚 総露出54分
  • f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理

画像処理と撮影結果

画像処理も魔女さんの時とほぼ同じです。同じ様に縦縞が見えるのも変わりません。StarNet++で恒星を除去して強調した画像です。

integration_DBE_AS_SNP


フラット補正が周辺で合っていないとか、ゴミの黒いのがたくさんありすぎるとは愛嬌として、縦縞がやはり確認できます。真ん中右がマルカリアンの鎖ですが、一つ一つの銀河の情報が結構範囲にわたって広がっているのもわかります。ノイズを目立たせずに、いかにこの銀河の情報を引き出すかが画像処理の腕の見せ所というわけです。

今回もこの画像からマスク画像を生成しました。これを使うと強調すべきところと目立たせないところの差がはっきりと区別できるので、なかなかいいやり方なのかと思っています。

さて、結果です。

masterLight_integration_DBE_AS_all2

背景がやはり少し暗いと思いますが、これ以上明るくするとノイズが目立ってしまうので押さえています。上の強調したのに比べると、まだまだ情報を引き出せたとは言い難いですが、1時間を切る露光時間なのでまあこれくらいでしょうか。


ここに文章を入力

はあ、やっと1ヶ月前の画像処理が全て終わりました。なかなか進まなかったこともあり、ブログも書けなくてストレスがたまる一方でした。その間あまり晴れなかったので、大したことはしなかったのですが、実は一昨日久しぶりに晴れてQBPをつかってバラ星雲を撮影しました。明るいQBPとか使える天体はいいですね。撮って出しでも十分見えるので、画像処理も楽そうです。


 

最近仕事の方が忙しく、全然時間が取れなくてブログ更新がかなり停滞してしまっています。年末になってやっと少し時間が取れたので、溜まっていた画像処理を進めます。

今回の記事はもう記憶の彼方で、一ヶ月前のことです。珍しく晴れていたこの週は機材調整とかいろいろやっていたのですが、撮影もしていました。でも画像処理が途中で壁にあたってから全く進まなくなり、今に至ります。撮影条件も既に忘れかけています。やっぱりすぐに書いておかないとダメですね。

この時の撮影の目的はちょっと前の自宅でのバーナードループ撮影で、思ったより魔女の横顔も出ていたので、単体で写したくなったからです。さて、どこまで出てくることやら。


機材

撮影条件はこんなところでした。
  • 富山県富山市自宅, 2019年12月1日0時27分-4時13分
  • FS-60CB + FC/FSマルチフラットナー (口径6cm、合成焦点距離370mm)+ CGEM II赤道儀
  • EOS 6D(HKIR改造, ISO3200, RAW), 露出90秒x58枚 総露出1時間27分
  • f50mm+ASI178MC +PHD2による自動ガイド
  • PixInsight、StarNet++、Photoshop CC + Nik collectionで画像処理

一応ガイドもしましたが、赤道儀がCGEM IIと大きめなのと、FS-60CBで350mmかつ90秒と短い焦点距離と短い露光時間だったので、もしかしたらガイドは必要なかったかもしれません。途中、南天を超えてしまい、反転するのに手間取って1時40分くらいから2時半くらいまで撮影できませんでした。


淡い、かなり淡い

とりあえずJPG撮って出しの一枚画像です。
LIGHT_6D_90s_3200_+7cc_20191201-00h55m27s497ms

はい、魔女さん全く出ていません。いくら自宅撮影といえ、こんなんでうまく出るのでしょうか?

あと、左にたくさん線が見えていますが、多分これSpaceX社のStarlinkです。他の画像も見てみると次々来ています。


画像処理開始

画像処理の時間があまり取れなさそうなのと、一枚画像からあまり見込みがないと思って、最初はバイアスだけ以前撮ったまともなやつで、ダークフファイルは温度も露光時間も違うものを使い回し、フラット補正は無しで処理しました。でも処理してみたら意外に魔女さん出てくるので、もう少しまともに処理してみようと思い、ダークを取り直し、フラットもその時の状況を再現し(回転装置を回していなかったのでなんとかなりました)新たに撮影してきちんと補正することにしました。

画像処理はいつも通りPixInsightです。フラット補正でも処理しきれないところもあったので今回もDBEに頼ります。

今回、少しだけいつもと違う処理を試してみました。nabeさんのブログで紹介されていたように、ArcsinhStretchを再び使ってみることにしました。以前は赤ハロがどうしても出てしまって使うのを諦めたのですが、nabeさんによるとサチっている恒星でハロが出るのは仕様らしいので、今回はサチっていないことを期待してやってみたら、ここは大きな違いが出ました。下はストレッチまでした段階での比較です。ArcsinhStretchを使っていない場合(上)とArcsinhStretchを使った場合(下)になります。

light_BINNING_1_integration_DBE3_cc
ArcsinhStretchを使わず、ScreenTransferFunctionと
HistogramTransformation だけで仕上げた場合。 

integration_DBE_DBE1_PCC_AS
ArcsinhStretchでストレッチした場合。

出だしの彩度に雲泥の差があります。当然下のほうがその後の処理もはるかに楽になります。このことは下にもある、StarNet++を使った時の恒星の不自然な繋ぎの解決にもつながりました。


壁にぶち当たる

その後は、最近味をしめてしまったStarNet++で背景と恒星を分離し、最後はPhotoshop CCで仕上げています。ここで2つの壁に当たりました。一つは斜めに走る縞ノイズです。撮影した画像を連続で見てみると、これはすぐに原因がわかりました。SpaceX社のStarlinkです。処理の時に弾いた画像を見せます。

light-BINNING_1_rejected

すごい人口衛星の数です。オリオン座付近なので人工衛星が入るのは仕方ないのですが、この数は流石に閉口してしまいます。今回撮影した全ての枚数に衛星の軌跡が入っていました。一本、二本ならいいのですが、3ー4本同時に固まって次々とくると流石に辛いものがあり、処理でもどうこうなるレベルを超えてきます。

もう一つは、画像全面を覆う縦に走る縞ノイズです。これは最初どこで入ったかわからなかったのですが、いろいろ見ていくとバイアスフレームに全く同じような模様が入っていました。もちろんバイアス補正はしていますし、そもそもバイアスに入っていると言っても、加算したマスターバイアスをものすごく炙り出した状態でやっと見えてくるようなノイズです。うまく補正されていないのかと思い、バイアス補正をなくして処理してみましたがかえって悪化するので、なんらかの補正処理はとりあえずされているようです。ということは、補正した後にも残ってしまった縞があぶり出しの過程で出てきてしまったのかと思われます。あ、もちろん、バイアス補正がダークフレームやフラットフレームも含めてまだうまくできていない可能性も捨て切れません。ここらへんはもう少し検証の余地がありそうです。

この縞ノイズ、これまでほとんど気にしたことがなかったのですが、そもそもなんでこんなことになったかというと、一つの原因がStarNet++で恒星と、その他星雲などをうまく切り分けられて、相当強引な炙り出しが可能になったからです。恒星以外の画像がこちらです。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_org

その他の部分には系外銀河がチラッと写っているのさえもうまくとりだしていることがわかります。これをわかりやすいようにあえて無理やり限界近くまで炙り出してみます。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_shima

この画像を見ていると、全体に縦の線がかなり気になります。ゴミ起因の黒丸は無視してください。撮影中ゴミが移動していたみたいで、全然補正し切れていません。左の方の太い少し斜めに走る線がStarLinkの影響です。全体に覆う縦線が、バイアスにも入っているノイズです。バイアスをあえて強調してみましょう。

20190316_bias_6D_ISO3200_s4000x100

Lightフレームにも同様の縦縞が入ってしまっているがわかると思います。これらの縞ノイズが、画像処理の過程で星雲とか背景の淡い部分を炙り出していくと目立ってきてしまいます。

この縞ノイズは結局センサー自身が持っているもので、昔のデジカメではこれが相当大きかったそうです。今使っているEOS 6Dなどの天体撮影に適したカメラではかなり目立たなくなったとのことなので、普通にあぶり出すレベルでは、あまり問題にならないのでしょう。私もこれまでほとんど気にしたことはありませんでした。

今回は自宅での庭撮りで、フィルターも何も無しのわずか90秒露光というかなり厳しい条件なので、最初の撮って出し画像でも分かる通りものすごく淡い像しか写っていません。StarNet++を使って強度の炙り出しをする様になると、結構この縞ノイズが気になるようになってきました。

何か解決策はないかと思っていたら、PixInsightからのメールでちょうど似た様なテーマを扱っていました。今回はこの手法は用いていませんが、結構大変そうなので余裕のあるときにきちんと検証してみたいと思います。

あと最近ずっと不満だったのが、StarNet++の弊害なのでしょうが、とにかく明るい恒星がうまく背景とつながらなかったことです。どうしても恒星がサチってしまうか、不自然につながってしまいます。でも今回怪我の功名でしょうか、StarNet++が出した恒星以外をもとに、さらにそこからマスク画像を作り、恒星の周りの光芒を強調しすぎないように、マスクを何段階かに分けて処理する手段をある程度確立することができました。

同時に、これまであまり理解できていなかったPhoshopのアルファチャンネルを利用して、複数のマスクを入れ替えながら処理する方法もやっとわかりました。

マスク処理に関してはまだ未熟な点はありますが、以前よりはだいぶんマシになったかと思います。


処理結果、ここまで長かった

さて、そんなこんなで紆余曲折して長い時間かかってしまった結果ですが、以下のようになりました。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_mask_all2a_cut


センサー面のゴミが目立っていたのは手で補正しています。また縦縞ノイズを目立たせない様に、背景を少し暗くしてあります。恒星の一部中心はまだ飛んでいますが、一番懸案だった繋ぎの部分はあまりに不自然なことはなくなりました。


今回のまとめ

いろいろ問題があってえらい時間がかかってしまいましたが、自宅での撮影で1時間半露光でこれだけ魔女さんがでるのなら、まあ満足といっていいかと思います。

実は合計5回画像処理をフルでやって、やっとここまでたどり着きました。結果は画像処理にものすごく依存することがわかりました。最初のなんて今見るとノイジーで、階調不足で、かつ光芒部分が全部サチっていてひどいもんです。

その過程で
  • ArcsinhStretchが改めて有用であることがわかった。
  • StarNet++での恒星の自然なつなぎ方の手法が確立できた。
  • Photoshopのマスクの使い方に慣れた。
  • バイアスノイズが縞ノイズとして入る可能性がある。
など、いくつかのことを学ぶことができました。少し画像処理の上達を実感することができた1ヶ月でした。

あとまだ一つこの日に撮った画像が残っています。でもすでに記事が長くなりすぎたので、次の記事で今度はあっさりと書こうと思います。

 

なんか先週と同じようなタイトルですが、今週は自宅での撮影です。天気も良く今週も遠征かとも思ったのですが、車のタイヤをスタッドレスに変えることができなかったので、夜中に走らなければならないことも考えて山の方へ行くのは諦めました。

今週は
  1. 地球照
  2. VISACの調整とトラペジウムの分離度
  3. 魔女の横顔
  4. 春の銀河先取り
と4つがトピックになります。


地球照撮影

まずは一つ目の地球照です。11月30日の土曜日で月齢は3.7日。三日月より少しだけ太いくらいです。撮影自身はどうってことはないです。これまでどおりCMOSカメラで動画撮影します。
  • 鏡筒: FS-60CB+旧型フラットナーで焦点距離374mm
  • カメラ: ASI178MC
  • 架台: AZ-GTi
とお気軽撮影になります。

今回、HDR撮影に挑戦しようと思い、露光時間とゲインを変えて撮りました。三日月の模様と地球照の模様が同時見えたらいいかなと単純に思っただけです。撮影した設定は
  1. 露光時間:0.01sec、gain:410
  2. 露光時間:0.025sec、gain:160
  3. 露光時間:0.2sec、gain:310
  4. 露光時間:0.2sec、gain:410
  5. 露光時間:0.4sec、gain:410 
  6. 露光時間:0.8sec、gain:410
の計6ショットになります。上から2つが三日月部分を差散らないように撮影したもの、下4つが地球照をメインに撮ったものになります。それぞれAutoStakkert!3でスタックして、Registax6で細かいところを出します。

all


HDR処理

と、ここまでは全然問題なかったのですが、その後のHDR処理で路頭に迷い今に至っています。

まず、PhotoshopやPixInsightでのHDR自動処理を試したのですが、全くうまくいきませんでした。そのため、まずはダイナミックレンジ処理を理解をするためにも手作業でやってみることにしました。難しいところは地球照が綺麗に出ている時の三日月部分が全部ホワイトに飛んでしまっている部分で、ここをどうやってごまかすかです。方針は2通りありそうです。
  1. ホワイト部分を暗くして、そこに三日月を埋め込む。
  2. ホワイトを明るく残したまま三日月を飛ばし気味で埋め込む。
共に、ホワイト部分の面積のほうが三日月部分の面積より大きくなってしまっているので、その空いてしまった隙間をどう補完するかという問題があります。前者はその隙間が黒に近くなり、後者はその隙間が白に近くなります。

前者はうまくいくと綺麗かと思っていたのですが、やってみると中途半端に飛びそうになっているところがイマイチどの色にすればいいか決まらず。さらに隙間の黒い部分と他の明るい部分に差がありすぎてあまりに不自然です。とりあえずこの方向はすぐに諦めました。

後者は明るい中に三日月を入れるので、三日月部分のディテールが潰れてしまいます。その一方隙間と他の明るい部分の差が少ないので、不自然さは減ります。6枚撮ったのですが、結局使ったのはそのうち2枚だけ。枚数が増えると継ぎ目の処理が大変になるので、枚数を減らしました。でも結局のところ三日月部分を埋め込んでみるとどうやっても合成っぽいのしかできません。あまり気は進まないのですが、載せるだけ載せておきます。

2019-11-30-0920_2-all_RS

やはり不自然ですよね。もう一つ載せておきます。

2019-11-30-0920_2-all_RS2

少し三日月部分の重ね方を見直して、見た目の印象に近いように地球署の部分を暗くして、全体に赤に少し寄せています。

いずれにせよイマイチです。HDRまだ慣れていないのでこれくらいが今の限界です。


普通の地球照

HDR処理など何もしていない、撮って出しに近いものにいろんな意味で勝つことができません。下はRegistaxで仕上げた後何もしていないのですが、こちらの方がはるかに自然に見えて好きです。

2019-11-30-0916_0-Capture_lapl5_ap2700_RS


まとめ

地球照のHDR合成は思ったより難しいです。輝度差がありすぎて、どうやっても不自然さが出てしまいます。よほどうまく処理するといいのかもしれませんが、私にはまだそこまでのテクニックはないです。

いつかまたリベンジしたいですが、今回のでノックアウトされたのでいつのことになるやら。


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