ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:イベント > 観望会

先月8月の定例観望会は雨で中止となってしまったため、7月の観望会以来2ヶ月ぶりの定例観望会になります。ただし、8月はペルセウス流星群の観望会が飛騨コスモスであったので、毎月行っていることにはなります。


機材準備と車への詰め込み

2022年9月24日(土)は3連休の中日で台風が来る予想でしたが、途中から予報が変わり午後から晴れるとのことです。しかも次の日曜も晴れということなので、新月期なこともあり撮影の準備もすることに。

朝から撮影対象を考えていました。暗い北の空を利用することと、観望会後なので最長でも6時間くらいで、そこまで長時間では撮れないこと。ナローバンドは自宅でもできるので、できればRGBで撮影できることなど、いろいろ考えてアイリス星雲のリベンジにしました。SCA260で撮影をしようと、CGX-Lも載せたのでもう車の中はこれでもかというくらい荷物で一杯です。他に持って行ったのは来てくれたお客さんが自分で触れるようにSCOPTECHの屈折、惑星用にC8とCGEM II、電視観望用にFMA135+Uranus-Cと50mmと35mmにASI294MC、予備でFS60CB、あとは星景用に18mmレンズと6Dです。

79A7E77F-7F10-4195-A220-668E178E900C

座席も運転席以外は全て埋まってしまい、もう一箱も荷物を詰め込めません。本当はさらにTSA120を持っていきたかったのですが、流石に全く入りません。

この日は14時過ぎに自宅を出ました。実は8月に「天文ドームが不調で動かなくなってしまった」と聞いていて、調子を見て欲しいと言われていたため、早めに到着して様子を見ることにしたからです。

途中コンビニでサンドイッチとおにぎりなど買い込みました。昼食はしっかり取ったのでこの時点でお腹は空いていませんでしたが、夕食の時間に簡単に食べられるようにという目的です。


ドーム修理

15時過ぎに飛騨コスモスに到着。富山を出た時にはまだ雨が降っていましたが、天気は途中から徐々に良くなり、到着時には7割方青空が見えていました。

早速ドームの様子を見ます。どうやらドーム屋根の回転が全くできないようです。窓部分の上下開閉は特に問題ないので、電気系が全滅とかではなさそうです。

回転周りの電源から順に見ていきますが、モーターのところまできちんと電圧が入っていることが分かりました。それでもモーターはピクリともしないので、結論としてはモーターの故障です。

ただしモーターを外すのが結構大変で、型番を確認するのにも一苦労でした。やっとモーターとローラー部がどうドームに固定されているかと、ドーム側へローラーを圧着する方法まで理解して、うまく取り外すことができました。

92AEE70E-AF4E-4332-B7D5-E751B77AA40A
型番から確認すると、モーターとギヤボックスからなっているようで、おそらくギヤボックスはそのまま使えるはずなので、モーター部だけ発注し次回の観望会の前に交換してみます。

修理の途中でかんたろうさんが到着。私もちょうど終わるところだったので、後片付けだけして外に出ます。到着時より曇ってますが、下層の雲で流れも速いためまたすぐに晴れるでしょう。


機材セットアップ

この時点でまだ17時くらいなので、のんびり機材を出し始めます。最初に撮影用のSCA260とCGX-Lをセットし、ついでC8とCGEM IIもセット。その頃には北極星も見え始めていたので、そのまま両方ともSharpCapで極軸調整です。

星も見えてきたので、ここで星座ビノの比較テストをしました。先週の「星をもとめて」で手に入れたSuper  WideBino36がどれくらい見えるか知りたかったためです。豪華5機種での比較ですが、かなりハイレベルで、驚きの結果でした。詳細は別の記事で書きます。


やっとお客さんが

暗くなりかけてるのに、スタッフもお客さんも全然来なくて心配になりましたが、19時前くらいでしょうか、やっとスタッフのSDKさんとSTさんが到着。どうも高山方面が全面曇りでお客さんが来ないかもということでした。でもここ数河高原は晴れているので、SDKが何人かに電話してしばらくするとやっと何組かのお客さんが到着しました。

飛騨コスモス天文台では、来てくれた子供に天体写真を印刷したものを配っています。私の拙い写真なのですが、子供はとても喜んでくれます。20種類くらいある中から選んでもらうのですが、アンドロメダ銀河と土星が大人気のようです。ちょうどアンドロメダ銀河を選んでくれた子がいたので、その子の一家と星座ビノでアンドロメダ銀河探しです。

お父さんはすぐに見つけることができましたが、お母さんがかなり苦労をしていました。裸眼では見えるのに、星座ビノだと見えないというかなり特殊な例です。おそらく目がかなりいいのと、星座ビノのピントが合わせられないのが問題なのかと思いますが、その後もずっと星座ビノと格闘していました。

子供が7歳と5歳の男の子で、二人とも星座ビノが少し難しそうだったので、SCOPTECHでお父さんに木星を入れてもらうことにしました。私も少し手伝いましたが、無事に木星が導入され、子供たちも見ることができていたみたいです。お母さんはその時もずっと星座ビノと格闘中。「焦らずじっくり試してください」と声をかけておきました。星座ビノで星の数は増えているそうなので、ピントは合ったようです。

その後、SCOPTECHで土星も導入したり、C8でも木星や土星を導入したりして楽しんでもらいましたが、この頃になるとお母さんが「やっと見えたかもしれない」とボヤーっとしたアンドロメダ銀河をわかってもらえたようです。


前回のクイズの答え合わせ

この日はお客さんは4−5組だったでしょうか。その中に8月のペルセウス座流星群の観望会の時に「惑星はなぜ惑う(まどう)という漢字が当てられているのでしょうか?」というクイズを出し、宿題にするので考えてきてくださいと話した家族が、今かも再び参加してくれていました。

答えは恒星と違い、年周運動から差が出るからなのですが、家族みんなで調べてくれたようで、自分の言葉で子供もお父さんも説明してくれました。色々調べるためんみ星の本とかも増えたとのことで、とてもいい傾向です。このまま星の世界にどっぷりとハマってくれるとさらに嬉しいのですが(笑)。

せっかく惑星のことに興味を持ってくれたので「チ。」をオススメしておきました。少し前に完結したばかりで、全巻通して楽しむことができます。お父さんが「大人買いする」と言っていました。


今月のクイズ

他の家族にですが、今回もクイズを出しました。ちょうど「すばる」が東の地平線あたりのまだフェンスにかかるくらいのところに昇ってきたときです。

今回のクイズは「あのすばるは、1時間に何度動くでしょう?」です。みんななかなか答えは出てきません。最初のヒントです、「あのすばるが空の真上まで登るのに何時間かかるでしょう?」と聞くと、お父さんは少しピンときたようです。さらにヒント「あの東の地平線にあるスバルが、西の地平線に行くのに何時間かかるでしょうか?」これでお父さんからすぐに答えがでました。半日、すわなち12時間で180度回るので、180割る12で、1時間あたり15度ですね。2時間で30度もすぐに分かりますし、6時間経つと90度で天頂まで行くこともお母さんもすぐに理解してくれました。

では第2問です。「今月の観望会ですばるが地平線近くに見えました。来月の観望会で全く同じ時間にみたら、すばるはどこにあるでしょうか?」というものです。これも一年間で元の位置にもどることから、360度を12ヶ月で割ってひと月で30度進むことがすぐに理解してもらえました。

お母さんが「昔に習ったことだけと忘れていた」と言っていましたが、「覚えていなくても、考えればすぐに出てきます。地球が一日一周することは子供でも毎日実感していることですよね。」と言ったら妙に納得しているようでした。

さて今回のクイズのネタのすばるですが、星座ビノと、三脚に固定した双眼鏡でもみてもらいました。ついでに双眼鏡でアンドロメダ銀河も。手持ちで見てもらうと導入がかなり難しく、どうしても揺れてしまうのですが、固定していると誰でも見ることができます。すばるやアンドロメダ銀河は双眼鏡だとかなり迫力が出ますね。


電視観望

かんたろうさんが45cmドブソニアンでお客さんにいろいろ見せているので、私も電視観望で同じ天体を見てもらうことに。最初はM27亜鈴状星雲星雲です。

FB1642AC-9A4E-47BD-A795-5938C9896501

すでに眼視で見ている方が多かったために、ものすごく反応がいいです。色がついて見えることにも驚いていました。さらにFMA135の小ささにもみなさん一様に驚いていました。カメラはUranus-Cで「高性能カメラのおかげでこんな小さな望遠鏡、と言ってももう望遠鏡と言っていいのかも分かりませんが、星雲や星団をここまで綺麗に見えることができます」と説明します。

D5DB1726-A83D-4A16-8BFE-7C3AA38204FA

他にもM8干潟星雲とM20三裂星雲、網状星雲などを見ました。でもその後小雨がぱらついてきたので電視観望機材を中心に一部撤収となりました。


終盤

その後、星座ビノを片付け、C8に蓋をして、SCA-260を片付け、CGX-Lのウェイトまで下ろした時点で天気がある程度回復してきました。CGX-Lは極軸を取ってあるのでもう少しキープです。

ScopetechでスタッフのSTさんが惑星の導入を試みていたのですが、2つ穴での導入に手間取っていたので、光学ファインダーをセットし直して木星、土星を入れやすくしたり、C8で火星やアルビレオを火星、アルビレオを導入して見てもらったりしたのですが、もう22時過ぎです。ここら辺でほとんどのお客さんは帰っていきました。
696965E7-63C4-4E8C-BAE1-F6901BD2378B

いつのまにか最近は毎回参加の富山の中1にMちゃん親子と、うちの奥さんの知り合いのU一家4人も来ていました。かんたろうさんは相変わらずいろいろお客さんにみせてくれているようで、私もいくつか見せてもらいました。


撮影はどうなったか?

この日は基本的に南と東がよく晴れていたのですが、23時半頃からでしょうか、やっと北の空が晴れてきてこの日の目的のアイリス星雲のあたりも星が見えてきました。再びSCA260を赤道儀に載せてセットアップです。極軸だけは残してあったので、セットアップはまだ楽でした。撮影を始めたのですが、B(ブルー)を5枚撮ったところでまた北側だけ雲が出てきました。この時点で撮影は諦め、撤収を始めます。


オリオン大星雲にも眼視で色がついた!

その途中でM42オリオン大星雲が登ってきて45cmドブで見せてもらいます。するとトラペジウムあたりに明らかに色がついて見えます! かんたろうさんは緑と言っていましたが、私には青みがかって見えます。その上の羽のところが色がついているかどうか、いまいち確証がありませんが、私にはオレンジっぽい色がついているような気がしましました。ちょっとハッブルパレットに似たような感じでた。

青っぽいのは少なくとも色がついていたのは確実でしょう。羽の部分はまだ確証がないです。でも少なくとも前回のM57に引き続いてM42にも色がつくことは納得しました。

色としてはM57の方がはっきりしていたと思います。M42の羽の部分のオレンジっぽいのより、M57の周りのオレンジの方が一瞬でしたがはっきりしていたと思います。


帰宅と次の日

午前1時半頃でしょうか、もう残っているのはかんたろうさんと私のみです。ここで前日の朝11時頃に朝昼ごはんを食べてから何も食べていないことを思い出し、ものすごくお腹が空いていることに気づきました。かんたろうさんも食事をはじめたので、私もコンビニで買っておいたサンドイッチとおにぎりとおやつを一気に食べました。その後、午前2時少し前に帰路につきました。3時頃に自宅に着き、そのまま何も片付けにベットに入りバタンキュー。

次の日曜日は朝9時半頃に起きて車の中の機材を片付け、休日の楽しみコメダ珈琲に行ってブログ書きです。
C1AF6931-DFBE-42E2-9D8F-164A8A35BA3A

0C18CF26-3E40-4E82-A927-166BF3B1B58F

実は朝郵便ポストを見たらかんたろうさんから封筒が。そういえば星もとで財布を車に置いてきたというので夕食代を立て替えておいたのでした。でもそんなことすっかり忘れていて、思い出したかんたろうさんが帰り道にポストに入れておいてくれたようです。この軍資金をもとに、少し贅沢して初めての「ミニ」でない方のシロノワールを注文しました。流石にフルムーンバーガーとシロノワールでもうお腹いっぱい。昨日の夕食がコンビニの簡易食だったので、まあよしとしましょう。

そういえば、観望会のお客さんの何人かにこの「ほしぞloveログ」のことを話しました。見つけてくれたでしょうか?右の「場所」の中から「数河高原」を選ぶと、過去の飛騨コスモスでの観望会の記事が出てきますので、よかったら読んでください。観望会の感想など、よろしければコメントもお待ちしています。

時間が少し前後してしまいますが、前回の記事の前日、8月12日(金)の話です。

8月12日は毎年恒例のペルセウス座流星群です。でも今年は満月と重なってしまい、淡い流星を見るのは難しいかもしれません。でも大きな流星も流れることもあるので、運がよければ見えるかもしれません。


飛騨コスモス天文台へ向けて出発

昨年はコロナでダメでしたが、ここ数年は飛騨コスモス天文台でペルセウス座流星群を見ることが多いです。


今年もその予定でしたが、天気予報がイマイチ。それでも一応行きますと連絡し、17時過ぎに出発。機材も気楽なもので、満月でさらに天気が悪そうなので撮影機材はあきらめ、一応電視観望と、子供用にいつものスコープテックの屈折を持っていくだけです。途中これもいつものすき家で牛丼特盛と豚汁を頼み、腹ごしらえして18時前くらいに店をでます。

途中青空も結構見えていたのですが、岐阜に入ることに徐々天気が悪くなり、雨も降ってきました。でも現地に到着する頃には、少し雲も少なくなってきて、一部青空も見えています。


ドーム操作の確認

19時15分頃に到着したでしょうか。現地にはすでにいつものスタッフも来ています。

到着してすぐに、スタッフのSDKさんと約束をしていた、ドームの赤道儀の操作方法を伝えます。SDKさんが以前試したのですが、マニュアル通りに進めても途中でうまくいかなかったとのこと。ステライメージでどのプロトコルで使えばいいか迷ったようです。実は以前、このドームを立ち上げた故Yさんがまだ元気だった時に同じことをたずねられて、一緒に試してミードのLX200モードであることを突き止めたことがあります。同様にしてみたらきちんと動かすことができました。SDKさんにも再び一から操作してもらい、今後もわからなくならないように、きちんとメモを残しておきました。


少ないお客さんとの盛り上がり

外に出ると、南の空と天頂が晴れています。ただしやはり天気は微妙なのでお客さんは少なく、関係者に近い方が二人、あとお客さんと呼べるのは3人の家族と、女性の方一人くらいでした。お客さんが来た頃には再び全面曇り。しばらくすると小雨も降り出してきました。せっかくなので、SDKさんがドームを案内して解説してくれます。

その間、私は雨よけがてらトイレのひさしがある所でスタッフのSKTさんと話し込んでいました。話題はドームの保険についていです。年額でそこそこの金額を払っていて、どうしたらいいかという相談でした。そもそも、何があった時に何に対してどれくらい支払われるかとかわからなかったので、それを確認するのがいいのではという話になりました。ここは特に手作りに近いドームです。保険といってもなかなか直してくれる業者も見つからないかもしれません。製作者に連絡を取るのが一番なのですが、遠方ということもあり頻繁にというわけにはいきません。こういった、今後の管理、保持についても考えていかなければいけません。

ドームからお客さんが出てきましたが、まだ全面曇っています。雨はかなりマシになって、ほとんど降ってませんでした。家族で来ていた方はその時点で帰ろうとしていましたが、少し雲の薄いところが見え、雲の向こうが明るくなってきてたので「もう少し待ってたら、何か見えるかもしれませんよ」とひきとめました。しばらく待つ間、いろいろ話してみました。高山から来ていてお子さんは小学5年生。その子がどうしても参加したいと言うので、親が連れてきたということのようです。流れ星は見たことがあるらしいですが、天の川はあまりはっきり見たことはないようです。

そうこう話しているうちに、月が雲越しに少し見えそうだったので、いつものスコープテックの5cmの屈折を出しました。雲がキワキワで、月よりもすぐ上の土星が見えそうだったので、まずは時間勝負で私が導入してすぐ未見てもらいます。土星を見たのは家族3人ともはじめてで、大喜びでした。特にお父さんが「ウホッ」とか言いながら興奮状態でした。男の子も最初雲越しでくらかったので「細長く見える」とだけ言っていたのですが、そのうち雲も晴れてきて、輪っかがきちんと見えると大興奮。お母さんにも、もう一人来ていた方にも見てもらいました。

1CDF5830-A2EF-446E-9183-2B8656FED867

812A1AE8-A460-42D5-95DF-08FA5A55BE67

男の子とお父さんには望遠鏡の操作方法と、導入方法を伝えました。男の子はちょっと挑戦してあきらめてしまって、次にお父さんがチャレンジ。お父さんはすぐにコツを掴んで、その後その男の子もすぐに導入までできるようになりました。3年生くらいでもできる子がいるので、5年生だと大抵できるはずです。

次第に雲が晴れる時間も出てきて、月を導入してもらってみてもらったり、そのうち低空に木星が出てくるとそちらも導入してもらい、衛星までばっちり見えて大喜びでした。20mmのアイピースでたかだか40倍でしたが、木星の縞は赤いのが見えました。最初は男の子の方が見え、お父さんはどうしても見えなくてくやしがっていたのですが、さいごにはお父さんも、お母さんも縞まで見えて喜んでいました。今度は自分の望遠鏡を持ってくるそうです。

9EFB0BFE-DF6B-4D0B-AEB3-7FAA51EE796C

あ、恒例のクイズも出しました。いつものとおりで、太陽や月がどちらから昇ってどちらに沈むかから始まり、やはりお父さんもお母さんも含めて月が答えられず。さらに星の動きについても聞きました。その流れで、動かない星のことを聞きました。すぐに男の子が「北極星」と答えてくれたのですが、じゃあなぜ北極星が動かないかという質問には相当頭を使っていたようです。親は流石にすぐに分かったようですが、その子は頭を北極星の方に向けて自分が回転してやっと納得したようです。

8月27日の観望会も来ると言うので、一つ宿題を出しました。惑星の「惑」は「まどう」とよ向けれども、なぜ惑うのかというものです。調べたら色々わかると思います。「チ。」とか読んでもいいですね。月末の観望会で答えを聞くのが楽しみです。

さてさて、今日のメインの流星群でしたが、きていた人の中で一人だけ一つ見えたと言っていて、他の方は全滅でした。晴れている部分が少なかったのと、月も明るかったので仕方なかったかもしれません。


次回は8月末

22時半過ぎになると徐々に曇ってきて、23時前にはすっかり曇って今日はここまでかなと言うことで解散しました。

23時ちょうどくらいには現地を出発し、0時位に自宅に到着。3時頃まで起きていたら、次の日寝坊してしまい、コメダ珈琲に行くことができませんでした。

時系列的には、この後に前回の記事の密会に続きます。 

 

次回の飛騨コスモス天文台の月例観望会は、8月27日です。

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニにより、ここ2ヶ月近く評価していたSV405CCをあぷらなーとさんに送付しました。 ついでに夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

IMG_6308


到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

IMG_6319

観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

IMG_6317

まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

01_M27

1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

02_NorthAmerica


同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

03_crecend

この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

04_M31

あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
05_M57


45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

M27

たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

前回のSV405CCもそうでしたが、2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

今年初の飛騨コスモス天文台の観望会が、昨年の11月以来、5月28日に約半年ぶりに再開しました。ここは豪雪地帯で、雪が残る4月半ばまで車で入ることさえできないのです。

IMG_4837
3月18日の飛騨コスモス天文台へと行く道の様子。
まだ全然雪が残っています。この時は50cmはあったでしょうか。


朝から太陽撮影

この日は快晴で、朝から太陽撮影。Hαには見向きもせずに、粒状斑狙いです。前日の土曜日の撮影で何か少し出たと思った、Yellowに加え、640nm以上を通す赤外透過フィルターでも撮影してみました。でも結局ほとんど進歩はなく、以前一番最初に撮影できたかけてきたと思った画像を見返してみたのですが、季節的にはシーイングは同程度のはずなのに、 昔撮ったほうがどうみても粒状班らしい画像が撮れています。その時はPSTのエタロンをHαから外れた画像を処理していました。

流石に何かおかしいと思い始め、Orionの太陽フィルターを買うときに迷ったBaaderのフィルムフィルターを国際光器で撮影用のOD3.8の29x22cmのものを発注しました。本当はもっと大きなサイズのものがほしかったのですが、大きなのは撮影眼視併用のOD5の物しかなく、しかも在庫切れです。C8なら口径20cmなので、小さなサイズでもいいかと思い、OD3.8のものにしました。

その直後でしょうか、コメントにhasyamaさんから投稿があり、やはり似たようなガラスの厚みのあるAstrozap製では全然細かいところが見えなかったとのことでした。どうやらここが解のようです。フィルムフィルターの到着が楽しみです。


観望会の準備

むしろこのコメントで、これ以上今の装備で粒状斑を求めても無駄そうなので、やっと観望会の準備です。発注時のメールやコメント欄から時間を見返してみると、フィルムフィルター発注が13時35分ちょっと前、hasyamaさんからのコメントが13時50分、コメントに返したのが14時10分でした。なので、この時点で14時過ぎくらいだったことになります。そこから観望会で何を見せるかと、観望会が終わった後の撮影プランと、機材の選定と荷物の積み込み、シャワーを浴びるのと、少し睡眠をとるとすると、すでに時間はたりません。結局、すべて準備が終わったのが17時半。19時頃に現地到着を考えていたので、もう時間ギリギリです。17時32分に出発して、途中すき家で早めの夕食を取り、ファミマに寄って夜食とおやつを買い込み、飛騨コスモス天文台に向けて車を走らせます。途中ほとんど雲も見えずに快晴です。到着は19時10分くらいで、まだ十分明るい時間帯でした。


現地到着

現場には飛騨コスモスの会のいつものメンバーが3人、あと富山県天文学会関連でいつものかんたろうさんと、今回初参加で遠く黒部市から来てくれたKTさんがきてくれていました。

到着後すぐにドームに入ると、鏡筒が載せ替えられていました。これまでは群馬のKさん自作の口径25cm、焦点距離3000mmの鏡筒でしたが、温度順応に時間がかかり、さらにはドーム内気流のせいもあるのか、惑星などなかなかくっきり見えなかったという問題がありました。焦点距離も長いので、惑星以外になかなか見せられるものがないということもあり、先日スタッフのSDさんが友人から譲ってもらったというFC120に載せ替えたとのことです。

その後、外に出て改めてみてみると、かんたろうさんが3台も鏡筒を出していました。

IMG_5562


設置開始

私も準備をし始めます。今日は観望会後に撮影を考えているので、とりあえずまだ人が来ないうちに撮影用にCGEM IIを出します。鏡筒はFS-60CBにASI2400MC Proで、牛岳で青い馬星雲を撮った時と同じです。少し違うのは、M54の長さ調整のリングを導入したことです。

 

前回の撮影では、本来必要なフィルターホイールの厚み分の、プラスで11mm必要なバックフォーカス長を、FC76用のマルチフラットナーリングで代用したため、四隅が流れてしまっていました。今回のセットがあれば長さが4mmから39mmまで、一部抜けはありますがほぼ1mm単位で調整ができます。この日は4mmと7mmで合計11mmにして使用し、撮影鏡筒として使います。

ポイントは、撮影までの観望会の時間に電視観望で同じ鏡筒とカメラを使うことです。同じ鏡筒を使うことで、入れ替えの手間を省きます。架台は気楽にAZ-GTiを経緯台モードで使います。さすがフルサイズのASI2400MC Proです。あとで取得画像を載せますが、かなりの実力です。

問題は準備がやはり少し手間なこと。まず、冷却しなくてもDC12V電源を必要とすること。実は最初このDCを供給するのを忘れていて、何枚かは撮像できたのですが、途中で更新されなくなりDC12Vを繋ぎました。でもこの撮像できなくなった理由が、DC電源がなかったせいなのか、前回同様接続がうまくいかなかったからなのか、まだ確定していません。

今回も接続はかなり苦労しました。電視観望なのでSharpCapなのですが、1024x768ピクセルの撮像は確実に得られます。でもそれ以上の解像度の撮影がうまくいくかどうかは全く運次第でした。ケーブルを2種試しましたが、やはり全く状況は同じです。何度か解像度を変えたり、USBの転送速度を変えたり、RAW8やRAW16などの撮影モードを変えたりしましたが、うまくいくと最後には最高解像度でRAW16で動きます。一旦動くと安定ですが、安定になるまで毎度5-6回は解像度を変えるなどしました。ほとんどの項目は安定性に影響がなく運のみですが、USBのハイスピードのオンオフだけはオンの方がいいようです。ここら辺の問題さえ乗り越えれば、あとは超快適な電視観望体制になります。


最初は星座ビノ

さて、電視観望の準備をしている間ですが、まだ一番星が見える頃から徐々にお客さんが到着し始めます。ほとんどが子供づれの家族で、最初のグループは保育園年長さんと小学3年生の男の子の兄弟とご両親の4人家族でした。星座ビノを4台(Nikon, Cokin, WideBino28の現行と旧機種)出して、まだ目では見にく星を探してもらいます。

徐々に暗くなってきて、明るい星がはっきり見えるようになってくると、早速いつものようにSCOPETECHの入門機を解放して見てもらいます。といっても、季節的には惑星もないし、新月きなので月もないです。あまり見るものがないのですが、スピカが導入しやすそうだったので、最初だけ私が入れてから、小3のお兄ちゃんの方に視野からずれていったら微動ハンドルで真ん中に戻してもらう任務を任せました。慣れてきたっぽいので、次はSCOPETECHの特徴の2つ穴を利用したベガ導入に挑戦してもらいました。でもやっぱり小学3年生だと少し難しいようで、何分かやってギブアップ。今度はお父さんに挑戦してもらったら、さすがなんなく導入してくれます。お父さん得意そうで、子供たちに自慢げに見せていました。すごく微笑ましいです。その後、3年生のお兄ちゃんは真ん中に合わせるのを担当してくれていました。こうやってできるだけ望遠鏡に触る機会を作ってあげたいと思います。

途中、小5の女の子が二人、その子逹のお母さんと思うのですが二人、星座ビノがかなり気に入ったみたいです。見える星が圧倒的に増えるのが分かり、キャーキャー言いながら見てるので、毛布を出し地面に寝っ転がって見てもらいました。「交換すると見え味が違って面白いですよ」とか伝えて、星座ビノの違いも楽しんでもらいました。


観望会恒例のクイズ

電視観望はカメラのトラブルで少し時間がかかっていたのですが、その間にも続々子供たちが集まってきます。「こっちは何が見えるの?」と聞かれるので「もうちょっと待ってね」とかいっていると、「こんばんわー」と大きなこえで何人かの女の子がやってきました。暗くて顔はあまり見えませんでしたが、昨年来てくれた子達のようです。聞いてみると、5年生の女の子が二人、6年生の男の子が一人、中1の女の子が一人くらいだったと思います。その頃にはいつものMちゃんも富山から来ていていて「同じ中1だ!」とか言っていました。電視観望の準備がまだかかるので、星の解説を始めました。最初しし座の説明とかしてたのですが、さらに子供たちが集まってきたのでもっと基本の北極星から始めました。定番の北斗七星から北極星を見つける方法を話していると、方角の話になりました。みんな好き勝手に「北の反対は南」とか「あっちが東?西?」とか、色々言い始めます。

みんな東西南北の方角は確認できたみたいなので、恒例の私からのクイズです。「太陽はどっちから昇って、どちらに沈むでしょう?という質問には「東から出て、西に降りる」とかどこかしこから声が上がります。「正解です。でも太陽は本当は動いていないんですよ。」というと、6年生の男の子が「地球が動いてるから?」と的確な答えを。「星も動いているように見えるけど、実際には星が動いているわけでなくて、地球が回っていて、その地球に乗っかってる自分たちが動いているから、星が動いているように見えるんだよね。」と言って、みんな納得です。

次に第2問です。「では、月はどちらから昇って、どちらに沈むでしょう」と聞くと、これが面白いことに全員わからないのです。出てきた言葉が「習ってなーい」です。太陽は東から昇って西に沈むということを「知識として」だけで覚えてしまっているのです。先に説明までしているので、みんな地球が回っていることも知っているし理解もしているはずです。でも太陽以外になると答えることができなくなるのです。これはいけませんね。知識は必要ですがそれだけではだめで、やっぱり自分で想像して考えることがすごく大切になります。

太陽は動いていないこと。月も動いていないこと。さらに星も動いていないこと。動いているのは地球であること、だから月も太陽と同じように東から出て西に沈むこと。あそこに見えているスピカも東から昇って西に沈むこと。ここまで説明すると、「例えば、見えていないベテルギウスも東から昇って西に沈むこともわかりますね」と言っても全員納得です。このやりとりを流石にMちゃんはニコニコしながら見ていました。

そこで第3問です。「夏の太陽と冬の太陽と、どちらが高いですか?」と聞いて、「わからなかったら夏と冬どちらが暑いか考えてみてください」と言うと、これまた面白い答えが。一人の子が「夏の方が低い」と言うのです。色々聞いてみると、低い方が「近く」て、高いと「遠い」から、近くて低い方が暑くなると考えているようです。子供ながらの面白い発想です。でも結局、朝日とか夕日とかの地平線ギリギリの時と、夏の昼間にほぼ真上にある太陽の時は、どちらが暑いですか?と聞き直すと、皆さん「なるほどー」と言った様子で納得してました。

私の観望会はいつもこんな感じです。この日も、話したことに難しいことは何もないです。ここにきている子は星に興味がある子達です。いろいろ普段の体験から、自分でよく考えて「学ぶことの楽しさ」を学んでほしいと思います。


電視観望

IMG_5567

さてさて電視観望ですが、今回はASI2400MC ProのフルサイズCMOSカメラと、機材の素晴らしさもあり、かなり綺麗な天体を見てもらうことができました。しかも、かんたろうさんが眼視でいろいろ見せてくれています。できるだけ同じ天体を入れるようにして、眼視と電視で見比べてもらいました。

電視観望で見た順に並べておきます。
01_trip_mod
しし座の三つ子銀河。この画面では一つ途切れてしまっています。

02_M57
M57: 惑星状星雲。

03_M13
M13:ヘルクレス座の球状星団。

あ、もう一つエピソードを。昨年天体写真のカードを子供達に配ったのですが、電視観望でM13を見ていた時、「これ、自宅に飾ってある写真と同じ?」と言う子がいました。どうもM13カードを受け取ったみたいで、M13の形を覚えてしまっているようです。M13ですが、電視観望でもよく見ると星の色がわかります。「星は基本赤と青だよ。緑の星はなくて、白くなってしまうよ。家に帰ったら写真をよく見ると、多分色がわかるよ。」と伝えると、目をキラキラ輝かせて「うん、見てみる」と答えてくれました。自宅に帰った時の興奮している顔が目に浮かぶようです。でも帰る時眠そうだったから、写真を見るのは次の日かな?


05_antiares
アンタレス付近。色を出すのは難しいです。
アンタレスの黄色が綺麗で、右にM4、上に赤いエリアが出始めています。


06_M51_mod
M51:子持ち銀河。

07_M51
M51は小さくて、今回のセットアップで実際に見えるのはこれくらい広角です。
かなり拡大すると上のようになります。

08_M27
M27:亜鈴状星雲。

10_M81
M81とM82です。こちらもかなり拡大していてい、元の画像は下のようです。

Stack_222frames_1421s_WithDisplayStretch

経緯台のAZ-GTiで長い時間(20分以上)露光しているので、回転してしまっていますが、画角が相当広いので、多少回転しても全然問題ないのがわかります。

眼視

かんたろうさんに眼視で見せてもらったのはもっとたくさんあります。これはお客さんが帰って、電視観望も片付けてからの分も入っています。
  • M57:惑星状星雲は輝度が高くてよく見えます。
  • M51:子持ち銀河は淡いですが、どちらが親でどちらが子供かはわかりました。腕はあまり見えませんでした。
  • M101:回転花火銀河ですが、相当淡いです。M51のほうがはるかに見やすかったです。
  • M81とM82は二つ並んでいるのがわかりました。
  • M13:ヘルクレス座球状星団はつぶつぶ感がすごいです。
  • M16:オメガ星雲は白鳥みたいに見えました。
  • M17: ワシ星雲はかなり淡くて薄くしか見えません。
  • M20:三裂星雲は分かれているのがなんとかわかりました。
  • M8: 思ったより淡かったです。もっと明るいと思ってました。
  • M31:アンドロメダ銀河は大きな銀河のはずでが、以外に双眼鏡で見たのとあまり差がなかったです。
他にも、特に球状星団や散開星団もたくさん見せてくれているはずでが、そもそも番号をあまり覚えていなくて、明確に番号で覚えているのはこれくらいです。


徐々に人が少なく

夏至も近くなってきているので昼が長く、天文薄明が終わるのが21時頃。22時頃には子供は眠くなってしまうので、だんだんお客さんも少なくなってきます。Mちゃんも中学生になって部活が忙しく、この日も部活が終わってからきたということで、23時頃にはもう眠そうでいつもより早めに帰っていきました。あ、差し入れでシュークリームを持ってきてくれて、皆さんでいただきました。さすがケーキ屋さんのシュークリーム、クリームも全くまがい物の味がせず、ものすごく美味しかったです。23時過ぎにはスタッフの3人も帰宅され、残ったのは私とかんたろうさんと、愛知から来ているIさんだけでした。

今回初参加のIさんは、最初は自分の機材で電視観望をしていて、少しお話ししました。機材はFSQ85とASI294MC ProをASIAirで操作と、かなり贅沢な機材です。20年ほど前かなり凝ってやっていて、しばらくお休みして、また最近復活したそうです。

Iさんはかなりのマニアのようで、途中から撮影に移り、サドル付近を撮っていました。天の川のタイムラプスと、もしかしたらもう一台出していたかもしれません。聞くと、前日は紀伊半島の方、この日は太平洋側が天気が悪かったので、この飛騨コスモス天文台まできたそうで、かなりアクティブな方です。

私もそろそろと、電視観望の鏡筒とカメラをそのまま使い、赤道儀をCGEM IIに替え、Elephant Trunk星雲を撮影を始めました。この日はあらかじめ、機材の交換を最小限にして、北の空が暗いことなどを考慮し、撮影対象を決めていました。撮影が軌道に乗って余裕が出たので、6Dで天の川を何ショットか、そのご午前2くらいからタイムラプスを始めました。撮影結果はまた別の記事で書きます。

2時過ぎに眠くなってきて、しばらく車で寝てしまい、起きたのは4時くらいだったと思います。すっかり明るくなっていました。片付けながら、かんたろうさんとIさんと話していました。かんたろうさんは昨年後半からここでの観望会はずっときてくれているので、また来月には会えます。Iさんはかなりいろんなところにいっているようなので、またどこかで会える気がします。

片付けが終わって現場をあとにしたのは、ちょうど5時くらい。6時くらいに自宅に到着し、少しだけ荷物を車から出して、少し朝食を食べてお腹を満たしたら、力尽きて寝てしまいました。忙しい休日でしたが、とても充実していました。その後、午前11時過ぎに起きたのですが、まだ寝不足で昼間じゅうずっと眠かったです。

それでもこの日も天気が良かったので、夜は自宅でSCA260で最近撮り続けているM82をLで、NGC6888三日月星雲をAOSで撮っていました。ここら辺もまた画像処理が終わったら記事にしますが、相当未処理画像が溜まっているので、いつになることやら。


まとめ

眼視と電視を比較しているときに、お客さんとスタッフを交えてこんな話をしました。
「最近の観望会って、街中の明るいところでやることが多くて、こんな天の川が普通に見えるようなところで、定期的に続けてやってる観望会って珍しいですよ。しかもかんたろうさんが参加してくれて眼視、私が電視で、星雲を比較できるくらいに充実してきて、多分全国的に見てもかなり面白い観望会だと思いますよ。」
とか言ってたのですが、皆さんあまりピンときていないようでした。そもそもここに来る地元の人にとっては、天の川は全然珍しくないんですよね。そういえばこの日も子供達に「天の川が見たことある人?」と聞いたら、ほぼ全員が手をあげていました。

この子達が大人になって、大きな街に出て行って、天の川が見えなくなるような場所で暮らすようになったとしても、この素晴らしい空と、楽しかった観望会のことは覚えてくれていると嬉しいです。

年明けの久しぶりの飛騨コスモス天文台の観望会でしたが、とても楽しかったです。改めてこの飛騨コスモスの回を立ち上げてくた故山口女史に感謝です。これからも無理することなく、地元の方逹のために続けていけたらと思います。 
 

今年最後の飛騨コスモス天文台での観望会です。この日は天気も良いせいか、前回9月30日の観望会に引き続き、たくさんのお客さんが来ました。 




飛騨コスモス天文台へ向けて出発

11月6日の土曜日、昼くらいから準備を始め車に荷物を積み込みます。この日はなんか色々やることがあってドタバタしていて、富山を出発したのは16時過ぎでした。途中、夕食がわりにコンビニでどうしても食べたくなったシューマイ弁当をその場で食べ、さらに夜食におにぎりやサンドイッチを買い込みます。

車で走っていると、どうやら天気予報の通り富山の方が天気がいいかもしれません。最初快晴だったのが、途中から少しづつ雲があるところが増えてきました。飛騨コスモス天文台に到着すると、少し雲はありますが、夜中から天気が良くなる予報なので、何も見えないことはないでしょう。

IMG_3843

現場に着くとすでにいつものかんたろうさんと、富山県天のOさんがいました。富山県天からはKさんも途中から参加してくれました。

実はその前日の金曜夕方、かんたろうさん、Oさん、Kさんが飛騨コスモスに来ているというので誘われたのですが、次の土曜日観望会で行くことになるので私はパスしました。後で聞いたら、かんたろうさんは木曜から来ているとのことで、すでにここで車中2泊。さすがに疲れてきたと言っていましたが、すごいパワーです。


現地でのセットアップ

最初少し雲がありましたが、すぐに一旦快晴。でもお客さんが来る頃には薄雲が出てきてしまいます。この日は所々晴れ間があり、たまに天の川が見えるといった、快晴でもなく、かといって全く星が見えなくなるわけでもなく、総じてずっと薄雲といったところだったでしょうか。でもどこかの方向では色々見ることはできたので、基本とても楽しかった観望会でした。

県天のOさんが山の中にドームを作るというので、飛騨コスモスのドームも見てみたいとのこと。現場に到着直後にドームの鍵を開けて、中は散らかし放題でしたが見てもらいました。でも観望会の準備があったのであまり時間をかけて説明できなくて申し訳なかったです。

IMG_3845

IMG_3842

今日の装備は主に電視観望です。C8を出すか迷っていましたが、他の人の鏡筒も出そうなので、やめておきました。いつものSCORPTECHもあるので、C8もあると前回の経験から電視観望に全く手が回らなくなりそうだったからです。ただし、観望会後の撮影などのためにCGEM IIにTSA-120を載せたものと、Advanced VXだけは時間のあるうちに、あらかじめ出しておきました。


電視観望

電視観望の準備ができる頃には結構な数のお客さんが到着していました。今日の電視観望用の機材は、究極シンプルセットのFMA135+ASI294MC+AZ-GTiです。焦点距離が135mmと短く、フォーサーズのセンサー面積なので、かなり広い範囲を見ることができます。この場所は十分に暗いので、フィルターもなしです。このセットアップは次の週にある小海の「星と自然のフェスタ」のテストも兼ねています。

時折雲もあったので、雲と雲の合間を狙ったのですが、雲以外は空は悪くありません。いくつか代表的な天体を入れていきました。

最初はM27、こぎつね座にある亜鈴状星雲です。明るい星雲で写しやすいM27ですが、FMA135の視野から見たらものすごく小さいのですが、SharpCap上で拡大しても全然耐えることができて、恒星もきちんと表現されています。ちなみに下ので250%、かなり拡大しています。6.4秒露光で13枚、計1分25秒くらいです。
IMG_3846

極小対決で、M57ことざのリング状星雲です。上のM27よりもっと小さいです。全画面で見ると小さすぎて恒星と見分けがつきません。FMA135だと、ちょうどこと座の全景が入るくらいの視野があるので、M57も場所を知っていればすぐにどこにあるか見分けられます。下の画面は倍率600%、FMA135ではもう限界近いです。それでも恒星がそこまで破綻しないのと、M57のリングの色の変わり方がわかるのがすごいです。フィルター無しでも、赤外の収差もほとんどないことがわかります。
IMG_3852

北アメリカ星雲。フィルターなしでこの描写です。6.4秒露光で31枚、計3分20秒くらい。ちなみにこれも拡大しています。(ちょっとわかりにくいですが)画面の右と下のバーのところを見てもらうとわかりますが、辺で言って3分の2位、面積で行って全画面の40%くらいを見ています。これでSharpCapの表示で言うと50%とかになります。なので上のM57の拡大率はは600%だったので、さらに辺で言って12分の1、面積で言うとわずか150分の1のエリアを見ているわけです。北アメリカ青雲で40%くらいのエリアなのでM57で見ている範囲は全エリアの350分の1くらいというわけです。
IMG_3848

暗い空で「フィルターが無いこと」の何がいいかって、銀河を見る時にわざわざフィルターを外さなくていいところです。光害防止フィルターを使うと、銀河などはどうしても一部情報を落としてしまいます。下はM31アンドロメダ銀河ですが、電視観望でここまで出れば御の字ではないでしょうか?これで6.4秒露光で41枚、計4分20秒くらいです。
IMG_3853

一方、M42すばるは薄雲越しでした。青いのはわかりますが、流石に分子間雲までは見えなかったです。
IMG_3855

観望会での電視観望はすこぶる好評で、新しい天体を入れるたびに周りはたくさんの人だかりです。定番のアンドロメダが「星雲」か「銀河」かの話や、すばるはなぜ青いのかとか、いろいろ話しながら私自身が楽しむことができました。やはりこうやって考えると、電視観望はイベント向きです。一人で見ても楽しいですが、大勢の人と見ながら会話が弾むのは、眼視とも撮影ともまた違った楽しみ方になるのかと思います。

実際には電視観望もずっとやっていたわけでなく、雲の位置のよっては途中SCOPETECHで木星とか土星をお客さんい入れてもらったり、天の川が見えている時は天の川の見方を説明したりと、かなり充実していました。

そういえば飛騨コスモスに来る途中で、いつものMちゃんのお母さんからメッセージが入っていていました。もう最近は飛騨コスモス観望会の常連にもなってしまったMちゃんですが、気づいたら到着していて電視観望を始めていました。ところが、PCがすぐに使えなくなってしまったようです。それもそのはず、かなり寒くなってきて、バッテリーの出力が落ちていると思われます。11月といえど、私も上はスキーウェアで、途中からは下もワークマンで買ったモコモコの風を通さないズボンを上から履いています。Mっちゃんもしっかりスキーウェアを着てきているらしいです。

ここ数河高原は過去にスキー場があったくらいの豪雪地帯です。11月末には雪が降り始めるかもしれません。だんだん星見には厳しい季節になってきています。


お土産用に印刷した写真を

今回は子供たちがたくさんきてくれていて、みんなものすごく楽しそうでした。なんでこんなに子供たちがきてたのか、途中で訳を聞いたのですが、以下のようなことでした。

今回、これまで撮り溜めた天体画像をLサイズに印刷したものをたくさん持っていきました。青雲、銀河、惑星、月と、全部で23種類、各10枚の計230枚です。印刷はフジプリを使いました。1枚11円とかなり安価です。これだけ枚数が多いと、送料も誤差のようなもので、気楽に頼むことができます。

前回の観望会にテストで20種くらいを各1枚ずつ印刷して、観望会に来てくれた子供達に渡したのですが、ずいぶん喜んでくれました。その時に、写っている天体の名前を何度も聞かれたので、天体の名前を写真に入れておこうということになり、今回の本番印刷にしました。

その中の一人の子が、前回よほど楽しかったのか、同じ学校の友達を5人くらい連れてきてくれました。聞いたら小学2年生だそうです。電視観望している時は格好の会話のチャンスです。例えば北アメリカ星雲やすばるなどは、PCの画面と渡した写真を比べて、向きはあってるかとか、ここに星があるとか会話がはずみます。私は時々星は本当に動いているかとか、地球が動いているのを感じることができるかとか、天文に関するクイズを出すのですが、みんなでキャーキャー言いながら答えてくれます。

とても楽しかったみたいで、帰る時にわざわざ「今日はどうもありがとうございました。」と丁寧に挨拶をしにきてくれました。とても嬉しかったです。「もっと写真を集めたい」と言っていたので、また来てくれるかもしれません。雪が溶ける来年になってしまいますが、楽しみに待ちたいと思います。


観望会終了後の眼視大会

もう23時くらいにはなっていたでしょうか?観望会も終わりつつあり、お客さんが少なくなってきてからは、残ったメンバーで眼視大会が始まりました。今回もかんたろうさんがOrionのニュートンの25cmでいろいろ見せてくれました。私もTSA-120を出して眼視観測です。この時残っていたのは、スタッフの方と、いつものMちゃん親子です。

この時のことは別記事にします。ちょっと眼視に目覚めつつあるかもです。




まとめ

非常に楽しい観望会でした。やっぱり電視観望は観望会に向いています。一番いいのは会話ができること。寒い中でも、子供たちは生き生きしていました。お土産の写真もとても喜んでくれていたみたいなので、うれしかったです。

電視観望の画質についても、ある程度満足できるクオリティーになってきたかと思います。暗い空なので綺麗に見えるのはもちろんなのですが、光害地でもフィルターを使うことでかなり対応できることがわかってきています。コンパクトシステムで鞄の中にすっぽり入るのもいいです。

でも次にやるとしたら、一般受けは全くしないかもしれませんが、真逆の長焦点電視観望かもしれません。あとは眼視でしょうか。
 

2021年9月30日、飛騨コスモス天文台で観望会がありました。この日は快晴だったからでしょうか、相当たくさんのお客さんが来ました。


観望会準備

この日は朝から食料品の買い物で、妻にコストコに付き合います。夜は観望会でいなくなるので、きちんと家族のご機嫌をとっておかないと、星活が脅かされてしまいます。コストコで毎回食べる北海道ソフトクリームは相変わらず絶品です。もう生クリームをそのままソフトにしたようです。いまだにどんな観光地でも、ここ以上のソフトに出会ったことがないです。

コストコから一旦自宅に戻り、昼くらいからキタムラに行ってカードの印刷です。観望会に来てくれた人に天体が写っている写真を配りたいとのことで、以前から頼まれていたものです。まだ試しなので、手持ちの画像20種を各一枚ずつ、(一番安い)Lサイズで印刷して、選んでもらうことにしました。

印刷方法は至って簡単。キタムラ店舗にあるたくさんのプリント用のモニターの前に座って、適当にメディアから読み込ませ、印刷したい画像を選択します。モニター上で最後に注文を完了するとレシートが2枚(店側用と客の控え用)出てくるので、それを持って受付に行きます。ポイントは受付の時に「補正なしで」とはっきり言うこと。これを指定しないと、変な色補正をかけれらてしまいます。天体写真は自分で納得した画像を作るので、下手に自動補正とかをかけると全く違うものになってしまいます。10分も待てば印刷されたものが仕上がってきます。

10枚印刷すると一枚あたり税込で45円になります。まだちょっと割高なので、次回はネットのフジプリで頼もうと思います。同サイズだと1枚あたり税込11円だそうですが、送料が毎回必ずかかってしまうので、大量発注に向いています。逆に、キタムラのいいところは、10分とそのばですぐに受け取ることができることでしょうか。これはネットプリントよりも遥かに便利です。

キタムラでの印刷後、観望会の機材を車に積み込みます。今日の機材は惑星用にAVXに載せるC8、電視観望でFMA135とASI294MC Pro、撮影用にTSA-120と6DをCGEM IIに載せます。汗をかいたので、積み込み後急いでシャワーを浴びて、16時半頃出発です。途中、ファミマで夕食がわりのおにぎりなどを購入。

でも富山ではまだ曇りで少し雨もぱらついていました。まあ、天気予報は晴れの予想だったのでそのまま現地に向かいます。

飛騨コスモス天文台到着

18時前くらいに現地に到着。空はほぼ快晴!その後一瞬だけちょっと雲が出ましたが、それからは一晩中ほぼ全面快晴です。

8F420CE9-8EFD-4EE4-AE73-520FBF87680E

私の到着に続いてすぐ、いつものかんたろうさんが到着。今日来ることを聞いてなかったので、一瞬誰か別人かと思ってしまいました。というか、最近特に暗いところでの目が悪くなっている気がします。メガネを変えた方がいいかもしれません。

まだ明るいですが、この日は機材が多いので順次手際よく出していきます。本当は暗くなるとともに撮影がしたくて、お客さんがあまりこない端のところにTSA-120をアイリス星雲狙いで設置しようとしました。地元の富山は北側が明るいので、北の空が暗いコスモス天文台は絶好のチャンスなのです。ですが、全然読みが甘かったです。


たくさんのお客さんが

暗くなりかけると他のスタッフとともに、お客さんが続々とやってきます。もう木星と土星はみえているので、スコープテックでまずは見てもらい、その間にC8で初期アラインメントを取ります。金星が山際に沈むギリギリのところで導入までできたのですが、ほんの30秒くらいの差で、一人のスタッフには見てもらい、もう一人には見てもらえなかったとかでした。気を取り直して木星を導入すると、もうお客さんが待っている状態です。暗くなってきて天の川も見え始めます。

先にテスト印刷した天体写真のカードをスタッフに渡しておき、来てくれた子供に配ってもらいました。子供だけで13枚は捌けたと言っているので、その両親も考えたら少なくとも30-40人のお客さんは来ていたことになります。カードを受け取った子供たちはいずれも大喜びで、写っている天体が何か何度も何度も尋ねられました。カードはかなり好評なので、20種で各10枚印刷しておこうという話になりました。リクエストとしては惑星の写真が欲しいと言うこと、あとは写っている天体の名前を入れておいた方がいいのではということでした。次回11月が今年最後ですが、それまでに準備しておこうと思います。

かんたろうさんも鏡筒やら双眼鏡やら出してくれて大活躍です。しかも私よりも遥かに知識があるので、来ていた方は説明に大喜びだったと思います。私の方も負けじと色々説明します。人数が多いので天の川の説明からです。織姫星、彦星、白鳥の飛ぶ方向など夏の大三角に絡めます。

この観望会のスゴイところは、天の川がカシオペアの方まで繋がっているのがはっきり見える(オリオン座が登ってくれば、オリオン座のところまで繋がっているのもわかります)ので、我々の住んでいる銀河と話を絡めることができ、それを実際に自分の目で確認することができることです。「天の川は銀河を真横から見ていますよ」という説明です。

しかも秋だとちょうどM31アンドロメダ銀河がカシオペアの隣にいるので、銀河の形自分の目で確認してもらうことができるのです。慣れた人は肉眼、難しい人は双眼鏡をセットしておきます。肉眼で挑戦して見えなかった人は星座ビノでなら見ることできます。みんな銀河の形を実感することができるので、結構満足してもらえるのではと思います。

機材での観望としては、C8を木星、土星、ベガ、アルビレオで適時入れ替えます。スコープテックは自分で操作してもらうよう、適時説明に入ったりします。もうずっと忙しくて、この日は珍しく電視観望なしでした。

ドームの方も開けて公開はしたけれども、望遠鏡の観察は無しでした。外で十分な機材の台数があることと、これだけのお客さんの人数だとドームの望遠鏡を扱うスタッフの方が足りません。スタッフは女性が多く、年配の方も多いので、無理をせず、できる範囲で地元の方に星を見る機会を提供していこうと決めています。こんな方針でまったりと気楽に、楽しくやっていけばいいのかと思います。ここは観望会としては珍しいくらいにいい環境なので、お客さんと一緒に天の川など、楽しめるものを楽しむのが一番かと思います。


Mちゃんが電視観望

途中だいぶ人もいなくなってきた頃に、いつものMちゃんがお母さんと、いとこの男子高校生とともに到着。Mちゃんが電視観望を始めてくれました。前回渡したQBPを試したかったようなのですが、最初に入れたのがM31。銀河なのでQBPは実はあまり有利になりません。また、とても暗い空なのでフィルターなしても十分よく見えるはずです。ハロ防止にUV/IRカットフィルターだけ残してQBPを外し、M31、M27、M57と入れてました。

もうお客さんも少なくなってきて、22時半頃でしょうか、スタッフの方も解散で、残ったのは結局かんたろうさん、Mちゃんのところ3人、私の5人でした。その代わり、赤道儀のウェイトのところに新たなお客さんが。かわいいケロちゃんです。

F475EF72-9172-4864-B0FC-CFF75917C02D

もう誰もいなくなったと思っていたのですが、実は敷地のすみのところにまだ女性4人のグループで毛布を引いて空を見上げている方達がいるのが判明しました。暗くて全然気づけませんでした。

話を聞いてみるとすぐそこの地元の方達で「自分で望遠鏡を持ってくれば見えるのか?」とか言うので、「ここの望遠鏡とは別に持ってきてもらえれば使い方とかお手伝いしますよ」と返事をしました。ですが「望遠鏡持ってないので買うかなあー?」とか話が噛み合いません。よくよく聞くと、かなり遅くのつい先ほど来たらしくて、この観望かいに望遠鏡があることも知らなくて、まだ何も見ていないというのです。

そろそろ片付け始めようと思っていたので、片付ける前でよかったです。C8の惑星、双眼鏡でのすばるやアンドロメダ銀河、Mちゃんの電視観望とフルで見て頂きました。天の川の解説もして、短時間でしたが満足してくれたようで、次回11月6日の会も「ぜひ来たい」とのことでした。観望会自身は今年は11月で終わりです。そこから雪になってしまうので、来年の春までお休みです。

最後のお客さんも帰られ、ここからやっと撮影の準備を再開して、23時過ぎに撮影開始。予定通りケフェウス座のアイリス星雲です。その中の1枚です。既に分子雲も見えているので、やはりかなりいい空なのかと思います。画像処理はまた後日やります。

0D09F8FC-E150-491C-9EAC-4FC211B4A3A9

Mちゃんのところは0時半くらいまでいたでしょうか。その間、かんたろうさんが眼視でいろいろ見せてくれました。Mちゃんのお母さんが一番満足していたような感じでした。撮影と眼視も面白かったのですが、長くなるので詳しい話はまた今度記事にします




このページのトップヘ